説明

関節炎及びその他の炎症性疾患の薬物標的としてのプロテインキナーゼCゼータ

本発明は、ζPKC発現が、正常人と比較した場合、関節炎患者の組織において増加するという発見に基づく。したがって、本発明は、関節炎疾患におけるζPKC遺伝子発現の増加に基づく患者における関節炎を診断し、予測し、及びその経過を監視する方法を提供する。本発明はさらに、関節炎の治療において治療薬として使用するためのζPKCの発現を阻害する化合物を提供し、限定されないが、阻害性ポリヌクレオチド及びポリペプチド、小分子、及びペプチド阻害剤を含む。加えて、本発明は、医薬製剤及びそのような治療薬を投与する経路、並びにそれらの効率を評価する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、2003年5月8日出願の米国仮出願シリアルNo.60/468,987号、及び2003年7月31日出願の米国仮出願シリアルNo.60/491,274号の利益を主張し、両者はそのまま参照により本明細書に援用される。
【0002】
発明の背景
発明の分野
[0002]本発明は、関節炎組織で増加したプロテインキナーゼCゼータ(ζPKC)遺伝子発現に基づいて、患者における関節炎を診断し、予測し、及びその経過を監視する方法に指向する。本発明はさらに、関節炎の治療における治療薬として使用するための、ζPKCの発現を阻害する化合物を提供する。
【背景技術】
【0003】
関連する背景技術
[0003]プロテインキナーゼCゼータ(ζPKC)は、重要なシグナル伝達成分として発生している。ζPKCは、NF−κB及びAP−1経路に関連することを示唆する文献が増加している。例えば、ζPKCのノックアウトマウスは完全に生存するが、NF−κB依存の転写活性の深刻な損傷とともに、腫瘍壊死因子(TNF)受容体及びリンフォトキシン受容体ノックアウトを想起する表現型を提示する(Leitges et al.(2001)Mol.Cell 8:771−80)。他の研究者(Lallena et al.(1999)Mol.Cell.Biol.19:2180−88)は、IκBを活性化し、それによりNF−κBを活性化することにおけるζPKCについての役割を示している。
【0004】
[0004]NF−κB活性は、無数の炎症性障害に関与し、喘息、炎症性腸疾患、及び関節炎を含む(Roshak et al.(2002)Curr.Opin.Pharmacol.2:316−21に示される)。NF−κBは、多種の細胞系由来の様々なマトリックス・メタロプロテイナーゼ(MMP)の分泌に本質的な役割を果たすことが示されている(Bond et al.(1998)FEBS Lett.435:29−34; Bond et al.(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.264:561−67; Bond et al.(2001)Cardiovasc.Res.50:556−65)。関節炎において、TNFやインターロイキン−1(IL−1)のようなサイトカインは、MMP、及び自然に制御することができるレベルを超えて、疾患に帰着する他の分解酵素の産生と合成を増加する(Smith(1999)Front.Biosci.4:D704; Mort and Billington(2001)Arthritis Res.3:337−41; Catterall and Cawston(2003)Arthritis Res.Ther.5:12−24に示される)。
【0005】
[0005]今日まで、ζPKCと関節炎とを結びつける直接的な証拠はない。しかしながら、ζPKCが影響される組織において発現するとすれば、TNF及びIL−1の因子の細胞外受容体の結合がNF−κBによる分解酵素の合成を細胞内で誘導するよう伝達することによって、TNF及びIL−1の分解活動を説明する手助けとなろう。これに関連して、ζPKCの阻害剤は、TNF及びIL−1活動を遮断し、関節炎及び他の炎症性疾患の治療として使える。このようなζPKC阻害剤は、伝統的なサイトカインやMMP阻害剤よりも効果的であるべきである。これは、丁度1つの標的よりも最終的に効果があべきである(Roshak,上述; Smith,上述)。そのようなζPKC阻害剤はまた、NF−κB阻害剤よりも安全であるべきであり、これは、ζPKCがNF−κB経路における多くのエフェクターのうち唯一のものだからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明の概要
[0006]本発明は、ζPKC発現が正常人と比較して、関節炎の患者の組織において増加しているという発見に基づく。本発明は、限定されるわけではないが、阻害性ポリヌクレオチド及びポリペプチド、小分子、そしてペプチド阻害剤を含む、関節炎組織におけるζPKCの発現を阻害する化合物を提供する。本発明はさらに、関節炎組織における異常なζPKC遺伝子発現に基づく関節炎を診断し、予測し、その経過を監視する方法、並びにそのような異常発現の治療薬としての使用のための療法を提供する。加えて、本発明は、そのような治療薬のための医薬製剤及び投与経路を提供し、並びにそのような治療薬の能力を評価するための方法を提供する。
【0007】
[0007]一態様において、本発明は、患者における関節炎の診断において使用する方法を提供し、患者の試料中のζPKC遺伝子産物の試験量を検出する工程;そして、試験量と、対照試料中のζPKC遺伝子産物の正常量とを比較する工程を含み、それにより、試験量が正常量よりも大きいという所見が関節炎の診断に陽性の指示を提供する。好ましい態様において、試料は軟骨細胞を含む。いくつかの他の好ましい態様において、ζPKC遺伝子産物は、RNA若しくはcDNAを含み、又はそれはζPKCポリペプチドである。
【0008】
[0008]別の態様において、本発明は、患者における関節炎の予測において使用する方法を提供し、患者の試料中のζPKC遺伝子産物の試験量を検出する工程;そして、試験量と、対照試料におけるζPKC遺伝子産物の予測量とを比較する工程を含み、それにより、試験量と予測量との比較が関節炎の予測の指示を提供する。好ましい態様では、試料は軟骨細胞を含む。いくつかの他の好ましい態様では、ζPKC遺伝子産物は、RNA若しくはcDNAを含み、又はそれはζPKCポリペプチドである。
【0009】
[0009]別の態様では、本発明は、患者における関節炎の経過を監視するのに使用する方法を提供し、一回目に患者の試料中のζPKC遺伝子産物の第一試験量を検出する工程;二回目以降に、患者の試料中のζPKC遺伝子産物の第二試験量を検出する工程;そして、第一試験量と第二試験量とを比較する工程を含み、それにより、第一試験量と比較した場合、第二試験量におけるζPKC遺伝子産物量の増加は、関節炎の進行を示し、そして、それにより、第一試験量と比較した場合、第二試験量におけるζPKC遺伝子産物量の減少が関節炎の鎮静を示す。好ましい態様において、試料は軟骨細胞を含む。いくつかの他の好ましい態様において、ζPKC遺伝子産物は、RNA若しくはcDNAを含み、又はそれはζPKCポリペプチドである。
【0010】
[0010]別の態様において、本発明は、患者における関節炎の治療効果を評価する方法を提供し、治療前の患者の試料中のζPKC遺伝子産物の第一試験量を検出する工程;治療後の患者の試料におけるζPKC遺伝子産物の第二試験量を検出する工程;そして、第一試験量と第二試験量とを比較する工程を含み、それにより、第一試験量と比較した場合、第二試験量におけるζPKC遺伝子産物量の減少は、関節炎の治療が効果的であることを示す。好ましい態様において、試料は軟骨細胞を含む。いくつかの他の好ましい態様において、ζPKC遺伝子産物は、RNA若しくはcDNAを含み、又はそれはζPKCポリペプチドである。
【0011】
[0011]別の態様において、本発明は、患者における関節炎を阻害することができる化合物をスクリーニングする方法を提供し、ζPKCの等量を含有する第一試料と第二試料を提供する工程;第一試料を化合物と接触する工程;そして、第一試料におけるζPKCの活性が、化合物と接触していない第二試料におけるζPKCの活性と関連して減少しているかどうかを決定する工程を含み、それにより、第二試料と比較した場合、第一試料におけるζPKCの活性の減少が、化合物が患者における関節炎を阻害することを示す。好ましい態様において、化合物は、軟骨細胞におけるζPKCの活性を阻害する。別の好ましい態様において、化合物は小分子である。他の好ましい態様において、ζPKCの活性は、酵素プロテインキナーゼアッセイ、軟骨細胞ペレットアッセイ、プロテオグリカン分解を測定するアッセイ、又はNF−κB活性を測定するアッセイの使用により決定する。
【0012】
[0012]別の態様において、本発明は、患者における関節炎を阻害することができる化合物をスクリーニングする方法を提供し、ζPKCを発現する細胞を等量含有する第一試料及び第二試料を提供する工程;第一試料を化合物と接触する工程;そして、第一試料中のζPKC遺伝子産物の発現が、化合物と接触していない第二試料中のζPKC遺伝子産物の発現と関連して減少しているかどうかを決定する工程を含み、それにより、第二試料と比較した場合、第一試料中のζPKC遺伝子産物の発現の減少が、化合物が患者における関節炎を阻害することを示す。好ましい態様において、化合物は、軟骨細胞におけるζPKC遺伝子産物の発現を阻害する。別の好ましい態様において、化合物は小分子である。他の好ましい態様において、ζPKC遺伝子産物の発現は、酵素プロテインキナーゼアッセイ、軟骨細胞ペレットアッセイ、プロテオグリカン分解を測定するアッセイ、又はNF−κB活性を測定するアッセイの使用によって決定される。
【0013】
[0013]別の態様において、本発明は、患者における関節炎を治療する方法を提供し、患者におけるζPKCの活性を阻害する化合物を患者に投与することを含む。好ましい態様において、化合物は軟骨細胞におけるζPKCの活性を阻害する。別の好ましい態様において、化合物はアンチセンス・ポリヌクレオチドである。別の好ましい態様において、化合物は小分子である。別の好ましい態様において、化合物はsiRNA分子である。さらに好ましい態様において、siRNA分子は図1に示されるsiRNA分子群からなる群から選択される。
【0014】
[0014]別の態様において、本発明は、患者における関節炎を治療する方法を提供し、患者におけるζPKCの発現を阻害する化合物を患者に投与することを含む。好ましい態様において、化合物は軟骨細胞におけるζPKCの発現を阻害する。別の好ましい態様において、化合物はアンチセンス・ポリヌクレオチドである。別の好ましい態様において、化合物は小分子である。別の好ましい態様において、化合物はsiRNA分子である。さらに好ましい態様において、siRNA分子は図1に示されるsiRNA分子群からなる群から選択される。
【0015】
[0015]別の態様において、本発明は、ζPKCの発現又は活性を阻害するsiRNA分子を提供する。好ましい態様において、siRNA分子は、図1に示されるsiRNA分子群からなる群から選択される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
発明の詳細な説明
[0024]本出願人は、正常人と比較した場合、関節炎の患者の組織においてζPKCの発現が上方制御されることを発見している。この酵素が関節炎の組織において上方制御されるという発見は、ζPKC発現における増加を検出することによって関節炎を診断するための方法、及びζPKC発現を下方制御することによって関節炎を治療するための方法を可能にする。加えて、この発見は、関節炎の治療に有用な新規なζPKC阻害剤の同定を可能にする。
【0017】
関節炎の進行を診断し、予想し、及び監視する方法
導入
[0025]本発明は、ζPKCの上方制御を検出することによって関節炎を診断する方法を提供する。「診断」又は「診断すること」は、病理学的な状態の存否を同定することを意味する。診断方法は、患者(ヒト又はヒト以外の哺乳動物)由来の生物学的試料中のζPKC遺伝子産物(例えば、mRNA、cDNA、又はポリペプチド、その断片を含む)の試験量を決定し、そして、ζPKC遺伝子産物について正常量又は範囲(即ち、関節炎を患っているとは知らない個人由来の量又は範囲)とその試験量とを比較することによってζPKCの上方制御を検出することを含む。特別な診断方法が関節炎の決定的な診断を提供しないかもしれないが、その方法が診断において手助けとなる陽性の指示を提供するとすれば、それは十分である。
【0018】
[0026]本発明はまた、ζPKCの上方制御を検出することによって関節炎を予想する方法を提供する。「予想」又は「予想すること」は、病理学的な状態の発症及び/又は苦しみを予測することを意味する。予想方法は、患者由来の生物学的試料中のζPKC遺伝子産物の試験量を測定し、そして、ζPKC遺伝子産物について、試験量と、予想量又は範囲(即ち、関節炎の痛みが変化する個人由来の量と範囲)とを比較することを含む。試験試料中の様々な量のζPKC遺伝子産物は、関節炎におけるある種の予想と一致する。特定の予想レベルでのζPKC遺伝子産物の量の検出は、患者についての予想を提供する。
【0019】
[0027]本発明はまた、ζPKCの上方制御を検出することによって、関節炎の経過を監視する方法を提供する。監視方法は、一回目及び二回目の患者から採取した生物学的試料中のζPKC遺伝子産物の試験量を検出し、そして、その量を比較することを含む。一回目と二回目との間のζPKC遺伝子産物量の変化は、関節炎の経過における変化を示し、量の減少は関節炎の鎮静を示し、そして、量の増加は関節炎の進行を示す。このような監視アッセイはまた、関節炎を治療した患者における特定の治療介入(例えば、疾患の減退対ぶり返し)の効果を評価するために有用である。
【0020】
生物学的試料の収集
[0028]ζPKCの発現の増加は、細胞(例えば、細胞全体、細胞分画、及び細胞抽出物)及び組織を含む様々な生物学的試料において検出することができる。生物学的試料はまた、組織学的目的のために採取した生検や凍結切片のような組織切片を含む。好ましい生物学的試料は、関節の軟骨(即ち、軟骨細胞)、滑膜、及び滑液を含む。
【0021】
正常値、診断値、及び予想値
[0029]本発明の診断及び予想アッセイにおいて、ζPKC遺伝子産物を検出及び定量し、試験量を生じる。次いで、試験量は、正常な量又は範囲と比較する。正常な量又は範囲(例えば、30%又はそれより大きな増加(p<0.01である)、又は100%又はそれより大きな増加(p<0.05である))は、関節炎の診断において陽性の兆候である。ζPKC遺伝子産物の検出及び定量の具体的な方法は、下記に記載される。
【0022】
[0030]ζPKC遺伝子産物の正常な量又は基底レベルは、いずれかの具体的な試料タイプ及び母集団に対して決定することができる。一般的に、ζPKCタンパク質又はmRNAの基底(正常)レベルは、正常な(即ち、健常な)患者由来の生物学的試料タイプにおけるζPKCタンパク質又はmRNAの量を測定することによって決定される。又は、ζPKC遺伝子産物の正常値は、病的な(又は病的可能性の)試験細胞又は組織を採取した同じ患者から採取した健常な細胞又は組織における量を測定することによって決定することができる。ζPKC遺伝子産物の量(正常な量又は試験量のいずれか)は、細胞当たり、全タンパク質当たり、又は体積基準当たり、決定することができ、又は発現することができる。試料の細胞量を決定するために、ある者は、構成的に発現した遺伝子産物、又は生物学的試料を採取したタイプの細胞において既知のレベルで発現した他の遺伝子産物を測定することができる。
【0023】
[0031]本発明のアッセイ方法がζPKC遺伝子産物の絶対値の測定を必ずしも要求しないことは賞賛されるであろう。これは、相対値がこれらの方法の多くの適用に十分であるためである。同様に、ζPKC遺伝子産物の定量又は多量に加えて、変異若しくは異常なζPKC遺伝子産物又はそれらの発現パターン(例えば、突然変異した転写物、切除されたポリペプチド)は、正常な遺伝子産物及び発現パターンの比較によって同定することができることも賞賛されるであろう。
【0024】
ζPKC遺伝子産物のアッセイ
[0032]本発明の診断アッセイ、予想アッセイ、及び監視アッセイは、生物学的試料中のζPKC遺伝子産物を検出し、定量することを含む。ζPKC遺伝子産物は、例えば、ζPKC mRNA及びζPKCポリペプチドを含み、両者は、当業者に周知の方法を用いて測定することができる。
【0025】
[0033]例えば、ノーザン・ハイブリダイゼーション、インサイチュ・ハイブリダイゼーションのようなハイブリダイゼーションに基づくアッセイ、ドット及びスロットブロット、及びオリゴヌクレオチドアレイを用いて、ζPKC mRNAを検出し、定量することができる。ハイブリダイゼーションに基づくアッセイは、プローブ核酸が標的の核酸にハイブリダイズするアッセイを意味する。いくつかのフォーマットにおいて、標的、プローブ、及びその両者は、固相化される。固相化した核酸は、DNA、RNA、又は別のオリゴヌクレオチド若しくはポリヌクレオチドであってもよく、そして、天然に又は天然ではなく発生するヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、又は骨格を含んでもよい。本発明における使用のための核酸プローブ配列を選択する方法は、ζPKCの核酸配列に基づき、当該技術分野において周知である。
【0026】
[0034]又は、ζPKC mRNAは、検出及び定量の前に増幅することができる。そのような増幅に基づくアッセイは、当該技術分野において周知であり、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、PCR−酵素連結免疫溶媒アッセイ(PCR−ELISA)、及びリガーゼ連鎖反応(LCR)を含む。増幅したζPKC遺伝子産物(例えば、mRNA又はcDNA)を産生し、検出するプライマー及びプローブは、ζPKCの核酸配列に基づいて容易に設計することができ、当業者にとって過度の実験なしに生産することができる。増幅したζPKC遺伝子産物は、例えば、ゲル電気泳動;プローブ核酸に対するハイブリダイゼーション;シークエンシング;蛍光、燐光、若しくは放射活性シグナルの検出;いずれかの各種周知な方法によって、直接的に解析することができる。加えて、標的核酸配列の増幅によって製造されるシグナルの増加のための方法は、当業者に知られている。当業者は、どの増幅方法を使用したとしても、ζPKC遺伝子産物の定量が望まれるならば、当該技術分野において知られている各種の定量方法(例えば、定量的PCR)が使用され得ることを認識するであろう。
【0027】
[0035]ζPKCポリペプチド(又はその断片)は、多様な周知の酵素的及び免疫学的アッセイを用いて検出し、定量することができる。酵素的アッセイは、プロテインキナーゼアッセイを検出するためにζPKC基質を利用するアッセイを意味する。ζPKC活性を検出し、定量するために有用な各種の天然及び人工の基質は既知であり、ミリストイル・アラニンリッチのCキナーゼ基質(MARCKS)ペプチド(Herget et al.(1995)Eur.J.Biochem.233:448−57)、p47phox(Dang et al.(2001)J.Immunol.166:1206−13),ミエリン塩基性タンパク質(Kim et al.(2002)J.Biol.Chem.277:30375−81)、硫酸プロタミン(McGlynn et al.(1992)J.Cell.Biochem.49:239−50)、ヌクレオリン(Zhou et al.(1997)J.Biol.Chem.272:31130−37);異種リボヌクレオタンパク質AI(hnRNPA1)(Municio et al.(1995)J.Biol.Chem.270:15884−91)、ζPKC誘導ペプチド(Kochs et al.(1993)Eur.J.Biochem.216:597−606、及びζPKC誘導ペプチド(Standaert et al.(1999)J.Biol.Chem.274:14074−78)を含む。ζPKC活性を検出し、定量するのに適した無数の酵素的アッセイプロトコール(放射活性及び非放射活性)は、文献に記載され、及び/又は、例えば、PanVera(Madison、WI)、Promega(Madison、WI)、Transbio(Baltimore、MD)、Upstate(Waltham、MA)、及びResearch&Diagnostic Antibodies(Benicia、CA)からキットの形体で商業的に利用可能である。
【0028】
[0036]免疫学的アッセイは、ζPKCポリペプチド(又はその断片)に特異的に結合する抗体(例えば、ポリクローナル、モノクローナル、キメラ、ヒト化、scFv、及びその断片)を利用するアッセイを意味する。本発明の実施に適したいくつかの十分に確立した免疫学的アッセイは既知であり、ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、免疫沈降、免疫蛍光、及びウェスタンブロットを含む。
【0029】
[0037]本発明の免疫学的アッセイに使用されるべき抗ζPKC抗体(好ましくは、抗哺乳動物ζPKC;より好ましくは抗ヒトζPKC)は、例えば、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)、Upstate(Waltham,MA)、及びResearch Diagnostics(Flanders,NJ)より商業的に利用可能である。又は、抗ζPKC抗体は、当業者に周知の方法によって製造することができる。例えば、ζPKC(好ましくは哺乳動物;より好ましくはヒト(例えば、GenBank Acc.No.Q05513;配列番号:2))に対するモノクローナル抗体は、既知の方法に従ってハイブリドーマの発生によって製造することができる。この手法で形成したハイブリドーマは、次いで、例えば、ELISAのような標準的な方法を用いてスクリーニングし、ζPKCに特異的に結合する抗体を産生する1以上のハイブリドーマを同定する。全長のζPKCは、免疫抗原として使用してもよく、又はその代わりにζPKCの抗原性ペプチド断片を使用してもよい。
【0030】
[0038]モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを調製する別の方法として、ζPKCに対するモノクローナル抗体は、組換えコンビナトリアル免疫グロブリンライブラリー(例えば、抗体ファージディスプレイライブラリー)をスクリーニングすることによって同定及び単離することができ、それにより、ζPKCに結合する免疫グロブリンライブらーのメンバーを単離する。ファージディスプレイライブラリーを発生させスクリーニングするためのキットは、例えば、Dyax Corp.(Cambridge,MA)及びMaxim Biotech(South San Francisco,CA)から商業的に利用可能である。加えて、抗体ディスプレイライブラリーを発生しスクリーニングするのに使用するために具体的に処理できる方法や試薬の例は、文献に見出すことができる。
【0031】
[0039]ポリクローナル血清や抗体は、適切な対象、例えば、ウサギをζPKC(好ましくは哺乳動物;より好ましくはヒト)又はその抗原断片で免疫することによって生産することができる。免疫した対象における抗体の力価は、固定化したマーカータンパク質を用いて、ELISAのような標準的な手法によって経時的に監視することができる。所望によって、ζPKCに指向する抗体分子は、対象又は培養液から単離することができ、さらに、プロテインAクロマトグラフィーのような周知の手法によって精製し、IgG分画を得ることができる。
【0032】
[0040]ζPKCに対する抗体の断片は、当該技術分野において周知な方法に従って抗体を切断することによって製造することができる。例えば、免疫学的に活性なF(ab)’及びF(ab’)断片は、ペプシンのような酵素を用いて酵素を処理することによって生じさせることができる。加えて、ζPKCに対するキメラの、ヒト化し、及び一本鎖の抗体は、ヒト及びヒト以外の部分の両方を含み、標準的な組換えDNA手法を用いて製造することができる。ζPKCに対するヒト化した抗体は、内因性の免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖の遺伝子を発現することができないが、ヒトの重鎖及び軽鎖遺伝子を発現することができるトランスジェニックマウスを用いて製造することもできる。
【0033】
[0041]本発明の免疫学的アッセイにおいて、ζPKCポリペプチドは、検出可能な標識を用いて、典型的には、直接的に(即ち、抗ζPKC抗体が標識される)又は間接的に(即ち、抗ζPKC抗体を認識する二次抗体が標識される)検出される。アッセイに使用される具体的な標識又は検出可能なグループは、アッセイに使用される抗体の特異的結合で顕著に干渉しない限りにおいて、大抵は重要ではない。
【0034】
[0042]本発明の免疫学的アッセイは、競合的であってもく、又は非競合的であってもよい。競合的アッセイにおいて、試料中のζPKCの量は、試料中のζPKCによって捕捉試薬(即ち、抗ζPKC抗体)から置き換わった添加の(外因の)ζPKCの量を測定することによって間接的に測定される。非競合的アッセイにおいては、試料中のζPKCの量は、直接的に測定される。好ましい非競合的「サンドイッチ」アッセイでは、捕捉試薬(例えば、一次の抗ζPKC抗体)が固定されている固体支持体(例えば、膜、マイクロタイタープレート、試験管、計量棒、ガラス又はプラスチックビーズ)に直接的に結合する。次いで、固定化した試薬は、試料中に存在するいずれのζPKCポリペプチドを捕捉する。固定化したζPKCは、次いで、標識した二次の抗ζPKC抗体を用いて検出することができる。又は、二次の抗ζPKC抗体は、二次の抗ζPKC抗体を認識する標識した二次抗体を用いて検出することができる。
【0035】
ζPKC発現及び/又は活性を阻害する化合物を同定するためのスクリーニング方法
導入
[0043]本発明は、関節炎組織のPKCの発現を阻害する新規な化合物(例えば、小分子)を同定するための方法(また、本明細書では「スクリーニングアッセイ」として言及される)を提供する。一態様では、ζPKC(天然又は組換え的のいずれか)発現する細胞を試験化合物と接触させ、その化合物がζPKC遺伝子産物(例えば、mRNA又はポリペプチド)の発現を阻害するかどうかを決定し、発現(未処理の細胞の試料と比較した場合)の減少は、化合物が関節炎組織中のζPKCを阻害することを示す。ζPKC遺伝子産物の変化は、当該技術分野において既知のいずれかの方法によって、又は上述した方法によって決定することができる。好ましい態様では、NF−κB結合部位の下流にマーカー遺伝子(例えば、ルシフェラーゼ又はグリーン蛍光タンパク質(GFP))を含むレポーター構築物でトランスフェクトした細胞を試験化合物と接触させ、細胞をサイトカインで処理した場合、化合物がマーカータンパク質の発現を阻害することができるかどうかを決定する。ζPKC又はマーカータンパク質の発現を阻害すると同定された化合物は、関節炎の予防及び治療処置の薬物としての候補となる。
【0036】
[0044]又は、前述したアッセイを用いてインビトロでζPKCのキナーゼ活性を阻害する化合物を同定することができる。精製した(又は部分精製した)ζPKCを試験化合物と接触させ、化合物が(酵素の未処理の試料と比較した場合)ζPKCのキナーゼ活性を阻害するかどうかを決定する。次いで、ζPKC活性を阻害する同定した化合物は、関節炎のインビトロ及びインビボモデルで試験することができた。いくつかのインビトロモデルは、下記の実施例に記載される。関節炎のインビボモデルは、限定されないが、イヌ及びウサギでの前方十字靭帯切除モデル、並びにウサギ及びマウスでの部分的半月板切除モデルを含む。ζPKCの活性を直接的及び間接的に測定するための代表的な方法、及びζPKCの活性の阻害を決定するための代表的な方法は、限定されないが、酵素プロテインキナーゼ活性アッセイ(上述される)、軟骨細胞ペレットアッセイ、プロテオグリカン分解を測定するアッセイ、及びNF−κB活性を測定するアッセイを含む。
【0037】
ζPKCの供給源
[0045]本発明のスクリーニングアッセイに使用されるべきζPKC(好ましくは、哺乳動物;より好ましくはヒト(例えば、GenBank Acc.No.Q05513;配列番号:2))は、Sigma−Aldrich(St.Louis,MO)、Research Diagnostics(Flanders,NJ)、ProQinase(Freibrug,Germany)、及びPanVera(Madison,WI)から商業的に利用可能である。又は、ζPKCは、ゲルろ過及びイオン交換クロマトグラフィーのような既知の精製手法を用いて、脳、胎盤、精巣及び肺を含む多種の組織(好ましくは哺乳動物;より好ましくはヒト)から精製し又は部分的に精製することができる。精製はまた、ζPKCに結合する既知の試薬(例えば、抗ζPKC抗体)を用いたアフィニティークロマトグラフィーを含む。これらの精製手法はまた、組換えの供給源からζPKCを精製するために使用することもできる。
【0038】
[0046]ζPKCをコードするポリヌクレオチド(又はその酵素的部分)は、ζPKCの組換え産物に対する適切な発現制御配列に操作的に連結してもよい。ζPKCポリヌクレオチドは、好ましくは哺乳動物の起源(例えば、マウスζPKC cDNA(GenBank Acc.No.M94632);ラットζPKC cDNA(GenBank Acc.No.J04532);ウサギζPKC cDNA(GenBank Acc.No.U78768))であり、そして、より好ましくはヒト起源(例えば、ヒトζPKC cDNA(GenBank Acc.No.NM_002744;配列番号:1))である。これらの組換えζPKCポリヌクレオチドを発現する一般的方法は、当該技術分野において周知である。
【0039】
[0047]いくつかの細胞株は、ζPKCの組換え発現に適した宿主細胞として演じることができる。哺乳動物の宿主細胞株は、例えば、COS細胞、CHO細胞、293細胞、A431細胞、3T3細胞、CV−1細胞、HeLa細胞、L細胞、BHK21細胞、HL−60細胞、U937細胞、HaK細胞、及びJurkat細胞、並びに、正常の2倍体の細胞、初代組織のインビトロ培養由来の細胞株、及び初代体外培養片を含む。
【0040】
[0048]又は、ζPKC(又はその酵素的部分)は、酵母のような下等真核生物、又は原核生物において組換え的に製造してもよい。潜在的に適した酵母株は、サッカロミセス・セレビジエ(Saccharomyces cerevisiae)、シーゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クルイベロミセス(Kouyveromyces)株、及びカンジダ株を含む。潜在的に適した細菌株は、大腸菌、ネズミチフス菌(Bacillus subtilis)、及びサルモネラ ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)を含む。本発明のポリペプチドが酵母又は細菌に生産されるとすれば、機能性を獲得するために、それらを、例えば、適切な部位のリン酸化又はグリコシル化によってそれらを修飾することが必要であるかもしれない。そのような共有結合は周知の化学的又は酵素的方法を用いて達成してもよい。
【0041】
[0049] ζPKC(又はその酵素的部分)はまた、バキュロウイルスベクターのような昆虫発現ベクターを用いて組換え的に生産してもよく、及び昆虫細胞発現システムを使用して製造してもよい。バキュロウイルス/Sf9発現システムのための材料と方法は、キットの形体で商業的に利用可能である(例えば、MaxBac(登録商標)kit,Invitrogen,Carlsbad,Ca)。
【0042】
[0050]精製を容易にするために、ζPKC(又はその酵素的部分)は、マルトース結合タンパク質(MBP)、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、又はチオレドキン(TRX)のようなタンパク質と融合して組換え的に発現してもよい。そのような融合タンパク質の発現と精製のためのキットは、New England BioLabs(Beverly,MA)、Pharmacia(Piscataway,NJ)、及びInvitrogen(Carlsbad,CA)からそれぞれ商業的に利用可能である。ζPKCはまた、小さなエピトープでタグが付けられてもよく、その後、そのエピトープに対する特異的抗体を用いて同定又は精製してもよい。そのようなエピトープの1つはFLAGエピトープであり、Eastman Kodak(New Haven,CT)から商業的に利用可能である。
【0043】
[0051]ζPKC(又はその酵素的部分)はまた、既知の慣用的な化学合成により製造することができる。ポリペプチドを化学的に合成する方法は、当業者に周知である。そのような化学合成のζPKCは、天然に製造された形態に一致して生物学的性質を所有してなくてはならず、つまり、天然のζPKCに対して生物学的活性又は免疫学的置換体として使用することができる。
【0044】
試験化合物の供給源及びスクリーニング
[0052]本発明の試験化合物はいくつかの供給源から入手することができる。例えば、分子のコンビナトリアルライブラリーをスクリーニングのために利用することができる。そのようなライブラリーを用いて、数千の分子を阻害活性についてスクリーニングすることができる。化合物の調製及びスクリーニングは、上述したように又は当業者に周知の他の方法によってスクリーニングされ得る。このように、同定した化合物は、慣用的な「リード化合物」として役立てることができ、又は現在の治療として使用し得る。
【0045】
処置方法
導入
[0053]本発明は、ζPKCの発現及び/又は活性の阻害によって関節炎の治療用の予防及び治療方法の両方を提供する。該方法は、ζPKCの発現及び/又は活性を阻害するのに有効な量で試薬と細胞(インビトロ、インビボ、又はエクスビボのいずれかで)接触することに関係する。試薬は、ζPKCの発現及び/又は活性を阻害するいずれかの分子であり得て、限定されないが、阻害性ポリヌクレオチド、小分子、阻害性タンパク質生物工学製品、及びペプチド阻害剤を含む。
【0046】
阻害性ポリヌクレオチド
[0054]関節炎に悩まされている(又は危険性がある)生物体において、又は、そのような生物体由来の関連した細胞において、ζPKCの発現の減少は、ζPKC遺伝子から転写したmRNAに結合し、及び/又はmRNAを切断する多種の阻害性ポリヌクレオチド、例えば、アンチセンス・ポリヌクレオチド及びリボザイムの使用を通じて達成することができる(例えば、Galderisi et al.(1999)J.Cell Physiol.181:251−57;Sioud(2001)Curr.Mol.Med.1:575−88)。
【0047】
[0055]本発明のアンチセンス・ポリヌクレオチド又はリボザイムは、ζPKCのコーディング鎖の全体、又はその一部に相補的であり得る。又は、アンチセンス・ポリヌクレオチド又はリボザイムは、ζPKCのコーディング鎖の非コーディング領域に相補的であり得る。アンチセンス・ポリヌクレオチド又はリボザイムは、当該技術分野において周知な手法を用いる化学合成及び酵素的連結反応を用いて構築することができる。化学的に合成したポリヌクレオチドのヌクレオシド連結は、ヌクレアーゼを介した分解に抵抗する能力を高め、並びに配列特異性を増加するために修飾することができる。そのような連結修飾は、限定されないが、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロアミデート、ボラノホスフェート、モルホリノ、及びペプチド核酸(PNA)連結を含む(Galderisi et al.,上述;Heasman(2002)Dev.Biol.243:209−14;Micklefield(2001)Curr.Med.Chem.8:1157−79)。又は、これらの分子は、本発明のポリヌクレオチドがアンチセンス(即ち、リバース)配向でサブクローニングされている発現ベクターを用いて、生物学的に生産することができる。
【0048】
[0056]本発明の阻害性ポリヌクレオチドはまた、二重鎖DNAの主溝において高い特異性と親和性で結合する三重鎖形成オリゴヌクレオチド(TFO)を含む(Knauert and Glazer(2001)Hum.Mol.Genet.10:2243−51)。ζPKC遺伝子の転写を妨げる三重らせん構造を形成するζPKC遺伝子の制御領域(即ち、プロモーター及び/又はエンハンサー配列)に相補的なTFOを標的にすることによって、ζPKCの発現を阻害することができる。
【0049】
[0057]好ましい態様において、本発明の阻害性ポリヌクレオチドは、短い干渉RNA(siRNA)分子である。siRNA分子は、短く(好ましくは19−25ヌクレオチド;最も好ましくは19又は21ヌクレオチド)、二重鎖RNA分子であり、標的mRNAの配列特異的分解を引き起こす。この分解は、RNA干渉(RNAi)として知れている(例えば、Bass(2001)Nature 411:428−29)。より下等な生物体において元来同定されたRNAiは、効果的に哺乳動物の細胞に適合し、最近、Fas mRNAに標的化されたsiRNAで処理したマウスにおける急性肝炎を妨げることが示されている(Song et al.,(2003)Nature Med.9:347−51)。加えて、髄膜に輸送されるsiRNAが、ラットにおいて2つのモデル(アゴニスト誘導の痛みモデル及び神経系の痛みモデル)の痛み応答を遮断することが報告されている(Dorn et al.(2004)Nucleic Acids Res.32(5):e49)。
【0050】
[0058]本発明のsiRNA分子は、2つの相補的な一本鎖RNA分子(標的mRNAの部分に適合するもの)を一緒にアニーリングすることによって(Fire et al.,米国特許第6,506,559号)、又は必要な二本鎖部分を生じるためにそれ自身で折り返す一本鎖らせんNA分子の使用を通じて発生させる(Yu et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:6047−52)ことができる。siRNA分子は化学的に合成することができ(Elbashir et al.(2001)Nature 411:494−98)、又は一本鎖DNA鋳型を用いてインビトロ転写によって生産することができる(Yu et al.,上述)。又は、siRNA分子は、センス及びアンチセンスsiRNA配列を含有する発現ベクターを用いて、一時的に(Yu et al.,上述; Sui et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:5515−20)又は安定に(Paddison et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 99:1443−48)生物学的に生産することができる。最近、初代ヒト細胞における標的mRNAレベルの減少が、効果的であって配列特異的な方法で、らせんRNAを発現し、さらにsiRNA内に処理されるアデノウイルスベクターを用いて示された(Arts et al.(2003)Genome Res.13:2325−32)。
【0051】
[0059]本発明のポリヌクレオチドに標的とされるsiRNA分子は、当該技術分野において周知の基準に基づいて設計され得る(例えば、Elbashir et al.(2001)EMBO J.20:6877−88)。例えば、標的mRNAの標的セグメントは、好ましくは、AA(最も好ましい)、TA、GA、又はCAで開始されるべきであり;siRNA分子のGC比は、好ましくは、45−55%であるべきであり;siRNA分子は、好ましくは、一列に3つの同じヌクレオチドを含有すべきではなく;siRNA分子は、好ましくは、一列に7つの混在したG/Cを含有すべきではなく;そして、標的セグメントは、好ましくは、標的RNAのORF領域内に存在し、及び、好ましくは、開始ATGの後に少なくとも75bpであり、終止コドンの前に少なくとも75bpで存在すべきである。
【0052】
小分子
[0060]関節炎を患っている(又はその危険性にある)生物体における、又はそのような生物体由来の関連する細胞におけるζPKCの発現の減少はまた、ζPKCに結合し、その活性を阻害する小分子(通常、有機的小分子)の使用を介して達成されてもよい。PKC(好ましくは、異性体特異的)の活性を阻害するものとして既知の小分子は、本発明の治療方法に使用することができる。PKCを阻害する無数の小分子は、当該技術分野において既知であり(疾患の治療として承認されたもの、並びに臨床試験の他のものを含む)、そして、天然の化合物(例えば、スタウロスポリン)及び人工の化合物(例えば、LY333531)の両方を含む(Goekjian and Jirousek(2001)Expert.Opin.Investing.Drugs 10:2117−40; Way et al.(2000)Trends Pharmacol.Sci.21:181−87に概要され、両者は、本明細書中に援用される)。これらの分子は、直接使用することができ、又は、改良されたPKC阻害剤(好ましくは、異性体特異的)の開発に向けた出発化合物として役立てることができる。又は、上述されるスクリーニング方法によって同定される新規な小分子(好ましくは、異性体特異的)を使用してもよい。
【0053】
阻害性タンパク質の生物工学製品
[0061]関節炎を患っている(又はその危険性にある)生物体における、又はそのような生物体由来の関連する細胞におけるζPKCの発現の減少はまた、タンパク質の生物工学製品を使用して達成されてもよい。阻害性タンパク質の生物工学製品は、細胞又は生物体における阻害性生物学的活性を有するタンパク質分子に言及される。本発明の治療方法において使用するための好ましい阻害性タンパク質の生物工学製品は、ζPKCのPar4及びキナーゼ−欠損優性−陰性(DN)突然変異形体を含む。Par4は、ζPKCに結合する自然発生のタンパク質であり、その酵素的機能を阻害するために役に立つ(Diaz−Meco et al.(1996)Cell 86:777−86)。ζPKCのDN突然変異形体、例えば、リジン281のトリプロファンの点突然変異であるζPKC(Bandyopadhyay et al.(1997)J.Biol.Chem.272:2551−58)は、基質に対して競合させることによって内因性のζPKCの活性を減少し、周知な部位指向的突然変異手法を用いて調製することができる。キナーゼ活性を欠如しているが、まだζPKCを介したシグナル伝達を阻害するζPKCのいずれの変異体もDN突然変異体として使用してもよい。これらの阻害性タンパク質の生物工学製品は、上述した発現手法を用いてインサイチュで細胞(好ましくは、軟骨細胞)において発生してもよい。
【0054】
ペプチド阻害剤
[0062]関節炎を患っている(又はその危険性にある)生物体における、又はそのような生物体由来の関連する細胞におけるζPKCの活性の減少はまた、ζPKCに結合し、そしてその活性を阻害するペプチド阻害剤を使用して達成されてもよい。ペプチド阻害剤は、ζPKCの基質との相互作用からζPKCを妨げるペプチド擬似基質、並びにζPKC又はその基質のいずれかに結合し、そして、ζPKCを介したリン酸化を遮断するペプチドを含む。ζPKCを阻害するペプチド阻害剤は、文献に知られ、そして、SIYRRGARRWRKL(配列番号:3)、SIYRRGARRWRKLYRAN(配列番号:4)、及びRRGARRWRK(配列番号:5)を含む(例えば、Dang et al.,上述;Zhou et al.,上述)。好ましくは、これらのペプチド阻害剤は、ミリストイル化され(それぞれ、配列番号:6、7、及び8)、細胞浸透性を改善する(例えば、Standaert et al.,上述;配列番号:6に対して)。ミリストイル化及び非ミリストイル化ζPKCペプチド阻害剤は、化学的に合成され、商業的に、例えば、Quality Controlled Biochemical(Hopkinton,MA)及びBioSource International,Inc.,USA(Camarillo,CA)から入手することができる。誰でも、上述した手法を用いて、インビトロ、インビボ、又はエクスビボでペプチド阻害剤で細胞(好ましくは、軟骨細胞)を提供することができる。
【0055】
投与
[0063]本明細書に記載される化合物のいずれも(好ましくは、小分子)は、関節炎の治療のための医薬組成物の形体でインビボで投与することができる。医薬組成物は、限定されないが、経口、鼻腔、直腸、局部、舌下、静脈、筋肉、動脈、骨髄、髄膜、心室、腹膜、又は経皮経路を含むいずれかの複数の経路によって投与してもよい。活性成分に加えて、医薬組成物は、当該技術分野において既知の賦形剤、被服剤、及び補助剤を含む薬学的に許容可能な担体を含有してもよい。
【0056】
[0064]いずれの化合物についても、治療的に有効な投与量は、細胞培養又は動物モデルのいずれかにおいて初期に見積もることは可能である。治療的に有効な投与量は、状態やその症状を改善する活性成分の量を意味する。細胞培養又は動物モデルにおける治療的な有効性及び毒性は、標準の医薬手法によって決定することができる(例えば、ED50:母集団の50%において治療的に有効な量;LD50:母集団の50%の致死量)。治療効果と毒性効果との間の投与量の比は、治療指標となり、そして、ED50/LD50の比として表現され得る。大きな治療指標を提示する医薬組成物が好ましい。
【0057】
[0065]細胞培養及び動物モデルから得られたデータは、次いで、哺乳動物、好ましくは、ヒトにおいて使用するための化合物の投与量範囲を明確にするために使用され得る。そのような化合物の投与量は、好ましくは、毒性がほとんどないか全くないED50を含む濃度範囲内である。投与量は、使用される組成物形体及び利用される投与経路に依存してこの範囲内で変化することができる。
【実施例】
【0058】
実施例
[0066]下記は、本発明の理解を手助けするために説明する実施例は、いずれの方法においてもその範囲を限定するためのものではなく、構築されるべきではない。実施例は、慣用的な方法、例えば、ベクター及びプラスミドの構築、そのようなベクター及びプラスミドの宿主細胞への導入、又は宿主細胞においてそのようなベクター及びプラスミドからのポリペプチドの発現において使用される方法の詳細な記載は含まない。そのような方法、及び他の慣用的な方法は、当業者に周知である。
【0059】
実施例1
ζPKC発現は関節炎において上方制御される
実施例1.1 実験設計
[0067]関節炎の関節軟骨と正常な関節軟骨との間に示差的に発現する転写物を同定するために、最終的に膝関節の置換をしている関節炎の患者及び非関節炎の切断手術を受けたヒトから組織試料を得た。関節炎の有無は組織学によって確かめた。
【0060】
実施例1.2 オリゴヌクレオチドアレイ・ハイブリダイゼーション
[0068]発現プロファイリングには、Human Genome U95Av2(HG−U95Av2)GeneChip(登録商標)アレイ(Affymetrix,Santa Clara,CA)を使用した。ヒトゲノム由来のHG−U95Av2チップは約12,000の本来の全長配列(約16プローブ対/配列)を表す25マーのオリゴヌクレオチドプローブを含有する。標的配列に完全に相補的になるように設計した各プローブについては、中心において単一の塩基ミスマッチを除いて同一であるパートナープローブを生じる。これらのプローブ対は、シグナルの定量と非特異的なノイズの控除を可能にする。
【0061】
[0069]RNAは、個人の関節軟骨組織から抽出し、ビオチン化cRNAに変換し、そして、Affymetrixプロトコールに従って断片化した。断片化したcRNAを100μg/mlのニシンの精子DNA及び500μg/mlのアセチル化BSAを含有する1×MES緩衝液で希釈し、99℃で5分間変性し、すぐに5分間、45℃にした。不溶性の物質を短い遠心によってハイブリダイゼーション混合物から除去し、ハイブリダイゼーション混合物を各アレイに添加し、60rpmで連続的な回転で16時間45℃でインキュベートした。インキュベーション後、ハイブリダイゼーション混合物を除去し、6×SSPETでチップを過剰に洗浄し、そして、Affymetrixプロトコールに記載されるようにSAPE溶液で染色した。
【0062】
実施例1.3 オリゴヌクレオチドアレイデータ解析
[0070]各転写物の生の蛍光強度値をHewlett−Packard Gene Array Scannerを用いて6mmの分解度で測定した。GeneChip(登録商標)ソフトウェア3.2(Affymetrix)は、遺伝子が「存在」又は「不在」であるかを決定するために、並びにアレイ上の各遺伝子の特異的ハイブリダイゼーション強度値又は「平均差」を決定するためにアルゴリズムを使用し、蛍光データを評価するために使用した。各遺伝子の平均差は、Hillら((2000)Science 290:809−12)の手法に従って、各ハイブリダイゼーション混合物にスパイクした既知存在量の11個の対照転写物の平均差を参照して頻度値に標準化した。各遺伝子の頻度を計算し、その頻度は、10の全転写物あたりの個々の遺伝子転写物の全体数に等しい値を表す。
【0063】
[0071]各転写物の頻度を評価し、そして、転写物を以下の3つの基準を満たすかの研究に含めた。第一に、関節炎の軟骨及び正常な軟骨の両方に関する少なくとも1つのアレイにおけるGeneChip(登録商標)によって「存在」と呼ばれる転写物は、解析に含めた。第二に、関節炎の軟骨と正常な軟骨との間の比較のために、t−テストを採用し、頻度値における有意な(p<0.05)増加又は減少を有する一組の転写物のを同定した。第三に、統計学的に有意な一組の転写物の全体に渡って頻度値における平均倍率の変化は、2.4倍か又はそれ以上であることが要求された。これらの基準は、アレイ内の再先産性を見積もる複製実験に基づいて確立された。
【0064】
[0072]これらの基準に基づいて、関節炎の関節及び正常な関節の軟骨に示差的に発現した602個の転写物を同定した。同定されたそのような転写物の1つがζPKCであった。
【0065】
実施例2
ζPKC活性の阻害は細胞外マトリックス(ECM)の減少を阻害する
実施泳2.1 初代ウシ軟骨細胞の単離と培養
[0073]十分に太いウシの関節軟骨スライスを無菌状態で切り出し、PBSで4回リンスし、そして、プロナーゼ及びコラゲナーゼ消化(血清なしでDME中、37℃で、1mg/mlプロナーゼ(Calbiochem,San Diego,CA)30分間、及び1mg/mlコラゲナーゼP(Roche Diagnostics Corporation,Indianapolis,IN)一晩)に供して、軟骨の細胞外マトリックスに包埋した軟骨細胞を単離した。消化物を70ミクロンのFalcon(商標)細胞ろ過器(BD Biosciences,San Jose,CA)を通してろ過し、10%FBSを含有するDMEで2回洗浄した。典型的には、2−4×10細胞をウシ中手指節関節表面から得た。細胞を単層で6ウェルプレートに2×10細胞/ウェルの密度で播種した。ペレット培養については、細胞を1×10細胞/mlで増殖培地[HL−1培地(Cambrex Corporation,East Rutherford,NJ)、ペニシリン+ストレプトマイシン、グルタミン、50μg/mlアルコルビン酸、及び10%FBS]中に再懸濁し、そして、細胞1mlのアリコートを15mlの無菌のFalcon遠心管に移した。細胞を4℃で5分間、200×gで遠心し、得られた細胞ペレットを前述したように培養した(Xu et al.(1996)Endocrinology 137:3557−65)。細胞培養液を回収し、コラーゲン及びプロテオグリカンアッセイ用に保存し、そして、細胞を3−4日毎に新鮮な培地(3ml/ウェル、1ml/管)で再供給した。ペレット培養は、3週間維持し、その時にペレットを集め、ジメチルメチレンブルー(DMMB)染色アッセイ用に0.5mlの300μg/mlパパインで消化するか、又は組織学のために調製した。
【0066】
実施例2.2 NF−κBのペプチド遮断剤はTNF−又はIL−2を介したプロテオグリカン分解を阻害することができる
[0074]NF−κB活性を遮断することが、出願人の培養系においてプロテオグリカン分解を阻害できることを示すために、初代ウシ軟骨細胞を10ng/mlのTNF又は1ng/mlのIL−1の存在若しくは不存在において、300μg/mlの濃度で4日間、NF−κB遮断剤SN50とともに培養した。細胞をTNF又はIL−1のいずれかの添加前に3時間、阻害剤とともにインキュベートした。SN50は、脂質二重層を横切る輸送を促進するための一続きの疎水性アミノ酸に結合したNF−κBの核局在シグナルを含有するペプチドである(例えば、Lin et al.(1995)J.Biol.Chem.270:14255−58)。SN50Mは、陰性対照として使用され、NF−κBを遮断する活性を止めるアミノ酸変化を有する同じペプチドである。SN50及びSN50Mは、例えば、Biomol Research Laboratories,Inc.(Plymouth Meeting,PA)から利用することができる。
【0067】
[0075]図2に示すように、SN50Mは、培養液中へのプロテオグリカン放出及び細胞ペレットにおける回復の減少により測定されるように、ウシ軟骨細胞におけるTNF及びIL−1を介したプロテオグリカン分解を妨げることに有効ではなかった。対象的に、SN50は、プロテオグリカンのサイトカインを介した分解を完全に阻害した。加えて、SN50でさえ、SN50Mと比較した場合、サイトカイン処理がない場合にプロテオグリカン分解を妨げた。これらの結果は、サイトカインを介したコラゲナーゼ及びアグリカナーゼの合成を調節する遮断NF−κBは、初代ウシ軟骨細胞におけるプロテオグリカン減少を分解することを示す。
【0068】
実施例2.3 ζPKC阻害剤はTNFを介したプロテオグリカン分解を遮断する
[0076]ζPKC阻害剤がTNFを介したプロテオグリカン分解を阻害することができるかどうかを決定するために、初代ウシ軟骨細胞を、(1)ミリストイル化ζPKCペプチド擬似基質[本明細書では「2089」と称する;組織内での合成;配列番号:6に均等;例えば、BioSource International,Inc.,USA(Camarillo,CA)]、又は(2)小分子阻害剤Ro−31−8220(Sigma−RBI,Natick,MA)と伴に、又は伴わずに5日間、TNFの様々な濃度で培養した。阻害剤はTNFを添加する前に3時間添加した。
【0069】
[0077]図3に示されるように、10及び100ng/mlTNFは、培養液へのプロテオグリカン放出及び細胞ペレットにおける回復の減少により測定されるように、有意なプロテオグリカン分解を引き起こした。このプロテオグリカン分解は、50μMの2089及び10μMのRo−31−8220(RO31)の両方によって有意に阻害した。加えて、これらの化合物は、TNFの不在でさえもプロテオグリカン分解を阻害し、プロテアーゼの構築レベルの遮断を示唆した。5μMの濃度のRo−31−8220は、プロテオグリカン減少の妨げで相対的に効果がなかった。これらの結果は、2089及びRo−31−8022の両者が初代軟骨細胞の細胞膜を貫通し、TNFを介したプロテオグリカン分解を効果的に遮断することを示す。軟骨細胞のトリパンブルー染色及び初代培養でのラクテートアッセイは、結果についての可能な説明として、細胞毒性を排除するために実行した。これらの実験は、化合物がこれらの実験において使用した投与量でかなりの細胞毒性を引き起こさないことを確実にした。加えて、対照のペプチドを合成し、同じアッセイ系で試験して、非特異的な効果が観察された結果を引き起こす可能性を解決するために試験した。擬似基質ペプチドの非ミリストイル化バージョン、並びに、擬似基質ペプチドとして同じアミノ酸成分を含有する「スクランブルした対照」は、スクランブルした配列を有しており、試験され、両者は、プロテオグリカン分解を遮断する点で非効果的であることを見出した。
【0070】
実施例2.4 ミリストイル化ζPKCペプチド擬似基質2089は投与量に依存する方法でTNF−及びIL−1を介したプロテオグリカン分解を遮断する
[0078]ミリストイル化ζPKCペプチド擬似基質2089が投与量に依存する方法でサイトカインを介したプロテオグリカン分解を阻害するかどうかを決定するために、初代ウシ軟骨細胞を様々な濃度の2089を添加した後、10ng/mlのTNF又は1ng/mlのIL−1のいずれかで4日間培養した。
【0071】
[0079]図4に示すように、2089は、投与量に依存した方法でTNF又はIL−1の両方を介したプロテオグリカン分解を阻害し、最大の投与量(100μM)は培養液中へのプロテオグリカン放出を完全に阻害した。また、プロテオグリカンの増加した細胞ペレット保持、及び培養液中へのプロテオグリカンの放出の減少は、サイトカイン不在でさえ2089で達成された。累積的に、これらの結果は、軟骨細胞におけるζPKCの阻害がサイトカインを介したプロテオグリカンの酵素分解的な分解を阻害することを示す。これは、ζPKCのノックアウトマウスが非常に良性表現型を有する(Leitges et al.,上述)という事実を伴って、ζPKCの阻害は、関節炎並びに他の炎症性疾患の安全で効果的な治療となり得ることを示す。
【0072】
実施例3
ζPKC mRNAはヒト骨関節炎(OA)の軟骨において上方制御される
[0080]骨関節炎(OA)患者由来のヒト関節の軟骨に関する転写プロファイリングデータが、ヒト非OA軟骨と比較して、ζPKC mRNAにおいて統計的に有意な増加を示した。図5のパネルAでは、RNAは、臨床試料の凍結粉砕した関節軟骨から抽出し、HG−U95Av2チップを用いてプロファイリング解析を表すようにした。これらのグループを解析した:正常(非OA)軟骨[13試料];重症OA軟骨(非障害領域)[29試料];及び重症OA軟骨(障害領域)[26試料]。ζPKC mRNAレベルは、正常な試料と比較して、重症のOA試料において評価した。図5のパネルBでは、同じ一連の試料のTaqMan(登録商標)Q−PCR(Applied Biosystems,Foster City,CA)解析は、正常な試料と比較して、重症のOA試料におけるζPKC mRNAの非常に高いζPKC mRNAレベルを示した;TaqMan(登録商標)プロトコールは製品取扱説明書に従って行った。
【0073】
実勢例4
ζPKCタンパク質は軟骨細胞において発現する
[0081]抗ζPKC抗体(nPKCζ(C−20);Santa Cruz Biotechnology,Inc.,Santa Cruz,CA)を使用して、軟骨細胞及びJurkat細胞におけるζPKCタンパク質の産生を比較した。ウシ軟骨細胞とJurkat細胞(ヒト細胞株)の溶解物を同様の方法によって調製した:細胞を冷却したリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、すぐにホスファターゼ阻害剤を含有する細胞溶解緩衝液(Cell Signaling Technology,Inc.,Beverly,MA)に置いた。細胞を氷上で5分間インキュベートし、次いで、4℃で10分間、12,000rpmで遠心した。試料を還元条件下で12%SDS−ポリアクリルアミドゲルの電気泳動におって分析した。ウェスタンブロットは、軟骨細胞が十分量のζPKCタンパク質を発現したことを示した;同じブロットは、Jurkat細胞におけるζPKCタンパク質の明確に感知できる発現は示さなかった。
【0074】
実施例5
アデノウイルスを介したζPKCの発現はプロテオグリカン分解を増加する
[0082]初代ウシ軟骨細胞を単離して、実施例2.1において上述したように(ペレット形式で)培養した。アデノウイルスの添加前に(15ml Falcon管で)2%FBSを含有する増殖培地(HL−1)0.5ml中で細胞を培養した。ζPKC又はGFP(グリーン蛍光タンパク質)を含有するアデノウイルスベクターを調製し(Alden et al.(1999)Hum.Gene Ther.10:2245−53)、そして、軟骨細胞の培養物に単離後ペレットにする前にすぐに感染させた。GFP又はζPKCを発現するアデノウイルスは、5000の感染の多重度(MOI)で培養物中に直接加えた。図6のパネルAに見られるように、培養物(サイトカインを添加していない)中の初代ウシ軟骨細胞における全長のζPKCの過剰発現は、GFPの過剰発現と比較した場合、プロテオグリカンの分解(軟骨細胞のペレットアッセイにおける培養液中に放出されるプロテオグリカンにより測定されるように)において、中くらいであるが統計学的に有意な増加に帰着した。10%FBSを含有する培養液を37℃で(5%COの湿気雰囲気下で)2時間インキュベーション後に培養物に添加した。血清組成物は、3日毎に徐々に減少させ(軟骨細胞ペレットを毎回供給して連続的に5%、2.5%にし、そして最終的には0%(血清なし)にする)、血清から細胞を遠ざけた。培養液中に放出されたプロテオグリカンは、25日に渡って放出された全プロテオグリカンを表す。
【0075】
[0083]図6のパネルBでは、細胞を血清から遠ざけた後、サイトカインの添加の有無で、4日間に渡る培養液中のプロテオグリカンを測定した。次善最適のTNFαの添加は、GFPの過剰発現又はアデノウイルス感染なしと比較した場合、ζPKCの過剰発現に反応して培養液中に放出したプロテオグリカンの量を増大させた(図6、パネルB)。
【0076】
実施例6
ζPKCは軟骨細胞におけるTNFαを介したプロテオグリカン放出に原因する
[0084]関節炎のウシ軟骨細胞は、ペレットアッセイのために前述したように調製した。図7に示すように、軟骨細胞ペレットアッセイにおける同じ培養物にTNFαを添加した(100ng/ml;*で標識したバー)。2つの阻害剤は、異なる投与量で添加した。1つの阻害剤、ビスインドリルマレミド(BIS)は、pan−PKC阻害剤であり、ζPKCを含む、PKCの全ての異性体の活性を遮断すると報告されている(例えば、Toullec et al.(1991)J.Biol.Chem.266:15771−81)。他の阻害剤、塩化ケレリスリン(CC)は、ホルボールエステル結合部位の競合阻害剤である。CCは、伝統的な及び新規なPKCファミリーのメンバーのホルボールエステル結合ドメインに対して競合し、それらを阻害する;しかしながら、典型的でないPKC(例えば、ζPKC;Ca++依存性であり、しかもジアクリルグリセロール非依存性であるPKC)はこの結合ドメインを欠如しているので、CCによっては阻害されない(例えば、Herbert et al.(1990)Biochem.Biophys.Res.Commun.172:993−99)。軟骨細胞ペレットアッセイにおける培養液中へのサイトカイン(TNFα)を介したプロテオグリカンの放出は、BIS(20−40μMで)によって遮断されたが、CCによっては遮断されず(図7)、ζPKCの選択的阻害がサイトカインを介したプロテオグリカン減少を遮断することを示した。
【0077】
実施例7
ζPKCは軟骨細胞におけるNF−κBのTNFα誘導の活性の原因となる
[0085]NF−κB応答エレメントの制御下でルシフェラーゼレポート遺伝子を導入した不死化ヒト軟骨細胞株(C28/I2;例えば、Finger et al.(2003)Arthritis Rheum.48:3395−403;Goldring(1994)J.Clin.Invest.94:2307−16)におけるNF−κBの活性を測定した。10%FBSを添加したDMEM/Ham’s F12で細胞を培養した;細胞を96ウェルに撒き(1×10細胞/ウェル)、アッセイ前に24時間、NF−κBルシフェラーゼ構築物(100MOI)を発現するアデノウイルスで感染した。軟骨細胞をTNFの添加前2時間、無血清培地で阻害剤とともにインキュベートした。図8に示すように、TNFαを軟骨細胞ペレットアッセイにおけるいくつかの培養物に添加した(1ng/ml又は10ng/ml)。BIS(20μM)、pan−PKC阻害剤をいくつかの培養物に添加し、そして、CC(8μM)、PKCのいくつかの形体でのホルボールエステル結合部位の競合阻害剤(しかし、典型的でないPKC、例えばζPKC)を他の培養物に添加した。サイトカイン(TNFα)を介したNF−κBの活性はBISによって遮断されたが、CCによっては遮断されず、ζPKCの選択的阻害がサイトカインを介したNF−κBの活性を遮断することを示す。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1−1】[0016]図1は、RNAiにおいて使用するためのヒトζPKC mRNAに標的とされる好ましいsiRNA分子群を示す。ζPKC転写物の標的セグメント[配列番号:9−20;45−59;90−109;及び150−154]は、それらの最初の2つのヌクレオチド(AA、CA、GA、又はTA)に従ってグループ化され、5’→3’配向に示される。「GC比」は各標的セグメントにおける全体のG+Cヌクレオチドのパーセントを意味する;「位置」は、各標的セグメントの始まりを即座に先導するヒトζPKC cDNA(配列番号:1)におけるヌクレオチド位置を意味する。好ましいsiRNA分子(siRNA二重鎖)は、図の右側に示される。各siRNA二重鎖に対するセンス鎖[配列番号:21−32;60−74;110−129;及び155−159]は、5’→3’配向で示される;対応するアンチセンス鎖[配列番号:33−44;75−89;130−149;及び160−164]は、3’→5’配向で示される。例えば、図に表示される第一の標的セグメントに指向するsiRNA分子は、同定されたセンス鎖及びアンチセンス鎖(即ち、それぞれ、配列番号:21及び配列番号:33)のsiRNA二重鎖である。
【図1−2】[0016]図1は、RNAiにおいて使用するためのヒトζPKC mRNAに標的とされる好ましいsiRNA分子群を示す。ζPKC転写物の標的セグメント[配列番号:9−20;45−59;90−109;及び150−154]は、それらの最初の2つのヌクレオチド(AA、CA、GA、又はTA)に従ってグループ化され、5’→3’配向に示される。「GC比」は各標的セグメントにおける全体のG+Cヌクレオチドのパーセントを意味する;「位置」は、各標的セグメントの始まりを即座に先導するヒトζPKC cDNA(配列番号:1)におけるヌクレオチド位置を意味する。好ましいsiRNA分子(siRNA二重鎖)は、図の右側に示される。各siRNA二重鎖に対するセンス鎖[配列番号:21−32;60−74;110−129;及び155−159]は、5’→3’配向で示される;対応するアンチセンス鎖[配列番号:33−44;75−89;130−149;及び160−164]は、3’→5’配向で示される。例えば、図に表示される第一の標的セグメントに指向するsiRNA分子は、同定されたセンス鎖及びアンチセンス鎖(即ち、それぞれ、配列番号:21及び配列番号:33)のsiRNA二重鎖である。
【図1−3】[0016]図1は、RNAiにおいて使用するためのヒトζPKC mRNAに標的とされる好ましいsiRNA分子群を示す。ζPKC転写物の標的セグメント[配列番号:9−20;45−59;90−109;及び150−154]は、それらの最初の2つのヌクレオチド(AA、CA、GA、又はTA)に従ってグループ化され、5’→3’配向に示される。「GC比」は各標的セグメントにおける全体のG+Cヌクレオチドのパーセントを意味する;「位置」は、各標的セグメントの始まりを即座に先導するヒトζPKC cDNA(配列番号:1)におけるヌクレオチド位置を意味する。好ましいsiRNA分子(siRNA二重鎖)は、図の右側に示される。各siRNA二重鎖に対するセンス鎖[配列番号:21−32;60−74;110−129;及び155−159]は、5’→3’配向で示される;対応するアンチセンス鎖[配列番号:33−44;75−89;130−149;及び160−164]は、3’→5’配向で示される。例えば、図に表示される第一の標的セグメントに指向するsiRNA分子は、同定されたセンス鎖及びアンチセンス鎖(即ち、それぞれ、配列番号:21及び配列番号:33)のsiRNA二重鎖である。
【図1−4】[0016]図1は、RNAiにおいて使用するためのヒトζPKC mRNAに標的とされる好ましいsiRNA分子群を示す。ζPKC転写物の標的セグメント[配列番号:9−20;45−59;90−109;及び150−154]は、それらの最初の2つのヌクレオチド(AA、CA、GA、又はTA)に従ってグループ化され、5’→3’配向に示される。「GC比」は各標的セグメントにおける全体のG+Cヌクレオチドのパーセントを意味する;「位置」は、各標的セグメントの始まりを即座に先導するヒトζPKC cDNA(配列番号:1)におけるヌクレオチド位置を意味する。好ましいsiRNA分子(siRNA二重鎖)は、図の右側に示される。各siRNA二重鎖に対するセンス鎖[配列番号:21−32;60−74;110−129;及び155−159]は、5’→3’配向で示される;対応するアンチセンス鎖[配列番号:33−44;75−89;130−149;及び160−164]は、3’→5’配向で示される。例えば、図に表示される第一の標的セグメントに指向するsiRNA分子は、同定されたセンス鎖及びアンチセンス鎖(即ち、それぞれ、配列番号:21及び配列番号:33)のsiRNA二重鎖である。
【図1−5】[0016]図1は、RNAiにおいて使用するためのヒトζPKC mRNAに標的とされる好ましいsiRNA分子群を示す。ζPKC転写物の標的セグメント[配列番号:9−20;45−59;90−109;及び150−154]は、それらの最初の2つのヌクレオチド(AA、CA、GA、又はTA)に従ってグループ化され、5’→3’配向に示される。「GC比」は各標的セグメントにおける全体のG+Cヌクレオチドのパーセントを意味する;「位置」は、各標的セグメントの始まりを即座に先導するヒトζPKC cDNA(配列番号:1)におけるヌクレオチド位置を意味する。好ましいsiRNA分子(siRNA二重鎖)は、図の右側に示される。各siRNA二重鎖に対するセンス鎖[配列番号:21−32;60−74;110−129;及び155−159]は、5’→3’配向で示される;対応するアンチセンス鎖[配列番号:33−44;75−89;130−149;及び160−164]は、3’→5’配向で示される。例えば、図に表示される第一の標的セグメントに指向するsiRNA分子は、同定されたセンス鎖及びアンチセンス鎖(即ち、それぞれ、配列番号:21及び配列番号:33)のsiRNA二重鎖である。
【図1−6】[0016]図1は、RNAiにおいて使用するためのヒトζPKC mRNAに標的とされる好ましいsiRNA分子群を示す。ζPKC転写物の標的セグメント[配列番号:9−20;45−59;90−109;及び150−154]は、それらの最初の2つのヌクレオチド(AA、CA、GA、又はTA)に従ってグループ化され、5’→3’配向に示される。「GC比」は各標的セグメントにおける全体のG+Cヌクレオチドのパーセントを意味する;「位置」は、各標的セグメントの始まりを即座に先導するヒトζPKC cDNA(配列番号:1)におけるヌクレオチド位置を意味する。好ましいsiRNA分子(siRNA二重鎖)は、図の右側に示される。各siRNA二重鎖に対するセンス鎖[配列番号:21−32;60−74;110−129;及び155−159]は、5’→3’配向で示される;対応するアンチセンス鎖[配列番号:33−44;75−89;130−149;及び160−164]は、3’→5’配向で示される。例えば、図に表示される第一の標的セグメントに指向するsiRNA分子は、同定されたセンス鎖及びアンチセンス鎖(即ち、それぞれ、配列番号:21及び配列番号:33)のsiRNA二重鎖である。
【図2】[0017]図2は、初代ウシ軟骨細胞培養において、TNF−又はIL−1−仲介のプロテオグリカン分解におけるNF−κB遮断剤SN50(300μg/ml)、又はその不活性な類似体SN50M(300μg/ml)の効果を描写したグラフである。上段のパネルは、培養液中に放出されたプロテオグリカン成分を示す(μg/0.5ml);下段のパネルは、細胞ペレットに保持されたプロテオグリカン成分を示す(μg/ml)。
【図3】[0018]図3は、初代ウシ軟骨細胞培養において、TNF−仲介のプロテオグリカン分解におけるミリスチン化ζPKCの擬似基質ペプチド(2089)又はPKC小分子阻害剤Ro−31−8220(RO31)の効果を描写したグラフである。上段のパネルは、培養液中に放出されたプロテオグリカン成分を示す(μg/0.5ml);下段のパネルは、細胞ペレットに保持されたプロテオグリカン成分を示す(μg/ml)。
【図4】[0019]図4は、初代ウシ軟骨細胞培養において、TNF−又はIL−1−仲介のプロテオグリカン分解におけるミリスチン化ζPKCの擬似基質ペプチド(2089)の投与量依存の効果を描写したグラフである。上段のパネルは、培養液中に放出されたプロテオグリカン成分を示す(μg/0.5ml);下段のパネルは、細胞ペレットに保持されたプロテオグリカン成分を示す(μg/ml)。
【図5】[0020]図5は、ヒト骨関節炎の関節軟骨において、ζPKCが上方制御されることを示す。パネルAは、HG−U95Av2 Affymetrix GeneChip(登録商標)を用いたζPKC mRNAレベルを示す;パネルBは、TaqMan PCR解析を用いたζPKC mRNAレベルを示す。
【図6】[0021]図6は、ζPKCのアデノウイルスを介した発現がプロテオグリカン分解を増加することを示す。パネルAは、ζPKC及びGFPの過剰発現に応答した軟骨細胞ペレットアッセイにおいて、培養液中に放出したプロテオグリカンを示す;パネルBは、サイトカインTNFαの最適下限レベルでの刺激効果を示す。
【図7】[0022]図7は、ζPKCが関節の軟骨細胞におけるTNFαを介したプロテオグリカンの放出の原因となることを示す。TNFαを軟骨細胞ペレットアッセイにおけるいくつかの培養系に添加した(100ng/ml;*で記される)。2つの阻害剤は、様々な投与量で添加した:ビスインドリルマレイミド(BIS)、pan−PKC阻害剤;及び塩化ケレリスリン(CC)、ζPKCを阻害しない部位に結合するホルボールの競合阻害剤。培養液中へのプロテオグリカン放出は、μg/mlとしてy軸上に示される。
【図8】[0023]図8は、TNFα誘導のNF−κBの活性のおける阻害剤BIS及びCCの効果を示す。NF−κBの活性は、NF−κB応答要素の制御下でルシフェラーゼレポーター遺伝子が導入された不死化したヒト軟骨細胞株において測定した;活性(即ち、y軸上のユニット)は「相対的ルシフェラーゼ活性」として表現される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者における関節炎の診断に使用する方法であって、下記の工程:
患者の試料中のζPKC遺伝子産物の試験量を検出し;そして
前記試験量と対照試料中のζPKC遺伝子産物の正常量とを比較する
ことを含み、
それにより、試験量が正常量よりも大きいという所見が、関節炎の診断に陽性の指示を与える、前記方法。
【請求項2】
試料が軟骨細胞を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ζPKC遺伝子産物がRNA又はcDNAを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ζPKC遺伝子産物がζPKCポリペプチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
患者における関節炎の予測に使用する方法であって、下記の工程:
患者の試料中のζPKC遺伝子産物の試験量を検出し;そして
前記試験量と対照試料中のζPKC遺伝子産物の正常量とを比較する
ことを含み、
それにより、試験量と予測量との比較が関節炎の予測の指示を与える、前記方法。
【請求項6】
試料が軟骨細胞を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ζPKC遺伝子産物がRNA又はcDNAを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ζPKC遺伝子産物がζPKCポリペプチドである、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
患者における関節炎の経過の監視に使用する方法であって、下記の工程:
一回目に患者の試料中のζPKC遺伝子産物の第一試験量を検出し;
二回目以降に、患者からの試料中のζPKC遺伝子産物の第二試験量を検出し;そして
第一試験量と第二試験量とを比較する
ことを含み、
それにより、第一試験量と比較した場合、第二試験量におけるζPKC遺伝子産物量の増加が関節炎の進行を指示し、及び
それにより、第一試験量と比較した場合、第二試験量におけるζPKC遺伝子産物量の減少が関節炎の鎮静を指示する、前記方法。
【請求項10】
試料が軟骨細胞を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ζPKC遺伝子産物がRNA又はcDNAを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
ζPKC遺伝子産物がζPKCポリペプチドである、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
患者における関節炎の治療の効果を評価する方法であって、下記の工程:
治療前の患者の試料中のζPKC遺伝子産物の第一試験量を検出し;
治療後の患者の試料中のζPKC遺伝子産物の第二試験量を検出し;そして
第一試験量と第二試験量とを比較する
ことを含み、
それにより、第一試験量と比較した場合、第二試験量におけるζPKC遺伝子産物量の減少が、関節炎の治療に効果的であることを示す、前記方法。
【請求項14】
試料が軟骨細胞を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ζPKC遺伝子産物がRNA又はcDNAを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
ζPKC遺伝子産物がζPKCポリペプチドである、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
患者における関節炎を阻害することができる化合物をスクリーニングする方法であって、下記の工程:
等量のζPKCを含有する第一試料及び第二試料を提供し;
第一試料と該化合物を接触させ;そして
第一試料中のζPKCの活性が化合物と接触していない第二試料中のζPKCの活性に関連して減少するかどうかを決定する
ことを含み、
それにより、第二試料と比較した場合、第一試料中のζPKCの活性の減少が、化合物が患者における関節炎を阻害することを示す、前記方法。
【請求項18】
化合物が軟骨細胞におけるζPKCの活性を阻害する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
化合物が小分子である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
ζPKCの活性が酵素プロテインキナーゼアッセイの使用によって決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
ζPKCの活性が軟骨細胞ペレットアッセイの使用によって決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
ζPKCの活性がプロテオグリカンの分解を測定するアッセイの使用によって決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項23】
ζPKCの活性がNF−κB活性を測定するアッセイの使用によって決定される、請求項17に記載の方法。
【請求項24】
患者における関節炎を阻害することができる化合物をスクリーニングする方法であって、下記の工程:
ζPKCを発現する細胞を等量含有する第一試料及び第二試料を提供し;
第一試料を化合物と接触し;そして
第一試料中のζPKC遺伝子産物の発現が、化合物と接触していない第二試料中のζPKC遺伝子産物の発現に関連して減少するかを決定する
ことを含み、
それにより、第二試料と比較した場合、第一試料中のζPKC遺伝子の発現の減少が、化合物が患者における関節炎を阻害することを示す、前記方法。
【請求項25】
化合物が軟骨細胞におけるζPKC遺伝子産物の発現を阻害する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
化合物が小分子である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
ζPKC遺伝子産物の発現が酵素プロテインキナーゼアッセイの使用によって決定される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
ζPKC遺伝子産物の発現が軟骨細胞ペレットアッセイの使用によって決定される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
ζPKC遺伝子産物の発現がプロテオグリカンの分解を測定するアッセイの使用によって決定される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
ζPKC遺伝子産物の発現がNF−κB活性を測定するアッセイの使用によって決定される、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
患者におけるζPKCの活性を阻害する化合物を患者に投与することを含む、患者における関節炎を治療する方法。
【請求項32】
化合物が軟骨細胞におけるζPKCの活性を阻害する、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
化合物がアンチセンス・ポリヌクレオチドである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
化合物が小分子量である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
化合物がsiRNA分子である、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
siRNA分子が図1に示されるsiRNA分子群からなる群から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
患者におけるζPKCの発現を阻害する化合物を患者に投与することを含む、患者における関節炎を治療する方法。
【請求項38】
化合物が軟骨細胞におけるζPKCの発現を阻害する、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
化合物がアンチセンス・ポリヌクレオチドである、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
化合物が小分子である、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
化合物がsiRNA分子である、請求項37に記載の方法。
【請求項42】
siRNA分子が図1に示されるsiRNA分子群からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ζPKCの発現又は活性を阻害するsiRNA分子。
【請求項44】
siRNA分子が図1に示されるsiRNA分子群からなる群から選択される、請求項43に記載のsiRNA分子。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図1−4】
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【図1−5】
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【図1−6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−515940(P2007−515940A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532963(P2006−532963)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/014759
【国際公開番号】WO2004/104217
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(302042209)ワイス (7)
【Fターム(参考)】