長尺状導光部材、この長尺状導光部材を備える点灯システム、及び、この点灯システムを備える警報システム
【課題】 各計器間の連続感及び美観を損なわずに、運転者に強いインパクトを与えて、計器への注意を向けさせる発光が可能な長尺状導光部材、この長尺状導光部材を備える点灯システム、及び、この点灯システムを備える警報システムを提供する。
【解決手段】 この警報システム1の点灯指示を実行すると、車両の走行状態に応じてスピードメータ等の表示装置のフロントカバーに設けられた長尺状導光部材10a〜cが点灯する。具体的には、例えば、制限速度をオーバーするとスピードメータ90の長尺状導光部材10aが点灯して、車両の速度が制限速度をオーバーしていることを示す警告がなされる。従って、本実施形態の警報システム1を用いると、速度オーバーなどの警報を、運転者に強いインパクトを与えて警告することができる。
【解決手段】 この警報システム1の点灯指示を実行すると、車両の走行状態に応じてスピードメータ等の表示装置のフロントカバーに設けられた長尺状導光部材10a〜cが点灯する。具体的には、例えば、制限速度をオーバーするとスピードメータ90の長尺状導光部材10aが点灯して、車両の速度が制限速度をオーバーしていることを示す警告がなされる。従って、本実施形態の警報システム1を用いると、速度オーバーなどの警報を、運転者に強いインパクトを与えて警告することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計器の表示面を覆う透明あるいは半透明のフロントカバー上に配置されるとともに、この表示面の少なくとも一部を取り巻いて配置される長尺状導光部材、この長尺状導光部材を備える点灯システム、及び、この点灯システムを備える警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、計器の文字盤の周囲に導光リングを配置し、この導光リングに文字盤の裏側から光を当てて、文字盤の周囲で発光が行われるよう構成された計器がある(特許文献1)。
【0003】
この計器を用いると、運転者は、導光リングの発光を頼りに計器の文字盤の位置をすばやく認識することができるので、計器が示すスピード等の計測値をすばやく認識することができる。
【特許文献1】特開平9−287980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した計器には、導光リングの位置が運転者の顔の位置から遠いために運転者に与えるインパクトが少ない、という問題がある。
このようにインパクトが少ないと、せっかく計器の文字盤の周囲を光らせても、計器に対する運転者の注意が薄らぐので、いくら計測値をすばやく認識できても、運転者は計測値を見逃してしまうことが予測される。
【0005】
そこで、計器の文字盤を覆っている透明なフロントカバー上で上述した発光を行えば、運転者に強いインパクトを与えることができる、と考えられる。
ところが、このような発光を、文字盤の裏側にある光源からの光を用いて行おうとすると、この光をフロントカバーまで導くため、円筒状の導光部材を文字盤からのフロントカバーまで延出して設けねばならなかった。
【0006】
このようにすると、通常スピードメータとタコメータなどの計器は、文字盤が同一平面上に並べて配置されているので、これら各計器の文字盤が隣同士にあって見やすい、という各計器間の連続感が失われてしまうという問題があった。
【0007】
一方、このような各計器間の連続感が失われることを防止するため、運転者がこのフロントカバー越しに計器を見たときに計器の文字盤を囲うフロントカバー上の所定の位置に、透明なリング状のEL(Electro-Luminescence)を設置し、このELを発光させることも考えられる。
【0008】
しかし、この場合、ELに電力を送る配線についてもフロントカバー上に設けねばならないので、計器の美観を損ねるという問題があった。
他方、このような各計器間の連続感が失われることを防止するため、フロントカバー上にリング状の虚像を投影することも考えられるが、フロントカバーが透明であるため、この虚像を投影するための投影光がフロントカバーを通過してしまい、フロントカバー上に虚像が表示され難い、という問題があった。
【0009】
そこで本発明では、隣り合って設置されている計器その他の表示装置に対して設けても各表示装置間の上述したような連続感を損なわず、また、表示装置の美観を損なわずに、運転者に強いインパクトを与えて、表示装置への注意を向けさせる発光が可能な長尺状導光部材、この長尺状導光部材を備える点灯システム、及び、この点灯システムを備える警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した問題を解決するためになされた発明である請求項1に記載の長尺状導光部材は、表示装置の表示面を覆う透明あるいは半透明のフロントカバー上に配置されるとともに、フロントカバー越しに表示装置の表示面を見たとき、表示装置の表示面の少なくとも一部を取り巻く位置に配置される。
【0011】
そして、この長尺状導光部材は、この取り巻き方向の一端に、レーザー光を受光する受光面が形成され、受光面から入射したレーザー光を取り巻き方向に沿って散乱させながら取り巻き方向の他端側に導く透明あるいは半透明な導光材料で形成されている。
【0012】
この長尺状導光部材を上記のようにフロントカバー上に設置し、受光面にレーザー光を当てれば、取り巻き方向の一端側から他端側にレーザー光が散乱されながら導かれ、このレーザー光の散乱によって長尺状導光部材全体が発光する。
【0013】
すると、このように長尺状導光部材が発光した表示装置をフロントカバー越しに見ると、表示装置の表示面の少なくとも一部を取り巻く位置で発光が行われ、しかもこの発光はフロントカバー上で行われる。
【0014】
つまり、この長尺状導光部材を用いれば、表示面の背面側からフロントカバーに光を導く部材を設けたり、発光用の電力をフロントカバー上に配線することなく、フロントカバー上での発光を行わせることができるのである。
【0015】
従って、この長尺状導光部材を用いれば、隣り合って設置されている計器その他の表示装置に対して本発明の長尺状導光部材を設けても各表示装置間の連続感を損なわず、また、表示装置の美観を損なわずに、運転者に強いインパクトを与えて、表示装置への注意を向けさせる発光を行うことができる。
【0016】
尚、表示装置としては、スピードメータ、タコメータ等の計器、ナビゲーション装置や時計、その他、表示装置の表示面を覆う透明なカバーを備えるものであればどのようなものでもよい。
【0017】
ところで、レーザー光は、指向性が強い光なので、単に長尺状導光部材内を通過させても十分な散乱による発光がなされないことも考えられる。
そのため、請求項2に記載したように、長尺状導光部材に散乱反射面を形成し、受光面から入射したレーザー光を散乱するとともに、長手方向の他端側に向かって反射するようにすることが好ましい。
【0018】
このようにすると、受光したレーザー光が導光材料内を通過する際に散乱される前段階で一定の散乱が行われるので、レーザー光が導光材料内を通過するときに、発光と認識できる十分な散乱が行われる。
【0019】
従って、この長尺状導光部材を用いると、運転者に強いインパクトを与えて、表示装置への注意を向けさせる十分な発光を行うことができる。
次に、上述した長尺状導光部材を用いた点灯システムについて説明する。
【0020】
請求項3はこの点灯システムの発明であり、請求項1〜3のいずれかに記載された長尺状導光部材と、長尺状導光部材の受光面に向けてレーザー光を照射するレーザー光照射装置とを備えたものである。
【0021】
この点灯システムのレーザー光照射装置からレーザー光を発射すれば、運転者に強いインパクトを与えて、長尺状導光部材を設置した表示装置への注意を向けさせる発光を行うことができる。
【0022】
次に、複数の表示装置のそれぞれに長尺状導光部材を設置して、各長尺状導光部材を発光させるには、請求項4に記載の点灯システムのように、レーザー光照射装置を、各長尺状導光部材の受光面に向けてレーザー光を順次照射するよう構成すればよい。
【0023】
このようにすれば、一つのレーザー光照射装置を用いて複数の長尺状導光部材を発光させることができるので、複数の表示装置のぞれぞれについて長尺状導光部材を用いて運転者に強いインパクトを与えて、各表示装置への注意を向けさせる発光を行うことができる。
【0024】
ところで、上述した長尺状導光部材を用いると、運転者に強いインパクトを与えて、計器への注意を向けさせる発光を行うことができるので、この性質を利用すると、例えば表示装置がスピードメータだとした場合、長尺状導光部材の点灯によって、スピードオーバー等、表示装置に対応した有効な警告を行うことができる。
【0025】
そこで、請求項5では、スピードオーバーなど予め定められた点灯条件を満たすか否かを判定する判定手段を備え、レーザー光照射装置は、この判定手段により点灯条件を満たすと判定された表示装置に対応する長尺状導光部材の受光面に向けてレーザー光を照射させるよう構成すればよい。
【0026】
このようにすれば、判定手段が点灯条件を満たすと判定すると、その点灯条件を満たした表示装置に対応する長尺状導光部材が警告を示す発光をするので、各表示装置に対応した有効な警報、例えば、表示装置がスピードメータである場合、速度オーバーなどの警報を、運転者に強いインパクトを与えて警告することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。
ここで、図1は、本実施形態の警報システムで用いられる長尺状導光部材を備える計器の正面図である。図2は、図1のA−A’断面図である。図3は、図2中の一点鎖線で囲んだ部分αの長尺状導光部材の拡大図である。
1.長尺状導光部材10
本実施形態の車両は、図1に示すように、スピードメータ90やタコメータ91を備えており、これら各メータ90,91は、それぞれの文字盤のスピードや回転数が表示された表示面が同一面上で左右に並ぶように配置されている。
【0028】
また、本実施形態の車両は、後述するナビゲーション装置92(図4参照)をも備えている。
このうち、スピードメータ90やタコメータ91の各文字盤は、これら文字盤の表示面を合わせて覆うことができる大きさの一枚の透明なプラスチック製のフロントカバーで覆われ、ナビゲーション装置92の案内用の地図等を表示するモニタの表示画面(本発明の表示面に相当)も透明なフロントカバーで覆われている。
【0029】
本実施形態の警報システム1で用いられる長尺状導光部材10は、これら表示装置90〜92のフロントカバー上に取り付けて用いられるものである。
以下では、この長尺状導光部材10について、スピードメータ90に取り付けられたものを、代表例として詳細に説明する。
【0030】
車両9に備えられたスピードメータ90は、図2に示すように、文字盤901を備え、フロントカバー902は、この文字盤901のうちスピード値が表示された表示面901aを覆う位置に配置されている。
【0031】
本実施形態の長尺状導光部材10は、このように構成されたスピードメータ90のフロントカバー902上に取り付けられるが、具体的には、図1に示すように、このフロントカバー902越しに表示面901aを見たとき、この表示面901aの下方側に表記されたスピードの単位が示されたスペース(km/hの表示がある部分)を除いた表示面901aの周囲を取り巻く位置に取り付けられている。
【0032】
一方、この長尺状導光部材10には、スピードメータ90の表示面901aを取り巻く長手方向の一端に、レーザー光を受光する受光面11が、車内側に面するように形成されている。
【0033】
また、この長尺状導光部材10は、透明なプラスチック製の導光材料で形成されているが、この導光材料内には、図3に示すように、透明なプラスチック製の散乱材12が混入されている。
【0034】
さらに、この長尺状導光部材10には、受光面11から入射したレーザー光を、長手方向の他端側に向かって反射する傾斜を有し、反射するレーザー光を散乱する凹凸を有する散乱反射面13が形成されている。
【0035】
そのため、このように形成された長尺状導光部材10の受光面11にレーザー光を当てると、図3中の符号βを付した点線で囲った部分のように、受光面11から入射したレーザー光が、散乱反射面13で散乱されるとともに、長手方向の他端側に向かって反射される。
【0036】
そして、この散乱反射面13で反射されたレーザー光は、長尺状導光部材10の外周表面部分で反射を繰り返しながら、長手方向の他端側に導かれるとともに、その反射の際に一部の光が外部に出て、長尺状導光部材10を発光させる。
【0037】
また、この長尺状導光部材10は、導光材料内に透明なプラスチック製の散乱材12が混入されているので、図3中の符号γを付した点線で囲った部分のように、長手方向の一旦から他端側に向かってレーザー光が導かれる際、レーザー光が散乱材12に当たって散乱され、その一部が長尺状導光部材10の外部に出て、長尺状導光部材10を発光させる。
【0038】
そのため、このように形成された長尺状導光部材10の受光面11にレーザー光を当てれば、長手方向の一端側から他端側にレーザー光が散乱されながら導かれ、このレーザー光の散乱によって長尺状導光部材10全体が発光するのである。
【0039】
以上説明した長尺状導光部材10の受光面11にレーザー光を当てると、フロントカバー902上で発光が行われるとともに、スピードメータ90をフロントカバー902越しに見たとき、スピードメータ90の表示面901aの少なくとも一部を取り巻く位置フロントカバー902上で発光が行われる。
2.警報システム1
次に、上述した長尺状導光部材10を用いた警報システム1について説明する。
【0040】
ここで、図4は、警報システム1の内部構成を示すブロック図である。
図5は、車両の左側側面図で、警報システム1が配置された前方側の車両室内が見えるように、車両室内の前方側の一部を透過させて示している透過模式図である。
【0041】
図6は、車両室内において、車両室内の前面部分を後方側から見た模式図である。
本実施形態の警報システム1は、図4に示すように、レーザー光発生装置2と、車速センサ3と、エンジン回転センサ4と、ナビゲーション装置92と、スピードメータ90に取り付けられた長尺状導光部材10aと、タコメータ91に取り付けられた長尺状導光部材10bと、ナビゲーション装置92に取り付けられた長尺状導光部材10cとを備えている。
【0042】
このうちレーザー光発生装置2は、図5及び図6に示すように、車両室内の天井面のうち、車両9のインパネに設置されたスピードメータ90やタコメータ91、ナビゲーション装置92にレーザー光を照射しやすい位置に取り付けられている。
【0043】
このレーザー光発生装置2は、図4に示すように、中央制御装置20と、メモリ21と、レーザー光発射装置22と、配光装置23とを備えている。
このうち中央制御装置20は、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータ装置からなり、各装置21〜23と通信して、後述する点灯指示処理、点灯処理を実行する。
【0044】
メモリ21は、後述する点灯指示処理や点灯処理で用いられる、各長尺状導光部材10a〜10cの点灯を指示する情報や、各長尺状導光部材10a〜10cの受光面11a〜11cにレーザー光を発射する発射角度等に関する情報を記憶する記憶装置である。
【0045】
レーザー光発射装置22は、中央制御装置20からの指示を受けてレーザー光を配光装置23に向かって発射する装置である。
配光装置23は、メモリ21に記憶された発射角度に関する情報に基づいて、図4及び図6に示すように、レーザー光発射装置22から発射されたレーザー光を、各長尺状導光部材10a〜10cの受光面11a〜11cに向けて配光する装置である。この配光装置23については詳細な構造を後述する。
【0046】
次に、車速センサ3及びエンジン回転センサ4は、車両9に取り付けられているセンサであり、車両9の車速やエンジンの回転数を検出して、この検出した情報をレーザー光発射装置22の中央制御装置20に出力するものである。
【0047】
ナビゲーション装置92は、案内用の地図をモニタに表示して道案内を行うものであり、本実施形態では、経路案内のポイントとなる位置に接近したら、レーザー光発射装置22の中央制御装置20に、この接近を示す情報を出力する。具体的には、このナビゲーション装置92は、曲がり角や目的地に接近したら、これらの接近を示す情報を、レーザー光発射装置22の中央制御装置20に出力する。
【0048】
また、このナビゲーション装置92は、GPS装置及び地図情報から、後述する点灯指示処理を実行するとき、車両9が現在走行している道路の制限速度に関する情報を出力する。
【0049】
スピードメータ90に取り付けられた長尺状導光部材10aは、前述したように、スピードメータ90を構成するフロントカバー902上に設置され、フロントカバー902越しにスピードメータ90の表示面901aを見たとき、表示面901aを取り巻く位置に配置されている。
【0050】
タコメータ91に取り付けられた長尺状導光部材10bもスピードメータ90と同様、タコメータ91を構成するフロントカバー902上に設置され、フロントカバー902越しにタコメータ91の表示面911aを見たとき、表示面911aを取り巻く位置に配置されている。
【0051】
ナビゲーション装置92に取り付けられた長尺状導光部材10cは、スピードメータ90とタコメータ91と同様、モニタの表示画面921aを覆う図示しないフロントカバー上に設置され、このフロントカバー越しにモニタの表示画面921aを見たとき、表示画面921aの一部(表示面の下辺部分を除く部分)を取り巻く位置に配置されている。
3.配光装置及び配光方法
次に、配光装置及び配光方法について説明する。
【0052】
ここで図7は、配光装置のブロック図で、(a)は平面図、(b)は(a)の矢印Aの方向から見た図である。
また、図8(a)〜(c)は、この配光装置を用いたレーザー光の配光方法を説明するための模式図である。
【0053】
このうち図8(a)は、配光装置23を構成する三面鏡23aと、レーザー光発射装置22と、インパネ上に設置された長尺状導光部材10a〜10cを示した図で、長尺状導光部材10aの受光面11aにレーザー光を配光する様子を示している。
【0054】
図8(b)は、長尺状導光部材10bの受光面11bにレーザー光を配光する様子を示し、図8(c)は、長尺状導光部材10cの受光面11cにレーザー光を配光する様子を示している。
【0055】
本実施形態の配光装置23は、図7に示すように、三面鏡23aと、モータ23bと、角度センサ23cとを備えている。
このうち三面鏡23aは、中心軸230aに垂直な断面が正三角形状に形成された三角柱からなり、中心軸230aに垂直な2つの側面を除く、中心軸230aの3つの周囲側面が鏡面加工されたものである。
【0056】
モータ23bと三面鏡23aとは、モータ23bの回転軸23dと、三面鏡23aの中心軸230aとが同一直線上に並列に並ぶように、回転軸23dを介して接続されている。そのため、モータ23bを駆動すると、三面鏡23aが中心軸230aを中心に回転する。
【0057】
また、角度センサ23cは、回転軸23dに取り付けられ、回転軸23dの回転角度を検出することにより、三面鏡23aの角度を検出する。
そして、このように構成された配光装置23に対し、三面鏡23aのいずれかの周囲側面である鏡面A〜Cがレーザー光発射装置22に対向するように配置されている。
【0058】
次に、この配光装置23を用いた配光方法について説明する。
本実施形態では、図8(a)に示すように、角度センサ23cで検出される三面鏡23aの回転角度が0°のとき、三面鏡23aの鏡面Aがスピードメータ90の長尺状導光部材10aの受光面11aに向けて、レーザー光発射装置22から発射されたレーザー光が反射するよう調整されている。
【0059】
また、本実施形態では、図8(b)に示すように、角度センサ23cで検出される三面鏡23aの回転角度が115°のとき、三面鏡23aの鏡面Bがタコメータ91の長尺状導光部材10bの受光面11bに向けて、レーザー光発射装置22から発射されたレーザー光が反射するよう調整されている。
【0060】
さらに、本実施形態では、図8(c)に示すように、角度センサ23cで検出される三面鏡23aの回転角度が245°のとき、三面鏡23aの鏡面Cがナビゲーション装置92の長尺状導光部材10cの受光面11cに向けて、レーザー光発射装置22から発射されたレーザー光が反射するよう調整されている。
【0061】
そのため、本実施形態では、モータ23bを回転させ、角度センサ23cで検出した三面鏡23aの回転角度が、0°、115°、245°のとき、レーザー光発射装置22からレーザー光を発射すると、各長尺状導光部材10a〜10cに向けてレーザー光が反射されて、各長尺状導光部材10a〜10cを発光させることができる。
【0062】
また、上述した配光装置23を用いて各長尺状導光部材10a〜10cを発光させるとき、モータ23bの回転数が遅いと点滅するが、本実施形態では、各長尺状導光部材10a〜10cを発光させるとき、この点滅を人間の目で識別できない速度(50回転/秒)で回転させている。そのため、本実施形態では、この配光装置23を用いることで、各長尺状導光部材10a〜10cの全てを点滅していることが分からないように同時に発光させることができる。
4.警報処理
次に、本実施形態の警報システム1の中央制御装置20で実行される警報処理について説明する。
【0063】
ここで、図9及び図10はいずれも、レーザー光発生装置2の中央制御装置20で実行される警報処理のフローチャートで、このうち図9は、点灯する長尺状導光部材を指示する点灯指示処理、図10は、点灯指示に従って、長尺状導光部材を点灯する点灯処理のフローチャートである。
4.1.点灯指示処理
先に、点灯指示処理について説明する。
【0064】
この点灯指示処理は、いずれの長尺状導光部材10a〜cを点灯させるかをレーザー光発生装置2に指示する処理であり、車両9のアクセサリー電源がONにされている間、実行され、S10からS22までのステップからなる処理である。
【0065】
この点灯指示処理が開始されると、まずS10において、レーザー光発生装置2に設置された図示しない電源スイッチがONされているか否かが判定される。
この判定(S10)で、電源スイッチがONされていないと判定されたら(S10:NO)、このS10以下のステップの処理は実行されず、S10の判定を繰り返して待機する処理が実行される。一方、この判定(S10)で、電源スイッチがONされていると判定されたら(S10:YES)、次に、S12の処理が実行される。
【0066】
S12では、車速センサ3から入力される車速情報と、ナビゲーション装置92から入力される、車両9が現在走行している道路の制限速度に関する情報とから、車両9の速度が制限速度をオーバーしているか否かが判定される。
【0067】
この判定(S12)で、車両の速度が制限速度をオーバーしていると判定されたら(S12:YES)、S13の処理が実行され、一方、この判定(S12)で、車両の速度が制限速度をオーバーしていないと判定されたら(S12:NO)、S14の処理が実行される。
【0068】
S13では、スピードメータ90の長尺状導光部材10aの点灯を指示する点灯指示情報として、「0°」を示す角度情報をメモリ21に記憶する処理が実行され、一方、S14では、メモリ21にスピードメータ90の点灯指示情報が記憶されていたら、これを消去する処理が実行される。そして、次にS16が実行される。
【0069】
S16では、エンジン回転センサ4から入力されるエンジンの回転数情報に基づいて、エンジンの回転数が、予め定められた危険回転数(いわゆるレッドゾーンの回転数)になっているか否かが判定される。
【0070】
この判定(S16)で、エンジンの回転数がレッドゾーンに達していたら(S16:YES)、S17の処理が実行され、一方、この判定(S16)で、レッドゾーンに達していなかったら(S16:NO)、S18の処理が実行される。
【0071】
S17では、タコメータ91の長尺状導光部材10bの点灯を指示する点灯指示情報として、「115°」を示す角度情報をメモリ21に記憶する処理が実行され、一方、S18では、メモリ21にタコメータ91の点灯指示情報が記憶されていたら、これを消去する処理が実行される。そして、次にS20が実行される。
【0072】
S20では、ナビゲーション装置92から、曲がり角や目的地など、走行に注意すべき注意地点が近づいていることを示す経路案内上の注意情報が入力されたか否かが判定される。
【0073】
この判定(S20)で、注意情報が入力されていると判定されたら(S20:YES)、S21の処理が実行され、一方、この判定(S20)で、入力されていないと判定されたら(S20:NO)、S22の処理が実行される。
【0074】
S21では、ナビゲーション装置92の長尺状導光部材10cの点灯を指示する点灯指示情報として、「245°」を示す角度情報をメモリ21に記憶する処理が実行され、一方、S22では、メモリ21にナビゲーション装置92の点灯指示情報が記憶されていたら、これを消去する処理が実行される。
【0075】
そして、これらS21、S22の処理が終了すると、再びS10の処理が実行される。
以上説明した点灯指示処理を車両走行中に繰り返すことで、制限速度をオーバーしていないか、エンジンの回転数が上がりすぎていないか、経路案内上の注意地点が近づいていないかなど、時間の経過によって変化する車両の走行状態に対応して変化する長尺状導光部材10a〜10cの点灯指示情報がメモリ21に記憶されることとなる。
4.2.点灯処理
次に、点灯処理について説明する。
【0076】
この点灯処理は、上述した点灯指示処理に従って、各長尺状導光部材10a〜10cを点灯させる処理であり、車両9のアクセサリー電源がONにされている間実行され、S30からS44までのステップからなる処理である。
【0077】
この点灯処理が開始されると、まずS30において、レーザー光発生装置2に設置された図示しない電源スイッチがONされているか否かが判定される。
この判定(S30)で、電源スイッチがONされていないと判定されたら(S30:NO)、このS30以下のステップの処理は実行されず、S30の判定を繰り返して待機する処理が実行される。一方、この判定(S30)で、電源スイッチがONされていると判定されたら(S30:YES)、次に、S32の処理が実行される。
【0078】
S32では、上述した点灯指示処理により点灯指示情報がメモリ21に記憶されているか否かが判定される。
この判定(S32)で、点灯指示情報がメモリ21に記憶されていないと判定されたら(S32:NO)、このS32以下のステップの処理は実行されず、再びS30の処理が実行される。一方、この判定(S32)で、電源スイッチがONされていると判定されたら(S32:YES)、次に、S34の処理が実行される。
【0079】
すなわち、S34以下の処理は、電源スイッチがONされ(S30:YES)、かつ、点灯指示情報がメモリ21に記憶されていたら(S32:YES)、実行される。
S34では、配光装置23のモータ23bの駆動を開始する処理が実行される。このS34が実行されると、上述したようにモータ23bは、三面鏡23aが50回転/秒で回転するよう駆動を開始する。
【0080】
このS34の処理によりモータ23bの駆動が開始されると、角度センサ23cから三面鏡23aの回転角度に関する回転角度情報の入力が開始される。
S36では、角度センサ23cから入力される回転角度情報、及び、メモリ21に記憶された点灯指示情報である角度情報0°、115°、245°のいずれかに一致するか否かが判定される。
【0081】
この判定(S36)で、回転角度情報が点灯指示情報に一致していないと判定されたら(S36:NO)、一致するまで待機する処理が実行される。一方、この判定(S36)で、一致すると判定されたら(S36:YES)、次に、S38の処理が実行される。
【0082】
S38では、レーザー光発射装置22から、レーザー光を所定時間(例えば0.0001秒間)発射する処理が実行される。
このS38が実行されると、配光装置23により、回転角度情報が一致するとされた点灯指示情報に対応する角度方向にレーザー光が配光される。すなわち、点灯指示情報が示す回転角度が0°ならば、スピードメータ90の長尺状導光部材10aの受光面11a、回転角度が115°ならば、タコメータ91の長尺状導光部材10bの受光面11b、
点灯指示情報が示す回転角度が245°ならば、ナビゲーション装置92の長尺状導光部材10cの受光面11cにレーザー光が配光される。
【0083】
このS38の処理が終了すると、次にS40の処理が実行される。
S40では、この点灯処理と並行して実行されている点灯指示処理で、S14,S18,S22により、メモリ21に記憶されたすべての点灯指示情報が消去されたか否かが判定される。
【0084】
この判定(S40)で、点灯指示情報がメモリ21に記憶されていないと判定されたら(S40:YES)、このS44の処理が実行され、一方、この判定(S40)で、点灯指示情報がメモリ21に記憶されていると判定されたら(S40:NO)、S42の処理が実行される。
【0085】
S42では、レーザー光発生装置2に設置された図示しない電源スイッチがOFFされているか否かが判定される。
この判定(S42)で、電源スイッチがOFFされていないと判定されたら(S42:NO)、再びS36以下の処理が実行され、一方、この判定(S42)で、電源スイッチがOFFされていると判定されたら(S42:YES)、次に、S44の処理が実行される。
【0086】
S44では、角度センサ23cから入力された角度情報に基づいて、三面鏡23aの回転角度が0°になったらモータ23bを停止する処理が実行される。
そして、このS44の処理が終了したら、再びS30の処理が実行される。
【0087】
この点灯処理では、S30及びS32でスイッチがONされ、あるいは、メモリに点灯指示情報が記憶されていると判定されると、S40及びS42でスイッチがOFFされ、あるいは、メモリ21から点灯指示情報が消去されたと判定されるまで、S36〜S38の処理が繰り返され、この点灯処理と並行して実行されている点灯指示処理により変化するメモリ21に記憶された点灯指示情報に従って、各長尺状導光部材10a〜10cのいずれかあるいは全部が点灯されることとなる。
【0088】
つまり、点灯指示処理により、スピードメータ90の点灯指示情報が記憶されていれば、スピードメータ90が点灯し、タコメータ91の点灯指示情報が記憶されていれば、タコメータ91が点灯し、ナビゲーション装置92の点灯指示情報が記憶されていれば、ナビゲーション装置92が点灯する。
【0089】
また、点灯指示処理により、スピードメータ90とタコメータ91の点灯指示情報が記憶されていれば、スピードメータ90とタコメータ91が点灯し、タコメータ91とナビゲーション装置92の点灯指示情報が記憶されていれば、タコメータ91とナビゲーション装置92が点灯し、ナビゲーション装置92とスピードメータ90の点灯指示情報が記憶されていれば、ナビゲーション装置92とスピードメータ90が点灯する。
【0090】
さらに、点灯指示処理により、スピードメータ90、タコメータ91、ナビゲーション装置92すべての点灯指示情報が記憶されていれば、スピードメータ90、タコメータ91、ナビゲーション装置92のすべてが点灯する。
【0091】
また、本実施形態の警報システム1では、メモリ21に記憶される点灯指示情報は、車両の走行状態に対応して変化する。一方、本実施形態では、点灯指示処理と点灯処理とを平行して実行し、点灯処理では、メモリ21に点灯指示情報が一旦記憶されれば、この点灯指示情報が変更されても、点灯指示情報が消去されるまで実行されるので、本実施形態の警報システム1では、車両の走行状態に対応して点灯する長尺状導光部材10a〜10cが変更されることとなる。
【0092】
従って、本実施形態の警報システム1を用いると、例えば、制限速度をオーバーするとスピードメータが点灯して、車両の速度が制限速度をオーバーしていることを示す警告がなされ、エンジンの回転数が上がるとタコメータが点灯して、エンジンの回転数が上がりすぎていることを示す警告がなされるなど、車両9の走行状態に対応して警告のため点灯する長尺状導光部材10a〜10cを自在に変更することができる。
5.実施形態に係る警報システム1の特徴
本実施形態の警報システム1では、各表示装置90〜92のフロントカバー上に長尺状導光部材10a〜10cなどを設け、各表示装置90〜92に対応した有効な警報、例えば、表示装置90〜92がスピードメータ90である場合、速度オーバーなどの警報を、運転者に強いインパクトを与えて警告することができる。
6.実施形態と発明特定事項との対応関係
本実施形態のスピードメータ90、タコメータ91、ナビゲーション装置92は、本発明の表示装置に相当する。
【0093】
本実施形態のS12,S16,S20の処理が、本発明の判定手段に相当する。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、スピードメータ90のフロントカバーとして透明なものを用いたが、スピードメータ90の文字盤のスピードが表示された表示面が運転者から見えるものであれば、半透明のフロントカバーを用いてもよい。
【0094】
上記実施形態では、長尺状導光部材10aを用いて、スピードメータ90等の一部を取り巻いるが、全部を取り巻くように配置してもよいことはもちろんである。
上記実施形態では、長尺状導光部材10a〜10cとして、透明な導光材料を用いて形成したが、半透明な導光材料を用いて形成してもよい。
【0095】
上記実施形態では、S12,S16,S20で点灯指示情報がメモリ21に記憶された長尺状導光部材10a〜10cのみ点灯させたが、これらを運転者の操作によって点灯指示をすることが可能なスイッチを設け、このスイッチの操作があったものについても点灯させてもよい。
【0096】
上記実施形態では、隣り合うスピードメータ90とタコメータ91とをそれぞれ長尺状導光部材10a、10bで囲っていたが、例えば、図11に示すように、隣り合うスピードメータ90とタコメータ91を両方囲うように、長尺状導光部材10dを配置してもよい。
【0097】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施形態の警報システムで用いられる長尺状導光部材を備える計器の正面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】図2中の一点鎖線で囲んだ部分Aの拡大図である。
【図4】警報システム1の内部構成を示すブロック図である。
【図5】車両の左側側面図で、警報システム1が配置された前方側の車両室内が見えるように、車両室内の前方側の一部を透過させて示している透過模式図である。
【図6】車両室内において、車両室内の前面部分を後方側から見た模式図である。
【図7】配光装置のブロック図である。
【図8】配光装置を用いたレーザー光の配光方法を説明するための模式図である。
【図9】レーザー光発生装置2の中央制御装置20で実行される警報処理のフローチャートで、点灯する長尺状導光部材を指示する点灯指示処理である。
【図10】レーザー光発生装置2の中央制御装置20で実行される警報処理のフローチャートで、点灯指示に従って、長尺状導光部材を点灯する点灯処理のフローチャートである。
【図11】本実施形態の他の実施形態を示す図で、長尺状導光部材10dを備える計器(スピードメータ90、タコメータ91)の正面図である。
【符号の説明】
【0099】
1…警報システム、2…レーザー光発生装置、3…車速センサ、4…エンジン回転センサ、9…車両、10(10a〜10d)…長尺状導光部材、11(11a〜11c)…受光面、12…散乱材、13…散乱反射面、20…中央制御装置、21…メモリ、22…レーザー光発射装置、23…配光装置、23a…三面鏡、23b…モータ、23c…角度センサ、23d…回転軸、90…スピードメータ、91…タコメータ、92…ナビゲーション装置、230a…中心軸、901…文字盤、901a…表示面、902…フロントカバー、911a…表示面、921a…表示画面
【技術分野】
【0001】
本発明は、計器の表示面を覆う透明あるいは半透明のフロントカバー上に配置されるとともに、この表示面の少なくとも一部を取り巻いて配置される長尺状導光部材、この長尺状導光部材を備える点灯システム、及び、この点灯システムを備える警報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、計器の文字盤の周囲に導光リングを配置し、この導光リングに文字盤の裏側から光を当てて、文字盤の周囲で発光が行われるよう構成された計器がある(特許文献1)。
【0003】
この計器を用いると、運転者は、導光リングの発光を頼りに計器の文字盤の位置をすばやく認識することができるので、計器が示すスピード等の計測値をすばやく認識することができる。
【特許文献1】特開平9−287980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した計器には、導光リングの位置が運転者の顔の位置から遠いために運転者に与えるインパクトが少ない、という問題がある。
このようにインパクトが少ないと、せっかく計器の文字盤の周囲を光らせても、計器に対する運転者の注意が薄らぐので、いくら計測値をすばやく認識できても、運転者は計測値を見逃してしまうことが予測される。
【0005】
そこで、計器の文字盤を覆っている透明なフロントカバー上で上述した発光を行えば、運転者に強いインパクトを与えることができる、と考えられる。
ところが、このような発光を、文字盤の裏側にある光源からの光を用いて行おうとすると、この光をフロントカバーまで導くため、円筒状の導光部材を文字盤からのフロントカバーまで延出して設けねばならなかった。
【0006】
このようにすると、通常スピードメータとタコメータなどの計器は、文字盤が同一平面上に並べて配置されているので、これら各計器の文字盤が隣同士にあって見やすい、という各計器間の連続感が失われてしまうという問題があった。
【0007】
一方、このような各計器間の連続感が失われることを防止するため、運転者がこのフロントカバー越しに計器を見たときに計器の文字盤を囲うフロントカバー上の所定の位置に、透明なリング状のEL(Electro-Luminescence)を設置し、このELを発光させることも考えられる。
【0008】
しかし、この場合、ELに電力を送る配線についてもフロントカバー上に設けねばならないので、計器の美観を損ねるという問題があった。
他方、このような各計器間の連続感が失われることを防止するため、フロントカバー上にリング状の虚像を投影することも考えられるが、フロントカバーが透明であるため、この虚像を投影するための投影光がフロントカバーを通過してしまい、フロントカバー上に虚像が表示され難い、という問題があった。
【0009】
そこで本発明では、隣り合って設置されている計器その他の表示装置に対して設けても各表示装置間の上述したような連続感を損なわず、また、表示装置の美観を損なわずに、運転者に強いインパクトを与えて、表示装置への注意を向けさせる発光が可能な長尺状導光部材、この長尺状導光部材を備える点灯システム、及び、この点灯システムを備える警報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した問題を解決するためになされた発明である請求項1に記載の長尺状導光部材は、表示装置の表示面を覆う透明あるいは半透明のフロントカバー上に配置されるとともに、フロントカバー越しに表示装置の表示面を見たとき、表示装置の表示面の少なくとも一部を取り巻く位置に配置される。
【0011】
そして、この長尺状導光部材は、この取り巻き方向の一端に、レーザー光を受光する受光面が形成され、受光面から入射したレーザー光を取り巻き方向に沿って散乱させながら取り巻き方向の他端側に導く透明あるいは半透明な導光材料で形成されている。
【0012】
この長尺状導光部材を上記のようにフロントカバー上に設置し、受光面にレーザー光を当てれば、取り巻き方向の一端側から他端側にレーザー光が散乱されながら導かれ、このレーザー光の散乱によって長尺状導光部材全体が発光する。
【0013】
すると、このように長尺状導光部材が発光した表示装置をフロントカバー越しに見ると、表示装置の表示面の少なくとも一部を取り巻く位置で発光が行われ、しかもこの発光はフロントカバー上で行われる。
【0014】
つまり、この長尺状導光部材を用いれば、表示面の背面側からフロントカバーに光を導く部材を設けたり、発光用の電力をフロントカバー上に配線することなく、フロントカバー上での発光を行わせることができるのである。
【0015】
従って、この長尺状導光部材を用いれば、隣り合って設置されている計器その他の表示装置に対して本発明の長尺状導光部材を設けても各表示装置間の連続感を損なわず、また、表示装置の美観を損なわずに、運転者に強いインパクトを与えて、表示装置への注意を向けさせる発光を行うことができる。
【0016】
尚、表示装置としては、スピードメータ、タコメータ等の計器、ナビゲーション装置や時計、その他、表示装置の表示面を覆う透明なカバーを備えるものであればどのようなものでもよい。
【0017】
ところで、レーザー光は、指向性が強い光なので、単に長尺状導光部材内を通過させても十分な散乱による発光がなされないことも考えられる。
そのため、請求項2に記載したように、長尺状導光部材に散乱反射面を形成し、受光面から入射したレーザー光を散乱するとともに、長手方向の他端側に向かって反射するようにすることが好ましい。
【0018】
このようにすると、受光したレーザー光が導光材料内を通過する際に散乱される前段階で一定の散乱が行われるので、レーザー光が導光材料内を通過するときに、発光と認識できる十分な散乱が行われる。
【0019】
従って、この長尺状導光部材を用いると、運転者に強いインパクトを与えて、表示装置への注意を向けさせる十分な発光を行うことができる。
次に、上述した長尺状導光部材を用いた点灯システムについて説明する。
【0020】
請求項3はこの点灯システムの発明であり、請求項1〜3のいずれかに記載された長尺状導光部材と、長尺状導光部材の受光面に向けてレーザー光を照射するレーザー光照射装置とを備えたものである。
【0021】
この点灯システムのレーザー光照射装置からレーザー光を発射すれば、運転者に強いインパクトを与えて、長尺状導光部材を設置した表示装置への注意を向けさせる発光を行うことができる。
【0022】
次に、複数の表示装置のそれぞれに長尺状導光部材を設置して、各長尺状導光部材を発光させるには、請求項4に記載の点灯システムのように、レーザー光照射装置を、各長尺状導光部材の受光面に向けてレーザー光を順次照射するよう構成すればよい。
【0023】
このようにすれば、一つのレーザー光照射装置を用いて複数の長尺状導光部材を発光させることができるので、複数の表示装置のぞれぞれについて長尺状導光部材を用いて運転者に強いインパクトを与えて、各表示装置への注意を向けさせる発光を行うことができる。
【0024】
ところで、上述した長尺状導光部材を用いると、運転者に強いインパクトを与えて、計器への注意を向けさせる発光を行うことができるので、この性質を利用すると、例えば表示装置がスピードメータだとした場合、長尺状導光部材の点灯によって、スピードオーバー等、表示装置に対応した有効な警告を行うことができる。
【0025】
そこで、請求項5では、スピードオーバーなど予め定められた点灯条件を満たすか否かを判定する判定手段を備え、レーザー光照射装置は、この判定手段により点灯条件を満たすと判定された表示装置に対応する長尺状導光部材の受光面に向けてレーザー光を照射させるよう構成すればよい。
【0026】
このようにすれば、判定手段が点灯条件を満たすと判定すると、その点灯条件を満たした表示装置に対応する長尺状導光部材が警告を示す発光をするので、各表示装置に対応した有効な警報、例えば、表示装置がスピードメータである場合、速度オーバーなどの警報を、運転者に強いインパクトを与えて警告することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。
ここで、図1は、本実施形態の警報システムで用いられる長尺状導光部材を備える計器の正面図である。図2は、図1のA−A’断面図である。図3は、図2中の一点鎖線で囲んだ部分αの長尺状導光部材の拡大図である。
1.長尺状導光部材10
本実施形態の車両は、図1に示すように、スピードメータ90やタコメータ91を備えており、これら各メータ90,91は、それぞれの文字盤のスピードや回転数が表示された表示面が同一面上で左右に並ぶように配置されている。
【0028】
また、本実施形態の車両は、後述するナビゲーション装置92(図4参照)をも備えている。
このうち、スピードメータ90やタコメータ91の各文字盤は、これら文字盤の表示面を合わせて覆うことができる大きさの一枚の透明なプラスチック製のフロントカバーで覆われ、ナビゲーション装置92の案内用の地図等を表示するモニタの表示画面(本発明の表示面に相当)も透明なフロントカバーで覆われている。
【0029】
本実施形態の警報システム1で用いられる長尺状導光部材10は、これら表示装置90〜92のフロントカバー上に取り付けて用いられるものである。
以下では、この長尺状導光部材10について、スピードメータ90に取り付けられたものを、代表例として詳細に説明する。
【0030】
車両9に備えられたスピードメータ90は、図2に示すように、文字盤901を備え、フロントカバー902は、この文字盤901のうちスピード値が表示された表示面901aを覆う位置に配置されている。
【0031】
本実施形態の長尺状導光部材10は、このように構成されたスピードメータ90のフロントカバー902上に取り付けられるが、具体的には、図1に示すように、このフロントカバー902越しに表示面901aを見たとき、この表示面901aの下方側に表記されたスピードの単位が示されたスペース(km/hの表示がある部分)を除いた表示面901aの周囲を取り巻く位置に取り付けられている。
【0032】
一方、この長尺状導光部材10には、スピードメータ90の表示面901aを取り巻く長手方向の一端に、レーザー光を受光する受光面11が、車内側に面するように形成されている。
【0033】
また、この長尺状導光部材10は、透明なプラスチック製の導光材料で形成されているが、この導光材料内には、図3に示すように、透明なプラスチック製の散乱材12が混入されている。
【0034】
さらに、この長尺状導光部材10には、受光面11から入射したレーザー光を、長手方向の他端側に向かって反射する傾斜を有し、反射するレーザー光を散乱する凹凸を有する散乱反射面13が形成されている。
【0035】
そのため、このように形成された長尺状導光部材10の受光面11にレーザー光を当てると、図3中の符号βを付した点線で囲った部分のように、受光面11から入射したレーザー光が、散乱反射面13で散乱されるとともに、長手方向の他端側に向かって反射される。
【0036】
そして、この散乱反射面13で反射されたレーザー光は、長尺状導光部材10の外周表面部分で反射を繰り返しながら、長手方向の他端側に導かれるとともに、その反射の際に一部の光が外部に出て、長尺状導光部材10を発光させる。
【0037】
また、この長尺状導光部材10は、導光材料内に透明なプラスチック製の散乱材12が混入されているので、図3中の符号γを付した点線で囲った部分のように、長手方向の一旦から他端側に向かってレーザー光が導かれる際、レーザー光が散乱材12に当たって散乱され、その一部が長尺状導光部材10の外部に出て、長尺状導光部材10を発光させる。
【0038】
そのため、このように形成された長尺状導光部材10の受光面11にレーザー光を当てれば、長手方向の一端側から他端側にレーザー光が散乱されながら導かれ、このレーザー光の散乱によって長尺状導光部材10全体が発光するのである。
【0039】
以上説明した長尺状導光部材10の受光面11にレーザー光を当てると、フロントカバー902上で発光が行われるとともに、スピードメータ90をフロントカバー902越しに見たとき、スピードメータ90の表示面901aの少なくとも一部を取り巻く位置フロントカバー902上で発光が行われる。
2.警報システム1
次に、上述した長尺状導光部材10を用いた警報システム1について説明する。
【0040】
ここで、図4は、警報システム1の内部構成を示すブロック図である。
図5は、車両の左側側面図で、警報システム1が配置された前方側の車両室内が見えるように、車両室内の前方側の一部を透過させて示している透過模式図である。
【0041】
図6は、車両室内において、車両室内の前面部分を後方側から見た模式図である。
本実施形態の警報システム1は、図4に示すように、レーザー光発生装置2と、車速センサ3と、エンジン回転センサ4と、ナビゲーション装置92と、スピードメータ90に取り付けられた長尺状導光部材10aと、タコメータ91に取り付けられた長尺状導光部材10bと、ナビゲーション装置92に取り付けられた長尺状導光部材10cとを備えている。
【0042】
このうちレーザー光発生装置2は、図5及び図6に示すように、車両室内の天井面のうち、車両9のインパネに設置されたスピードメータ90やタコメータ91、ナビゲーション装置92にレーザー光を照射しやすい位置に取り付けられている。
【0043】
このレーザー光発生装置2は、図4に示すように、中央制御装置20と、メモリ21と、レーザー光発射装置22と、配光装置23とを備えている。
このうち中央制御装置20は、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータ装置からなり、各装置21〜23と通信して、後述する点灯指示処理、点灯処理を実行する。
【0044】
メモリ21は、後述する点灯指示処理や点灯処理で用いられる、各長尺状導光部材10a〜10cの点灯を指示する情報や、各長尺状導光部材10a〜10cの受光面11a〜11cにレーザー光を発射する発射角度等に関する情報を記憶する記憶装置である。
【0045】
レーザー光発射装置22は、中央制御装置20からの指示を受けてレーザー光を配光装置23に向かって発射する装置である。
配光装置23は、メモリ21に記憶された発射角度に関する情報に基づいて、図4及び図6に示すように、レーザー光発射装置22から発射されたレーザー光を、各長尺状導光部材10a〜10cの受光面11a〜11cに向けて配光する装置である。この配光装置23については詳細な構造を後述する。
【0046】
次に、車速センサ3及びエンジン回転センサ4は、車両9に取り付けられているセンサであり、車両9の車速やエンジンの回転数を検出して、この検出した情報をレーザー光発射装置22の中央制御装置20に出力するものである。
【0047】
ナビゲーション装置92は、案内用の地図をモニタに表示して道案内を行うものであり、本実施形態では、経路案内のポイントとなる位置に接近したら、レーザー光発射装置22の中央制御装置20に、この接近を示す情報を出力する。具体的には、このナビゲーション装置92は、曲がり角や目的地に接近したら、これらの接近を示す情報を、レーザー光発射装置22の中央制御装置20に出力する。
【0048】
また、このナビゲーション装置92は、GPS装置及び地図情報から、後述する点灯指示処理を実行するとき、車両9が現在走行している道路の制限速度に関する情報を出力する。
【0049】
スピードメータ90に取り付けられた長尺状導光部材10aは、前述したように、スピードメータ90を構成するフロントカバー902上に設置され、フロントカバー902越しにスピードメータ90の表示面901aを見たとき、表示面901aを取り巻く位置に配置されている。
【0050】
タコメータ91に取り付けられた長尺状導光部材10bもスピードメータ90と同様、タコメータ91を構成するフロントカバー902上に設置され、フロントカバー902越しにタコメータ91の表示面911aを見たとき、表示面911aを取り巻く位置に配置されている。
【0051】
ナビゲーション装置92に取り付けられた長尺状導光部材10cは、スピードメータ90とタコメータ91と同様、モニタの表示画面921aを覆う図示しないフロントカバー上に設置され、このフロントカバー越しにモニタの表示画面921aを見たとき、表示画面921aの一部(表示面の下辺部分を除く部分)を取り巻く位置に配置されている。
3.配光装置及び配光方法
次に、配光装置及び配光方法について説明する。
【0052】
ここで図7は、配光装置のブロック図で、(a)は平面図、(b)は(a)の矢印Aの方向から見た図である。
また、図8(a)〜(c)は、この配光装置を用いたレーザー光の配光方法を説明するための模式図である。
【0053】
このうち図8(a)は、配光装置23を構成する三面鏡23aと、レーザー光発射装置22と、インパネ上に設置された長尺状導光部材10a〜10cを示した図で、長尺状導光部材10aの受光面11aにレーザー光を配光する様子を示している。
【0054】
図8(b)は、長尺状導光部材10bの受光面11bにレーザー光を配光する様子を示し、図8(c)は、長尺状導光部材10cの受光面11cにレーザー光を配光する様子を示している。
【0055】
本実施形態の配光装置23は、図7に示すように、三面鏡23aと、モータ23bと、角度センサ23cとを備えている。
このうち三面鏡23aは、中心軸230aに垂直な断面が正三角形状に形成された三角柱からなり、中心軸230aに垂直な2つの側面を除く、中心軸230aの3つの周囲側面が鏡面加工されたものである。
【0056】
モータ23bと三面鏡23aとは、モータ23bの回転軸23dと、三面鏡23aの中心軸230aとが同一直線上に並列に並ぶように、回転軸23dを介して接続されている。そのため、モータ23bを駆動すると、三面鏡23aが中心軸230aを中心に回転する。
【0057】
また、角度センサ23cは、回転軸23dに取り付けられ、回転軸23dの回転角度を検出することにより、三面鏡23aの角度を検出する。
そして、このように構成された配光装置23に対し、三面鏡23aのいずれかの周囲側面である鏡面A〜Cがレーザー光発射装置22に対向するように配置されている。
【0058】
次に、この配光装置23を用いた配光方法について説明する。
本実施形態では、図8(a)に示すように、角度センサ23cで検出される三面鏡23aの回転角度が0°のとき、三面鏡23aの鏡面Aがスピードメータ90の長尺状導光部材10aの受光面11aに向けて、レーザー光発射装置22から発射されたレーザー光が反射するよう調整されている。
【0059】
また、本実施形態では、図8(b)に示すように、角度センサ23cで検出される三面鏡23aの回転角度が115°のとき、三面鏡23aの鏡面Bがタコメータ91の長尺状導光部材10bの受光面11bに向けて、レーザー光発射装置22から発射されたレーザー光が反射するよう調整されている。
【0060】
さらに、本実施形態では、図8(c)に示すように、角度センサ23cで検出される三面鏡23aの回転角度が245°のとき、三面鏡23aの鏡面Cがナビゲーション装置92の長尺状導光部材10cの受光面11cに向けて、レーザー光発射装置22から発射されたレーザー光が反射するよう調整されている。
【0061】
そのため、本実施形態では、モータ23bを回転させ、角度センサ23cで検出した三面鏡23aの回転角度が、0°、115°、245°のとき、レーザー光発射装置22からレーザー光を発射すると、各長尺状導光部材10a〜10cに向けてレーザー光が反射されて、各長尺状導光部材10a〜10cを発光させることができる。
【0062】
また、上述した配光装置23を用いて各長尺状導光部材10a〜10cを発光させるとき、モータ23bの回転数が遅いと点滅するが、本実施形態では、各長尺状導光部材10a〜10cを発光させるとき、この点滅を人間の目で識別できない速度(50回転/秒)で回転させている。そのため、本実施形態では、この配光装置23を用いることで、各長尺状導光部材10a〜10cの全てを点滅していることが分からないように同時に発光させることができる。
4.警報処理
次に、本実施形態の警報システム1の中央制御装置20で実行される警報処理について説明する。
【0063】
ここで、図9及び図10はいずれも、レーザー光発生装置2の中央制御装置20で実行される警報処理のフローチャートで、このうち図9は、点灯する長尺状導光部材を指示する点灯指示処理、図10は、点灯指示に従って、長尺状導光部材を点灯する点灯処理のフローチャートである。
4.1.点灯指示処理
先に、点灯指示処理について説明する。
【0064】
この点灯指示処理は、いずれの長尺状導光部材10a〜cを点灯させるかをレーザー光発生装置2に指示する処理であり、車両9のアクセサリー電源がONにされている間、実行され、S10からS22までのステップからなる処理である。
【0065】
この点灯指示処理が開始されると、まずS10において、レーザー光発生装置2に設置された図示しない電源スイッチがONされているか否かが判定される。
この判定(S10)で、電源スイッチがONされていないと判定されたら(S10:NO)、このS10以下のステップの処理は実行されず、S10の判定を繰り返して待機する処理が実行される。一方、この判定(S10)で、電源スイッチがONされていると判定されたら(S10:YES)、次に、S12の処理が実行される。
【0066】
S12では、車速センサ3から入力される車速情報と、ナビゲーション装置92から入力される、車両9が現在走行している道路の制限速度に関する情報とから、車両9の速度が制限速度をオーバーしているか否かが判定される。
【0067】
この判定(S12)で、車両の速度が制限速度をオーバーしていると判定されたら(S12:YES)、S13の処理が実行され、一方、この判定(S12)で、車両の速度が制限速度をオーバーしていないと判定されたら(S12:NO)、S14の処理が実行される。
【0068】
S13では、スピードメータ90の長尺状導光部材10aの点灯を指示する点灯指示情報として、「0°」を示す角度情報をメモリ21に記憶する処理が実行され、一方、S14では、メモリ21にスピードメータ90の点灯指示情報が記憶されていたら、これを消去する処理が実行される。そして、次にS16が実行される。
【0069】
S16では、エンジン回転センサ4から入力されるエンジンの回転数情報に基づいて、エンジンの回転数が、予め定められた危険回転数(いわゆるレッドゾーンの回転数)になっているか否かが判定される。
【0070】
この判定(S16)で、エンジンの回転数がレッドゾーンに達していたら(S16:YES)、S17の処理が実行され、一方、この判定(S16)で、レッドゾーンに達していなかったら(S16:NO)、S18の処理が実行される。
【0071】
S17では、タコメータ91の長尺状導光部材10bの点灯を指示する点灯指示情報として、「115°」を示す角度情報をメモリ21に記憶する処理が実行され、一方、S18では、メモリ21にタコメータ91の点灯指示情報が記憶されていたら、これを消去する処理が実行される。そして、次にS20が実行される。
【0072】
S20では、ナビゲーション装置92から、曲がり角や目的地など、走行に注意すべき注意地点が近づいていることを示す経路案内上の注意情報が入力されたか否かが判定される。
【0073】
この判定(S20)で、注意情報が入力されていると判定されたら(S20:YES)、S21の処理が実行され、一方、この判定(S20)で、入力されていないと判定されたら(S20:NO)、S22の処理が実行される。
【0074】
S21では、ナビゲーション装置92の長尺状導光部材10cの点灯を指示する点灯指示情報として、「245°」を示す角度情報をメモリ21に記憶する処理が実行され、一方、S22では、メモリ21にナビゲーション装置92の点灯指示情報が記憶されていたら、これを消去する処理が実行される。
【0075】
そして、これらS21、S22の処理が終了すると、再びS10の処理が実行される。
以上説明した点灯指示処理を車両走行中に繰り返すことで、制限速度をオーバーしていないか、エンジンの回転数が上がりすぎていないか、経路案内上の注意地点が近づいていないかなど、時間の経過によって変化する車両の走行状態に対応して変化する長尺状導光部材10a〜10cの点灯指示情報がメモリ21に記憶されることとなる。
4.2.点灯処理
次に、点灯処理について説明する。
【0076】
この点灯処理は、上述した点灯指示処理に従って、各長尺状導光部材10a〜10cを点灯させる処理であり、車両9のアクセサリー電源がONにされている間実行され、S30からS44までのステップからなる処理である。
【0077】
この点灯処理が開始されると、まずS30において、レーザー光発生装置2に設置された図示しない電源スイッチがONされているか否かが判定される。
この判定(S30)で、電源スイッチがONされていないと判定されたら(S30:NO)、このS30以下のステップの処理は実行されず、S30の判定を繰り返して待機する処理が実行される。一方、この判定(S30)で、電源スイッチがONされていると判定されたら(S30:YES)、次に、S32の処理が実行される。
【0078】
S32では、上述した点灯指示処理により点灯指示情報がメモリ21に記憶されているか否かが判定される。
この判定(S32)で、点灯指示情報がメモリ21に記憶されていないと判定されたら(S32:NO)、このS32以下のステップの処理は実行されず、再びS30の処理が実行される。一方、この判定(S32)で、電源スイッチがONされていると判定されたら(S32:YES)、次に、S34の処理が実行される。
【0079】
すなわち、S34以下の処理は、電源スイッチがONされ(S30:YES)、かつ、点灯指示情報がメモリ21に記憶されていたら(S32:YES)、実行される。
S34では、配光装置23のモータ23bの駆動を開始する処理が実行される。このS34が実行されると、上述したようにモータ23bは、三面鏡23aが50回転/秒で回転するよう駆動を開始する。
【0080】
このS34の処理によりモータ23bの駆動が開始されると、角度センサ23cから三面鏡23aの回転角度に関する回転角度情報の入力が開始される。
S36では、角度センサ23cから入力される回転角度情報、及び、メモリ21に記憶された点灯指示情報である角度情報0°、115°、245°のいずれかに一致するか否かが判定される。
【0081】
この判定(S36)で、回転角度情報が点灯指示情報に一致していないと判定されたら(S36:NO)、一致するまで待機する処理が実行される。一方、この判定(S36)で、一致すると判定されたら(S36:YES)、次に、S38の処理が実行される。
【0082】
S38では、レーザー光発射装置22から、レーザー光を所定時間(例えば0.0001秒間)発射する処理が実行される。
このS38が実行されると、配光装置23により、回転角度情報が一致するとされた点灯指示情報に対応する角度方向にレーザー光が配光される。すなわち、点灯指示情報が示す回転角度が0°ならば、スピードメータ90の長尺状導光部材10aの受光面11a、回転角度が115°ならば、タコメータ91の長尺状導光部材10bの受光面11b、
点灯指示情報が示す回転角度が245°ならば、ナビゲーション装置92の長尺状導光部材10cの受光面11cにレーザー光が配光される。
【0083】
このS38の処理が終了すると、次にS40の処理が実行される。
S40では、この点灯処理と並行して実行されている点灯指示処理で、S14,S18,S22により、メモリ21に記憶されたすべての点灯指示情報が消去されたか否かが判定される。
【0084】
この判定(S40)で、点灯指示情報がメモリ21に記憶されていないと判定されたら(S40:YES)、このS44の処理が実行され、一方、この判定(S40)で、点灯指示情報がメモリ21に記憶されていると判定されたら(S40:NO)、S42の処理が実行される。
【0085】
S42では、レーザー光発生装置2に設置された図示しない電源スイッチがOFFされているか否かが判定される。
この判定(S42)で、電源スイッチがOFFされていないと判定されたら(S42:NO)、再びS36以下の処理が実行され、一方、この判定(S42)で、電源スイッチがOFFされていると判定されたら(S42:YES)、次に、S44の処理が実行される。
【0086】
S44では、角度センサ23cから入力された角度情報に基づいて、三面鏡23aの回転角度が0°になったらモータ23bを停止する処理が実行される。
そして、このS44の処理が終了したら、再びS30の処理が実行される。
【0087】
この点灯処理では、S30及びS32でスイッチがONされ、あるいは、メモリに点灯指示情報が記憶されていると判定されると、S40及びS42でスイッチがOFFされ、あるいは、メモリ21から点灯指示情報が消去されたと判定されるまで、S36〜S38の処理が繰り返され、この点灯処理と並行して実行されている点灯指示処理により変化するメモリ21に記憶された点灯指示情報に従って、各長尺状導光部材10a〜10cのいずれかあるいは全部が点灯されることとなる。
【0088】
つまり、点灯指示処理により、スピードメータ90の点灯指示情報が記憶されていれば、スピードメータ90が点灯し、タコメータ91の点灯指示情報が記憶されていれば、タコメータ91が点灯し、ナビゲーション装置92の点灯指示情報が記憶されていれば、ナビゲーション装置92が点灯する。
【0089】
また、点灯指示処理により、スピードメータ90とタコメータ91の点灯指示情報が記憶されていれば、スピードメータ90とタコメータ91が点灯し、タコメータ91とナビゲーション装置92の点灯指示情報が記憶されていれば、タコメータ91とナビゲーション装置92が点灯し、ナビゲーション装置92とスピードメータ90の点灯指示情報が記憶されていれば、ナビゲーション装置92とスピードメータ90が点灯する。
【0090】
さらに、点灯指示処理により、スピードメータ90、タコメータ91、ナビゲーション装置92すべての点灯指示情報が記憶されていれば、スピードメータ90、タコメータ91、ナビゲーション装置92のすべてが点灯する。
【0091】
また、本実施形態の警報システム1では、メモリ21に記憶される点灯指示情報は、車両の走行状態に対応して変化する。一方、本実施形態では、点灯指示処理と点灯処理とを平行して実行し、点灯処理では、メモリ21に点灯指示情報が一旦記憶されれば、この点灯指示情報が変更されても、点灯指示情報が消去されるまで実行されるので、本実施形態の警報システム1では、車両の走行状態に対応して点灯する長尺状導光部材10a〜10cが変更されることとなる。
【0092】
従って、本実施形態の警報システム1を用いると、例えば、制限速度をオーバーするとスピードメータが点灯して、車両の速度が制限速度をオーバーしていることを示す警告がなされ、エンジンの回転数が上がるとタコメータが点灯して、エンジンの回転数が上がりすぎていることを示す警告がなされるなど、車両9の走行状態に対応して警告のため点灯する長尺状導光部材10a〜10cを自在に変更することができる。
5.実施形態に係る警報システム1の特徴
本実施形態の警報システム1では、各表示装置90〜92のフロントカバー上に長尺状導光部材10a〜10cなどを設け、各表示装置90〜92に対応した有効な警報、例えば、表示装置90〜92がスピードメータ90である場合、速度オーバーなどの警報を、運転者に強いインパクトを与えて警告することができる。
6.実施形態と発明特定事項との対応関係
本実施形態のスピードメータ90、タコメータ91、ナビゲーション装置92は、本発明の表示装置に相当する。
【0093】
本実施形態のS12,S16,S20の処理が、本発明の判定手段に相当する。
(その他の実施形態)
上記実施形態では、スピードメータ90のフロントカバーとして透明なものを用いたが、スピードメータ90の文字盤のスピードが表示された表示面が運転者から見えるものであれば、半透明のフロントカバーを用いてもよい。
【0094】
上記実施形態では、長尺状導光部材10aを用いて、スピードメータ90等の一部を取り巻いるが、全部を取り巻くように配置してもよいことはもちろんである。
上記実施形態では、長尺状導光部材10a〜10cとして、透明な導光材料を用いて形成したが、半透明な導光材料を用いて形成してもよい。
【0095】
上記実施形態では、S12,S16,S20で点灯指示情報がメモリ21に記憶された長尺状導光部材10a〜10cのみ点灯させたが、これらを運転者の操作によって点灯指示をすることが可能なスイッチを設け、このスイッチの操作があったものについても点灯させてもよい。
【0096】
上記実施形態では、隣り合うスピードメータ90とタコメータ91とをそれぞれ長尺状導光部材10a、10bで囲っていたが、例えば、図11に示すように、隣り合うスピードメータ90とタコメータ91を両方囲うように、長尺状導光部材10dを配置してもよい。
【0097】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本実施形態の警報システムで用いられる長尺状導光部材を備える計器の正面図である。
【図2】図1のA−A’断面図である。
【図3】図2中の一点鎖線で囲んだ部分Aの拡大図である。
【図4】警報システム1の内部構成を示すブロック図である。
【図5】車両の左側側面図で、警報システム1が配置された前方側の車両室内が見えるように、車両室内の前方側の一部を透過させて示している透過模式図である。
【図6】車両室内において、車両室内の前面部分を後方側から見た模式図である。
【図7】配光装置のブロック図である。
【図8】配光装置を用いたレーザー光の配光方法を説明するための模式図である。
【図9】レーザー光発生装置2の中央制御装置20で実行される警報処理のフローチャートで、点灯する長尺状導光部材を指示する点灯指示処理である。
【図10】レーザー光発生装置2の中央制御装置20で実行される警報処理のフローチャートで、点灯指示に従って、長尺状導光部材を点灯する点灯処理のフローチャートである。
【図11】本実施形態の他の実施形態を示す図で、長尺状導光部材10dを備える計器(スピードメータ90、タコメータ91)の正面図である。
【符号の説明】
【0099】
1…警報システム、2…レーザー光発生装置、3…車速センサ、4…エンジン回転センサ、9…車両、10(10a〜10d)…長尺状導光部材、11(11a〜11c)…受光面、12…散乱材、13…散乱反射面、20…中央制御装置、21…メモリ、22…レーザー光発射装置、23…配光装置、23a…三面鏡、23b…モータ、23c…角度センサ、23d…回転軸、90…スピードメータ、91…タコメータ、92…ナビゲーション装置、230a…中心軸、901…文字盤、901a…表示面、902…フロントカバー、911a…表示面、921a…表示画面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示面を覆う透明あるいは半透明のフロントカバー上に配置されるとともに、前記フロントカバー越しに前記表示装置の表示面を見たとき、前記表示装置の表示面の少なくとも一部を取り巻いて配置され、
前記表示面を取り巻く長手方向の一端に、レーザー光を受光する受光面が形成され、
前記受光面から入射した前記レーザー光を前記長手方向に沿って散乱させながら前記長手方向の他端側に導く透明あるいは半透明な導光材料で形成されたことを特徴とする長尺状導光部材。
【請求項2】
請求項1に記載の長尺状導光部材において、
前記受光面から入射した前記レーザー光を散乱させるとともに、前記長手方向の他端側に向かって反射する散乱反射面が形成されたことを特徴とする長尺状導光部材。
【請求項3】
請求項1,2のいずれかに記載された長尺状導光部材と、
前記長尺状導光部材の前記受光面に向けて前記レーザー光を照射するレーザー光照射装置と、
を備える点灯システム。
【請求項4】
請求項3記載の点灯システムであって、
複数の前記長尺状導光部材を備え、
前記レーザー光照射装置は、
前記各長尺状導光部材の前記受光面に向けて前記レーザー光を順次照射することを特徴とする点灯システム。
【請求項5】
請求項3,4のいずれかに記載の点灯システムを備える警報システムであって、
前記長尺状導光部材を点灯させる予め定められた点灯条件を満たすか否かを判定する判定手段を備え、
前記レーザー光発射装置は、
前記判定手段により前記点灯条件を満たすと判定された前記長尺状導光部材の前記受光面に向けて前記レーザー光を照射することを特徴とする警報システム。
【請求項1】
表示装置の表示面を覆う透明あるいは半透明のフロントカバー上に配置されるとともに、前記フロントカバー越しに前記表示装置の表示面を見たとき、前記表示装置の表示面の少なくとも一部を取り巻いて配置され、
前記表示面を取り巻く長手方向の一端に、レーザー光を受光する受光面が形成され、
前記受光面から入射した前記レーザー光を前記長手方向に沿って散乱させながら前記長手方向の他端側に導く透明あるいは半透明な導光材料で形成されたことを特徴とする長尺状導光部材。
【請求項2】
請求項1に記載の長尺状導光部材において、
前記受光面から入射した前記レーザー光を散乱させるとともに、前記長手方向の他端側に向かって反射する散乱反射面が形成されたことを特徴とする長尺状導光部材。
【請求項3】
請求項1,2のいずれかに記載された長尺状導光部材と、
前記長尺状導光部材の前記受光面に向けて前記レーザー光を照射するレーザー光照射装置と、
を備える点灯システム。
【請求項4】
請求項3記載の点灯システムであって、
複数の前記長尺状導光部材を備え、
前記レーザー光照射装置は、
前記各長尺状導光部材の前記受光面に向けて前記レーザー光を順次照射することを特徴とする点灯システム。
【請求項5】
請求項3,4のいずれかに記載の点灯システムを備える警報システムであって、
前記長尺状導光部材を点灯させる予め定められた点灯条件を満たすか否かを判定する判定手段を備え、
前記レーザー光発射装置は、
前記判定手段により前記点灯条件を満たすと判定された前記長尺状導光部材の前記受光面に向けて前記レーザー光を照射することを特徴とする警報システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−262583(P2009−262583A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110584(P2008−110584)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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