説明

集積回路装置、マイクロコンピュータ及び電子機器

【課題】データ解析結果をフィードバックさせてより精度の高い解析処理を可能とする集積回路装置、マイクロコンピュータ、電子機器を提供すること。
【解決手段】本集積回路装置10は、所与のパラメータ70、72、74、76、78に基づき、センサ100から受け取ったアナログ信号60に対して所定の周波数帯域を抽出してデジタル変換を行いデジタル信号を出力するアナログ信号処理回路40と、デジタル信号62に基づき、デジタルデータ列が描く波形の特徴抽出を行う特徴抽出処理手段50と、特徴情報64を受け取り、予め用意されたパラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルを用いて、アナログ信号処理回路の前記パラメータを調整するためのパラメータ調整値を演算するパラメータ調整値演算手段20、30とを含む。前記アナログ信号処理回路40は、パラメータの調整値に基づき前記所与のパラメータの値をプログラマブルに調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路装置、マイクロコンピュータ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
健康志向の高まりから脈波等の生体情報を簡単に取得できる計測器に対するニーズが高まっている。例えばホトカプラ、3軸加速度センサ、気圧センサからなる構成で毛細血管から脈波計測を行う機器では、従来各センサからのアナログ信号をA/D変換後、ソフト処理で解析演算等を行っていた。
【0003】
脈波計測測定用固定具としては特開昭62−183741号に開示される従来技術がある。
【特許文献1】特開昭62−183741号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここでより解析精度を向上させるためには、アナログデータ処理にデータ解析結果をフィードバックさせることが好ましい。
【0005】
またかかるフィードバックの具体的な内容は使用するセンサや計測したいデータに応じてフレキシブルに変更する必要がある。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、データ解析結果をフィードバックさせてより精度の高い解析処理を可能とする集積回路装置、マイクロコンピュータ、電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、
センサからのアナログ信号を受け取り解析処理を行う集積回路装置であって、
所与のパラメータに基づき、センサから受け取ったアナログ信号に対して所定の周波数帯域を抽出してデジタル変換を行いデジタル信号を出力するアナログ信号処理回路と、
アナログ信号処理回路から出力されたデジタル信号に基づき、デジタルデータ列が描く波形の特徴抽出を行う特徴抽出処理手段と、
前記特徴抽出処理手段によって抽出された特徴情報を受け取り、予め用意されたパラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルを用いてアナログ信号処理回路の前記パラメータを調整するためのパラメータ調整値を演算するパラメータ調整値演算手段とを、含み、
前記アナログ信号処理回路は、
前記パラメータの調整値に基づき前記所与のパラメータの値をプログラマブルに調整(設定又は変更)するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
アナログ信号処理回路は、たとえば受け取ったアナログ信号から所定の周波数帯域以外を遮断するフィルタや、アナログ信号を増幅するアンプや、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路等を含むようにしてもよい。ここで所与のパラメータとは、たとえばフィルタ遮断周波数を制御するためのパラメータや、アナログゲインを制御するためのパラメータや、A/D変換次のサンプリングレンジを制御するためのパラメータ等である。
【0009】
特徴抽出処理とは、デジタルデータ列が描く波形から変曲点等の特徴を抽出する処理であり、平均化処理や微分処理や積分処理等である。
【0010】
特徴情報とはデジタルデータ列が描く波形の変曲点等の情報である。
【0011】
予め用意されたパラメータ調整用アルゴリズムは、取得した特徴情報に対応したパラメータの調整に関する情報(調整の有無や調整の値)がプログラム化されたものを意味し、予め用意されたパラメータ調整用テーブルは、取得した特徴情報に対応したパラメータの調整に関する情報(調整の有無や調整の値)がテーブル化されたものを意味する。
【0012】
パラメータ調整値演算手段は、パラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルを用いてCPUがソフトウエア的に処理を行うので、使用するセンサや計測対象に応じてフレキシブルに処理内容を変更することが可能である。
【0013】
本発明によれば、アナログ信号の処理結果と、アナログ信号処理にフィードバックする補正内容の関係をあらかじめ分析して、測定対象や使用するセンサに対応した最適なフィードバック補正を行えるようにパラメータ調整用アルゴリズムやパラメータ調整用テーブルを用意しておくことにより、アナログ信号解析結果をフィードバックさせて、アナログ信号の解析精度を向上させることができる。
【0014】
(2)本発明の集積回路装置は、
前記アナログ信号処理回路は、
周波数帯域特定パラメータに基づきアナログ信号から所定の周波数帯域の信号を抽出するフィルタ回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴情報及び予め用意された周波数帯域特定パラメータ調整用アルゴリズム又は周波数帯域特定パラメータ調整用テーブルを用いて、前記周波数帯域特定パラメータの調整値を演算することを特徴とする。
【0015】
(3)本発明の集積回路装置は、
前記アナログ信号処理回路は、
ゲインパラメータに基づきゲインを調整してアナログ信号を増幅する増幅回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴情報及び予め用意されたゲインパラメータ調整用アルゴリズム又はゲインパラメータ調整用テーブルを用いて、前記ゲインパラメータの調整値を演算することを特徴とする。
【0016】
(4)本発明の集積回路装置は、
前記アナログ信号処理回路は、
レンジパラメータに基づきサンプリングレンジを調整してアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴情報及び予め用意されたレンジパラメータ調整用アルゴリズム又はレンジパラメータ調整用テーブルを用いて、前記レンジパラメータの調整値を演算することを特徴とする。
【0017】
(5)本発明の集積回路装置は、
前記特徴抽出処理手段は、
デジタルデータ列が描く波形の特徴抽出回路を含み、前記特徴抽出処理をハードウエア的に行うことを特徴とする。
【0018】
本発明によればハードウエア的にデジタルデータ列が描く波形の特徴抽出を行うことができる。従ってCPUに負担をかける事無くリアルタイムにデジタルデータ列が描く波形の特徴抽出を行うことができる。ハードウエア的に処理するのでCPUの処理負荷がかからず、処理スピードも速くなる
次段のパラメータ調整値演算手段は、CPUがソフトウエア的に処理を行うので必要に応じて特徴データを用いて調整演算を行うことが可能である。
【0019】
(6)本発明の集積回路装置は、
前記特徴抽出処理手段は、
所与のパラメータに基づき、デジタルデータ列が描く波形の特徴抽出回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴抽出処理手段によって抽出された特徴情報を受け取り、予め用意されたパラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルを用いて、特徴抽出回路の前記パラメータを調整するためのパラメータ調整値を演算し、
前記特徴抽出回路は、
前記パラメータの調整値に基づき前記所与のパラメータの値をプログラマブルに調整するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
(7)本発明の集積回路装置は、
前記特徴抽出処理手段は、
平均化スパン特定パラメータに基づき平均化のスパンを特定してデジタル信号の平均化処理を行う平均化処理回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴情報及び予め用意された平均化スパン特定パラメータ調整用アルゴリズム又は平均化スパン特定パラメータ調整用テーブルを用いて、前記平均化スパン特定パラメータの調整値を演算することを特徴とする。
【0021】
(8)本発明の集積回路装置は、
前記特徴抽出処理手段は、
微分内容特定パラメータに基づき微分処理の内容を特定してデジタル信号の微分処理を行う微分処理回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴情報及び予め用意された微分内容特定パラメータ調整用アルゴリズム又は微分内容特定パラメータ調整用テーブルを用いて、前記微分内容特定パラメータの調整値を演算することを特徴とする。
【0022】
微分処理の内容とは、微分処理の有無や何次の微分まで行うか等である。
【0023】
(9)本発明の集積回路装置は、
前記アナログ信号は、生体情報を計測するためのセンサの出力値であることを特徴とする。
【0024】
生体情報とは例えば脈、歩行、呼吸等であり、生体情報を計測するためのセンサとは、たとえばフォトセンサ(脈派を計測するときに使用)やサーモパイル(温度を計測するときに使用)やイメージセンサ(指紋等を計測するときに使用)等である。
【0025】
(10)本発明の集積回路装置は、
上記のいずれかに記載の集積回路装置を含むマイクロコンピュータである。
【0026】
(11)本発明は、
上記に記載のマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータの処理対象となるデータの入力源と、
前記マイクロコンピュータにより処理されたデータを出力するための出力装置とを含むことを特徴とする電子機器である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0028】
1.集積回路装置
図1は、本実施の形態の集積回路装置の機能について説明するための図である。
【0029】
本実施の形態の集積回路装置10は、センサ100からのアナログ信号60を受け取り解析処理を行う集積回路装置であって、所与のパラメータに基づき、センサ100から受け取ったアナログ信号60に対して所定の周波数帯域を抽出してデジタル変換を行いデジタル信号を出力するアナログ信号処理回路40と、アナログ信号処理回路40から出力されたデジタル信号62に基づき、デジタルデータ列が描く波形の特徴抽出(対象に応じて微分、積分)を行う特徴抽出処部50と、特徴抽出処理部50によって抽出された特徴情報64を受け取り、予め用意されたパラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルを用いて使用するセンサや計測する情報に応じてアナログ信号処理回路が処理に用いる前記パラメータの調整値を演算するパラメータ調整値演算部70とを含む。
【0030】
アナログ信号処理回路40は、フィルタ1、アンプ、フィルタ2、A/D変換回路46等を含み、パラメータの調整値に基づき前記所与のパラメータの値をプログラマブルに調整(設定又は変更)できるように構成されいる。
【0031】
また特徴抽出処理部50は、デジタルデータ列に対して平均化処理や1次微分処理や2次微分処理等を行いデジタルデータ列があらわす波形の特徴を抽出するが、たとえばこれを平均化回路や1次微分回路や2次微分回路等を設けハードウエア的に処理してもよいし、CPUに特徴抽出処理用のプログラムを実行させることでソフトウエア的に処理するようにしてもよい。
【0032】
パラメータ調整値演算部70は、CPUにパラメータ調整値演算処理用のプログラムを実行させることでソフトウエア的にパラメータ調整値を演算する。
【0033】
本実施の形態によれば、アナログ信号処理の結果出力されたデジタルデータの特徴をソフトウエア的に解析して、以降のアナログデータ処理のパラメータの値にフィードバックさせることができる。従ってフィードバックの具体的な内容を使用するセンサや計測するデータに応じてフレキシブルに変更することができる。
【0034】
図2は、本実施の形態の集積回路装置の構成について説明するための図である。
【0035】
本実施の形態の集積回路装置10は、センサ100からのアナログ信号60を受け取り解析処理を行う集積回路装置である。集積回路装置10は、所与のパラメータに基づき、センサ100から受け取ったアナログ信号60から所定の周波数帯域を抽出してデジタル変換を行いデジタル信号62を出力する。アナログ信号処理回路40は、フィルタ42、アンプ44、A/D変換回路46等を含む
集積回路装置10は、アナログ信号処理回路40から出力されたデジタル信号62に基づき、デジタルデータ列が描く波形の特徴抽出(対象に応じて微分、積分)を行う特徴抽出処理回路50を含む。特徴抽出処理回路50は、平均化処理回路52、微分回路54等を含む。なお測定対象によっては、積分回路を含むようにしてもよい。
【0036】
集積回路装置10は、CPU20、メモリ30を含む。CPU20、メモリ30は、特徴抽出処回路50によって抽出された特徴情報64を受け取り、メモリ30に予め記憶されたパラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルを用いて、アナログ信号処理回路40の前記パラメータを調整するためのパラメータ調整値を演算するパラメータ調整値演算手段として機能する。
【0037】
アナログ信号処理回路40は、パラメータの調整値71,73,75に基づき前記所与のパラメータ70、72、74の値をプログラマブルに調整(設定又は変更)できるように構成されている。パラメータの調整値71,73,75とはパラメータの値そのものでもよいし、パラメータの値の増減値でもよいし、その他のパラメータの調整に使用する値でもよい。
【0038】
またアナログ信号処理回路40は、周波数帯域特定パラメータ70に基づきアナログ信号から所定の周波数帯域の信号を抽出するフィルタ回路42を含むようにてもよい。そしてCPU20は特徴情報64、及びメモリ30に記憶された周波数帯域特定パラメータ調整用アルゴリズム又は周波数帯域特定パラメータ調整用テーブルを用いて、前記周波数帯域特定パラメータの調整値を演算するようにしてもよい。
【0039】
フィルタ回路42は、いろいろな周波数がのっている原信号から特定の周波数帯域(例えばxヘルツからyヘルツまでの周波数帯域)の信号を通過させ、それ以外の周波数の信号の通過を阻止する回路である。特定の周波数帯域は、周波数特定パラメータ70によって特定される。本実施の形態では周波数特定パラメータ70をプログラマブルに設定可能なので、アナログ信号解析結果に基づいて演算した周波数帯域調整値をフィードバックさせて、アナログ信号の解析精度を向上させることができる
例えばセンサからの値に基づいて脈波の計測を行う場合には、対象となる周波数は20Hzから0.01Hzであるため、その範囲で周波数帯域を指定又は調整するとよい。
【0040】
アナログ信号処理回路40は、ゲインパラメータ72に基づきゲインを調整してアナログ信号を増幅するアンプ(増幅回路)を含むようにしてもよい。そしてCPU20は、特徴情報、およびメモリ30に記憶されたゲインパラメータ調整用アルゴリズム又はゲインパラメータ調整用テーブルを用いて、前記ゲインパラメータの調整値を演算するようにしてもよい。
【0041】
アンプ(増幅回路)44は入力電圧を増幅する増幅回路であり、ゲインは入力電圧を増幅する度合いである。増幅の度合いはゲインパラメータによって決定される。本実施の形態ではゲインパラメータ72をプログラマブルに設定可能なので、アナログ信号解析結果に基づいて演算したゲイン調整値をフィードバックさせて、アナログ信号の解析精度を向上させることができる
アナログ信号処理回路40は、レンジパラメータ74に基づきサンプリングレンジを調整してアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を含むようにしてもよい。そしてCPU20は、特徴情報及びメモリ30に記憶されたレンジパラメータ調整用アルゴリズム又はレンジパラメータ調整用テーブルを用いて、前記レンジパラメータの調整値を演算するようにしてもよい。レンジパラメータ74は、アナログデータの波形からデジタル値をサンプリングするレンジを指定するものである。本実施の形態ではレンジパラメータ74をプログラマブルに設定可能なので、アナログ信号解析結果に基づいて演算したサンプリングレンジ調整値をフィードバックさせて、アナログ信号の解析精度を向上させることができる。
【0042】
例えばセンサからの値に基づいて脈波の計測を行う場合には、約10倍程度の周波数でサンプリングするとよいため、その前後でサンプリングレンジの調整を行うとよい。
【0043】
なおどの程度の周波数でサンプリングするのが適切であるかは、測定対象や測定目的や使用するセンサによって異なるので、それらに応じて適宜設定することとよい。
【0044】
前記特徴抽出処理部50は、デジタルデータ列が描く波形の特徴抽出回路を含み、前記特徴抽出処理をハードウエア的に行うようにしてもよい。
【0045】
本発明によればハードウエア的にデジタルデータ列が描く波形の特徴抽出を行うことができる。従ってCPUに負担をかける事無くリアルタイムにデジタルデータ列が描く波形の特徴抽出を行うことができる。そして次段のパラメータ調整値演算手段は、必要に応じて特徴データを用いて調整演算を行うことが可能である。
【0046】
特徴抽出処理部50は、平均化スパン特定パラメータ76に基づき平均化のスパンを特定してデジタル信号の平均化処理を行う平均化処理回路52を含む。この平均化処理によって変化が急峻になりすぎるところのノイズを除去することができる。なお呼吸性変動や歩行の変化などを測定するときには移動平均をとるようにしてもよい。
【0047】
そしてCPU20は、特徴情報64及びメモリ30に記憶された平均化スパン特定パラメータ調整用アルゴリズム又は平均化スパン特定パラメータ調整用テーブルを用いて、平均化スパン特定パラメータの調整値を演算するようにしてもよい。
【0048】
平均化スパン特定パラメータ76は、平均化処理を行う際の平均をとるデータの個数を指定するものである。本実施の形態では平均化スパン特定パラメータ76をプログラマブルに設定可能なので、アナログ信号解析結果に基づいて演算した平均化スパン調整値をフィードバックさせて、アナログ信号の解析精度を向上させることができる。
【0049】
前記特徴抽出処理部50は、微分内容特定パラメータ78に基づき微分処理の内容(微分処理の有無や何次の微分まで行うか)を特定してデジタル信号の微分処理を行う微分処理回路54を含む。そしてCPU20は、特徴情報64及びメモリ30に記憶された微分内容特定パラメータ調整用アルゴリズム又は微分内容特定パラメータ調整用テーブルを用いて、前記微分内容特定パラメータの調整値を演算するようにしてもよい。
【0050】
本実施の形態では微分内容特定パラメータ78をプログラマブルに設定可能なので、アナログ信号解析結果に基づいて演算した微分内容調整値をフィードバックさせて、アナログ信号の解析精度を向上させることができる。
【0051】
図3は、デジタルデータの処理(特徴抽出処理)のブロックダイアグラムの一例である。
【0052】
デジタル平均化処理/シリアルパラレル変換処理部49の出力はデジタルフィルタ53に入力されると共に、レジスタ81に特徴情報として保持される。
【0053】
またデジタルフィルタ53の出力はバッファ55に入力され、バッファ55の出力は微分回路(1段目)56に入力されると共に、レジスタ82に特徴情報として保持される。
【0054】
また微分回路(1段目)56の出力は、微分回路(2段目)57に入力されると共にレジスタ83に特徴情報として保持される。
【0055】
そして微分回路(2段目)57の出力はレジスタ84に特徴情報として保持される。
【0056】
レジスタ81〜84に保持された特徴情報は、CPUが処理を行うタイミングでCPUによって読み出される。
【0057】
図4は、本実施の形態のソフトウエアによるフィードバックについて説明するためのフローチャート図である。
【0058】
まずデータベース(DB1)に格納されているデータに基づき測定対象に合わせたフィルタパラメータの事前設定を行う(ステップS10)。データベース(DB1)には、測定対象とそれに対応する周波数帯域等が記憶されている。
【0059】
次にオペアンプのゲインの調整を行う(ステップS20)。ゲインの調整はパラメータ調整値等に基づき行うようにしてもよい。
【0060】
次にA/Dコンバータのレンジの調整を行う(ステップS30)。レンジの調整はパラメータ調整値等に基づき行うようにしてもよい。
【0061】
そしてアナログデータが測定可能か否か判断し、測定可能となるまでステップS20〜S40の処理を繰り返す(ステップS40)。
【0062】
アナログ測定可能になったら、アナログ測定結果の出力値に対してデジタルデータ後処理(特徴抽出処理)を行い、データベース(DB2)に格納されているデータに基づきデジタルデータ後処理のデータの確からしさを検証する(ステップS50、S60、S70)。データベース(DB2)には、デジタルデータ後処理の結果の確からしさを判断するために必要な情報が記憶されている。
【0063】
データが確からしい場合には、確からしくなくなるまでステップS50〜S70の処理を繰り返す。
【0064】
データが確からしくない場合には、デジタルパラメータ(特徴抽出処理部)の調整値を演算し、調整値に基づき特徴抽出処理部のパラメータをプログラマブルに設定/変更する。特徴抽出処理部のパラメータには、平均化処理を行う際の平均化特定パラメータや、微分処理回路の微分内容特定パラメータ等がある。
【0065】
そして、データベース(DB2)に格納されているデータに基づきデジタルパラメータ調整後のデータの確からしさを検証する(ステップS90)。
【0066】
データが確からしい場合には、確からしくなくなるまでステップS50〜S90の処理を繰り返す。
【0067】
データが確からしくない場合には、フィルタパラメータの調整を行って(ステップS100)、ステップS20に戻る。
【0068】
図5は本実施の形態の脈派計測のヒューリスティックなアルゴリズムについて説明するための図である。
【0069】
210は脈派計測用のアナログデータ(たとえば脈派計測用のフォトセンサの検出信号)の示す原波形であり、220は原波形の2次微分波形である。
【0070】
本実施の形態では、この原波形210および2次微分波形から編曲点(特徴)を抽出する。
【0071】
たとえばa→bでは心収縮力(インジェクションウェーブ)の特徴をあらわし、f→eでは大動脈弁閉の特徴をあらわし、c、dは抹消血反射の特徴を現している。
【0072】
そして心収縮力(インジェクションウェーブ)や大動脈弁閉や抹消血反射についての過去のデータに基づき、データの確からしさをしめす許容範囲や許容範囲を超えた場合の修正情報等をあらかじめパラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルに組み込んでおき、アナログ信号解析結果に基づいて演算したパラメータ調整値をアナログ信号処理や特徴抽出処理にフィードバックさせて、脈派アナログデータの解析精度を向上させることができる。
【0073】
2.マイクロコンピュータ
図6は、本実施の形態のマイクロコンピュータのハードウエアブロック図の一例である。
【0074】
本マイクロコンピュータ700は、CPU510、キャッシュメモリ520、RAM720、ROM710、MMU730、LCDコントローラ530、リセット回路540、プログラマブルタイマ550、リアルタイムクロック(RTC)560、DMAコントローラ570、割り込みコントローラ580、通信制御回路(シリアルインターフェース)590、バスコントローラ600、アナログ信号回路610、D/A変換器620、入力ポート630、出力ポート640、I/Oポート650、クロック発生装置660、プリスケーラ670及びそれらを接続する汎用バス680、特徴抽出処理回路740、専用バス750等、各種ピン690等を含む。
【0075】
3.電子機器
図7に、本実施の形態の電子機器のブロック図の一例を示す。本電子機器800は、マイクロコンピュータ(またはASIC)810、入力部820、メモリ830、電源生成部840、LCD850、音出力部860を含む。
【0076】
ここで、入力部820は、種々のデータを入力するためのものである。マイクロコンピュータ810は、この入力部820により入力されたデータに基づいて種々の処理を行うことになる。メモリ830は、マイクロコンピュータ810などの作業領域となるものである。電源生成部840は、電子機器800で使用される各種電源を生成するためのものである。LCD850は、電子機器が表示する各種の画像(文字、アイコン、グラフィック等)を出力するためのものである。 音出力部860は、電子機器800が出力する各種の音(音声、ゲーム音等)を出力するためのものであり、その機能は、スピーカなどのハードウェアにより実現できる。
【0077】
図8(A)に、電子機器の1つである携帯電話950の外観図の例を示す。この携帯電話950は、入力部として機能するダイヤルボタン952や、電話番号や名前やアイコンなどを表示するLCD954や、音出力部として機能し音声を出力するスピーカ956を備える。
【0078】
図8(B)に、電子機器の1つである携帯型ゲーム装置960の外観図の例を示す。この携帯型ゲーム装置960は、入力部として機能する操作ボタン962、十字キー964や、ゲーム画像を表示するLCD966や、音出力部として機能しゲーム音を出力するスピーカ968を備える。
【0079】
図8(C)に、電子機器の1つであるパーソナルコンピュータ970の外観図の例を示す。このパーソナルコンピュータ970は、入力部として機能するキーボード972や、文字、数字、グラフィックなどを表示するLCD974、音出力部976を備える。
【0080】
本実施の形態のマイクロコンピュータを図8(A)〜図8(C)の電子機器に組みむことにより、低価格で画像処理速度の速いコストパフォーマンスの高い電子機器を提供することができる。
【0081】
なお、本実施形態を利用できる電子機器としては、図8(A)、(B)、(C)に示すもの以外にも、携帯型情報端末、ページャー、電子卓上計算機、タッチパネルを備えた装置、プロジェクタ、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置等のLCDを使用する種々の電子機器を考えることができる。
【0082】
なお、本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0083】
例えば上記実施の形態では、脈派を計測する場合を例にとり説明したがこれに限られない。例えばGYROセンサの出力データを解析す集積回路装置でもよい。GYROセンサは角速度(単位時間の回転角)を出力するので、方向検出や振動検出を行うことができる。
【0084】
方向検出では、現在向いている方向を検出する場合、ゼロ点からの角速度x時間を積分していくようにしてもよい。したがって方向検出時、低い周波数成分を絶対精度よく取り出すようにすることができる。例えばオーバーサンプリングでもサンプリング周波数は低めに、平均化処理のスパンは長めい(1個のノイズの影響を排除、絶対精度をもとめる)、絶対値を積算するので微分処理停止となるようにパラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルを設定しておくようにしてもよい。
【0085】
また振動検出では、ある時刻での振動の大きさを検出する場合、角速度の瞬間値が問題となる。したがって振動検出時、高い周波数に対応することが必要で、角加速度変動大きい場合は振動に対する補正不能となる。例えばサンプリング周波数は高めに、平均化処理は最低限のノイズをリジェクトするように短めに、微分処理実施、角加速度大の場合(ブレ大きすぎる場合)を検出するようにパラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルを設定しておくようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施の形態の集積回路装置の機能について説明するための図。
【図2】本実施の形態の集積回路装置の構成について説明するための図。
【図3】デジタルデータの処理(特徴抽出処理)のブロックダイアグラムの一例。
【図4】本実施の形態のフローチャート図。
【図5】本実施の形態の脈派計測について説明するための図。
【図6】本実施の形態のマイクロコンピュータのハードウエアブロック図の一例。
【図7】マイクロコンピュータを含む電子機器のブロック図の一例を示す。
【図8】図8(A)(B)(C)は、種々の電子機器の外観図の例である。
【符号の説明】
【0087】
1 集積回路装置、20 CPU、30 メモリ、40 アナログ信号処理回路、42 フィルタ、44 アンプ、46 A/D変換回路、50 特徴抽出処理回路、52平均化処理回路、54 微分回路、60 アナログ信号、62 デジタル信号、64 特徴情報、70 周波数帯域特定パラメータ、71 周波数帯域特定パラメータ調整値、72 ゲインパラメータ、73 ゲインパラメータ調整値、74 レンジパラメータ、75 レンジパラメータ調整値、76 平均化スパンパラメータ、77 平均化スパンパラメータ調整値、78 微分内容特定パラメータ、79 微分内容特定パラメータ調整値、510 CPU、520 キャッシュメモリ530 LCDコントローラ、540 リセット回路、550 プログラマブルタイマ、560 リアルタイムクロック(RTC)、570 DMAコントローラ兼バスI/F、580 割り込みコントローラ、590 通信制御回路、600 バスコントローラ、610 アナログ信号処理回路、620 D/A変換器、630 入力ポート、640 出力ポート、650 I/Oポート、660 クロック発生装置(PLL)、670 プリスケーラ、680 汎用バス、690 各種ピン、700 マイクロコンピュータ、710 ROM、720 RAM、730 MMU、740 特徴抽出処理回路、750 専用バス、800 電子機器、810 マイクロコンピュータ(ASIC)、820 入力部、830 メモリ、840 電源生成部850 LCD、860 音出力部、950 携帯電話、952 ダイヤルボタン、954 LCD、956 スピーカ、960 携帯型ゲーム装置、962 操作ボタン、964 十字キー、966 LCD、968 スピーカ、970 パーソナルコンピュータ、972 キーボード、974 LCD、976 音出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサからのアナログ信号を受け取り解析処理を行う集積回路装置であって、
所与のパラメータに基づき、センサから受け取ったアナログ信号に対して所定の周波数帯域を抽出してデジタル変換を行いデジタル信号を出力するアナログ信号処理回路と、
アナログ信号処理回路から出力されたデジタル信号に基づき、デジタルデータ列が描く波形の特徴抽出を行う特徴抽出処理手段と、
前記特徴抽出処理手段によって抽出された特徴情報を受け取り、予め用意されたパラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルを用いて、アナログ信号処理回路の前記パラメータを調整するためのパラメータ調整値を演算するパラメータ調整値演算手段とを、含み、
前記アナログ信号処理回路は、
前記パラメータの調整値に基づき前記所与のパラメータの値をプログラマブルに調整するように構成されていることを特徴とする集積回路装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記アナログ信号処理回路は、
周波数帯域特定パラメータに基づきアナログ信号から所定の周波数帯域の信号を抽出するフィルタ回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴情報及び予め用意された周波数帯域特定パラメータ調整用アルゴリズム又は周波数帯域特定パラメータ調整用テーブルを用いて、前記周波数帯域特定パラメータの調整値を演算することを特徴とする集積回路装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかにおいて、
前記アナログ信号処理回路は、
ゲインパラメータに基づきゲインを調整してアナログ信号を増幅する増幅回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴情報及び予め用意されたゲインパラメータ調整用アルゴリズム又はゲインパラメータ調整用テーブルを用いて、前記ゲインパラメータの調整値を演算することを特徴とする集積回路装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記アナログ信号処理回路は、
レンジパラメータに基づきサンプリングレンジを調整してアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴情報及び予め用意されたレンジパラメータ調整用アルゴリズム又はレンジパラメータ調整用テーブルを用いて、前記レンジパラメータの調整値を演算することを特徴とする集積回路装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記特徴抽出処理手段は、
デジタルデータ列が描く波形の特徴抽出回路を含み、前記特徴抽出処理をハードウエア的に行うことを特徴とする集積回路装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記特徴抽出処理手段は、
所与のパラメータに基づき、デジタルデータ列が描く波形の特徴抽出回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴抽出処理手段によって抽出された特徴情報を受け取り、予め用意されたパラメータ調整用アルゴリズム又はパラメータ調整用テーブルを用いて、特徴抽出回路の前記パラメータを調整するためのパラメータ調整値を演算し、
前記特徴抽出回路は、
前記パラメータの調整値に基づき前記所与のパラメータの値をプログラマブルに調整するように構成されていることを特徴とする集積回路装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかにおいて、
前記特徴抽出処理手段は、
平均化スパン特定パラメータに基づき平均化のスパンを特定してデジタル信号の平均化処理を行う平均化処理回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴情報及び予め用意された平均化スパン特定パラメータ調整用アルゴリズム又は平均化スパン特定パラメータ調整用テーブルを用いて、前記平均化スパン特定パラメータの調整値を演算することを特徴とする集積回路装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかにおいて、
前記特徴抽出処理手段は、
微分内容特定パラメータに基づき微分処理の内容を特定してデジタル信号の微分処理を行う微分処理回路を含み、
前記パラメータ調整値演算手段は、
前記特徴情報及び予め用意された微分内容特定パラメータ調整用アルゴリズム又は微分内容特定パラメータ調整用テーブルを用いて、前記微分内容特定パラメータの調整値を演算することを特徴とする集積回路装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかにおいて、
前記アナログ信号は、生体情報を計測するためのセンサの出力値であることを特徴とする集積回路装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載の集積回路装置を含むマイクロコンピュータ。
【請求項11】
請求項10に記載のマイクロコンピュータと、
前記マイクロコンピュータの処理対象となるデータの入力源と、
前記マイクロコンピュータにより処理されたデータを出力するための出力装置とを含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−324993(P2006−324993A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−146839(P2005−146839)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】