説明

難溶性薬剤物質を含有する医薬製剤

【課題】新規難溶性薬剤物質を含有する医薬製剤の提供。
【解決手段】軟カプセル充填用の濃縮溶液;硬カプセル充填用の固体分散体および懸濁液の形の難溶性薬剤物質の医薬製剤が提供される。使用する溶剤系は、キシリトール、リン酸二カルシウム二水和物、ラクトース一水和物、微結晶セルロース、プロピレングリコール、およびNaOHを含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、各々1997年3月3日に出願された同時係属米国出願第08/813,946号、同第08/808,761号および同第08/810,559号の一部係属出願である。
発明の背景
1.発明の分野
本発明は、難溶性医薬物質と医薬上許容される担体とを含有する医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
2.報告された開発
難溶性薬剤物質は、十分な生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)を得るために、それらを粉砕によって400 nm未満の有効平均粒度を有するナノ粒子へと微粉砕することにより、医薬上許容される担体中に製剤されている。しかしながら、ナノ粒子が凝集しないようにするために、様々な界面活性剤が使われた。そのような剤は望ましくなく、また他の方法で有効な投与製剤中に含むことができる薬剤の総量を減少させてしまう。
【0003】
水難溶性である薬剤の溶解速度と生物学的利用能を増加させるために固体分散体も使われている。使用されている担体は、易溶性である生理学的に不活性な化合物、例えばポリエチレングリコールである。固体分散体を調製するのに用いられている2つの技術は融解技術と溶剤技術である。融解技術では、薬剤物質を溶融担体中に溶解しそして混合物を冷却して固体を形成させる。溶剤技術では、薬剤物質と担体を溶剤に溶解し、次いで蒸発または凍結乾燥により溶剤を除去する。
【0004】
優れた医薬特性を特徴とする固体分散体の調製は困難である。調製中に頻繁に起こる問題としては次のものが挙げられる:溶融担体の温度での薬剤の分解;溶融担体と薬剤との反応;および生成物の不完全な凝固、例えば担体が大部分非晶質のままであること。p−アミノ安息香酸とキシリトールとのエステルから調製した固体分散体は、例えばSirenius他, J. Pharm. Sci., 66 (6), 1979年6月,により開示されている。
【0005】
本発明は、難溶性薬剤物質、特に、精神病の治療にNT−拮抗剤としてかなり有望であることが示されているSR48692 を含有する医薬製剤に向けられる。SR48692 およびそれの調製方法はBoigegrain他により米国特許第5,420,141 号明細書(実施例13)において記載されている。SR48692 は下記の構造式を有する:
【化1】

【0006】
SR48692 は、一部はそれが有機溶剤中であっても非常に低い溶解度を有するために、医薬組成物へと製剤するのが異常に困難であることがわかっている。
【0007】
PCT/US87/02629は、軟カプセル充填に適した濃縮溶液を調製するために酸性、塩基性または両性の医薬物質の溶解度を高める溶剤系を開示している。この溶剤系は医薬物質1モル当量あたり0.2 〜1.0 モル当量のイオン化剤を含むポリエチレングリコールと1〜20%の水を含んで成る。そのような溶剤系中にSR48692 を製剤する試みは成功しなかった。
【0008】
Sheen他, Int. J. Pharm., 118(2), 221-227, 1995は、RP69698が高度に可溶性である水溶性担体を使った融解法により調製された、水難溶性薬剤RP69698 の固体分散体を開示している。固体分散体中に混和させる時には、製剤はPEG 3350、トランスクトールおよびラブラゾールを含有する。
【発明の概要】
【0009】
発明の要約
本発明者らは、本明細書に開示される方法を使って、ある溶剤を含む医薬上許容される担体中に難溶性薬剤物質を混和させることができることを発見した。
【0010】
本発明は、様々な薬剤物質を使って実施することができる。薬剤物質は本質的に純粋な形で存在するのが好ましい。薬剤物質は難溶性であってもよいが、少なくとも1つの液体媒質中には可溶でなければならない。「難溶性」とは、薬剤物質が水性媒質中で約10mg/ml、好ましくは約1mg/ml未満の溶解度を有することを意味する。
【0011】
適当な薬剤物質は、次のものをはじめとする様々な薬剤のクラスから選択することができる:例えば、鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗体(ペニシリンを含む)、抗凝固薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗ムスカリン薬、抗菌薬、抗腫瘍薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安薬(催眠薬および神経弛緩薬)、収れん薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、血液製剤および代用血液、心変力作用薬、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳薬(去痰薬および粘液溶解薬)、診断薬、画像診断薬、利尿薬、ドーパミン作用薬(抗パーキンソン病薬)、止血薬、免疫薬、脂質調節薬、筋弛緩薬、副交換神経作用薬、副甲状腺カルシトニンおよびバイホスホネート、プロスタグランジン、放射性薬品、性ホルモン(ステロイドを含む)、抗アレルギー薬、刺激薬および食欲抑制薬、交換神経作用薬、甲状腺製剤、血管拡張薬並びにキサンチン。好ましい薬剤物質は経口投与用のものを含む。こららの薬剤クラスの説明および各クラス内の種類の一覧は、Martindale, the extra Pharmacopoeia, 第29版, the Pharmaceutical Press, London, 1989に見つけることができ、その開示は全内容が参考として本明細書中に組み込まれる。薬剤物質は市販されておりそして/または当該技術分野で既知の方法により調製することができる。
【0012】
本発明の目的上好ましい薬剤物質はナプロキシン(Naproxyn)および化合物SR48692 である。
【0013】
ナプロキシンは下記の化学構造を有する(S)−6−メトキシ−α−メチル−2−ナフタレン酢酸であり、
【化2】

これは従来技術において周知であり、そしてその調製は例えば米国特許第3,904,682 号および同第4,009,197 号明細書に開示されている。
【0014】
下記の化学構造を有するSR48692 は米国特許第5,420,141 号明細書に開示されている。
【化3】

前記特許は参考として本明細書中に組み込まれる。
【0015】
固体分散体IAおよびIB
IA) 本発明者らは、同時係属米国特許出願第08/813,946号明細書中に記載したように(その全内容が参考として本明細書中に組み込まれる)、トランスクトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)とキシリトールの組合せは、不純物および/または分解生成物を減らすことができる固体医薬分散体用の担体を提供することを発見した。この分散体は高度の結晶性および許容される吸湿性を維持し、且つ迅速に水に溶解しそして良好な生物利用能を有する。
【0016】
本発明によれば、難溶性薬剤物質、トランスクトールおよびキシリトールを含んで成る固体分散体が提供される。
【0017】
本発明の別の態様では、難溶性物質をトランスクトール中に溶解する段階およびその溶液にキシリトールを添加する段階を含んで成る、そのような分散体の調製方法が提供される。
IB) 更に研究する過程で、本発明者らは流動床の中での噴霧造粒法を使ってトランスクトールをプロピレングリコールで置き換えることができることを発見した。この方法は次の段階を含んで成る:
a) プロピレングリコールと水性水酸化ナトリウムを含有する系にSR48692 または別の難溶性薬剤を添加することにより薬液を調製し;所望によりこの薬液を水性キシリトール溶液に添加し;そして
b) 薬液を種粉末上に噴霧することにより、薬液をキシリトール、リン酸二カルシウム二水和物、またはラクトース一水和物と微結晶セルロースの混合物のような種粉末に添加する。
【0018】
濃縮溶液IIAおよびIIB
IIA) 本発明者らは、同時係属米国出願第08/808,761号(この出願は参考として本明細書中に組み込まれる)明細書に開示したように、SR48692 または別の難溶性薬剤を活性成分としてポリエチレングリコール(PEG)、NaOHおよびH2O 中に混和させることができ、ここで活性成分1モル当量あたりのNaOHのモル当量が少なくとも1.1 であることを発見した。
【0019】
この製剤は、水性NaOHをポリエチレングリコールに添加することにより調製した。溶液が形成するまで活性成分SR48692 をPEG-NaOH溶液に添加した。あるいは、活性成分を混合しながらPEG 中に分散させた。その後、NaOH溶液を加えて活性成分を溶解させた。その後、剤形を製造するための当該技術分野で既知の技術に従って、この溶液製剤を軟カプセル中に封入した。
【0020】
IIB) 更に研究する過程で、本発明者らは、ポリエチレングリコールをプロピレングリコールで置き換えることができることを発見した。この方法は次の段階を含んで成る:
a) 水性NaOHをプロピレングリコールに添加し;
b) 水性NaOH/プロピレングリコールにSR48692 または別の難溶性有機酸薬剤を添加して活性薬剤の溶液を生じさせ;そして
c) 該溶液を軟カプセル中に封入する。
あるいは、活性薬剤をまず混合しながらプロピレングリコール中に分散させ、次いで水性NaOHを添加して活性薬剤を溶解させることができる。
【0021】
本発明の更に別の態様は、難溶性薬剤、プロピレングリコール、NaOHおよび水を含んで成り、ここで難溶性薬剤1モル当量あたりのNaOHのモル当量が少なくとも1.1 である医薬製剤に関する。
【0022】
懸濁液III AおよびIII B
III A) 本発明者らは、同時係属米国出願第08/810,559号(この出願は参考として本明細書中に組み込まれる)明細書に開示したように、SR48692 または別の難溶性薬剤を活性成分として溶媒系に混和させて、硬カプセル充填に適当な高濃縮溶液を調製できることを発見した。
【0023】
懸濁液は下記の成分を含んで成る:
0.1 〜40重量%のSR48692 ;
0.1 〜40重量%のトランスクトール;
0.1 〜99重量%のデンプン;
NaOH;および
H2O 。
【0024】
この懸濁液は、SR48692 を所望によりPEG と組み合わせた溶剤トランスクトールに添加することにより調製することができる。次いで水性NaOHを添加することによりSR48692 を溶かした。制御された沈澱を引き起こす水を加えることにより懸濁液が得られた。懸濁液へのデンプンの添加が、カプセル殻の完全性を保持しながら硬カプセル中に製剤を充填できるようにする。
【0025】
III B) 更に研究する過程で、本発明者らは、懸濁液中のトランスクトールをプロピレングリコールにより置き換えて、硬カプセル充填に適した高濃縮懸濁液を調製できることを発見した。
この懸濁液は下記の成分を含んで成る:
0.1 〜40重量%のSR48692 ;
0.1 〜40重量%のプロピレングリコール;
0.1 〜99重量%のデンプン;
NaOH;および
H2O 。
デンプンは別の希釈剤、例えば微結晶セルロースやラクトースにより置き換えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
好ましい態様の記載
固体懸濁液IAおよびIB
IA) トランスクトール(Transcutol)はジエチレングリコールモノエチルエーテルとしても知られる。本発明の分散体中、トランスクトールは固体分散体の0.1 〜30重量%、好ましくは0.5 〜25重量%、最も好ましくは1〜20重量%の量で存在する。トランスクトールは市販されておりそして/または当業者に周知の技術により調製することができる。
【0027】
キシリトールは、構造 CH2OH(CHOH)3CH2OHと分子量 152.1を有するキシロースから誘導された五価アルコールである。本発明の分散体中、キシリトールは固体分散体の40〜99.9重量%、好ましくは45〜99.5重量%、最も好ましくは50〜99重量%の量で存在する。キシリトールは市販されておりそして/または当業者に周知の技術により調製することができる。
【0028】
本発明の分散体中、薬剤物質は固体分散体の0.1 〜30重量%、好ましくは0.5 〜25重量%、最も好ましくは1〜20重量%の量で存在する。好ましい態様では、薬剤物質がSR48692 である。
【0029】
SR48692
SR48692 を許容できる固体分散体へと製剤するために多大な努力を行った。後述するように、この化合物を常用の固形担体、例えば高分子量ポリエチレングリコール中に製剤する試みは満足できる結果を与えなかった。
【0030】
分散体は次の段階により調製することができる:難溶性薬剤物質を所望により強塩基、例えばNaOHまたはKOH の存在下でトランスクトール中に溶解し、そしてこの溶液にキシリトールを添加して結晶分散体を形成させる。酸の形の薬剤物質を使う時、強塩基の存在が好ましい。薬剤物質1当量あたり塩基1モル当量までまたはそれ以上を使用できる。最終分散体中、薬剤物質は、選択される薬剤物質と薬剤濃度に依存して結晶状態か非晶質のいずれかであることができる。
次の実施例は本発明を更に例証する。
【実施例】
【0031】
実施例1〜4
固体SR48692 分散体の調製および比較例A〜D
SR48692 を塩基性溶剤系に溶解することによる溶液の形成が最初の段階であった。SR48692 を、SR48692 とほぼ化学量論量で水性水酸化ナトリウムまたはカリウムを添加したPEG 400 またはトランスクトール(Gattefosseから入手可能なジエチレングリコールモノエチルエーテル)中に溶解させた。Gattefosseから入手可能な有機溶剤トランスクトール中のSR48692 の懸濁液に、濃厚な水性水酸化ナトリウム(35% w/v)または水酸化カリウム(45% w/v)を添加した;溶解は15分以内に起こった。最初は、塩基として水酸化ナトリウムを使って製剤を調製したが、後の製剤では水酸化カリウムを使った。次いで塩基性溶液を様々なレベルで溶融PEG 8000またはキシリトールに添加して、およそ9%までの最終薬剤濃度の分散体を製造した。担体へのSR48692 の添加後、系を約2分間混合し、次いで20℃で一晩結晶化させておいた。下記に列挙するものは、調査した組合せである。
【0032】
【表1】

【0033】
効力の測定のためおよび不純物レベルを確認するためにHPLC結果を得た。使用したカラムはC18カラムであり、移動相は1.0 ml/分の流速での0.01M第一リン酸カルシウム(pH=2.5)/アセトニトリル(270/730 )から成った。注入容量は10μlであり、検出法はUV(230 nmで)であった。実験を通じて使用した機器は HewlettPackard 1050システムであった。アッセイ測定には、試料をまずメタノール/水酸化アンモニウム(99.8/0.2)中で希釈し、次いで更にメタノール中で希釈して、0.04mg/mlの最終SR48692 濃度を得た。不純物プロフィールのために、試料を同じ手順で1.0 mg/mlの最終SR48692 濃度に希釈した。0.0005mg/mlの濃度の外部標準に対して既知の不純物を定量した。外部標準に対していずれかの未知の不純物を定量した。0.01%より多くの不純物を添加して全不純物結果を得た。
【0034】
Perkin Elmer System-7 上で、窒素パージの下で25℃から125 ℃まで10℃/分の加熱速度において示差走査熱量測定(DSC)走査を実施した。約5mg試料をアルミニウムパン皿に封入した。使用前に、インジウム(融点156.6 ℃)および錫(融点231.9 ℃)を使って機器を較正した。
【0035】
溶解速度は234 nmでUV(Hewlett Packard 8452A)によりモニタリングした。pHは最終濃度(約0.03mg/ml)で比較的不変であることがわかった。
【0036】
吸湿系を使って、許容できる不純物レベルを有する固体分散体のバッチの吸湿性を調べた。この系は25℃で5%RHから80%RHまで5%刻みで実験した。試料を50℃でパージし、そして分析前には約0%RHであった。
【0037】
試料が分散体中で結晶状態で存在するのかまたは分子分散状態で存在するのかを決定するために、約8%の薬剤を含むキシリトール/トランスクトールを、粉末X線回析装置を使って分析した。
【0038】
脱イオン水(900 ml, pH=5.5, 未緩衝)中で37℃にて、硬カプセル中の25mg SR48692固体分散体の溶解速度を測定した。100 RPM の櫂速度でUSP溶解装置(装置2)を使った。試料を2°(2θ)/分で走査し、そして純キシリトールと比較した。45kV/40mAでCuκ−α線と液体窒素で冷却した固体状態のゲルマニウム検出器を使って実験を行った。全不純物レベルについて得られた結果並びに溶剤としてのトランスクトールまたはPEG 400 と組み合わせた担体としてのPEG 8000またはキシリトールを使った固体分散体についてのアッセイを表1に示す。
【0039】
【表2】

【0040】
これらの試料の全バッチサイズは約10 gであった。約3%薬剤濃度でのPEG 8000とトランスクトールの使用は、高い全不純物レベルと低いアッセイ値に反映されるように、著しい分解を引き起こした(比較例A)。対照的に、キシリトールとトランスクトールの組合せは、0.74%という有意に低い全不純物レベルを有する製剤を与えた(実施例1)。
【0041】
約5%薬剤濃度でも、担体としてのキシリトールと溶剤としてのトランスクトールの組合せが0.40%という許容できる不純物レベルをもたらした(実施例2)。キシリトール/PEG 400 (比較例B)およびPEG 8000/PEG 400 (比較例C)の全不純物レベルは、それぞれ1.4 %と4.5 %であった。最終製剤中の許容できる不純物レベルは、出発材料中に存在するおよその不純物レベルであるだろう。担体としてのPEG 8000または溶剤としてのPEG 400 の使用は高い不純物レベルを引き起こすようであった。キシリトール/トランスクトールの担体/溶剤組合せは、キシリトール/PEG に比べて意外にも低い不純物レベルを表した。
【0042】
高い薬物濃度(約8〜9%)では、水酸化ナトリウムに対比して水酸化カリウムの使用が同等に低い不純物レベルを与えることが示された(実施例3)。KOH を含む3つの10 gバッチの平均不純物レベルは0.44±0.10%であった。前に観察されたのと同様に、溶剤としてのPEG 400 の使用は許容できない分解を生じた(全不純物19.2%, 比較例D)。
【0043】
担体としてキシリトール、溶剤としてトランスクトール、および塩基として水酸化カリウムか水酸化ナトリウムのいずれかを使って調製した約100 g の2つのバッチについてのHPLCデータは、低い不純物レベルを示した;KOH およびNaOH含有系についてそれぞれ0.30%(実施例3)および0.27%(実施例4)の全不純物が観察された。
【0044】
それらのバッチについて10℃/分で測定した示差走査熱量測定(DSC)走査は、キシリトールの融解作用に対する製剤成分の影響が驚くべきほど低いことを証明した。KOH 含有製剤(実施例3)の融解ピークは89.4℃であり、8.7 度の降下であった。同様に、NaOH含有製剤(実施例4)の融解ピークは96.3℃であり、わずか1.8 度の降下であった。製剤の粉末X線回析パターンは、圧倒的に結晶質のキシリトール相を示した。
【0045】
本発明の固体分散体(実施例2)を製剤化してない(ジェット粉砕)SR48692 と比較しながら、37℃でpH 5.5の水(未緩衝)を使ってUSP Apparatus 2 中でスクリーニング溶解試験を行った。固体分散体は、純粋な薬剤および低い不純物レベル(0.4 %)に関して巨大な溶解増強を提供する。溶解した比率は10分間で90%をはるに越えた。対照的に、SR48692 薬剤物質(製剤化してない)を含むカプセルは60分間の実験の終わりに10%溶解に達しなかった。溶解媒質として0.5 %ラウリル硫酸ナトリウムを使用したpH 7.0(37℃)における25mg/カプセルの固体分散体(実施例2)を組み入れた溶解実験も、10分後に90%溶解より大きい、迅速な溶解を示した。
【0046】
25℃で5%RHから80%RHまで5%刻みで試料を実験することにより、固体分散体を主剤とした製剤の吸湿性をスクリーニングした。データは、25℃, 60%RH以下で比較的低い(〜1%)吸湿を示した。このレベルは固形製剤に許容されるだろう。ヒステレシスデータは、80%RHでの吸湿が可逆的であることを示した;RHを5%に下げた時、湿分は保持されなかった。
【0047】
純粋なキシリトールに比較したキシリトール/トランスクトール製剤(実施例3〜4)のX線粉末回析パターンは、分散体が非晶質分散体/固体溶液というよりも「結晶質」分散体であるらしいことを示唆した。この仮説をホットステージ顕微鏡検査法により確かめた。キシリトール/トランスクトール/塩基製剤は、結晶質状態での薬剤の存在にもかかわらず、高い溶解速度を有するようである。この観察結果の説明となるのは、結晶状態がたぶん酸の形よりも塩の形であることである。
【0048】
キシリトール/トランスクトール/NaOH(または KOH)を含有する40mg/カプセル以下の用量での固体分散体のカプセル製剤は、37℃の水(pH=5.5)中で許容できる不純物レベル(典型的には<0.5%)と迅速な溶解(10分間で>90%)を有することが示された。示差走査熱量測定およびX線粉末回析による結果は、結晶質キシリトールと結晶質薬剤の存在を示した。薬剤の結晶性は、キシリトールの融解温度での偏光顕微鏡検査法による製剤の観察によって確かめられた。固体分散体製剤を0.1 N HCl に添加した時に生じる固体のFTIR分析は、望ましい非晶質酸相を示した。このことは、固体分散体が液体に比べた時に同様な生物学的利用能を持つことができることを示唆する。分散体製剤の利点としては、製造性が高められることと硬ゲルカプセル中への充填が容易であることが挙げられる。
【0049】
ナプロキシン
別の好ましい難溶性薬剤物質はナプロキシンである。ナプロキシンの製剤は、4.6 g のナプロキシンを4.6 g のトランスクトール(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)中に溶解し、2 g の45% w/v水性水酸化カリウムを加えることにより調製した。ナプロキシンは塩基溶液を添加してから数分以内に溶解した。次いでナプロキシン溶液を、約1:3の重量比で100 ℃の溶融キシリトールに添加した。生成物を数分間混合し、次いで室温で結晶皿に注いだ。24時間後、生成物を取り出し、乳鉢と乳棒で粉砕した。最終ナプロキシン濃度は約10重量%であった。生成物は約90℃の融点を有する白色結晶質粉末であった。
【0050】
ナプロキシン固体分散体製剤(サイズ0硬ゼラチンカプセルに充填したもの)の溶解速度を、USP Apparatus 2 を用いて下記条件下で、純粋なナプロキシンおよびナプロキシンのカリウム塩と比較した:
溶解媒質:0.01Mリン酸緩衝剤,pH=6
容積:1000ml
RPM :50
用量:製剤、ナプロキシンおよびナプロキシンカリウム塩について50mg活性量
温度:37℃
溶解結果(3カプセル/製剤)を下記に要約する。
【0051】
【表3】

【0052】
キシリトール分散体を含むカプセル中の製剤は、ナプロキシン薬剤物質を含むカプセルよりも速く溶解した。ナプロキシンのカリウム塩を含むカプセル中の製剤は、キシリトール分散体含有製剤と同様に溶解した。
【0053】
酸の形の薬剤を含む製剤に対比したキシリトール/トランスクトール/塩基分散体の利点は、一般に溶解速度と溶解度を高めるであろう塩への部分的または完全な変換を引き起こすことである。塩の形の薬剤を含む製剤に比較したキシリトール分散体の利点は、塩の貯蔵に伴う潜在的問題点(例えば吸湿性)を回避することである。担体として特にキシリトールを使うことには幾つかの利点がある。それは20%以上の薬剤とトランスクトールを含むにもかかわらず良く結晶化する。融点(95℃)はポリエチレングリコール(50〜60℃)よりも高く、キシリトール分散体の場合には融点の降下が小さいようである。その上、それは高度に水溶性であり、迅速な溶解と薬剤放出を与える。
【0054】
IB)噴霧造粒法
使用する材料は以下のものであった:
SR48692
キシリトール
ラクトース一水和物
微結晶セルロース
リン酸二カルシウム
クロスカルメロースナトリウム
ステアリルフマル酸ナトリウム
ステアリン酸マグネシウム
二酸化珪素
プロピレングリコール
NaOH
【0055】
供給噴霧液の調製
約40℃の温度で、プロピレングリコールと水性水酸化ナトリウムを含む溶剤系に、約1.2 :1の溶剤/薬剤比においてSR48692 を加えることにより薬液を調製した。水酸化ナトリウムレベルは薬剤に対してわずかに過剰であり、即ち約1.1 :1モル比であった。系を約30〜60分間混合して薬剤の適切な溶解を保証した。溶解が完結したら、SR48692 溶液を50% w/w水性キシリトール溶液に添加し、そして約25℃で約10分間混合した。噴霧溶液中の最終SR48692 濃度は約8% w/wであった。
【0056】
流動床処理
流動床処理機を使って全ての製品を製造した。種粉末を装置に加え、そして15分間に渡って40〜45℃に予熱した。種粉末は、キシリトール、リン酸二カルシウム、微結晶セルロースと混合したラクトース一水和物を含んだ。約700 g の種粉末を使った。下記条件下で薬液を種粉末上に噴霧した。
【0057】
【表4】

【0058】
実施例5は本発明を例証する。
【0059】
【表5】

【0060】
錠剤/カプセル剤用の補形剤の添加
種粉末としてのキシリトールを含有する生成物をガラス乳鉢と乳棒で予め粉砕し、そして200 メッシュの篩いを通して篩い分けた後、追加の補形剤を添加した。この生成物を9%微結晶セルロース、滑剤としての0.5 %二酸化珪素、および2% w/wステアリルフマル酸ナトリウムまたは2% w/wステアリン酸マグネシウムのような光沢剤の添加により改質した。種粉末として6:1の比でラクトース一水和物/微結晶セルロースを使うことにより調製した生成物は、崩壊剤としての2%クロスカルメロースナトリウムおよび光沢剤としての1%ステアリルフマル酸ナトリウムを乾式混合することにより改質した。リン酸二カルシウム二水和物を使って調製した生成物は、崩壊剤としての4% w/wクロスカルメロースと10%コーンスターチを乾式混合することにより改質した。
生成物を錠剤に圧縮成形するかまたはカプセル中に充填した。
【0061】
不純物についての試験
不純物レベルの測定のためにHPLC結果を得た。使用したカラムはC18カラムであり、移動相は1.0 ml/分の流速での0.01M第一リン酸カリウム(pH=2.5)/アセトニトリル(270/730)から成った。注入量は10μlであり、そして検出法はUV(230 nmで)あった。アッセイ測定のためには、試料をまずメタノール/水酸化アンモニウム(99.8/0.2)中に希釈し、次いで更にメタノール中に希釈して1.0 mg/mlの最終SR48692 濃度を得た。既知の不純物は0.0005mg/mlの濃度の外部標準に対比して定量した。未知の不純物は外部標準に対比して定量した。0.01%より大きい全ての不純物を加算して全不純物結果を得た。
【0062】
【表6】

【0063】
溶解スクリーニング
10mgの錠剤とカプセル剤の溶解速度を37℃でpH=7 リン酸緩衝液(0.005 M)中で測定した。75 RPMの櫂速度でDistek USP溶解装置を使った。溶解速度は260 nmでのUV(Hewlett Packard 8452A )により溶解速度をモニタリングし、480 nmでのバックグラウンド補正を行った。下記に報告する結果は各製剤について2〜3錠の平均である。
【0064】
【表7】

【0065】
濃縮溶液IIAおよびIIB
IIA) 本発明によれば、活性成分として下記の薬剤物質、
【化4】

ポリエチレングリコール、NaOHおよびH2O を含んで成り、ここで前記薬剤1モル当量あたりのNaOHのモル当量が少なくとも約1.1 である、医薬製剤が提供される。
【0066】
ここで使用されるポリエチレングリコールは、約200 〜100,000ダルトン(以後、全ての分子量をダルトンで表わす)の平均分子量を有する。更に、選択されるポリエチレングリコールの分子量は、生成する溶液のタイプに影響を与える。約200 〜800 、好ましくは約300 〜700 、最も好ましくは約400 の平均分子量を有するポリエチレングリコールは、液体である軟カプセル充填溶液を与える。約800 〜10,000、好ましくは約2,000 〜8000の平均分子量を有するポリエチレングリコールは、半固体である軟カプセル充填溶液を与える。約10,000〜100,000 、好ましくは約15,000〜60,000の平均分子量を有するポリエチレングリコールは、固体である軟カプセル充填溶液を与える。
【0067】
考えられるポリエチレングリコールの等価物としては、非限定的にテトラグリコールを含む様々なアルコールのポリエチレングリコールエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、およびポリエチレングリコールのコポリマーといった類似体が挙げられる。
【0068】
ポリエチレングリコールは、製剤の総重量にもとづいて60〜99重量%、好ましくは70〜98重量%、より好ましくは80〜95重量%の量で存在することができる。
該製剤は0.1 〜25重量%、好ましくは0.5 〜20重量%、より好ましくは1〜15重量%の水を含んで成ることができる。
SR48692 は10重量%以下、好ましくは0.1 〜9重量%、より好ましくは0.5 〜7.5 重量%の量で存在することができる。
【0069】
SR48692 1モルあたりに存在するNaOHのモル当量は、少なくとも約 1.1、好ましくは少なくとも1.2、より好ましくは少なくとも1.3である。1.0 以下のモル当量では薬剤の不適当な溶解性が観察された。
【0070】
本発明の製剤は、水性NaOHをポリエチレングリコールに添加することにより調製することができる。溶液が形成されるまで、 PEG−NaOHに活性成分SR48692 を添加した。あるいは、混合しながら、活性成分をPEG 中に分散させることができる。その後、NaOH溶液を加えて活性成分を溶解させることができる。次いで、医薬剤形を製造するために当該技術分野で既知である技術に従って、溶液製剤を軟カプセル中に封入することができる。
下記の実施例は本発明を更に例証する。
【0071】
実施例6
2.02kg量の0.5 %w/v 水酸化ナトリウム溶液を20.4kgのポリエチレングリコール 400に添加した。透明溶液が生じるまでこの混合物を攪拌した。このポリエチレングリコール 400/水酸化ナトリウム溶液に100 g のSR48692 を添加した。目視検査により薬剤が完全に溶けるまで、この混合物を攪拌した。得られたSR48692 溶液を軟カプセル中に封入するためにR.P. Schererに郵送した。
【0072】
実施例7
1.98kg量の2.5 %w/v 水酸化ナトリウム溶液を20.0kgのポリエチレングリコール 400に添加した。透明溶液が生じるまでこの混合物を攪拌した。このポリエチレングリコール 400/水酸化ナトリウム溶液に600 g のSR48692 を添加した。目視検査により薬剤が完全に溶けるまで、この混合物を攪拌した。得られたSR48692 溶液を軟カプセル中に封入するためにR.P. Schererに郵送した。
【0073】
実施例8
1.92kg量の6.0 %w/v 水酸化ナトリウム溶液を19.4kgのポリエチレングリコール 400に添加した。透明溶液が生じるまでこの混合物を攪拌した。このポリエチレングリコール 400/水酸化ナトリウム溶液に1.50kgのSR48692 を添加した。目視検査により薬剤が完全に溶けるまで、この混合物を攪拌した。得られたSR48692 溶液を軟カプセル中に封入するためにR.P. Schererに郵送した。
【0074】
【表8】

【0075】
【表9】

【0076】
【表10】

【0077】
IIB) 本発明のこの態様によれば、医薬製剤は、次のもの:鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗体、抗凝固薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗ムスカリン薬、抗ミコバクテリア薬、抗腫瘍薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安薬、収れん薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、心変力作用薬、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳薬、診断薬、画像診断薬、利尿薬、ドーパミン作用薬、止血薬、免疫薬、脂質調節薬、筋弛緩薬、副交換神経作用薬、副甲状腺カルシトニン、プロスタグランジン、放射性薬品、性ホルモン、抗アレルギー薬、刺激薬、食欲抑制薬、交換神経作用薬、甲状腺製剤、血管拡張薬およびキサンチンから成る群より選ばれた難溶性薬剤;プロピレングリコール;NaOH並びに水を含んで成ることができ、ここで前記難溶性薬剤1モル当量あたりのNaOHのモル当量は少なくとも約1.1 である。
【0078】
好ましい薬剤はSR48692 およびナプロキシンである。
こうして調製された薬剤は軟カプセル中に充填される。
【0079】
【表11】

【0080】
【表12】

【0081】
【表13】

【0082】
懸濁液III AおよびIII B
III A) 本発明者らは、硬カプセル充填に適した活性成分の高濃縮懸濁液を生成するSR48962 の溶剤系を発見した。
より具体的には、下記の成分:
0.1 〜40重量%のSR48692 ;
0.1 〜40重量%のトランスクトール;
0.1 〜99重量%のデンプン;
NaOH;および
H2O 。
【0083】
SR48692 は40重量%まで、好ましくは0.1 〜35重量%、より好ましくは0.5 〜30重量%の量で存在することができる。
トランスクトールは、固体分散体の0.1 〜40重量%、好ましくは0.5 〜35重量%、最も好ましくは1〜30重量%の量で存在することができる。トランスクトールは市販されておりそして/または当業者に周知の技術により調製することができる。
【0084】
デンプンは0.1 〜99重量%の量で存在することができる。医薬製剤において従来使用されているデンプンは本発明での使用に好ましい。デンプンは予めゲル化されてもよく、即ち、水の存在下で顆粒の全部または一部を破裂するように化学的におよび/または機械的に処理され、次いで乾燥されてもよい。適当な USP/NFデンプンはHandbook of Pharmaceutical Excpients, American Pharmaceutical Association とPharmaceutical Society of Great Britain により共同して出版された第2版, The Pharmaceutical Press, 1994に記載されている。好ましいデンプンは、Colorconから市販されているStarch 1500 である。
【0085】
懸濁液は0.1 〜20%、好ましくは0.5 〜15%、より好ましくは1〜13%の水を含んで成ることができる。水の量が多くなると、ゼラチンカプセル殻を軟化および/または溶解してしまう傾向がある。
NaOHは、SR48692 1モル当量あたりのNaOHのモル当量が約0.5 〜1.5 であるような量で存在する。
【0086】
ポリエチレングリコールは、製剤の総重量に基づいて0〜90重量%、好ましくは1〜85重量%、より好ましくは2〜80重量%の量で存在することができる。
【0087】
本発明において所望により使用されるポリエチレングリコールは、約200 〜100,000 ダルトン(以後、全ての分子量をダルトンで表わす)の平均分子量を有する。更に、選択されるポリエチレングリコールの分子量は、生成する溶液のタイプに影響を与える。約200 〜800 、好ましくは約300 〜700 、最も好ましくは約400 の平均分子量を有するポリエチレングリコールは、液体である軟カプセル充填溶液を与える。PEG はトランスクトールと混和性であるので、このような低分子量が好ましい。高分子量は、不利なことにトランスクトール中に融解および/または溶解するのに加熱を必要とする場合がある。約800 〜10,000、好ましくは約2,000 〜8,000 の平均分子量を有するポリエチレングリコールは、半固体である硬カプセル充填溶液を与え、そして約10,000〜100,000 、好ましくは約15,000〜60,000の平均分子量を有するポリエチレングリコールは、固体である硬カプセル充填溶液を与える。
【0088】
考えられるポリエチレングリコールの等価物としては、非限定的にテトラグリコールを含む様々なアルコールのポリエチレングリコールエーテル、テトラヒドロフルフリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、およびポリエチレングリコールのコポリマーといった類似体が挙げられる。
【0089】
本発明の懸濁液は、SR48692 を、所望によりPEG と組み合わせた溶剤トランスクトールに加えることにより調製することができる。次いで水性NaOHを加えることによりSR48692 を溶解させる。制御された沈澱を引き起こす水を加えることによって懸濁液が得られる。懸濁液へのデンプンの添加は、カプセル殻の完全性を保持しながら硬カプセル中に該製剤を充填できるようにする。
下記の実施例は本発明を更に例証する。
【0090】
実施例12
12 gのPEG 400 と12 gのジエチレングリコールモノエチルエーテル(トランスクトール)を、磁気攪拌板装置を使って20℃で混合した。次に、16 gのSR48692 を4.7 g の水性水酸化ナトリウム(35% w/v)と一緒に添加した。SR48692 の大部分を10分後に溶解させる20℃で系を混合した。次いで4 g の精製水を加え、そして沈澱形成のために系を数時間混合した(薬剤の濃縮懸濁液が得られるまで)。生成物を12 gの予めゲル化したデンプンを乳鉢と乳棒を使って混合して最終製剤を得た。この製剤を150 mg薬剤/カプセルの量でサイズ#0の硬カプセル中に充填した。室温で8時間後、生成物の推定全不純物レベルは0.4 %であり、許容できるレベル内にあった。
III B) 本発明のこの態様では、硬カプセル充填用に下記の成分を含んで成る懸濁液の形の医薬組成物が提供される。
a) 0.1 〜40重量%のSR48692 ;
b) 0.1 〜40重量%のプロピレングリコール;
c) 0.1 〜99重量%のデンプン;
d) 0.1 〜20%の水;および
e) NaOH。
ここで、難溶性薬剤1モル当量あたりのNaOHのモル当量は0.5 〜1.5 である。
【0091】
上記懸濁液は、難溶性薬剤物質をプロピレングリコールに添加し、そして水性NaOHを加えることによってそれを溶解させることにより調製することができる。制御された沈澱を引き起こす水を加えることによって懸濁液が得られる。この懸濁液へのデンプンの添加は、カプセル殻の完全性を保持しながら硬カプセル中に該製剤を充填できるようにする。
【0092】
本発明をそれの好ましい態様に関して記載してきたが、本発明の範囲内の変更は当業者に容易であると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分:
a) 鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗体、抗凝固薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗ムスカリン薬、抗ミコバクテリア薬、抗腫瘍薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬、収れん薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、心変力作用薬、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳薬、診断薬、画像診断薬、利尿薬、ドーパミン作用薬、止血薬、免疫薬、脂質調節薬、筋弛緩薬、副交換神経作用薬、副甲状腺カルシトニン、プロスタグランジン、放射性薬品、性ホルモン、抗アレルギー薬、刺激薬、食欲抑制薬、交換神経作用薬、甲状腺製剤、血管拡張薬およびキサンチンから成る群より選ばれた難溶性有機酸薬剤物質;
b) プロピレングリコール;および
c) キシリトール、リン酸二カルシウム二水和物およびラクトース一水和物/微結晶セルロースから成る群より選ばれた希釈剤
を含んで成る医薬製剤。
【請求項2】
前記薬剤物質がSR48692 である、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項3】
前記薬剤物質がナプロキシンである、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項4】
更に塩基を含んで成る、請求項1に記載の医薬製剤。
【請求項5】
更に塩基を含んで成る、請求項2に記載の医薬製剤。
【請求項6】
更に塩基を含んで成る、請求項3に記載の医薬製剤。
【請求項7】
医薬製剤の調製方法であって、
a) 難溶性有機酸医薬物質を水性水酸化ナトリウム/プロピレングリコール混合物中に溶解して溶液を形成させ、ここで前記難溶性薬剤物質は鎮痛薬、抗炎症薬、駆虫薬、抗不整脈薬、抗体、抗凝固薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、抗てんかん薬、抗ヒスタミン薬、抗高血圧薬、抗ムスカリン薬、抗ミコバクテリア薬、抗腫瘍薬、免疫抑制薬、抗甲状腺薬、抗ウイルス薬、抗不安鎮静薬、収れん薬、β−アドレナリン受容体遮断薬、心変力作用薬、造影剤、コルチコステロイド、鎮咳薬、診断薬、画像診断薬、利尿薬、ドーパミン作用薬、止血薬、免疫薬、脂質調節薬、筋弛緩薬、副交換神経作用薬、副甲状腺カルシトニン、プロスタグランジン、放射性薬品、性ホルモン、抗アレルギー薬、刺激薬、食欲抑制薬、交換神経作用薬、甲状腺製剤、血管拡張薬およびキサンチンから成る群より選ばれ;そして
b) キシリトール、リン酸二カルシウム二水和物並びにラクトース一水和物および/または微結晶セルロースから成る群より選ばれた希釈剤に前記溶液を添加する
ことを含んで成る方法。
【請求項8】
前記段階 a) の水酸化ナトリウム/プロピレングリコール混合物に水または水性キシリトールを加えることを更に含んで成る、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記薬剤物質がSR48692 である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記薬剤物質がナプロキシンである、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
下記成分:
a) 難溶性薬剤物質;
b) キシリトール;および
c) トランスクトール
を含んで成る医薬製剤。
【請求項12】
塩基を更に含んで成る、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項13】
前記薬剤物質がSR48692 である、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項14】
前記薬剤物質がナプロキシンである、請求項11に記載の医薬製剤。
【請求項15】
医薬製剤の調製方法であって、
a) 難溶性薬剤物質をトランスクトールに溶解すること;そして
b) 該溶液をキシリトールに添加すること
を含んで成る方法。
【請求項16】
次の成分:
活性成分として0.1 〜10% w/wの下記化合物:
【化1】

ポリエチレングリコール、
NaOH、および

を含んで成り、ここで前記活性成分1モル当量あたりのNaOHのモル当量が少なくとも1.1 である、医薬製剤。
【請求項17】
前記活性成分1モル当量に対するNaOHのモル当量の比が少なくとも1.2 である、請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
前記ポリエチレングリコールが 200〜800 の分子量を有する、請求項16に記載の製剤。
【請求項19】
次の成分:
活性成分として0.1 〜40重量%の下記化合物:
【化2】

0.1 〜40重量%のトランスクトール;
0.1 〜99重量%のデンプン;
NaOH;および

を含んで成り、ここで前記活性成分1モル当量あたりのNaOHのモル当量が0.5 〜1.5 である、医薬製剤。
【請求項20】
前記活性成分が1〜30重量%の量で存在する、請求項19に記載の製剤。
【請求項21】
プロピレングリコールを更に含んで成る、請求項19に記載の製剤。
【請求項22】
前記水が 0.1〜20重量%の量で存在する、請求項19に記載の製剤。

【公開番号】特開2009−286798(P2009−286798A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−205861(P2009−205861)
【出願日】平成21年9月7日(2009.9.7)
【分割の表示】特願平10−538673の分割
【原出願日】平成10年2月27日(1998.2.27)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】