防除機
【課題】ブームスプレヤによる噴霧作業時に強い風があると、作物等の噴霧対象物に対する薬剤の噴霧到達度が低下して、薬剤の噴霧対象物への付着効果が薄くなったり、噴霧むらを生じ易く、均一な噴霧付着、乃至消毒を維持し難く、噴霧効率を低下するという課題がある。
【解決手段】車体4にノズルブーム2を設け、該車体4またはノズルブーム2に風の向きを検出する風向センサ1を設け、前記ノズルブーム2に噴霧ノズル3を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ1による風の向きの検出結果に基づいて噴霧ノズル3の向きを変更して噴霧方向を変更制御したり、風の向きの検出結果に基づいて前記ノズルブーム(2)を移動して噴霧方向を変更制御する。
【解決手段】車体4にノズルブーム2を設け、該車体4またはノズルブーム2に風の向きを検出する風向センサ1を設け、前記ノズルブーム2に噴霧ノズル3を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ1による風の向きの検出結果に基づいて噴霧ノズル3の向きを変更して噴霧方向を変更制御したり、風の向きの検出結果に基づいて前記ノズルブーム(2)を移動して噴霧方向を変更制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、噴霧作業時の風向きに応じて噴霧ノズルの噴霧方向を変更制御するブームスプレヤに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の噴霧ノズルを配置したノズルブームを、トラクタ車体に対して横方向へ張出して設け、トラクタ走行しながら所定幅の薬剤噴霧を行わせるブームスプレヤの構成(例えば、特許文献1参照)が知られている。又、このノズルブームを非噴霧作用時には車体の横側に沿わせるように収納回動可能に構成することも知られている。
【特許文献1】特開平10−108609号公報(第2頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ブームスプレヤによる噴霧作業時に強い風があると、作物等の噴霧対象物に対する薬剤の噴霧到達度が低下して、薬剤の噴霧対象物への付着効果が薄くなったり、噴霧むらを生じ易く、均一な噴霧付着、乃至消毒を維持し難く、噴霧効率を低下する。また、作業中風向きによっては薬剤が作業者に飛散することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、車体4にノズルブーム2を設け、該車体4またはノズルブーム2に風の向きを検出する風向センサ1を設け、前記ノズルブーム2に噴霧ノズル3を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ1による風の向きの検出結果に基づいて噴霧ノズル3の向きを変更して噴霧方向を変更制御することを特徴とするブームスプレヤの構成とする。
【0005】
車体の走行によってノズルブーム2の各噴霧ノズル3から薬液が噴霧されて、このノズルブーム2の張設域を噴霧する。このとき、風向センサ1が風向を検出すると、このノズルブーム2の各噴霧ノズル3の噴霧方向を、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、風向風圧に抗して噴霧する形態にして、作物等の噴霧対象物に対する直接の噴霧圧を高めるように噴霧ノズル3のノズル噴射方向を制御する。
【0006】
請求項2に記載の発明は、車体4にノズルブーム2を設け、該車体4またはノズルブーム2に風の向きを検出する風向センサ1を設け、前記ノズルブーム2に噴霧ノズル3を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ1による風の向きの検出結果に基づいて前記ノズルブーム2を移動して噴霧方向を変更制御することを特徴とするブームスプレヤの構成とする。
【0007】
前記のような噴霧作業において、風向センサ1が風向を検出すると、多数の噴霧ノズル3を配置したノズルブーム2の噴霧の向きを、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、この風向に抗して噴霧する形態にして、噴霧対象物への噴霧圧を高めるようにノズルブーム2のノズル噴射方向を制御する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、車体4にノズルブーム2を設け、該車体4またはノズルブーム2に風の向きを検出する風向センサ1を設け、前記ノズルブーム2に噴霧ノズル3を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ1による風の向きの検出結果に基づいて前記ノズルブーム2を車体4の前後方向へ移動して噴霧位置を変更制御することを特徴とするブームスプレヤの構成とする。
【0009】
前記のような噴霧作業において、風向センサ1が風向を検出すると、多数の噴霧ノズル3を配置したノズルブーム2を車体4に対して前または後の方向位置へ移動する。
例えば、向かい風のときはノズルブーム2を運転席よりも後方位置へ移動し、逆に、追い風のときは前方位置へ移動して、運転席に搭乗する作業者に噴霧薬液が飛散しないノズルブーム2位置にして、噴霧作業を行う。このとき前記のように噴霧ノズル3の噴霧の向きを、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、この風向風圧に抗して噴霧する形態にして、噴霧対象物への噴霧圧を高めるようにノズルブーム2のノズル噴射方向を制御することも可能である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明は、噴霧ノズル3をノズルブーム2に対して回動させて、このノズル3による噴霧方向を風向きに抗する形態に方向制御することによって、噴霧対象物に対する噴霧圧力を高めて、噴霧域を広くし、噴霧付着を均一に維持することができる。また、薬液が風によって作物以外の方向へ流れないので、作業者に薬液が飛散するのを防止できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記同様に、噴霧対象物に対する噴霧圧力を高めて、噴霧域を広くし、噴霧付着を均一に維持することができると共に、ノズルブーム2としての移動制御によって、この噴霧方向制御を簡単に構成し、容易に行うことができる。また、薬液が風によって作物以外の方向へ流れないので、作業者に薬液が飛散するのを防止できる
請求項3に記載の発明は、ノズルブーム2を風向きによって車体4に対して前後の方向へ移動することによって、運転席に噴霧薬液が飛散しない状態で、衛生的な噴霧作業をすることができる。このようなノズルブーム2の位置制御は風向センサ1の風向検出によって自動的に行われるため、これらの操作を簡単、容易にして、操作性を高めるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図例に基づいて説明する。
ブームスプレヤは、トラクタ車体4の前側に左右両側に向けて、多数の噴霧ノズル3を配置したノズルブーム2を張出形態に架設して、車体4後部に搭載の薬液タンク5に収容の薬液をポンプによって送って噴霧させるものである。
【0013】
トラクタ車体4は、ステアリングハンドル6によって走行する前輪7や、後輪8を有して、前部のボンネット9下に搭載のエンジン10によって駆動走行する四輪走行形態に構成している。
【0014】
薬液タンク5は、運転席11の後部から左右両側部を囲う形態に形成して車体4の後端部に搭載し、この後部に搭載の薬液ポンプ12をトラクタのPTO軸から駆動し、このポンプ12の駆動によってホースを経て前記ノズルブーム2へ薬液を送出すものである。
【0015】
トラクタ車体4の前部には、ブーム取付ブラケット13を設け、このブーム取付ブラケット13の前側には略左右の車輪幅間隔にわたる長さのノズルブーム2としてのセンターブーム2Cを配置し、このセンターブーム2Cの外側に位置して左右両側に張り出す形態のノズルブーム2としてのサイドブーム2Sを配置する。これらセンターブーム2Cはブーム取付ブラケット13に対して定位置に固定しているが、サイドブーム2Sは伸縮シリンダ14の伸縮によってブーム取付ブラケット13に対してブーム回動軸15の周りに回動して、横方向へ張り出す噴霧状態Aと、車体4の横側に沿う収納状態Bとに切替えることができる。
【0016】
ここにおいて、この発明に係るブームスプレヤは、風向きを検出する風向センサ1によって、ノズルブーム2に配設の噴霧ノズル3の噴霧方向を変更制御することを特徴とする。車体の走行によってノズルブーム2の各噴霧ノズル3から薬液が噴霧されて、このノズルブーム2の張設域を噴霧する。このとき、風向センサ1が風向を検出すると、このノズルブーム2の各噴霧ノズル3の噴霧方向を、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、作業中の風向および風圧に抗して噴霧する形態にして、作物等の噴霧対象物に対する直接の噴霧圧を高めるように噴霧ノズル3のノズル噴射方向を制御する。
【0017】
各ノズルブーム2には、噴霧ノズル3が所定の間隔に配置されるが、この噴霧ノズル3は球形状のノズル体16を形成して、ノズルホルダ17に形成のホルダ穴18に、この噴霧ノズル3のノズル体16を回動自在に嵌合保持させて、この噴霧ノズル3を前後、及び左右に回動させることができる。各噴霧ノズル3はこのノズル体16の中央部を通すように形成して、基部に可撓形態の薬液ホース19を連結している。この噴霧ノズル3の向きを変更するための機構として、適宜にノズルホルダ17に支持構成された制御モータMx、Myによって駆動される駆動ローラ20、21を、該ノズル体16の外周面に接圧させている。前記ノズルホルダ17の保持方向を水平面方向として、各噴霧ノズル3の噴出先を下方垂直方向とすれば、制御モータMxによる駆動ローラ20はノズル体16をノズルブーム2と平行する左右の方向へ回動し、又、制御モータMyによる駆動ローラ21はこれと直交する前後方向へ回動するように構成している。
【0018】
このようにして噴霧ノズル3の方向を前後左右の方向へ回動制御することができる。ノズルブーム2に沿って配置する各ノズルホルダ17は、半月状のホルダ穴18を形成した割形形態の構成で、これら一対のノズルホルダ17間におけるホルダ穴18部に、ノズル体16を挟むようにして保持させて、ビス22止めによって取付ける。ノズルブーム2には薬液配管23を本管として敷設しておき、前記ホース19をこの配管23に連結する。又、これら一対のノズルホルダ17相互間を連結プレート24で連結して、ホルダ穴18の形態を固定している。
【0019】
この各制御モータMx、Myはコントローラ25からの出力によって行われる。前記サイドブーム2Sの外側端部、又は車体4上に風向センサ1を設け、この風向センサ1によって作業時の風向や、同時にこの風力を検出する。又、図1におけるように、この風向センサ1と共に風力センサ26を別に設ける形態とするもよい。これら風向センサ1と風力センサ26の検出情報は常時コントローラ25に出力されている。
【0020】
各サイドブーム2Sを張出した形態で噴霧作業するとき、風向センサ1が常時風向、及び風力を検出していて、この風力が一定以上に強くなると、制御モータMx、Myを駆動して、その風向、風力に抗する方向に前記噴霧ノズル3の噴射方向を向けるように回動する。この制御による噴霧ノズル3の回動量、乃至回動角度はこのときの風力に応じて大きくするように行われる。又、このときの噴霧ノズル3による噴霧圧力、乃至噴霧量を、風力に応じて強く、又は多くするように制御することもできる。
【0021】
圃場における畝D上の作物Wの消毒作業を行うとき、図1のように風の無いときまたは微風状態のときは、風向センサ1による風向、風力を殆ど検出しないため、各噴霧ノズル3はノズルブーム2の直下方向Tに向けられている。従って各噴霧ノズル3から噴出される噴霧状態は、直下方向に向けて有効に行われる。例えば、左から右側へ風力Fが作用する時は、風向センサ1、及び風力センサ26による検出によって、制御モータMxを出力して駆動ローラ20を回動し、ノズル体16、及び噴霧ノズル3をこれら風力Fに抗する左側L方向に適宜角度fにつき回動させる。これによって風力に抗して噴射される噴霧状態は直下方向に向けられて、噴霧域を適正状態に維持することができる。
【0022】
又、この発明に係るブームスプレヤは、風の流れを検出する風向センサ1によって、ノズルブーム2を移動して噴霧方向を変更制御することを特徴とする。前記のような噴霧作業において、風向センサ1が風向を検出すると、多数の噴霧ノズル3を配置したノズルブーム2の噴霧の向きを、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、この風向および風圧に抗して噴霧する形態にして、噴霧対象物への噴霧圧を高めるようにノズルブーム2のノズル噴射方向を制御する。
【0023】
これら各左右のサイドブーム2Sのブームブラケット13に対する取付部は、図7のように、ブーム回動軸15に一体のブームボス30に、サイドブーム2S基部のブーム軸31を回動自在に支持して、正逆転モータMによって適宜角度前後方向に回動して、噴霧ノズル3の前後噴射方向である噴霧方向制御を行うことができる。該ブームブラケット13には支持ボス32を設けて、この支持ボス32に対してサイドブーム2Sを支持するブームボス30を回動自在に支持している。前記風向センサ1が車体進行方向と平行の前後方向の風力を検出することによって、コントローラ25からの出力で制御モータMを出力してサイドブーム2Sを適宜角度回動する。このような噴霧ノズル3の噴出方向の制御は、前記制御モータMyによる噴霧ノズル3の前後方向の制御に代えて行わせるように構成することができる。
【0024】
次に、主として図8、図9に基づいて、この発明に係るブームスプレヤは、風の流れを検出する風向センサ1によって、ノズルブーム2を車体4の前後方向へ移動して噴霧位置を変更制御することを特徴とする。前記のような噴霧作業において、風向センサ1が風向を検出すると、多数の噴霧ノズル3を配置したノズルブーム2を車体4に対して前、後の方向位置へ移動する。
【0025】
例えば、向かい風のときはノズルブーム2を運転席よりも後方位置へ移動し、逆に、追い風のときは前方位置へ移動して、運転席に搭乗する作業者に噴霧薬液が飛散しないノズルブーム2位置にして、噴霧作用を行う。このとき前記のように噴霧ノズル3の噴霧の向きを、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、この風向風圧に抗して噴霧する形態にして、噴霧対象物への噴霧圧を高めるようにノズルブーム2のノズル噴射方向を制御することも可能である。
【0026】
車体4の左右両外側に前後方向に沿うガイドレール35を配置して、このガイドレール35にサイドブーム2Sの基部のスライダ36を支持させて、前後方向へ移動案内するように構成する。このスライダ36は横側に張出したサイドブーム2Sを支持すると共に、制御モータM2を搭載して、このモータM2によって回転駆動されるローラ、乃至ピニオンによって駆動される無端チェン(図示せず)に連結されていて、制御モータM2を正転又は逆転駆動することによって、該スライダ36はガイドレール35に沿って摺動できるよう構成している。
【0027】
そして、このモータM2をコントローラ25からの出力で駆動することによって、ローラを駆動してサイドブーム2Sの前後方向の位置を移動制御するように構成している。通常は左右のサイドブーム2Sを車体4の前端部に位置させて噴霧作業を行うが、風向センサ1が正面からの風向を検出するときは、左右のサイドブーム2Sを運転席11よりも後側Rへ移動して噴霧作業する。
【0028】
逆に、この状態において、背面側からの追い風向を検出するときは、サイドブーム2Sを運転席11よりも前側へ移動して、運転者が薬液の飛散を直接受けないように回避するものである。又、この形態において、前記のような噴霧ノズル3の噴射方向を制御したり、サイドブーム2Sを回動して噴射方向を制御する形態を組み合わせることもできる。
【0029】
上記の移動制御はモード切換スイッチ37が「自動」の位置にあるときで、このスイッチ37が「手動」の位置にあるときは、前記制御モータM2は手動スイッチ38F,38Rを操作することによって前側に移動し、または後側に移動するほか、これらスイッチ38F,38Rの押し込み操作を解除する位置で制御モータM2は停止し、サイドブーム2Sもその位置で制止する。なお、手動スイッチ38F,38Rは夫々1個で左右のサイドブーム2Sを同時作動させるほか、左・右のサイドブーム2Sそれぞれに手動スイッチを構成したり、左・右選択スイッチ39によって移動すべきサイドブーム2Sを選択設定し、先の手動スイッチ38F,38Rで選択されたブームを移動させる構成としてもよい。
【0030】
Hは表示器で、風向センサ1および風量センサ26の検出結果を表示する構成である。風向は、機体の旋回操作の有無に関わりなく風向きを矢印等で示して作業者の目視による確認を容易としている。また、風量は数値表示でも、積み重ね棒グラフ形態でもよく、その他種々の方法がある。
【0031】
次いで、風量センサ26を設けることにより、風量が所定範囲を超えて強くなったときは、薬剤飛散が大となって、飛散が作業継続不可の旨を表示部Hに表示出力するなどして、作業者の無駄な労力を削減する。
【0032】
次に、主として図10〜図13に基づいて、前記車体4の前端部に作物Wの株元部を検出するスイッチ等からなる作物センサ40を設け、この作物センサ40が株元を検出した時から作物Wに薬液を散布するまでの時間的タイミングを、この車体4の走行速度や、作物Wの位置に噴霧到達する時間等から割り出して、必要な場所のみに薬液や、液肥等を散布するものである。前記分もノズル2から噴霧させる薬液等を送る噴霧制御弁43を開閉するコントローラ42に、前記作物センサ40と、車体4の走行速度を検出する車速センサ41とを設けて、この作物センサ40の検出によって噴霧ノズル2からの薬液噴出のタイミングを計りながら噴霧制御弁43を開き、乃至開度を大きくして、作物W位置に効率的に、無駄を少なくして噴霧するものである。
【0033】
又、前記薬液散布において、図12のようにして、作物センサ40による検出によって作物の間隔から反当りの概略の作物本数を演算して、与えられた散布量により一回に散布する薬液量を制御する。そして、必要な場所に必要な量を散布して、効率的な薬液散布を行わせるものである。
【0034】
又、図13のように、前記作物センサ40が作物Wを検出すると自動的に薬液散布を開始し、検出しなくなると散布を停止するように制御することによって、散布作業開始時、終了時の無散布区間の解消を図ることができ、均一に散布することができる。
【0035】
次に、主として図14に基づいて、前記車体4の前端部に土壌の一部を採取するサンプリング用のロボットアーム45を設けたものである。土壌をサンプリングしながら、この土壌の成分分析を行い、場所に応じて肥料の散布量を制御する。土壌の養分を均一化するものである。
【0036】
次に、主として図15に基づいて、前記ブームスプレヤ等に使用するトラクタ車体4において、前輪7トレッド部と、後輪8トレッド部とにおける畝D法面Nに摺接するプレート形態の摺動センサ50、51を設ける。これらの摺動センサ50、51は、車体4側のフロントアクスルハウジング52、リヤアクスルハウジング53部等に取付けられるセンサボス54に、センサ軸55を回動自在に支持して、摺動センサ50、51を畝Dの左側法面Nにダンパースプリング等を介して適宜回動域にわたって摺接回動させることによって、これらのセンサ軸55のセンサボス54に対する回動角度をポテンショメータ等により検出し、これら車体4と畝法面Nとの間隔を検出して、作業畝D条に対する車体4の走行方向を検出するものである。車体4の走行において、車体4が作業畝Dを跨いだ姿勢で、且つ前記腹部に装着の前後の摺動センサ50、51をこの畝法面Nに摺接させて走行する。
【0037】
車体4が直進状態の場合TSは、前輪7、及び後輪8は前後方向に沿って平行状態であるから、前後各摺動センサ50、51は共に畝法面Nに適宜に摺接した状態にある。又、例えば、左回りに操向旋回する場合において、操向モードが前輪7の切り角によって行うFWSモードになっているときは、前輪7側の摺動センサ50が畝法面Nから離れて、摺動センサ51は畝法面Nに摺接した状態にある。又、前輪7と後輪8との切り角を正、逆にして操向する4WSモードになっているときは、前側の摺動センサ50が畝法面Nから離れて、後側の摺動センサ51は畦法面Nにより強く押圧される。更には、前輪50と後輪51が共に同じ方向の切り角とするCWSモードでは、前後の摺動センサ50、51が共に畝法面Nから離れる。従って、農用管理作業機では、このような複数の操向モードを選択して操向することができる形態のトラクタが多いが、前記のように現在行われている作業走行の直進状態TSや、各操向モード4WS、FWS、又はCWSを検出することができ、この検出状態を操作モニターに表示させることによって、現在の操作モードが適切に選択されているかを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ブームスプレヤの正面図(イ)、その噴霧ノズル部の状態を示す正面図(ロ)、風向・風力センサの斜視図(ハ)。
【図2】そのサイドブームを収納した状態を示す側面図。
【図3】噴霧ノズル部の制御形態を示す斜視図(イ)、正面図(ロ)、側面図(ハ)、平面図(ニ)。
【図4】その噴霧ノズル部の分解斜視図(イ)、ノズルホルダの組付説明斜視図(ロ)、ノズルブームに対する取付け状態を示す斜視図(ハ)、側面図(ニ)
【図5】噴霧ノズルの噴霧方向制御のブロック図。
【図6】噴霧制御状態を示すブームスプレヤの正面図(イ)、噴霧ノズル部の状態を示す正面図(ロ)。
【図7】一部別例を示すサイドブームの回動支持部の斜視図。
【図8】その一部別例を示すサイドブームの移動制御の平面図。
【図9】その移動制御のブロック図。
【図10】一部別例を示すブームスプレヤの側面図、噴霧制御のブロック図。
【図11】その一部の正面図。
【図12】その一部制御のフローチャート。
【図13】その一部制御のフローチャート。
【図14】一部別例を示すブームスプレヤの側面図。
【図15】トラクタ車体部の走行状態、乃至操向モードを示す平面図(A)、その一部の側面図(B)。
【符号の説明】
【0039】
1 風向センサ
2 ノズルブーム
3 噴霧ノズル
4 車体
5 薬液タンク
【技術分野】
【0001】
この発明は、噴霧作業時の風向きに応じて噴霧ノズルの噴霧方向を変更制御するブームスプレヤに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の噴霧ノズルを配置したノズルブームを、トラクタ車体に対して横方向へ張出して設け、トラクタ走行しながら所定幅の薬剤噴霧を行わせるブームスプレヤの構成(例えば、特許文献1参照)が知られている。又、このノズルブームを非噴霧作用時には車体の横側に沿わせるように収納回動可能に構成することも知られている。
【特許文献1】特開平10−108609号公報(第2頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ブームスプレヤによる噴霧作業時に強い風があると、作物等の噴霧対象物に対する薬剤の噴霧到達度が低下して、薬剤の噴霧対象物への付着効果が薄くなったり、噴霧むらを生じ易く、均一な噴霧付着、乃至消毒を維持し難く、噴霧効率を低下する。また、作業中風向きによっては薬剤が作業者に飛散することとなる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の発明は、車体4にノズルブーム2を設け、該車体4またはノズルブーム2に風の向きを検出する風向センサ1を設け、前記ノズルブーム2に噴霧ノズル3を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ1による風の向きの検出結果に基づいて噴霧ノズル3の向きを変更して噴霧方向を変更制御することを特徴とするブームスプレヤの構成とする。
【0005】
車体の走行によってノズルブーム2の各噴霧ノズル3から薬液が噴霧されて、このノズルブーム2の張設域を噴霧する。このとき、風向センサ1が風向を検出すると、このノズルブーム2の各噴霧ノズル3の噴霧方向を、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、風向風圧に抗して噴霧する形態にして、作物等の噴霧対象物に対する直接の噴霧圧を高めるように噴霧ノズル3のノズル噴射方向を制御する。
【0006】
請求項2に記載の発明は、車体4にノズルブーム2を設け、該車体4またはノズルブーム2に風の向きを検出する風向センサ1を設け、前記ノズルブーム2に噴霧ノズル3を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ1による風の向きの検出結果に基づいて前記ノズルブーム2を移動して噴霧方向を変更制御することを特徴とするブームスプレヤの構成とする。
【0007】
前記のような噴霧作業において、風向センサ1が風向を検出すると、多数の噴霧ノズル3を配置したノズルブーム2の噴霧の向きを、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、この風向に抗して噴霧する形態にして、噴霧対象物への噴霧圧を高めるようにノズルブーム2のノズル噴射方向を制御する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、車体4にノズルブーム2を設け、該車体4またはノズルブーム2に風の向きを検出する風向センサ1を設け、前記ノズルブーム2に噴霧ノズル3を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ1による風の向きの検出結果に基づいて前記ノズルブーム2を車体4の前後方向へ移動して噴霧位置を変更制御することを特徴とするブームスプレヤの構成とする。
【0009】
前記のような噴霧作業において、風向センサ1が風向を検出すると、多数の噴霧ノズル3を配置したノズルブーム2を車体4に対して前または後の方向位置へ移動する。
例えば、向かい風のときはノズルブーム2を運転席よりも後方位置へ移動し、逆に、追い風のときは前方位置へ移動して、運転席に搭乗する作業者に噴霧薬液が飛散しないノズルブーム2位置にして、噴霧作業を行う。このとき前記のように噴霧ノズル3の噴霧の向きを、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、この風向風圧に抗して噴霧する形態にして、噴霧対象物への噴霧圧を高めるようにノズルブーム2のノズル噴射方向を制御することも可能である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明は、噴霧ノズル3をノズルブーム2に対して回動させて、このノズル3による噴霧方向を風向きに抗する形態に方向制御することによって、噴霧対象物に対する噴霧圧力を高めて、噴霧域を広くし、噴霧付着を均一に維持することができる。また、薬液が風によって作物以外の方向へ流れないので、作業者に薬液が飛散するのを防止できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記同様に、噴霧対象物に対する噴霧圧力を高めて、噴霧域を広くし、噴霧付着を均一に維持することができると共に、ノズルブーム2としての移動制御によって、この噴霧方向制御を簡単に構成し、容易に行うことができる。また、薬液が風によって作物以外の方向へ流れないので、作業者に薬液が飛散するのを防止できる
請求項3に記載の発明は、ノズルブーム2を風向きによって車体4に対して前後の方向へ移動することによって、運転席に噴霧薬液が飛散しない状態で、衛生的な噴霧作業をすることができる。このようなノズルブーム2の位置制御は風向センサ1の風向検出によって自動的に行われるため、これらの操作を簡単、容易にして、操作性を高めるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図例に基づいて説明する。
ブームスプレヤは、トラクタ車体4の前側に左右両側に向けて、多数の噴霧ノズル3を配置したノズルブーム2を張出形態に架設して、車体4後部に搭載の薬液タンク5に収容の薬液をポンプによって送って噴霧させるものである。
【0013】
トラクタ車体4は、ステアリングハンドル6によって走行する前輪7や、後輪8を有して、前部のボンネット9下に搭載のエンジン10によって駆動走行する四輪走行形態に構成している。
【0014】
薬液タンク5は、運転席11の後部から左右両側部を囲う形態に形成して車体4の後端部に搭載し、この後部に搭載の薬液ポンプ12をトラクタのPTO軸から駆動し、このポンプ12の駆動によってホースを経て前記ノズルブーム2へ薬液を送出すものである。
【0015】
トラクタ車体4の前部には、ブーム取付ブラケット13を設け、このブーム取付ブラケット13の前側には略左右の車輪幅間隔にわたる長さのノズルブーム2としてのセンターブーム2Cを配置し、このセンターブーム2Cの外側に位置して左右両側に張り出す形態のノズルブーム2としてのサイドブーム2Sを配置する。これらセンターブーム2Cはブーム取付ブラケット13に対して定位置に固定しているが、サイドブーム2Sは伸縮シリンダ14の伸縮によってブーム取付ブラケット13に対してブーム回動軸15の周りに回動して、横方向へ張り出す噴霧状態Aと、車体4の横側に沿う収納状態Bとに切替えることができる。
【0016】
ここにおいて、この発明に係るブームスプレヤは、風向きを検出する風向センサ1によって、ノズルブーム2に配設の噴霧ノズル3の噴霧方向を変更制御することを特徴とする。車体の走行によってノズルブーム2の各噴霧ノズル3から薬液が噴霧されて、このノズルブーム2の張設域を噴霧する。このとき、風向センサ1が風向を検出すると、このノズルブーム2の各噴霧ノズル3の噴霧方向を、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、作業中の風向および風圧に抗して噴霧する形態にして、作物等の噴霧対象物に対する直接の噴霧圧を高めるように噴霧ノズル3のノズル噴射方向を制御する。
【0017】
各ノズルブーム2には、噴霧ノズル3が所定の間隔に配置されるが、この噴霧ノズル3は球形状のノズル体16を形成して、ノズルホルダ17に形成のホルダ穴18に、この噴霧ノズル3のノズル体16を回動自在に嵌合保持させて、この噴霧ノズル3を前後、及び左右に回動させることができる。各噴霧ノズル3はこのノズル体16の中央部を通すように形成して、基部に可撓形態の薬液ホース19を連結している。この噴霧ノズル3の向きを変更するための機構として、適宜にノズルホルダ17に支持構成された制御モータMx、Myによって駆動される駆動ローラ20、21を、該ノズル体16の外周面に接圧させている。前記ノズルホルダ17の保持方向を水平面方向として、各噴霧ノズル3の噴出先を下方垂直方向とすれば、制御モータMxによる駆動ローラ20はノズル体16をノズルブーム2と平行する左右の方向へ回動し、又、制御モータMyによる駆動ローラ21はこれと直交する前後方向へ回動するように構成している。
【0018】
このようにして噴霧ノズル3の方向を前後左右の方向へ回動制御することができる。ノズルブーム2に沿って配置する各ノズルホルダ17は、半月状のホルダ穴18を形成した割形形態の構成で、これら一対のノズルホルダ17間におけるホルダ穴18部に、ノズル体16を挟むようにして保持させて、ビス22止めによって取付ける。ノズルブーム2には薬液配管23を本管として敷設しておき、前記ホース19をこの配管23に連結する。又、これら一対のノズルホルダ17相互間を連結プレート24で連結して、ホルダ穴18の形態を固定している。
【0019】
この各制御モータMx、Myはコントローラ25からの出力によって行われる。前記サイドブーム2Sの外側端部、又は車体4上に風向センサ1を設け、この風向センサ1によって作業時の風向や、同時にこの風力を検出する。又、図1におけるように、この風向センサ1と共に風力センサ26を別に設ける形態とするもよい。これら風向センサ1と風力センサ26の検出情報は常時コントローラ25に出力されている。
【0020】
各サイドブーム2Sを張出した形態で噴霧作業するとき、風向センサ1が常時風向、及び風力を検出していて、この風力が一定以上に強くなると、制御モータMx、Myを駆動して、その風向、風力に抗する方向に前記噴霧ノズル3の噴射方向を向けるように回動する。この制御による噴霧ノズル3の回動量、乃至回動角度はこのときの風力に応じて大きくするように行われる。又、このときの噴霧ノズル3による噴霧圧力、乃至噴霧量を、風力に応じて強く、又は多くするように制御することもできる。
【0021】
圃場における畝D上の作物Wの消毒作業を行うとき、図1のように風の無いときまたは微風状態のときは、風向センサ1による風向、風力を殆ど検出しないため、各噴霧ノズル3はノズルブーム2の直下方向Tに向けられている。従って各噴霧ノズル3から噴出される噴霧状態は、直下方向に向けて有効に行われる。例えば、左から右側へ風力Fが作用する時は、風向センサ1、及び風力センサ26による検出によって、制御モータMxを出力して駆動ローラ20を回動し、ノズル体16、及び噴霧ノズル3をこれら風力Fに抗する左側L方向に適宜角度fにつき回動させる。これによって風力に抗して噴射される噴霧状態は直下方向に向けられて、噴霧域を適正状態に維持することができる。
【0022】
又、この発明に係るブームスプレヤは、風の流れを検出する風向センサ1によって、ノズルブーム2を移動して噴霧方向を変更制御することを特徴とする。前記のような噴霧作業において、風向センサ1が風向を検出すると、多数の噴霧ノズル3を配置したノズルブーム2の噴霧の向きを、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、この風向および風圧に抗して噴霧する形態にして、噴霧対象物への噴霧圧を高めるようにノズルブーム2のノズル噴射方向を制御する。
【0023】
これら各左右のサイドブーム2Sのブームブラケット13に対する取付部は、図7のように、ブーム回動軸15に一体のブームボス30に、サイドブーム2S基部のブーム軸31を回動自在に支持して、正逆転モータMによって適宜角度前後方向に回動して、噴霧ノズル3の前後噴射方向である噴霧方向制御を行うことができる。該ブームブラケット13には支持ボス32を設けて、この支持ボス32に対してサイドブーム2Sを支持するブームボス30を回動自在に支持している。前記風向センサ1が車体進行方向と平行の前後方向の風力を検出することによって、コントローラ25からの出力で制御モータMを出力してサイドブーム2Sを適宜角度回動する。このような噴霧ノズル3の噴出方向の制御は、前記制御モータMyによる噴霧ノズル3の前後方向の制御に代えて行わせるように構成することができる。
【0024】
次に、主として図8、図9に基づいて、この発明に係るブームスプレヤは、風の流れを検出する風向センサ1によって、ノズルブーム2を車体4の前後方向へ移動して噴霧位置を変更制御することを特徴とする。前記のような噴霧作業において、風向センサ1が風向を検出すると、多数の噴霧ノズル3を配置したノズルブーム2を車体4に対して前、後の方向位置へ移動する。
【0025】
例えば、向かい風のときはノズルブーム2を運転席よりも後方位置へ移動し、逆に、追い風のときは前方位置へ移動して、運転席に搭乗する作業者に噴霧薬液が飛散しないノズルブーム2位置にして、噴霧作用を行う。このとき前記のように噴霧ノズル3の噴霧の向きを、この風向とは反対側の方向へ向けるように変更して、この風向風圧に抗して噴霧する形態にして、噴霧対象物への噴霧圧を高めるようにノズルブーム2のノズル噴射方向を制御することも可能である。
【0026】
車体4の左右両外側に前後方向に沿うガイドレール35を配置して、このガイドレール35にサイドブーム2Sの基部のスライダ36を支持させて、前後方向へ移動案内するように構成する。このスライダ36は横側に張出したサイドブーム2Sを支持すると共に、制御モータM2を搭載して、このモータM2によって回転駆動されるローラ、乃至ピニオンによって駆動される無端チェン(図示せず)に連結されていて、制御モータM2を正転又は逆転駆動することによって、該スライダ36はガイドレール35に沿って摺動できるよう構成している。
【0027】
そして、このモータM2をコントローラ25からの出力で駆動することによって、ローラを駆動してサイドブーム2Sの前後方向の位置を移動制御するように構成している。通常は左右のサイドブーム2Sを車体4の前端部に位置させて噴霧作業を行うが、風向センサ1が正面からの風向を検出するときは、左右のサイドブーム2Sを運転席11よりも後側Rへ移動して噴霧作業する。
【0028】
逆に、この状態において、背面側からの追い風向を検出するときは、サイドブーム2Sを運転席11よりも前側へ移動して、運転者が薬液の飛散を直接受けないように回避するものである。又、この形態において、前記のような噴霧ノズル3の噴射方向を制御したり、サイドブーム2Sを回動して噴射方向を制御する形態を組み合わせることもできる。
【0029】
上記の移動制御はモード切換スイッチ37が「自動」の位置にあるときで、このスイッチ37が「手動」の位置にあるときは、前記制御モータM2は手動スイッチ38F,38Rを操作することによって前側に移動し、または後側に移動するほか、これらスイッチ38F,38Rの押し込み操作を解除する位置で制御モータM2は停止し、サイドブーム2Sもその位置で制止する。なお、手動スイッチ38F,38Rは夫々1個で左右のサイドブーム2Sを同時作動させるほか、左・右のサイドブーム2Sそれぞれに手動スイッチを構成したり、左・右選択スイッチ39によって移動すべきサイドブーム2Sを選択設定し、先の手動スイッチ38F,38Rで選択されたブームを移動させる構成としてもよい。
【0030】
Hは表示器で、風向センサ1および風量センサ26の検出結果を表示する構成である。風向は、機体の旋回操作の有無に関わりなく風向きを矢印等で示して作業者の目視による確認を容易としている。また、風量は数値表示でも、積み重ね棒グラフ形態でもよく、その他種々の方法がある。
【0031】
次いで、風量センサ26を設けることにより、風量が所定範囲を超えて強くなったときは、薬剤飛散が大となって、飛散が作業継続不可の旨を表示部Hに表示出力するなどして、作業者の無駄な労力を削減する。
【0032】
次に、主として図10〜図13に基づいて、前記車体4の前端部に作物Wの株元部を検出するスイッチ等からなる作物センサ40を設け、この作物センサ40が株元を検出した時から作物Wに薬液を散布するまでの時間的タイミングを、この車体4の走行速度や、作物Wの位置に噴霧到達する時間等から割り出して、必要な場所のみに薬液や、液肥等を散布するものである。前記分もノズル2から噴霧させる薬液等を送る噴霧制御弁43を開閉するコントローラ42に、前記作物センサ40と、車体4の走行速度を検出する車速センサ41とを設けて、この作物センサ40の検出によって噴霧ノズル2からの薬液噴出のタイミングを計りながら噴霧制御弁43を開き、乃至開度を大きくして、作物W位置に効率的に、無駄を少なくして噴霧するものである。
【0033】
又、前記薬液散布において、図12のようにして、作物センサ40による検出によって作物の間隔から反当りの概略の作物本数を演算して、与えられた散布量により一回に散布する薬液量を制御する。そして、必要な場所に必要な量を散布して、効率的な薬液散布を行わせるものである。
【0034】
又、図13のように、前記作物センサ40が作物Wを検出すると自動的に薬液散布を開始し、検出しなくなると散布を停止するように制御することによって、散布作業開始時、終了時の無散布区間の解消を図ることができ、均一に散布することができる。
【0035】
次に、主として図14に基づいて、前記車体4の前端部に土壌の一部を採取するサンプリング用のロボットアーム45を設けたものである。土壌をサンプリングしながら、この土壌の成分分析を行い、場所に応じて肥料の散布量を制御する。土壌の養分を均一化するものである。
【0036】
次に、主として図15に基づいて、前記ブームスプレヤ等に使用するトラクタ車体4において、前輪7トレッド部と、後輪8トレッド部とにおける畝D法面Nに摺接するプレート形態の摺動センサ50、51を設ける。これらの摺動センサ50、51は、車体4側のフロントアクスルハウジング52、リヤアクスルハウジング53部等に取付けられるセンサボス54に、センサ軸55を回動自在に支持して、摺動センサ50、51を畝Dの左側法面Nにダンパースプリング等を介して適宜回動域にわたって摺接回動させることによって、これらのセンサ軸55のセンサボス54に対する回動角度をポテンショメータ等により検出し、これら車体4と畝法面Nとの間隔を検出して、作業畝D条に対する車体4の走行方向を検出するものである。車体4の走行において、車体4が作業畝Dを跨いだ姿勢で、且つ前記腹部に装着の前後の摺動センサ50、51をこの畝法面Nに摺接させて走行する。
【0037】
車体4が直進状態の場合TSは、前輪7、及び後輪8は前後方向に沿って平行状態であるから、前後各摺動センサ50、51は共に畝法面Nに適宜に摺接した状態にある。又、例えば、左回りに操向旋回する場合において、操向モードが前輪7の切り角によって行うFWSモードになっているときは、前輪7側の摺動センサ50が畝法面Nから離れて、摺動センサ51は畝法面Nに摺接した状態にある。又、前輪7と後輪8との切り角を正、逆にして操向する4WSモードになっているときは、前側の摺動センサ50が畝法面Nから離れて、後側の摺動センサ51は畦法面Nにより強く押圧される。更には、前輪50と後輪51が共に同じ方向の切り角とするCWSモードでは、前後の摺動センサ50、51が共に畝法面Nから離れる。従って、農用管理作業機では、このような複数の操向モードを選択して操向することができる形態のトラクタが多いが、前記のように現在行われている作業走行の直進状態TSや、各操向モード4WS、FWS、又はCWSを検出することができ、この検出状態を操作モニターに表示させることによって、現在の操作モードが適切に選択されているかを容易に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】ブームスプレヤの正面図(イ)、その噴霧ノズル部の状態を示す正面図(ロ)、風向・風力センサの斜視図(ハ)。
【図2】そのサイドブームを収納した状態を示す側面図。
【図3】噴霧ノズル部の制御形態を示す斜視図(イ)、正面図(ロ)、側面図(ハ)、平面図(ニ)。
【図4】その噴霧ノズル部の分解斜視図(イ)、ノズルホルダの組付説明斜視図(ロ)、ノズルブームに対する取付け状態を示す斜視図(ハ)、側面図(ニ)
【図5】噴霧ノズルの噴霧方向制御のブロック図。
【図6】噴霧制御状態を示すブームスプレヤの正面図(イ)、噴霧ノズル部の状態を示す正面図(ロ)。
【図7】一部別例を示すサイドブームの回動支持部の斜視図。
【図8】その一部別例を示すサイドブームの移動制御の平面図。
【図9】その移動制御のブロック図。
【図10】一部別例を示すブームスプレヤの側面図、噴霧制御のブロック図。
【図11】その一部の正面図。
【図12】その一部制御のフローチャート。
【図13】その一部制御のフローチャート。
【図14】一部別例を示すブームスプレヤの側面図。
【図15】トラクタ車体部の走行状態、乃至操向モードを示す平面図(A)、その一部の側面図(B)。
【符号の説明】
【0039】
1 風向センサ
2 ノズルブーム
3 噴霧ノズル
4 車体
5 薬液タンク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(4)にノズルブーム(2)を設け、該車体(4)またはノズルブーム(2)に風の向きを検出する風向センサ(1)を設け、前記ノズルブーム(2)に噴霧ノズル(3)を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ(1)による風の向きの検出結果に基づいて噴霧ノズル(3)の向きを変更して噴霧方向を変更制御することを特徴とするブームスプレヤ。
【請求項2】
車体(4)にノズルブーム(2)を設け、該車体(4)またはノズルブーム(2)に風の向きを検出する風向センサ(1)を設け、前記ノズルブーム(2)に噴霧ノズル(3)を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ(1)による風の向きの検出結果に基づいて前記ノズルブーム(2)を移動して噴霧方向を変更制御することを特徴とするブームスプレヤ。
【請求項3】
車体(4)にノズルブーム(2)を設け、該車体(4)またはノズルブーム(2)に風の向きを検出する風向センサ(1)を設け、前記ノズルブーム(2)に噴霧ノズル(3)を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ(1)による風の向きの検出結果に基づいて前記ノズルブーム(2)を車体(4)の前後方向へ移動して噴霧位置を変更制御することを特徴とするブームスプレヤ。
【請求項1】
車体(4)にノズルブーム(2)を設け、該車体(4)またはノズルブーム(2)に風の向きを検出する風向センサ(1)を設け、前記ノズルブーム(2)に噴霧ノズル(3)を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ(1)による風の向きの検出結果に基づいて噴霧ノズル(3)の向きを変更して噴霧方向を変更制御することを特徴とするブームスプレヤ。
【請求項2】
車体(4)にノズルブーム(2)を設け、該車体(4)またはノズルブーム(2)に風の向きを検出する風向センサ(1)を設け、前記ノズルブーム(2)に噴霧ノズル(3)を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ(1)による風の向きの検出結果に基づいて前記ノズルブーム(2)を移動して噴霧方向を変更制御することを特徴とするブームスプレヤ。
【請求項3】
車体(4)にノズルブーム(2)を設け、該車体(4)またはノズルブーム(2)に風の向きを検出する風向センサ(1)を設け、前記ノズルブーム(2)に噴霧ノズル(3)を設けたブームスプレヤにおいて、前記風向センサ(1)による風の向きの検出結果に基づいて前記ノズルブーム(2)を車体(4)の前後方向へ移動して噴霧位置を変更制御することを特徴とするブームスプレヤ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−79574(P2008−79574A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266488(P2006−266488)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】
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