説明

難燃剤とその製造方法とそれを含む難燃性樹脂組成物

【課題】水酸化マグネシウム粒子を主体とし、耐酸性にすぐれた難燃剤を提供する。
【解決手段】本発明による難燃剤は、水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を表面に有する水酸化マグネシウム粒子からなり、好ましくは、そのような水酸化マグネシウム粒子を更に高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水酸化マグネシウム粒子を主体とする難燃剤とその製造方法とそれを含む難燃性樹脂組成物に関する。詳しくは、本発明は、表面にシリカからなる被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤に関し、好ましくは、更に、そのような水酸化マグネシウム粒子を表面処理剤にて表面処理してなる難燃剤に関する。本発明によるこのような難燃剤は、樹脂に配合して、難燃性樹脂組成物としたとき、その樹脂組成物にすぐれた耐酸性を有せしめることができる。更に、本発明は、そのような難燃剤の製造方法とそれを含む難燃性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱可塑性樹脂は、成形性にすぐれると共に、機械的特性や電気的特性にすぐれるところから、例えば、建築、電気、機械、輸送等の種々の産業分野において広く用いられている。特に、ハロゲン系難燃剤を配合したポリ塩化ビニル樹脂組成物は、難燃性にすぐれるので、電線被覆に広く用いられているが、しかし、そのような電線被覆が、一旦、燃焼する事態となれば、有毒なハロゲンガスを発生し、例えば、そのような事態が地下施設等において発生すれば、重大な事態を招くおそれがある。
【0003】
そこで、近年、このような問題を解決するために、樹脂としてポリオレフィン樹脂を用いると共に、難燃剤についても、水酸化マグネシウム等の非ハロゲン系の難燃剤を用いることが推奨されている。
【0004】
水酸化マグネシウムのような金属水酸化物が難燃剤として有用であることは、従来よりよく知られている。しかし、一般に、金属水酸化物は、樹脂組成物に有効な難燃性を与えるには、樹脂に対して多量を配合しなければならず、他方、金属水酸化物は、水酸基を有する親水性無機物質であって、有機高分子物質である樹脂への分散性や相溶性が低く、分散性に劣る問題がある。また、金属水酸化物を樹脂に多量に配合して、難燃性樹脂組成物とした場合、樹脂本来の望ましい物性が損なわれるおそれもある。更に、一般に、金属水酸化物は、酸と反応しやすく、例えば、水酸化マグネシウムを多量に配合した樹脂組成物は、時間の経過と共に、空気中の水分や炭酸ガスの作用によって、炭酸塩や塩基性炭酸塩を生成して、樹脂組成物の表面が白くなる白化現象を生じる問題がある。
【0005】
そこで、水酸化マグネシウムを主体とする難燃剤の上述した問題を解決するために、従来、種々の改良が提案されている。例えば、特開平1−245039号公報には、水酸化マグネシウム粒子の表面に高級脂肪酸アルカリ金属塩とホウ酸又はケイ酸の水不溶性塩からなる被覆層を有せしめて、耐酸性や分散性を改善することが提案されている。同様に、特開平10−338818号公報には、耐酸性を高めるために、水酸化マグネシウム粒子の表面に水酸化アルミニウムからなる被覆層を設けることが提案されている。
【0006】
このように、従来、水酸化マグネシウム粒子の表面に被覆層を形成して、難燃剤としての性能を改善し、また、樹脂に配合して樹脂組成物とするときのその分散性や耐酸性を改善することが種々試みられているが、しかし、依然として、耐酸性の改善は不十分であり、従って、従来、水酸化マグネシウム粒子を主体とする難燃剤は、酸性薬品や酸性ガス等と接触する機会の多い化学プラント用途や、酸性雨に曝される屋外用途向けには用いることができなかった。また、リソグラフィ用レジスト等のように、酸洗浄下におかれる用途にも用いることができなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の水酸化マグネシウムからなる難燃剤における上述した問題を解決するためになされたものであって、水酸化マグネシウム粒子を主体とする、耐酸性にすぐれた難燃剤を提供することを目的とする。更に、本発明は、そのような難燃剤の製造方法とそれを含む難燃性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を表面に有する水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤が提供される。
【0009】
また、本発明によれば、水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を表面に有する水酸化マグネシウム粒子を高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理してなる難燃剤が提供される。
【0010】
更に、本発明によれば、水酸化マグネシウム粒子の表面に水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を有せしめた後、更に、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤で表面処理することを特徴とする難燃剤の製造方法が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、樹脂100重量部に対して上記難燃剤5〜350重量部を配合してなる難燃性樹脂組成物が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明による難燃剤は、表面にシリカからなる被覆層を有し、好ましくは、更に、前記表面処理剤にて表面処理した水酸化マグネシウム粒子からなるものであって、樹脂に配合して難燃性樹脂組成物としたとき、その樹脂組成物に高い耐酸性を与える。従って、本発明による難燃剤を樹脂に配合してなる難燃性樹脂組成物は、難燃性のみならず、耐酸性にも非常にすぐれており、建材や電線被覆材、特に、酸性薬品、酸性ガス等と接触する機会が多い化学プラント用途や酸性雨等に曝される屋外用途に好適に用いることができる。更に、リソグラフィ用レジスト等、酸洗浄下におかれる用途にも好適に用いることができる。
【0013】
勿論、本発明による難燃剤は、その用途において限定されるものではなく、上記以外にも、電気部品や自動車部品、その他パイプのような種々の成形品の製造に好適に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明において、シリカ、アルミナ、チタニア及びジルコニアは、それぞれSiO2・nH2O(0≦n≦2)、Al23・nH2O(0≦n≦3)、TiO2・nH2O(0≦n≦2)及びZrO2・nH2O(0≦n≦2)で表されるケイ素、アルミニウム、チタン及びジルコニウムの(含水)酸化物を意味する。
【0015】
本発明による難燃剤は、水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を表面に有する水酸化マグネシウム粒子からなる。
【0016】
本発明によれば、5〜100℃の範囲の温度、好ましくは、50〜95℃の範囲の温度で水酸化マグネシウム粒子の存在下に水溶性のケイ酸塩を酸で中和して、その表面にシリカを析出させることによって、水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆層を有せしめることができる。
【0017】
特に、本発明によれば、水酸化マグネシウム粒子の水性スラリーを60℃以上、好ましくは、60〜95℃に保持しつつ、これに水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%の水溶性のケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)を加え、得られた混合物に酸(例えば、硫酸や塩酸)を40分以上をかけて加えて、上記スラリーをpH6〜10、好ましくは、6〜9.5まで中和することによって、水酸化マグネシウム粒子の表面に緻密な高密度のシリカからなる被覆層を有せしめるのが好ましい。
【0018】
この方法において、水酸化マグネシウム粒子の表面に緻密な高密度のシリカからなる被覆層を形成する際に、水酸化マグネシウム粒子の水性スラリーに水溶性のケイ酸塩を加えて得られた混合物に酸を加える時間の上限は、特に限定されるものではないが、しかし、生産効率の観点から、通常、3時間程度である。
【0019】
このような高密度のシリカからなる被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子は、別の方法、即ち、水酸化マグネシウム粒子の水性スラリーを60℃以上、好ましくは、60〜95℃に保持しつつ、これに水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%の水溶性のケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム)と酸(例えば、硫酸や塩酸)とをほぼ当量比にて40分以上かけて加えた後、必要に応じて、更に酸を加えて、pH6〜10、好ましくは、6〜9.5まで中和することによっても、同様に、得ることができる。
【0020】
この方法においても、水酸化マグネシウム粒子の表面に緻密な高密度のシリカからなる被覆層を形成する際に、水酸化マグネシウム粒子のスラリーにケイ酸塩と酸とを加える時間の上限は、特に限定されるものではないが、しかし、生産効率の観点から、通常、3時間程度である。
【0021】
水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆層を形成する上述した2つの方法において、水酸化マグネシウム粒子の水性スラリーに水溶性のケイ酸塩を加え、得られた混合物に、例えば、10分というように、短時間で酸を加えたときや、また、水酸化マグネシウム粒子の水性スラリーに水溶性のケイ酸塩と酸とを短時間で加えたときには、水酸化マグネシウム粒子の表面に形成されるシリカからなる被覆層は緻密ではなく、低密度のものである。しかし、本発明による難燃剤は、このように、水酸化マグネシウム粒子の表面に低密度のシリカからなる被覆層を有せしめたものであってもよい。
【0022】
しかし、本発明によれば、上述したように、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成することによって、低密度のシリカからなる被覆層を形成した場合に比べて、耐酸性がより改善された難燃剤を得ることができる。
【0023】
本発明によれば、上述したようにして、表面にシリカからなる被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤を得る場合に、水溶性のケイ酸塩は、水酸化マグネシウムに対して、SiO2 換算にて、好ましくは、1〜20重量%の範囲で、最も好ましくは、3〜20重量%の範囲で用いられる。
【0024】
本発明において、水酸化マグネシウムのスラリーとは、水溶性マグネシウム塩(例えば、塩化マグネシウムや硝酸マグネシウム等)の水性溶液を水酸化ナトリウムやアンモニア等のアルカリで中和し、水酸化マグネシウムを沈殿させて得られる水性スラリーや、水酸化マグネシウム粒子を水性媒体中に分散して得られる水性スラリーをいう。
【0025】
また、上記水酸化マグネシウム粒子は、その由来は、何ら制約されるものではなく、例えば、天然鉱石を粉砕して得られた粉末、マグネシウム塩水溶液をアルカリで中和して得られた粉末、水酸化マグネシウム粒子をホウ酸塩、リン酸塩、水溶性亜鉛塩等のような適当な改質剤で処理した粉末等であってもよい。また、水酸化マグネシウム粒子は、亜鉛、コバルト、銅、ニッケル、鉄等の異種金属元素を含む固溶体であってもよい。
【0026】
本発明において、水性スラリーとは、スラリーの分散媒が水又は少量の水溶性有機溶剤を含む水性溶液をいい、水性溶液とは、同様に、溶液の溶媒が水又は少量の水溶性有機溶剤を含む水溶液をいう。
【0027】
本発明によれば、シリカからなる被覆層を表面に有する水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤において、シリカからなる被覆層は、水酸化マグネシウムに対して、SiO2 換算にて、0.1〜20重量%の範囲であり、好ましくは、1〜20重量%の範囲であり、特に好ましくは、3〜20重量%の範囲である。シリカからなる被覆層の割合が水酸化マグネシウムに対して、SiO2 換算にて、0.1重量%よりも少ないときは、耐酸性にすぐれる難燃剤を得ることができず、他方、シリカからなる被覆層の割合が水酸化マグネシウムに対して、SiO2 換算にて、20重量%よりも多いときは、難燃剤の単位重量当たりの難燃性が低くなり、樹脂組成物に所望の難燃性を付与するには、不必要に多量の難燃剤を配合せざるを得ず、樹脂の有する望ましい特性を損なうおそれがある。
【0028】
上述したように、水酸化マグネシウムのスラリーに水溶性ケイ酸塩を添加した後、酸(例えば、硫酸)を加えて、上記ケイ酸塩を中和し、又は上記スラリーに水溶性ケイ酸塩と酸とを同時に加えて、上記ケイ酸塩を中和することによって、水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカを析出させ、かくして、水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆層を形成することができる。しかし、このようにして、シリカからなる被覆層を形成した水酸化マグネシウムのスラリーは、濾過性が悪くなるという不都合がある。
【0029】
そこで、本発明によれば、上述したようにして、水酸化マグネシウムのスラリー中で水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆層を形成した後、同様にして、その被覆層の上に更にアルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種からなる第2の被覆層を形成することによって、水酸化マグネシウム粒子の濾過性を改善することができる。ここに、上記第2の被覆層の割合は、水酸化マグネシウムに対して、それぞれAl23、TiO2 及びZrO2換算にて、合計にて、0.03〜10重量%の範囲にあることが適当である。本発明において、この第2の被覆層に対して、水酸化マグネシウム粒子の表面のシリカからなる被覆層を第1の被覆層ということがある。
【0030】
第2の被覆層としてアルミナからなる被覆層を形成するには、上述したように、水酸化マグネシウムのスラリーに水溶性ケイ酸塩を添加した後、酸を加えて、上記ケイ酸塩を中和し、又は上記スラリーに水溶性ケイ酸塩と酸とを同時に加えて、上記ケイ酸塩を中和して、水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカを析出させ、かくして、その表面にシリカからなる被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子のスラリーを得た後、pHを一定に保ちながら、このスラリーにアルミン酸ナトリウムと酸(例えば、硫酸や塩酸)を加えて、熟成すればよい。
【0031】
同様に、第2の被覆層としてチタニアからなる被覆層を形成するには、水酸化マグネシウムのスラリー中で水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆層を形成した後、スラリーに、例えば、硫酸チタニルとアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム)を加え、熟成すればよく、また、第2の被覆層としてジルコニアからなる被覆層を形成するには、水酸化マグネシウムのスラリー中で水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆層を形成した後、スラリーに、例えば、硫酸ジルコニルとアルカリ(例えば、水酸化ナトリウム)を加え、熟成すればよい。
【0032】
しかし、本発明によれば、上述したように、水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆層を形成し、次いで、その上にアルミナ、チタニア又はジルコニアからなる第2の被覆層を形成する代わりに、水酸化マグネシウム粒子の表面に、アルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種からなる第2の酸化物をシリカと共に含む被覆層を形成することによっても、同様に、その後の水酸化マグネシウム粒子の濾過性を改善することができる。
【0033】
このように、水酸化マグネシウム粒子の表面にアルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種の第2の酸化物とシリカとからなる被覆層を形成する場合も、シリカの割合は、水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%の範囲であり、第2の酸化物の割合は、水酸化マグネシウムに対して、それぞれAl23、TiO2 及びZrO2 換算にて、合計にて、0.03〜10重量%の範囲である。
【0034】
水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカとアルミナとからなる被覆層を形成するには、例えば、水酸化マグネシウムのスラリーに水溶性ケイ酸塩とアルミン酸ナトリウムとを加えた後、酸を加えて、上記ケイ酸塩とアルミン酸ナトリウムを中和し、又は上記スラリーに水溶性ケイ酸塩とアルミン酸ナトリウムと酸とを同時に加えて、上記ケイ酸塩とアルミン酸ナトリウムとを中和して、水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカとアルミナを析出させればよい。
【0035】
本発明による好ましい難燃剤は、水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を表面に有する水酸化マグネシウム粒子を高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理してなるものである。
【0036】
本発明によるこのような難燃剤は、水酸化マグネシウム粒子の表面に水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を有せしめた後、更に、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤で表面処理することによって得ることができる。
【0037】
水酸化マグネシウム粒子を上記表面処理剤で表面処理しても、その耐酸性は殆ど改善されないが、しかし、本発明に従って、先ず、表面にシリカからなる被覆層を有せしめた後、そのような水酸化マグネシウム粒子を表面処理剤にて表面処理することによって、耐酸性が格段に改善された水酸化マグネシウム粒子からなる難燃剤を得ることができる。
【0038】
本発明によれば、このように、シリカからなる被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子を更に表面処理剤にて表面処理してなる難燃剤を得る場合には、水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆を有せしめるために、水溶性ケイ酸塩は、水酸化マグネシウムに対して、SiO2 換算にて、0.1〜20重量%、好ましくは、0.5〜15重量%の範囲で用いられる。
【0039】
水酸化マグネシウムに対して、SiO2 換算にて、0.1重量%よりも少ない水溶性ケイ酸塩を用いて、水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆層を形成したときは、そのような水酸化マグネシウム粒子を更に表面処理剤で処理しても、耐酸性にすぐれる難燃剤を得ることができない。他方、シリカからなる被覆層の割合が水酸化マグネシウムに対して、SiO2 換算にて、20重量%よりも多いときは、難燃剤の単位重量当たりの難燃性が低くなり、樹脂組成物に所望の難燃性を付与するには、不必要に多量の難燃剤を配合せざるを得ず、樹脂の有する望ましい特性を損なうおそれがある。
【0040】
本発明によれば、このようにして、水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆層を有せしめ、又はシリカからなる第1の被覆層とアルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種からなる第2の被覆層とを有せしめ、又はアルミナ、チタニア及びジルコニアから選ばれる少なくとも1種とシリカとからなる被覆層を形成した後、これを更に表面処理剤にて表面処理することによって、その耐酸性をシリカからなる被覆層と表面処理剤による表面処理との相乗効果によって飛躍的に高めることができる。
【0041】
上記表面処理剤としては、本発明によれば、好ましくは、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0042】
上記高級脂肪酸としては、例えば、炭素数14〜24の飽和又は不飽和の高級脂肪酸が好ましく、そのような具体例として、例えば、オレイン酸やステアリン酸を挙げることができる。また、このような高級脂肪酸のアルカリ金属塩としては、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩が好ましい。多価アルコール脂肪酸エステルの具体例としては、例えば、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエート等を挙げることができる。
【0043】
上記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ステアリルアルコール、オレイルアルコール等の高級アルコールの硫酸エステル塩、ポリエチレングリコールエーテルの硫酸エステル塩、アミド結合硫酸エステル塩、エステル結合硫酸エステル塩、エステル結合スルホネート、アミド結合スルホン酸塩、エーテル結合スルホン酸塩、エーテル結合アルキルアリルスルホン酸塩、エステル結合アルキルアリルスルホン酸塩、アミド結合アルキルアリルスルホン酸塩等を挙げることができる。
【0044】
上記リン酸エステルとしては、リン酸トリエステル、ジエステル、モノエステル又はこれらの混合物が用いられる。リン酸トリエステルの具体例として、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ヒドロキシルフェニルジフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、オレイルホスフェート、ステアリルホスフェート等を挙げることができる。
【0045】
また、ジエステル又はモノエステル(即ち酸性リン酸エステル)の具体例としては、例えば、メチルアシッドホスフェート(モノメチルエステルとジメチルエステルとの混合物)、エチルアシッドホスフェート(モノエチルエステルとジエチルエステルとの混合物)、イソプロピルアシッドホスフェート(モノイソプロピルエステルとジイソプロピルエステルとの混合物)、ブチルアシッドホスフェート(モノブチルエステルとジブチルエステルとの混合物)、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート(モノ−2−エチルヘキシルエステルとジ−2−エチルヘキシルエステルとの混合物)、イソデシルアシッドホスフェート(モノイソデシルエステルとジイソデシルエステルとの混合物)、ジラウリルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート(モノラウリルエステルとジラウリルエステルとの混合物)、トリデシルアシッドホスフェート(モノトリデシルアシッドホスフェートとジトリデシルアシッドホスフェートとの混合物)、モノステアリルアシッドホスフェート、ジステアリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート(モノステアリルエステルとジステアリルエステルとの混合物)、イソステアリルアシッドホスフェート(モノイソステアリルエステルとジイソステアリルエステルとの混合物)、オレイルアシッドホスフェート(モノオレイルエステルとジオレイルエステルとの混合物)、ベヘニルアシッドホスフェート(モノベヘニルエステルとジベヘニルエステルとの混合物)等を挙げることができる。
【0046】
これらの酸性リン酸エステルは金属塩、即ち、周期律表第Ia、IIa、IIb及び IIIaから選ばれる少なくとも1種の金属の塩であってもよい。従って、好ましい具体例として、例えば、リチウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩等を挙げることができる。
【0047】
シランカップリング剤とは、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、塩素原子等から選ばれる反応性官能基と共に、アルコキシル基に代表される加水分解性基を有するオルガノシランをいう。
【0048】
従って、上記シランカップリング剤としては、特に、限定されるものではないが、例えば、ビニルエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0049】
また、アルミニウムカップリング剤としては、例えば、アセチルアルコキシアルミニウムジイソプロピレートを例示することができ、チタネートカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート等を例示することができる。
【0050】
オルガノシロキサンとしては、オルガノジシロキサンを含むオルガノシロキサンオリゴマ−やオルガノポリシロキサンが用いられる。オルガノジシロキサンとしては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、ヘキサプロピルジシロキサン、ヘキサフェニルジシロキサン、ナトリウムメチルシリコネート等を挙げることができる。また、オルガノシロキサンオリゴマ−としては、例えば、メチルフェニルシロキサンオリゴマーやフェニルシロキサンオリゴマー等を挙げることができる。
【0051】
しかし、本発明によれば、オルガノシロキサンとしては、特に、オルガノポリシロキサンが好ましく、なかでも、所謂シリコーンオイルと呼ばれるものが好適に用いられる、そのようなオルガノポリシロキサンの具体例として、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルポリシクロシロキサン等の所謂ストレートシリコーンオイルを挙げることができる。
【0052】
本発明によれば、種々の有機基を有する所謂変性シリコーンオイルも好ましく用いられる。そのような変性シリコーンオイルとして、例えば、ポリエーテル変性、エポキシ変性、アミノ変性、カルボキシル変性、メルカプト変性、カルビノール変性、メタクリル変性、長鎖アルキル変性シリコーンオイル等を挙げることができるが、しかし、これらに限定されるものではない。
【0053】
オルガノシランとしては、代表的には、アルキル基及び/又はアリールと共にアルコキシル基のような加水分解性基を有する有機ケイ素化合物をいい、例えば、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0054】
また、オルガノシラザンとしては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、ヘキサフェニルジシラザン、ヘキサエチルシクロトリシラザン、メチルポリシラザン、フェニルポリシラザン等を挙げることができる。
【0055】
このような表面処理剤は、水酸化マグネシウムに対して0.1〜20重量%、好ましくは、0.5〜15重量%、特に好ましくは、1〜10重量%の範囲で用いられる。また、このような表面処理剤による水酸化マグネシウム粒子の表面処理は、湿式、乾式のいずれでも行うことができる。水酸化マグネシウム粒子を湿式にて表面処理する場合には、例えば、前述したように、水酸化マグネシウムのスラリー中にて水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆を形成し、次いで、その水酸化マグネシウムのスラリーにエマルジョン、水溶液又は分散液等の適宜の形態にて表面処理剤を加え、温度20〜95℃、好ましくは加熱下に、pH6〜12の範囲で攪拌、混合した後、水酸化マグネシウム粒子を濾過、水洗、乾燥し、粉砕すればよい。
【0056】
また、水酸化マグネシウム粒子を乾式にて表面処理する場合には、前述したように、水酸化マグネシウムのスラリー中にて水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆を形成した後、水酸化マグネシウム粒子を濾過し、水洗、乾燥し、粉砕し、これを5〜300℃、好ましくは加熱下に、表面処理剤と攪拌、混合すればよい。
【0057】
本発明による難燃剤は、このように、表面にシリカからなる被覆層を有する水酸化マグネシウム粒子からなり、好ましくは、そのような水酸化マグネシウム粒子を更に前記表面処理剤にて表面処理してなり、高い耐酸性を有する。特に、本発明によれば、表面処理剤として、オルガノシロキサン、シランカップリング剤又はオルガノシランを用いることによって、すぐれた耐酸性を有する難燃剤を得ることができる。本発明において、最も好ましい表面処理剤はオルガノポリシロキサンであり、オルガノポリシロキサンのなかでも、特に、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いることによって、格段に高い耐酸性を有する難燃剤を得ることができる。
【0058】
本発明による難燃性樹脂組成物は、樹脂に上述した難燃剤を均一に配合することによって得ることができる。難燃剤の樹脂への配合割合は、得られる樹脂組成物の用途や要求特性にもよるが、通常、樹脂100重量部に対して、難燃剤5〜350重量部を配合して得ることができる。
【0059】
例えば、床材、壁紙、化粧板のような建材、電気機器のケーシングや透明フィルムのような一般成形品用途の難燃性樹脂組成物とするには、樹脂100重量部に対して、本発明による難燃剤5〜200重量部を配合してなる樹脂組成物が好ましく用いられる。他方、電線やケーブル被覆のように自己消火性の樹脂組成物とするには、通常、樹脂100重量部に対して、本発明による難燃剤50〜350重量部、好ましくは、100〜300重量部を配合してなる樹脂組成物が好ましく用いられる。また、例えば、リソグラフィ用レジストの場合であれば、通常、固形分100重量部に対して、本発明の難燃剤80〜150重量部を配合するのが好ましい。樹脂100重量部に対する難燃剤の配合量が350重量部を越えるときは、樹脂組成物の望ましい機械的特性や化学的特性を劣化させるおそれがある。
【0060】
本発明において、上記樹脂は、用途や要求特性に応じて適宜に選べばよく、具体例として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー三元共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−アクリル酸エステル(例えば、アクリル酸エチル)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のオレフィンの単独又は共重合体であるポリオレフィン樹脂、スチレンのような芳香族ビニルモノマーの単独重合体やABS樹脂等のような共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート等のポリエステル、6−ナイロン、6,6−ナイロン、12−ナイロン、46−ナイロン、芳香族ポリアミド等のポリアミド、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン等のポリエーテル、ポリカーボネート、スチレン−共役ジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン等のエラストマー、ポリ塩化ビニル等を挙げることができる。
【0061】
また、必要に応じて、樹脂として、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂も用いられる。これらの樹脂は、単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
【0062】
本発明による難燃性樹脂組成物は、上述した難燃剤に加えて、必要に応じて、それぞれの樹脂に応じて、他の添加剤を適宜に配合することができる。そのような添加剤として、例えば、可塑剤、潤滑剤、充填剤、酸化防止剤、熱安定化剤、核剤、架橋剤、架橋助剤、帯電防止剤、相溶化剤、耐光剤、顔料、発泡剤、防カビ剤等を挙げることができる。また、必要に応じて、従来より知られている他の難燃剤や難燃助剤等も配合してよい。
【0063】
このような樹脂組成物は、例えば、一軸押出機、二軸押出機、ロール混練機、ニーダ混練機、バンバリーミキサー等の適宜手段にて上述した難燃剤を樹脂に混合し、混練することによって得ることができる。また、このようにして得られる本発明による樹脂組成物は、用途や目的に応じて、例えば、射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、トランスファー成形、積層成形等、適宜の手段によって種々の成形品の製造に好適に用いることができる。
【実施例】
【0064】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により、何ら限定されるものではない。
【0065】
(難燃剤の調製)
実施例1
(難燃剤aの調製)
水5Lを張った反応器に4モル/Lの塩化マグネシウム水溶液16.7Lと14.3モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液8.4Lとを攪拌下に同時に加えた後、170℃で1時間水熱反応を行った。このようにして得られた水酸化マグネシウムを濾過、水洗し、得られたケ−キを水に再び懸濁させて、水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)を得た。以下の実施例と比較例においても、水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)は、このようにして調製した。
【0066】
上記水酸化マグネシウムのスラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 として150g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、このスラリーを80℃で1時間熟成し、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した。このようなスラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗し、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤aを得た。
【0067】
実施例2
(難燃剤bの調製)
水酸化マグネシウムのスラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 として300g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、このスラリーを80℃で1時間熟成し、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した。このようなスラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗し、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤bを得た。
【0068】
実施例3
(難燃剤cの調製)
水酸化マグネシウムのスラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 として450g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、このスラリーを80℃で1時間熟成し、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した。このようなスラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗し、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤cを得た。
【0069】
実施例4
(難燃剤dの調製)
水酸化マグネシウムのスラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 として450g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を10分かけて加え、更に、このスラリーを80℃で1時間熟成し、水酸化マグネシウム粒子の表面に低密度のシリカからなる被覆層を形成した。このようなスラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗し、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤dを得た。
【0070】
実施例5
(難燃剤Aの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを攪拌下、80℃に加温し、これにケイ酸ナトリウムをSiO2 換算にて30g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、スラリーを80℃で1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した。
【0071】
次いで、このような水酸化マグネシウム粒子のスラリーにメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを含むエマルジョンを加え、80℃で1時間攪拌した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤Aを得た。
【0072】
実施例6
(難燃剤Bの調製)
上記難燃剤Aの調製において、ケイ酸ナトリウムをSiO2 換算にて90g用いた以外は、同様にして、難燃剤Bを得た。
実施例7
(難燃剤Cの調製)
上記難燃剤Aの調製において、ケイ酸ナトリウムをSiO2 換算にて150g用いた以外は、同様にして、難燃剤Cを得た。
【0073】
実施例8
(難燃剤Dの調製)
上記難燃剤Aの調製において、ケイ酸ナトリウムをSiO2 換算にて300g用いた以外は、同様にして、難燃剤Dを得た。
【0074】
実施例9
(難燃剤Eの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 換算にて90g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、スラリーを80℃で1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した。
【0075】
次いで、このような水酸化マグネシウム粒子のスラリーにメチルハイドロジェンポリシロキサン30gを含むエマルジョンを加え、80℃で1時間攪拌した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤Eを得た。
【0076】
実施例10
(難燃剤Fの調製)
難燃剤Eの調製において、メチルハイドロジェンポリシロキサン150gを含むエマルジョンを用いた以外は、同様にして、本発明による難燃剤Fを得た。
【0077】
実施例11
(難燃剤Gの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 として90g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、80℃で1時間熟成した後、pH9を保ちながら、Al23 換算にてアルミン酸ナトリウム15gと硫酸を加え、1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成し、更に、その上にアルミナからなる被覆層を形成した。
【0078】
次いで、このような水酸化マグネシウム粒子のスラリーにメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを含むエマルジョンを加え、80℃で1時間攪拌した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤Gを得た。
【0079】
実施例12
(難燃剤Hの調製)
難燃剤Gの調製において、Al23 換算にてアルミン酸ナトリウム30gを用いた以外は、同様にして、本発明による難燃剤Hを得た。
【0080】
実施例13
(難燃剤Jの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 として150g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、80℃で1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した。
【0081】
この後、水酸化マグネシウム粒子のスラリーを40℃に冷却し、これにメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを含むエマルジョンを加え、1時間攪拌した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤Jを得た。
【0082】
実施例14
(難燃剤Kの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 として150g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、80℃で1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した。
【0083】
この後、水酸化マグネシウム粒子のスラリーを90℃に加温し、これにメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを含むエマルジョンを加え、90℃で1時間攪拌した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤Kを得た。
【0084】
実施例15
(難燃剤Lの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 換算にて90g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、80℃で1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥し後、粉砕した。
【0085】
このようにして得られた水酸化マグネシウム粒子をヘンシェルミキサーを用いて、500rpmで乾式で攪拌しながら、これにメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを加え、10分間混合した。このように処理した水酸化マグネシウム粒子を80℃で1時間加熱処理して、本発明による難燃剤Lを得た。
【0086】
実施例16
(難燃剤Mの調製)
難燃剤Lの調製において、メチルハイドロジェンポリシロキサン90gを加え、10分間攪拌混合した後、150℃で1時間加熱処理した以外は、同様にして、本発明による難燃剤Mを得た。
【0087】
実施例17
(難燃剤Wの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 換算にて150g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、80℃で1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥し、粉砕した。
【0088】
このようにして得られた水酸化マグネシウム粒子をヘンシェルミキサーを用いて、500rpmで乾式で攪拌しながら、これにメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを加え、10分間混合した。このように処理した水酸化マグネシウム粒子を150℃で1時間加熱処理して、本発明による難燃剤Wを得た。
【0089】
実施例18
(難燃剤Iの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 として90g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、80℃で1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した。
【0090】
次いで、このような水酸化マグネシウム粒子のスラリーにデシルトリメトキシシラン90gを加え、80℃で1時間攪拌した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤Iを得た。
【0091】
実施例19
(難燃剤Oの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 として90g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、80℃で1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した。
【0092】
次いで、このような水酸化マグネシウム粒子のスラリーにステアリン酸ナトリウムの10重量%水溶液0.9L(ステアリン酸ナトリウム90g)を加え、80℃で1時間攪拌した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗し、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤Oを得た。
【0093】
実施例20
(難燃剤Vの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 として150g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を1時間かけて加え、更に、80℃で1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に高密度のシリカからなる被覆層を形成した。
【0094】
次いで、このような水酸化マグネシウム粒子のスラリーにγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン90gを加え、80℃で1時間攪拌した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗し、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤Vを得た。
【0095】
実施例21
(難燃剤Xの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、ケイ酸ナトリウムをSiO2 換算にて300g加えた後、スラリーのpHが9になるまで、硫酸を10分かけて加え、更に、スラリーを80℃で1時間熟成して、水酸化マグネシウム粒子の表面に 低密度のシリカからなる被覆層を形成した。
【0096】
次いで、このような水酸化マグネシウム粒子のスラリーにメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを含むエマルジョンを加え、80℃で1時間攪拌した後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥し、粉砕して、本発明による難燃剤Xを得た。
【0097】
比較例1
(難燃剤Sの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離し、水洗し、乾燥した後、粉砕した。この水酸化マグネシウム粒子をヘンシェルミキサーを用いて、500rpmで乾式で攪拌しながら、これにメチルハイドロジェンポリシロキサン90gを加え、10分間混合した。このように処理した水酸化マグネシウム粒子を150℃で1時間加熱処理して、比較例としての難燃剤Sを得た。
【0098】
比較例2
(難燃剤Rの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lを80℃に加温し、これにステアリン酸ナトリウムの10重量%水溶液0.9L(ステアリン酸ナトリウム90g)を加え、80℃で1時間攪拌した。この後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗し、乾燥した後、粉砕して、市販品に相当する比較例としての難燃剤Rを得た。
【0099】
比較例3
(難燃剤Pの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20LにAl23 換算にて30gのアルミン酸ナトリウムを加えた後、1モル/L濃度の塩酸0.58Lを1時間かけて加えた後、80℃に昇温し、これにステアリルアルコールリン酸エステルの3重量%水溶液3L(ステアリルアルコールリン酸エステル90g)を加え、30分攪拌した。この後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥した後、粉砕して、市販の耐酸品に相当する比較例としての難燃剤Pを得た。
【0100】
比較例4
(難燃剤Tの調製)
水酸化マグネシウムの水スラリー(150g/L)20Lに水酸化ナトリウム71gを加え、更に、3重量%濃度の塩化アルミニウム6水塩水溶液4.8L(Al23 として30g)を30分かけて加えた後、30分間攪拌した。スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗した後、水20Lに再分散させた。このスラリーを80℃に昇温し、これに予め80℃に加温した3重量%濃度のステアリン酸ナトリウム水溶液3L(ステアリン酸ナトリウム90g)を加え、30分攪拌した。この後、スラリーから水酸化マグネシウム粒子を濾過にて分離、水洗、乾燥した後、粉砕して、市販の耐酸品に相当する比較例としての難燃剤Tを得た。
【0101】
(難燃性樹脂組成物の調製)
実施例22
ポリエチレン樹脂(MFR1g/10分、融点120℃)100重量部に、表1から表4に示すように、上記実施例1〜21で得たそれぞれの難燃剤100重量部を加え、ニ−ダー混練機を用いて、160℃で15分間溶融混錬した後、樹脂組成物をペレットに成形した。このペレットを二軸ロールにて130℃でシート化し、ホットプレスにて160℃で3分間、50kgf/cm2 で加圧して、厚み1.0mmのシートに成形した。このシートを短冊状に打ち抜き、試験液として30重量%硫酸を用いて、JIS K 7114に準拠して、耐酸性試験に供した。また、別に、上記シートを短冊状に打ち抜き、JIS K 7201に準拠して、酸素指数を測定した。結果を表1から表4に示す。
【0102】
ここに、耐酸性は、試料の重量減少によって評価することができ、数値(重量減少)が低い程、耐酸性にすぐれることを示し、また、酸素指数は、数値が高い程、難燃性にすぐれることを示す。
【0103】
また、上記実施例1〜21において、それぞれ難燃剤を製造する際に、水酸化マグネシウム粒子に被覆層を形成した後、又は被覆層を形成し、更に表面処理した後に、水酸化マグネシウム粒子を濾過する際の分離時間と水洗時間とを表1から表3に併せて示す。ここに、分離時間とは、水酸化マグネシウムの水スラリーを濾紙No.5Cを用いて濾過を開始した時から濾液の滴下が5滴/分となるまでけに要した時間をいい、水洗時間とは、スラリーから濾取した水酸化マグネシウム粒子を一定の水(10L)に分散させ、スラリーとし、これを濾過したときの上記定義による分離時間をいう。
【0104】
比較例5
実施例22で用いたのと同じポリエチレン樹脂100重量部に、表4に示すように、上記比較例1〜5で得たそれぞれの難燃剤100重量部を加え、実施例22と同様にして、樹脂組成物からシートを得、耐酸性試験に供すると共に、酸素指数を測定した。結果を表4に示す。併せて、比較例1〜4において、それぞれ難燃剤を製造する際の上記定義による分離時間と水洗時間とを表4に示す。
【0105】
比較例6
実施例22で用いたのと同じポリエチレン樹脂に難燃剤を配合することなく、実施例22と同様にして、シートを得、耐酸性試験に供すると共に、酸素指数を測定した。結果をブランクとして表4に示す。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
【表3】

【0109】
【表4】

【0110】
表1から表4にみられるように、本発明による難燃剤を配合した樹脂組成物は、高い耐酸性を有している。特に、水酸化マグネシウム粒子の表面にシリカからなる被覆層を有せしめ、更に、そのような水酸化マグネシウム粒子を表面処理してなる難燃剤はすぐれた耐酸性を有する。なかでも、シリカからなる被覆層が高密度のシリカからなり、また、ポリシロキサンで表面処理してなる難燃剤が特にすぐれた耐酸性を有している。
【0111】
また、本発明による難燃剤の製造に際して、シリカからなる被覆層を形成した後、更に、例えば、アルミナからなる第2の被覆層を形成することによって、水酸化マグネシウム粒子の濾過性が著しく改善されている。
【0112】
これに対して、水酸化マグネシウム粒子をポリシロキサンで表面処理のみした難燃剤S、水酸化マグネシウム粒子をステアリン酸ナトリウムで表面処理のみした難燃剤Rは、いずれも耐酸性に劣っている。また、水酸化マグネシウム粒子の表面にアルミナからなる被覆層を形成し、更に、ステアリルアルコールリン酸エステルやステアリン酸ナトリウムにて表面処理してなる難燃剤PやTも、同様に、耐酸性に劣っている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を表面に有する水酸化マグネシウム粒子を高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤にて表面処理してなる難燃剤。
【請求項2】
水酸化マグネシウム粒子の表面に水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を有せしめた後、更に、高級脂肪酸、高級脂肪酸アルカリ金属塩、多価アルコール高級脂肪酸エステル、アニオン系界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、チタネートカップリング剤、オルガノシラン、オルガノシロキサン及びオルガノシラザンから選ばれる少なくとも1種の表面処理剤で表面処理することを特徴とする難燃剤の製造方法。
【請求項3】
水酸化マグネシウム粒子の表面に水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を有せしめた後、更に、オルガノポリシロキサンで表面処理することを特徴とする難燃剤の製造方法。
【請求項4】
水酸化マグネシウム粒子の表面に水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を有せしめた後、更に、アルキル基及び/又はアリール基と共にアルコキシル基を有するオルガノシランで表面処理することを特徴とする難燃剤の製造方法。
【請求項5】
水酸化マグネシウム粒子の表面に水酸化マグネシウムに対してSiO2 換算にて0.1〜20重量%のシリカからなる被覆層を有せしめた後、更に、シランカップリング剤で表面処理することを特徴とする難燃剤の製造方法。
【請求項6】
水酸化マグネシウムに対して0.1〜20重量%の表面処理剤を用いて、温度20〜95℃、pH6〜12で湿式にて表面処理する請求項2から5のいずれかに記載の難燃剤の製造方法。
【請求項7】
水酸化マグネシウムに対して0.1〜20重量%の表面処理剤を用いて、温度5〜300℃で乾式にて表面処理する請求項2から5のいずれかに記載の難燃剤の製造方法。
【請求項8】
樹脂100重量部に対して請求項1に記載の難燃剤5〜350重量部を配合してなる難燃性樹脂組成物。




【公開番号】特開2008−169397(P2008−169397A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32593(P2008−32593)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【分割の表示】特願2002−56458(P2002−56458)の分割
【原出願日】平成14年3月1日(2002.3.1)
【出願人】(000174541)堺化学工業株式会社 (96)
【Fターム(参考)】