説明

鏡面冷却式露点計

【課題】従来の鏡面冷却式露点計と比較して、装置全体の大幅な小型化を可能とする鏡面冷却式露点計を提供する。
【解決手段】LED12・PD13・ミラー7の間に、LED12から照射された光をミラー7に伝送し、ミラー表面7Aに照射した光の反射光を受光してPD14に伝送する光ファイバ14を配置し、更にミラー7に対して光を照射する光ファイバ14の端面を、光ファイバ14を経由して伝送された伝送光を反射してミラー表面7Aに至らせる傾斜状の反射面とし、この反射面によって伝送光の進行角度を変更する。これによって、例えば、直交するように伝送光が入射されるミラー7の反射面を、光ファイバ14と平行に位置させることができる。そして、光ファイバ14を斜めに配置することで2方向にスペース上の制約が生じていた従来の鏡面冷却式露点計と比較して、装置全体の大幅な小型化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーをペルチェ素子などの冷却手段を用いて冷却し、被測定気体に含まれる水蒸気をミラーの表面上に結露させることによって、該ミラーの表面の温度を被測定気体の露点温度として検出する鏡面冷却式露点計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、被測定気体の温度を低下させ、その被測定気体に含まれる水蒸気の一部を結露させたときの温度を測定することにより露点を検出する露点計が知られている。このような露点計では、ペルチェ効果による電子冷却器、冷凍機、ドライアイス、液体窒素などを使用し(JIS Z 8806)、結露面の温度を白金測温抵抗体などで測定する。また、結露したミラーの表面に、光ファイバで供給された光を照射し、そのときの結露面から反射光量または散乱光量を測定することで、ミラーの表面上の結露を検出する。
【0003】
そして、この種の技術として、特許文献1あるいは特許文献2が知られている。特許文献1に示される鏡面上状態検出装置、及び特許文献2に示される鏡面冷却式センサは、いずれも発光側の光ファイバと受光側の光ファイバとを同一のチューブ内に収容する構成であって、発光側の光ファイバから鏡面上に照射された光の反射光を、受光側の光ファイバを通じて結露検知部に送り、この結露検知部にて光量を測定するようにしている。
【特許文献1】特開2005−283510号公報
【特許文献2】特開2005−291889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1、2に記載された露点計では、ペルチェ素子と一体に配置された鏡に対して光を斜めから照射することから、発光側の光ファイバ及び受光側の光ファイバ共に、鏡面に対して傾斜状態に配置する必要があり、このために光ファイバの設置に際して、例えば縦方向及び横方向の2方向にスペースが必要となって、小型化する際の制約となっていた。
【0005】
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、光ファイバを鏡面に対して斜めに設置することなく、該鏡面への光の照射を行うことができ、これにより従来のように2方向にスペース上の制約が生じていた鏡面に対する光ファイバ設置の制約を解消することができ、装置全体の小型化を可能とする鏡面冷却式露点計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の鏡面冷却式露点計では、被測定気体が供給される空間内に配置されるミラーと、該ミラーを冷却する冷却手段と、前記ミラーの表面に対して光を照射する発光部と、前記発光部から照射された光が前記ミラーの表面で反射した反射光を受光する受光部と、前記ミラーの表面温度を検出する温度検出手段とを有し、冷却手段にて冷却した前記ミラーの表面上に被測定気体に含まれる水蒸気を結露させることによって、前記受光部での反射光量の変化を基に、前記ミラーの表面上の温度を被測定気体の露点温度として検出する鏡面冷却式露点計において、前記発光部、前記受光部、前記ミラーの間には、前記発光部から照射された光を前記ミラーに伝送し、該ミラーの表面に照射した光の反射光を受光して前記受光部に伝送する光ファイバが前記ミラーと平行に配置され、前記ミラーに対して光を照射する光ファイバの先端は、該光ファイバを経由して伝送された伝送光を反射して前記ミラーの表面に至らせる傾斜状の反射面に形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明の鏡面冷却式露点計によれば、発光部・受光部・ミラーの間に、発光部から照射された光をミラーに伝送し、ミラーの表面に照射した光の反射光を受光して受光部に伝送する光ファイバをミラーに平行に配置し、更にミラーに対して光を照射する光ファイバの先端を、該光ファイバを経由して伝送された伝送光を反射してミラーの表面に至らせる傾斜状の反射面としたので、この反射面によって、ミラーを照射する伝送光の進行角度を変更することができる。例えば、反射面の角度を45度に設定することで、伝送光を90度進路変更させることができ、これによって直交するように伝送光が入射されるミラーの表面(反射面)を、光ファイバと平行に位置させることができ、その結果、ミラーと光ファイバの間隔を短くでき、その間隔方向に対して装置が大型化することがない。
すなわち、本発明の鏡面冷却式露点計では、ミラーと光ファイバとを平行配置できることから、光ファイバを斜めに配置することで2方向にスペース上の制約が生じていた従来の鏡面冷却式露点計と比較して、装置全体の大幅な小型化が可能となる。
【0008】
本発明の鏡面冷却式露点計では、被測定気体が供給される空間内に配置されるミラーと、該ミラーを冷却する冷却手段と、前記ミラーの表面に対して光を照射する発光部と、前記発光部から照射された光が前記ミラーの表面で反射した反射光を受光する受光部と、前記ミラーの表面温度を検出する温度検出手段とを有し、冷却手段にて冷却した前記ミラーの表面上に被測定気体に含まれる水蒸気を結露させることによって、前記受光部での反射光量の変化を基に、前記ミラーの表面上の温度を被測定気体の露点温度として検出する鏡面冷却式露点計において、前記発光部、前記受光部、前記ミラーの間には、前記発光部から照射された光を前記ミラーに伝送し、該ミラーの表面に照射した光の反射光を受光して前記受光部に伝送する光ファイバが配置され、前記ミラーに対して光を照射する光ファイバの先端には、該光ファイバを経由して伝送された伝送光を反射して前記ミラーの表面に至らせる傾斜状の反射面を有するプリズムが固定されていることを特徴とする
【0009】
本発明の鏡面冷却式露点計によれば、発光部・受光部・ミラーの間に、発光部から照射された光をミラーに伝送し、ミラーの表面に照射した光の反射光を受光して受光部に伝送する光ファイバが配置され、更にミラーに対して光を照射する光ファイバの端面に、該光ファイバを経由して伝送された伝送光を反射してミラーの表面に至らせるように傾斜状の反射面を有するプリズムが固定されていることから、この反射面によって、ミラーを照射する伝送光の進行角度を変更することができる。例えば、反射面の角度を45度に設定することで、伝送光を90度進路変更させることができ、これによって直交するように伝送光が入射されるミラーの反射面を、光ファイバと平行に位置させることができその結果、ミラーと光ファイバの間隔を短くでき、その間隔方向に対して装置が大型化することがない。すなわち、本発明の鏡面冷却式露点計では、ミラーと光ファイバと平行配置することができることから、従来のように2方向にスペース上の制約が生じていた鏡面に対する光ファイバ設置の制約を解消することができ、装置全体の小型化が可能となる。
【0010】
本発明の鏡面冷却式露点計は、発光部から照射された光を前記ミラーに伝送し、該ミラーの表面で照射した光の反射光を受光して前記受光部に伝送する光ファイバが1本単芯であり、該光ファイバには、該光ファイバを通じて伝送された前記ミラーの表面での反射光を分離して受光部に送る光分離手段が設けられていることが好ましい。
この場合、従来のように発光側の光ファイバと、受光側の光ファイバという2本の光ファイバを使用することなく、1本単芯の光ファイバによって、ミラーの表面に照射する光と、ミラーの表面の反射光とを双方向に伝送ことができ、その結果、光ファイバの曲げ半径が大きくならず、光ファイバを引き回す際の制約が小さくなって、高い自由度で構成部材を配置することができる。
【0011】
本発明の鏡面冷却式露点計は、前記光ファイバの先端の反射面は全反射するようにその傾斜角度が設定されていることが好ましい。
この場合、反射面で光が減衰することがなく、ミラーの表面で効率良く光を反射させることができる。
【0012】
本発明の鏡面冷却式露点計は、前記光ファイバの先端の反射面の該光ファイバの軸線に対する傾斜角度が45度に設定され、かつ該反射面によって反射した光ファイバの伝送光が、前記ミラーの表面に入射する角度を90度に設定されていることが好ましい。
この場合、ミラーの表面が結露していないときは、該ミラー表面での反射光は光ファイバ端の反射面にそのまま戻り、また、ミラーの表面に結露が生じたときには、該ミラー表面での反射光は散乱光となり光ファイバ端の反射面に戻る光量が減衰することになる。そして、この反射光の減衰量に基づき、ミラー表面の結露を検出することが可能となる。
【0013】
本発明の鏡面冷却式露点計は、前記光ファイバの先端の反射面の該光ファイバの軸線に対する傾斜角度が45度に設定され、かつ該反射面によって反射した光ファイバの伝送光が、ミラーの表面に入射する角度を90度に近似する角度に設定されていることが好ましい。
この場合、ミラーの表面が結露していないときは、該ミラーの表面での反射光は光ファイバ端の反射面に戻らず、また、ミラーの表面に結露が生じたときには、該ミラーの表面での反射光は散乱光となりその一部が光ファイバ端の反射面に戻ることになる。そして、光ファイバ端に戻った反射光に基づき、ミラーの表面の結露を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の鏡面冷却式露点計によれば、ミラーと光ファイバとを平行配置できることから、光ファイバを斜めに配置することで2方向にスペース上の制約が生じていた従来の鏡面冷却式露点計と比較して、装置全体の大幅な小型化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は本発明に係わる鏡面冷却式露点計1の構成図であって、全体として検出手段1A、発光・受光手段1B、制御手段1Cによって構成される。
【0016】
検出手段1Aは、測定気体の吸入口2A及び排出口2Bが形成されたケーシング2と、熱絶縁体3を介して該ケーシング2内に垂直に固定された冷却手段であるペルチェ素子4と、熱絶縁体3内の中空部3A内に垂直となるように配置されてその下部にペルチェ素子4の放熱面が固定されるとともにその上部がケーシング2の上方かつ外部に至る伝熱器5と、伝熱器5の上側部に固定されてペルチェ素子4で発生した熱を外部に放出する放熱器6と、ペルチェ素子4の表面に垂直に配置されたミラー7と、ミラー7上の表面7Aに設置された温度センサ8と、から構成されるものであって、ペルチェ素子4は、制御手段1C(後述する)によって冷却駆動される。また、温度センサ8の検出信号は、制御手段1Cに供給され、この制御手段1Cにて露点に達した際の温度が検出されるようになっている。
【0017】
発光・受光手段1Bは、ビームスプリッタ10を内部に配置した光カプラ11と、この光カプラ11の入力部11Aに配置された光源となる発光部のLED12と、光カプラ11の出力部11Bに配置された受光部となるPD13と、光カプラ11の入出力部11Cに配置された1本単芯の光ファイバ14と、LED12を駆動するLED駆動部15とを主な構成要素とする。光カプラ11内のビームスプリッタ10は、LED12から発光された光を透過させて入出力部11Cに接続された光ファイバ14に至らせる。また、光ファイバ14を通じて伝送されたミラー7の反射光(後述する)は、ビームスプリッタ10の反射面10Aで反射してPD13に送られる。
【0018】
光ファイバ14は、上端側(符号14Aで示す)が光カプラ11の入出力部11Cに接続され、下端側(符号14Bで示す)が検出手段1Aのケーシング2内のミラー7近傍に配置されたものであって、その下端側は、ファイバホルダー16に支持されることでケーシング2に保持される。また、この光ファイバ14と、ペルチェ素子4に固定されたミラー7とは垂直に配置され、かつ矢印(イ)−(ロ)方向で示される幅方向に対して間隔をおいて平行な位置関係に配置されている。
【0019】
また、光ファイバ14の下端側(先端側)14Bの端面は、図2に示されるように光ファイバ14のコア軸線(符号Mで示す)に対して傾斜するように設けられて、かつ該光ファイバ14を経由した伝送光を反射してミラー表面7Aに至らせる反射面17となっている。この反射面17は、研磨することにより伝送光が全反射するように加工されるものであって、本例では、光ファイバ14の軸線Mに対する反射面の傾斜角度は45度に設定されている。これにより光ファイバ14の伝送光を直進させずその伝送光の進行方向を90度転換することで、側方に該光ファイバ14と平行配置されたミラー7に対して、直交するようにその伝送光を入射させることができる。その後、ミラー7の表面7Aにて反射した反射光は、反射面17で再度反射された後、光ファイバ14を逆行して、光カプラ11内のビームスプリッタ10に伝送される。
【0020】
ここで、反射面17で反射した光ファイバ14の伝送光が、ミラー7の表面7Aに入射する角度は直角に設定されているために、ミラー表面7Aが結露していないときは、該ミラー表面7Aでの反射光は光ファイバ14にそのまま戻り、また、ミラー表面7Aに結露が生じたときには、該ミラー表面7Aでの反射光は散乱光となり、光ファイバ14端部の反射面17に戻る光量が減衰することになる。そして、この反射光の減衰量に基づき、ミラー表面7Aの結露が検出される。
【0021】
制御手段1Cは、増幅器20、基準データ記憶部21、比較器22、温度調整部23、演算部24を主な構成要素とするものである。増幅器20は、PD13で受光した光の検出信号を増幅する。基準データ記憶部21は、PD13で検出された光量が、ミラー7上で結露が生じたことを示す値となった否かの判断基準となる基準光量データを記憶する。比較器22では、増幅器20から供給された光の光量を示す検出データと、基準データ記憶部21の基準光量データとを比較し、ミラー7の表面7Aに結露が生じるように、温度調整部23に対してペルチェ素子4に供給する電流を調整する。演算部24は、比較器22での判定結果に基づき、結露が生じ始めたときの温度センサ8の検出温度を計算し、図示しない出力部から出力する。
【0022】
そして、上記鏡面冷却式露点計では以下のような作用が奏される。まず、LED12で発光された光はカプラ11内のビームスプリッタ10を透過した後、光ファイバ14を通じて検出手段1Aのケーシング2内に伝送される。ケーシング2内に至った伝送光は、光ファイバ14の反射面17で反射してその進行方向が90度変更された後、側方に該光ファイバ14と平行配置されたミラー7に対して、直交するように入射される。その後、ミラー7の表面7Aにて反射した反射光は、反射面17で再度反射された後、光ファイバ14を逆行するように伝送され、光カプラ11内のビームスプリッタ10を経由してPD13に至る。
【0023】
PD13で検出された光の光量を示す検出信号は、増幅器20で増幅された後、比較器22に供給される。比較器22では、PD13で検出された光量を、基準データ記憶部21に記憶されている基準光量データと比較し、例えば検出光量が基準光量データを下回っているか否かにより、ミラー表面7Aで結露が生じているか否かを判定する。すなわち、比較器22では、ミラー表面7A上で散乱光が発生して受光量が基準光量データを下回って減少した場合に、ミラー表面7Aに結露が生じていると判定する。そして、この判定結果を常時取り込むことで、ミラー表面7Aに結露が生じるように、温度調整部23に対してペルチェ素子4への供給電流を調整させる。また、比較器22の判定結果は演算部24にも供給され、この演算部24において、結露が生じ始めたときの温度センサ8の検出温度を計算した後、図示しない表示部に出力する。
【0024】
以上詳細に説明したように本実施形態に示される鏡面冷却式露点計では、LED12・PD14・ミラー7の間に、LED12から照射された光をミラー7に伝送し、ミラー表面7Aに照射した光の反射光を受光してPD14に伝送する光ファイバ14を配置し、更にミラー7に対して光を照射する光ファイバ14の端面を、該光ファイバ14の伝送光を反射してミラー表面7Aに至らせる傾斜状の反射面17としたので、この反射面17によって伝送光の進行角度を変更することができる。例えば、反射面17の角度を45度に設定することで、伝送光を90度進路変更させることができ、これによって直交するように伝送光が入射されるミラー7の反射面17を、光ファイバ14と平行に位置させることができ、その結果、ミラー7と光ファイバ14の間隔(矢印(イ)−(ロ)方向に沿う間隔)を短くでき、同方向に対して装置が大型化することがない。すなわち、本実施形態の鏡面冷却式露点計では、ミラー7、ペルチェ素子4と光ファイバ14とを平行配置することができることから、光ファイバ14を斜めに配置することで2方向にスペース上の制約が生じていた従来の鏡面冷却式露点計と比較して、装置全体の大幅な小型化が可能となる。
また、ケーシング2、ペルチェ素子4やミラー7等の検出手段1Aの小型軽量化が図れることから、その部分の共振周波数を高く設定することができ、振動の影響を受けにくくすることができる利点も得られる。
【0025】
また、本実施形態に示される鏡面冷却式露点計では、光ファイバ14の軸線Mに対する反射面17の傾斜角度を45度に設定し、かつ該反射面17によって反射した光ファイバ14の伝送光が、ミラー表面7Aに入射する角度を90度に設定したことから、ミラー表面7Aが結露していないときは、該ミラー表面7Aでの反射光は光ファイバ14端の反射面17にそのまま戻り、また、ミラー表面7Aに結露が生じたときには、該ミラー表面7Aでの反射光は散乱光となり光ファイバ14端の反射面17に戻る光量が減衰することになる。そして、この反射光の減衰量に基づき、制御手段1Cの比較器22にてミラー表面7Aの結露を検出することが可能となる。
【0026】
また、本実施形態に示される鏡面冷却式露点計では、LED12から照射された光をミラー7に伝送し、ミラー表面7Aで照射した光の反射光を受光してPD14に伝送する光ファイバ14は1本単芯であり、該光ファイバ14には、該光ファイバ14を通じて伝送されたミラー表面7Aでの反射光を分離してPD14に送るビームスプリッタ10が設けられていることから、従来のように発光側の光ファイバと、受光側の光ファイバという2本の光ファイバを使用することなく、1本単芯の光ファイバ14によって、ミラー表面7Aに供給する入射光と、ミラー表面7Aで反射した反射光を双方向に送ることができ、その結果、光ファイバ14の曲げ半径が大きくならず、光ファイバ14を引き回す際の制約が小さくなって、高い自由度で構成部材を配置することができるとともに、図1に符号14Cで示すように光ファイバ14の余分な部分を丸く束ねることも可能となる。
【0027】
また、本実施形態に示される鏡面冷却式露点計では、反射面17が全反射するようにその傾斜角度が設定されていることから、この反射面17で、光ファイバ14を通じて供給された伝送光が反射して、光を減衰させずミラー表面7Aで効率良く光を反射させることができる。
【0028】
上記に示す実施形態の他の例として以下のような構成がある。すなわち、上記実施形態では、光ファイバ14の軸線Mに対する反射面17の傾斜角度を45度に設定し、かつ該反射面17によって反射した光ファイバ14の伝送光が、ミラー表面7Aに入射する角度を90度に設定しているが、これに限定されず、図3に示すように、光ファイバ14の軸線Mに対する反射面17の傾斜角度を45度に近似する角度(本例では43度)に設定し、かつ該反射面17によって反射した光ファイバ14の伝送光が、ミラー表面7Aに入射する角度を90度に近似する角度(同様に43度)に設定しても良い。そして、このような角度設定によって、ミラー表面7Aが結露していないときは、該ミラー表面7Aでの反射光は光ファイバ14端の反射面17に戻らず、また、ミラー表面7Aに結露が生じたときには、該ミラー表面7Aでの反射光は散乱光となりその一部が光ファイバ14端の反射面17に戻ることになる。そして、光ファイバ14端に戻った反射光に基づき、ミラー表面7Aの結露を検出することが可能となる。
【0029】
また、上記実施形態では、光ファイバ14の端面を軸線Mに対して45度に傾斜する反射面17としたが、これに限定されず、図4に示すように光ファイバ14の端面は軸線Mに対して90度とし、この光ファイバ14の端面に、該光ファイバ14を経由して伝送された伝送光を反射してミラー表面7Aに至らせる傾斜状の反射面30を有するプリズム31を固定しても良い。そして、このようなプリズム31の反射面30によって、ミラー7を照射する伝送光の進行角度を変更することができる。例えば、反射面30の角度を45度に設定することで、伝送光を90度進路変更させることができ、これによって直交するように伝送光が入射されるミラー7の反射面7Aを、光ファイバ14と平行に位置させることができ、その結果、ミラー7と光ファイバ14の間隔(矢印(イ)−(ロ)方向に沿う間隔)を短くでき、同方向に対して装置が大型化することがない。また、このように光ファイバ14の端部に反射面30を有するプリズム31を固定する方式では、プリズム31の交換によって様々な傾斜角度を持つ反射面30を得ることができる。例えば、反射面30の傾斜角度を、図3に示すような43度に容易に変更することもでき、反射の形態を種々設定することが可能となる。
【0030】
また、上記実施形態では、光ファイバ14の端面を軸線Mに対して45度に傾斜する反射面17としたが、その際、光ファイバ14の末端部を図5に示すように球状に形成しても良い。これにより反射面17の面積を大きくとることができ、レンズ効果によって信号光量が増加し、SN比を向上させることができる。
【0031】
また、上記実施形態では、ケーシング2の近傍に放熱器6を配置したが、これに限定されず、図6に示すように伝熱器5を上方に延長して、光カプラ11の近傍に放熱器6を配置しても良い。これにより放熱器6の熱をケーシング2から離れた箇所で拡散させることができ、露点測定に際して放熱器6の放熱の影響をより小さくすることができる。
また、光ファイバ14の先端の反射面をミラーコートすることで、ミラー表面への光量が増加し、もってSN比を向上させることができる。
また、光ファイバの側面に反射防止コート処理を行うことで、透過率を増加させ、ミラー表面7Aからの反射信号光を増加させることでSN比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係わる鏡面冷却式露点計の概略構成図
【図2】光ファイバの構造(1)を示すもので、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【図3】他の実施形態として挙げた光ファイバの構造(2)を示すもので、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【図4】他の実施形態として挙げた光ファイバの構造(3)を示すもので、(a)は正面図、(b)は下面図である。
【図5】他の実施形態として挙げた光ファイバの構造(4)を示すもので、(a)は正面図、(b)は下方側から見た斜視図である。
【図6】他の実施形態として挙げた鏡面冷却式露点計の概略構成図
【符号の説明】
【0033】
1A 検出手段
1B 発光・受光手段
1C 制御手段
4 ペルチェ素子(冷却手段)
7 ミラー
7A ミラー表面
8 温度センサ(温度検出手段)
10 ビームスプリッタ(光分離手段)
12 LED(発光部)
13 PD(受光部)
14 光ファイバ
17 反射面
30 反射面
31 プリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定気体が供給される空間内に配置されるミラーと、該ミラーを冷却する冷却手段と、前記ミラーの表面に対して光を照射する発光部と、前記発光部から照射された光が前記ミラーの表面で反射した反射光を受光する受光部と、前記ミラーの表面温度を検出する温度検出手段とを有し、冷却手段にて冷却した前記ミラーの表面上に被測定気体に含まれる水蒸気を結露させることによって、前記受光部での反射光量の変化を基に、前記ミラーの表面上の温度を被測定気体の露点温度として検出する鏡面冷却式露点計において、
前記発光部、前記受光部、前記ミラーの間には、前記発光部から照射された光を前記ミラーに伝送し、該ミラーの表面に照射した光の反射光を受光して前記受光部に伝送する光ファイバが配置され、
前記ミラーに対して光を照射する光ファイバの先端は、該光ファイバを経由して伝送された伝送光を反射して前記ミラーの表面に至らせる傾斜状の反射面に形成されていることを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項2】
被測定気体が供給される空間内に配置されるミラーと、該ミラーを冷却する冷却手段と、前記ミラーの表面に対して光を照射する発光部と、前記発光部から照射された光が前記ミラーの表面で反射した反射光を受光する受光部と、前記ミラーの表面温度を検出する温度検出手段とを有し、冷却手段にて冷却した前記ミラーの表面上に被測定気体に含まれる水蒸気を結露させることによって、前記受光部での反射光量の変化を基に、前記ミラーの表面上の温度を被測定気体の露点温度として検出する鏡面冷却式露点計において、
前記発光部、前記受光部、前記ミラーの間には、前記発光部から照射された光を前記ミラーに伝送し、該ミラーの表面に照射した光の反射光を受光して前記受光部に伝送する光ファイバが配置され、
前記ミラーに対して光を照射する光ファイバの先端には、該光ファイバを経由して伝送された伝送光を反射して前記ミラーの表面に至らせる傾斜状の反射面を有するプリズムが固定されていることを特徴とする鏡面冷却式露点計。
【請求項3】
発光部から照射された光を前記ミラーに伝送し、該ミラーの表面で照射した光の反射光を受光して前記受光部に伝送する光ファイバは1本単芯であり、該光ファイバには、該光ファイバを通じて伝送された前記ミラーの表面での反射光を分離して受光部に送る光分離手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鏡面冷却式露点計。
【請求項4】
前記光ファイバの先端の反射面は全反射するようにその傾斜角度が設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鏡面冷却式露点計。
【請求項5】
前記光ファイバの先端の反射面の該光ファイバの軸線に対する傾斜角度は45度に設定され、かつ該反射面によって反射した光ファイバの伝送光が、前記ミラーの表面に入射する角度は90度に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鏡面冷却式露点計。
【請求項6】
前記光ファイバの先端の反射面の該光ファイバの軸線に対する傾斜角度は45度に設定され、かつ該反射面によって反射した光ファイバの伝送光が、ミラーの表面に入射する角度は90度に近似する角度に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鏡面冷却式露点計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−139216(P2009−139216A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315751(P2007−315751)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】