説明

障害原因分析作業における原因分析作業補助システムおよび原因分析作業補助方法、ならびにそのためのプログラム

【課題】人による障害内容判定ミスを削減し、障害原因分析作業を迅速化し、障害原因分析作業対処可能者を増加させることができる原因分析作業補助技術。
【解決手段】原因分析作業補助管理情報20は、障害種別を判定する障害情報判定基準21、障害の分析のため取得すべき情報と障害原因分析作業手順を保持する障害原因分析作業情報22、障害原因分析作業の結果と次に適用すべき障害原因分析作業情報の関係を保持する結果作業関連情報23から構成され、監視対象装置2から受信した障害情報と障害情報判定基準21によって判定された障害種別に対応する障害原因分析作業情報を表示させ、結果作業関連情報23を参照し次に適用すべき障害原因分析作業情報がある場合に作業者に入力された障害原因分析作業結果に対応する次の障害原因分析作業情報を表示させ、次に適用すべき障害原因分析作業情報がない場合に処理を終了させる判定手段12を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システムの障害管理運用業務技術に関し、特に、発生した障害内容に応じて、障害原因分析のために取得すべき情報および障害原因分析作業の手順を、障害原因分析作業の進捗に従って表示装置に表示して作業者に提示することが可能な原因分析作業補助システムおよび原因分析作業補助方法、ならびにそのためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、数多くのサーバおよび関連機器を運用・保守する業務では、サーバや関連機器を監視し、これらの装置における障害の発生を自動的に検知可能としており、障害発生を検知すると、例えば障害が発生した装置がサーバの場合にはサーバ再起動などの暫定対策を実施し、ひとまずのサーバの復旧を試みる。この後、障害原因の詳細な分析や対策を決定・実施し、障害対策を終えることになる。
【0003】
しかしながら、前述の従来の障害対策の作業を行った場合、サーバ再起動などの暫定対策の実施により、障害原因の分析に必要な情報が取得できなくなる可能性がある。ここでいう障害原因の分析に必要な情報とは、例えば、障害発生時のメモリ使用状況や障害発生時の画面ハードコピー等である。
【0004】
前述の障害原因の分析に必要な情報が取得できなくなる可能性を排除する方法として、特開2004−246823号公報「障害対応業務支援システム及び障害対応業務支援サーバ及び障害対応業務支援プログラム」(特許文献1)に記載の発明を適用する方法が考えられる。
【0005】
特許文献1に記載された発明は、障害発生時に、運用者に障害種別を選択させ、該選択された障害種別に応じ、取得すべき情報を表示するようにしたものである。この発明を利用することで、障害発生後の暫定対策前に、障害原因の分析に必要な情報の取得漏れを防ぐことが可能となる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された発明では、運用者が障害種別をいちいち選択しなければならず、誤った情報を取得してしまう危険性がある。また、障害発生原因を特定するためには、新たな情報の取得と分析の「切り分け作業」を繰り返さねばならないが、切り分け作業の進捗に応じ、取得すべき情報が次々と変化する場合には対応できないという問題が残る。
【0007】
【特許文献1】特開2004−246823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載された発明は、暫定的な障害復旧作業に先立ち、運用者に障害原因分析に必要な情報を取得させる方法として、障害発生の後、運用者に障害の種別をクライアント端末から入力させ、該入力された種別に応じ、取得すべき障害原因分析用の情報を表示するようにし、これにより、障害原因の分析に必要な情報の取得を忘れたり、目的に沿わない情報を取得したりすることを防止できるようにしている。
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載された上記方法では、入力する障害種別は人の判断に頼っているため判別を誤る可能性があり、また、原因切り分け作業の進捗に応じ、新たな情報の取得を促すことができないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明の目的は、障害原因分析に必要な情報および障害原因分析作業手順を共有することにより、人による障害内容判定ミスを削減し、障害原因分析作業を迅速化し、障害原因分析作業対処可能者を増加させ、障害原因分析作業手法の適用範囲拡大を実現することができる原因分析作業補助システムおよび原因分析作業補助方法、ならびにそのためのプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、障害発生時に障害種別を判断し、障害種別に対応する障害原因分析のために取得すべき情報と障害原因分析作業手順を自動で表示し、また、障害原因分析作業結果を受取り、次段階の障害原因分析作業のために取得すべき情報と障害原因分析作業手順の表示を、原因が判明するまで繰り返すようにしたものである。
【0012】
具体的には、上記目的を達成するために、障害内容から障害の種別を判定する障害種別判定基準、障害種別毎の障害分析作業に必要な情報および作業手順を保持する障害原因分析作業情報、分析作業結果と障害原因分析作業情報の関連を保持する結果作業関連情報を管理し、障害発生時、該発生した障害の内容を障害種別判定基準と照合し、障害種別を判定し、判定した障害の種別に対応する障害原因分析作業情報を取得して画面表示する。
【0013】
作業者は提示された作業手順に従い、障害分析に必要な情報を取得、分析実施により、分析結果を得る。分析作業の結果を受け取り、結果作業関連情報に照合し、次に適用すべき障害原因分析作業情報を提示する。分析結果を受取り、障害原因分析作業情報の提示を、障害原因判明まで繰り返す。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の顧客に各種業務運用処理サービスを提供するサーバシステムを運用・管理するデータセンタ等の障害復旧作業における障害原因分析作業において、作業の進捗に応じて、予め登録された障害分析作業手順と分析のために取得すべき情報の提示を繰り返すようにしたことにより、人による障害内容判定ミスを削減し、障害原因分析作業を迅速化し、障害原因分析作業対処可能者を増加させ、障害原因分析作業の進捗を促進するとともに、既存の原因分析手法の適用範囲拡大が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る原因分析作業補助を行う方式の一実施例を説明するためのシステム構成図である。
【0016】
図1において、1はデータセンタ、2は監視対象機器、3は監視対象機器2の障害を監視する障害監視装置、4は運用担当者(作業者)によって操作される運用端末、10は障害監視装置3を介して受信した監視対象機器2からの障害情報に基づいて障害の原因を分析する作業を補助する原因分析作業補助装置、20は原因分析作業補助装置10で利用される原因分析作業補助管理情報(例えば、ハードディスクに格納されている)である。
【0017】
原因分析作業補助装置10は、障害情報入力部11、障害分析作業情報判定部12、画面入出力制御部13からなる。原因分析作業補助装置10は、CPUやROM,RAMなどのメモリを構成要素とするコンピュータから構成され、該コンピュータ(CPU)で上記各部に対応するプログラムを実行することにより本発明に係る原因分析作業補助の機能を実現する。
【0018】
原因分析作業補助管理情報20は、障害情報判定基準21、障害原因分析作業情報22、結果作業関連情報23からなり、ハードディスクなどの記憶装置に記憶されている。
【0019】
本発明において、原因分析作業補助装置10、および原因分析作業補助管理情報20(または原因分析作業補助管理情報20を格納した記憶装置)、運用端末4を合わせたものを原因分析作業補助システムという。
【0020】
データセンタ1の障害監視装置3は、監視対象機器2で発生した障害の内容を示す障害情報(障害番号,IPアドレス,障害メッセージ)を、原因分析作業補助システム10の障害情報入力部11に送信し、データセンタ1の障害情報入力部11は該障害情報を受信する。
【0021】
データセンタ1の運用担当者は、運用端末4を利用して、受信した障害の原因分析作業を、原因分析作業補助装置10の画面入出力制御部13により行う。
【0022】
原因分析作業補助装置10の障害分析作業情報判定部12は、原因分析作業補助管理情報20の障害情報判定基準21と障害原因分析作業情報22と結果作業関連情報23を参照して、障害原因分析作業の進捗に応じ、適用すべき障害原因分析作業情報22の提示を行う。
【0023】
図2は、本原因分析作業補助装置10で定義する原因分析作業補助管理情報20の障害情報判定基準21と障害原因分析作業情報22と結果作業関連情報23の一登録例を示す図である。
【0024】
障害情報判定基準21には、同図(a)に示すように、障害種別ID101、IPアドレス102、障害種別判定キー文字列103を定義する。IPアドレス102と障害種別判定キー文字列103により障害情報の障害種別ID101を判定する。
【0025】
具体的には、障害情報内のIPアドレスが障害情報判定基準21のIPアドレス102と等しく、かつ、障害メッセージに障害種別判定キー文字列103を含む行の障害種別ID101を判定する。このとき、IPアドレス102が空白の場合、障害種別判定キー文字列103でのみ、障害種別ID101の判定をする。また、IPアドレス102および障害種別判定キー文字列103が合致する行がない場合、障害種別IDは“0”と判定する。
【0026】
障害原因分析作業情報22には、同図(b)に示すように、分析作業ID104、障害種別ID105、原因分析作業内容106、取得対象情報107を定義する。
【0027】
ここで、分析作業ID104は各障害原因分析作業情報について一意の識別キーであり、原因分析作業内容106は原因分析作業内容(作業手順)の情報であり、取得対象情報107は原因分析作業にて取得すべき情報である。障害種別ID105は、同一IDと判定された障害で、初めに用いる原因分析作業内容106および取得対象情報107が格納された行であることを示す。
【0028】
結果作業関連情報23には、同図(c)に示すように、前分析作業ID108、分析結果109、後分析作業ID110を定義する。前分析作業ID108が示す障害原因分析作業情報を適用した分析結果109と、次に適用する障害原因分析作業情報を示す後分析作業ID110を保持している。
【0029】
障害情報判定基準21により、発生した障害の障害種別を判定し、障害種別に応じた障害原因分析作業情報を決定する。障害原因分析作業情報の適用結果と次に適用すべき障害原因分析作業情報を結果作業関連情報から取得する。
【0030】
図3−Aは、本原因分析作業補助装置10を利用した障害原因分析作業補助処理に使用される情報例を説明するための図である。
【0031】
同図(a)は、発生した障害情報の一例を示す図であり、障害番号(No)とIPアドレスと障害メッセージからなる。
【0032】
同図(b)は、障害情報判定基準21の一例を示す図であり、障害種別IDとIPアドレスと障害種別判定キー文字列からなる。
【0033】
同図(c)は、障害原因分析作業情報22の一例を示す図であり、分析作業IDと障害種別IDと原因分析作業内容(手順)と取得対象情報とからなる。
【0034】
同図(d)は、結果作業関連情報23の一例を示す図であり、前分析作業IDと分析結果と後分析作業IDからなる。
【0035】
図3−B(a)〜図3−B(c)は、障害情報が障害番号No1〜No3の各場合についての、本原因分析作業補助装置10を利用した障害原因分析作業補助処理の画面遷移を説明するための図である。
以下、各場合について、図3−A(a)〜図3−B(d)を参照しながら説明する。
【0036】
(例1)障害番号No1が発生した場合の画面遷移(図3−B(a)参照)
障害番号No1の障害情報『IPアドレス「172.21.131.15」、障害メッセージ「DBバックアップ取得に失敗しました」』(図3−A(a)参照)は、図3−A(b)に示す障害情報判定基準21に登録されているどのIPアドレス、障害種別判定キー文字列とも合致しないため、障害種別IDを“0”と判定する。
【0037】
障害種別IDが“0”の障害には、図3−A(c)に示すように、分析作業IDが“100”の障害原因分析作業情報の適用が指定されている。
【0038】
分析作業IDが“100”の障害原因分析作業情報22に設定された原因分析作業内容と取得対象情報を表示する(a1)。図3―A(c)の場合、表示される原因分析作業内容は「(イ)イベントログを取得、(ロ)緊急連絡先に電話連絡」で、取得対象情報は「イベントログ」である。
【0039】
図3−A(d)に示す結果作業関連情報において、前分析作業IDが“100”の後分析作業IDは設定されておらず、これ以上表示する障害原因分析作業情報が設定されていないことを示している。そのため、分析終了とする(a2)。
【0040】
(例2)障害番号No2が発生した場合の画面遷移(図3−B(b)参照)
障害情報No2の障害情報『IPアドレス「172.21.131.23」、障害メッセージ「インタフェース2がリンクダウンしました」』(図3−A(a)参照)は、図3−A(b)に示す障害情報判定基準に登録されている障害種別ID2の障害情報判定基準の障害種別判定キー文字列「リンクダウンしました」と合致する(障害情報判定基準のIPアドレスが空白の場合、障害発生元を限定せず、障害種別判定キー文字列で障害種別を判定することを示している)ため、障害種別IDを“2”と判定する。
【0041】
障害種別IDが“2”の障害には、図3−A(c)に示すように、分析作業IDが“105”の障害原因分析作業が設定されている。
【0042】
分析作業IDが“105”の障害原因分析作業情報に設定された原因分析作業内容と取得対象情報を表示する(b1)。図3−A(c)の場合、表示される原因分析作業内容は「(イ)Pingを実行する、(ロ)緊急連絡先に電話連絡」で、取得対象情報は「Ping結果」である。
【0043】
図3−A(d)に示す結果作業関連情報において、前分析作業IDが“105”の後分析作業IDは設定されておらず、これ以上表示する障害原因分析作業情報が設定されていないことを示している。そのため、分析終了とする(b2)。
【0044】
(例3)障害番号No3が発生した場合の画面遷移(図3−B(c)参照)
障害番号No3の障害情報『IPアドレス「192.168.1.125」、障害メッセージ「Error:メモリ使用量の閾値を超えました」』(図3−A(a)参照)は、図3−A(b)に示す障害情報判定基準に登録されている障害種別ID1の障害情報判定基準の障害種別判定キー文字列「メモリ使用量の閾値を超えました」と合致するため、障害種別IDを“1”と判定する。
【0045】
障害種別IDが“1”の障害には、図3−A(c)に示すように、分析作業IDが“101”の障害原因分析作業が設定されている。
【0046】
分析作業IDが“101”の障害原因分析作業情報に設定された原因分析作業内容と取得対象情報を表示する(c1)。図3−A(c)の場合、表示される原因分析作業内容は「(イ)ログイン画面へアクセス、(ロ)アクセス画面のハードコピー取得」で、取得対象情報は「画面ハードコピー」である。
【0047】
図3−A(d)に示す結果作業関連情報において、前分析作業IDが“101”は分析結果に応じ、分析作業IDが“102”と“103”が後分析作業として設定されており、運用担当者が選択した分析結果(分析作業結果)に応じ、後分析作業IDに該当する障害原因分析作業情報を表示する。この、障害分析作業情報の表示、運用担当者による結果の選択を障害原因分析作業情報の設定がなくなるまで繰り返す。
【0048】
本例の場合、運用担当者が、図3−A(d)に示す「エラー画面が開く」を選択した場合(c11)、分析作業ID102の障害原因分析作業情報の内容を表示する(c111)。図3−A(c)の場合、表示される原因分析作業内容は「(イ)Webサービスログを取得、(ロ)ログ内に「Out Of Memory」の文字列あり、(ハ)Webサービス再起動、(ニ)ログイン画面へアクセス」で、取得対象情報は「Webサービスログ」である。図4は、このとき表示画面に表示される画面表示例を示している。
【0049】
さらに図3−A(d)に示す結果作業関連情報において、前分析作業IDが“102”は分析結果に応じ、分析作業IDが“103”と“104”が後分析作業として設定されており、運用担当者が選択した分析結果(分析作業結果)に応じ、後分析作業IDに該当する障害原因分析作業情報を表示する。
【0050】
運用担当者が、図3−A(d)に示す「エラー画面が開く」を選択した場合(c1111)、分析作業ID104の障害原因分析作業情報の内容を表示する(c11111)。図3−A(c)の場合、表示される原因分析作業内容は「(イ)緊急連絡先に電話連絡」である(取得対象情報の表示は無し)。
【0051】
図3−A(d)に示す結果作業関連情報において、前分析作業IDが“104”の後分析作業IDは設定されておらず、これ以上表示する障害原因分析作業情報が設定されていないことを示している。そのため、分析終了とする(c11112)。
【0052】
また、運用担当者が、c1111の「エラー画面を開く」の代わりに、図3−A(d)に示す「ログイン画面が開く」を選択した場合(c1112)、分析作業ID103の障害原因分析作業情報の内容を表示する(c11121)。図3−A(c)の場合、表示される原因分析作業内容は「(イ)取得情報を添えてメール連絡」である(取得対象情報の表示は無し)。
【0053】
図3−A(d)に示す結果作業関連情報において、前分析作業IDが“103”の後分析作業IDは設定されておらず、これ以上表示する障害原因分析作業情報が設定されていないことを示している。そのため、分析終了とする(c11122)。
【0054】
一方、運用担当者が、c11の「エラー画面を開く」の代わりに、図3−A(d)に示す「ログイン画面が開く」を選択した場合(c12)、分析作業ID103の障害原因分析作業情報の内容を表示する(c121)。図3−A(c)の場合、表示される原因分析作業内容は「(イ)取得情報を添えてメール連絡」である(取得対象情報の表示は無し)。
【0055】
図3−A(d)に示す結果作業関連情報において、前分析作業IDが“103”の後分析作業IDは設定されておらず、これ以上表示する障害原因分析作業情報が設定されていないことを示している。そのため、分析終了とする(c122)。
【0056】
図4は、原因分析作業補助装置10で利用する原因分析画面の一例である。
同図において、発生時刻201には、障害の発生時刻が表示される。ホスト名202には、障害の発生元ホスト名が表示される。IPアドレス203には、障害の発生元ホストのIPアドレスが表示される。障害メッセージ内容204には、発生した障害のメッセージ内容が表示される(同図の例は「メモリ使用量の閾値を超えました」が表示された場合)。
【0057】
原因分析作業手順205には、障害の原因分析作業の手順が一覧表示される。取得対象情報206には、原因分析作業において、取得すべき情報の一覧が表示される。分析作業結果207には、運用担当者が分析作業手順の実施結果を選択入力する。次の作業手順へボタン208は分析作業結果207の選択結果に従い、次の原因分析作業手順205、取得対象情報206および分析作業結果207の内容を再出力する。
【0058】
図5−Aおよび図5−Bは、障害情報入力から障害原因分析作業終了までの処理フローを表す図である。以下、図5−Aおよび図5−Bに沿って、図1を参照して障害情報入力から障害原因分析作業終了までの処理を説明する。
【0059】
原因分析作業補助装置10の障害情報入力部11は、監視対象装置2からの障害情報を、障害監視装置3を介して受信する(図5−Aの手順S301)。次に、障害分析作業情報判定部12は、障害情報判定基準21を参照し、受信した障害情報のIPアドレスと合致する障害情報判定基準もしくはIPアドレスが空白の障害情報判定基準を読込み(手順S302)、「読込み行数>0」が成立するか否かを判定する(手順S303)。
【0060】
障害分析作業情報判定部12は、読込み行数が0行の場合(手順S303:N)、障害種別を“0”と判定し(手順S309)、読み込み行数が1行以上の場合(手順S303:Y)、未判定の障害情報判定基準を1行読み込む(手順S304)。読込み行数が0行の場合、障害種別を“0”と判定する(手順S309)。読込み行数が1行以上の場合、障害情報の障害メッセージに、障害情報判定基準の障害種別判定キー文字列が含まれているか確認する(手順S306)。
【0061】
障害情報の障害メッセージに、障害情報判定基準の障害種別判定キー文字列が含まれていなければ(手順S306:N)、再び手順S304に戻って未判定の障害情報判定基準を1行読み込む。
【0062】
障害情報の障害メッセージに、障害情報判定基準の障害種別判定キー文字列が含まれていれば(手順S306:Y)、合致した障害情報判定基準に設定されている障害種別IDを取得し(手順S307)、取得した障害種別IDが設定されている障害原因分析作業情報を取得する(手順S308)。
【0063】
次に、図5−Bに進み、障害原因分析作業情報を取得できたか否かを判定し(図5−Bの手順S310)、障害原因分析作業情報を取得できなければ(手順S310:N)、合致する障害原因分析作業情報がない旨を画面表示し(手順S312)、処理を終える。
【0064】
障害原因分析作業情報を取得できた場合(手順S310:Y)、取得した障害原因分析作業情報の分析作業IDを取得し(手順S311)、取得した分析作業IDに合致する前分析作業IDが設定されている結果作業関連情報を取得する(手順S313)。
【0065】
取得した分析作業IDに合致する前分析作業IDが設定されている結果作業関連情報を取得できた場合(手順S314:Y)、結果作業関連情報の分析結果を取得し、分析作業結果配列に格納する(手順S315)。
【0066】
取得した分析作業IDに合致する前分析作業IDが設定されている結果作業関連情報を取得できなかった場合(手順S314:N)、分析作業結果配列に「分析終了」を設定する(手順S316)。
【0067】
次に、取得した障害原因分析作業情報の原因分析作業手順と取得対象情報、分析作業結果配列をそれぞれ、分析作業画面に、原因分析作業手順、取得対象情報および分析作業結果として表示する(手順S317、図3−B(a)のa1、同図(b)のb1、同図(c)のc1参照)。
【0068】
次に、表示された手順に沿って、運用担当者が得た分析作業結果を、分析作業結果の選択として受け取る(手順S318)。
【0069】
選択された分析結果が設定されていた結果作業関連情報の後分析作業IDを取得する(手順S319)。後分析作業IDが設定されている場合(手順S320:Y)、後分析作業IDと合致する分析作業IDが設定されている障害原因分析作業情報を取得し(手順S321)、その後、上記(手順S311)からの処理を繰り返す。
【0070】
繰り返される処理中の手順S317において、図3−B(c)のc111,c121,c1111,c11121などの表示が行われる。図4は、図3−B(c)のc111で表示される分析作業ID102の障害原因分析作業情報の表示イメージを示す図である。
【0071】
後分析作業IDが設定されていない場合(手順S320:N)、分析作業終了の旨を分析作業画面に表示し(手順S322)、処理を終える。
【0072】
なお、図5−A〜図5−Bで説明した処理は、上述したように、原因分析作業補助装置10を構成する各処理部(図1参照)の機能に対応するプログラムをCPUで実行することにより実現されるものであり、該各処理部に対応するプログラムは、FD、CD−ROM、DVDなどの記録媒体やインターネットなどのネットワークを介して市場に流通させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の係る原因分析作業補助システムは、各種業務運用処理サービスを提供するサーバシステムを運用・管理するデータセンタ等の障害復旧作業に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る原因分析作業補助システムの実施例を示すシステム構成図である。
【図2】障害情報判定基準、障害原因分析作業情報および結果作業関連情報の定義例である。
【図3−A】障害情報判定基準、障害原因分析作業情報および結果作業関連情報の定義の一例を説明するための図である。
【図3−B】図3−Aで定義された障害情報判定基準、障害原因分析作業情報および結果作業関連情報を用いた障害原因分析作業補助方法を説明するための図である。
【図4】分析作業の画面表示例である。
【図5−A】障害情報入力から障害原因分析終了までのフローチャートである(その1)。
【図5−B】障害情報入力から障害原因分析終了までのフローチャートである(その2)。
【符号の説明】
【0075】
1:データセンタ
2:監視対象機器
3:障害監視装置
4:運用端末
10:原因分析作業補助装置
11:障害情報入力部
12:障害分析作業情報判定部
13:画面入出力制御部
20:原因分析作業補助管理情報
21:障害情報判定基準
22:障害原因分析作業情報
23:結果作業関連情報
101:障害種別ID
102:IPアドレス
103:障害種別判定キー文字列
104:分析作業ID
105:障害種別ID
106:原因分析作業内容
107:取得対象情報
108:前分析作業ID
109:分析結果
110:後分析作業ID
201:発生時刻
202:ホスト名
203:IPアドレス
204:障害メッセージ内容
205:原因分析作業手順
206:取得対象情報
207:原因分析作業結果
208:次の作業手順へボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発生した障害の種別を判定する障害情報判定基準、障害の分析のため取得すべき情報と障害原因分析作業手順を保持する障害原因分析作業情報、障害原因分析作業の結果と次に適用すべき障害原因分析作業情報の関係を保持する結果作業関連情報を元に、発生した障害に適用すべき障害原因分析作業情報を表示手段に表示するとともに、前記結果作業関連情報を参照し、作業者により入力された障害原因分析作業結果に対応する次の障害原因分析作業情報を前記表示手段に表示することを特徴とする原因分析作業補助システム。
【請求項2】
監視対象装置で発生した障害情報と記憶装置に記憶された障害原因の分析作業を補助する原因分析作業補助管理情報とに基づいて障害原因分析の補助を行うための原因分析作業補助システムであって、
前記原因分析作業補助管理情報は、発生した障害の種別を判定する障害情報判定基準、障害の分析のため取得すべき情報と障害原因分析作業手順を保持する障害原因分析作業情報、および障害原因分析作業の結果と次に適用すべき障害原因分析作業情報の関係を保持する結果作業関連情報から構成され、
前記監視対象装置で発生した障害情報を受信する受信手段と、
前記障害原因分析作業情報および前記結果作業関連情報を表示する表示手段と、
前記受信手段で受信した障害情報と前記障害情報判定基準を照合して障害種別を判定し、判定された障害種別に対応する障害原因分析作業情報を前記表示手段に表示させるとともに、前記結果作業関連情報を参照し、次に適用すべき障害原因分析作業情報があるか否かを判定し、次に適用すべき障害原因分析作業情報があると判定された場合に、作業者によって選択入力された障害原因分析作業結果に対応する次の障害原因分析作業情報を前記表示手段に表示させ、次に適用すべき障害原因分析作業情報がない場合に処理を終了させる判定手段と、
を有することを特徴とする原因分析作業補助システム。
【請求項3】
前記障害情報は故障した装置のIPアドレスと障害メッセージを含み、前記判定手段は、該故障情報に含まれているIPアドレスおよび障害メッセージと、前記障害情報判定基準に含まれているIPアドレスおよび障害メッセージとを照合することにより前記障害情報の障害種別を判定することを特徴とする請求項2記載の原因分析作業補助システム。
【請求項4】
発生した障害の種別を判定する障害情報判定基準、障害の分析のため取得すべき情報と障害原因分析作業手順を保持する障害原因分析作業情報、障害原因分析作業の結果と次に適用すべき障害原因分析作業情報の関係を保持する結果作業関連情報を元に、発生した障害に適用すべき障害原因分析作業情報を表示装置に表示する手順と、前記結果作業関連情報を参照し、作業者により入力された障害原因分析作業結果に対応する次の障害原因分析作業情報を前記表示装置に表示する手順を有することを特徴とする原因分析作業補助方法。
【請求項5】
監視対象装置で発生した障害情報、および、記憶装置に記憶された発生した障害の種別を判定する障害情報判定基準、障害の分析のため取得すべき情報と障害原因分析作業手順を保持する障害原因分析作業情報、障害原因分析作業の結果と次に適用すべき障害原因分析作業情報の関係を保持する結果作業関連情報から構成された障害原因の分析作業を補助する原因分析作業補助管理情報とに基づいて障害原因分析の補助を行うための原因分析作業補助方法であって、
前記監視対象装置で発生した障害情報を受信する第1の手順と、
該受信した障害情報と前記障害情報判定基準を照合して障害種別を判定する第2の手順と、
前記障害原因分析作業情報を参照し前記判定した障害種別に対応する障害原因分析作業情報を表示装置に表示する第3の手順と、
前記結果作業関連情報を参照し、次に適用すべき障害原因分析作業情報があれば作業者によって選択入力された障害原因分析作業結果に対応する次の障害原因分析作業情報を前記表示装置に表示した後、前記第3の手順に戻る第4の手順と、
次に適用すべき障害原因分析作業情報がなければ処理を終了する第5の手順を
有することを特徴とする原因分析作業補助方法。
【請求項6】
前記障害情報は故障した装置のIPアドレスと障害メッセージを含み、前記判定手段は、該故障情報に含まれているIPアドレスおよび障害メッセージと、前記障害情報判定基準に含まれているIPアドレスおよび障害メッセージとを照合することにより前記障害情報の障害種別を判定することを特徴とする請求項5記載の原因分析作業補助方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項4から6のいずれかに記載の原因分析作業補助方法における各手順を実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3−A】
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【図3−B】
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【図4】
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【図5−A】
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【図5−B】
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【公開番号】特開2009−211605(P2009−211605A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−56032(P2008−56032)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000152985)株式会社日立情報システムズ (409)
【Fターム(参考)】