説明

集光器のためのハイブリッド型一次光学構成要素

入射光を収集して集光するハイブリッド型光学構成要素である。このハイブリッド型構成要素は屈折要素と反射要素の両方を有する。好ましい実施形態では、屈折構成要素と反射構成要素は、光起電性(太陽)電池のような装置によって光線が中で吸収される概ね反射器の底部に配置されている共通の焦点面上に、光線を集束する。これに加えて、この光学構成要素は、改善された全体的性能を得るために、結像光学要素と非結像光学要素の両方を単一の装置の形に組み合わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を受けて1つまたは複数の目標に向けて集中させるライン型またはポイント型の太陽集熱器のような集光システムに適用される光学的形状構成に関する。これらの1つまたは複数の目標は、1つまたは複数の光起電性(太陽)電池のような1つまたは複数の装置であるだろう。
【背景技術】
【0002】
太陽集熱器のような集光システムは、光をその光学システムの焦点に向かって集中させる。一般的に、2つのカテゴリの集光器(concentrator)が存在する。ライン型集光器は、焦点が直線であるように入射光を1次元において集中させる。ポイント型集光器は、焦点が点であるように入射光を2次元において集中させる。
【0003】
集光器は、入射光を集中させるための1つまたは複数の光学構成要素を含むだろう。特定のシステムが、光学部品によって光線が収集されて集束させられた後に、その光線を(光電池のような装置であってよい)所望の目標に直接的に集中させる、一次光学部品(primary optic)と呼ばれる単一の集光光学構成要素を有する。より複雑な集光器が、向上した収集能力または集光能力を実現するために、または、目標におけるビームの均一性を改善するために、一次光学部品と追加の光学部品との両方を含むだろう。
【0004】
集光器のための一次光学部品は、典型的には、屈折型構成要素または反射型構成要素を含む。使用される最も一般的な屈折型構成要素が、O’Neillの米国特許番号第4,069,812号に開示されているフレネルレンズのようなフレネルレンズであり、一方、一般的な反射型構成要素が放物線形反射器である。屈折型構成要素に関しては、一般的にフレネルレンズが標準レンズよりも好ましいが、これはフレネルレンズの方が所与の開口の場合に標準レンズよりも薄いからである。したがって、フレネルレンズは、標準レンズが必要とする材料の量と同じ量の材料を必要とすることなしに、大きな収集開口(collecting aperture)を実現する。この集光器のためのシステム開口は、フレネルレンズの開口によって画定されている。図2が、光軸24を有する典型的なフレネルレンズ集光器を示し、この図は、フレネルレンズ18が光線20を所望の焦点16に向けて曲げることを示している。
【0005】
しかし、従来において使用されている大型で高品質のフレネルレンズは、市販の屋上システムのような中規模の用途にとっては途方もなく高コストである可能性がある。これに加えて、フレネルレンズ上に存在する表面の不連続部が、標準レンズまたは反射型の解決策に比較して、そのフレネルレンズを損失の大きいものにする傾向がある(すなわち、望ましい形で集束させられる光の一部分が、その代わりに、吸収され、および/または、焦点から外れるように方向付けられることがある)。従来において使用されているフレネル集光器の別の欠点が、自己電力供給(self−powering)を必要とする特定の関節動作型の集光器(articulating concentrator)に対して、このフレネル集光器が単独では適していないということである。集光器の光軸が太陽に位置合わせされておらず、したがって空からの拡散放射に依存している時には、このような装置は、電力を発生させるための手段を必要とする。不幸なことに、従来のフレネル集光器は、レンズの焦点に位置している太陽電池に拡散放射が当たるための経路をわずかだけしか実現せず、したがって、太陽に位置合わせされていない時には、一般的に、その集光器自体を関節動作させるための十分な電力を発生することが不可能である。
【0006】
反射型の一次部品(primary)が、Winstonの米国特許第4,003,638号明細書にしたがった複合放物線形集光器(CPC)と、様々なタイプの放物線形または近放物線形のトラフ(trough)およびディッシュ(dish)を含むことが公知である。CPCは焦点面における良好なビーム均一性を実現する。トラフおよびディッシュは2つの主要なタイプのCPCである。トラフおよびディッシュは底部焦点(bottom focus)を有することがあり、この場合には、例えば太陽電池のような光学的目標が上向きになっているだろう。底部焦点を有するトラフおよびディッシュは、反射器が1つまたは複数の拡散光源に直接的に向けられていない時にさえ、有利な形で拡散光を収集して集中させるだろう。このことが、こうしたトラフおよびディッシュを、自己電力供給のために使用される拡散光を収集することに適したものにする。トラフおよびディッシュは、さらに、反転焦点(inverted focus)を有することもあり、この場合には、例えば太陽電池のような光学的目標が下向きになっており、かつ、反射器の上方に吊り下げられている場合が多い。
【0007】
しかし、高い集光率が、大きな高さ/幅比率を有するCPCを必要とする傾向があるので、CPCを含む多関節動作型集光器(multiple articulating concentrator)に関する実装密度(packing density)が制限される可能性がある。例えば、本出願の図3が、1次元における10倍の幾何学的集中(geometric concentration)を有する典型的な底部焦点型CPC 28を概略的に示している。入射光30が、1の規格化幅(normalized width)を有する焦点面26上に集中させられる。CPC 28の規格化高さが17.8であり、この結果として1.78の高さ/幅比率がもたらされる。
【0008】
この比較的に大きい高さ/幅比率係数は、従来のCPCを、それ単独では、標題「PLANAR CONCENTRATING PHOTOVOLTAIC SOLAR PANEL WITH INDIVIDUALLY ARTICULATING CONCENTRATOR ELEMENTS(個別関節動作型集光器要素を有する平面集光太陽電池パネル)」を有する、Hines他の名義において2005年6月16日付けで出願された、本譲受人の同時係属中の米国仮特許出願番号60/691,319、および、標題「CONCENTRATING SOLAR PANEL AND RELATED SYSTEMS AND METHODS(集光太陽電池パネルおよび関連のシステムおよび方法)」を有する、Hinesの名義において2006年1月17日付けで出願された、本譲受人の米国仮特許出願番号60/759,778(これらの出願は、実際上は、そのそれぞれの実体において本明細書に引例として組み入れられている)に説明されている多関節動作型集光器システムにはあまり適してはいないものにする。こうした関節動作型集光器システムは、その集光器が自由に関節動作することが可能であるように、光学構成要素のために低い全体的な高さを使用することが望ましい。
【0009】
別の欠点としては、放物線形のトラフおよびディッシュは、実際上は集光のために使用不可能である開口領域を有する。これは、底部焦点または反転焦点を有するトラフおよびディッシュの場合に当てはまる。底部集束形状構成と反転集束形状構成とが目標焦点面における入射角の制限によって影響を受ける可能性があるので、これらの光学要素の開口の一部分が使用不可能である。例えば、スネルの法則によって、特定の角度より大きい角度で目標に到達する光線は表面から反射されて吸収されない。
【0010】
図4は、底部焦点型反射器34の場合におけるこの問題を概略的に図解している。入射光線36、38、40が反射器34によって焦点面32上に集中させられる。集中させられる光線の焦点面32に対する入射角は、反射器34の中央を通過して延びる光軸(図示されていない)に対してその光線が近ければ近いほど大きい。光線36、38は、焦点面32の受光角よりも小さい角度で焦点面32上に当たり、および、吸収される。光線40は、焦点面32の受光角よりも大きい角度で焦点面32上に当たり、および、光線42として反射器34から反射して戻される。光線42が入射光線でありかつ光線40が排除された光線である場合に、同じ効果が見出されるだろう。非吸収光線44、42に関連している領域44、46が、集光のためには使用不可能である反射器34の開口の一部分を画定する。実際上の効果としては、このシステムの有効開口が減少させられる。
【0011】
反転焦点型反射器は、この反射器の周縁付近で開口ペナルティが生じるということを除いて、同様の問題点を有する。図5に概略的に示されているように、入射光線52、56、60が反射器50によって焦点面48上に集中させられる。底部焦点型反射器の状況とは対照的に、光線が反射器50に当たる位置が、反射器の中央を通過して延びる光軸(図示されていない)から遠ければ遠いほど、反射器50の焦点面48に対する入射角が増大する。光線52、60は、焦点面48の受光角よりも小さい角度で焦点面48に当たり、および、吸収される。光線56は、焦点面48の受光角よりも大きい角度で焦点面48上に当たり、および、光線58として反射器50から反射して戻される。光線58が入射光線でありかつ光線56が排除光線である場合に、同じ効果が見出されるだろう。非吸収光線54、62の領域54、62が、集光のためには使用不可能である反射器の開口の一部分を画定する。実際の効果としては、このことが反射器の開口の幅を制限する.これに加えて、反転焦点型反射器において典型的であるように、反射器50には自己付影(self−shadowing)という問題があり、したがって、領域64内の光軸に最も近い光線が焦点面48自体における目標によって遮断され、および、そのシステムの集光効率がさらに低減することになる。
【0012】
これに加えて、関節動作式集光器システムが、好ましくはその装置自体によって発生される電力を使用して、関節動作構成要素に電力供給する手段を含むことが望ましい。従来の光学的設計は、例えば太陽のような入射光源に対して集光構成要素の狙いを定めるために自己電力供給型の関節動作を使用することを必要とする太陽電池装置に関して、問題を生じさせる可能性がある。自己電力供給型の設計が、集光構成要素が適切に狙いを定められていない時に、電力を供給するために拡散光を捕捉して集中させることが可能であることが重要である。このような装置は、焦点面に配置されている太陽電池に拡散放射が当たるために十分な光路を実現するために、底部焦点型の反射器を使用するだろう。しかし、従来通りに具体化されている場合には、この設計の選択は、底部焦点型の反射器の上述の制限を代償とする形で行われる。他方では、この代わりに反転焦点型反射器を使用する装置は、一般的に、例えば太陽電池のような目標が拡散放射源から反対方向を向いているので、目標に拡散放射が到達するための非常に限定された光路だけしか実現しない。さらに、一次鏡(primary mirror)における反射視野が非常に狭い傾向がある。したがって、反転焦点型反射器はわずかな拡散光しか収集しない傾向がある。したがって、こうした従来の底部焦点型および反転焦点型の反射器は、自己電力供給型のシステムにはあまり適していない。
【0013】
第3のタイプの集光一次部品、すなわち、Vasylyevの米国特許第6,971,756号明細書に開示されているような反射レンズが、レンズのように入射光が集束させられるように構成されている同中心リングまたは平行スラット(parallel slat)の形状である反射要素を含む。この一次部品は、大きな集光率を実現することが可能であり、および、放物線形のトラフおよびディッシュの場合に存在する入射角の問題を克服するだろう。しかし、これは、一般的に、中規模の用途に関してはコスト的に法外に高いことがある、精密に位置合わせされた複数の表面を含む。これに加えて、長い平行スラットの形状の場合には、不要な光学的隠蔽(optical obscuration)を生じさせる傾向がある追加の支持構造が必要とされるだろう。さらに、上述の反射フルネルレンズの制限に類似している形で、こうした設計は、自己電力供給を実現するために拡散光を収集および集束する能力が限定されている。
【0014】
例えば、Habrakenによって米国特許出願公開第2004/0134531号明細書で説明されており、および、Cobertによって米国特許出願公開第2005/0067008号明細書で説明されているように、複数の光学要素を単一の集光器の形に組み合わせることによって、こうした解決策に対する改良を加える幾つかの試みが、従来において行われている。しかし、これら2つの手法は、複数の光学要素を連続した形に配置し、したがって光が焦点に到達する前に複数の要素によって再方向付けられる。これらの手法の大きな欠点が、こられの手法が、2つの別々の全開口光学要素(full aperture optical element)のコストと光学的損失とを生じさせるということである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、ハイブリッド型の反射型/屈折型の光学構成要素の使用によって、従来技術の集光器に存在している1つまたは複数の問題点を克服および/または軽減するために、単独でまたは組合せの形で役立つ多数の解決策を提供する。好ましい実施態様では、本発明は、反射要素と屈折要素との両方を含む光収集および集光光学構成要素を提供する。この構成要素は、各々の要素がその光学構成要素の開口の互いに異なる部分に関する集光と集束とを取り扱うという意味で、ハイブリッド型である。この開口の少なくとも一部分が反射要素を使用し、一方、この一次開口の別の部分が反射要素を使用する。反射要素および/または屈折要素が結像(imaging)および/または非結像(non−imaging)であることが可能である。有利であることに、このことが、従来の欠点を回避すると同時に、反射要素と屈折要素の両方の多くの利点が実現されることを可能にする。
【0016】
本発明の光学構成要素は、集光器、特に太陽トラフまたはディッシュ集光器、および、さらに明確に述べると、自己電力供給型および/または関節動作型である太陽トラフまたはディッシュ集光器のための、小型の一次光学構成要素としての役割を有利な形で果たすだろう。本発明は、ライン型およびポイント型の集光器システムの両方に適用可能である。ライン型集光器の場合には、屈折要素と反射要素は、1つの方向において対称である幾何学的形状を有するだろう。ポイント型集光器の場合には、屈折要素と反射要素は、2つの方向において対称である幾何学的形状を有するだろう。両方の場合とも、対称の方向が集光器の開口を横断している。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の特に好ましい実施態様では、ハイブリッド光学構成要素の屈折要素が、反射要素の受光末端上に嵌合する透明カバーの中に含まれている。この構成は、集光システム全体が保護カバーの下方にかつ反射器(例えば、反射型トラフまたはディッシュ)の壁の内側に保護される形で密封されているだろうという大きな利点を提供する。
【0018】
本発明は、一側面において、ハイブリッド型の集光光学構成要素に関する。この構成要素は、開口と、この開口の第1の部分のための、光を収集して第1の目標の上に集束させる反射型の光学要素と、開口の第2の部分のための、光を収集して第2の目標の上に集束させる屈折型の光学要素とを含む。
【0019】
本発明は、別の側面において、集光構成要素を作る方法に関する。開口の第1の部分から入射光を収集してこの光を目標上に集中させる光反射要素が用意される。開口の第2の部分から入射光を捕捉してこの光を目標上に集中させる屈折型の要素が用意される。
【0020】
本発明は、別の側面において、入射光を収集して集中させる方法に関する。光が開口の第1の部分から収集され、および、この第1の部分からの光が目標上に反射される。光は、さらに、開口の第2の部分から収集され、および、この第2の部分からの光が目標上に屈折させられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
後述の本発明の実施形態は、網羅的であることは意図されておらず、または、以下の詳細な説明の中で開示される厳密な形態だけに本発明を限定することは意図されていない。むしろ、選択されておりかつ説明されている実施形態の目的は、本発明の原理と実施との当業者による理解と認識とが容易化されることを可能にすることである。
【0022】
図1aと図1bと図7とが、本発明のハイブリッド型の一次光学構成要素1の好ましい一実施形態を示す。図解のために、光学構成要素1がライン型集光器の形態である。この構成要素1の全開口15が、底部集束ディッシュ6の形態である反射要素の受光末端11の幅(ライン型集光器の場合)または直径(ポイント型集光器の場合)全体にわたって広がる。このハイブリッド型の一次光学構成要素1は、受光末端11の上に嵌合させられているカバー8を含む。カバー8とディッシュ6は共に、内部16内に収容されている装置構成要素のための保護ハウジングを提供する。
【0023】
この好ましい実施形態のディッシュ6の反射表面の形状が概ね放物線形である。しかし、この反射要素は、代替案として、直線形、放物線形、ファセット(facet)付き、球形、長円形、または、双曲線形の輪郭を有する表面を非限定的に含む任意の適切な反射表面を使用することが可能である。
【0024】
カバー8は、カバー8の中央領域内の一体状の平凸レンズ4の形態である屈折要素と、透明な光透過性の外側領域17、18とを含む。レンズ4とディッシュ6は共通の焦点面2と共通の光軸14とを共有する。レンズ4は、このレンズ4が構成要素1の光軸14を中心としているように位置決めされている。概ね放物線形の反射器ディッシュ6も、このシステムの光軸14を中心として配置されている。
【0025】
レンズ4は、フレネルタイプおよび標準タイプを含む任意の適切なタイプであってよい。フレネルレンズが高コストでありかつ損失が多い傾向があるが、必要とされる直径の標準レンズが、過剰に厚く、および、過剰に高コストでありおよび/または重量のある光学材料を使用するので、フルネルレンズが一般的に使用される。これとは対照的に、本発明の屈折要素はシステム開口15の一部分だけに関する集光を実現し、これによって、はるかにより厚い全開口レンズに比較して、これと同一の集光率を得るために、より直径が小さくかつしたがってはるかにより薄いレンズの使用を可能にする。したがって、この代わりに、本発明は、従来においてはフルネルレンズを必要とすることになるシステム開口の範囲に対して標準レンズを使用することがある。図解のために、レンズ4は標準レンズとして示されている。
【0026】
図1と図2との間の比較が、例えば、一次元における10倍の幾何学的集中(geometric concentration)を有する集光器の場合の、この利点を示す。10単位の規格化開口(normalized aperture)を有する両方の一次光学部品(すなわち、図2のフレネルレンズ一次光学部品18と、レンズ4と反射ディッシュ6とを含む図1のハイブリッド型の一次光学構成要素1)が、それぞれに、入射光10、20を、1単位の規格化幅(normalized width)を各々が有する焦点面2、16上にそれぞれに集中させる。図1のハイブリッド型光学部品の標準レンズ要素4は、開口全体を集中させる図2のフレネルレンズ18とは対照的に、全開口15の一部分を集中させる。図1のハイブリッド型の光学構成要素1では、レンズ4によって集中させられない開口の一部分は反射ディッシュ6によって集中させられる。したがって、開口15の一部分だけを集中させるために標準的であるが薄い標準レンズ4を使用する、本発明の実施形態が、システムのコストを低下させるだろう。この点で、Cobertの米国特許出願第2005/0067008号明細書の大きくて厚い全開口の標準レンズを、図1のはるかにより小さくかつより薄いレンズ4と比較されたい。図1のハイブリッド型光学部品の手法は、さらに、全開口フレネルレンズに存在する不連続部に関連した損失を排除することによって、光学的スループット(optical throughput)を改善するだろう。こうした損失が、図2の不適正に屈折された光線22によって示されている。
【0027】
有利であることに、ハイブリッド型の一次光学構成要素1の各々の光学要素、すなわち、この実施形態におけるレンズ4とディッシュ6は、収集開口15のそのそれぞれの部分のための一次光学部品として機能する。このことが、屈折構成要素と反射構成要素とを単に連続した形で含む多段集光器から構成要素1を区別し、および、この多段集光器を改善する。
【0028】
例えば、使用時には、集光開口15の中央部分上に入射する入射光線12がカバー8のレンズ4を通過し、および、こうしてレンズ4によって屈折の形で共通の焦点面2上に集束させられる。これと同時に、集光開口15の外側部分17、18上に入射する入射光線10がカバー8を通過して、反射ディッシュ6によって共通の焦点面2上に集束させられる。言い換えると、入射光線12はレンズ4によって集光されるが、ディッシュ6によっては集光されず、一方、入射光線10はディッシュ6によって集光されるが、レンズ4によっては集光されない。
【0029】
このハイブリッド型の手法は多数の利点を実現する。第1に、図3に示されているように反射器だけが全開口を提供するために備えられているCPC反射器集光器は、過剰に背が高く、したがって、集光器が互いの至近距離内において関節動作しなければならない用途にはあまり適していない傾向がある。これとは対照的に、図1に図示されているように、本発明は、例えば1の高さ/幅比率のようなより低い高さ/幅比率において、CPC設計に匹敵する集光能力を有する集光器設計を可能にし、および、このハイブリッド型の手法を、集光器のアレイが互いの至近距離内において関節動作しなければならない用途に十分に適合したものにする。
【0030】
別の利点として、本発明は、光学的隠蔽を生じさせる追加の支持構造を必要としない。これとは対照的に、Vasylyevの米国特許第6,971,756号明細書は、複数の精密に位置合わせされた表面と支持構造とを必要とする。
【0031】
本発明のハイブリッド型の光学部品は、さらに、拡散放射が焦点面2に到達するための十分な経路を本発明が実現するので、自己電力供給型の関節動作式集光器と組み合わせた使用に非常に適合している。このことが図7に最も適切に見てとれる。本発明のハイブリッド型の光学構成要素の全開口15がレンズの開口よりも大きいので、屈折要素4にも反射型ディッシュ6にも当たらない、カバー要素8を通過する、光軸14に対して平行でない光路が存在する。この光路は、焦点面2に配置されている太陽電池によって拡散放射72が直接的に吸収されることを可能にする。このことが、ハイブリッド型光学構成要素を含む関節動作型の集光器が、その集光器が太陽に向けられていない時にさえ、その集光器自体を関節駆動するために十分な自己電力を発生することを促進する。これとは対照的に、全開口フレネル屈折器レンズは、典型的には、少量の拡散光だけが焦点面に達することしか可能にしないので、全開口フレネル屈折器システムは一般的に自己電力供給にはあまり適していない。
【0032】
本発明によるハイブリッド型の光学部品の使用は、さらに、全開口の反射型構成要素に従来において関連している基本的な欠点を回避する。反射要素が、図3と図4とに関して上述したように、全開口として機能するように単独で使用される場合には、その開口は、吸収されない光線に関連した領域を含むだろう。これらの領域は、従来のシステムにおける集光のためには利用できない開口の一部分に対応する。明確に述べると、全開口として機能する従来の底部焦点型反射器および反転焦点型反射器は、その開口の特定の領域内において入射光に対する低い入射角を有する傾向があり、および、この結果として、自己電力供給型の用途にはあまり適していない傾向がある。
【0033】
これとは対照的に、本発明は、反射器が適していないシステム開口の一部分に関して屈折型の集光を使用することによって、底部焦点型反射器および反転焦点型反射器の両方の上述の制限を克服する。したがって、本発明のハイブリッド型の光学構成要素1のレンズ4が、そうでない場合には使用されることがない対応する入射光を収集して集中させるために、開口15のこうした領域内に配置される。全開口15が収集と集束とのために使用されるだけでなく(単独で使用される全開口反射要素によっては達成されない特徴)、その光学部品がさらに自己電力供給のために拡散光を捕捉することが可能である(レンズのような全開口屈折要素によっては達成されない特徴)。全開口を使用して光を捕捉および集光する能力が、さらに、自己電力供給性能を向上させる。実際上の効果として、このハイブリッド型の手法は、反射器および屈折器の大きな欠点なしに、反射器および屈折器の両方の利点を提供する。
【0034】
好ましい一実施形態では、カバー8とレンズ4とが幅5インチであり、および、アクリル樹脂またはメタクリル樹脂で作られていることがあり、および、トラフが幅5インチかつ深さ5インチであり、および、MIROの商標名でAlanodによって製造されている高屈折率のアルミニウムシート金属材料(Andrew Sabel,Inc.,Ketchum,Idahoによって販売されている)で作られているだろう。図1a、図1b、および、図7に示されている光学構成要素の好ましい実施形態では、ハイブリッド型光学構成要素は集光器システムの一次光学部品を形成し、および、このハイブリッド型光学構成要素1によって再方向付けられた光が集束面2における目標表面に直接的に当たる。本発明の別の形態では、この一次光学部品によって再方向付けられる光が、採用随意に、追加の光学部品によってさらに再方向付けられてもよく、または、この一次光学部品に到達する前に1つまたは複数の前一次光学部品(pre−primary optics)によって再方向付けられてもよい。例えば、別の実施形態が、カバー8の透明領域を通過するように拡散放射72を導くことを補助することが意図されている追加の光学要素(図示されていない)を含むことがある。別の選択肢として、反射器が、追加の拡散放射をカバー8の透明領域を通過させて焦点面2に導くことを促進するために、集光器モジュールの密閉空間の外側に追加されることも可能である。
【0035】
本発明の別の代替案の形態では、ハイブリッド型光学構成要素の個別の反射要素と屈折要素とが、複数の別個の個別的な要素によって置き換えられてもよく、この個別的な要素の各々は、例えば、放物線形またはファセット付き放物線形(faceted−parabolic)の反射器を有するファセット付き屈折レンズ(faceted refractive lense)を使用して、入射開口(input aperture)のその要素自体の部分を集束させる。例えば、本発明の光学構成要素65の別の代替案の形態が、図6に示されている2つのファセット付きであるが一体構造である反射器66、68を使用する。反射器66、68の各々は複数のファセット70を含み、このファセット70の各々は、直線形、球形、放物線形、長円形、および、双曲線形の輪郭を非限定的に含むことがある連続輪郭を有する。ファセット付き反射器は、この反射器が非結像であり、かつ、焦点面2の全体にわたってより均一に光を集中させるように設計できるので、有利である。2つの互いに連結されていない反射器によって反射要素が構成されているので、このことが、さらに、屈折要素4によって集光される構成要素開口の一部分内の反射器材料を取り除くことに役立ち、および、おそらくはコストを低減させるだろう。
【0036】
好ましい実施形態では、このファセット座標(facet coordinate)が、次のパラメータを使用する方法によって決定されることが可能である。
cell − 目標セルまたは焦点面の半幅。
Φ − 受光半角(acceptance half angle)(ラジアン)。これは、入射光が依然として目標表面上に集光されている、光軸に対する角度である。
max − 反射器の半幅。
max − 目標表面に対する反射器の高さ。
【0037】
各ファセット座標に関する解答が、(Ymax,Zmax)によって定義される最も外側の座標で開始する反復プロセスである。第1の段階が、光軸から角度+Φにおいてファセットの頂部に当たる入射光線が、位置−Ycellのセルに当たる反射光線を結果的に生じさせるように、ファセットの傾きを計算することである。第2の段階が、光軸から角度−Φにおいてファセット底部に当たる入射光線が、位置+Ycellのセルに当たる反射光線を結果的に生じさせるように、先行して計算されたファセット傾きを使用して、ファセット底部の(y,z)座標を解答することである。その次に、これら2つの段階が、その次のファセットの頂部座標として先行のファセットの底部(y,z)座標を使用して、各ファセットに対して反復される。これら2つの段階に関する式は次の通りである。
【0038】
【数1】

前式中で、yi-=−Ycellであり、および、miは、その頂部座標が(yi,zi)であるファセットの傾きである。
【0039】
【数2】

前式中で、yi+=Ycellである。
【0040】
したがって、
cell=0.25″、
Φ=2.1度、
(y0,z0)=(2.5″,5″)
と仮定すると、代表的なファセット付き反射器に関する次の座標が求められることが可能である。
【表1】

【0041】
図8は、ポイント型集光器の形態である本発明のハイブリッド型光学構成要素80の別の実施形態を示す。構成要素80は、受光末端84を有する概ね放物線形の反射器ディッシュ82を含む。光透過性カバー86が受光末端84上に嵌合されており、および、レンズ88の形態である中央領域内の光屈折要素を含む。レンズ88はカバー86と一体状である。ディッシュ82とレンズ88は、共通の焦点90を共有する。使用時には、レンズ88に当たる入射光線92が屈折させられて、焦点90上に集中させられる。これと同時に、入射光線94はカバー86を通過し、および、その次に、共通の焦点90の上にディッシュ82によって反射によって集中させられる。こうして、ディッシュ82とレンズ88は、ハイブリッド型光学要素80の全開口の互いに異なる部分の役割を果たす。
【0042】
すべての引用されている特許と特許公開とが、実際上は、そのそれぞれの本質において、本明細書に引例として組み入れられている。
【0043】
本発明の他の実施形態が、本明細書の検討に基づいて、または、本明細書に開示されている本発明の実施形態から、当業者に明らかであるだろう。本明細書で説明されている原理と実施形態とに対する様々な省略と変更と変化とが、以下の特許請求項に示されている本発明の真の範囲と着想とからの逸脱なしに、当業者によって行われるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1a】図1aは、本発明のハイブリッド型光学構成要素の断面図である。
【図1b】図1bは、図1aのハイブリッド型光学構成要素の斜視図である。
【図2】図2は、従来技術のフレネルレンズ屈折集光器の断面図である。
【図3】図3は、従来技術の複合放物線形集光器の断面図である。
【図4】図4は、従来技術の底部焦点型放物線形反射器の断面図である。
【図5】図5は、従来技術の反転焦点型放物線形反射器の断面図である。
【図6】図6は、本発明のハイブリッド型光学構成要素のファセット付きトラフ形態の断面図である。
【図7】図7は、図1aのハイブリッド型光学構成要素における拡散光の光路を示す断面図である。
【図8】図8は、本発明のハイブリッド型光学構成要素を含むポイント型集光器の斜視図である。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド型の集光光学構成要素であって、
i)開口と、
ii)前記開口の第1の部分のための、光を収集して第1の目標の上に集束させる反射型の光学要素と、
iii)前記開口の第2の部分のための、光を収集して第2の目標の上に集束させる屈折型の光学要素
とを含むハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項2】
前記第1および第2の目標は同一である請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項3】
前記第1および第2の目標は共通の焦点面の一部分を備える請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項4】
前記共通の焦点面は前記光学システムの底部焦点に近接している請求項3に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項5】
前記共通の焦点面は、1つまたは複数の二次光学部品に対する開口を備える請求項3に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項6】
前記第1および第2の目標の少なくとも一方は、1つまたは複数の二次光学部品の開口である請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項7】
前記構成要素はライン上に光を集光する請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項8】
前記構成要素はポイント上に光を集光する請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項9】
前記構成要素は、自己電力供給型であるシステムの構成要素である請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項10】
前記構成要素は、複数の関節動作型モジュールを含むシステムの構成要素であり、および、前記光学構成要素は、前記モジュールの少なくとも1つのための光を集光する請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項11】
前記反射要素は底部集束型の反射ディッシュである請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項12】
前記反射要素は底部集束型の反射トラフである請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項13】
前記屈折要素はフレネルレンズを備える請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項14】
前記フレネルレンズは光をライン上に集光する請求項13に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項15】
前記フレネルレンズは光をポイント上に集光する請求項13に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項16】
前記屈折光学要素と前記反射光学要素は共通の光軸を有する請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項17】
前記屈折要素は前記共通の光軸を中心としている請求項16に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項18】
前記構成要素は、前記開口領域を通過しておりかつ前記目標によっては吸収されていない反射光に関連付けられている開口領域を備え、および、前記屈折光学要素は、前記開口領域を通過する屈折光が前記目標によって吸収されることを生じさせるために有効である形に配置されている請求項2に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項19】
カバーが前記反射光学構成要素の受光末端の上に嵌合し、および、前記カバーは前記屈折光学要素を含む請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項20】
前記屈折要素は、集光のために前記反射要素によって使用不可能である前記開口の一部分の中に配置されている請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項21】
前記屈折要素はレンズである請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項22】
前記屈折要素はフレネルレンズである請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項23】
前記反射要素は、直線形、放物線形、球形、長円形、および、双曲線形の輪郭から選択される幾何学的形状を有する反射表面である請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項24】
第1および第2の反射要素を備え、この各要素は前記開口のそれぞれの部分に関して入射光を収集して集中させる請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項25】
前記反射要素は複数のファセットを備える請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項26】
拡散放射が目標表面に到達するための経路をさらに備える請求項1に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項27】
拡散放射のための前記光路は、前記目標表面上に反射されることなしに、前記目標表面に当たる請求項26に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項28】
拡散放射のための前記光路は、前記目標表面上に屈折されることなしに、前記目標表面に当たる請求項27に記載のハイブリッド型集光光学構成要素。
【請求項29】
集光構成要素を作る方法であって、
i)開口の第1の部分からの入射光を収集して前記光を目標の上に集光する光反射要素を用意する段階と、
ii)前記開口の第2の部分からの入射光を捕捉して前記光を前記目標の上に集光する屈折要素を用意する段階
とを含む方法。
【請求項30】
前記開口は、前記屈折要素による集光のためには使用不可能である領域を有し、前記屈折要素は、前記領域のために光を収集して集光するように配置されている請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記開口の第3の部分から光を収集して前記目標上に集光する追加の反射要素をさらに備える請求項29に記載の方法。
【請求項32】
前記屈折要素はレンズである請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記屈折要素は、前記反射要素の受光末端上に嵌合するカバーの中に組み入れられる請求項29に記載の方法。
【請求項34】
前記反射要素は底部焦点を有する請求項29に記載の方法。
【請求項35】
入射光を収集して集光する方法であって、
i)開口の第1の部分から光を収集し、および、前記光を前記第1の部分から目標上に反射する段階と、
ii)前記開口の第2の部分から光を収集し、および、前記光を前記第2の部分から前記目標上に屈折させる段階
とを含む方法。
【請求項36】
前記開口は、前記反射要素による集光のためには使用不可能である領域を有し、前記屈折要素は、前記領域のために光を収集して集光するように配置されている請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記開口の第3の部分から光を収集して前記目標上に集光する追加の反射要素をさらに備える請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記屈折要素はレンズである請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記屈折要素は、前記反射要素の受光末端上に嵌合するカバーの中に組み入れられる請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記反射要素は底部焦点を有する請求項35に記載の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−524084(P2009−524084A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550464(P2008−550464)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/001160
【国際公開番号】WO2007/084518
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(507409922)ソリアント エナジー,インコーポレイティド (3)
【Fターム(参考)】