説明

防護柵及び防護柵の構築方法並びに防護柵に用いるナット保持部材

【課題】ビームパイプを支柱へ取付けるボルト接合をビームパイプの中空部へ挿入したナット保持部材を使用して可能にした防護柵。
【解決手段】ナット保持部材4は、ビームパイプ3の管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を備えており、前記ナット保持部材4は、前記ビームパイプ3の端部からビームパイプの中空部内の支柱該当位置へ挿入用治具により挿入され、ビームパイプのボルト孔とナットが合致する位置に位置決めされ、支柱1へ取り付けたブラケット2のボルト孔とビームパイプのボルト孔とを一致させ、前記二つのボルト孔を通じて挿入したボルト9を、前記ナット保持部材4が保持したナットへねじ込み接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ビームパイプによる防護柵及びその構築方法並びに防護柵に用いるナット保持部材の技術分野に属し、更に云うと、ビームパイプの長さ方向の中間部に位置する中間支柱のブラケットへビームパイプの中間部位を取り付けるボルト接合を、ビームパイプの中空部内の支柱該当位置へ挿入したナット保持部材が保持したナットを利用して行った、意匠性と景観性、更には安全性が高い防護柵及びその構築方法並びに防護柵に用いるナット保持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、支柱に取付けたブラケットへ前記ビームパイプをボルト接合により取り付けて成る防護柵及びその構築方法が広く実用に供されている。
上記ビームパイプによる防護柵は、前記ビームパイプが人の手を差し入れることができない程に小径で、ビームパイプの中空部内でボルト接合用のナットを保持することが困難ないし不可能なので、ナット保持部材を使用する技術が提案されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1に開示された道路用防護柵は、支柱に支持されたジョイントパイプとビームパイプをボルト接合するにあたり、平プレートにナットを固着し、更に前記平プレートに吸盤を取り付けてナット保持部材を構成し、このナット保持部材をジョイントパイプの内部へ挿入し、吸盤を吸着させて平プレートおよびナットの位置を決めボルト接合を可能にする構成が開示されている。
しかし、上記ナット保持部材は、横断面が円形のビームパイプであると、吸着面が円弧状となり、連結具の吸盤を所望位置へきっちり吸着させることが難しい。また、一般的にビームパイプの内面は研磨していない粗面であることが多く、吸着板を吸着させることはそもそも困難である。
【0004】
また、下記の特許文献2に開示された道路用防護柵は、支柱に支持されたジョイントパイプとビームパイプをボルト接合するにあたり、断面が溝形状の保持材の溝中にナットをカシメて固定したナット保持部材をジョイントパイプの内部へ挿入し、前記ナットとボルト孔の位置を合致させた上で、ナット保持部材をリベット止め、或いはタッピングビス止め等の手段でジョイントパイプへ位置決めしてボルト接合する構成が開示されている。
【0005】
しかし、溝形状の保持材の溝中へナットを固定するためには、カシメ加工が必要で、加工に手間がかかるのでコストが嵩む。また、前記ナット保持部材をジョイントパイプの内部へ挿入し、そのナットとボルト孔の位置を合致させた上で、リベット止め、或いはタッピングビス止め等の手段でナット保持部材を位置決め固定する作業に技術的な熟練と多くの加工手間並びに工費を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭55−48909号公報
【特許文献2】実開平2−6717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した特許文献1及び2には、防護柵を構成するビームパイプの中空部が人の手を差し入れられない程小径であったり、或いはビームパイプの中空部内へボルト接合のためのナットを差し入れて保持させることが困難ないし不可能な場合のボルト接合に対処する手段として、それぞれのボルト接合の条件に応じた解決策が提案されている。
しかし、各先行技術に共通して見られる問題点は、ナット保持部材をビームパイプの中空部内へ挿入し、そのナットの位置をボルト孔と合致させ、安定状態に位置決め保持する手段に難渋するもので、作業効率が悪く、施工精度にバラツキを生じる点が指摘されている。
とりわけ、ビームパイプの長さ(通例4m位)の中間部に位置する中間支柱のブラケットとビームパイプとのボルト接合に供するナット保持部材の位置決めに関する難度が高く、その解決策が要望されている。
したがって、中間支柱のブラケットへビームパイプの中間部位をボルト接合するのに有効なナット保持部材を使用した防護柵の構築が重要とされている。しかし、未だ上記課題点を解決する有効な技術は見聞きしないし開示もない。
【0008】
本発明の目的は、上記の課題点を解決することであり、中間支柱のブラケットへビームパイプの中間部位をボルト接合することに効果的なナット保持部材を使用して、しかも、同ナット保持部材を適切にビームパイプの中空部内へ位置決めする手段を採用して構築した防護柵及び構築方法並びに防護柵に用いるナット保持部材を提供することにある。
本発明の次の目的は、ビームパイプの上面側に通行人が当たって衣服や鞄を引掛けやすいボルト頭等の突起物を生じさせない構成とし、更に車道の外側又は車道型から見ても、ボルト頭やナット、或いはボルト軸部などの露出が極力少なく、視界に入りにくく、意匠性、景観性に優れ、ナットの出っ張りのない安全な防護柵及び構築方法並びに防護柵に用いるナット保持部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、請求項1に記載した発明に係る防護柵は、
支柱にブラケットを取付け、同ブラケットへビームパイプを取り付けるボルト接合を、ビームパイプの中空部内へ挿入したナット保持部材が保持したナットにより行う防護柵であって、
前記ナット保持部材は、ビームパイプの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を備えており、前記ナット保持部材は、前記ビームパイプの端部からビームパイプの中空部内の支柱該当位置へ挿入用治具により挿入され、ビームパイプのボルト孔とナットが合致する位置に位置決めされ、支柱へ取り付けたブラケットのボルト孔とビームパイプのボルト孔とを一致させ、前記二つのボルト孔を通じて挿入したボルトを、前記ナット保持部材が保持したナットへねじ込み接合されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の防護柵において、
挿入用治具は、その先端にナット保持部材を連結する連結部が設けられ、ビームパイプの支柱該当位置に設けられたボルト孔に到達する長さ位置に、挿入ストッパが取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載した防護柵おいて
ナット保持部材と挿入用治具とは着脱可能に連結される構成であり、
ナット保持部材の挿入方向の後端面と挿入用治具の連結部の先端面には、互いに一方向の回転によってのみ掛け合う構造の掛け留め部と掛け受け部とが一対する配置に設けられて着脱可能な構成とされていることを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一に記載した防護柵において、
ナット保持部材の後端面の中心部と挿入用治具の先端部の中心部には、嵌め込み可能なピン部とピン孔部が一対する配置に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一に記載した防護柵において、
ナット保持部材は、ビームパイプの長手方向及び回転方向に対する移動を止める位置決め手段を備えることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一に記載した防護柵において、
ビームパイプの長手方向及び回転方向に対する移動を止める位置決め手段は、ナット保持部材に保持されたナットを、ビームパイプのボルト孔と一致させるためにビームパイプに設けられた位置決め孔へ嵌り込むことが可能なバネ式の位置決めストッパであり、
前記位置決めストッパは、前記ナット保持部材の外周面に備わることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか一に記載した防護柵において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく、且つナットの底面が同ナット保持部材の中心まで嵌め込める深さに形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一に記載した防護柵において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部の底面部には、ナットをがたつかせるリブが設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項9記載の発明は、請求項1〜8のいずれか一に記載した防護柵において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの抜け止めを防止する係止部を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載した発明に係るナット保持部材は、
管材の内部でナットを保持するナット保持部材であって、
前記ナット保持部材は、前記管材の管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を備えており、前記管材の中空部内へ挿入用治具により挿入され、管材のボルト孔と前記ナットが合致する位置に位置決めされることを特徴とする。
請求項11記載の発明は、請求項10に記載したナット保持部材において、
ナット保持部材と挿入用治具とは着脱可能に連結される構成であり、
ナット保持部材の挿入方向の後端面と挿入用治具の連結部の先端面には、互いに一方向の回転によってのみ掛け合う構造の掛け留め部と掛け受け部とが一対する配置に設けられて着脱可能な構成とされていることを特徴とする。
【0017】
請求項12記載の発明は、請求項10又は11に記載したナット保持部材において、
前記ナット保持部材の後端面の中心部と挿入用治具の先端部の中心部には、嵌め込み可能なピン部とピン孔部が一対する配置に形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項13記載の発明は、請求項10〜12のいずれか一に記載したナット保持部材において、
ナット保持部材は、管材の長手方向及び回転方向に対する移動を止める位置決め手段を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項14記載の発明は、請求項10〜13のいずれか一に記載したナット保持部材において、
管材の長手方向及び回転方向に対する移動を止める位置決め手段は、ナット保持部材に保持されたナットを、管材のボルト孔と一致させるために管材に設けられた位置決め孔へ嵌り込むことが可能なバネ式の位置決めストッパであり、
前記位置決めストッパは、前記ナット保持部材の外周面に備わることを特徴とする。
【0020】
請求項15記載の発明は、請求項10〜14のいずれか一に記載したナット保持部材において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく、且つナットの底面が同ナット保持部材の中心まで嵌め込める深さに形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする。
【0021】
請求項16記載の発明は、請求項10〜15のいずれか一に記載したナット保持部材において、
ナット嵌め込み部の底面部には、ナットをがたつかせるリブが設けられていることを特徴とする。
請求項17記載の発明は、請求項10〜16のいずれか一に記載したナット保持部材において、
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの抜け止めを防止する係止部を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項18に記載した発明に係る防護柵の構築方法は、
中間支柱にブラケットを取付け、同ブラケットへビームパイプの中間部位を取り付けるボルト接合を、ビームパイプの中空部内の支柱該当位置へ挿入したナット保持部材が保持したナットを利用して行う防護柵の構築方法であって、
ナット保持部材を挿入用治具の先端部へ着脱可能に連結し、同ナット保持部材を連結した挿入用治具をビームパイプの端部から挿入して中間部位のボルト孔とナット保持部材に保持されたナットとを合致させる位置決め段階と、
ビームパイプの中間部位に位置決めしたナット保持部材と前記挿入用治具とを切り離す段階と、
中間支柱へ取り付けたブラケットのボルト孔とビームパイプの中間部位のボルト孔とを一致させ、前記二つのボルト孔を通じて挿入したボルトを、前記ナット保持部材が保持したナットへねじ込み接合することを特徴とする。
【0023】
請求項19記載の発明は、請求項18に記載した防護柵の構築方法において、
ナット保持部材と挿入用治具とは、前記ナット保持部材の挿入方向の後端面の中心部に設けた円弧形状の羽部と、挿入用治具の連結部の先端面に設けた、前記羽部を一方向の回転によってのみ嵌め入れを許容する掛け留め部とを、前記一方向からの回転により両者を着脱可能に連結しており、
前記ナット保持部材の後端面の中心部と挿入用治具の先端部の中心部には、嵌め込み可能なピン部とピン孔部とを一対の配置に形成して、ナット保持部材の挿入時にその後端面の中心に挿入力を集中させることを特徴とする。
【0024】
請求項20記載の発明は、請求項18又は19に記載した防護柵の構築方法において、
ナット保持部材の外周面に設けたバネ式の位置決めストッパを、ビームパイプに設けた位置決め孔へ嵌め込み、ビームパイプのボルト孔とナット保持部材に保持させたナットの位置を合致させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
請求項1〜20に記載した発明は、以下の効果を奏する。
ビームパイプのボルト孔と一致させるナットを保持するナット嵌め込み部と、当該ナットの抜け止めを防止する係止部を備えて成るナット保持部材を、前記ビームパイプの端部から挿入し、同ビームパイプの中間部位のボルト孔とナットが合致する位置に位置決めさせ、前記中間支柱へ予め取り付けたブラケットのボルト孔とビームパイプの中間部位のボルト孔とを一致させ、前記二つのボルト孔を通じて挿入したボルトを、前記ナット保持部材が保持したナットへねじ込んで接合する構成としたので、ビームパイプの中間部位を中間支柱に取り付けるボルト接合を、ナット保持部材を使用して効果的に行うことができる。
また、ナット保持部材は挿入用治具により挿入するので、ビームパイプの中空部内へ容易に挿入し位置決めできる。
【0026】
前記ナット保持部材は、ビームパイプの長手方向及び回転方向に対する移動を止める位置決め手段として、ナット保持部材に保持されたナットを、ビームパイプのボルト孔と一致させるためにビームパイプに設けられた位置決め孔へ嵌り込むことが可能なバネ式の位置決めストッパを、前記ナット保持部材の外周面に備えており、更に挿入用治具には、ビームパイプの中間位置に設けられたボルト孔に到達する長さ位置に、挿入ストッパを取り付けているので、挿入用治具を挿入ストッパに当たるまで挿入し操作するだけで、ビームパイプの中間位置に予め設けられている位置決め孔へナット保持部材の位置決めストッパを嵌め込めるので、ビームパイプのボルト孔に対する各ナットの位置を一致させること、および位置の保持が簡単に確実に行え、ボルト接合を手際良く(又は効率良く)的確に行える。
【0027】
前記ナット保持部材を挿入用治具でビームパイプの中空部内へ挿入する手段として、ナット保持部材の挿入方向の後端面と挿入用治具の連結部の先端面には、互いに一方向の回転によってのみ掛け合う構造の掛け留め部と掛け受け部とが一対する配置に設けられて着脱可能な構成としている。したがって、ナット保持部材をビームパイプの中空部内へ挿入する際には、ナット保持部材と挿入用治具とに一対に設けた掛け留め部と掛け受け部とを例えば右方向に回転させることで両者を容易に掛け留めることができ、その連結状態のままビームパイプの中間位置へ挿入できる。そして、ナット保持部材の掛け留めと同一方向(右回転)に挿入用治具を回転操作させてナット保持部材を回転させ、上記ナット保持部材の位置決めストッパをビームパイプの位置決め孔へ嵌め入れることができる。また、前記ナット保持部材の位置決めが完了した後、挿入用治具をナット保持部材に掛け留めたときと反対方向に回転(左方向)させるだけで、挿入用治具とナット保持部材とを容易に切り離すことができる。
更に、前記ナット保持部材の後端面部の中心部と挿入用治具の先端部の中心部には、ナット保持部材と挿入用治具の中心軸が一致するように、嵌め込み可能なピン部とピン孔部が一対する配置に形成されているので、ナット保持部材がビームパイプの中空部内をがたつくことなくスムーズに支柱該当位置へ移動できる。
【0028】
前記ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく、ナットの底面が同ナット保持部材の略中央位置まで嵌め込める深さに形成されて、ボルトの差し入れ角度を充分に有していること、更に当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されているから、ボルト接合時に差し入れた接合ボルトとナットの芯合わせとボルト締め作業をボルトの操作のみで自在に行えるので、ネジ接合当初の位置合わせ(ネジ始端の探索ないし整合)も含めて的確に迅速に行うことができ、作業能率の良いボルト接合作業を行うことができる。更には、ナット嵌め込み部の底面部には、ナットをがたつかせるリブを設けて、所謂ナットのあそびを作り出し接合ボルトとナットの芯合わせとボルト締め作業の効率化を飛躍的に向上できる。
【0029】
また、ナット保持部材に設けられたナット嵌め込み部には、ナットを横向きにスライドして嵌め込み可能に一側を切り欠いた挿入部が形成されているので、非常にスムーズなナットの嵌め入れ作業が可能となるのみならず、スライドして嵌め入れるのでナットを落下させてしまう等の作業ミスを防止できる。のみならず、ナット保持部材の成形部材の使用材料量を大幅に節約して軽量化を図る肉盗み効果を期待できる。
【0030】
また、ビームパイプとブラケットとのボルト接合も、ビームパイプを支柱に取付けられたブラケットのパイプ受け部へ当てがい、やはり同パイプ受け部のボルト孔とビームパイプのボルト孔とを合致させるだけの位置決め操作のみで、同パイプ受け部の背面側からボルト孔へボルトを差し入れ、ナット保持部材の対応するナットへねじ込み結合して実施できる。
つまり、前記ナット保持部材が、ビームパイプとブラケットとのボルト接合に必要な個数のナットを、ビームパイプ及びブラケットが備えるボルト孔と一致する配置に、言わば3次元方向に任意所望の向きに保持させるので、上記のボルト接合を率良く確実ならしめるのである。
【0031】
ブラケットとビームパイプとを夫々接合したボルトが、その頭頂部が平らに形成されており、両ボルトには車道の外寄り下面側から上向きにねじ込まれているので、歩道の外側から見ても、車道側から見ても、ボルトの頭やナット、目地部の露出が極力少なくなって、視界に入りにくく、見た目の意匠性、及び景観性に優れる。のみならず、ビームパイプの上面側に通行人が当たって負傷しやすい突起物を可及的に排除した構成であるので、ビームパイプに捕まり伝い歩きをした人や、ビームパイプに接触した人の衣服や鞄を引掛ける心配が無く安全性の高い道路用防護柵を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明が実施される中間支柱にビームパイプの中間部位が取り付けて成る防護柵を示した立面図である。
【図2】本発明の防護柵を一部破断して示した底面図である。
【図3】上記防護柵の上部を示した平面図である。
【図4】図3に示した防護柵の正面図である。
【図5】図4に示した防護柵の側面図である。
【図6】図5に示した側面図の拡大図である。
【図7】ナット保持部材の一例を示した平面図である。
【図8】ナット保持部材の断面図である。
【図9】ナット保持部材の後方斜視図である。
【図10】挿入用治具の全体を示す図である。
【図11】挿入用治具の先端に設けられた連結部の構成を示す拡大図である。
【図12】A、Bはナット保持部材と挿入用治具との連結の要領を示す参考図である。
【図13】Aは挿入用治具に連結されたナット保持部材をビームパイプへ挿入する段階を示す正面図である。Bはビームパイプのボルト孔及び位置決め孔とナット保持部材のナット及びストッパとが合致した状態を示した正面図である。CはBの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、支柱1にブラケット2を取付け、同ブラケット2へビームパイプ3を取り付けるボルト接合を、ビームパイプ3へ挿入したナット保持部材4が保持したナット5を利用して行って成る防護柵である。
前記ナット保持部材4は、ビームパイプの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、前記ビームパイプ3のボルト孔3aと一致する位置にナット5を回り止め状態に保持するナット嵌め込み部43と、当該ナットの抜け止めを防止する係止部44を備えている。
前記ナット保持部材4は、前記ビームパイプ3の端部から挿入してボルト孔3aとナット5が合致する位置に位置決めされ、中間支柱1のブラケット2のボルト孔とビームパイプ3のボルト孔3aとを一致させる。
【0034】
次に、支柱1に車道の外側から車道側に向けて水平方向に貫通させたボルトの他端へナットを締結してブラケット2が取り付けられ、
ナット保持部材4が位置決めされた状態のビームパイプ3が、前記ブラケット2のナット締結部位から車道側へ突き出されたパイプ受け部2aに当てがわれ、当該パイプ受け部2aに設けられたボルト孔と当該ビームパイプ3のボルト孔3aとを合致させ、前記二つのボルト孔を通じて挿入したボルト9を、前記ナット保持部材4が保持したナット5へねじ込み接合して防護柵を構築する。
【実施例1】
【0035】
以下に、本発明を図示した実施例に基づいて説明する。
図1〜図6は、支柱1にブラケット2を取付け、同ブラケット2へビームパイプ3を取り付けるボルト接合を、例えば図7に示すナット保持部材4に保持したナット5を利用して構築した防護柵の実施例を示している。
本発明は特に、ビームパイプの長さの中間部に位置する中間支柱1(以下、単に支柱1と云う)にブラケット2を取付け、同ブラケット2へビームパイプ3の中間部位を取り付けるボルト接合に好適に実施される。
【0036】
先ず、防護柵のビームパイプ3の各ボルト接合に使用するナット保持部材4の構成について説明する。とはいえ、下記するナット保持部材4はビームパイプ3に限らず管材であれば挿入可能な形状と構成とされている。以下に具体的に説明する。
ナット保持部材4は、図7に示すように、その外周面の形状が、ビームパイプ3の中空部の直径よりも小径で管形状に形成されている。そして、ビームパイプ3の長手方向及び回転方向に対する移動を止める位置決め手段が備えられている。つまり、ビームパイプ3のボルト孔3aと一致させるためにビームパイプ3に設けられた位置決め孔3bへ嵌り込むことが可能なバネ式で突出する位置決めストッパ41である(図13参照)。この位置決めストッパ41は円筒形状の突出材であり、通常はナット保持部材4の外径から突出され、押し込むとナット保持部材4の外径内に収めることが可能な弾性を発揮するバネ材42に設けられている。したがって、後述するが、ナット保持部材4をビームパイプ3の中空部内へ挿入する際には、前記位置決めストッパ41を押し込んでナット保持部材4の外径内に収めた状態で、ビームパイプ3中空部内へ挿入し、同ビームパイプ3の位置決め孔3bに到達すると位置決めストッパ41の弾性性能が発揮されて自動的に、同位置決め孔3b内を突出して位置決めされると共に、ビームパイプ3の長手方向及び回転方向に対する移動を止めることができる。ナット保持部材4を上記の構成とすることで、閉鎖空間であるビームパイプ3の中空部内に、いわゆる3次元の向きにナット5を保持でき、かつ通常のナット保持部材では作業が困難な閉鎖空間への仮止め作業が非常に容易に可能となる。
上記ナット保持部材4の位置決め手段を得るための外周面の形状はこの限りではなく、以下に説明する構成が好適に実施される。
【0037】
このナット保持部材4の外周面には、前記ビームパイプ3のボルト孔3a(図13参照)と一致する配置で、ナット5が回り止め状態に嵌め込まれるナット嵌め込み部43が設けられている。前記ナット嵌め込み部43には、嵌め込まれたナット5が抜け外れないように保持する係止部44を備えている。要するに、このナット保持部材4は、その管軸方向と周方向に、ビームパイプ3に予め設けられたボルト孔3aの配置と対応する配置でナット5を保持できる長さと外径の成形部材40を主体として構成されている。
【0038】
ナット保持部材4の主体である成形部材40の外周面は、図示した実施例の場合、ビームパイプ3の内径がφ43.8mmであるのに対し、上記したように同ビームパイプ3の管軸に対し直交する各方向への移動が制限される形状とされている。ビームパイプの内周面へ接触した形状を示しているが、後述する位置決め手段の機能を害さない程度のガタを有する形状であっても良い。
本実施例の成形部材40は、大量生産に適して安価に軽く製造でき、取り扱いが容易であるように、熱硬化性又は熱可塑性の合成樹脂、例えばフェノール樹脂やエポキシ樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等々を使用して成形することができる。また、低・中発泡ないし高発泡のポリスチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等で成形して実施することも好適である。非発泡の合成樹脂製として実施することもできるし、木製や金属製として製作し実施することもできる。
【0039】
上記成形部材40には、上述したように上記ビームパイプ3に設けられたボルト孔3aの配置に合致する配置で、ナット5を回り止め状態に嵌め込むナット嵌め込み部43が設けられている。
具体的には図7〜図9に示したとおり、成形部材40には、ナット5の嵌め込み位置に、ナット嵌め込み部43が、同成形部材40の中心線と直交する方向に貫通する形態で設けられている(図8参照)。このナット嵌め込み部43は、嵌め込んだナット5がボルト接合の作業時に共回りしない程度に固定する形状、大きさに成形されている。
【0040】
このナット嵌め込み部43を貫通形態に設けた理由は、成形部材40の使用材料量を減量化し、軽量化する肉盗みにより、製造原価を引き下げるためである。ナット嵌め込み部43は、図示した六角形のナット5を楽に挿入でき、かつ同ナット5を接合するボルトの先端で多少ぐらつかせられる余裕をもつ大きさの六角形状として、以下の構成に設けられている。また、使用するナットが六角形以外の多角形状であれば、ナット嵌め込み部の形状も同様の形状に対応した形状とする。
【0041】
ナット嵌め込み部43の深さは、ナット5の底面が同ナット保持部材4の中心位置Lまで嵌め込める深さHとされ(図8参照)、且つナット嵌め込み部43の底面部の端部には、ナット5の底面を座らせる段部45が形成されている。ナット嵌め込み部43へ嵌め入れたナット5は、その底面を前記段部45へ座らせて回り止め状態に落ち着かせる構成とされている。したがって、前記段部45より以深のナット嵌め込み部43の貫通形状と大きさは、ナット5へねじ込まれるボルトの先端部が、ナット嵌め込み部の内部と当たることの無いように、また、成形部材40の使用材料量の減量化と軽量化の目的を達する肉盗みの必要の形態に形成する。また、前記段部45の上面には、ナット5をがたつかせるリブ46、46が設けられている。図示例では六角形の対峙する辺の2カ所に設けられているがそれ以上でも良い。上記のように前記ナット嵌め込み部43を、ナット5がナット保持部材4の中心位置Lの位置まで嵌め込めるようにしたこと、更にリブ46により底部に収まるナット5をがたつかせてあそびを形成したことで、ボルト接合時に差し入れた接合ボルトとナット5の芯合わせとボルト締め作業をボルトの操作のみで自在に行えるので、ネジ接合当初の位置合わせ(ネジ始端の探索ないし整合)も含めて的確に迅速に行うことができ、作業能率の良いボルト接合作業を行うことができる。
【0042】
上記のようにナット嵌め込み部43内へ挿入されたナット5が不用意に浮上して抜け外れる不都合を防ぐため、ナット保持部材4には、ナット5の上面を押さえる係止部44が、次のように設けられている。
図8、図9では、ナット嵌め込み部43の入口から少し下がった部分に、六角形の一つの辺の中央部位に、成形部材40の構成材料を弾性変形可能な形状に成形した構成で設けられている。つまり、ナット5は、ナット嵌め込み部43の弾性変形可能な形状の係止部44を押しのけてナット嵌め込み部43の中へ挿入されると、直ちに係止部44が働いて止め、ナット5が不用意に浮上したり抜け外れることを防止する。しかし、この係止部44を少し押しのけることにより、用済みのナット5は簡単に抜き外して回収できる。
【0043】
ナット5は、ナット5の底面がナット保持部材4の中心位置Lまで嵌め込める深さHの位置に嵌め込まれ、係止部44により係止されているが、このナット5にボルト9をねじ込むことにより、ナット5がボルト9側へ寄っていく。すると、ボルト9側へ寄っていくナット5の力が係止部44に働いて、係止部44がナット5の外側へ開いて外れる。続いてボルト9のねじ込みを続けることで、ナット5はそのままボルト9側へ寄っていきビームパイプ3に当接してボルト9とナット5が締結する。
【0044】
上記構成のナット保持部材4は、挿入用治具6と連結されてビームパイプ3の中空部内の中間位置へ挿入される。以下、その連結手段及び挿入方法について説明する。
ナット保持部材4と挿入用治具6には、互いに一方向の回転によってのみ掛け合う構造の掛け留め部47aと掛け受け部61とが一対する配置に設けられて着脱可能な構成とされている。図示例では、前記掛け留め部47aをナット保持部材4の挿入方向の後端面に設け、前記掛け受け部61を挿入用治具6の先端面に設けて実施する場合を説明する。勿論この限りではなく、両者逆の構成で実施することも好適に実施できる。
前記ナット保持部材4は、図9に示すように、前記挿入用治具6と連結するべく、ナット保持部材4の挿入方向に対して後端面47に、円弧形状の2枚の掛け留め部47a(以下、羽部47a、47aとも云う。)がその中心軸に対して対峙する配置で設けられている。この羽部47aは円を1/4に切った円弧形状とされており、蝶の羽の如く対称に取り付けられている。
【0045】
前記挿入用治具6は、図10、図11に示すように、ビームパイプ3の中空部内へ挿入可能な棒状部材であり、その先端にナット保持部材4を連結する連結部60が設けられ、ビームパイプの支柱該当位置に設けられたボルト孔に到達する長さ位置に、鍔形状の挿入ストッパ63が取り付けられた構成とされている。
前記連結部60の先端面には、前記羽部47aを一方向の回転からの嵌め入れを許容する掛け受け部61、61が、同羽部47aを嵌め入れ可能な形状と位置に設けられている。つまり、図12A、図12Bに示すように、ナット保持部材4の羽部47aへ挿入用治具6の掛け受け部61を右回転させて掛け留め、左回転させることで容易に掛け外すことができる着脱可能な連結構造である。一般的にはシーリングライトの接続に用いられる連結機構である。
図示した羽形状の掛け留め部47a及び羽部47aを受ける掛け受け部61の形状は、上記の限りではなく、互いに掛け留め合う形状であれば実施することができる。
【0046】
また、両部材の回転による着脱を容易にすること、更にはナット保持部材4をビームパイプ3内をスムーズに移動させるために、前記ナット保持部材4の後端面47の中心部と挿入用治具6の中心部には、ナット保持部材4と挿入用治具6の回転軸が一致してぶれないように、嵌め込み可能なピン部とピン受け部が一対する関係で取り付けられている。図示例では、ナット保持部材4には凸形状のピン部48を設け、挿入用治具6には凹み形状のピン受け部62を設けた場合を示したが、勿論、この限りではなく両者逆の構成で実施してもよい。
【0047】
上記のように挿入用治具6に連結されたナット保持部材4は、図13Aに示すように、ビームパイプ3の中空部内へ挿入する。この際、ナット保持部材4の位置決めストッパ41を押し込んで同ナット保持部材4の外径内に収めて挿入する。挿入用治具6の挿入ストッパ63にビームパイプ3の端部が当たるまで挿入すると、丁度ビームパイプ3の中間部分まで到達している。次に、図13Bに示すように、挿入用治具6をナット保持部材4が掛け外れない右方向に回転させながらビームパイプ3に設けられた位置決め孔3bとナット保持部材4の位置決めストッパ41を合致させる。すると、図13Cに示すように、同ストッパ41は弾性力で位置決め孔3b内で突出し、ナット保持部材4がビームパイプ3の中間部位に保持されると共に、ビームパイプ3のボルト孔3aとナット保持部材4に保持されたナット5との位置が合致した状態に位置決めされるのである。そして、挿入用治具6を逆回転(左回転)させて掛け受け部61からナット保持部材4の羽部47aを掛け外して両者を切り離す。
【0048】
ビームパイプ3が実施例の丸形と異なる角形である場合、ナット保持部材4の外側形状は、ビームパイプ3の角形に合うような、ビームパイプの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状となる。この場合、ビームパイプ3に設けられた位置決め孔3bと同じ面になるように、ナット保持部材4の位置決めストッパ41の向きを合わせて、ビームパイプ3にナット保持部材4が挿入用治具6で挿入される。位置決め孔3bと位置決めストッパ41は、ビームパイプ3の延長方向同軸になるように配置すると、定位置までナット保持部材4を挿入するだけで、位置決め孔3b内に位置決めストッパ41が突出して、ナット保持部材4の位置決めが完了する。
【0049】
次に、上記のようにビームパイプ3の中間部位に位置決めされたナット保持部材4を使用して、ビームパイプ3を中間支柱1へ取り付けるボルト接合について、特に図1〜図6に基づいて説明する。
先ず、上記ボルト接合作業に先行して、予め中間支柱1の上端へブラケット2が、その上端部を車道側に向かって水平方向(直径線方向)に貫通させたボルト7とナット8と取り付けられている。
【0050】
このボルト7の他端及び同他端へ締結したナット8は、図1、図2、図6に示すように、前記ボルト7およびナット8で支柱へ固定されたブラケット2の固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部2aにより上面部が覆われていると共に、同ブラケット2の前記固定部位からその上方部を迂回して車道側へ突き出されたパイプ受け部2aが形成する隙間部へ横方向から嵌め込まれた補強金具2b、2bによりその側面部を覆われている。したがって、前記ボルト7の軸部やナット8が完全にブラケット2内へ収まり視認しにくい構成なので、意匠性や景観性に優れている。
【0051】
また、前記ナット8は前記補強金具2b、2bにより平行な2辺を挟まれて回り止めとされ、前記ブラケット2の固定部位の下辺を略V字形に折り返したリップ2cによってナット8の一辺が回り止めされる構成とされている。勿論この限りではなく、単に前記補強金具2b、2bのみでナット8の回り止め効果をならしめる構成であってもよいし、前記略V字形に折り返したリップ2cのみでナット8の回り止め効果をならしめる構成で実施することができる。
【0052】
上記のように前記中間支柱1に取り付けられたブラケット2の前面には、ビームパイプ3の外形と同じ曲率で凹面状に湾曲させたパイプ受け部2aが設けられている。同パイプ受け部2aに対して、上記のようにビームパイプ3の中間部分が当てがわれる。そして、同ブラケット2の前面のパイプ受け部2aへ予め設けておいたボルト孔(図示省略)と、ビームパイプ3のボルト孔3aとを合致させ、同パイプ受け部2aの底面側から同二つのボルト孔へボルト9を差し入れ、ナット保持部材4の対応するナット5へねじ込み締結することにより、ビームパイプ3とブラケット2とを一体の関係で強固にボルト接合することができる。上記ボルト9は、その頭頂部が平らで頭部が薄く形成されており、車道の外寄り下面側から上向き方向にねじ込まれている(図2及び図4参照)。したがって、ビームパイプ3の上面側に通行人が当たって衣服や鞄を引掛けやすい突起物は可及的に排除される。この場合に、ナット保持部材4に保持された各ナット5は、回り止め状態に保持されており、しかも各ナット嵌め込み部43に対して、ナット5は多少グラつく状態に保持されていること、更にナット保持部材4の中央位置の深さに保持されてボルト9の差し入れ角度が広くなっているから、ボルト孔を通じて差し入れたボルト9の先端を、ナット保持部材4の対応するナット5に対し多少芯振れする状態に操作してネジの始端を探し当て、ねじ込み操作を容易に進めることができ、能率の良いボルト接合作業を進められる。
【0053】
以上に本発明を図示した実施例に基づいて説明したが、本発明は、上記実施例の構成に限定されない。その目的と要旨を逸脱しない範囲において、当業者が必要に応じて行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のため言及する。
【符号の説明】
【0054】
1 中間支柱
2 ブラケット
3 ビームパイプ
3a ボルト孔
3b 位置決め孔
4 ナット保持部材
41 位置決めストッパ
43 嵌め込み部
44 係止部
47a 掛け留め部
48 ピン部
5 ナット
6 挿入用治具
60 連結部
61 掛け受け部
62 ピン受け部
63 挿入ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱にブラケットを取付け、同ブラケットへビームパイプを取り付けるボルト接合を、ビームパイプの中空部内へ挿入したナット保持部材が保持したナットにより行う防護柵であって、
前記ナット保持部材は、ビームパイプの管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を備えており、前記ナット保持部材は、前記ビームパイプの端部からビームパイプの中空部内の支柱該当位置へ挿入用治具により挿入され、ビームパイプのボルト孔とナットが合致する位置に位置決めされ、支柱へ取り付けたブラケットのボルト孔とビームパイプのボルト孔とを一致させ、前記二つのボルト孔を通じて挿入したボルトを、前記ナット保持部材が保持したナットへねじ込み接合されていることを特徴とする、防護柵。
【請求項2】
挿入用治具は、その先端にナット保持部材を連結する連結部が設けられ、ビームパイプの支柱該当位置に設けられたボルト孔に到達する長さ位置に、挿入ストッパが取り付けられていることを特徴とする、請求項1に記載した防護柵。
【請求項3】
ナット保持部材と挿入用治具とは着脱可能に連結される構成であり、
ナット保持部材の挿入方向の後端面と挿入用治具の連結部の先端面には、互いに一方向の回転によってのみ掛け合う構造の掛け留め部と掛け受け部とが一対する配置に設けられて着脱可能な構成とされていることを特徴とする、請求項1又は2に記載した防護柵。
【請求項4】
ナット保持部材の後端面の中心部と挿入用治具の先端部の中心部には、嵌め込み可能なピン部とピン孔部が一対する配置に形成されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載した防護柵。
【請求項5】
ナット保持部材は、ビームパイプの長手方向及び回転方向に対する移動を止める位置決め手段を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載した防護柵。
【請求項6】
ビームパイプの長手方向及び回転方向に対する移動を止める位置決め手段は、ナット保持部材に保持されたナットを、ビームパイプのボルト孔と一致させるためにビームパイプに設けられた位置決め孔へ嵌り込むことが可能なバネ式の位置決めストッパであり、
前記位置決めストッパは、前記ナット保持部材の外周面に備わることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載した防護柵。
【請求項7】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく、且つナットの底面が同ナット保持部材の中心まで嵌め込める深さに形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一に記載した防護柵。
【請求項8】
ナット保持部材のナット嵌め込み部の底面部には、ナットをがたつかせるリブが設けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載した防護柵。
【請求項9】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの抜け止めを防止する係止部を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一に記載した防護柵。
【請求項10】
管材の内部でナットを保持するナット保持部材であって、
前記ナット保持部材は、前記管材の管軸に対して直交する各方向への移動が制限される形状とされ、ナットを回り止め状態に保持するナット嵌め込み部を備えており、前記管材の中空部内へ挿入用治具により挿入され、管材のボルト孔と前記ナットが合致する位置に位置決めされることを特徴とする、ナット保持部材。
【請求項11】
ナット保持部材と挿入用治具とは着脱可能に連結される構成であり、
ナット保持部材の挿入方向の後端面と挿入用治具の連結部の先端面には、互いに一方向の回転によってのみ掛け合う構造の掛け留め部と掛け受け部とが一対する配置に設けられて着脱可能な構成とされていることを特徴とする、請求項10に記載したナット保持部材。
【請求項12】
前記ナット保持部材の後端面の中心部と挿入用治具の先端部の中心部には、嵌め込み可能なピン部とピン孔部が一対する配置に形成されていることを特徴とする、請求項10又は11に記載したナット保持部材。
【請求項13】
ナット保持部材は、管材の長手方向及び回転方向に対する移動を止める位置決め手段を備えることを特徴とする、請求項10〜12のいずれか一に記載したナット保持部材。
【請求項14】
管材の長手方向及び回転方向に対する移動を止める位置決め手段は、ナット保持部材に保持されたナットを、管材のボルト孔と一致させるために管材に設けられた位置決め孔へ嵌り込むことが可能なバネ式の位置決めストッパであり、
前記位置決めストッパは、前記ナット保持部材の外周面に備わることを特徴とする、請求項10〜13のいずれか一に記載したナット保持部材。
【請求項15】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの外径よりも若干大きく、且つナットの底面が同ナット保持部材の中心まで嵌め込める深さに形成され、当該ナット嵌め込み部へ嵌め込まれたナットは、当該ナット嵌め込み部の中で回らない程度に緩く保持されていることを特徴とする、請求項10〜14のいずれか一に記載したナット保持部材。
【請求項16】
ナット嵌め込み部の底面部には、ナットをがたつかせるリブが設けられていることを特徴とする、請求項10〜15のいずれか一に記載したナット保持部材。
【請求項17】
ナット保持部材のナット嵌め込み部は、ナットの抜け止めを防止する係止部を備えることを特徴とする請求項10〜16のいずれか一に記載したナット保持部材。
【請求項18】
中間支柱にブラケットを取付け、同ブラケットへビームパイプの中間部位を取り付けるボルト接合を、ビームパイプの中空部内の支柱該当位置へ挿入したナット保持部材が保持したナットを利用して行う防護柵の構築方法であって、
ナット保持部材を挿入用治具の先端部へ着脱可能に連結し、同ナット保持部材を連結した挿入用治具をビームパイプの端部から挿入して中間部位のボルト孔とナット保持部材に保持されたナットとを合致させる位置決め段階と、
ビームパイプの中間部位に位置決めしたナット保持部材と前記挿入用治具とを切り離す段階と、
中間支柱へ取り付けたブラケットのボルト孔とビームパイプの中間部位のボルト孔とを一致させ、前記二つのボルト孔を通じて挿入したボルトを、前記ナット保持部材が保持したナットへねじ込み接合することを特徴とする、防護柵の構築方法。
【請求項19】
ナット保持部材と挿入用治具とは、前記ナット保持部材の挿入方向の後端面の中心部に設けた円弧形状の羽部と、挿入用治具の連結部の先端面に設けた、前記羽部を一方向の回転によってのみ嵌め入れを許容する掛け留め部とを、前記一方向からの回転により両者を着脱可能に連結しており、
前記ナット保持部材の後端面の中心部と挿入用治具の先端部の中心部には、嵌め込み可能なピン部とピン孔部とを一対の配置に形成して、ナット保持部材の挿入時にその後端面の中心に挿入力を集中させることを特徴とする、請求項18に記載した防護柵の構築方法。
【請求項20】
ナット保持部材の外周面に設けたバネ式の位置決めストッパを、ビームパイプに設けた位置決め孔へ嵌め込み、ビームパイプのボルト孔とナット保持部材に保持させたナットの位置を合致させることを特徴とする、請求項18又は19に記載した防護柵の構築方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−38363(P2011−38363A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188841(P2009−188841)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(000006839)日鐵住金建材株式会社 (371)
【Fターム(参考)】