説明

除塵装置

【課題】 塵埃を確実に除去でき、しかも、塵埃除去の処理効率(処理数)を確保できる除塵装置を提供する
【解決手段】 複数の載置台5を具備することにより、一の載置台で除塵処理が行われている間、他の載置台においてワーク集積体21の搬入、搬出の作業を行うことが可能となり、単位時間当たりのワーク20の除塵処理数を増大させることができる。また、上部エアノズル71と側部エアノズルと72を具備し、ワーク集積体21の上方及び側方からエアを吹き付け、ワーク集積体21の各ワーク20が偏り無く拡開して分離するように構成している。これにより、ワーク20間に挟まった塵埃を確実に除去することが可能となる。従って、ワーク20の除塵処理数が増大し、処理能率が向上する。また、除塵効果が高まり、ワーク20への塵埃付着に伴う不良発生を防止できる。つまり、処理効率と除塵効果との向上を同時に実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば食品用包装容器、盛りつけ用トレー、電子部品用包装容器、搬送用トレーなどといった、板状あるいは容器状の製品(ワーク)から塵埃を除去する除塵装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば食品用包装容器(容器本体の他、蓋等も後述のシート成形品として扱う)などといった板状あるいは容器状のシート成形品にあっては、原反シートを成型機で所定個数ずつ成型して、順次、トリミング機等で個々の製品に切断分離した後、得られた製品を複数重ね合わせ、切断によって発生した切断屑等の塵埃を除去してから、食品の包装等に使用されることが一般的である。
製品(シート成形品)から切断屑等の塵埃を除塵する除塵装置としては、例えば、特許文献1のように、板状あるいは容器状の製品(以下、ワークとも言う)を複数重ね合わせたワーク集積体を載せるコンベアと、コンベアに載せられて所定位置に移動したワークに対して順次エアを上方から吹き付けて塵埃を吹き飛ばして除去するエアノズルと、コンベアの下方に設けられ、吹き飛ばされた塵埃を吸い込んで回収するホッパとを具備するものがある。
【0003】
また、特許文献2に記載のように、板状あるいは容器状のワークを複数重ね合わせたワーク集積体が、各ワークが縦置き横並びとなるように搬入載置される載置台と、この載置台の上をワークの重ね合わせ方向で往復動作しながら除塵するエアノズルとを具備し、載置台へのワークの搬入、搬出は作業員が行うようになっているものもある。
【特許文献1】特開2002−346492号公報
【特許文献2】特許第3553040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の除塵装置では、設備が大掛かりとなり、コストも高く付く。
また、ワーク集積体をコンベアで搬送して除塵ゾーンを通過させることで除塵を行う、ワンウェー方式であり、除塵が1回限りであるため、特にワークが除塵しにくい形状であったりサイズが大きい場合は、充分な除塵効果が得られにくいといった問題がある。除塵効果を高めるためには、エアノズルから吹き付けるエアの量や圧力を増大したり、除塵ゾーンに設置するエアノズルを増加する(コンベアによるワークの搬送経路に沿って増設する)といった対策が考えられるが、エアの量や圧力を増大すれば、塵埃が飛散しやすくなるため、飛散した塵埃がワークに再付着することを防止するためにホッパに接続された集塵機の能力も増強する必要があり、運転コストが上昇する。また、エアノズルの増設は装置のコストが一層高くなってしまう。また、エアの量や圧力の増大は、ワークの倒れ込みを招くため、必ずしも、除塵効果の向上に結びつかない。
【0005】
特許文献2に記載の除塵装置では、載置台へのワーク積層体の搬入、搬出を作業員が行う方式であり、コンベアを用いる除塵装置と比べて小型化、低コスト化できる。
しかしながら、この除塵装置では、除塵が完了したワークを載置台から搬出するまでは、次に除塵を行うワークの搬入が出来ず、処理効率が悪いという問題があった。
【0006】
また、特許文献1及び特許文献2の何れに記載された除塵装置においても、エアノズルから吹き付けられるエアはワークの上側にのみ当たるため、ワークの姿勢が傾いてしまう(倒れ込み)ことがある。ワークが傾くと、ワーク集積体において隣り合うワークの間が上側で拡開されても下側が拡開されない状況となり、ワーク積層体の下部でワーク間に挟まった塵埃が除去残となってしまう。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、塵埃を確実に除去でき、しかも、処理効率(ワークの処理数)を確保できる除塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の除塵装置は、板状或いは容器状のワークを複数重ね合わせたワーク集積体が載置される複数の載置台を一列に並べて構成されたワーク載置部と、該ワーク載置部上に載置されたワークにエアを吹き付けて除塵するエアブロー部と、前記エアブロー部をワーク載置部上に支持し、且つ、前記ワーク載置部において複数の載置台が並べられている延在方向に移動させるノズル移動部と、各載置台の下に設置された集塵用ホッパと、前記ノズル移動部の駆動を制御する操作制御部とを具備し、前記エアブロー部は、前記ワーク集積体に上方からエアを吹き付ける上部エアノズルと、前記ワーク集積体に該ワーク集積体の側方からエアを吹き付ける側部エアノズルとを具備していることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の除塵装置は、前記操作制御部は、前記複数の載置台の内、エアブロー部がワークへのエア吹き付けを行う載置台を指定するための載置台指定手段を有していることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の除塵装置は、前記ノズル移動部の、ワーク載置部に沿った方向の移動速度を、載置台毎に設定できることを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の除塵装置は、前記各載置台には、載置台上に設けられた支持枠で仕切られて、前記ワーク載置部の延在方向に沿って延在するストックヤードが複数並列に設けられ、前記ワーク集積体の列間には前記側部エアノズルの下端部が配設されており、該下端部に設けられた複数のエア吹き出し孔が、両側の前記ワーク集積体へ向けられていることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の除塵装置は、前記エアブロー部にイオン化エア発生部が設けられ、前記上部エアノズルから吹き出すエアにイオン化エアを帯同させることを特徴とすることを特徴とする。
本発明の請求項6に記載の除塵装置は、前記上部エアノズルが前記ワーク集積体に対して上方から吹き付けるエアの風速が5m/秒以上であり、前記側部エアノズルがワーク集積体に対して側方から吹き付けるエアの風速が20m/秒以上であることが好ましい。
本発明の請求項7に記載の除塵装置は、前記ワークは、包装容器であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の除塵装置は、複数の載置台を具備することにより、一の載置台で除塵動作が行われている間、他の載置台においてワーク集積体の搬入、搬出の作業を行うことが可能となり、単位時間当たりのワークの除塵処理数を増大させることができる。
また、上部エアノズルと側部エアノズルとを具備し、ワーク集積体の上方及び側方からエアを吹き付け、ワーク集積体の各ワークが偏り無く拡開して分離するように構成している。これにより、ワーク間に挟まった塵埃を確実に除去することが可能となる。
従って、ワークの除塵処理数が増大し、処理能率が向上する。また、除塵効果が高まり、ワークへの塵埃付着に伴う不良発生を防止できる。つまり、処理効率の向上と除塵効果の向上とを同時に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
図1、図2及び図3は、本発明の除塵装置の一例を示すもので、この除塵装置1は、装置本体2と、装置本体2の外部に設置される集塵ブロア部3とから概略構成されている。
【0011】
図1及び図2に示すように、装置本体2は、正面視横長の機台4と、この機台4上に設けられ、板状又は容器状のワーク20を複数重ね合わせたワーク集積体21が載置されるワーク載置部6と、ワーク載置部6上に載置されたワーク集積体21にエアを吹き付けて除塵するエアブロー部7と、エアブロー部7をワーク載置部6上に支持し、且つ、前記機台4に沿った横長のワーク載置部6の延在方向(図1左右方向)に移動させるノズル移動部8と、ワーク載置部6の下に設置された集塵用ホッパ9と、エアブロー部7及びノズル移動部8及び集塵ブロア部3の駆動を制御する操作制御部10とを具備して構成されている。なお、装置本体2自体も、本発明に係る除塵装置として機能する。
図2の側面図に示すように、装置本体2は、ジャッキ42を伸縮させて、装置奥行き方向前側(図2左側)よりも後側(図2右側)が高くなるように、若干傾斜させて使用することがある。
【0012】
図1、図3及び図4に示すように、ワーク載置部6は、ワーク集積体21を支持するための支持枠51と、この支持枠51の下部に張設された網部53とで構成されている。支持枠51は、ワーク集積体21の複数のワーク20を、縦置きでワーク載置部6の延在方向に横並びに配列させた状態に支持するものであり、ワーク載置部6の最外枠として機能する長方形枠である外枠51aと、この外枠51a内にてワーク載置部6の延在方向に沿って設けられたワーク受棒51e及びワーク仕切棒51gと、ワーク載置部6の延在方向の両端及び中央部に立設された転倒防止ピン51kとを具備し、外枠51a内に、ワーク受棒51eとワーク仕切棒51gと転倒防止ピン51kとによってワーク集積体21を収容するストックヤード52が複数確保された構造になっている。
【0013】
前記ストックヤード52は、ワーク載置部6の延在方向両側(左右)に設けられており、ワーク載置部6の内、正面視右側のストックヤード52が設けられている部分と、左側のストックヤード52が設けられている部分とが、それぞれ独立した載置台5(左側の載置台5に符号5a、右側の載置台5に符号5bを付す)として機能する。
【0014】
外枠51aは、左右両側の縦枠部51bと、前後の横枠部51cとからなる。
ワーク受棒51eは、外枠51aの左右両側の縦枠部51bの間に架設され、ストックヤード52に収容されるワーク集積体21が上に載せられるようになっている。図示例(図3)では、ワーク受棒51eを2本、架設しているが、載置する各ワーク20の大きさや形状によって、架設するワーク受棒51eの本数や位置については、適宜選択すれば良い。
【0015】
ワーク仕切棒51gは、両縦枠部51b上に立設された支持棒51fに固定されている取付具51mに対して両端を取り付けることで、ワーク受棒51eより上側にて、ワーク載置部6の延在方向に沿って架設されている。ワーク仕切棒51gは、ワーク集積体21を該ワーク集積体21の両側方(装置奥行き方向前後)から支えるものである。
両縦枠部51bには、支持棒51fが、複数立設されている。各支持棒51fは、下端部の取り付けブロック51nを縦枠部51bに取り付けることで、縦枠部51b上に立設されている。取付ブロック51nは、縦枠部51bの長手方向に沿ったスライド移動によって、縦枠部51bに対する固定位置を変更できる。これにより、支持棒51fは、縦枠部51bの長手方向、すなわち、装置奥行き方向における立設位置を調整して、縦枠部51bに固定される。
両縦枠部51bの全長にわたって形成されている縦枠溝51dは、取り付けブロック51nをガイドするガイド溝として機能する。
取付具51mは、支持棒51fに沿ったスライド移動によって、支持棒51fに対する固定位置の変更、つまり上下方向の位置の変更を行うことができる。
ワーク仕切棒51gは、支持棒51fの両縦枠部51bに沿った方向での位置調整により、装置奥行き方向での設置位置を変更できる。
【0016】
転倒防止ピン51kは、ワーク集積体21にワーク載置部6の延在方向両側から当接されるものであり、両横枠部51c間に架設された左右位置決めバー51h上に立設されている。左右位置決めバー51hは、ワーク集積体21の寸法に応じてワーク集積体21に対する転倒防止ピン51kの当接位置を考慮しながら、両横枠部51c左右方向の任意の位置(つまりワーク載置部6の延在方向)で固定して使用する。転倒防止ピン51kは、左右位置決めバー51hに取り付けられる下端部を左右位置決めバー51hの延在方向にスライド移動させることで、左右位置決めバー51hに対する固定位置の調整を行うことが出来る。具体的には、左右位置決めバー51hの上面には、位置決めバー溝51jが、左右位置決めバー51hの延在方向(装置奥行き方向)に沿って形成されており、位置決めバー溝51jには、転倒防止ピン51kの下端が位置決めバー溝51jの延在方向に沿って移動可能に嵌め込まれ、転倒防止ピン51kは、左右位置決めバー51hにガイドされながら移動して固定位置を調整出来る。転倒防止ピン51kは、ワーク集積体21に対して、ワーク載置部6延在方向両端から軽く当接するか又は若干の間隙を有するように位置を決定する。
図4に示すように、本実施形態においては、各左右位置決めバー51hに対して転倒防止ピン51kを2箇所に取り付けているが、ワーク20の大きさや形状、又は52の数によって、左右位置決めバー51hへの転倒防止ピン51kの取付箇所及び数量は、適宜選択できる。
【0017】
本実施形態においては、左側の載置台5aのストックヤード52の右端の左右位置決めバー51hと、右側の載置台5bのストックヤード52の左端の左右位置決めバー51hとの間の隙間が、後述するエアブロー部7の待機位置Aとして確保される。ワーク載置部6の内、待機位置Aから左側の載置台5a、待機位置Aから右側が右側の載置台5bである。
【0018】
本発明の除塵装置では、上述の支持枠51の構成から判るように、載置するワーク集合体21(ワーク20)の形状や大きさに応じてストックヤード52の形状や大きさを変更できる支持枠51を用いている。
これにより、機器の交換を伴わず、ワーク集合体21(ワーク20)の形状や大きさに応じて、ストックヤード52の形状や大きさを簡単に変更することができる。従って、ストックヤード52に収容された各ワーク20の姿勢が安定し、除塵効果が向上するとともに、除塵の処理効率も向上する。また、除塵装置のコストダウンも可能となる。
【0019】
また、支持枠51によって確保されるストックヤード52は、ワーク載置部6延在方向に沿って、複数並列に確保するように構成してやることが出来る。
図5に示すように、各載置台5には、ストックヤード52が2箇所づつ、ワーク載置部6の延在方向に沿って並列に設けられており、複数のワーク集積体21が、それぞれ複数のストックヤード52内に載置されている。隣り合うストックヤード52間には、後述する側部エアノズル72の先端部を配設できる隙間54を確保している。
【0020】
エアブロー部7は、ワーク載置部6の上方に配置され、ワーク集積体21に上方からエアを吹き付ける上部エアノズル71と、ワーク集積体21の側方から該ワーク集積体21の下部にエアを吹き付ける側部エアノズル72と、イオンエア発生部73とを、ノズル支持部74に取り付けたものである。
ノズル支持部74は、機台4の奥行き方向後側(図2右側)に取り付けられたノズル移動部8の支柱82に対して、上下方向で任意の位置に固定できるように取り付けられており、載置台5とエアブロー部7との高さ方向の距離が調整できるようになっている。また、ノズル支持部74は、機台4の後側に位置する前記支柱82から機台4の前側に向かって延びるアーム状になっており、上部エアノズル71及び側部エアノズル72は、支持部74の延在方向の複数箇所に間隔をおいて取り付けられている。
【0021】
図1に示すように、上部エアノズル71は、2つのエアノズルが斜め下方に向けられ、各々から吹き出されるエアが合流して、ワーク集積体21に対して該ワーク集積体21の上方からエアを吹き付けるようになっている。上部エアノズル71は、ワーク集積体21の上方から、該ワーク集積体21を、ワーク載置部6延在方向に拡開して分離しながら、各ワーク20に付着している塵埃を吹き飛ばして除去するものである。
図1及び図2に示すように、側部エアノズル72は細長パイプ状であり、ノズル支持部74から下方に向けて延在し、ワーク集積体21側方から該ワーク集積体21の下部にエアを吹き付けるためのエア吹き出し孔72aが先端に設けられている。
図5に示すように、ストックヤード52がワーク載置部6延在方向に、並列に複数並べて設けられている場合は、ストックヤード52間に確保される隙間54に側部エアノズル72の先端が配置される。側部エアノズル72の先端には、エア吹き出し孔72aが、両側のワーク集合体21へ向けてエアを吹き付けるように複数位置に設けられている。
図1に示すように、側部エアノズル72は、エア吹き出し孔72aを有する先端の位置が、一対の上部エアノズル71の下方に配置されていて、2つの上部エアノズル71から吹き出されて合流して下方へ向かうエアと、側部エアノズル72から吹き出されるエアとが、ワーク集積体21の内の同じワーク20に向けて吹き付けられるようになっている。
上部エアノズル71と側部エアノズル72とには、図示しない吹き付けブロア部からパイプを通じてエアが送られる。
【0022】
図1及び図2に示すように、エアブロー部7には、イオン化エア発生部73を設け、上部エアノズル71や側部エアノズル72から吹き出されるエアに、イオン化エア発生部73で発生させたイオン化エアを帯同させてワーク20に吹き付けるように構成しても良い。
ワーク20が樹脂製のものである場合、ワークに帯電した静電気を除去することができ、除塵したワークに塵埃が再付着することが防止でき、除塵効果が一層向上する。
【0023】
上部エアノズル71がワーク集積体21に上方から吹き付けるエアの風速は、ワーク集積体21のワーク20上端で5m/秒以上が好ましく、より好ましくは20m/秒以上、最も好ましくは30m/秒以上である。
上部エアノズル71から吹き出されるエアの風速が5m/秒未満だと、塵埃の除去が不十分となり、ワーク20に塵埃が残留する虞がある。また、塵埃を十分に除去するために処理速度を遅くしたり、処理回数を増やしたりする必要があるため、処理効率が低下する虞がある。
上部エアノズル71から吹き出されるエアの風速の上限は、ワークの形状、厚さ、硬さ、サイズ、重量、載置状態、図示しない吹き付けブロア部の能力等を考慮して、ワーク20の飛散や変形が起こらない範囲とすれば良い。
【0024】
また、側部エアノズル72がワーク集積体21に側方から吹き付けるエアの風速は、ワーク集積体21のワーク20側部で20m/秒以上が好ましく、より好ましくは30m/秒以上、最も好ましくは50m/秒以上である。
側部エアノズル72から吹き出されるエアの風速が20m/秒未満だと、ワーク集積体21を偏り無く拡開して各ワーク20に分離するのが不十分となり、各ワーク20に塵埃が残留したり、処理効率が低下する虞がある。
側部エアノズル72から吹き出されるエアの風速の上限は、ワークの形状、厚さ、硬さ、サイズ、重量、載置状態、図示しない吹き付けブロア部の能力等を考慮して、ワーク20の飛散や変形が起こらない範囲とすれば良い。
上記風速を測定する際の測定機器については特に限定されないが、例えば、日本カノマックス社製の携帯型熱式風速計「アネモマスター24−6111型」等で測定することができる。
【0025】
ノズル移動部8は、機台4の装置奥行き方向後側に取り付けられた駆動部81と、この駆動部81上に立設された支柱82とを有している。このノズル移動部8は、駆動部81が、機台4の側に取り付けられた移動ガイド部83にガイドされながら、ワーク載置部6の延在方向にスライド動作を行うことで、エアブロー部7をワーク載置部6の延在方向に移動する。
【0026】
操作制御部10は、機台4の枠内で装置奥行き方向(図2左右方向)において前側(図2左側)に取り付けられている。また、機台4の装置奥行き方向において前側の上部には、ワーク載置部6延在方向左側に左行きスイッチ11、右側に右行きスイッチ12、中央に停止スイッチ13が取り付けられ、各スイッチと操作制御部10とは、図示しないコードで接続されている。この除塵装置1では、左行きスイッチ11又は右行きスイッチ12を操作することで、操作制御部10によって制御されているノズル移動部8の駆動で、エアブロー部7が待機位置Aから左又は右に移動された後、待機位置Aに復帰するように動かされる。
ノズル移動部8によるエアブロー部7の移動は、エアブロー部7が待機位置Aに在る状態から開始される。
左行きスイッチ11を操作すると、図3に示した待機位置Aで停止しているエアブロー部7が載置台5aの側に移動し、左端位置Bで折り返す往復移動行った後に、待機位置Aに復帰する。同様に、右行きスイッチ12を操作することにより、エアブロー部7が待機位置Aから載置台5bの側に移動し、右端位置Cで折り返す往復移動を行った後、待機位置Aに復帰する。また、停止スイッチ13を、エアノズル部7が両載置台5a、5b上を移動中に操作した時、エアノズル部7は直ちに待機位置Aに復帰する。このようなエアブロー部7の動きは、操作制御部10によるノズル移動部8の動作制御によって実現する。
左行きスイッチ11及び右行きスイッチ12の何れかを操作することにより、エアノズル部7が待機位置Aから移動する方向を、載置台5a、5bの何れかの側の方向で選択することが可能となる。なお、本実施形態における左行きスイッチ11と右行きスイッチ12と停止スイッチ13とは、押しボタンスイッチによって構成されているため、操作は極めて簡単である。
【0027】
図示を省略するが、操作制御部10には、エアブロー部7へのエアの供給及び遮断や、集塵ブロア部3のブロアモータの起動及び停止を行うスイッチが設けられている。
また、操作制御部10には、ノズル移動部8及びエアブロー部7がスライド移動する際の速度を、待機位置Aと左端位置Bとの間の左行き往復移動と、待機位置Aと右端位置Bとの間の右行き往復移動とで個別に任意設定できる図示しない速度調整手段が設けられている。
また、操作制御部10には、左行き往復移動の場合(左行きスイッチ11を操作した時)の待機位置Aと左端位置Bとの間でのエアブロー部7の往復回数を設定するための左行き往復回数設定手段(図示略)と、右行き往復移動の場合(右行きスイッチ12を操作した時)の待機位置Aと右端位置Cとの間でのエアブロー部7の往復回数を設定するための右行き往復回数設定手段(図示略)とが設けられている。左行き往復回数設定手段や右行き往復回数設定手段で往復回数を複数回に設定した場合、ノズル移動部8によるエアブロー部7の移動は、待機位置Aから開始されて、設定回数だけ往復動して待機位置Aに復帰する。
本実施形態においては、操作制御部10は、機台4の枠内で正面略中央に取り付けられているが、操作制御部10の取り付け位置については特に限定されず、機台4の枠内の他の場所か或いは外部に設置しても良い。
【0028】
集塵用ホッパ9は、各載置台5の下に設置されており、装置本体2の外部に設けられた集塵ブロア部3と集塵ホース31によって接続されている。
集塵用ホッパ9は、集塵用ホッパ9上方で浮遊したり、落下してきた塵埃を吸引するものであり、吸引された塵埃は、集塵ブロア部3内に設けられている図示しない集塵ボックスに回収される。
図1及び図2において、符号41は、機台4の外側面と面一に設けられてワーク載置部6の周縁を覆い囲む外壁であり、集塵用ホッパ9による集塵効率を高める。
【0029】
本実施形態におけるワーク20は、例えば食品用包装容器、盛りつけ用トレー、電子部品用包装容器、搬送用トレーなどといった、板状あるいは容器状の樹脂製品であり、例えば真空成型等によって成型されるシート成型品等を採用できる。
【0030】
上述したワーク20を複数重ね合わせたワーク集積体21の除塵を、前記除塵装置1を用いて行うには、まず、ワーク集積体21を支持枠51のストックヤード52に収容し、左行きスイッチ11又は右行きスイッチ12を操作する。なお、このスイッチ操作を行う前に、予め、操作制御部10に備えられたスイッチの操作により、エアノズル部7の上部エアノズル71及び側部エアノズル72へのエアの供給、及び、集塵ブロア部3による吸引動作を始動しておく。
この除塵装置1では、2つの載置台5a、5bの一方での除塵動作中に、他方の載置台でのワーク集積体21の搬入或いは搬出作業行うことが出来るため、ワーク20の除塵処理数を増大できる。一例として、正面視左側の載置台5aに載せたワーク集積体21の除塵を行った後、右側の載置台5bでのワーク集積体21の除塵を行う場合について説明する。
【0031】
まず、左側の載置台5aのストックヤード52にワーク集積体21を収容し、次いで左行きスイッチ11を操作する。左行きスイッチ11を操作することにより、操作制御部10は、待機位置Aで停止しているエアノズル部7が、左側の載置台5aの方向へスライド移動するように、ノズル移動部8を制御する。エアブロー部7は、載置台5aの上方をスライド移動しながら、ワーク集積体21へ向けて、上部エアノズル71及び側部エアノズル72からエアを吹き付ける。
【0032】
上部エアノズル71によってエアが上方から吹き付けられることにより、ワーク集積体21の各ワーク20は、ワーク載置部6延在方向に順次拡開して分離され、各ワーク20に付着した塵埃がエア吹き出し方向、つまり支持枠51下方へ吹き飛ばされる。
この際、側部エアノズル72に設けられたエア吹き出し孔72aから吹き出されるエアは、ワーク集積体21の下部に対して側方(装置奥行き方向前後)から吹き付けられる。これにより、ワーク集積体21並びに各ワーク20には、上部エアノズル71からのエアの吹き付けによる上方からの拡開作用に加え、ワーク集積体21の側方からも拡開作用が生じる。ワーク集積体21は、ストックヤード52の両側の転倒防止ピン51kとの間が軽く当接しているか或いは若干の間隙を有して載置されているため、各ワーク20間が確実に拡開して分離する。従って、ワーク20の倒れ込みによって、各ワーク20間に挟まった塵埃が除去しにくくなるといった不都合を防止でき、高い除塵効果が得られる。
【0033】
操作制御部10は、図示しないリミットスイッチによって、エアブロー部7が載置台5aの左端位置Bに到達したことを検知したら、エアブロー部7が待機位置Aに復帰するようにノズル移動部8を制御する。
エアブロー部7は、待機位置Aからの移動開始から待機位置Aに復帰するまでの間、継続的にワーク集積体21に向けてエアを吹き付けて除塵処理を行う。除塵処理を、エアブロー部7の往復動作で行うことにより、除塵効果が向上する。
図示しないリミットスイッチによって、エアブロー部7が待機位置Aに復帰したことを検知したら、エアブロー部7のスライド移動を停止するようにノズル移動部8を制御する。エアブロー部7は、再び待機位置Aで停止した状態となる。
【0034】
載置台5aの側において除塵処理を行っている時間を利用して、除塵処理を行っていない載置台5bへのワーク集積体21の搬入作業を行う。
載置台5aに載置されたワーク集積体21の除塵処理が終了後、右行きスイッチ12を操作することにより、操作制御部10は、待機位置Aで停止しているエアノズル部7が、載置台5bの方向へスライド移動するように、ノズル移動部8を制御する。エアブロー部7は、引き続いて、載置台5bに載置されたワーク集積体21の除塵処理を行う。載置台5bでの除塵動作中は、左側の載置台5aでのワーク20の搬出作業及び搬入作業を行うことが出来る。
これにより、単位時間あたりのワークの除塵処理数が増大し、処理効率が向上する。
載置台5bの右端でエアブロー部7の移動方向を反転するための構成は、載置台5aと同様であり、省略する。
上述した作業を繰り返すことにより、ワーク集積体21の除塵処理を連続して行うことが可能となる。
【0035】
操作制御部10は、前述した速度調整手段によってエアブロー部7のスライド移動速度を任意に設定することができる。これにより、ワーク20の形状や大きさに応じた速度でエアブロー部7をスライド動作させながら除塵動作を行うことが出来る。
例えば、サイズが大きいワークや、深い凹凸形状が形成されたワーク等は、各ワーク間がエアによって分離するのに長い時間を要することがあるが、エアブロー部7のスライド速度を遅めに設定してやれば、ワーク間が確実に分離して拡開し、より確実に塵埃を除去することができる。
一方、サイズの小さいワークや、平板状の単純な形状のワーク等、エアの吹き付けによるワーク間の拡開が容易なワークについては、エアブロー部7のスライド速度を速めに設定してやれば、確実に塵埃を除去しながら、単位時間あたりのワーク20の除塵処理数を増大させることができる。
上方からのエア吹き付けのみによって、ワーク間を拡開させようとする従来構成の除塵装置では、エアの吹き付けでワークの倒れ込みが生じやすいため、エアノズルの移動速度を遅くしても除塵効果を高めることはほとんど期待できないが、本発明では、エアブロー部7の移動速度を遅くしてやれば、ワーク間の拡開を確実に行えるようになるため、ワークの形状やサイズ等に応じて、ワーク間の拡開を確実に行えるように、エアブロー部7の移動速度を設定してやることで、除塵効果の向上と処理効率の向上とを同時に実現することが出来る。
【0036】
本発明に係る除塵装置1では、エアブロー部7のスライド速度を、各載置台5毎にそれぞれ異なる速度となるように、前記操作制御部10の速度調整手段で設定してやることにより、複数種類のワークを同時に、効率よく除塵してやることができる。
例えば、一方の側の載置については、エアブロー部7のスライド速度を遅めに設定して大きめのワークや深い凹凸が形成されたワークの除塵動作を行い、別の側の載置台5bについては、エアブロー部7のスライド速度を速めに設定して小さめのワークや板状のワークの除塵動作を行う等、エアブロー部7のスライド速度については、除塵するワークのサイズや形状等に応じて適宜設定することができる。
【0037】
また、前記除塵装置1では、並列に設けられたストックヤード52間の隙間54に側部エアノズル72の先端を配置した構成により、側部エアノズル72先端が配置された前記隙間54の両側のストックヤード52のそれぞれに収容されたワーク集積体21について、上部エアノズル71と側部エアノズル72の両方によるワーク20間の拡開を実現できるようにしたことで、ノズル移動部8及びエアブロー部7のスライド動作1回あたりのワーク20の除塵処理数が増大し、処理効率が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る除塵装置の一例を示す正面概略図(一部破断図)である。
【図2】本発明に係る除塵装置の一例を示す側面概略図(一部破断図)である。
【図3】本発明に係る除塵装置の一例を示す部分図であり、図1の一部を拡大して説明する図である。
【図4】本発明に係る除塵装置の一例を示す部分図であり、図3の一部を拡大して説明する図である。
【図5】本発明に係る除塵装置の一例を示す部分概略図である。
【図6】本発明に係る除塵装置の一例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1…除塵装置、5…載置台、51…支持枠、52…ストックヤード、6…ワーク載置部、7…エアブロー部、71…上部エアノズル、72…側部エアノズル、72a…エア吹き出し孔、73…イオンエア発生部、8…ノズル移動部、9…集塵用ホッパ、10…操作制御部、20…ワーク、21…ワーク集積体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状或いは容器状のワークを複数重ね合わせたワーク集積体が載置される複数の載置台を一列に並べて構成されたワーク載置部と、該ワーク載置部上に載置されたワークにエアを吹き付けて除塵するエアブロー部と、前記エアブロー部をワーク載置部上に支持し、且つ、前記ワーク載置部において複数の載置台が並べられている延在方向に移動させるノズル移動部と、各載置台の下に設置された集塵用ホッパと、前記ノズル移動部の駆動を制御する操作制御部とを具備し、
前記エアブロー部は、前記ワーク集積体に上方からエアを吹き付ける上部エアノズルと、前記ワーク集積体に該ワーク集積体の側方からエアを吹き付ける側部エアノズルとを具備していることを特徴とする除塵装置。
【請求項2】
前記操作制御部は、前記複数の載置台の内、エアブロー部がワークへのエア吹き付けを行う載置台を指定するための載置台指定手段を有していることを特徴とする請求項1記載の除塵装置。
【請求項3】
前記ノズル移動部の、ワーク載置部に沿った方向の移動速度を、載置台毎に設定できることを特徴とする請求項1又は2に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記各載置台には、載置台上に設けられた支持枠を仕切って、前記ワーク載置部の延在方向に沿って延在するように構成されたストックヤードが複数並列に設けられ、
前記ワーク集積体の列間には前記側部エアノズルの下端部が配設されており、該下端部に設けられた複数のエア吹き出し孔が、両側の前記ワーク集積体へ向けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の除塵装置。
【請求項5】
前記エアブロー部にイオン化エア発生部が設けられ、前記上部エアノズルから吹き出すエアにイオン化エアを帯同させることを特徴とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の除塵装置。
【請求項6】
前記上部エアノズルが前記ワーク集積体に対して上方から吹き付けるエアの風速が5m/秒以上であり、前記側部エアノズルがワーク集積体に対して側方から吹き付けるエアの風速が20m/秒以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の除塵装置。
【請求項7】
前記ワークが、包装容器であることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の除塵装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−159032(P2006−159032A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−351818(P2004−351818)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(000239138)株式会社エフピコ (98)
【Fターム(参考)】