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防汚性を付与する塗料組成物とそれを用いた塗装品ならびに塗装品の製造方法
説明

防汚性を付与する塗料組成物とそれを用いた塗装品ならびに塗装品の製造方法

【課題】長期に渡り防汚性および耐候性を維持することができ、外装建材としての外観も損なうことのない塗料組成物とそれを用いた塗装品ならびに塗装品の製造方法を提供する。
【解決手段】平均粒子径10〜300nmの親水性を有する金属酸化物微粒子、バインダー成分、表面張力調整剤、および溶媒成分を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗料組成物とそれを用いた塗装品ならびに塗装品の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、屋外で用いられる建材(外装建材)等に防汚性を付与するための塗料組成物とそれを用いた塗装品ならびに塗装品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外で用いられる建材の汚れ防止を目的として、建材表面に親水性または撥水性を付与する処理が行われている。
【0003】
このうち、親水性を付与する方法としては、親水性樹脂からなる被膜を建材表面に形成する方法、界面活性剤を建材表面に塗布する方法、光触媒を用いる方法等が知られている。光触媒を用いる方法としては、例えば、シリコーン樹脂をバインダー成分とし、光触媒酸化チタンを塗膜表面に固定することにより防汚性能を付与する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−200325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、屋外で用いられる建材には長期耐久性が求められるため、ポリビニルアルコール等の有機系親水性樹脂やアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム等の界面活性剤を用いる場合、その親水性能は一時的なものであり、永続的な防汚性を維持することができない。
【0006】
シリコーン樹脂をバインダー成分とし、光触媒酸化チタンを塗膜表面に固定する方法では、従来提案されている技術では光触媒酸化チタンに対して比較的多量のバインダー成分を必要とする。そのため、光触媒酸化チタンの多くがバインダー成分に埋没してしまい、表面に現れている一部分しかその機能を利用することができない。
【0007】
また、バインダー成分であるシリコーン樹脂は、反応性官能基であるアルコキシ基が加水分解することでシラノール基となり親水性を付与するものであるが、さらに反応が進むとシラノール基同士の脱水縮合反応によりシラノール基自身が減少してしまうため、徐々に親水性が低下する。
【0008】
また、屋外で用いられる建材は一般に、光沢の低い外観が求められるため、防汚塗膜が施される下地塗膜においても光沢の低い仕様のものが多い。ところが、防汚塗膜を形成するための塗料が水性塗料の場合、防汚塗膜のバインダー成分が多いことで光沢が高くなる。
【0009】
本発明は、以上の通りの事情に鑑みてなされたものであり、長期に渡り防汚性および耐候性を維持することができ、外装建材としての外観も損なうことのない塗料組成物とそれを用いた塗装品ならびに塗装品の製造方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の塗料組成物は、平均粒子径10〜300nmの親水性を有する金属酸化物微粒子、バインダー成分、表面張力調整剤、および溶媒成分を含有することを特徴とする。
【0011】
この塗料組成物において、金属酸化物微粒子として、シリカ微粒子を金属酸化物微粒子の全量に対して60質量%以上含有することが好ましい。
【0012】
この塗料組成物において、金属酸化物微粒子の含有量は、塗料組成物の固形分全量に対する固形分比に換算して90質量%以上であることが好ましい。
【0013】
この塗料組成物において、バインダー成分は、加水分解性オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物であることが好ましい。
【0014】
この塗料組成物において、溶媒成分は、水と、水と混合可能な有機溶媒との混合溶媒であることが好ましい。
【0015】
本発明の塗装品は、被塗装物に表層として、前記塗料組成物の塗膜が形成されていることを特徴とする。この塗装品において、前記塗料組成物の塗膜は、水との接触角が80°以上であるシリコーン系下地塗膜が形成された被塗装物の表面に形成されていることが好ましい。そして本発明の塗装品の製造方法は、シリコーン系下地塗膜が半硬化状態のときに前記塗料組成物を塗布して塗膜を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の塗料組成物、塗装品、および塗装品の製造方法によれば、長期に渡り防汚性および耐候性を維持することができ、外装建材としての外観も損なうことがない。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明の塗料組成物は、平均粒子径10〜300nmの親水性を有する金属酸化物微粒子、バインダー成分、表面張力調整剤、および溶媒成分を必須成分として含有する。
【0019】
本発明において塗料組成物に配合される金属酸化物微粒子は、親水性を有するものである。ここで親水性とは、塗料組成物に配合される1種単独または2種以上の混合物の金属酸化物微粒子によるコーティング膜の被膜化した表面の水との接触角が40°未満であることを意味する。
【0020】
塗料組成物に配合される金属酸化物微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、マイカ微粒子、タルク微粒子、酸化チタン微粒子、酸化セリウム微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化カルシウム微粒子等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらは親水性を付与するために表面処理したものであってもよい。
【0021】
下地塗膜の意匠性を損なわない点を考慮すると、可視光領域に特定の波長吸収がない無色または白色の金属酸化物微粒子が好ましい。金属酸化物微粒子の屈折率も、下地塗膜の意匠性を損なわない点を考慮すると、下地塗膜に用いられるバインダー成分およびフィラー成分と同等であることが好ましい。また、親水性能の点を考慮すると、一般に親水性が高いとされる低屈折率の金属酸化物微粒子を単独またはその混合物として用いることが好ましい。
【0022】
金属酸化物微粒子の平均粒子径は、10nm〜300nm、好ましくは10nm〜150nmである。金属酸化物微粒子の平均粒子径が小さ過ぎると下地塗膜の凹凸やバインダー成分に埋没し性能を発揮できない場合がある。金属酸化物微粒子の平均粒子径が大き過ぎると固定のために多量のバインダー成分を要する場合や、下地の意匠性が損なわれる場合がある。
【0023】
なお、本発明において金属酸化物微粒子の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて分散媒(有機溶剤や水等)に分散させて測定した粒子のメディアン径(D50)として求めることができる。
【0024】
平均粒子径が上記範囲内で異なるものを2種以上配合すると、表面凹凸および表面積が増すため、親水性がより発揮されるようになり、長期に渡り優れた防汚性を得ることができる。
【0025】
本発明では、金属酸化物微粒子として、シリカ微粒子を金属酸化物微粒子の全量に対して60質量%以上含有することが好ましい。これにより、防汚性および外観が特に優れたものとすることができる。
【0026】
金属酸化物微粒子の含有量は、塗料組成物の固形分全量に対する固形分比に換算して90質量%以上であることが好ましい。これにより、防汚性および外観が特に優れたものとすることができる。
【0027】
本発明において塗料組成物に配合されるバインダー成分としては、加水分解性オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物であることが好ましい。加水分解性オルガノシランとしては、例えば、一般式RnSiX4-n(nは0〜3の整数を示す。)で表されるものを用いることができる。
【0028】
ここでRはそれぞれ独立に置換または非置換の1価の炭化水素基を示し、Xはそれぞれ独立に加水分解基を示す。炭化水素基Rとしては、炭素数1〜8の炭化水素基が好ましく、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の直鎖または分岐のアルキル基等を挙げることができる。
【0029】
加水分解基Xとしては、例えば、置換または非置換の1価のアルコキシ基を挙げることができ、アルコキシ基に含有されるアルキル基としては、炭素数1〜8のものが好ましく、炭素数が3以上のものについては、n−プロピル基、n−ブチル基等のように直鎖状のものであってもよく、イソプロピル基、イソブチル基、t−ブチル基等のように分岐を有するものであってもよい。また、エポキシ基、アミノ基、チオール基等の官能基を置換基として有していてもよい。
【0030】
アルコキシドを加水分解(部分加水分解)するのに必要な水の量は、特に限定されないが、加水分解基1モルに対して0.001モル以上の水で加水分解するのが好ましい。
【0031】
また製造工程に要する時間を短縮するため、必要に応じて触媒を用いることができる。触媒としては、特に限定されないが、例えば、酸性触媒または塩基性触媒を用いることができる。
【0032】
酸性触媒としては、例えば、酢酸、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、塩酸、硝酸、ハロゲン化シラン等の無機酸、酸性コロイダルシリカ、酸化チタニアゾル等の酸性ゾル状フィラー等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
塩基性触媒としては、例えば、アンモニア、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等のナトリウム塩、塩基性コロイダルシリカ、塩基性チタニアゾル等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
アルコキシドの加水分解(部分加水分解)は、必要に応じて、例えば、40〜100℃程度に加温して行ってもよい。
【0035】
本発明において塗料組成物に配合される溶媒成分は、金属酸化物微粒子およびバインダー成分を任意の濃度に調整するために用いられる。溶媒成分としては、水と、水と混合可能な有機溶媒との混合溶媒であることが好ましい。
【0036】
水と混合可能な有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体、ジアセトンアルコール等を用いることができる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】
溶媒成分は、シリコーン系下地塗膜が半硬化の状態で塗布を行う場合には、下地塗膜成分の溶解や硬化を阻害しないものが好ましい。レベリング性、塗料組成物のポットライフ、膜厚と塗膜性能等の点を考慮すると、固形分が0.1〜10質量%になるように調整するのが好ましい。
【0038】
本発明において塗料組成物に配合される表面張力調整剤は、塗料組成物の表面張力を調整し、被塗装物の表面エネルギーと合わせることによりレベリング良く塗布するために用いられる。
【0039】
表面張力調整剤としては、塗料組成物に混合でき、表面張力を低下させるものであれば特に限定されないが、例えば、一般に界面活性剤、レベリング剤、湿潤剤と称されているものを用いることができる。
【0040】
界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、ノニオン性のいずれも用いることができる。
【0041】
アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールサルフェート(Na塩またはアミン塩)、アルキルアリルスルフォン酸塩(Na塩またはアミン塩)、アルキルナフタレンスルフォン酸塩(Na塩またはアミン塩)、アルキルナフタレンスルフォン酸塩縮合物、アルキルフォスフェート、ジアルキルスルフォサクシネート、ロジン石鹸、脂肪酸塩(Na塩またはアミン塩)等を用いることができる。
【0042】
カチオン性界面活性剤としては、例えば、オクタデシルアミンアセテート、イミダゾリン誘導体アセテート、ポリアルキレンポリアミン誘導体またはその塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチルアミノエチルアルキルアミドハロゲニド、アルキルピリジニウム硫酸塩、アルキルトリメチルアンモニウムハロゲニド等を用いることができる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキロールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアマイド、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル等を用いることができる。
【0043】
レベリング剤および湿潤剤としては、シリコーン変性タイプ、フッ素系タイプ等を用いることができる。
【0044】
上記の表面張力調整剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0045】
表面張力調整剤の含有量は、塗料組成物の固形分全量に対する固形分比に換算して0.01〜1.0質量%の範囲であることが好ましい。表面張力調整剤の含有量が少な過ぎると、レベリング良く塗布できない場合があり、表面張力調整剤の含有量が多過ぎると、塗料のポットライフおよび塗膜の外観、親水性、防汚性が低下する場合がある。
【0046】
本発明の塗料組成物は、上記の各成分を常法に従って混合して調製することができる。なお、本発明の塗料組成物には、その効果を損なわない範囲内において上記の各成分以外の他の成分を配合することができる。
【0047】
本発明の塗料組成物を被塗装物に塗布して塗膜を形成する際には、塗料組成物の塗布方法は特に限定されず各種の方法を用いることができる。例えば、刷毛塗り、スプレーコート、浸漬(ディッピング、ディップコート)、ロールコート、フローコート、カーテンコート、ナイフコート、スピンコート、バーコート等の通常の方法を適宜に選択することができる。
【0048】
本発明の塗料組成物により被塗装物に表層として形成される塗膜の厚みは、特に限定されないが、例えば、0.05〜10μm程度とすることができる。塗膜が長期に渡り被塗装物の表面に安定して密着・保持するとともに、クラックや剥離の発生を防止する点を考慮すると、塗膜の厚みは0.05〜2μmが好ましく、0.1〜1μmがより好ましい。
【0049】
また、水との接触角が80°以上であるシリコーン系下地塗膜が形成された被塗装物の表面に塗料組成物を塗布して塗膜を形成するとともに、シリコーン系下地塗膜が半硬化状態のときに塗料組成物を塗布して塗膜を形成することが好ましい。なお、このようなシリコーン系下地塗膜としては、上記したような加水分解性オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物を含み必要に応じてフィラー成分等の他の成分を配合した従来よりこの種の下地塗膜に用いられているもの等を用いることができる。
【0050】
ここで、シリコーン系下地塗膜が半硬化状態であるとは、シリコーン系下地塗膜用の塗料を塗布した後、指触乾燥レベルとなった状態のことをいう。この半硬化状態で本発明の塗料組成物を塗布することで、多量のバインダー成分を用いずとも下地塗膜との密着力を強固にすることができ、優れた外観の塗膜を得ることができる。
【0051】
被塗装物に塗布した本発明の塗料組成物による塗膜の硬化方法および上記の半硬化状態のシリコーン系下地塗膜の完全硬化の方法は、特に限定されるものではなく、適宜に公知の方法等を適用することができる。硬化温度についても特に限定されるものではなく、所望とする塗膜性能や硬化触媒の使用の有無に応じて常温から加熱温度までの広い温度範囲を適用することができる。
【0052】
本発明の塗料組成物は、屋外で用いられる建材への防汚性付与に好適に用いることができる。
【実施例】
【0053】
以下に、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下において特に断らない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を示す。
<実施例1>
テトラエトキシシラン10部にイソプロピルアルコール98部を加えたものに、金属酸化物微粒子水分散体を加え、ディスパーを用いてよく混合した。金属酸化物微粒子水分散体は、コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名「ST−O」:平均粒子径10〜20nm)を用い、塗料組成物の固形分全量に対する固形分比に換算して0.9になるように配合した。なお、コロイダルシリカは、コーティング膜の被膜化した表面の水との接触角が40°未満である。
【0054】
この混合物を1時間攪拌した後、全固形分が3%になるようにイオン交換水で希釈し、表面張力調整剤(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ製、商品名「coatosil 1211」)を0.3部加えることにより塗料組成物を調製した。
【0055】
この塗料組成物を、予め用意した半硬化状態の撥水性無機コーティング被膜(硬化状態での水との接触角が80°以上であるシリコーン系下地塗膜)を下地塗膜として施した建材に塗布し200℃で2分間焼成することで防汚建材を得た。
<実施例2>
実施例1において、金属酸化物微粒子水分散体に、コロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名「ST−OL」:平均粒子径40〜50nm)を用いた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。なお、コロイダルシリカは、コーティング膜の被膜化した表面の水との接触角が40°未満である。この塗料組成物を実施例1と同様にして塗布することにより、防汚建材を得た。
<実施例3>
実施例1において、金属酸化物微粒子水分散体としてコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名「ST−O」:平均粒子径10〜20nm)および酸化チタンゾル(多木化学(株)製、商品名「タイノック AM−15」:平均粒子径10nmを用い、固形分換算した質量比を2:1とした。それ以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。なお、コロイダルシリカと酸化チタンゾルとの混合物は、コーティング膜の被膜化した表面の水との接触角が40°未満である。この塗料組成物を実施例1と同様にして塗布することにより、防汚建材を得た。
<実施例4>
実施例1において、金属酸化物微粒子水分散体としてコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名「ST−O」:平均粒子径10〜20nm、商品名「ST−OL」:平均粒子径40〜50nm)および酸化チタンゾル(多木化学(株)製、商品名「タイノック AM−15」)を用い、固形分換算した質量比を1:1:1とした。それ以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。なお、コロイダルシリカと酸化チタンゾルとの混合物は、コーティング膜の被膜化した表面の水との接触角が40°未満である。この塗料組成物を実施例1と同様にして塗布することにより、防汚建材を得た。
<実施例5>
実施例1において、金属酸化物微粒子水分散体としてコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製、商品名「ST−O」:平均粒子径10〜20nm)および酸化セリウムゾル(多木化学(株)製、商品名「ニードラール U−15」:平均粒子径8nm)を用い、固形分換算した質量比を2:1とした。それ以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。なお、コロイダルシリカと酸化セリウムゾルとの混合物は、コーティング膜の被膜化した表面の水との接触角が40°未満である。この塗料組成物を実施例1と同様にして塗布することにより、防汚建材を得た。
<実施例6>
実施例1において、コロイダルシリカの配合量を塗料組成物の固形分全量に対する固形分比に換算して0.5とした。それ以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。この塗料組成物を実施例1と同様にして塗布することにより、防汚建材を得た。
<実施例7>
実施例3において、下地塗膜を完全硬化させた後に、塗料組成物をこの下地塗膜に塗布し、それ以外は実施例3と同様にして防汚建材を得た。
<比較例1>
実施例1において、酸性触媒(0.1N塩酸)を用いて樹脂成分の調整を行い、金属酸化物微粒子を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。この塗料組成物を実施例1と同様にして塗布することにより、防汚建材を得た。
<比較例2>
実施例1において、金属酸化物微粒子水分散体として酸化チタンゾル(多木化学(株)製、商品名「タイノック AM−15」)を用いた。それ以外は実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。なお、酸化チタンゾルは、コーティング膜の被膜化した表面の水との接触角が40°以上である。この塗料組成物を実施例1と同様にして塗布することにより、防汚建材を得た。
<参考例1>
実施例1において、表面張力調整剤を3部加えた以外は、実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。この塗料組成物を実施例1と同様にして塗布することにより、防汚建材を得た。
【0056】
上記の実施例、比較例、および参考例で得た防汚建材について、下記の評価を行った。
[外観]
分光色差計(コニカミノルタ社製:CM−2600d)を用いてLab値を測定することで、塗装前後のΔLを求めた。判定は、「○」:ΔL3未満、「△」:ΔL3以上〜5未満、「×」:ΔL5以上とした。また、グロス計(Kett社製:Multi−Gloss268)を用いて光沢(60度グロス)測定も行った。判定は目視確認と併せて、「○」:2.0未満(未塗装板と比較して差異なし)、「△」:2.1以上〜4.0未満 (未塗装板と比較してやや光沢が高くなっている)、「×」:4.1以上(光沢あり)とした。
[親水性]
水接触角計(協和界面科学社製)を用いて接触角の測定を行った。判定は、○:40°未満、△:40°以上〜60°未満、×:60°以上とした。
[初期防汚性]
5%カーボンブラック(デグサ社製:FW−200)水分散体に試験片を浸漬し、5秒後に引き上げた後、霧吹きを用いて付着カーボンを洗い流した。その後、分光色差計(コニカミノルタ社製:CM−2600d)を用いてLab値を測定することで、試験前後のΔLを求めた。判定は、「○」:ΔL3未満、「△」:ΔL3以上〜5未満、「×」:ΔL5以上とした。
[密着性]
評価方法は、JIS 5400.8.5.2に準じて行った。カッターナイフガイドを用いて縦横6本ずつ4mm間隔で平行線を引き、25個の碁盤の目を作製した。次に碁盤の目にセロテープ(登録商標)(ニチバン社製)を貼り付け、上から消しゴムで擦りつけ、その後一気にテープを引き剥がし、テープ剥離後の塗膜残存性の評価を行った。判定は、「◎」:塗膜剥離なし、「○」:塗膜剥離2%以下、「△」:塗膜剥離10%以下、「×」:塗膜剥離50%以上とした。
【0057】
評価結果を表1に示す。
【0058】
【表1】

【0059】
実施例1〜7では、平均粒子径10〜300nmの親水性を有する金属酸化物微粒子、バインダー成分、表面張力調整剤、および溶媒成分を含有する塗料組成物を用いた。この場合、外観、親水性、防汚性のいずれにおいても、金属酸化物微粒子を配合しなかった比較例1に比べて改善された。特に、金属酸化物微粒子として、シリカ微粒子を金属酸化物微粒子の全量に対して60%以上含有し、金属酸化物微粒子の含有量が、塗料組成物の固形分全量に対する固形分比に換算して90%以上である場合に外観、親水性、防汚性の全てにおいて大きな向上が見られた。
【0060】
金属酸化物微粒子の全量に酸化チタン微粒子を用いた比較例2では、親水性、防汚性の改善が不十分であった。
【0061】
実施例1〜6は、下地塗膜が半硬化状態のときに塗料組成物を塗布して塗膜を形成したところ、下地塗膜を完全硬化させた後に塗料組成物を塗布して塗膜を形成した実施例7に比べて塗膜の密着性が向上した。
【0062】
なお、表面張力調整剤の配合は必須であるが、参考例1に示されるようにレベリング等に必要な量を超える過剰量を配合した場合には塗料組成物が白濁する場合があるので、塗料組成物の構成に応じた適切な配合とすることが望ましい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒子径10〜300nmの親水性を有する金属酸化物微粒子、バインダー成分、表面張力調整剤、および溶媒成分を含有することを特徴とする塗料組成物。
【請求項2】
金属酸化物微粒子として、シリカ微粒子を金属酸化物微粒子の全量に対して60質量%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の塗料組成物。
【請求項3】
金属酸化物微粒子の含有量は、塗料組成物の固形分全量に対する固形分比に換算して90質量%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の塗料組成物。
【請求項4】
バインダー成分は、加水分解性オルガノシランおよび/またはその部分加水分解物であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項5】
溶媒成分は、水と、水と混合可能な有機溶媒との混合溶媒であることを特徴とする請求項1ないし4いずれか一項に記載の塗料組成物。
【請求項6】
被塗装物に表層として、請求項1ないし5いずれか一項に記載の塗料組成物の塗膜が形成されていることを特徴とする塗装品。
【請求項7】
前記塗料組成物の塗膜は、水との接触角が80°以上であるシリコーン系下地塗膜が形成された被塗装物の表面に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の塗装品。
【請求項8】
請求項7に記載の塗装品を製造する方法であって、シリコーン系下地塗膜が半硬化状態のときに前記塗料組成物を塗布して塗膜を形成することを特徴とする塗装品の製造方法。

【公開番号】特開2011−246603(P2011−246603A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−120996(P2010−120996)
【出願日】平成22年5月26日(2010.5.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】