説明

集束イオンビーム装置ならびにそれを用いた試料断面作製方法および薄片試料作製方法

【課題】 SEM観察機能を備えないFIB装置でも、欠陥部分やコンタクトホールの中心位置を検出することが効率よく、実行できる試料断面作製方法を提供するものである。
【解決手段】 試料断面領域近傍に集束イオンビーム1を走査照射してエッチング加工しながら、集束イオンビーム1を照射することにより発生する二次電子2を検出する。検出した二次電子信号から加工終点検出機構16で加工終点を検出して、エッチング加工を終了する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集束イオンビーム装置を用いた試料断面加工、TEM試料加工に関する。
【背景技術】
【0002】
以下に図9を用いて従来のFIB−SEM装置を用いた欠陥部分の加工観察方法について説明する。まず、試料22にイオンビームIBを照射して加工し、矩形状の開口21を作製する。開口作製後、電子ビームEBを断面部分Dに走査照射する。そのときに発生した二次電子を検出して、断面部分Dの二次電子像を観察する。不良解析において、不良の中心部分の断面を取得するために、取得した二次電子像中の特異構造の端部の2点を指定する。その後特異構造部分をイオンビームIBによって徐々に加工し、その加工中該特異構造の端部間の距離を測定する。距離の変化分がほぼゼロとなったときにイオンビームIBによる加工を停止することで、不良の中心部分の断面を取得することができる。
【特許文献1】特開平11−273613号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上に述べた従来のFIB−SEM装置を用いた欠陥部分の加工観察方法では、欠陥やコンタクトホールの中心位置を検出するために、電子ビームを試料断面に照射しなければならなかった。そのため、SEMカラムを備えたFIB−SEM装置が必要であった。また、FIBで加工し、照射ビームをSEMに切替えて、加工終点の確認を行うため切替え時間がかかっていた。本発明は、SEM観察機能を備えないFIB装置でも、欠陥部分やコンタクトホールの中心位置を検出することが効率よく、実行できる試料断面作製方法を提供するものである。また、欠陥部分やコンタクトホールの中心がTEMなどの観察用薄片試料の中心になるように効率よく薄片試料作製する方法も提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そして、本発明は上記目的を達成するために、集束イオンビーム装置を用いて、試料表面に平行な方向において少なくとも2種類の異なる材質を含む試料断面を作製する方法において、試料表面に垂直な方向の断面を形成しつつ試料の所望の領域に集束イオンビームを走査照射してエッチング加工しながら、前記集束イオンビームを照射することにより発生する二次荷電粒子を検出する工程と、検出した前記二次荷電粒子の信号で信号量の変化を検知して、その変化量に基づいてエッチング加工を終了する工程と、を含むことを特徴とする集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法を用いるものである。いいかえると、集束イオンビーム装置を用いて、試料の所望の領域に、試料表面上に該集束イオンビーム装置の鏡筒軸に平行な方向に集束イオンビームを走査照射して試料断面を形成し、該試料断面を削りながら断面を形成する時に異なる材質を含む試料断面が現れる時に、この試料の所望の領域に集束イオンビームを走査照射してエッチング加工しながら、前記集束イオンビームを照射することにより発生する二次荷電粒子を検出する工程と、検出した前記二次荷電粒子の信号で信号量の変化を検知して、その変化量に基づいてエッチング加工を終了する工程と、を含むことを特徴とする集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法を用いるものである。あるいは、試料表面上に、集束イオンビーム装置の鏡筒軸に平行な方向に集束イオンビームを走査照射し断面を形成し、該断面をエッチングしながら、試料の所望領域内に試料断面を作製する方法において、前記集束イオンビームを照射することにより発生する二次荷電粒子を検出する工程と、検出した前記二次荷電粒子の信号で信号量の変化を検知して信号量の変化があった時に、その変化量に基づいてエッチング加工を終了する工程と、を含むことを特徴とする集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法とも言える。
【0005】
また、第2の課題解決手段は、前記所望の領域は、試料表面上において所望の断面の一辺と略平行な一辺を有するように設定し、前記平行な一辺を含む断面を形成するようにエッチング加工を行った後、前記加工領域を前記所望の断面に向かって拡大する方向に断面形成しながら前記集束イオンビームを走査照射してエッチングを行ない、この時に発生する二次荷電粒子の信号で各断面位置での信号量の変化を検知して、その変化量に基づいてエッチング加工を終了することを特徴とする集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法を用いるものである。
【0006】
また、第3の課題解決手段は、前記二次荷電粒子の信号で信号量の変化を検知してエッチング加工を終了する工程は、前記所望の断面の一辺と略平行方向を主走査方向とし、前記主走査方向と垂直な方向を副走査方向としたときに、各副走査位置での主走査方向でのエッチング加工中に検出した二次荷電粒子信号を前記副走査方向について積算し、積算した信号量の変化を検知して、その変化量に基づいてエッチング加工を終了することを特徴とする集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法を用いるものである。
【0007】
また、第4の課題解決手段は、集束イオンビーム装置を用いて、試料表面に平行な方向において少なくとも2種類の異なる材質を含む薄片試料を作製する方法において、第1から第3の課題解決手段のいずれか1つに記載の集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法を用いて、試料断面を作製する工程と、作製した前記試料断面と所望の薄片試料領域を挟んで反対にも同様に断面を作製し、薄片試料領域を作製することを特徴とする集束イオンビーム装置を用いた薄片試料作製方法を用いるものである。
【0008】
また、第5の課題解決手段は、イオンを発生するためのイオン発生源と、前記イオンを細く絞って集束イオンビームにし該集束イオンビームを走査させながら試料表面に照射するための集束イオン光学系と、試料を支持するための試料台と、前記試料台を移動するための試料台制御機構と、前記集束イオンビーム照射により発生する二次荷電粒子を検出する二次荷電粒子検出器と、それらを制御する制御機構と、前記集束イオンビームを走査照射し試料平面と垂直方向の断面を形成し該断面のエッチングをすすめた時に、前記二次荷電粒子検出器で検出した二次荷電粒子の信号量の変化量から加工終点を検出する加工終点検出機構とを備えた集束イオンビーム装置を用いるものである。
【0009】
上記第1の課題解決手段による作用は次の通りである。検出した二次荷電粒子の信号量の変化を検知してエッチング加工を終了することで、異なる材質を含んだ所望の断面が露出した状態で加工を終了することができる。
【0010】
上記第2の課題解決手段による作用は次の通りである。所望の試料断面に略平行な面を一辺として加工領域を設定しエッチング加工を行い、エッチング加工終了の信号を検知するまで、加工領域を所望の試料断面に向かって拡大することにより、加工不足や加工過剰なく所望の断面を作製することができる。
【0011】
上記第3の課題解決手段による作用は次の通りである。二次荷電粒子信号量が少ない場合や、信号量の変化が検知しにくい場合でも、二次荷電粒子の信号を積算し、積算した信号量の変化を検知することで、所望の断面が露出した状態で加工を終了することができる。
【0012】
上記第4の課題解決手段による作用は次の通りである。作製した試料断面と所望の薄片試料領域を挟んで反対にも同様に断面を作製することで、所望の薄片試料領域の薄片試料を作製することができる。
【0013】
上記第5の課題解決手段による作用は次の通りである。検出した二次荷電粒子の信号から加工終点を検知する加工終点検出機構を備えた集束イオンビーム装置を用いることで、異なる材質を含んだ所望の断面が露出した状態で加工を終了することができる。
【発明の効果】
【0014】
上述したように本発明の集束イオンビーム装置および集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法によると、エッチング加工しながら、発生する二次荷電粒子の信号量の変化を検知してエッチング加工を終了することで、SEM観察機能を備えないFIB装置でも、欠陥部分やコンタクトホールの中心位置を検出することができ、効率よく試料断面を作製することができる。また、本発明の集束イオンビーム装置および集束イオンビーム装置を用いた薄片試料作製方法によると、SEM観察機能を備えないFIB装置でも、欠陥部分やコンタクトホールの中心がTEMなどの観察用薄片試料の中心にある薄片試料も効率よく作製することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図1から図7に基づいて説明する。
【0016】
図1は本発明の実施形態を示すFIB装置の概略図である。イオン源11で発生したイオンはイオン光学系12で集束させ集束イオンビーム1にして、試料10に走査照射される。試料10は試料ステージ13上に載置され、ステージ駆動機構14によって移動することができる。集束イオンビーム1を試料10に照射することで発生した二次荷電粒子である二次電子2は二次荷電粒子検出器である二次電子検出器3で検出される。検出された二次電子の信号から試料10の二次電子像を表示装置17に表示することができる。また、加工中に検出された二次電子信号量からその変化量に基づいて加工終点検出機構16で加工終点を検出することができる。
【0017】
コンタクトホールの中心の断面観察を行う場合について、図2、図3、図6を用いて説明する。
【0018】
図2は本発明の実施形態を示す試料表面図である。表面保護膜4に覆われた試料10の中に絶縁体の層間膜6と、試料表面と垂直方向に金属のコンタクトホール7が含まれており、試料表面からはコンタクトホール7の位置は観察できない。コンタクトホール7を試料表面と平行な面で切断すると、その切断面方向には絶縁体と金属という異なる材質で形成された部分が存在する。
【0019】
図3は位置と積算した二次電子信号量の関係で、横軸が、断面の一辺と略平行方向を主走査方向、主走査方向と略垂直方向を副走査方向としたときの主走査方向の位置で、縦軸が副走査方向に積算した二次電子信号量を表す。ここで、二次電子信号量の積算とは、主走査方向に対して、副走査方向の各位置で検出した二次電子信号量を積算することである。試料の材質や集束イオンビーム照射条件によって、二次電子量の変化が検知することが困難な場合があるが、二次電子信号量を積算することで、変化を明瞭に確認することができる。
【0020】
図6の本発明の実施形態を示すフローチャートを用いて本発明の試料断面作製方法について説明する。設計レイアウト図や欠陥検査装置の座標情報を用いてコンタクトホール7の位置に試料ステージ13を移動させて試料表面の二次電子像を取得する。ただし、コンタクトホール7は表面保護膜4に覆われているので、取得した二次電子像内でのコンタクトホール7の正確な位置はわからない。取得した二次電子像を用いて、コンタクトホール7を断面加工できる位置を推定して試料表面に加工領域を設定する。
【0021】
図2(a)の加工領域8aは、コンタクトホール7を断面加工できる位置になっていない場合について図示している。
【0022】
次に集束イオンビーム1を設定した加工領域8a内に断面の一辺と略平行方向を主走査方向、主走査方向と略垂直方向を副走査方向として走査照射してエッチング加工を行いながら、エッチング加工で発生する二次電子2を検出する。このときの積算した二次電子信号量は図3(a)で、積算した二次電子信号量は主走査方向について一定である。
【0023】
次に図2(b)で、新たにコンタクトホール7の断面が加工できるように加工領域8bを設定し、加工領域内をエッチング加工する。エッチング加工中に検出し、積算した二次電子信号量は図3(b)で、積算した二次電子量がある位置で変化が起こる。この積算した二次電子信号量の変化は図2(b)の加工領域8bを加工することで、コンタクトホール7の一部に集束イオンビーム1が照射されることに起因している。集束イオンビーム1を照射して発生する二次電子の量は材質によって異なるため、集束イオンビーム1がコンタクトホール7に照射されると、図3(b)のように集束イオンビーム1の主走査方向でコンタクトホール7がある位置で二次電子信号量が変化する。
【0024】
さらに図2(c)のように新しい加工領域8cを設定し、加工領域内をエッチング加工する。エッチング加工中に検出し、積算した二次電子信号量は図3(c)で、二次電子信号量のピークの先端が平坦になっている。この平坦な部分は、コンタクトホール7をエッチング加工していることを示している。
【0025】
さらに図2(d)で加工領域8dを設定し、加工領域内をエッチング加工する。このときの積算した二次電子信号量は、図3(d)のように、ピーク幅が図3(c)のものよりも大きくなっている。このピーク幅が最も大きくなったとき、エッチング加工で作製したコンタクトホールの断面は、コンタクトホールの直径にあると考えられ、コンタクトホールの中心付近までエッチング加工が達していると判断できる。ここで、ピーク幅が最も大きくなったときとは、加工してピークの大きさを観察していき、ピークの増大量が最も小さくなったときであると判断する。そのとき、エッチング加工を終了する。上記の方法を用いることで、コンタクトホール7の中心の断面を作製することができる。最後に、集束イオンビーム1を作製した断面に照射できるように試料ステージ13を傾斜させ、集束イオンビーム1を断面に走査照射することで、コンタクトホール7の中心を含む断面を観察することができる。
【0026】
次に、コンタクトホールの中心を含む薄片試料作製する場合について、図4、図5、図7を用いて説明する。図4は、コンタクトホールを含む試料10の試料表面図である。図5は図4のA−A断面図である。試料10は表面保護膜4の下に層間膜6と配線5と、配線5をつなぐコンタクトホール7からなっている。
【0027】
図7の本発明の実施形態を示すフローチャートを用いて説明する。設計レイアウト図や欠陥検査装置の座標情報を用いて、試料表面に加工領域を設定する。設定した加工領域に集束イオンビーム1を走査照射してコンタクトホールから遠い位置から断面を形成しながらコンタクトホール7に向かってエッチング加工を行い、図4(a)、図5(a)のように加工溝9aを作製する。この時、コンタクトホールの中心の断面観察を行う場合と同様にして、二次電子信号量を確認しながらエッチング加工を行う。加工溝9aをエッチング加工して、各断面加工時に断面方向位置で二次電子信号量の変化する部分が見られない場合、図4(b)、図5(b)のように加工領域を拡大するように加工領域を設定し、エッチング加工によって加工溝9bを作製する。二次電子信号量を確認して、上記二次電子信号量の変化する部分が見られたらエッチング加工がコンタクトホール7に達したとして加工溝9bの加工を終了する。
【0028】
次に図4(c)、図5(c)のようにコンタクトホール7を挟んで加工溝9bと対向する位置に新たな加工領域を設定する。設定した加工領域を上記の方法と同様にしてエッチング加工し、加工溝9cを作製する。加工溝9bの加工と同様に、二次電子信号量の変化する部分を確認できたら、加工溝9cがコンタクトホール7に達したとしてエッチング加工を終了する。これによりコンタクトホール7の中心を含む薄片試料を作製することができる。次に作製した薄片試料をTEM観察するために、試料10から分離し、TEM観察用試料ホルダに固定し、TEM装置に搬送する。TEM装置で薄片試料に垂直に電子ビームを照射することで、コンタクトホール7の中心を含んだ薄片試料のTEM像を観察することができる。
【0029】
また、コンタクトホールが一定の間隔で並んでいる試料の断面観察を行う場合について説明する。図8(a)は、コンタクトホール7が一定の間隔で並んでいる試料の試料表面図である。コンタクトホール7の断面を観察するために加工領域を設定し、断面の一辺と略平行方向を主走査方向、主走査方向と略垂直方向を副走査方向として集束イオンビーム1を走査照射して加工溝9を形成する。図8(b)は、このときの位置と積算した二次電子信号量の関係で、コンタクトホール7の間隔に一致する積算した二次電子信号量のピークが検出される。これより、コンタクトホール7の間隔が既知である場合、図8(b)の積算した二次電子信号量のピーク間隔を調べることでコンタクトホール7の位置を確認することができるので、加工終点を決めることができる。ここで、断面観察について説明したが、上記の方法を用いることでコンタクトホール7の中心を含む薄片試料を作製することもできる。
【0030】
ここで、観察対象としてコンタクトホールを用いて説明したが、本発明の対象はこれに限るものではない。例えば試料内の欠陥の断面観察や欠陥部分のTEM試料作製にも本発明は効果を発揮するものである。また、二次荷電粒子として、二次電子を検出する例について説明したが、二次イオンを用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態を示すFIB装置の概略図。
【図2】本発明の実施形態を示す、(a)試料表面図 (b)試料表面図 (c)試料表面図 (d)試料表面図。
【図3】本発明の実施形態を示す、(a)位置と積算した二次電子信号量の関係 (b)位置と積算した二次電子信号量の関係 (c)位置と積算した二次電子信号量の関係 (d)位置と積算した二次電子信号量の関係。
【図4】本発明の実施形態を示す、(a)試料表面図 (b)試料表面図 (c)試料表面図。
【図5】図4の、(a)A−A試料断面図 (b)A−A試料断面図 (c)A−A試料断面図。
【図6】本発明の実施形態を示すフローチャート。
【図7】本発明の実施形態を示すフローチャート。
【図8】本発明の実施形態を示す、(a)試料表面図(b)位置と積算した二次電子信号量の関係。
【図9】従来の実施形態を示すFIB−SEM装置。
【符号の説明】
【0032】
1 集束イオンビーム
2 二次電子
3 二次電子検出器
4 表面保護膜
5 配線
6 層間膜
7 コンタクトホール
8a 加工領域
8b 加工領域
8c 加工領域
8d 加工領域
9 加工溝
9a 加工溝
9b 加工溝
9c 加工溝
10 試料
11 イオン源
12 イオン光学系
13 試料ステージ
14 ステージ駆動機構
15 制御機構
16 加工終点検出機構
17 表示装置
21 開口
22 試料
IB イオンビーム
EB 電子ビーム
D 断面部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集束イオンビーム装置を用いて、試料表面に平行な方向において少なくとも2種類の異なる材質を含む試料断面を作製する方法において、
試料表面に垂直な方向の断面を形成しつつ試料の所望の領域に集束イオンビームを走査照射してエッチング加工しながら、前記集束イオンビームを照射することにより発生する二次荷電粒子を検出する工程と、
検出した前記二次荷電粒子の信号で信号量の変化を検知して、その変化量に基づいてエッチング加工を終了する工程と、
を含むことを特徴とする集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法。
【請求項2】
前記所望の領域は、試料表面上において所望の断面の一辺と略平行な一辺を有するように設定し、前記平行な一辺を含む断面を形成するようにエッチング加工を行った後、前記加工領域を前記所望の断面に向かって拡大する方向に断面形成しながら前記集束イオンビームを走査照射してエッチングを行ない、この時に発生する二次荷電粒子の信号で各断面位置での信号量の変化を検知して、その変化量に基づいてエッチング加工を終了することを特徴とする請求項1に記載の集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法。
【請求項3】
検出した前記二次荷電粒子の信号で信号量の変化を検知してエッチング加工を終了する工程は、
前記所望の断面の一辺と略平行方向を主走査方向とし、前記主走査方向と垂直な方向を副走査方向としたときに、各副走査位置での主走査方向でのエッチング加工中に検出した二次荷電粒子信号を前記副走査方向について積算し、積算した信号量の変化を検知して、その変化量に基づいてエッチング加工を終了することを特徴とする請求項1または2に記載の集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法を用いて、試料断面を作製する工程と、
該作製した前記試料断面と所望の薄片試料領域を挟んで反対側にも同様に断面を作製し、薄片試料領域を作製することを特徴とする集束イオンビーム装置を用いた薄片試料作製方法。
【請求項5】
イオンを発生するためのイオン発生源と、
前記イオンを細く絞って集束イオンビームにし該集束イオンビームを走査させながら試料表面に照射するためのイオン光学系と、
試料を支持するための試料台と、
前記試料台を移動するための試料台制御機構と、
前記集束イオンビーム照射により発生する二次荷電粒子を検出する二次荷電粒子検出器と、
前記集束イオンビームを走査照射し試料平面と垂直方向の断面を形成し該断面のエッチングをすすめた時に、前記二次荷電粒子検出器で検出した二次荷電粒子の信号量の変化量から加工終点を検出する加工終点検出機構と、
を備えたことを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項6】
試料表面上に、集束イオンビーム装置の鏡筒軸に平行な方向に集束イオンビームを走査照射し断面を形成し、該断面をエッチングしながら、試料の所望領域内に試料断面を作製する方法において、前記集束イオンビームを照射することにより発生する二次荷電粒子を検出する工程と、検出した前記二次荷電粒子の信号で信号量の変化を検知して信号量の変化があった時に、その変化量に基づいてエッチング加工を終了する工程と、を含むことを特徴とする集束イオンビーム装置を用いた試料断面作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−47489(P2008−47489A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−224191(P2006−224191)
【出願日】平成18年8月21日(2006.8.21)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】