障害検出方法、無線端末、及び基地局
【課題】基地局のサイレント障害を検出可能とすることでサービス品質の低下を回避できるようにする。
【解決手段】一実施形態に係る障害検出方法は、複数の無線アクセス方式に対応した無線端末100が、無線アクセスネットワーク10Aに含まれる基地局200Aへの接続に失敗した後、無線アクセスネットワーク10Aとは無線アクセス方式が異なる無線アクセスネットワーク10Bに含まれる基地局200Bに対し、基地局200Aへの接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するステップと、基地局200Bが、無線端末100からの失敗通知情報を受信すると、監視装置300Bへのアラーム情報を送信するステップと、監視装置300Bが、基地局200Bからのアラーム情報に基づいて、基地局200Aのサイレント障害を検出するステップと、を含む。
【解決手段】一実施形態に係る障害検出方法は、複数の無線アクセス方式に対応した無線端末100が、無線アクセスネットワーク10Aに含まれる基地局200Aへの接続に失敗した後、無線アクセスネットワーク10Aとは無線アクセス方式が異なる無線アクセスネットワーク10Bに含まれる基地局200Bに対し、基地局200Aへの接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するステップと、基地局200Bが、無線端末100からの失敗通知情報を受信すると、監視装置300Bへのアラーム情報を送信するステップと、監視装置300Bが、基地局200Bからのアラーム情報に基づいて、基地局200Aのサイレント障害を検出するステップと、を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク内の障害を検出するための障害検出方法、無線端末、及び基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークの運用においては、サービス品質を良好に保つために、ネットワークを構成する各機器の障害を速やかに検知して早期に修復することは重要であり、障害を検出するための監視装置がネットワークに設けられることが一般的である。監視装置は、ネットワーク内の各機器の通信性能(例えば、データ転送時のパケット損失や転送遅延など)を測定することで、障害発生の有無を判断する。
【0003】
近年、このような監視装置で検出されないままネットワークの性能劣化が生じる障害である「サイレント障害」が問題視されている。サイレント障害が発生すると、監視装置からネットワーク・オペレータにエラーが報告されていない状況でも、当該ネットワークを利用するユーザが体感するサービス品質は低いものになる。
【0004】
サイレント障害を自動で検出するための手法としては、監視装置が、ネットワーク機器の通信性能の統計値である性能データを収集し、当該性能データを過去の性能データと比較した結果が不一致である場合にサイレント障害が発生したと推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−86160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、収集した性能データを過去の性能データと比較する方法では、当該収集した性能データのパターンが様々であるため、過去の性能データと比較した結果が不一致となることが多く、サイレント障害の検出精度を高めることが難しいという問題があった。
【0007】
また、ネットワークに含まれる基地局に障害が生じたことによって、無線端末が基地局へ接続不能になるケースでは、無線端末が基地局への接続に失敗したことを当該基地局及び監視装置が認識できず、且つ、性能データにも反映されない。従って、このような基地局のサイレント障害はネットワーク側で検出することが難しいという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、基地局のサイレント障害を検出可能とすることでサービス品質の低下を回避できる障害検出方法、無線端末、及び基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明に係る障害検出方法の特徴は、複数の無線アクセス方式(RAT:Radio Access Technology)に対応した無線端末(無線端末100)が、第1のネットワーク(無線アクセスネットワーク10A)に含まれる第1の基地局(基地局200A)への接続に失敗した後、前記第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワーク(無線アクセスネットワーク10B)に含まれる第2の基地局(基地局200B)に対し、前記第1の基地局への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するステップと、前記第2の基地局が、前記無線端末からの失敗通知情報を受信すると、所定のネットワーク装置(監視装置300A、監視装置300B、基地局200A、又は監視装置350)へのアラーム情報を送信するステップと、前記所定のネットワーク装置が、前記第2の基地局からのアラーム情報に基づいて、前記第1の基地局の障害であって前記第1のネットワークで検出困難な特定の障害を検出するステップと、を含むことを要旨とする。
【0010】
このような特徴によれば、第1のネットワークに含まれる第1の基地局の特定の障害(サイレント障害)を、第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワークに含まれる第2の基地局を経由して検出可能としている。従って、上記特徴によれば、基地局のサイレント障害を検出可能とすることでサービス品質の低下を回避できる。
【0011】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記所定のネットワーク装置とは、前記第2のネットワークに含まれる監視装置(監視装置300B)であることを要旨とする。
【0012】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記所定のネットワーク装置とは、前記第1のネットワークに含まれる監視装置(監視装置300A)であることを要旨とする。
【0013】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記所定のネットワーク装置とは、前記第1の基地局であることを要旨とする。
【0014】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記所定のネットワーク装置とは、前記第1のネットワークに含まれる監視装置及び前記第2のネットワークに含まれる監視装置のそれぞれの上位の監視装置(監視装置350)であることを要旨とする。
【0015】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記無線端末は、前記第1の基地局から受信した報知情報に基づいて前記第1の基地局への接続を試みた結果、前記第1の基地局への接続に失敗した後、前記失敗通知情報を前記第2の基地局に送信することを要旨とする。
【0016】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記無線端末は、前記第1のネットワークの識別情報及び/又は前記第1の基地局の識別情報を前記失敗通知情報に含めて送信し、前記第2の基地局は、前記無線端末からの前記失敗通知情報に含まれる識別情報を前記アラーム情報に含めて送信することを要旨とする。
【0017】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記無線端末は、前記第1の基地局への接続失敗の種別を示す情報を前記失敗通知情報に含めて送信し、前記接続失敗の種別は、ランダムアクセス失敗、又は無線リンク切断を含むことを要旨とする。
【0018】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記所定のネットワーク装置は、予め定められた時間範囲内で複数の無線端末に対応する複数のアラーム情報が得られた場合に、前記第1の基地局に前記特定の障害が生じたと判定することを要旨とする。
【0019】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記第1の基地局の通信エリア範囲と前記第2の基地局の通信エリア範囲とは少なくとも一部が重複することを要旨とする。
【0020】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記特定の障害が検出された後、前記第1の基地局は、前記第1の基地局への接続に用いられる報知情報の送信を停止することを要旨とする。
【0021】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記特定の障害が検出された後、前記第1の基地局は、前記第1の基地局への接続を規制するための接続規制情報を、前記第1の基地局への接続に用いられる報知情報に含めて送信することを要旨とする。
【0022】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記特定の障害が検出された後、前記第2の基地局は、自局の通信エリア範囲を拡大させる処理を行うことを要旨とする。
【0023】
本発明に係る無線端末の特徴は、複数の無線アクセス方式毎に設けられた複数の無線通信部(無線通信部110A,110B)と、前記複数の無線通信部を制御する制御部(制御部140)と、を備え、前記制御部は、第1のネットワーク(無線アクセスネットワーク10A)に含まれる第1の基地局(基地局200A)への接続に失敗した後、前記第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワーク(無線アクセスネットワーク10B)に含まれる第2の基地局(基地局200B)に対し、前記第1の基地局への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するように、前記複数の無線通信部を制御することを要旨とする。
【0024】
本発明に係る基地局の特徴は、第1のネットワーク(無線アクセスネットワーク10A)とは無線アクセス方式が異なる第2のネットワーク(無線アクセスネットワーク10B)に含まれる基地局(基地局200B)であって、無線通信を行う無線通信部(無線通信部210)と、ネットワーク通信を行うネットワーク通信部(ネットワーク通信部220)と、前記無線通信部及び前記ネットワーク通信部を制御する制御部(制御部240)と、を備え、前記制御部は、複数の無線アクセス方式に対応した無線端末(無線端末100)から、前記第1のネットワークに含まれる第1の基地局(基地局200A)への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を前記無線通信部が受信すると、所定のネットワーク装置(監視装置300A、監視装置300B、基地局200A、又は監視装置350)へのアラーム情報を送信するように前記ネットワーク通信部を制御することを要旨とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、基地局のサイレント障害を検出可能とすることでサービス品質の低下を回避できる障害検出方法、無線端末、及び基地局を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【図2】第1実施形態〜第4実施形態に係る無線端末の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態〜第4実施形態に係る基地局の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態〜第4実施形態に係る監視装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】第2実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【図7】第2実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図8】第3実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【図9】第3実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図10】第4実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【図11】第4実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照して、本発明の第1実施形態〜第4実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の各実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0028】
(0)実施形態の概要
第1実施形態〜第4実施形態に係る障害検出方法は、複数の無線アクセス方式(RAT:Radio Access Technology)に対応した無線端末100が、無線アクセスネットワーク10A(第1のネットワーク)に含まれる基地局200Aへの接続に失敗した後、無線アクセスネットワーク10Aとは無線アクセス方式が異なる無線アクセスネットワーク10B(第2のネットワーク)に含まれる基地局200Bに対し、基地局200Aへの接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するステップと、基地局200Bが、無線端末100からの失敗通知情報を受信すると、所定のネットワーク装置へのアラーム情報を送信するステップと、所定のネットワーク装置が、基地局200Bからのアラーム情報に基づいて、基地局200Aの障害であって無線アクセスネットワーク10Aで検出困難な特定の障害(すなわちサイレント障害)を検出するステップと、を含む。
【0029】
所定のネットワーク装置とは、第1実施形態では無線アクセスネットワーク10Bに含まれる監視装置300Bであり、第2実施形態では無線アクセスネットワーク10Aに含まれる監視装置300Aであり、第3実施形態では基地局200Aであり、第4実施形態では監視装置300A及び監視装置300Bのそれぞれの上位の監視装置350である。
【0030】
なお、以下の第1〜第4実施形態では、無線アクセスネットワーク10Aが、3GPP(Third Generation Partnership Project)で仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)に基づいて構成され、無線アクセスネットワーク10Bが、LTEとは異なる無線アクセス方式に基づいて構成される一例を説明するが、無線アクセスネットワーク10AはLTE以外の無線アクセス方式に基づいて構成されていてもよい。
【0031】
(1)第1実施形態
以下、第1実施形態について、(1.1)移動通信システムの概要、(1.2)移動通信システムの詳細構成、(1.3)移動通信システムの動作、(1.4)第1実施形態の効果の順に説明する。
【0032】
(1.1)移動通信システムの概要
図1は、第1実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【0033】
図1に示すように、第1実施形態に係る移動通信システムは、無線アクセスネットワーク10Aと、無線アクセスネットワーク10Bと、複数の無線端末100#1〜100#Nとを備える。なお、以下において無線端末100#1〜100#Nを特に区別しないときは単に無線端末100と称する。
【0034】
無線アクセスネットワーク10Aは、LTEに基づいて構成されており、E−UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Radio Access Network)と称される。
【0035】
無線アクセスネットワーク10Aは、無線端末100との無線通信を行うように構成された基地局200Aと、無線アクセスネットワーク10A内の障害を検出するように構成された監視装置300Aとを含む。基地局200Aは、所定の通信エリア範囲をカバーする1又は複数のセルを形成し、基地局200Aへの接続に用いられる報知情報(ブロードキャスト情報)を当該通信エリア範囲内にブロードキャストで送信する。
【0036】
無線アクセスネットワーク10Bは、LTEとは異なる無線アクセス方式に基づいて構成されている。例えば、無線アクセスネットワーク10Bは、LTEよりも古い世代の無線アクセス方式(具体的には、GSM、W−CDMA又はCDMA2000等)に基づいて構成される。以下の説明では、一例として、無線アクセスネットワーク10BがCDMA2000 1x EV−DO(以下、EV−DOと称する)に基づいて構成されるものとする。
【0037】
なお、LTE等の次世代無線アクセス方式では、基地局が順次増設されていくといった事情から、サービス開始当初はサービスエリアが限定されるため、無線アクセスネットワーク10Aと無線アクセスネットワーク10Bとを併存させることが想定されている。
【0038】
無線アクセスネットワーク10Bは、無線端末100との無線通信を行うように構成された基地局200Bと、無線アクセスネットワーク10B内の障害を検出するように構成された監視装置300Bとを含む。基地局200Bは、所定の通信エリア範囲をカバーする1又は複数のセルを形成し、基地局200Bへの接続に用いられる報知情報(ブロードキャスト情報)を当該通信エリア範囲内にブロードキャストで送信する。ここで、基地局200Bの通信エリア範囲は、基地局200Aの通信エリア範囲と少なくとも一部が重複するものとする。
【0039】
第1実施形態に係る移動通信システムでは、監視装置300A及び監視装置300Bが互いに通信可能に構成されており、監視装置300A及び監視装置300Bは、互いに連携して障害検出を行う。
【0040】
複数の無線端末100のそれぞれは、ユーザが所持する無線通信装置であり、ユーザ機器とも称される。複数の無線端末100のそれぞれは、複数の無線アクセス方式、具体的には、LTE及びEV−DOの両無線アクセス方式に対応して構成されており、基地局200Aからの報知情報に基づいて基地局200Aに接続を試みることができ、基地局200Bからの報知情報に基づいて基地局200Bに接続を試みることができる。
【0041】
このように構成された移動通信システムにおいて、基地局200Aの無線通信機能に障害が生じた結果、無線端末100が、基地局200Aからの報知情報を受信できるものの、基地局200Aへの接続に失敗するケースを想定する。「基地局200Aへの接続」とは、通信を開始するための処理(ランダムアクセスと称される)と、通信を維持するための処理とを含む。ランダムアクセスとは、待ち受け状態(アイドル状態と称される)から通信中状態(コネクテッド状態又はアクティブ状態と称される)へ移行する際、又は、通信中に他の基地局から基地局200Aにハンドオーバする際に、基地局200Aへの接続を試みる処理である。ランダムアクセス手順では、無線端末100は、所定の信号系列(ランダムアクセスプリアンブルと称される)を最大送信回数に達するまで繰り返し送信しても、基地局が当該信号系列を検出できず、当該基地局から無線端末100への応答が得られないことがある。このような無線端末100の送信処理が例えば2回実行された場合、無線端末100は、当該基地局への接続に失敗したとみなす。
【0042】
このような接続障害は、無線アクセスネットワーク10Aに含まれる基地局200A及び監視装置300Aで認識できない障害、すなわち基地局200Aのサイレント障害である。第1実施形態では、監視装置300A及び監視装置300Bが互いに連携して、基地局200Aのサイレント障害を検出する形態について説明する。
【0043】
(1.2)移動通信システムの詳細構成
次に、第1実施形態に係る移動通信システムの構成について、(1.2.1)無線端末の構成、(1.2.2)基地局の構成、(1.2.3)監視装置の構成の順に説明する。
【0044】
(1.2.1)無線端末の構成
図2は、無線端末100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、無線端末100は、複数の無線アクセス方式毎に設けられた複数の無線通信部110A,110Bと、ユーザインターフェイス部120と、記憶部130と、制御部140と、バッテリ150とを含む。
【0045】
無線通信部110Aは、LTEに基づいて構成されており、無線アクセスネットワーク10Aに含まれる200Aとの無線通信を行うように構成される。無線通信部110Bは、EV−DOに基づいて構成されており、無線アクセスネットワーク10Bに含まれる200Bとの無線通信を行うように構成される。具体的には、無線通信部110A,110Bのそれぞれは、無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナを介して無線信号を送受信するとともに、送信信号の変調・符号化と受信信号の復調・復号とを行う。
【0046】
ユーザインターフェイス部120は、ユーザとのインターフェイスとして機能するディスプレイやボタン等である。記憶部130は、例えばメモリを用いて構成され、無線端末100の制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部140は、例えばCPUを用いて構成され、無線端末100が備える各種の機能、具体的には、無線通信部110A,110Bとユーザインターフェイス部120とを制御する。バッテリ150は、無線端末100の各ブロックに供給される電力を蓄える。
【0047】
このように構成された無線端末100において、制御部140は、基地局200Aから無線通信部110Aが受信した報知情報に基づいて基地局200Aへの接続を試みるように無線通信部110Aを制御する。また、制御部140は、基地局200Aへの接続に失敗すると、基地局200Bから無線通信部110Bが受信した報知情報に基づいて基地局200Bへの接続を試みるように無線通信部110Bを制御する。そして、制御部140は、基地局200Bへの接続に成功すると、基地局200Aへの接続に失敗したことを示す失敗通知情報を基地局200Bに送信するように無線通信部110Bを制御する。
【0048】
(1.2.2)基地局の構成
図3は、基地局200Bの構成を示すブロック図である。基地局200Aのブロック構成は基地局200Bと同様であるため、ここでは基地局200Bのブロック構成のみを説明する。
【0049】
図3に示すように、基地局200Bは、無線通信部210と、ネットワーク通信部220と、記憶部230と、制御部240とを含む。
【0050】
無線通信部210は、EV−DOに基づいて構成されており、無線端末100との無線通信を行うように構成される。具体的には、無線通信部210は、無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナを介して無線信号を送受信するとともに、送信信号の変調・符号化と受信信号の復調・復号とを行う。
【0051】
ネットワーク通信部220は、バックホールネットワークを介した通信(以下、ネットワーク通信と称する)を行うように構成されている。記憶部230は、例えばメモリを用いて構成され、基地局200Bの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部240は、例えばCPUを用いて構成され、基地局200Bが備える各種の機能、具体的には、無線通信部210とネットワーク通信部220とを制御する。
【0052】
このように構成された基地局200Bにおいて、制御部240は、基地局200Aへの接続に失敗したことを示す失敗通知情報を無線端末100から無線通信部210が受信すると、所定のネットワーク装置へのアラーム情報を送信するようにネットワーク通信部220を制御する。上述したように、第1実施形態では、所定のネットワーク装置は監視装置300Bである。
【0053】
(1.2.3)監視装置の構成
図4は、監視装置300Bの構成を示すブロック図である。監視装置300Aのブロック構成は監視装置300Bと同様であるため、ここでは監視装置300Bのブロック構成のみを説明する。
【0054】
図4に示すように、監視装置300Bは、ネットワーク通信部310と、ユーザインターフェイス部320と、記憶部330と、制御部340とを含む。
【0055】
ネットワーク通信部310は、バックホールネットワークを介した通信(ネットワーク通信)を行うように構成されている。ユーザインターフェイス部320は、ユーザとのインターフェイスとして機能するディスプレイやキーボード等であり、オペレータによって使用される。記憶部330は、例えばメモリを用いて構成され、監視装置300Bの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部340は、例えばCPUを用いて構成され、監視装置300Bが備える各種の機能、具体的には、ネットワーク通信部310とユーザインターフェイス部320とを制御する。
【0056】
このように構成された監視装置300Bにおいて、ネットワーク通信部310は、基地局200Bからのアラーム情報を受信する。制御部340は、予め定められた時間範囲内で複数の無線端末100に対応する複数のアラーム情報をネットワーク通信部310が受信した場合に、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判定する。制御部340は、基地局200Aのサイレント障害を検出すると、その旨の障害通知情報を監視装置300Aに送信するようにネットワーク通信部310を制御する。
【0057】
(1.3)移動通信システムの動作
次に、第1実施形態に係る移動通信システムの動作を説明する。図5は、第1実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0058】
図5に示すように、ステップS101において、基地局200Aのサイレント障害として、基地局200Aの無線通信機能に障害が発生する。
【0059】
ステップS102において、複数の無線端末100のそれぞれは、基地局200Aから受信した報知情報に基づいて基地局200Aへの接続を試みる。具体的には、複数の無線端末100のそれぞれは、ランダムアクセスプリアンブル応答が得られるまで、ランダムアクセスプリアンブルを繰り返し送信する。ここでは、最大送信回数に達するまでランダムアクセスプリアンブル応答が得られず、複数の無線端末100のそれぞれは、基地局200Aへの接続に失敗したものとみなす。
【0060】
ステップS103において、複数の無線端末100のそれぞれは、基地局200Aへの接続に失敗したことから、基地局200Aとは無線アクセス方式が異なる基地局200Bからの報知情報に基づいて基地局200Bへの接続を試みる。基地局200Aには障害が生じておらず、複数の無線端末100のそれぞれは、基地局200Aへの接続に成功する。
【0061】
ステップS104において、複数の無線端末100のそれぞれは、基地局200Aへの接続に失敗したことを示す失敗通知情報を基地局200Bに送信する。その際、無線端末100は、自端末の識別情報(以下、端末識別情報と称する)と、無線アクセスネットワーク10Aの識別情報(以下、ネットワーク識別情報と称する)及び/又は基地局200Aの識別情報(以下、基地局識別情報と称する)とを失敗通知情報に含めて送信する。基地局識別情報は、基地局200Aが送信する報知情報から得ることができる。基地局200Bは、複数の無線端末100からの失敗通知情報を受信する。
【0062】
ステップS105において、基地局200Bは、アラーム情報を監視装置300Bに送信する。その際、基地局200Bは、失敗通知情報に含まれる各識別情報をアラーム情報に含めて送信する。監視装置300Bは、基地局200Bからのアラーム情報を受信する。監視装置300Bは、ステップS105#1で最初のアラーム情報を受信すると、所定時間範囲を計時するためのタイマを起動する。
【0063】
ステップS106において、監視装置300Bは、基地局200Bからのアラーム情報をカウントし、基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になったか否かを確認する。具体的には、監視装置300Bは、アラーム情報に含まれる端末識別情報を参照し、同一端末に対応する2回目以降のアラーム情報はカウントしないようにする。これは、接続障害の原因が無線端末100の不具合である可能性があるため、多くの無線端末100において接続障害が生じたことを確認する必要があるからである。また、監視装置300Bは、アラーム情報に含まれるネットワーク識別情報及び/又は基地局識別情報を参照し、同一基地局についてカウントを行うようにする。さらに、監視装置300Bは、上記タイマを参照し、所定時間範囲が満了すると、カウント値をリセットする。
【0064】
基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になると、監視装置300Bは、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判断する。
【0065】
ステップS107において、監視装置300Bは、基地局200Aにサイレント障害が生じたことを示す障害通知情報を監視装置300Aに送信する。その際、監視装置300Bは、基地局200Aの基地局識別情報を障害通知情報に含めて送信する。監視装置300Aは、障害通知情報を受信する。
【0066】
ステップS108において、障害対応処理を行う。障害対応処理としては、まず、監視装置300Aは、基地局200Aに対して自律復旧を指示する。当該指示の結果、自律復旧ができない場合には、基地局200Aは、基地局200Aへの接続に用いられる報知情報の送信を停止する。あるいは、基地局200Aは、基地局200Aへの接続を規制するための接続規制情報を、基地局200Aへの接続に用いられる報知情報に含めて送信する。これにより、無線端末100が基地局200Aへの接続を試みることを防止できる。さらに、監視装置300A又は監視装置300Bは、基地局200Aの通信エリア範囲を補完するために、基地局200Bの通信エリア範囲を拡大させるよう基地局200Bに指示する。この場合、基地局200Aの通信エリア内に、基地局200Bと無線アクセス方式が同じである別の基地局(以下、単に「別の基地局」という)がないものとする。つまり、前記別の基地局の通信エリア範囲が基地局200Aの通信エリア範囲と重複していないことが条件となる。基地局200Bは、自局の通信エリア範囲を拡大させるための処理を行う。通信エリア範囲を拡大させるための処理としては、基地局200Bの送信電力を上昇させる、基地局200Bのアンテナチルト角を変更する、又は、基地局200Aの方向への送信指向性を強めるといった処理が可能である。なお、前記別の基地局が基地局200Aの通信エリア内にあれば、無線端末100は、前記別の基地局に接続する。この場合、監視装置300A又は監視装置300Bは、基地局200Bに対して、基地局200Bが基地局200Aの通信エリア範囲を補完するための指示をしない。
【0067】
(1.4)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、無線アクセス方式の異なるネットワークの通信エリア範囲は互いに重複することが多いという性質に着目し、無線アクセスネットワーク10Aに含まれる基地局200Aのサイレント障害を、無線アクセスネットワーク10Bに含まれる基地局200Bを経由して検出可能としている。
【0068】
また、第1実施形態では、無線端末100が無線アクセスネットワーク10A及び/又は基地局200Aの識別情報を失敗通知情報に含めて送信することによって、ネットワーク側で詳細な障害分析を行うことが可能となり、サービス品質の低下を回避することに貢献できる。
【0069】
さらに、第1実施形態では、監視装置300Bは、予め定められた時間範囲内で複数の無線端末100に対応する複数のアラーム情報が得られた場合に、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判定する。基地局200Aへの接続失敗の原因が無線端末100にあるというケースが想定されるため、複数の無線端末100に対応する複数のアラーム情報が得られたということを以て基地局200Aのサイレント障害を検出することで、サイレント障害の検出精度を高めることができる。
【0070】
第1実施形態では、基地局200Aのサイレント障害が検出された後、基地局200Aは、基地局200Aへの接続に用いられる報知情報の送信を停止する。あるいは、サイレント障害が検出された後、基地局200Aは、基地局200Aへの接続を規制するための接続規制情報を、基地局200Aへの接続に用いられる報知情報に含めて送信する。これにより、無線端末100が基地局200Aへの接続を試みることがなくなり、無駄な処理が生じることを回避できるため、サービス品質の低下を回避できる。
【0071】
第1実施形態では、サイレント障害が検出された後、基地局200Bは、自局の通信エリア範囲を拡大させる処理を行う。これにより、基地局200Bを用いて、基地局200Aの通信エリア範囲を補完することができるため、サービス品質の低下を回避できる。
【0072】
(2)第2実施形態
第2実施形態では、所定のネットワーク装置とは監視装置300Aである。第2実施形態では、第1実施形態との相違点を説明し、重複する説明を省略する。以下、(2.1)移動通信システムの概要、(2.2)移動通信システムの動作の順に説明する。
【0073】
(2.1)移動通信システムの概要
図6は、第2実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【0074】
図6に示すように、第2実施形態に係る移動通信システムでは、監視装置300A及び基地局200Bが互いに通信可能に構成されており、監視装置300A及び基地局200Bは、互いに連携して障害検出を行う。これに対し、監視装置300A及び監視装置300Bは、互いに通信可能に構成されていない。
【0075】
その他のシステム構成は、第1実施形態と同様である。
【0076】
(2.2)移動通信システムの動作
図7は、第2実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0077】
図7に示すように、ステップS201〜S204の各処理は、第1実施形態と同様である。
【0078】
ステップS205において、基地局200Bは、アラーム情報を監視装置300Aに送信する。その際、基地局200Bは、失敗通知情報に含まれる各識別情報をアラーム情報に含めて送信する。監視装置300Aは、基地局200Bからのアラーム情報を受信する。監視装置300Aは、ステップS205#1で最初のアラーム情報を受信すると、所定時間範囲を計時するためのタイマを起動する。
【0079】
ステップS206において、監視装置300Aは、基地局200Bからのアラーム情報をカウントし、基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になったか否かを確認する。具体的には、監視装置300Aは、アラーム情報に含まれる端末識別情報を参照し、同一端末に対応する2回目以降のアラーム情報はカウントしないようにする。また、監視装置300Aは、アラーム情報に含まれるネットワーク識別情報及び/又は基地局識別情報を参照し、同一基地局についてカウントを行うようにする。さらに、監視装置300Aは、上記タイマを参照し、所定時間範囲が満了すると、カウント値をリセットする。
【0080】
基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になると、監視装置300Aは、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判断する。
【0081】
ステップS208において、障害対応処理を行う。障害対応処理としては、第1実施形態で説明した処理と同様の処理が適用できる。
【0082】
(3)第3実施形態
第3実施形態では、所定のネットワーク装置とは基地局200Aである。第3実施形態では、第1実施形態との相違点を説明し、重複する説明を省略する。以下、(3.1)移動通信システムの概要、(3.2)移動通信システムの動作の順に説明する。
【0083】
(3.1)移動通信システムの概要
図8は、第3実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【0084】
図8に示すように、第3実施形態に係る移動通信システムでは、基地局200A及び基地局200Bが互いに通信可能に構成されており、基地局200A及び基地局200Bは、互いに連携して障害検出を行う。これに対し、監視装置300A及び監視装置300Bは、互いに通信可能に構成されていない。
【0085】
その他のシステム構成は、第1実施形態と同様である。
【0086】
(3.2)移動通信システムの動作
図9は、第3実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0087】
図9に示すように、ステップS301〜S304の各処理は、第1実施形態と同様である。
【0088】
ステップS305において、基地局200Bは、アラーム情報を基地局200Aに送信する。その際、基地局200Bは、失敗通知情報に含まれる各識別情報をアラーム情報に含めて送信する。基地局200Aは、基地局200Bからのアラーム情報を受信する。基地局200Aは、ステップS305#1で最初のアラーム情報を受信すると、所定時間範囲を計時するためのタイマを起動する。
【0089】
ステップS306において、基地局200Aは、アラーム情報を監視装置300Aに送信する。その際、基地局200Aは、基地局200Bからのアラーム情報に含まれる各識別情報を、監視装置300Aへのアラーム情報に含めて送信する。監視装置300Aは、基地局200Aからのアラーム情報を受信する。監視装置300Aは、ステップS306#1で最初のアラーム情報を受信すると、所定時間範囲を計時するためのタイマを起動する。
【0090】
ステップS307において、基地局200Aは、基地局200Bからのアラーム情報をカウントし、基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になったか否かを確認する。具体的には、基地局200Aは、アラーム情報に含まれる端末識別情報を参照し、同一端末に対応する2回目以降のアラーム情報はカウントしないようにする。また、基地局200Aは、アラーム情報に含まれるネットワーク識別情報及び/又は基地局識別情報を参照し、同一基地局についてカウントを行うようにする。さらに、基地局200Aは、上記タイマを参照し、所定時間範囲が満了すると、カウント値をリセットする。基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になると、基地局200Aは、自局にサイレント障害が生じたと判断する。
【0091】
ステップS308において、監視装置300Aは、基地局200Aからのアラーム情報をカウントし、基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になったか否かを確認する。具体的には、監視装置300Aは、アラーム情報に含まれる端末識別情報を参照し、同一端末に対応する2回目以降のアラーム情報はカウントしないようにする。また、監視装置300Aは、アラーム情報に含まれるネットワーク識別情報及び/又は基地局識別情報を参照し、同一基地局についてカウントを行うようにする。さらに、監視装置300Aは、上記タイマを参照し、所定時間範囲が満了すると、カウント値をリセットする。基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になると、監視装置300Aは、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判断する。
【0092】
ステップS309において、障害対応処理を行う。障害対応処理としては、第1実施形態で説明した処理と同様の処理が適用できる。
【0093】
なお、本シーケンスでは、基地局200A及び監視装置300Aの両方でサイレント障害の検出を行う一例を説明したが、サイレント障害の検出は基地局200A及び監視装置300Aのうち一方が行えばよく、検出結果を他方に通知すればよい。
【0094】
(4)第4実施形態
第4実施形態では、所定のネットワーク装置とは上位の監視装置350である。第4実施形態では、第1実施形態との相違点を説明し、重複する説明を省略する。以下、(4.1)移動通信システムの概要、(4.2)移動通信システムの動作の順に説明する。
【0095】
(4.1)移動通信システムの概要
図10は、第4実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【0096】
図10に示すように、第4実施形態に係る移動通信システムは、監視装置300A及び監視装置300Bのそれぞれの上位の監視装置350をさらに備える。監視装置350は、無線アクセスネットワーク10A及び無線アクセスネットワーク10Bのいずれにも個別に属さない独立した監視装置であり、監視装置300A及び監視装置300Bのそれぞれと通信可能に構成されている。これに対し、監視装置300A及び監視装置300Bは、互いに通信可能に構成されていない。
【0097】
その他のシステム構成は、第1実施形態と同様である。
【0098】
(4.2)移動通信システムの動作
図11は、第4実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0099】
図11に示すように、ステップS401〜S404の各処理は、第1実施形態と同様である。
【0100】
ステップS405において、基地局200Bは、アラーム情報を監視装置300Bに送信する。その際、基地局200Bは、失敗通知情報に含まれる各識別情報をアラーム情報に含めて送信する。監視装置300Bは、基地局200Bからのアラーム情報を受信する。
【0101】
ステップS406において、監視装置300Bは、アラーム情報を監視装置350に送信する。その際、監視装置300Bは、基地局200Bからのアラーム情報に含まれる各識別情報を、監視装置350へのアラーム情報に含めて送信する。監視装置350は、監視装置300Bからのアラーム情報を受信する。監視装置350は、ステップS406#1で最初のアラーム情報を受信すると、所定時間範囲を計時するためのタイマを起動する。
【0102】
ステップS407において、監視装置350は、監視装置300Bからのアラーム情報をカウントし、基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になったか否かを確認する。具体的には、監視装置350は、アラーム情報に含まれる端末識別情報を参照し、同一端末に対応する2回目以降のアラーム情報はカウントしないようにする。また、監視装置350は、アラーム情報に含まれるネットワーク識別情報及び/又は基地局識別情報を参照し、同一基地局についてカウントを行うようにする。さらに、監視装置350は、上記タイマを参照し、所定時間範囲が満了すると、カウント値をリセットする。
【0103】
基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になると、監視装置350は、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判断する。
【0104】
ステップS408において、監視装置350は、基地局200Aにサイレント障害が生じたことを示す障害通知情報を監視装置300Aに送信する。その際、監視装置350は、基地局200Aの基地局識別情報を障害通知情報に含めて送信する。監視装置300Aは、障害通知情報を受信する。
【0105】
ステップS409において、障害対応処理を行う。障害対応処理としては、第1実施形態で説明した処理と同様の処理が適用できる。
【0106】
(5)その他の実施形態
上記のように、本発明は各実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0107】
上述した各実施形態では、無線アクセスネットワーク10AはLTEに基づいて構成され、無線アクセスネットワーク10BはEV−DOに基づいて構成されると説明したが、無線アクセスネットワーク10Bは、セルラ以外の無線アクセス方式、例えば無線LAN(IEEE802.11)やWiMAX(IEEE802.16)に基づいて構成されてもよい。また、無線アクセスネットワーク10AがLTEに基づいて構成される場合に限らず、無線アクセスネットワーク10AがW−CDMA又はCDMA2000等に基づいて構成され、無線アクセスネットワーク10BがLTEに基づいて構成されていてもよい。
【0108】
上述した各実施形態では、基地局200Aへの接続失敗としてランダムアクセス失敗を例に説明したが、ランダムアクセス失敗に限らず、無線リンク切断(RLF:Radio Link Failure)も基地局200Aへの接続失敗に含まれる。無線リンク切断とは、基地局200Aとの無線リンクが一旦確立されたものの、無線状態の悪化等によって当該無線リンクが切断されるものである。この場合、無線端末100は、基地局200Aへの接続失敗の種別を示す情報を失敗通知情報に含めて送信することが好ましい。すなわち、無線端末100は、基地局200Aへの接続に失敗すると、その種別がランダムアクセス失敗であるか、無線リンク切断であるかを示す失敗種別情報を失敗通知情報に含める。当該失敗通知情報を受信した基地局200Bは、当該失敗通知情報に含まれる失敗種別情報をアラーム情報に含めて送信する。これにより、アラーム情報の受信側は、より詳細な障害分析を行うことが可能となり、サービス品質の低下を回避することに貢献できる。
【0109】
上述した各実施形態では、監視装置300Aが基地局200Aを監視し、監視装置300Bが基地局200Bを監視すると説明したが、監視装置が、基地局200A及び基地局200Bのそれぞれを監視する機能を備えてもよい。これにより、一つの監視装置で基地局200A及び基地局200Bを監視することができる。
【0110】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0111】
10A,10B…無線アクセスネットワーク、100…無線端末、110A,110B…無線通信部、120…ユーザインターフェイス部、130…記憶部、140…制御部、150…バッテリ、200A,200B…基地局、210…無線通信部、220…ネットワーク通信部、230…記憶部、240…制御部、300A,300B,350…監視装置、310…ネットワーク通信部、320…ユーザインターフェイス部、330…記憶部、340…制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク内の障害を検出するための障害検出方法、無線端末、及び基地局に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークの運用においては、サービス品質を良好に保つために、ネットワークを構成する各機器の障害を速やかに検知して早期に修復することは重要であり、障害を検出するための監視装置がネットワークに設けられることが一般的である。監視装置は、ネットワーク内の各機器の通信性能(例えば、データ転送時のパケット損失や転送遅延など)を測定することで、障害発生の有無を判断する。
【0003】
近年、このような監視装置で検出されないままネットワークの性能劣化が生じる障害である「サイレント障害」が問題視されている。サイレント障害が発生すると、監視装置からネットワーク・オペレータにエラーが報告されていない状況でも、当該ネットワークを利用するユーザが体感するサービス品質は低いものになる。
【0004】
サイレント障害を自動で検出するための手法としては、監視装置が、ネットワーク機器の通信性能の統計値である性能データを収集し、当該性能データを過去の性能データと比較した結果が不一致である場合にサイレント障害が発生したと推定する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−86160号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、収集した性能データを過去の性能データと比較する方法では、当該収集した性能データのパターンが様々であるため、過去の性能データと比較した結果が不一致となることが多く、サイレント障害の検出精度を高めることが難しいという問題があった。
【0007】
また、ネットワークに含まれる基地局に障害が生じたことによって、無線端末が基地局へ接続不能になるケースでは、無線端末が基地局への接続に失敗したことを当該基地局及び監視装置が認識できず、且つ、性能データにも反映されない。従って、このような基地局のサイレント障害はネットワーク側で検出することが難しいという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、基地局のサイレント障害を検出可能とすることでサービス品質の低下を回避できる障害検出方法、無線端末、及び基地局を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明は以下のような特徴を有している。まず、本発明に係る障害検出方法の特徴は、複数の無線アクセス方式(RAT:Radio Access Technology)に対応した無線端末(無線端末100)が、第1のネットワーク(無線アクセスネットワーク10A)に含まれる第1の基地局(基地局200A)への接続に失敗した後、前記第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワーク(無線アクセスネットワーク10B)に含まれる第2の基地局(基地局200B)に対し、前記第1の基地局への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するステップと、前記第2の基地局が、前記無線端末からの失敗通知情報を受信すると、所定のネットワーク装置(監視装置300A、監視装置300B、基地局200A、又は監視装置350)へのアラーム情報を送信するステップと、前記所定のネットワーク装置が、前記第2の基地局からのアラーム情報に基づいて、前記第1の基地局の障害であって前記第1のネットワークで検出困難な特定の障害を検出するステップと、を含むことを要旨とする。
【0010】
このような特徴によれば、第1のネットワークに含まれる第1の基地局の特定の障害(サイレント障害)を、第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワークに含まれる第2の基地局を経由して検出可能としている。従って、上記特徴によれば、基地局のサイレント障害を検出可能とすることでサービス品質の低下を回避できる。
【0011】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記所定のネットワーク装置とは、前記第2のネットワークに含まれる監視装置(監視装置300B)であることを要旨とする。
【0012】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記所定のネットワーク装置とは、前記第1のネットワークに含まれる監視装置(監視装置300A)であることを要旨とする。
【0013】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記所定のネットワーク装置とは、前記第1の基地局であることを要旨とする。
【0014】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記所定のネットワーク装置とは、前記第1のネットワークに含まれる監視装置及び前記第2のネットワークに含まれる監視装置のそれぞれの上位の監視装置(監視装置350)であることを要旨とする。
【0015】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記無線端末は、前記第1の基地局から受信した報知情報に基づいて前記第1の基地局への接続を試みた結果、前記第1の基地局への接続に失敗した後、前記失敗通知情報を前記第2の基地局に送信することを要旨とする。
【0016】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記無線端末は、前記第1のネットワークの識別情報及び/又は前記第1の基地局の識別情報を前記失敗通知情報に含めて送信し、前記第2の基地局は、前記無線端末からの前記失敗通知情報に含まれる識別情報を前記アラーム情報に含めて送信することを要旨とする。
【0017】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記無線端末は、前記第1の基地局への接続失敗の種別を示す情報を前記失敗通知情報に含めて送信し、前記接続失敗の種別は、ランダムアクセス失敗、又は無線リンク切断を含むことを要旨とする。
【0018】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記所定のネットワーク装置は、予め定められた時間範囲内で複数の無線端末に対応する複数のアラーム情報が得られた場合に、前記第1の基地局に前記特定の障害が生じたと判定することを要旨とする。
【0019】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記第1の基地局の通信エリア範囲と前記第2の基地局の通信エリア範囲とは少なくとも一部が重複することを要旨とする。
【0020】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記特定の障害が検出された後、前記第1の基地局は、前記第1の基地局への接続に用いられる報知情報の送信を停止することを要旨とする。
【0021】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記特定の障害が検出された後、前記第1の基地局は、前記第1の基地局への接続を規制するための接続規制情報を、前記第1の基地局への接続に用いられる報知情報に含めて送信することを要旨とする。
【0022】
本発明に係る障害検出方法の他の特徴は、上記特徴に係る障害検出方法において、前記特定の障害が検出された後、前記第2の基地局は、自局の通信エリア範囲を拡大させる処理を行うことを要旨とする。
【0023】
本発明に係る無線端末の特徴は、複数の無線アクセス方式毎に設けられた複数の無線通信部(無線通信部110A,110B)と、前記複数の無線通信部を制御する制御部(制御部140)と、を備え、前記制御部は、第1のネットワーク(無線アクセスネットワーク10A)に含まれる第1の基地局(基地局200A)への接続に失敗した後、前記第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワーク(無線アクセスネットワーク10B)に含まれる第2の基地局(基地局200B)に対し、前記第1の基地局への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するように、前記複数の無線通信部を制御することを要旨とする。
【0024】
本発明に係る基地局の特徴は、第1のネットワーク(無線アクセスネットワーク10A)とは無線アクセス方式が異なる第2のネットワーク(無線アクセスネットワーク10B)に含まれる基地局(基地局200B)であって、無線通信を行う無線通信部(無線通信部210)と、ネットワーク通信を行うネットワーク通信部(ネットワーク通信部220)と、前記無線通信部及び前記ネットワーク通信部を制御する制御部(制御部240)と、を備え、前記制御部は、複数の無線アクセス方式に対応した無線端末(無線端末100)から、前記第1のネットワークに含まれる第1の基地局(基地局200A)への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を前記無線通信部が受信すると、所定のネットワーク装置(監視装置300A、監視装置300B、基地局200A、又は監視装置350)へのアラーム情報を送信するように前記ネットワーク通信部を制御することを要旨とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、基地局のサイレント障害を検出可能とすることでサービス品質の低下を回避できる障害検出方法、無線端末、及び基地局を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【図2】第1実施形態〜第4実施形態に係る無線端末の構成を示すブロック図である。
【図3】第1実施形態〜第4実施形態に係る基地局の構成を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態〜第4実施形態に係る監視装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図6】第2実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【図7】第2実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図8】第3実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【図9】第3実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【図10】第4実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【図11】第4実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面を参照して、本発明の第1実施形態〜第4実施形態、及びその他の実施形態を説明する。以下の各実施形態における図面において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付す。
【0028】
(0)実施形態の概要
第1実施形態〜第4実施形態に係る障害検出方法は、複数の無線アクセス方式(RAT:Radio Access Technology)に対応した無線端末100が、無線アクセスネットワーク10A(第1のネットワーク)に含まれる基地局200Aへの接続に失敗した後、無線アクセスネットワーク10Aとは無線アクセス方式が異なる無線アクセスネットワーク10B(第2のネットワーク)に含まれる基地局200Bに対し、基地局200Aへの接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するステップと、基地局200Bが、無線端末100からの失敗通知情報を受信すると、所定のネットワーク装置へのアラーム情報を送信するステップと、所定のネットワーク装置が、基地局200Bからのアラーム情報に基づいて、基地局200Aの障害であって無線アクセスネットワーク10Aで検出困難な特定の障害(すなわちサイレント障害)を検出するステップと、を含む。
【0029】
所定のネットワーク装置とは、第1実施形態では無線アクセスネットワーク10Bに含まれる監視装置300Bであり、第2実施形態では無線アクセスネットワーク10Aに含まれる監視装置300Aであり、第3実施形態では基地局200Aであり、第4実施形態では監視装置300A及び監視装置300Bのそれぞれの上位の監視装置350である。
【0030】
なお、以下の第1〜第4実施形態では、無線アクセスネットワーク10Aが、3GPP(Third Generation Partnership Project)で仕様が策定されているLTE(Long Term Evolution)に基づいて構成され、無線アクセスネットワーク10Bが、LTEとは異なる無線アクセス方式に基づいて構成される一例を説明するが、無線アクセスネットワーク10AはLTE以外の無線アクセス方式に基づいて構成されていてもよい。
【0031】
(1)第1実施形態
以下、第1実施形態について、(1.1)移動通信システムの概要、(1.2)移動通信システムの詳細構成、(1.3)移動通信システムの動作、(1.4)第1実施形態の効果の順に説明する。
【0032】
(1.1)移動通信システムの概要
図1は、第1実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【0033】
図1に示すように、第1実施形態に係る移動通信システムは、無線アクセスネットワーク10Aと、無線アクセスネットワーク10Bと、複数の無線端末100#1〜100#Nとを備える。なお、以下において無線端末100#1〜100#Nを特に区別しないときは単に無線端末100と称する。
【0034】
無線アクセスネットワーク10Aは、LTEに基づいて構成されており、E−UTRAN(Evolved-UMTS Terrestrial Radio Access Network)と称される。
【0035】
無線アクセスネットワーク10Aは、無線端末100との無線通信を行うように構成された基地局200Aと、無線アクセスネットワーク10A内の障害を検出するように構成された監視装置300Aとを含む。基地局200Aは、所定の通信エリア範囲をカバーする1又は複数のセルを形成し、基地局200Aへの接続に用いられる報知情報(ブロードキャスト情報)を当該通信エリア範囲内にブロードキャストで送信する。
【0036】
無線アクセスネットワーク10Bは、LTEとは異なる無線アクセス方式に基づいて構成されている。例えば、無線アクセスネットワーク10Bは、LTEよりも古い世代の無線アクセス方式(具体的には、GSM、W−CDMA又はCDMA2000等)に基づいて構成される。以下の説明では、一例として、無線アクセスネットワーク10BがCDMA2000 1x EV−DO(以下、EV−DOと称する)に基づいて構成されるものとする。
【0037】
なお、LTE等の次世代無線アクセス方式では、基地局が順次増設されていくといった事情から、サービス開始当初はサービスエリアが限定されるため、無線アクセスネットワーク10Aと無線アクセスネットワーク10Bとを併存させることが想定されている。
【0038】
無線アクセスネットワーク10Bは、無線端末100との無線通信を行うように構成された基地局200Bと、無線アクセスネットワーク10B内の障害を検出するように構成された監視装置300Bとを含む。基地局200Bは、所定の通信エリア範囲をカバーする1又は複数のセルを形成し、基地局200Bへの接続に用いられる報知情報(ブロードキャスト情報)を当該通信エリア範囲内にブロードキャストで送信する。ここで、基地局200Bの通信エリア範囲は、基地局200Aの通信エリア範囲と少なくとも一部が重複するものとする。
【0039】
第1実施形態に係る移動通信システムでは、監視装置300A及び監視装置300Bが互いに通信可能に構成されており、監視装置300A及び監視装置300Bは、互いに連携して障害検出を行う。
【0040】
複数の無線端末100のそれぞれは、ユーザが所持する無線通信装置であり、ユーザ機器とも称される。複数の無線端末100のそれぞれは、複数の無線アクセス方式、具体的には、LTE及びEV−DOの両無線アクセス方式に対応して構成されており、基地局200Aからの報知情報に基づいて基地局200Aに接続を試みることができ、基地局200Bからの報知情報に基づいて基地局200Bに接続を試みることができる。
【0041】
このように構成された移動通信システムにおいて、基地局200Aの無線通信機能に障害が生じた結果、無線端末100が、基地局200Aからの報知情報を受信できるものの、基地局200Aへの接続に失敗するケースを想定する。「基地局200Aへの接続」とは、通信を開始するための処理(ランダムアクセスと称される)と、通信を維持するための処理とを含む。ランダムアクセスとは、待ち受け状態(アイドル状態と称される)から通信中状態(コネクテッド状態又はアクティブ状態と称される)へ移行する際、又は、通信中に他の基地局から基地局200Aにハンドオーバする際に、基地局200Aへの接続を試みる処理である。ランダムアクセス手順では、無線端末100は、所定の信号系列(ランダムアクセスプリアンブルと称される)を最大送信回数に達するまで繰り返し送信しても、基地局が当該信号系列を検出できず、当該基地局から無線端末100への応答が得られないことがある。このような無線端末100の送信処理が例えば2回実行された場合、無線端末100は、当該基地局への接続に失敗したとみなす。
【0042】
このような接続障害は、無線アクセスネットワーク10Aに含まれる基地局200A及び監視装置300Aで認識できない障害、すなわち基地局200Aのサイレント障害である。第1実施形態では、監視装置300A及び監視装置300Bが互いに連携して、基地局200Aのサイレント障害を検出する形態について説明する。
【0043】
(1.2)移動通信システムの詳細構成
次に、第1実施形態に係る移動通信システムの構成について、(1.2.1)無線端末の構成、(1.2.2)基地局の構成、(1.2.3)監視装置の構成の順に説明する。
【0044】
(1.2.1)無線端末の構成
図2は、無線端末100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、無線端末100は、複数の無線アクセス方式毎に設けられた複数の無線通信部110A,110Bと、ユーザインターフェイス部120と、記憶部130と、制御部140と、バッテリ150とを含む。
【0045】
無線通信部110Aは、LTEに基づいて構成されており、無線アクセスネットワーク10Aに含まれる200Aとの無線通信を行うように構成される。無線通信部110Bは、EV−DOに基づいて構成されており、無線アクセスネットワーク10Bに含まれる200Bとの無線通信を行うように構成される。具体的には、無線通信部110A,110Bのそれぞれは、無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナを介して無線信号を送受信するとともに、送信信号の変調・符号化と受信信号の復調・復号とを行う。
【0046】
ユーザインターフェイス部120は、ユーザとのインターフェイスとして機能するディスプレイやボタン等である。記憶部130は、例えばメモリを用いて構成され、無線端末100の制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部140は、例えばCPUを用いて構成され、無線端末100が備える各種の機能、具体的には、無線通信部110A,110Bとユーザインターフェイス部120とを制御する。バッテリ150は、無線端末100の各ブロックに供給される電力を蓄える。
【0047】
このように構成された無線端末100において、制御部140は、基地局200Aから無線通信部110Aが受信した報知情報に基づいて基地局200Aへの接続を試みるように無線通信部110Aを制御する。また、制御部140は、基地局200Aへの接続に失敗すると、基地局200Bから無線通信部110Bが受信した報知情報に基づいて基地局200Bへの接続を試みるように無線通信部110Bを制御する。そして、制御部140は、基地局200Bへの接続に成功すると、基地局200Aへの接続に失敗したことを示す失敗通知情報を基地局200Bに送信するように無線通信部110Bを制御する。
【0048】
(1.2.2)基地局の構成
図3は、基地局200Bの構成を示すブロック図である。基地局200Aのブロック構成は基地局200Bと同様であるため、ここでは基地局200Bのブロック構成のみを説明する。
【0049】
図3に示すように、基地局200Bは、無線通信部210と、ネットワーク通信部220と、記憶部230と、制御部240とを含む。
【0050】
無線通信部210は、EV−DOに基づいて構成されており、無線端末100との無線通信を行うように構成される。具体的には、無線通信部210は、無線周波数(RF)回路やベースバンド(BB)回路等を用いて構成され、アンテナを介して無線信号を送受信するとともに、送信信号の変調・符号化と受信信号の復調・復号とを行う。
【0051】
ネットワーク通信部220は、バックホールネットワークを介した通信(以下、ネットワーク通信と称する)を行うように構成されている。記憶部230は、例えばメモリを用いて構成され、基地局200Bの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部240は、例えばCPUを用いて構成され、基地局200Bが備える各種の機能、具体的には、無線通信部210とネットワーク通信部220とを制御する。
【0052】
このように構成された基地局200Bにおいて、制御部240は、基地局200Aへの接続に失敗したことを示す失敗通知情報を無線端末100から無線通信部210が受信すると、所定のネットワーク装置へのアラーム情報を送信するようにネットワーク通信部220を制御する。上述したように、第1実施形態では、所定のネットワーク装置は監視装置300Bである。
【0053】
(1.2.3)監視装置の構成
図4は、監視装置300Bの構成を示すブロック図である。監視装置300Aのブロック構成は監視装置300Bと同様であるため、ここでは監視装置300Bのブロック構成のみを説明する。
【0054】
図4に示すように、監視装置300Bは、ネットワーク通信部310と、ユーザインターフェイス部320と、記憶部330と、制御部340とを含む。
【0055】
ネットワーク通信部310は、バックホールネットワークを介した通信(ネットワーク通信)を行うように構成されている。ユーザインターフェイス部320は、ユーザとのインターフェイスとして機能するディスプレイやキーボード等であり、オペレータによって使用される。記憶部330は、例えばメモリを用いて構成され、監視装置300Bの制御等に用いられる各種の情報を記憶する。制御部340は、例えばCPUを用いて構成され、監視装置300Bが備える各種の機能、具体的には、ネットワーク通信部310とユーザインターフェイス部320とを制御する。
【0056】
このように構成された監視装置300Bにおいて、ネットワーク通信部310は、基地局200Bからのアラーム情報を受信する。制御部340は、予め定められた時間範囲内で複数の無線端末100に対応する複数のアラーム情報をネットワーク通信部310が受信した場合に、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判定する。制御部340は、基地局200Aのサイレント障害を検出すると、その旨の障害通知情報を監視装置300Aに送信するようにネットワーク通信部310を制御する。
【0057】
(1.3)移動通信システムの動作
次に、第1実施形態に係る移動通信システムの動作を説明する。図5は、第1実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0058】
図5に示すように、ステップS101において、基地局200Aのサイレント障害として、基地局200Aの無線通信機能に障害が発生する。
【0059】
ステップS102において、複数の無線端末100のそれぞれは、基地局200Aから受信した報知情報に基づいて基地局200Aへの接続を試みる。具体的には、複数の無線端末100のそれぞれは、ランダムアクセスプリアンブル応答が得られるまで、ランダムアクセスプリアンブルを繰り返し送信する。ここでは、最大送信回数に達するまでランダムアクセスプリアンブル応答が得られず、複数の無線端末100のそれぞれは、基地局200Aへの接続に失敗したものとみなす。
【0060】
ステップS103において、複数の無線端末100のそれぞれは、基地局200Aへの接続に失敗したことから、基地局200Aとは無線アクセス方式が異なる基地局200Bからの報知情報に基づいて基地局200Bへの接続を試みる。基地局200Aには障害が生じておらず、複数の無線端末100のそれぞれは、基地局200Aへの接続に成功する。
【0061】
ステップS104において、複数の無線端末100のそれぞれは、基地局200Aへの接続に失敗したことを示す失敗通知情報を基地局200Bに送信する。その際、無線端末100は、自端末の識別情報(以下、端末識別情報と称する)と、無線アクセスネットワーク10Aの識別情報(以下、ネットワーク識別情報と称する)及び/又は基地局200Aの識別情報(以下、基地局識別情報と称する)とを失敗通知情報に含めて送信する。基地局識別情報は、基地局200Aが送信する報知情報から得ることができる。基地局200Bは、複数の無線端末100からの失敗通知情報を受信する。
【0062】
ステップS105において、基地局200Bは、アラーム情報を監視装置300Bに送信する。その際、基地局200Bは、失敗通知情報に含まれる各識別情報をアラーム情報に含めて送信する。監視装置300Bは、基地局200Bからのアラーム情報を受信する。監視装置300Bは、ステップS105#1で最初のアラーム情報を受信すると、所定時間範囲を計時するためのタイマを起動する。
【0063】
ステップS106において、監視装置300Bは、基地局200Bからのアラーム情報をカウントし、基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になったか否かを確認する。具体的には、監視装置300Bは、アラーム情報に含まれる端末識別情報を参照し、同一端末に対応する2回目以降のアラーム情報はカウントしないようにする。これは、接続障害の原因が無線端末100の不具合である可能性があるため、多くの無線端末100において接続障害が生じたことを確認する必要があるからである。また、監視装置300Bは、アラーム情報に含まれるネットワーク識別情報及び/又は基地局識別情報を参照し、同一基地局についてカウントを行うようにする。さらに、監視装置300Bは、上記タイマを参照し、所定時間範囲が満了すると、カウント値をリセットする。
【0064】
基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になると、監視装置300Bは、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判断する。
【0065】
ステップS107において、監視装置300Bは、基地局200Aにサイレント障害が生じたことを示す障害通知情報を監視装置300Aに送信する。その際、監視装置300Bは、基地局200Aの基地局識別情報を障害通知情報に含めて送信する。監視装置300Aは、障害通知情報を受信する。
【0066】
ステップS108において、障害対応処理を行う。障害対応処理としては、まず、監視装置300Aは、基地局200Aに対して自律復旧を指示する。当該指示の結果、自律復旧ができない場合には、基地局200Aは、基地局200Aへの接続に用いられる報知情報の送信を停止する。あるいは、基地局200Aは、基地局200Aへの接続を規制するための接続規制情報を、基地局200Aへの接続に用いられる報知情報に含めて送信する。これにより、無線端末100が基地局200Aへの接続を試みることを防止できる。さらに、監視装置300A又は監視装置300Bは、基地局200Aの通信エリア範囲を補完するために、基地局200Bの通信エリア範囲を拡大させるよう基地局200Bに指示する。この場合、基地局200Aの通信エリア内に、基地局200Bと無線アクセス方式が同じである別の基地局(以下、単に「別の基地局」という)がないものとする。つまり、前記別の基地局の通信エリア範囲が基地局200Aの通信エリア範囲と重複していないことが条件となる。基地局200Bは、自局の通信エリア範囲を拡大させるための処理を行う。通信エリア範囲を拡大させるための処理としては、基地局200Bの送信電力を上昇させる、基地局200Bのアンテナチルト角を変更する、又は、基地局200Aの方向への送信指向性を強めるといった処理が可能である。なお、前記別の基地局が基地局200Aの通信エリア内にあれば、無線端末100は、前記別の基地局に接続する。この場合、監視装置300A又は監視装置300Bは、基地局200Bに対して、基地局200Bが基地局200Aの通信エリア範囲を補完するための指示をしない。
【0067】
(1.4)第1実施形態の効果
以上説明したように、第1実施形態によれば、無線アクセス方式の異なるネットワークの通信エリア範囲は互いに重複することが多いという性質に着目し、無線アクセスネットワーク10Aに含まれる基地局200Aのサイレント障害を、無線アクセスネットワーク10Bに含まれる基地局200Bを経由して検出可能としている。
【0068】
また、第1実施形態では、無線端末100が無線アクセスネットワーク10A及び/又は基地局200Aの識別情報を失敗通知情報に含めて送信することによって、ネットワーク側で詳細な障害分析を行うことが可能となり、サービス品質の低下を回避することに貢献できる。
【0069】
さらに、第1実施形態では、監視装置300Bは、予め定められた時間範囲内で複数の無線端末100に対応する複数のアラーム情報が得られた場合に、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判定する。基地局200Aへの接続失敗の原因が無線端末100にあるというケースが想定されるため、複数の無線端末100に対応する複数のアラーム情報が得られたということを以て基地局200Aのサイレント障害を検出することで、サイレント障害の検出精度を高めることができる。
【0070】
第1実施形態では、基地局200Aのサイレント障害が検出された後、基地局200Aは、基地局200Aへの接続に用いられる報知情報の送信を停止する。あるいは、サイレント障害が検出された後、基地局200Aは、基地局200Aへの接続を規制するための接続規制情報を、基地局200Aへの接続に用いられる報知情報に含めて送信する。これにより、無線端末100が基地局200Aへの接続を試みることがなくなり、無駄な処理が生じることを回避できるため、サービス品質の低下を回避できる。
【0071】
第1実施形態では、サイレント障害が検出された後、基地局200Bは、自局の通信エリア範囲を拡大させる処理を行う。これにより、基地局200Bを用いて、基地局200Aの通信エリア範囲を補完することができるため、サービス品質の低下を回避できる。
【0072】
(2)第2実施形態
第2実施形態では、所定のネットワーク装置とは監視装置300Aである。第2実施形態では、第1実施形態との相違点を説明し、重複する説明を省略する。以下、(2.1)移動通信システムの概要、(2.2)移動通信システムの動作の順に説明する。
【0073】
(2.1)移動通信システムの概要
図6は、第2実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【0074】
図6に示すように、第2実施形態に係る移動通信システムでは、監視装置300A及び基地局200Bが互いに通信可能に構成されており、監視装置300A及び基地局200Bは、互いに連携して障害検出を行う。これに対し、監視装置300A及び監視装置300Bは、互いに通信可能に構成されていない。
【0075】
その他のシステム構成は、第1実施形態と同様である。
【0076】
(2.2)移動通信システムの動作
図7は、第2実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0077】
図7に示すように、ステップS201〜S204の各処理は、第1実施形態と同様である。
【0078】
ステップS205において、基地局200Bは、アラーム情報を監視装置300Aに送信する。その際、基地局200Bは、失敗通知情報に含まれる各識別情報をアラーム情報に含めて送信する。監視装置300Aは、基地局200Bからのアラーム情報を受信する。監視装置300Aは、ステップS205#1で最初のアラーム情報を受信すると、所定時間範囲を計時するためのタイマを起動する。
【0079】
ステップS206において、監視装置300Aは、基地局200Bからのアラーム情報をカウントし、基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になったか否かを確認する。具体的には、監視装置300Aは、アラーム情報に含まれる端末識別情報を参照し、同一端末に対応する2回目以降のアラーム情報はカウントしないようにする。また、監視装置300Aは、アラーム情報に含まれるネットワーク識別情報及び/又は基地局識別情報を参照し、同一基地局についてカウントを行うようにする。さらに、監視装置300Aは、上記タイマを参照し、所定時間範囲が満了すると、カウント値をリセットする。
【0080】
基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になると、監視装置300Aは、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判断する。
【0081】
ステップS208において、障害対応処理を行う。障害対応処理としては、第1実施形態で説明した処理と同様の処理が適用できる。
【0082】
(3)第3実施形態
第3実施形態では、所定のネットワーク装置とは基地局200Aである。第3実施形態では、第1実施形態との相違点を説明し、重複する説明を省略する。以下、(3.1)移動通信システムの概要、(3.2)移動通信システムの動作の順に説明する。
【0083】
(3.1)移動通信システムの概要
図8は、第3実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【0084】
図8に示すように、第3実施形態に係る移動通信システムでは、基地局200A及び基地局200Bが互いに通信可能に構成されており、基地局200A及び基地局200Bは、互いに連携して障害検出を行う。これに対し、監視装置300A及び監視装置300Bは、互いに通信可能に構成されていない。
【0085】
その他のシステム構成は、第1実施形態と同様である。
【0086】
(3.2)移動通信システムの動作
図9は、第3実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0087】
図9に示すように、ステップS301〜S304の各処理は、第1実施形態と同様である。
【0088】
ステップS305において、基地局200Bは、アラーム情報を基地局200Aに送信する。その際、基地局200Bは、失敗通知情報に含まれる各識別情報をアラーム情報に含めて送信する。基地局200Aは、基地局200Bからのアラーム情報を受信する。基地局200Aは、ステップS305#1で最初のアラーム情報を受信すると、所定時間範囲を計時するためのタイマを起動する。
【0089】
ステップS306において、基地局200Aは、アラーム情報を監視装置300Aに送信する。その際、基地局200Aは、基地局200Bからのアラーム情報に含まれる各識別情報を、監視装置300Aへのアラーム情報に含めて送信する。監視装置300Aは、基地局200Aからのアラーム情報を受信する。監視装置300Aは、ステップS306#1で最初のアラーム情報を受信すると、所定時間範囲を計時するためのタイマを起動する。
【0090】
ステップS307において、基地局200Aは、基地局200Bからのアラーム情報をカウントし、基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になったか否かを確認する。具体的には、基地局200Aは、アラーム情報に含まれる端末識別情報を参照し、同一端末に対応する2回目以降のアラーム情報はカウントしないようにする。また、基地局200Aは、アラーム情報に含まれるネットワーク識別情報及び/又は基地局識別情報を参照し、同一基地局についてカウントを行うようにする。さらに、基地局200Aは、上記タイマを参照し、所定時間範囲が満了すると、カウント値をリセットする。基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になると、基地局200Aは、自局にサイレント障害が生じたと判断する。
【0091】
ステップS308において、監視装置300Aは、基地局200Aからのアラーム情報をカウントし、基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になったか否かを確認する。具体的には、監視装置300Aは、アラーム情報に含まれる端末識別情報を参照し、同一端末に対応する2回目以降のアラーム情報はカウントしないようにする。また、監視装置300Aは、アラーム情報に含まれるネットワーク識別情報及び/又は基地局識別情報を参照し、同一基地局についてカウントを行うようにする。さらに、監視装置300Aは、上記タイマを参照し、所定時間範囲が満了すると、カウント値をリセットする。基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になると、監視装置300Aは、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判断する。
【0092】
ステップS309において、障害対応処理を行う。障害対応処理としては、第1実施形態で説明した処理と同様の処理が適用できる。
【0093】
なお、本シーケンスでは、基地局200A及び監視装置300Aの両方でサイレント障害の検出を行う一例を説明したが、サイレント障害の検出は基地局200A及び監視装置300Aのうち一方が行えばよく、検出結果を他方に通知すればよい。
【0094】
(4)第4実施形態
第4実施形態では、所定のネットワーク装置とは上位の監視装置350である。第4実施形態では、第1実施形態との相違点を説明し、重複する説明を省略する。以下、(4.1)移動通信システムの概要、(4.2)移動通信システムの動作の順に説明する。
【0095】
(4.1)移動通信システムの概要
図10は、第4実施形態に係る移動通信システムの概略構成図である。
【0096】
図10に示すように、第4実施形態に係る移動通信システムは、監視装置300A及び監視装置300Bのそれぞれの上位の監視装置350をさらに備える。監視装置350は、無線アクセスネットワーク10A及び無線アクセスネットワーク10Bのいずれにも個別に属さない独立した監視装置であり、監視装置300A及び監視装置300Bのそれぞれと通信可能に構成されている。これに対し、監視装置300A及び監視装置300Bは、互いに通信可能に構成されていない。
【0097】
その他のシステム構成は、第1実施形態と同様である。
【0098】
(4.2)移動通信システムの動作
図11は、第4実施形態に係る移動通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【0099】
図11に示すように、ステップS401〜S404の各処理は、第1実施形態と同様である。
【0100】
ステップS405において、基地局200Bは、アラーム情報を監視装置300Bに送信する。その際、基地局200Bは、失敗通知情報に含まれる各識別情報をアラーム情報に含めて送信する。監視装置300Bは、基地局200Bからのアラーム情報を受信する。
【0101】
ステップS406において、監視装置300Bは、アラーム情報を監視装置350に送信する。その際、監視装置300Bは、基地局200Bからのアラーム情報に含まれる各識別情報を、監視装置350へのアラーム情報に含めて送信する。監視装置350は、監視装置300Bからのアラーム情報を受信する。監視装置350は、ステップS406#1で最初のアラーム情報を受信すると、所定時間範囲を計時するためのタイマを起動する。
【0102】
ステップS407において、監視装置350は、監視装置300Bからのアラーム情報をカウントし、基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になったか否かを確認する。具体的には、監視装置350は、アラーム情報に含まれる端末識別情報を参照し、同一端末に対応する2回目以降のアラーム情報はカウントしないようにする。また、監視装置350は、アラーム情報に含まれるネットワーク識別情報及び/又は基地局識別情報を参照し、同一基地局についてカウントを行うようにする。さらに、監視装置350は、上記タイマを参照し、所定時間範囲が満了すると、カウント値をリセットする。
【0103】
基地局200Aについてのカウント値が所定の閾値以上になると、監視装置350は、基地局200Aにサイレント障害が生じたと判断する。
【0104】
ステップS408において、監視装置350は、基地局200Aにサイレント障害が生じたことを示す障害通知情報を監視装置300Aに送信する。その際、監視装置350は、基地局200Aの基地局識別情報を障害通知情報に含めて送信する。監視装置300Aは、障害通知情報を受信する。
【0105】
ステップS409において、障害対応処理を行う。障害対応処理としては、第1実施形態で説明した処理と同様の処理が適用できる。
【0106】
(5)その他の実施形態
上記のように、本発明は各実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面はこの発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなる。
【0107】
上述した各実施形態では、無線アクセスネットワーク10AはLTEに基づいて構成され、無線アクセスネットワーク10BはEV−DOに基づいて構成されると説明したが、無線アクセスネットワーク10Bは、セルラ以外の無線アクセス方式、例えば無線LAN(IEEE802.11)やWiMAX(IEEE802.16)に基づいて構成されてもよい。また、無線アクセスネットワーク10AがLTEに基づいて構成される場合に限らず、無線アクセスネットワーク10AがW−CDMA又はCDMA2000等に基づいて構成され、無線アクセスネットワーク10BがLTEに基づいて構成されていてもよい。
【0108】
上述した各実施形態では、基地局200Aへの接続失敗としてランダムアクセス失敗を例に説明したが、ランダムアクセス失敗に限らず、無線リンク切断(RLF:Radio Link Failure)も基地局200Aへの接続失敗に含まれる。無線リンク切断とは、基地局200Aとの無線リンクが一旦確立されたものの、無線状態の悪化等によって当該無線リンクが切断されるものである。この場合、無線端末100は、基地局200Aへの接続失敗の種別を示す情報を失敗通知情報に含めて送信することが好ましい。すなわち、無線端末100は、基地局200Aへの接続に失敗すると、その種別がランダムアクセス失敗であるか、無線リンク切断であるかを示す失敗種別情報を失敗通知情報に含める。当該失敗通知情報を受信した基地局200Bは、当該失敗通知情報に含まれる失敗種別情報をアラーム情報に含めて送信する。これにより、アラーム情報の受信側は、より詳細な障害分析を行うことが可能となり、サービス品質の低下を回避することに貢献できる。
【0109】
上述した各実施形態では、監視装置300Aが基地局200Aを監視し、監視装置300Bが基地局200Bを監視すると説明したが、監視装置が、基地局200A及び基地局200Bのそれぞれを監視する機能を備えてもよい。これにより、一つの監視装置で基地局200A及び基地局200Bを監視することができる。
【0110】
このように本発明は、ここでは記載していない様々な実施形態等を包含するということを理解すべきである。したがって、本発明はこの開示から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ限定されるものである。
【符号の説明】
【0111】
10A,10B…無線アクセスネットワーク、100…無線端末、110A,110B…無線通信部、120…ユーザインターフェイス部、130…記憶部、140…制御部、150…バッテリ、200A,200B…基地局、210…無線通信部、220…ネットワーク通信部、230…記憶部、240…制御部、300A,300B,350…監視装置、310…ネットワーク通信部、320…ユーザインターフェイス部、330…記憶部、340…制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の無線アクセス方式に対応した無線端末が、第1のネットワークに含まれる第1の基地局への接続に失敗した後、前記第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワークに含まれる第2の基地局に対し、前記第1の基地局への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するステップと、
前記第2の基地局が、前記無線端末からの失敗通知情報を受信すると、所定のネットワーク装置へのアラーム情報を送信するステップと、
前記所定のネットワーク装置が、前記第2の基地局からのアラーム情報に基づいて、前記第1の基地局の障害であって前記第1のネットワークで検出困難な特定の障害を検出するステップと、
を含む障害検出方法。
【請求項2】
前記所定のネットワーク装置とは、前記第2のネットワークに含まれる監視装置である、請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項3】
前記所定のネットワーク装置とは、前記第1のネットワークに含まれる監視装置である、請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項4】
前記所定のネットワーク装置とは、前記第1の基地局である、請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項5】
前記所定のネットワーク装置とは、前記第1のネットワークに含まれる監視装置及び前記第2のネットワークに含まれる監視装置のそれぞれの上位の監視装置である、請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項6】
前記無線端末は、前記第1の基地局から受信した報知情報に基づいて前記第1の基地局への接続を試みた結果、前記第1の基地局への接続に失敗した後、前記失敗通知情報を前記第2の基地局に送信する、請求項1〜5の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項7】
前記無線端末は、前記第1のネットワークの識別情報及び/又は前記第1の基地局の識別情報を前記失敗通知情報に含めて送信し、
前記第2の基地局は、前記無線端末からの前記失敗通知情報に含まれる識別情報を前記アラーム情報に含めて送信する、請求項1〜6の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項8】
前記無線端末は、前記第1の基地局への接続失敗の種別を示す情報を前記失敗通知情報に含めて送信し、
前記接続失敗の種別は、ランダムアクセス失敗、又は無線リンク切断を含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項9】
前記所定のネットワーク装置は、予め定められた時間範囲内で複数の無線端末に対応する複数のアラーム情報が得られた場合に、前記第1の基地局に前記特定の障害が生じたと判定する、請求項1〜8の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項10】
前記第1の基地局の通信エリア範囲と前記第2の基地局の通信エリア範囲とは少なくとも一部が重複する、請求項1〜9の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項11】
前記特定の障害が検出された後、前記第1の基地局は、前記第1の基地局への接続に用いられる報知情報の送信を停止する、請求項1〜10の何れか一項に記載の請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項12】
前記特定の障害が検出された後、前記第1の基地局は、前記第1の基地局への接続を規制するための接続規制情報を、前記第1の基地局への接続に用いられる報知情報に含めて送信する、請求項1〜10の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項13】
前記特定の障害が検出された後、前記第2の基地局は、自局の通信エリア範囲を拡大させる処理を行う、請求項1〜12の何れか一項に記載の請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項14】
複数の無線アクセス方式毎に設けられた複数の無線通信部と、
前記複数の無線通信部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1のネットワークに含まれる第1の基地局への接続に失敗した後、前記第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワークに含まれる第2の基地局に対し、前記第1の基地局への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するように、前記複数の無線通信部を制御する、無線端末。
【請求項15】
第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワークに含まれる基地局であって、
無線通信を行う無線通信部と、
ネットワーク通信を行うネットワーク通信部と、
前記無線通信部及び前記ネットワーク通信部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、複数の無線アクセス方式に対応した無線端末から、前記第1のネットワークに含まれる第1の基地局への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を前記無線通信部が受信すると、所定のネットワーク装置へのアラーム情報を送信するように前記ネットワーク通信部を制御する、基地局。
【請求項1】
複数の無線アクセス方式に対応した無線端末が、第1のネットワークに含まれる第1の基地局への接続に失敗した後、前記第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワークに含まれる第2の基地局に対し、前記第1の基地局への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するステップと、
前記第2の基地局が、前記無線端末からの失敗通知情報を受信すると、所定のネットワーク装置へのアラーム情報を送信するステップと、
前記所定のネットワーク装置が、前記第2の基地局からのアラーム情報に基づいて、前記第1の基地局の障害であって前記第1のネットワークで検出困難な特定の障害を検出するステップと、
を含む障害検出方法。
【請求項2】
前記所定のネットワーク装置とは、前記第2のネットワークに含まれる監視装置である、請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項3】
前記所定のネットワーク装置とは、前記第1のネットワークに含まれる監視装置である、請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項4】
前記所定のネットワーク装置とは、前記第1の基地局である、請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項5】
前記所定のネットワーク装置とは、前記第1のネットワークに含まれる監視装置及び前記第2のネットワークに含まれる監視装置のそれぞれの上位の監視装置である、請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項6】
前記無線端末は、前記第1の基地局から受信した報知情報に基づいて前記第1の基地局への接続を試みた結果、前記第1の基地局への接続に失敗した後、前記失敗通知情報を前記第2の基地局に送信する、請求項1〜5の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項7】
前記無線端末は、前記第1のネットワークの識別情報及び/又は前記第1の基地局の識別情報を前記失敗通知情報に含めて送信し、
前記第2の基地局は、前記無線端末からの前記失敗通知情報に含まれる識別情報を前記アラーム情報に含めて送信する、請求項1〜6の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項8】
前記無線端末は、前記第1の基地局への接続失敗の種別を示す情報を前記失敗通知情報に含めて送信し、
前記接続失敗の種別は、ランダムアクセス失敗、又は無線リンク切断を含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項9】
前記所定のネットワーク装置は、予め定められた時間範囲内で複数の無線端末に対応する複数のアラーム情報が得られた場合に、前記第1の基地局に前記特定の障害が生じたと判定する、請求項1〜8の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項10】
前記第1の基地局の通信エリア範囲と前記第2の基地局の通信エリア範囲とは少なくとも一部が重複する、請求項1〜9の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項11】
前記特定の障害が検出された後、前記第1の基地局は、前記第1の基地局への接続に用いられる報知情報の送信を停止する、請求項1〜10の何れか一項に記載の請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項12】
前記特定の障害が検出された後、前記第1の基地局は、前記第1の基地局への接続を規制するための接続規制情報を、前記第1の基地局への接続に用いられる報知情報に含めて送信する、請求項1〜10の何れか一項に記載の障害検出方法。
【請求項13】
前記特定の障害が検出された後、前記第2の基地局は、自局の通信エリア範囲を拡大させる処理を行う、請求項1〜12の何れか一項に記載の請求項1に記載の障害検出方法。
【請求項14】
複数の無線アクセス方式毎に設けられた複数の無線通信部と、
前記複数の無線通信部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、第1のネットワークに含まれる第1の基地局への接続に失敗した後、前記第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワークに含まれる第2の基地局に対し、前記第1の基地局への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を送信するように、前記複数の無線通信部を制御する、無線端末。
【請求項15】
第1のネットワークとは無線アクセス方式が異なる第2のネットワークに含まれる基地局であって、
無線通信を行う無線通信部と、
ネットワーク通信を行うネットワーク通信部と、
前記無線通信部及び前記ネットワーク通信部を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、複数の無線アクセス方式に対応した無線端末から、前記第1のネットワークに含まれる第1の基地局への接続に失敗したことを示す失敗通知情報を前記無線通信部が受信すると、所定のネットワーク装置へのアラーム情報を送信するように前記ネットワーク通信部を制御する、基地局。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−124707(P2012−124707A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−273712(P2010−273712)
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月8日(2010.12.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】
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