説明

防音構造

【課題】床版の強度に依存することなく、かつ用地の制約なく構築することができる防音構造を提供する。
【解決手段】地盤4には支柱9a、9cが設けられ、支柱9a、9cにはL字形部材11a、11cが設けられている。L字形部材11a、11cの端部は橋脚に連結されている。
L字形部材11aとL字形部材11cの間には防音壁13aが設けられている。防音壁13の端部はL字形部材11a、11cの側面に設けられた溝部に挿入されている。そして、支柱9a、9c、L字形部材11a、11c、防音壁13aとで防音構造1aを構成している。
防音構造1aは床版5に支持されていないので、床版5の強度に依存することはなく、また、橋梁3の用地内に設けられているので、用地の制約なく構築することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は防音構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
橋梁の中には、床版に道路やレールを設け、車両や列車が通行する構造としているものがよく知られているが、特に都市部においては車両や列車が発する騒音が問題となるため、防音構造を設けているものが多い。
【0003】
防音構造には種々の構造が知られているが、一般的な構造としては、床版の端部に防音壁を構築し、防音壁が車両や列車の発する騒音を吸収ないし反射することで、外部に伝わる騒音を低減している。
このような防音構造としては以下のようなものが知られている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2001-3321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構造では、防音壁が床版上に設けられており、床版が防音壁を支持しなければならないため、床版の劣化とともに防音壁が破損し、外部に落下する恐れがある。
【0005】
また、特に古い橋梁は最新の橋梁と比べて床版が薄い場合が多く、防音壁を支持するための強度が不十分であるため、背の高い防音壁を設けることができなかった。
【0006】
このような場合、橋梁の外方に独立して防音壁を設ける手段もあるが、防音壁を設けるための専用の用地が必要となるため、用地の制約から、実際にはこのような防音壁の構築は困難であった。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は床版の強度に依存することなく、かつ用地の制約なく構築することができる防音構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、地盤上に設けられた橋脚と、前記橋脚上に設けられた床版と、を具備する橋梁の防音構造であって、前記床版の下方の地盤上に構築された一対の支柱と、一対の前記支柱の上端に各々設けられ、側面から見た形状が略L字形であり、前記側面に溝部を有する一対のL字形部材と、一対の前記L字形部材の前記溝部に挿入された板状の防音壁と、を有することを特徴とする防音構造である。
【0009】
前記L字形部材は、前記L字のうち、地盤に略垂直な部分が、前記床版に設けられた開口部を貫通して設けられている。
前記L字形部材は、前記L字のうち、地盤に略平行な部分の端部が、前記橋脚に連結されていてもよい。
前記L字型部材は、例えば複数のH形鋼もしくはリップみぞ形鋼を結合した構造を有する。
【0010】
前記防音壁は、複数の板状部材を重畳した構造であり、例えばプレキャストコンクリート板、もしくは軽量形鋼からなる。
前記防音構造は、前記支柱と前記L字形部材の間に設けられた支持梁をさらに有してもよい。
前記L字形部材が、前記橋脚に連結されていない場合は、前記支柱は、複数の支柱からなってもよい。
【0011】
第2の発明は、地盤上に設けられた橋脚と、前記橋脚上に設けられた床版からなる橋梁の防音構造であって、側面から見た形状が略L字形であり、前記L字のうち、地盤に略平行な部分の端部が前記橋脚に連結され、前記側面に溝部を有する一対のL字形部材と、一対の前記L字形部材の前記溝部に挿入された板状の防音壁と、を有することを特徴とする防音構造である。
【0012】
本発明では、防音構造が、L字形部材と、L字形部材の溝部に挿入された防音壁を備えており、L字形部材は支柱もしくは橋脚に固定されている。
また、防音構造全体が橋梁の用地内に設けられている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、防音構造が、L字形部材と、L字形部材の溝部に挿入された防音壁を備えており、L字形部材は支柱もしくは橋脚に固定されているので、防音構造を、床版の強度に依存することなく構築することができる。
【0014】
また、本発明によれば、防音構造全体が橋梁の用地内に設けられているので、防音構造を用地の制約なく構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明に好適な実施形態を詳細に説明する。図1は、第1の実施形態に係る防音構造1a、1bを示す斜視図であって、図2は図1のA1方向矢視図である。
【0016】
また、図3は図1のB1方向矢視図、図4は図1のC1方向矢視図、図5は図2のD1−D1断面図である。
さらに、図6は図4のL字形部材11a付近の拡大図であり、図7は板状部材14、14aを示す図、図8は図7のF1−F1断面図およびF2−F2断面図、図9は防音壁13aの設置方法を示す図である。
【0017】
図1〜図3に示すように、地盤4内に基礎17a、17cが設けられており、基礎17a上には橋脚7a、7bが構築されている。また、基礎17c上には、橋脚7c、7dが構築されている。
【0018】
橋脚7a、7b、7c、7d上には床版5が設けられている。
図4に示すように、床版5の側面には開口部15a、15b、15c、15dが設けられている。
【0019】
そして、橋脚7a、7b、7c、7dと床版5とで橋梁3を構成している。
床版5上には図示しない道路やレール等が設けられており、車両や列車が通行可能となっている。
【0020】
図2および図3に示すように、地盤4のうち、床版5の下部には基礎19a、19b、19cおよび図示しない基礎が設けられており、基礎19a、19b、19cおよび図示しない基礎には支柱9a、9b、9c、9dが設けられている。
【0021】
基礎19a、19b、19cおよび図示しない基礎は支柱9a、9b、9c、9dを支えるための部材であり、形状はいわゆる「べた基礎」である。
【0022】
図5に示すように支柱9aは、H形鋼12a、12bを結合し、周囲をコンクリート14で覆った構造を有している。
支柱9b、9c、9dの構造も支柱9aの構造と同様である。
支柱9a、9cおよび支柱9b、9dは、防音構造1aおよび防音構造1bを支持する部材である。
【0023】
図1〜図3に示すように、支柱9a、9b、9c、9dの上端部にはL字形部材11a、11b、11c、11dが設けられている。
L字形部材11a、11b、11c、11dは後述する防音壁13a、13bを支持する部材である。
【0024】
図1および図2に示すように、L字形部材11a、11b、11c、11dは側面から見た形状がL字形の部材である。
L字形部材11a、11bの、地盤4に平行な部分の端部は連結板22a、22bおよび連結板22c、22dを介して橋脚7aに連結されている。
【0025】
即ち、L字形部材11a、11bは支柱9a、9bと橋脚7a、7bに固定され、これらの部材によって支持されている。
【0026】
同様に、L字形部材11cの地盤4に平行な部分の端部は、連結板22eおよび図示しない連結板を介して橋脚7cに連結されており、L字形部材11dの地盤4に平行な部分の端部は、図示しない2枚の連結板を介して橋脚7dに連結されている。
【0027】
また、図4に示すように、L字形部材11a、11b、11c、11dの地盤4に垂直な部分は、床版5に設けられた開口部15a、15b、15c、15dを貫通して設けられている。
【0028】
図6に示すようにL字形部材11aは、H形鋼21a、21bを結合した構造を有している。
【0029】
従って、側面には溝部23a、23bが設けられている。
L字形部材11b、11c、11dもL字形部材11aと同様に、2つのH形鋼を結合した構造を有しており、側面には溝部が設けられている。
【0030】
図1〜図4に示すように、L字形部材11aとL字形部材11cの間には防音壁13aが設けられている。
同様に、L字形部材11bとL字形部材11dの間には防音壁13bが設けられている。
【0031】
図6に示すように、防音壁13aの端部は溝部23aに挿入されている。
同様に、防音壁13aの別の端部はL字形部材11cの溝部に挿入されている。
また、防音壁13bの端部はL字形部材11b、11dの溝部に挿入されている。
【0032】
防音壁13a,13bは防音用の板材であり、図1に示すように、複数の板状部材14を重畳した構造を有している。
図7(a)および図8(a)に示すように、板状部材14は、軸方向の断面形状が矩形であり、材質はプレキャストコンクリートである。
なお、図7(b)および図8(b)に示すように、板状部材14aとして、軸方向の断面形状がCの字形の軽量形鋼を用いていもよい。
【0033】
防音壁13aを設ける場合は、図9に示すように、板状部材14をE1方向に移動させ、L字形部材11a、11cの溝部に挿入する。
そして、別の板状部材14を同様にL字形部材11a、11cの溝部に挿入し、重畳することによって防音壁13aを設ける。
【0034】
その後、必要に応じてL字形部材11a、11cと板状部材14をボルト等の固定手段を用いて固定し、また板状部材14同士も必要に応じてボルト等の固定手段を用いて固定する。
なお、防音壁13bも、防音壁13aと同様に、板状部材14を重畳して設けられる。
【0035】
このようにして、支柱9a、9c、L字形部材11a、11cおよび防音壁13aで防音構造1aが構成される。
同様に、支柱9b、9d、L字形部材11b、11dおよび防音壁13bで防音構造1bが構成される。
【0036】
従って、床版5上に設けられている道路やレール上を車両や列車が通行することによって発生した騒音は、防音壁13a、13bによって吸収ないしは反射され、橋梁3の外部に伝わる騒音は低減される。
【0037】
ここで、防音構造1aは支柱9a、9cが地盤4に固定されており、L字形部材11a、11cが橋脚7a、7cに固定されている。
防音構造1bも防音構造1aと同様に、支柱9b、9dが地盤4に固定されており、L字形部材11b、11dが橋脚7b、7dに固定されている。
【0038】
即ち、防音構造1a、1bは地盤4および橋脚7a、7b、7c、7dに固定され、支持されているが、床版5には固定されておらず、支持もされていない。
従って、防音構造1a、1bは床版5の強度に依存することがなく、床版5が劣化しても、影響を受けて防音構造1a、1bが破損することはない。
【0039】
また、防音構造1a、1bは床版5の強度に依存しないので、床版5に防音構造を固定する従来の構造よりも、防音壁13a、13bを高く構築することができる。
【0040】
さらに、防音構造1a、1bは支柱9a、9cおよび支柱9b、9dが、床版5の下方に設けられており、L字形部材11a、11cおよびL字形部材11b、11dが、床版5の側面に設けられた開口部15a、15b、15c、15dを貫通して設けられている。
【0041】
即ち、防音構造1a、1bは床版5の投影面内、即ち橋梁3の用地内に設けられている。
従って、防音構造1a、1bを構築するための用地を別途確保する必要がなく、防音構造1a、1bを用地の制約なく構築することができる。
【0042】
また、防音構造1a、1bは床版5には固定されておらず、床版5とは独立した構造物であるため、取付工事や補修工事を床版5上で行う必要がない。
従って、床版5上に道路やレールが設けられている場合であっても、防音構造1a、1bの取付工事や補修工事によって床版5上の交通を妨げることがない。
【0043】
なお、防音構造1a、1bにおいて、支柱およびL字形部材は、最低でも1対設けられている必要があるが、それ以上であれば数は特に限定されず、これらを増やすことによって、防音構造1a、1bを延長することが可能である。
【0044】
例えば図1および図2において、支柱9aおよびL字形部材11aの右側に図示しない支柱および図示しないL字形部材をさらに設け、L字形部材11aと図示しないL字形部材の間に防音壁を設けることによって、防音構造1aは延長される。防音構造1bも同様である。
【0045】
このように、第1の実施形態によれば、防音構造1a、1bが支柱9a、9c、L字形部材11a、11c、防音壁13aおよび支柱9b、9d、L字形部材11b、11d、防音壁13bからなり、支柱9a、9c、9b、9dが地盤4に固定され、L字形部材11a、11c、11b、11dが橋梁7a、7c、7b、7dに固定されている。
【0046】
従って、防音構造1a、1bは床版5の強度に依存することがなく、床版5が劣化しても、影響を受けて防音構造1a、1bが破損することがない。
【0047】
また、第1の実施形態によれば、防音構造1a、1bは床版5の強度に依存しないので、床版5が防音構造を支持する従来の構造よりも、背の高い防音壁13a、13bを構築することができる。
【0048】
さらに、第1の実施形態によれば、防音構造1a、1bは橋梁3の用地内に設けられているので、防音構造1a、1bを構築するための用地を別途確保する必要がない。
従って、防音構造1a、1bを用地の制約なく構築することができる。
【0049】
また、第1の実施形態によれば、防音構造1a、1bは床版5には固定されておらず、床版5とは独立した構造物である。
従って、床版5上に道路やレールが設けられている場合であっても、防音構造1a、1bの取付工事や補修工事によって床版5上の交通を妨げることがない。
【0050】
次に、第2の実施形態について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る防音構造31a、31bを示す斜視図であって、図11は図10のA2方向矢視図である。
【0051】
また、図12は図11のD2−D2断面図、図13は図11のC2方向矢視図、図14は図13のL字形部材33a付近の拡大図である。
なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0052】
第2の実施形態に係る防音構造31a、31bは、第1の実施形態に係る防音構造1a、1bにおいて、支柱として円筒状のコンクリートポールを用い、支柱の下端部は地盤4に埋め込まれている。
また、L字形部材33a、33b、33c、33dとして、リップみぞ形鋼を結合したものを用いている。
【0053】
図10および図11に示すように、地盤4には支柱39a、39b、39c、39dが構築されている。
図10および図12に示すように、支柱39aは、円筒状の形状を有するコンクリートポールである。
なお、支柱39b、39c、39dの構造も支柱39aと同様である。
【0054】
図11に示すように、支柱39a、39bは、下端部が地盤4内に埋め込まれており、埋め込まれた下端部の周囲はコンクリート41a、41bで固められている。
即ち、支柱39a、39bは、下端部が基礎として用いられている。
【0055】
このような構造にすることにより、地盤4が軟弱な場合でも、支柱の支持強度を十分に確保でき、防音構造31a、31bの倒壊を防ぐことができる。
【0056】
また、例えばL字形部材33a、33b、33c、33dを橋脚7a、7b、7c、7dに固定できず、防音構造31a、31bを支柱のみで支持しなければならない場合でも、支柱の支持強度を十分に確保でき、防音構造31a、31bの倒壊を防ぐことができる。
なお、支柱39c、39dの構造も、支柱39a、39bと同様である。
【0057】
図10および図11に示すように、支柱39a、39b、39c、39dの上端部には、L字形部材33a、33b、33c、33dが設けられている。
L字形部材33a、33b、33c、33dの地盤4に平行な部分の端部は、連結板を介して橋脚7a、7b、7c、7dに連結されている。
【0058】
図13および図14に示すように、L字形部材33aは、リップみぞ形鋼40a、40bからなり、リップみぞ形鋼40a、40bの側面のうち、平坦な部分を結合した構造を有している。
【0059】
従って、L字形部材33aの側面には溝部42a、42bが設けられている。
L字形部材33b、33c、33dもL字形部材33aと同様に、2つのリップみぞ形鋼を結合した構造を有しており、側面には溝部が設けられている。
【0060】
このように、L字形部材33a、33b、33c、33dをリップみぞ形鋼で形成してもよい。
このような構造することにより、H形鋼を用いた場合と比べ、L字形部材の曲げ剛性が大きくなるという効果がある。
【0061】
このように、第2の実施形態によれば、防音構造31aおよび防音構造31bが支柱39a、39c、L字形部材33a、33c、防音壁13aおよび支柱39b、39d、L字形部材33b、33d、防音壁13bからなり、支柱39a、39c、39b、39dが地盤4に固定され、L字形部材33a、33c、33b、33dが橋梁7a、7c、7b、7dに固定されている。
【0062】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0063】
また、第2の実施形態によれば、支柱39a、39b、39c、39dは、端部が地盤4内に埋め込まれており、周囲はコンクリートで固められている。
従って、支柱の基礎として、べた基礎を用いた場合と比べ、支柱の支持強度を十分に確保でき、防音構造31a、31bの倒壊を防ぐことができる。
【0064】
さらに、第2の実施形態によれば、L字形部材33a、33b、33c、33dはリップみぞ形鋼からなるのでH形鋼を用いた場合と比べ、L字形部材の曲げ剛性が大きくなるという効果を奏する。
【0065】
次に、第3の実施形態について説明する。図15は第3の実施形態に係る防音構造51a、51bを示す斜視図である。
なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0066】
第3の実施形態は、第1の実施形態と異なり、L字形部材11a、11b、11c、11dは橋脚に固定されておらず、また、L字形部材11a、11b、11c、11dと支柱9a、9b、9c、9dの間には支持梁53a、53bが設けられている。
【0067】
図15に示すように、L字形部材11a、11b、11c、11dの位置と橋脚7e、7fの位置がずれている場合等、L字形部材11a、11b、11c、11dを橋脚7e、7fに固定できない場合がある。
【0068】
かかる場合は、支柱9a、9b、9c、9dのみで防音構造51a、51bを支持しなければならないので、何らかの補強手段が必要となる。
【0069】
図15に示すように、防音構造51a、51bは、補強手段としての支持梁53a、53bを有している。
【0070】
支持梁53aは支柱9aとL字形部材11aの間に設けられており、また支柱9cとL字形部材11cの間にも設けられている。
支持梁53bは支柱9bとL字形部材11bの間に設けられており、また支柱9dとL字形部材11dの間にも設けられている。
【0071】
即ち、支持梁53aは支柱9a、L字形部材11aと支柱9c、L字形部材11cを連結している。
同様に、支持梁53bは支柱9b、L字形部材11bと支柱9d、L字形部材11dを連結している。
【0072】
支持梁53a、53bとしては図15に示すようなH形鋼が用いられるが、H形鋼ではなく、角型鋼管を用いてもよい。
【0073】
このように、支持梁53a、53bを設けた構造にすることにより、防音構造51a、51bを構成する複数の支柱とL字形部材が、支持梁53a、53bによって一体となる。
【0074】
従って、L字形部材11a、11b、11c、11dを橋脚7e、7fに固定できない場合でも、支柱の支持強度を十分に確保でき、防音構造51a、51bの倒壊を防ぐことができる。
【0075】
このように、第4の実施形態によれば、防音構造51aおよび防音構造51bが支柱9a、9c、L字形部材11a、11c、防音壁13および支柱9b、9d、L字形部材11b、11d、防音壁13を有し、支柱9a、9c、9b、9dが地盤に固定されている。
【0076】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0077】
また、第3の実施形態によれば、防音構造51a、51bは、支持梁53a、53bを有し、支持梁53aは支柱9a、L字形部材11aと支柱9c、L字形部材11cを連結し、支持梁53bは支柱9b、L字形部材11bと支柱9d、L字形部材11dを連結している。
【0078】
従って、L字形部材11a、11b、11c、11dを橋脚7e、7fに固定できない場合でも、支柱の支持強度を十分に確保でき、防音構造51a、51bの倒壊を防ぐことができる。
【0079】
次に、第4の実施形態について説明する。
図16は第4の実施形態に係る防音構造55a、55bを示す斜視図である。
なお、第4の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0080】
第4の実施形態は、第1の実施形態と異なり、L字形部材11a、11b、11c、11dは橋脚に固定されておらず、また、L字形部材11a、11b、11c、11dはそれぞれ2本の支柱に支持されている。
【0081】
図16に示すように、床版5の下部の地盤上には支柱57a、59aが構築され、支柱57a、59aにはL字形部材11aが設けられている。
同様に、床版5の下部の地盤上には支柱57b、59b、57c、59cおよび2本の図示しない支柱が構築さている。
【0082】
支柱57b、59bにはL字形部材11bが設けられ、支柱57c、59cにはL字形部材11cが設けられている。
図示しない2本の支柱にはL字形部材11dが設けられている。
なお、L字形部材11a、11b、11c、11dは橋脚7e、7fには接続されていない。
【0083】
即ち、L字形部材11a、11b、11c、11dはそれぞれ2本の支柱に支持されている。
【0084】
このような構造にすることにより、L字形部材11a、11b、11c、11dを橋脚7e、7fに固定できない場合でも、支柱による支持の強度を十分に確保でき、防音構造55a、55bの倒壊を防ぐことができる。
【0085】
このように、第4の実施形態によれば、防音構造55aおよび防音構造55bが支柱支柱57a、59a、支柱57c、59c、L字形部材11a、11c、防音壁13aおよび支柱支柱57b、59b、図示しない2本の支柱、L字形部材11b、11d、防音壁13bを有し、各支柱が地盤に固定されている。
【0086】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0087】
また、第4の実施形態によれば、L字形部材11a、11b、11c、11dはそれぞれ2本の支柱に支持されているので、L字形部材11a、11b、11c、11dを橋脚7e、7fに固定できない場合でも、支柱による支持の強度を十分に確保でき、防音構造55a、55bの倒壊を防ぐことができる。
【0088】
次に、第5の実施形態について説明する。
図17は第5の実施形態に係る防音構造61a、61bを示す斜視図であって、図18は図17のA3方向矢視図、図19は図17のB3方向矢視図である。
【0089】
なお、第5の実施形態において、第1の実施形態と同様の機能を果たす要素には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0090】
第5の実施形態は、第1の実施形態において、支柱9a、9b、9c、9dを設けず、L字形部材11a、11b、11c、11dは橋脚7a、7b、7c、7dにのみ固定されている。
【0091】
図17〜図19に示すように、L字形部材11a、11b、11c、11dは橋脚7a、7b、7c、7dにのみ固定されている。
例えば、防音壁13a、13b、L字形部材11a、11b、11c、11dが軽量な材料で構成されている場合等は、このような支柱のない構造でも防音構造61a、61bの支持強度を十分に確保することができる。
【0092】
このように、第5の実施形態によれば、防音構造61aおよび防音構造61bがL字形部材11a、11c、防音壁13aおよびL字形部材11b、11d、防音壁13bを有し、L字形部材11a、11b、11c、11dは橋脚7a、7b、7d、7dに固定されている。
【0093】
従って、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0094】
また、第5の実施形態によれば、防音構造61a、61bは支柱が不要であるため、第1の実施形態と比べて構造が簡易である。
【0095】
以上、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0096】
例えば、各実施形態では、橋梁3の両側に防音構造を設けているが、片側のみに防音構造を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】防音構造1a、1bを示す斜視図
【図2】図1のA1方向矢視図
【図3】図1のB1方向矢視図
【図4】図1のC1方向矢視図
【図5】図2のD1−D1断面図
【図6】図4のL字形部材11a付近の拡大図
【図7】板状部材14、14aを示す図
【図8】図7のF1−F1断面図およびF2−F2断面図
【図9】防音壁13aの設置方法を示す図
【図10】防音構造31a、31bを示す斜視図
【図11】図10のA2方向矢視図
【図12】図11のD1−D1断面図
【図13】図11のC2方向矢視図
【図14】図13のL字形部材33a付近の拡大図
【図15】防音構造51a、51bを示す斜視図
【図16】防音構造55a、55bを示す斜視図
【図17】防音構造61a、61bを示す斜視図
【図18】図17のA3方向矢視図
【図19】図17のB3方向矢視図
【符号の説明】
【0098】
1a………防音構造
3…………橋梁
5…………床版
7a………橋脚
9a………支柱
11a……L字形部材
13a………防音壁
15a……開口部
17a……基礎
19a……基礎
21a……H形鋼
23a……溝部
31a……防音構造
33a……L字形部材
39a……支柱
40a……リップみぞ形鋼
41a……コンクリート
51a……防音構造
53a……支持梁
55a……防音構造
57a……支柱
59a……支柱
61a……防音構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤上に設けられた橋脚と、前記橋脚上に設けられた床版と、を具備する橋梁の防音構造であって、
前記床版の下方の地盤上に構築された一対の支柱と、
一対の前記支柱の上端に各々設けられ、側面から見た形状が略L字形であり、前記側面に溝部を有する一対のL字形部材と、
一対の前記L字形部材の前記溝部に挿入された板状の防音壁と、
を有することを特徴とする防音構造。
【請求項2】
前記L字形部材は、前記L字のうち、地盤に略垂直な部分が、前記床版に設けられた開口部を貫通して設けられていることを特徴とする請求項1記載の防音構造。
【請求項3】
前記L字形部材は、前記L字のうち、地盤に略平行な部分の端部が、前記橋脚に連結されていることを特徴とする請求項1記載の防音構造。
【請求項4】
前記L字型部材は、複数のH形鋼を結合したことを特徴とする請求項4記載の防音構造。
【請求項5】
前記L字型部材は、複数のリップみぞ形鋼を結合したことを特徴とする請求項6記載の防音構造。
【請求項6】
前記防音壁は、複数の板状部材を重畳してなることを特徴とする請求項1記載の防音構造。
【請求項7】
前記防音壁はプレキャストコンクリート板からなることを特徴とする請求項1記載の防音構造。
【請求項8】
前記防音壁は、軽量形鋼からなることを特徴とする請求項1記載の防音構造。
【請求項9】
前記支柱と前記L字形部材の間に設けられた支持梁をさらに有することを特徴とする請求項1記載の防音構造。
【請求項10】
前記支柱は、複数の支柱からなり、
前記L字形部材は、前記橋脚に連結されていないことを特徴とする請求項1記載の防音構造。
【請求項11】
地盤上に設けられた橋脚と、前記橋脚上に設けられた床版からなる橋梁の防音構造であって、
側面から見た形状が略L字形であり、前記L字のうち、地盤に略平行な部分の端部が前記橋脚に連結され、前記側面に溝部を有する一対のL字形部材と、
一対の前記L字形部材の前記溝部に挿入された板状の防音壁と、
を有することを特徴とする防音構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−332649(P2007−332649A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−165451(P2006−165451)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000173784)財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【Fターム(参考)】