説明

降車信号通信装置

【課題】 本発明は、無線化した通信装置の設置作業が繁雑となることなく、電池の交換回数を減らす若しくは電池の交換を不要とすることが可能な降車信号通信装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本実施形態の降車信号通信装置1は、各装置(10、20)に自車バスと他車バスとを判別する共通の車番データD2を入力記憶させるだけで良いため、自車バスと他車バスの電波が干渉することなく降車信号通信装置1が作動することができ、個々の通信装置20、120、220が持つ識別番号データ全てを降車信号制御装置10に入力しなくとも良いので、設置作業が楽となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バス等で降車する際に乗客が合図として使用する通信装置と、その通信装置から受信した信号によりバス内の各機器を制御する制御装置との間での通信における降車信号通信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からバス等で降車する際に乗客が合図として使用する押し釦スイッチの通信装置とその通信装置から受信した信号によりバス内の各機器を制御する制御装置との間の接続は、配線を敷設した有線が使用されてきたが、これら装置では、バス1台に対して押し釦スイッチを約30台設置する必要があり、配線を敷設する不便さがあった。そのため、昨今では、これら配線をなくし無線化するような技術が多く見られるようになった。
例えば、特許文献1では、配線を支柱の中に通すことなく赤外線送受信装置を使用して無線化された通信装置が開示されている。
また、特許文献2では電池の交換に関する保守のコストがかかるという問題から、電池の交換を不要とする手段を提供するために、特許文献1に見られるような太陽電池を内蔵し無線化された通信装置が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平11−105613号公報(段落〔0011〕から段落〔0015〕)
【特許文献2】特開2004−350019号公報(段落〔0035〕から段落〔0041〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バスの走行中やバス停付近等又はバスの車庫において、バス同士が近接することが多々あり、無線化した電波が干渉して反応しないように、多数有るスイッチ全てについて、個々の押し釦スイッチに内蔵されている個別のIDを親機又は受信装置に1個ずつ記憶させなければならなく、降車信号通信装置の設置作業が繁雑となっていた。
また、これら技術を採用するには、特許文献1に見られるように無線であるため押し釦スイッチの電池の交換に関する保守のコストがかかるという問題を解決する必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、無線化した通信装置の設置作業が繁雑となることなく、電池の交換回数を減らす若しくは電池の交換を不要とすることが可能な降車信号通信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の降車信号通信装置(1に相当する)は、車両から乗客が降車する際に、その乗客が降車することを告知したいときの合図(「次止まります」の表示、「ピンポン」の音声に相当する)として使用する複数の通信装置(20、120、220に相当する、子機ともいう)と、その通信装置から得た信号を受信して、前記合図を告知する告知装置(30、スピーカに相当する)を作動させる降車信号制御装置(10に相当する、親機ともいう)と、を備えた降車信号通信装置において、前記通信装置は、少なくとも自車両と他車両とを判別するために、前記降車信号制御装置へ送信する全ての前記通信装置が同一の判別データ(D2)を予め記憶した通信記憶部(226に相当する)と、乗客のスイッチ(23、123、223、押し釦スイッチ、スライドスイッチに相当する。)の操作に基づいて前記判別データを前記降車信号制御装置へ無線で送信する通信部(22、122、222、アンテナ、ロッドアンテナに相当する。)と、前記スイッチが押されている間のみ前記通信部が電気的に接続され前記判別データを送信する通信制御部(21、121、221に相当する)と、を設け、前記降車信号制御装置は、前記判別データを予め記憶する制御記憶部(16に相当する)と、前記通信部から無線で送信されてきた前記判別データを受信する中央通信部(14に相当する)と、送信されてきた前記判別データと前記制御記憶部に記憶されている前記判別データとを比較し両判別データが合致したときに、前記告知装置に前記合図を告知させる作動信号を出力する中央制御部(11に相当する)と、を設けたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の降車信号通信装置(1に相当する)は、車両から乗客が降車する際に、その乗客が降車することを告知したいときの合図(「次止まります」の表示、「ピンポン」の音声に相当する)として使用する通信装置(20、120、220に相当する、子機ともいう)と、その通信装置から得た信号を受信して、前記合図を告知する告知装置(30、スピーカに相当する)を作動させる降車信号制御装置(10に相当する、親機ともいう)と、を備えた降車信号通信装置において、前記通信装置は、少なくとも自車両と他車両とを判別するために、前記降車信号制御装置へ送信する全ての前記通信装置が同一の判別データ(D2)を予め記憶した通信記憶部(226に相当する)と、乗客のスイッチ(23、123、223、押し釦スイッチ、スライドスイッチに相当する)の操作に基づいて前記判別データを前記降車信号制御装置へ無線で送信する通信部(22、122、222に相当する)と、前記スイッチが押されている間のみ電源部(24、224に相当する)と電気的に接続され前記判別データを送信する通信制御部(21、121、221に相当する)と、を設け、前記降車信号制御装置は、前記判別データを予め記憶する制御記憶部(16に相当する)と、前記通信部から無線で送信されてきた前記判別データを受信する中央通信部(14に相当する)と、送信されてきた前記判別データと制御記憶部に記憶されている前記判別データとを比較し両判別データが合致したときに、告知装置に前記合図を告知させる作動信号を出力する前記中央制御部(11に相当する)と、を設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の降車信号通信装置(1に相当する)は、前記通信装置(20、120、220に相当する、子機ともいう)は、個々の当該通信装置の識別をするための識別番号データ(D1)を予め記憶した前記通信記憶部(226)を設け、前記降車信号制御装置(10に相当する、親機ともいう)は、前記通信部(22、122、222に相当する)から無線で送信されてきた前記判別データ(D2に相当する)と、記憶されている前記降車信号制御装置の前記判別データとを比較し、両判別データが合致したときに、前記制御記憶部(16に相当する)に記憶されている前記識別番号データと前記通信装置から送られてきた前記識別番号データとを比較し、前記制御記憶部に記憶されていないときには、新たに前記識別番号データを更新記憶する前記制御記憶部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の降車信号通信装置は、車両から乗客が降車する際に、その乗客が降車することを告知したいときの合図として使用する複数の通信装置と、その通信装置から得た信号を受信して、前記合図を告知する告知装置を作動させる降車信号制御装置と、を備えた降車信号通信装置において、前記通信装置は、少なくとも自車両と他車両とを判別するために、前記降車信号制御装置へ送信する全ての前記通信装置が同一の判別データを予め記憶した通信記憶部と、乗客のスイッチの操作に基づいて前記判別データを前記降車信号制御装置へ無線で送信する通信部と、前記スイッチが押されている間のみ前記通信部が電気的に接続され前記判別データを送信する通信制御部と、を設け、前記降車信号制御装置は、前記判別データを予め記憶する制御記憶部と、前記通信部から無線で送信されてきた前記判別データを受信する中央通信部と、送信されてきた前記判別データと前記制御記憶部に記憶されている前記判別データとを比較し、両判別データが合致したときに、前記告知装置に前記合図を告知させる作動信号を出力する中央制御部と、を設けたので、自車両と他車両とを判別する共通の判別データを入力記憶させるだけ良いため、自車両と他車両との受信データが混在しても自車両の判別ができ、降車信号通信装置が作動することができるので、設置作業が簡便である。
【0010】
前記スイッチが押されている間のみ前記通信部が電気的に接続され前記判別データを送信する通信制御部が設けられているので、通信装置は、スイッチが押されている間、通信制御部と通信部とが電気的に接続されるため、通信装置は、電力を極力消費することがなく、データ送信が行われるので、一次電池が無くとも使用でき、又電池を内蔵し使用しても微少であるため電池交換の頻度を減らすことができる。
【0011】
請求項2記載の本実施形態の降車信号通信装置は、車両から乗客が降車する際に、その乗客が降車することを告知したいとき合図として使用する複数の通信装置と、その通信装置から得た信号を受信して、前記合図を告知する告知装置を作動させる降車信号制御装置と、を備えた降車信号通信装置において、前記通信装置は、少なくとも自車両と他車両とを判別するために、前記降車信号制御装置へ送信する全ての前記通信装置が同一の判別データを予め記憶した通信記憶部と、乗客のスイッチの操作に基づいて前記判別データを前記降車信号制御装置へ無線で送信する通信部と、前記スイッチが押されている間のみ電源部と電気的に接続され前記判別データを送信する通信制御部と、を設け、前記降車信号制御装置は、前記判別データを予め記憶する制御記憶部と、前記通信部から無線で送信されてきた前記判別データを受信する中央通信部と、送信されてきた前記判別データと前記制御記憶部に記憶されている前記判別データとを比較し両判別データが合致したときに、前記告知装置に前記合図を告知させる作動信号を出力する中央制御部と、を設けたので、自車両と他車両とを判別する共通の判別データを入力記憶させるだけ良いため、自車両と他車両との受信データが混在しても自車両の判別ができ、降車信号通信装置が作動することができるので、設置作業が簡便である。
【0012】
前記スイッチが押されている間のみ電源部と電気的に接続され前記判別データを送信する通信制御部とを設けたので、通信装置は、スイッチが押されている間、通信制御部と電源部とが電気的に接続されるため、通信装置は、電力を極力消費することがなく、データ送信が行われるので、一次電池が無くとも使用でき、又電池を内蔵し使用しても微少であるため電池交換の頻度を減らすことができる。
【0013】
請求項3記載の降車信号通信装置は、前記通信装置は、個々の当該通信装置の識別をするための識別番号データを予め記憶した前記通信記憶部を設け、前記降車信号制御装置は、前記通信部から無線で送信されてきた前記判別データと、記憶されている前記降車信号制御装置の判別データと比較し両判別データが合致したときに、前記制御記憶部に記憶されている前記識別番号データと前記通信装置から送られてきた前記識別番号データとを比較し、前記制御記憶部に記憶されていないときには、新たに前記識別番号データを更新記憶する前記制御記憶部を設けたので、初期導入の設置作業が容易となり、また通信装置が故障で交換したときでも、降車信号制御装置に識別番号データを入力する必要が無く降車信号制御装置に識別番号データが自動で作成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図1乃至図2及び図6に基づいて説明する。
図1(A)は、本実施の形態における降車信号通信装置1の全体構成の概要の一例を示す図であり、図1(B)は、本実施の形態における降車信号通信装置1をバス2に搭載したときの全体構成の概要の一例を示す図である。図2は、本実施の形態における降車信号通信装置1における降車信号制御装置10の全体構成の一例を示す図である。図6(A)は、本実施の形態における降車信号制御装置10のメモリ部16に記憶されるデータの一例を示す図である。
【0015】
図1に示すように、降車信号通信装置1は、バス2に搭載され、告知装置としての客先表示灯(表示装置)30と、降車信号制御装置10(親機)と、電源供給部40と、通信装置(子機)20と、から構成されている。
後述する通信装置20は、座ったまま乗客が操作できるようにバス2の椅子の背もたれの後部や、立ったまま乗客が操作できるように、図示しない車内の支柱に取り付けられている。
【0016】
次に、客先表示灯30は、液晶表示器やLED表示器により構成されており、バス2の車内の前方や壁面等に設けられ、乗客から視認しやすい位置に設けられている。また、客先表示灯30は、降車信号制御装置10に接続されており、その降車信号制御装置10から制御信号を受け取り「次止まります」等の表示を行っている。
電源供給部40は、バス2に搭載されるバッテリーが使用され、降車信号制御装置10と接続されており、その降車信号制御装置10に電源を供給している。
【0017】
図2に見られるように、降車信号制御装置10は、CPUが内蔵された中央制御部11と電源供給部40と接続された電源入力部15が設けられている。電源入力部15は、降車信号制御装置10の電源を全てまかなっている。
中央制御部11は、表示部12と、アナウンス部13と、中央通信部14と、制御記憶部としてのメモリ部16と、設定スイッチ部17と、外部入出力部18とに電気的に接続され、外部入出力部18や中央通信部14の入力に基づいて各機器(12、13、18)に制御信号を出力している。
【0018】
表示部12は、客先表示灯30に接続され、客先表示灯30に表示する内容のデータを記憶している。また、表示部12は、客先表示灯30を駆動させる電源を供給したり、中央制御部11の指令に基づいて客先表示灯30の駆動制御をしている。
アナウンス部13は、図示しない告知装置としてのスピーカに接続され、音を生成・出力するためのデータを記憶している。
中央通信部14は、図示しないアンテナに接続され、通信装置20から送信されてくる無線信号を受信して受信したデータを中央制御部11に送信している。また、中央制御部11からの指令によりデータ送信も可能である。
【0019】
メモリ部16は、EEPROMが使用されており、データの読み書きができるようになっている。図6(A)に示すように、制御記憶部としてのメモリ部16内には、通信装置20の個々のIDデータとなる識別番号データD1と、バス2同士の干渉を防ぐための判別データとしての車番データD2と、通信装置20のボタンが押された回数を記憶する回数データD3と、が記憶されている。
設定スイッチ17は、ディップスイッチやローターリースイッチで構成されており、データ(D1〜D3)を記憶する際に、外部から書換可能なモードに設定変更を行ったり、降車信号制御装置10が複数台設置される場合に降車信号制御装置10自体の識別(ID)に使用される。
【0020】
外部入出力部18は、バス2のドアスイッチと配線19により接続されており、ドアスイッチからの信号(リセット信号)を中央制御装置11に入力している。また、ドアスイッチだけでなく、運転席に設けられた図示しないリセットスイッチからの信号(リセット信号)も中央制御装置11に入力している。
以下に、実施例1乃至実施例3に基づいて本実施の形態における通信装置20を説明する。
【実施例1】
【0021】
本実施例の通信装置20を図3又は図6に基づいて説明する。図3は、本実施例における通信装置20の全体構成の一例を示す図である。図6(B)は、本実施例における通信部20の通信機億部226に記憶されるデータの一例を示す図である。
通信装置20は、通信制御部21に両端が接続され、矩形状に折り曲がったループ状の通信部(アンテナ)22と、通信制御部21と、が矩形状のカードの上に敷設されている。
また、通信装置20は、リチウム電池式の電源部(バッテリー)24と、通信制御部21との間にスイッチ23が接続されている。電源部24と通信制御部21との配線は、電源部24のプラス若しくはマイナス側の一方の一端と、その一方の他端が通信制御部21と接続され、プラス若しくはマイナス側の他方の一端が電源部24と、その他端が24側の接点b23bと接続され、通信制御部21側にプラス若しくはマイナス側の他方の一端が接点a23aと、その他端が通信制御部21と接続されており、スイッチ23を介して電源部24と通信制御部21とは、電気的に接続される。
【0022】
スイッチ23は、内部にスプリング(板バネ、バネ)が内装されており、スプリングに抗して指で押し、手を離すとスプリングの力に応じて戻る押し釦式のスイッチである。
通信制御部21は、ICタグに利用される極小さな集積回路で構成されたICチップで構成されている。図6(B)に示すように、通信制御部21内部には集積回路の制御によってリードライト可能な図示しない通信記憶部(EEPROM、FeRAM、PROM)226に、通信装置20の個々のIDデータとなる識別番号データD1と、バス2同士の干渉を防ぐために全ての通信装置20が同一のデータ番号となる車番データD2と、が記憶されている。
【実施例2】
【0023】
本実施例の通信装置120を図4に基づいて説明する。図4は、本実施例における通信装置120の全体構成の一例を示す図である。尚、通信制御部121の内部構成及びスイッチ123の構造は、実施例1の通信制御部21及びスイッチ23と同じであるので説明を省略する。また、通信記憶部226も実施例1と同じであるので説明を省略する。
通信装置120は、通信制御部121に両端が接続され、矩形状に折り曲がったループ状の通信部(アンテナ)122と、通信制御部121と、が矩形状のカードの上に敷設されている。
ループ状の通信部122の途中には、スイッチ123が設けられており、一端を接点b123bと他端を接点a123aとに接続され、通信部122と通信制御部121とは、スイッチ123を介して電気的に接続されている。
【実施例3】
【0024】
本実施例の通信装置220を図5に基づいて説明する。図5は、本実施例における通信装置220の全体構成の一例を示す図である。尚、スイッチ223の構造は、実施例1のスイッチ23と同じであるので説明を省略する。
通信装置220は、通信制御部221と電源部224とで構成されており。通信制御部221と電源部224とは、電源部224側の一端を接点b223bと、通信制御部221側の他端を接点a123aとを接続し、電源部224と通信制御部221とは、スイッチ223を介して電気的に接続されている。
通信制御部221は、通信部222と、制御部225と、記憶部226と、から構成されており、制御部225により制御されている。
【0025】
通信部222は、内部に内蔵されたアンテナ又は外部に取り付けたアンテナより無線信号を送受信することができるようになっている。そして、その受信したデータは、制御部225を介して通信記憶部226に読み書きされる。
制御部225は、CPUが内蔵されており、ROMやRAMが内蔵されている。通信記憶部226は、不揮発性のEEPROMで構成されている。
次に、電源部224は、ソーラー発電部229と、蓄電部227と、から構成されている。ソーラー発電部229は、ソーラーパネルで構成され、常に太陽光や車内の車内灯からの光を取り入れ、発電された電源を蓄電部227に供給している。蓄電部227は、容量の大きな積層型コンデンサ(電気二重層コンデンサ、スーパーキャパシタ)で構成され、供給された電源を蓄電している。
【0026】
(本実施形態における客先表示灯の表示動作)
本実施形態における降車信号通信装置1の客先表示灯30の表示動作を図1及び図2に基づいて説明する。
バス2の乗客は、降車する停留所が近づいてきたときに、通信装置20を操作することによって、無線によって通信装置20、120、220から降車信号制御装置10に無線で識別番号データD1と車番データD2とを送信する。降車信号制御装置10の中央制御部11は、その受信したデータを、メモリ部16の車番データD2と比較し、合致するときには、表示部に12「次止まります」を表示する指令を行い、表示部12は、客先表示灯30に、合図としての「次止まります」という表示を表示させる。そのため、他のバス2が近接しても干渉して誤操作を起こすことがない。
【0027】
そして、スピーカを通してアナウンス部13から、合図としての「次止まります」、「ピンポン」等の音声を出す指令がなされる。また同時に、中央制御部11は、回数データD3を加算し、メモリ部16に記憶する。
そして、外部入出力部18にドアスイッチから信号が入力された場合や運転手が強制にリセットするためリセット信号が入力された場合には、客先表示灯30の「次止まります」という表示データが消され、各種表示(料金表示やコマーシャル等)が現れる。
【0028】
(本実施形態における通信装置のデータ送信動作)
通信装置20、220は、スイッチ23、223が押されている間、通信制御部21、221と電源部24、224とが電気的に接続されるため、通信装置20、220は、識別番号データD1と、車番データD2を無線信号により送信し、降車信号制御装置10を上述の(本実施形態における客先表示灯の表示動作)に示すように作動することができる。
また、通信装置120は、非接触ICカードのアンテナ部分に押し釦式のスイッチ123を設けることで、スイッチ23、223が押されている間、通信制御部121と通信部(アンテナ)122とは、電気的に接続されるため、特に電池を使用することなく、スイッチ123が押されている間はアンテナが、降車信号制御装置10の無線信号と共鳴することで通信制御部(ICチップ)内121の電源がまかなわれデータ(D1、D2)の送信を行うことができるので、通信装置120は、電池を設けることなく降車信号制御装置10にデータ(D1、D2)を送信し降車信号制御装置10を作動することができる。また、押されている間は、データ(D1、D2)を絶えず送り続けるようにしても良い。
【0029】
(本実施形態における降車信号通信装置の設置作業)
本実施形態における降車信号通信装置1の設置作業を図1乃至図6に基づいて説明する。
降車信号制御装置10と通信装置20との設置作業は、メモリ部16には、識別番号データD1と、車番データD2と、回数データD3との記憶領域を設け、次に各装置(10、20)に共通の車番データD2を入力記憶させる。そして、各装置(10、20)を設置するだけでよい。これだけで、降車信号通信装置1の客先表示灯30の表示を行うことができる。
【0030】
また、メンテナンス性を向上させるために、識別番号データD1を通信装置20から降車信号制御装置10に入力することにより、個々のボタンが押された回数が識別番号データD1毎に降車信号制御装置10のメモリ部16に記憶されているため、客先表示灯30や携帯用のモニタにより表示することができる。
また、初期導入する際、降車信号制御装置10には予め個々の通信装置20の識別番号データD1を入力しなくとも、通信装置20、120、220が操作され、車番データD2が合致したとき、既に登録されている否かを確認し、識別番号データD1が入力されていなければ、新しく識別番号データD1を降車信号制御装置10が自動で更新する機能が採用されている。そのため、初期導入の設置作業が容易となり、また通信装置20、120、220が故障で交換したときでも、降車信号制御装置10に識別番号データD1を入力する必要が無く降車信号制御装置10に識別番号データD1が自動で更新記憶される。
【0031】
更に、降車信号制御装置10と通信装置20、120、220との間には配線が無く、30台近くある通信装置20、120、220は、設置場所を選ばなく又配線作業を行う必要が無く取付作業も簡単である。
【0032】
(本実施形態から把握される効果)
以上における本実施形態から把握される効果を以下に詳述する。
(1)本実施形態の降車信号通信装置1は、各装置(10、20)に自車バスと他車バスとを判別する共通の車番データD2を入力記憶させるだけで良いため、自車バスと他車バスとの受信データが混在しても自車両の判別ができ、降車信号通信装置1が作動することができ、個々の通信装置20、120、220が持つ識別番号データ全てを降車信号制御装置10に入力しなくとも良いので、設置作業が楽となる。
【0033】
(2)本実施形態の降車信号通信装置1は、通信装置20、120、220は、スイッチ23、123、223が押されている間、通信制御部21、221と電源部24、224若しくは通信制御部121と通信部122とが電気的に接続されるため、通信装置20、120、220は、車番データD2を無線信号により送信し、降車信号制御装置10を上述の(本実施形態における客先表示灯の表示動作)に示すように作動することができる。従って、通信装置20、120、220は、電力を極力消費することがなく、データ送信が行われるので、一次電池が無くとも使用でき、又は電池を内蔵し使用しても微少であるため電池交換の頻度を減らすことができる。
【0034】
(3)本実施形態の降車信号通信装置1は、降車信号制御装置10に予め個々の通信装置20の識別番号データD1を入力しなくとも、通信装置20、120、220が操作され、車番データD2が合致したとき、既に登録されている否かを確認し、識別番号データD1が入力されていなければ、新しく識別番号データD1を降車信号制御装置10が自動で更新する機能が採用されている。そのため、初期導入の設置作業が容易となり、また通信装置20、120、220が故障で交換したときでも、降車信号制御装置10に識別番号データD1を入力する必要が無く、降車信号制御装置10に識別番号データD1が自動で作成される。
【0035】
(4)本実施形態の降車信号通信装置1は、識別番号データD1を通信装置20から降車信号制御装置10の制御記憶部としてのメモリ部16に記憶する機能を有しているため、個々のボタンが押された回数が識別番号データD1毎に表示することができるので、電池交換の時期や押し釦スイッチの交換時期等に使用することができ、メンテナンス性が向上する。
【0036】
(5)本実施形態の降車信号通信装置1は、降車信号制御装置10と通信装置20、120、220との間には配線が無く、30台近くある通信装置20、120、220は、設置場所を選ばなく又配線作業を行う必要が無く取付作業も簡単である。
【0037】
(6)本実施形態の降車信号通信装置1は、通信部122(非接触ICカードのアンテナ部分(線アンテナ))の間にスイッチ(押し釦式のスイッチやスライド式のスイッチ)123を設けることで、特に電池を使用することなく、通信部(アンテナ)が共鳴することで通信制御装置(ICチップ)内の電源がまかなわれデータの送受信を行うことができ、通信装置220は使用する必要はなく、電池交換の必要が無くメンテナンス作業を必要としない。
【0038】
(7)本実施形態の降車信号通信装置1は、ソーラー発電229を設けているので、通信装置220は電池を使用する必要がなく、電池交換の必要が無くメンテナンス作業を必要としない。
【0039】
(他の実施形態への変更例)
以上説明した実施形態を他の実施形態へ変更した例を以下に示す。
・本実施形態の降車信号通信装置1は、バス2に使用したが、ワンマン鉄道、鉄道等の乗客が利用する交通機関に利用ができる。
【0040】
・本実施形態の通信部22、122、222は、ICカードのような線アンテナや棒状のロッドアンテナであっても良い。
【0041】
・本実施形態の実施例2で、通信部122をスイッチ123で電気的に接続することでデータ送信しているが、実施例1及び3においても同様に通信部のアンテナの配線を切断し、スイッチ23、223で電気的に接続するように設けても良い。実施例2と同様な効果(上記(6))がえられる。
【0042】
・本実施形態では、通信装置20を30個程度の数についての実施形態としたが、100個であっても、また、2個以上であっても良く。特に数を限定することなく複数有る場合に、本実施形態の効果は発揮できるのである。
【0043】
・本実施形態では、降車信号制御装置10を1台の場合について説明したが、通信できる距離に応じて複数設けても良く。車番データD2は、降車信号制御装置10に対応して異なる番号を設けても良く、また、共通した番号であっても良い。
【0044】
(本実施の形態から把握される他の技術的思想)
次に、前述した実施形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)車両から乗客が降車する際に、その乗客が降車することを告知したいときの合図として使用する複数の通信装置と、その通信装置から得た信号を受信して、前記合図を告知する告知装置を作動させる降車信号制御装置と、を備えた降車信号通信装置において、
前記通信装置は、少なくとも自車両と他車両とを判別するために、判別データを予め記憶した通信記憶部と、前記乗客のスイッチの操作に基づいて前記判別データを前記降車信号制御装置へ無線で送信する通信部と、前記スイッチが押されている間のみ前記通信部が電気的に接続され前記判別データを送信する通信制御部と、を設け、
前記降車信号制御装置は、前記判別データを予め記憶する制御記憶部と、前記通信部から無線で送信されてきた前記判別データを受信する中央通信部と、送信されてきた前記判別データと前記制御記憶部に記憶されている前記判別データとを比較し、両判別データが合致したときに、前記告知装置に前記合図を告知させる作動信号を出力する中央制御部と、を設けたことを特徴とする降車信号通信装置。
【0045】
以上の構成から、本実施形態の降車信号通信装置1は、通信装置20、120、220は、スイッチ23、123、223が押されている間、通信制御部121と通信部122とが電気的に接続されるため、通信装置20、120、220は、識別番号データD1若しくは車番データD2を無線信号により送信し、降車信号制御装置10を上述の(本実施形態における客先表示灯の表示動作)に示すように作動することができる。
【0046】
従って、無線であるため押し釦スイッチの電池の交換に関する保守のコストがかかるという問題を解決する必要があったが、通信装置20、120、220は、電力を極力消費することがなく、データ送信が行われるので、一次電池が無くとも使用でき、又は電池を内蔵し使用しても微少であるため電池交換の頻度を減らすことができる。
尚、判別データは、識別番号データD1又は車番データD2であっても良い。
【0047】
(2)車両から乗客が降車する際に、その乗客が降車することを告知したいとき合図として使用する複数の通信装置と、その通信装置から得た信号を受信して、前記合図を告知する告知装置を作動させる降車信号制御装置と、を備えた降車信号通信装置において、
前記通信装置は、少なくとも自車両と他車両とを判別するための判別データを予め記憶した通信記憶部と、前記乗客のスイッチの操作に基づいて前記判別データを前記降車信号制御装置へ無線で送信する通信部と、前記スイッチが押されている間のみ電源部と電気的に接続され前記判別データを送信する通信制御部と、を設け、
前記降車信号制御装置は、前記判別データを予め記憶する制御記憶部と、前記通信部から無線で送信されてきた前記判別データを受信する中央通信部と、送信されてきた前記判別データと前記制御記憶部に記憶されている前記判別データとを比較し両判別データが合致したときに、前記告知装置に前記合図を告知させる作動信号を出力する中央制御部と、を設けたことを特徴とする降車信号通信装置。
【0048】
以上の構成から、本実施形態の降車信号通信装置1は、通信装置20、120、220は、スイッチ23、123、223が押されている間、通信制御部21、221と電源部24、224が電気的に接続されるため、通信装置20、120、220は、識別番号データD1若しくは車番データD2を無線信号により送信し、降車信号制御装置10を上述の(本実施形態における客先表示灯の表示動作)のように作動することができる。
【0049】
従って、無線であるため押し釦スイッチの電池の交換に関する保守のコストがかかるという問題を解決する必要があったが、通信装置20、120、220は、電力を極力消費することがなく、データ送信が行われるので、一次電池が無くとも使用でき、又は電池を内蔵し使用しても微少であるため電池交換の頻度を減らすことができる。
尚、判別データは、識別番号データD1又は車番データD2であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上説明した本実施形態を応用した例として、バスに利用した降車信号通信装置1について説明したが、本実施形態は、家庭等のインターホンや工場での生産ライン(FA)の無線式のデータ送信装置にも応用される。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】(A)本実施の形態における降車信号通信装置1の全体構成の概要の一例を示す図。(B)本実施の形態における降車信号通信装置1をバス2に搭載したときの全体構成の概要の一例を示す図。
【図2】本実施の形態における降車信号通信装置1における降車信号制御装置10の全体構成の一例を示す図。
【図3】実施例1における通信装置20の全体構成の一例を示す図。
【図4】実施例2における通信装置120の全体構成の一例を示す図。
【図5】実施例3における通信装置220の全体構成の一例を示す図。
【図6】(A)本実施の形態における降車信号制御装置10のメモリ部16に記憶されるデータの一例を示す図。(B)本実施の形態における通信部20の記憶部に記憶されるデータの一例を示す図。
【符号の説明】
【0052】
1・・・降車信号通信装置、2・・・バス、10・・・降車信号制御装置(親器)、
11・・・中央制御部、12・・・表示部、13・・・アナウンス部、
14・・・中央通信部、15・・・電源入力部、16・・・メモリ部(EEPROM)、
17・・・設定スイッチ、18・・・外部入出力部、19・・・配線、
20、120、220・・・通信装置、21、121、221・・通信制御部、
22、122、222・・・通信部(アンテナ)、
23、123、223・・・スイッチ(押し釦スイッチ)、
23a、123a、223a・・・接点a、23b、123b、223b・・・接点b、
24、224・・・電源部、30・・・客先表示灯、40・・・電源供給部、
225・・・制御部、226・・・通信記憶部(EEPROM)、227・・・蓄電部、
229・・・ソーラー発電部、D1・・・識別番号データ、D2・・・車番データ、
D3・・・回数データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から乗客が降車する際に、その乗客が降車することを告知したいときの合図として使用する複数の通信装置と、その通信装置から得た信号を受信して、前記合図を告知する告知装置を作動させる降車信号制御装置と、を備えた降車信号通信装置において、
前記通信装置は、少なくとも自車両と他車両とを判別するために、前記降車信号制御装置へ送信する全ての前記通信装置が同一の判別データを予め記憶した通信記憶部と、乗客のスイッチの操作に基づいて前記判別データを前記降車信号制御装置へ無線で送信する通信部と、前記スイッチが押されている間のみ前記通信部が電気的に接続され前記判別データを送信する通信制御部と、を設け、
前記降車信号制御装置は、前記判別データを予め記憶する制御記憶部と、前記通信部から無線で送信されてきた前記判別データを受信する中央通信部と、送信されてきた前記判別データと前記制御記憶部に記憶されている前記判別データとを比較し、両判別データが合致したときに、前記告知装置に前記合図を告知させる作動信号を出力する中央制御部と、を設けたことを特徴とする降車信号通信装置。
【請求項2】
車両から乗客が降車する際に、その乗客が降車することを告知したいとき合図として使用する複数の通信装置と、その通信装置から得た信号を受信して、前記合図を告知する告知装置を作動させる降車信号制御装置と、を備えた降車信号通信装置において、
前記通信装置は、少なくとも自車両と他車両とを判別するために、前記降車信号制御装置へ送信する全ての前記通信装置が同一の判別データを予め記憶した通信記憶部と、乗客のスイッチの操作に基づいて前記判別データを前記降車信号制御装置へ無線で送信する通信部と、前記スイッチが押されている間のみ電源部と電気的に接続され前記判別データを送信する通信制御部と、を設け、
前記降車信号制御装置は、前記判別データを予め記憶する制御記憶部と、前記通信部から無線で送信されてきた前記判別データを受信する中央通信部と、送信されてきた前記判別データと前記制御記憶部に記憶されている前記判別データとを比較し両判別データが合致したときに、前記告知装置に前記合図を告知させる作動信号を出力する中央制御部と、を設けたことを特徴とする降車信号通信装置。
【請求項3】
前記通信装置は、個々の当該通信装置の識別をするための識別番号データを予め記憶した前記通信記憶部を設け、
前記降車信号制御装置は、前記通信部から無線で送信されてきた前記判別データと、記憶されている前記降車信号制御装置の判別データと比較し両判別データが合致したときに、前記制御記憶部に記憶されている前記識別番号データと前記通信装置から送られてきた前記識別番号データとを比較し、前記制御記憶部に記憶されていないときには、新たに前記識別番号データを更新記憶する前記制御記憶部を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれか一項に記載の降車信号通信装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−90669(P2008−90669A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−271865(P2006−271865)
【出願日】平成18年10月3日(2006.10.3)
【出願人】(000144544)レシップ株式会社 (179)
【Fターム(参考)】