説明

除袋機

【課題】ごみと共に送られてくるごみ袋を効率よく掻き揚げ除去する。
【解決手段】空気流通口13を開口したパイプ14を非回転に支承し、このパイプ14の両端にベアリング15を介してフランジ16を可回転に取り付け、両フランジ間・同心円上に多数のロッド35を亘設して籠36とし、両フランジ16間に亘設した回転軸17を支点とするリンク22に設けたローラー23が固定板カム19面を転動することによりごみ袋掻き揚げ爪25が籠36の周囲から出没するようにしてごみ袋を効率よく除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はごみ収集袋を破袋した後に、そのごみ収集袋を取り除くための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、特願2003−436418あるいは特願2005−068075で「破袋機」を提案し、特願2007−039982で「破・除袋機」を提案して一定の評価を得てきた。
【0003】
しかし、最近ではごみ焼却炉の寿命延長のため除袋を徹底するようにとの要求が出されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−169367
【特許文献1】特開2007−144382
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記市場の要求に鑑みこの発明は、破袋機あるいは破・除袋機により破袋処理されたごみの中に混在するポリエチレン等のごみ収集袋を完全に除去する除袋機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明は、空気流通口13を設け両端をブラケット12により回転しないように支持したパイプ14、このパイプ14の前記ブラケット12に近い両内側にベアリング15を介して取り付けたフランジ16、このフランジ16の片方の回転軸17に取り付けた駆動手段18、フランジ16の外側に回転しないように取り付けたカム19、前記フランジ16の周囲同心円上に取り付けた軸受け20、この軸受け20に回動可能に亘設したシャフト21、このシャフト21を支点として揺動可能に取り付けたリンク22、このリンク22の揺動端に嵌められ前記カム19に接するローラー23、このローラー23がカム19に接する方向に付勢するコイルスプリング24c、前記リンク22とともに揺動しトーションスプリング24tにより付勢されたごみ袋掻き揚げ爪25、フランジ16の同心円上に形成した円筒状の籠36、上記パイプ14の外側を包囲し空気噴出し口26を開口したチャンバー27、破袋済みごみを搬送するコンベア28に向け下部を開き上部と両側を覆い排出口29を設けたケーシング30とからなり、必要ならばケーシング30の排出口29の対向側に空気吹き込み手段32,33を設けてなるものである。また、設置条件によっては排出口29に向うケーシング30の底部に螺旋翼40のごとき強制排出手段を配することができる。
【発明の効果】
【0007】
上記の如く構成する本発明によれば、破袋された袋を含むごみはコンベヤ28によって除袋機10の下に供給され、ここでフランジ16とともに回転する掻き揚げ爪25によってごみ袋は掻き揚げられ、ブロワーに繋がる空気噴出し口26から噴出す空気により排出口29に向けて吹き飛ばされるようになっている。なお、排出口29の対向位置に送風機32を付設すれば一層強力に吹き飛ばすことができる。
【0008】
掻き揚げ爪25は、上方に位置したときにはカム19に接したローラー23が、シャフト21を軸にして回動し、後述する籠36の内側に沈み込むようになって、ごみ袋が掻き揚げ爪25から外れやすくなり、外れたごみ袋は吹き飛ばされて排出口29に至る。
【0009】
また、中心のパイプ14には図示しないブロワーから延びた可撓管(図示せず)が繋がり、空気流通口13とチャンバー27を経て空気噴出し口26から空気が噴出し、ごみ袋をケーシング30の排出口29の上方に吹き飛ばし、掻き揚げ爪25を取り付けている内部に侵入しないようになっている。
【0010】
なお、パイプ14の両端にベアリング15を介して支承されたフランジ16と、これと一体の円盤31(フランジそのものの外径を大きくしてもよい)には、同心円上に複数のタイロッド34が亘設され、その間に複数のロッド35を亘設して円筒状の籠36を形成し、ごみ袋が中心方向に落ち込まないようにしている。
【0011】
なお、ここで上記複数のロッド35に替えて、掻き揚げ爪25の通過部分を除いてパンチングネット、エクスパンションネットなどを貼り付けて籠36とすることもできる。
【0012】
従って、本発明の除袋機10によれば、ごみ袋がごみ群から効率よく除袋され、除去されたごみ袋が装置内に絡み付くことなく長時間安定して除袋作業を続けることができる。
【0013】
また、除袋機の設置条件によってはケーシング30の上流側から排出口29までのケーシング30の内部底面に傾斜面を形成することができない場合は、風圧による自然排出が難しくなり滞留することがある。
【0014】
このような場合、排出口29の底面をトラフ43とし、このトラフ43の底面・軸方向に螺旋翼40を配して強制排出機構を採用すればよい。この場合、トラフ43の底を篩構造とすれば、除袋されたごみ袋に混在する金属や石などの異物を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に図面を参照しながら本発明の実施例を説明する。図示しないごみ処理機(破袋機)から排出されたごみ袋を含んだごみはコンベヤ28によって除袋機10の下部に供給され、上記コンベヤ28の上部にフレーム11が架設され、このフレーム11の両側にブラケット12が一体に設けられている。(図1〜図3参照)
【0016】
このブラケット12には回転しないようにパイプ14が亘設され、このパイプ14には空気流通口13が開口しており、このパイプ14の前記ブラケット12に近い両内側にベアリング15を介してフランジ16が取り付けられ、このフランジ16の片方の回転軸17にはスプロケット18(プーリーでもよくギャードモータの直結でもよい)が取り付けられている。このスプロケット18は図示しないチェンを介して駆動源に繋がっている。
【0017】
スプロケット18を設けてないフランジ16の外側には回転しないようにカム19が配設されている。なお、このカム19はフランジ16とスプロケット18との間に配置することもできる。
【0018】
前記フランジ16の周囲同心円上には、等間隔に軸受け20が取り付けられ、この軸受け20に回動可能にシャフト21が亘設され、このシャフト21を支点として揺動可能にリンク22が取り付けられ、このリンク22の揺動端に嵌められたローラー23はカム19に接し転動する。
【0019】
このローラー23はコイルスプリング24cによりカム19に接する方向に付勢されており、前記リンク22とともに揺動するごみ袋の掻き揚げ爪25はトーションスプリング24tにより付勢されている。(図1・図3参照)
【0020】
上記空気流通口13を設けたパイプ14の外側はチャンバー27で包囲されており、このチャンバー27には上方で且つ排出口29側に向けて空気噴出し口26が開口している。(図1・図3参照)
【0021】
ケーシング30の下部は開口し、この開口を通じて掻き揚げ爪25がフランジ16と共に回転しながら通過し、コンベヤ28によって通過するごみの中のごみ袋が掻き揚げられ、掻き揚げられたごみ袋は送風機32とチャンバー27の空気噴出し口26から噴出す空気によって排出口29側に吹き飛ばされる。(図1〜図3参照)
【0022】
ここで、掻き揚げ爪25は、リンク22に設けたローラー23がカム19に接しフランジ16と共にカム表面を転動するので、掻き揚げ爪25がコンベヤ28に向かっているときは籠36から突き出してごみ袋を掻き揚げる状態になり、上方に位置したときは前述の籠36内に沈むようになり(図4・図5参照)、且つチャンバー27から吹出す空気の流れに沿うようになって、掻き揚げられたごみ袋はスムースに掻き揚げ爪25から離脱し排出口29に向けて吹き飛ばされることとなる。(図1・図3参照)なお、掻き揚げ爪25は板材、あるいは鋼線で製作することができる。
【0023】
吹き込み手段としての送風機32または図示しないブロワーに繋がる空気吹出し口33には案内板37を付設し、吹出した空気が籠36の上方を通過するようにする。(図8参照)これは取り除かれたごみ袋が籠36内に落ち込まないようにするための手段である。また、排出口29側に図示しない吸引手段を付設すると一層効果的である。
【0024】
また、図9に示すように排出口29の後方壁板に案内板37’を有する空気吹出し口33’を付設し、この空気吹出し口33’に図示しないブロワーなどの空気供給源を繋ぐことにより効果的に破袋済みゴミ袋を排出することができる。
【0025】
また、除袋機の設置条件によっては、例えば天井が低く図9に示すようにケーシング30の上流側から排出口29に至る下向きの傾斜を作ることができないときには排出すべきごみ袋が滞留するので、図6、図7に示すようにベアリング41によって回転可能に支承され、駆動源に繋がるスプロケット42によって回転する回転軸、またはギヤードモータに直結した回転軸に螺旋翼40を設けて強制排出構造とすることができる。
【0026】
具体的には排出口29の底面をトラフ43とし、このトラフ43の底面・軸方向に螺旋翼40を配して強制排出機構とする。この場合、必要ならばトラフ43の底に、間隔をあけてロッドを並列するなどして篩構造44とすれば、除袋されたごみ袋中に混在する金属や石などの異物を除去することができる。
【0027】
なお、次ぎの工程のために設置される装置によっては、図10に示すように排出口29を本体の上部に設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
以上説明したように、この発明によれば前段で破袋されたごみ袋が混在した状態でコンベヤによって供給(排出)されるごみの中からごみ袋を効率よく掻き揚げ除袋できるので産業上利用価値の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る除袋機の内部構造を示す正面図
【図2】図1の右側面図
【図3】要部のA−A矢視図
【図4】掻き揚げ爪とカムとの関係・機能説明図
【図5】掻き揚げ爪とカムとの関係・機能説明図
【図6】他の実施例に係る除袋機の内部構造を示す正面図
【図7】図6のB−B矢視図
【図8】空気吹き込み手段にブロワーを採用した内部構造を示す正面図
【図9】排出口29に至る下向きの傾斜説明図
【図10】排出口を本体上部に設けた実施例の正面図
【符号の説明】
【0030】
10:除袋機
11:フレーム
12:ブラケット
13:空気流通口
14:パイプ
15:ベアリング
16:フランジ
17:回転軸
18:スプロケット(駆動手段)
19:カム
20:軸受け
21:シャフト
22:リンク
23:ローラー
24c:コイルスプリング
24t:トーションスプリング
25:掻き揚げ爪
26:空気噴出し口
27:チャンバー
28:コンベヤ
29:排出口
30:ケーシング
31:円盤
32:送風機
33:空気吹出し口
34:タイロッド
35:ロッド
36:籠
37:案内板
40:螺旋翼
41:軸受け
42:スプロケット
43:トラフ
44:篩構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流通口(13)を設け両端をブラケット(12)により回転しないように支持したパイプ(14)、このパイプ(14)の前記ブラケット(12)に近い両内側にベアリング(15)を介して取り付けたフランジ(16)、このフランジ(16)の片方の回転軸(17)に取り付けた駆動手段(18)、フランジ(16)の外側に回転しないように取り付けたカム(19)、前記フランジ(16)の周囲同心円上に取り付けた軸受け(20)、この軸受け(20)に回動可能に亘設したシャフト(21)、このシャフト(21)を支点として揺動可能に取り付けたリンク(22)、このリンク(22)の揺動端に嵌められ前記カム(19)に接するローラー(23)、このローラー(23)がカム(19)に接する方向に付勢するコイルスプリング(24c)、前記リンク(22)とともに揺動しトーションスプリング(24t)により付勢されたごみ袋掻き揚げ爪(25)、フランジ(16)の同心円上に形成した円筒状の籠(36)、上記パイプ(14)の外側を包囲し空気噴出し口(26)を開口したチャンバー(27)、破袋済みごみを搬送するコンベア(28)に向け下部を開き上部と両側を覆い排出口(29)を設けたケーシング(30)とからなる除袋機。
【請求項2】
上記除袋機において、排出口(29)の対向側に空気吹出し手段(32又は33)を付設したことを特徴とする請求項1に記載の除袋機。
【請求項3】
上記除袋機において、排出口(29)の底面にトラフ(43)を形成し、このトラフ(43)の底面・軸方向に螺旋翼(40)を配して強制排出機構を構成したことを特徴とする請求項1または2に記載の除袋機。
【請求項4】
上記除袋機において、トラフ(43)の底を篩構造としたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の除袋機。
【請求項5】
上記除袋機において、排出口(29)の後方壁板に空気吹出し口(33’)を付設したことを特徴とする請求項1乃至4に記載の除袋機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−115786(P2011−115786A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261757(P2010−261757)
【出願日】平成22年11月6日(2010.11.6)
【出願人】(394006174)テクニカマシナリー株式会社 (8)
【Fターム(参考)】