説明

集合コネクタハウジング、集合コネクタ、及び電子装置

【課題】 複数のコネクタを一度の動作で相手側コネクタに接続可能とする集合ハウジングを提供する。
【解決手段】 複数のコネクタを一度の動作で相手側コネクタに対して挿抜可能に収容する集合コネクタハウジングは、前記コネクタを挿通させるコネクタ挿通孔を有し、前記コネクタ挿通孔内で、前記コネクタを、前記コネクタの挿入方向と垂直な第1方向に可動に保持する第1のハウジングと、前記第1のハウジングを挿通させるハウジング挿通孔を有し、前記ハウジング挿通孔内で前記第1のハウジングを、前記挿入方向と前記第1方向の各々に対して垂直な第2方向に可動に保持する第2のハウジングと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集合コネクタハウジング、集合コネクタ、及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子計算機の大規模システム化に伴い、高速大容量のネットワーク接続を実現するために、コネクタの多ピン化、小型化、高精度化が進展している。こうした電子計算機システムにおいて、多数の架間ケーブルを一本一本接続するには膨大な作業量と正確な作業技術を要する。特に多ピン高精度コネクタの場合、コネクタ1個を手で持って挿入する際に、斜め挿入によってコネクタのピン曲がりが発生する危険性がある。
【0003】
ディジタルカメラ等の携帯機器においても、電子機器相互間の送受信や、充電用にコネクタが用いられている。携帯機器でコネクタ同士を結合する際の誤差を吸収するために、コネクタを一定範囲で動けるように構成したフローティング構造が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
このフローティング構造は、コネクタ挿入方向と垂直な面内で、コネクタが全方向に可動となる隙間と弾性を有する。そのため、移動側コネクタが相手側コネクタに挿入されるときに、挿入方向の軸に対する回転、傾きが発生するおそれがある。
【0005】
このような携帯機器のコネクタ用フローティング構造を、サーバシステムやコンピュータシステムなどの大掛かりなコネクタ構造にそのまま適用することはできない。一般に大規模コンピュータシステムでは、断面が四角形のコネクタが一方向に多数並べられた固定側コネクタに対して、多数の移動側コネクタを接続するが、複数のコネクタを一括して接続しようとすると、各コネクタの回転あるいは傾きの量に応じて、移動側コネクタ同士のコネクタ間隔の位置ずれ誤差を厳しくしなければならないからである。一度に接続するコネクタの数が多くなればなるほど、位置ずれ誤差をさらに厳しくする必要がある。
【0006】
さらに、上記のフローティング構造では、可動基板とその支持部や、弾性部材などを設置するため、コネクタ挿入方向から見て、コネクタ外形よりも大きな設置面積が必要となる。このため、フローティング構造の設置面積よりも狭い間隔で配置された固定側コネクタ群に対しては対応できないという物理的な問題がある。また、この構成では、アダプタや可撓性ケーブルで中継するため、高速伝送システムでは、中継部材による伝送ロスが懸念される。
【0007】
これらの事情により、多数の単体形コネクタをプリント基板上に配置した固定側コネクタ群に対して、単体形の移動側コネクタ群を、プリント基板等による中継なしに一括して接続することのできるコネクタ接続構造が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−129454号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一度の挿抜動作で、複数のコネクタを一括して相手側コネクタに対して接続または抜脱することのできる集合コネクタハウジングと、これを用いた集合コネクタおよび電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の観点では、複数のコネクタを一度の動作で相手側コネクタに対して挿抜可能に収容する集合コネクタハウジングを提供する。集合コネクタハウジングは、
前記コネクタを挿通させるコネクタ挿通孔を有し、前記コネクタ挿通孔内で、前記コネクタを前記コネクタ挿入方向と垂直な第1方向に可動に保持する第1のハウジングと、
前記第1のハウジングを挿通させるハウジング挿通孔を有し、前記ハウジング挿通孔内で前記第1のハウジングを、前記挿入方向と前記第1方向の各々に対して垂直な第2方向に可動に保持する第2のハウジングと
を有する。
【0011】
第2の観点では、集合コネクタを提供する。集合コネクタは、
複数のコネクタと、
前記コネクタを挿通させるコネクタ挿通孔を有し、前記コネクタ挿通孔内で、前記コネクタを前記コネクタ挿入方向と垂直な第1方向に可動に保持する第1のハウジングと、
前記第1のハウジングを挿通させるハウジング挿通孔を有し、前記ハウジング挿通孔内で前記第1のハウジングを、前記挿入方向と前記第1方向の各々に対して垂直な第2方向に可動に保持する第2のハウジングと
を有する。
【0012】
第3の観点では、上述した集合コネクタを用いた電子装置を提供する。電子装置は、
基板上に配置された複数の第1コネクタと、
前記第1コネクタに結合される複数の第2コネクタを含む上記集合コネクタと、
を含む
【発明の効果】
【0013】
複数のコネクタを一括して相手側コネクタに対して接続または抜脱することができる。これにより、接続作業の高品質化と省力化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電子装置の固定側コネクタ群と移動側コネクタの一部を示す概略構成図である。
【図2】実施形態の試験装置の概略構成図である。
【図3】実施例1の集合コネクタのコネクタユニットの概略構成図である。
【図4】図3のコネクタユニットに含まれる移動側コネクタの概略構成図である。
【図5】図3のコネクタユニットに含まれるコネクタハウジングの概略構成図である。
【図6】実施例1の集合コネクタで用いられる中間ブロックの一部を示す概略構成図である。
【図7】実施形態の集合コネクタハウジングで用いられるホルダの概略構成図である。
【図8】実施例2のコネクタユニットと中間ブロックの一部を示す概略構成図である。
【図9】実施例2のコネクタハウジングを示す概略構成図である。
【図10】実施例3のコネクタユニットの概略構成図である。
【図11】図10のコネクタユニットのM−M断面図である。
【図12】実施例3の中間ブロックの概略構成図である。
【図13】実施例4のコネクタブロックの分解斜視図である。
【図14】図13のコネクタブロックのE−E断面図である。
【図15】実施例4のコネクタブロックと中間ブロックを示す概略構成図である。
【図16】実施例5のセキュア機構を示す概略構成図である。
【図17】図16の変形例を示す図である。
【図18】電子機器へのホルダの設置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下で、図面を参照して発明の実施形態を説明する。実施形態では、複数台の電子計算機をネットワーク接続する架間ケーブルに適用するコネクタ接続構造を例にとって説明する。
【0016】
図1は、電子計算機10の固定側コネクタ群と、移動側コネクタ2の一部を示す概略図である。プリント基板12上に多数の固定側コネクタ1が搭載されている。このコネクタ搭載基板は、コネクタ1の機能テストが完了する前の中間完成品11である。中間完成品11は、補強板13に保持されている。
【0017】
プリント基板12上の各コネクタ1(適宜、「固定側コネクタ1」とする)に対して、移動側のコネクタ2(適宜、「移動側コネクタ2」とする)が電気的に接続される。図1では単一の移動側コネクタ2のみが描かれているが、実際には、固定側コネクタ1に対応する個数の移動側コネクタ2が接続される。
【0018】
移動側コネクタ2は、接続ケーブル9の端部で、コネクタの先端が突出するようにコネクタハウジング3に収容されている。このコネクタハウジング3は、コネクタ2を単体で接続する単体接続用コネクタハウジングである。複数の電子計算機10をネットワーク状に接続する場合、移動側コネクタ2をひとつずつ対応する固定側コネクタ1に接続するのでは非常に効率が悪い。したがって、実施形態では、複数の移動側コネクタ2を、一度の動作で一括して固定側コネクタ1に接続する集合コネクタハウジングと、これを用いた集合コネクタおよび電子装置を提供する。
【0019】
この場合、移動側コネクタ2の各々に製造ばらつきがあること、また、複数の移動側コネクタ2を一定間隔で配置する際に位置ずれ誤差が生じることから、一括接続の際に、各コネクタ2の製造ばらつきや位置ずれ誤差を吸収できる構成が必要となる。
【0020】
製造ばらつきや位置ずれを吸収するためにコネクタ2の全周に遊びを設けると、各コネクタ2において挿入軸(Z軸)まわりの回転、傾きがばらばらに生じてしまうので、移動側コネクタ2の許容位置ずれ誤差を厳しくせざるをえない。これを避けるために、具体的な実施例では、コネクタ挿入方向であるZ軸に垂直なXY平面において、許容位置ずれ範囲内で各コネクタ2のX軸方向の動きと、Y軸方向の動きを独立して許容する構成を提供する。具体的には、後述するように、コネクタ挿通孔内で各コネクタを第1の方向(たとえばX方向またはY方向)に可動に保持する第1のハウジングと、ハウジング挿通孔内で第1のハウジングを第2の方向(たとえばY方向またはX方向)に可動に保持する第2のハウジングとで、集合コネクタハウジングを構成する。
【0021】
図2は、図1の中間完成品11を電子計算機10から補強板13ごと取り外して、試験装置90で機能試験を行なうときの概略図である。この試験装置90も、集合コネクタ構造を有する電子装置の一例である。試験装置90は、複数の移動側コネクタ2を保持する中間ブロック501が所定の配置で並べられた集合ブロック601を有する。集合ブロック601は、複数の移動側コネクタ2を一括して相手側の固定側コネクタ1に接続することのできる集合コネクタ601として機能する。集合ブロック(または集合コネクタ)601は、後述の各実施例で述べるように、各移動側コネクタ2が所定の許容誤差範囲内で、X方向とY方向に互いに独立して可動となる構成を有する。
【0022】
この例では、集合ブロック601において、中間ブロック501がY軸方向に多数配置され、X軸方向に2列に並べられているが、この例に限られるわけではなく、少なくとも1つの中間ブロック501を含めばよい。各中間ブロック501は、X軸方向に沿って配列された複数の移動側コネクタ2を収容する。移動側コネクタ2は、その長辺方向がY軸方向と平行になるように配置されている。集合ブロック601は、集合ホルダ6により中間ブロック501を保持する。
【0023】
集合ブロック601は、シャフト等の回転軸96の回りに回動可能に試験装置90に取り付けられている。試験対象となる中間完成品11を補強板13ごと試験装置90にセットする際には、集合ブロック601をシャフト96の回りに回転させて開く。中間完成品11を試験装置90にセットしたならば、集合ブロック601を矢印の方向に回転させて閉じる。そうすると、複数の移動側コネクタ2の各々が対応する固定側コネクタ1に一括して挿入される。このとき、各移動側コネクタ2を所定の範囲内(製造ばらつき、位置ずれ許容範囲などを考慮した範囲内)で、挿入方向(Z方向)と直交する平面内でX方向とY方向に独立して動くことができるようにすることで、コネクタごとの誤差を吸収する。これを実現するための具体的な構成を、以下の実施例で説明する。
【0024】
なお、集合ブロック601を片側のシャフト96まわりに保持するかわりに、中間ブロック501が一列ずつ並べられた2つの集合ブロック601を、試験装置90の両側に設けられた2本のシャフト(不図示)で保持して、両開き構成としてもよい。あるいは、中間ブロック501を列方向に2以上のグループに分けて、集合ブロック601をY方向に複数段に分割して開閉する構成としてもよい。
【実施例1】
【0025】
図3〜図7を参照して、実施例1の集合コネクタハウジング及び集合コネクタを説明する。図3は、ケーブル9に接続された移動側コネクタ2をコネクタハウジング4に収容したコネクタユニット401の概略構成図、図4は図3の移動側コネクタ2の概略構成図、図5は図3のコネクタハウジング4の概略構成図である。図3に示すように、コネクタユニット401において、移動側コネクタ2の先端は、コネクタハウジング4から突出して、固定側コネクタ1(図2参照)と接続可能になっている。移動側コネクタ2の基部、及びこれに接続されるケーブル9の一部は、コネクタハウジング4により保持されている。
【0026】
図4に示すように、移動側コネクタ2において、固定側コネクタ1と結合されるときに許容される位置ずれ誤差の値は、移動側コネクタ2の先端挿入面のY方向に延びる面取り22と、X方向に延びる面取り23と、固定側コネクタ1の形状との関係で決まる。ここで、コネクタ結合時の移動側コネクタ2に許容される位置ずれ誤差のX方向の許容値を±(ULx) 、Y方向許容値を±(ULy)とする。X軸、Y軸、Z軸の位置関係は図4に示すとおりである。移動側コネクタ2は、側面に突起21を有し、図5に示すコネクタハウジングの切り欠き41と係合する。
【0027】
図5において、コネクタハウジング4は、挿入方向の先端側に移動側コネクタ2の突起21と係合する切欠41と、挿入方向の後端側(ケーブル9側)に、孔42を有する。コネクタハウジング4は、図3のように接着、あるいは図示しないカシメ、ネジ止め等により移動側コネクタ2と一体化され、コネクタユニット401を構成する。
【0028】
図6は、図3のコネクタユニット401を中間ホルダ5に組み付けた中間ブロック501Aの概略構成図である。中間ホルダ5は複数の角穴(コネクタ挿通孔)51を有する。角穴51は、コネクタユニット401の挿入方向(Z方向)と垂直なX方向に、複数形成されている。コネクタユニット401の先端側は角穴51に挿入される。コネクタユニット401はまた、コネクタハウジング4の後端側で、孔42によって中間ホルダ5及びルーフ57に設けられているピン52を受け取る。コネクタハウジング4の孔42とピン52の拘束条件は、コネクタユニット401のZ軸方向の動きを止めながら、X方向の揺動(回動)を妨げないものとする。コネクタハウジング4が弾性を有する薄板等で形成されてそれ自体でX方向に変位可能な場合は、ピン52と孔42に代えてネジ止めとしてもよい。
【0029】
コネクタユニット401のX方向の寸法をL1、中間ホルダ5の角穴51のX方向の寸法をL2、コネクタ2のX方向の位置ずれ許容値を±(ULx)とすると、
(L2−L1)/2<(ULx) (1)
の関係が成り立つようにする。これにより、中間ホルダ5に組みつけられた移動側コネクタ2を、±(ULx)の範囲内でX方向に可動とすることができる。
【0030】
このとき、角穴51のY方向の寸法L9は、コネクタユニット401のX方向への自由な動きを阻害しない程度のわずかな隙間を有する寸法とする。
【0031】
図6では、図示の便宜上、単一のコネクタユニット401のみが描かれているが、角穴51に複数のコネクタユニット401を組み付けて、中間ブロック501Aを構成する。実施例1では、中間ブロック501Aの中間ホルダ5は、複数の移動側コネクタ2を相手方コネクタ1に一括して挿抜する集合コネクタハウジングの第1のハウジングとなる。第1のハウジングは、移動側コネクタを挿通させる角穴(コネクタ挿通孔)51内で移動側コネクタ2を挿入方向(Z方向)と垂直な第1の方向(実施例1ではX方向)に可動となるように保持する。
【0032】
次に、複数の中間ブロック501Aを、図7に示す集合ホルダ6に組み付けて集合ブロック601(図2参照)を構成する。集合ホルダ6は複数の角穴(ハウジング挿通孔)61を有し、角穴61に図6の中間ブロック501Aが挿入される。
【0033】
角穴61のY方向の寸法をL4、X方向の寸法をL41とすると、L4と、中間ブロック501AのY方向の寸法L3(図6参照)との関係は、
(L4−L3)/2<(ULy) (2)
となる。これにより、中間ブロック501Aに含まれる各移動側コネクタ2は、Y方向の位置ずれ許容範囲内で、Y方向に動くことが可能になる。このY方向の動きは、中間ブロック501A内における各コネクタ2のX方向への動きとは独立したものとなる。
【0034】
角穴61のX方向の寸法L41は、中間ブロック501Aがコネクタ挿入方向(Z方向)に移動するのを阻害しない程度の隙間を有するが、中間ブロック501A(すなわち各コネクタ2)のX方向への動きを許容する遊びは含まれていない。図7の構成例では集合ホルダ6は、中間ブロック501AのX方向への動きを規制しつつ、コネクタ挿入方向(Z方向)への円滑な挿入を案内するガイド63と、中間ブロック501AのY方向の動きを寸法L4で規制するガイド62とを有する。
【0035】
この集合ホルダ6は、第2のハウジングとして機能する。第2のハウジングは、移動側コネクタ2を、コネクタ挿入方向(Z方向)と第1方向(X方向)の各々に対して垂直なY方向に可動となるように保持する。
【0036】
図6の中間ブロック501Aを組み付けて作製した集合ブロック601を図2の試験機90に組み付ける場合は、固定側コネクタ1と集合ブロック601の移動側コネクタ2の挿入軸がそれぞれ一致する位置にくるように、事前に位置調整がされている。
【0037】
図2の試験装置で機能試験が完了した後は、集合ブロック601を開けてすべての移動側コネクタを一括して抜脱し、補強板13ごとコネクタ付きプリント基板12を取り外す。取り出したプリント基板12を図1の電子計算機10の所定の箇所に設置する。電子計算機10を別の計算機と接続してシステム化するときにも、集合ブロック601として形成された集合コネクタで一括してケーブル接続することができる。
【0038】
実施例1では、中間ホルダ5は、移動側コネクタ2をX方向に可動とする第1のハウジングとして機能する。集合ホルダ6は、移動側コネクタ2をX方向の動きとは独立してY方向に可動とする第2のハウジングとして機能する。第1ハウジングと第2ハウジングとで、集合コネクタハウジングを構成する。
【0039】
集合コネクタハウジングに複数の移動側コネクタ2を組み込むことによって、一括した挿脱が可能な集合コネクタ601(図2参照)が実現される。移動側コネクタ2のX方向への自由度は、移動側コネクタ2ごとに与えられ、Y方向への移動度は中間部ロック501A単位で与えられる。各移動側コネクタ2がX方向とY方向に独立して移動可能に保持されるため、誤差条件を厳しく設定しなくても製造ばらつき、配置の位置ずれ等の誤差を適切に吸収することができる。このような集合コネクタ601を試験装置や電子計算機に連結することによって、効率的なコネクタ構造を有する電子装置が実現される。
【実施例2】
【0040】
図8〜9は、実施例2の集合コネクタハウジング及び集合コネクタを説明するための図である。図8は実施例2の中間ブロック501Bの概略構成図、図9は図8の中間部ロック501Bで用いられるコネクタハウジング40の概略構成図である。実施例2では、移動側コネクタ2を所定範囲内でX方向に可動とする構造を、実施例1と異なる構成で実現する。
【0041】
図8に示すように、中間ブロック501Bは、中間ホルダ50と、中間ホルダ50に保持される複数のコネクタユニット402を含む。コネクタユニット402は、移動側コネクタ2と、これを収容するコネクタハウジング40を含む。中間ホルダ50は、挿入方向の先端側に、複数のコネクタユニット402を挿通させる開口(コネクタ挿通孔)502を有する。中間ホルダ50はまた、コネクタユニット402の挿入方向(Z方向)に沿ってケーブル側(後端側)に位置する第1ピン52と、挿入方向の先端側に位置する第2ピン54を有する。第1ピン52及び第2ピン54は、それぞれ固定側コネクタ1(図1参照)の配置間隔に合致するピッチで、X方向に沿って複数個配置されている。
【0042】
図9に示すように、コネクタハウジング40は、中間ホルダ50の第1ピン52と嵌合する第1の孔42と、中間ホルダ50の第2ピン54と嵌合する第2の長円孔44を有する。コネクタハウジング40内に移動側コネクタ2を収容してコネクタユニット402とする。移動側コネクタ2をコネクタハウジング40内へ収容する際に、コネクタハウジング40の切り欠き41を移動側コネクタの突起21(図4参照)と係合させ、さらに接着やカシメ、ネジ止め(不図示)などの固定手段でコネクタ2とコネクタハウジング40を一体化して、コネクタユニット402を構成する。
【0043】
図8に戻り、複数のコネクタユニット402を中間ホルダ50の開口502内に挿入して、中間ブロック501Bを構成する。コネクタユニット402の長円孔44はX方向に長軸を有する。コネクタユニット402が中間ホルダ50の開口502に挿通されて中間ホルダ50の第2ピン54と嵌合すると、第2ピン54は長円孔44の中でX方向に可動となる。他方、中間ホルダ50の第1ピンとコネクタユニットの孔42との拘束条件は、実施例1と同様に、コネクタユニット402のZ方向の動きを止めつつ、X方向の揺動(回動)を妨げないものである。
【0044】
コネクタハウジング40の長円孔44のX方向の寸法L8(図9参照)と、中間ホルダ50の第2ピン54の直径Φ1との関係は、
(L8−Φ1)/2<(ULx) (3)
となる。これにより、移動側コネクタ2は、X方向の位置ずれ許容範囲内でX方向に可動となる。
【0045】
このような中間ブロック501Bを、図7の集合ホルダ6に組み付けて集合コネクタ601(図2参照)を構成する。中間ブロック501BのY方向の寸法L5は、集合ホルダ6の角穴61のY方向の寸法L4に対して、
(L4−L5)/2<(ULy) (4)
の関係を満たす。これにより、移動側コネクタ2は、Y方向の位置ずれ許容範囲内でY方向に可動となる。
【0046】
実施例2でも、各移動側コネクタ2のX方向の自由度はコネクタ単位で与えられ、Y方向の自由度は中間ブロック501B単位で与えられる。実施例2では、コネクタハウジング40の長円孔44と嵌合する第2ピン54を有する中間ホルダ50が、移動側コネクタ2をX方向に可動となるように保持する第1ハウジングとなる。1以上の角穴61を有する集合ホルダ6が、各移動側コネクタ2をY方向に可動に保持する第2のハウジングとなる。第1のハウジングと第2のハウジングで集合コネクタハウジングを構成する。
【0047】
集合コネクタハウジングに複数の移動側コネクタ2を組み付けることによって、集合コネクタ601(図2参照)が実現される。集合コネクタを所望の機器に結合することによって、効率的なコネクタ構造を有する電子装置が実現される。
【実施例3】
【0048】
図10〜12は、実施例3の集合コネクタハウジング及び集合コネクタを説明するための図である。図10は実施例3のコネクタユニット403の概略構成図、図11は図10のM−M断面図、図12は、複数のコネクタユニットを組み付けた中間ブロックの図である。実施例3では、コネクタユニットのコネクタハウジングにて、移動側コネクタ2のY方向への動きを可能にする。
【0049】
図10において、コネクタユニット403は、移動側コネクタ2と、これを収容するコネクタハウジング30を含む。コネクタハウジング30は、移動側コネクタ2を挿通させるコネクタ挿通孔503と、コネクタ挿入方向の先端側で、移動側コネクタ2の突起21と係合する係合穴35を有する。挿入方向(Z方向)の後端側で、実施例1で用いた中間ホルダ5(図6参照)のピン52と嵌合する孔42を有する。コネクタハウジング30で移動側コネクタ2のY方向の動きに自由度を与えるために、コネクタハウジング30のY方向の寸法を所定の関係を満たすように設定する。
【0050】
図11に示すように、移動側コネクタ2のY方向の寸法をL6、コネクタハウジング30のY方向の内寸法をL7とすると、L6とL7は、
(L7−L6)/2<(ULy) (5)
の関係を満たす。これによって、移動側コネクタ2はULyの範囲内でY方向に自由に動くことができる。
【0051】
図12は、このようなコネクタユニット403を、図6の中間ホルダ5に複数個組み付けた中間ブロック501Cの概略図である。コネクタユニット403のX方向の寸法L11と、中間ホルダ5の角穴51のX方向の寸法L2は、
(L2−L11)/2<(ULx) (6)
の関係を満たす。
【0052】
この場合、各移動側コネクタ2は、コネクタハウジング30内でのY方向の動きとは独立して、X方向に可動となる。すなわち、実施例3では、X方向の自由度もY方向の自由度も、コネクタ単位で与えられる。この構成では、中間ホルダ5の角穴51のY方向の寸法L9は、コネクタユニット403の円滑な挿入を阻害しないサイズであればよく、コネクタユニット403のY方向の寸法L10(図11参照)とほぼ同等か若干大きく設定される。
【0053】
実施例3では、コネクタユニット403を構成するコネクタハウジング30が、移動側コネクタ2をY方向(第1の方向)に可動とする第1のハウジングとなる。複数の角穴51を有する中間ホルダ5が、移動側コネクタ2をX方向(第2の方向)に可動とする第2のハウジングとなる。第1のハウジングと第2のハウジングで、集合ハウジングを構成する。
【0054】
実施例3の場合、コネクタハウジング30と、中間ホルダ5によって集合コネクタハウジングを構成するので、集合コネクタハウジングに複数の移動側コネクタ2を組み付けた中間ブロック501Cが、集合コネクタとなる。すなわち、中間ブロック501Cを固定側コネクタ1(図2参照)に差し込むことで、複数の移動側コネクタ2を一度の動作で一括接続することができる。
【0055】
中間ブロック501Cをさらに複数段配置して大型の集合コネクタとしてもよい。たとえば、図7に示す集合ホルダ6の角穴61に、中間ブロック501Cを組み付ける。このとき、中間ブロック501Cにおいて、すでに移動側コネクタ2のX方向の動きの自由度と、Y方向の動きの自由度が独立して確保されているので(中間ホルダ5の角穴51によるX方向の自由度と、コネクタハウジング30におけるY方向の自由度)、集合ホルダ6の角穴61にY方向の遊びを持たせる必要はない。したがって、中間ホルダ5のY方向の寸法L3と、集合ホルダ6の角穴61のY方向の寸法L4(図7参照)との関係は、移動側コネクタ2が固定側コネクタ1と対向するように中間ブロック(集合コネクタ)501Cを円滑に案内し保持する機能が達成できるサイズであればよい。
【0056】
実施例3の中間ブロック501Cを複数組み付けた集合ホルダを、図2のように試験装置90に取り付けることによって、実施例1、2と同様に一括接続が容易に行なわれる。
【実施例4】
【0057】
図13〜図15を参照して、実施例4の集合コネクタおよび集合コネクタハウジングの構成を説明する。図13は、実施例4のコネクタブロック301の分解斜視図、図14は図13のE−E断面図、図15は、図13のコネクタブロック301を複数組み付けた中間ブロック(集合コネクタ)501Dの概略図である。
【0058】
実施例4では、コネクタブロック301で、移動側コネクタ2のX方向の動きと、Y方向の動きに、相互に独立した所定範囲内の自由度を与える。
【0059】
図13において、コネクタユニット404は、移動側コネクタ2と、コネクタハウジング32を含む。移動側コネクタ2は、その先端部がコネクタハウジング32から突出するように、コネクタハウジング32のコネクタ挿通孔504に挿通される。移動側コネクタ2の突起21がコネクタハウジング32の穴33に嵌合する。コネクタハウジングの穴33は、Y方向に長く形成され、突起21がY方向に可動となる。これにより、移動側コネクタ2が、コネクタハウジング32内でY方向に可動に保持される。コネクタハウジング32は、挿入方向(Z方向)の先端側と後端側にピン34を有する。このコネクタユニット404を、コネクタホルダ36,37で挟み込んで保持する。コネクタホルダ37は、X方向に長く形成されたコネクタ溝38を有し、コネクタハウジングのピン34をX方向に可動に受け取る。コネクタホルダ37はまた、後述する中間ホルダ50のピン54を受けとる穴39を有する。
【0060】
コネクタハウジング32のピン34の直径Φ2と、コネクタホルダ37のコネクタ溝38のX方向の寸L18の間には、
(L18−Φ2)/2<(ULx) (7)
の関係が成り立つ。コネクタブロック301においては、この寸法範囲内で移動側コネクタ2がX方向に可動となる。
【0061】
図14に示すように、移動側コネクタ2は、コネクタハウジング32のコネクタ挿通孔504に挿通されている。コネクタハウジング32のY方向の内寸L14と、移動側コネクタ2のY方向の寸法L6との間には、
(L14−L6)/2<(ULy) (8)
の関係が成り立つ。
【0062】
このコネクタユニット404は、コネクタホルダ36,37の組立後のハウジング挿通孔505内に挿通されている。ハウジング挿通孔505のY方向の寸法は、コネクタハウジング32がコネクタホルダ36,37内でX方向に自由に動くのを妨げない程度の寸法となっている。
【0063】
このように、実施例4では、移動側コネクタ2をY方向に移動可能に保持するコネクタハウジング32が第1のハウジングとなる。コネクタユニット404をコネクタ溝38内でX方向に可動とするコネクタホルダ36,38が第2のハウジングとなる。このようなコネクタブロック301を図8の中間ホルダ50に複数個組み付けることによって、集合コネクタとしての中間ブロック501Dを構成することができる。
【0064】
図15は、中間ブロック501Dの概略構成図である。中間ホルダ50のピン52、54がコネクタホルダの穴39と嵌合することによって、コネクタブロック301が中間ホルダ50に固定されて一体化する。コネクタブロック301において、移動側コネクタ2のX方向の動きとY方向の動きが独立して確保されているので、コネクタブロック301を中間ホルダ50に組みつける際に、X方向、Y方向の遊びを与える必要はない。
【0065】
この中間ブロック501Dは、複数の移動側コネクタ2がそれぞれX方向とY方向に可動となって固定側コネクタ1に一括して接続される集合コネクタとなる。
【0066】
(変形例)
図13,14に示すコネクタブロック301を、図8の中間ホルダ50に組み付ける構成に代えて、図7の集合ホルダ6に複数組み付けて集合コネクタとしてもよい。この場合は、集合ホルダ6の角穴61は、コネクタブロック301がコネクタ挿入方向に滑らかに動くように、角穴の寸法L4とL41が、コネクタブロック301の寸法L12とL13に対して若干の隙間を有する程度でよい。集合ホルダ6の角穴61は、コネクタブロック301をコネクタ挿入方向に案内するガイド62、63を有する(図7参照)。
【0067】
この集合コネクタを図2の試験機90に取り付けることによって、複数の移動側コネクタ2を、被試験体の固定側コネクタ1に対して一括して接続することができる。ガイド62,63により、コネクタ挿入軸に対して斜めに挿入される危険から解放されるため、機能試験作業を繰り返し行う場合に、作業の効率化と高品質化に効果がある。
【実施例5】
【0068】
図16は、実施例5のセキュア機構付きの集合コネクタ601を示す概略図である。セキュア機構は、複数の移動側コネクタ2を、固定側コネクタ2に対して一括して接続、抜き取りする際に、コネクタ1、2に加えられる過度の負荷や、それに起因する破損などを防止して、接続を確実にするための機構である。
【0069】
(負荷軽減機構)
セキュア機構の第1の例として、集合コネクタ601は、負荷軽減機構700Aを有する。図16では、中間完成品11が機能試験のために試験装置90に設置されている。プリント基板12上の固定側コネクタ1に対して、集合ホルダ6に保持される中間ブロック501の移動側コネクタ2を一括して接続する状態が、挿入方向と水平な断面図で示されている。
【0070】
負荷軽減機構700Aは、実施例1〜4の中間ブロック501A、501B、501C、及び501D(中間ブロック501と総称する)が集合ホルダ6から脱落するのを防止するとともに、複数の移動側コネクタ2が中間ブロック単位で固定側コネクタ1群に一括接続、又は一括抜脱されるときの負荷を軽減する。
【0071】
負荷軽減機構700Aは、レバー7を含む。レバー7は、集合ホルダ6に設けられたピン74の回りに回転可能に形成された回転穴71と、中間ホルダ5(あるいは中間ホルダ50)に設けたピン73に沿って摺動する長円穴72を有する。
【0072】
レバー7は、中間ブロック501の両側に左右対称に取り付けられる。移動側コネクタ2が固定側コネクタ1から最も離れる時にレバー7の取手部7aが挿入方向(Z方向)の後端部、すなわちコネクタ2が抜き取られる方向を向くように設定されている。両側のレバー7の取手部7aを同時に内側A方向に回転させると、移動側コネクタ2が固定側コネクタ1に向かって移動する。レバー7の取手部7aがZ軸と直交する付近で、移動側コネクタ2と固定側コネクタ1が結合するように、レバー7の回転穴71と長円穴72を配置する。レバー7の回転穴71と長円穴72は、図16と逆に配置してもよい。
【0073】
レバー7を有する集合コネクタ(集合ブロック)601を図2の試験機90に取り付けることによって、移動側コネクタ2の固定側コネクタ1への結合及び結合解除をブロック単位で行うことが容易になる。また、試験機90に取り付けた集合コネクタ601を開閉する際に、中間ブロック501(501A〜501Dを含む)が集合ホルダ6から脱落するのを防止する。中間ブロック501は集合ブロック601に常に保持されているため、移動側コネクタ2のハンドリングが不要となり、機能試験作業を効率化する効果がある。
【0074】
さらに、レバー7の取手部7aが中間ブロック501のX方向外側に広がらないように構成されているため、中間ブロック501をX方向に隣接して狭い間隔で配置できる効果がある。
【0075】
図17は、図16の負荷軽減機構の変形例700Bを示す図である。負荷軽減機構700Bのレバー7は、図15と同様に、中間ホルダ5(あるいは中間ホルダ50)に設けたピン73を中心に回転する回転穴71と、集合ホルダ6に設けたピン74に沿って摺動する長円穴72を有し、中間ブロック501の両側に左右対称に取り付けられるが、取り付ける向きが異なる。
【0076】
すなわち、図17の変形例では、移動側コネクタ2が固定側コネクタ1から最も離れる時に、レバー7の取手部7aが中間ブロック501の両外側に広がるとともに、固定側コネクタ1に近い側に位置する。コネクタ接続時には、両側のレバー7の取手部7aを固定側コネクタ1から離れる方向に回転させる。これにより、移動側コネクタ2が固定側コネクタ1に向かって移動する。レバー7の取手部7aがZ軸と直交する位置からさらに約45度回転する範囲内で、移動側コネクタ2と固定側コネクタ1が結合するように、レバー7の回転穴71と長円穴72を配置する。レバー7の回転穴71と長円穴72は、図17と逆に配置してもよい。
【0077】
この変形例によれば、集合コネクタ(集合ブロック)601を図2の試験機90に取り付けることによって、移動側コネクタ2の固定側コネクタ1への結合及び結合解除をブロック単位で行うことを容易にする。また、試験機90に取り付けた集合ブロック601を開閉する際に、中間ブロック501が集合ホルダ6から脱落するのを防止する。中間部ロック501は、集合ブロック601に常に保持されているため、移動側コネクタ2のハンドリングが不要となる。その結果、機能試験作業を効率化できる。
【0078】
さらに、レバー7の取手部7aが中間ブロック501のケーブル接続側に入り込まないので、ケーブル9のルート確保の自由度が高くなる。
【0079】
(仮止め機構)
セキュア機構の第2の例として、集合コネクタ(集合ブロック)601は、仮止め機構を有する。仮止め機構は、実施例1〜4の中間ブロック501A〜501D(中間ブロック501と総称する)が集合ホルダ6の案内ガイド62、63(図7参照)に沿ってZ軸方向に移動する動きを、ある位置で仮止めする。
【0080】
図16のばね付きボール8が、中間ホルダ5(或いは中間ホルダ50)の穴55に嵌合して、中間ブロック501がコネクタ挿入方向(Z方向)に動くのを止める。レバー7でコネクタ2を結合する動作をすると、ボール8が穴55から外れるようにばね付きボール8のばね圧力を設定する。仮止めする位置は、中間ブロック501の移動側コネクタ2が固定側コネクタ1から最も離れる位置になるように設定しておく。ばね付きボール8の設置場所は、X方向のガイド63の片方か両方、またはY方向のガイド62の片方か両方のどちらでもよい。また、ばね付きボール8は、薄板ばね等に穴55に嵌合する突起を付与したもので代用してもよい。
【0081】
この構成は、図17の変形例にも当てはまる。仮止め機構を設けたことにより、図2の試験機90で集合ブロック601を閉じて、被試験体と向き合う状態にする途中で、移動側コネクタ2が意図に反して動いた場合でも、固定側コネクタ1と衝突することを防止することができる。
【0082】
(破損防止機能)
セキュア機構の第3の例として、集合コネクタ(集合ブロック601)は、破損防止機構を有する。破損防止機構は、実施例1〜4で移動側コネクタ2群が、固定側コネクタ1群に一括して接続される際に、コネクタ相互に必要以上の力がかかって破損しないように保護する機能を付与する。この破損防止機能は、たとえばストッパ15によって実現される。
【0083】
図16の中間ブロック501の移動側コネクタ2が最も固定側コネクタ1から離れる状態で、集合ブロック601を被試験体(中間完成品)11対して位置決めした時に、中間ブロック501の移動側コネクタ2の結合面と、固定側コネクタ1の結合最終面の間隔寸法をL21、ストッパ15と中間ホルダ5(或いは中間ホルダ50)の先端面(固定側コネクタ1との対向面)との間隔寸法をL22とすると、L22はL21と近似し、かつ、L21以下とならないように、ストッパ15を被試験体(中間完成品)11、又は試験機90に設置する。同様の構成が、図17にも当てはまる。
【0084】
本実施例によれば、図16でレバー7を使用して大きな結合力を与えても、固定側コネクタ1と移動側コネクタ2には、余分は応力が掛らないので、固定側コネクタ1及び移動側コネクタ2を破損しない効果がある。
【実施例6】
【0085】
図18は、実施例6の電子装置の概略構成図である。実施例6では、被試験体である中間完成品11を電子計算機10に組み込んだままで、コネクタを一括接続して機能試験を行なう。中間完成品11は、プリント基板12上に複数の固定側コネクタが配置され、補強板13に保持されている。
【0086】
中間完成品11の対応する位置に、集合ホルダ60を被せて固定する。集合ホルダ60は複数の角穴61を有する。各角穴61のX方向に延びる内壁62と、Y方向に延びる内壁63は、複数の移動側コネクタ2を収容する中間ブロック501A〜501Dを案内するガイド壁として機能する。機能試験の際には、角穴61に集合コネクタとして機能する中間ブロック501を順次差し込んでいく。ガイド壁62,63は、移動側コネクタ2の挿入軸が、固定側コネクタ1の受取軸と一致するように、中間ブロック501を固定コネクタ1側に案内する。
【0087】
実施例6によれば、図2のように被試験体である中間完成品11を電子計算機10から取り外して試験装置に設置する必要がない。したがって、電子計算機10を設置した後でも適用可能となり、運用の自由度を拡張することができる。
【0088】
以上の実施例によれば、多数のコネクタを一括して挿抜することができるので、作業効率化を向上することができる。また、接続に中継基板などの中継物を必要としないので、伝送ロスを低減できる。コネクタ間隔が狭い配置にも対応可能である。
【0089】
各移動側コネクタが、挿入方向と垂直な面内で、互いに直交する第1の方向(たとえばX方向)と第2の方向(たとえばY方向)に独立して動くことができる。したがって、移動側コネクタの回転や傾きを防止して、X方向あるいはY方向に配列された複数個の移動側コネクタを固定側コネクタ群に対して、一括して同時接続することを確実にできる。
【0090】
また、移動側コネクタを密に配列しつつ各々を可動に保持できる構成としたので、固定側のコネクタ群の間隔が狭い高密度のコネクタ配置にも対応可能である。
【0091】
以上の説明に対して、以下の付記を提示する。
(付記1)
複数のコネクタを一度の動作で相手側コネクタに対して挿抜可能に収容する集合コネクタハウジングであって、
前記コネクタを挿通させるコネクタ挿通孔を有し、前記コネクタ挿通孔内で、前記コネクタを前記コネクタの挿入方向と垂直な第1方向に可動に保持する第1のハウジングと、
前記第1のハウジングを挿通させるハウジング挿通孔を有し、前記ハウジング挿通孔内で前記第1のハウジングを、前記挿入方向と前記第1方向の各々に対して垂直な第2方向に可動に保持する第2のハウジングと
を有することを特徴とする集合コネクタハウジング。
(付記2)
前記第1のハウジングの前記コネクタ挿通孔は、前記複数のコネクタの各々を個別に前記第1方向へ可動に保持し、
前記第2のハウジングの前記ハウジング挿通孔は、前記複数のコネクタを、2以上の前記コネクタを含むブロック単位で可動に保持する
ことを特徴とする付記1に記載の集合コネクタハウジング。
(付記3)
前記第1のハウジングは、前記複数のコネクタの各々を挿通する複数の前記コネクタ挿通孔を有し、
前記第2のハウジングは、前記第1のハウジングを、前記第1方向と独立して、前記第2方向に可動に保持する1以上のハウジング挿通孔(61)を有することを特徴とする付記1又は2に記載の集合コネクタハウジング。
(付記4)
前記第1のハウジングは、前記各コネクタ上に設けられた前記第1方向に伸長する長円孔と嵌合するピンを有し、前記コネクタ挿通孔内で前記各コネクタを前記第1方向に可動に保持し、
前記第2のハウジングは、前記第1のハウジングを、前記第1方向と独立して、前記第2方向に可動に保持する1以上のハウジング挿通孔を有することを特徴とする付記1又は2に記載の集合コネクタハウジング。
(付記5)
前記第1のハウジングの前記コネクタ挿通孔は、前記複数のコネクタの各々を個別に前記第1方向へ可動に保持し、
前記第2のハウジングの前記ハウジング挿通孔は、前記複数のコネクタの各々を個別に前記第2方向へ可動に保持する
ことを特徴とする付記1に記載の集合コネクタハウジング。
(付記6)
前記第1のハウジングは、前記第1方向に細長に形成されて前記コネクタ上の突起と係合する穴を有し、
前記第2のハウジングは、複数の前記第1のハウジングの各々を独立して前記第2方向に可動に保持する複数の前記ハウジング挿通孔を有する
ことを特徴とする付記1又は5に記載の集合コネクタハウジング。
(付記7)
前記第1のハウジングは、前記第1方向に細長に形成されて前記コネクタ上のピンと嵌合する穴と、前記第2のハウジングと嵌合するピンとを有し、
前記第2のハウジングは、前記第2方向に細長に延びて前記第1のハウジングの前記ピンと嵌合するコネクタ溝を有する
ことを特徴とする付記1又は5に記載の集合コネクタハウジング。
(付記8)
前記コネクタの前記第1方向の長さをL1、前記コネクタ挿通孔の前記第1方向の長さをL2、前記コネクタに許容される前記第1方向への位置ずれ誤差をULxとしたときに、(L2−L1)/2<ULxの関係を満たすことを特徴とする付記1に記載の集合コネクタハウジング。
(付記9)
前記第1のハウジングの前記第2方向への長さをL3、前記ハウジング挿通孔の前記第2方向の長さをL4、前記コネクタに許容される前記第2方向への位置ずれ誤差をULyとしたときに、(L4−L3)/2<ULyの関係を満たすことを特徴とする付記1に記載の集合コネクタハウジング。
(付記10)
複数のコネクタと、
前記コネクタを挿通させるコネクタ挿通孔を有し、前記コネクタ挿通孔内で、前記コネクタを前記コネクタの挿入方向と垂直な第1方向に可動に保持する第1のハウジングと、
前記第1のハウジングを挿通させるハウジング挿通孔を有し、前記ハウジング挿通孔内で前記第1のハウジングを、前記挿入方向と前記第1方向の各々に対して垂直な第2方向に可動に保持する第2のハウジングと
を有することを特徴とする集合コネクタ。
(付記11)
前記複数のコネクタを、相手側コネクタとの接続位置へ押し出し、前記相手方コネクタとの接続位置から後退させるレバー、
をさらに有することを特徴とする付記10に記載の集合コネクタ。
(付記12)
前記複数のコネクタの前記接続位置への移動を所定の位置で仮止めする仮止め機構、
をさらに有することを特徴とする付記10に記載の集合コネクタ。
(付記13)
基板上に配置された複数の第1コネクタと、
前記第1コネクタに結合される複数の第2コネクタを有する付記12記載の集合コネクタと、
を含む電子装置。
(付記14)
前記集合コネクタを、前記基板に対して開閉可能に支持する回動軸、
をさらに含むことを特徴とする付記13に記載の電子装置。
(付記15)
前記基板上に、前記集合コネクタを受け止めるストッパ、
をさらに含むことを特徴とする付記13又は14に記載の電子装置。
【産業上の利用可能性】
【0092】
複数のコネクタを用いた接続機構、コンピュータシステム、試験装置などの電子装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1 固定側コネクタ
2 移動側コネクタ
4、30、32、40 コネクタハウジング
5、50 中間ホルダ
6、60 集合ホルダ
9 ケーブル
36,37 コネクタホルダ
51 角穴(コネクタ挿通孔あるいはハウジング挿通孔)
502、503、504 コネクタ挿通孔
61 角穴(ハウジング挿通孔)
90 試験装置(電子装置)
301 コネクタブロック
401、402、403,404 コネクタユニット
501、501A、501B、501C、501D 中間ブロック
601 集合ブロック(集合コネクタ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコネクタを一度の動作で相手側コネクタに対して挿抜可能に収容する集合コネクタハウジングであって、
前記コネクタを挿通させるコネクタ挿通孔を有し、前記コネクタ挿通孔内で、前記コネクタを前記コネクタの挿入方向と垂直な第1方向に可動に保持する第1のハウジングと、
前記第1のハウジングを挿通させるハウジング挿通孔を有し、前記ハウジング挿通孔内で前記第1のハウジングを、前記挿入方向と前記第1方向の各々に対して垂直な第2方向に可動に保持する第2のハウジングと
を有することを特徴とする集合コネクタハウジング。
【請求項2】
前記第1のハウジングは、前記複数のコネクタの各々を挿通する複数の前記コネクタ挿通孔を有し、
前記第2のハウジングは、前記第1のハウジングを、前記第1方向と独立して、前記第2方向に可動に保持する1以上のハウジング挿通孔を有することを特徴とする請求項1に記載の集合コネクタハウジング。
【請求項3】
前記第1のハウジングは、前記各コネクタ上に設けられた前記第1方向に伸長する長円孔と嵌合するピンを有し、前記コネクタ挿通孔内で前記各コネクタを前記第1方向に可動に保持し、
前記第2のハウジングは、前記第1のハウジングを、前記第1方向と独立して、前記第2方向に可動に保持する1以上のハウジング挿通孔を有することを特徴とする請求項1に記載の集合コネクタハウジング。
【請求項4】
前記第1のハウジングは、前記第1方向に細長に形成されて前記コネクタ上の突起と係合する穴を有し、
前記第2のハウジングは、複数の前記第1のハウジングの各々を独立して前記第2方向に可動に保持する複数の前記ハウジング挿通孔を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の集合コネクタハウジング。
【請求項5】
前記第1のハウジングは、前記第1方向に細長に形成されて前記コネクタ上のピンと嵌合する穴と、前記第2のハウジングと嵌合するピンとを有し、
前記第2のハウジングは、前記第2方向に細長に形成されて前記第1のハウジングの前記ピンと嵌合するコネクタ溝を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の集合コネクタハウジング。
【請求項6】
複数のコネクタと、
前記コネクタを挿通させるコネクタ挿通孔を有し、前記コネクタ挿通孔内で、前記コネクタを前記コネクタの挿入方向と垂直な第1方向に可動に保持する第1のハウジングと、
前記第1のハウジングを挿通させるハウジング挿通孔を有し、前記ハウジング挿通孔内で前記第1のハウジングを、前記挿入方向と前記第1方向の各々に対して垂直な第2方向に可動に保持する第2のハウジングと
を有することを特徴とする集合コネクタ。
【請求項7】
基板上に配置された複数の第1コネクタと、
前記第1コネクタに結合される複数の第2コネクタを有する請求項6記載の集合コネクタと、
を含む電子装置。
【請求項8】
前記集合コネクタを、前記基板に対して開閉可能に支持する回動軸、
をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−234687(P2012−234687A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102044(P2011−102044)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】