説明

難燃性ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミド組成物

本組成物は、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド;場合によって導電性充填剤;ホスフィネート;及び、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤;を含む。この組成物から製造される物品も記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2004年11月22日出願の米国特許出願10/994,769、及び2005年11月11日出願の米国特許出願11/271/279及び11/271,278の一部継続出願である。上記の特許は全てその全体を参照として本明細書中に包含する。
【0002】
本発明は、難燃剤系及び熱可塑性ポリマー中におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリ(アリーレンエーテル)樹脂は、ポリアミド樹脂とブレンドされて、耐熱性、耐化学薬品性、衝撃強さ、加水分解安定性、及び寸法安定性のような広範囲の有益な特性を有する組成物が提供される。
【0004】
これらの有益な特性は広範囲の用途において望ましく、これらの用途のために必要な部品の形状及び寸法は広範囲に変化する。その結果、射出成形、圧縮成形、及び押出のような種々の形成又は成形法が用いられている。更に、多くの用途において熱可塑性組成物は難燃性であることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
過去においては、難燃性は通常、ハロゲン含有難燃剤を用いることによって達成されていた。ハロゲン含有難燃剤は、幾つかの用途において徐々に有機リン酸エステル難燃剤に取って代わられている。ホスフィネートは、有機リン酸エステル難燃剤に代わるものとして提案されている。しかしながら、熱可塑性ポリマー中において難燃剤としてホスフィネートを用いても、物理特性と難燃性の望ましい組み合わせが常に得られる訳ではない。したがって、ホスフィネート難燃剤系及びホスフィネートを含む難燃性熱可塑性組成物に対する必要性が未だ存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本難燃性組成物は、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド;導電性充填剤;ホスフィネート;及び、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤;を含む。
【0007】
他の態様においては、本難燃性組成物は、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド;ホスフィネート;及び、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、二酸化チタン、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤;を含む。
【0008】
また、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド;導電性充填剤;ホスフィネート;及び、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤;を含む難燃性組成物を含む物品も提供される。
【0009】
他の態様においては、本物品は、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド;ホスフィネート;及び、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、二酸化チタン、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤;を含む難燃性組成物を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書において用いる「第1」、「第2」など、「第1級」、「第2級」などの用語は、順番、量、又は重要性を示すものではなく、1つの要素を他から区別するために用いるものである。
【0011】
「a」及び「an」の用語は、量の限定を示すものではなく、少なくとも1つの示された事項の存在を示すものである。
「場合による」又は「場合によって」は、その後に記載される事象又は状況が起こっても起こらなくてもよく、この記載が事象が起こる場合及び起こらない場合を包含することを意味する。
【0012】
本明細書で記載する難燃性組成物は、「プラスチック材料の燃焼性に関する試験、UL94」と題されたUnderwriter's Laboratory Bulletin 94、(UL 94)(2003年12月12日改訂)にしたがって、2.0mmの厚さにおいてV−1又はそれより良好な難燃性等級を有する。難燃性は、難燃剤増強剤なしでホスフィネートを用いた場合に必要なものよりも非常に低い(50重量%以上)の量のホスフィネートを用いて達成される。難燃剤増強剤は、少量、通常は組成物の全重量を基準として0.1〜6.0重量%の量で用いる。幾つかの態様においては、V−1又はこれより良好な難燃性等級は、匹敵する難燃性等級を達成するのに必要なホスフィネート単独の量よりも少ない全合計量のホスフィネート及び難燃剤増強剤を用いて得ることができる。
【0013】
幾つかの態様においては、本組成物は低圧/低剪断成形プロセスにおいて用いるのに好適である。低圧/低剪断成形プロセスでは、押出ダイから押出すか又は成形型から取り出した後に所望の形状を保持するのに十分に高い溶融強度及び十分に低いメルトボリュームレート(MVR)を有する材料が必要である。
【0014】
幾つかの態様においては、材料が、静電被覆を可能にするのに十分に導電性であることが望ましい。導電性に関する1つの通常の指標は体積固有抵抗(specific volume resistivity)である。体積固有抵抗(SVR)は、一定体積の材料を通る漏洩電流の測定値である。これは、1センチメートル立法の材料を通る電気抵抗として定義され、Ω・cmで表される。材料の体積固有抵抗がより低いと、材料はより導電性である。一態様においては、組成物は、10Ω・cm以下、又はより具体的には10Ω・cm以下、又は更に具体的には10Ω・cm以下の体積固有抵抗を有する。組成物は、1Ω・cm以上の体積固有抵抗を有していてよい。体積固有抵抗は実施例に記載のようにして測定することができる。
【0015】
減少した量のホスフィネートと共に1種類以上の難燃剤増強剤を含ませることにより、難燃剤増強剤を有さず、より多い量のホスフィネートを有する比較しうる組成物に匹敵する体積固有抵抗を達成する組成物が得られる。その結果、より少ない量のホスフィネート、1種類又は複数の難燃剤増強剤、及び導電性充填剤を含む組成物において、導電性充填剤及びより多い量のホスフィネートを含むが難燃剤増強剤を含まない組成物におけるものと同等か又はより低い抵抗率を達成することができる。従来は、ホスフィネートによって導電性を向上させることができ、ホスフィネートの量が50%以上減少するとSVRが上昇すると期待されることが示唆されていたので、これは驚くべきことである。
【0016】
本明細書において、「a」及び「an」の用語は、量の限定を示すものではなく、少なくとも1つの示された事項の存在を示すものである。本明細書において開示されている範囲は全て、包含的で組み合わせ可能なものである(例えば、「25重量%以下、又はより具体的には5重量%〜20重量%」の範囲は、「5重量%〜25重量%」の範囲の端点及び全ての中間値を包含する)。
【0017】
ここで用いる「ポリ(アリーレンエーテル)」は、複数の式(I):
【0018】
【化1】

【0019】
(ここで、それぞれの構造単位に関して、それぞれのQ及びそれぞれのQは、独立して、水素、ハロゲン、第1級若しくは第2級低級アルキル(例えば1〜7個の炭素原子を有するアルキル)、ハロアルキル、アミノアルキル、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、アリール(例えばフェニル)、ヒドロカーボンオキシ、及びハロゲンと酸素原子とが少なくとも2つの炭素原子によって隔てられているハロヒドロカーボンオキシである)
の複数の構造単位を含む。幾つかの態様においては、それぞれのQは、独立して、アルキル又はフェニル、例えばC〜Cアルキルであり、それぞれのQは、独立して、水素又はメチルである。ポリ(アリーレンエーテル)は、通常はヒドロキシ基に対してオルト位に配置されている1つ又は複数のアミノアルキル含有末端基を有する分子を含んでいてよい。また、ポリ(アリーレンエーテル)の製造中における逆二量体取り込み(backward dimer incorporation)から得られる末端基、例えばモノマーとして2,6−キシレノールを用いる場合にはテトラメチルジフェニルキノン(TMDQ)もしばしば存在する。
【0020】
ポリ(アリーレンエーテル)は、ホモポリマー;コポリマー;グラフトコポリマー;イオノマー;例えばアリーレンエーテル単位及びアルケニル芳香族化合物から誘導されるブロックを含むブロックコポリマー;並びに、上記の少なくとも1つを含む組み合わせの形態であってよい。ポリ(アリーレンエーテル)としては、2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル単位を、場合によっては2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレンエーテル単位と組み合わせて含むポリフェニレンエーテルが挙げられる。
【0021】
ポリ(アリーレンエーテル)は、2,6−キシレノール及び/又は2,3,6−トリメチルフェノールのような1種類又は複数のモノヒドロキシ芳香族化合物の酸化カップリングによって製造することができる。かかるカップリングのために、一般的に触媒系が用いられ、これらは、銅、マンガン、又はコバルト化合物のような1種類又は複数の重金属化合物を、通常は第2級アミン、第3級アミン、ハロゲン化物、又は上記の2以上の組み合わせのような種々の他の材料と組み合わせて含んでいてよい。
【0022】
ポリ(アリーレンエーテル)は、単分散ポリスチレン標準試料、40℃のスチレンジビニルベンゼンゲル、及び1mLのクロロホルムあたり1mgの濃度を有する試料を用いるゲル透過クロマトグラフィーによって測定して、3,000〜40,000g/モルの数平均分子量、5,000〜80,000g/モルの重量平均分子量、又は3,000〜40,000g/モルの数平均分子量及び5,000〜80,000g/モルの重量平均分子量を有していてよい。ポリ(アリーレンエーテル)は、クロロホルム中25℃において測定して、0.10〜0.60dL/g、又はより具体的には0.29〜0.48dL/gの初期固有粘度を有していてよい。初期固有粘度は、組成物の他の成分と溶融混合する前のポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度として定義され、最終固有粘度は、組成物の他の成分と溶融混合した後のポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度として定義される。当業者に理解されるように、ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は、溶融混合後に30%以下高くなる可能性がある。増加の割合は、(最終固有粘度−初期固有粘度)/初期固有粘度によって算出することができる。正確な比を測定することは、2つの初期固有粘度を用いる場合、用いるポリ(アリーレンエーテル)の正確な固有粘度及び所望の最終的な物理特性にある程度依存する。
【0023】
一態様においては、ポリ(アリーレンエーテル)は、窒素雰囲気中において示差走査熱量測定法(20℃/分の勾配でのDSC)によって測定して160℃〜250℃のガラス転移温度(Tg)を有する。Tgは、2つの加熱サイクルの2番目の結果に基づいて求める。この範囲内において、Tgは、180℃以上、又はより具体的には200℃以上であってよい。また、この範囲内において、Tgは、240℃以下、又はより具体的には230℃以下であってよい。
【0024】
組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)が分散又は共連続相として存在するような量のポリ(アリーレンエーテル)を含む。ポリ(アリーレンエーテル)は、15〜65重量%の量で存在していてよい。この範囲内において、ポリ(アリーレンエーテル)は、20重量%以上の量、又はより具体的には25重量%以上の量、又は更に具体的には30重量%以上の量で存在していてよい。また、この範囲内において、ポリ(アリーレンエーテル)は、60重量%以下、又はより具体的には55重量%以下、又は更に具体的には50重量%以下の量で存在していてよい。重量%は、熱可塑性組成物の全重量を基準とする。
【0025】
ナイロンとしても知られているポリアミド樹脂は、アミド基(−C(O)NH−)が存在することを特徴とし、米国特許4,970,272に記載されている。代表的なポリアミド樹脂としては、ナイロン−6;ナイロン−6,6;ナイロン−4;ナイロン−4,6;ナイロン−12;ナイロン−6,10;ナイロン−6,9;ナイロン−6,12;アモルファスポリアミド;ポリフタルアミド;0.5重量%より低いトリアミン含量を有するナイロン−6/6T及びナイロン−6,6/6T;ナイロン−9T;並びに複数のポリアミドの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一態様においては、ポリアミド樹脂はナイロン−6及びナイロン−6,6を含む。一態様においては、ポリアミド樹脂又は複数のポリアミド樹脂の組み合わせは、171℃以上の融点(Tm)を有する。ポリアミドが超強靱ポリアミド、即ちラバー強化ポリアミドを含む場合には、組成物は、別の耐衝撃性改良剤を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【0026】
ポリアミド樹脂は、米国特許2,071,250;2,071,251;2,130,523;2,130,948;2,241,322;2,312,966;2,512,606;6,887,930;及び特開2000−212434に記載されたもののような多数の周知のプロセスによって得ることができる。ポリアミド樹脂は、広範囲の供給元から商業的に入手することができる。
【0027】
ISO 307にしたがって96重量%硫酸中の0.5重量%溶液中で測定して、400mL/g以下の固有粘度、又はより具体的には90〜350mL/gの粘度、又は更に具体的には110〜240mL/gの粘度を有するポリアミド樹脂を用いることができる。
【0028】
幾つかの態様においては、ポリアミドは、6以下の相対粘度、又はより具体的には1.89〜5.43の相対粘度、又は更に具体的には2.16〜3.93の相対粘度を有していてよい。相対粘度は、DIN 53727にしたがって96重量%硫酸中の1重量%溶液中において測定する。
【0029】
一態様においては、ポリアミド樹脂は、HClによる滴定によって測定して、ポリアミド1gあたり35マイクロ当量(μeq/g)アミン末端基以上のアミン末端基濃度を有するポリアミドを含む。この範囲内において、アミン末端基濃度は、40μeq/g以上、又はより具体的には45μeq/g以上であってよい。アミン末端基の最大量は、通常、重合条件及びポリアミドの分子量によって定まる。アミン末端基含量は、ポリアミドを、場合によっては熱を加えて好適な溶媒中に溶解することによって測定することができる。ポリアミド溶液を、好適な指示法を用いて0.01規定の塩酸(HCl)溶液で滴定する。アミン末端基の量は、試料に加えたHCl溶液の容積、ブランクに関して用いたHClの容積、HCl溶液のモル濃度、及びポリアミド試料の重量に基づいて算出する。
【0030】
一態様においては、ポリアミドは、ポリアミドの全重量の50重量%以上の、ポリ(アリーレンエーテル)のガラス転移温度(Tg)の35%以内、又はより具体的には25%以内、又は更に具体的には15%以内の溶融温度を有するポリアミドを含む。本明細書において用いるポリアリーレンエーテルのガラス転移温度の35%以内の溶融温度を有するとは、(0.65×ポリ(アリーレンエーテル)のTg)以上で(1.35×ポリ(アリーレンエーテル)のTg)以下の溶融温度を有するものとして定義される。
【0031】
組成物は、組成物の連続相又は共連続相を形成するのに十分な量のポリアミドを含む。ポリアミドの量は30〜85重量%であってよい。この範囲内において、ポリアミドは、33重量%以上の量、又はより具体的には38重量%以上の量、又は更に具体的には40重量%以上の量で存在していてよい。また、この範囲内において、ポリアミドは、60重量%以下、又はより具体的には55重量%以下、又は更に具体的には50重量%以下の量で存在していてよい。重量%は熱可塑性組成物の全重量を基準とする。
【0032】
本明細書において用いる場合、「相溶化剤」という表現は、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリアミド樹脂、又は両方と相互作用する多官能性化合物を指す。この相互作用は、化学的(例えばグラフト化)であっても、及び/又は物理的(例えば分散相の表面特性に影響を与えるもの)であってもよい。いずれの場合においても、得られる相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミド組成物は、特に向上した衝撃強さ、モールドニットライン強度、及び/又は伸びによって示されるように、改良された相溶性を示すことが明らかである。本明細書において用いる「相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド」という表現は、米国特許3,379,792において教示されているような、物理的か及び/又は上記で議論した薬剤で化学的に相溶化した組成物、並びにかかる薬剤を用いずに物理的に相溶化することのできる組成物を指す。
【0033】
当業者に理解されるように、ポリ(アリーレンエーテル)とポリアミドは、配合すると非混和性のブレンドを形成する。非混和性のブレンドは、連続相と分散相か、或いは2つの共連続相のいずれかを有する。連続相及び分散相が存在する場合には、分散相の粒子の寸法は、電子顕微鏡を用いて測定することができる。相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンドにおいては、分散相粒子(ポリ(アリーレンエーテル))の平均径は、非相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンドと比べて減少する。例えば、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンドは、10μm以下の平均ポリ(アリーレンエーテル)粒子径を有する。幾つかの態様においては、平均粒径は0.05μm以上である。ペレット化ブレンドにおける平均粒径は成形物品におけるものよりも小さい可能性があるが、いずれの場合においても、平均粒径は10μm以下である。平均粒径の測定は、当該技術において公知であり、例えば米国特許4,772,664及び4,863,996において教示されている。
【0034】
用いることのできる種々の相溶化剤の例としては、液体ジエンポリマー、エポキシ化合物、酸化ポリオレフィンワックス、キノン類、有機シラン化合物、多官能性化合物、官能化ポリ(アリーレンエーテル)、及び上記の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。相溶化剤は、更に、米国特許5,132,365及び6,593,411、並びに米国特許出願2003/0166762に記載されている。
【0035】
一態様においては、相溶化剤は多官能性化合物を含む。相溶化剤として用いることのできる多官能性化合物は、3つのタイプのものである。第1のタイプの多官能性化合物は、分子内に(a)炭素−炭素二重結合又は炭素−炭素三重結合、及び(b)少なくとも1つのカルボン酸、無水物、アミド、エステル、イミド、アミノ、エポキシ、オルトエステル、又はヒドロキシ基の両方を有するものである。かかる多官能性化合物の例としては、マレイン酸;無水マレイン酸;フマル酸;グリシジルアクリレート、イタコン酸;アコニチン酸;マレイミド;マレイン酸ヒドラジド;ジアミンと、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸等とから得られる反応生成物;ジクロロ無水マレイン酸;マレイン酸アミド;不飽和ジカルボン酸(例えば、アクリル酸、ブテン酸、メタクリル酸、t−エチルアクリル酸、ペンテン酸);デセン酸、ウンデセン酸、ドデセン酸、リノール酸等);上記の不飽和カルボン酸のエステル、酸アミド、又は無水物;不飽和アルコール(例えば、アルキルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、4−ペンテン−1−オール、1,4−ヘキサジエン−3−オール、3−ブテン−1,4−ジオール、2,5−ジメチル−3−ヘキセン−2,5−ジオール、並びに式:C2n−5OH、C2n−7OH、及びC2n−9OH(式中、nは5〜30である)のアルコール);上記の不飽和アルコールの1つ又は複数の−OH基をNH基で置き換えることによって得られる不飽和アミン;官能化ジエンポリマー及びコポリマー;並びに上記の1以上を含む組み合わせが挙げられる。一態様においては、相溶化剤は、無水マレイン酸、フマル酸、又は無水マレイン酸とフマル酸の組み合わせを含む。
【0036】
第2のタイプの多官能性相溶化剤は、(a)式:(OR)(式中、Rは、水素、或いはアルキル、アリール、アシル、又はカルボニルジオキシ基である)によって表される基、及び(b)それぞれが同一であっても異なっていてもよく、カルボン酸、酸ハロゲン化物、無水物、無水酸ハロゲン化物、エステル、オルトエステル、アミド、イミド、アミノ、及びこれらの種々の塩から選択することができる少なくとも2つの基の両方を有することを特徴とする。この群の相溶化剤の幾つかの例は、脂肪族ポリカルボン酸、酸エステル、及び式:
(RO)(COORII(CONRIIIIV
(式中、Rは、2〜20個、又はより具体的には2〜10個の炭素原子を有する、線状又は分岐鎖の飽和脂肪族炭化水素であり;Rは、水素、或いは1〜10個、又はより具体的には1〜6個、又は更に具体的には1〜4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アシル、又はカルボニルジオキシ基であり;それぞれのRIIは、独立して、水素、或いは1〜20個、又はより具体的には1〜10個の炭素原子を有するアルキル又はアリール基であり;それぞれのRIII及びRIVは、独立して、水素、或いは1〜10個、又はより具体的には1〜6個、又は更に具体的には1〜4個の炭素原子を有するアルキル又はアリール基であり;mは1に等しく、(n+s)は、2以上であるか、又はより具体的には2又は3に等しく、n及びsは、それぞれ0以上であり、(OR)はカルボニル基に対してα又はβであり、少なくとも2つのカルボニル基は2〜6個の炭素原子によって隔てられている)によって表される酸アミドである。明らかに、R、RII、RIII、及びRIVは、それぞれの置換基が6未満の炭素原子を有する場合にはアリールにはなり得ない。
【0037】
また、第2のタイプの好適な多官能性相溶化剤としては、例えば、例えば無水物及び水和酸のようなその種々の商業的な形態を含む、クエン酸、リンゴ酸、アガリシン酸;並びに上記の1以上を含む組み合わせも挙げられる。一態様においては、相溶化剤はクエン酸を含む。ここで有用なエステルの代表例としては、例えば、クエン酸アセチル、クエン酸モノ及び/又はジステアリルなどが挙げられる。ここで有用な好適なアミドとしては、例えば、N,N’−ジエチルクエン酸アミド;N−フェニルクエン酸アミド;N−ドデシルクエン酸アミド;N,N’−ジドデシルクエン酸アミド;及びN−ドデシルリンゴ酸が挙げられる。誘導体としては、アミンとの塩、並びにアルカリ及びアルカリ金属塩などのその塩が挙げられる。好適な塩の例としては、リンゴ酸カルシウム、クエン酸カルシウム、リンゴ酸カリウム、及びクエン酸カリウムが挙げられる。
【0038】
第3のタイプの多官能性相溶化剤は、分子内に、(a)酸ハロゲン化物基、及び(b)少なくとも1つのカルボン酸、無水物、エステル、エポキシ、オルトエステル、又はアミド基の両方を有することを特徴とする。この群内の相溶化剤の例としては、無水トリメリット酸クロリド、無水コハク酸クロロホルミル、クロロホルミルコハク酸、無水グルタル酸クロロホルミル、クロロホルミルグルタル酸、無水コハク酸クロロアセチル、クロロアセチルコハク酸、トリメリット酸クロリド、及びクロロアセチルグルタル酸が挙げられる。一態様においては、相溶化剤は無水トリメリット酸クロリドを含む。
【0039】
難燃性熱可塑性組成物は、溶融ブレンドによって製造される。成分及び上記の相溶化剤は、溶融ブレンドに直接加えるか、又はポリ(アリーレンエーテル)及びポリアミドのいずれか又は両方、並びに組成物の製造において用いる他の樹脂材料と予め反応させることができる。多くの上記の相溶化剤、特に多官能性化合物を用い、相溶化剤の少なくとも一部を、溶融状態か又は好適な溶媒の溶液中で、ポリ(アリーレンエーテル)の全部又は一部と予め反応させると、相溶性における更に大きな向上が見られる。このような予備反応によって、相溶化剤をポリマーと反応させて、その結果としてポリ(アリーレンエーテル)の全部又は一部を官能化することができると考えられる。例えば、ポリ(アリーレンエーテル)を無水マレイン酸と予め反応させて、ポリアミド及び場合によっては未反応のポリ(アリーレンエーテル)と溶融ブレンドすると相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンドを与える無水官能化ポリ(アリーレンエーテル)を形成することができる。
【0040】
組成物の製造において相溶化剤を用いる場合には、使用量は、選択した特定の相溶化剤、及びそれに加える特定のポリマー系、並びに得られる組成物の所望の特性によって定まる。
【0041】
組成物は耐衝撃性改良剤を含んでいてよい。耐衝撃性改良剤は、アルケニル芳香族繰り返し単位を含むブロックコポリマー、例えば、通常はスチレンブロックである1つ又は2つのアルケニル芳香族ブロックA(アリールアルキレン繰り返し単位を有するブロック)、及び、通常はイソプレン又はブタジエンブロックであるラバーブロックBを有する、A−Bジブロックコポリマー、及びA−B−Aトリブロックコポリマーであってよい。ブタジエンブロックは、部分的か又は完全に水素化されていてもよい。また、これらのジブロック及びトリブロックコポリマーの混合物、並びに非水素化コポリマー、部分的に水素化されたコポリマー、完全に水素化されたコポリマー、及び上記の2以上の組み合わせの混合物を用いることもできる。
【0042】
A−B及びA−B−Aコポリマーとしては、ポリスチレン−ポリブタジエン、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)、ポリスチレン−ポリイソプレン、ポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン及びポリ(α−メチルスチレン)−ポリブタジエン−ポリ(α−メチルスチレン)、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン−スチレン)−ポリスチレンなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、上記記載のブロックコポリマーの混合物も有用である。かかるA−B及びA−B−Aブロックコポリマーは、SOLPRENEの商標でPhillips Petroleum、KRATONの商標でKRATON Polymers、VECTORの商標でDexco、TUFTECの商標でAsahi Kasei、FINAPRENE及びFINACLEARの商標でTotal Petrochemicals、及びSEPTONの商標でKurarayなどの数多くの供給元から商業的に入手することができる。
【0043】
一態様においては、耐衝撃性改良剤は、ポリスチレン−ポリ(エチレン−ブチレン)−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリ(エチレン−プロピレン)、又は上記の組み合わせを含む。
【0044】
他のタイプの耐衝撃性改良剤は、アリールアルキレン繰り返し単位を実質的に含まず、カルボン酸、無水物、エポキシ、オキサゾリン、及びエステルからなる群から選択される1以上の部分を含む。実質的に含まないとは、ブロックコポリマーの全重量を基準として5重量%未満、又はより具体的には3重量%未満、又は更に具体的には2重量%未満の量で存在するアルケニル芳香族単位を有するものとして定義される。耐衝撃性改良剤がカルボン酸部分を含む場合には、カルボン酸部分は、イオン、具体的には亜鉛又はナトリウムのような金属イオンによって中性化することができる。これは、アルキレン−アルキル(メタ)アクリレートコポリマーであってよく、アルキレン基は2〜6個の炭素原子を有していてよく、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は1〜8個の炭素原子を有していてよい。このタイプのポリマーは、オレフィン、例えばエチレン及びプロピレンを、種々の(メタ)アクリレートモノマー及び/又は種々のマレイン酸ベースのモノマーと共重合することによって製造することができる。(メタ)アクリレートという用語は、アクリレート及び対応するメタクリレート類似体の両方を指す。(メタ)アクリレートモノマーという用語には、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、及び少なくとも1つの上記記載の反応性部分を含む種々の(メタ)アクリレートモノマーが包含される。
【0045】
一態様においては、耐衝撃性改良剤は、アルキレン成分として、エチレン、プロピレン、又はエチレンとプロピレンの混合物;アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分のために、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、又はプロピルアクリレート、並びに対応するアルキル(メチル)アクリレート;並びに更なる反応性成分(即ち、カルボン酸、無水物、エポキシ)を与えるモノマーとして、アクリル酸、無水マレイン酸、グリシジルメタクリレート、又はこれらの組み合わせ;から誘導される。
【0046】
代表的な耐衝撃性改良剤は、ELVALOY、SURLYN、及びFUSABOND(これらは全てDuPontから入手できる)をはじめとして種々の供給元から商業的に入手できる。
上記記載の耐衝撃性改良剤は、単一か又は組み合わせて用いることができる。
【0047】
組成物に、1〜15重量%の量の耐衝撃性改良剤又は複数の耐衝撃性改良剤の組み合わせを含ませることができる。この範囲内において、耐衝撃性改良剤は、1.5重量%以上の量、又はより具体的には2重量%以上の量、又は更に具体的には3重量%以上の量で存在させることができる。また、この範囲内において、耐衝撃性改良剤は、13重量%以下、又はより具体的には12重量%以下、又は更に具体的には10重量%以下の量で存在させることができる。重量%は熱可塑性組成物の全重量を基準とする。
【0048】
幾つかの態様においては、組成物は導電性充填剤を更に含む。導電性充填剤は、導電性カーボンブラック、カーボンナノチューブ、炭素繊維、又は上記の2以上の組み合わせを含んでいてよい。導電性カーボンブラックは、商業的に入手することができ、S.C.F.(Super Conductive Furnace)、E.C.F.(Electric Conductive Furnace)、KETJENBLACK EC(Akzo Co., Ltd.から入手できる)、PRINTEX XE2B(Degussaから入手できる)、ENSACO 350G(Timcalから入手できる)、又はアセチレンブラックなど(しかしながらこれらに限定されない)の種々の商品名で販売されている。幾つかの態様においては、導電性カーボンブラックは、200nm以下、又はより具体的には100nm以下、又は更に具体的には50nm以下の平均粒径を有する。また、導電性カーボンブラックは、BET分析によって測定して、200m/gより大きく、又はより具体的には400m/gより大きく、又は更に具体的には900m/gより大きい表面積を有していてよい。導電性カーボンブラックは、ジブチルフタレート吸収によって測定して、40cm/100g以上、又はより具体的には100cm/100g以上、又は更に具体的には150cm/100g以上の孔容積を有していてよい。
【0049】
用いることのできるカーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ(SWNT)、多層カーボンナノチューブ(MWNT)、気相成長炭素繊維(VGCF)、及び上記の2以上を含む組み合わせが挙げられる。
【0050】
単層カーボンナノチューブ(SWNT)は、グラファイトのレーザー蒸着、カーボンアーク合成、又は高圧一酸化炭素転化法(HIPCO)によって製造することができる。これらのSWNTは、一般に、0.7〜2.4nmの外径を有するグラフェン層を含む単層を有する。SWNTは、金属性SWNT及び半導性SWNTの混合物を含んでいてよい。金属性SWNTは金属と同等の電気特性を示すものであり、一方半導性SWNTは電気的に半導性のものである。幾つかの態様においては、組成物が可能な限り大きな金属性SWNTのフラクションを含むようにすることが望ましい。SWNTは、5以上、又はより具体的には100以上、又は更に具体的には1000以上のアスペクト比を有していてよい。SWNTは、一般に、それぞれの管のそれぞれの端部において半球形のキャップ部を有する閉止構造であるが、端部の一方が開放されているか又は両方の端部が開放されているSWNTを用いることもできると考えられる。SWNTは、一般に、中空であるが、アモルファス炭素で充填することができる中心部分を含む。
【0051】
一態様においては、SWNTは、SWNTの全重量の1重量%以上、又はより具体的には20重量%以上、又はより具体的には30重量%以上、又は更に具体的には50重量%以上、又は更に具体的には99.9重量%以上の量の金属性ナノチューブを含む。
【0052】
一態様においては、SWNTは、SWNTの全重量の1重量%以上、又はより具体的には20重量%以上、又はより具体的には30重量%以上、又は更に具体的には50重量%以上、又は更に具体的には99.9重量%以上の量の半導性ナノチューブを含む。
【0053】
MWNTは、レーザーアブレーション及びカーボンアーク合成のようなプロセスによって製造することができる。MWNTは、内部の中空コアの周りに結合している少なくとも2つのグラフェン層を有している。一般には、半球形のキャップ部によってMWNTの両方の端部が閉止されているが、1つの半球形のキャップ部しか有しないMWNT、又は両方のキャップ部を欠くMWNTを用いることもできる。MWNTは、概して2〜50nmの直径を有する。この範囲内において、MWNTは、40nm以下、又はより具体的には30nm以下、又は更に具体的には20nm以下の平均径を有していてよい。MWNTは、5以上、又はより具体的には100以上、又は更に具体的には1000以上の平均アスペクト比を有していてよい。
【0054】
一態様においては、MWNTは気相成長炭素繊維(VGCF)を含む。VGCFは、一般に、化学気相成長法で製造される。「年輪」又は「魚骨」構造を有するVGCFは、粒子状金属触媒の存在下、適度な温度、即ち800〜1500℃において、気相中で炭化水素から成長させることができる。「年輪」構造においては、多数の実質的にグラファイト状の層がコアの周りに同軸配置している。「魚骨」構造においては、繊維は、中空コアの軸から伸長するグラファイト層を有することを特徴とする。
【0055】
3.5〜2000nmの直径、及び5以上のアスペクト比を有するVGCFを用いることができる。VGCFは、3.5〜500nm、又はより具体的には3.5〜100nm、又は更に具体的には3.5〜50nmの直径を有していてよい。VGCFは、100以上、又はより具体的には1000以上の平均アスペクト比を有していてよい。
【0056】
また、種々のタイプの導電性炭素繊維も組成物中において用いることができる。炭素繊維は、一般に、それらの直径、構造、及びグラファイト化度にしたがって分類される(構造とグラファイト化度は相互に関係する)。これらの特性は、現在は、炭素繊維を合成するのに用いる方法によって定まる。例えば、5μm以上の直径を有する炭素繊維、及び繊維軸に平行なグラフェンリボン(放射状、平面状、又は環状配列)は、フェノール類、ポリアクリロニトリル(PAN)、又はピッチなどの繊維質形態の有機前駆体の熱分解によって商業的に製造されている。
【0057】
炭素繊維は、概して、1,000nm(1μm)以上で30μmまでの直径を有する。この範囲内において、2μm以上、又はより具体的には3μm以上、又はより具体的には4μm以上の寸法を有する繊維を用いることができる。また、この範囲内において、25μm以下、又はより具体的には15μm以下、又は更に具体的には11μm以下の直径を有する繊維を用いることができる。
【0058】
組成物に、10Ω・cm以下の体積固有抵抗を達成するのに十分な量の導電性充填剤を含ませることができる。例えば、組成物に、0.3〜20重量%の量の導電性カーボンブラック、炭素繊維、カーボンナノチューブ、又は上記の2以上の組み合わせを含ませることができる。この範囲内において、導電性充填剤は、0.5重量%以上の量、又はより具体的には0.7重量%以上の量、又は更に具体的には0.8重量%以上の量で存在させることができる。また、この範囲内において、導電性充填剤は、15重量%以下、又はより具体的には10重量%以下、又は更に具体的には5重量%以下の量で存在させることができる。重量%は熱可塑性組成物の全重量を基準とする。
【0059】
幾つかの態様においては、組成物が静電荷を消散させるか又は熱消散させることができるのに十分な体積固有抵抗を達成するのに十分な量の導電性充填剤を含ませることが望ましい。
【0060】
ホスフィネートは、式II、III、又はIV:
【0061】
【化2】

【0062】
(式中、R及びRは、独立して、C〜Cアルキル、又はアリールであり;Rは、独立して、C〜C10アルキレン、C〜C10アリーレン、C〜C10アルキルアリーレン、又はC〜C10アリールアルキレンである)
の1種類以上のホスフィネートを含んでいてよい。Mは、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、亜鉛、又は上記の1以上を含む組み合わせである。変数dは2又は3である。変数fは、1、2、又は3である。変数xは1又は2である。RおよびRは、それぞれ、独立して、水素基、又は式:−CR=CHRのビニル基である。R及びRは、独立して、水素、カルボキシル、カルボン酸誘導体、C〜C10アルキル、フェニル、ベンジル、又はC〜Cアルキルで置換されている芳香族基である。Kは、独立して、水素、又は価数rの1/r金属である。変数uは、モノマー単位の平均数であり、1〜20の値を有することができる。
【0063】
及びRの例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、及びフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。Rの例としては、メチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、tert−ブチレン、n−ペンチレン、n−オクチレン、n−ドデシレン、フェニレン、ナフチレン、メチルフェニレン、エチルフェニレン、tert−ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチルナフチレン、tert−ブチルナフチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレン、及びフェニルブチレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
モノ及びジホスフィネート(それぞれ式II及びIII)は、EP−0699708に教示されているように、水性媒体中で対応するホスフィン酸を金属酸化物及び/又は金属水酸化物と反応させることによって製造することができる。
【0065】
ポリマーホスフィネート(式IV)は、次亜リン酸及び/又はそのアルカリ金属塩を、式(V):
−C≡C−R (V)
のアセチレン類と反応させることによって製造することができる。
【0066】
次に、得られたポリマーホスフィン酸又はポリマーホスフィン酸塩を、米国特許出願2003/0216533に教示されているように周期律表第IA、IIA、IIIA、IVA、VA、IIB、IVB、VIIB、VIIIB族の金属化合物と反応させる。
【0067】
一態様においては、R及びRの95%以上がエチルである。
一態様においては、ホスフィネートは粒子状形態である。ホスフィネート粒子は、40μm以下の中央粒径(D50)、又はより具体的には30μm以下のD50、又は更に具体的には25μm以下のD50を有していてよい。更に、ホスフィネートは、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリオレフィン、ポリアミド、耐衝撃性改良剤、又は上記のポリマーの2以上の組み合わせのようなポリマーと配合してマスターバッチを形成することができる。ホスフィネートマスターバッチは、熱可塑性組成物中に存在する量よりも多い量のホスフィネートを含む。組成物の他の成分にホスフィネートを加えるためにマスターバッチを用いることにより、ホスフィネートの添加が容易になり、ホスフィネートの分布が向上する。
【0068】
組成物は、UL94にしたがって2.0mmの厚さにおいてV−1又はそれより良好な難燃性を達成するのに十分な量のホスフィネートを含む。一態様においては、組成物は、UL94にしたがって2.0mmの厚さにおいてV−0の難燃性を達成するのに十分な量のホスフィネートを含む。例えば、組成物は、5〜25重量%の量のホスフィネートを含んでいてよい。この範囲内において、ホスフィネートは、7重量%以上の量、又はより具体的には8重量%以上の量、又は更に具体的には9重量%以上の量で存在させることができる。また、この範囲内において、ホスフィネートは、22重量%以下、又はより具体的には17重量%以下、又は更に具体的には15重量%以下の量で存在させることができる。重量%は熱可塑性組成物の全重量を基準とする。
【0069】
一態様においては、組成物は、ホスフィネート、並びに、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、二酸化チタン、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤を含む。ホスフィネートの量及び1種類又は複数の難燃剤増強剤の量は、UL94にしたがって2.0mmの厚さにおいてV−1又はそれより良好な難燃性を達成するのに十分なものである。一態様においては、組成物は、UL94にしたがって2.0mmの厚さにおいてV−0の難燃性を達成するのに十分な量のホスフィネート及び1種類又は複数の難燃剤増強剤を含む。例えば、組成物は、1〜11重量%の量のホスフィネートを含んでいてよい。この範囲内において、ホスフィネートは、2重量%以上の量、又はより具体的には3重量%以上の量、又は更に具体的には4重量%以上の量で存在させることができる。また、この範囲内において、ホスフィネートは、10重量%以下、又はより具体的には9重量%以下、又は更に具体的には8重量%以下の量で存在させることができる。重量%は熱可塑性組成物の全重量を基準とする。
【0070】
組成物は、場合によっては、ケイ素の酸素化合物、マグネシウム化合物、周期律表2主族の金属の金属炭酸塩、赤リン、亜鉛化合物、アルミニウム化合物、又は上記の1以上を含む組成物のような無機化合物を含んでいてよい。ケイ素の酸素化合物は、オルトケイ酸及びその縮合生成物の塩又はエステル;シリケート;ゼオライト;シリカ;ガラス粉末;ガラス/セラミック粉末;セラミック粉末;又は上記のケイ素の酸素化合物の1以上を含む組み合わせであってよい。マグネシウム化合物は、水酸化マグネシウム、ハイドロタルサイト、炭酸マグネシウム、炭酸マグネシウムカルシウム、又は上記のマグネシウム化合物の1以上を含む組み合わせであってよい。赤リンは、元素状赤リン、或いはリンの表面を、シリコーン油、パラフィン油、又はフタル酸若しくはアジピン酸のエステルのような低分子量液状物質、或いはポリマー又はオリゴマー化合物、例えばフェノール樹脂又はアミノプラスチック、或いはポリウレタンで被覆した製剤であってよい。亜鉛化合物は、酸化亜鉛、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、リン酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛、又は上記の亜鉛化合物の1以上を含む組成物であってよい。アルミニウム化合物は、水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、又はこれらの組み合わせであってよい。
【0071】
組成物は、場合によっては、窒素化合物、又は複数の窒素化合物の組み合わせを含んでいてよい。代表的な窒素化合物としては、式(VI)〜(XI):
【0072】
【化3】

【0073】
【化4】

【0074】
(式中、R〜R11は、独立して、水素;C〜Cアルキル;非置換か、又はヒドロキシル官能基若しくはC〜Cヒドロキシアルキル官能基で置換されているC〜C16シクロアルキル;非置換か、又はヒドロキシル官能基若しくはC〜Cヒドロキシアルキル官能基で置換されているC〜C16アルキルシクロアルキル;C〜Cアルケニル;C〜Cアルコキシ;C〜Cアシル;C〜Cアシルオキシ;C〜C12アリール;C〜C12アリールアルキル;−OR20;−N(R20)R12;N−脂環式基;N−芳香族系基;であり;
ここで、R20は、水素;C〜Cアルキル;非置換か、又はヒドロキシル官能基若しくはC〜Cヒドロキシアルキル官能基で置換されているC〜C16シクロアルキル;非置換か、又はヒドロキシル官能基若しくはC〜Cヒドロキシアルキル官能基で置換されているC〜C16アルキルシクロアルキル;C〜Cアルケニル;C〜Cアルコキシ;C〜Cアシル;C〜Cアシルオキシ;C〜C12アリール;又はC〜C12アリールアルキル;であり;
ここで、R12〜R16は、R20と同じ基であるか、或いは−O−R20であり;
ここで、g及びhは、互いに独立して、1、2、3、又は4であり;
ここで、Gは、トリアジン化合物(VI)と付加体を形成することのできる酸の残基である)
を有するものが挙げられる。
【0075】
また、窒素化合物は、芳香族ポリカルボン酸とのトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのエステル、式:(NH3−yPO又は(NHPO(式中、yは1〜3であり、zは1〜10,000である)の窒素含有ホスフェート、又は上記の窒素化合物の1以上を含む組み合わせであってもよい。
【0076】
代表的な窒素化合物としては、メラミンポリホスフェート、メレムホスフェート、メラムホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミン、メラミンシアヌレート、上記の1以上を含む組み合わせなどが挙げられる。
【0077】
一態様においては、組成物は、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、二酸化チタン、タルク、及び上記の増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤を含む。
【0078】
存在する場合には、ホウ酸亜鉛の量は、組成物の全重量を基準として0.1〜4重量%であってよい。この範囲内において、ホウ酸亜鉛の量は、0.5重量%以上、又はより具体的には0.8重量%以上であってよい。また、この範囲内において、ホウ酸亜鉛の量は、3以下であってよい。
【0079】
存在する場合には、メラミンポリホスフェートの量は、組成物の全重量を基準として0.1〜5重量%であってよい。この範囲内において、メラミンポリホスフェートの量は、0.2重量%以上、又はより具体的には0.5重量%以上であってよい。また、この範囲内において、メラミンポリホスフェートの量は、3重量%以下、又はより具体的には2.5重量%以下であってよい。
【0080】
存在する場合には、タルクの量は、組成物の全重量を基準として0.1〜6重量%であってよい。この範囲内において、タルクの量は、0.5重量%以上、又はより具体的には1重量%以上であってよい。また、この範囲内において、タルクの量は、5重量%以下、又はより具体的には4重量%以下であってよい。一態様においては、タルクは1〜5μmの平均粒径を有する。
【0081】
組成物は、低融点ガラスを含んでいてよい。低融点ガラスは、通常はPの形態のホスフェートを含む。このガラスは、更に、以下の成分:MO;M’O;Al;B;又はSO;の少なくとも1つを含む。式「MO」において、Mは二価の金属である。代表的な二価の金属としては、Mg、Ca、Zn、Sn、Ba、及び上記の二価金属の2以上の組み合わせが挙げられる。一態様においては、低融点ガラスは酸化亜鉛を含む。式「M’O」において、M’はアルカリ金属、例えばLi、Na、K、及び上記のアルカリ金属の少なくとも1つを含む組み合わせである。ガラス中のリン成分の量は、Pとして計算して10モル%〜60モル%であってよい。幾つかの態様においては、リンのレベルは15モル%〜45モル%である。低融点ガラスの非限定的な例は、米国特許公開2004/0167294に開示されている。
【0082】
一態様においては、低融点ガラスは、
15モル%〜45モル%のP
3モル%〜60モル%のMO;
3モル%〜40モル%のM’O;及び
3モル%〜25モル%のB
を含む。
【0083】
一態様においては、低融点ガラスは、
15モル%〜30モル%のP
10モル%〜55モル%のZnO;
0モル%〜15モル%のZnO以外のMO化合物;
5モル%〜35モル%の式:M’Oの化合物;
1モル%〜5モル%のAl
8モル%〜20モル%のB;及び
3モル%〜30モル%のSO
を含む。
【0084】
他の態様においては、低融点ガラスは、主としてそれぞれ同等のレベルの3種類の成分:
30モル%〜35モル%のP
30モル%〜35モル%のZnO;及び
30モル%〜35モル%のSO
を含む。
【0085】
低融点ガラスは、ハロゲン化化合物を含まないものであってよい。幾つかの態様においては、この材料は、また、PbO及びBaOのような重金属酸化物も含まない。
低融点ガラスは、200℃〜500℃のガラス転移温度(Tg)を有する。この範囲内において、Tgは250℃以上であってよい。また、この範囲内において、Tgは400℃以下であってよい。Tgは、異なる個々の融点を有するガラス成分を変化させることによってある程度調節することができる。
【0086】
低融点ガラスは、250℃〜700℃の融点(Tm)を有する。この範囲内において、Tmは300℃以上であってよい。また、この範囲内において、Tmは650℃以下であってよい。
【0087】
幾つかの態様においては、低融点ガラスを表面処理剤で処理する。これらの薬剤は、当該技術において公知であり、多くの参照文献に記載されている。一般的な例としては、米国特許6,492,028及び5,648,169が挙げられる(幾つかの添加剤は「サイズ剤」と呼ばれている)。表面処理剤の非限定的な例としては、カップリング剤、膜形成剤、潤滑剤、静電防止剤、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0088】
存在する場合には、低融点ガラスの量は、組成物の全重量を基準として0.1〜6重量%であってよい。この範囲内において、低融点ガラスの量は、0.5重量%以上、又はより具体的には1重量%以上であってよい。また、この範囲内において、低融点ガラスの量は、5重量%以下、又はより具体的には4重量%以下であってよい。
【0089】
存在する場合には、二酸化チタンの量は、組成物の全重量を基準として0.1〜6重量%であってよい。この範囲内において、二酸化チタンの量は、0.5重量%以上、又はより具体的には1重量%以上であってよい。また、この範囲内において、二酸化チタンの量は、5重量%以下、又はより具体的には4重量%以下であってよい。
【0090】
幾つかの態様においては、ホスフィネートに対する難燃剤増強剤(複数の増強剤の組み合わせを包含する)の重量比は、0.75以下、又はより具体的には0.5以下である。
幾つかの態様においては、ホスフィネート及び難燃剤増強剤(複数の増強剤の組み合わせを包含する)の全合計量は、組成物の全重量を基準として、12重量%以下、又はより具体的には11重量%以下、又は更に具体的には10重量%以下である。ホスフィネート及び難燃剤増強剤の量を減少させると、衝撃性及び延性のような総合的な物理特性が向上する。
【0091】
幾つかの態様においては、ポリアミド、導電性充填剤、及び耐衝撃性改良剤の合計重量に対するホスフィネート及び難燃剤増強剤の合計重量の比は、0.20未満である。
一態様においては、ホスフィネート、1種類又は複数の難燃剤増強剤、或いはホスフィネートと1種類又は複数の難燃剤増強剤の組み合わせを、熱可塑性樹脂と配合して難燃剤マスターバッチを形成する。このマスターバッチを用いて組成物を形成する。一態様においては、マスターバッチを形成するのに用いる熱可塑性樹脂はポリアミドである。この樹脂は、ホスフィネートと配合するのに十分に低い粘度を有する。マスターバッチは、ホスフィネート及び熱可塑性樹脂の合計重量に対して10〜80重量%のホスフィネート及び20〜80重量%の熱可塑性樹脂を含んでいてよい。この範囲内において、ホスフィネートは、マスターバッチ中に、25重量%以上、又はより具体的には30重量%以上の量で存在させることができる。また、この範囲内において、ホスフィネートは、マスターバッチ中に、75重量%以下、又はより具体的には70重量%以下の量で存在させることができる。組成物は、溶融混合、又は乾燥ブレンドと溶融混合の組み合わせで製造することができる。溶融混合は、成分に剪断を加えることができる単軸又は二軸タイプの押出機又は同様の混合装置内で行うことができる。
【0092】
成分の全てをはじめに処理システムに加えることができる。幾つかの態様においては、ポリ(アリーレンエーテル)を相溶化剤と溶融混合し、場合によっては他の成分と更に溶融混合する前にペレット化する。更に、耐衝撃性改良剤、ホスフィネート、ポリアミドの一部、及び難燃剤増強剤のような他の成分を、個々か又は種々の組み合わせで、相溶化剤及びポリ(アリーレンエーテル)と溶融混合することができる。ポリ(アリーレンエーテル)を含むペレット化組成物を、ポリアミド(2つの部分を用いる場合には第2の部分)及び組成物の残りの成分と溶融混合する。
【0093】
一態様においては、ポリ(アリーレンエーテル)を相溶化剤と溶融混合して官能化ポリ(アリーレンエーテル)を形成する。次に、官能化ポリ(アリーレンエーテル)を他の成分と溶融混合する。他の態様においては、ポリ(アリーレンエーテル)、相溶化剤、耐衝撃性改良剤、ホスフィネート、1種類又は複数の難燃剤増強剤を溶融混合して、第1の材料を形成し、次に、例えば押出機を用いる場合にはそれを下流の導入口を通して加えることによって、ポリアミドを第1の材料と溶融混合する。
【0094】
他の態様においては、ポリ(アリーレンエーテル)、相溶化剤、及び場合によってはポリアミドの一部を溶融混合して第1の溶融混合物を形成し、これを更にポリアミド(2つの部分を用いる場合には第2の部分)、難燃剤マスターバッチ、及び導電性添加剤と溶融混合する。耐衝撃性改良剤は、第1の溶融混合物の一部であってもよく、或いは第1の溶融混合物の形成後に加えることができる。組成物が2種類の耐衝撃性改良剤を含む場合には、これらは一緒か又は別々に加えることができる。
【0095】
押出機を用いる場合には、ポリアミドの全部又は一部を、下流の導入口を通して供給することができる。処理において別々の押出機を用いることができるが、その長さに沿って種々の成分の添加を行う複数の供給口を有する単一の押出機内で製造を行うと、プロセスが簡単になる。押出機内の1以上の通気口を通して溶融体に真空を加えて、組成物中の揮発性成分を除去することがしばしば有利である。
【0096】
導電性充填剤は、単独で、又は他の成分と一緒に(場合によっては乾燥ブレンドとして)、或いはマスターバッチの一部として加えることができる。一態様においては、導電性充填剤は、ポリアミドを含むマスターバッチの一部であってよい。導電性充填剤は、ポリ(アリーレンエーテル)と一緒か、又はポリアミド(2つの部分を用いる場合には第2の部分)と一緒か、又はポリアミド(2つの部分を用いる場合には第2の部分)を加えた後に加えることができる。
【0097】
一態様においては、組成物は、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド、導電性充填剤、ホスフィネート、並びに、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤から実質的に構成される。組成物に関してここで用いる「実質的に構成」という用語は、酸化防止剤、加工助剤、離型剤、及び安定剤を更に含むことを許容するものである。
【0098】
一態様においては、組成物は、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド、ホスフィネート、並びに、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、二酸化チタン、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤から実質的に構成される。
【0099】
一態様においては、組成物は、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド、導電性充填剤、ホスフィネート、並びに、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤から構成される。
【0100】
一態様においては、組成物は、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド、ホスフィネート、並びに、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、二酸化チタン、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤から構成される。
【0101】
一態様においては、組成物は、ポリ(アリーレンエーテル);ポリアミド;導電性充填剤;相溶化剤;場合によっては耐衝撃性改良剤;ホスフィネート;並びに、メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、及びタルクからなる群から選択される難燃剤増強剤;の反応生成物を含む。ここで用いる反応生成物とは、組成物を形成するのに用いる条件下、或いは成分の更なる処理中、例えば溶融混合又は成形中における2以上の上記の成分の反応から得られる生成物として定義される。
【0102】
幾つかの態様においては、溶融混合は押出機を用いて行われ、組成物はストランド又は複数のストランドで押出機から排出される。ストランドの形状は用いるダイの形状によって定まり、特に限定はない。ストランドの直径及びペレットの長さは、通常、微粉(ペレットの50%以下の容積を有する粒子)の生成を抑制又は減少させ、異形押出のようなその後の処理における効率を最大にするように選択される。代表的なペレット長さは1〜5mmであり、代表的なペレット直径は1〜5mmである。
【0103】
組成物は、射出成形を用いて物品に加工することができる。代表的な物品としては、電気コネクタ、配電盤、ヒューズボックス、及び車体パネル又はタンクフラップなどの自動車車体部品が挙げられる。
【0104】
ペレットは吸湿性を示す可能性がある。水が一旦吸収されたら、除去するのが困難である可能性がある。組成物を雰囲気湿分から保護することが有利である。一態様においては、ペレットを、50℃〜110℃の温度に冷却したら、金属層を有しないポリプロピレン樹脂の単層を含み、0.25mm〜0.60mmの壁厚を有する容器内に入れる。また、ペレットを、50〜110℃に冷却したら、ホイルでライニングした箱及びホイルでライニングした袋のようなホイルでライニングした容器、或いは防湿層を有する他のタイプの容器内に入れることもできる。
【0105】
組成物は、フィルム及びシート押出、異形押出、押出成形、圧縮成形、及びブロー成形のような低剪断熱可塑プロセスを用いて物品に加工することができる。フィルム及びシート押出法としては、溶融キャスト、インフレート(フィルム)法、及びカレンダリングを挙げることができるが、これらに限定されない。共押出及び積層法を用いて複合多層フィルム又はシートを形成することができる。ペレット化した組成物を物品に成形する前に、ペレット化した組成物を昇温温度に保持することによってペレット化した組成物を乾燥することができるが、長時間の乾燥は組成物の特性に悪影響を与える可能性がある。湿分で0.01〜0.1重量%、又はより具体的には0.02〜0.07重量%より多い水は、幾つかの用途において組成物の使用を妨げる可能性がある。
【0106】
一態様においては、異形押出によって難燃性組成物を物品に成形する。異形押出は、ダイから押出した後に押出形状を保持するのに十分に高い溶融強度及び十分に低いメルトボリュームレートを有する材料を必要とする低圧/低剪断成形法である。異形押出物品は、一体の非被包物品(unitary non-enclosed articles)であるが、接着、溶接などのようなその後の操作によって異形押出物品を被包することができる。一体の非被包物品は、塗装又は静電粉末被覆のような被覆を更に含むことができる。一体の非被包物品を含む代表的な物品としては、窓枠、窓ケーシング、部屋パーティション、家具フレームなどが挙げられる。物品は、静電法又は従来法のいずれかによって塗装することができる。
【実施例】
【0107】
以下の非限定的実施例によって、本明細書で記載した種々の態様を更に説明する。
以下の実施例においては、表1に示す材料を用いた。実施例において用いる重量%は、他に示さない限り、組成物の全重量を基準として求める。
【0108】
【表1】

【0109】
実施例1〜7及び比較例1〜11:
PPE、0.1重量%のヨウ化カリウム、0.05重量%のヨウ化銅、0.3重量%のCiba-Geigyから商業的に入手できるIRGANOX 1076、0.6重量%のクエン酸、及びナイロン−6,6を溶融混合して混合物を形成した。混合物を、更に、ナイロン−6、及びナイロン−6中の導電性カーボンブラックのマスターバッチと溶融混合した。EXOLIT OP 1312、SF、BP、TPP、RDP、MC、又は上記の2以上の組み合わせを含む組成物中に、これらの材料をポリフェニレンエーテルと一緒にフィードスロートにおいて添加した。組成物を、燃焼性試験のための2.0mmの厚さを有する短冊状試験片に成形した。「プラスチック材料の燃焼性に関する試験,UL94」と題されたUnderwriter's Laboratory Bulletin 94(2003年12月12日改訂)の手順にしたがって燃焼性試験を行った。消化したそれぞれの短冊状試験片は、再度点火した。この手順にしたがって、10個の試料から得られた試験結果に基づいて、材料を、HB、V−0、V−1、又はV−2のいずれかとして等級付けした。最初の5個の短冊状試験片の3より多い数が>30秒の燃焼時間を有していた場合、燃焼は5個の短冊状試験片で停止した。UL94に従うこれらの燃焼性等級のそれぞれに関する基準は、簡単に言うと下記の通りである。
【0110】
HB:試料の縦軸が炎に対して平行になるように配置した5インチの試料において、試料の燃焼速度が3インチ/分未満であり、試料の4インチが燃焼する前に炎が消える。
V−0:その縦軸が炎に対して平行になるように配置した試料において、点火炎を取り去った後の有炎燃焼及び/又は無炎燃焼の平均時間が10秒を超えず、縦方向に配置された試料がいずれも脱脂綿に着火する燃焼粒子の垂れを生成しない。
【0111】
V−1:その縦軸が炎に対して平行になるように配置した試料において、点火炎を取り去った後の有炎燃焼及び/又は無炎燃焼の平均時間が30秒を超えず、縦方向に配置された試料がいずれも脱脂綿に着火する燃焼粒子の垂れを生成しない。
【0112】
V−2:その縦軸が炎に対して平行になるように配置した試料において、点火炎を取り去った後の有炎燃焼及び/又は無炎燃焼の平均時間が30秒を超えず、縦方向に配置された試料が脱脂綿に着火する燃焼粒子の垂れを生成する。
【0113】
結果を表2に報告する。消炎時間(FOT)は、点火したそれぞれの回数ごとの短冊状試験片の燃焼時間の量の合計の平均値である。UL94等級の欄の「NA」は、試料がUL94等級のいずれのパラメーター内にも含まれなかったことを意味する。
【0114】
幾つかの実施例の試料を体積固有抵抗(SVR)に関して試験した。組成物をISO引張用棒状試験片に成形した。棒状試験片をそれぞれの側部上で棒状試験片の中心から25mmの位置において切れ目を入れ、次に液体窒素中に約5分間浸漬した。棒状試験片を液体窒素から取り出したら直ぐに、脆性破壊を測定するために切れ目の印の個所において折った。端部を導電性銀塗料で塗装し、乾燥した。棒状試験片のそれぞれの塗装端部上にMastech M92Aのような携帯マルチメーターのプローブを配置することによって抵抗を測定した。体積固有抵抗は、抵抗(Ω)×棒状試験片の幅(cm)×棒状試験片の深さ(cm)÷棒状試験片の長さ(cm)として計算した。結果を表2に報告する。比較例はCEとして記し、実施例はExである。
【0115】
ISO 1133にしたがってメルトボリュームレートを測定した。ISO 306にしたがってビカットBを測定した。
【0116】
【表2】

【0117】
比較例1〜5は、導電性カーボンブラックを含まない幾つかのブレンドの難燃挙動を示す。比較例1は、一般的な相溶化ポリアミド/ポリ(アリーレンエーテル)ブレンドを示す。難燃添加剤は存在させなかった。難燃性は劣っており、短冊状試験片あたりの平均消炎時間(FOT)は100秒よりも大きかった。比較例2〜5においては、他の周知の難燃剤を同等の装填量で加えた。メラミンシアヌレート(MC)を用いた比較例2、及びレゾルシノールジホスフェート(RDP)を用いた比較例3は、いずれも100秒よりも大きな平均FOTを有していた。トリフェニルホスフェート(TPP)を用いた比較例4は、V−1特性に近づき始める23.5秒の平均FOTを有していた。しかしながら、幾つかの個々の燃焼時間は30秒よりも長く、したがって材料は等級を与えられなかった。最後に、リン酸ホウ素(BP)及びシリコーン流体(SF)の組み合わせ(比較例5)によって、18.8秒の平均FOTを有する試料が製造された。この試料は、また、V−1基準に極めて近かったが、1つの燃焼時間が30秒よりも長かったという点でV−1基準を満足しなかった。
【0118】
比較例6〜11は、導電性カーボンブラックを含む幾つかのブレンドの難燃挙動を示す。比較例6は、難燃剤を含まない導電性相溶化ポリアミド/ポリ(アリーレンエーテル)ブレンドの例である。明らかなように、難燃性は極めて劣っており、短冊状試験片あたり100秒より大きい平均FOTを有していた。比較例7は、比較例5と同じリン酸ホウ素/シリコーン流体難燃剤系を含む。ここでは、短冊状試験片あたりの平均FOTは48.8秒であり、導電性カーボンブラックを含まない場合には18.8秒であった。これは、導電性カーボンブラックを含ませることによってブレンドの総合的な難燃特性が実際に低下することを示す。同様に、比較例10は難燃剤としてTPPを用いる。このブレンドは、比較例4と比較することができる。ブレンド中において導電性カーボンブラックを用いると、短冊状試験片あたりの平均FOTは23.5秒から45.9秒に増加する。
【0119】
実施例1〜7は、ホスフィネートを含むブレンドを示す。これらの実施例のそれぞれに関する3つの試料全てが、1.8〜2.2重量%の導電性カーボンブラックを含む場合であっても、短冊状試験片あたり5秒よりも小さい全平均FOTを示す。したがって、ホスフィネートを用いることにより、導電性ブレンドにおいてV−0特性が与えられる。
【0120】
更に、比較例11の体積固有抵抗(約24000Ω・cm)を実施例1〜7の体積固有抵抗と比較すると、同レベルのカーボンブラックを有するが、ホスフィネートも含む同様のブレンドは、著しく低い体積固有抵抗を示すことが示される。実施例1〜7の全てにおいて、体積固有抵抗は少なくとも97%低下した。したがって、ホスフィネートを含ませると、また、予期しなかったことに、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンドの体積固有抵抗が低下するか、又は導電度が増加する。
【0121】
実施例8〜21及び比較例12〜20:
量は、他に示さない限り、重量%であり、組成物の全量を基準とする。PPE、0.3重量%の液体ヨウ化カリウム、0.05重量%のヨウ化銅、0.3重量%のIrganox 1076、0.6重量%のクエン酸、Smile PlasticsからDYNAMAR MBとして商業的に入手できる1.0重量%の加工助剤、SEBS、1230、難燃剤増強剤、及びナイロン−6,6を溶融混合して混合物を形成することによって、スクリーニング実験を行った。混合物を、更にナイロン−6#1、並びにCCB(CCB MB)及びナイロン−6#1のマスターバッチと溶融混合した。マスターバッチは、マスターバッチの全重量を基準として90重量%のナイロン−6#1及び10重量%のCCBを含んでいた。組成を表3に示す。組成物を、難燃性試験のための2mmの厚さを有する短冊状試験片に成形した。結果を表3に示す。
【0122】
【表3】

【0123】
上記の実施例から明らかなように、膨張黒鉛及びナノクレーのような材料を含ませることによって、難燃剤としてホスフィネートしか含まない同様の組成物と比較して難燃性は僅かしか又は全く向上しなかった。これに対して、低融点ガラス、ホウ酸亜鉛、メラミンポリホスフェート、及びタルクを含む少なくとも1つの実施例は、UL−94等級の向上を示す。更に、幾つかの増強剤の量を増加させると、難燃性が実際に低下した。
【0124】
実施例22〜27及び比較例21〜26:
PE、ナイロン−6,6、0.6重量%のクエン酸、0.3重量%のIrganox 1076、0.3重量%の液体ヨウ化カリウム、0.05重量%のヨウ化銅、SEBS、1.0重量%のDYNAMAR MB、1230、及び難燃剤増強剤を、押出機のフィードスロートにおいて加え、溶融混合した。ナイロン−6#1、及びナイロン−6中のCCBのマスターバッチを下流において加えた。CCB及びナイロン−6のマスターバッチは、マスターバッチの全重量を基準として10重量%のCCB及び90重量%のナイロン−6を含んでいた。組成及び物理特性を表4に示す。量は、他に示さない限り、重量%であり、組成物の全重量を基準とする。上記に記載のようにして組成物を体積固有抵抗(SVR)に関して試験した。表4に示す値は、kΩ・cmである。「OL」は、装置の測定範囲よりも高い体積固有抵抗を示す。ISO 180/1Aにしたがって組成物を衝撃強さに関して試験し、値はkJ/mで報告する。組成物を、難燃性試験のための2mmの厚さを有する短冊状試験片に成形した。
【0125】
【表4】

【0126】
比較例21および22は、難燃剤増強剤を含まないで異なる量のホスフィネートを含む2種類のブレンドの難燃挙動を示す。比較例21は、13.8重量%のホスフィネートにおいて、難燃剤増強剤を用いずにV−0特性が達成されたことを示す。比較例22は、減少した8重量%のホスフィネートにおいては、難燃剤増強剤を用いずにV−0特性は達成されなかったことを示す。比較例23〜26は、難燃剤増強剤単独では、ホスフィネートを用いずにV−0特性は達成されないことを示す。
【0127】
実施例22〜27は、1種類以上の難燃剤増強剤を僅か5〜7重量%のホスフィネートと一緒に含む幾つかのブレンドの難燃挙動を示す。実施例22及び23は、6〜7重量%のホスフィネートにおいて、1重量%のメラミンポリホスフェートによってV−0特性が達成されたことを示す。同様に、実施例24は、7重量%のホスフィネートにおいて、1重量%のホウ酸亜鉛によってV−0特性が達成されたことを示す。実施例25は、7重量%のホスフィネートにおいて、1重量%の低融点ガラスによってV−0特性が達成されたことを示す。更に、実施例26は、更に低いレベルのホスフィネート(5重量%)において、1重量%のMPP及び2重量%のホウ酸亜鉛と組み合わせるとV−0特性が達成されたことを示す。同様に、実施例27は、低い5重量%のレベルのホスフィネートにおいて、1重量%のMPP及び2重量%のタルクと組み合わせるとV−0特性が達成されたことを示す。
【0128】
実施例28〜31:
PPE、SEBS、0.6重量%のクエン酸、0.3重量%のIRGANOX 1076、0.3重量%の液体ヨウ化カリウム、0.05重量%のヨウ化銅、1.0重量%のDYNAMAR MB、5.0重量%のEXOLIT OP 1230、1.0重量%のMPP、及び2.0重量%のホウ酸亜鉛を、押出機のフィードスロートにおいて加え、溶融混合した。ナイロン−6#1及びナイロン−6,6をサイドフィーダーを通して加えた。実施例28及び31においては、CCB(CCB MB)のマスターバッチ、又はMWNT(MWNT MB)のマスターバッチ(実施例31)を、ポリアミドと共にサイドフィーダーを通して加えた。CCBのマスターバッチは、マスターバッチの全重量を基準として10重量%のCCB及び90重量%のナイロン−6を含んでいた。MWNTのマスターバッチは、マスターバッチの全重量を基準として20重量%のMWNT及び80重量%のナイロン−6,6を含んでいた。実施例29及び30においては、第2のサイドフィーダーを用いて導電性カーボンブラックを加えた。
【0129】
組成及び物理特性を表5に示す。2mmの厚さを有する短冊状試験片を用いて難燃性の結果を得た。組成物は、また、上記に記載したようにして体積固有抵抗(SVR)に関しても試験した。ISO 180/1Aにしたがって組成物を衝撃強さに関して試験し、値はkJ/mで報告する。
【0130】
【表5】

【0131】
実施例28〜31は、僅か5重量%のホスフィネート、並びに2種類の難燃剤増強剤:MPP及びホウ酸亜鉛を含む幾つかの導電性ブレンドの難燃挙動を示す。これらの実施例は、1重量%のMPP及び2重量%のホウ酸亜鉛によって、実施例28〜30においては僅か5重量%のホスフィネートを用いてV−0特性が良好な機械特性と共に達成されたことを示す。
【0132】
本発明を代表的な態様を参照して記載したが、発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更を行うことができ、且つその要素の代わりに均等物を用いることができることが、当業者に理解されよう。更に、発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を発明の教示に適合させるように数多くの修正を加えることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考慮されたベストモードとして開示されている特定の態様に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲内に含まれる全ての態様を包含するものであると意図される。
【0133】
本明細書において引用した全ての特許及び特許公報はその全てを参照として本明細書中に包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド;
導電性充填剤;
ホスフィネート;及び
メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤;
を含む難燃性熱可塑性組成物。
【請求項2】
相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド;
ホスフィネート;及び
メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、二酸化チタン、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤;
を含む難燃性熱可塑性組成物。
【請求項3】
ポリ(アリーレンエーテル);
ポリアミド;
相溶化剤;
ホスフィネート;及び
メラミンポリホスフェート、ホウ酸亜鉛、低融点ガラス、タルク、及び上記の難燃剤増強剤の2以上の組み合わせからなる群から選択される難燃剤増強剤;
を含む混合物を溶融混合することによって製造される組成物。
【請求項4】
混合物が更に導電性充填剤を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
組成物が更に耐衝撃性改良剤を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
ポリアミド、導電性充填剤、及び耐衝撃性改良剤の合計重量に対する、ホスフィネート及び難燃剤増強剤の合計重量の比が0.20未満である、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
組成物が、「プラスチック材料の燃焼性に関する試験、UL94」と題されたUnderwriter's Laboratory Bulletin 94、UL 94(2003年12月12日改訂)にしたがって、2mmの厚さにおいてV−1又はそれより良好な難燃性等級を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
組成物が10Ω・cm以下の体積固有抵抗を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
組成物の全重量を基準として、ホスフィネートが1〜11重量%の量で存在し、難燃剤増強剤又は複数の増強剤の組み合わせが0.1〜6重量%の量で存在する、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
ホスフィネートに対する難燃剤増強剤の重量比が0.75以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
ホスフィネート及び難燃剤増強剤の全合計重量が、組成物の全重量を基準として12重量%以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
組成物がメラミンポリホスフェート及びホウ酸亜鉛を含み、ホウ酸亜鉛の量がメラミンポリホスフェートの量よりも多い、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
ホスフィネートの量が組成物の全重量を基準として1〜11重量%である、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
難燃剤増強剤がホウ酸亜鉛を含み、ホウ酸亜鉛が組成物の全重量を基準として0.1〜4重量%の量で存在する、請求項1〜13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
難燃剤増強剤がメラミンポリホスフェートを含み、メラミンポリホスフェートが組成物の全重量を基準として0.1〜5重量%の量で存在する、請求項1〜14のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
難燃剤増強剤が低融点ガラスを含み、低融点ガラスが組成物の全重量を基準として0.1〜6重量%の量で存在する、請求項1〜15のいずれかに記載の組成物。
【請求項17】
難燃剤増強剤がタルクを含み、タルクが組成物の全重量を基準として0.1〜6重量%の量で存在する、請求項1〜16のいずれかに記載の組成物。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれかに記載の組成物を含む物品。
【請求項19】
物品が異形押出によって製造される、請求項18に記載の物品。
【請求項20】
物品が一体化非被包物品である、請求項18〜19のいずれかに記載の物品。
【請求項21】
物品が、窓フレーム、家具フレーム、又は部屋パーティションである、請求項18〜20のいずれかに記載の物品。

【公表番号】特表2009−533523(P2009−533523A)
【公表日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505371(P2009−505371)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2007/006949
【国際公開番号】WO2007/126644
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508171804)サビック・イノベーティブ・プラスチックス・アイピー・ベスローテン・フェンノートシャップ (86)
【Fターム(参考)】