関与反応を測定し評価する方法及びシステム
脳波及び心拍数を考慮して、ユーザが思考せずに行動する量を定量化することにより関与値を計算するシステム及び方法は、個人又は個人のグループに基づいてメディアを比較するために利用できる。メディアのイベントも、関与値によって対比及び比較することができる。メディアを改善するために、統計的な測定が行われ得る。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
製作者は、個人を刺激し関与させるインタラクティブなメディア、活動及び製品(「メディア」)を設計する。メディアは、しばしば、競争の激しい市場において消費者に販売され、該市場では、関与を刺激する能力が価値を決定する。製作者は、個人をより刺激するようメディアを改善することにより価値を最大化するために、消費者がメディアに関与させられたかどうかを知りたがる。メディアの価値が最大化されないと、消費者は、よりよい刺激をもたらす競合製品を購入してしまう。競合製品が売れると、売上が減少して利益が失われる。問題は、インタラクティブなメディア、活動及び製品の刺激への反応に関する正確な情報を提供することにある。反応の測定は、インタラクティブなメディア、活動及び製品の製作者が、目標市場の頭脳に入り込むことを必要とする。
【0002】
人の頭脳に入っていく際、神経生物学、精神生理学、及び心理学の研究者は、脳から発される生理学的信号を発見した。研究者は、脳電図(EEG)を利用し、頭につけられた電極を介して、生理学的信号を記録した。生理学的信号は、30ヘルツより下の4つの主要な部分を有する。1〜4ヘルツの周波数はデルタ(δ)波を有し、4〜8ヘルツの周波数はシータ(θ)波を有し、8〜13ヘルツの周波数はアルファ(α)脳波を有し、13〜20ヘルツの周波数はベータ(β)脳波を有する。
【0003】
更に、身体からデータを収集するために利用されるツールは、フォトプリサイモグラフ(PPG)及び心電図(ECG又は心電図のドイツ語であるEKG)を含む。フォトプリサイモグラフ(PPG)は、心臓周期を知るために利用可能な、光学的に取得される測定値である。PPGは、パルス酸素濃度計を用いて、血液が末端に押し出される際に、心臓周期と関連する皮膚からの酸素脱落の変化を観察する。心臓周期は、この酸素脱落の変化に基づいて記録される。心拍数のもう一つの測定方法は、ECGである。心電図(ECG)は、胸に取り付けられた電極を介して心拍を測定する。従来ECGは心電図、又は時間経過に渡る心拍を示す図を作成した。代替としては、心臓から生成された信号が記録される。
【0004】
上記の関連技術の例及びそれらの限界は、例示であって、限定的なものではない。関連技術の他の限界が、本明細書を閲読し、図面を研究した当業者に明らかになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の実施の形態及びその態様は、例示及び説明であって特許請求の範囲の限定を意味しないシステム、ツール及び方法に関して説明される。様々な実施の形態において、上記の問題の一つ又はそれ以上が軽減又は除去され、別の実施の形態は、別の改善を目的とする。
【0006】
個人のメディアに対する「関与(engagement)」反応を測定する新技術が提供される。本技術は、脳及び身体から発される生理学的信号を用いて、関与反応を測定する。関与値は、ユーザが思考せずに行動する量を定量化する、関与反応の客観的測定値である。都合のよいことに、関与反応は、メディアが製作される際に、該メディアを効果的に改善するために利用できる。非限定的な例において、評価は、個人が、テレビ・ショーがドキュメンタリよりも関与を促すものであると思うか否かを決定する。更に、個人のグループによる関与反応を測定し集約(aggregate)して、メディアに対する集団全体の反応を決定することができる。メディアのこの集団視聴は、メディアの評価に利用することができるが、これは、メディアに反応した生理学的変化の新たな利用方法である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、関与値を計算するための例としてのシステム100を示す。
【図2】図2は、個人が思考せずに行動する量に基づいて関与値を計算する方法の例としてのフローチャート200を示す。
【図3】図3は、関与に基づいて第一のメディアを第二のメディアに対して評価する方法の例としてのフローチャート300を示す。
【図4】図4は、関与値に基づいて複数のメディアを評価する例である図400を示す。
【図5】図5は、関与の評価に関連する、複数の例としての公式500を示す。
【図6】図6は、心拍数と、関与値の計算に有用な複数の公式例のうちの一つとの関係600を示す。
【図7】図7は、個人のメディアへの関与に関連する関与値を計算しながら、個人をメディアで刺激する例としての図700を示す。
【図8】図8は、メディアによって複数の個人を刺激し、彼らのメディアへの関与に基づいて関連する値を計算する例としての図800を示す。
【図9】図9は、時間におけるイベントに対する関与の変化の例である図900を示す。
【図10】図10は、個人を本例ではゲームであるメディアで刺激し、関連する心拍数、思考及び関与のレベルを記録する、例としての図1000及びデータグラフを示す。
【図11】図11は、心臓信号とともに、個人の頭部からの信号の収集に役立つ電極を含むヘッドセット1100を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態が、添付の図面において説明される。しかしながら、実施の形態及び図面は、例示であって限定ではなく、本発明の例を提供するものである。
以下の説明において、本発明の実施の形態の十分な理解を提供するために、幾つかの具体的な詳細が示される。しかしながら、当業者は、本発明がそれらの具体的な詳細の一つ又はそれ以上が無くても、又は、他の要素との組み合わせにおいても、実施可能であることを理解する。他の例では、本発明の様々な実施の形態の態様を曖昧にすることを避けるために、周知の実現態様又は操作は、詳細に示され又は説明されない。
【0009】
メディアの評価に利用するための「関与」反応を測定する新しいシステム及び方法は、生理学的信号を利用する。個人がメディアに反応する際に、生理学的センサがこの反応を記録する。処理ユニットは、生理学的センサを通して生理学的信号を収集し、個人が思考せずに行動した量に対し、実質的に同時に関与値を割り当てる。「実質的に同時に」とは、反応が刺激と同時に、又は非常に近い時間内にあることを意味する。反応には遅延があり得る。そのため、関与値は、反応が刺激と全く同時でなかったとしても、すぐその後に起こるだろうという理解によって計算される。
【0010】
幾つかの実施の形態において、関与値を計算する例としての方法は、個人が思考せずに行動した量を考慮する。このための三つの有用な生理学的信号には、頭脳からのアルファ波及びシータ波と、心拍数(HR)とが含まれる。他にも有用な信号が存在し、それらのうちの一部は以下に説明される。一般的に、心拍数の増加は、より高い関与を示し、シータの増加は、より高い思考レベルを示すため、より低い関与を示し、アルファの増加は、より低い思考レベルを示すため、より高い関与を示す。これらの具体的な関係は、関与の評価に関連する公式例を示す図4の説明において、より詳細に明らかにされる。
【0011】
図1は、例としてのシステム100を示す。図1の例において、システム100は、メディア102、個人104、センサ106及び処理ユニット108を含む。図示された通り、個人104はメディア102によって刺激され、その期間に、個人の関与レベルが、センサ106を用いて処理ユニット108によって観察される。ここで、メディアは、映画、ビデオ、テレビ番組、コマーシャル、広告、ビデオゲーム、インタラクティブなオンライン・メディア、印刷物、又は、個人を刺激し得る任意の他のメディアのうちの一つ又はそれ以上であってよい。センサ106は、加速度計、血液酸素センサ、検流計、脳電図、筋電計、及び任意の他の生理学的センサのうちの一つ又はそれ以上であってよい。
【0012】
図2は、関与値を計算する方法の例としてのフローチャート200を示す。本方法は、フローチャート200内のモジュールの連続として構成される。しかしながら、これらのモジュール、及び本明細書に説明された他の方法と関連付けられるモジュールは、並列実行のために並べ替えられても、又は、モジュールの異なる順序に並べ替えられてもよいことが理解されるべきである。図2の例において、フローチャートは、イベントを含むメディアによって個人を刺激するモジュール202から開始する。
【0013】
図2の例において、フローチャート200は、メディアにより個人を刺激しながら、個人の脳からの第一の信号を実質的に同時にサンプリングするモジュール204に続く。心臓からの信号は、心拍数を含む。心臓からの信号は、この目的のために取り付けられた電極を用いて同時に収集される。心拍数、即ち毎分の心臓鼓動の数を計算する際には、心臓信号の底部に対する心臓信号のピークを見つけることにより、心臓の鼓動を決定することができる。図11に関連して説明される例としてのヘッドセットが、心拍数及び脳波の両方を記録するために利用されてもよい。
【0014】
図2の例において、フローチャート200は、脳からの第一の信号をサンプリングしながら、個人の心臓からの第二の信号を実質的に同時にサンプリングするモジュール206に続く。脳からの信号は、アルファ波及びシータ波を含む。更に、脳からの信号は、デルタ波やシータ波のような他の脳波を含む。脳波の周波数は、約1〜4Hz(デルタ)、4〜8Hz(シータ)、8〜13Hz(アルファ)、13〜20Hz(ベータ)である。例えばアルファとベータとの間の周波数領域のカットオフ・ポイントは、およそ13Hzであるが、当業者は、精神生理学の様々な流派において、何らかの利益をもって、その範囲を適用する。ここで提供されるアルゴリズムの例は、心拍数に加えて、1〜100Hzの任意の周波数又は周波数のセットを利用して、関与を決定することができる。図11の例において記載されるヘッドセットを利用して、個人の頭に電極を取り付けることが可能である。胸の電極は、電極を皮膚に固定する粘着材と、電極を、心拍数を収集する装置に接続するワイヤとを有する単純な電極であってよい。
【0015】
図2の例において、フローチャート200は、第一の信号及び第二の信号を周波数領域に分解するモジュール208に続く。この例において、分解には、いずれもデジタル信号処理の分野で周知である高速フーリエ変換(FFT)又はウェーブレット分析が利用される。FFTは、離散フーリエ変換(DFT)を計算する効果的な方法であり、DFTは、フーリエ分析を計算する他の方法と同様に利用され得る。代替として、信号を別個に考慮することができるように、信号をその様々な周波数成分に分離するウェーブレット分析が利用されてもよい。具体的に、これを実行するためには、モアレ・ウェーブレット、メキシカン・ハット・ウェーブレット、ドブシー(Daubechies)・ウェーブレット、ベータ(Beta)・ウェーブレット、又はコイフレ(Coiflet)・ウェーブレットが有用であり得る。他のウェーブレットが利用されてもよい。
【0016】
幾つかの実施の形態において、周波数は、信号から分離されてビンに格納される。信号からの周波数を格納する際に、ビンは、周波数領域からサンプリングされた信号を保持する。DFTビンは、nポイントDFTを計算することにより定義され得る。具体的に、n個の異なるサンプル値が、X(0)からX(n−1)まで作られる。iが0〜n−1の値である場合、X(i)は、関連するサンプル値を保持するビンである。アルファ・ビンは、8〜13ヘルツの任意の値を保持することができるが、必ずしもその範囲内の全ての周波数を含まなくてもよい。シータ・ビンは、4〜8ヘルツの任意の値を保持することができるが、全ての周波数を含まなくてもよい。同様に、デルタ波及びベータ波は、デルタ・ビン及びベータ・ビンに保持されることができる。更に、ホワイト・ノイズやピンク・ノイズといった信号のノイズを除去するために、周波数プロフィールが調整される。
【0017】
図2の例において、フローチャート200は、当該メディアの参照値と比較することにより、関与値と参照値との差に基づいてメディアを評価するために、第一の信号からの一つ又はそれ以上の周波数、及び第二の信号からの周波数を用いて、イベントの刺激に応じて個人が思考せずに行動する量を決定する関与値を計算するモジュール210に続く。
【0018】
幾つかの実施の形態では、心拍数と対比される、アルファのみ又はシータのみを用いて関与を感知することが可能である。全体EEGパワーも有用である。関与値を計算するために単一の公式が用いられ得るが、該公式において、x/EEGは全体EEGパワーに対するxを表す。更に、例えば、シータの自然対数をとってスカラ係数を乗じたりすることにより、シータの最適化された乗数が利用されてもよい。非限定的な例において、シータは、最適化されたシータ=s・ln(シータ)のように最適化されてもよい。ここで、sはスカラ係数であり、ln(x)はxの自然対数を求める関数を表す。シータ又は最適化されたシータが、それらと組み合わせて利用され得る。
【0019】
幾つかの実施の形態において、アルファ脳波は、認識活動と逆に相関付けられる。アルファ出力が上昇すると、思考の低下が起こる。逆に、表層的な処理が増加すると、アルファ出力に低下が起こり、これは一般に、アルファ抑制と呼ばれる。これらの基本を用いて、心拍数の増加、アルファ出力の低下、及びシータ出力の増加を探す公式を用いることにより、関与値が決定される。そのような公式の一例は、
【0020】
【数1】
【0021】
である。この公式は、心拍数、アルファ値及びシータ値の組み合わせを用いる。具体的に、50で除することによって調整された心拍数から、アルファ値及びシータ値の組み合わせを除算する。調整及びアルファ値及びシータ値の組み合わせは非限定的であり、公式は、特定の応用のための必要に応じて書きなおされてもよい。利用可能な他の公式は、心拍数と、関与値の計算に有用な複数の公式例のうちの一つとの関係を示す図5に関連して以下に説明される。
【0022】
幾つかの実施の形態において、メディアの一つ又はそれ以上のイベントが、該メディアに対する関与値を定義するために利用される。イベントはメディアの識別可能な一部である。それは、ジョークの落ちであったり、又は映画の重要場面であったりしてもよい。メディアのイベントは、測定可能であり、それと関連付けられた関与値を持つことができる。多数のイベントが多数の関与値を有することになる。メディアは、それに含まれるイベントと、それらイベントと関連付けられた関与値とを考慮することにより、全体として評価され得る。
【0023】
幾つかの実施の形態において、関与値は、特定の時点において計算される。例としてのシステムは、メディアの刺激に関して計算された複数の関与値に基づいて、個人の関与の時間変化グラフを提供する。
【0024】
幾つかの実施の形態では、刺激への反応を示す関与の変化を確定するために、微分係数が計算され得る。非限定的な例において、或るメディアのイベントは関与反応をもたらすように人の関心を引き、これは、正の微分係数によって識別される。正の微分係数は関与の増加を示し、負の微分係数は、関与の減少を示す。メディアの製作者は、この情報を用いて、製作者の望みのままに、更に人の関心を引く又は引かないメディアを製作する。
【0025】
幾つかの実施の形態において、メディアは、関与値に基づいて評価され得る。図3は、第二のメディアに対して第一のメディアを評価する例としてのフローチャート300を示す。フローチャート300は、メディアのイベントに対する個人の関与値を計算するモジュール302から開始する。第一の関与値を得るにあたり、第一の個人がメディアにさらされ、得られたデータには、心拍数、アルファ波、シータ波、デルタ波及びベータ波が含まれ得る。これらの値は、時間について同時に集められる。データ・ポイントは、この時点における関与値を含む。反応には遅延があり得る。そのため、信号は、反応が刺激と全く同時でなかったとしても、すぐその後に起こり得るため、刺激と実質的に動じであるという理解によってサンプリングされる。
【0026】
幾つかの実施の形態において、イベントに対するユーザの関与反応と、該イベントの予め決定された関与値とを比較するために、参照値が利用される。参照値は、ユーザの関与値とイベントとの間の差を決定する比較値を提供する目的で作成される任意のものであってよい。メディア製作者は、彼ら自身の参照値を作り出し得る。参照値は、理想値、即ち所望の目標であってもよい。参照値は、他の個人を比較する参照値を開発する目的のためだけに計算された、多数の異なるユーザの関与値の平均であってもよい。
【0027】
図3の例において、フローチャート300は、個人がメディアに関与させられる量と、該メディアの参照値との間の差を決定するために、関与値を参照値と比較するモジュール304に進む。参照値は、第一のデータ・ポイントと同様の方法で取得することができる。代替として、参照値は、メディアの製作者によって提供される。
【0028】
図3の例において、フローチャート300は、メディアのイベントの評価を決定する測定値として比較を保存するモジュール306に進む。関与値と参照値との間の相対的な差は、個人がメディアにおいて、参照値よりも比較的多く又は少なく関与させられていることを決定するために利用される。相対的な差は、図4に説明されたように、複数の異なるメディアを評価するために利用できる。
【0029】
幾つかの実施の形態において、複数のメディアが関与値に基づいて評価される。図4の例において、複数のメディアを評価する例としての図400は、n個の異なるメディアを考慮し、それらを、個人と関連付けられた関与値に関する順番に評価付ける。これは、一つのメディアを他のメディアと比較するために平均関与値、又は最高関与値、又は他の統計的に動機付けされた関与値が用いられ得る図8について論じられるように、個人のグループに拡張されてもよい。図400の上部にある元の順番において、メディアはまだ体系付けられておらず、ゲーム402、スポーツ404、広告406、次いで映画408となっている。メディアが関連する関与値E1、E2・・・ENに従って評価されると、相対的評価が、評価された映画412、評価されたスポーツ414、評価されたゲーム416、次いで評価された広告418として見て取れる。評価は、複数のメディアのうちで、どのメディアが最も人の関心を引き、どのメディアが最も関心を引かないか、及び、個人のメディアに対する相対的な関与の他の統計的な測定値を決定するために利用され得る。
【0030】
図5は、関与の評価に関する複数の公式500を示す。図1について述べた通り、シータ、アルファ及び心拍数の関係が、個人が思考せずに行動する量を決定し、それにより当該個人の関与を決定する。シータ波の減少は関与レベルの低下を示す。アルファ波の増加は関与レベルの低下を示す。このアルファの増加及び/又はシータの相対的減少は、関与レベルの変化を示す。心拍数の増加は、刺激的なイベントに反応して個人の心臓が「とても早く動く」際に経験される興奮レベルと関連付けられる。これらの組み合わせは、個人が相互作用しているメディアに関与させられていることを発見するための基礎である。個人のシータ、アルファ及び心拍数の変化が、関与の変化を決定するのに十分とは言えない場合であっても、これらの値のうちの一つの変化は、関与値の変化と関連付けられ、含まれる全ての値の相関変化は、関与の変化を示し得る。
【0031】
図6は、心拍数と、関与値の計算に有用な複数の公式例のうちの一つとの、例としての関係600を示す。関係600は、心拍数(HR)602、及び公式604〜628を含む。公式626は、ウェーブレット分析からの支配的なパルス幅を示す。関与値の計算にあたり、公式は、HR、及びこれらの公式のうちの一つ又はそれ以上を考慮に入れる。公式及びHRは、特定の応用のために調整されるために、それぞれが又は両方が、定数により乗算又は除算される。一つ又はそれ以上の公式における各変数は、公式内の他の変数を同様に調整することなしに、定数により同様に調整され得る。HRと公式との関係が、関与を決定するために利用される。図示されていないが、本明細書の教示の趣旨に従った公式も、同様に含まれる。
【0032】
図7は、個人のメディアへの関与に関連する関与値を計算しながら、個人をメディアで刺激する例としての図700を示す。図700は、メディア702、処理ユニット704、心臓706、電極708、個人710、及びヘッドセット712を含む。図示された通り、個人712は、処理ユニット704により彼の関与レベルを観察されながら、ハリウッド映画であるメディア702を視聴する。電極708及びヘッドセット712により、頭部及び心臓706から信号が収集される。信号は、関与値に処理されるために、処理ユニット704に伝送される。特に、デルタ、アルファ、シータ、及びベータ波は、それぞれが実際に利用されるか否かに関わらず、全てがヘッドセット712により受信され、処理ユニット704に転送される。
【0033】
幾つかの実施の形態において、生理学的反応から導き出された多数の個人の関与値の集約が作成され、メディアに対するグループ反応を決定する。集約は、多数の個人に対する平均反応であってもよく、又は、より高次の近似であってもよい。
【0034】
図8は、複数の個人をメディアで刺激し、彼らのメディアに対する関与に基づいて関連する値を計算する、例としての図800を示す。図800は、メディア802、第一の個人804、第二の個人806、第三の個人808、処理ユニット810、合計反応ベクトル812、平均関与814、最高関与816、及び時刻における関与818を含む。図8の例において、個人804、806、及び810は、メディアに関与させられ、この例においては、映画を見ている。処理ユニット810は、図1の説明に従って信号を受信し、関与値を計算する。これらの関与値は、収集された関与値に基づいてメディアに関する統計情報を生成するために利用される。例えば、合計反応ベクトル812は、各個人804、806及び810の関与値を受け取り、メディアに関与によって反応する個人の数を決定し得る。この例において、メディアへのグループ反応が取得され得る。平均関与814、最高関与816、及び時刻における関与818のような追加の統計情報は、メディアに対するグループ反応に基づいてメディアを評価するために利用され得る。
【0035】
幾つかの実施の形態において、イベントは、イベントを他のイベントと比較する数学的変換を用いることにより、特定種別のイベントとして分類される。そのような数学的変換には、平均、一次微分、二次微分、多項式近似、平均値からの標準偏差、平均値からの微分係数の標準偏差、並びに、中間におけるピーク形成、開始時のスパイキング(spiking)、及び平坦等のうちの一つ又はそれ以上を考慮する畳み込み又は他の方法によって実現され得る生理学的反応のプロフィールが含まれ得るが、それらに限定されるものではない。
【0036】
図9は、時間経過に対する関与の変化の例としてのグラフ図900を示す。図900は、刺激的で関心を引くイベント902と、刺激的ではなく関心を引かないイベント904とを含む。図9の例において、刺激的で関心を引くイベント902は、関与の増加をもたらす。関与ベクトルの微分係数は、刺激的で関心を引くイベント902の直後から、興奮が徐々に薄れて安定した関与がもたらされるまで、明らかに正になる。逆に、興奮して関心を持った個人が、刺激的ではなく関心を引かないイベント904を経験すると、該イベントは、その直後から、個人の関与を、個人がイベント前よりも著しく関与しなくなるポイントまで減少させる。
【0037】
図10は、ここではゲームであるメディアにより個人を刺激し、関連する心拍数、思考及び関与のレベルを記録する例としての図1000及びデータグラフを示す。図1000は、ゲーム1002、個人1004、ヘッドセット1006、心臓1008、電極1010、処理ユニット1012、第一のグラフ1014、及び第二のグラフ1016を含む。第一のグラフ1014及び第二のグラフ1016は、同一の個人からの同一のデータに対応するのではなく、異なる実験からのデータに対応する。図10の例において、個人1004は、脳波がヘッドセット1006により収集され、心臓信号が処理ユニット1012により収集される期間に、ゲームをする。結果としての信号は、図1の議論に従って分析され、関与が追跡される。グラフ1014には、脳波及び心拍数がグラフ化される。実験において、個人が観察され、グラフが作成される。時間経過に渡って個人1004の行動をグラフ1014と比較することにより、高強度を持つ時間期間、即ち、個人が関与させられていると識別される期間において、個人の心拍数が上昇し、アルファ及びシータの変化によって識別される思考レベルが低下することが結論付けられる。この関与が上記の通り心拍数及び脳波と対応することが発見された後に、グラフ1016が作成された。グラフ1016は、ゲームへの個人の関与を示し、非関与に対応するキーポイントが示される。グラフ1016は実際の実験を通じて作成されたものであるが、この非関与は、図9の説明に記載されたものに対応する。
【0038】
幾つかの実施の形態において、視聴者がメディアのイベントを視聴する間に生理学的データを測定するために、統合されたヘッドセットが視聴者の頭に装着され得る。データはコンピュータのプログラムに記録され、それにより、ヘッドセットを装着している視聴者がメディアと相互作用することが可能となる。
【0039】
図11は、個人の頭部からの信号収集に有用な電極を含むヘッドセット1100を示す。ヘッドセット1100は、処理装置1101、三軸加速度計1102、シリコン製安定化ストリップ1103、右EEG電極1104、心拍数センサ1105、左EEG電極1106、電池モジュール1107、及び調節ストラップ1108を含む。図11は、本発明の一つの実施の形態とともに用いられる統合ヘッドセットの例を、異なる角度から示す。処理装置1101は、生理学的データをデジタル化し、該データを、思考、関与、没頭、肉体的関与、誘意性(valence)、生気及びその他を含むがそれらに限定されない生理学的応答に処理可能なマイクロプロセッサである。三軸加速度計1102は、頭部の動きを感知する。シリコン製安定化ストリップ1103は、ヘッドセットの固定により動きを最小化し、更にしっかりした感知を可能とする。右EEG電極1104及び左EEG電極1106は、使用のために準備を必要としない、前額骨の前に置かれるドライ電極である。電極と肌とが接触していることが必要だが、過度な圧力は必要ない。心拍数センサ1105は、額の中心付近に置かれる堅牢な血液量脈波(blood volume pulse)センサであり、充電又は交換可能な電池モジュール1107が片耳の上に置かれる。裏側の調節可能ストラップ1108は、様々なサイズの頭に対してヘッドセットを心地よい圧力設定に調節するために利用される。
【0040】
幾つかの実施の形態において、統合ヘッドセットは、押しボタンによりオンにされ、視聴者の生理学的データが即時に測定及び記録される。データ転送は、ヘッドセットがリンクされているコンピュータのインタフェースを介して無線で扱われてもよい。正確な測定を得るために、視聴者の皮膚の準備又はジェルは必要ではなく、ヘッドセットは視聴者から簡単に取り外され、すぐに他の視聴者によって利用されることができる。使用中にヘッドセットが劣化することはなく、ヘッドセットは数千回再利用することが可能である。
【0041】
上記の例及び実施の形態は例示であり、本発明の範囲を限定しないことが、当業者に理解される。本明細書を閲読し図面を研究した当業者にとって明らかな本発明の全ての置換、改善、均等物、及び改良は、本発明の真の趣旨及び範囲内であることが意図される。そのため、以下の特許請求の範囲は、そのような修正、置換、及び均等物の全てを、本発明の真の趣旨及び範囲内にあるものとして、含むものであることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
102 メディア、104 個人、106 センサ、108 処理ユニット。
【背景技術】
【0001】
製作者は、個人を刺激し関与させるインタラクティブなメディア、活動及び製品(「メディア」)を設計する。メディアは、しばしば、競争の激しい市場において消費者に販売され、該市場では、関与を刺激する能力が価値を決定する。製作者は、個人をより刺激するようメディアを改善することにより価値を最大化するために、消費者がメディアに関与させられたかどうかを知りたがる。メディアの価値が最大化されないと、消費者は、よりよい刺激をもたらす競合製品を購入してしまう。競合製品が売れると、売上が減少して利益が失われる。問題は、インタラクティブなメディア、活動及び製品の刺激への反応に関する正確な情報を提供することにある。反応の測定は、インタラクティブなメディア、活動及び製品の製作者が、目標市場の頭脳に入り込むことを必要とする。
【0002】
人の頭脳に入っていく際、神経生物学、精神生理学、及び心理学の研究者は、脳から発される生理学的信号を発見した。研究者は、脳電図(EEG)を利用し、頭につけられた電極を介して、生理学的信号を記録した。生理学的信号は、30ヘルツより下の4つの主要な部分を有する。1〜4ヘルツの周波数はデルタ(δ)波を有し、4〜8ヘルツの周波数はシータ(θ)波を有し、8〜13ヘルツの周波数はアルファ(α)脳波を有し、13〜20ヘルツの周波数はベータ(β)脳波を有する。
【0003】
更に、身体からデータを収集するために利用されるツールは、フォトプリサイモグラフ(PPG)及び心電図(ECG又は心電図のドイツ語であるEKG)を含む。フォトプリサイモグラフ(PPG)は、心臓周期を知るために利用可能な、光学的に取得される測定値である。PPGは、パルス酸素濃度計を用いて、血液が末端に押し出される際に、心臓周期と関連する皮膚からの酸素脱落の変化を観察する。心臓周期は、この酸素脱落の変化に基づいて記録される。心拍数のもう一つの測定方法は、ECGである。心電図(ECG)は、胸に取り付けられた電極を介して心拍を測定する。従来ECGは心電図、又は時間経過に渡る心拍を示す図を作成した。代替としては、心臓から生成された信号が記録される。
【0004】
上記の関連技術の例及びそれらの限界は、例示であって、限定的なものではない。関連技術の他の限界が、本明細書を閲読し、図面を研究した当業者に明らかになる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の実施の形態及びその態様は、例示及び説明であって特許請求の範囲の限定を意味しないシステム、ツール及び方法に関して説明される。様々な実施の形態において、上記の問題の一つ又はそれ以上が軽減又は除去され、別の実施の形態は、別の改善を目的とする。
【0006】
個人のメディアに対する「関与(engagement)」反応を測定する新技術が提供される。本技術は、脳及び身体から発される生理学的信号を用いて、関与反応を測定する。関与値は、ユーザが思考せずに行動する量を定量化する、関与反応の客観的測定値である。都合のよいことに、関与反応は、メディアが製作される際に、該メディアを効果的に改善するために利用できる。非限定的な例において、評価は、個人が、テレビ・ショーがドキュメンタリよりも関与を促すものであると思うか否かを決定する。更に、個人のグループによる関与反応を測定し集約(aggregate)して、メディアに対する集団全体の反応を決定することができる。メディアのこの集団視聴は、メディアの評価に利用することができるが、これは、メディアに反応した生理学的変化の新たな利用方法である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、関与値を計算するための例としてのシステム100を示す。
【図2】図2は、個人が思考せずに行動する量に基づいて関与値を計算する方法の例としてのフローチャート200を示す。
【図3】図3は、関与に基づいて第一のメディアを第二のメディアに対して評価する方法の例としてのフローチャート300を示す。
【図4】図4は、関与値に基づいて複数のメディアを評価する例である図400を示す。
【図5】図5は、関与の評価に関連する、複数の例としての公式500を示す。
【図6】図6は、心拍数と、関与値の計算に有用な複数の公式例のうちの一つとの関係600を示す。
【図7】図7は、個人のメディアへの関与に関連する関与値を計算しながら、個人をメディアで刺激する例としての図700を示す。
【図8】図8は、メディアによって複数の個人を刺激し、彼らのメディアへの関与に基づいて関連する値を計算する例としての図800を示す。
【図9】図9は、時間におけるイベントに対する関与の変化の例である図900を示す。
【図10】図10は、個人を本例ではゲームであるメディアで刺激し、関連する心拍数、思考及び関与のレベルを記録する、例としての図1000及びデータグラフを示す。
【図11】図11は、心臓信号とともに、個人の頭部からの信号の収集に役立つ電極を含むヘッドセット1100を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施の形態が、添付の図面において説明される。しかしながら、実施の形態及び図面は、例示であって限定ではなく、本発明の例を提供するものである。
以下の説明において、本発明の実施の形態の十分な理解を提供するために、幾つかの具体的な詳細が示される。しかしながら、当業者は、本発明がそれらの具体的な詳細の一つ又はそれ以上が無くても、又は、他の要素との組み合わせにおいても、実施可能であることを理解する。他の例では、本発明の様々な実施の形態の態様を曖昧にすることを避けるために、周知の実現態様又は操作は、詳細に示され又は説明されない。
【0009】
メディアの評価に利用するための「関与」反応を測定する新しいシステム及び方法は、生理学的信号を利用する。個人がメディアに反応する際に、生理学的センサがこの反応を記録する。処理ユニットは、生理学的センサを通して生理学的信号を収集し、個人が思考せずに行動した量に対し、実質的に同時に関与値を割り当てる。「実質的に同時に」とは、反応が刺激と同時に、又は非常に近い時間内にあることを意味する。反応には遅延があり得る。そのため、関与値は、反応が刺激と全く同時でなかったとしても、すぐその後に起こるだろうという理解によって計算される。
【0010】
幾つかの実施の形態において、関与値を計算する例としての方法は、個人が思考せずに行動した量を考慮する。このための三つの有用な生理学的信号には、頭脳からのアルファ波及びシータ波と、心拍数(HR)とが含まれる。他にも有用な信号が存在し、それらのうちの一部は以下に説明される。一般的に、心拍数の増加は、より高い関与を示し、シータの増加は、より高い思考レベルを示すため、より低い関与を示し、アルファの増加は、より低い思考レベルを示すため、より高い関与を示す。これらの具体的な関係は、関与の評価に関連する公式例を示す図4の説明において、より詳細に明らかにされる。
【0011】
図1は、例としてのシステム100を示す。図1の例において、システム100は、メディア102、個人104、センサ106及び処理ユニット108を含む。図示された通り、個人104はメディア102によって刺激され、その期間に、個人の関与レベルが、センサ106を用いて処理ユニット108によって観察される。ここで、メディアは、映画、ビデオ、テレビ番組、コマーシャル、広告、ビデオゲーム、インタラクティブなオンライン・メディア、印刷物、又は、個人を刺激し得る任意の他のメディアのうちの一つ又はそれ以上であってよい。センサ106は、加速度計、血液酸素センサ、検流計、脳電図、筋電計、及び任意の他の生理学的センサのうちの一つ又はそれ以上であってよい。
【0012】
図2は、関与値を計算する方法の例としてのフローチャート200を示す。本方法は、フローチャート200内のモジュールの連続として構成される。しかしながら、これらのモジュール、及び本明細書に説明された他の方法と関連付けられるモジュールは、並列実行のために並べ替えられても、又は、モジュールの異なる順序に並べ替えられてもよいことが理解されるべきである。図2の例において、フローチャートは、イベントを含むメディアによって個人を刺激するモジュール202から開始する。
【0013】
図2の例において、フローチャート200は、メディアにより個人を刺激しながら、個人の脳からの第一の信号を実質的に同時にサンプリングするモジュール204に続く。心臓からの信号は、心拍数を含む。心臓からの信号は、この目的のために取り付けられた電極を用いて同時に収集される。心拍数、即ち毎分の心臓鼓動の数を計算する際には、心臓信号の底部に対する心臓信号のピークを見つけることにより、心臓の鼓動を決定することができる。図11に関連して説明される例としてのヘッドセットが、心拍数及び脳波の両方を記録するために利用されてもよい。
【0014】
図2の例において、フローチャート200は、脳からの第一の信号をサンプリングしながら、個人の心臓からの第二の信号を実質的に同時にサンプリングするモジュール206に続く。脳からの信号は、アルファ波及びシータ波を含む。更に、脳からの信号は、デルタ波やシータ波のような他の脳波を含む。脳波の周波数は、約1〜4Hz(デルタ)、4〜8Hz(シータ)、8〜13Hz(アルファ)、13〜20Hz(ベータ)である。例えばアルファとベータとの間の周波数領域のカットオフ・ポイントは、およそ13Hzであるが、当業者は、精神生理学の様々な流派において、何らかの利益をもって、その範囲を適用する。ここで提供されるアルゴリズムの例は、心拍数に加えて、1〜100Hzの任意の周波数又は周波数のセットを利用して、関与を決定することができる。図11の例において記載されるヘッドセットを利用して、個人の頭に電極を取り付けることが可能である。胸の電極は、電極を皮膚に固定する粘着材と、電極を、心拍数を収集する装置に接続するワイヤとを有する単純な電極であってよい。
【0015】
図2の例において、フローチャート200は、第一の信号及び第二の信号を周波数領域に分解するモジュール208に続く。この例において、分解には、いずれもデジタル信号処理の分野で周知である高速フーリエ変換(FFT)又はウェーブレット分析が利用される。FFTは、離散フーリエ変換(DFT)を計算する効果的な方法であり、DFTは、フーリエ分析を計算する他の方法と同様に利用され得る。代替として、信号を別個に考慮することができるように、信号をその様々な周波数成分に分離するウェーブレット分析が利用されてもよい。具体的に、これを実行するためには、モアレ・ウェーブレット、メキシカン・ハット・ウェーブレット、ドブシー(Daubechies)・ウェーブレット、ベータ(Beta)・ウェーブレット、又はコイフレ(Coiflet)・ウェーブレットが有用であり得る。他のウェーブレットが利用されてもよい。
【0016】
幾つかの実施の形態において、周波数は、信号から分離されてビンに格納される。信号からの周波数を格納する際に、ビンは、周波数領域からサンプリングされた信号を保持する。DFTビンは、nポイントDFTを計算することにより定義され得る。具体的に、n個の異なるサンプル値が、X(0)からX(n−1)まで作られる。iが0〜n−1の値である場合、X(i)は、関連するサンプル値を保持するビンである。アルファ・ビンは、8〜13ヘルツの任意の値を保持することができるが、必ずしもその範囲内の全ての周波数を含まなくてもよい。シータ・ビンは、4〜8ヘルツの任意の値を保持することができるが、全ての周波数を含まなくてもよい。同様に、デルタ波及びベータ波は、デルタ・ビン及びベータ・ビンに保持されることができる。更に、ホワイト・ノイズやピンク・ノイズといった信号のノイズを除去するために、周波数プロフィールが調整される。
【0017】
図2の例において、フローチャート200は、当該メディアの参照値と比較することにより、関与値と参照値との差に基づいてメディアを評価するために、第一の信号からの一つ又はそれ以上の周波数、及び第二の信号からの周波数を用いて、イベントの刺激に応じて個人が思考せずに行動する量を決定する関与値を計算するモジュール210に続く。
【0018】
幾つかの実施の形態では、心拍数と対比される、アルファのみ又はシータのみを用いて関与を感知することが可能である。全体EEGパワーも有用である。関与値を計算するために単一の公式が用いられ得るが、該公式において、x/EEGは全体EEGパワーに対するxを表す。更に、例えば、シータの自然対数をとってスカラ係数を乗じたりすることにより、シータの最適化された乗数が利用されてもよい。非限定的な例において、シータは、最適化されたシータ=s・ln(シータ)のように最適化されてもよい。ここで、sはスカラ係数であり、ln(x)はxの自然対数を求める関数を表す。シータ又は最適化されたシータが、それらと組み合わせて利用され得る。
【0019】
幾つかの実施の形態において、アルファ脳波は、認識活動と逆に相関付けられる。アルファ出力が上昇すると、思考の低下が起こる。逆に、表層的な処理が増加すると、アルファ出力に低下が起こり、これは一般に、アルファ抑制と呼ばれる。これらの基本を用いて、心拍数の増加、アルファ出力の低下、及びシータ出力の増加を探す公式を用いることにより、関与値が決定される。そのような公式の一例は、
【0020】
【数1】
【0021】
である。この公式は、心拍数、アルファ値及びシータ値の組み合わせを用いる。具体的に、50で除することによって調整された心拍数から、アルファ値及びシータ値の組み合わせを除算する。調整及びアルファ値及びシータ値の組み合わせは非限定的であり、公式は、特定の応用のための必要に応じて書きなおされてもよい。利用可能な他の公式は、心拍数と、関与値の計算に有用な複数の公式例のうちの一つとの関係を示す図5に関連して以下に説明される。
【0022】
幾つかの実施の形態において、メディアの一つ又はそれ以上のイベントが、該メディアに対する関与値を定義するために利用される。イベントはメディアの識別可能な一部である。それは、ジョークの落ちであったり、又は映画の重要場面であったりしてもよい。メディアのイベントは、測定可能であり、それと関連付けられた関与値を持つことができる。多数のイベントが多数の関与値を有することになる。メディアは、それに含まれるイベントと、それらイベントと関連付けられた関与値とを考慮することにより、全体として評価され得る。
【0023】
幾つかの実施の形態において、関与値は、特定の時点において計算される。例としてのシステムは、メディアの刺激に関して計算された複数の関与値に基づいて、個人の関与の時間変化グラフを提供する。
【0024】
幾つかの実施の形態では、刺激への反応を示す関与の変化を確定するために、微分係数が計算され得る。非限定的な例において、或るメディアのイベントは関与反応をもたらすように人の関心を引き、これは、正の微分係数によって識別される。正の微分係数は関与の増加を示し、負の微分係数は、関与の減少を示す。メディアの製作者は、この情報を用いて、製作者の望みのままに、更に人の関心を引く又は引かないメディアを製作する。
【0025】
幾つかの実施の形態において、メディアは、関与値に基づいて評価され得る。図3は、第二のメディアに対して第一のメディアを評価する例としてのフローチャート300を示す。フローチャート300は、メディアのイベントに対する個人の関与値を計算するモジュール302から開始する。第一の関与値を得るにあたり、第一の個人がメディアにさらされ、得られたデータには、心拍数、アルファ波、シータ波、デルタ波及びベータ波が含まれ得る。これらの値は、時間について同時に集められる。データ・ポイントは、この時点における関与値を含む。反応には遅延があり得る。そのため、信号は、反応が刺激と全く同時でなかったとしても、すぐその後に起こり得るため、刺激と実質的に動じであるという理解によってサンプリングされる。
【0026】
幾つかの実施の形態において、イベントに対するユーザの関与反応と、該イベントの予め決定された関与値とを比較するために、参照値が利用される。参照値は、ユーザの関与値とイベントとの間の差を決定する比較値を提供する目的で作成される任意のものであってよい。メディア製作者は、彼ら自身の参照値を作り出し得る。参照値は、理想値、即ち所望の目標であってもよい。参照値は、他の個人を比較する参照値を開発する目的のためだけに計算された、多数の異なるユーザの関与値の平均であってもよい。
【0027】
図3の例において、フローチャート300は、個人がメディアに関与させられる量と、該メディアの参照値との間の差を決定するために、関与値を参照値と比較するモジュール304に進む。参照値は、第一のデータ・ポイントと同様の方法で取得することができる。代替として、参照値は、メディアの製作者によって提供される。
【0028】
図3の例において、フローチャート300は、メディアのイベントの評価を決定する測定値として比較を保存するモジュール306に進む。関与値と参照値との間の相対的な差は、個人がメディアにおいて、参照値よりも比較的多く又は少なく関与させられていることを決定するために利用される。相対的な差は、図4に説明されたように、複数の異なるメディアを評価するために利用できる。
【0029】
幾つかの実施の形態において、複数のメディアが関与値に基づいて評価される。図4の例において、複数のメディアを評価する例としての図400は、n個の異なるメディアを考慮し、それらを、個人と関連付けられた関与値に関する順番に評価付ける。これは、一つのメディアを他のメディアと比較するために平均関与値、又は最高関与値、又は他の統計的に動機付けされた関与値が用いられ得る図8について論じられるように、個人のグループに拡張されてもよい。図400の上部にある元の順番において、メディアはまだ体系付けられておらず、ゲーム402、スポーツ404、広告406、次いで映画408となっている。メディアが関連する関与値E1、E2・・・ENに従って評価されると、相対的評価が、評価された映画412、評価されたスポーツ414、評価されたゲーム416、次いで評価された広告418として見て取れる。評価は、複数のメディアのうちで、どのメディアが最も人の関心を引き、どのメディアが最も関心を引かないか、及び、個人のメディアに対する相対的な関与の他の統計的な測定値を決定するために利用され得る。
【0030】
図5は、関与の評価に関する複数の公式500を示す。図1について述べた通り、シータ、アルファ及び心拍数の関係が、個人が思考せずに行動する量を決定し、それにより当該個人の関与を決定する。シータ波の減少は関与レベルの低下を示す。アルファ波の増加は関与レベルの低下を示す。このアルファの増加及び/又はシータの相対的減少は、関与レベルの変化を示す。心拍数の増加は、刺激的なイベントに反応して個人の心臓が「とても早く動く」際に経験される興奮レベルと関連付けられる。これらの組み合わせは、個人が相互作用しているメディアに関与させられていることを発見するための基礎である。個人のシータ、アルファ及び心拍数の変化が、関与の変化を決定するのに十分とは言えない場合であっても、これらの値のうちの一つの変化は、関与値の変化と関連付けられ、含まれる全ての値の相関変化は、関与の変化を示し得る。
【0031】
図6は、心拍数と、関与値の計算に有用な複数の公式例のうちの一つとの、例としての関係600を示す。関係600は、心拍数(HR)602、及び公式604〜628を含む。公式626は、ウェーブレット分析からの支配的なパルス幅を示す。関与値の計算にあたり、公式は、HR、及びこれらの公式のうちの一つ又はそれ以上を考慮に入れる。公式及びHRは、特定の応用のために調整されるために、それぞれが又は両方が、定数により乗算又は除算される。一つ又はそれ以上の公式における各変数は、公式内の他の変数を同様に調整することなしに、定数により同様に調整され得る。HRと公式との関係が、関与を決定するために利用される。図示されていないが、本明細書の教示の趣旨に従った公式も、同様に含まれる。
【0032】
図7は、個人のメディアへの関与に関連する関与値を計算しながら、個人をメディアで刺激する例としての図700を示す。図700は、メディア702、処理ユニット704、心臓706、電極708、個人710、及びヘッドセット712を含む。図示された通り、個人712は、処理ユニット704により彼の関与レベルを観察されながら、ハリウッド映画であるメディア702を視聴する。電極708及びヘッドセット712により、頭部及び心臓706から信号が収集される。信号は、関与値に処理されるために、処理ユニット704に伝送される。特に、デルタ、アルファ、シータ、及びベータ波は、それぞれが実際に利用されるか否かに関わらず、全てがヘッドセット712により受信され、処理ユニット704に転送される。
【0033】
幾つかの実施の形態において、生理学的反応から導き出された多数の個人の関与値の集約が作成され、メディアに対するグループ反応を決定する。集約は、多数の個人に対する平均反応であってもよく、又は、より高次の近似であってもよい。
【0034】
図8は、複数の個人をメディアで刺激し、彼らのメディアに対する関与に基づいて関連する値を計算する、例としての図800を示す。図800は、メディア802、第一の個人804、第二の個人806、第三の個人808、処理ユニット810、合計反応ベクトル812、平均関与814、最高関与816、及び時刻における関与818を含む。図8の例において、個人804、806、及び810は、メディアに関与させられ、この例においては、映画を見ている。処理ユニット810は、図1の説明に従って信号を受信し、関与値を計算する。これらの関与値は、収集された関与値に基づいてメディアに関する統計情報を生成するために利用される。例えば、合計反応ベクトル812は、各個人804、806及び810の関与値を受け取り、メディアに関与によって反応する個人の数を決定し得る。この例において、メディアへのグループ反応が取得され得る。平均関与814、最高関与816、及び時刻における関与818のような追加の統計情報は、メディアに対するグループ反応に基づいてメディアを評価するために利用され得る。
【0035】
幾つかの実施の形態において、イベントは、イベントを他のイベントと比較する数学的変換を用いることにより、特定種別のイベントとして分類される。そのような数学的変換には、平均、一次微分、二次微分、多項式近似、平均値からの標準偏差、平均値からの微分係数の標準偏差、並びに、中間におけるピーク形成、開始時のスパイキング(spiking)、及び平坦等のうちの一つ又はそれ以上を考慮する畳み込み又は他の方法によって実現され得る生理学的反応のプロフィールが含まれ得るが、それらに限定されるものではない。
【0036】
図9は、時間経過に対する関与の変化の例としてのグラフ図900を示す。図900は、刺激的で関心を引くイベント902と、刺激的ではなく関心を引かないイベント904とを含む。図9の例において、刺激的で関心を引くイベント902は、関与の増加をもたらす。関与ベクトルの微分係数は、刺激的で関心を引くイベント902の直後から、興奮が徐々に薄れて安定した関与がもたらされるまで、明らかに正になる。逆に、興奮して関心を持った個人が、刺激的ではなく関心を引かないイベント904を経験すると、該イベントは、その直後から、個人の関与を、個人がイベント前よりも著しく関与しなくなるポイントまで減少させる。
【0037】
図10は、ここではゲームであるメディアにより個人を刺激し、関連する心拍数、思考及び関与のレベルを記録する例としての図1000及びデータグラフを示す。図1000は、ゲーム1002、個人1004、ヘッドセット1006、心臓1008、電極1010、処理ユニット1012、第一のグラフ1014、及び第二のグラフ1016を含む。第一のグラフ1014及び第二のグラフ1016は、同一の個人からの同一のデータに対応するのではなく、異なる実験からのデータに対応する。図10の例において、個人1004は、脳波がヘッドセット1006により収集され、心臓信号が処理ユニット1012により収集される期間に、ゲームをする。結果としての信号は、図1の議論に従って分析され、関与が追跡される。グラフ1014には、脳波及び心拍数がグラフ化される。実験において、個人が観察され、グラフが作成される。時間経過に渡って個人1004の行動をグラフ1014と比較することにより、高強度を持つ時間期間、即ち、個人が関与させられていると識別される期間において、個人の心拍数が上昇し、アルファ及びシータの変化によって識別される思考レベルが低下することが結論付けられる。この関与が上記の通り心拍数及び脳波と対応することが発見された後に、グラフ1016が作成された。グラフ1016は、ゲームへの個人の関与を示し、非関与に対応するキーポイントが示される。グラフ1016は実際の実験を通じて作成されたものであるが、この非関与は、図9の説明に記載されたものに対応する。
【0038】
幾つかの実施の形態において、視聴者がメディアのイベントを視聴する間に生理学的データを測定するために、統合されたヘッドセットが視聴者の頭に装着され得る。データはコンピュータのプログラムに記録され、それにより、ヘッドセットを装着している視聴者がメディアと相互作用することが可能となる。
【0039】
図11は、個人の頭部からの信号収集に有用な電極を含むヘッドセット1100を示す。ヘッドセット1100は、処理装置1101、三軸加速度計1102、シリコン製安定化ストリップ1103、右EEG電極1104、心拍数センサ1105、左EEG電極1106、電池モジュール1107、及び調節ストラップ1108を含む。図11は、本発明の一つの実施の形態とともに用いられる統合ヘッドセットの例を、異なる角度から示す。処理装置1101は、生理学的データをデジタル化し、該データを、思考、関与、没頭、肉体的関与、誘意性(valence)、生気及びその他を含むがそれらに限定されない生理学的応答に処理可能なマイクロプロセッサである。三軸加速度計1102は、頭部の動きを感知する。シリコン製安定化ストリップ1103は、ヘッドセットの固定により動きを最小化し、更にしっかりした感知を可能とする。右EEG電極1104及び左EEG電極1106は、使用のために準備を必要としない、前額骨の前に置かれるドライ電極である。電極と肌とが接触していることが必要だが、過度な圧力は必要ない。心拍数センサ1105は、額の中心付近に置かれる堅牢な血液量脈波(blood volume pulse)センサであり、充電又は交換可能な電池モジュール1107が片耳の上に置かれる。裏側の調節可能ストラップ1108は、様々なサイズの頭に対してヘッドセットを心地よい圧力設定に調節するために利用される。
【0040】
幾つかの実施の形態において、統合ヘッドセットは、押しボタンによりオンにされ、視聴者の生理学的データが即時に測定及び記録される。データ転送は、ヘッドセットがリンクされているコンピュータのインタフェースを介して無線で扱われてもよい。正確な測定を得るために、視聴者の皮膚の準備又はジェルは必要ではなく、ヘッドセットは視聴者から簡単に取り外され、すぐに他の視聴者によって利用されることができる。使用中にヘッドセットが劣化することはなく、ヘッドセットは数千回再利用することが可能である。
【0041】
上記の例及び実施の形態は例示であり、本発明の範囲を限定しないことが、当業者に理解される。本明細書を閲読し図面を研究した当業者にとって明らかな本発明の全ての置換、改善、均等物、及び改良は、本発明の真の趣旨及び範囲内であることが意図される。そのため、以下の特許請求の範囲は、そのような修正、置換、及び均等物の全てを、本発明の真の趣旨及び範囲内にあるものとして、含むものであることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
102 メディア、104 個人、106 センサ、108 処理ユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディア評価のために個人の経験における没頭を感知する方法であって、
イベントを含むメディアにより個人を刺激するステップと、
前記個人を前記メディアで刺激しながら、該個人の脳からの第一の信号を実質的に同時にサンプリングするステップと、
前記脳からの第一の信号をサンプリングしながら、前記個人の心臓からの第二の信号を実質的に同時にサンプリングするステップと、
前記第一及び第二の信号を周波数領域に分解するステップと、
前記メディアの参照値と比較して、前記関与値と前記参照値との差に基づいて前記メディアを評価するために、前記第一の信号からの一つ又はそれ以上の周波数、及び前記第二の信号からの周波数を用いて、前記個人が前記イベントの刺激に応じて思考せずに行動する量を決定する関与値を計算するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記第一の信号からの一つだけの周波数が、アルファ及びシータから選択され、前記第一の信号からの前記一つだけの周波数が、前記第二の信号からの周波数とともに、前記関与値の計算に利用される方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、前記関与値が前記メディアのイベントと関連付けられる方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、前記第二の信号が、前記個人の頭部に取り付けられたフォトプリサイモグラフを介してサンプリングされる方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、前記メディアの一つのイベントと関連する複数の個人からの複数の関与値が、前記イベントに対する関与反応を形成するように集約される方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、前記メディアの前記イベントと関連する複数の個人からの複数の関与値が、前記イベントに対する関与反応を形成するように集約される方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、複数の個人からの複数の関与値が、前記メディアに関与をもって反応する人数を識別する合計反応ベクトルに含まれる方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、分解するステップが、高速フーリエ変換又はウェーブレット分析を用いて達成される方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、ウェーブレット分析が、メキシカン・ハット・ウェーブレット、モアレ・ウェーブレット、ドブシー・ウェーブレット、ベータ・ウェーブレット、及びコイフレ・ウェーブレットから選択されるウェーブレットを用いて達成される方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法であって、更に、時間経過に渡る関与の変化を示す、前記関与値の微分係数を計算するステップを備える方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法であって、使用される公式が、[心拍数/50]−[(シータ−アルファ)/(シータ+アルファ)]である方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法であって、各心拍の長さが観察される方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、前記第一の信号からの心拍数を、θ−α、θ、θ/α、Δ/α、β/α、及び全体EEGパワー/αから選択される公式の結果と対比することにより前記関与値が計算され、α、β、Δ及びθがそれぞれ、前記第一の信号の中に見出される方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法であって、心拍の長さを、α、α/θ、α/θ、α/β、α/Δ、α/全体EEGパワー、及び(α−θ)/(α+θ)から選択される公式の結果と対比することにより前記関与値が計算され、α、β、Δ及びθがそれぞれ、第一の信号の中に見出される方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法であって、前記データのユニットが、テレビ、ビデオゲーム、視聴覚広告、ボードゲーム、カードゲーム、ライブのアクション・イベント、印刷広告、及びウェブ広告から選択されるメディアを用いるシミュレーションにより作成される方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法であって、前記関与値が或る時点に対応するものであり、実質的に同時に起きた前記メディアのイベントを識別することによって、前記関与値を該時点に起きたイベントに相関付けることにより、前記関与値が前記メディアに整合付けられる方法。
【請求項17】
個人が関与させられる量に基づいてメディアを評価する方法であって、
メディアのイベントに対する前記個人の関与値を計算するステップと、
前記個人が前記メディアに関与させられる量と、前記メディアの参照値との差を決定するために、前記関与値と前記参照値とを比較するステップと、
前記メディアのイベントに対する評価を決定する測定値として、比較するステップからの結果を保存するステップと、
を備える方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、前記参照値が前記メディアの製作者により提供される方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法であって、前記参照値が、他の個人の多数の先に計算された関与値の平均値である方法。
【請求項20】
請求項17記載の方法であって、前記関与値が、アルファ又はシータから選択される単一の周波数を用いて計算され、前記単一の周波数が前記個人の心拍数と対比される方法。
【請求項21】
請求項17記載の方法であって、心拍の長さを、α、α/θ、α/θ、α/β、α/Δ、α/全体EEGパワー、及び(α−θ)/(α+θ)から選択される公式の結果と対比することにより、前記関与値が計算される方法。
【請求項22】
請求項17記載の方法であって、前記第一のメディアが、テレビ、ビデオゲーム、視聴覚広告、ボードゲーム、ライブのアクション・イベント、印刷広告、及びウェブ広告から選択される方法。
【請求項23】
メディア評価に利用するために関与反応を感知する、コンピュータ読み取り可能媒体に体現されるプログラムであって、実行された際に、システムを、
イベントを含むメディアにより個人を刺激し、
前記個人を前記メディアで刺激しながら、前記個人の脳からの第一の信号を実質的に同時にサンプリングし、
前記脳からの第一の信号をサンプリングしながら、前記個人の心臓からの第二の信号を実質的に同時にサンプリングし、
前記第一及び第二の信号を周波数領域に分解し、
前記メディアの参照値と比較して、前記関与値と前記参照値との差に基づいて前記メディアを評価するために、前記第一の信号からの一つ又はそれ以上の周波数、及び前記第二の信号からの周波数を用いて、前記個人が前記イベントの刺激に応じて思考せずに行動する量を決定する関与値を計算する
よう動作させるプログラム。
【請求項24】
請求項23記載のプログラムであって、アルファ及びシータから一つだけの周波数が選択され、該一つだけの周波数が、該一つの周波数を前記個人の心臓からの信号と対比することにより、前記関与値を計算するために利用されるプログラム。
【請求項25】
請求項23記載のプログラムであって、心拍の長さを、α、α/θ、α/θ、α/β、α/Δ、α/全体EEGパワー、及び(α−θ)/(α+θ)から選択される公式の結果と対比することにより前記関与値が計算され、α、β、Δ及びθがそれぞれ、第一の信号の中に見出されるプログラム。
【請求項26】
請求項23記載のプログラムであって、前記信号が、高速フーリエ変換又はウェーブレット分析を用いて分解されるプログラム。
【請求項27】
請求項23記載のプログラムであって、前記データのユニットが、テレビ、ビデオゲーム、視聴覚広告、ボードゲーム、カードゲーム、ライブのアクション・イベント、印刷広告、及びウェブ広告から選択されるメディアを用いるシミュレーションにより作成されるプログラム。
【請求項28】
請求項23記載のプログラムであって、前記信号が、時間において第二のイベントに対応する第二の整合付けられた関与値と比較され得る、時間において第一のイベントに対応する第一の整合付けられた関与値を生成するように、前記メディアに対して整合付けられるプログラム。
【請求項29】
メディア評価に利用するために関与反応を感知するシステムであって、
個人からの第一の信号をサンプリングするよう動作可能な一つ又はそれ以上のセンサと、
前記一つ又はそれ以上のセンサと接続される処理ユニットであって、
前記メディアにより前記個人を刺激しながら、前記個人の脳からの第一の信号を実質的に同時にサンプリングし、
前記脳からの第一の信号をサンプリングしながら、前記個人の心臓からの第二の信号を実質的に同時にサンプリングし、
前記第一及び第二の信号を周波数領域に分解し、
前記メディアの参照値と比較して、前記関与値と前記参照値との差に基づいて前記メディアを評価するために、前記第一の信号からの一つ又はそれ以上の周波数、及び前記第二の信号からの周波数を用いて、前記個人が前記イベントの刺激に応じて思考せずに行動する量を決定する関与値を計算する
よう動作可能な処理ユニットと、
を備えるシステム。
【請求項30】
請求項29記載のシステムであって、前記一つ又はそれ以上のセンサが、前記メディアに刺激された前記個人からの信号を測定するよう動作可能な統合センサ・ヘッドセットに含まれるシステム。
【請求項31】
メディア評価に利用するために関与反応を感知するシステムであって、
前記メディアにより前記個人を刺激しながら、前記個人の脳からの第一の信号を実質的に同時にサンプリングする手段と、
前記脳からの第一の信号をサンプリングしながら、前記個人の心臓からの第二の信号を実質的に同時にサンプリングする手段と、
前記第一及び第二の信号を周波数領域に分解する手段と、
前記メディアの参照値と比較して、前記関与値と前記参照値との差に基づいて前記メディアを評価するために、前記第一の信号からの一つ又はそれ以上の周波数、及び前記第二の信号からの周波数を用いて、前記個人が前記イベントの刺激に応じて思考せずに行動する量を決定する関与値を計算する手段と、
を備えるシステム。
【請求項1】
メディア評価のために個人の経験における没頭を感知する方法であって、
イベントを含むメディアにより個人を刺激するステップと、
前記個人を前記メディアで刺激しながら、該個人の脳からの第一の信号を実質的に同時にサンプリングするステップと、
前記脳からの第一の信号をサンプリングしながら、前記個人の心臓からの第二の信号を実質的に同時にサンプリングするステップと、
前記第一及び第二の信号を周波数領域に分解するステップと、
前記メディアの参照値と比較して、前記関与値と前記参照値との差に基づいて前記メディアを評価するために、前記第一の信号からの一つ又はそれ以上の周波数、及び前記第二の信号からの周波数を用いて、前記個人が前記イベントの刺激に応じて思考せずに行動する量を決定する関与値を計算するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法であって、前記第一の信号からの一つだけの周波数が、アルファ及びシータから選択され、前記第一の信号からの前記一つだけの周波数が、前記第二の信号からの周波数とともに、前記関与値の計算に利用される方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法であって、前記関与値が前記メディアのイベントと関連付けられる方法。
【請求項4】
請求項1記載の方法であって、前記第二の信号が、前記個人の頭部に取り付けられたフォトプリサイモグラフを介してサンプリングされる方法。
【請求項5】
請求項1記載の方法であって、前記メディアの一つのイベントと関連する複数の個人からの複数の関与値が、前記イベントに対する関与反応を形成するように集約される方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法であって、前記メディアの前記イベントと関連する複数の個人からの複数の関与値が、前記イベントに対する関与反応を形成するように集約される方法。
【請求項7】
請求項1記載の方法であって、複数の個人からの複数の関与値が、前記メディアに関与をもって反応する人数を識別する合計反応ベクトルに含まれる方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法であって、分解するステップが、高速フーリエ変換又はウェーブレット分析を用いて達成される方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法であって、ウェーブレット分析が、メキシカン・ハット・ウェーブレット、モアレ・ウェーブレット、ドブシー・ウェーブレット、ベータ・ウェーブレット、及びコイフレ・ウェーブレットから選択されるウェーブレットを用いて達成される方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法であって、更に、時間経過に渡る関与の変化を示す、前記関与値の微分係数を計算するステップを備える方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法であって、使用される公式が、[心拍数/50]−[(シータ−アルファ)/(シータ+アルファ)]である方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法であって、各心拍の長さが観察される方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法であって、前記第一の信号からの心拍数を、θ−α、θ、θ/α、Δ/α、β/α、及び全体EEGパワー/αから選択される公式の結果と対比することにより前記関与値が計算され、α、β、Δ及びθがそれぞれ、前記第一の信号の中に見出される方法。
【請求項14】
請求項1記載の方法であって、心拍の長さを、α、α/θ、α/θ、α/β、α/Δ、α/全体EEGパワー、及び(α−θ)/(α+θ)から選択される公式の結果と対比することにより前記関与値が計算され、α、β、Δ及びθがそれぞれ、第一の信号の中に見出される方法。
【請求項15】
請求項1記載の方法であって、前記データのユニットが、テレビ、ビデオゲーム、視聴覚広告、ボードゲーム、カードゲーム、ライブのアクション・イベント、印刷広告、及びウェブ広告から選択されるメディアを用いるシミュレーションにより作成される方法。
【請求項16】
請求項1記載の方法であって、前記関与値が或る時点に対応するものであり、実質的に同時に起きた前記メディアのイベントを識別することによって、前記関与値を該時点に起きたイベントに相関付けることにより、前記関与値が前記メディアに整合付けられる方法。
【請求項17】
個人が関与させられる量に基づいてメディアを評価する方法であって、
メディアのイベントに対する前記個人の関与値を計算するステップと、
前記個人が前記メディアに関与させられる量と、前記メディアの参照値との差を決定するために、前記関与値と前記参照値とを比較するステップと、
前記メディアのイベントに対する評価を決定する測定値として、比較するステップからの結果を保存するステップと、
を備える方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、前記参照値が前記メディアの製作者により提供される方法。
【請求項19】
請求項17記載の方法であって、前記参照値が、他の個人の多数の先に計算された関与値の平均値である方法。
【請求項20】
請求項17記載の方法であって、前記関与値が、アルファ又はシータから選択される単一の周波数を用いて計算され、前記単一の周波数が前記個人の心拍数と対比される方法。
【請求項21】
請求項17記載の方法であって、心拍の長さを、α、α/θ、α/θ、α/β、α/Δ、α/全体EEGパワー、及び(α−θ)/(α+θ)から選択される公式の結果と対比することにより、前記関与値が計算される方法。
【請求項22】
請求項17記載の方法であって、前記第一のメディアが、テレビ、ビデオゲーム、視聴覚広告、ボードゲーム、ライブのアクション・イベント、印刷広告、及びウェブ広告から選択される方法。
【請求項23】
メディア評価に利用するために関与反応を感知する、コンピュータ読み取り可能媒体に体現されるプログラムであって、実行された際に、システムを、
イベントを含むメディアにより個人を刺激し、
前記個人を前記メディアで刺激しながら、前記個人の脳からの第一の信号を実質的に同時にサンプリングし、
前記脳からの第一の信号をサンプリングしながら、前記個人の心臓からの第二の信号を実質的に同時にサンプリングし、
前記第一及び第二の信号を周波数領域に分解し、
前記メディアの参照値と比較して、前記関与値と前記参照値との差に基づいて前記メディアを評価するために、前記第一の信号からの一つ又はそれ以上の周波数、及び前記第二の信号からの周波数を用いて、前記個人が前記イベントの刺激に応じて思考せずに行動する量を決定する関与値を計算する
よう動作させるプログラム。
【請求項24】
請求項23記載のプログラムであって、アルファ及びシータから一つだけの周波数が選択され、該一つだけの周波数が、該一つの周波数を前記個人の心臓からの信号と対比することにより、前記関与値を計算するために利用されるプログラム。
【請求項25】
請求項23記載のプログラムであって、心拍の長さを、α、α/θ、α/θ、α/β、α/Δ、α/全体EEGパワー、及び(α−θ)/(α+θ)から選択される公式の結果と対比することにより前記関与値が計算され、α、β、Δ及びθがそれぞれ、第一の信号の中に見出されるプログラム。
【請求項26】
請求項23記載のプログラムであって、前記信号が、高速フーリエ変換又はウェーブレット分析を用いて分解されるプログラム。
【請求項27】
請求項23記載のプログラムであって、前記データのユニットが、テレビ、ビデオゲーム、視聴覚広告、ボードゲーム、カードゲーム、ライブのアクション・イベント、印刷広告、及びウェブ広告から選択されるメディアを用いるシミュレーションにより作成されるプログラム。
【請求項28】
請求項23記載のプログラムであって、前記信号が、時間において第二のイベントに対応する第二の整合付けられた関与値と比較され得る、時間において第一のイベントに対応する第一の整合付けられた関与値を生成するように、前記メディアに対して整合付けられるプログラム。
【請求項29】
メディア評価に利用するために関与反応を感知するシステムであって、
個人からの第一の信号をサンプリングするよう動作可能な一つ又はそれ以上のセンサと、
前記一つ又はそれ以上のセンサと接続される処理ユニットであって、
前記メディアにより前記個人を刺激しながら、前記個人の脳からの第一の信号を実質的に同時にサンプリングし、
前記脳からの第一の信号をサンプリングしながら、前記個人の心臓からの第二の信号を実質的に同時にサンプリングし、
前記第一及び第二の信号を周波数領域に分解し、
前記メディアの参照値と比較して、前記関与値と前記参照値との差に基づいて前記メディアを評価するために、前記第一の信号からの一つ又はそれ以上の周波数、及び前記第二の信号からの周波数を用いて、前記個人が前記イベントの刺激に応じて思考せずに行動する量を決定する関与値を計算する
よう動作可能な処理ユニットと、
を備えるシステム。
【請求項30】
請求項29記載のシステムであって、前記一つ又はそれ以上のセンサが、前記メディアに刺激された前記個人からの信号を測定するよう動作可能な統合センサ・ヘッドセットに含まれるシステム。
【請求項31】
メディア評価に利用するために関与反応を感知するシステムであって、
前記メディアにより前記個人を刺激しながら、前記個人の脳からの第一の信号を実質的に同時にサンプリングする手段と、
前記脳からの第一の信号をサンプリングしながら、前記個人の心臓からの第二の信号を実質的に同時にサンプリングする手段と、
前記第一及び第二の信号を周波数領域に分解する手段と、
前記メディアの参照値と比較して、前記関与値と前記参照値との差に基づいて前記メディアを評価するために、前記第一の信号からの一つ又はそれ以上の周波数、及び前記第二の信号からの周波数を用いて、前記個人が前記イベントの刺激に応じて思考せずに行動する量を決定する関与値を計算する手段と、
を備えるシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−520019(P2010−520019A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552661(P2009−552661)
【出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/020714
【国際公開番号】WO2008/108815
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(508059085)エムセンス コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月24日(2007.9.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/020714
【国際公開番号】WO2008/108815
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(508059085)エムセンス コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】
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