説明

長鎖ヒドロキシ酸、二酸、及びそのオリゴマー及びポリマーの製造方法

リシノール酸類似体、及び前記リシノール酸類似体を含むオリゴマー及びポリマーの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(本発明の背景)
1. 技術分野
本発明は、長鎖α,ω-ヒドロキシ酸及び二酸、及び前記化合物を含むオリゴマー及びポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2. 従来技術
微生物及びそれらの酵素は、様々な生成物の製造の生体触媒として長く利用されている。近年、酵素使用に従うと通常認識されていない商業活動において、微生物及びそれらの酵素の使用への関心が高まっている。
【0003】
脂肪族ポリエステル類は、乳酸及び脂肪酸誘導材料などの容易に再生可能な基礎単位から合成できる、一群の生分解性ポリマーである。脂肪族ポリエステル類は、脂肪族ジカルボン酸とジオールとの間の重縮合反応、ジエステルとジオールとのエステル交換反応、ヒドロキシ酸の重合、及びラクトンの開環重合を介して合成することができる。結果として生じる生成物は、例えば徐放性薬物担体、インプラント及び縫合糸などの産業及び生医学的用途において用いることができる。さらに、鎖に沿って又はペンダント基内に官能基を有するポリエステル類は、これらの基をポリマー材料特性の調整に用いることができるので、高い関心を呼んでいる。さらにまた、官能性ポリマーは、様々な生物活性基を結合することによって後修飾することができ、ドラッグデリバリーシステムに使用する生体適合材料、及び組織工学のための足場材料として使用する生体適合材料の製造を可能する。
【0004】
化学的及び酵素的アプローチの両方が、官能性ポリエステル類を合成するために調査されている。化学的合成方法は、多くの場合、過酷な反応条件、及び重合後の除去が困難である金属触媒を必要とする。鎖に沿った又はペンダント基内への官能基の導入は、化学的触媒の選択性の欠如、及び関連する過酷な反応条件のため、化学的方法によっては困難である。
【0005】
リシノール酸からのポリエステル類、オリゴマー及びポリマーは、制御ドラッグデリバリーシステムを含む、多くの用途のために非常に価値があることが証明されている。しかしながら、高純度リシノール酸は、天然混合物からのその精製の困難性のために高価となり得る。現在、よりコストが低いα,ω-ジカルボン酸は、ほぼ例外なく、化学変換プロセスによって製造される。再生不可能な石油化学原料油からのα,ω-ジカルボン酸の化学的製造方法は、通常、多数の不必要な副生成物を生じ、広範囲な精製を必要とし、かつ低い収率を与える(Bio/Technology 10: 894-898(1992))。長鎖α,ω-ジカルボン酸を合成するための幾つかの化学的経路が利用できるが、それらの合成は困難であり、高コストであり、かつ有毒な試薬を必要とする。
【0006】
したがって、二重結合、三重結合、エポキシド、第二級ヒドロキシル、Si-O-Si及び他の部分から構成され得る内部官能性を有することができ、該官能基が結果として生じるジカルボン酸に変換される、リシノール酸類似体の製造プロセス又は方法が必要とされる。
【発明の概要】
【0007】
簡潔には、本発明は、微生物を利用する発酵による、リシノール酸類似体の製造方法を含む。これらの類似体の多くは、その後精製され、様々な用途のためのオリゴマー及びポリマーに変換することができる。本発明は、脂肪酸などの化合物を、対応するα,ω-ジカルボン酸、α-カルボキシル-ω-ヒドロキシル脂肪酸、ω-, ω-1-ジヒドロキシル脂肪酸、又はこれらの生成物の混合物に変換する生合成経路を含む。例えば、それは、脂肪酸基質を、カンジダ・トロピカリスに属する酵母を用いて培養することができる。酵母は、脂肪酸を、長鎖ω-ヒドロキシ脂肪酸及びα,ω-ジカルボン酸及びそれらの混合物に変換する。酵母はまた、末端モノ-アルケンを、ヒドロキシル基が脂肪酸のω-及びω-1位にあるジヒドロキシル脂肪酸に変換する。発酵は、基質として脂肪酸を含む液体培地において行うことができる。
【0008】
これらの化合物への生物的変換方法は、出発物質として脂肪酸などの再生可能源を使用することができ、かつ選択性を有し、かつ副生成物がほとんどない、リシノール酸類似体を提供することができる。例えば、ω-ヒドロキシ脂肪酸及びα,ω-ジカルボン酸は、ダイズ油、トウモロコシ油及び獣脂などの再生可能な農業物及び林産物から容易に入手可能である安価な長鎖脂肪酸から製造することができる。さらに、生体触媒が広範囲の脂肪酸基質を受け入れるので、異なる炭素鎖(C12-C22)を有する広範囲のα,ω-ジカルボン酸を製造することができる。
【0009】
特定の実施態様の更なる態様は、異なる炭素鎖長(C12-C18)を有するモノ末端アルケンの変換により製造されるリシノール酸類似体などの、新規な種類の化合物を含む。結果として生じるリシノール酸類似体は、可変鎖長を有するω-, ω-1 ジヒドロキシ脂肪酸である。生物的変換において使用されるアルケンは、再生可能な供給源又は石油ベースの化合物から誘導することができる。別の実施態様において、異なる含有量のアルケン部位を有するカルダノールのメチル基は、カルボン酸に変換され、新規なカルボキシルカルダノール誘導体を与えることができる。開発された方法は、カルダノールの二重結合を部分的に水素化することを含む。
【0010】
特定の実施態様の更なる態様は、リシノール酸類似体を含む新規な種類の化合物、及びそれらの新規な種類の化合物の製造方法を含む。該方法は、脂肪酸がそれらのω-ヒドロキシ、ω-カルボキシ、又はω-ヒドロキシ及びω-カルボキシ両方のリシノール酸類似体に変換される、生体触媒工程を含む。リシノール酸と同様に、製造される類似体は、カルボン酸又はヒドロキシルを有する分子との反応を介して、エステル部分に変換することができる2つの官能基を有することができる。リシノール酸類似体はまた、二重結合、三重結合、エポキシド、Si-O-Si及び他の部分から構成され得る内部官能性を有することができる。リシノール酸が12-ヒドロキシル及びα-カルボキシル基を有するのに対して、本明細書中に記載されるリシノール酸類似体は、α-/ω-カルボキシル、α-カルボキシル/ω-ヒドロキシル基、又はこれらの生成物の混合物の構成を有する。
【0011】
本発明の別の態様は、リシノール酸類似体が、シリコーン部分を有するものなどの多様な他のモノマー、グリセロール及びソルビトールなどのポリオール、ポリエチレングリコール、無水物又はカルボネート結合を有する部分、及びその他と共重合できることである。一実施態様において、該化合物は、脂肪族官能性ポリエステル類に変換され得る。これらのポリエステル類は、生物分解可能であることができ、それらが生物学的プロセスによって、二酸化炭素、メタン、水、リグノセルロース物質及び他の天然物に変換され得ることを意味する。幾つかの例において、ポリエステル類はまた、医療用途のための生体再吸収性材料として機能できる。結果として生じる共ポリエステルは、可変含有量のアルキン、アルケン、エポキシド及びヒドロキシル官能基を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の1つのスキームを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(好ましい実施態様の詳細な説明)
本発明の実施態様は、微生物を用いてリシノール酸類似体を合成するための方法を提供する。これらのリシノール酸類似体の合成は、容易に脂肪酸基質を変換するための細胞全体生体触媒を用いて達成することができる。本発明の一実施態様は、一連の新規な官能性長鎖ω-ヒドロキシ脂肪酸、α,ω-ジカルボン酸、又はそれらの2つの生成物の混合物を製造する方法を提供する。
【0014】
1. リシノール酸類似体
本発明の一実施態様は、種培養段階及び成長発酵段階を有する発酵プロセスにおいて、微生物を用いてリシノール酸類似体を製造するための方法である。この方法は、以下を含む:
a)種培養段階の微生物バイオマスを培養し、接種材料を製造すること;
b)該接種材料を発酵培地に移すこと;及び
c)主発酵段階において成長段階条件を維持し、様々な脂肪酸、末端アルケン、部分的に水素化されたカルダノール、又はアルキンの、リシノール酸類似体への触媒を促進すること。
【0015】
この実施態様を介して形成されるリシノール酸類似体の例を挙げると、1,18-シス-9-オクタデセン二酸、1,22-シス-9-ドコセン二酸、1,18-シス-9,12-オクタデカジエン二酸、7-ヒドロキシ-シス-9-オクタデセン二酸;7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸、12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸、シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸、7-テトラデシン二酸、及び8-ヘキサデシン二酸がある。標準的な発酵プロセスを用いる、これらの生成物の典型的生産性は、約0.1〜0.5 g/l/hであり、生成物濃度は10〜30 g/lであった。
【0016】
この実施態様に適切な官能性基質は、C14〜C22の炭素鎖長を有し、脂肪酸鎖に沿って以下から選択され得る1以上のさらなる官能基を含むω-ヒドロキシ脂肪酸及びジカルボン酸を含む:アルケン、アルキン、共役アルケン、共役アルキン、エーテル、シリコーン、エポキシ、四級アンモニウム塩、第2級アミン、イミン及び-S-及び-P(X)-などの他の部分。
【0017】
図1に示すように、本発明の生成物は、更なる処理なく、又はオリゴマー及びポリマー合成のためのモノマーとして用いることができる。これらのモノマーの重合は、化学的又は酵素的方法により実施することができる。本明細書中に述べられるように、リシノール酸基礎単位は、更に修飾、又はリパーゼ触媒を用いる酵素的重合を介してオリゴマー若しくはポリマーに変換することができる。これは、後修飾のための官能基を有するオリゴマー及びポリマーの新しいファミリーをもたらす。
【0018】
様々な微生物を、本発明による使用のために培養することができる。通常、本明細書中に記載されているように、有用な活性を有する酵素を産生することができる任意の微生物を、本発明で使うことができる。特定の実施態様において、本発明に有用な微生物は、アシル-補酵素Aオキシダーゼを産生できる微生物を含む。多くのアシル-補酵素Aオキシダーゼ産生微生物は、従来技術において、公知である。カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・クロアカエ(Candida cloacae)、クリプトコックス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoforman)、及びコリネバクテリウムsp.(Corynebacterium sp.)を、細胞全体生体触媒として使うことができる。β-酸化経路がアシル-補酵素AオキシダーゼをコードしているPOX 4及びPOX5遺伝子を破壊することによってブロックされるカンジダ・トロピカリスATCC20962を使用することができる。例えば、カンジダ・トロピカリスATCC20962を液体培地の好気条件下で触媒として使用し、ω-ヒドロキシ脂肪酸及びα,ω-ジカルボン酸を製造することができる。
【0019】
使用する脂肪酸又はアルキンは、14〜22個の炭素原子を有し、プラントから得られる天然材料であることができ、又はオレイン酸(C18:1)、リノール酸(C18:2)、リシノール酸(C18:1)、エルカ酸(C22:1)、エポキシステアリン酸、7-テトラデシン及び8-ヘキサデシンなどの天然脂肪酸から合成されることができる。12〜22の炭素鎖長の天然由来の脂肪酸、化学的又は酵素的に誘導された脂肪酸、n-アルカン、n-アルケン、n-アルキン、及び脂肪族アルコールを、酵母触媒による生体内変換のための炭素源として使用する。カンジダ・トロピカリスATCC20962は、最初に、無機塩、窒素源及び炭素源を含む液体培地において培養する。第一の培養のための炭素源は、スクロース、グルコース、ソルビトールなどのサッカリド、及びグリセロール、酢酸塩及びエタノールなどの他の炭水化物であり得る。末端メチル又はヒドロキシル部位の酸化のための、天然由来の脂肪酸、化学的又は酵素的に修飾される脂肪酸、n-アルカン、n-アルケン、n-アルキン及び脂肪族アルコールなどの基質を、培養に加えることができる。
【0020】
多用途の及び制御可能な発酵手順を得ることができ、ライフサイクルに応じて、微生物にとって好条件の恒常的な環境を提供することができる。説明のために、発酵プロセスは、基質のω-酸化を行う成長期及び変換期を含む二期に分けることができる。
【0021】
種培養は、その最小値後のpHの増加期で延長された培養時間で、無菌培地に播種することができる。主発酵段階において、最大の活性成分生産速度を伴う「定常状態」条件は、とりわけ、必要な栄養を供給するために炭素及び窒素源を供給すること;グルコース濃度を制御し、培養の望ましくない濃厚化及びバイオマスの拡大された増加を回避すること;撹拌速度及び通気速度を、泡レベル制御と必要な炭素源、両目的のために適切な材料、例えば、植物性油脂及び合成薬剤の混合物とを組合せて、酸素需要量に従って制御すること;例えば、グルコースシロップ又は塩基などの炭素源を供給し、約5.2〜6.2の範囲のpHを維持すること;及び発酵槽の最大作用量が達成されるときに、又は後処理プロセスを行うのに十分経済的なメビノリン濃度に達するときに、少なくとも一回の回収を行うこと;により、長時間維持することができる。
【0022】
一実施態様において、発酵手順は、5.0〜8.0の間のpHで、約22℃及び約30℃の間の温度での培養を含む。例えば、新しい寒天平板又はグリセロールストックから播種した種を、振盪器中、16〜20時間、30℃、約pH6.5で、前培養培地で培養することができる。その後、この培養液を用いて、補助基質を有する変換媒体に播種する。更に、培養の成長期を、約10〜12時間行い、約pH6.5及び約30℃で、高細胞密度培養液を生成する。変換期は、脂肪酸又は生物的酸化のための他の基質の添加により開始される。
【0023】
培地のpHは、塩基溶液の添加によって、7.5〜8.0に調整することができる。補助基質は、エネルギーを細胞成長に提供するために、変換期の間、供給することができる。この方法を用いて、12〜22の炭素鎖長を有する脂肪酸、合成誘導化基質、n-アルカン、n-アルケン、n-アルキン及び脂肪族アルコールの末端メチル基を、ヒドロキシル又はカルボキシル基に変換する。
【0024】
発酵ブロスにおけるω-ヒドロキシ脂肪酸及びα,ω-ジカルボン酸を、以下の通りに抽出し、かつ精製することができる。これらの生成物を含む液体培地を、濃塩酸で約1.0〜4.0のpHに酸性化し、ジエチルエーテルに抽出する。エーテル抽出物の溶媒を、ロータリーエバポレータによって真空下で蒸発する。結果として生じる生成混合物を、シリカゲルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって更に精製することができる。クロマトグラフ分離は、通常、二溶媒系から構成されている溶離液を用いて行った。溶媒のペアは、1つが低極性(例えば、n-ヘキサン)、他方が高極性(例えば、ジエチルエーテル)であるように選択した。
【0025】
不純物及び生成物を含む画分は、強〜弱溶媒の割合を調整することによって、別々に溶出することができる。あるいは、生成混合物を、逆相であるものを含む、様々なカラム型を有する液体クロマトグラフィー法により精製することができる。クロマトグラフ分離は、様々な含有量のメタノール、水、ギ酸及びアセトニトリルから構成される混合溶媒を用いて行うことができる。不純物及び生成物を含む画分は、それらの極性に応じて別々に溶出される。更に、2つのカルボン酸を有するか又はアルカリ媒体に溶解するのに十分な極性を有する、リシノール酸類似体を抽出し、以下などの方法によって、発酵ブロスから沈殿させることができる。
【0026】
水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどのアルカリ性物質を発酵ブロスに加え、溶液のpHを11〜13に調製し、形成されるジカルボン酸を溶解する。それから、2〜8重量%の量の珪藻土を発酵ブロスに加え、未反応の炭化水素及びモノカルボン酸などの混合物の低極性成分を選択的に吸収する。その後、発酵ブロスを、フィルタープレスを用いて圧力下で濾過し、この濾過後に形成されるケーキを水で2〜3回洗浄する。それから、得られた濾液を、硫酸又は塩酸などの酸の添加によって4.0以下のpHに酸性化し、ジカルボン酸生成物を沈殿させる。その後、沈殿したジカルボン酸を、有機溶媒を用いる再結晶によって、更に精製することができる。通常、このような有機溶媒は、低極性(例えば、n-ヘキサン)である。
【0027】
精製したω-ヒドロキシ脂肪酸及びα,ω-ジカルボン酸を、分析により同定することができる。試料を、メタノール(10%, w/w)中、70℃で20分間、BF3を用いてエステル化し、その後、メチルエステルを、70℃で10分間、HMDS/TMCS/ピリジンでシリル化した。誘導化生成物の分析を、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)により行った。生成物の構造は、1H-及び13C-NMRによっても確認した。生体内変換の間の生成物形成の定量化は、標準として精製された生成物を用いて、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)により行った。
【0028】
2. リシノール酸類似体のオリゴマー又はポリマー
リシノール酸類似体は、酸化的生体内変化により合成され、かつその後のエステル加水分解のために現実に機能する酵素を用いて触媒単独又は共重合を実質的に受ける、方法の組合せ。多くの酵素的及び触媒的方法を用いて、リシノール酸類似体を重合することができるが、逆平衡条件下のリパーゼは、この種のポリエステル類を製造する性質及びスキームを例示できる。
【0029】
酵母触媒による生体内変換による新規リシノール酸類似体のファミリーを最初に合成し、その後、これらの生成物を重合のためのモノマーとして使用することによって、官能性ポリエステル類の新規ファミリーを製造することができる。重合は、固定化酵素触媒、例えば、固定化カンジダ・アンラルチカ リパーゼB(Candida antartica Lipase B)(CALB)を用いて行うことができる。Novozym 435は、固定化支持体がマクロポーラスポリメチルメタクリレートビーズから構成される固定化CALBの例である。クチナーゼ及びエステラーゼも、適切である。
【0030】
リシノール酸類似体モノマーの重合はまた、リパーゼ、エステラーゼ又はクチナーゼの代わりに化学的触媒を用いて化学的に行うこともできる。適切な化学的触媒は、オクタン酸スズ及びチタンアルコキシドを含むがこれらに限定されない縮合重合を触媒するために用いられるそれらの触媒を含む。
【0031】
3つ以上の反応基を有するモノマーを使用する場合、酵素触媒による単独及び共重合は、分岐形成の制御を可能にする。さらにまた、酵素触媒は、モノマー間の炭酸塩、エステル、アミド及び無水物連結の合成を可能にする。さらに、酵素触媒時の温和条件は、アルキン、アルケン、共役アルキン、共役アルケン、エポキシド、ヒドロキシル、シリコーンなどの、モノマーに沿った官能基が、ポリマー合成の間に損なわれないことを可能にする。別の実施態様において、ランダムな脂肪族ポリ(炭酸-共-エステル)の合成は、従来のモノマー供給から誘導され得る。例えば、等しいモル比の二酸及びジオールを、10重量%のNovozym 435とともに使うことができる。ω-ヒドロキシ脂肪酸の単独重合のために、ω-ヒドロキシ脂肪酸のみを加える。ω-ヒドロキシ脂肪酸モノマーの共重合は、他のヒドロキシ脂肪酸、及び/又は二酸及びジオールで行うこともできるが、特定の実施態様は、等モル化学量論の反応性酸及びヒドロキシル基を保持することによって、より良好な結果を有することができる。
【0032】
反応を完了するために、縮合反応の間に生じる水及び/又はアルコール(例えば、ジエチルカルボナートを使用する場合エタノール)を除去することが必要であってもよい。水及び/又はエタノールは、従来技術において確立されている多くの技術(例えば、真空)を通じて、反応から除去することができる。例えば、縮合反応の水/エタノール副生成物は、減圧するか又は真空にすることによって除去することができる。あるいは、水及び/又はエタノールは、減圧下でワイプドフィルムエバポレーター(wiped film evaporator)により除去することができる。別の代替法において、乾燥剤と酵素支持体との間の摩耗により被支持酵素への物理的損傷を回避する予防措置をとって、モレキュラーシーブなどの乾燥剤を用いることができる。別の変形例は、水及び/又はエタノールが反応混合物から空気中へ移され、その後、反応器を去るように、反応混合物に乾燥空気又は窒素を通過させることを含むことができる。
【0033】
この方法において反応は、当業者により理解される手段によって、クエンチすることができる。例えば、反応は、冷クロロホルムの添加、及び濾過による酵素触媒の除去により終了することができる。あるいは、生成物は、十分に低い粘性を有する限り、生成物は、溶媒を追加することなく濾過によって、触媒から分離することができる。触媒は、生成物を加熱することによって、変性などの別の方法によって、不活性化することができる。触媒を不活性化した後、触媒を生成物内に残すこともできる。分子量を増加させるか又は生成物の成分を分離するために生成物の分画を望む場合、沈殿を行うことができる。好ましくは、生成物は、分画することなく用いられる。ポリマー生成物を沈殿させるために、結果として生じるクロロホルム溶液を、メタノールに攪拌しながらゆっくり加えた。
【0034】
重合は、パラレル合成装置中、様々な条件下で行うことができる。例えば、重合は、バルク、ジフェニルエーテル中又はトルエン中で行うことができる。溶液重合のために、最小量のジフェニルエーテル又はトルエンを加え、拡散抑制を減少させることができる。そうしないと、形成される分子量及び重合が生じる速度が制限される。
【0035】
結果として生じるポリエステル類の特性は、以下の方法により分析した。官能性ポリエステル類の分子量平均及び多分散性は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定した。構造は、1H-NMR及び13C-NMRにより分析した。熱的性質は、熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)により決定した。約20 000〜80 000の範囲のMw値、約2.0及び3.1の間の多分散性(Mw/Mn)を有するポリマーを製造した。
【0036】
本発明によって製造される類似体が新規類似体であったので、例として合成した官能性ポリエステル類も新規であった。アルケン、アルキン及びエポキシド部位などのリシノール酸類似体の官能基は、酵素触媒によるポリマー合成の間に、損なわれずに維持され得る。製造される新規官能性ポリエステル類の例を挙げると、二重結合、三重結合、ヒドロキシル及びエポキシド部位を含む反復単位を有するポリマーを含む。これは、12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタオクタデセン酸の単独重合により、並びに、1,18-シス-9-オクタデセン二酸、1,22-シス-9-ドコセン二酸、7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸、シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸、及び7-テトラデシン二酸を含むα,ω-ジカルボン酸と、1,8-オクタンジオール、1,3-プロパンジオール及びグリセロールなどのジオールとの共重合により達成された。
本発明は、ここで更に以下の実施例で詳細に例示される。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
(典型的な生体内変換手順)
新しい寒天平板からC.トロピカリスATCC20962又はグリセロールを、500 mlフラスコ中、酵母エキス, 10 g/l;ペプトン, 10 g/l;グルコース, 20 g/l;からなる30 ml YPD培地で前培養し、250 rpm、30℃で20時間、振盪した。250 rpm、30℃で16時間の培養後、前培養液を、500 mlフラスコ中、10%(v/v)で、ペプトン, 30℃;酵母エキス, 6 g/l;酵母窒素塩基, 6.7 g/l;酢酸, 3 g/l;K2HPO4, 7.2 g/l;KH2PO4, 9.3 g/l;グルコース/グリセロール, 20℃;からなる30mlの変換培地に播種し、250 rpmで振盪した。基質の初濃度は、約10〜20 g/lであった。pHは、12時間後に、2 mol/lのNaOH溶液の添加によって7.5に調節した。生体内変換の間、濃縮補助基質(グルコース/グリセロール/酢酸ナトリウム/エタノール)を供給し(1日あたり1〜2.5%)、pHをNaOH溶液を加えて7.5〜8.0に維持した。試料を毎日採取し、LC-MSによって生成物の濃度を決定した。
【0038】
(実施例2)
(発酵槽内での典型的な生体内変換手順)
発酵は、フェドバッチ培養の3-I Bioflo3000発酵槽(New Brunswick Scientific Co., USA)中で行った。実施例1の前述の変換培地を用いたが、0.05%の消泡剤204(シグマ)及び0.5%基質を加えることにより修正した。発酵槽容器への播種前に、20時間、30℃、250 rpmで、新しい寒天平板又はグリセロールストックから50 mlの種培養を調製した。播種後に、培養液を、6.3のpHに維持し、30℃、900rpm、1.5vvmの通気速度で成長させた。12時間の発酵(成長期)の後、生体変換期を、基質(2ml/l)を供給して開始した。補助基質としての濃縮グルコース(500 g/l)を、1.2 g/l/hの速度で連続的に供給した。生体変換期の間、pHを、4 mol/lのNaOH溶液の自動的な添加によって7.6に維持した。消泡剤(Antifoam 204)も、必要に応じて発酵槽に加えた。試料を毎日採取し、LC-MSによって生成物の濃度を決定した。
【0039】
(実施例3)
(生体内変換生成物の典型的な抽出及び精製手順)
発酵ブロスをHClでpH1.0に酸性化し、ジエチルエーテルで2回抽出した。酸性化の間、エポキシ開環を回避するために、エポキシ基を含む生成物を有する発酵ブロスを、5N HClでpH 3.0にゆっくり酸性化した。溶媒を、ロータリーエバポレータで真空下で蒸発させた。得られた残渣を、シリカゲル60を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離した。不純物、未反応モノ脂肪酸及び生成物を含む画分を、比率が90:30〜10:90にわたるn-ヘキサン/ジエチルエーテルの混合物によって、段階的に溶出した。同じ化合物を含む画分を一緒に回収し、溶媒をロータリーエバポレータによって真空下で蒸発させた。
【0040】
(実施例4)
(オレイン酸のリパーゼ媒介エポキシ化による、シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン酸の合成)
シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン酸を、化学酵素法によって、オレイン酸から合成した。反応は、20mlトルエン中の0.5Mオレイン酸、及び300mgの固定化CALB(Novozym 435)を含む50ml底フラスコ内で行った。過酸化水素(30%, w/w)を、最初の4時間、1時間毎に0.5mlの速度で、段階的に加えた。反応混合物を600 rpmで撹拌し、反応温度を50℃に維持した。8時間の反応後、反応を終了し、Novozym 435を濾過によって溶媒から除去した。シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン酸は、トルエンを真空下でロータリーエバポレータで除去することによって得た。
【0041】
(実施例5)
(Novozym 435により触媒されたポリマー合成のための典型的な手順)
反応は、バルク又はジフェニルエーテルにおいて、パラレル合成装置(AdvantageTM 2050, Argonaut)中で行った。精製した官能性二酸(1.0mmol)及び1,8-オクタンジオール又は1,3-プロパンジオール(1.0 mmol)を、パラレル合成装置の反応チューブ内に移し、10重量%のNovozym 435を加えた。ホモポリマー化のために、ω-ヒドロキシ脂肪酸(2.0 mmol)のみを加えた。2時間後に真空(2.0psi)にした。重合の進展に続くために、アリコートを、2、6、12、24、36及び48時間で回収した。冷クロロホルムの添加により反応を終了し、Novozym 435を濾過によって除去した。濾液を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により直接分析し、分子量平均及び多分散性を決定した。
【0042】
最終生成混合物を、1H-NMRで直接分析した。反応は、250ml丸底フラスコ内で、トルエン中でも実施した。精製された官能性二酸(20mmol)、及び1,8-オクタンジオール又は1,3-プロパンジオール(20 mmol)を、100mlのトルエンを有するフラスコに移し、10重量%のNovozym 435を加えた。真空(2.0psi)を、2時間後に適用した。冷クロロホルムの添加により、反応を終了させ、Novozym 435を濾過により除去した。濾液を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により直接分析し、分子量平均及び多分散性を決定した。最後の時点の生成混合物を、クロロホルムに溶解し、触媒を除去するために濾過した。結果として得られたクロロホルム溶液を、撹拌しながらメタノールにゆっくりと加え、ポリマー生成物を沈殿させた。沈殿したポリマーをメタノールで3回洗浄し、その後、1H-NMR及び熱特性の分析のために、50℃で、真空エバポレーターを用いて乾燥した。
【0043】
(実施例6)
(フラスコ振盪実験における、C.トロピカリス ATCC20962を用いた生体内変換によるオレイン酸からの1,18-シス-9-オクタデセン二酸の製造)
オレイン酸の生体内変換を、実施例1記載の培養条件に従って、500 mlフラスコ内で行った。グルコースを補助基質として用い、初濃度は20 g/lであった。培養液を12時間成長させた後、20g/lのオレイン酸を該培養液に加え、pHを約7.5に調整した。48時間後、オレイン酸は、大部分、対応する1,18-シス-9-オクタデセン二酸に変換され、18g/lに達した。不飽和二酸の生産性は、約0.38g/l/hであった。二重結合は、生体内変換の間、残っているように見えた。
【0044】
(実施例7)
(発酵槽における、C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換によるオレイン酸からの1,18-シス-9-オクタデセン二酸の製造)
発酵を、実施例2に記載される発酵条件に従って、3 I発酵槽中で行った。培養液を、30℃、pH6.3、2l/分の速度の通気で12時間成長させた。変換は、2ml/hの速度でオレイン酸を供給することにより開始した。培養液のpHを、4 mol/lのNaOHの自動的な添加で7.6に維持した。グルコース溶液は、1.2g/l/hの速度で供給した。60時間の生体内変換の後、1,18-シス-9-オクタデセン二酸の濃度は、0.52g/l/hの生産性を有し、31g/lに達した。二重結合は、生体内変換の間、残っているように見えた。
【0045】
(実施例8)
(C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換によるエルカ酸からの1,22-シス-9-ドコセン二酸の製造)
エルカ酸の生体内変換を、実施例1に記載される培養条件に従って、500 mlフラスコ内で行った。グルコース又はグリセロールを補助基質として用い、初濃度は20g/lであった。12時間の培養成長後に、20g/lのエルカ酸を培養液に加え、pHを約7.5に調節した。72時間の生体内変換の後、1,22-シス-9-ドコセン二酸の濃度は、0.21g/l/hの生産性を有し、15g/lに達した。生体内変換の間の二重結合は残っている。
【0046】
(実施例9)
(C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換によるリノール酸からの1,18-シス-9,12-オクタデカジエン二酸の製造)
リノール酸の生体内変換を、実施例1に記載される培養条件に従って行った。グルコースを補助基質として用い、初濃度は20g/lであった。12時間後に、20g/lのリノール酸を培養液に加え、pHを約7.5に調節した。24時間の生体内変換の後、1,18-シス-9,12-オクタデカジエン二酸の濃度は、7g/lに達した。その後の発酵時間の増加は、二酸濃度が減少した結果となった。二重結合は、生体内変換の間、残っていた。
【0047】
(実施例10)
(フラスコ振盪実験における、C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換によるリシノール酸からの12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタオクタデセン酸及び7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸の製造)
リシノール酸の生体内変換を、実施例1に記載された培養条件に従って行った。12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸及び7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸の混合物は、12-位で第二級ヒドロキシル基の保持とともに得られた。12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸対7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸の比は、培養条件に著しく影響された。リシノール酸の変換割合は、より大きい振盪フラスコ振動速度を用いることにより達成された培養液の通気増加でより大きくなった。比較的より大きい振動(250rpm)で行った培養は、フラスコに蓄積する12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸を7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸に迅速に変換する。72時間後、7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸の濃度は、9g/lに達した。フラスコの振動速度を減少させることによって、ω-ヒドロキシ対二酸の比は増加した。150rpm振盪器速度で、これらの生成物のモル比は、75mol%のリシノール酸からの完全な変換となる1:1である。補助基質としてグリセロールを用いて、リシノール酸から7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸への>90%の変換が達成された。
【0048】
対照的に、補助基質としてエタノールを用いると、リシノール酸の変換が小さくなる。しかし、形成される主生成物は、12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸であり、約5g/lに達した。ω-ヒドロキシ対二酸の比はまた、培地中のリシノール酸の初濃度を上昇させることによって増加した。
【0049】
(実施例11)
(発酵槽における、C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換によるリシノール酸からの12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸及び7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸の製造)
発酵を、実施例2に従って、3 I発酵槽中で行った。培養液を12時間、30℃、pH6.3で成長させた。溶存酸素は、それぞれ、30%及び60%で制御した。高いDO(60%)で、全てのリシノール酸は、7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸に変換され、濃度は72時間の変換後に約12g/lであった。12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸(4.7g/l)及び7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸(4.9g/l)の混合物は、低いDO(30%)で得られた。第二級ヒドロキシル基は、生体内変換の間、残っていた。
【0050】
(実施例12)
(フラスコ振盪実験における、C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換によるシス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン酸からのシス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸の製造)
シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン酸を、実施例4に記載された手順に従って、化学酵素法を用いて、オレイン酸から合成した。シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン酸の生体内変換を、実施例1に記載された培養条件に従って、500 mlフラスコ内で行った。グルコースを補助基質として用い、初濃度は20g/lであった。12時間の培養後、20g/lのシス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン酸を培養液に加え、pHを約7.5に調節した。72時間の生体内変換の後、シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸の濃度は、0.27g/l/hの生産性を有し、19.1g/lに達した。エポキシ基は、生体内変換の間、残っていた。
【0051】
(実施例13)
(フラスコ振盪実験における、C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換による7-テトラデシンからの7-テトラデシン二酸の製造)
【0052】
7-テトラデシンの生体内変換を、実施例1に記載されているように行った。グルコースを補助基質として用い、初濃度は20g/lであった。12時間後、20g/lの7-テトラデシンを培養液に加え、pHを約7.5に調節した。96時間の生体内変換の後、7-テトラデシン二酸の濃度は、0.12g/l/hの生産性を有し、11g/lに達した。三重結合は、生体内変換の間、残っていた。
【0053】
(実施例14)
(フラスコ振盪実験における、C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換による8-ヘキサデシンからの8-ヘキサデシン二酸の製造)
8-ヘキサデシンの生体内変換を、実施例1に記載されている培養条件に従って、500 mlフラスコ内で行った。グルコースを補助基質として用い、初濃度は10g/lであった。12時間後、20g/lの8-ヘキサデシンを培養液に加え、pHを約7.5に調節した。96時間の生体内変換の後、8-ヘキサデシン二酸の濃度は、0.07g/l/hの生産性を有し、6.5g/lに達した。三重結合は、生体内変換の間、残っていた。
【0054】
(実施例15)
(Novozym 435により触媒された1,18-シス-9-オクタデセン二酸及び1,8-オクタンジオールからの、二重結合を含むポリエステルの合成)
1,18-シス-9-オクタデセン二酸(ω-カルボキシオレイン酸, ω-HOOC-OA)と1,8-オクタンジオール(OD)との共重合を、実施例5に記載されるように、N435により触媒される、ジフェニルエーテル及びバルクの両方において行った。反応温度は、90℃であった。コポリマーは、うまく合成された。ポリ(ω-HOOC-OA-共-OD)の分子量(Mw)は、ジフェニルエーテル及びバルクで、それぞれ、36時間で57,000(PDI = 2.02)及び48時間で44,000(PDI = 2.61)であった。1H-NMR結果は、二重結合が重合の間、そのままであることを示した。
1,18-シス-9-オクタデセン二酸(ω-カルボキシオレイン酸, ω- HOOC-OA)と1,8-オクタンジオール(OD)との共重合もまた、実施例5に記載されているN435によって触媒される、丸底フラスコ内のトルエン中において行った。反応温度は、90℃であった。ポリ(ω-HOOC-OA-共-OD)の分子量(Mw)及びPDIは、それぞれ、94,000及び2.05であった。
【0055】
(実施例16)
(Novozym 435により触媒される1,18-シス-9-オクタデセン二酸及び1,3-プロパンジオールからの、二重結合を含むポリエステルの合成)
1,18-シス-9-オクタデセン二酸(ω-カルボキシオレイン酸, ω- HOOC-OA)と1,3-プロパンジオール(PD)との共重合を、実施例5に記載されるように、N435により触媒される、ジフェニルエーテル及びバルクの両方において行った。反応温度は、90℃であった。コポリマーは、うまく合成された。ポリ(ω-HOOC-OA-共-PD)の分子量(Mw)は、ジフェニルエーテル及びバルクにおいて、それぞれ、36時間で53,000(PDI = 2.32)及び48時間で26,000(PDI = 1.75)であった。1H-NMR結果は、二重結合が重合の間、存在していることを示した。
【0056】
(実施例17)
(Novozym 435により触媒される、1,18-シス-9-オクタデセン二酸及びグリセロールからの、二重結合を含むポリエステルの合成)
1,18-シス-9-オクタデセン二酸(ω-カルボキシオレイン酸, ω- HOOC-OA)とグリセロール(GL)との共重合を、実施例5に記載されているジフェニルエーテル中で行った。36時間の反応後、コポリマー、ポリ(ω-HOOC-OA-共-GL)の分子量(Mw)は、2.17のPDIで29,000に達した。二重結合は、重合の間、そのままのままであった。
【0057】
(実施例18)
(1,22-シス-9-ドコセン二酸及び1,8-オクタンジオールからの、二重結合を含むポリエステルの合成)
1,22-シス-9-ドコセン二酸(ω-カルボキシエルカ酸, ω- HOOC-EA)と1,8-オクタンジオール(OD)との共重合を、実施例5に記載されているNovozym 435により触媒される、ジフェニルエーテル及びバルクの両方において行った。反応温度は、90℃であった。コポリマーは、うまく合成された。ポリ(ω-HOOC-EA-共-OD)の分子量(Mw)は、ジフェニルエーテル及びバルクにおいて、それぞれ、36時間後で32,000(PDI = 1.95)及び29,000(PDI = 2.14)であった。二重結合は、重合の間、維持されていた。
【0058】
(実施例19)
(Novozym 435により触媒される、7-ヒドロキシ-シス-9-オクタデセン二酸及び1,8-オクタンジオールからの、二重結合及びヒドロキル基を含むポリエステルの合成)
7-ヒドロキシ-シス-9-オクタデセン二酸(ω-カルボキシリシノール酸, ω-HOOC-RA)と1,8-オクタンジオールとの共重合を、実施例5に記載されるN435により触媒した。ジフェニルエーテル及びバルクにおいて重合したコポリマー分子量は、それぞれ、2.00及び2.22のPDI(Mw/Mn)で40,000及び28,000であった。コポリマーの13C-NMR分析法は、約7%の重合が第二級ヒドロキシル基において偶然起こったことを示した。
【0059】
(実施例20)
(Novozym 435により触媒される、12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタオクタデセン酸からの、二重結合及びヒドロキシル基を含むポリエステルの合成)
12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタオクタデセン酸(ω-ヒドロキシリシノール酸, ω-HO-RA)を、実施例5に記載されているジフェニルエーテルにおいて、N435により触媒した。分子量は、48時間の反応に渡って段階的に増加し、Mw 67,000及び2.30のPDI(Mw/Mn)に達した。ポリマーの13C-NMR分析は、重合が第一級ヒドロキシル基(864%)及び第二級ヒドロキシル基(14%)の両方であったことを示した。
【0060】
(実施例21)
(Novozym 435により触媒される、シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸及び1,8-オクタンジオールからの、エポキシ基を含むポリエステルの合成)
エポキシ官能化ポリエステルを製造するため、シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸と1,8-オクタンジオール(OD)とのN435-触媒共重合を、実施例5に記載されるバルク及びジフェニルエーテルの両方で行った。コポリマーは、うまく合成された。ジフェニルエーテル中のN435-触媒重合のために、ポリ(ω-HOOC-エポキシ SA-共-OD)の最も高い分子量(Mw)は、2.90のPDIで26,000であった。Mwは、36時間の反応後に減少した。バルクにおいて重合を実行することによって、ポリ(ω-HOOC-エポキシ SA-co-OD)は、それぞれ、39,000及び3.10のMw及びPDI値で製造された。1H-NMR結果は、エポキシ基が重合の間、そのままであることを示した。
【0061】
(実施例22)
(Novozym 435により触媒される、シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸及び1,3-プロパンジオールからの、エポキシ基を含むポリエステルの合成)
エポキシ官能性ポリエステルを製造するために、シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸と1,3-プロパンジオールとのN435-触媒共重合を、実施例5に記載されるジフェニルエーテル中で行った。ポリ(ω-HOOC-エポキシ SA-co-PD)の最も高い分子量(Mw)は、24時間の反応後で、2.99のPDIで73,000であった。1H-NMR結果は、エポキシ基が重合の間、維持されたことを示した。
【0062】
(実施例23)
(Novozym 435により触媒される、7-テトラデシン二酸及び1,8-オクタンジオールからの、三重結合を含むポリエステルの合成)
7-テトラデシン二酸と1,8-オクタンジオールとの共重合を、実施例5に記載されている、ジフェニルエーテル中で、N435により触媒した。結果として生じるポリエステルの分子量(Mw)及びPDI値は、それぞれ、36時間の反応後、62,000及び2.15であった。1H-NMR結果は、三重結合が重合の間、そのままのままであることを示した。
【0063】
(実施例24)
(1,18-オクタデカン二酸及び1,8-オクタンジオールからの、ポリエステルの合成)
1,18-オクタデカン二酸(ω-カルボキシステアリン酸、ω-HOOCSA)と1,8-オクタンジオール(OD)との共重合を、実施例5に記載されている、Novozym 435により触媒される、丸底フラスコ内でトルエン中で行った。反応温度は、90℃であった。48時間の反応後、ポリ(ω-HOOC-SA-共-OD)の分子量及びPDIは、それぞれ、76,000及び2.00であった。結果として生じた飽和ポリエステルを、官能基を有するポリエステル類との、熱特性の比較のために使用した。
【0064】
(実施例25)
(官能基を有するポリエステル類の熱特性)
官能基を有する合成したポリエステル類の熱特性を、熱重量分析(TGA)及び示差走査熱量測定(DSC)により分析した。詳細を表1に示す。
【表1】

【0065】
(実施例26)
(発酵槽における、C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換による1-テトラデセンからの13,14-ジヒドロキシテトラデカン酸の製造)
発酵を、実施例2に記載されている発酵条件に従って、3 I発酵槽で行った。培養液を30℃、pH6.3、12時間、2 l/分の速度の通気で成長させた。変換は、20g/lの1-テトラデセンの添加により開始した。培養液のpHは、4 mol/lのNaOHの自動的な添加で7.8に維持した。グルコース溶液を、1.2g/l/hの速度で供給した。80時間の生体内変換の後、13,14-ジヒドロキシテトラデカン酸の濃度は、0.07g/l/hの生産性を有し、5.8g/lに達した。
【0066】
(実施例27)
(発酵槽における、C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換による1-ヘキサデセンからの15,16-ジヒドロキシヘキサデカン酸の製造)
発酵を、実施例2に記載されている発酵条件に従って、3 I発酵槽で行った。培養液を30℃、pH6.3、12時間、2 l/分の速度の通気で成長させた。変換は、20g/lの1-ヘキサデセンの添加により開始した。培養液のpHは、4 mol/lのNaOHの自動的な添加で7.8に維持した。グルコース溶液を、1.2g/l/hの速度で供給した。60時間の生体内変換の後、15,16-ジヒドロキシヘキサデカン酸の濃度は、0.1g/l/hの生産性を有し、6.2g/lに達した。
【0067】
(実施例28)
(発酵槽における、C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換による1-オクタデセンからの17,18-ジヒドロキシオクタデカン酸の製造)
発酵を、実施例2に記載されている発酵条件に従って、3 I発酵槽で行った。培養液を30℃、pH6.3、12時間、2 l/分の速度の通気で成長させた。変換は、20g/lの1-オクタデセンの添加により開始した。培養液のpHは、4 mol/lのNaOHの自動的な添加で7.8に維持した。グルコース溶液を、1.2g/l/hの速度で供給した。60時間の生体内変換の後、17,18-ジヒドロキシオクタデカン酸の濃度は、0.09g/l/hの生産性を有し、5.4g/lに達した。
【0068】
(実施例29)
(発酵槽における、C.トロピカリスATCC20962を用いた生体内変換による部分的水素化カルダノールからのω-カルボキシルカルダノールの製造)
部分的水素化カルダノールは、水素存在下、白金活性炭により触媒される市販のカルダノールから合成した。市販のカルダノールの水素化は、8時間の反応後、〜25%の飽和カルダノール、〜60%の単不飽和カルダノール、及び〜15%の二不飽和カルダノールを与えた。
【0069】
発酵は、実施例2に記載されている発酵条件に従って、3 I発酵槽で行った。培養液を30℃、pH6.3、16時間、2 l/分の速度の通気で成長させた。変換は、20g/lの部分的水素化カルダノールの添加により開始した。培養液のpHは、4 mol/lのNaOHの自動的な添加で7.6に維持した。グルコース溶液を、1.8g/l/hの速度で供給した。96時間の生体内変換の後、ω-カルボキシルカルダノールに対する総変換比は、4g/lの濃度で22%に達した。
【0070】
発酵は、グルコースのDO-スタット制御供給を有する、3 I発酵槽でも行った。培養液を30℃、pH6.3、16時間、2 l/分の速度の通気で成長させた。変換は、20g/lの部分的水素化カルダノールの添加により開始した。培養液のpHは、4 mol/lのNaOHの自動的な添加で7.6に維持した。グルコース溶液は、DO-スタット制御モードを用いて供給した。DOが55%より高いときに、グルコースの供給を開始し、DO値が、変換期の間、50%より低いときに停止した。96時間の生体内変換の後、ω-カルボキシルカルダノールに対する総変換比は、7.6g/lの濃度で40%に達した。
【0071】
NMR結果は、結果として生じるω-カルダノールが、約15%の飽和ω-カルボキシルカルダノール、約65%の単不飽和ω-カルボキシルカルダノール、及び約20%の二不飽和ω-カルボキシルカルダノールからなることを示す。
【0072】
(実施例30)
(13,14-ジヒドロキシテトラデカン酸からの、ヒドロキシル基を含むポリエステルの合成)
13,14-ジヒドロキシテトラデカン酸の単独重合を、実施例5に記載されている、Novozym 435により触媒される、ジフェニルエーテルのトルエン中で行った。反応温度は、90℃であった。48時間の反応の後、結果として生じるポリエステルの分子量及びPDIは、それぞれ、51,000及び4.20であった。
【0073】
新規な官能性ω-ヒドロキシ脂肪酸及びα,ω-ジカルボン酸は、香水、工業用プラスチック、接着剤、潤滑剤の製造の原材料として、及び様々な使い捨て可能な環境において生物分解性であるポリマー合成のためのモノマーとして用いることできる。あるいは、形成されるポリマーは、新規な生体再吸収性医学材料として用いることができる。ポリマーに沿った官能基は、これらの材料の生物的性質を調整するために、生理活性部位を結合又は化学的に連結するのに用いることができる。官能性ポリエステル類の別の用途は、産業塗料、ドラッグデリバリービヒクルの成分、及び組織工学及び他の再生医療戦略の間の細胞成長を支持する足場である。
【0074】
好ましい実施態様のこの詳細な説明及び添付の図は、例示及び説明目的のためにだけ存在し、完全であることを意図せず、かつ本発明の範囲及び精神を制限することを意図しない。実施態様は、本発明の原理及びその実用的用途を最も良く説明するために選択され、かつ記載された。当業者は、多くの変更が本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書中に開示される本発明にもたらされ得ることを認めるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リシノール酸類似体の製造方法であって:
a) 種培養段階の微生物を培養し、接種材料を生産する工程;
b) 該接種材料を発酵培地に移す工程;及び
c) 主発酵段階の成長段階状態を維持し、リシノール酸類似体への基質の触媒作用を促進する工程;
を含む、前記製造方法。
【請求項2】
製造されるリシノール酸類似体が、1,18-シス-9-オクタデセン二酸;1,22-シス-9-ドコセン二酸;1,18-シス-9,12-オクタデカジエン二酸;7-ヒドロキシ-1,18-シス-9-オクタデセン二酸;12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸;シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸;7-テトラデシン二酸;及び8-ヘキサデシン二酸;からなる群から選択される式を有する、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記基質が脂肪酸である、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記脂肪酸が、C14〜C22の炭素鎖長を有するω-ヒドロキシ脂肪酸及びα,ω-ジカルボン酸からなる群から選択される、請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記脂肪酸が、生体触媒工程において、個別のω-ヒドロキシ又はω-カルボキシリシノール酸類似体に変換されるか、又はω-ヒドロキシ及びω-カルボキシリシノール酸類似体の混合物に変換される、請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記ω-ヒドロキシ脂肪酸及びα,ω-ジカルボン酸が、アルケン、アルキン、共役アルケン、共役アルキン、エーテル、シリコーン、エポキシ、四級アンモニウム塩、第2級アミン、イミン、及び-S-及び-P(X)-を含む部位からなる群から選択される、脂肪酸鎖に沿う少なくとも1つのさらなる官能基を含む、請求項4記載の製造方法。
【請求項7】
前記基質がアルキンである、請求項1記載の製造方法。
【請求項8】
前記基質が末端アルケンである、請求項1記載の製造方法。
【請求項9】
前記基質が部分的に水素化されたカルダノールである、請求項1記載の製造方法。
【請求項10】
前記微生物が、P450モノオキシゲナーゼを産生できる微生物からなる群から選択される、請求項1記載の製造方法。
【請求項11】
前記微生物がカンジダ・トロピカリス、カンジダ・クロアカエ、クリプトコックス・ネオフォルマンス、及びコリネバクテリウムspからなる群から選択される、請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
発酵プロセスが、基質のω-酸化が行われる成長期及び変換期の2つの期に分けられる、請求項1記載の製造方法。
【請求項13】
前記種培養物を、最小値後のpHの増加期で延長された培養時間で、発酵培地に播種する、請求項1記載の製造方法。
【請求項14】
主発酵段階において、最大の活性成分生産速度の定常状態条件が:
(a) 炭素源及び窒素源を供給し、必要とする栄養を供給すること;
(b) グルコース濃度を制御すること;
(c) 酸素需要量に従って撹拌速度及び通気速度を制御すること;
(d) 炭素源の供給とともに約5.2〜6.2の範囲のpHを維持すること;及び
(e) 発酵槽の最大作用量が達成されるときに、又は後処理プロセスを行うのに十分経済的なメビノリン濃度に達するときに、少なくとも一回の回収を行うこと;
により、長期間維持される、請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
前記主発酵段階が、約5.0〜8.0のpH、及び約22℃〜30℃の温度で約10〜12時間、維持される、請求項1記載の製造方法。
【請求項16】
前記pHを塩基溶液の添加によって約7.5〜8.0に調整し、かつ細胞成長のエネルギーを提供するために補助基質を変換期に供給し、それによって、12〜22の炭素鎖長を有する脂肪酸、合成によって誘導された基質、n-アルカン、n-アルケン、n-アルキン、及び脂肪アルコールの末端メチル基を、ヒドロキシル又はカルボキシル基に変換する、請求項15記載の製造方法。
【請求項17】
発酵ブロス中のω-ヒドロキシ脂肪酸及びα,ω-ジカルボン酸を:
(a) これらの生成物を含む液体培地を、濃塩酸で約1.0〜4.0のpHに酸性化し、ジエチルエーテルに抽出すること;
(b) エーテル抽出物の溶媒を、ロータリーエバポレータで真空下で蒸発させること;及び
(c) 得られた生成混合物を、シリカゲルを用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによりさらに精製し、それによって、クロマトグラフ分離を、一方の溶媒が低極性であり他方の溶媒が高極性であるように選択された二溶媒系からなる溶離液を用いて行うこと;
によって、抽出及び精製する、請求項16記載の製造方法。
【請求項18】
2つのカルボン酸を有するか又はアルカリ媒体に溶解するのに十分な極性を有するリシノール酸類似体を:
(a) アルカリ性物質を発酵ブロスに加え、かつ該溶液のpHを約11〜13に調整し、形成されるジカルボン酸を溶解すること;
(b) 約2-8重量%の量の珪藻土を該発酵ブロスに加え、該混合物の低極性成分を選択的に吸収させること;
(c) フィルタープレスを用いることにより圧力下で該発酵ブロスを濾過し、かつ濾過ケーキを水で少なくとも2回洗浄すること;
(d) 得られた濾液を、酸を加えることによって4.0以下のpHに酸性化し、ジカルボン酸生成物を沈殿させること;及び
(e) 有機溶媒を用いる再結晶によって、沈殿されるジカルボン酸を更に精製すること;
によって、発酵ブロスから抽出及び沈殿させる、請求項17記載の製造方法。
【請求項19】
オリゴマー及びポリマー合成のためのモノマーとして前記リシノール酸類似体を使用する工程を更に含む、請求項1記載の製造方法。
【請求項20】
前記モノマーの重合を、化学的又は酵素的方法によって行う、請求項19記載の製造方法。
【請求項21】
前記モノマーを、リパーゼ触媒を用いる酵素的重合を介して、オリゴマー又はポリマーに修飾又は変換する、請求項20記載の製造方法。
【請求項22】
前記モノマーを、クチナーゼ触媒を用いる酵素的重合を介して、オリゴマー又はポリマーに修飾又は変換する、請求項20記載の製造方法。
【請求項23】
前記モノマーを、エステラーゼ触媒を用いる酵素的重合を介して、オリゴマー又はポリマーに修飾又は変換する、請求項20記載の製造方法。
【請求項24】
前記モノマーを、オクタン酸スズ又はチタンアルコキシドを用いる化学的重合を介して、オリゴマー又はポリマーに修飾又は変換する、請求項20記載の製造方法。
【請求項25】
前記リシノール酸類似体が酸化的生体内変換により合成され、その後、エステル加水分解のために現実に機能する酵素を用いて、触媒による単独重合又は共重合を受ける、請求項19記載の製造方法。
【請求項26】
前記酸化的変換が、酵母触媒生体内変換である、請求項25記載の製造方法。
【請求項27】
前記酵素が固定化酵素触媒である、請求項25記載の製造方法。
【請求項28】
前記酵素が、カンジダ・アンタクチカリパーゼBである、請求項25記載の製造方法。
【請求項29】
得られるポリマーが、約20 000〜約80 000の分子量及び約20〜約3.1の多分散性を有する、請求項25記載の製造方法。
【請求項30】
下記からなる群から選択される式を有する、基質の触媒作用から生成されるリシノール酸類似体であって:
1,18-シス-9-オクタデセン二酸;
1,22-シス-9-ドコセン二酸;
1,18-シス-9,12-オクタデカジエン二酸;
12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸;
7-ヒドロキシ-シス-9-オクタデセン二酸;
シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸;
7-テトラデシン二酸;
8-ヘキサデシン二酸;
13,14-ジヒドロキシテトラデカン酸;
15,16-ジヒドロキシヘキサデカン酸;
17,18-ジヒドロキシオクタデカン酸;及び
ω-カルボキシルカルダノール;
該基質が、脂肪酸、末端アルケン、部分的に水素化されたカルダノール及びアルキンからなる群から選択され、かつ
該触媒が該基質を生体内変換できる酵素を産生することができる微生物を使用する、前記リシノール酸類似体。
【請求項31】
前記微生物が、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・クロアカエ、クリプトコックス・ネオフォルマンス、及びコリネバクテリウムspからなる群から選択される、請求項30記載のリシノール酸類似体。
【請求項32】
下記からなる群から選択される式を有するリシノール酸類似体の、触媒による単独重合又は共重合から生じるポリマー又はオリゴマーであって:
1,18-シス-9-オクタデセン二酸;
1,22-シス-9-ドコセン二酸;
1,18-シス-9,12-オクタデカジエン二酸;
12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸;
7-ヒドロキシ-シス-9-オクタデセン二酸;
シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸;
7-テトラデシン二酸;
8-ヘキサデシン二酸;
13,14-ジヒドロキシテトラデカン酸;
15,16-ジヒドロキシヘキサデカン酸;
17,18-ジヒドロキシオクタデカン酸;及び
ω-カルボキシルカルダノール;
該リシノール酸類似体が、脂肪酸、末端アルケン、部分的に水素化されたカルダノール、及びアルキンからなる群から選択される基質の触媒作用から製造され、かつ該触媒が、該基質を生体内変換できる酵素を産生することができる微生物を使用し、かつ
該単独重合又は共重合が、エステル加水分解のために現実に機能する酵素を使用する、前記ポリマー又はオリゴマー。
【請求項33】
前記微生物が、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・クロアカエ、クリプトコックス・ネオフォルマンス、及びコリネバクテリウムspからなる群から選択される、請求項32記載のリシノール酸類似体。
【請求項34】
エステル加水分解のために現実に機能する酵素が、リパーゼ、クチナーゼ、及びエステラーゼからなる群から選択される、請求項33記載のポリマー又はオリゴマー。
【請求項35】
前記リパーゼが、カンジダ・アンタクチカリパーゼB(CALB)である、請求項34記載のポリマー又はオリゴマー。
【請求項36】
下記からなる群から選択される式を有するリシノール酸類似体の、触媒による単独重合又は共重合から生じるポリマー又はオリゴマーであって:
1,18-シス-9-オクタデセン二酸;
1,22-シス-9-ドコセン二酸;
1,18-シス-9,12-オクタデカジエン二酸;
12,18-ジヒドロキシ-シス-9-オクタデセン酸;
7-ヒドロキシ-シス-9-オクタデセン二酸;
シス-9,10-エポキシ-1,18-オクタデカン二酸;
7-テトラデシン二酸;
8-ヘキサデシン二酸;
13,14-ジヒドロキシテトラデカン酸;
15,16-ジヒドロキシヘキサデカン酸;
17,18-ジヒドロキシオクタデカン酸;及び
ω-カルボキシルカルダノール;
該リシノール酸類似体が、脂肪酸、末端アルケン、部分的に水素化されたカルダノール、及びアルキンからなる群から選択される基質の触媒作用から製造され、かつ該触媒が、該基質を生体内変換できる酵素を産生することができる微生物を使用し、かつ
該単独重合又は共重合が、化学的触媒を使用する、前記ポリマー又はオリゴマー。
【請求項37】
前記微生物が、カンジダ・トロピカリス、カンジダ・クロアカエ、クリプトコックス・ネオフォルマンス、及びコリネバクテリウムspからなる群から選択される、請求項36記載のリシノール酸類似体。
【請求項38】
前記化学的触媒が、オクタン酸スズ又はチタンアルコキシドである、請求項37記載のポリマー又はオリゴマー。

【図1】
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【公表番号】特表2012−500026(P2012−500026A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523976(P2011−523976)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/054395
【国際公開番号】WO2010/022200
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(509207818)ポリテクニック インスティテュート オブ ニューヨーク ユニバーシティー (4)
【Fターム(参考)】