説明

難燃性樹脂組成物並びにこれを用いた絶縁電線及びフラットケーブル

【課題】 燃性、高温下での引張り特性、耐熱変形性を満足できるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物、並びにこれらを用いた絶縁電線、フラットケーブルを提供する。
【解決手段】 ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜80質量%及びスチレン系熱可塑性エラストマー95〜20質量%含有するベースポリマー100質量部あたり、リン系化合物5〜100質量部、窒素系有機化合物3〜80質量部、および多官能性モノマー1〜20質量部を含有する難燃性樹脂組成物。当該樹脂組成物を被覆層として使用し、さらに電子線照射等により架橋することで、耐熱性、耐熱変形性を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハロゲン化水素等の有害ガスの発生がなく、引張り特性、耐熱性、及び耐熱変形性に優れる難燃性樹脂組成物、並びにこれを用いた絶縁電線、フラットケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器や自動車の分野に使用される絶縁電線の絶縁体やフラットケーブルの絶縁体については、最大引張り強さ10MPa以上、および難燃性が要求される。
従来、このような機械的物性と難燃性を満足する材料としては、軟質ポリ塩化ビニル組成物あるいはポリエチレンやエチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系ポリマーに、臭素系や塩素系難燃剤を配合した難燃性樹脂組成物が用いられていた。しかしながら、これらの難燃性樹脂組成物を用いた電線やフラットケーブルは、焼却処理時にハロゲン化水素ガスを発生するという問題があることから、ハロゲン化合物を含まない、いわゆるハロゲンフリー難燃性樹脂組成物が求められるようになった。
【0003】
ポリエチレンやエチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等に、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム等の金属水酸化物系難燃剤を配合したノンハロゲン難燃性樹脂組成物が、電線では実用化されている。しかしながら、UL規格の垂直燃焼試験VW−1に合格させるためには、金属水酸化物系難燃剤を大量に添加しなければならない一方、大量の金属水酸化物系難燃剤の添加により、引張り強度や伸びが著しく低下し、また、金属水酸化物系難燃剤による吸湿のために体積固有抵抗が低下する。
【0004】
リン酸エステルなどの有機リン系難燃剤も知られているが、その難燃効果は十分でなく、やはり大量に配合しなければ、満足できる難燃性が得られないといった問題がある。
【0005】
難燃剤の含有量を低減すべく、ベースポリマーとして、難燃性ポリマーを使用したノンハロゲン系難燃性材料の開発が進められている。
例えば、SABICイノベーティブプラスチックジャパン合同会社(旧日本GEプラスチックス)より販売されているノンハロゲン系難燃性樹脂組成物である柔軟ノリルは、ベースポリマーとして、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂あるいはスチレン系熱可塑性エラストマーの混合物を使用し、リン酸エステル系難燃剤を配合している。ポリフェニレンエーテルがポリオレフィン樹脂よりも難燃性が高いことに基づいて、難燃剤の添加量を低減できること、難燃剤の大量添加に伴う引張り特性の低下を抑制できることから、一部のグレードでは電線被覆材料として用いられている。
【0006】
近年、砂漠や車両、船舶内での長時間放置、運搬などにも耐えられるように、これらの場所で運搬、使用される自動車や電子機器に用いられる絶縁電線、フラットケーブルに対する耐熱性への要求は厳しく、加熱処理後でも十分な引張り特性を保持していること、高温での熱変形が小さいことが求められるようになっている。
しかしながら、柔軟ノリルでは、より厳しい仕様での引張り特性と難燃性の両立は困難な傾向にある。
【0007】
引張り特性、難燃性の両立にくわえて、さらに耐熱性も付与したノンハロゲン系樹脂組成としては、例えば、特開2002−105252号公報に、熱可塑性エラストマー、ポリオレフィン系樹脂に、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物を添加し、さらに架橋剤を配合して、動的架橋することが提案されている。動的架橋により耐熱性を付与しようというものである。
【0008】
また、特開2007−197615号公報には、ポリフェニレンエーテル樹脂、熱可塑性エラストマー、窒素系難燃剤、架橋助剤を配合したノンハロゲン系難燃性樹脂組成物が提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開2002−105252号公報
【特許文献2】特開2007−197615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、上記いずれのノンハロゲン系樹脂組成物であっても、高温下での引張り特性、耐熱変形性については満足できるものではなく、特に厚み0.3mm以上の被覆材料については、さらなる改善が求められている。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、難燃性、高温下での引張り特性、耐熱変形性を満足できるノンハロゲン系難燃性樹脂組成物、並びにこれらを用いた絶縁電線、フラットケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜80質量%及びスチレン系熱可塑性エラストマー95〜20質量%含有するベースポリマー100質量部あたり、リン系化合物5〜100質量部、窒素系有機化合物3〜80質量部、および多官能性モノマー1〜20質量部を含有する。
【0013】
前記多官能性モノマーは、炭素―炭素二重結合を有するモノマーであることが好ましく、前記リン系化合物は、縮合リン酸のエステル又はアンモニウム塩であることが好ましい、前記窒素系有機化合物は、アミノ基及び/又はイミド単位含有化合物であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の絶縁電線は、上記本発明の難燃性樹脂組成物で構成される被覆層が架橋されたもので、前記架橋は電子線照射により行われることが好ましく、また前記被覆層の厚みは0.3mm超であることが好ましい。
なお、上記本発明の難燃性樹脂組成物で構成される被覆層が架橋される前の状態の絶縁電線も本発明の範囲内に含む。
【0015】
本発明のフラットケーブルは、絶縁被覆内に、複数本の導体を間隔をおいて、並列に配置したフラットケーブルであって、上記絶縁被覆が上記本発明の難燃性樹脂組成物を架橋したもので構成されている。前記絶縁被覆の外表面に高分子フィルムが積層されていてもよい。
【0016】
なお、上記絶縁被覆の難燃性樹脂組成物が架橋される前の状態のフラットケーブルも、本発明の範囲内に含む。
【発明の効果】
【0017】
本発明の難燃性樹脂組成物は、耐熱性があり、引張り特性に優れたベースポリマーを使用し、さらに難燃剤の種類、配合量を特定範囲に調節することで、引張り特性と難燃性を両立させることができ、さらに架橋効果を得ることができる。
本発明の絶縁電線及びフラットケーブルは、難燃性と引張り特性を両立できるとともに、難燃性に優れた難燃性樹脂組成物で構成される被覆層を有しているので、難燃性、引張り特性、耐熱性に優れている。さらに、架橋により、高温下での引張り特性、耐熱変形も付与されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、今回、開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
<難燃性樹脂組成物>
本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜80質量%及びスチレン系熱可塑性エラストマー95〜20質量%含有するベースポリマー100質量部あたり、リン系化合物5〜100質量部、窒素系有機化合物3〜80質量部、および多官能性モノマー1〜20質量部を含有することを特徴とする。以下、各成分について、順に説明する。
【0020】
(1)ベースポリマー
本発明の難燃性樹脂組成物のベースポリマーは、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜80質量%及びスチレン系熱可塑性エラストマー95〜20質量%を含有する。
【0021】
ポリフェニレンエーテルとは、メタノールとフェノールを原料として合成される2,6−キシレノールを酸化重合させて得られる樹脂である。本発明で用いるポリフェニレンエーテル系樹脂としては、ポリフェニレンエーテルだけでなく、無水マレイン酸等で変性した変性ポリフェニレンエーテル、又はこれらとポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂を溶融ブレンドしたポリマーアロイなどが挙げられる。ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレンとのポリマーアロイは、スチレン系熱可塑性エラストマーとの相溶性に優れ、押出加工性が向上することから、好ましく用いられる。
【0022】
本発明で用いられるスチレン系熱可塑性エラストマーは、ポリスチレンブロックとゴム成分ブロックのブロック共重合体である。ポリブタジエン、ポリイソプレン等のゴム成分ブロックとポリスチレンブロックとのジブロック共重合体、トリブロック共重合体、さらにこれらの水素添加ポリマーや部分水素添加ポリマー、無水マレイン酸変性エラストマー、エポキシ変性エラスマーなどを用いることができる。具体的には、スチレン・イソブチレン・スチレン共重合体、スチレン・エチレン共重合体、スチレン・エチレンプロピレン共重合体、スチレン・エチレンブチレン・スチレン共重合体、スチレン・エチレンプロピレン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、スチレン・エチレン・イソプレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体などが挙げられる。
【0023】
このようなスチレン系熱可塑性エラストマーは、引張破断伸びの向上に役立つ。スチレン系熱可塑性エラストマー中のスチレン含有率は、伸び及びポリフェニレンエーテルとの相溶性の点から、10〜70重量%であることが好ましい。
【0024】
ベースポリマー中、ポリフェニレンエーテル系樹脂とスチレン系熱可塑性エラストマーの混合質量比率は、ポリフェニレンエーテル系樹脂:スチレン系熱可塑性エラストマー=5:95〜80:20であることが好ましい。ポリフェニレンエーテル樹脂の含有比率が少なくなりすぎて、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有比率が大きくなりすぎると、難燃性を充足できない傾向にある。一方、ポリフェニレンエーテル系樹脂の含有比率が大きくなりすぎて、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有比率が小さくなりすぎると、引張り特性を満足できない傾向にある。
【0025】
(2)リン系化合物
リン系化合物は難燃剤として用いられる。リン系難燃剤は、金属水酸化物系難燃剤と比べて、湿分の吸収が少ないので、吸湿による体積固有抵抗の低下を防止できる。
【0026】
本発明で用いられるリン系化合物は、オルトリン酸エステル;ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸、ウルトラリン酸等の分子中に分岐PO基を有する架橋構造、または直鎖状、環状にリン酸塩が結合した縮合リン酸の有機エステル又はアンモニウム塩;ホスホン酸エステル;ホスフィン酸エステルなどが挙げられる。これらのうち、縮合リン酸の有機エステル又はアンモニウム塩が好ましく用いられ、分子内にOH基を有していてもよい。
【0027】
具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレシジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルフェニルホスフェート、クレジル2,6−キシレニルホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、1,3−フェニレンビス(ジフェニルホスフェート)、1,2−フェニレンビス(ジ−2,6−キシレニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジエチレンエチルエステルホスフェート、ジヒドロキシプロピレンブチルエステルホスフェート、エチレンジナトリウムエステルホスフェート、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート、トリスイソブチルホスフェート等のリン酸エステル;メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2−メチル−プロピルホスホン酸、t−ブチルホスホン酸、2,3−ジメチルブチルホスホン酸、オクチルホスホン酸、フェニルホスホン酸等のホスホン酸エステル;ジエチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸、ジエチルフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステル;ジイソデジシルペンタエリスリトールジホスファイトや9,10−ジヒドロ−9オキサ−10−フォスファレナンスレン−10−オキサイド、三光株式会社製HCA−HQ、SAHKO−220、M−Ester、BCAなどの環状有機リン化合物、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、リン酸グアニル尿素、株式会社アデカより市販されているアデカスタブFP2100JあるいはアデカスタブFP2200、チバスペシャヤリティケミカルズ株式会社製FLMESTAB NOR116FFなどのリンと窒素の化合物が挙げられる。これらのリン系化合物は、1種又は2種以上混合して用いることができる。
以上のようなリン系化合物は、メラミンやメラミンシアヌレート、脂肪酸、シランカップリング剤などで表面したものを使用してもよい。ベースポリマーとの混合時に、表面処理剤を配合するインテグラルブレンドにより、表面処理されてもよい。
【0028】
リン系化合物は、ベースポリマー100質量部あたり、5〜100質量部含有される。5質量部未満では、難燃性の確保が困難となり、100質量部を超えると、耐熱変形性を満足できない。
【0029】
(3)窒素系有機化合物
窒素系有機化合物としては、シアヌル酸、メラミン、トリアジン等の誘導体、付加体が好ましく用いられ、具体的には、メラミン樹脂、メラミンシアヌレート、イソシアヌル酸、イソシアヌレート誘導体、またはこれらの付加体等を用いることができる。これらのうち、分子内にアミノ基及び/又はイミド単位を含有しているメラミン、メラミンシアヌレートが好ましく用いられる。このような窒素系有機化合物は、機構はよくわからないが、上記リン系化合物との併用により、引張り特性の大幅な低下を招くことなく、UL規格のVW−1試験に合格できるレベルの難燃性を確保することが可能となる。
【0030】
以上のような窒素系有機化合物は、アミノシランカップリング剤、ビニルシランカップリング剤、エポキシシランカップリング剤、メタクリロキシシランカップリング剤等のシランカップリング剤;ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸で表面処理されていてもよい。
予め表面処理されていてもよいし、ベースポリマー、他の成分との配合、混合時に表面処理剤を配合することにより、表面処理されてもよい。
【0031】
窒素系有機化合物は、ベースポリマー100質量部あたり、3〜80質量部含有される。3質量部未満では、リン系化合物との併用による難燃効果が得られず、80質量部よりも多いと、引張破断伸びが低下して、初期の引張り特性も確保できなくなる。
【0032】
(4)多官能性モノマー
多官能性モノマーとしては、モノアクリレート系、ジアクリレート系、トリアクリレート系、モノメタクリレート系、ジメタクリレート系、トリメタクリレート系、トリアリルイソシアヌレート系、トリアリルシアヌレート系などの分子内に複数の炭素−炭素二重結合を持つモノマーが好ましく使用できる。架橋性の点から、トリメチロールプロパントリメタクリレート等のトリメタクリレート系モノマーが好ましく用いられる。このような架橋助剤は、電子線照射により、ベースポリマーに含まれるジエン部分とビニル重合反応することが可能であり、高温下での物性向上に役立つことが期待できる。
【0033】
多官能性モノマーは、ベースポリマー100質量部あたり、1〜20質量部含有される。1質量部未満では、架橋効果が得られず、高温下での引張り特性の低下が著しくなり、また高温下での熱変形も大きい。一方、20質量部を超えると、未反応のモノマーが残存するおそれがあり、難燃性低下の原因となり得る。
【0034】
(5)その他の成分
難燃性、耐熱変形性、引張り特性、体積固有抵抗を損なわない範囲で、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物や三酸化アンチモン、スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、リン酸ホウ素などの難燃剤を添加してもよい。
【0035】
本発明の難燃性樹脂組成物には、さらに、難燃性や機械的強度を損なわない範囲で、各種特性改善の目的で、ポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリオレフィン熱可塑性エラストマー、ポリエステル熱可塑性エラストマー、ポリウレタン熱可塑性エラストマー等の他の熱可塑性エラストマー;耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、ABS樹脂などのスチレン系樹脂;EPDM、エチレンアクリルゴム、アクリルゴム、ニトリルゴム等のゴム;ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンアフタレート、ポリフェニルスルフィド等の各種ポリマーをブレンドしてもよい。
【0036】
また、酸化防止剤、滑剤、加工安定助剤、着色剤、発泡剤、補強剤、充填剤、加硫剤、金属不活性剤、シランカップリング剤等の各種添加剤を配合してもよい。
【0037】
以上のような成分を所定量ずつ配合し、単軸押出型混合機、加圧ニーダー、バンバリーミキサー等の既知の溶融混合機を用いて混合することにより、本発明の難燃性樹脂組成物が調製される。
【0038】
<電線>
本発明の絶縁電線は、上記本発明の難燃性樹脂組成物の架橋体で構成される被覆層を有するものである。架橋された被覆層は、まず、導体に、本発明の樹脂組成物を溶融押出機等で押出して形成した被覆層を架橋することにより形成される。従って、本発明の絶縁電線には、完成品に該当する架橋された難燃性樹脂組成物の被覆層を有する絶縁電線だけでなく、半製品に該当する架橋前の難燃性樹脂組成物の被覆層を有する絶縁電線も含まれる。
【0039】
導体としては、銅線、銅合金線、またはこれらの表面に銀や錫等をメッキした線等を適宜選択して使用することができる。導体は単線であってもよいし、複数の素線を撚り線したものであってもよい。内部絶縁層は、この内部導体を被覆するように、樹脂組成物を押出成形して形成する。なお内部導体が撚り線の場合、内部被覆層は、各素線の表面全てを覆う必要はなく、撚り線である内部導体の外側を被覆していればよい。
【0040】
被覆層は、1層であってもよいし、2層以上であってもよい。導体に下地層を被覆した後、本発明の樹脂組成物を絶縁層として用いることもできる。さらに、上塗層が形成されていてもよい。
【0041】
被覆層の架橋は、電子線照射により行うことができる。電子線照射により、多官能性モノマーを介して、ベースポリマーが架橋されると考えられる。そして、架橋により熱可塑性エラストマーの高温でのエラストマー性の低下を抑制し、これにより、高温下での引張り特性を確保できるようになると考えられる。また、架橋による部分的網状構造化により、熱変形も抑制され、さらに耐湿性も向上し、浸漬後の体積固有抵抗の低下も防止できる。
【0042】
使用する電子線としては、加速電子線やγ線、X線、α線、紫外線などが挙げられる。線源利用の簡便さや電離放射線の透過厚み、架橋処理の速度等、工業的利用の観点から、加速電子線が最も好ましく利用できる。
【0043】
加速電子線の加速電圧は、被覆層の肉厚、被覆層を構成する樹脂組成物の組成によって適宜設定すればよい。例えば、厚み0.4mm〜0.6mmの被覆層では、加速電圧は300keV〜3.0MeVの間で選定される。照射線量としては、特に限定しないが、通常、20〜500kGyである。
【0044】
本発明の絶縁電線において、本発明の樹脂組成物で構成される被覆層の厚みは特に限定しないが、0.3mm超、さらには0.4mm以上、特に0.5mm以上であってもよい。本発明の樹脂組成物は、難燃性、耐熱性に優れているので、このような分厚い被覆層であっても、耐熱変形性、難燃性を満足することができる。
【0045】
〔フラットケーブル〕
本発明のフラットケーブルは、上記本発明の樹脂組成物の架橋物で構成される絶縁被覆内に、複数本の導体を間隔をおいて、並列に配置したフラットケーブルで、外表面にポリエステル等の高分子フィルムが積層されていてもよい。
【0046】
絶縁被覆は、難燃性樹脂組成物を、並列配置した導体に押出被覆成形するこにより形成してもよいし、予め難燃性樹脂組成物のフィルムを成型し、2枚のフィルムで並列配置した導体を挟持した後、フィルム同士を熱圧着することにより、導体が被覆されるようにしてもよい。
【0047】
外表面に高分子フィルムを積層したフラットケーブルの場合、本発明の樹脂組成物と外表面用高分子材料を共押出することにより形成してもよいし、導体を挟持するフィルムとして、予め高分子フィルムを難燃性樹脂組成物フィルムに積層したラミネートフィルムを用いることにより形成してもよい。
【0048】
絶縁被覆の架橋は、絶縁電線の場合と同様に、予め樹脂組成物の被覆層を有するフラットケーブルを作製した後、加速電子線やγ線などの電子線の照射により行う。外表面が高分子フィルムで構成されているフラットケーブルの場合、電子線照射は、高分子フィルムが積層された状態で行うことが好ましい。従って、本発明のフラットケーブルには、完成品に該当する絶縁被覆が架橋されたフラットケーブルだけでなく、半製品に該当する架橋前の絶縁被覆を有するフラットケーブルも含まれる。
【実施例】
【0049】
本発明を実施すための最良の形態を実施例により説明する。実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
なお、以下の実施例において、「部」とあるのは、断りのない限り「質量部」を意味する。
【0050】
〔測定評価方法〕
はじめに、以下の実施例で行った測定評価の方法について説明する。
(1)引張特性
絶縁電線、フラットケーブルについて、引張り試験(引張速度=500mm/分、標線間距離=20mm)を行い、引張強度(MPa)と引張破断伸び(%)を各3点の試料で測定し、それらの平均値を求めた。引張強さが10.4MPa以上かつ引張破断伸び150%以上が合格レベルである。
【0051】
(2)耐熱性
絶縁電線、フラットケーブルを、136℃に設定したギヤオーブン中で168時間(7日間)放置した後、(1)の引張り試験を行い、加熱処理前の引張強度、破断伸びに対する残率を求めた。残率75%以上であれば、合格レベルである。
【0052】
(3)難燃性
UL規格 1581、1080項に記載のVW−1垂直難燃試験を、5つの試料について行った。試験は、各試料に15秒着火を5回繰り返した場合に、60秒以内に消火し、下部に敷いた脱脂綿が燃焼落下物によって類焼せず、試料の上部に取り付けたクラフト紙が燃えたり、焦げたりしないものが合格レベルであり、「OK」とした。5個中、1個でも合格レベルに達しなかった場合には、不合格「NG」とした。
【0053】
(4)耐熱変形性
JIS C3005に準じて行った。絶縁電線、フラットケーブルを140℃に設定した恒温槽の中で1時間予熱し、1時間後にφ9.5mmの治具を絶縁電線、フラットケーブルに押し当て、500gの荷重を乗せて1時間後の絶縁電線、フラットケーブルの絶縁層の変形後の厚みを測定し、変形前の厚みに対する残率を算出した。残率50%以上を合格とした。
【0054】
(5)体積固有抵抗
JIS C3005に準拠した評価方法を行い、初期の体積固有抵抗、水中24時間浸漬後の堆積固有抵抗値(Ω・cm)を算出した。1.0×1014Ω・cm(1.0E+14Ω・cm)以上であれば、合格レベルである。
【0055】
〔難燃性樹脂組成物の調製及び絶縁電線の作成〕
絶縁電線No.1〜16:
ポリフェニレンエーテル系樹脂1又は2、スチレン系熱可塑性エラストマー1又は2、リン系化合物1〜3、窒素系化合物1又は2、多官能性モノマー1又は2を、表1又は表2に示す量(質量部)で配合した。さらにベースポリマー(ポリフェニレンエーテル系樹脂およびスチレン系熱可塑性エラストマーの合計)100部に対して、オレイン酸アミド0.5部、ペンタエリスリトール−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕3部を配合し、ダイス温度280℃に設定した二軸混合機で混練して得られた混練物のストランドをペレタイザーにて、各樹脂組成物No.1〜16の樹脂ペレットを得た。
【0056】
調製した樹脂組成物No.1〜16のペレットを用いて、溶融押出機(45mmφ、L/D=24、圧縮比2.5、フルフライトタイプ)にて、導体(0.127mmφ、錫メッキ軟銅線を19本撚りした導体)上に、肉厚0.55mmとなるように押出被覆した。
さらに、No.1〜14については、被覆層に加速電圧2.0MeVの電子線250kGyを照射して、各樹脂組成物の被覆層を有する絶縁電線No.1〜14を作製した。
No.15は電子線照射を行わず、No.16は電子線照射量を60kGyとして絶縁電線を作製した。
作製した絶縁電線について、上記評価方法に基づいて、引張り特性、耐熱性、難燃性、耐熱変形性、体積固有抵抗を測定した。結果を、表1及び表2に示す。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
なお、表1及び表2中、使用した化合物は、以下の通りである。
*1:ポリフェニレンエーテル1(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製PX−100L)
*2:ポリフェニレンエーテル2(旭化成ケミカルズ株式会社製のザイロンX9102、これはポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン樹脂の完全相溶系ポリマーアロイである)
*3:スチレン系エラストマー1(旭化成ケミカルズ株式会社製のタフテックH1041、これは、スチレン−エチレンブテン−スチレン共重合体で、スチレン含有率30質量%である)
*4:スチレン系エラストマー2(旭化成ケミカルズ株式会社製のSOE−SS9000、これは、水添SBRである)
*5:リン系化合物1(ブーデンハイム社製のFRCROS486、これはシランカップリング剤で表面処理したポリリン酸アンモニウム(平均粒径18μm)である)
*6:リン系化合物2(大八化学工業株式会社のPX−200、これは縮合リン酸エステルでリン含有率が9.0質量%である)
*7:リン系化合物3(三光株式会社製のBCA、これは環状有機リン化合物である)
*8:窒素系化合物1(堺化学工業株式会社製のSTABIACE MC−5S、これはメラミンシアヌレート(平均粒径0.5μm)である)
*9:窒素系化合物2(三菱化学社製のメラミン)
*10:多官能性モノマー1(新中村科学工業株式会社製のNKエステルTMPTで、トリメチロールプロパントリメタクリレートである)
*11:多官能性モノマー2(日本化成株式会社製のタイクで、トリアリルイソシアヌレートである)
【0060】
参考絶縁電線No.21〜23:
No.21、22は、難燃性樹脂ペレットとして、SABIC イノベーティブプラスチック合同会社製の柔軟ノリル樹脂コンパウンドを用いた以外は、No.1と同様にして絶縁電線を作製した。
No.23は、ベースポリマーとしてエチレン−酢酸ビニル共重合体(三井デユポンポリケミカル株式会社のエバフレックスEV40LX(MFR=2 190℃、2.16kg、酢酸ビニル含有率41モル%)を使用し、水酸化マグネシウム(協和化学工業株式会社製キスマ5P(平均粒径0.9μm))を難燃剤として用いた樹脂組成物を使用し、電子線の照射量を150kGyに変更した以外はNo.1と同様にして絶縁電線を作製した。
作成した絶縁電線について、上記評価方法に基づいて、引張り特性、耐熱性、難燃性、加熱変形性、体積固有抵抗を測定した結果を、表3に示す。
【0061】
【表3】

【0062】
表1に示すNo.1〜6は、ベースポリマーとして、ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜80質量%及びスチレン系熱可塑性エラストマー95〜20質量%含有する樹脂を使用し、このベースポリマー100質量部あたり、リン系化合物5〜100質量部、窒素系有機化合物3〜80質量部、および多官能性モノマー1〜20質量部を含有する樹脂組成物で、さらに電子線照射による架橋効果を得て作製した絶縁電線で、実施例に該当する。被覆層の厚み0.5mm以上であっても、VW−1の難燃性を満足することができ、加熱処理によっても引張り特性を保持することができ、さらに耐熱変形性も有していた。
【0063】
表2に示すNo.7〜14、16は、樹脂組成物のいずれかの成分含有量が本発明の範囲外のもので比較例に該当する。また、No.15は、本発明の範囲に該当する樹脂組成物であるが、電子線照射を行わなかった絶縁電線で、半製品に該当する。
【0064】
No.15は、電子線照射による架橋効果が得られていないため、本発明の樹脂組成物を用いて難燃性を満足することはできても、高温下での伸び、耐熱変形性が著しく低かった。つまり、No.15から、初期の引張特性が合格レベルであっても、引張り特性の耐熱性、耐熱変形を満足するためには、電子線照射による架橋効果が必要であることがわかる。
【0065】
さらに、多官能性モノマーを配合しないと、電子線照射をしても架橋効果が得られないためか、初期の引張特性が合格レベルであっても、加熱処理後により引張特性の低下が大きく、特に耐熱変形性を満足することができなかった(No.13)。一方、架橋を行っても、ベースポリマーにおけるスチレン系熱可塑性エラストマーの含有比率が少ないと伸びが低下する傾向にあり、スチレン系熱可塑性エラストマーの含有率が15質量%では、初期の引張り特性を合格レベルとすることもできない(No.7)。また、窒素系化合物量が多くなりすぎると、伸び自体が低下して、高温処理の有無にかかわらず、初期の引張り特性自体が合格レベルにならなかった(No.11)。
【0066】
難燃性に関しては、ベースポリマーにおけるポリフェニレンエーテルの含有率が低すぎたり(No.8)、リン系化合物の含有率が低すぎたり(No.9)、窒素系難燃剤の含有量が少なすぎたり(No.12)、多官能性モノマーの含有量が多すぎると(No.14)、難燃性を満足することができなかった。特にリン系化合物が全く含まれない場合(No.16)、ポリフェニレンエーテルの含有率を増やし、更に多官能性モノマーを適量として電子線照射による架橋効果を得るようにしても、難燃性を合格レベルにすることができなかった。
【0067】
No.5とNo.9の比較から、リン系化合物の含有量を増加することで難燃性を合格レベルにできることがわかる。しかしながら、リン系化合物量を多くすることによって、窒素化合物を併用せずに難燃性を合格レベルにしようとすると、耐熱変形が極端に低くなった(No.10)。耐熱性、耐熱変形性を確保しつつ、特に被覆層の厚み0.3mm以上で、VW−1の難燃性を満足するためには、リン系化合物と窒素系化合物の併用による難燃化が有用であることがわかる。
【0068】
これらのことから、難燃性、高温下での引張特性、耐熱変形の全てを確保するためには、ベースポリマーにおけるスチレン系熱可塑性エラストマーとポリフェニレンンエーテル系樹脂との適正な混合割合、多官能性モノマーの共存による架橋効果、さらには窒素化合物とリン系化合物併用による難燃剤総量の低減による有効な難燃化、さらには窒素化合物含有量の適正化が必要であると考えられる。
【0069】
なお、表3から、ノリル樹脂を用いた場合、No.21では引張特性が劣る傾向にあり、No.22では難燃性が充足できなかった。これらから、引張り強度と難燃性の両立が難しいこと、さらに、電子線照射しても、加熱変形が大きく、架橋効果が得られないことがわかる。また、No.23では、難燃剤として水酸化マグネシウムを大量に配合させることにより難燃性、耐熱性を確保することができたが、引張り強度、伸びが低く、引張り特性を充足できなかった。さらに、水中浸漬後の体積抵抗もひくかった。
【0070】
実施例絶縁電線No.31、32:
上記で調製した難燃性樹脂組成物No.3、6を使用し、使用導体を、0.16mmφの錫メッキ軟銅線を17本撚りした導体に変更し、また被覆層厚みを0.4mmに変更して、絶縁電線を作成した。作成した電線について、上記評価方法に基づいて、引張り特性、耐熱性、難燃性、耐熱変形性、体積固有抵抗を測定した結果を表4に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
被覆厚みを0.4mmの場合も、引張り特性、耐熱性、難燃性、耐熱変形性、体積固有抵抗のいずれも満足することができたことがわかる。
【0073】
〔フラットケーブルの作製〕
フラットケーブルNo.41〜44:
上記で調製した難燃性樹脂組成物No.3又は6を使用し、導体(厚み0.15mm×幅1.2mmの平角導体)を0.8mm間隔をあけて8本並列に配置した並列導体の両面に被覆厚が0.2mmになるように押出被覆し、加速電圧2MeVの電子線250kGyを照射して、Aタイプのフラットケーブルを作成した。
また、二軸延伸ポリエステルフィルム上に、Tダイ押出法で、上記で調製した難燃性樹脂組成物No.3又は6を厚み0.30mmで押出して、ポリエステルフィルム上に、難燃性樹脂組成物層が積層してなる積層体を得た。この積層体で、難燃性樹脂組成物層が向かい合うように、並列導体(0.127mmφの錫メッキ軟導線7本撚りの電線7本を2.0mm間隔で並列配置)を挟持し、熱ラミネータで、難燃性樹脂組成物層同士を圧着することにより、並列導体を絶縁被覆した。次いで、加速電圧2MeVの電子線250kGyを照射して、Bタイプフラットケーブルを作成した。
作製したAタイプ及びBタイプのフラットケーブルについて、上記評価方法に基づいて、引張り特性、耐熱性、難燃性、加熱変形性、体積固有抵抗を測定した。結果を表5に示す。
【0074】
【表5】

【0075】
No.41〜44は、いずれも本発明実施例に該当するフラットケーブルで、厚みが0.3mm以下の場合も、引張り特性、耐熱性、難燃性、耐熱変形性を満足できることが確認できた。また、本発明にかかる樹脂組成物層上に異なる高分子材料層が積層され、この異なる高分子材料層が表層を形成している場合であっても、電子線照射により、内側の樹脂組成物層に架橋効果を付与できることが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性を確保するためにリン系化合物と窒素化合物を併用したハロゲンフリーの難燃性樹脂組成物であり、さらに電子線架橋による耐熱性、耐熱変形性の向上効果が得られる組成である。従って、本発明の樹脂組成物は、厳しい難燃性、高温下での引張り特性、耐熱変形が要求される仕様の絶縁電線、フラットケーブルの絶縁被覆層に利用できる。そして、本発明の絶縁電線、フラットケーブルは、電子機器、OA機器、オーディオ、DVD等の各種民生用電子機器類、車両、船舶等の内部配線や電線に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェニレンエーテル系樹脂5〜80質量%及びスチレン系熱可塑性エラストマー95〜20質量%含有するベースポリマー100質量部あたり、
リン系化合物5〜100質量部、窒素系有機化合物3〜80質量部、および多官能性モノマー1〜20質量部を含有することを特徴とする難燃性樹脂組成物。
【請求項2】
前記多官能性モノマーは、炭素―炭素二重結合を有するモノマーである請求項1に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項3】
前記リン系化合物は、縮合リン酸のエステル又はアンモニウム塩である請求項1又は2に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項4】
前記窒素系有機化合物は、アミノ基及び/又はイミド単位含有化合物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性樹脂組成物で構成される被覆層を有する絶縁電線。
【請求項6】
前記被覆層は、架橋されていることを特徴とする請求項5に記載の絶縁電線。
【請求項7】
前記架橋は、電子線照射により行われる請求項6に記載の絶縁電線。
【請求項8】
前記被覆層の厚みが0.3mm超である請求項5〜7のいずれか1項に記載の絶縁電線。
【請求項9】
絶縁被覆内に、複数本の導体を間隔をおいて、並列に配置したフラットケーブルであって、
上記絶縁被覆が請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性樹脂組成物で構成されているフラットケーブル。
【請求項10】
前記絶縁被覆は架橋されている請求項9に記載のフラットケーブル。
【請求項11】
前記絶縁被覆の外表面に高分子フィルムが積層されている請求項9又は10に記載のフラットケーブル。

【公開番号】特開2009−249552(P2009−249552A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100975(P2008−100975)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】