説明

間欠式フィルム成形方法および間欠式フィルム成形装置

【課題】
本発明は、連続したフィルムを順次に巻き戻しながら成形装置に供給して、該フィルム表面に微細凹凸形状を間欠的にプレス成形をする成形方法と成形装置に関するものであって、成形後のフィルム搬送過程において、成形面での異物付着や搬送傷を抑制することを目的とする。
【解決手段】
本発明の間欠式フィルム成形方法は、金型表面の近傍に間欠的に成形用フィルムを供給する供給工程と、該金型に該成形用フィルムを接触させ押圧することにより、該成形用フィルムの一方の面に該金型表面の形状に対応する形状を成形する成形工程と、該金型表面に貼り付いた成形後の該成形用フィルムを離型して搬送する離型工程と、を少なくとも含む間欠式フィルム成形方法であって、前記離型工程において、前記金型から前記成形用フィルムを把持しながら離型したのち、該成形用フィルムの前記一方の面に何も接触させることなく、次に該一方の面に第1の保護フィルムをラミネートする方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばロール状に巻かれている状態の連続した成形用フィルムを順次に巻き戻しながら成形装置に供給して、該成形用フィルム表面に微細凹凸形状を間欠的にプレス成形する成形方法と成形装置に関する。
【0002】
特に、プレス成形後に金型から離型した成形用フィルムに対して、傷や異物付着の防止を目的として保護フィルムをラミネートする間欠式フィルム成形方法及び間欠式フィルム成形装置に関する。
【背景技術】
【0003】
導光板、光拡散板、レンズ等の光学フィルムを製造する手段として、フィルムの表面に微細凹凸パターンを転写する方法が従来から知られており、例えば、ロール状の長尺のフィルムに対して、間欠的に微細凹凸パターンを形成する装置及び方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0004】
これらの装置および方法では、巻出ロールからプレス装置内へと供給したフィルムを微細凹凸パターン付き金型にプレス転写することにより、フィルム表面に凹凸パターンを形成する。プレス転写するときは、金型をフィルムのガラス転移点以上の温度まで加熱しておく。転写完了後は、プレスを継続しながら、金型を一定条件下で冷却する。フィルムのガラス転移点以下まで冷却が進めば、プレス圧力を開放するとともに、フィルムに一定の張力を付加するだけで金型より離型する。その後、フィルムを下流側へ送り、次に成形するフィルム成形面を金型表面に供給し、プレス転写を繰り返す。
【0005】
また、金型からフィルムを離型して供給する方法として、平行に配された剥離ロールと補助ロールとを転写後の金型表面で、フィルムを抱きつかせた状態で回転させながら、搬送下流側から上流側に、または上流側から下流側に直動させる装置・方法が提案されている(特許文献3、特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−199455号公報
【特許文献2】特開2005−310286号公報
【特許文献3】特開2008−105407号公報
【特許文献4】特開2008−105409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、これらの方法でフィルムの間欠成形、離型搬送を行った時に、成形後の搬送過程でフィルム成形面に異物が付着したり、傷が入ったりすることがあり、収率を下げる要因となっていた。また、薄いフィルム等、剛性の低い基材を適用した場合、成形後の搬送過程でフィルムにシワが入ることが多く、収率を下げる要因となっていた。これらの問題を解消する目的で、巻取り前に保護フィルムをラミネートしたり、クリーナー装置でフィルム表面の異物を除去したりすることが容易に考えられる。しかし、金型から離型されたフィルムがラミネート装置あるいはクリーナー装置に導入されるまでの間で起こりうる異物付着、搬送傷、シワ等を完全に解消するには至っていない。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するために鋭意検討した結果、得られたものであって、連続したフィルムを順次に巻き戻しながら成形装置に供給して、該フィルム表面に微細凹凸形状を間欠的にプレス成形をする成形方法と成形装置に関するものであって、成形後のフィルム搬送過程において、成形面での異物付着や搬送傷を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の間欠式フィルム成形方法は、金型表面の近傍に間欠的に成形用フィルムを供給する供給工程と、該金型に該成形用フィルムを接触させ押圧することにより、該成形用フィルムの一方の面に該金型表面の形状に対応する形状を成形する成形工程と、該金型表面に貼り付いた成形後の該成形用フィルムを離型して搬送する離型工程と、を少なくとも含む間欠式フィルム成形方法であって、
前記離型工程において、前記金型から前記成形用フィルムを把持しながら離型したのち、該成形用フィルムの前記一方の面に何も接触させることなく、次に該一方の面に第1の保護フィルムをラミネートすることを特徴とする。
【0010】
また、上記課題を解決する本発明の間欠式フィルム成形装置は、金型と、該金型の表面に成形用フィルムを押圧するプレス装置と、該金型の表面から成形用フィルムを離型するとともに、離型された成形用フィルムの表面に第1の保護フィルムをラミネートし、さらに次に成形する成形用フィルムを金型表面に供給するための離型供給装置と、成形用フィルムを搬送するための搬送装置と、を少なくとも含む間欠式フィルム成形装置において、
前記離型供給装置が、成形用フィルムを剥離するための剥離ロールと、該剥離ロールを回転駆動するための剥離ロール駆動手段と、成形用フィルムパスライン及び第1の保護フィルムパスラインを挟んで該剥離ロールと平行に配された補助ロールと、成形用フィルムを該剥離ロールに抱きつかせるように該補助ロールを付勢する補助ロール付勢手段と、該成形用フィルムパスライン及び該第1の保護フィルムパスラインを挟んで該剥離ロールと平行に配されたラミネートロールと、保護フィルムを該第1の保護フィルムパスラインへ送り出すための保護フィルム巻出手段と、成形用フィルムを該剥離ロールに抱きつかせる相対位置関係を保持したまま該剥離ロールと該補助ロールと該ラミネートロールとを該金型表面近傍を該表面に平行に移動させる案内ガイドと、を少なくとも備え、
該成形用フィルムパスラインと該ラミネートロールとの間に該第1の保護フィルムパスラインがあるように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の間欠式フィルム成形装置と成形方法によれば、保護フィルムを金型から離型すると略同時にラミネートできるので、離型以降の搬送ロール上での傷や搬送過程での異物付着を抑制できる。また、保護フィルムを積層することにより剛性が向上するので、薄い成形用フィルムで顕著であった搬送シワを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の間欠式フィルム成形装置の一実施態様を成形用フィルム幅方向から見た概略図である。
【図2】図2は、本発明の間欠式フィルム成形装置の一実施態様における、離型供給装置の概略斜視図である。
【図3】図3は、本発明の間欠式フィルム成形装置の一実施態様において、成型用フィルムの片面に保護フィルムをラミネートしている状態を成形用フィルム幅方向からみた概略図である。
【図4】図3は、本発明の間欠式フィルム成形装置の一実施態様において、成型用フィルムの両面に保護フィルムをラミネートしている状態を成形用フィルム幅方向からみた概略図である。
【図5】図5は、本発明の間欠式フィルム成形方法の一実施態様において、成形工程のプレス部の動作を成形用フィルム幅方向から見た概略図である。
【図6】図6は、本発明の間欠式フィルム成形方法の一実施態様において、離型工程のプレス部の動作を成形用フィルム幅方向から見た概略図である。
【図7】図7は、本発明の間欠式フィルム成形方法の一実施態様において、供給工程のプレス部の動作を成形用フィルム幅方向から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明について、図面を参照しながら、好ましい実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
本発明の間欠式フィルム成形装置は、金型と、該金型の表面に成形用フィルムを押圧するプレス装置と、該金型の表面から成形用フィルムを離型するとともに、離型された成形用フィルムの表面に第1の保護フィルムをラミネートし、さらに次に成形する成形用フィルムを金型表面に供給するための離型供給装置と、成形用フィルムを搬送するための搬送装置と、を少なくとも含む間欠式フィルム成形装置において、
前記離型供給装置が、成形用フィルムを剥離するための剥離ロールと、該剥離ロールを回転駆動するための剥離ロール駆動手段と、成形用フィルムパスライン及び第1の保護フィルムパスラインを挟んで該剥離ロールと平行に配された補助ロールと、成形用フィルムを該剥離ロールに抱きつかせるように該補助ロールを付勢する補助ロール付勢手段と、該成形用フィルムパスライン及び該第1の保護フィルムパスラインを挟んで該剥離ロールと平行に配されたラミネートロールと、保護フィルムを該第1の保護フィルムパスラインへ送り出すための保護フィルム巻出手段と、成形用フィルムを該剥離ロールに抱きつかせる相対位置関係を保持したまま該剥離ロールと該補助ロールと該ラミネートロールとを該金型表面近傍を該表面に平行に移動させる案内ガイドと、を少なくとも備え、
該成形用フィルムパスラインと該ラミネートロールとの間に該第1の保護フィルムパスラインがあるように構成されているものである。
【0015】
図1に、かかる本発明の間欠式フィルム成形装置1を成形用フィルム幅方向から見た概略断面図を示す。なお以下においては、金型3の表面3aに微細凹凸形状が加工されている場合について説明するが、それ以外の形状が加工されている場合においても同様である。
【0016】
図1に示すように、本発明の第1の間欠式フィルム成形装置1は、上記のプレス装置たるプレス装置10と、上記の搬送装置たる巻出ユニット50と巻取ユニット60と、表面に微細凹凸形状が形成された金型3に密着した成形用フィルムを離型し、次に成形する成形用フィルムを供給するための離型供給装置20と、金型を加熱、冷却するためのヒーターユニット30と、冷却ユニット40とを備えている。
【0017】
間欠式フィルム成形装置1の動作としては、巻出ユニット50でロール状に巻き取られた成形用フィルム2が巻き出されて、プレス装置10で金型3の微細凹凸形状が加工された表面3aに押しつけられて、成形用フィルムの成形面2aに金型3の表面の形状に対応する形状、つまり金型3の微細凹凸形状とは逆パターンの微細凹凸形状が転写成形され、巻取ユニット60によりロール状に巻き取られつつ、次に転写成形される成形用フィルム2が巻出ユニット50から巻き出される。この動作を1サイクルとして、巻き出し、転写成形加工及び巻き取りが間欠的に順次に繰り返されて行われる。なお、成形加工は、加熱成形方式だけに限定されず、例えば、光を利用した成形方式によっても行うことができる。加熱成形方式によらない場合には、本発明の装置・方法において、温調装置たる加熱ユニット30や冷却ユニット40は必要ではない。
【0018】
本発明の特徴部分である保護フィルムのラミネート機構を備えた離型供給装置20の一例について図面を用いて説明する。
【0019】
図2に離型供給装置20の全体の概略斜視図を示し、図3に成形用フィルム幅方向から見た離型供給装置20の概略図を示す。
【0020】
離型供給装置20は金型表面近傍を成形用フィルムを抱きつかせるように把持しながら搬送方向に往復移動する離型移動ユニット210と、第1の保護フィルム200を供給する保護フィルム供給ユニット230から構成される。そして、離型移動ユニット210は、剥離ロール211と、補助ロール212と、剥離ロールに対して成形用フィルム2が通る成型用フィルムパスライン及び第1の保護フィルム200が通る第1の保護フィルムパスラインを挟んで離接するラミネートロール213と、ガイドロール214とがフレーム220を介して連結されて、ユニット直動手段219により搬送方向(矢印A、B)に往復移動できるように構成される。一方、保護フィルム供給ユニット230は、保護フィルム巻出ロール231とガイドロール232から構成される。
【0021】
剥離ロール211には剥離ロール回転手段215が接続されている。そして、図示しない上位制御器からの指令により正回転/逆回転のどちらの方向にも指定の回転数で動作できるように構成されている。例えば、剥離ロール回転手段としてサーボモーターを、回転制御器としてサーボアンプを組み合わせた構成が好ましい。また、剥離ロール211が回転しながら、金型3の表面に略平行にスムーズに移動できるように、図示しない直動ガイドにより案内される。
【0022】
剥離ロール211の成形用フィルム接触部は、金型表面に成形用フィルムを接触もしくは押圧しながら供給しても、金型表面の微細なパターン形状が破損しないように、また、高温の金型によりロール表面が劣化することがないようにシリコーン系樹脂またはフッ素系樹脂を主成分とする発泡スポンジで構成してもよい。その他の構成として、一定の弾性および粘着性のあるゴム材質のもので構成されているものでもよい。この場合、例えば、ゴム硬度(JIS K6253)が好ましくは40〜70、より好ましくは50〜60で、表面の中心線平均粗さが(JIS B0601)が好ましくは0.01μm〜1.0μmの範囲、より好ましくは0.01μm〜0.5μmの範囲のものが良い。好適な材質としては、EPDM、シリコーンゴム、フッ素ゴム等がある。各ロールのゴム硬度が70よりも大きかったり、中心線平均粗さが1μmよりも大きいものの場合、成形用フィルムとロール間の密着性が十分でない場合があり、離型時に成形用フィルムとロールで滑りが生じて、成形用フィルム張力の低下による剥離力の低下が起こったり、一方、ゴム硬度が40未満では、離型動作時のゴム変形が大きいために、離型動作が不安定になる場合があり、成形用フィルム面に離型跡を発生させる要因になる場合があるので、注意が必要である。また、中心線平均粗さが0.01μmよりも小さいものは、製作上、困難である。
【0023】
また、成形用フィルム2の離型時において、剥離ロール211と金型表面は接触してもよい。このとき、剥離ロール211の成形用フィルム幅方向両端の近傍に、エアシリンダーやバネ等の弾性部材等を配設して、剥離ロール211の金型表面を押圧する力を制御できるようにロール押圧付勢手段を用いることが好ましい。金型表面に接触または押圧することにより高い離型効果が得られる。
【0024】
ラミネートロール213は、剥離ロール211に対して成形用フィルムパスライン及び第1の保護フィルムパスラインを挟んで離接できるようにエアーシリンダー221がロール長手方向の端部に取り付けられている。第1の保護フィルム200をラミネートしながら離型する場合に、成形用フィルムをニップするようにラミネートロールを剥離ロールに近接させる。エアーシリンダー221へのエアー供給圧力により剥離ロールへのニップ圧を制御する。ラミネートロール213はロール軸心を中心に自在に回転できるように軸端部を保持しても良いし、剥離ロール回転手段215と動作を同期させて同じ周速で回転するように構成しても良い。同期させる手段としては歯車やベルト等を用いて機械的に連結するか、各回転軸端部にサーボモーターを接続して回転量が同じになるように同期制御するのが好ましい。
【0025】
また、ラミネートロール213の保護フィルム接触部は、金型から剥離した直後の高温の成形用フィルムに対して、ロール表面が劣化しないようにシリコーン系樹脂またはフッ素系樹脂を主成分とする発泡スポンジが良い。また、一定の弾性および粘着性のあるゴム材質のものを適用すれば、さらに、第1の保護フィルム200を全幅にわたってエアー等を排除しながら均一にラミネートする効果が高まり、さらに、第1の保護フィルム200の表面に傷が入るのを抑制できる。例えば、ゴム硬度(JIS K6253)が好ましくは50〜90、より好ましくは60〜80で、表面の中心線平均粗さが(JIS B0601)が好ましくは0.01μm〜1.0μmの範囲、より好ましくは0.01μm〜0.5μmの範囲のものが良い。好適な材質としては、EPDM、シリコーンゴム、フッ素ゴム等がある。各ロールのゴム硬度が90よりも大きかったり、中心線平均粗さが1μmよりも大きいものの場合、保護フィルムとロール間の密着性が十分でないために成形用フィルムたる基材と保護フィルムとの間にエアーを噛み込むことがあり、均一なラミネートが困難である。一方、ゴム硬度が50未満では、ラミネート動作時のゴム変形が大きいために、保護フィルムが十分な力でラミネートされず、密着力が低下し問題となることがある。なお、成形用フィルム幅方向の単位長さあたりのラミネート線圧は、用いる基材や保護フィルムにもよるが、概ね1〜50N/cmの範囲が適度な密着力と外観均一性を得る上で好ましい。
【0026】
また、補助ロール212は、ロール軸心を中心に自在に回転できるように軸端部を取り付けられている。また、保護フィルムと接触する補助ロール212の外表面の材質は、上記の剥離ロールと同じ表面材質でも良いが、特に、用いる成形用フィルムとの摩擦抵抗が高い場合はロール表面上でしわを誘発する可能性があるので表面をすべり性の高いフッ素樹脂や金属を適用することが好ましい。
【0027】
ガイドロール214は、ロール軸心を中心に自在に回転するようにフレーム220に保持される。ガイドロール214は第1の保護フィルム200をラミネートロール213に対して一定角度でかつ皺なく導入する役割を担うものであり、第1の保護フィルム200と接触する外表面は、搬送中の該ロール上でのシワを防止するために、フッ素系樹脂や金属等、保護フィルムとのすべり性が良い材質が好ましい。
【0028】
上記に説明した剥離ロール211、補助ロール212、ラミネートロール213、及び、ガイドロール214はフレーム220に連結されて、離型移動ユニット210を構成し、ユニット直動手段219によりユニットごと金型表面近傍を搬送方向(矢印A、B)に往復移動する。
【0029】
離型移動ユニット210にはリニア駆動モーター等のユニット直動手段219が連結されている。ユニット直動手段219は剥離ロール回転駆動手段と回転移動量と直動移動量が同じとなるように、動作の同期を取れるものがスムーズな動作を得る上で好ましく、サーボモーター駆動が適しているが、電磁アクチュエータや空圧アクチュエータ等でも良い。成形用フィルム2を剥離する場合は、剥離ロール211を回転させながら、ユニット直動手段を駆動して、離型ユニットを巻出側へ移動させながら剥離をさせつつ、ラミネートロール213により第1の保護フィルム200をラミネートしていく。なお、成形用フィルム2と剥離ロール211との摩擦力が十分に高い場合等は、摩擦力と成形用フィルム張力のみで離型ユニットの直進力が得られるのでユニット直動手段219が無くても良い。
【0030】
さらにまた、金型の表面凹凸パターンが極めて微細である等、剥離ロールとの接触により損傷しやすい場合には、図2に示す剥離ロール211と金型表面の距離(クリアランス)は0.1mm〜5mmが良く、より好ましくは0.1mm〜1mmである。
【0031】
また、剥離ロール211、ラミネートロール213、補助ロール212に冷却水循環機構等を付加して、各ロールを一定温度に温調しても良い。成形用フィルム2は離型直後では温度が高いため、直後に接する剥離ロール211、補助ロール212を一定に温調しておくことが好ましい。また、離型時および離型直後の成形用フィルム2の温度を下げる効果もあり、プレス成形後の安定した搬送、巻取りにも有効である。
【0032】
一方、保護フィルム巻出ロール231は、ラミネート動作中は常に、第1の保護フィルム200に一定の張力を付加しながら繰り出せるように巻出駆動手段233が連結されて、巻き径あるいは図示しない張力検知手段により得られたデーターをもとにトルク制御制御する構成が好ましい。また、ガイドロール232は、ロール軸心を中心に自在に回転するように保持されて、第1の保護フィルム200と接触する外表面は、搬送中の該ロール上でのシワを防止するために、フッ素系樹脂や金属等、第1の保護フィルム200とのすべり性が良い材質が好ましい。
【0033】
上記に説明した構成により、成形用フィルム2を金型3から離型したのち、成形用フィルム2の成形面に成形装置の部材等が何も接触することなく、成形面に第1の保護フィルム200をラミネートできるので、つまり、成形用フィルム2を金型から離型すると略同時に第1の保護フィルム200をラミネートできるので、離型以降の搬送ロール上での傷や搬送過程での異物付着を抑制できる。また、保護フィルムを積層することにより剛性が向上するので、薄い成形用フィルムで顕著であった搬送シワを抑制できる。
【0034】
また、保護フィルムのラミネートは片面のみに限定されるものではない。保護フィルムラミネート機構が、複数の保護フィルム巻出手段を備えて、成形用フィルムパスラインと剥離ロール211との間に第2の保護フィルム201のパスラインが通るように構成されても良い。このように構成することで、成形用フィルム2の両面に保護フィルムをラミネートすることができる。図4に成形用フィルム2の両面に保護フィルムをラミネートする場合の離型供給装置の成形用フィルム幅方向から見た概略図を示す。
【0035】
剥離ロール211の外表面上で第2の保護フィルム201を第1の保護フィルム200とは成形用フィルム2を挟んで逆側にラミネートするように、保護フィルム巻出ロール241とガイドロール242を配する。保護フィルム巻出ロール241は、ラミネート動作中は常に、第2の保護フィルム201に一定の張力を付加しながら繰り出せるように、巻き径あるいは図示しない張力検知手段により得られたデーターをもとにトルク制御制御する駆動構成が好ましい。一方、ガイドロール242は、ロール軸心を中心に自在に回転するようにフレーム220に保持されて、離型移動ユニット210に組み込まれて金型表面を搬送方向(矢印A、B)に往復移動する。そして、ラミネートロール213に対して一定角度でかつ皺なく導入されるように第2の保護フィルムと接触する外表面は、搬送中の該ロール上でのシワを防止するために、フッ素系樹脂や金属等、保護フィルムとのすべり性が良い材質が好ましい。
【0036】
上記の装置構成により、成形用フィルム2を金型3から離型すると略同時に成形用フィルム2の両面に保護フィルムをラミネートできるので、片面のラミネートに比べてさらに剛性を向上させることができるので、搬送シワ抑制効果を高められる。
【0037】
以下に、離型供給装置以外の装置構造について図1を用いて説明する。
【0038】
プレス装置10は、加圧プレート(上)14aが支柱11をガイドにして昇降移動できるように、プレスシリンダー12に連結されている。支柱11はフレーム(上)16aとフレーム(下)16bに挟まれるように配設されている。加圧プレート(上)14aの下面には温調プレート(上)15aが取り付けられている。一方、加圧プレート(下)14bの上面には温調プレート(下)15bが取り付けられている。各温調プレートには、それぞれ、加熱ユニット30、冷却ユニット40が配管、配線等を介して接続されている。そして、金型3は温調プレート(下)15bの上側表面に取り付けられて、下側温調プレートを介して、加熱、冷却制御される。なお、金型3は温調プレート(上)15aの下面に取り付けられてもよい。
【0039】
プレスシリンダーは、図示していない油圧ポンプとオイルタンクに接続されており、油圧ポンプにより加圧プレート(上)14aの昇降動作および、加圧力の制御を行う。また、本実施形態では油圧方式のプレスシリンダーを適用しているが、加圧力を制御できる機構であれば、いかなるものでもよい。
【0040】
圧力範囲は0.1MPa〜20MPaの範囲で制御できることが好ましく、さらに好ましくは、1MPaで〜10MPaの範囲で制御できることが好ましい。20MPa以上では金型を破損、変形させる可能性がある。0.1MPa以下では十分に樹脂が流動せず、パターン形状どおりの賦形ができない可能性がある。
【0041】
プレスシリンダーの昇圧速度は0.01MPa/s〜10MPa/sの範囲で制御できることが好ましく、さらに好ましくは、0.05MPa/s〜5MPa/sの範囲で制御できることが好ましい。10MPa/s以上の速い昇圧時は樹脂の変形が追従せず、パターン形状どおりの賦形ができない可能性がある。また、0.01Pa/s以下の遅い昇圧では成形に時間がかかり、生産性が極端に低下する。
【0042】
また、成形用フィルムにある程度の厚みムラがあっても全面でムラなく成形できるように、温調プレートを用いる場合には、温調プレート(上)15aと成形用フィルム2の間に130℃以上の耐熱温度を有した弾性板17を設置することが好ましい。該弾性板17としては、例えば、厚みが0.3mm〜1.0mmのエチレン・プロピレン・ジエンゴム(EPDM)、シリコーンゴム、あるいはフッ素ゴム等を好ましく用いることができ、さらに好ましくは表面に易滑処理を施したものがよい。ここで、耐熱温度とはその温度で24時間放置したときの引張り強さの変化率が10%を超えるときの温度をいう。
【0043】
本発明に用いられる金型3について説明する。金型の転写面は、微細なパターンを有するものであり、金型に該パターンを形成する方法としては、機械加工、レーザー加工、フォトリソグラフィ、電子線描画方法等がある。ここで、金型に形成される微細凹凸形状とは、高さ10nm〜1mm、周期10nm〜1mmで周期的に繰り返された凸形状である。凸形状の高さはより好ましくは1μm〜100μmであり、周期はより好ましくは1μm〜100μmである。また、凸形状の例としては、三角錐、円錐、四角柱、レンズ形状等に代表される任意の形状の突起物が離散状、ドット状で配されたものや、断面が三角、四角、台形、半円、楕円等に代表される任意の形状の突起物がストライプ状に配されたもの等がある。金型の材質としては、所望のプレス時の強度、パターン加工精度、成形用フィルムの離型性が得られるものであればよく、例えば、ステンレス、ニッケル、銅等を含んだ金属材料、シリコーン、ガラス、セラミックス、樹脂、もしくは、これらの表面に離型性を向上させるための有機膜を被覆させたものが好ましく用いられる。該金型の微細なパターンは、成形用フィルム表面に付与したい微細な凹凸パターンに対応して形成されているものである。
【0044】
次に、加熱ユニット30について説明する。加熱ユニット30は、温調プレート(上)、(下)15a、15bをアルミ合金とし、プレート内に鋳込んだ電熱ヒーターにより制御するものが良い。また、温調プレート内に鋳込んだ銅あるいはステンレス配管、もしくは、機械加工により加工した穴の内部に温調された熱媒体を流すことにより加熱制御するものでも良い。さらには両者を組み合わせた装置構成でもよい。
【0045】
熱媒体としては、バーレルサーム(松村石油(株))、NeoSK−OIL(綜研テクニックス(株))等が良く、また、100℃以上に加熱された水を循環させてもよい。そして、効率良く伝熱できるように、配管内部のレイノズル数が1.0×10〜12×10の範囲になることが好ましい。
【0046】
また、鋳込みヒーター、カートリッジヒーター等にする場合は、温調プレートを分割制御できることが好ましい。
【0047】
温調プレートは昇温中、降温中、一定温調中のすべてにおいて、レンジで10℃以内、さらに好ましくは5℃以内の温度分布におさまることが好ましい。
【0048】
また、金型に直接、熱媒配管ラインを加工し、金型を直接温調するようにしてもよい。
【0049】
次に、冷却ユニット40について説明する。冷却ユニットは温調プレート(上)(下)15a、15bに鋳込んだ銅あるいはステンレス配管、もしくは機械加工により加工した穴の内部に温調された冷媒体を流すことにより冷却制御する。
【0050】
冷媒体としては、水が最適であるが、エチレングリコール溶液などでもよい。温度は10℃〜50℃の範囲が好ましく、効率良く伝熱できるように、配管内でのレイノズル数が1.0×10〜12×10の範囲になることが好ましい。
【0051】
上記の成形用フィルム搬送装置たる巻出ユニット50、巻取ユニット60について説明する。巻出ユニット50は巻出ロール回転手段51と、搬送ロール52a〜52dと、引出バッファ部53と、成形用フィルム固定部54から構成される。巻取ユニット60は巻取ロール回転手段61と、搬送ロール62a〜62dと、巻取バッファ部63と、搬送駆動ロール64と、成形用フィルム固定部65から構成される。
【0052】
引出バッファ部53、巻取バッファ部63はそれぞれボックス55、66とこれらに接続された吸引排気手段56、67から構成される。吸引排気手段56、67は真空ポンプ等、エアーを吸引、排気できるものであれば良く、ボックス内のエアーを排気することにより、ボックス内に挿入された成形用フィルムの表裏面で圧力差を与えることにより、一定の張力を付与するとともにボックス内で成形用フィルムを弛ませて保持する。ボックス内に挿入される成形用フィルムの長さは、成形用フィルムを成形する前後で間欠的に搬送する成形用フィルム長さ分が適当である。さらに、ボックス55、66内にはセンサー57a、57b、68a、68bが取り付けられている。センサーは所定位置で成形用フィルムを検知できるものであればよい。上記した離型ユニットにより成形用フィルムが離型、搬送されて、ボックス内でセンサー検知位置から成形用フィルムが外れたときに、上下流の巻出ロール回転手段51、あるいは巻取ロール回転手段61を駆動して、成形用フィルムを巻き出し、あるいは巻き取り、常に、ボックス内で所定位置に成形用フィルムを弛ましておくことができる。
【0053】
また、成形用フィルム固定部54、65は表面に吸引孔が形成された平板であることが好ましいが、さらに、クリップで成形用フィルムを挟む機構のもの、あるいは、これらを組み合わせたものでもよい。
【0054】
成形用フィルム固定部54、65は、プレス動作を行うときは両方とも作動させる。そして、成形用フィルムを離型するときは成形用フィルム固定部54を作動させて成形用フィルムを固定し、成形用フィルム固定部65が開放させることが好ましい。また、成形用フィルムを上流から下流に送るときは、成形用フィルム固定部54、65を両方とも開放する。
【0055】
搬送駆動ロール64は図示しないがモーター等の回転駆動手段に連結されて、成形用フィルム搬送時にはニップロール64aが搬送駆動ロール64に近接し、成形用フィルムを挟み、搬送駆動ロール64にてトルク制御を行いながら成形用フィルムを一定張力のもとで搬送する。
【0056】
次に、本発明の間欠式フィルム成形方法を説明する。
本発明の間欠式フィルム成形方法は、金型表面の近傍に間欠的に成形用フィルムを供給する供給工程と、該金型に該成形用フィルムを接触させ押圧することにより、該成形用フィルムの一方の面に該金型表面の形状に対応する形状を成形する成形工程と、該金型表面に貼り付いた成形後の該成形用フィルムを離型して搬送する離型工程と、を少なくとも含む間欠式フィルム成形方法であって、
前記離型工程において、前記金型から前記成形用フィルムを把持しながら離型したのち、該成形用フィルムの前記一方の面に何も接触させることなく、次に該一方の面に第1の保護フィルムをラミネートする方法である。
【0057】
上記のフィルム成形動作を、間欠式フィルム成形装置1を用いて実施する形態を図5〜7を参照しながら説明する。図5〜7は離型供給装置を含むプレス部の動作のみを成形フィルム幅方向から見た断面概略図であり、成形工程を図5に、離型工程を図6に、供給工程を図7に示す。一連の成形動作は以下のプロセス(A)〜(E)の流れで成形するものである。なお、あらかじめ、金型3をプレス装置10にセットした後、成形用フィルム2を巻出ユニット50にセットし、成形用フィルム2の巻出部を引き出し、ガイドロールを経由し、プレス装置内の金型の表面に沿わせ、さらに、離型供給装置を経由して、巻取ユニット60で巻き取っている状態とする。また、加熱ユニットを作動させて、温調プレート(上)15a、温調プレート(下)15bをともに成型温度まで上昇させておく。なお、下記の(A)〜(C)が成形工程、(D)が離型工程、(E)が供給工程である。
【0058】
(A)プレス部の動作を図5(a)に示す。プレス装置10を作動させて、温調プレート(上)15aを下降させて、金型3の表面と温調プレート(上)との間に成形用フィルムを挟むようにプレスを開始する。温度、プレス圧力、昇圧速度、加圧時間等の条件は、成形用フィルムの材質、転写形状、特に凹凸のアスペクト比等に依存する。概ね、成形温度は100〜180℃、プレス圧力は1〜10MPa、成形時間が1秒〜60秒、昇圧速度は0.05MPa/s〜1MPa/sの範囲で設定される。
【0059】
(B)次のプレス部の動作を図5(b)に示す。プレス成形中において、冷却ユニットを作動させて、温調プレート(上)15a、温調プレート(下)15bを降温させる。なお、冷却中もプレス加圧を継続していることが好ましい。冷却温度は金型表面の温度が成形用フィルムを離型するのに十分に冷却されるように設定される。例えば、金型3の表面温度が成形用フィルムのガラス転移点以下まで冷却を行うのが良い。この間も成形用フィルムの把持は継続しておく。
【0060】
(C)次のプレス部の動作を図5(c)に示す。冷却完了後、プレス圧力を開放して、温調プレート(上)15aを離型移動ユニット210がプレス装置内を水平移動させるのに十分なスペースを確保できるように上昇させる。
【0061】
(D)次のプレス部の動作を図6(d)(e)に示す。ユニット直動手段219により離型移動ユニット210を搬送上流側(矢印A方向)に移動させる。同時に剥離ロール回転手段により剥離ロール211を回転させて成形用フィルム2を金型3から離型し、さらに、この離型された成形フィルム2と保護フィルム巻出ロール231より繰り出された第1の保護フィルム200とを剥離ロール211とラミネートロール213とで挟持して、成形用フィルム2の成形面に第1の保護フィルム200をラミネートする。この時、成形用フィルム2が剥離ロール211表面で滑らないように回転による剥離ロール周速、ラミネートロール周速、直動速度が同じとなるように同期を取ることが好ましい。
【0062】
(E)次のプレス部の動作を図7(f)(g)に示す。剥離ロール211及びラミネートロール213が回転しないように、剥離ロール回転手段215にブレーキをかけて、下流側の搬送駆動ロール64で一定張力を付加した状態で、ユニット直動手段219を搬送下流方向(矢印B)にあらかじめ設定した長さ分移動させる。本動作により次に成形される領域の成形用フィルムを金型表面に供給することができる。この時、金型表面は高温であるために、高い張力が負荷されたフィルムが局所的に接触すると、接触した箇所でフィルムが急激に高温となり強度が低下するため、該箇所で局所的な伸びが発生し、面内うねりを引き起こすことがある。したがって、この面内うねりを防止するには、金型表面に供給されるフィルムは極力、張力が負荷されない状態にすることが好ましい。また、金型表面に供給されるフィルムにシワが存在すると、その後の加圧過程でシワが十分に伸ばされずに成形されて、成形面に線状のシワ跡が残ることがある。したがって、金型表面にシワ無くフィルムを供給することが好ましい。または、フィルムの供給と同時にあるいは供給直後にこのシワを伸ばすことが好ましい。
【0063】
上記の一連の成形用フィルム成形動作により、成形用フィルム2を金型3から離型したのち、成形用フィルム2の成形面に成形装置の部材等が何も接触することなく、成形面に第1の保護フィルム200をラミネートできるので、つまり、成形用フィルム2を金型から離型すると略同時に第1の保護フィルム200をラミネートできるので、離型以降の搬送ロール上での傷や搬送過程での異物付着を抑制できる。また、保護フィルムを積層することにより剛性が向上するので、薄い成形用フィルムで顕著であった搬送シワを抑制できる。
【0064】
上記は金型2により成形された成形用フィルム2の片面にのみ第1の保護フィルム200をラミネートしているが、第2の保護フィルム201を成形用フィルム2の成形面とは反対側の面にもラミネートして、保護フィルムを成形用フィルム2の両面にラミネートしても良い。成形用フィルム2の両面を傷等から確実に保護することができ、また、搬送シワの抑制効果も高い。なお、両面の保護フィルムのラミネートは、図4に示す離型供給装置を適用して、上記の(A)〜(E)に示す工程により実現できる。
【0065】
さらに、ラミネート動作が停止している時は、ラミネートロール213と剥離ロール211との間で挟時する部分に成形面と成形面の間欠部が存在するように機器を調整あるいは動作を制御することが好ましい。ラミネート動作が間欠的に停止する場合、停止位置で幅方向に帯状に発生しやすい停止跡を防止するためである。
【0066】
本発明の方法、装置に適用される成形用フィルムはガラス転移温度Tgが好ましくは40〜180℃のものであり、より好ましくは50℃〜160℃であり、最も好ましくは50℃〜120℃である熱可塑性樹脂を主たる成分とするフィルムである。ガラス転移温度Tgが40℃を下回ると成形品の耐熱性が低くなり、形状が経時変化するため好ましくない。またTgが180℃を上回ると成形温度を高くせざるを得ないものとなり、エネルギー的に非効率であり、またシートの加熱、冷却時の体積変動が大きくなり、フィルムがインプリントモールドに噛み込んで離型できなくなったり、また離型できたとしてもパターンの転写精度が低下したり、部分的にパターンが欠けて欠点となる場合がある等の理由により好ましくない。
【0067】
本発明に適用される熱可塑性樹脂を主たる成分とした成形用フィルムは、具体的に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2、6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂などからなるものである。このなかで共重合するモノマー種が多様であり、かつそのことによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましく、上述の熱可塑性樹脂が50重量%以上からなることがさらに好ましい。
【0068】
本発明に適用する成形用フィルムは上述の樹脂の単体からなるフィルムであっても構わないし、複数の樹脂層からなる積層体であってもよい。この場合、単体フィルムと比べて、易滑性や耐摩擦性などの表面特性や、機械的強度、耐熱性を付与することができる。このように複数の樹脂層からなる積層体とした場合はフィルム全体が前述の用件を満たすことが好ましいが、フィルム全体としては前記要件を満たしていなくても、少なくとも前述の要件を満たす層が表層に形成されていれば容易に表面を形成することができる。
【0069】
また、本発明に適用する成形用フィルムの好ましい厚さ(厚み、膜厚)としては、0.01〜1mmの範囲であることが好ましい。0.01mm未満では成形するのに十分な厚みがなく、また1mmを越えるとフィルムの剛性により搬送が一般に難しい。なお、厚みが0.05mm以下の成形用フィルムでは離型搬送工程でフィルム剛性不足によりシワが入りやすいので、上記で説明した本発明の装置および方法はラミネート積層構成によって剛性が向上するのでシワ抑制に有効である。
【0070】
以上では、成形用フィルムを熱可塑性樹脂として説明したが、本発明は光硬化性樹脂を基材として適用した公知の間欠式成形装置及び方法にも適用することが可能である。
【0071】
また、本発明に適用する保護フィルムは、成型用フィルムと積層することにより、成形面パターン形状を保護し、搬送性を改善させるものが好ましい。例えば、微細な凹凸形状が形成された成形面に対しては、成形用フィルム面側に粘着層が積層されるように構成された粘着層と基材層との2層積層体があげられる。なお、2層積層体以外に他の層を含んでいても良い。
【0072】
かかる基材層としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ジアセチルセルロースフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アセチルセルロースブチレートフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、アクリル樹脂フィルム等を挙げることができる。
また、かかる粘着層としては、アクリル系、ゴム系、シリコーン系の粘着樹脂を使用することができる。
【0073】
また、本発明に適用する保護フィルムとしては自己粘着タイプのものでも良い。特に、非成形面や比較的平滑に近い面に対する保護フィルムとして適している。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル又は紙類等を基材層としてエチレン酢酸ビニル共重合体系、エチレン−α−オレフィン共重合体系(直鎖状低密度ポリエチレン)等を表面に接着層として形成したものを挙げることができる。
【0074】
また、本発明に適用する保護フィルムの厚みとしては、20μm〜500μmの範囲が好ましい。20μmより薄い場合は保護フィルムのハンドリングが困難で、また、成形用フィルムと積層した時の剛性向上の効果が小さい。また、500μmより大きい場合は、ハンドリングが困難であり、また、材料コストの増大が問題となる。
【符号の説明】
【0075】
1:本発明の間欠式フィルム成形装置
2:成形用フィルム
3:金型
10:プレス装置
20:離型供給装置
30:ヒーターユニット
40:冷却ユニット
50:巻出ユニット
60:巻取ユニット
200:第1の保護フィルム
201:第2の保護フィルム
210:離型移動ユニット
211:剥離ロール
212:補助ロール
213:ラミネートロール
231:第1の保護フィルム巻出ロール
241:第2の保護フィルム巻出ロール
A:巻出側方向
B:巻取側方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型表面の近傍に間欠的に成形用フィルムを供給する供給工程と、
該金型に該成形用フィルムを接触させ押圧することにより、該成形用フィルムの一方の面に該金型表面の形状に対応する形状を成形する成形工程と、
該金型表面に貼り付いた成形後の該成形用フィルムを離型して搬送する離型工程と、を少なくとも含む間欠式フィルム成形方法であって、
前記離型工程において、前記金型から前記成形用フィルムを把持しながら離型したのち、該成形用フィルムの前記一方の面に何も接触させることなく、次に該一方の面に第1の保護フィルムをラミネートする間欠式フィルム成形方法。
【請求項2】
前記離型工程が、剥離ロールと、該剥離ロールと平行に配された補助ロールとの両ロールを回転させながら、前記成形用フィルムを前記剥離ロールと補助ロールの両方に抱きつかせた状態で前記金型表面近傍を該金型表面と平行に、該成形用フィルムを搬送下流側から上流側に移動させることにより行うものであり、該成形用フィルムの前記一方の面が該補助ロールと接触する前に、該一方の面に前記第1の保護フィルムをラミネートする請求項1に記載の間欠式フィルム成形方法。
【請求項3】
前記剥離ロールと、該剥離ロールと平行に配されたラミネートロールとの間に前記成形用フィルムと前記第1の保護フィルムを狭持することにより、該成形用フィルムの前記一方の面に該第1の保護フィルムをラミネートする請求項2に記載の間欠式フィルム成形方法。
【請求項4】
第2の保護フィルムを前記成形用フィルムの前記一方の面とは反対側の面にラミネートする請求項1〜3のいずれかに記載の間欠式フィルム成形方法。
【請求項5】
金型と、
該金型の表面に成形用フィルムを押圧するプレス装置と、
該金型の表面から成形用フィルムを離型するとともに、離型された成形用フィルムの表面に第1の保護フィルムをラミネートし、さらに次に成形する成形用フィルムを金型表面に供給するための離型供給装置と、
成形用フィルムを搬送するための搬送装置と、を少なくとも含む間欠式フィルム成形装置において、
前記離型供給装置が、
成形用フィルムを剥離するための剥離ロールと、
該剥離ロールを回転駆動するための剥離ロール駆動手段と、
成形用フィルムパスライン及び第1の保護フィルムパスラインを挟んで該剥離ロールと平行に配された補助ロールと、
成形用フィルムを該剥離ロールに抱きつかせるように該補助ロールを付勢する補助ロール付勢手段と、
該成形用フィルムパスライン及び該第1の保護フィルムパスラインを挟んで該剥離ロールと平行に配されたラミネートロールと、
保護フィルムを該第1の保護フィルムパスラインへ送り出すための保護フィルム巻出手段と、
成形用フィルムを該剥離ロールに抱きつかせる相対位置関係を保持したまま該剥離ロールと該補助ロールと該ラミネートロールとを該金型表面近傍を該表面に平行に移動させる案内ガイドと、
を少なくとも備え、該成形用フィルムパスラインと該ラミネートロールとの間に該第1の保護フィルムパスラインがあるように構成されている間欠式フィルム成形装置。
【請求項6】
前記剥離ロールと、前記補助ロールと、前記ラミネートロールとを前記金型表面近傍で、該表面と平行に移動させるための駆動手段を備えた請求項5に記載の間欠式フィルム成形装置。
【請求項7】
前記離型供給装置が、複数の保護フィルム巻出手段を備え、前記成形用フィルムパスラインと前記剥離ロールとの間に第2の保護フィルムパスラインがあるように構成されている請求項5又は6に記載の間欠式フィルム成形装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−221454(P2010−221454A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69575(P2009−69575)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】