集束イオンビーム装置及び試料の加工方法
【課題】電子部品などの大断面加工においても、加工精度を確保しつつ効率良く観察し、加工することが可能な集束イオンビーム装置、及び、試料の加工方法を提供する。
【解決手段】集束イオンビーム装置1は、試料Mを載置する試料台2と、イオンビームI1、I2、I3となるイオンを発生させる複数のイオン源24、イオン源24との間に印加された電圧によってイオン源24からイオンビームI1、I2、I3を引き出す引出電極25、及び、引出電極25と複数のイオン源24のそれぞれとの間に独立して電圧を印加可能な電源部とを有するイオンビーム放出手段4と、イオンビーム放出手段4から放出された複数のイオンビームI1、I2、I3を試料M上で集束させることが可能なイオンビーム光学系5とを備える。
【解決手段】集束イオンビーム装置1は、試料Mを載置する試料台2と、イオンビームI1、I2、I3となるイオンを発生させる複数のイオン源24、イオン源24との間に印加された電圧によってイオン源24からイオンビームI1、I2、I3を引き出す引出電極25、及び、引出電極25と複数のイオン源24のそれぞれとの間に独立して電圧を印加可能な電源部とを有するイオンビーム放出手段4と、イオンビーム放出手段4から放出された複数のイオンビームI1、I2、I3を試料M上で集束させることが可能なイオンビーム光学系5とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料にイオンビームを照射して、試料の加工や観察を行う集束イオンビーム装置及び試料の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、イオンビームを放出可能なイオン源と、イオン源から放出されたイオンビームを集束させるイオンビーム光学系とを有するイオンビーム鏡筒を備えた集束イオンビーム装置がある(例えば、特許文献1参照)。このような集束イオンビーム装置では、対象となる試料に集束イオンビームを照射することで、試料のエッチングを行うことが可能であり、また、特定のガスを導入することで、ガス成分を試料に成膜するデポジションを行うことが可能である。また、集束イオンビームを低加速、小電流に抑えて試料に照射し、これに伴って発生する二次電子等を検出することで試料の観察を行うことも可能である。このため、集束イオンビーム装置は様々な微細な加工、観察に適用され、一辺10μm程度のサイズの加工、観察、例えば、半導体デバイスの配線変更や断面加工、TEM試料作製、あるいは、フォトマスクの修正などに有用に利用されてきた。また、近年、電子部品など、一辺が100μm程度のような大断面の加工、観察においても高精度が要求され、集束イオンビーム装置の適用が検討されてきている。
【特許文献1】特許第3117836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のような集束イオンビーム装置による加工では、一辺10μm程度の断面加工でも所要時間としては1時間程度必要なため、一辺が100μmのような大断面加工では、数十時間かかってしまい、一試料当たりのスループットが極端に低下してしまう問題があった。
【0004】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、電子部品などの大断面加工においても、加工精度を確保しつつ効率良く観察し、加工することが可能な集束イオンビーム装置、及び、試料の加工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の集束イオンビーム装置は、試料を載置する試料台と、イオンビームとなるイオンを発生させる複数のイオン源、該イオン源との間に印加された電圧によって該イオン源から前記イオンビームを引き出す引出電極、及び、該引出電極と複数の前記イオン源のそれぞれとの間に独立して電圧を印加可能な電源部とを有するイオンビーム放出手段と、該イオンビーム放出手段から放出された複数の前記イオンビームを前記試料上で集束させることが可能なイオンビーム光学系とを備えることを特徴としている。
【0006】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、引出電極との間に印加した電圧によって、複数のイオン源のそれぞれからイオンビームを放出させることができるので、イオン源の設置数に応じて電流量を増大させて試料にイオンビームを照射することができる。また、複数のイオン源から放出されたイオンビームは、イオンビーム光学系によって試料上に集束させることができる。このため、イオンビームを照射して試料を加工する場合においては、精度を確保しつつ、スループットを向上させることができる。一方、試料観察の際には、引出電極と複数のイオン源のそれぞれとの間には、独立して電圧を印加することができるので、イオンビームを放出させるイオン源を少なくして照射されるイオンビームを小電流とすることで、試料に損傷を与えずに試料観察を好適に行うことができる。
【0007】
また、本発明は、上記の集束イオンビーム装置を使用した試料の加工方法であって、複数の前記イオン源のいずれか一つのみから前記イオンビームを放出させて前記試料上に照射することによって、前記試料の表面の観察、及び、該観察に基づく加工位置の決定を行う第一の工程と、少なくとも二つ以上の前記イオン源から前記イオンビームを放出させて前記試料上に照射することによって、前記試料の加工を行う第二の工程とを備えることを特徴としている。
【0008】
この発明に係る試料の加工方法によれば、上記の集束イオンビーム装置を使用することによって、第一の工程として、いずれか一つのイオン源のみからイオンビームを放出させて行うことで、試料の表面の観察、及び、観察に基づく加工位置の決定を、試料に損傷を与えず精度良く行うことができる。また、第二の工程として、少なくとも二つ以上のイオン源からイオンビームを放出させ、イオンビーム光学系によって集束させて試料を加工する。このため、イオンビームを放出させるイオン源の数に応じて、イオンビームの電流量を増大させて効率的にかつ精度良く試料の加工を行うことができる。
【0009】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源と、該イオン源のそれぞれに対応して設けられた前記引出電極とを有する複数のイオン供給部によって構成され、複数の該イオン供給部は、それぞれから放出される前記イオンビームが前記イオンビーム光学系の入射口で略一致して入射するように、前記イオンビームの照射方向が設定されていることがより好ましいとされている。
【0010】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、イオン源からイオンビームを放出可能な複数のイオン供給部が、その照射方向を、イオンビーム光学系の入射口で略一致して入射するように設定されていることで、複数のイオンビームをイオンビーム光学系によって好適に集束させて試料に照射することができる。
【0011】
さらに、上記の集束イオンビーム装置において、複数の前記イオン供給部は、前記引出電極から放出された前記イオンビームを集束させる集束レンズをそれぞれ有し、該集束レンズによって集束される複数の前記イオンビームの焦点位置は、前記イオンビーム光学系の前記入射口で略一致するように、それぞれ設定されていることがより好ましいとされている。
【0012】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、複数のイオン供給部から照射されるイオンビームを、集束レンズで集束させてイオンビーム光学系の入射口に入射させていることで、拡散させずに確実に入射させることができ、効率良く大電流のイオンビームを照射することができる。また、各集束レンズの焦点位置がイオンビーム光学系の入射口で略一致していることで、より好適に集束させることができる。
【0013】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオンビーム放出手段の前記引出電極は、複数の貫通孔が形成された略板状の部材であり、複数の前記イオン源は、前記引出電極の前記貫通孔と対応して配列しているものとしても良い。
【0014】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、引出電極に対して貫通孔と対応してイオン源のみを複数配列することで、引出電極など他の部材による空間的制約を受けずにイオン源を密集して配置することができる。このため、複数のイオン源から放出されるイオンビームを密集させた状態でイオン光学系に入射させることができ、イオンビーム光学系によって好適に集束させて試料に照射することができる。
【0015】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオン源は、直線状に配列していることがより好ましいとされている。
また、上記の試料の加工方法において、前記イオンビーム放出手段の複数の前記イオン源は直線状に配列されていて、前記第二の工程は、該配列と対応して直線状のパターンで照射される複数の前記イオンビームを、該パターンの方向と交差する方向に走査して行うことがより好ましいとされている。
【0016】
この発明に係る集束イオンビーム装置及び試料の加工方法によれば、複数のイオン源から照射されるイオンビームを直線状のパターンで照射することができ、これをパターンの方向と交差する方向に走査することで、試料を帯状に連続して加工することができて効率的である。
【0017】
また、上記の試料の加工方法において、複数の前記イオン源は、平面状に配列されていて、前記第二の工程は、複数の前記イオン源のうち、所定の配列となるように選択的に前記イオンビームを放出させることで、該配列と対応したパターンで前記イオンビームを前記試料に照射させるものとしても良い。
【0018】
この発明に係る試料の加工方法によれば、複数のイオン源のうち、所定の配列となるように選択的にイオンビームを放出させることで、試料に照射されるイオンビームのパターンに応じて、所望の加工形状を効率良く作製することができる。
【0019】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオンビーム放出手段の前記引出電極は略球面状に形成され、複数の前記イオン源は、前記引出電極の凹面側で該凹面の半径方向に沿って放射状に配列しているものとしても良い。
【0020】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、複数のイオン源が引出電極の凹面の半径方向に沿って放射状に配列していることで、複数のイオンビームは、凹面の曲率中心に配置された単一のイオン源から放出されるようにして、放出される。一方、放出されるイオンビームの電流量はイオン源の設置数と対応する。このため、大電流のイオンビームを好適に集束させて試料に照射することができる。
【0021】
また、上記の試料の加工方法において、前記第二の工程後に、該第二の工程の時よりも前記イオンビームを放出させる前記イオン源を少なく設定して前記試料上に照射することによって、前記試料の加工をさらに行う第三の工程を備えることがより好ましいとされている。
【0022】
この発明に係る試料の加工方法によれば、第二の工程後に、イオンビームを放出させるイオン源を少なく設定して第三の工程を行うことで、小電流のイオンビームによって仕上げ加工を行うことができ、加工の精度をより向上させることができる。
【0023】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオンビーム放出手段は、複数の前記イオン源として、ガスイオン源を備えることがより好ましいとされている。
また、上記の試料の加工方法において、前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源としてガスイオン源を備え、前記イオンビームとして前記ガスイオン源からガスイオンビームを照射することがより好ましいとされている。
【0024】
この発明に係る集束イオンビーム装置及び試料の加工方法によれば、イオン源から放出されるイオンビームをガスイオンビームとすることで、照射される試料表面の損傷を抑えることができる一方、複数のイオン源とすることによってガスイオンビームとすることによるスループットの低下を抑え、効率良く加工することができる。
【0025】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオンビーム放出手段は、複数の前記イオン源として、液体金属イオン源と、ガスイオン源とを備えるものとしても良い。
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、イオン源として液体金属イオン源と、ガスイオン源とを備えることで、その加工目的、要求される加工速度に応じて、金属イオンビームとガスイオンビームとを適時選択可能である。
【0026】
また、上記の試料の加工方法において、前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源としてガスイオン源と、液体金属イオン源とを備え、前記第二の工程は、前記イオンビームとして前記液体金属イオン源から金属イオンビームを照射するとともに、前記第一の工程及び前記第三の工程は、前記イオンビームとして前記ガスイオン源からガスイオンビームを照射することがより好ましいとされている。
この発明に係る試料の加工方法によれば、第一の工程においてはガスイオンビームを照射することで、試料を損傷させてしまうこと無く試料の観察、加工位置の決定を行い、第二の工程においては、金属イオンビームを照射することでより効率良く試料を加工することができる。また、第三の工程としてガスイオンビームで仕上げ加工することで、損傷を抑え、精度の良い断面を加工することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の集束イオンビーム装置によれば、複数のイオン源を有し、各々独立してイオンビームを放出可能であることで、電子部品などの大断面加工を、加工精度を確保しつつ効率良く観察、加工することが可能である。
本発明の試料の加工方法によれば、複数のイオン源によって、第一の工程及び第二の工程として放出するイオンビームの電流量を変えて観察、加工を行うことで、加工精度を確保しつつ効率良く加工することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、この発明に係る第1の実施形態を示している。図1に示すように、集束イオンビーム装置(FIB)1は、試料MにイオンビームIを照射することによって、試料Mの表面の観察、加工を行うものである。例えばウエハを試料Mとして配置し、TEM(透過型電子顕微鏡)観察用の試料の作製、あるいは、フォトリソグラフィ技術におけるフォトマスクを試料Mとして、フォトマスクの修正など一辺10μm程度の微細な観察、加工が可能である。あるいは、電子部品など100μm程度の断面加工、観察も可能なものである。以下、本実施形態における集束イオンビーム装置1の詳細について説明する。
【0029】
図1に示すように、集束イオンビーム装置1は、試料Mを配置可能な試料台2と、試料台2に配置された試料M対してイオンビームIを照射可能なイオンビーム鏡筒3とを備える。試料台2は、図示しない真空チャンバーの内部に配置されていて、内部は真空ポンプよって高真空雰囲気まで排気可能である。また、試料台2には図示しない三軸ステージが設けられていて、試料MをイオンビームIの照射方向であるZ方向と、Z方向と略直交する二軸であるX方向及びY方向に所定量移動させることが可能である。なお、これら三軸方向への移動とともにX、Y、Z軸回りに回転可能な構成としても良い。
【0030】
イオンビーム鏡筒3は、イオン源24を有しイオンビームを放出可能なイオンビーム放出手段4と、イオンビーム放出手段4から放出されたイオンビームを試料M上で集束させるイオンビーム光学系5とを備える。イオンビーム光学系5は、イオンビーム放出手段4側から試料M側へ順に、コンデンサレンズ6と、可動絞り7と、アライメント電極8と、ブランキング電極9と、非点補正器10と、走査電極11と、対物レンズ12とを備える。
【0031】
コンデンサレンズ6は、イオンビーム放出手段4から放出されたイオンビームを集束させるものであり、3枚の電極6a、6b、6cで構成されたアインツェルレンズである。これら3枚の電極6a、6b、6cには、それぞれ貫通孔が形成されていて、これにより入射口6d及び出射口6eを形成している。なお、図1において、コンデンサレンズ6はその一部を破断して示している。そして、外側の電極6a、6cを接地させるとともに、中間の電極6bに電圧を印加して電場を形成することで、入射口6dから入射するイオンビームを集束させて出射口6eから出射させることが可能である。また、可動絞り7は、異なる径の複数のアパーチャ7aを有するものであり、いずれかのアパーチャ7aを選択してイオンビームIの光軸と一致させるように配置させることで、アパーチャ7aの径と対応してイオンビームIを絞り込むことが可能なものである。
【0032】
また、アライメント電極8は、略円筒状に配列された複数の電極8aで構成されて、各々の電極8aに独立して電圧を印加して電場を形成することで、通過するイオンビームIの光軸のずれを修正するものである。また、ブランキング電極9は、対向する2枚の電極9aで構成され、電圧を印加し電場を形成することで、通過するイオンビームIを試料Mに照射されないように偏向させることが可能であり、これによりイオンビームIの試料Mへの照射の有無を切替することができる。また、非点補正器10は、略円筒状に配列された複数の電極10aで構成されて、各々の電極10aに独立して電圧を印加して電場を形成することで、通過するイオンビームIの断面形状の歪みの修正、すなわち非点補正を行うことができる。また、走査電極11は、略円筒状に配列された複数の電極11aで構成されて、各々の電極11aに独立して電圧を印加して電場を形成することで、試料M上におけるイオンビームIの照射位置をX軸方向及びY軸方向に自在に走査することが可能なものである。
【0033】
対物レンズ12は、上記構成によって、集束、偏向、補正等されたイオンビームIを、最終的に試料M上に集束させるものであり、コンデンサレンズ6同様、3枚の電極12a、12b、12cで構成されたアインツェルレンズである。なお、図1において、対物レンズ12はその一部を破断して示している。すなわち、外側の電極12a、12cを接地させるとともに、中間の電極12bに電圧を印加して電場を形成することで、入射口12dから入射するイオンビームIを集束させて出射口12eから出射させて、試料M上に照射することが可能である。
【0034】
次に、イオンビーム放出手段4について説明する。なお、図1において、イオンビーム放出手段4は、その一部を破断して示している。イオンビーム放出手段4は、それぞれイオンビームI1、I2、I3を放出可能な複数のイオン供給部21、22、23を備えている。イオン供給部21、22、23は、それぞれ、イオンビームI1、I2、I3となるイオンを発生するイオン源24と、イオン源24との間に電圧を印加してイオン源24からイオンビームI1、I2、I3それぞれを引き出す引出電極25と、引出電極25によって引き出されたイオンビームI1、I2、I3のそれぞれを集束させる集束レンズ26とを備える。イオン源24としては、ガリウムイオンなどの金属イオン源やアルゴンイオンやキセノンイオンなどのガスイオン源など様々なものを選択可能であるが、本実施形態においてはアルゴンイオン源を使用している。
【0035】
また、引出電極25は、貫通孔25aを有する略板状の部材である。図2は、イオン供給部21、22、23それぞれについて、イオン源24と、引出電極25との配線の概略を示したものである。図2に示すように、イオンビーム放出手段4は、引出電源27aと、引出電極27aに直列接続された加速電源27bとを有する電源部27を備えている。イオン供給部21、22、23の各引出電極25は、互いに並列となるようにして、引出電源27aと接続されている。また、イオン供給部21、22、23の各イオン源24は、互いに並列となるようにして、それぞれスイッチ27cによって加速電源27bに接続された状態と引出電源27aに接続された状態とに切替可能に接続されている。すなわち、各イオン供給部21、22、23のイオン源24と引出電極25との間には、加速電源27bによって印加する電圧と対応する電位差を各々独立させて切替可能に生じさせることができ、この電位差によってイオン源24からイオンを発生させ、貫通孔25aを介して各イオンビームI1、I2、I3を放出させることが可能である。
【0036】
また、各イオン供給部21、22、23の集束レンズ26は、貫通孔を有する2枚の電極26a、26bで構成されている。そして、例えば、試料M側に位置する電極26bに、引出電極25と同電位となるように電圧を印加するとともに、引出電極25側に位置する電極26aに、電極26b及び引出電極25と電位差が生じるように異なる電圧を印加することで、コンデンサレンズ6及び対物レンズ12と同様の作用により各イオンビームI1、I2、I3のそれぞれを集束させることができる。また、各イオン供給部21、22、23は、各イオンビームI1、I2、I3がコンデンサレンズ6の入射口6dで略一致して入射するように、各イオンビームI1、I2、I3の照射方向が設定されている。さらに、イオンビームI1、I2、I3は、それぞれと対応する集束レンズ26によって集束されるが、その焦点位置は、コンデンサレンズ6の入射口6dで略一致するように設定されている。そして、コンデンサレンズ6の入射口6dに入射するイオンビームI1、I2、I3は集束されて、コンデンサレンズ6の出射口6eからイオンビームIとして出射される。
【0037】
また、集束イオンビーム装置1は、試料台2に載置された試料MにおけるイオンビームIの照射位置にガスを導入可能なガス銃15と、試料MにイオンビームIを照射することで試料Mから発生する二次電子を検出可能な二次電子検出器16とを備える。ガス銃15から導入されるガスは、様々なものが選択されるが、その種類により選択性エッチングを行う、あるいは、そのガス成分を試料M上に成膜するデポジションを行うことなどが可能である。また、二次電子検出器16は、図示しない制御部と接続されていて、その検出結果に基づいて試料Mの表面の観察像を出力することが可能である。
【0038】
次に、集束イオンビーム装置1の作用について説明する。本実施形態において、例えば半導体装置を試料Mとして選択し、集束イオンビーム装置1によって半田ボールの断面観察を行う場合について説明する。このような場合、まず、第一の工程として、試料Mの表面の観察、及び、観察に基づく加工位置の決定を行う。より詳しくは、集束イオンビーム装置1のイオンビーム放出手段4において、イオン供給部21、22、23のいずれか一つのみを選択して、電源部27によってイオン源24と引出電極25との間に電圧を印加する。本実施形態の場合、イオン供給部21のみに電圧を印加したとする。このため、コンデンサレンズ6に入射するイオンビームは、イオン供給部21からのイオンビームI1のみとなり、試料Mに照射されるイオンビームIの電流量は小さいものとなる。そして、イオンビームIを試料M上で走査して、二次電子を二次電子検出器16で検出することで、試料Mの観察像を取得し、この観察像によって加工位置の決定を行う。この際、イオンビームIを小電流とすることによって、イオンビームIの照射によって試料Mに損傷を与えてしまうこと無く好適に観察することができ、また、加工位置を精度良く決定することができる。
【0039】
次に、第二の工程として、第一の工程に基づいて決定された加工位置に、断面を形成する。まず、全てのイオン供給部21、22、23におけるイオン源24と引出電極25との間に電源部27によって電圧を印加し、全てのイオンビームI1、I2、I3を放出させる。放出されたイオンビームI1、I2、I3は、コンデンサレンズ6によって集束されて一つのイオンビームIとして集束させて照射することができるので、イオン源24の数に応じて電流量を増大させることができる。このため、本実施形態のように半田ボールの断面観察における断面加工のように、一辺100μm程度の断面加工においても、精度を確保しつつ、効率良く断面加工を行うことができる。なお、第二の工程においては、全てのイオン源24からイオンビームを放出させるものとしたが、これに限るものでは無く、二つ以上のイオン源24から放出させるようにすれば良い。少なくとも第一の工程よりも多くのイオン源24からイオンビームを放出させることで効率化を図ることができる。
【0040】
そして、断面加工が完了したら、この断面の観察を行う。すなわち、再びイオン供給部21のみからイオンビームI1を放出ものとして、小電流としたイオンビームIを、形成した断面に照射する。そして、発生する二次電子を二次電子検出器16で検出することで、試料Mの断面を損傷させること無く、断面観察を行うことができる。
【0041】
以上のように、集束イオンビーム装置1によって試料加工を行うことで、第一の工程として試料Mに損傷を与えずに観察し、精度良く加工位置を決定できるとともに、第二の工程として精度を確保しつつ、電子部品などの大断面においても効率良く加工を行うことができる。また、第一の工程及び第二の工程は、イオンビーム放出手段4において電源部27によって電圧を印加する否かを選択するだけなので、試料の配置の変更などによるスループットの低下を防ぐことができる。また、本実施形態においては、イオン源24をアルゴンイオン源としてアルゴンイオンビームを使用しているが、このようにイオンビームIをガスイオンビームとすることで、形成される断面の損傷を抑えて良好な断面を作製することができる。また、イオンビームを金属イオンビーム、特にガリウムイオンビームとしてシリコンウエハなどに照射した場合、試料がガリウムによって汚染されるので、品質管理上製造ラインに戻すことができなくなってしまう。しかしながら、ガスイオンビームとすることで製造ラインに再び戻すことが可能となる。一方、ガスイオンビームの場合、金属イオンビームよりも輝度が低下してしまいスループットが低下してしまうという欠点を有するが、本実施形態のように、同時にイオンビームを放出させるイオン源を増やすことで、加工の効率化と、良好な断面形成とを同時に実現することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、イオン供給部21、22、23から放出されるイオンビームI1、I2、I3がコンデンサレンズ6の入射口6dで略一致して入射するように設定されていることで、コンデンサレンズ6でより好適に集束させることができ、より精度良く断面加工を行うことができる。また、これらのイオンビームI1、I2、I3は、集束レンズ26によってそれぞれ集束させて入射口6dに入射されるため、拡散させず確実に入射口6dに入射させることができ、大電流のイオンビームIを効率良く照射し、エネルギー効率化、及び、スループットの向上を図ることができる。また、集束レンズ26によって縮小比を大きくすることができるとともに、各集束レンズ26による焦点位置が入射口6dで略一致していることで、イオンビームIをより好適に集束させて試料Mに照射することができ、さらに精度良く断面加工を行うことが可能となる。
【0043】
(第2の実施形態)
図3から図8は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
図3に示すように、本実施形態の集束イオンビーム装置30は、イオン放出手段31として、略板状の引出電極32と、複数のイオン源33とを備える。引出電極32は、複数の貫通孔32aが配列して形成されている。また、イオン源33は、貫通孔32aと一対一に対応して配列している。本実施形態においては、引出電極32の貫通孔32a及びイオン源33は、4列×4列の計16組が正方状に、互いに干渉しないように配列している。なお、本実施形態においては、イオン源33ごとに引出電極等を設けない構成としているので、引出電極等の部材による空間的制約を受けることが無い。このため、イオン源33を密集して配置することができ、それ故に、複数のイオン源33は、コンデンサレンズ6の入射口6dと略等しい、若しくは、それよりも小さい範囲で配置されている。このため、集束レンズを設けることもなく、全てのイオンビームI33を入射口6dに入射させることが可能であり、イオン源33から放出されるイオンビームI33をイオンビーム光学系5によって好適に集束させて試料Mに照射することができる。また、イオン源33は、ガスイオン源でも金属イオン源でも良いが、例えば、第1の実施形態同様にアルゴンイオン源を使用している。また、図4に示すよう、引出電極32は、電源部27の引出電源27aと接続されている。また、複数のイオン源33は、互いに並列するようにして、それぞれスイッチ27cによって加速電源27に接続された状態と引出電源27aに接続された状態とに切替可能に接続されている。
【0045】
次に、集束イオンビーム装置30の作用について説明する。本実施形態においても同様に、半導体装置を試料Mとして、半田ボールの断面観察を行う場合について説明する。まず、第一の工程として、図5に示すように、スイッチ27cの切替によって一つのイオン源33aのみに電圧を印加してイオンビームI33を放出させる。そして、図6に示すように、コンデンサレンズ6の入射口6dから入射して集束されることで、イオンビームIは、小電流として、試料M上に照射される。このため、イオンビームIを試料M上で走査させて、二次電子検出器16によって二次電子を検出することで、試料Mに損傷を与えることなく好適に観察することができ、また、加工位置を精度良く決定することができる。
【0046】
次に、第二の工程として、図7に示すように、電源部27によって全てのイオン源33に電圧を印加することで、全てのイオン源33からイオンビームI33を放出させる。図3に示すように、全てのイオン源33から放出されたイオンビームI33は、イオン源33の配列と対応して略平行にコンデンサレンズ6の入射口6dに入射される。このため、図8に示すように、集束されて試料M上に照射されるイオンビームIは、コンデンサレンズ6及び対物レンズ12による縮小比に応じて集束されて、イオンビームI33が重なり合ったように形成される。そして、このようなイオンビームIを照射すれば、第1の実施形態同様にイオン源33の設置数に応じて電流量を増大させることができるので、精度を確保しつつ効率的に断面加工を行うことができる。そして、再び電圧を印加するイオン源33を一つとし、イオンビームIを小電流に設定して照射して、発生する二次電子を二次電子検出器16で検出することで、試料Mの断面を損傷させること無く断面観察を行うことができる。
【0047】
ここで、上記においては、第一の工程で試料の観察及び観察に基づく加工位置の決定を行い、第二の工程で決定された加工位置で断面加工を行うものとしたが、さらに第三の工程として仕上げ加工を行うものとしても良い。すなわち、第二の工程完了後、電圧を印加するイオン源33の数を、第二の工程の際よりも少なくして、小電流のイオンビームIとして試料Mに形成された断面に照射する。このため、第二の工程で形成された断面をさらに高精度で加工することができる。なお、さらに第四の工程を設けて、第二の工程、第三の工程、第四の工程と、段階的にイオンビームを放出させるイオン源を減らすよう西手も良い。また、上記においては、複数のイオン源33は、すべてアルゴンイオン源としたが、ガスイオン源と液体金属イオン源とが混在するものとしても良い。すなわち、イオン源33を、アルゴンイオン源と、ガリウムイオン源とで構成するようにすれば、第二の工程においては、ガリウムイオンビームのみで加工を行うことで、加工のスループットをさらに向上させることができる。一方、第一の工程では、アルゴンイオン源のみに電圧を印加してアルゴンイオンビームのみで観察行うことで、試料を損傷させることなく好適に観察することができる。また、第三の工程では、アルゴンイオン源のみに電圧を印加してアルゴンイオンビームのみで加工を行うことで、第二の工程で損傷してしまった部分を良好な断面に仕上げることが可能となる。
【0048】
また、図9は、本実施形態の第1の変形例の試料の加工方法を示している。図9に示すように、本実施形態の第1の変形例は、第二の工程において、全てのイオン源33からイオンビーム33を放出させずに、所定の配列となるように選択的にイオンビームI33を放出させている。図9においては、例えば、L字状の配列となるようにイオンビームI33を放出させている。この場合、イオンビーム光学系5で集束されたイオンビームIは、図10に示すように、この配列と対応してL字状の微細なパターンとして試料M上に照射することができる。このため、このような方法を選択すれば、そのパターンに応じて所望の加工形状を効率良く作製することができる。
【0049】
また、本実施形態の第2の変形例として、図11及び図12に示すようなイオンビーム放出手段35を備えるものとしても良い。すなわち、イオンビーム放出手段35において、引出電極36の貫通孔36aと、対応するイオン源33は、直線状に配列している。そして、図11に示すように、第一の工程においては、同様に一つのイオン源33aのみに電圧を印加してイオンビーム33を放出させることで、小電流でイオンビームを試料に照射する。また、図12に示すように、第二の工程においては、同様に全てのイオン源33に電圧を印加してイオンビームI33を放出させる。このため、図13に示すように、イオンビーム光学系5によって集束されたイオンビームIは、イオン源33の配列に応じて、直線状のパターンで試料Mに照射されることとなる。そして、このようなイオンビームIを直線状に形成されたパターンと交差する方向に、走査電極11によって走査することで、帯状に連続して試料Mを加工することができ効率的である。
【0050】
また、本実施形態の第3の変形例として、図14に示すようなイオンビーム放出手段40を備えるものとしても良い。すなわち、イオンビーム放出手段40において、引出電極41は、イオン源33側に凹面41aとなるような略球面状に形成されている。そして、イオン源33は、凹面41a側で、凹面41aの半径方向に沿って放射状に配列されている。このようなイオンビーム放出手段40によれば、それぞれのイオン源33から照射されたイオンビームI33は、凹面41aの曲率中心41bに配置された単一のイオン源から放出されたようにして放射状に放出されるので、イオンビーム光学系5において好適に集束させて試料Mに照射することができる。一方、イオンビームIの電流量は、イオン源33の設置数と対応することで、大電流のイオンビームIとして、試料Mを効率的に加工することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の第1の実施形態の集束イオンビーム装置の構成図である。
【図2】この発明の第1の実施形態の集束イオンビーム装置のイオンビーム放出手段の詳細図である。
【図3】この発明の第2の実施形態の集束イオンビーム装置の構成図である。
【図4】この発明の第2の実施形態の集束イオンビーム装置のイオンビーム放出手段の詳細図である。
【図5】この発明の第2の実施形態の第一の工程において、イオンビーム放出手段の拡大図である。
【図6】この発明の第2の実施形態の第一の工程において、(a)試料の拡大した断面図、(b)試料の拡大した平面図である。
【図7】この発明の第2の実施形態の第二の工程において、イオンビーム放出手段の拡大図である。
【図8】この発明の第2の実施形態の第二の工程において、(a)試料の拡大した断面図、(b)試料の拡大した平面図である。
【図9】この発明の第2の実施形態の第1の変形例の第二の工程において、イオンビーム放出手段の拡大図である。
【図10】この発明の第2の実施形態の第1の変形例の第二の工程において、試料の拡大した平面図である。
【図11】この発明の第2の実施形態の第2の変形例の第一の工程において、イオンビーム放出手段の拡大図である。
【図12】この発明の第2の実施形態の第2の変形例の第二の工程において、イオンビーム放出手段の拡大図である。
【図13】この発明の第2の実施形態の第2の変形例の第二の工程において、試料の拡大した斜視図である。
【図14】この発明の第2の実施形態の第3の変形例のイオンビーム放出手段の拡大図である。
【符号の説明】
【0053】
1、30 集束イオンビーム装置
2 試料台
4、31、35、40 イオンビーム放出手段
5 イオンビーム光学系
6d 入射口
21、22、23 イオン供給部
24、33 イオン源
25、32、36、41 引出電極
25a、32a、36a 貫通孔
41a 凹面
26 集束レンズ
27 電源部
I、I1、I2、I3、I33 イオンビーム
M 試料
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料にイオンビームを照射して、試料の加工や観察を行う集束イオンビーム装置及び試料の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、イオンビームを放出可能なイオン源と、イオン源から放出されたイオンビームを集束させるイオンビーム光学系とを有するイオンビーム鏡筒を備えた集束イオンビーム装置がある(例えば、特許文献1参照)。このような集束イオンビーム装置では、対象となる試料に集束イオンビームを照射することで、試料のエッチングを行うことが可能であり、また、特定のガスを導入することで、ガス成分を試料に成膜するデポジションを行うことが可能である。また、集束イオンビームを低加速、小電流に抑えて試料に照射し、これに伴って発生する二次電子等を検出することで試料の観察を行うことも可能である。このため、集束イオンビーム装置は様々な微細な加工、観察に適用され、一辺10μm程度のサイズの加工、観察、例えば、半導体デバイスの配線変更や断面加工、TEM試料作製、あるいは、フォトマスクの修正などに有用に利用されてきた。また、近年、電子部品など、一辺が100μm程度のような大断面の加工、観察においても高精度が要求され、集束イオンビーム装置の適用が検討されてきている。
【特許文献1】特許第3117836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1のような集束イオンビーム装置による加工では、一辺10μm程度の断面加工でも所要時間としては1時間程度必要なため、一辺が100μmのような大断面加工では、数十時間かかってしまい、一試料当たりのスループットが極端に低下してしまう問題があった。
【0004】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、電子部品などの大断面加工においても、加工精度を確保しつつ効率良く観察し、加工することが可能な集束イオンビーム装置、及び、試料の加工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の集束イオンビーム装置は、試料を載置する試料台と、イオンビームとなるイオンを発生させる複数のイオン源、該イオン源との間に印加された電圧によって該イオン源から前記イオンビームを引き出す引出電極、及び、該引出電極と複数の前記イオン源のそれぞれとの間に独立して電圧を印加可能な電源部とを有するイオンビーム放出手段と、該イオンビーム放出手段から放出された複数の前記イオンビームを前記試料上で集束させることが可能なイオンビーム光学系とを備えることを特徴としている。
【0006】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、引出電極との間に印加した電圧によって、複数のイオン源のそれぞれからイオンビームを放出させることができるので、イオン源の設置数に応じて電流量を増大させて試料にイオンビームを照射することができる。また、複数のイオン源から放出されたイオンビームは、イオンビーム光学系によって試料上に集束させることができる。このため、イオンビームを照射して試料を加工する場合においては、精度を確保しつつ、スループットを向上させることができる。一方、試料観察の際には、引出電極と複数のイオン源のそれぞれとの間には、独立して電圧を印加することができるので、イオンビームを放出させるイオン源を少なくして照射されるイオンビームを小電流とすることで、試料に損傷を与えずに試料観察を好適に行うことができる。
【0007】
また、本発明は、上記の集束イオンビーム装置を使用した試料の加工方法であって、複数の前記イオン源のいずれか一つのみから前記イオンビームを放出させて前記試料上に照射することによって、前記試料の表面の観察、及び、該観察に基づく加工位置の決定を行う第一の工程と、少なくとも二つ以上の前記イオン源から前記イオンビームを放出させて前記試料上に照射することによって、前記試料の加工を行う第二の工程とを備えることを特徴としている。
【0008】
この発明に係る試料の加工方法によれば、上記の集束イオンビーム装置を使用することによって、第一の工程として、いずれか一つのイオン源のみからイオンビームを放出させて行うことで、試料の表面の観察、及び、観察に基づく加工位置の決定を、試料に損傷を与えず精度良く行うことができる。また、第二の工程として、少なくとも二つ以上のイオン源からイオンビームを放出させ、イオンビーム光学系によって集束させて試料を加工する。このため、イオンビームを放出させるイオン源の数に応じて、イオンビームの電流量を増大させて効率的にかつ精度良く試料の加工を行うことができる。
【0009】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源と、該イオン源のそれぞれに対応して設けられた前記引出電極とを有する複数のイオン供給部によって構成され、複数の該イオン供給部は、それぞれから放出される前記イオンビームが前記イオンビーム光学系の入射口で略一致して入射するように、前記イオンビームの照射方向が設定されていることがより好ましいとされている。
【0010】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、イオン源からイオンビームを放出可能な複数のイオン供給部が、その照射方向を、イオンビーム光学系の入射口で略一致して入射するように設定されていることで、複数のイオンビームをイオンビーム光学系によって好適に集束させて試料に照射することができる。
【0011】
さらに、上記の集束イオンビーム装置において、複数の前記イオン供給部は、前記引出電極から放出された前記イオンビームを集束させる集束レンズをそれぞれ有し、該集束レンズによって集束される複数の前記イオンビームの焦点位置は、前記イオンビーム光学系の前記入射口で略一致するように、それぞれ設定されていることがより好ましいとされている。
【0012】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、複数のイオン供給部から照射されるイオンビームを、集束レンズで集束させてイオンビーム光学系の入射口に入射させていることで、拡散させずに確実に入射させることができ、効率良く大電流のイオンビームを照射することができる。また、各集束レンズの焦点位置がイオンビーム光学系の入射口で略一致していることで、より好適に集束させることができる。
【0013】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオンビーム放出手段の前記引出電極は、複数の貫通孔が形成された略板状の部材であり、複数の前記イオン源は、前記引出電極の前記貫通孔と対応して配列しているものとしても良い。
【0014】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、引出電極に対して貫通孔と対応してイオン源のみを複数配列することで、引出電極など他の部材による空間的制約を受けずにイオン源を密集して配置することができる。このため、複数のイオン源から放出されるイオンビームを密集させた状態でイオン光学系に入射させることができ、イオンビーム光学系によって好適に集束させて試料に照射することができる。
【0015】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオン源は、直線状に配列していることがより好ましいとされている。
また、上記の試料の加工方法において、前記イオンビーム放出手段の複数の前記イオン源は直線状に配列されていて、前記第二の工程は、該配列と対応して直線状のパターンで照射される複数の前記イオンビームを、該パターンの方向と交差する方向に走査して行うことがより好ましいとされている。
【0016】
この発明に係る集束イオンビーム装置及び試料の加工方法によれば、複数のイオン源から照射されるイオンビームを直線状のパターンで照射することができ、これをパターンの方向と交差する方向に走査することで、試料を帯状に連続して加工することができて効率的である。
【0017】
また、上記の試料の加工方法において、複数の前記イオン源は、平面状に配列されていて、前記第二の工程は、複数の前記イオン源のうち、所定の配列となるように選択的に前記イオンビームを放出させることで、該配列と対応したパターンで前記イオンビームを前記試料に照射させるものとしても良い。
【0018】
この発明に係る試料の加工方法によれば、複数のイオン源のうち、所定の配列となるように選択的にイオンビームを放出させることで、試料に照射されるイオンビームのパターンに応じて、所望の加工形状を効率良く作製することができる。
【0019】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオンビーム放出手段の前記引出電極は略球面状に形成され、複数の前記イオン源は、前記引出電極の凹面側で該凹面の半径方向に沿って放射状に配列しているものとしても良い。
【0020】
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、複数のイオン源が引出電極の凹面の半径方向に沿って放射状に配列していることで、複数のイオンビームは、凹面の曲率中心に配置された単一のイオン源から放出されるようにして、放出される。一方、放出されるイオンビームの電流量はイオン源の設置数と対応する。このため、大電流のイオンビームを好適に集束させて試料に照射することができる。
【0021】
また、上記の試料の加工方法において、前記第二の工程後に、該第二の工程の時よりも前記イオンビームを放出させる前記イオン源を少なく設定して前記試料上に照射することによって、前記試料の加工をさらに行う第三の工程を備えることがより好ましいとされている。
【0022】
この発明に係る試料の加工方法によれば、第二の工程後に、イオンビームを放出させるイオン源を少なく設定して第三の工程を行うことで、小電流のイオンビームによって仕上げ加工を行うことができ、加工の精度をより向上させることができる。
【0023】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオンビーム放出手段は、複数の前記イオン源として、ガスイオン源を備えることがより好ましいとされている。
また、上記の試料の加工方法において、前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源としてガスイオン源を備え、前記イオンビームとして前記ガスイオン源からガスイオンビームを照射することがより好ましいとされている。
【0024】
この発明に係る集束イオンビーム装置及び試料の加工方法によれば、イオン源から放出されるイオンビームをガスイオンビームとすることで、照射される試料表面の損傷を抑えることができる一方、複数のイオン源とすることによってガスイオンビームとすることによるスループットの低下を抑え、効率良く加工することができる。
【0025】
また、上記の集束イオンビーム装置において、前記イオンビーム放出手段は、複数の前記イオン源として、液体金属イオン源と、ガスイオン源とを備えるものとしても良い。
この発明に係る集束イオンビーム装置によれば、イオン源として液体金属イオン源と、ガスイオン源とを備えることで、その加工目的、要求される加工速度に応じて、金属イオンビームとガスイオンビームとを適時選択可能である。
【0026】
また、上記の試料の加工方法において、前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源としてガスイオン源と、液体金属イオン源とを備え、前記第二の工程は、前記イオンビームとして前記液体金属イオン源から金属イオンビームを照射するとともに、前記第一の工程及び前記第三の工程は、前記イオンビームとして前記ガスイオン源からガスイオンビームを照射することがより好ましいとされている。
この発明に係る試料の加工方法によれば、第一の工程においてはガスイオンビームを照射することで、試料を損傷させてしまうこと無く試料の観察、加工位置の決定を行い、第二の工程においては、金属イオンビームを照射することでより効率良く試料を加工することができる。また、第三の工程としてガスイオンビームで仕上げ加工することで、損傷を抑え、精度の良い断面を加工することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の集束イオンビーム装置によれば、複数のイオン源を有し、各々独立してイオンビームを放出可能であることで、電子部品などの大断面加工を、加工精度を確保しつつ効率良く観察、加工することが可能である。
本発明の試料の加工方法によれば、複数のイオン源によって、第一の工程及び第二の工程として放出するイオンビームの電流量を変えて観察、加工を行うことで、加工精度を確保しつつ効率良く加工することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、この発明に係る第1の実施形態を示している。図1に示すように、集束イオンビーム装置(FIB)1は、試料MにイオンビームIを照射することによって、試料Mの表面の観察、加工を行うものである。例えばウエハを試料Mとして配置し、TEM(透過型電子顕微鏡)観察用の試料の作製、あるいは、フォトリソグラフィ技術におけるフォトマスクを試料Mとして、フォトマスクの修正など一辺10μm程度の微細な観察、加工が可能である。あるいは、電子部品など100μm程度の断面加工、観察も可能なものである。以下、本実施形態における集束イオンビーム装置1の詳細について説明する。
【0029】
図1に示すように、集束イオンビーム装置1は、試料Mを配置可能な試料台2と、試料台2に配置された試料M対してイオンビームIを照射可能なイオンビーム鏡筒3とを備える。試料台2は、図示しない真空チャンバーの内部に配置されていて、内部は真空ポンプよって高真空雰囲気まで排気可能である。また、試料台2には図示しない三軸ステージが設けられていて、試料MをイオンビームIの照射方向であるZ方向と、Z方向と略直交する二軸であるX方向及びY方向に所定量移動させることが可能である。なお、これら三軸方向への移動とともにX、Y、Z軸回りに回転可能な構成としても良い。
【0030】
イオンビーム鏡筒3は、イオン源24を有しイオンビームを放出可能なイオンビーム放出手段4と、イオンビーム放出手段4から放出されたイオンビームを試料M上で集束させるイオンビーム光学系5とを備える。イオンビーム光学系5は、イオンビーム放出手段4側から試料M側へ順に、コンデンサレンズ6と、可動絞り7と、アライメント電極8と、ブランキング電極9と、非点補正器10と、走査電極11と、対物レンズ12とを備える。
【0031】
コンデンサレンズ6は、イオンビーム放出手段4から放出されたイオンビームを集束させるものであり、3枚の電極6a、6b、6cで構成されたアインツェルレンズである。これら3枚の電極6a、6b、6cには、それぞれ貫通孔が形成されていて、これにより入射口6d及び出射口6eを形成している。なお、図1において、コンデンサレンズ6はその一部を破断して示している。そして、外側の電極6a、6cを接地させるとともに、中間の電極6bに電圧を印加して電場を形成することで、入射口6dから入射するイオンビームを集束させて出射口6eから出射させることが可能である。また、可動絞り7は、異なる径の複数のアパーチャ7aを有するものであり、いずれかのアパーチャ7aを選択してイオンビームIの光軸と一致させるように配置させることで、アパーチャ7aの径と対応してイオンビームIを絞り込むことが可能なものである。
【0032】
また、アライメント電極8は、略円筒状に配列された複数の電極8aで構成されて、各々の電極8aに独立して電圧を印加して電場を形成することで、通過するイオンビームIの光軸のずれを修正するものである。また、ブランキング電極9は、対向する2枚の電極9aで構成され、電圧を印加し電場を形成することで、通過するイオンビームIを試料Mに照射されないように偏向させることが可能であり、これによりイオンビームIの試料Mへの照射の有無を切替することができる。また、非点補正器10は、略円筒状に配列された複数の電極10aで構成されて、各々の電極10aに独立して電圧を印加して電場を形成することで、通過するイオンビームIの断面形状の歪みの修正、すなわち非点補正を行うことができる。また、走査電極11は、略円筒状に配列された複数の電極11aで構成されて、各々の電極11aに独立して電圧を印加して電場を形成することで、試料M上におけるイオンビームIの照射位置をX軸方向及びY軸方向に自在に走査することが可能なものである。
【0033】
対物レンズ12は、上記構成によって、集束、偏向、補正等されたイオンビームIを、最終的に試料M上に集束させるものであり、コンデンサレンズ6同様、3枚の電極12a、12b、12cで構成されたアインツェルレンズである。なお、図1において、対物レンズ12はその一部を破断して示している。すなわち、外側の電極12a、12cを接地させるとともに、中間の電極12bに電圧を印加して電場を形成することで、入射口12dから入射するイオンビームIを集束させて出射口12eから出射させて、試料M上に照射することが可能である。
【0034】
次に、イオンビーム放出手段4について説明する。なお、図1において、イオンビーム放出手段4は、その一部を破断して示している。イオンビーム放出手段4は、それぞれイオンビームI1、I2、I3を放出可能な複数のイオン供給部21、22、23を備えている。イオン供給部21、22、23は、それぞれ、イオンビームI1、I2、I3となるイオンを発生するイオン源24と、イオン源24との間に電圧を印加してイオン源24からイオンビームI1、I2、I3それぞれを引き出す引出電極25と、引出電極25によって引き出されたイオンビームI1、I2、I3のそれぞれを集束させる集束レンズ26とを備える。イオン源24としては、ガリウムイオンなどの金属イオン源やアルゴンイオンやキセノンイオンなどのガスイオン源など様々なものを選択可能であるが、本実施形態においてはアルゴンイオン源を使用している。
【0035】
また、引出電極25は、貫通孔25aを有する略板状の部材である。図2は、イオン供給部21、22、23それぞれについて、イオン源24と、引出電極25との配線の概略を示したものである。図2に示すように、イオンビーム放出手段4は、引出電源27aと、引出電極27aに直列接続された加速電源27bとを有する電源部27を備えている。イオン供給部21、22、23の各引出電極25は、互いに並列となるようにして、引出電源27aと接続されている。また、イオン供給部21、22、23の各イオン源24は、互いに並列となるようにして、それぞれスイッチ27cによって加速電源27bに接続された状態と引出電源27aに接続された状態とに切替可能に接続されている。すなわち、各イオン供給部21、22、23のイオン源24と引出電極25との間には、加速電源27bによって印加する電圧と対応する電位差を各々独立させて切替可能に生じさせることができ、この電位差によってイオン源24からイオンを発生させ、貫通孔25aを介して各イオンビームI1、I2、I3を放出させることが可能である。
【0036】
また、各イオン供給部21、22、23の集束レンズ26は、貫通孔を有する2枚の電極26a、26bで構成されている。そして、例えば、試料M側に位置する電極26bに、引出電極25と同電位となるように電圧を印加するとともに、引出電極25側に位置する電極26aに、電極26b及び引出電極25と電位差が生じるように異なる電圧を印加することで、コンデンサレンズ6及び対物レンズ12と同様の作用により各イオンビームI1、I2、I3のそれぞれを集束させることができる。また、各イオン供給部21、22、23は、各イオンビームI1、I2、I3がコンデンサレンズ6の入射口6dで略一致して入射するように、各イオンビームI1、I2、I3の照射方向が設定されている。さらに、イオンビームI1、I2、I3は、それぞれと対応する集束レンズ26によって集束されるが、その焦点位置は、コンデンサレンズ6の入射口6dで略一致するように設定されている。そして、コンデンサレンズ6の入射口6dに入射するイオンビームI1、I2、I3は集束されて、コンデンサレンズ6の出射口6eからイオンビームIとして出射される。
【0037】
また、集束イオンビーム装置1は、試料台2に載置された試料MにおけるイオンビームIの照射位置にガスを導入可能なガス銃15と、試料MにイオンビームIを照射することで試料Mから発生する二次電子を検出可能な二次電子検出器16とを備える。ガス銃15から導入されるガスは、様々なものが選択されるが、その種類により選択性エッチングを行う、あるいは、そのガス成分を試料M上に成膜するデポジションを行うことなどが可能である。また、二次電子検出器16は、図示しない制御部と接続されていて、その検出結果に基づいて試料Mの表面の観察像を出力することが可能である。
【0038】
次に、集束イオンビーム装置1の作用について説明する。本実施形態において、例えば半導体装置を試料Mとして選択し、集束イオンビーム装置1によって半田ボールの断面観察を行う場合について説明する。このような場合、まず、第一の工程として、試料Mの表面の観察、及び、観察に基づく加工位置の決定を行う。より詳しくは、集束イオンビーム装置1のイオンビーム放出手段4において、イオン供給部21、22、23のいずれか一つのみを選択して、電源部27によってイオン源24と引出電極25との間に電圧を印加する。本実施形態の場合、イオン供給部21のみに電圧を印加したとする。このため、コンデンサレンズ6に入射するイオンビームは、イオン供給部21からのイオンビームI1のみとなり、試料Mに照射されるイオンビームIの電流量は小さいものとなる。そして、イオンビームIを試料M上で走査して、二次電子を二次電子検出器16で検出することで、試料Mの観察像を取得し、この観察像によって加工位置の決定を行う。この際、イオンビームIを小電流とすることによって、イオンビームIの照射によって試料Mに損傷を与えてしまうこと無く好適に観察することができ、また、加工位置を精度良く決定することができる。
【0039】
次に、第二の工程として、第一の工程に基づいて決定された加工位置に、断面を形成する。まず、全てのイオン供給部21、22、23におけるイオン源24と引出電極25との間に電源部27によって電圧を印加し、全てのイオンビームI1、I2、I3を放出させる。放出されたイオンビームI1、I2、I3は、コンデンサレンズ6によって集束されて一つのイオンビームIとして集束させて照射することができるので、イオン源24の数に応じて電流量を増大させることができる。このため、本実施形態のように半田ボールの断面観察における断面加工のように、一辺100μm程度の断面加工においても、精度を確保しつつ、効率良く断面加工を行うことができる。なお、第二の工程においては、全てのイオン源24からイオンビームを放出させるものとしたが、これに限るものでは無く、二つ以上のイオン源24から放出させるようにすれば良い。少なくとも第一の工程よりも多くのイオン源24からイオンビームを放出させることで効率化を図ることができる。
【0040】
そして、断面加工が完了したら、この断面の観察を行う。すなわち、再びイオン供給部21のみからイオンビームI1を放出ものとして、小電流としたイオンビームIを、形成した断面に照射する。そして、発生する二次電子を二次電子検出器16で検出することで、試料Mの断面を損傷させること無く、断面観察を行うことができる。
【0041】
以上のように、集束イオンビーム装置1によって試料加工を行うことで、第一の工程として試料Mに損傷を与えずに観察し、精度良く加工位置を決定できるとともに、第二の工程として精度を確保しつつ、電子部品などの大断面においても効率良く加工を行うことができる。また、第一の工程及び第二の工程は、イオンビーム放出手段4において電源部27によって電圧を印加する否かを選択するだけなので、試料の配置の変更などによるスループットの低下を防ぐことができる。また、本実施形態においては、イオン源24をアルゴンイオン源としてアルゴンイオンビームを使用しているが、このようにイオンビームIをガスイオンビームとすることで、形成される断面の損傷を抑えて良好な断面を作製することができる。また、イオンビームを金属イオンビーム、特にガリウムイオンビームとしてシリコンウエハなどに照射した場合、試料がガリウムによって汚染されるので、品質管理上製造ラインに戻すことができなくなってしまう。しかしながら、ガスイオンビームとすることで製造ラインに再び戻すことが可能となる。一方、ガスイオンビームの場合、金属イオンビームよりも輝度が低下してしまいスループットが低下してしまうという欠点を有するが、本実施形態のように、同時にイオンビームを放出させるイオン源を増やすことで、加工の効率化と、良好な断面形成とを同時に実現することができる。
【0042】
また、本実施形態においては、イオン供給部21、22、23から放出されるイオンビームI1、I2、I3がコンデンサレンズ6の入射口6dで略一致して入射するように設定されていることで、コンデンサレンズ6でより好適に集束させることができ、より精度良く断面加工を行うことができる。また、これらのイオンビームI1、I2、I3は、集束レンズ26によってそれぞれ集束させて入射口6dに入射されるため、拡散させず確実に入射口6dに入射させることができ、大電流のイオンビームIを効率良く照射し、エネルギー効率化、及び、スループットの向上を図ることができる。また、集束レンズ26によって縮小比を大きくすることができるとともに、各集束レンズ26による焦点位置が入射口6dで略一致していることで、イオンビームIをより好適に集束させて試料Mに照射することができ、さらに精度良く断面加工を行うことが可能となる。
【0043】
(第2の実施形態)
図3から図8は、この発明に係る第2の実施形態を示している。この実施形態において、前述した実施形態で用いた部材と共通の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0044】
図3に示すように、本実施形態の集束イオンビーム装置30は、イオン放出手段31として、略板状の引出電極32と、複数のイオン源33とを備える。引出電極32は、複数の貫通孔32aが配列して形成されている。また、イオン源33は、貫通孔32aと一対一に対応して配列している。本実施形態においては、引出電極32の貫通孔32a及びイオン源33は、4列×4列の計16組が正方状に、互いに干渉しないように配列している。なお、本実施形態においては、イオン源33ごとに引出電極等を設けない構成としているので、引出電極等の部材による空間的制約を受けることが無い。このため、イオン源33を密集して配置することができ、それ故に、複数のイオン源33は、コンデンサレンズ6の入射口6dと略等しい、若しくは、それよりも小さい範囲で配置されている。このため、集束レンズを設けることもなく、全てのイオンビームI33を入射口6dに入射させることが可能であり、イオン源33から放出されるイオンビームI33をイオンビーム光学系5によって好適に集束させて試料Mに照射することができる。また、イオン源33は、ガスイオン源でも金属イオン源でも良いが、例えば、第1の実施形態同様にアルゴンイオン源を使用している。また、図4に示すよう、引出電極32は、電源部27の引出電源27aと接続されている。また、複数のイオン源33は、互いに並列するようにして、それぞれスイッチ27cによって加速電源27に接続された状態と引出電源27aに接続された状態とに切替可能に接続されている。
【0045】
次に、集束イオンビーム装置30の作用について説明する。本実施形態においても同様に、半導体装置を試料Mとして、半田ボールの断面観察を行う場合について説明する。まず、第一の工程として、図5に示すように、スイッチ27cの切替によって一つのイオン源33aのみに電圧を印加してイオンビームI33を放出させる。そして、図6に示すように、コンデンサレンズ6の入射口6dから入射して集束されることで、イオンビームIは、小電流として、試料M上に照射される。このため、イオンビームIを試料M上で走査させて、二次電子検出器16によって二次電子を検出することで、試料Mに損傷を与えることなく好適に観察することができ、また、加工位置を精度良く決定することができる。
【0046】
次に、第二の工程として、図7に示すように、電源部27によって全てのイオン源33に電圧を印加することで、全てのイオン源33からイオンビームI33を放出させる。図3に示すように、全てのイオン源33から放出されたイオンビームI33は、イオン源33の配列と対応して略平行にコンデンサレンズ6の入射口6dに入射される。このため、図8に示すように、集束されて試料M上に照射されるイオンビームIは、コンデンサレンズ6及び対物レンズ12による縮小比に応じて集束されて、イオンビームI33が重なり合ったように形成される。そして、このようなイオンビームIを照射すれば、第1の実施形態同様にイオン源33の設置数に応じて電流量を増大させることができるので、精度を確保しつつ効率的に断面加工を行うことができる。そして、再び電圧を印加するイオン源33を一つとし、イオンビームIを小電流に設定して照射して、発生する二次電子を二次電子検出器16で検出することで、試料Mの断面を損傷させること無く断面観察を行うことができる。
【0047】
ここで、上記においては、第一の工程で試料の観察及び観察に基づく加工位置の決定を行い、第二の工程で決定された加工位置で断面加工を行うものとしたが、さらに第三の工程として仕上げ加工を行うものとしても良い。すなわち、第二の工程完了後、電圧を印加するイオン源33の数を、第二の工程の際よりも少なくして、小電流のイオンビームIとして試料Mに形成された断面に照射する。このため、第二の工程で形成された断面をさらに高精度で加工することができる。なお、さらに第四の工程を設けて、第二の工程、第三の工程、第四の工程と、段階的にイオンビームを放出させるイオン源を減らすよう西手も良い。また、上記においては、複数のイオン源33は、すべてアルゴンイオン源としたが、ガスイオン源と液体金属イオン源とが混在するものとしても良い。すなわち、イオン源33を、アルゴンイオン源と、ガリウムイオン源とで構成するようにすれば、第二の工程においては、ガリウムイオンビームのみで加工を行うことで、加工のスループットをさらに向上させることができる。一方、第一の工程では、アルゴンイオン源のみに電圧を印加してアルゴンイオンビームのみで観察行うことで、試料を損傷させることなく好適に観察することができる。また、第三の工程では、アルゴンイオン源のみに電圧を印加してアルゴンイオンビームのみで加工を行うことで、第二の工程で損傷してしまった部分を良好な断面に仕上げることが可能となる。
【0048】
また、図9は、本実施形態の第1の変形例の試料の加工方法を示している。図9に示すように、本実施形態の第1の変形例は、第二の工程において、全てのイオン源33からイオンビーム33を放出させずに、所定の配列となるように選択的にイオンビームI33を放出させている。図9においては、例えば、L字状の配列となるようにイオンビームI33を放出させている。この場合、イオンビーム光学系5で集束されたイオンビームIは、図10に示すように、この配列と対応してL字状の微細なパターンとして試料M上に照射することができる。このため、このような方法を選択すれば、そのパターンに応じて所望の加工形状を効率良く作製することができる。
【0049】
また、本実施形態の第2の変形例として、図11及び図12に示すようなイオンビーム放出手段35を備えるものとしても良い。すなわち、イオンビーム放出手段35において、引出電極36の貫通孔36aと、対応するイオン源33は、直線状に配列している。そして、図11に示すように、第一の工程においては、同様に一つのイオン源33aのみに電圧を印加してイオンビーム33を放出させることで、小電流でイオンビームを試料に照射する。また、図12に示すように、第二の工程においては、同様に全てのイオン源33に電圧を印加してイオンビームI33を放出させる。このため、図13に示すように、イオンビーム光学系5によって集束されたイオンビームIは、イオン源33の配列に応じて、直線状のパターンで試料Mに照射されることとなる。そして、このようなイオンビームIを直線状に形成されたパターンと交差する方向に、走査電極11によって走査することで、帯状に連続して試料Mを加工することができ効率的である。
【0050】
また、本実施形態の第3の変形例として、図14に示すようなイオンビーム放出手段40を備えるものとしても良い。すなわち、イオンビーム放出手段40において、引出電極41は、イオン源33側に凹面41aとなるような略球面状に形成されている。そして、イオン源33は、凹面41a側で、凹面41aの半径方向に沿って放射状に配列されている。このようなイオンビーム放出手段40によれば、それぞれのイオン源33から照射されたイオンビームI33は、凹面41aの曲率中心41bに配置された単一のイオン源から放出されたようにして放射状に放出されるので、イオンビーム光学系5において好適に集束させて試料Mに照射することができる。一方、イオンビームIの電流量は、イオン源33の設置数と対応することで、大電流のイオンビームIとして、試料Mを効率的に加工することができる。
【0051】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】この発明の第1の実施形態の集束イオンビーム装置の構成図である。
【図2】この発明の第1の実施形態の集束イオンビーム装置のイオンビーム放出手段の詳細図である。
【図3】この発明の第2の実施形態の集束イオンビーム装置の構成図である。
【図4】この発明の第2の実施形態の集束イオンビーム装置のイオンビーム放出手段の詳細図である。
【図5】この発明の第2の実施形態の第一の工程において、イオンビーム放出手段の拡大図である。
【図6】この発明の第2の実施形態の第一の工程において、(a)試料の拡大した断面図、(b)試料の拡大した平面図である。
【図7】この発明の第2の実施形態の第二の工程において、イオンビーム放出手段の拡大図である。
【図8】この発明の第2の実施形態の第二の工程において、(a)試料の拡大した断面図、(b)試料の拡大した平面図である。
【図9】この発明の第2の実施形態の第1の変形例の第二の工程において、イオンビーム放出手段の拡大図である。
【図10】この発明の第2の実施形態の第1の変形例の第二の工程において、試料の拡大した平面図である。
【図11】この発明の第2の実施形態の第2の変形例の第一の工程において、イオンビーム放出手段の拡大図である。
【図12】この発明の第2の実施形態の第2の変形例の第二の工程において、イオンビーム放出手段の拡大図である。
【図13】この発明の第2の実施形態の第2の変形例の第二の工程において、試料の拡大した斜視図である。
【図14】この発明の第2の実施形態の第3の変形例のイオンビーム放出手段の拡大図である。
【符号の説明】
【0053】
1、30 集束イオンビーム装置
2 試料台
4、31、35、40 イオンビーム放出手段
5 イオンビーム光学系
6d 入射口
21、22、23 イオン供給部
24、33 イオン源
25、32、36、41 引出電極
25a、32a、36a 貫通孔
41a 凹面
26 集束レンズ
27 電源部
I、I1、I2、I3、I33 イオンビーム
M 試料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を載置する試料台と、
イオンビームとなるイオンを発生させる複数のイオン源、該イオン源との間に印加された電圧によって該イオン源から前記イオンビームを引き出す引出電極、及び、該引出電極と複数の前記イオン源のそれぞれとの間に独立して電圧を印加可能な電源部とを有するイオンビーム放出手段と、
該イオンビーム放出手段から放出された複数の前記イオンビームを前記試料上で集束させることが可能なイオンビーム光学系とを備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源と、該イオン源のそれぞれに対応して設けられた前記引出電極とを有する複数のイオン供給部によって構成され、
複数の該イオン供給部は、それぞれから放出される前記イオンビームが前記イオンビーム光学系の入射口で略一致して入射するように、前記イオンビームの照射方向が設定されていることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項3】
請求項2に記載の集束イオンビーム装置において、
複数の前記イオン供給部は、前記引出電極から放出された前記イオンビームを集束させる集束レンズをそれぞれ有し、
該集束レンズによって集束される複数の前記イオンビームの焦点位置は、前記イオンビーム光学系の前記入射口で略一致するように、それぞれ設定されていることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項4】
請求項1に記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオンビーム放出手段の前記引出電極は、複数の貫通孔が形成された略板状の部材であり、複数の前記イオン源は、前記引出電極の前記貫通孔と対応して配列していることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項5】
請求項4に記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオン源は、直線状に配列していることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項6】
請求項4に記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオンビーム放出手段の前記引出電極は略球面状に形成され、複数の前記イオン源は、前記引出電極の凹面側で該凹面の半径方向に沿って放射状に配列していることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオンビーム放出手段は、複数の前記イオン源として、ガスイオン源を備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオンビーム放出手段は、複数の前記イオン源として、液体金属イオン源と、ガスイオン源とを備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項9】
請求項1に記載の集束イオンビーム装置を使用した試料の加工方法であって、
複数の前記イオン源のいずれか一つのみから前記イオンビームを放出させて前記試料上に照射することによって、前記試料の表面の観察、及び、該観察に基づく加工位置の決定を行う第一の工程と、
少なくとも二つ以上の前記イオン源から前記イオンビームを放出させて前記試料上に照射することによって、前記試料の加工を行う第二の工程とを備えることを特徴とする試料の加工方法。
【請求項10】
請求項9に記載の試料の加工方法において、
前記イオンビーム放出手段の複数の前記イオン源は直線状に配列されていて、
前記第二の工程は、該配列と対応して直線状のパターンで照射される複数の前記イオンビームを、該パターンの方向と交差する方向に走査して行うことを特徴とする試料の加工方法。
【請求項11】
請求項9に記載の試料の加工方法において、
複数の前記イオン源は、平面状に配列されていて、
前記第二の工程は、複数の前記イオン源のうち、所定の配列となるように選択的に前記イオンビームを放出させることで、該配列と対応したパターンで前記イオンビームを前記試料に照射させることを特徴とする試料の加工方法。
【請求項12】
請求項9から請求項11のいずれかに記載の試料の加工方法において、
前記第二の工程後に、該第二の工程の時よりも前記イオンビームを放出させる前記イオン源を少なく設定して前記試料上に照射することによって、前記試料の加工をさらに行う第三の工程を備えることを特徴とする試料の加工方法。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれに記載の試料の加工方法において、
前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源としてガスイオン源を備え、
前記イオンビームとして前記ガスイオン源からガスイオンビームを照射することを特徴とする試料の加工方法。
【請求項14】
請求項12に記載の試料の加工方法において、
前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源としてガスイオン源と、液体金属イオン源とを備え、
前記第二の工程は、前記イオンビームとして前記液体金属イオン源から金属イオンビームを照射するとともに、
前記第一の工程及び前記第三の工程は、前記イオンビームとして前記ガスイオン源からガスイオンビームを照射することを特徴とする試料の加工方法。
【請求項1】
試料を載置する試料台と、
イオンビームとなるイオンを発生させる複数のイオン源、該イオン源との間に印加された電圧によって該イオン源から前記イオンビームを引き出す引出電極、及び、該引出電極と複数の前記イオン源のそれぞれとの間に独立して電圧を印加可能な電源部とを有するイオンビーム放出手段と、
該イオンビーム放出手段から放出された複数の前記イオンビームを前記試料上で集束させることが可能なイオンビーム光学系とを備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源と、該イオン源のそれぞれに対応して設けられた前記引出電極とを有する複数のイオン供給部によって構成され、
複数の該イオン供給部は、それぞれから放出される前記イオンビームが前記イオンビーム光学系の入射口で略一致して入射するように、前記イオンビームの照射方向が設定されていることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項3】
請求項2に記載の集束イオンビーム装置において、
複数の前記イオン供給部は、前記引出電極から放出された前記イオンビームを集束させる集束レンズをそれぞれ有し、
該集束レンズによって集束される複数の前記イオンビームの焦点位置は、前記イオンビーム光学系の前記入射口で略一致するように、それぞれ設定されていることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項4】
請求項1に記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオンビーム放出手段の前記引出電極は、複数の貫通孔が形成された略板状の部材であり、複数の前記イオン源は、前記引出電極の前記貫通孔と対応して配列していることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項5】
請求項4に記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオン源は、直線状に配列していることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項6】
請求項4に記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオンビーム放出手段の前記引出電極は略球面状に形成され、複数の前記イオン源は、前記引出電極の凹面側で該凹面の半径方向に沿って放射状に配列していることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオンビーム放出手段は、複数の前記イオン源として、ガスイオン源を備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項8】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の集束イオンビーム装置において、
前記イオンビーム放出手段は、複数の前記イオン源として、液体金属イオン源と、ガスイオン源とを備えることを特徴とする集束イオンビーム装置。
【請求項9】
請求項1に記載の集束イオンビーム装置を使用した試料の加工方法であって、
複数の前記イオン源のいずれか一つのみから前記イオンビームを放出させて前記試料上に照射することによって、前記試料の表面の観察、及び、該観察に基づく加工位置の決定を行う第一の工程と、
少なくとも二つ以上の前記イオン源から前記イオンビームを放出させて前記試料上に照射することによって、前記試料の加工を行う第二の工程とを備えることを特徴とする試料の加工方法。
【請求項10】
請求項9に記載の試料の加工方法において、
前記イオンビーム放出手段の複数の前記イオン源は直線状に配列されていて、
前記第二の工程は、該配列と対応して直線状のパターンで照射される複数の前記イオンビームを、該パターンの方向と交差する方向に走査して行うことを特徴とする試料の加工方法。
【請求項11】
請求項9に記載の試料の加工方法において、
複数の前記イオン源は、平面状に配列されていて、
前記第二の工程は、複数の前記イオン源のうち、所定の配列となるように選択的に前記イオンビームを放出させることで、該配列と対応したパターンで前記イオンビームを前記試料に照射させることを特徴とする試料の加工方法。
【請求項12】
請求項9から請求項11のいずれかに記載の試料の加工方法において、
前記第二の工程後に、該第二の工程の時よりも前記イオンビームを放出させる前記イオン源を少なく設定して前記試料上に照射することによって、前記試料の加工をさらに行う第三の工程を備えることを特徴とする試料の加工方法。
【請求項13】
請求項9から請求項12のいずれに記載の試料の加工方法において、
前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源としてガスイオン源を備え、
前記イオンビームとして前記ガスイオン源からガスイオンビームを照射することを特徴とする試料の加工方法。
【請求項14】
請求項12に記載の試料の加工方法において、
前記イオンビーム放出手段は、前記イオン源としてガスイオン源と、液体金属イオン源とを備え、
前記第二の工程は、前記イオンビームとして前記液体金属イオン源から金属イオンビームを照射するとともに、
前記第一の工程及び前記第三の工程は、前記イオンビームとして前記ガスイオン源からガスイオンビームを照射することを特徴とする試料の加工方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−53003(P2008−53003A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226868(P2006−226868)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(503460323)エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社 (330)
【Fターム(参考)】
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