説明

障害物検出装置

【課題】環境ノイズに対する耐性が高い障害物検出装置を提供すること。
【解決手段】本発明の障害物検出装置1は、複数種類の周波数で超音波を送受波可能な送受波手段11、13を備える超音波センサ3a、3b、3c、3dと、前記超音波センサ3a、3b、3c、3dに、前記超音波の送受波を命令するとともに、前記超音波センサ3a、3b、3c、3dから前記超音波の受波結果を取得し、前記受波結果に基づいて障害物を検出する制御手段5と、を備え、前記超音波センサ3a、3b、3c、3dは、前記送受波手段11、13が前記超音波を送波しないときに受波した超音波に基づき、送受波する前記超音波の周波数を設定する周波数設定手段9を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両等に搭載され、車両の周囲に存在する障害物を超音波の送受波を利用して検出する障害物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される障害物検出装置として、超音波を送受波する超音波センサを用いるものがある(特許文献1、2参照)。この障害物検出装置としては、次のようなものが知られている。障害物検出装置101は、図7に示すように、超音波センサ103a、103b、103c、103dと、ECU105と、それらを接続する配線107とから構成され、車両107に取り付けられる。障害物検出装置101は、図8のフローチャートに示す処理で障害物を検出する。
【0003】
ステップ410では、ECU105から超音波センサ103a、103b、103c、103dに対し、初期設定値を送信する。初期設定値には、送波パルス数、送受波周波数、しきい値、バンドパスフィルターのQ値(BPFQ)等が含まれる。
【0004】
ステップ420では、ECU105が超音波センサ103a、103b、103c、103dに対し、超音波の送受波を命令する。
ステップ430では、超音波センサ103a、103b、103c、103dが、初期設定された周波数にてノイズモニタを行う。具体的には、超音波センサ103a、103b、103c、103dが超音波を送波しない状態にて、初期設定された周波数の超音波(環境ノイズ)をモニタする。
【0005】
ステップ440では、超音波センサ103a、103b、103c、103dが、障害物の検出動作を行う。具体的には、初期設定された周波数の超音波を送波し、マスク時間の経過後、障害物で反射した超音波(反射波)を受波する。
【0006】
ステップ450では、ECU105が超音波センサ103a、103b、103c、103dに対し、結果要求を行う。
ステップ460では、超音波センサ103a、103b、103c、103dが、ECU105に対し結果応答を行う。応答の内容は、前記ステップ430におけるノイズモニタの結果、及び前記ステップ440において、反射波を受波した時間(反射波受波時間)である。
【0007】
ステップ470では、ECU105がノイズモニタの結果を判断する。具体的には、ノイズの大きさが所定のしきい値より小さい場合は環境ノイズなしと判断し、ステップ480に進む。一方、ノイズの大きさが所定のしきい値を超える場合は環境ノイズ有りと判断し、ステップ490に進む。
【0008】
ステップ480では、ECU105が、前記ステップ460で取得した結果応答に基づき、報知音の発生、及び表示を行う。具体的には、反射波受波時間に基づき、障害物までの距離を算出し、その距離が所定のしきい値以下である場合は、車両の車室内に設置されたスピーカにより警報を発するとともに、車両のインパネに設置された表示装置に障害物の存在を示す表示を行う。
【0009】
ステップ490では、今回の送受波結果を信用せず、障害物の検出を行わない。
【特許文献1】特開2003−107156号公報
【特許文献2】特開2003−130952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の障害物検出装置101は、障害物の検出に、予め定められた波長の超音波を用いるため、その周波数の環境ノイズが高い場合は、障害物の検出を正確に行うことができない。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであり、環境ノイズに対する耐性が高い障害物検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の障害物検出装置は、複数種類の周波数で超音波を送受波可能な送受波手段を備える超音波センサと、前記超音波センサに、前記超音波の送受波を命令するとともに、前記超音波センサから前記超音波の受波結果を取得し、前記受波結果に基づいて障害物を検出する制御手段とを備える。そして、前記超音波センサは、前記送受波手段が前記超音波を送波しないときに受波した超音波に基づき、送受波する前記超音波の周波数を設定する周波数設定手段を備える。
【0013】
本発明の障害物検出装置は、周波数設定手段により、送受波手段が送受波する超音波の周波数を、環境ノイズが少ない周波数とすることができるので、環境ノイズに対する耐性が高い。
【0014】
また、本発明の障害物検出装置では、超音波センサ自体が、送受波する超音波の周波数を設定するため、障害物検出装置のレスポンスを向上させることができる。
前記周波数設定手段が周波数を設定する方法は、例えば、以下のようにすることができる。すなわち、前記送受波手段に、前記超音波を送波しない状態にて、前記複数種類の周波数で超音波を受波させ、受波した超音波の強度が所定のしきい値より小さくなる周波数を、前記送受波手段が送受波する前記超音波の周波数として設定することができる。
【0015】
また、前記送受波手段に、前記超音波を送波しない状態にて、前記複数種類の周波数の超音波を受波させ、それぞれの周波数ごとに、受波した超音波の強度と前記しきい値とを順次比較し、受波した超音波の強度が最初に前記しきい値より小さくなった周波数を、前記送受波手段が送受波する前記超音波の周波数として設定することができる。こうすることにより、必ずしも、前記複数種類の周波数の全てについて、受波した超音波の強度としきい値とを比較しなくてもよいので、周波数の設定を迅速に行うことができる。
【0016】
また、前記送受波手段に、前記超音波を送波しない状態にて、前記複数種類の周波数で所定期間超音波を受波させ、受波した超音波の強度が所定のしきい値を超える時間が最も短い周波数を、前記送受波手段が送受波する前記超音波の周波数として設定することができる。
【0017】
前記送受波手段としては、例えば、共振周波数を複数有する複共振マイクが挙げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
1.障害物検出装置の構成
障害物検出装置1の構成を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、障害物検出装置1の電気的構成を表すブロック図であり、図2は、各構成要素の配置を表す説明図である。
【0019】
図1に示すように、障害物検出装置1は、超音波センサ3a、3b、3c、3dとECU(制御手段)5とから構成され、それらは配線7で接続されている。
超音波センサ3a、3b、3c、3dは、同一の構成を有する。ここでは、超音波センサ3aを例にとって説明する。超音波センサ3aは、マイコン(周波数設定手段)9と、送波回路11と、受波回路13と、複共振マイク15とから構成される。マイコン9は、ECU5から送信される初期設定値に基づき、送波回路11及び受波回路13の初期設定を行う。送波回路11の初期設定としては、送波パルス数、送波周波数等がある。また、受波回路13の初期設定としては、しきい値、バンドパスフィルターのQ値(以下、BPFQとする)がある。また、マイコン9は、ECU5から送信される送受波命令に基づき、送波回路11及び受波回路13を駆動し、超音波の送受波動作を行う。また、マイコン9は、ECU5からの結果要求に応じて、受波回路13及び複共振マイク15で受波した超音波に関する情報(反射波受波時間、ノイズモニタ結果)をECU5に送信する。なお、ノイズモニタについては後に詳述する。
【0020】
送波回路11は、マイコン9により設定された送波パルス数、送波周波数にて、複共振マイク15を駆動し、超音波を送波させる。受波回路13は、複共振マイク15で受波した超音波を検出する。このとき、受波回路13は、マイコン9により設定されたしきい値、BPFQを用いる。
【0021】
複共振マイク15は、複数の共振周波数を有し、複数種類の周波数で超音波を送受波可能である。
ECU5は、超音波センサ3に対する各種制御を行う。具体的には、超音波センサ3に対し、送波回路11及び受波回路13の初期設定値を送信する。また、超音波センサ3に対し、超音波の送受波を命令する。また、超音波センサ3に対し、結果要求を送信し、超音波センサ3から、そこで受波した超音波に関する情報(反射波受波時間、ノイズモニタ結果)を取得する。さらに、ECU5は、超音波センサ3から取得した反射波受波時間に基づき、障害物を検出する。
【0022】
図2(a)に示すように、障害物検出装置1において、超音波センサ3a、3b、3c、3dはそれぞれ、車両17の前端又は後端に取り付けられている。超音波センサ3a、3b、3c、3dとECU5とは、図2(a)に示すように、デイジーチェイン接続により結線されている。なお、結線の方式は、図2(b)に示すようなスター結線であってもよい。
2.障害物検出装置1が実行する処理
障害物検出装置1が実行する処理を図3〜図5に基づいて説明する。図3は障害物検出装置1が実行する処理を表すフローチャートであり、図4は障害物検出装置1が実行する処理の全体を表すタイミングチャートであり、図5は障害物検出装置1が実行する送受波動作を表すタイミングチャートである。
【0023】
図3のステップ10では、ECU5から超音波センサ3a、3b、3c、3dに対し、初期設定値を送信する。初期設定値には、パラメータA、B、Cの3種類が有り、それぞれ、表1に示すように、送波パルス数、送受波周波数、しきい値、BPFQ値を定めている。
【0024】
【表1】

超音波センサ3a、3b、3c、3dのマイコン9は、それが備える記憶手段(図示略)に、パラメータA〜Cを全て記憶する。
【0025】
ステップ20では、ECU5が超音波センサ3a、3b、3c、3dに対し、超音波の送受波を命令する。
ステップ30では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、周波数Faにてノイズモニタを行う。具体的には、超音波センサ3a、3b、3c、3dは超音波を送波しない状態にて、受波回路13及び複共振マイク15により、周波数Faの超音波(環境ノイズ)をモニタする。
【0026】
ステップ40では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、周波数Fbにてノイズモニタを行う。具体的には、超音波センサ3a、3b、3c、3dは超音波を送出しない状態にて、受波回路13及び複共振マイク15により、周波数Fbの超音波(環境ノイズ)をモニタする。
【0027】
ステップ50では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、周波数Fcにてノイズモニタを行う。具体的には、超音波センサ3a、3b、3c、3dは超音波を送波しない状態にて、受波回路13及び複共振マイク15により、周波数Fcの超音波(環境ノイズ)をモニタする。
【0028】
ステップ60では、超音波センサ3a、3b、3c、3dのマイコン9が、前記ステップ30にてモニタした周波数Faの超音波(環境ノイズ)における強度が、所定のしきい値以下であるか否かを判断する。しきい値以下であった場合は環境ノイズなしとして、ステップ70に進む。一方、しきい値を超えた場合はステップ120に進む。
【0029】
ステップ70では、超音波センサ3a、3b、3c、3dのマイコン9が、初期設定値を、パラメータAに決定する。そして、マイコン9は、パラメータAにて、送波回路11及び受波回路13の初期設定を行う。
【0030】
ステップ80では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、パラメータAにて、障害物の検出動作を行う。具体的には、送波回路11及び複共振マイク15により、送波周波数Fa、送波パルス数Naにて超音波を送波する。超音波の送波開始時を始期とし、超音波の送波終了から所定時間が経過した時点を終期とする時間帯をマスク時間とする。マスク時間の経過後、受波回路13及び複共振マイク15により、周波数Faの超音波(反射波)を検出する。このとき、受波回路13におけるしきい値は、パラメータAに含まれるVthaであり、BPFQはQaである。
【0031】
ステップ90では、ECU5が超音波センサ3a、3b、3c、3dに対し、結果要求を行う。
ステップ100では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、ECU5に対し結果応答を行う。応答の内容は、障害物の検出動作(ステップ80、150、180)において、受波した反射波の反射波受波時間、ノイズモニタ(ステップ30〜50)の結果、送受波しないとの決定(後述するステップ180)等である。
【0032】
ステップ110では、ECU5が、前記ステップ100で取得した結果応答に基づき、報知音の発生、及び表示を行う。具体的には、反射波受波時間から、障害物までの距離を算出し、その距離が所定のしきい値以下である場合は、車両17の車室内に設置されたスピーカ(図示略)により警報を発するとともに、車両17のインパネに設置された表示装置(図示略)に障害物の存在を示す表示を行う。また、後述するステップ180で送受波しないと決定した場合は、その旨を上記表示装置に表示する。
【0033】
一方、前記ステップ60で、周波数Faの超音波(環境ノイズ)における強度が、所定のしきい値を超えると判断した場合はステップ120に進む。ステップ120では、超音波センサ3a、3b、3c、3dのマイコン9が、前記ステップ40にてモニタした周波数Fbの超音波(環境ノイズ)における強度が、所定のしきい値以下であるか否かを判断する。しきい値以下であった場合は環境ノイズなしとして、ステップ130に進む。一方、しきい値を超えた場合はステップ160に進む。
【0034】
ステップ130では、超音波センサ3a、3b、3c、3dのマイコン9が、初期設定値を、パラメータBに決定する。そして、マイコン9は、パラメータBにて、送波回路11及び受波回路13の初期設定を行う。
【0035】
ステップ140では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、パラメータBにて、障害物の検出動作を行う。具体的には、送波回路11及び複共振マイク15により、送波周波数Fb、送波パルス数Nbにて超音波を送波する。マスク時間の経過後、受波回路13及び複共振マイク15により、周波数Fbの超音波(反射波)を検出する。このとき、受波回路13におけるしきい値は、パラメータBに含まれるVthbであり、BPFQ値はQbである。
【0036】
一方、前記ステップ120で、周波数Fbの超音波(環境ノイズ)における強度が、所定のしきい値を超えると判断した場合はステップ150に進む。ステップ150では、超音波センサ3a、3b、3c、3dのマイコン9が、前記ステップ50にてモニタした周波数Fcの超音波(環境ノイズ)における強度が、所定のしきい値以下であるか否かを判断する。しきい値以下であった場合は環境ノイズなしとして、ステップ160に進む。一方、しきい値を超えた場合はステップ180に進む。
【0037】
ステップ160では、超音波センサ3a、3b、3c、3dのマイコン9が、初期設定値を、パラメータCに決定する。そして、マイコン9は、パラメータCにて、送波回路11及び受波回路13の初期設定を行う。
【0038】
ステップ170では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、パラメータCにて、障害物の検出動作を行う。具体的には、送波回路11及び複共振マイク15により、送波周波数Fc、送波パルス数Ncにて超音波を送波する。マスク時間の経過後、受波回路13及び複共振マイク15により、周波数Fbの超音波(反射波)を検出する。このとき、受波回路13におけるしきい値は、パラメータCに含まれるVthcであり、BPFQ値はQcである。
【0039】
一方、前記ステップ150で、周波数Fcの超音波における強度が、所定のしきい値を超えると判断した場合はステップ180に進み、超音波の送受波をしないと決定する。
次に、図4、及び図5のタイミングチャートに基づき、障害物検出装置1が実行する処理を時系列的に説明する。
【0040】
ECU5は、時刻t1、t2、t3、t4において、それぞれ、超音波センサ3a、3b、3c、3dに対し、初期設定値を送信する。この処理は、前記ステップ10の処理である。
【0041】
ECU5は、時刻t5において、超音波センサ3aに対し、超音波の送受波を命令する。この処理は、前記ステップ20の処理である。
このとき、超音波センサ3aは、送受波動作を行う。送受波動作は、前記ステップ30〜80、120〜140、150〜170、及び180の処理である。
【0042】
送受波動作は、図5に示すように、ノイズモニタの時間帯、マスク時間、受波時間から成る。ノイズモニタの時間帯では、受波回路13により、周波数Faにおけるノイズモニタ、周波数Fbにおけるノイズモニタ、周波数Fcにおけるノイズモニタを順次行う。これらの処理はそれぞれ、前記ステップ30〜50の処理である。このとき、受波回路13におけるしきい値及びBPFQ値は、ノイズモニタに適した値に設定される。
【0043】
マスク時間は、送波回路11が、ノイズモニタの結果に応じて設定された周波数、パルス数にて、超音波のパルスを送波する時間帯と、残響の時間帯とをカバーするように設定される。マスク時間においては、超音波を受波しないので、しきい値は高く設定される。
【0044】
受波時間では、受波回路13が、障害物で反射した超音波(反射波)を受波する。受波時間において、しきい値及びBPFQは、パラメータA〜Cで規定された値のうち、ノイズモニタの結果に応じて選択された値が設定される(前記ステップ30〜70、120〜130、150〜160参照)。なお、マスク時間及び受波時間における動作は、前記ステップ80、140、170の処理である。
【0045】
図4に戻り、ECU5は、時刻t6にて、超音波センサ3aに対し、結果要求を行う。この処理は前記ステップ90の処理である。このとき、超音波センサ3aは、ECU5に対し結果応答を行う。この処理は、前記ステップ100の処理である。
【0046】
ECU5は、超音波センサ3b、3c、3dに対しても、超音波センサ3aの場合と同様に、超音波の送受波を命令する。それに対し、超音波センサ3b、3c、3dは、超音波センサ3aの場合と同様に、送受波動作を行う。
【0047】
また、ECU5は、超音波センサ3b、3c、3dに対しても、超音波センサ3aの場合と同様に、結果要求を行う。それに対し、超音波センサ3b、3c、3dは、超音波センサ3aの場合と同様に、結果応答を行う。
3.障害物検出装置1が奏する効果
障害物検出装置1が奏する効果を説明する。
(i) 障害物検出装置1を構成する超音波センサ3a、3b、3c、3dは、複数の周波数Fa、Fb、Fcのうち、ノイズモニタの結果に応じて、環境ノイズが少ない周波数を設定し、障害物を検出する。そのため、障害物検出装置1は、環境ノイズに対する耐性が高い。
(ii) 障害物検出装置1は、障害物の検出動作(前記ステップ80、140、170)の直前にノイズモニタを行い、周波数を設定するので、一層、環境ノイズに対する耐性が高く、障害物の検出結果に対する高い信頼性が得られる。
(iii) 障害物検出装置1では、超音波センサ3a、3b、3c、3d自体がノイズモニタを行うとともに、環境ノイズが少ない周波数を設定する。そのため、ノイズモニタの結果をECU5に送り、ECU5にてノイズモニタの結果を評価し、その評価結果を超音波センサ3a、3b、3c、3dに送るような方式に比べ、障害物の検出におけるレスポンスを向上させることができる。
(iv) 障害物検出装置1は、周波数Faにおける環境ノイズ、周波数Fbにおける環境ノイズ、及び周波数Fcにおける環境ノイズとしきい値とを順次比較し、環境ノイズが最初にしきい値より小さくなった周波数を送受波する周波数として設定する。こうすることにより、必ずしも、周波数Fa、Fb、Fcの全てについて、環境ノイズとしきい値とを比較しなくてもよいので、周波数の設定を迅速に行うことができる。
(第2の実施形態)
障害物検出装置1の構成は前記第1の実施形態と同様であるが、障害物検出装置1が実行する処理において一部相違する。以下では、その相違点を中心に説明し、前記第1の実施形態と同様の部分については、説明を簡略化する。
【0048】
本実施形態の障害物検出装置1が実行する処理を図6のフローチャートに基づいて説明する。ステップ210〜250の処理は、前記第1の実施形態におけるステップ10〜50の処理と同様である。但し、ステップ230〜250のノイズモニタでは、環境ノイズをモニタする時間を、全ての周波数について同一とする。
【0049】
ステップ260では、前記ステップ230のノイズモニタにおいて、周波数Faの超音波(環境ノイズ)の強度が所定のしきい値(しきい電圧)を超えていた累積時間(以下taとする)と、前記ステップ240のノイズモニタにおいて、周波数Fbの超音波(環境ノイズ)の強度が前記所定のしきい値を超えていた累積時間(以下tbとする)と、前記ステップ250のノイズモニタにおいて、周波数Fcの超音波(環境ノイズ)の強度が、前記所定のしきい値を超えていた累積時間(以下tcとする)とを対比する。そして、taが最も短かった場合はステップ270に進み、tbが最も短かった場合はステップ320に進み、tcが最も短かった場合はステップ340に進む。なお、ta、tb、tcの中に、最も短いもの(累積時間が0の場合を含む)が2以上あった場合は、予め設定しておいた優先順位に基づいて選択を行うことができる。例えば、ta、tb、tcがいずれも0であった(いずれの周波数についても、環境ノイズの強度がしきい値を全く超えなかった)場合、ta、tb、tcの優先順位を、ta>tb>tcと決めておけば、ステップ270に進むことができる。
【0050】
ステップ270では、超音波センサ3a、3b、3c、3dのマイコン9が、初期設定値を、パラメータAに決定する。そして、マイコン9は、パラメータAにて、送波回路11及び受波回路13の初期設定を行う。
【0051】
ステップ280では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、パラメータAにて、障害物の検出動作を行う。
ステップ290では、ECU5が超音波センサ3a、3b、3c、3dに対し、結果要求を行う。
【0052】
ステップ300では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、ECU5に対し結果応答を行う。
ステップ310では、ECU5が、前記ステップ300で取得した結果応答に基づき、報知音の発生、及び表示を行う。
【0053】
一方、前記ステップ260で、tbが最も短かったと判断した場合はステップ320に進み、ステップ320では、超音波センサ3a、3b、3c、3dのマイコン9が、初期設定値を、パラメータBに決定する。そして、マイコン9は、パラメータBにて、送波回路11及び受波回路13の初期設定を行う。
【0054】
ステップ330では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、パラメータBにて、障害物の検出動作を行う。
一方、前記ステップ260で、tcが最も短かったと判断した場合はステップ340に進み、ステップ340では、超音波センサ3a、3b、3c、3dのマイコン9が、初期設定値を、パラメータCに決定する。そして、マイコン9は、パラメータCにて、送波回路11及び受波回路13の初期設定を行う。
【0055】
ステップ350では、超音波センサ3a、3b、3c、3dが、パラメータCにて、障害物の検出動作を行う。
本実施の形態に係る障害物検出装置1は、前記第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0056】
尚、本発明は前記実施の形態になんら限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば、前記第1の実施形態では、周波数Faにおける環境ノイズ、周波数Fbにおける環境ノイズ、及び周波数Fcにおける環境ノイズを対比し、最も環境ノイズが小さくなる周波数を、障害物の検出に用いる周波数として設定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】障害物検出装置1の電気的構成を表すブロック図である。
【図2】障害物検出装置1における各構成要素の配置を表す説明図であり、(a)はデイジーチェイン接続の場合を表し、(b)はスター結線の場合を表す。
【図3】障害物検出装置1が実行する処理を表すフローチャートである。
【図4】障害物検出装置1が実行する処理の全体を表すタイミングチャートである。
【図5】害物検出装置1が実行する送受波動作を表すタイミングチャートである。
【図6】障害物検出装置1が実行する処理を表すフローチャートである。
【図7】障害物検出装置101における各構成要素の配置を表す説明図である。
【図8】障害物検出装置101が実行する処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0058】
1・・・障害物検出装置、3a、3b、3c、3d・・・超音波センサ、
7・・・配線、9・・・マイコン、11・・・送波回路、13・・・受波回路、
15・・・複共振マイク、17・・・車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の周波数で超音波を送受波可能な送受波手段を備える超音波センサと、
前記超音波センサに、前記超音波の送受波を命令するとともに、前記超音波センサから前記超音波の受波結果を取得し、前記受波結果に基づいて障害物を検出する制御手段と、
を備える障害物検出装置であって、
前記超音波センサは、
前記送受波手段が前記超音波を送波しないときに受波した超音波に基づき、送受波する前記超音波の周波数を設定する周波数設定手段を備えることを特徴とする障害物検出装置。
【請求項2】
前記周波数設定手段は、前記送受波手段に、前記超音波を送波しない状態にて、前記複数種類の周波数で超音波を受波させ、受波した超音波の強度が所定のしきい値より小さくなる周波数を、前記送受波手段が送受波する前記超音波の周波数として設定することを特徴とする請求項1記載の障害物検出装置。
【請求項3】
前記周波数設定手段は、前記送受波手段に、前記超音波を送波しない状態にて、前記複数種類の周波数の超音波を受波させ、それぞれの周波数ごとに、受波した超音波の強度と前記しきい値とを順次比較し、受波した超音波の強度が最初に前記しきい値より小さくなった周波数を、前記送受波手段が送受波する前記超音波の周波数として設定することを特徴とする請求項2記載の障害物検出装置。
【請求項4】
前記周波数設定手段は、前記送受波手段に、前記超音波を送波しない状態にて、前記複数種類の周波数で所定期間超音波を受波させ、受波した超音波の強度が所定のしきい値を超える時間が最も短い周波数を、前記送受波手段が送受波する前記超音波の周波数として設定することを特徴とする請求項1記載の障害物検出装置。
【請求項5】
前記送受波手段は、複共振マイクであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の障害物検出装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−250672(P2009−250672A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96199(P2008−96199)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】