説明

開閉式屋根

【課題】 強風に曝されても破損しない頑健性の高い開閉式屋根の提供。
【解決手段】 互いに平行に配設された一対のレール部材と、前記一対のレール部材に両端上下を挟持され、該レール部材に沿って移動可能とされるとともに、該レール部材に対して略直角に横切る複数本の支持部材と、前記複数本の支持部材下面に配設・固定される折り畳み可能な材料からなる矩形シート状の幕材からなることを特徴とする開閉式屋根である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、必要に応じて屋根を折り畳んだり、広げたりすることが可能な開閉式屋根に関し、より詳しくは強風にさらされる場所において好適に使用可能な開閉式屋根に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外の港湾倉庫、土木建築作業現場、植物栽培施設、スポーツ施設或いは造船用ドック等の屋外施設において、開閉式屋根が用いられる。例えば、港湾倉庫に用いられる開閉式屋根は、ダンプ等の車両の荷台が上方に持ち上げられた際に、該荷台と屋根との衝突を防ぐために、開閉式屋根を折り畳み、その他の場面においては、開閉式屋根を拡開して雨除けの用に供するものである
このような従来の開閉式屋根として、特許文献1に提案されるような開閉式屋根が例示できる。
【0003】
図7に特許文献1に開示されるような従来型の開閉式屋根(T)を示す。従来の開閉式屋根は、一対のレール部材(R)、支持部材(S)及び幕材(C)からなる。支持部材(S)の両端はレール部材(R)に支持されている。幕材(C)は複数の支持部材(S)の上に載置されている。支持部材(S)の両端部は、レール部材に沿って前後に移動し、この移動に伴い、幕材(C)は折り畳まれ、或いは拡開される。
【0004】
【特許文献1】特開2003−74214号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記構造のような開閉式屋根(T)は、次のような課題を有する。
上述の如く、開閉式屋根(T)は主に屋外で用いられるものである。したがって、開閉式屋根(T)が設置される場所によっては、開閉式屋根(T)は強風に曝されることとなる。
幕材を用いた構造の開閉式屋根(T)は、構造的に簡便で、設置及び撤収が容易であるという利点を備えるが、強風等により強い力が加わると、幕材(C)が破断し、支持部材(S)から引きちぎられてしまうことがあった。
特に、開閉式屋根(T)が、海岸線に近い港湾施設等の作業現場に設置された場合には海風を受け、山裾に近い作業現場に設置された場合には、山からの吹き降ろし風を受けることとなり、上記問題点が顕著に現れる。
このような風による開閉式屋根(T)の破損は、現場作業を大きく滞らせるのみならず、作業現場で働く労働者の作業安全性をも脅かすものである。
本発明は上記実情を鑑みてなされたものであって、強風に曝されても破損しない頑健性の高い開閉式屋根を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、互いに平行に配設された一対のレール部材と、前記一対のレール部材に両端上下を挟持され、該レール部材に沿って移動可能とされるとともに、該レール部材に対して略直角に横切る複数本の支持部材と、前記複数本の支持部材下面に配設・固定される折り畳み可能な材料からなる矩形シート状の幕材からなることを特徴とする開閉式屋根である。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記各支持部材両端には、前記レール部材内を転動する転動体が配設され、前記複数本の支持部材のうち、前記開閉式屋根の縁近傍に沿って配設される支持部材はモータと接続し、該支持部材がモータからの駆動力によってレール部材に沿って移動し、他の支持部材が、モータと接続された支持部材によって押されることでレール部材に沿って移動することを特徴とする請求項1記載の開閉式屋根である。
請求項3記載の発明は、前記幕材が、該幕材幅方向中心位置を該幕材の前記レール部材に沿う縁部よりも高くして、前記支持部材下面に配設・固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉式屋根である。
請求項4記載の発明は、前記幕材の前記レール部材に沿う縁部下方に雨どいが配設されていることを特徴とする請求項3記載の開閉式屋根である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、支持部材がその両端上下をレール部材に挟持されるとともに、該支持部材下面に幕材が配設・固定されるので、開閉式屋根が強風を受け、幕材が上方に向けて風力を受けたときでも、支持部材が幕材を上方から押付けるので、幕材が吹き上げられることが防止され、幕材の破損を防止することが可能となる。
また支持部材がレール部材に沿って移動可能であり、幕材が折り畳み可能な材料からなるので、屋根を開閉することが可能となる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、各支持部材両端にレール部材内を転動する転動体が配設され、開閉式屋根縁部近傍に沿って配設される支持部材がモータと接続しているので、モータを回転させることで、開閉式屋根前端の支持部材がレール部材に沿って移動し、これに追随して他の支持部材も移動し、幕材が折り畳まれ或いは拡開される。したがって、開閉式屋根の開閉動作が円滑に行われるものとなる。
請求項3記載の発明によれば、幕材幅方向中心位置がレール部材に沿う幕材縁部よりも高くされるので、幕材上に雨滴が溜まることがない。したがって、雨滴の重さに起因する幕材の破損が防止される。
請求項4記載の発明によれば、幕材を伝って落下する雨滴を雨どいが所望の場所へ案内するので、作業現場の衛生を好適に保つことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る開閉式屋根の実施形態について、図を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る開閉式屋根を上方から見た図である。図1に示す開閉式屋根(1)は拡開された状態にある。
開閉式屋根(1)は、開閉式屋根(1)が適用される空間の側面を形成する側壁(W)に据えつけられた一対のレール部材(2)を有する。一対のレール部材(2)は、互いに平行に配設され、また地面からともに同じ高さで配設される。
開閉式屋根(1)は、更に、一対のレール部材(2)の間を横切る複数本の支持部材(3)を備える。支持部材(3)は、一対のレール部材(2)の間を横切り、支持部材(3)両端上下は一対のレール部材(2)それぞれに挟持されている。ここで、支持部材(3)両端はレール部材(2)に沿って移動可能とされる。尚、支持部材(3)は一対のレール部材(2)に対して直角に配設されている。このようにして、レール部材(2)及び支持部材(3)とで骨組面が形成される。各支持部材(3)は、開閉式屋根(1)の拡開状態において、互いに略等ピッチに配設される。
尚、開閉式屋根(1)先端側に配設される一対の支持部材(3)は、複数の棒体(31)によって接続されている。これにより、開閉式屋根(1)先端側に配設される一対の支持部材(3)が、開閉式屋根(1)の先導部(32)とされ、開閉式屋根(1)の開閉動作を先導する役割を果たす。
上述した骨組面の下方には、布或いは樹脂等の可撓性材料からなる矩形シート状の幕材(4)が配設され、幕材(4)は骨組面下方一面を覆うものとなる。幕材(4)は各支持部材(3)下面と接続している。
【0011】
図2は、図1に示すA−A線断面図であり、開閉式屋根(1)の正面を現わす図である。図2(a)は支持部材(3)の構造全体を示し、図2(b)はレール部材(2)と支持部材(3)との取り付け構造を示し、図2(c)は幕材(4)と支持部材(3)との取付部分を示す。
図2に示す如く、側壁(W)に取り付けられたレール部材(2)は断面C形状をした部材である。支持部材(3)両端には、レール部材(2)内部を転動する転動体(33)が配設され、転動体(33)は円滑に支持部材(3)に沿って移動可能とされる。尚、本発明は、支持部材(3)に転動体(33)を設ける形態に限られるものではなく、支持部材(3)両端をレール部材(2)内で摺動させるものであってもよい。或いは、断面C形状をしたレール部材(2)内壁下面に複数の球体コロを配設し、支持部材(3)両端の移動に伴って球体コロを転動させる形態であってもよい。
【0012】
一対のレール部材(2)は、側壁(W)上に互いに等しい高さで設置される。したがって、一対の転動体(33)を接続する支持棒(34)は地面と平行となる。支持棒(34)から下方に向かって複数本の下垂棒(35)が延設する。下垂棒(35)は略等ピッチで配設され、開閉式屋根(1)幅方向中央に向かうにつれ、その長さが短くなる。尚、1つの下垂棒(35)と該下垂棒(35)と隣接する下垂棒(35)との間には補強棒(36)が配設される。補強棒(36)は1つの下垂棒(35)上端と接続するとともに、該下垂棒(35)と隣合う下垂棒(35)下端とを接続する。このようにして、補強棒(36)は下垂棒(35)の間を斜めに横切るものとなる。図2に示す例においては、補強棒(36)は支持部材(3)両端付近に配設される下垂棒(35)間に配設されている。
各下垂棒(35)の下端は取り付け棒(37)と接続する。下垂棒(35)の長さは、開閉式屋根(1)幅方向中心に向かうにつれ、短くなるので、取り付け棒(37)中央付近は、取り付け棒(37)両端よりも高くなる。
このようにして、支持部材(3)はトラス構造に形成される。
【0013】
幕材(4)は取り付け棒(37)と接続する。このようにして、幕材(4)は支持棒(34)とレール部材(2)とで形成される骨組面よりも下方に位置するものとなる。
取り付け棒(37)は、上述の如く中央付近を、その両端よりも高くされ、開閉式屋根(1)幅方向左右に下方に向かって傾斜している。したがって、取り付け棒(37)に取り付けられた幕材(4)は、開閉式屋根(1)幅方向中心位置が、レール部材(2)に沿う縁よりも高くされ、取り付け棒(37)と同様に、開閉式屋根(1)幅方向左右に下方に向かって傾斜するものとなる。したがって、降雨による雨滴は幕材(4)上面を伝って下方に流れ、幕材(4)上面に溜まることがない。
側壁(W)上の幕材(4)下方において、雨どい(5)が配設されている。幕材(4)上面を伝って幕材(4)のレール部材(2)に沿う縁に至った雨滴は、該幕材(4)縁から落下し、雨どい(5)に至る。雨どい(5)は、雨滴を開閉式屋根(1)下方の作業場外へ排出する。或いは、作業場内に設けられた雨滴処理場へ雨滴を案内する。このようにして、雨滴が開閉式屋根(1)下方の作業場に載置される装置等にかからず、適当な場所へ排出されるので、作業場内の好適な作業環境が保たれる。
図2(c)に示す如く、幕材(4)は取り付け棒(37)下面にボルト、ビス等の固定手段(41)を用いて取付けられる。固定手段(41)の間にはワッシャ(42)が配設される。ワッシャ(42)の幕材(4)との当接面を広く形成することで、幕材(4)上の取付部分付近に加わる応力集中を緩和でき、幕材(4)の破損を防止することが可能となる。尚、ワッシャ(42)と幕材(4)との間に平ゴム材を配設することで、幕材(4)取付部分からの雨漏りを確実に防止することが可能となる。
【0014】
次に、上述した先導部(32)について説明する。図3に先導部(32)の正面図を示す。
上述の如く、先導部(32)は開閉式屋根(1)先端に位置する一対の支持部材(3)を複数の棒体(31)で連結した形態である(図1参照)。複数の棒体(31)で形成される接続部材(311)は、開閉式屋根(1)先端に位置する一対の支持部材(3)から上方に延出し、形成される。接続部材(311)上には、先導部(32)を開閉式屋根(1)前後方向に移動させるための駆動機構が据えつけられる。接続部材(311)の構造は、後述する駆動機構が据えつけられるものであれば、特に限定されるものではない。
【0015】
側壁(W)の上端は、直角に内方に折れ曲がり、該折れ曲がり部分の下面には、略I形状をした、駆動用レール部材(6)が配設される。先導部(32)を駆動するための駆動装置が接続部材(311)に取り付けられ、駆動用レール部材(6)を用いて、先導部(32)を駆動する。
図4に、先導部(32)を駆動するための駆動機構を示す。
駆動機構(7)はモータ(71)と、モータ(71)の回転軸に接続される第1ローラ(72)と、第1ローラ(72)と噛合い第1ローラ(72)の回転によって回転力を負荷される第1ギア(73)と、第1ギア(73)とシャフト(74)を介して接続する第2ギア(75)と、第2ギア(75)の回転によって回転力を負荷される第2ローラ(76)からなる。
【0016】
モータ(71)は接続部材(311)と接続する。モータ(71)の回転軸には第1ローラ(72)が取付けられる。
第1ローラ(72)は2段円筒形状とされ、モータ(71)回転軸先端側は、モータ(71)回転軸基端部より径小に形成され、該径小部分がI字形状をした駆動用レール部材(6)の下端で断面左右に広がるマウント部(61)上に配設される。第1ローラ(72)はモータ(71)の回転に伴って、マウント部(61)上を転動する。第1ローラ(72)のモータ(71)回転軸基端部側には、ギアが形成され、該ギア部分はマウント部(61)の脇に位置し、第1ローラ(72)の直下に配設される第1ギア(73)と噛合う。モータ(71)と第1ローラ(72)との間には、L字型ブラケット(77)が配設され、L字型ブラケット(77)下面には軸受(78)が据えつけられる。
【0017】
I字型の駆動用レール部材(6)のマウント部(61)から直角に立設する立設部(62)を対称面として、対称位置に他のもう一つのL字型ブラケット(79)及び該L字型ブラケット(79)下面に配設される軸受(80)が配設される。
シャフト(74)は軸受(78,80)に支持され、駆動用レール部材(6)下方を横切る。立設部(62)を対称面として、第1ギア(73)の対称位置に第2ギア(75)が配設され、シャフト(74)に取り付けられている。また、第1ローラ(72)と同形の第2ローラ(76)は立設部(62)を対称面として、第1ローラ(72)の対称位置に配設され、マウント部(61)上に配設されるとともに、第2ギア(75)と噛合う。
駆動機構(7)は上記のように構成され、モータ(71)の回転に伴い、第1ローラ(72)及び第2ローラ(76)がマウント部(61)上面を転動し、モータ(71)と接続する接続部材(311)を介して、先導部(72)に開閉式屋根(1)前後方向への駆動力をもたらすものとなる。
【0018】
尚、図3に示す如く、駆動用レール(6)は開閉式屋根(1)左右に一対配設される。上記構造の駆動機構(7)は、一方の駆動用レール部材(6)と接続すればよい。他の一方の駆動用レール部材(6)には、接続部材(311)と接続するガイド機構が取り付けられる。
図5にガイド機構を示す。ガイド機構(8)は、駆動機構(7)と略同様の構成である。
ガイド機構(8)は、接続部材(311)と回転可能に接続する第3ローラ(81)と、第3ローラ(81)と噛合うとともに第3ローラ(81)の回転により回転力を負荷される第3ギア(82)と、第3ギア(82)とシャフト(83)を介して接続する第4ギア(84)と、第4ギア(84)と噛合うとともに、第4ギア(84)の回転によって回転力を負荷される第4ローラ(85)からなる。
第3ローラ(81)と第4ローラ(85)は、第1ローラ(72)と第2ローラ(76)と同形であり、駆動用レール部材(6)のマウント部(61)上を転動する小径部分と、マウント部(61)の脇を回転移動するギア部からなる。また、第4ローラ(85)は、駆動用レール(6)の立設部(62)を対称面として、第3ローラ(81)に対して対称位置に配設される。
第3ローラ(81)及び第4ローラ(85)と隣接してそれぞれ設置されるL字型ブラケット(86,87)下面には軸受(88,89)が配設される。軸受(88,89)によって回転可能に支持されたシャフト(83)上には、第3ギア(82)と第4ギア(84)が配設され、第3ローラ(81)及び第4ローラ(85)のギア部と噛合う。
【0019】
上記構造のガイド機構(8)は、駆動機構(7)による駆動力によって、開閉式屋根(1)の先導部(32)が前後に移動すると、該移動に伴い第3ローラ(81)及び第4ローラ(85)が駆動用レール部材(6)のマウント部(61)上面を転動する。
上述の如く、I字型の駆動用レール部材(6)の断面左右端縁を第1及び第2ローラ(72,76)と第3及び第4ローラ(81,85)が転動するので、これらローラが片当りすることなく、円滑に転動することとなる。
したがって、先導部(32)の開閉式屋根(1)前後方向の移動が円滑に行われるものとなる。
【0020】
図6に、開閉式屋根(1)の動作形態を示す。
上記のように構成された開閉式屋根(1)は、駆動機構(7)のモータ(71)を回転させることにより、先導部(32)がレール部材(2)及び駆動用レール部材(6)に案内されて、開閉式屋根(1)前後方向に移動する。
先導部(32)が奥方へ向かって移動すると、先導部(32)に隣接する支持部材(3)と先導部(32)との間の幕材(4)が弛む。そして、先導部(32)に隣接する支持部材(3)は先導部(32)によって先導部(32)進行方向へ押されることとなる。先導部(32)に隣接する支持部材は、その後、進行方向側にある支持部材(3)との間の幕材(4)を弛ませ、進行方向側にある支持部材(3)を進行方向側へ押すこととなる。このようにして、順次、支持部材(3)間の幕材が弛み、また支持部材(3)は先導部(32)の進行方向へ押され、開閉式屋根(1)は折り畳まれることとなる。
開閉式屋根(1)の拡開動作においては、上記開閉式屋根(1)の動作と逆の工程を経るものとなる。まず、先導部(32)が前方へ移動し、先導部(32)と隣接する支持部材(3)との間の幕材(4)を引っ張る。先導部(32)とこれに隣接する支持部材(3)との間の幕材(4)の弛みがなくなると、幕材(4)は張力を負荷され、この張力は該隣接する支持部材(3)を先導部(32)進行方向側へ引っ張るものとなる。隣接する支持部材(3)は先導部(32)の進行方向に向かって移動し、さらに奥方に配設された支持部材(3)との間の幕材(4)を引っ張り、該奥方に配設された支持部材(3)を先導部(32)進行方向側へ引張り、移動させる。
このようにして、開閉式屋根(1)の折り畳み及び拡開が行われる。
尚、モータ(71)への電力供給手段として、接続部材(311)にドラム式電源コード(図示せず)を配設することが好ましい。
【0021】
上述の如く、幕材(4)は各支持部材(3)下面と接続する。したがって、開閉式屋根(1)が強風に曝され、該強風を幕材(4)下面から受けた場合においても、幕材(4)が支持部材(3)によって押えられるので、幕材(4)が吹き飛ばされることがない。
従来の開閉式屋根は、屋根を覆う幕材が屋根の骨組部分の上面を覆うものであった。このような構造によれば、雨滴等による上方から下方へ向かう力に対しては高い構造的強度を発揮する。しかしながら、雨滴等による上方から下方へ向かう力は、例えば開閉式屋根が長期間降雨に曝された場合において、徐々に増加するものであり、この力による開閉式屋根の破壊の進行は遅く、開閉式屋根が適用された作業現場で働く労働者が、該破壊の進行に対して十分な対処を行うことが可能である。
一方で、突風のような突発的な力が幕材下面から上方へ向かって加えられたときには、従来の開閉式屋根は幕材を上方から押える部分を有さないので、構造的に脆く、一瞬にして破壊される。したがって、開閉式屋根が適用された作業現場で働く労働者は、該破壊に対して対処をすることができず、非常に危険なものであった。
本発明の開閉式屋根(1)は、幕材(4)を開閉式屋根(1)幅方向中心位置を他の部分より高くし、該中心位置から開閉式屋根(1)幅方向左右に向けて下方に傾斜するようにし、雨滴を幕材(4)上に溜まらないようにし、幕材(4)上面から下方に向けて加わる負荷を最小限化している。これにより、上方から下方に向けて加わる力に対して、十分な構造的強度を備えるものとなる。
さらに、本発明においては、作業空間上方を横切る各支持部材(3)下部に幕材(4)を取付けるので、突風のような幕材(4)下面から上方へ向けて加わる突発的な力に対して、特に構造的な強度を発揮する。したがって、本発明は従来の開閉式屋根と較べて、屋外空間で加わり得るあらゆる方向の力に対して、構造的な強度を発揮するものとなり、従来の開閉式屋根よりも高い安全性を備えるものとなる。
【0022】
尚、上記説明において、先導部(32)を開閉式屋根(1)前端に配設する形態を説明したが、開閉式屋根(1)後端に配設してもよい。或いは、支持部材(3)を開閉式屋根(1)軸に平行に配設し、レール部材(2)及び駆動用レール部材(6)を開閉式屋根(1)が適用される作業空間の前後端縁に配設し、先導部(32)を開閉式屋根(1)左右の縁近傍に沿って配設される支持部材(3)を用いて形成するものであってもよい。この場合には、開閉式屋根(1)は開閉式屋根(1)が適用される空間の幅方向左右に伸縮するものとなる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明は、屋外で用いられる開閉式屋根に好適に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の開閉式屋根を上方から見た図である。
【図2】図1に示すA−A線断面図であり、開閉式屋根の正面を現わす図である。(a)は支持部材の構造全体を示し、(b)はレール部材と支持部材(3)との取り付け構造を示し、(c)は幕材と支持部材との取付部分を示す。
【図3】本発明の開閉式屋根の先導部の正面図である。
【図4】本発明の開閉式屋根の先導部を駆動するための駆動機構を示す図である。
【図5】本発明の開閉式屋根のガイド機構を示す図である。
【図6】本発明の開閉式屋根の動作形態を示す図である。
【図7】従来の開閉式屋根を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1・・・・・開閉式屋根
2・・・・・レール部材
3・・・・・支持部材
33・・・・転動体
4・・・・・幕材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配設された一対のレール部材と、
前記一対のレール部材に両端上下を挟持され、該レール部材に沿って移動可能とされるとともに、該レール部材に対して略直角に横切る複数本の支持部材と、
前記複数本の支持部材下面に配設・固定される折り畳み可能な材料からなる矩形シート状の幕材からなることを特徴とする開閉式屋根。
【請求項2】
前記各支持部材両端には、前記レール部材内を転動する転動体が配設され、
前記複数本の支持部材のうち、前記開閉式屋根の縁近傍に沿って配設される支持部材はモータと接続し、該支持部材がモータからの駆動力によってレール部材に沿って移動し、
他の支持部材が、モータと接続された支持部材によって押されることでレール部材に沿って移動することを特徴とする請求項1記載の開閉式屋根。
【請求項3】
前記幕材が、該幕材幅方向中心位置を該幕材の前記レール部材に沿う縁部よりも高くして、前記支持部材下面に配設・固定されることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉式屋根。
【請求項4】
前記幕材の前記レール部材に沿う縁部下方に雨どいが配設されていることを特徴とする請求項3記載の開閉式屋根。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−22500(P2006−22500A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199565(P2004−199565)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【出願人】(504260782)アメリカンテント株式会社 (2)
【Fターム(参考)】