説明

鏡像異性的に純粋なベータ作用薬を含む吸入粉末製剤

本発明は、医薬的に許容されるその酸付加塩の形体にあってよく、さらには医薬的に許容される賦形剤と混合されていてもよい鏡像異性的に純粋な式(1)のベータ-作用薬(R1、R2、R3 および R4 の基は特許請求の範囲および明細書に定義した通りである)を含む吸入粉末製剤に関する。前記製剤の製造方法、および薬剤、特に呼吸器疾患を治療するための薬剤としてのその使用も併せて開示する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬的に許容されるその酸付加塩の形体にあってよく、さらには医薬的に許容される賦形剤と混合されていてもよい鏡像異性的に純粋な下記一般式1の化合物を含む吸入用粉末製剤、その調製方法、および医薬組成物、特に呼吸器疾患を治療するための医薬組成物としてのその使用に関する。
【化1】

(式中、R1、R2、R3 および R4 の基は特許請求の範囲および明細書の中で与えられる意味を有し得る。)
【背景技術】
【0002】
発明の背景
ベータミメティック(betamimetics)(ベータ-アドレナリン作用物質)は従来技術より知られる。例えば、様々な疾患を治療するためのベータミメティックを提案するUS 4,460,581の開示を参照することができる。
疾患の薬剤治療のためには、多くの場合、活性の持続時間が長い薬剤を調製することが好ましい。これは一般に、頻繁な頻度で薬剤を再投与しなくても、治療効果を達成するために必要な体内における活性物質の濃度が保証されることを確実にする。さらには、より長い時間間隔で活性物質を与えることは、患者の満足度に大きく貢献する。
【0003】
特に好ましい実施態様において、本発明は、呼吸器疾患の治療に治療効果を与えることが可能な医薬製剤に関する。
特に呼吸器疾患の治療においては、活性物質を吸入により投与することが有用である。計量したエアロゾルおよび吸入用溶液の形状にある気管支治療効果のある化合物の投与に加えて、活性物質を含む吸入用粉末の使用は特に重要である。
特に高い効果を有する活性物質については、所望の治療効果を達成するためには少量の活性物質しか必要ない。そのような場合、吸入用粉末を調製するためには、活性物質を適切な賦形剤で希釈しなければならない。賦形剤の量が多いため、吸入用粉末の特性は賦形剤の選択に決定的に影響される。賦形剤を選択する際は、その粒径が特に重要である。一般に、賦形剤が微細である程その流動性は悪い。しかしながら、良好な流動性は、製剤の個別の分量を充填および分割する際(例えば、粉末吸入用のカプセル剤(インハレット(inhalettes))の製造の際、または患者が吸入器の使用前に個別の分量を計量する際)の高度に正確な計量に必須である。さらには、賦形剤の粒径は、それが吸入器で使用される際のカプセルを空にする特性にとってとても重要である。賦形剤の粒径は、吸入用に搬送される吸入用粉末中の活性物質の割合に対しても大きな影響を有することも知られている。活性物質の吸入用部分(inhalable proportion)の用語は、呼吸により吸入した際に肺の支脈深部まで搬送される吸入用粉末の粒子を意味する。このために必要な粒径は0.5〜10μm、好ましくは1〜6μmである。
【0004】
本発明の目的は、(製造者または使用前の患者により粉末の各バッチに充填される活性物質および粉末混合物の量、吸入器に依存する量、さらには吸入過程による各駆動ごとに放出され、かつ肺に運送される活性物質の量において)バッチ毎の誤差が非常に小さく、正確に測定される一方で、大きな吸入用部分で活性物質が投与されることを可能とする、ベータミメティックを含む吸入用粉末を調製することである。本発明のさらなる目的は、吸入器(例えばWO 94/28958に記載されるもの)を使用して、またはインビトロでインパクターもしくはインピンジャーを使用して患者に投与されるを問わず、カプセル剤の良好なカプセルを空にする特性を保障するベータミメティックを含む吸入用粉末を調製することである。
【0005】
ベータミメティックが、非常に低い投与量においてさえも高い治療効果を有するという事実は、高度に正確な計量で使用されるべき吸入用粉末にさらなる条件を課す。治療効果を達成するためには吸入用粉末に低濃度の活性物質しか必要でないため、粉末混合物が高度に均質であること、および、粉末のバッチ毎の分散特性のばらつきが非常に小さいことが必須である。粉末混合物が均質であること、および、分散特性のばらつきが小さいことは、活性物質の吸入用部分が一定量で、可能な限り誤差無く再現的に放出されることを保障するために重要である。
従って、本発明のさらなる目的は、高度の均質性および分散の均一性を特徴とする、ベータミメティックを含む吸入用粉末を調製することである。本発明はさらに、活性物質の吸入用部分が可能な限り少ない誤差で投与されることを可能とする吸入用粉末を提供することを目的とする。
粉末レザーバー(活性物質を含む吸入用粉末が吸入用に放出される容器)から空になる特性は、粉末を含むカプセル剤を使用する吸入用粉末の投与に特に重要な役割を果たす(だだしこれに限定されない)。ごく少ないまたは貧弱な空になる特性の結果として、粉末レザーバーから少量の粉末製剤しか放出されなかった場合、活性物質を含む大量の吸入用粉末が粉末レザーバー(例えばカプセルまたは他の容器)内に残り、それは治療用途として患者に利用されない。この結果として、搬送される活性物質の量が所望の治療効果を奏するのに十分となるように、粉末混合物中の活性物質の量を増加させなければならない。
この背景に対して、本発明はさらに、非常に良好な空になる特性を有することをも特徴とする吸入用粉末を提供することを目的とする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の説明
本発明は、1または2以上、好ましくは1つの鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物
【化2】

(式中、
R1 は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはハロゲンを表し;
R2 は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはハロゲンを表し;
R3 は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、ハロゲン、OH、-O-C1-C4-アルキレン-COOH または -O-C1-C4-アルキレン-COO-C1-C4-アルキルを表し;
R4 は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはハロゲンを表す)
を含む吸入用粉末に関し、ここで、前記化合物は医薬的に許容されるその酸付加塩、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい。
【0007】
好ましい前述の吸入用粉末は、
式中、
R1 は、水素またはハロゲンを表し;
R2 は、水素またはハロゲンを表し;
R3 は、水素、C1-C4-アルコキシまたはハロゲンを表し;
R4 は、水素またはハロゲンを表す、
1または2以上、好ましくは1つの鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を含むものであり、ここで、前記化合物は医薬的に許容されるその酸付加塩、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい。
【0008】
好ましい吸入用粉末は、
式中、
R1 は、水素、フッ素または塩素、好ましくは水素またはフッ素を表し;
R2 は、水素、フッ素または塩素、好ましくは水素またはフッ素を表し;
R3 は、水素、メトキシ、エトキシ、フッ素または塩素、好ましくは水素、メトキシ、エトキシまたはフッ素を表し;
R4 は、水素、フッ素または塩素、好ましくは水素またはフッ素を表す、
1または2以上、好ましくは1つの鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を含むものであり、ここで、前記化合物は医薬的に許容されるその酸付加塩、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい。
【0009】
好ましい吸入用粉末は、
式中、
R1 は、水素またはフッ素を表し;
R2 は、水素を表し;
R3 は、メトキシ、エトキシまたはフッ素を表し;
R4 は、水素を表す、
1または2以上、好ましくは1つの鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を含むものであり、ここで、前記化合物は医薬的に許容されるその酸付加塩、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい。
【0010】
さらに本発明において同等に重要なのは、
式中、
R1 は、水素を表し;
R2 は、水素、フッ素または塩素、好ましくは水素またはフッ素を表し;
R3 は、水素を表し;
R4 は、水素、フッ素または塩素、好ましくは水素またはフッ素を表す、
1または2以上、好ましくは1つの鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を含む吸入用粉末であり、ここで、前記化合物は医薬的に許容されるその酸付加塩、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい。
さらに本発明において好ましいのは、1または2以上、好ましくは1つの鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物をその遊離塩基の形体で含む吸入用粉末である。
さらに本発明において同等に重要なのは、1または2以上、好ましくは1つの鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を、一般式1-HXにより表すことが可能な医薬的に許容されるその酸付加塩の形体で含む吸入用粉末である。
【0011】
好ましい吸入用粉末は、酸付加塩として1または2以上、好ましくは1つの一般式1-HXの化合物
【化3】

(式中、
X- は、一価の負電荷を持つ陰イオン、好ましくは、クロリド、ブロミド、ヨージド、スルファート、ホスファート、メタンスルホナート、ニトラート、マレアート、アセタート、ベンゾアート、シトラート、サリチラート、トリフルオロアセタート、フマラート、タルトラート、オキシラート、スクシナート、ベンゾアートおよび p-トルエンスルホナートからなる群より選択される一価の負電荷を持つ陰イオンを表し、かつ、
R1、R2、R3 および R4 の基は前述の意味の1つを有し得る)
を含み、ここで、前記化合物はその互変異性体、互変異性体の混合物、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、さらには生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい。
【0012】
好ましい吸入用粉末は、1または2以上、好ましくは1つの一般式1-HXの化合物
(式中、
X- は、クロリド、ブロミド、スルファート、メタンスルホナート、マレアート、アセタート、ベンゾアート、シトラート、サリチラート、トリフルオロアセタート、フマラート、タルトラートおよびスクシナートから選択される一価の負電荷を持つ陰イオンを表し、かつ、
R1、R2、R3 および R4 の基は前述の意味の1つを有し得る)
を含み、ここで、前記化合物はその互変異性体、互変異性体の混合物、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、さらには生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい。
好ましい吸入用粉末は、1または2以上、好ましくは1つの一般式1-HXの化合物
(式中、
X- は、クロリド、メタンスルホナート、マレアート、アセタート、シトラート、サリチラート、トリフルオロアセタート、フマラートおよびスクシナートから選択される一価の負電荷を持つ陰イオン、好ましくはクロリド、マレアート、サリチラート、フマラートおよびスクシナート、特に好ましくはクロリドを表し;かつ、
R1、R2、R3 および R4 の基は前述の意味の1つを有し得る)
を含み、ここで、前記化合物はその互変異性体、互変異性体の混合物、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、さらには生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい。
【0013】
同じく特に好ましいのは、
- 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン ヒドロクロリド;
- 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン ヒドロクロリド;
- 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン ヒドロクロリド;
- 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン ヒドロクロリド;
- 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン ヒドロクロリド;
- 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン マレアート;
- 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン サリチラート;
- 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン スクシナート;
- 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン フマラート;
- 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン マレアート;
- 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン サリチラート;
- 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン スクシナート;
- 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン フマラート;
- 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン マレアート;
- 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン サリチラート;
- 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン スクシナート;
- 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン フマラート;
- 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン マレアート;
- 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン サリチラート;
- 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン スクシナート;
- 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン フマラート;
- 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン マレアート;
- 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン サリチラート;
- 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン スクシナート および
- 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン フマラート
から選択される1または2以上、好ましくは1つの鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を含む吸入用粉末であり、ここで、前記化合物はその互変異性体、互変異性体の混合物、水和物または溶媒和物の形体にあってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の吸入用粉末において、鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物(式中、R1、R2、R3 および R4 は先に定義した通りである)は、結晶性の形体で存在し、その結晶性互変異性体、結晶性水和物または結晶性溶媒和物の形体にあってもよい。特に好ましいのは、単一の結晶形態でのみ存在する結晶性化合物であることを特徴とする、鏡像異性的に純粋な、結晶性の一般式1の化合物(式中、R1、R2、R3 および R4 は前述の意味を有する)であり、ここで前記化合物はその結晶性互変異性体、結晶性水和物または結晶性溶媒和物の形体にあってもよい。
“単一の結晶形態(crystal modification)”の表現は、存在し得るあらゆる多形結晶形態の混合物および/または式1の化合物の非晶形状態またはガラス質状態を有する1または2以上の結晶形態の混合物を含まない、式1の結晶性化合物を意味する。
【0015】
別途記載しない限り、アルキル基とは、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基である。以下は例示である:メチル、エチル、プロピルまたはブチル。いくつかのケースでは、Me、Et、PropまたはBuの略語は、メチル、エチル、プロピルまたはブチルの基を表すために使用される。別途記載しない限り、プロピルおよびブチルの定義は、当該の基の可能なすべての異性体を含む。従って、例えばプロピルは、n-プロピルおよびイソ-プロピルを含み、ブチルはイソ-ブチル、secブチルおよびtert-ブチルを含む等である。
別途記載しない限り、アルキレン基は、分岐および非分岐の、二重結合を有するアルキルブリッジである。以下は例示である:メチレン、エチレン、n-プロピレンまたはn-ブチレン。
【0016】
別途記載しない限り、アルキルオキシ基(または-O-アルキル基)の用語は、酸素原子を介して結合した、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキル基を意味する。以下の例が挙げられる:メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシまたはブチルオキシ。いくつかのケースでは、MeO-、EtO-、PropO-またはBuO-の略語は、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシまたはブチルオキシの基を表すために使用される。別途記載しない限り、プロピルオキシおよびブチルオキシの定義は、当該の基の可能なすべての異性体を含む。従って、例えば、プロピルオキシはn-プロピルオキシおよびイソ-プロピルオキシを含み、ブチルオキシはイソ-ブチルオキシ、secブチルオキシおよびtert-ブチルオキシを含む等である。いくつかのケースでは、本発明の範囲内において、アルキルオキシの用語の代わりにアルコキシの用語が使用される。従って、メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシまたはブチルオキシの基を表すために、メトキシ、エトキシ、プロポキシまたはブトキシの用語も使用し得る。
【0017】
本発明の範囲内において、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を表す。別途記載しない限り、フッ素、塩素および臭素が、好ましいハロゲンである。
本発明の範囲内において、鏡像異性的に純粋の用語は、少なくとも85%ee、好ましくは少なくとも90%ee、特に好ましくは ≧ 95%eeの光学純度で存在する式1の化合物について表す。ee(鏡像体過剰率)の用語は当該技術分野において既知であり、キラル化合物の光学純度を表す。
高度に結晶性の式1の化合物は、以下(ダイアグラム1)に図示するように得ることができる。
【化4】

【0018】
ダイアグラム1:
ダイアグラム1に示した式2から5および7の化合物において、OPGの基は、保護基(PG)により保護されたヒドロキシル官能基を表す。ヒドロキシル基のための適切な保護基の選択肢に関して、ここで、例えばProtective Groups in Organic Synthesis, T.W. Greene and P.G.M. Wuts, John Wiley & Sons Inc, Third Edition, 1999に示されるような先行技術を参照する。
好ましくは、OPGは、-O-C1-C4-アルキル、-O-ベンジルまたは -O-CO-C1-C4-アルキルから選択される基、好ましくは -O-メチル、-O-ベンジルまたは -O-アセチル、特に好ましくは -O-メチルまたは -O-ベンジル、特に好ましくは -O-ベンジルを表す。
ダイアグラム1に示した式3および4の化合物において、Lの基は脱離基を表す。好ましくは、L は、塩素、臭素、ヨウ素、メタンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナートおよびp-トルエンスルホナートから選択される脱離基、好ましくは塩素または臭素、特に好ましくは塩素を表す。
ダイアグラム1に示した式6および7の化合物において、R1、R2、R3 および R4 の基は前述の意味を有し得る。
【0019】
8-アセチル-6-ベンジルオキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン(2)から出発して、一般式3の化合物は従来技術より知られる方法により調製される。次いで、式3の化合物は、キラル遷移金属触媒の存在下で、エナンチオ選択的に一般式4のキラルアルコールに変換され、それは次いで適切な条件下で反応されて式5のキラルオキシランを形成する。式3の化合物からオキシランを合成する方法は当該技術分野に知られる(例えばHamada et al., Org. Letters 2002, 4, 4373-4376を参照されたい)。
オキシラン5を式6のアミンと反応させることによって式7の化合物が得られ、前記化合物は保護基(PG)が解離された後に式1の化合物に変換し得る。上に示した方法によって 式1の化合物が結晶形体で得られない場合、この合成の後に適切な溶媒からの再結晶化を行ってもよい。この対象についてのより詳細な情報は、後述の本発明の実験の項に見られる。
【0020】
本発明の吸入用粉末を調製するためには、まず、微細に分割された(あるいは微粉化された)形体にある結晶形体で式1の化合物を調製することが必要である。
微粉化または粉砕の工程は、従来型の粉砕機を使用して実施することができる。好ましくは、微粉化は湿気を排除して、より好ましくは対応する不活性ガス(例えば窒素など)を使用して行われる。エアジェットミルを使用することが特に好ましいことが確認され、そこでは、材料が互いの粒子または粉砕容器の壁との衝突により粉砕される。微粉化工程は、いわゆる向流式ミル(必要によりその後篩過する)、およびさらに、好ましい様式でスパイラルエアジェットミルを使用して、の双方で行うことができる。本発明においては粉砕ガスとして窒素が使用される。粉砕用の材料は、粉砕ガスにより、特定の圧力(粉砕圧力)下で運送される。本発明の範囲内において、粉砕圧力は通常約2〜8バール、好ましくは約3〜7バール、最も好ましくは約3.5〜6.5バールの値に設定される。粉砕用の材料は、供給ガスを用いて特定の圧力(供給圧力)下でエアジェットミルに供給される。本発明の範囲内において、約2〜8バール、好ましくは約3〜7バール、そして最も好ましくは約3.5〜6バールの供給圧力が有効であることが確認された。使用される供給ガスは、ここでもまた好ましくは不活性ガス、最も好ましくは窒素である。粉砕する材料(式1の結晶性化合物)は、約5〜45g/分、好ましくは約15〜35g/分の速度で供給することができる。
【0021】
例えば、本発明の対象を以下に限定することなく、以下の装置がエアジェットミルの可能な実施態様として適切であると確認された:Messrs Sturtevant Inc.(348 Circuit Street, Hanover, MA 02239, アメリカ)製造の粉砕リング付きタイプ2インチ微粉砕機(口径(bore)0.8mm)。この装置を使用して、粉砕の工程は好ましくは以下の粉砕パラメーターを用いて実施される:粉砕圧力: 約 4.5〜6.5バール; 供給圧力: 約4.5〜6.5バール; 粉砕物質の供給:約17〜21g/分。
別の例は、Messrs Jetpharma製造のJetmill MC 50型のエアジェットミルの使用であり、それは以下の加工パラメーターを用いて作動し得る:
粉砕圧力: 8.0バール(+/- 0.5バール)
供給圧力: 8.5バール(+/- 0.5バール),
注: 供給圧力は常に粉砕圧力よりも0.25〜0.5バール高く設定される。
材料供給: 20 g/分 (+/- 2,0 g/分)
ノズルセッティング(インジェクター): 37.2 mm (一定)。
【0022】
このようにして得られた粉砕材料は、次いで、以下の特定条件の下でさらに加工される。微粉化物は、15〜50℃、好ましくは 20〜45℃、最も好ましくは25〜40℃の温度で、少なくとも40%の相対湿度で水蒸気に曝される。好ましくは、湿度は50〜95% r. h.、好ましくは60〜90% r.h.、最も好ましくは70〜85% r.hの値に設定される。本発明の範囲において、相対湿度(r.h.)とは、当該温度における水蒸気の分圧と水蒸気圧の商を意味する。好ましくは、上記の粉砕工程から得られた微粉化物は、上記のチャンバー条件に少なくとも6時間の間曝される。しかしながら、好ましくは微粉化物は、上記のチャンバー条件に約 12〜約120時間、好ましくは約15〜約96時間、特に好ましくは約18〜約72時間曝される。別の実施態様では、この工程の後に乾燥させる。粉砕された材料を高温に曝す。これについて、微粉化された材料は、少なくとも0.5時間、好ましくは0.5時間〜6時間、特に好ましくは0.5時間〜3時間の間、低い相対湿度、すなわち、60%未満、好ましくは40%未満、そして特に好ましくは30%未満の相対湿度で、少なくとも40℃、好ましくは少なくとも50℃、そして最高で70℃の高温に曝される。
【0023】
上記の方法により得ることができる本発明の式1の微粉化化合物は、X50が 0.1μm〜10μm、好ましくは0.5μm〜6μm、特に好ましくは1.0μm〜3.5μmであるという固有の粒径を有する。加えて、それらは、60%より高い、好ましくは70 %より高い、特に好ましくは80%より高いパラメーター Q(5.8)を有することを特徴とする。
固有値 X50 は、粒径の中央値(median value)を意味し、その値未満には、個別の粒子の容積分布に基づいて粒子の量の50%が見られる。特性値 Q(5.8)は、個別の粒子の容積分布に基づく、5.8μm未満の粒子の量を意味する。本発明の範囲内において、粒径はレーザー回析(ラウンホーファー回析)により測定された。レーザー回析(ラウンホーファー回析)による粒径の測定は、WO 03/078429 (第16頁以下) に記載される方法を用いて行われた。
【0024】
前述の一般式1の微粉化化合物は、場合により他の賦形剤を伴わずに吸入用に使用してもよい。しかしながら、好ましくは、本発明の医薬組成物は、1または2以上、好ましくは1つの式1の化合物に加えて、少なくとも1つの生理学的に許容される賦形剤または複数の生理学的に許容される賦形剤の混合物を含む。
本発明の吸入用粉末の調製に使用し得る生理学的に許容される賦形剤としては、例えば、単糖類(例えばグルコース、フルクトースまたはアラビノース)、二糖類(例えばラクトース、サッカロース、マルトースまたはトレハロース)、オリゴ糖類および多糖類(例えばマルトデキストリン、デンプン、セルロースおよびそれらの誘導体)、ポリラクチド/グリコリド(レゾマー(resomer))、多価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、アミノ酸(塩酸アルギニン)、キトサン(特に好ましくはラクトース、マンニトール、サッカロース、ソルビトール、トレハロース)、ステアリン酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩(例えばステアリン酸Mg)、塩(例えば塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)またはこれらの賦形剤の互いとの混合物が挙げられる。好ましくは単糖類もしくは二糖類または多価アルコールが使用され、限定をするものではなく、特に、その水和物の形体にあるラクトース、マンニトールまたはグルコースの使用が好ましい。本発明の目的において、ラクトースまたはマンニトールが特に好ましい賦形剤であり、またラクトース一水和物またはマンニトールが最も特に好ましい。
【0025】
1の化合物に加えて生理学的に許容される賦形剤を含む本発明の医薬製剤において、式1の化合物と賦形剤との比は通常、5:100〜1:100000、好ましくは 3:1000〜1:10000、そして特に好ましくは1:1000〜3:10000の範囲に保たれる(上記の比は重量比(w/w)により与えられる)。
本発明の吸入用粉末は通常、各吸入あたり3〜100mg、好ましくは5〜50mgの量で投与される。
本発明の吸入用粉末がいかなる賦形剤をも含まず、1または2以上、好ましくは1つの式1の化合物(微粉化形体)のみである場合、通常1〜30μg、好ましくは3〜25μg、そして特に好ましくは5〜20μgの吸入用粉末が各吸入あたりに投与される。
本発明の吸入用粉末は好ましくは予め計量された医薬製剤の形体で投与される。例としては吸入カプセルシステムが挙げられる。粉末製剤が個別の投与形体で提供される(例えばブリスターウェル(blister well)に含まれる)システムを使用することも可能である。別の形体では、本発明の製剤は、粉末レザーバーを有し、かつ、投与する粉末または活性物質の結晶性微粉化物の量が使用直前まで計量または分割されないような吸入器に使用することにも適している。ここに説明する粉末製剤は、適切な吸入器を使用して吸入することができる。適切な吸入器は従来技術より知られる。特に適切な吸入器は例えばWO 03/084502に記載されており、そこに開示される吸入器に関してその内容を本明細書に援用する。
【0026】
本発明にしたがって調製された吸入用粉末は以下に説明するように調製することができる。
吸入用粉末を調製するための本発明の方法は、生理学的に許容される賦形剤の N+m の実質的に均等な部分(portion)および式1の微粉化化合物の N の均等な部分が交互の層で適切な混合容器に配置されることを特徴とし、そしてそれらがすべて加えられた後、適切な混合機を使用して2つの成分の 2N+m の層を混合し、ここで、生理学的に許容される賦形剤の部分が先に入れられる(N は >0、好ましくは >1の整数であり、m は 0 または 1 を表す)。
好ましくは、個別の部分は適切な篩過装置を通して層として加えられる。所望の場合、混合プロセスが終了すると、全体の粉末混合物を1または2以上の篩過プロセスに供してもよい。本発明の方法において、N は必然的に、生産される粉末混合物の総量に特に依存する。より小さいバッチを生産する場合、内容物の均一度という意味での高度の均質性という所望の効果は、Nをより小さくすることにより達成される。しかしながら、一般に本発明において N が 少なくとも10以上であれば好ましく、20以上がより好ましく、さらに良好には30以上である。N が大きい程、そしてその結果形成される粉末部分の層の合計数が大きい程、内容物の均一度という意味での均質性がより高くなる。
【0027】
本発明の方法の範囲において、数 m は 0 または 1 を表し得る。m が 0 を表す場合、層として混合装置に加えられる(好ましくは篩過して入れられる)最後の部分は、式1の微粉化化合物の最後の部分である。m が数 1 を表す場合、層として混合装置に加えられる(好ましくは篩過して入れられる)最後の部分は、生理学的に許容される賦形剤の最後の部分である。m = 1である場合、篩過ユニットに依然として残る活性物質の最後の部分の残渣を、賦形剤の最後の部分を用いて混合ユニットに持ち込むことができるため、これは有利である。
好ましくは、賦形剤の N+m の部分の最初の部分が最初に入れられ、次いで、活性物質の N の部分の最初の部分が混合容器に加えられる。本発明の方法の範囲内において、個別の成分は通常はおおまかに均等な部分で加えられるものの、いくつかのケースにおいては、混合装置に入れられる賦形剤の N+m の部分の1番目が、賦形剤の後続の部分よりも大きな容積を有することが有利であり得る。
また、本発明の吸入用粉末が、まず最初に前述の方法に従って活性物質と賦形剤の混合物を作製し、次いで、そのように得られた混合物をさらなる賦形剤と混合することによって調製することも可能である。これは、前述の方法を使用して、活性物質/賦形剤混合物の N のバッチを、他の賦形剤の N+m のバッチと層を重ねて混合することにより行うことができる。
【0028】
好ましくは、本発明の吸入用粉末に使用される賦形剤は17〜120μm、好ましくは約17〜90μm、特に好ましくは約20〜60μmの平均粒径を有する。賦形剤は、17〜75μmの平均粒径を有する粗い賦形剤と、1〜9μmの平均粒径を有する細かい賦形剤との混合物であってもよく、ここで、賦形剤の総量における細かい賦形剤の割合は1〜20 %であり得る。本発明の方法に従って製造し得る吸入用粉末が粗い賦形剤および細かい賦形剤の画分の混合物を含む場合、本発明においては、粗い賦形剤が17〜50μm、最も好ましくは20〜30μmの平均粒径を有し、かつ、細かい賦形剤が2〜8μm、最も好ましくは3〜7μmの平均粒径を有する吸入用粉末を調製することが好ましい。ここで、平均粒径とは、乾式分散法を使用してレーザー回析機で測定した体積分布の50 % 値を意味する。この方法による平均粒径の測定についてはWO 03/078429の開示(第21頁以下)を参照されたい。
粗い賦形剤および細かい賦形剤の画分の賦形剤混合物の場合、本発明の好ましい方法は、細かい賦形剤の部分が、賦形剤全体量の3〜15 %、最も好ましくは5〜10 % を構成する吸入用粉末を生産するような方法である。
本発明の範囲内において与えられるパーセンテージは常に重量パーセントである。
【0029】
使用される賦形剤が、前述の粗い賦形剤および細かい賦形剤の混合物の1つである場合、本発明においてここでもまた賦形剤混合物を、細かい賦形剤の画分の N のおおまかに均等な部分と粗い賦形剤の画分の N+m のおおまかに均等な部分から、本発明の方法を使用して製造することが好ましい。そのような場合、まず、前述の賦形剤画分から前述の賦形剤混合物を生成し、次いで、本発明の方法を用いてそこから活性物質を含む全体の混合物を製造することが望ましい。
例えば、賦形剤混合物は本発明の方法を使用して以下のように得られる。好ましくは、2つの成分を0.1〜2 mm、最も好ましくは0.3〜1 mm、さらにより好ましくは0.3〜0.6 mmのメッシュサイズを有する篩過造粒機を通して加えられる。好ましくは、粗い賦形剤の N+m の部分の最初の画分が最初に入れられ、次いで、細かい賦形剤画分の N の部分の最初の部分が混合容器に加えられる。2つの成分は、1層ずつ篩過して入れることにより交互に加えられる。
【0030】
賦形剤混合物を調製した後、本発明の方法を用いてその混合物と所望の活性物質から吸入用粉末が製造される。好ましくは、2つの成分は0.1〜2 mm、最も好ましくは0.3〜1 mm、さらにより好ましくは0.3〜0.6 mmのメッシュサイズを有する篩過造粒機を通して加えられる。
好ましくは、賦形剤混合物の N+m の部分の最初の部分が入れられ、次いで、活性物質の N の部分の最初の部分が混合容器に加えられる。2つの成分は、好ましくは篩過ユニットを通して、20より多い、好ましくは25より多い、最も好ましくは30より多い層で、交互の層として加えられる。例えば、例えば0.3〜0.5 % の活性物質を含む30〜35 kg の粉末を所望の総量として、共通の賦形剤を使用して、2つの成分は、それぞれ約30〜60層(N = 30〜60)で篩過して入れることができる。当業者に明瞭に理解されるように、この方法は N>60 で同等に良好に実施することが可能であり、粉末混合物の最大限に可能な均質性の所望の効果を達成することができる。
【0031】
本発明の吸入用粉末は、治療の分野におけるその可能な用途の多様性を特徴とする。本発明において、本発明の式1の化合物が、そのベータミメティックとしての医薬活性に基づいて好ましく使用され得るところの用途について特に言及されるべきである。
したがって、別の態様において、本発明は、医薬組成物としての、前述の吸入用粉末に関する。本発明はさらに、呼吸器疾患を治療するための医薬組成物を調製するための、前述の吸入用粉末の使用に関する。
本発明は、好ましくは、様々な由来の閉塞性肺疾患、様々な由来の肺気腫、拘束性肺疾患、間質性肺疾患、嚢胞性線維症、様々な由来の気管支炎、気管支拡張症、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)およびすべての形態の肺浮腫を含む群から選択される呼吸器疾患を治療するための医薬組成物を調製するための、前述の吸入用粉末の使用に関する。
【0032】
好ましくは、本発明の吸入用粉末は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、気管支喘息、小児喘息、重症喘息、急性喘息発作および慢性気管支炎からなる群より選択される閉塞性肺疾患を治療するための医薬組成物を調製するために使用され、そして、本発明においては、気管支喘息を治療するための医薬組成物を調製するために使用することが特に好ましい。
同じく好ましくは、本発明の吸入用粉末は、COPD(慢性閉塞性肺疾患)またはα1-プロテイナーゼインヒビター欠乏症に端を発する肺気腫を治療するための医薬組成物を調製するために使用される。
同じく好ましくは、本発明の吸入用粉末は、拘束性肺疾患を治療するための医薬組成物を調製するために使用され、ここで前記肺疾患は、アレルギー性肺胞炎、仕事に関連する有害物質により引き起こされる拘束性肺疾患(例えば石綿病または珪肺症)および肺腫瘍(例えば癌性リンパ管症、気管支肺胞癌およびリンパ腫など)により引き起こされる肺拘束から選択される。
同じく好ましくは、本発明の吸入用粉末は、間質性肺疾患を治療するための医薬組成物を調製するために使用され、ここで前記肺疾患は、感染(例えばウィルス、細菌、真菌、原生動物、蠕虫または他の病原体による感染など)により引き起こされる肺炎、様々な要因(例えば嚥下および左心不全など)により引き起こされる肺臓炎、放射線により誘導される肺臓炎または線維症、膠原病(例えば紅斑性狼瘡、全身性強皮症またはサルコイドーシスなど)、肉芽種症(例えばベック病(Boeck's disease)、突発性間質性肺炎または特発性肺線維症(IPF)など)から選択される。
【0033】
同じく好ましくは、本発明の吸入用粉末は、嚢胞性線維症または膵線維症を治療するための医薬組成物を調製するために使用される。
同じく好ましくは、本発明の吸入用粉末は、気管支炎、例えば細菌性またはウィルス性感染により引き起こされた気管支炎、アレルギー性気管支炎および中毒性気管支炎を治療するための医薬組成物を調製するために使用される。
同じく好ましくは、本発明の吸入用粉末は、気管支拡張症を治療するための医薬組成物を調製するために使用される。
同じく好ましくは、本発明の吸入用粉末は、ARDS(成人呼吸窮迫症候群)を治療するための医薬組成物を調製するために使用される。
同じく好ましくは、本発明の吸入用粉末は、肺浮腫、例えば有毒物質および生体異物の嚥下または吸入後の中毒性肺浮腫を治療するための医薬組成物を調製するために使用される。
【0034】
特に好ましくは、本発明は、喘息またはCOPDを治療するための医薬組成物を調製するための、本発明の吸入用粉末の使用に関する。同じく特に重要なのは、炎症性および閉塞性呼吸器疾患の日に一度の治療(once-a-day treatment)、特に喘息またはCOPDの日に一度の治療のための医薬組成物を調製するための、本発明の吸入用粉末の前述の使用である。
さらには、本発明は、前述の1または2以上の本発明の吸入用粉末が治療有効量で投与されることを特徴とする、前述の疾患を治療するための方法に関する。本発明はさらに、好ましくは、前述の1または2以上の本発明の吸入用粉末が、日に一度、治療有効量で投与されることを特徴とする、喘息またはCOPDを治療するための方法に関する。
下に説明する合成の例は本発明をより詳細に説明する。しかしながら、それらは単に本発明を説明するための方法の例を意図するものであり、下の例示に示す対象に限定するものでない。
【実施例】
【0035】
一般式1の化合物の調製:
【0036】
実施例 1: 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン ヒドロクロリド
【化5】

【0037】
a) 1-(5-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシ-3-ニトロ-フェニル)-エタノン
700 mL 酢酸中の81.5 g (0.34 mol) 1-(5-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシ-フェニル)-エタノンの溶液に18 mL 発煙硝酸を滴下し、その際氷槽で冷却して温度が20℃を超えないようにした。次いで、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌し、氷水上に注ぎ、濾過した。生成物をイソプロパノールから再結晶化し、吸引濾過し、そしてイソプロパノールとジイソプロピルエーテルで洗浄した。収量: 69.6 g (72%); 質量分析 [M+H]+ = 288
b) 1-(3-アミノ-5-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシ-フェニル)-エタノン
69.5 g (242 mmol) 1-(5-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシ-3-ニトロ-フェニル)-エタノンを1.4 L メタノールに溶解し、触媒としての木炭上の14 g ロジウム (10%)の存在下で、3 bar、周囲温度で水素添加した。次いで、触媒を濾過除去し濾液を蒸発乾固(evaporated down)させた。残渣をさらに精製することなくさらに反応させた。
収量: 60.0 g (96%), Rf 値 = 0.45 (ジクロロメタン、シリカゲル上)
【0038】
c) 8-アセチル-6-ベンジルオキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン
氷槽で冷やしながら60.0 g (233 mmol) 1-(3-アミノ-5-ベンジルオキシ-2-ヒドロキシ-フェニル)-エタノン および 70.0 g (506 mmol) 炭酸カリウムに21.0 mL (258 mmol) 塩化クロロアセチルを滴下した。次いで、混合物を周囲温度でオーバーナイト、次いで還流温度で6時間撹拌した。熱い反応混合物を濾過し、約400 mL にまで蒸発させ、氷水と混合した。得られた沈殿物を吸引濾過し、乾燥させ、そしてシリカゲルショートカラム上でのクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール = 99:1)により精製した。生成物を含む画分を蒸発乾固し、イソプロパノール/ジイソプロピルエーテル中に懸濁し、吸引濾過し、そしてジイソプロピルエーテルで洗浄した。収量: 34.6 g (50%); 質量分析 [M+H]+ = 298
d) 6-ベンジルオキシ-8-(2-クロロ-アセチル)-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン
13.8 g (46.0 mmol) 8-アセチル-6-ベンジルオキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンおよび 35.3 g (101.5 mmol) ベンジルトリメチルアンモニウム-ジクロリオダート(dichloriodate)を、250 mL ジクロロエタン、84 mL 氷酢酸および14 mL 水の中で、65℃で5時間撹拌した。周囲温度に冷ました後、5%亜硫酸水素ナトリウム溶液を加え、混合物を30分間撹拌した。沈殿した固体を吸引濾過し、水とジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。収量: 13.2 g (86%); 質量分析 [M+H]+ = 330/32
【0039】
e) 6-ベンジルオキシ-8-((R)-2-クロロ-1-ヒドロキシ-エチル)-4H-ベンゾ[1,4]-オキサジン-3-オン
この方法は、文献(Org. Lett. 2002, 4, 4373-4376)に記載される手順と同様に実施した。
8 mL のギ酸とトリエチルアミンの混合物(モル比 = 5:2) を、40 mL ジメチルホルムアミド中の13.15 g (39.6 mmol) 6-ベンジルオキシ-8-(2-クロロ-アセチル)-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンおよび25.5 mg (0.04 mmol) Cp*RhCl[(S,S)-TsDPEN] (Cp* = ペンタメチルシクロペンタジエニルおよび TsDPEN = (1S,2S)-N-p-トルエンスルホニル-1,2-ジフェニルエチレンジアミン)に-15℃で滴下した。混合物をこの温度で5時間撹拌し、次いで25 mg 触媒を加え、そして混合物を15℃でオーバーナイトで撹拌した。反応混合物を氷水と混合し、濾過した。濾過残渣をジクロロメタン中に溶解し、硫酸ナトリウムで乾燥させて溶媒から分離した。残渣をクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール勾配)にかけ、そして生成物をジエチルエーテル/ジイソプロピルエーテルから再結晶化させた。収量: 10.08 g (76%); Rf 値 = 0.28 (ジクロロメタン:メタノール = 50:1、シリカゲル上)
f) 6-ベンジルオキシ-8-(R)-オキシラニル-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン
10.06 g (30.1 mmol) 6-ベンジルオキシ-8-((R)-2-クロロ-1-ヒドロキシ-エチル)-4H-ベンゾ[1,4]-オキサジン-3-オンを、200 mL ジメチルホルムアミドに溶解した。この溶液を0℃で40 mL の2モル濃度水酸化ナトリウムと混合し、そしてこの温度で4時間撹拌した。反応混合物を氷水上に注ぎ、15分間撹拌し、そして濾過した。固体を水で洗浄し、乾燥させた。
収量: 8.60 g (96%); 質量分析 [M+H]+ = 298
【0040】
g) 6-ベンジルオキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン
5.25 g (17.7 mmol) 6-ベンジルオキシ-8-(R)-オキシラニル-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オンと 6.30 g (35.1 mmol) 2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミンを21 mL イソプロパノールと混合し、密閉反応容器内で、電磁波下、135℃で30分間撹拌した。溶媒を蒸留除去し、残渣をクロマトグラフィー(酸化アルミニウム; 酢酸エチル/メタノール勾配)にかけた。このようにして得られた生成物を、ジエチルエーテル/ジイソプロピルエーテル混合物からの再結晶化によりさらに精製した。
収量: 5.33 g (63%); 質量分析 [M+H]+ = 477
h) 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド
120 mL メタノール中の5.33 g (11.2 mmol) 6-ベンジルオキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オンの懸濁物を、木炭上の0.8 g パラジウム(10%)と混合し、50℃に加熱し、そして3 bar水素圧で水素添加した。次いで、触媒を吸引濾過し、そして濾液を蒸発乾固させた。残渣を20 mL イソプロパノール中に溶解し、そして2.5 mL のイソプロパノール中の5 モル濃度塩酸を加えた。生成物を200 mL ジエチルエーテルで沈殿させ、吸引濾過し、乾燥させた。収量: 4.50 g (95%, 塩酸); 質量分析 [M+H]+ = 387
6-ベンジルオキシ-8-(R)-オキシラニル-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン (実施例 1, 工程 f)の化合物を対応するアミンと反応させることによって、以下の式1の化合物が同様に得られる。
【0041】
実施例 2: 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド
【化6】

質量分析 [M+H]+ = 393
【0042】
実施例 3: 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド
【化7】

質量分析 [M+H]+ = 393
【0043】
実施例 4: 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド
【化8】

質量分析 [M+H]+ = 401
【0044】
実施例 5: 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン ヒドロクロリド
【化9】

質量分析 [M+H]+ = 375
【0045】
上に例示として説明した合成方法によって式1の化合物が同一の結晶形態とならない場合には、適切な溶媒から得られる式1の塩を再結晶化することが有用であり得る。さらには、それ自体従来技術から知られる方法を使用することによって前記の実施例から他の塩を得ることができる。
次の項では、吸入による投与するための製剤を調製するのに特に適した式1の化合物の均一な塩を調製するいくつかの例示的な方法について説明する。
【0046】
実施例 6: 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン マレアート
250 mg (0.65 mmol) 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オンを、固体が溶液に完全に溶解するのに十分な量のエタノールと混合した。次いで、75 mg (0.65 mmol) マレイン酸と結晶化助剤を加えた。混合物を氷で冷やし、そして沈殿した固体を濾過し、エタノールとジエチルエーテルで洗浄した。塩の中で、酸とエタノールアミンは1:1の比で存在する。
収量: 254 mg (78%); 質量分析 [M+H]+ = 387; 融点 = 215℃
粉末X-線回析により、高度に結晶性の生成物をさらに詳細に調べた。粉末X-線回析図は以下の方法を用いて記録した。
本発明の範囲内において、粉末X-線回析図は、LSD (= 位置敏感検出器)を有するブルカー D8 アドバンスド(CuKα線, λ = 1.5418 Å, 30 kV, 40 mA)を使用して記録された。
高度に結晶性の化合物については、特に以下の特性値 dhkl [Å](Åで測定された格子面距離を与える)が測定された:
d= 21.68 Å; 8.62 Å; 5.92 Å; 5.01 Å; 4.59 Å; 4.36 Å; 3.64 Å および 3.52 Å
【0047】
実施例 7: 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン サリチラート
250 mg (0.65 mmol) 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オンを少量のエタノールに溶解し、そして90 mg (0.65 mmol) サリチル酸を加えた。結晶化助剤を加えた後、混合物をオーバーナイトで静置し、その間に固体が沈殿した。ジエチルエーテルを加え、そして30分後に混合物を濾過した。このようにして得られた白色個体をジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させた。
収量: 295 mg (87%); 質量分析 [M+H]+ = 387; 融点 = 215℃
粉末X-線回析により、高度に結晶性の生成物をさらに詳細に調べた。粉末X-線回析図は以下の方法を用いて記録した。
本発明の範囲内において、粉末X-線回析図は、LSD (= 位置敏感検出器)を有するブルカー D8 アドバンスド(CuKα線, λ = 1.5418 Å, 30 kV, 40 mA)を使用して記録された。
高度に結晶性の化合物については、特に以下の特性値 dhkl [Å](Åで測定された格子面距離を与える)が測定された:
d= 9.06 Å; 8.36 Å; 8.02 Å; 6.84 Å; 6.73 Å; 4.48 Å; 4.35 Å および 4.27 Å
【0048】
実施例 8: 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン スクシナート
500 mg (1.2 mmol) 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン ヒドロクロリドを酢酸エチルと混合し、そして水性炭酸カリウム溶液で抽出し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして溶媒を除いた。残渣を少量のエタノールに溶解し、そして140 mg (1.2 mmol) コハク酸と混合した。2時間後、沈殿した固体を吸引濾過し、そして冷エタノールとジエチルエーテルで洗浄した。塩の中で、エタノールアミンと酸は1 から 0.5の比で存在する。
収量: 468 mg (85%); 質量分析 [M+H]+ = 387; 融点 = 115℃
粉末X-線回析により、高度に結晶性の生成物をさらに詳細に調べた。粉末X-線回析図は以下の方法を用いて記録した。
本発明の範囲内において、粉末X-線回析図は、LSD (= 位置敏感検出器)を有するブルカー D8 アドバンスド(CuKα線, λ = 1.5418 Å, 30 kV, 40 mA)を使用して記録された。
高度に結晶性の化合物については、特に以下の特性値 dhkl [Å](Åで測定された格子面距離を与える)が測定された:
d= 14.35 Å; 8.49 Å; 7.37 Å; 7.25 Å; 5.47 Å; 4.78 Å; 4.14 Å および 3.59 Å
【0049】
実施例 9: 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン-フマラート
300 mg (0.71 mmol) 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン ヒドロクロリドを酢酸エチルと混合し、そして水性炭酸カリウム溶液で抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして溶媒を除いた。残渣をエタノール中に溶解し、水を数滴加えた。82 mg (0.71 mmol) フマル酸と種結晶を加え、混合物をオーバーナイトで静置した。白色固体を吸引濾過し、ジエチルエーテルとエタノールで洗浄し、そして乾燥させた。塩の中で、エタノールアミンと酸は1 から 0.5の比で存在する。
収量: 208 mg (63%); 質量分析 [M+H]+ = 387; 融点 = 130℃
粉末X-線回析により、高度に結晶性の生成物をさらに詳細に調べた。粉末X-線回析図は以下の方法を用いて記録した。
本発明の範囲内において、粉末X-線回析図は、LSD (= 位置敏感検出器)を有するブルカー D8 アドバンスド(CuKα線, λ = 1.5418 Å, 30 kV, 40 mA)を使用して記録された。
高度に結晶性の化合物については、特に以下の特性値 dhkl [Å](Åで測定された格子面距離を与える)が測定された:
d= 14.23 Å; 5.44 Å; 4.76 Å; 4.57 Å; 4.26 Å; 4.12 Å; 3.57 Å および 3.48 Å
【0050】
実施例 10: 6-ヒドロキシ-8-{1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン (遊離塩基)
前述の試験と同様に、500 mg (1.2 mmol) 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン ヒドロクロリドをまず酢酸エチルと混合した。有機相を水性炭酸カリウム溶液で抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして溶媒を除いた。このようにして得られた遊離塩基をアセトニトリルに溶解し、水を数滴加えた。沈殿した固体を吸引濾過し、洗浄し、乾燥させた。
収量: 168 mg (37%); 質量分析 [M+H]+ = 387; 融点 = 128℃
粉末X-線回析により、高度に結晶性の生成物をさらに詳細に調べた。粉末X-線回析図は以下の方法を用いて記録した。
本発明の範囲内において、粉末X-線回析図は、LSD (= 位置敏感検出器)を有するブルカー D8 アドバンスド(CuKα線, λ = 1.5418 Å, 30 kV, 40 mA)を使用して記録された。
高度に結晶性の化合物については、特に以下の特性値 dhkl [Å](Åで測定された格子面距離を与える)が測定された:
d= 14.96 Å; 9.63 Å; 7.05 Å; 5.57 Å; 5.28 Å; 5.05 Å; 4.63 Å および 3.73 Å
【0051】
実施例 11: 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン-ヒドロクロリド
300 mg (0.71 mmol) 6-ヒドロキシ-8-{(R)-1-ヒドロキシ-2-[2-(4-メトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-エチル}-4H-ベンゾ[1,4,]オキサジン-3-オン ヒドロクロリドを、加熱により4 mL イソプロパノールに溶解した。溶液を周囲温度に冷まし、そして氷槽に15分間静置した。沈殿した固体を吸引濾過し、そして乾燥させた。
収量: 180 mg (60%); 質量分析 [M+H]+ = 387; 融点 = 211℃
粉末X-線回析により、高度に結晶性の生成物をさらに詳細に調べた。粉末X-線回析図は以下の方法を用いて記録した。
本発明の範囲内において、粉末X-線回析図は、LSD (= 位置敏感検出器)を有するブルカー D8 アドバンスド(CuKα線, λ = 1.5418 Å, 30 kV, 40 mA)を使用して記録された。
高度に結晶性の化合物については、特に以下の特性値 dhkl [Å](Åで測定された格子面距離を与える)が測定された:
d= 5.92 Å; 5.81 Å; 5.51 Å; 5.10 Å; 4.65 Å; 4.50 Å; 4.15 Å および 4.00 Å
実施例6から11で説明した方法を使用して、以下の化合物を同様に得ることができる:
【0052】
実施例 12: 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン マレアート;
実施例 13: 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン サリチラート;
実施例 14: 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン スクシナート;
実施例 15: 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン フマラート;
実施例 16: 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン マレアート;
実施例 17: 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン サリチラート;
実施例 18: 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン スクシナート;
実施例 19: 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン フマラート;
実施例 20: 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン マレアート;
実施例 21: 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン サリチラート;
実施例 22: 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン スクシナート;
実施例 23: 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン フマラート;
実施例 24: 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン マレアート;
実施例 25: 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン サリチラート;
実施例 26: 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン スクシナート;
実施例 27: 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン フマラート;
実施例 28: 8-{(R)-2-[2-(2,4-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン (遊離塩基);
実施例 29: 8-{(R)-2-[2-(3,5-ジフルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン (遊離塩基);
実施例 30: 8-{(R)-2-[2-(4-エトキシ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン (遊離塩基) または
実施例 31: 8-{(R)-2-[2-(4-フルオロ-フェニル)-1,1-ジメチル-エチルアミノ]-1-ヒドロキシ-エチル}-6-ヒドロキシ-4H-ベンゾ[1,4]オキサジン-3-オン (遊離塩基)。
【0053】
本発明の粉末製剤の調製:
I) 装置
例えば以下の機器および装置を吸入用粉末の調製に使用し得る:
混合容器または粉末混合器: Turbulamischer 2L, Type 2C; 製造 Willy A. Bachofen AG, CH-4500 Basel
手持ち式の篩: メッシュサイズ0.135 mm
手動または機械によって、空の吸入用カプセルにチオトロピウム含有吸入用粉末を充填し得る。以下の装置を使用し得る。
カプセル充填機:
MG2, Type G100, 製造業者: MG2 S.r.l, I-40065 Pian di Macina di Pianoro (BO), イタリア
【0054】
実施例 1:
粉末混合:
粉末混合物を調製するために、97.0g 賦形剤 (ラクトース一水和物 200 メッシュ、平均粒径25〜50μm、これはバッチ毎に異なる) と3.0g 式1の微粉化化合物を使用した。得られた100g 吸入用粉末中の活性物質の割合は3.0 %である。
メッシュサイズ0.315mmの手持ち式の篩を通して賦形剤を適切な混合容器に入れる。次いで、3g の式1の微粉化化合物および7g の賦形剤を交互の層となるように篩過して入れる。賦形剤および活性物質をそれぞれ7層および6層で加える(プレミックス I)。篩過して入れた構成成分をその後混合する(混合: 30 rpm / 30 分)。
次いで、10g のプレミックス I および 90g の賦形剤を、メッシュサイズ0.315mmの同じ手持ち式の篩を通して交互の層となるように適切な混合容器に入れる。賦形剤およびプレミックスIは8 〜10 層で加えられる(最終ミックス)。篩過して入れられた内容物はその後撹拌される(混合: 30 rpm / 30 分)。
【0055】
実施例 1に説明する方法に従って、または前記方法と同様に、以下の吸入用粉末を得ることができる:
実施例 2:
活性物質 = 実施例 6 0.6g
ラクトース一水和物: 99.4g
計: 100.0g
実施例 3:
活性物質 = 実施例 6 3.0g
ラクトース一水和物: 97.0g
計: 100.0g
実施例 4:
活性物質 = 実施例 9 0.6g
ラクトース一水和物: 99.4g
計: 100.0g
実施例 5:
活性物質 = 実施例 10 0.6g
ラクトース一水和物: 99.4g
計: 100.0g
【0056】
実施例 6:
活性物質 = 実施例 11 3.0g
ラクトース一水和物: 97.0g
計: 100.0g
実施例 7:
活性物質 = 実施例 13 0.6g
ラクトース一水和物: 99.4g
計: 100.0g
実施例 8:
活性物質 = 実施例 11 0.6g
ラクトース一水和物: 99.4g
計: 100.0g
実施例 9:
活性物質 = 実施例 10 3.0g
ラクトース一水和物: 97.0g
計: 100.0g
実施例 10:
活性物質 = 実施例 13 0.6g
ラクトース一水和物: 99.4g
計: 100.0g
【0057】
実施例 11:
活性物質 = 実施例 14 0.6g
ラクトース一水和物: 99.4g
計: 100.0g
実施例 12:
活性物質 = 実施例 14 3.0g
ラクトース一水和物: 97.0g
計: 100.0g
実施例 13:
活性物質 = 実施例 15 0.6g
ラクトース一水和物: 99.4g
計: 100.0g
実施例 14:
活性物質 = 実施例 8 0.6g
ラクトース一水和物: 99.4g
計: 100.0g
実施例 15:
活性物質 = 実施例 8 3.0g
ラクトース一水和物: 97.0g
計: 100.0g
【0058】
実施例 16:
活性物質 = 実施例 7 0.6g
ラクトース一水和物: 99.4g
計: 100.0g
実施例 17:
活性物質 = 実施例 6 0.6g
マンニトール: 99.4g
計: 100.0g
実施例 18:
活性物質 = 実施例 6 3.0g
マンニトール: 97.0g
計: 100.0g
実施例 19:
活性物質 = 実施例 9 0.6g
マンニトール 99.4g
計: 100.0g
実施例 20:
活性物質 = 実施例 10 0.6g
マンニトール: 99.4g
計: 100.0g
【0059】
実施例 21:
活性物質 = 実施例 11 3.0g
マンニトール: 97.0g
計: 100.0g
実施例 22:
活性物質 = 実施例 13 0.6g
マンニトール: 99.4g
計: 100.0g
実施例 23:
活性物質 = 実施例 11 0.6g
マンニトール: 99.4g
計: 100.0g
実施例 24:
活性物質 = 実施例 10 3.0g
マンニトール: 97.0g
計: 100.0g
実施例 25:
活性物質 = 実施例 13 0.6g
マンニトール: 99.4g
計: 100.0g
【0060】
実施例 26:
活性物質 = 実施例 14 0.6g
マンニトール: 99.4g
計: 100.0g
実施例 27:
活性物質 = 実施例 14 3.0g
マンニトール: 97.0g
計: 100.0g
実施例 28:
活性物質 = 実施例 15 0.6g
マンニトール: 99.4g
計: 100.0g
実施例 29:
活性物質 = 実施例 8 0.6g
マンニトール: 99.4g
計: 100.0g
実施例 30:
活性物質 = 実施例 8 3.0g
マンニトール: 97.0g
計: 100.0g
実施例 31:
活性物質 = 実施例 7 0.6g
マンニトール: 99.4g
計: 100.0g

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または2以上の鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物
【化1】

(式中、
R1 は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはハロゲンを表し;
R2 は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはハロゲンを表し;
R3 は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシ、ハロゲン、OH、-O-C1-C4-アルキレン-COOH または -O-C1-C4-アルキレン-COO-C1-C4-アルキルを表し;
R4 は、水素、C1-C4-アルキル、C1-C4-アルコキシまたはハロゲンを表す)
を含む吸入用粉末であって、前記化合物は医薬的に許容されるその酸付加塩、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい前記吸入用粉末。
【請求項2】
式中、
R1 は、水素またはハロゲンを表し;
R2 は、水素またはハロゲンを表し;
R3 は、水素、C1-C4-アルコキシまたはハロゲンを表し;
R4 は、水素またはハロゲンを表す、
1または2以上の鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を含む請求項1記載の吸入用粉末であって、前記化合物は医薬的に許容されるその酸付加塩、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい前記吸入用粉末。
【請求項3】
式中、
R1 は、水素、フッ素または塩素、好ましくは水素またはフッ素を表し;
R2 は、水素、フッ素または塩素、好ましくは水素またはフッ素を表し;
R3 は、水素、メトキシ、エトキシ、フッ素または塩素、好ましくは水素、メトキシ、エトキシまたはフッ素を表し;
R4 は、水素、フッ素または塩素、好ましくは水素またはフッ素を表す、
1または2以上の鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を含む請求項1または2記載の吸入用粉末であって、前記化合物は医薬的に許容されるその酸付加塩、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい前記吸入用粉末。
【請求項4】
式中、
R1 は、水素またはフッ素を表し;
R2 は、水素を表し;
R3 は、メトキシ、エトキシまたはフッ素を表し;
R4 は、水素を表す、
1または2以上の鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を含む請求項1、2または3記載の吸入用粉末であって、前記化合物は医薬的に許容されるその酸付加塩、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい前記吸入用粉末。
【請求項5】
式中、
R1 は、水素を表し;
R2 は、水素、フッ素または塩素、好ましくは水素またはフッ素を表し;
R3 は、水素を表し;
R4 は、水素、フッ素または塩素、好ましくは水素またはフッ素を表す、
1または2以上の鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を含む請求項1、2または3記載の吸入用粉末であって、前記化合物は医薬的に許容されるその酸付加塩、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい前記吸入用粉末。
【請求項6】
1または2以上の鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物をその遊離塩基の形体で含む、請求項1から5のいずれか1項記載の吸入用粉末。
【請求項7】
1または2以上の鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を医薬的に許容されるその酸付加塩の形体で含む、請求項1から5のいずれか1項記載の吸入用粉末。
【請求項8】
1または2以上の鏡像異性的に純粋な一般式1の化合物を一般式1-HXのその酸付加塩の形体で含む、請求項1から5または7のいずれか1項記載の吸入用粉末であって、前記化合物はその互変異性体、互変異性体の混合物、水和物または溶媒和物の形体にあってもよく、さらには生理学的に許容される1または2以上の賦形剤と混合されていてもよい前記吸入用粉末。
【化2】

(式中、
X- は、一価の負電荷を持つ陰イオン、好ましくは、クロリド、ブロミド、ヨージド、スルファート、ホスファート、メタンスルホナート、ニトラート、マレアート、アセタート、ベンゾアート、シトラート、サリチラート、トリフルオロアセタート、フマラート、タルトラート、オキシラート、スクシナート、ベンゾアートおよび p-トルエンスルホナートからなる群より選択される一価の負電荷を持つ陰イオンを表し、かつ、
R1、R2、R3 および R4 の基は請求項1から5で与えられた意味を有し得る。)
【請求項9】
一般式1の化合物が、0.1μm〜10μmの固有の粒径 X50 および60%より高いQ(5.8)のパラメーターを有する、請求項1から8のいずれか1項記載の吸入用粉末。
【請求項10】
1または2以上の一般式1の化合物のみを含む、請求項1から9のいずれか1項記載の吸入用粉末。
【請求項11】
1または2以上の式1の化合物に加えて、少なくとも1つの生理学的に許容される賦形剤を含む、請求項1から9のいずれか1項記載の吸入用粉末。
【請求項12】
生理学的に許容される賦形剤が、単糖類、二糖類、オリゴ糖類および多糖類、ポリラクチド/グリコリド、多価アルコール、アミノ酸、キトサン、ステアリン酸のアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩、塩およびこれらの賦形剤の互いとの混合物からなる群より選択される、請求項11記載の吸入用粉末。
【請求項13】
生理学的に許容される賦形剤が、グルコース、フルクトース、アラビノース、ラクトース、サッカロース、マルトース、トレハロース、マルトデキストリン、デンプン、セルロース、レゾマー、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、塩酸アルギニン、ステアリン酸Mg、塩化ナトリウム、炭酸カルシウムおよびこれらの賦形剤の互いとの混合物を含む群より選択される、請求項12記載の吸入用粉末。
【請求項14】
1の化合物と生理学的に許容される賦形剤との比が5:100〜1:100000、好ましくは3:1000〜1:10000の範囲内にある、請求項1から13のいずれか1項記載の吸入用粉末。
【請求項15】
生理学的に許容される賦形剤が約17〜120μm、好ましくは約17〜90μmの平均粒径を有する、請求項1から13のいずれか1項記載の吸入用粉末。
【請求項16】
呼吸器疾患を治療するための医薬組成物を調製するための、請求項1から15のいずれか1項記載の吸入用粉末の使用。
【請求項17】
請求項1から15のいずれか1項記載の吸入用粉末を含む医薬製剤。

【公表番号】特表2007−537195(P2007−537195A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512080(P2007−512080)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005078
【国際公開番号】WO2005/110359
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】