説明

集塵機

【課題】異なる機器に接続する際、移動が容易であるとともに、浮遊しやすい微粉状の塵芥でも確実に捕集できるようにする。
【解決手段】一端に吸引孔2を有し、他端を分離円筒管3に接線方向に接続する吸気管10を設け、この吸気管10の内部に集塵ファン4を設ける。排気管6は一端を分離円筒管3に貫通させて接続し、排気管6の他端は水槽7に臨ませて開口する。分離円筒管3の下端開口部に異物収集部5としてゴミ袋15を着脱自在に装着する。ゴミ袋15と分離円筒管3の下部を除いて集塵機の各構成部品を筐体8で覆うとともに、集塵機の各構成部品を台車9に搭載する。集塵ファン4によって搬送路内の空気を吸引し、穀粒群中に混入した異物は分離円筒管3内に発生する旋回流の流れに沿ってゴミ袋15に流下し、分離円筒管3で除去し切れなかった細かな塵や埃は水槽7内の水に捕捉される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒などを選別、乾燥する際、その搬送中の穀粒群に混入している害虫、糠、ゴミ、等の異物を分離除去する集塵機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の集塵機として、例えば、特許文献1には、穀粒乾燥機において穀粒と共に搬送される夾雑物を集塵ファンで吸引し、サイクロンで夾雑物と排風とに分離する穀粒乾燥機の集塵処理装置が知られている。この集塵処理装置は、乾燥搬送路の穀粒に混じる藁屑等の夾雑物を吸引する集塵ファンと、この集塵ファンから送られてきた夾雑物と排風とを分離するサイクロンとを備え、このサイクロンで分離された排風が排風パイプによって箱体内に入る構成とし、箱体内部でかつ蓋体の下方に排風パイプを通過した前記排風に含まれる塵埃を採取するフィルタを設け、サイクロンで分離させた夾雑物をサイクロンの下部に着脱自在に取り付けたゴミ袋などの収納容器で捕捉するとともに、サイクロンで除去し切れなかった排風に混じる塵埃を箱体内部のフィルタで捕集するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−3149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に示す集塵処理装置は、サイクロンにより異物を分離することができるものの、サイクロンなどの主要構成部品が乾燥部を備える箱体の側面に取り付けた支持体に支持され、実質的に穀粒乾燥機に用途が限定され、それ以外の例えば選別機に転用することができない。また、仮に転用可能であるとしても集塵処理装置の構成部品を穀粒乾燥機から切り離して運搬あるいは移動する必要があり、運搬又は移動が極めて面倒であるとともに、重労働であった。また、サイクロンで分離し切れなかった排風中に含まれる塵埃を採取するためにフィルタを用いることから、フィルタの目詰まりを定期的に除去するメンテナンスが必要であり、そのメンテナンス作業にも煩わしい手間が係るといった課題を有していた。
【0005】
そこで本発明は、上記課題に着目してなされたものであり、集塵機の構成部品をコンパクトに纏めて移動が容易であり、用途を問わず各種機器に転用可能な汎用性に優れた集塵機を提供するとともに、旋回流に乗って浮遊しやすい微粉状の塵芥を確実に捕集し、かつメンテナンス性にも優れた集塵機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の集塵機は、一端に吸引孔を有し、他端を分離円筒管に接続する吸気管と、前記吸引孔から異物を含んだ空気を吸引する集塵ファンと、前記分離円筒管の下端に設けた異物収集部と、前記分離円筒管の上端に接続して前記集塵ファンで吸引した空気を排気する排気管とを備え、前記集塵ファンによって前記吸引孔からの空気を吸引して前記分離円筒管に送風することによって該分離円筒管内で旋回流を発生させ、この旋回流により前記異物を分離し、この異物分離円筒管の下端に設けた異物収集部に回収するとともに、前記異物分離円筒管から排気される排気中に残った微細な異物を排気管の下部に配置した水槽内の水で捕捉するように構成した集塵機であって、少なくとも異物収集部を除く集塵機の各構成部品を収容してユニット化する筐体を設け、この筐体を移動自在な台車に搭載したことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2の集塵機は、請求項1記載の集塵機において、前記筐体が前記台車から立設する支柱部と、この支柱部の上部から水平方向に延びる水平収納部とに区画され、この水平収納部を通って前記排気管が前記分離円筒管と前記水槽に跨って配置されるとともに、前記排気管の一端部が前記支柱部の内部に開口してその支柱部内に配置した前記水槽内の水に臨んで開口し、排気管からの排気が水槽内の水と排気管との隙間から支柱部内を通って支柱部に設けた排気孔から外部に排気されることを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3の集塵機は、請求項2記載の集塵機において、前記分離円筒管は、その上端部を前記水平収納部に貫通して下部を外部に露出して配置され、その下端部に前記異物収集部が着脱自在に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の集塵機によれば、集塵ファンによって分離円筒管内に旋回流を発生させ、穀粒に混入した異物を分離円筒管の異物収集部に捕集し、さらに、分離円筒管で除去し切れなかった細かな塵や埃などが排気管の下部に設置した水槽内の水によって捕捉することができ、より確実に異物を除去することができるとともに、異物を除去した清浄な空気が排気孔から外部に排気され、環境悪化を招く虞もない。また、筐体の支柱部の内部空間を利用して水槽や排気管を配置することによって、集塵機の構成部品をコンパクトに纏めて台車上に搭載することができるため、集塵機の移動が容易であるから、例えば選別機などから乾燥機へと簡単に切り替えて接続でき、各種機器の集塵用として転用可能で汎用性に優れる。さらに、分離円筒管で捕集した異物を貯める異物収集部が外部に露出し、かつ、分離円筒管に対して着脱自在に取り付けられているため、異物収集部として例えば透明又は半透明なゴミ袋を用いれば外部からゴミ袋内に捕集した異物の量を確認することができるとともに、ゴミ袋の交換作業も容易である。また、旋回流(サイクロン)を派生させる分離円筒管が逆円錐形ではなく単純な円筒形状であるから、成形加工が容易で製造工程を簡略化して製造コストの削減が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の集塵機の断面図である。
【図2】同上、集塵機の平断面図である。
【図3】同上、図1のA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明に係る集塵機1の一実施例について説明する。
【実施例】
【0012】
本実施例における集塵機1は、穀粒などを選別する際、例えば選別機などの搬送路内の空気を吸引して穀粒に混じる糠や藁屑などの異物を分離して捕集するものであって、吸引孔2から図示しない選別機などの搬送路内の空気を吸気し、その空気を分離円筒管3に送風する集塵ファン4と、前記分離円筒管3で分離した異物を集めるために前記分離円筒管3の下端に着脱自在に取り付けられる異物収集部5と、この異物収集部5に対向して前記分離円筒管3に貫通させて接続した排気管6と、この排気管6の下部に配置して排気中に残った異物を捕捉する水槽7と、これらの各構成部品の収納する筐体8と、この筐体8を搭載する移動自在な台車9とから構成されている。
【0013】
前記集塵ファン4は、吸気管10内に配置された多数の羽を備えたプレートファンからなる。また、前記吸気管10の一端は前記選別機などの搬送路に連通する吸引孔2が形成され、吸気管10の他端は前記分離円筒管3に対して接線方向に接続されており、吸引孔2から吸引した搬送路内の空気を分離円筒管3に対して接線方向に送風することにより、吸気管10からの送風は分離円筒管3の内周面に沿って旋回流(サイクロン)を発生させる。また、分離円筒管3は下方を開口し、その下端開口部に異物収集部5としてゴミ袋15をバンド16によって着脱自在に取り付けており、分離円筒管3内に発生する旋回流によって、穀粒に混入した異物は前記ゴミ袋15で捕集される。
【0014】
前記排気管6は、水平部6aの一端部から屈曲して分離円筒管3に貫通する短管状の第1立上部6bと、水平部6aの他端部から屈曲して前記分離円筒管3と併設するように垂設した第2立上部6cとから成り、その第2立上部6cの下部には前記水槽7としてバケツが台車9に載置されている。
【0015】
前記筐体8は、前記排気管6の第2立上部6cを収納する中空状の支柱部20と、前記排気管6の水平部6a、第1立上部6b及び前記分離円筒管3の上部を収納する水平収納部21とに区画され、前記台車9上に立設した前記支柱部20の上部に前記水平収納部21が片持ち状に支持されている。また、支柱部20の外面には前記水槽7内の水と排気管6との隙間から支柱部20内に排気された空気を外部に排出する排気孔22が形成されている。また、前記分離円筒管3は、その上端部を前記水平収納部21に貫通して下部が外部に露出するように前記水平収納部21から垂設し、その外部に露出した分離円筒管3の下端部に前記ゴミ袋15が着脱自在に取り付けられている。
【0016】
以上のように構成される本発明は、集塵ファン4を起動することによって、集塵ファン4が回転し、集塵ファン4の吸引作用と送風作用によって図示しない搬送路内の空気が吸引孔2から吸気管10に吸引され、穀粒群中に混入している虫、糠、ゴミ、砕米等の異物が穀粒群中から分離して吸気管10に引き込まれ、この吸気管10に吸引された空気が分離円筒管3内へと送風される。吸気管10は分離円筒管3に対して接線方向に接続されているため、分離円筒管3へと送風させた空気は分離円筒管3の内周面に沿って分離円筒管3内において高速の旋回流(サイクロン)が発生し、分離円筒管3内に発生する旋回流によって前記搬送路内に混入する異物が旋回流の流れに沿って分離円筒管3の下端開口部に装着したゴミ袋15に流下する。また、分離円筒管3内に送風した空気は分離円筒管3に貫通した排気管6の第1立上部6b、水平部6a、第2立上部6cを経て水槽7に向かって送風され、前記分離円筒管3で分離し切れない細かな塵や埃などが水槽7内の水に捕捉される。このようにして水槽7内の水によって排気中に浮遊する細かな塵や埃を除去し、清浄な空気が水槽7内の水と排気管との隙間を通って筐体8の支柱部20に形成する排気孔22から外部に排気される。
【0017】
以上のように、本発明に係る集塵機1によれば、集塵ファン4によって分離円筒管3内に旋回流を発生させ、穀粒に混入した異物がゴミ袋15に捕集し、さらに、分離円筒管3で除去し切れなかった細かな塵や埃などが水槽7内の水に捕捉することができ、より確実に異物を除去することができるとともに、異物を除去した清浄な空気が排気孔22から外部に排気され、環境悪化を招く虞れもない。また、従来例のようなフィルタも不要であるため、フィルタの目詰まりを除去するといったメンテナンス作業も不要である。さらに、筐体8の支柱部20の内部空間を利用して水槽7や排気管6を配置することによって、集塵機1の構成部品をコンパクトに纏めて台車9上に搭載することができるため、集塵機1の移動が容易であるから、例えば選別機などから乾燥機へと簡単に切り替えて接続でき、各種機器の集塵用として転用可能で汎用性に優れる。また、分離円筒管3で捕集した異物を貯める異物収集部5としてゴミ袋15が外部に露出し、かつ、分離円筒管3に対して着脱自在に取り付けられているため、例えば透明又は半透明なゴミ袋15を用いれば外部からゴミ袋15内に捕集した異物の量を確認することができるとともに、ゴミ袋15の交換作業も容易である。さらに、旋回流(サイクロン)を派生させる分離円筒管3が従来例で示すような逆円錐形ではなく単純な円筒形状であるから、成形加工が容易で製造工程を簡略化して製造コストの削減が可能である。
【0018】
以上、本発明の一実施例について詳述したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、選別対象は米穀等の穀粒に限らず各種の穀粒に適用可能である。また、各構成部品の形状や配置なども適宜設定すればよい。
【符号の説明】
【0019】
1 集塵機
2 吸引孔
3 分離円筒管
4 集塵ファン
5 異物収集部
6 排気管
6a 水平部
6b 第1立上部
6c 第2立上部
7 水槽
8 筐体
9 台車
10 吸気管
15 ゴミ袋
16 バンド
20 支柱部
21 水平収納部
22 排気孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端に吸引孔を有し、他端を分離円筒管に接続する吸気管と、前記吸引孔から異物を含んだ空気を吸引する集塵ファンと、前記分離円筒管の下端に設けた異物収集部と、前記分離円筒管の上端に接続して前記集塵ファンで吸引した空気を排気する排気管とを備え、前記集塵ファンによって前記吸引孔からの空気を吸引して前記分離円筒管に送風することによって該分離円筒管内で旋回流を発生させ、この旋回流により前記異物を分離し、この異物分離円筒管の下端に設けた異物収集部に回収するとともに、前記異物分離円筒管から排気される排気中に残った微細な異物を排気管の下部に配置した水槽内の水で捕捉するように構成した集塵機であって、少なくとも異物収集部を除く集塵機の各構成部品を収容してユニット化する筐体を設け、この筐体を移動自在な台車に搭載したことを特徴とする集塵機。
【請求項2】
前記筐体が前記台車から立設する支柱部と、この支柱部の上部から水平方向に延びる水平収納部とに区画され、この水平収納部を通って前記排気管が前記分離円筒管と前記水槽に跨って配置されるとともに、前記排気管の一端部が前記支柱部の内部に開口してその支柱部内に配置した前記水槽内の水に臨んで開口し、排気管からの排気が水槽内の水と排気管との隙間から支柱部内を通って支柱部に設けた排気孔から外部に排気されることを特徴とする請求項1記載の集塵機。
【請求項3】
前記分離円筒管は、その上端部を前記水平収納部に貫通して下部を外部に露出して配置され、その下端部に前記異物収集部が着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の集塵機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−78720(P2013−78720A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219508(P2011−219508)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000132792)株式会社タイガーカワシマ (48)
【Fターム(参考)】