説明

防水モジュール及び発光装置。

【課題】本発明は、防水のために用いる樹脂材料を少なくすることができるとともに製造性を高めることができ、さらに電源部との配線長を短くすることができる防水モジュール及び発光装置を提供する。
【解決手段】本実施形態によれば、コネクタ6の被着脱部63を端子63との着脱方向が実装面21と平行となるように設けることによって、同じ大きさの層8で端子とコネクタとの着脱方向が実装面に対して垂直に設けるものにコーティングを施す場合に対して比較すると、隣り合うモジュール10間の距離を小さくすることができるため、一度にコーティングを実施することができるモジュールの数が増えて製造効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水処理を施す防水モジュール及び発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体発光素子であるLEDを実装したモジュールを例えば屋外で用いる照明装置として使用することが増えてきている。そして、屋外用又は他の用途によってはモジュールに防水処理を施す必要があった。
【0003】
そこで、例えばLEDを実装した基板において、基板に実装された実装部品が満遍なく樹脂で覆われるように基板の表裏全面を樹脂モールドすることによって、防水性を確保するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、この従来技術は、樹脂モールドからコネクタが先端に設けられた給電用の口出し線を導出させることにより電気的供給経路を確保するというものである。
【特許文献1】特開2003−303504号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような防水モジュールは、基板の表面に実装された実装部品を樹脂で満遍なく覆うとともに基板全体も覆うようなモールド構成であるため、樹脂材料を非常に多く用いるものとなり、必然的に高額になってしまうものである。また、従来技術の場合にはモールドするために筐体を必要としたり、個別の筐体内に樹脂材料を抽入するための工程が必要となったりするため、製造効率は良いものではなかった。
【0005】
また、従来技術のようなモールド部から口出し線を設ける構成であると、モジュールと電源部との配線長が長くなってしまい、配線スペースの確保を必要とするものであった。さらに、従来技術のような構成では、口出し線に外力が加わると口出し線を導出している樹脂部分が破損ないし剥がれてしまい、防水性が損なわれる虞があった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、防水のために用いる樹脂材料を少なくしても防水性の信頼性を高めることができるとともに製造性を高めることができ、さらに電源部との配線長を短くすることができる防水モジュール及び発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の防水モジュールは、電気部品等の実装部品を露出して実装面に実装した基板と;外部から導出された着脱部と着脱する被着脱部を有し実装面に機械的に固定された基台部を備え、前記被着脱部は、着脱部との着脱方向が前記実装面と平行となるように設けられるとともに、前記基板の実装面における外郭よりも外側に位置するように設けられるコネクタと;前記基板の外部に露出する面、前記実装面の実装部品及び前記コネクタの基台部における基板と対向する部分を樹脂によってコーティングした防水層と;を具備することを特徴とする。
【0008】
電気部品とは、抵抗又はコンデンサ等の受動部品、ダイオード、トランジスタ又は半導体発光素子等の半導体素子又はマイコン等のICなど、電気ないし電子回路を構成するための素子を含むものである。
【0009】
また、基板の「外部に露出する面」とは、例えば実装面となる表面、裏面及び各側面であることを意味し、少なくとも防水処理を施すために樹脂コーティングが必要である箇所全体を示す部分である(なお、仮に樹脂コーティングが必要とならない基板上の箇所が存在し、当該箇所をコーティングしない場合には、被コーティング箇所は含まない。)。
【0010】
また樹脂によるコーティングとは、本願発明の基板及びコネクタを構成する部分において、コネクタの被着脱部以外の外部の露出部分を被膜によって覆うことにより防水加工するものを意味する。
【0011】
そして、本発明の場合に好適であるのは、いわゆるディッピングによるコーティングである。ディッピングとは、コーティング用の樹脂材を予め層内に注入しておき、コーティングする対象部材のうちのコーティングを必要とする箇所を層の上側から樹脂材内に埋没し、その後、層から引き上げることで必要箇所の表面にコーティングを実施するものである。そして、本願発明の場合には、コネクタの被着脱部を上側に配置した状態であって、かつ、この被着脱部が樹脂材内に埋没しないように基板全体を層内の樹脂材に埋没することによって防水用のコーティングを実施することができる。このように形成することによって、防水用の樹脂の被膜を必要箇所にのみ形成することが容易となることに加え、防水処理を施す製造工程では、基板を樹脂に埋没する高さに留意しておけば容易に必要箇所へのコーティングを終了することができる。また、ディッピングでは、複数体のモジュールを同時に層内に埋没することが可能であるため、同時に複数の基板をコーティングすることが可能であるが、本願発明のようにコネクタの被着脱部を着脱部との着脱方向が実装面と平行となるように設けることによって、ディッピング時の隣り合う基板間の距離を極力小さくすることができるために製造効率を高めることが容易となる。さらに、コネクタを配設する際に基板とコネクタ間に配線を要しない構成を実現でき、かつ、コネクタの基台部は基板に機械的に固定されているため、コネクタ部分に外力が加わったとしても防水層が剥がれてしまう虞を低減することができる。
【0012】
請求項2記載の発光装置は、基板には半導体発光素子が実装されており、前記防水層は透過率が高い樹脂で構成された請求項1記載の防水モジュールと;前記防水モジュールが設けられる本体部と;を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の防水モジュールによれば、基板の外部に露出する面、前記実装面の実装部品及びコネクタの基台部の基板と正対する部分を樹脂によってコーティングするため、防水用の樹脂の使用量を低減することができる。また、コネクタの基台部は基板に機械的に固定されているため、樹脂の使用量が少ないとしても防水の信頼性を低下させることがない。また、コーティングを要しないコネクタの接続部が基板の実装面の外郭よりも外側に位置するために防水を施す作業が煩雑とならず製造性を向上することが可能となる。また、防水処理を施すモジュールであってもコネクタを直接基板に設けることができるため、電源部から電源供給を受けるための余分な配線を導出することがない。
また、請求項2記載の発光装置によれば、請求項1記載の効果を有する装置にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本実施形態の防水モジュールを示す側面図であり、図2は本実施形態の防水モジュールの製造工程の一部を示す説明図、図3は本実施形態と比較するための防水モジュールの構成を示す説明図である。
【0015】
防水モジュール1は、基板2に実装素子の一部である複数の半導体発光素子のLED3、同じく実装部品の一部である抵抗、整流素子、トランジスタ等の複数の電気回路素子4、コネクタ6及び防水層であるコーティング膜5を備えている。
【0016】
基板2は、表側21a側の実装面21に図示しない配線パターンが形成されているとともにこの配線パターンと電気的に接続するように設けられたLED3が複数実装されている。
また、基板2の裏側21bの実装面21には表側21aの配線パターンやLED3と電気的に接続するように設けられた電気回路素子4が複数実装されている。
【0017】
コネクタ6は、外郭が樹脂性である基台部61が実装面21の表側21aであって実装面21の外縁側21cにねじ9によって固着されてている。そして、基台部61は、基板2には端部から導出されたリード線65が略直角折り曲げられることにより基板2の実装面21に電気的に接続されるようになっている。
【0018】
また、コネクタ6は、基台部61のリード線65とは反対側端部に、外部から電源供給や信号入力のために設けられた入出力線64の先端に設けられる着脱部である端子63と着脱可能である被着脱部62が設けられている。そして、この被着脱部62は、端子63との着脱方向が実装面21と平行となるように設けられるとともに、基板21の実装面21における外郭21dよりも外側に被着脱部62が位置するように設けられている。
【0019】
防水層であるコーティング膜5は、透過率の高い防水性を有する樹脂性材料からなり、基板21の実装面21の表側21a、裏側21bの全面と基板21の周面部を覆うとともに、複数のLED3と複数の電気回路素子4の全体を覆うようにコーティングが施されている。また、コネクタ6の基板2の実装面21と対向する部分全体とリード線65もコーティング膜5が施されている。
次に本実施形態の防水モジュール1の製造方法について図面を参照して説明する。図2は、防水モジュールの製造工程の一部を示す説明図である。
【0020】
本実施形態の防水モジュール1は、ディッピングによってコーティング膜5を形成するものである。このディッピングとは、コーティング膜5を形成するための樹脂材80を予め層8内に注入しておき、コーティングを必要とする箇所を層8の上側から樹脂材80内に埋没し、その後層8から引き上げることでコーティング膜5を形成するものである。
【0021】
そして、本実施形態の場合には、コネクタ6の被着脱部63が上側に配置した状態で層8内の樹脂材80内にコーティング膜5が形成されていない状態のモジュール10を徐々に落とし込んでいく。そして、コネクタ6の被着脱部63が層8の樹脂材上面81よりも上側に位置する状態であって、かつ、基板2の外郭21dが全て樹脂材80内に埋没した状態であるコーティングライン66の位置でモジュール10の落とし込みを停止する。その後、モジュール10を樹脂材80内から上昇させて乾燥させることによってモジュール10の所望の領域全体にコーティング膜5が形成されることになる。
【0022】
そして、このように防水処理を施された防水モジュール1を図示しない器具本体に配設し、入出力線64の端子63とコネクタ6の被着脱部63とを接続することで防水モジュール1のLED3の点灯制御が可能となる。
【0023】
本実施形態によれば、防水用のコーティング膜を必要箇所にのみ形成することが容易となることに加え、防水処理を施す製造工程では、基板2が樹脂材80に埋没する高さにさえ留意しておけば容易に必要箇所へのコーティングを終了することができるため、製造性を高めることができる。
【0024】
また、ディッピングでは、複数のモジュール10を同時に層8内に落とし込むことが可能であるため、同時に複数のモジュール10に対するコーティング作業を実施することが可能であるが、本実施形態のようにコネクタ6の被着脱部63を端子63との着脱方向が実装面21と平行となるように設けることによって、隣り合うモジュール10間の距離を小さくすることができるため、一度にコーティングを実施することができるモジュールの数が増えて製造効率をさらに高めることが容易となる。
【0025】
この点について補足して説明すると、仮に図3に示したように端子63とコネクタ6との着脱方向が実装面に対して垂直に設けるモジュール11とした場合、このモジュール11にコーティングを施す場合には、図3に示したように層8内に対して実装面が平行となる状態で落とし込まなければならなくなる。すると、必然的に多くのモジュール11に対してコーティングを同時に行おうとすると層8は大形のものが必要となってしまうし、層8が大形化できない場合には一度にコーティング作業を行えるモジュール数は少ないものとなる。したがって、図3のような構成のモジュール11と本実施形態のモジュール10とを比較すると、製造効率の上で飛躍的に本実施形態の方が有効的であることが分かる。
【0026】
さらに、防水モジュール1を実現する構成であっても、コネクタ6を配設する際に基板2とコネクタ6間には配線を要しない構成にすることができるため、図示しない器具本体内での配線処理のための領域を多く設けることがないため、器具本体が大形化することを抑制することができる。
【0027】
また、コネクタ6の基台部61は、リード線65とともに基板2とともにコーティング膜5で覆われている状態であるので、基板2の実装面21とコネクタ6との機械的固着の信頼性を高めることができる。
【0028】
また、コーティング膜5は、高い透光性を有し、かつ、LED3の表面に肉厚に形成されることがないため、LED3からの照射光の多くがコーティング膜5を透過して外部に照射され、防水処理による光出力の低下を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の防水モジュールを示す側面図
【図2】同上防水モジュールの製造工程の一部を示す説明図
【図3】本実施形態と比較するための防水モジュールの構成を示す説明図
【符号の説明】
【0030】
1…防水モジュール、3…実装部品であるLED、4…実装部品である電気回路素子、5…防水層であるコーティング膜、6…コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品等の実装部品を露出して実装面に実装した基板と;
外部から導出された着脱部と着脱する被着脱部を有し実装面に機械的に固定された基台部を備え、前記被着脱部は、着脱部との着脱方向が前記実装面と平行となるように設けられるとともに、前記基板の実装面における外郭よりも外側に位置するように設けられるコネクタと;
前記基板の外部に露出する面、前記実装面の実装部品及び前記コネクタの基台部における基板と対向する部分を樹脂によってコーティングした防水層と;
を具備していることを特徴とする防水モジュール。
【請求項2】
基板には半導体発光素子が実装されており、前記防水層は透過率が高い樹脂で構成された請求項1記載の防水モジュールと;
前記防水モジュールが設けられる本体部と;
を具備することを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−231571(P2009−231571A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75655(P2008−75655)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】