開閉式フードのロック解除装置
【課題】 開閉式フードのロック解除装置に関し、簡素な構成で、容易にフードの開放ロックを解除し且つフードの急閉鎖を防止する。
【解決手段】 開口部を上方へ開放可能に覆うフード1と、長孔2aが穿設され該開口部に配設されたレール2と、一端部をフード1の開閉動作に連動して長孔2a内に摺動可能に保持されるとともに他端部をフード1に軸支されたステー4と、長孔2aの延在方向に対し所定の角度を有して長孔2aの端部から延設され、ステー4の一端部を係止してフード1を開放状態に固定するロック孔5と、ロック孔5の延設方向の端部側に配設されロック孔5に係止されたステー4の一端部を長孔2aまで押動しうる押動部6aと押動部6aによる押動時に長孔2aを閉塞して一端部を保持する保持部6bとを有するロック解除部材6と、を備える。
【解決手段】 開口部を上方へ開放可能に覆うフード1と、長孔2aが穿設され該開口部に配設されたレール2と、一端部をフード1の開閉動作に連動して長孔2a内に摺動可能に保持されるとともに他端部をフード1に軸支されたステー4と、長孔2aの延在方向に対し所定の角度を有して長孔2aの端部から延設され、ステー4の一端部を係止してフード1を開放状態に固定するロック孔5と、ロック孔5の延設方向の端部側に配設されロック孔5に係止されたステー4の一端部を長孔2aまで押動しうる押動部6aと押動部6aによる押動時に長孔2aを閉塞して一端部を保持する保持部6bとを有するロック解除部材6と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械におけるエンジンフードの開閉ロックを解除するのに用いて好適な開閉式フードのロック解除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ショベル等の作業機械において、エンジンルームの上面に開口部を設けて、その開口部を開閉自在のエンジンフードで覆った構成のものがある。このようなエンジンフードを備えた作業機械において、エンジンルーム内のメンテナンスを行う際には、車体の上面に登りエンジンフードを上方へ開放して作業が行われるため、メンテナンスの作業性を向上させるべく、エンジンフードを開放したままの状態に固定しておくことのできる構造が適用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エンジンフードに長孔の切欠を設けるとともにエンジンルーム側に枢着されたステーの端部を長孔に取り付けてなるエンジンフードにおいて、長孔の端部に大径の円孔を穿設するとともに、円孔に嵌合ロックする段付きピンをステーの先端に取り付けた構成が記載されている。この構成によれば、円孔と段付きピンとを嵌合させることでエンジンフードを全開位置に保持できる。
【0004】
また、特許文献2には、エンジンフードを開方向へ押動するバネを設け、その先端をエンジンフードに設けられたガイド溝内へ挿通するとともに、ガイド溝の一端側を折曲形成して係止溝とした構成が記載されている。つまり、バネの先端を係止溝に係止させることによって、バネの先端がバネのねじり中心を回転軸とした円弧上の軌跡を辿らないようにして、エンジンフードを開放したままにしておくことができるようになっている。
【0005】
このように、従来の作業機械には、エンジンフードと開口部との間に介装されるステーの移動を拘束するロック機構を備えることで、エンジンフードの開放状態を維持するものが数多く見られる。
【特許文献1】実開平6−72788号公報
【特許文献2】特開2003−96822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような従来のロック機構では、開放状態にあるエンジンフードを再び閉める際に、ステーの拘束を一旦解除する必要がある。例えば、特許文献1に記載の技術では、段付きピンの円孔への嵌合を外す必要があり、また、特許文献2に記載の技術では、バネの先端を係止溝から外さなければならない。
つまり、一人でメンテナンス作業を行っている場合には、エンジンフードを閉める際に片方の手でエンジンフードを支えながら、他方の手でステーのロックを解除しなければならず、操作が煩雑であるという課題がある。特に、作業機械は多様な気候,気象環境下で使用されるものであり、炎天下や降雪時であってもメンテナンス作業を行う場合があるため、できる限り作業性を向上させて、作業を行う者にとって使いやすくすることが望ましい。また、一般に作業機械のメンテナンスは、作業用手袋等の保護具を着装した状態で作業を行うため、指先を使うような細かい作業が不要なロック機構にしたい。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、容易にフードの開放ロックを解除でき、且つ、フードの急閉鎖を防止できるようにした、開閉式フードのロック解除装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項1)は、開口部を上方へ開放可能に覆うフードと、長孔が穿設され、該フード及び該開口部のうちの何れか一方に配設されたレールと、一端部を該フードの開閉動作に連動して該レールの該長孔内に摺動可能に保持されるとともに、他端部を該フード及び該開口部のうちの他方に軸支されたステーと、該長孔の延在方向に対し所定の角度を有して該長孔の端部から延設され、該ステーの該一端部を係止して該フードを開放状態に固定するロック孔と、該ロック孔の延設方向の端部側に配設されたロック解除部材とを備え、該ロック解除部材は、該ロック孔に係止された該ステーの該一端部を該長孔まで押動しうる押動部と、該押動部による押動時に該長孔内における該一端部の摺動ストロークを縮めて該一端部を該長孔の途中に保持する保持部とを有することを特徴としている。
【0009】
なお、該ロック解除部材の該保持部は、該押動部よりも少なくとも該長孔方向へ突出又は膨出した形状を有して形成されることが好ましい。あるいは、該押動部に押動されて該ステーの一端部が該長孔まで到達した場合に、該長孔上での摺動を阻止すべく該ステーの一端部の摺動方向側で、該一端部を係止しうる形状であることが好ましい。
また、該ロック解除部材は、該レールに沿って延びたプレートであって、該プレートは、該レールに対して回転軸を介して軸支されていることが好ましい(請求項2)。
【0010】
また、該プレートは、該レールに軸支された状態において、該押動部を該長孔方向へ移動させる方向へ該ロック解除部材を回転させるための作用点としての足踏み部を有することが好ましい(請求項3)。
また、該プレートは、略矩形板材の一隅を切り欠いて設けられた切り欠き部の端辺を該押動部及び該保持部として形成されていることが好ましい(請求項4)。
【0011】
また、該レール及び該長孔が、該開口部の開口面に沿って略水平に設けられ、該ロック孔が、該長孔から略鉛直下方向へ延設されるとともに、該足踏み部が、該回転軸を挟んで該押動部の反対側に形成され該開口面から突設されていることが好ましい(請求項5)。
また、該押動部を該長孔方向へ移動可能に該ロック解除部材に連結されたリンク部材を備えていることが好ましい(請求項6)。
【0012】
また、エンジンを搭載した作業機械の上部旋回体に設けられ、該開口部が、該上部旋回体の上面にエンジンルームの点検口として開口されていることが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項1)によれば、フードの開放時には、ステーをロック孔に係止して開放状態を保持(すなわち開放ロック)することができ、一方、フードの閉鎖時には、ロック解除部材を用いて簡単にロックを解除できる。これにより、直接ステーに触れることなくロック解除が可能となり、フードの利便性や作業性を高めることができる。また、ロック解除時には、ステーの一端部の摺動が一時的に阻止されるため、直ちにフードが閉じてしまうおそれがなく、一旦フードの動作を停止させることができる。つまり、簡素な構成でありながら、ロックを解除し且つフードの急閉鎖を防止するという二つの機能を持つロック解除機構を提供できる。
【0014】
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項2)によれば、簡素な構成で、容易に押動部,保持部を動かすことができる。また、てこの原理を利用することができ、回転軸の配設位置を工夫することによって、より小さな力で押動部,保持部を動かすことができる。また、ロック解除部材がレールに沿って延びた板状のプレートとして形成されているため、構成が簡素であるとともに、余分な場所をとらずに開口周縁部に収めることができる。
【0015】
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項3)によれば、足の操作で容易に押動部を動かすことができる。また、押動部を動かすための動力を必要としないため、構成が極めて簡素である。
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項4)によれば、簡素な構成で押動部と保持部とを同時に形成できる。部品自体の製造が容易であるとともに、コスト削減に寄与できる。
【0016】
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項5)によれば、開放状態でロックされたフードを閉める際に、足踏み部を踏み込む動作で容易にロック解除ができる。
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項6)によれば、リンク部材を駆動することにより、ロック解除が可能となる。例えば、リンク部材として電動モータを利用することもでき、又は、手動でプレートを動かすためのケーブル,ワイヤー等を用いることも可能である。
【0017】
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項7)によれば、作業機械のエンジンルームのフードのロック機構に本装置を適用でき、一人でメンテナンス作業を行っている場合であっても、両手でフードを支えながら開放ロックを解除できる。また、開放ロックを解除した直後にフードが急閉鎖することがなく、より安全にメンテナンス作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面により、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図7は、本発明の一実施形態としての開閉式フードのロック解除装置を示すものであり、図1はその斜視図、図2は図1のA矢視図、図3は図1のレール及びステーを示す側面図、図4は図1のプレートを示す側面図、図5は本装置の作用を示す図であり、(a)は開放ロック時、(b)はロック解除時を示し、図6は本装置が適用された作業機械の車体内部を透視した斜視図、図7は本装置が適用された作業機械の車体後部の斜視図である。
【0019】
[構成]
本ロック解除装置が適用された作業機械の上部旋回体10を図7に示す。この上部旋回体10の後端部にはカウンタウェイト11が設けられ、その直前方にはエンジンや油圧ポンプが搭載されるエンジンルーム3が設けられる。エンジンルーム3のさらに前方には、燃料タンク12や作動油タンク13が配置されるとともに、作業用のブーム装置やキャブ(図示省略)が配置される。
【0020】
図6に上部旋回体10の外装を取り外した状態を示すと、エンジンルーム3の内部は各種装置が配置される箱状の空間となっている。エンジンルーム3の上面は開口部として形成され、この開口部を覆うエンジンフード1(以下、単にフードと称す)が上方へ開放可能に取り付けられる。なお、エンジンルーム3の開口部の周囲(周縁部)には、断面が略L字形状のアングル部材からなる補強材としての枠体14が取り付けられて補強されている。図1に示すように、枠体14は開口部に沿って略水平に配置された上面2cと、開口内部側に面して鉛直となるように配置された鉛直面2dとを備えて構成される。
【0021】
また、フード1は機体後方側の枠体14に対してヒンジを介して取り付けられる。これによりフード1は、その機体前方側方向を開閉するように枠体14に軸支される。
次に、フード1の開放ロック機構について説明する。図6に示すように、枠体14のうちフード1を軸支する枠体14に対する垂直方向の枠体14の一方には、レール2が設けられる。このレール2は、図1,図2に示すように、枠体14の鉛直面2dとして設けられている。レール2には、略水平方向へ直線的に延びるように細長い長孔2aが形成されており、長孔2aの延在方向はフード1の開閉回転軸に対して略垂直な方向となっている。
【0022】
また、フード1とレール2との間にはステー4が介装される。このステー4は、図1に示すように、開口面に対して鉛直な面方向に配向された棒体を、その上端部4a及び下端部4bにおいて略水平方向へ屈曲形成したものであり、その上端部4aをフード1に軸支されるとともに、下端部4bをレール2の長孔2a内に保持されている。フード1には、ステー4の上端部4aを軸支するためのステー受け1aが設けられ、ステー受け1aに穿設された軸支穴1bの内部を通るように上端部4aが挿通されている。一方、ステー4の下端部4bは、長孔2a内を通るように挿通され、長孔2aの延在方向へ摺動可能に保持されている。
【0023】
なお、長孔2aの延在方向や延在長さは、上端部4aの位置やフード1の枠体14への軸支位置,ステー4の長さに応じて予め設定されるものである。本実施形態では、閉鎖状態にあるフード1を開放させるに連れて、長孔2a内における下端部4bの摺動位置が徐々に矢印B方向へ移動するようになっている。
また、ここでは図示を省略しているが、枠体14とフード1との間には、フード1の開閉動作にかかる衝撃を緩衝するダンパやトーションバネが取り付けられているが、フード1は、自重によって閉鎖しうる程度の重さを持っている。これにより、例えば、開放状態にあるフード1から手を離すと、長孔2a内における下端部4bの摺動位置が徐々に矢印B方向とは反対方向へ移動するようになっている。
【0024】
図3に示すように、レール2には、長孔2aのうちフード1の開閉回転軸側の端部に、長孔2aに連続して略鉛直下方向へ延びるように穿孔されたロック孔5が形成されている。長孔2aの延在方向とロック孔5の延在方向とのなす角度は略直角になっている。このロック孔5は、フード1が略最大開放状態にあるときにステー4の下端部4bを係止して固定するための孔である。つまり、フード1の開閉時には、ステー4の下端部4bは長孔2a内をその延在方向へ摺動するが、フード1を略最大開放させると、ステー4の下端部4bが長孔2aの端部、すなわち、ロック孔5が穿孔された位置まで達し、ステー4の下端部4bがフード1の自重によりロック孔5の延在方向(すなわち、ここでは下方向)へ移動して係止されるようになっている。これにより、例えばメンテナンス時には、ステー4の下端部4bをロック孔5に係止させることで、フード1の開放状態を保持(所謂開放ロック)できるようになっている。なお、ステー4の下端部4bをロック孔5の外へ移動させると、フード1の自重は、下端部4bを長孔2a内における矢印B方向とは反対方向へ移動させるように作用する。
【0025】
また、図2に示すように、レール2の鉛直面2dにおける長孔2aの下方には、上面2cの延在方向へ水平にピン軸7(回転軸)が固設され、このピン軸7を介してプレート(ロック解除部材)6が支持されている。
プレート6は、図4に示される形状の板材であり、略矩形板材の一隅を切り欠いた切り欠き部6eが形成されている。切り欠き部6eの端辺は、略水平に形成された押動部6aと略垂直に形成されて押動部6aよりも上方へ突設された保持部6bとから構成されている。なお、切り欠き部6eの位置は、プレート6がレール2に支持された状態におけるロック孔5の直下方となっている。
【0026】
プレート6の中央部付近にはピン軸7を挿通固定するためのピン穴6dが設けられ、ピン穴6dを挟んで切り欠き部6eの反対側(プレート6の長手方向についての反対側)には、足踏み部6cが突設形成されている。
また、ピン穴6dの穿孔位置は、足踏み部6cを上方へ向けて、図4に示すプレート6の配向状態としたときに、プレート6の重心よりも足踏み部6cに近い方向へずれた位置に設定されている。なお、図1,図2に示すように、レール2の上面2cには、プレート6がレール2に軸支された状態における足踏み部6cとの干渉位置にプレート孔2bが穿孔されている。
【0027】
これにより、ピン軸7を介してレール2に支持されたプレート6は、足踏み部6c側よりも押動部6a側の方が重くなり、押動部6a側が下方へ傾むこうとする状態となる。これにより、足踏み部6cは上方へ持ち上げられることになり、プレート孔2bの内部を通って上面2cよりも上方へ突設された状態となる。つまり、足踏み部6cは開口面から飛び出した状態となる。
【0028】
なお、足踏み部6cの上面2cからの突出量は、フード1の閉鎖時にフード1と干渉するおそれのない程度の大きさ及び位置となっており、且つ、足踏み部6cを上面2cまで押し込んだときに上方へ跳ね上げられる押動部6aの移動量がロック孔5の長さよりも大きくなるように設定されている。押動部6aは、上方へ跳ね上げられたときにステー4の下端部4bをロック孔5内から長孔2aへ押し上げるように作用する。
【0029】
また、足踏み部6cの上面2cからの突出量は、プレート6の保持部6bが長孔2aを塞ぐことのできる位置まで跳ね上げられるように設定されている。ただし、保持部6bが長孔2aを完全に塞ぐ位置まで跳ね上げられる必要はなく、少なくとも長孔2a内をステー4の下端部4bの摺動が阻止される(すなわち、保持部6bによってステー4の下端部4bが係止される)位置まで跳ね上げられていればよい。つまり、保持部6bは、ステー4の下端部4bの摺動ストローク(長孔2a内におけるフード1の開閉回転軸側の端部からの摺動可能距離)を短く縮めるものであればよい。
【0030】
[作用,効果]
次に、本ロック解除装置の作用,効果を説明する。まず、閉鎖状態にあるエンジンルーム3のフード1を開放してゆくと、ステー4の上端部4aはフード1のステー受け1aに軸支されているため、ステー4の下端部4bが、図1におけるB方向へ摺動する。そして、フード1が略最大開放されると、図5(a)に示すように、ステー4の下端部4bがロック孔5の下方へ移動して係止され、フード1が開放ロックされる。
【0031】
このとき、プレート6をレール2に対して軸支するピン軸7の位置は、プレート6の重心よりも足踏み部6cに近い方向へずれた位置に設定されているため、プレート6の自重バランスにより押動部6a側が下方へ傾むこうとし、足踏み部6cがプレート孔2bから突出して上方に持ち上げられた状態となっている。
メンテナンス作業後にフード1を閉鎖する場合には、作業者によって、両手でフード1が支えられつつ、レール2の上面2cから突出する足踏み部6cが足で踏み込まれる。これにより、プレート6はピン軸7を中心として、図5(b)中に矢印Cで示す方向へ回転し、押動部6a及び保持部6bが上方へ跳ね上げられる。
【0032】
ここで、プレート6の押動部6aが上方へ跳ね上げられる移動量は、ロック孔5の長さよりも大きくなるように設定されているため、図5(a)に示すように、ロック孔5に係止されていたステー4の下端部4bが押動部6aにより下方から上方へ向けて押し上げられることになり、フード1の開放ロックを解除することができる。つまり、ここでは、足踏み部6cを作用点,ピン軸7を中心点(支点)、押動部6aを力点とした「てこ」が形成されている。
【0033】
なお、このとき、ステー4の下端部4bがロック孔5から押し上げられると、フード1の自重が、下端部4bを長孔2a内における矢印B方向とは反対方向へ移動させるように作用し、フード1が自重で閉鎖しようとすることになる。しかし、これと同時に、押動部6aよりも上方へ突設されたプレート6の保持部6bは、長孔2aを塞ぐ位置まで跳ね上げられ、ステー4の下端部4bの摺動ストロークが縮められる。
【0034】
つまり、長孔2a内を摺動しようとするステー4の下端部4bの移動が拘束され、保持部6bにより下端部4bが保持される。つまり、押動部6aの作用により開放ロックが解除されて、フード1の自重により長孔2a内を摺動しようとする下端部4bの移動を固定することができ、フード1の急閉鎖を防止することができる。
続いて、作業者により踏み込まれていた足踏み部6cから足が放されると、プレート6の押動部6a側が、自重により下方へ傾むこうとする状態となり、保持部6bが下方へ移動し、保持部6bによって保持されていたステー4の下端部4bが長孔2a内を摺動可能な状態となる。これにより、ステー4が図5(b)中矢印D方向へ摺動し、フード1が閉鎖される。
【0035】
このように、本ロック解除装置によれば、ステー4をロック孔5に係止させてフード1を開放ロック状態にしておくことができるとともに、フード1の閉鎖時には、プレート6を用いて簡単にロックを解除できる。これにより、直接手を触れることなくロック解除が可能となる。
また、ロック解除時には、プレート6の保持部6bによってステー4の下端部4bが保持されるためステー4が摺動しない。したがって、急にフード1が閉まるようなことがなく、一旦フード1の動きを止めておくことができる。
【0036】
また、作業者は足踏み操作でフード1の開放ロック解除を行うことができるため、両手でフード1を持った状態でフード1を閉鎖させることができる。また、開放ロック解除のための複雑な構成や動力装置等を必要としないという利点もある。
【0037】
さらに、本ロック解除装置では、プレート6を備えたことによって、フード1の開放ロックを解除し且つステー4を保持するという新たな機能を得ることができる。また、プレート6に形成される押動部6a及び保持部6bは、矩形板材の一隅を切り欠いて設けられた切り欠き部6eの端辺であって、構成が簡素であり極めて容易に製造,加工が可能である。
また、プレート6がレール2に対してピン軸7を介して軸支されているため、踏み込み操作でプレート6の押動部6a及び保持部6bを簡単に上方へ動かすことができる。
【0038】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0039】
上述の実施形態では、レール2が開口部の周縁部に設けられているが、逆にフード1側にレール2が設けられた構成としてもよい。この場合、ステー4はその下端部4bにおいて開口部の周縁部(例えば、枠体14)に枢着され、上端部4aが長孔2a内を摺動可能に保持される。つまり、フード1側の構成と開口部側の構成とが逆に配置されることになり、フード1側に設けられたプレート6の足踏み部6cを動かす動作によってフード1の開放ロック解除とステー4の上端部4aの保持(急閉鎖防止)とを同時に実施できる。なお、足踏み部6cを動かす動作には、手で押し込む動作や引き出す動作等も含まれる。
【0040】
この場合、フード1の開き角度やフード1の大きさ等に応じて、作業者が操作しやすい位置及び動作を考慮しておくことが好ましい。例えば、作業者が開放されたフード1の前面に立った姿勢を想定し、その作業者がフード1のヘリを持つ位置(又はその近傍)に足踏み部6cを設けることで、より安全な姿勢で、ロック解除をしながらフード1を閉鎖させることができる。
【0041】
また、上述の実施形態では、レール2が枠体14(すなわち、開口部の周縁部)に設けられているが、レール2の配設位置はこれに限定されない。例えば、レール2をフード1側に設ける場合、フード1の中央部付近に設けることも可能である。なお、足踏み部6cについても、必ずしもレール2の配設位置の近くに配設される必要はなく、開口部の周縁部以外の位置に設けて作業者の使いやすい位置に設定することも可能である。
【0042】
また、上述の実施形態では、レール2の配設方向及び長孔2aの延在方向が略水平方向となっているが、これはフード1や開口の形状,傾斜やステー4の長さ,軸支位置等に応じて適宜変更可能である。同様に、ロック孔5の形状や延在方向についても同様である。なお、ロック孔5を複数有し、フード1の開放の度合い(開放角度)を多段階的に調節できる開閉機構においても本実施形態の構成を利用することが可能である。この場合、各ロック孔5に対応する押動部6a,保持部6bを設ければよい。
【0043】
また、プレート6のピン軸7による軸支位置は任意であり、踏み込み方向及び押動部6a,保持部6bの移動方向に合わせて最適位置に設定することができる。なお、上述の実施形態では、踏み込み力を間接的に押動部6a,保持部6bを移動させる力として利用しているが、例えば押動部6a,保持部6bを移動させるための駆動装置等を設けてもよい。この場合、プレート6の踏み込み部6cやピン軸7といった構成要素が不要となる。
【0044】
このような駆動装置として、例えば、プレート6にケーブルやワイヤー等のリンク部材を連結し、これらを引っ張ることでプレート6を動かすような構成とした場合、手動でプレート6を動かして、開放ロック解除及び急閉鎖防止を同時に実現できる。また、このようなリンク機構の代わりに、電動モータ等を利用してプレート6を動かす構成としてもよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、ピン軸7を介してレール2に支持されたプレート6が、足踏み部6c側よりも押動部6a側が下方へ傾むこうとする自重バランスとなっているが、例えば、押動部6a側が下方へ傾くようにプレート6を付勢するスプリングを設けた構成としてもよい。この場合、スプリングの付勢力は、例えば、作業機械の稼働によって振動が発生したとしてもプレート6の押動部6a側が下方へ傾いた姿勢を保持できる程度の付勢力であって、且つ、足踏み部6cを上面2cまで押し込むのに支障のない程度の付勢力とすることが考えられる。このような構成により、誤って開放ロックが解除されるような誤作動を防止できるとともに、作業機械の振動等による音鳴り(プレート6及び枠体14の接触によって生じる、カタカタという音の発生)を防止できる。
【0046】
なお、上述の実施形態では、ロック解除部材として略矩形板材のプレート6を備えた構成となっているが、ロック解除部材の形状はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態としての開閉式フードのロック解除装置を示す斜視図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1のレール及びステーを示す側面図である。
【図4】図1のプレートを示す側面図である。
【図5】本装置の作用を示す図であり、(a)は開放ロック時を示し、(b)はロック解除時を示す。
【図6】本装置が適用された作業機械の車体内部を透視した斜視図である。
【図7】本装置が適用された作業機械の車体後部の斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 エンジンフード(フード)
1a ステー受け
2 レール
2a 長孔
2b プレート孔
2c 上面
2d 鉛直面
3 エンジンルーム
4 ステー
4a 上端部(他端部)
4b 下端部(一端部)
5 ロック孔
6 プレート(ロック解除部材)
6a 押動部
6b 保持部
6c 足踏み部
6d ピン穴
6e 切り欠き部
7 ピン軸(回転軸)
10 上部旋回体
11 カウンタウェイト
12 燃料タンク
13 作動油タンク
14 枠体
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械におけるエンジンフードの開閉ロックを解除するのに用いて好適な開閉式フードのロック解除装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、油圧ショベル等の作業機械において、エンジンルームの上面に開口部を設けて、その開口部を開閉自在のエンジンフードで覆った構成のものがある。このようなエンジンフードを備えた作業機械において、エンジンルーム内のメンテナンスを行う際には、車体の上面に登りエンジンフードを上方へ開放して作業が行われるため、メンテナンスの作業性を向上させるべく、エンジンフードを開放したままの状態に固定しておくことのできる構造が適用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、エンジンフードに長孔の切欠を設けるとともにエンジンルーム側に枢着されたステーの端部を長孔に取り付けてなるエンジンフードにおいて、長孔の端部に大径の円孔を穿設するとともに、円孔に嵌合ロックする段付きピンをステーの先端に取り付けた構成が記載されている。この構成によれば、円孔と段付きピンとを嵌合させることでエンジンフードを全開位置に保持できる。
【0004】
また、特許文献2には、エンジンフードを開方向へ押動するバネを設け、その先端をエンジンフードに設けられたガイド溝内へ挿通するとともに、ガイド溝の一端側を折曲形成して係止溝とした構成が記載されている。つまり、バネの先端を係止溝に係止させることによって、バネの先端がバネのねじり中心を回転軸とした円弧上の軌跡を辿らないようにして、エンジンフードを開放したままにしておくことができるようになっている。
【0005】
このように、従来の作業機械には、エンジンフードと開口部との間に介装されるステーの移動を拘束するロック機構を備えることで、エンジンフードの開放状態を維持するものが数多く見られる。
【特許文献1】実開平6−72788号公報
【特許文献2】特開2003−96822号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような従来のロック機構では、開放状態にあるエンジンフードを再び閉める際に、ステーの拘束を一旦解除する必要がある。例えば、特許文献1に記載の技術では、段付きピンの円孔への嵌合を外す必要があり、また、特許文献2に記載の技術では、バネの先端を係止溝から外さなければならない。
つまり、一人でメンテナンス作業を行っている場合には、エンジンフードを閉める際に片方の手でエンジンフードを支えながら、他方の手でステーのロックを解除しなければならず、操作が煩雑であるという課題がある。特に、作業機械は多様な気候,気象環境下で使用されるものであり、炎天下や降雪時であってもメンテナンス作業を行う場合があるため、できる限り作業性を向上させて、作業を行う者にとって使いやすくすることが望ましい。また、一般に作業機械のメンテナンスは、作業用手袋等の保護具を着装した状態で作業を行うため、指先を使うような細かい作業が不要なロック機構にしたい。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、簡素な構成で、容易にフードの開放ロックを解除でき、且つ、フードの急閉鎖を防止できるようにした、開閉式フードのロック解除装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項1)は、開口部を上方へ開放可能に覆うフードと、長孔が穿設され、該フード及び該開口部のうちの何れか一方に配設されたレールと、一端部を該フードの開閉動作に連動して該レールの該長孔内に摺動可能に保持されるとともに、他端部を該フード及び該開口部のうちの他方に軸支されたステーと、該長孔の延在方向に対し所定の角度を有して該長孔の端部から延設され、該ステーの該一端部を係止して該フードを開放状態に固定するロック孔と、該ロック孔の延設方向の端部側に配設されたロック解除部材とを備え、該ロック解除部材は、該ロック孔に係止された該ステーの該一端部を該長孔まで押動しうる押動部と、該押動部による押動時に該長孔内における該一端部の摺動ストロークを縮めて該一端部を該長孔の途中に保持する保持部とを有することを特徴としている。
【0009】
なお、該ロック解除部材の該保持部は、該押動部よりも少なくとも該長孔方向へ突出又は膨出した形状を有して形成されることが好ましい。あるいは、該押動部に押動されて該ステーの一端部が該長孔まで到達した場合に、該長孔上での摺動を阻止すべく該ステーの一端部の摺動方向側で、該一端部を係止しうる形状であることが好ましい。
また、該ロック解除部材は、該レールに沿って延びたプレートであって、該プレートは、該レールに対して回転軸を介して軸支されていることが好ましい(請求項2)。
【0010】
また、該プレートは、該レールに軸支された状態において、該押動部を該長孔方向へ移動させる方向へ該ロック解除部材を回転させるための作用点としての足踏み部を有することが好ましい(請求項3)。
また、該プレートは、略矩形板材の一隅を切り欠いて設けられた切り欠き部の端辺を該押動部及び該保持部として形成されていることが好ましい(請求項4)。
【0011】
また、該レール及び該長孔が、該開口部の開口面に沿って略水平に設けられ、該ロック孔が、該長孔から略鉛直下方向へ延設されるとともに、該足踏み部が、該回転軸を挟んで該押動部の反対側に形成され該開口面から突設されていることが好ましい(請求項5)。
また、該押動部を該長孔方向へ移動可能に該ロック解除部材に連結されたリンク部材を備えていることが好ましい(請求項6)。
【0012】
また、エンジンを搭載した作業機械の上部旋回体に設けられ、該開口部が、該上部旋回体の上面にエンジンルームの点検口として開口されていることが好ましい(請求項7)。
【発明の効果】
【0013】
本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項1)によれば、フードの開放時には、ステーをロック孔に係止して開放状態を保持(すなわち開放ロック)することができ、一方、フードの閉鎖時には、ロック解除部材を用いて簡単にロックを解除できる。これにより、直接ステーに触れることなくロック解除が可能となり、フードの利便性や作業性を高めることができる。また、ロック解除時には、ステーの一端部の摺動が一時的に阻止されるため、直ちにフードが閉じてしまうおそれがなく、一旦フードの動作を停止させることができる。つまり、簡素な構成でありながら、ロックを解除し且つフードの急閉鎖を防止するという二つの機能を持つロック解除機構を提供できる。
【0014】
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項2)によれば、簡素な構成で、容易に押動部,保持部を動かすことができる。また、てこの原理を利用することができ、回転軸の配設位置を工夫することによって、より小さな力で押動部,保持部を動かすことができる。また、ロック解除部材がレールに沿って延びた板状のプレートとして形成されているため、構成が簡素であるとともに、余分な場所をとらずに開口周縁部に収めることができる。
【0015】
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項3)によれば、足の操作で容易に押動部を動かすことができる。また、押動部を動かすための動力を必要としないため、構成が極めて簡素である。
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項4)によれば、簡素な構成で押動部と保持部とを同時に形成できる。部品自体の製造が容易であるとともに、コスト削減に寄与できる。
【0016】
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項5)によれば、開放状態でロックされたフードを閉める際に、足踏み部を踏み込む動作で容易にロック解除ができる。
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項6)によれば、リンク部材を駆動することにより、ロック解除が可能となる。例えば、リンク部材として電動モータを利用することもでき、又は、手動でプレートを動かすためのケーブル,ワイヤー等を用いることも可能である。
【0017】
また、本発明の開閉式フードのロック解除装置(請求項7)によれば、作業機械のエンジンルームのフードのロック機構に本装置を適用でき、一人でメンテナンス作業を行っている場合であっても、両手でフードを支えながら開放ロックを解除できる。また、開放ロックを解除した直後にフードが急閉鎖することがなく、より安全にメンテナンス作業を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面により、本発明の実施形態について説明する。
図1〜図7は、本発明の一実施形態としての開閉式フードのロック解除装置を示すものであり、図1はその斜視図、図2は図1のA矢視図、図3は図1のレール及びステーを示す側面図、図4は図1のプレートを示す側面図、図5は本装置の作用を示す図であり、(a)は開放ロック時、(b)はロック解除時を示し、図6は本装置が適用された作業機械の車体内部を透視した斜視図、図7は本装置が適用された作業機械の車体後部の斜視図である。
【0019】
[構成]
本ロック解除装置が適用された作業機械の上部旋回体10を図7に示す。この上部旋回体10の後端部にはカウンタウェイト11が設けられ、その直前方にはエンジンや油圧ポンプが搭載されるエンジンルーム3が設けられる。エンジンルーム3のさらに前方には、燃料タンク12や作動油タンク13が配置されるとともに、作業用のブーム装置やキャブ(図示省略)が配置される。
【0020】
図6に上部旋回体10の外装を取り外した状態を示すと、エンジンルーム3の内部は各種装置が配置される箱状の空間となっている。エンジンルーム3の上面は開口部として形成され、この開口部を覆うエンジンフード1(以下、単にフードと称す)が上方へ開放可能に取り付けられる。なお、エンジンルーム3の開口部の周囲(周縁部)には、断面が略L字形状のアングル部材からなる補強材としての枠体14が取り付けられて補強されている。図1に示すように、枠体14は開口部に沿って略水平に配置された上面2cと、開口内部側に面して鉛直となるように配置された鉛直面2dとを備えて構成される。
【0021】
また、フード1は機体後方側の枠体14に対してヒンジを介して取り付けられる。これによりフード1は、その機体前方側方向を開閉するように枠体14に軸支される。
次に、フード1の開放ロック機構について説明する。図6に示すように、枠体14のうちフード1を軸支する枠体14に対する垂直方向の枠体14の一方には、レール2が設けられる。このレール2は、図1,図2に示すように、枠体14の鉛直面2dとして設けられている。レール2には、略水平方向へ直線的に延びるように細長い長孔2aが形成されており、長孔2aの延在方向はフード1の開閉回転軸に対して略垂直な方向となっている。
【0022】
また、フード1とレール2との間にはステー4が介装される。このステー4は、図1に示すように、開口面に対して鉛直な面方向に配向された棒体を、その上端部4a及び下端部4bにおいて略水平方向へ屈曲形成したものであり、その上端部4aをフード1に軸支されるとともに、下端部4bをレール2の長孔2a内に保持されている。フード1には、ステー4の上端部4aを軸支するためのステー受け1aが設けられ、ステー受け1aに穿設された軸支穴1bの内部を通るように上端部4aが挿通されている。一方、ステー4の下端部4bは、長孔2a内を通るように挿通され、長孔2aの延在方向へ摺動可能に保持されている。
【0023】
なお、長孔2aの延在方向や延在長さは、上端部4aの位置やフード1の枠体14への軸支位置,ステー4の長さに応じて予め設定されるものである。本実施形態では、閉鎖状態にあるフード1を開放させるに連れて、長孔2a内における下端部4bの摺動位置が徐々に矢印B方向へ移動するようになっている。
また、ここでは図示を省略しているが、枠体14とフード1との間には、フード1の開閉動作にかかる衝撃を緩衝するダンパやトーションバネが取り付けられているが、フード1は、自重によって閉鎖しうる程度の重さを持っている。これにより、例えば、開放状態にあるフード1から手を離すと、長孔2a内における下端部4bの摺動位置が徐々に矢印B方向とは反対方向へ移動するようになっている。
【0024】
図3に示すように、レール2には、長孔2aのうちフード1の開閉回転軸側の端部に、長孔2aに連続して略鉛直下方向へ延びるように穿孔されたロック孔5が形成されている。長孔2aの延在方向とロック孔5の延在方向とのなす角度は略直角になっている。このロック孔5は、フード1が略最大開放状態にあるときにステー4の下端部4bを係止して固定するための孔である。つまり、フード1の開閉時には、ステー4の下端部4bは長孔2a内をその延在方向へ摺動するが、フード1を略最大開放させると、ステー4の下端部4bが長孔2aの端部、すなわち、ロック孔5が穿孔された位置まで達し、ステー4の下端部4bがフード1の自重によりロック孔5の延在方向(すなわち、ここでは下方向)へ移動して係止されるようになっている。これにより、例えばメンテナンス時には、ステー4の下端部4bをロック孔5に係止させることで、フード1の開放状態を保持(所謂開放ロック)できるようになっている。なお、ステー4の下端部4bをロック孔5の外へ移動させると、フード1の自重は、下端部4bを長孔2a内における矢印B方向とは反対方向へ移動させるように作用する。
【0025】
また、図2に示すように、レール2の鉛直面2dにおける長孔2aの下方には、上面2cの延在方向へ水平にピン軸7(回転軸)が固設され、このピン軸7を介してプレート(ロック解除部材)6が支持されている。
プレート6は、図4に示される形状の板材であり、略矩形板材の一隅を切り欠いた切り欠き部6eが形成されている。切り欠き部6eの端辺は、略水平に形成された押動部6aと略垂直に形成されて押動部6aよりも上方へ突設された保持部6bとから構成されている。なお、切り欠き部6eの位置は、プレート6がレール2に支持された状態におけるロック孔5の直下方となっている。
【0026】
プレート6の中央部付近にはピン軸7を挿通固定するためのピン穴6dが設けられ、ピン穴6dを挟んで切り欠き部6eの反対側(プレート6の長手方向についての反対側)には、足踏み部6cが突設形成されている。
また、ピン穴6dの穿孔位置は、足踏み部6cを上方へ向けて、図4に示すプレート6の配向状態としたときに、プレート6の重心よりも足踏み部6cに近い方向へずれた位置に設定されている。なお、図1,図2に示すように、レール2の上面2cには、プレート6がレール2に軸支された状態における足踏み部6cとの干渉位置にプレート孔2bが穿孔されている。
【0027】
これにより、ピン軸7を介してレール2に支持されたプレート6は、足踏み部6c側よりも押動部6a側の方が重くなり、押動部6a側が下方へ傾むこうとする状態となる。これにより、足踏み部6cは上方へ持ち上げられることになり、プレート孔2bの内部を通って上面2cよりも上方へ突設された状態となる。つまり、足踏み部6cは開口面から飛び出した状態となる。
【0028】
なお、足踏み部6cの上面2cからの突出量は、フード1の閉鎖時にフード1と干渉するおそれのない程度の大きさ及び位置となっており、且つ、足踏み部6cを上面2cまで押し込んだときに上方へ跳ね上げられる押動部6aの移動量がロック孔5の長さよりも大きくなるように設定されている。押動部6aは、上方へ跳ね上げられたときにステー4の下端部4bをロック孔5内から長孔2aへ押し上げるように作用する。
【0029】
また、足踏み部6cの上面2cからの突出量は、プレート6の保持部6bが長孔2aを塞ぐことのできる位置まで跳ね上げられるように設定されている。ただし、保持部6bが長孔2aを完全に塞ぐ位置まで跳ね上げられる必要はなく、少なくとも長孔2a内をステー4の下端部4bの摺動が阻止される(すなわち、保持部6bによってステー4の下端部4bが係止される)位置まで跳ね上げられていればよい。つまり、保持部6bは、ステー4の下端部4bの摺動ストローク(長孔2a内におけるフード1の開閉回転軸側の端部からの摺動可能距離)を短く縮めるものであればよい。
【0030】
[作用,効果]
次に、本ロック解除装置の作用,効果を説明する。まず、閉鎖状態にあるエンジンルーム3のフード1を開放してゆくと、ステー4の上端部4aはフード1のステー受け1aに軸支されているため、ステー4の下端部4bが、図1におけるB方向へ摺動する。そして、フード1が略最大開放されると、図5(a)に示すように、ステー4の下端部4bがロック孔5の下方へ移動して係止され、フード1が開放ロックされる。
【0031】
このとき、プレート6をレール2に対して軸支するピン軸7の位置は、プレート6の重心よりも足踏み部6cに近い方向へずれた位置に設定されているため、プレート6の自重バランスにより押動部6a側が下方へ傾むこうとし、足踏み部6cがプレート孔2bから突出して上方に持ち上げられた状態となっている。
メンテナンス作業後にフード1を閉鎖する場合には、作業者によって、両手でフード1が支えられつつ、レール2の上面2cから突出する足踏み部6cが足で踏み込まれる。これにより、プレート6はピン軸7を中心として、図5(b)中に矢印Cで示す方向へ回転し、押動部6a及び保持部6bが上方へ跳ね上げられる。
【0032】
ここで、プレート6の押動部6aが上方へ跳ね上げられる移動量は、ロック孔5の長さよりも大きくなるように設定されているため、図5(a)に示すように、ロック孔5に係止されていたステー4の下端部4bが押動部6aにより下方から上方へ向けて押し上げられることになり、フード1の開放ロックを解除することができる。つまり、ここでは、足踏み部6cを作用点,ピン軸7を中心点(支点)、押動部6aを力点とした「てこ」が形成されている。
【0033】
なお、このとき、ステー4の下端部4bがロック孔5から押し上げられると、フード1の自重が、下端部4bを長孔2a内における矢印B方向とは反対方向へ移動させるように作用し、フード1が自重で閉鎖しようとすることになる。しかし、これと同時に、押動部6aよりも上方へ突設されたプレート6の保持部6bは、長孔2aを塞ぐ位置まで跳ね上げられ、ステー4の下端部4bの摺動ストロークが縮められる。
【0034】
つまり、長孔2a内を摺動しようとするステー4の下端部4bの移動が拘束され、保持部6bにより下端部4bが保持される。つまり、押動部6aの作用により開放ロックが解除されて、フード1の自重により長孔2a内を摺動しようとする下端部4bの移動を固定することができ、フード1の急閉鎖を防止することができる。
続いて、作業者により踏み込まれていた足踏み部6cから足が放されると、プレート6の押動部6a側が、自重により下方へ傾むこうとする状態となり、保持部6bが下方へ移動し、保持部6bによって保持されていたステー4の下端部4bが長孔2a内を摺動可能な状態となる。これにより、ステー4が図5(b)中矢印D方向へ摺動し、フード1が閉鎖される。
【0035】
このように、本ロック解除装置によれば、ステー4をロック孔5に係止させてフード1を開放ロック状態にしておくことができるとともに、フード1の閉鎖時には、プレート6を用いて簡単にロックを解除できる。これにより、直接手を触れることなくロック解除が可能となる。
また、ロック解除時には、プレート6の保持部6bによってステー4の下端部4bが保持されるためステー4が摺動しない。したがって、急にフード1が閉まるようなことがなく、一旦フード1の動きを止めておくことができる。
【0036】
また、作業者は足踏み操作でフード1の開放ロック解除を行うことができるため、両手でフード1を持った状態でフード1を閉鎖させることができる。また、開放ロック解除のための複雑な構成や動力装置等を必要としないという利点もある。
【0037】
さらに、本ロック解除装置では、プレート6を備えたことによって、フード1の開放ロックを解除し且つステー4を保持するという新たな機能を得ることができる。また、プレート6に形成される押動部6a及び保持部6bは、矩形板材の一隅を切り欠いて設けられた切り欠き部6eの端辺であって、構成が簡素であり極めて容易に製造,加工が可能である。
また、プレート6がレール2に対してピン軸7を介して軸支されているため、踏み込み操作でプレート6の押動部6a及び保持部6bを簡単に上方へ動かすことができる。
【0038】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0039】
上述の実施形態では、レール2が開口部の周縁部に設けられているが、逆にフード1側にレール2が設けられた構成としてもよい。この場合、ステー4はその下端部4bにおいて開口部の周縁部(例えば、枠体14)に枢着され、上端部4aが長孔2a内を摺動可能に保持される。つまり、フード1側の構成と開口部側の構成とが逆に配置されることになり、フード1側に設けられたプレート6の足踏み部6cを動かす動作によってフード1の開放ロック解除とステー4の上端部4aの保持(急閉鎖防止)とを同時に実施できる。なお、足踏み部6cを動かす動作には、手で押し込む動作や引き出す動作等も含まれる。
【0040】
この場合、フード1の開き角度やフード1の大きさ等に応じて、作業者が操作しやすい位置及び動作を考慮しておくことが好ましい。例えば、作業者が開放されたフード1の前面に立った姿勢を想定し、その作業者がフード1のヘリを持つ位置(又はその近傍)に足踏み部6cを設けることで、より安全な姿勢で、ロック解除をしながらフード1を閉鎖させることができる。
【0041】
また、上述の実施形態では、レール2が枠体14(すなわち、開口部の周縁部)に設けられているが、レール2の配設位置はこれに限定されない。例えば、レール2をフード1側に設ける場合、フード1の中央部付近に設けることも可能である。なお、足踏み部6cについても、必ずしもレール2の配設位置の近くに配設される必要はなく、開口部の周縁部以外の位置に設けて作業者の使いやすい位置に設定することも可能である。
【0042】
また、上述の実施形態では、レール2の配設方向及び長孔2aの延在方向が略水平方向となっているが、これはフード1や開口の形状,傾斜やステー4の長さ,軸支位置等に応じて適宜変更可能である。同様に、ロック孔5の形状や延在方向についても同様である。なお、ロック孔5を複数有し、フード1の開放の度合い(開放角度)を多段階的に調節できる開閉機構においても本実施形態の構成を利用することが可能である。この場合、各ロック孔5に対応する押動部6a,保持部6bを設ければよい。
【0043】
また、プレート6のピン軸7による軸支位置は任意であり、踏み込み方向及び押動部6a,保持部6bの移動方向に合わせて最適位置に設定することができる。なお、上述の実施形態では、踏み込み力を間接的に押動部6a,保持部6bを移動させる力として利用しているが、例えば押動部6a,保持部6bを移動させるための駆動装置等を設けてもよい。この場合、プレート6の踏み込み部6cやピン軸7といった構成要素が不要となる。
【0044】
このような駆動装置として、例えば、プレート6にケーブルやワイヤー等のリンク部材を連結し、これらを引っ張ることでプレート6を動かすような構成とした場合、手動でプレート6を動かして、開放ロック解除及び急閉鎖防止を同時に実現できる。また、このようなリンク機構の代わりに、電動モータ等を利用してプレート6を動かす構成としてもよい。
【0045】
また、上述の実施形態では、ピン軸7を介してレール2に支持されたプレート6が、足踏み部6c側よりも押動部6a側が下方へ傾むこうとする自重バランスとなっているが、例えば、押動部6a側が下方へ傾くようにプレート6を付勢するスプリングを設けた構成としてもよい。この場合、スプリングの付勢力は、例えば、作業機械の稼働によって振動が発生したとしてもプレート6の押動部6a側が下方へ傾いた姿勢を保持できる程度の付勢力であって、且つ、足踏み部6cを上面2cまで押し込むのに支障のない程度の付勢力とすることが考えられる。このような構成により、誤って開放ロックが解除されるような誤作動を防止できるとともに、作業機械の振動等による音鳴り(プレート6及び枠体14の接触によって生じる、カタカタという音の発生)を防止できる。
【0046】
なお、上述の実施形態では、ロック解除部材として略矩形板材のプレート6を備えた構成となっているが、ロック解除部材の形状はこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施形態としての開閉式フードのロック解除装置を示す斜視図である。
【図2】図1のA矢視図である。
【図3】図1のレール及びステーを示す側面図である。
【図4】図1のプレートを示す側面図である。
【図5】本装置の作用を示す図であり、(a)は開放ロック時を示し、(b)はロック解除時を示す。
【図6】本装置が適用された作業機械の車体内部を透視した斜視図である。
【図7】本装置が適用された作業機械の車体後部の斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
1 エンジンフード(フード)
1a ステー受け
2 レール
2a 長孔
2b プレート孔
2c 上面
2d 鉛直面
3 エンジンルーム
4 ステー
4a 上端部(他端部)
4b 下端部(一端部)
5 ロック孔
6 プレート(ロック解除部材)
6a 押動部
6b 保持部
6c 足踏み部
6d ピン穴
6e 切り欠き部
7 ピン軸(回転軸)
10 上部旋回体
11 カウンタウェイト
12 燃料タンク
13 作動油タンク
14 枠体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を上方へ開放可能に覆うフードと、
長孔が穿設され、該フード及び該開口部のうちの何れか一方に配設されたレールと、
一端部を該フードの開閉動作に連動して該レールの該長孔内に摺動可能に保持されるとともに、他端部を該フード及び該開口部のうちの他方に軸支されたステーと、
該長孔の延在方向に対し所定の角度を有して該長孔の端部から延設され、該ステーの該一端部を係止して該フードを開放状態に固定するロック孔と、
該ロック孔の延設方向の端部側に配設されたロック解除部材とを備え、
該ロック解除部材は、該ロック孔に係止された該ステーの該一端部を該長孔まで押動しうる押動部と、該押動部による押動時に該長孔内における該一端部の摺動ストロークを縮めて該一端部を該長孔の途中に保持する保持部とを有する
ことを特徴とする、開閉式フードのロック解除装置。
【請求項2】
該ロック解除部材は、該レールに沿って延びたプレートであって、
該プレートは、該レールに対して回転軸を介して軸支されている
ことを特徴とする、請求項1記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項3】
該プレートは、該レールに軸支された状態において、該押動部を該長孔方向へ移動させる方向へ該ロック解除部材を回転させるための作用点としての足踏み部を有する
ことを特徴とする、請求項2記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項4】
該プレートは、略矩形板材の一隅を切り欠いて設けられた切り欠き部の端辺を該押動部及び該保持部として形成されている
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項5】
該レール及び該長孔が、該開口部の開口面に沿って略水平に設けられ、
該ロック孔が、該長孔から略鉛直下方向へ延設されるとともに、
該足踏み部が、該回転軸を挟んで該押動部の反対側に形成され該開口面から突設されている
ことを特徴とする、請求項3記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項6】
該押動部を該長孔方向へ移動可能に該ロック解除部材に連結されたリンク部材を備えている
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項7】
エンジンを搭載した作業機械の上部旋回体に設けられ、
該開口部が、該上部旋回体の上面にエンジンルームの点検口として開口されている
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項1】
開口部を上方へ開放可能に覆うフードと、
長孔が穿設され、該フード及び該開口部のうちの何れか一方に配設されたレールと、
一端部を該フードの開閉動作に連動して該レールの該長孔内に摺動可能に保持されるとともに、他端部を該フード及び該開口部のうちの他方に軸支されたステーと、
該長孔の延在方向に対し所定の角度を有して該長孔の端部から延設され、該ステーの該一端部を係止して該フードを開放状態に固定するロック孔と、
該ロック孔の延設方向の端部側に配設されたロック解除部材とを備え、
該ロック解除部材は、該ロック孔に係止された該ステーの該一端部を該長孔まで押動しうる押動部と、該押動部による押動時に該長孔内における該一端部の摺動ストロークを縮めて該一端部を該長孔の途中に保持する保持部とを有する
ことを特徴とする、開閉式フードのロック解除装置。
【請求項2】
該ロック解除部材は、該レールに沿って延びたプレートであって、
該プレートは、該レールに対して回転軸を介して軸支されている
ことを特徴とする、請求項1記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項3】
該プレートは、該レールに軸支された状態において、該押動部を該長孔方向へ移動させる方向へ該ロック解除部材を回転させるための作用点としての足踏み部を有する
ことを特徴とする、請求項2記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項4】
該プレートは、略矩形板材の一隅を切り欠いて設けられた切り欠き部の端辺を該押動部及び該保持部として形成されている
ことを特徴とする、請求項2又は3記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項5】
該レール及び該長孔が、該開口部の開口面に沿って略水平に設けられ、
該ロック孔が、該長孔から略鉛直下方向へ延設されるとともに、
該足踏み部が、該回転軸を挟んで該押動部の反対側に形成され該開口面から突設されている
ことを特徴とする、請求項3記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項6】
該押動部を該長孔方向へ移動可能に該ロック解除部材に連結されたリンク部材を備えている
ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか1項に記載の開閉式フードのロック解除装置。
【請求項7】
エンジンを搭載した作業機械の上部旋回体に設けられ、
該開口部が、該上部旋回体の上面にエンジンルームの点検口として開口されている
ことを特徴とする、請求項1〜6の何れか1項に記載の開閉式フードのロック解除装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2007−30602(P2007−30602A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214185(P2005−214185)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000190297)新キャタピラー三菱株式会社 (1,189)
【Fターム(参考)】
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