説明

障害物検出方法、障害物検出装置及び標準移動体モデル

【課題】搭載センサによる障害物の検出が不可な遮蔽箇所があっても、該遮蔽箇所に対する対応を適正に行えるようにする。
【解決手段】自車両43の移動可能領域41L,42中で自車両43に搭載されたセンサで検出不可な遮蔽領域47があっても、遮蔽領域47には障害物が存在するかもしれないと想定し、障害物が存在し得る状況においては該遮蔽領域47に対して未確認物体46f〜46hを障害物候補として仮想的に配置することで、未確認物体46f〜46hによる障害物候補を用いて環境予測を行うことが可能となり、安全な自動運転化等の実現に役立てることができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の衝突回避或いは警告、さらには自動運転化等を実現するための環境予測への適用に好適な障害物検出方法、障害物検出装置及び標準移動体モデルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、走行中の自動車の事故を未然に回避し、或いは警告し、さらには自動運転を実現するためには、他車両等の障害物の存在環境を認識し、障害物の挙動を予測することが重要であり、従来から各種の障害物検出方式が提案されている。その一例として、特許文献1は、レーダベースのセンサ等の車載センサを用いて自車両周囲の障害物の存在の有無を検出し、衝突警告、衝突回避、適応クルーズ制御等のための予測に利用する技術を開示している。
【0003】
【特許文献1】特表2003−506785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、車載センサの検出結果として実在する物体のみを障害物として検出しており、車載センサでは検出不可となってしまう遮蔽箇所がある場合に、障害物をどう取り扱うかに関しては、必ずしも明確な解答が示されていない。遮蔽の多い場所、例えば壁、塀などに囲まれた路地等において、自動運転を実現するための環境認識では、遮蔽ある状況への適正な対応が重大な課題となる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、搭載センサによる障害物の検出が不可な遮蔽箇所があっても、該遮蔽箇所に対する対応を適正に行うことができる障害物検出方法、障害物検出装置及び標準移動体モデルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明の障害物検出方法は、移動体に対する障害物の存在の有無を、前記移動体に搭載されたセンサを用いて検出する障害物検出方法であって、前記移動体の周辺領域で移動可能な移動可能領域を設定するステップと、初期状態として前記移動可能領域の全域に対して複数の未確認物体を障害物候補として配置するステップと、初期状態として配置された前記障害物候補中から前記センサによる検出結果により実在しないと判定された障害物候補を消去するステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2にかかる発明の障害物検出方法は、上記発明において、前記消去するステップは、当該移動体に近い障害物候補から順に行うことを特徴とする。
【0008】
請求項3にかかる発明の障害物検出方法は、上記発明において、移動体に対する障害物の存在の有無を、前記移動体に搭載されたセンサを用いて検出する障害物検出方法であって、前記移動体の周辺領域で移動可能な移動可能領域を設定するステップと、前記移動体の周辺領域で前記センサの検出結果では前記障害物が実在しない空領域を検出するステップと、前記移動可能領域から前記空領域を除いた補領域を設定するステップと、前記補領域の全てに対して未確認物体を障害物候補として配置するステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4にかかる発明の障害物検出方法は、上記発明において、前記障害物候補として配置する前記未確認物体は、該未確認物体の行動を予測するための移動体モデルの特性を持つことを特徴とする。
【0010】
請求項5にかかる発明の障害物検出方法は、上記発明において、前記移動体モデルは、特性の異なる複数の単体移動体モデル同士の特性を融合させて架空の特性を持たせた架空の標準移動体モデルであることを特徴とする。
【0011】
請求項6にかかる発明の障害物検出方法は、上記発明において、前記単体移動体モデルの一つは、自動車の行動を予測するための自動車モデルであることを特徴とする。
【0012】
請求項7にかかる発明の障害物検出方法は、上記発明において、前記単体移動体モデルの一つは、人の行動を予測するための人モデルであることを特徴とする。
【0013】
請求項8にかかる発明の障害物検出方法は、上記発明において、配置された前記障害物候補中、前記センサによる検出結果により実在すると判定された障害物候補を実在の障害物に置き換えるステップをさらに備えることを特徴とする。
【0014】
請求項9にかかる発明の標準移動体モデルは、未確認の仮想的な移動体の行動を予測するための移動体モデルであって、前記移動体として実在し得る特性の異なる複数の単体移動体モデル同士の特性を融合させて架空の特性を持たせてなることを特徴とする。
【0015】
請求項10にかかる発明の標準移動体モデルは、上記発明において、前記単体移動体モデルの一つは、自動車の行動を予測するための自動車モデルであることを特徴とする。
【0016】
請求項11にかかる発明の標準移動体モデルは、上記発明において、前記単体移動体モデルの一つは、人の行動を予測するための人モデルであることを特徴とする。
【0017】
請求項12にかかる発明の障害物検出装置は、移動体に対する障害物の存在の有無を、前記移動体に搭載されたセンサを用いて検出する障害物検出装置であって、前記移動体の周辺領域で移動可能な移動可能領域を設定する領域設定手段と、初期状態として前記移動可能領域の全域に対して複数の未確認物体を障害物候補として配置する配置手段と、初期状態として配置された前記障害物候補中から前記センサによる検出結果により実在しないと判定された障害物候補を消去する消去手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
請求項13にかかる発明の障害物検出装置は、上記発明において、移動体に対する障害物の存在の有無を、前記移動体に搭載されたセンサを用いて検出する障害物検出装置であって、前記移動体の周辺領域で移動可能な移動可能領域を設定する領域設定手段と、前記移動体の周辺領域で前記センサの検出結果では前記障害物が実在しない空領域を検出する空領域検出手段と、前記移動可能領域から前記空領域を除いた補領域を設定する補領域設定手段と、前記補領域の全てに対して未確認物体を障害物候補として配置する配置手段と、を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項14にかかる発明の障害物検出装置は、上記発明において、前記障害物候補として配置する前記未確認物体は、行動を予測するための移動体モデルの特性を持つことを特徴とする。
【0020】
請求項15にかかる発明の障害物検出装置は、上記発明において、前記移動体モデルは、特性の異なる複数の単体移動体モデルの特性を融合させて架空の特性を持たせた標準移動体モデルであることを特徴とする。
【0021】
請求項16にかかる発明の障害物検出装置は、上記発明において、前記単体移動体モデルの一つは、自動車の行動を予測するための自動車モデルであることを特徴とする。
【0022】
請求項17にかかる発明の障害物検出装置は、上記発明において、前記単体移動体モデルの一つは、人の行動を予測するための人モデルであることを特徴とする。
【0023】
請求項18にかかる発明の障害物検出装置は、上記発明において、配置された前記障害物候補中、前記センサによる検出結果により実在すると判定された障害物候補を実在の障害物に置き換える置き換え手段をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる障害物検出方法及び障害物検出装置によれば、移動体の移動可能領域中で該移動体に搭載されたセンサで検出不可な遮蔽領域があっても、遮蔽領域には障害物が存在するかもしれないと想定し、障害物が存在し得る状況においては該遮蔽領域に対して未確認物体を障害物候補として仮想的に配置するようにしたので、未確認物体による障害物候補を用いて環境予測を行うことが可能となり、安全な自動運転化等の実現に役立てることができるという効果を奏する。
【0025】
また、本発明にかかる標準移動体モデルによれば、未確認の仮想的な移動体の行動を予測するための移動体モデルであって、移動体として実在し得る特性の異なる複数の単体移動体モデル同士の特性を融合させた架空の特性を持たせてなるので、未確認の仮想的な移動体の行動を予測判断する上で、安全性を優先することができ、未確認物体による障害物候補の行動予測等に好適に適用することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明にかかる障害物検出方法、障害物検出装置及び標準移動体モデルの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる障害物検出装置を示す概略ブロック図である。この障害物検出装置は、道路を走行する自動車である自車両を、対象となる移動体とし、該自車両の移動の妨げとなる障害物を検出するためのものである。本実施の形態1の障害物検出装置10は、自車両に搭載されて障害物を検出するもので、センサ11と、プロセッサ12と、地図DB(データベース)13と、位置情報受信部14と、モデルDB(データベース)15とを備える。障害物検出装置10の検出結果は、検出された障害物の行動を予測するための予測部20に出力され、予測部20の予測結果は、警告部30に出力され、衝突予測が得られた場合には警告を発する構成とされている。
【0028】
センサ11は、自車両のフロント部等の適宜箇所に搭載されて、自車両の周辺での障害物の存在の有無を検出するためのものである。本実施の形態1では、センサ11は、例えば電子的にビームをスキャンして全周に亘って障害物の有無の検出可能なミリ波レーダが用いられている。
【0029】
地図DB13は、例えば日本全国版道路地図情報等の地図情報を更新自在に収録したもので、記録媒体方式としては、CD,DVD,HD(ハードディスク)等のいずれの方式であってもよい。さらに、地図情報は、インターネット、データ放送等の通信を利用して得る構成も可能である。位置情報受信部14は、自車両の現在位置に関する情報を受信するためのものであり、例えば、衛星を利用するGPS(Global Positioning Satellite)システムにおけるGPS受信器が用いられている。すなわち、地図DB13や位置情報受信部14は、近年普及の目覚しいカーナビシステムを利用することで実現できる。
【0030】
モデルDB15は、自車両に対して障害物となり得る移動体の行動を予測するためにそれぞれ固有の行動特性を持たせた各種の移動体モデルを格納したものである。このモデルDB15に格納されている移動体モデルとしては、後述の未確認の仮想的な移動体の行動を予測するために生成された標準移動体モデルの他、自動車の行動を予測するための自動車モデル、人の行動を予測するための人モデル、さらには、必要に応じて、自動二輪車モデル、自転車モデル等の単体移動体モデルがある。
【0031】
プロセッサ12は、CPU,ROM及びRAM等を備えるマイクロコンピュータ構成であって、本実施の形態1における障害物検出方法を実現するためのものである。このプロセッサ12は、周辺地図生成部12aと、未確認障害物配置部12bと、未確認障害物存在判定部12cと、実在障害物検出部12dと、障害物統合部12eとを備える。
【0032】
周辺地図生成部12aは、該障害物検出装置10によって障害物の有無を判定する周辺領域を特定するための周辺領域の地図を生成するものである。具体的には、周辺地図生成部12aは、位置情報受信部14が受信した自車両の現在位置情報を用いて地図DB13を参照し、自車両周辺の地図を生成する。この場合の周辺領域の広さは、適宜設定すればよいが、自車両の速度依存で変化し、高速になるほど対象となる周辺領域の地図の広さが広がることが好ましい。また、周辺地図生成部12aは、生成した周辺領域の地図上において、地図記号・表記などに基づいて、自車両が該周辺領域中で移動可能な移動可能領域、例えば車道中の左車線側領域や車道に交差或いは合流する一般道路領域などを認識し該周辺領域の地図上に設定する移動可能領域設定機能を持つ。
【0033】
また、未確認障害物配置部12bは、周辺地図生成部12aで生成された周辺領域の地図中で、初期状態として自車両の移動可能領域の全域に対して複数の未確認物体を障害物候補として配置するためのものである。この未確認障害物配置部12bにより配置される未確認物体の障害物候補は、移動体モデルの特性を持つもの、本実施の形態1では、モデルDB15中に格納されている標準移動体モデルの特性を持つものが割り当てられる。
【0034】
未確認障害物存在判定部12cは、未確認障害物配置部12bにより移動可能領域の全域に配置された障害物候補に対して、センサ11による検出結果を適用することで、センサ11による検出結果により実在しないと判定された障害物候補に関しては消去する処理を行うためのものである。従って、未確認障害物存在判定部12cの出力としては、センサ11による検出結果により実在しないと判定されて消去された障害物候補以外の障害物候補が移動可能領域中に残存することとなる。すなわち、自車両の移動可能領域中で、センサ11により存在が検出された実在の障害物はもちろん、センサ11による障害物検出が不可な遮蔽領域であっても、初期状態で配置された未確認物体による障害物候補はそのまま残存する。
【0035】
実在障害物検出部12dは、センサ11による検出結果に基づいて移動可能領域中において実在の障害物を検出するためのものである。この実在障害物検出部12dは、センサ11の検出結果として得られる該障害物との相対速度差、検出場所等の情報から、実在する障害物の種類を特定し得る機能を有し、実在する障害物の種類に対応する移動体モデルをモデルDB15中から抽出する。例えば、車道上で障害物を検出した場合には、該障害物を自動車と特定し、モデルDB15から自動車モデルを抽出して、障害物統合部12eに出力する。
【0036】
障害物統合部12eは、未確認障害物存在判定部12cから得られる移動可能領域中に配置されて残存した未確認物体の障害物候補に対して、実在障害物検出部12dの検出結果を適用することで、配置された障害物候補中で実在が確認された障害物候補を実在の障害物に置き換える処理を行うためのものである。従って、障害物統合部12eから予測部20に対して出力される移動体モデルとしては、標準移動体モデルと、自動車モデル等の他の移動体モデルとが混在し得ることとなる。また、障害物統合部12eは、設定された移動体モデルに対応する形態で障害物候補ないしは障害物を、該周辺領域地図の情報とともに、BMPイメージに書き込み変換して、予測部20に対して出力する機能も持つ。
【0037】
次に、簡単な想定例を参照しながら、図1に示したような構成により実行される本実施の形態1の障害物検出方法について説明する。図2は、自車両を含む実際の周辺状況の一例を平面図的に示す説明図であり、図3は、自車両から前方を見た様子を示す説明図である。図2に示すように、例えば中央分離帯41Cで分離された片側2車線ずつの自動車専用の4車線車道41に対して、T字状に交差する2車線の一般道42が存在する周辺状況下で、自車両43が左側車線41Lを走行中で、一般道42付近に近づく場合を想定する。44は、自車両43に先行して左側車線41L上を走行中の実在の他車両を示している。また、自車両43の現在位置において、左側車線41Lの左側には、図3に示すように一般道42に対する視界を遮る壁、塀などの遮蔽物45が存在する場合を想定する。
【0038】
まず、位置情報受信部14が受信した位置情報に基づき、周辺地図生成部12aは自車両43の現在位置を認識し、地図DB13を参照することで、該自車両43の周辺領域の地図を生成する。図4は、周辺地図生成部12aにより生成された周辺領域の地図の一例を示す説明図である。この場合の周辺領域の地図は、適宜広さとされるが、走行中の自動車を対象とした周辺領域の地図であり、現在位置に対して進行方向前方に重きをおいた周辺領域の地図とされる。
【0039】
また、この周辺地図生成部12aでは、本来の地図情報中から、当該自車両43にとって現在位置を基準とした場合の将来的な移動可能領域も認識しており、該移動可能領域のみを設定した周辺領域の地図として生成する。すなわち、図2等に示す状況においては、車道41のうち、現在走行中の左側車線41Lと、この左側車線41Lに交差する一般道42とが該自車両43の移動可能領域として設定され、車道41のうちの中央分離帯41Cで分離された反対側車線41Rや、道路以外の領域は該自車両43の移動可能領域からは除外される。
【0040】
次いで、未確認障害物配置部12bは、周辺地図生成部12aにより生成された周辺領域の地図中の該自車両43の移動可能領域の自車両43周りの全域に対して、初期状態として、図5に示すように、複数の未確認物体46を障害物候補として配置する。図5は、複数の未確認物体46の移動可能領域に対する配置の初期状態例を示す説明図である。この場合の未確認物体46の移動体モデルとしては、モデルDB15中に格納されている標準移動体モデルが適用される。ここでは、実在の他車両44も、未確認物体46の標準移動体モデルとして配置される。図5に示す例では、未確認物体46を移動可能領域に対して均等間隔で埋め尽くすように配置させているが、このような配置例に限らず、例えば未確認物体46同士が重なるようにさらに詰めて配置させてもよい。
【0041】
次いで、未確認障害物存在判定部12cは、センサ11による検出結果を参照することで、移動可能領域中に配置された複数の未確認物体46中で、実在しないことが明らかな未確認物体46を消去する。すなわち、ミリ波レーダによるセンサ11は、自車両43の現在位置において電子的にビームをスキャンすることで全周に亘って障害物の有無の検出動作を自車両43に近い順に行っており、スキャン領域中で或る距離まで戻りビームがなければ、その領域中には障害物が実在しないと判定できる。図6は、センサ11によるビームスキャンの様子、及びスキャン結果に伴う実在しない未確認物体46の消去結果を示す説明図である。
【0042】
例えば、図2及び図3に示したような状況において、自車両43と先行する実在の他車両44(未確認物体46a)との間の途中の領域では当該領域をビームスキャンしてもセンサ11に対して戻りビームがないので、未確認物体46b,46c,46dの順に、それぞれ実在しないと判定され、消去の対象とされる。左側車線41L中の隣り車線の領域、及び自車両43の走行車線中の後方領域に関しても、ビームスキャンの結果、センサ11に対して戻りビームがないので、対応する領域の未確認物体46はいずれも実在しないと判定され、消去の対象とされる。さらに、一般道42に配置された未確認物体46に関しては、先頭に配置された未確認物体46eの領域のみがビームスキャンの結果、センサ11に対して戻りビームがないので、実在しないことが判定され、消去の対象とされる。一方、未確認物体46f,46g,46hの領域に関しては、センサ11のスキャンビームが遮蔽物45により遮られる遮蔽領域47となり、センサ11によるビームスキャンの対象外となってしまうため、センサ11による検出結果からは実在しないとは判定できず、消去の対象から除外される。他車両44(未確認物体46a)よりも先行する位置に配置された未確認物体46i,46j,46kの領域も同様である。
【0043】
この結果、未確認障害物存在判定部12cの出力は、図6に示すように、センサ11により検出された実在の他車両44を含む未確認物体46a,46f,46g,46h,46i,46j,46kのみが移動可能領域に残存する配置となる。ここに、本実施の形態1によれば、自車両43の移動可能領域中でセンサ11による障害物の検出が不可となる遮蔽領域47、ここでは一般道42の一部に対して、未確認物体46f,46g,46hが障害物候補として配置される。
【0044】
よって、予測部20では、例えば、自車両43の移動可能領域に対して最終的に配置されたこれらの未確認物体46a,46f,46g,46h,46i,46j,46kの行動と自車両43の行動(車速、操舵方向等)とから可能性のある移動軌跡を予測することで、走行中の自車両43に対する衝突の可能性等を予測することができる。特に、移動可能領域中で自車両43に搭載されたセンサ11で検出不可な遮蔽領域47があっても、このような遮蔽領域47には障害物が存在するかもしれないと想定し、障害物が存在し得る状況においてはこのような遮蔽領域47に対して未確認物体46f,46g,46hを障害物候補として仮想的に配置しているので、このような遮蔽領域47における未確認物体46f,46g,46hによる障害物候補をも用いて自車両43に対する環境予測を行うことが可能となり、安全な自動運転化等の実現に役立てることができる。
【0045】
図6に示す例であれば、未確認物体46f,46g,46hの存在を想定した予測に基づき、一般道42付近に到達するまで、自車両43の走行に対して徐行、警告等の注意を促し、その後、一般道42付近まで走行して該一般道42がセンサ11の検出範囲となって(遮蔽領域47でなくなり)、未確認物体46f,46g,46hが実在しないことが判定されたら、その後は、同一走行車線上に配置させた未確認物体46a,46i,46k,46kのみを行動の予測対象として処理を進めればよい。
【0046】
次に、移動体モデルについて説明する。移動可能領域に障害物候補として配置された未確認物体46が、その後どのように動くかの行動を予測するために移動体モデルを適用するわけであるが、未確認で仮想的な障害物、特に遮蔽領域47に配置する未確認物体46としては、どのような行動特性を持つ移動体モデルを適用するかが、自車両43に対する衝突危険等を予測する上で問題となる。
【0047】
ここで、例えば、移動体として実在し得る人や自動車に関する単体移動体モデルである人モデルや自動車モデルについて、速度v=0km/hの現時点t=0からt秒後のその行動特性を考える。まず、基本として、人モデルは、現時点t=0から瞬時に前後左右のいずれの方向にも移動できるので、x−y二次元座標上では、図7−1中に円で示すように、全方向において均等に存在し得る行動特性を示す。一方、自動車モデルは、現時点t=0からの移動はその時点の自動車の向き(自動車進行方向)による制約を受け、瞬時に横方向には移動しにくいので、x−y二次元座標上では、図7−2中に細長円で示すように、特定方向(ここでは、進行方向を示すy座標方向)に片寄った位置に存在し得る行動特性を示す。
【0048】
加えて、時間の経過を考えると、人モデルは、現時点t=0からの移動開始に関する瞬時の加速度は大きいが、その後の最高速度は遅いという行動特性を有するため、現時点t=0からの時間tの経過に伴う存在可能領域を時空間的に模式的に示すと図8(a)〜(c)のように表すことができる。一方、自動車モデルは、現時点t=0からの移動開始に関する瞬時の加速度は小さいが、その後の最高速度は速いという行動特性を有するため、現時点t=0からの時間経過に伴う存在可能領域を時空間的に模式的に示すと図8(a)〜(c)のように表すことができる。また、人モデルに対して自動車モデルは、サイズも大きいという特性を有する。
【0049】
ここで、遮蔽領域47に配置されて実在するかもしれない未確認物体46は、例えば、自動車であるかもしれず、或いは、人であるかもしれず(、さらには、自動二輪車や自転車等であるかもしれず)、時間の経過をも考慮した時空間環境で自車両43に対する未確認の障害物として扱う上では、時空間的に一番散らばり易い最悪特性を持つ移動体モデルを想定しておくことが安全性確保のためには好ましい。
【0050】
そこで、本実施の形態1では、未確認物体47の行動を予測するための移動体モデルとして、特性の異なる単体移動体モデル同士である人モデルと自動車モデルとの行動特性を融合させることで、架空の特性、例えば最悪特性を持たせた架空の標準移動体モデルを適用するようにしたものである。すなわち、図8(a)〜(c)中に示すような人モデルの瞬時に全方向に素早く動ける行動特性と、図8(a)〜(c)中に示すような自動車モデルの遠くまで行ける行動特性とを、それぞれの単体移動体の最悪特性とみなし、両方の最悪特性同士を融合させた特性を持つ架空の標準移動体モデルを考え出したものである。
【0051】
図9は、新たに創設された標準移動体モデルが有するy座標方向に関する時間−移動量の最悪特性の一例を示す説明図である。すなわち、上述の人モデルの特性と自動車モデルの特性とを考慮し、現時点t=0から数秒程度の或る時間が経過するまでは人モデル側の最悪特性を採用し、その後は自動車モデルの最悪特性を採用するように、両者の特性を融合させたものである。また、標準移動体モデルのサイズとしても、大きい方が自車両43にとって衝突時の衝撃が大きく最悪となるので、自動車モデルのサイズを標準移動体モデルのサイズとしている。このため、前述の図5、図6等に示した未確認物体46は、自動車モデルの場合と同様のサイズで表現しているものである。
【0052】
このように、未確認物体46のように未確認の仮想的な移動体の行動を予測するための移動体モデルとして、移動体として実在し得る特性の異なる複数の単体移動体モデル同士の特性を融合させた架空の特性、例えば最悪特性を持たせた架空の標準移動体モデルを用いるようにしたので、未確認の仮想的な移動体の行動を時空間環境で予測判断する上で、安全性を優先することができる。また、障害物候補として配置される全ての未確認物体46に対して標準移動体モデルの特性を想定することで、一種類のみの単一モデルを用いた予測が可能で、同一計算、並列計算が多くなり、予測演算処理の単純化を図ることもできる。
【0053】
なお、このような標準移動体モデルは、交通流一般において、予測不可な領域における未確認物体の行動を予測する上でも有効であり、標準移動体モデルを活用することで交通制御システムを適正に稼動させることができる。
【0054】
ところで、実在障害物検出部12dは、センサ11の検出結果に基づいて自車両43の移動可能領域中に実在する障害物を検出しており、図2及び図3に示したような状況例では、先行する他車両44を検出する。そして、実在障害物検出部12dは、該障害物を自動車と特定し、モデルDB15から自動車モデルを抽出して、障害物統合部12eに出力する。
【0055】
障害物統合部12eは、未確認障害物存在判定部12cから得られる移動可能領域中に配置されて残存した未確認物体46の障害物候補に対して、実在障害物検出部12dの検出結果を適用することで、配置された障害物候補中で実在が確認された障害物候補を実在の障害物に置き換える処理を行う。本例の場合、図10に示すように、未確認物体46aを他車両44なる実在の障害物に置き換えて配置する。該他車両44には、自動車モデルが適用される。実在することが明らかな障害物には、対応する単体移動体モデルを適用することで、推定の精度が上がり、より現実的かつ精度の高い予測が可能となる。
【0056】
(実施の形態2)
図11は、本発明の実施の形態2にかかる障害物検出装置を示す概略ブロック図である。この障害物検出装置は、道路を走行する自動車である自車両を、対象となる移動体とし、該自車両の移動の妨げとなる障害物を検出するためのものである。本実施の形態2の障害物検出装置50は、自車両に搭載されて障害物を検出するもので、センサ51と、プロセッサ52と、地図DB(データベース)53と、位置情報受信部54と、モデルDB(データベース)55とを備える。障害物検出装置50の検出結果は、検出された障害物の行動を予測するための予測部60に出力され、予測部60の予測結果は、警告部70に出力され、衝突予測が得られた場合には警告を発する構成とされている。
【0057】
センサ51は、自車両のフロント部等の適宜箇所に搭載されて、自車両の周辺での障害物の存在の有無を検出するためのものである。本実施の形態2では、センサ51は、例えば電子的にビームをスキャンして全周に亘って障害物の有無の検出可能なミリ波レーダが用いられている。
【0058】
地図DB53は、例えば日本全国版道路地図情報等の地図情報を更新自在に収録したもので、記録媒体方式としては、CD,DVD,HD(ハードディスク)等のいずれの方式であってもよい。さらに、地図情報は、インターネット、データ放送等の通信を利用して得る構成も可能である。位置情報受信部54は、自車両の現在位置に関する情報を受信するためのものであり、例えば、衛星を利用するGPS(Global Positioning Satellite)システムにおけるGPS受信器が用いられている。すなわち、地図DB53や位置情報受信部54は、近年普及の目覚しいカーナビシステムを利用することで実現できる。
【0059】
モデルDB55は、自車両に対して障害物となり得る移動体の行動を予測するためにそれぞれ固有の行動特性を持たせた各種の移動体モデルを格納したものである。このモデルDB55に格納されている移動体モデルとしては、未確認の仮想的な移動体の行動を予測するために生成された標準移動体モデル(実施の形態1の説明参照)の他、自動車の行動を予測するための自動車モデル、人の行動を予測するための人モデル、さらには、必要に応じて、自動二輪車モデル、自転車モデル等の単体移動体モデルがある。
【0060】
プロセッサ52は、CPU,ROM及びRAM等を備えるマイクロコンピュータ構成であって、本実施の形態2における障害物検出方法を実現するためのものである。このプロセッサ52は、周辺地図生成部52aと、空領域検出部52bと、補領域算出部52cと、未確認障害物配置部52dと、実在障害物検出部52eと、障害物統合部52fとを備える。
【0061】
周辺地図生成部52aは、該障害物検出装置50によって障害物の有無を判定する周辺領域を特定するための周辺領域の地図を生成するものである。具体的には、周辺地図生成部52aは、位置情報受信部54が受信した自車両の現在位置情報を用いて地図DB53を参照し、自車両周辺の地図を生成する。この場合の周辺領域の広さは、適宜設定すればよいが、自車両の速度依存で変化し、高速になるほど対象となる周辺領域の地図の広さが広がることが好ましい。また、周辺地図生成部52aは、生成した周辺領域の地図上において、地図記号・表記などに基づいて、自車両が該周辺領域中で移動可能な移動可能領域、例えば車道中の左車線側領域や車道に交差或いは合流する一般道路領域などを認識し該周辺領域の地図上に設定する機能を持つ。
【0062】
空領域検出部52bは、周辺地図生成部52aで生成された周辺領域の地図中で、センサ51の検出結果では障害物が実在しない空領域を検出するためのものである。センサ51が発するスキャンビームに対して戻りビームがない領域を、空領域として検出する。補領域算出部52cは、周辺地図生成部52aで生成された周辺領域の地図における移動可能領域から空領域検出部52bで検出された空領域を除くことにより補領域を算出する。ここで、「補領域」とは、移動可能領域中で遮蔽領域であるか否かを問わず、障害物が実在し、または実在するかもしれない領域を意味する。
【0063】
また、未確認障害物配置部52dは、周辺地図生成部52aで生成された周辺領域の地図中であって、補領域算出部52cにより算出設定された補領域の全てに対して未確認物体を障害物候補として配置するためのものである。この未確認障害物配置部12bにより配置される未確認物体の障害物候補は、移動体モデルの特性を持つもの、本実施の形態2では、モデルDB55中に格納されている標準移動体モデルの特性を持つものが割り当てられる。
【0064】
実在障害物検出部52eは、センサ51による検出結果に基づいて移動可能領域中において実在の障害物を検出するためのものである。この実在障害物検出部52eは、センサ51の検出結果として得られる該障害物との相対速度差、検出場所等の情報から、実在する障害物の種類を特定し得る機能を有し、実在する障害物の種類に対応する移動体モデルをモデルDB55中から抽出する。例えば、車道上で障害物を検出した場合には、該障害物を自動車と特定し、モデルDB55から自動車モデルを抽出して、障害物統合部52fに出力する。
【0065】
障害物統合部52fは、未確認障害物配置部52dから得られる移動可能領域の補領域中に配置された未確認物体の障害物候補に対して、実在障害物検出部52eの検出結果を適用することで、配置された障害物候補中で実在が確認された障害物候補を実在の障害物に置き換える処理を行うためのものである。従って、障害物統合部52fから予測部60に対して出力される移動体モデルとしては、標準移動体モデルと、自動車モデル等の他の移動体モデルとが混在し得ることとなる。また、障害物統合部52fは、設定された移動体モデルに対応する形態で障害物候補ないしは障害物を、該周辺領域地図の情報とともに、BMPイメージに書き込み変換して、予測部60に対して出力する機能も持つ。
【0066】
次に、実施の形態1における図2及び図3に示したような簡単な想定例を参照しながら、図11に示したような構成により実行される本実施の形態2の障害物検出方法について説明する。
【0067】
まず、位置情報受信部54が受信した位置情報に基づき、周辺地図生成部52aは自車両43の現在位置を認識し、地図DB53を参照することで、該自車両43の周辺領域の地図を生成する。また、この周辺地図生成部52aでは、本来の地図情報中から、当該自車両43にとって現在位置を基準とした場合の将来的な移動可能領域も認識しており、図4に示したような該移動可能領域のみを設定した周辺領域の地図として生成する。
【0068】
次いで、空領域検出部52bは、周辺地図生成部52aにより生成された周辺領域の地図に対して、センサ51による検出結果を参照することで、センサ51の検出結果では障害物が実在しないことが明らかな空領域を検出する。すなわち、ミリ波レーダによるセンサ51は、自車両43の現在位置において電子的にビームをスキャンすることで全周に亘って障害物の有無の検出動作を行っており、スキャンビームによるスキャン領域中で戻りビームがなければ、その領域中には障害物が実在しない空領域であると判定する。図12は、図2及び図3に示したような状況下での、センサ51によるビームスキャンの様子、及びスキャン結果として空領域81(ハッチングを施して示す領域)と判定された領域を示す説明図である。
【0069】
次に、補領域算出部52cは、周辺地図生成部52aにより生成された周辺領域の地図中の移動可能領域(左側車線41Lの領域及び一般道42の領域)から、空領域検出部52bで検出された空領域81を除くことで、補領域を算出し、周辺領域の地図上に設定する。図13は、算出・設定された補領域82a,82bの一例及び未確認物体46の配置例を示す説明図である。2つの補領域82a,82b中、補領域82bはスキャンビームが遮蔽物45によって遮られ、障害物の検出が不可となる遮蔽領域に相当する。
【0070】
そして、このように算出・設定された移動可能領域の補領域82a,82bの全てに対して、図13に示すように、複数の未確認物体46A〜46Gを障害物候補として配置する。ここに、本実施の形態2によれば、自車両43の移動可能領域中でセンサ51による障害物の検出が不可となる遮蔽領域に相当する補領域82b、すなわち一般道42の一部に対して、未確認物体46E,46F,46Gが障害物候補として配置される。この場合の未確認物体46A〜46Gの移動体モデルとしては、モデルDB55中に格納されている標準移動体モデルが適用される。ここでは、実在の他車両44も、未確認物体46の標準移動体モデルとして配置される。
【0071】
なお、図13に示す例では、複数の未確認物体46を補領域82a,82bに対して均等間隔で埋め尽くすように配置させているが、このような配置例に限らず、複数の未確認物体46同士が重なり合うように配置させてもよく、或いは、補領域82a,82b毎に未確認物体46を1個ずつ配置させるようにしてもよい。1個ずつ配置させる場合、特に、補領域82a,82bと空領域81との仮想的な境界線に最接近した位置に障害物候補として配置するのが好ましい(図13中の例であれば、未確認物体46A,46Eが相当する)。
【0072】
よって、予測部60では、自車両43の移動可能領域の補領域82a,82bに対して配置されたこれらの未確認物体46A〜46Gの行動を予測することで、走行中の自車両43に対する衝突の可能性等を予測することができる。特に、移動可能領域中で自車両43に搭載されたセンサ51で検出不可な遮蔽領域に相当する補領域82bがあっても、このような補領域82bには障害物が存在するかもしれないと想定し、障害物が存在し得る状況においてはこのような補領域82bに対して未確認物体46E〜46Gを障害物候補として仮想的に配置しているので、このような補領域82bにおける未確認物体46E〜46Gによる障害物候補をも用いて自車両43に対する環境予測を行うことが可能となり、安全な自動運転化等の実現に役立てることができる。なお、標準移動体モデルに関しては、実施の形態1で前述した通りである。
【0073】
ところで、実在障害物検出部52eは、センサ51の検出結果に基づいて自車両43の移動可能領域中に実在する障害物を検出しており、図2及び図3に示したような状況例では、先行する他車両44を検出する。そして、実在障害物検出部52eは、該障害物を自動車と特定し、モデルDB55から自動車モデルを抽出して、障害物統合部52fに出力する。
【0074】
障害物統合部52fは、未確認障害物配置部52dから得られる移動可能領域の補領域82a,82b中に配置された未確認物体46の障害物候補に対して、実在障害物検出部52eの検出結果を適用することで、配置された障害物候補中で実在が確認された障害物候補を実在の障害物に置き換える処理を行う。本例の場合、図14に示すように、未確認物体46Aを他車両44なる実在の障害物に置き換えて配置する。該他車両44には、自動車モデルが適用される。実在することが明らかな障害物には、対応する単体移動体モデルを適用することで、より現実的かつ精度の高い予測が可能となる。
【0075】
なお、これらの実施の形態1,2では、障害物候補として配置する未確認物体46は、標準移動体モデルの特性を持つものとしたが、状況に応じて、単体移動体モデルであってもよい。例えば、高速道路等の如く、障害物として存在し得るのが自動車であると相違し得る状況下では、障害物候補として配置する未確認物体は、当初から自動車モデルの特性を持つものとして扱うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる障害物検出装置を示す概略ブロック図である。
【図2】自車両を含む実際の周辺状況の一例を平面図的に示す説明図である。
【図3】自車両から前方を見た様子を示す説明図である。
【図4】周辺地図生成部により生成された周辺領域の地図の一例を示す説明図である。
【図5】複数の未確認物体の移動可能領域に対する配置の初期状態例を示す説明図である。
【図6】センサによるビームスキャンの様子、及びスキャン結果に伴う実在しない未確認物体の消去結果を示す説明図である。
【図7−1】人モデルの基本的な行動特性を示す説明図である。
【図7−2】自動車モデルの基本的な行動特性を示す説明図である。
【図8】人モデル及び自動車モデルの現時点t=0からの時間tの経過に伴う存在可能領域を時空間的に模式的に示す説明図である。
【図9】新たに創設された標準移動体モデルが有するy座標方向に関する時間−移動量の最悪特性の一例を示す説明図である。
【図10】実在が判定された未確認物体を実在の障害物に置き換えた配置結果を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態2にかかる障害物検出装置を示す概略ブロック図である。
【図12】センサによるビームスキャンの様子、及びスキャン結果として空領域と判定された領域を示す説明図である。
【図13】算出・設定された補領域の一例及び未確認物体の配置例を示す説明図である。
【図14】実在が判定された未確認物体を実在の障害物に置き換えた配置結果を示す説明図である。
【符号の説明】
【0077】
10 障害物検出装置
11 センサ
12a 周辺地図生成部
12b 未確認障害物配置部
12c 未確認障害物存在判定部
12d 実在障害物検出部
12e 障害物統合部
41L 左側車線
42 一般道
43 自車両
44 他車両
45 遮蔽物
46 未確認物体
47 遮蔽領域
50 障害物検出装置
51 センサ
52a 周辺地図生成部
52b 空領域検出部
52c 補領域算出部
52d 未確認障害物配置部
52e 実在障害物検出部
52f 障害物統合部
81 空領域
82a,82b 補領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に対する障害物の存在の有無を、前記移動体に搭載されたセンサを用いて検出する障害物検出方法であって、
前記移動体の周辺領域で移動可能な移動可能領域を設定するステップと、
初期状態として前記移動可能領域の全域に対して複数の未確認物体を障害物候補として配置するステップと、
初期状態として配置された前記障害物候補中から前記センサによる検出結果により実在しないと判定された障害物候補を消去するステップと、
を備えることを特徴とする障害物検出方法。
【請求項2】
前記消去するステップは、当該移動体に近い障害物候補から順に行うことを特徴とする請求項1に記載の障害物検出方法。
【請求項3】
移動体に対する障害物の存在の有無を、前記移動体に搭載されたセンサを用いて検出する障害物検出方法であって、
前記移動体の周辺領域で移動可能な移動可能領域を設定するステップと、
前記移動体の周辺領域で前記センサの検出結果では前記障害物が実在しない空領域を検出するステップと、
前記移動可能領域から前記空領域を除いた補領域を設定するステップと、
前記補領域の全てに対して未確認物体を障害物候補として配置するステップと、
を備えることを特徴とする障害物検出方法。
【請求項4】
前記障害物候補として配置する前記未確認物体は、該未確認物体の行動を予測するための移動体モデルの特性を持つことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の障害物検出方法。
【請求項5】
前記移動体モデルは、特性の異なる複数の単体移動体モデル同士の特性を融合させて架空の特性を持たせた架空の標準移動体モデルであることを特徴とする請求項4に記載の障害物検出方法。
【請求項6】
前記単体移動体モデルの一つは、自動車の行動を予測するための自動車モデルであることを特徴とする請求項5に記載の障害物検出方法。
【請求項7】
前記単体移動体モデルの一つは、人の行動を予測するための人モデルであることを特徴とする請求項5に記載の障害物検出方法。
【請求項8】
配置された前記障害物候補中、前記センサによる検出結果により実在すると判定された障害物候補を実在の障害物に置き換えるステップをさらに備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の障害物検出方法。
【請求項9】
未確認の仮想的な移動体の行動を予測するための移動体モデルであって、
前記移動体として実在し得る特性の異なる複数の単体移動体モデル同士の特性を融合させて架空の特性を持たせてなることを特徴とする標準移動体モデル。
【請求項10】
前記単体移動体モデルの一つは、自動車の行動を予測するための自動車モデルであることを特徴とする請求項9に記載の標準移動体モデル。
【請求項11】
前記単体移動体モデルの一つは、人の行動を予測するための人モデルであることを特徴とする請求項9に記載の標準移動体モデル。
【請求項12】
移動体に対する障害物の存在の有無を、前記移動体に搭載されたセンサを用いて検出する障害物検出装置であって、
前記移動体の周辺領域で移動可能な移動可能領域を設定する領域設定手段と、
初期状態として前記移動可能領域の全域に対して複数の未確認物体を障害物候補として配置する配置手段と、
初期状態として配置された前記障害物候補中から前記センサによる検出結果により実在しないと判定された障害物候補を消去する消去手段と、
を備えることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項13】
移動体に対する障害物の存在の有無を、前記移動体に搭載されたセンサを用いて検出する障害物検出装置であって、
前記移動体の周辺領域で移動可能な移動可能領域を設定する領域設定手段と、
前記移動体の周辺領域で前記センサの検出結果では前記障害物が実在しない空領域を検出する空領域検出手段と、
前記移動可能領域から前記空領域を除いた補領域を設定する補領域設定手段と、
前記補領域の全てに対して未確認物体を障害物候補として配置する配置手段と、
を備えることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項14】
前記障害物候補として配置する前記未確認物体は、行動を予測するための移動体モデルの特性を持つことを特徴とする請求項12または13に記載の障害物検出装置。
【請求項15】
前記移動体モデルは、特性の異なる複数の単体移動体モデルの特性を融合させて架空の特性を持たせた標準移動体モデルであることを特徴とする請求項14に記載の障害物検出装置。
【請求項16】
前記単体移動体モデルの一つは、自動車の行動を予測するための自動車モデルであることを特徴とする請求項15に記載の障害物検出装置。
【請求項17】
前記単体移動体モデルの一つは、人の行動を予測するための人モデルであることを特徴とする請求項15に記載の障害物検出装置。
【請求項18】
配置された前記障害物候補中、前記センサによる検出結果により実在すると判定された障害物候補を実在の障害物に置き換える置き換え手段をさらに備えることを特徴とする請求項12〜17のいずれか一つに記載の障害物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−233764(P2007−233764A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−55440(P2006−55440)
【出願日】平成18年3月1日(2006.3.1)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】