説明

難燃性繊維およびフィラメント、ならびにそれらの生成プロセス

(a)少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーと、(b)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーとを含む成分から形成される繊維またはフィラメントを提供する。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約50重量%の臭素含有量、および約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する。繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、耐燃性または難燃性である量で存在する。繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%である。繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの約15重量%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性物質が、臭素化スチレンポリマーで難燃性を有するポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、またはアクリルであるものを含む、熱可塑性繊維およびフィラメントに関する。
【背景技術】
【0002】
合成繊維材料は、種々の優れた物理的および化学的性質を有するが、一般的な欠点は、それらが燃焼しやすいことであり、その理由から、そのような合成繊維材料は、従来、難燃性のための仕上げ処理を施されてきた。仕上げ処理方法の例としては、浸漬被覆および溶射被覆が挙げられる。被膜の明らかな不利点は、それらが経時的に薄れていく可能性があることである。
【0003】
残念なことに、合成繊維材料における難燃添加剤の使用は、望ましくない色発生またはブルーミングをもたらす可能性がある。言い換えると、そのような添加剤は、合成繊維の色に悪影響を及ぼす可能性がある。多くの用途において、この色発生の問題は、望ましくない、または許容されない。
【0004】
さらに、合成繊維材料とブレンドされる際に、難燃添加剤は、混合物中で非均一分布を形成する傾向があり、それにより、機械的性質が乏しい不均一な難燃性繊維をもたらす。不均一性に関連する問題は、より細い繊維に対してより顕著である。具体的に、難燃添加剤が、押出の前に合成繊維材料と完全に混合されない場合、難燃添加剤は、それ自体に凝集する傾向があり、押出溶融物中に塊を形成するか、スピナレットフィルタまたは開口部を詰まらせるか、または結果として得られる連続フィラメント中に脆弱点を生成する。また、そのような凝集した塊は、必然的に、難燃添加剤が不十分である他の領域を生成し、それにより、難燃有効性の低下をもたらす。
【0005】
特に、臭素化ポリスチレンは、それらの色の特徴に欠けている場合が多かった。難燃剤を含有する製品の製造業者は、概して、製品に過剰な色を与えない、あるいは所与の製品に適用できる色合わせ仕様を妨げない、利用可能な難燃性を有することが有利であると感じている。したがって、概して、臭素化スチレンポリマーの色が低いほど(すなわち、難燃剤がより白いほど)、より良好である。しかしながら、白い高融点難燃剤は、最終的に繊維中の白い色素として機能する場合が多く、難燃剤の白色が克服されなければならないため、繊維の着色は、より困難になる。
【0006】
さらに、1つにはポリアミドが高融点であるという理由から、ポリアミド(ナイロン)と良好に作用する難燃剤は、比較的少ない。180℃で1週間のオーブン老化後に、難燃剤とポリアミドとのブレンドは、色を発生させる傾向がある。
【0007】
より均一な繊維が形成され得るような、難燃剤と繊維形成熱可塑性ポリマーとのより均一な混合物を形成する方法を発見することができれば、非常に有利であろう。そのような混合物に使用される難燃剤が、最小限の色発生を示し、同時に白い色素として機能しなければ、さらに有利であろう。
【発明の概要】
【0008】
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維形成熱可塑性ポリマーに適合し、繊維形成熱可塑性ポリマーに対して難燃性、またはなくともより大きい耐燃性を提供する。少なくとも高い延伸比においてポリエステルから形成される繊維に対して、ポリ臭素化アニ
オン性スチレンポリマーを含有する繊維における火炎伝播速度は、難燃剤を含有しない比較繊維において観察される速度の半分であった。ポリアミドから形成される繊維は、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが繊維中に存在する場合に、より大きいピーク時の歪みおよびより大きい破断時の歪みの両方を有するという驚きの結果をもたらした。加えて、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを含有するポリアミド繊維の一部は、NF P92−504難燃性試験において非常に良好に機能した。ポリオレフィンから形成される繊維の少なくとも一部に対して、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを含有した繊維は、自己消火したが、難燃剤を含有しないポリオレフィン繊維は、自己消火しなかった。このように、これらの熱可塑性ポリマーから形成される繊維中のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの存在は、有益である。
【0009】
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、ポリ臭素化非アニオン性スチレンポリマーよりも低い粘度および大きい熱安定性を有し、メルトブレンドおよび繊維紡績等のプロセスにおいて有利である。繊維形成熱可塑性ポリマーとのそれらの適合性により、繊維およびフィラメントの形成段階におけるポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの導入は、織物を難燃化するための後の処理の必要性を排除し、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと繊維形成熱可塑性ポリマーとの緊密な混合物によって与えられる難燃性は、被覆とは異なり、比較的永続的であることが期待される。
【0010】
さらに、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、概して、比較的均一な混合物を形成し、それにより、より均一な繊維をもたらす。より大きい均一性により、難燃剤を含有し、それでもなお良好な機械的性質を保持する、より細い(より薄い)繊維を得ることも可能である。より大きい均一性の他の利点は、混合物が、スピナレット開口部を詰まらせる可能性が極めて少ないことであり、生成された繊維またはフィラメントは、難燃剤がない領域をほとんど有しない。
【0011】
加えて、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、最小限の色発生を示すことがわかっている。特に、ポリアミドとのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの使用により、色形成の低減を可能にする。
【0012】
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーのこれらの所望の性質は、アニオン性スチレンポリマーの臭素含有量が67重量%以上である場合でさえ存在する。さらに、これらのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、熱処理条件下で最小量のハロゲン化水素を放出し、それにより、ポリマー処理操作中に処理装置の腐食が発生する可能性を大幅に低減する。
【0013】
本発明の一実施形態は、(a)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと、(b)少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーとを含む、繊維またはフィラメントである。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、なくとも約50重量%の臭素含有量、および約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する。繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、耐燃性または難燃性である量で存在する。繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%である。繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの約15重量%以下である。
【0014】
本発明の別の実施形態は、繊維またはフィラメントを生成するためのプロセスであって、該プロセスは、(a)少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーと、少なくとも1つ
のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーとを溶融紡糸する工程を含む。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約50重量%の臭素含有量、および約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する。繊維形成熱可塑性ポリマーおよびポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが耐燃性または難燃性である量で存在し、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%であり、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、繊維またはフィラメントの約15重量%以下であるような割合である。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態は、(a)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと、(b)少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーとを含む、マスターバッチであって、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、上記のマスターバッチの少なくとも約30重量%である。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約50重量%の臭素含有量、および約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する。繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、耐燃性または難燃性である量で存在する。繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%である。繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの約15重量%以下である。
【0016】
難燃剤である、本発明で使用されるポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化スチレンポリマー、好ましくは臭素化アニオン性ポリスチレンである。これらのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約67重量%の臭素含有量を有する。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーに関連する全ての重量%およびppmレベルは、特に明記しない限り、臭素化スチレンポリマーの総重量に基づく。
【0017】
本発明のこれらおよび他の実施形態および特性は、次の発明を実施するための形態および添付の特許請求の範囲からさらに明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0018】
理論に拘束されることを望むものではないが、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの低分子量は、繊維形成ポリマーとのよりよい適合性、それにより、より良好なブレンド、ならびにより均一な難燃剤の分布をもたらし、より均一な繊維およびフィラメントをもたらすより均一な混合物を得ると考えられる。また、理論に拘束されることを望むものではないが、低分子量臭素化アニオン性スチレンポリマーのメルトブレンド可能な性質は、色合わせに対する妨害を最小限に抑えると考えられる。これは、所望の色を達成するために、繊維に添加される必要がある色素がより少ないという点で有利である。
【0019】
A.本発明の繊維およびフィラメント
熱可塑性ポリマーがポリエステルである、本発明の繊維およびフィラメントにおいて、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、概して、耐燃性または難燃性である量で存在し、ここで、「耐燃性」という用語は、難燃剤を含有しない繊維またはフィラメントにおいて測定される同じ性質よりも良好である、改善された(減少した)残炎時間および同様の性質を指す。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー等の難燃剤の典型的な耐燃性または難燃性である量は、約1重量%〜約20重量%であるが、該量は、特定の用途に対して
必要に応じて、より低くても、またはより高くてもよい。ポリエステル繊維またはフィラメント中のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの好ましい量は、ポリエステルの分子量、共力剤の有無、および繊維またはフィラメントが対象とする用途によって異なる。概して、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである繊維およびフィラメントに対して、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの量は、約15重量%以下である。より好ましくは、ポリエステル繊維またはフィラメント中のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの量は、約10重量%以下であり、約5重量%以下のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーがさらにより好ましい。典型的には、糸に形成されるポリエステル繊維およびフィラメントに対して、ポリエステル繊維またはフィラメント中のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの量は、好ましくは、糸に形成されない同等の繊維またはフィラメントに対する量よりも少ない。
【0020】
繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%である。ポリアミド繊維およびフィラメントに対して、少なくとも約2重量%のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの量は、残炎時間の減少等、より大きい耐燃性を提供する。好ましいポリアミド繊維およびフィラメントは、少なくとも約5重量%のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを有し、より好ましいポリアミド繊維およびフィラメントは、少なくとも約10重量%のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを有する。典型的には、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー等の難燃剤の耐燃性および難燃性である量は、実用的理由および/または費用の理由から、20重量%以下であるが、量は、特定の用途に対して必要に応じて、より高くなることができる。
【0021】
繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの約15重量%以下である。好ましくは、ポリオレフィン繊維またはフィラメント中のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの量は、約10重量%以下である。より好ましい繊維およびフィラメントは、ポリオレフィン繊維またはフィラメント中のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの量が、約5重量%以下であるものである。約15重量%以下のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを有するポリオレフィン繊維およびフィラメントは、任意の難燃剤を含まないポリオレフィンと比較して、大幅に減少した残炎時間等、より大きい耐燃性を提供する。
【0022】
他の成分も、繊維またはフィラメント中に存在し得る。特に、難燃性共力剤が使用される場合が多い。使用される場合、難燃性共力剤の量は、概して、完成した繊維またはフィラメントの総重量に基づき、最大で約12重量%の範囲である。上記のように、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、共力剤が存在する。熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである、繊維およびフィラメントに対して、共力剤は、好ましくは、繊維またはフィラメントの約0.5重量%〜約5重量%の範囲であり、共力剤は、好ましくは約0.5ミクロン未満の平均粒径を有し、好ましい共力剤は、酸化アンチモンである。熱可塑性ポリマーがポリアミドまたはポリエステルである、繊維およびフィラメントに対して、共力剤は、必要ではないが好ましい。熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、アンチモン含有共力剤が、好ましい。目前の特定の状況下で必要または所望と見なされる場合はいつでも、上記の割合からの逸脱が許容され、そのような逸脱は、本発明の範囲および意図の範囲内である。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの最適量が、特定の繊維形成ポリマー、それが対象とする用途、存在する任意の他の成分、および合格する燃焼性試験によって異なることは、理解されるであろう。
【0023】
熱可塑性ポリマーがポリエステルである、本発明の好ましい繊維およびフィラメントは、約15重量%以下のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを有し、より好ましくは、ポリエステル繊維またはフィラメント中のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの量は
、約10重量%以下である。より好ましくは、熱可塑性ポリマーがポリエステルである、繊維およびフィラメントは、約5重量%以下の共力剤も有する。熱可塑性ポリマーがポリアミドである、本発明の繊維およびフィラメントは、好ましくは、少なくとも約5重量%のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを有し、より好ましくは、少なくとも約1.5重量%の共力剤も有する。熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである、本発明の好ましい繊維およびフィラメントは、好ましくは、約10重量%以下のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを有する。より好ましくは、熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである、繊維またはフィラメントは、約5重量%以下のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、および少なくとも約0.5重量%の共力剤を有する。
【0024】
本発明に従って、臭素化アニオン性ポリスチレンを含有するナイロン繊維が形成され、本発明の繊維またはフィラメントに与えられる有益な品質を示す。本発明のナイロン繊維は、純ナイロン繊維(当該技術分野において、その高い吸水性がよく知られている)と比較して、減少した吸水性を有した。減少した吸水性の結果、繊維の剛性が増加し、寸法安定性が改善された。さらに、いくつかのナイロンにおける臭素化アニオン性ポリスチレンのドメインサイズは、走査電子顕微鏡法(SEM)によって測定されるように、非常に小さい。
【0025】
1.繊維形成熱可塑性ポリマー
本発明の組成物中の繊維形成ポリマーは、熱可塑性であり、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン)、ポリオレフィン、アクリレート、およびそのような熱可塑性プラスチックの混合物が挙げられる。ポリエステルおよびポリアミドは、好ましい種類の繊維形成熱可塑性ポリマーである。
【0026】
ポリアルキレンテレフタレートと称される場合が多い、熱可塑性ポリエステルは、ジオールおよび/またはヒドロキシカルボン酸とジカルボン酸との反応生成物、ヒドロキシカルボン酸の自己縮合物、またはそのような反応生成物の混合物である。また、メチルエステルまたはアンヒドリド等のジカルボン酸の反応性誘導体が使用されてもよい。1つまたは複数の熱可塑性ポリエステルとポリカーボネート等の1つまたは複数の他の熱可塑性ポリマーとの混合物を含む、関連するコポリエステルおよびブレンドは、本発明の組成物に使用可能な繊維形成熱可塑性ポリマーとして含まれる。
【0027】
ポリエステルの形成に使用可能なジカルボン酸としては、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、およびドデカンジカルボン酸等の、2〜20の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸およびシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、ならびにテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヒドロキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ジフェニレンヒドロキシカルボン酸、ナフタレン−ジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。また、これらの酸のアルキルおよび/またはアルコキシ置換誘導体が使用されてもよい。これらのジカルボン酸はそれぞれ、ジメチルエステル等のそれらのエステル形成性誘導体の形で使用されてもよい。上記のジカルボン酸(および/またはそれらのエステル形成性誘導体)のうちの2つ以上の混合物が使用可能である。
【0028】
ポリエステルを形成するために使用可能であるジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン、ヒドロキノン、レソルシノール、カテコール、ナフタレンジオール、ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、およびジエトキシ化ビスフェ
ノールAが挙げられるがこれに限定されない。また、これらのジオールのアルキルおよび/またはアルコキシ置換誘導体が使用されてもよい。また、上記のジオールのうちの2つ以上の混合物が、使用に好適であり得る。
【0029】
本発明に使用されるポリエステルは、上記の成分に加えて少量の三官能性モノマーを使用することによって調製される、分岐または架橋構造を有するポリエステルであってもよい。好ましい三官能性モノマーとしては、トリメリット酸、トリメシン酸、およびピロメリット酸、ペンタエリトリトール、ならびにトリメチロールプロパンが挙げられる。
【0030】
2つ以上のポリエステルの混合物が使用されてもよい。本発明において好ましいポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、およびポリトリメチレンテレフタレートである。ポリエチレンテレフタレートおよびポリブチレンテレフタレートは、より好ましい。
【0031】
ポリアルキレンテレフタレートは、既知の方法によって生成されてもよい。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.11,pages 62−128,John Wiley & Sons,Inc.,copyright 1969、およびKirk−Othmer, Encyclopedia of Chemical Technology,4th Ed.,Vol.19,pages 609−653,John Wiley & Sons,Inc.,copyright 1996を参照されたい。
【0032】
ポリアミド熱可塑性繊維形成ポリマーは、任意の非晶質および/または部分的結晶性の、主に脂肪族/シクロ脂肪族または部分的芳香族熱可塑性ポリアミドであることが可能である。典型的には、そのような材料は、主にまたは完全に脂肪族または脂環式の、あるいは部分的または完全芳香族ジアミン、ならびに主にまたは完全に脂肪族または脂環式の、あるいは部分的または完全芳香族ジカルボン酸またはラクタムからの重縮合および/または重合プロセスによって生成される。ポリアミドの形成に使用される典型的なアミンとしては、メキサメチルエンジアミン、テトラメチレンジアミン、2,2,4−および2,4,4−トリメチルヘキサ−メチレン−ジアミン、ジアミノブタン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、およびイソホロンジアミン、ならびにキシリレンジアミン等のジアミンが挙げられる。環中に少なくとも6の炭素原子を有するラクタムが使用されてもよく、そのようなラクタムとしては、カプロラクタム、4−tert−ブチルカプロラクタム、2−アザシクロオクタノン(エナントールラクタム)、2−アザシクロノナノン、およびラウリルラクタム(ドデカノールラクタム)が挙げられる。ε−アミノカプロン酸等のアミノカルボン酸、またはω−アミノラウリン酸およびω−アミノウンデカン酸等のω−アミノカルボン酸が、原料として使用される。典型的には、使用されるカルボン酸は、アジピン酸、2,2,4−および2,4,4−トリメチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、イソフタル酸、ならびにテレフタル酸等の、50重量%未満の芳香族構成成分を有する、脂肪族、または脂肪族−芳香族混合ジカルボン酸である。既知のモノマーの大部分からのコポリアミドも使用可能である。
【0033】
本発明の実施に使用され得る例示的なポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6(メキサメチルエンジアミンおよびアジピン酸から)、ナイロン−6,9、ナイロン−6,10(メキサメチルエンジアミンおよびセバシン酸から)、ナイロン−6,12、ナイロン−11(ポリウンデカノールラクタム)、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、ナイロン−12,12、ナイロン−6/66(ポリ(ヘキサメチレンアジポアミド−co−カプロラクタム))、および高温ナイロン、特に、芳香族ポ
リアミドおよび部分的芳香族ポリアミド等のポリアミドである。高温ナイロンの例としては、ナイロン−4,6(ジアミノブタンおよびアジピン酸から)、ならびに部分的芳香族ナイロン(例えばSolvayからのIxefポリアリールアミドPA MXD6、DuPontからのZytel HTN、およびBP−AmocoからのAmodelポリアリールアミド、あるいはEms−ChemieからのGrivory HTもしくはHT1もしくはHT2、またはMitsuiからのArlenポリアリールアミド、またはKurarayからのGenestar 9T)が挙げられる。使用され得る他のポリアミドとしては、DSMからのStanylポリアミド46、Dow/SolutiaからのVydyneポリアミド6/66コポリマー、ポリアミド612(CreanovaからのVestamid D)、および同様のポリアミドが挙げられる。
【0034】
本発明は、例えばポリアミド−ポリオレフィンブレンドまたは合金等の、1つまたは複数の他の熱可塑性ポリマーと1つまたは複数のポリアミドとの熱可塑性ブレンドまたは合金にも適用できる。また、2つ以上のポリアミドの混合物が使用されてもよい。
【0035】
ポリアミドポリマーを生成するための方法は既知であり、文献に記載されている。例えば、Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Vol.10,pages 460−482,John Wiley
& Sons,Inc.,copyright 1969、およびKirk−Othmer,Encyclopedia of Chemical Technology,4th Ed.,Vol.19,pages 559−584,John Wiley &
Sons,Inc.,copyright 1996を参照されたい。
【0036】
熱可塑性繊維形成ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のオレフィンのホモポリマーおよびコポリマーが挙げられる。そのようなポリオレフィンとしては、低分子量ポリエチレンを含むポリエチレン、低分子量ポリプロピレンを含むポリプロピレン、エチレン−ポリプロピレンコポリマー、エチレン−1−ブテンコポリマー、エチレン−1−ヘキセンコポリマー、およびエチレン−1−オクテンコポリマーが挙げられるがこれに限定されない。
【0037】
少なくとも50重量%がプロピレンから形成される、種々のポリオレフィンもまた、本発明での使用に好適であると見なされる。使用され得るプロピレンのコポリマーとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、および類似α−オレフィン等の、1つまたは複数のα−オレフィンを有するコポリマーが挙げられる。好適なポリオレフィンコポリマーとしては、エチレン−ビニルアセテートコポリマー、エチレン−メチルメタクリレートコポリマー、エチレン−エチルアクリレートコポリマー、エチレン−アクリル酸コポリマー、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、および同様のエチレンコポリマー等が挙げられる。
【0038】
また、上記のオレフィンポリマーおよび/またはコポリマーのうちの2つ以上の混合物が使用されてもよい。1つまたは複数のポリアミドおよび/または1つまたは複数のポリエステルとポリオレフィンとの混合物も、本発明の組成物に使用可能である。
【0039】
本発明における繊維形成熱可塑性ポリマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサングリコールジアクリレート、1,6−
ヘキサングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、および2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の、不飽和カルボン酸およびそれらのアルキルエステル、ならびにビニルアセテート、ビニルブチレート等の飽和カルボン酸のビニルエステルのホモポリマーおよびコポリマーである、アクリルが挙げられる。また、上記のモノマーから製造される2つ以上のアクリルホモポリマーおよびコポリマーの混合物が使用されてもよい。
【0040】
また、ポリエステル、ポリアミド、および/またはポリオレフィンを含む、他の種類の熱可塑性繊維形成ポリマーのうちの1つまたは複数と、1つまたは複数のアクリルとのブレンドまたは合金が使用されてもよい。
【0041】
2.ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、ポリマーの臭素含有量がポリマーの少なくとも約50重量%、好ましくはポリマーの少なくとも約60重量%、およびより好ましくは少なくとも約67重量%であるように臭素化された、アニオン性スチレンポリマーである。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、本発明の繊維及びフィラメント組成物中の難燃剤として機能する。さらに、本発明に使用される臭素化スチレンポリマー(好ましくは臭素化アニオン性ポリスチレン)は、ある特定のさらなる重要な性質および特徴を有する。これらの性質または特徴は、熱安定性、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定される非常に低いΔE色値、所望のメルトフローインデックス、所望のGPC数平均分子量、および全塩素含有量(もしある場合)等の要因に関連する。好ましいポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、以下に記載するようなメルトフローインデックス試験において、220℃/2.16kgで約0.5g/10分〜約11g/10分の範囲のメルトフローインデックスを有する。より好ましくは、メルトフローインデックスは、以下に記載するようなメルトフローインデックス試験において、220℃/2.16kgで約1g/10分〜約11g/10分の範囲である。
【0042】
本発明に使用される上記のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、好ましくは、臭素化アニオン性ポリスチレンである。特に好ましいポリ臭素化アニオン性ポリスチレンは、アニオン性ポリスチレンから形成される、約68重量%の典型的な臭素含有量を有する、ポリ臭素化アニオン性ポリスチレンである。本生成物は、商品名SAYTEX(登録商標)HP−3010の下、Albemarle Corporationから入手可能である。ポリ臭素化アニオン性ポリスチレンおよびそれらの調製物は、例えば2003年2月18日発行の米国第6,521,714号、2002年9月19日公開の第WO 02/072645号、および2002年8月1日出願の米国出願第10/211,648号に記載される。
【0043】
3.スチレン系ポリマー反応物
本発明のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを形成するために臭素化されるスチレン系ポリマーは、ビニル芳香族モノマーのホモポリマーおよびコポリマーである。好ましいビニル芳香族モノマーは、式:
C=CR−Ar
を有し、式中、Rは、水素原子または1〜4の炭素原子を有するアルキル基であり、Arは、6〜10の炭素原子の芳香族基(アルキル環置換芳香族基を含む)である。そのようなモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン、オルト−メチルスチレン、メタ−メチルスチレン、パラ−メチルスチレン、パラ−エチルスチレン、イソプロペニルト
ルエン、ビニルナフタレン、イソプロペニルナフタレン、ビニルビフェニル、ビニルアントラセン,ジメチルスチレン、エチル−α−メチルスチレン、プロピルスチレン、tert−ブチルスチレン、いくつかのブロモスチレン(モノブロモ、ジブロモ、およびトリブロモ変異体等)が挙げられる。モノマーの芳香族構成成分は、アルキル置換され得るが、ほとんどの場合は、そのように置換されない。スチレン系ポリマーとしては、例えばポリスチレン、ポリ−a−メチルスチレン、ポリビニルトルエン、スチレン−a−メチルスチレンコポリマー等が挙げられる。ポリスチレンは、好ましいアニオン性スチレンポリマーである。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、2つ以上のビニル芳香族モノマーのコポリマーの臭素化によって製造される場合、スチレンは、モノマーのうちの1つであり、スチレンは、少なくとも50重量%の共重合可能なビニル芳香族モノマーを含むことが好ましい。ブロモスチレン系ポリマーが、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを製造するための臭素化に選択される場合、初期ブロモスチレン系ポリマーは、本発明の臭素化スチレンポリマー中に存在する臭素含有量よりも低い臭素含有量を有していなければならない。これに関連して、本明細書および本願の特許請求の範囲で使用する「臭素化スチレンポリマー」、「臭素化ポリスチレン」、および「臭素化アニオン性ポリスチレン」という用語は、ポリスチレン、またはスチレンおよび少なくとも1つの他のビニル芳香族モノマーのコポリマー等、既存のスチレン系ポリマーの臭素化によって生成される臭素化ポリマーを指し、1つまたは複数の臭素化スチレンモノマーのオリゴマー化または重合によって生成されるオリゴマーまたはポリマーとは区別され、後者のオリゴマーまたはポリマーの性質は、多くの点で臭素化アニオン性ポリスチレンとは大幅に異なる。
【0044】
本発明において難燃剤として使用される臭素化スチレンポリマーの生成に使用されるスチレン系ポリマーは、アニオンで開始された重合によって生成される。ビニル芳香族モノマーのアニオン重合のための方法の説明に関して、米国特許第5,902,865号、第5,717,040号、第4,883,846号、および第4,442,273号を参照されたい。当技術分野で既知のように、スチレンモノマーのアニオン重合は、非常に高いモノマー転化率を有し、また、単分散生成ポリマーをもたらす。本発明の臭素化アニオン性ポリスチレンを生成するために使用されるポリスチレンは、典型的には、約500〜約500,000の範囲内のM、および少なくとも約1〜約4の範囲内の多分散性を有する。約500〜約15,000の範囲、好ましくは約1000〜約10,000の範囲、およびより好ましくは約2000〜約8000の範囲のGPC重量平均分子量を有するアニオン性ポリスチレン等、アニオン性スチレンポリマーを使用して、スチレン系ポリマーの臭素化を行うことが望ましい。
【0045】
2002年8月1日出願の米国出願第10/,211,648号により詳細に記載され、参照として本明細書に組み込まれる、アニオン性スチレンポリマーを調製するための特に好ましいプロセスは、
A) 液体飽和炭化水素希釈剤およびエーテル促進剤を反応器に充填する工程と、次いで、
B) 1)(i)添加されるスチレンモノマーの総量に基づき、約1〜約10モル%の範囲の有機リチウム開始剤を提供する量で、有機リチウム開始剤の飽和炭化水素溶液を反応器に充填して、その後(ii)結果として得られる反応混合物の温度が約55℃以下に維持されるように、スチレンモノマーの制御添加を行う、工程、
あるいは、
2)反応器への(i)スチレンモノマーと、(ii)有機リチウム開始剤の飽和炭化水素溶液との別々の供給量を同時に供給する工程であって、供給量は、添加されるスチレンモノマーの総量に基づき、約1〜約10モル%の範囲の有機リチウム開始剤の量の添加を提供する速度に維持され、結果として得られる反応混合物の温度は、約55℃以下に維持され、供給(ii)は、供給(i)よりも短い継続時間である、工程、
のいずれかを含む。
より好ましいプロセスは、シクロヘキサンおよびエーテル促進剤を反応器に充填し、次いで、スチレンモノマーの総量の約1パーセントを反応器に予め供給し、次いで、(i)残りのスチレンモノマーおよび(ii)有機リチウム開始剤の飽和炭化水素溶液の別々の供給量を反応器へと同時に供給する、バッチプロセスである。本バッチプロセスは、約1.2以下の多分散性指数を有するアニオン性スチレンポリマーを形成するように実行される。本プロセスにおけるスチレンモノマーは、上記に記載するような任意のアニオン重合可能なスチレンモノマーであってもよい。好ましくは、スチレンモノマーは、基本的にスチレンから成る。
【0046】
アニオン性スチレンポリマーを調製するためのこの特に好ましいプロセスにおける液体飽和炭化水素希釈剤は、任意の脂肪族またはシクロ脂肪族炭化水素、または反応条件下で液体である、それらのうちの2つ以上の混合物であってもよい。飽和炭化水素は、好ましくは、分子中に約4〜約12の範囲の炭素原子を含有し、脂肪族炭化水素は、直鎖または分岐であってもよい。好適な脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、2−メチルペンタン、オクタン、2,2,4−トリメチルペンタン等が挙げられる。より好ましくは、液体飽和炭化水素は、1つまたは複数の液体飽和シクロ脂肪族炭化水素である。そのようなシクロ脂肪族炭化水素の好適な非限定的な例は、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、1,3−ジメチルシクロヘキサン、1,4−ジメチルシクロヘキサン等であり、シクロヘキサンは、液体飽和炭化水素希釈剤として特に好ましい。
【0047】
アニオン性スチレンポリマーを調製するためのこの特に好ましいプロセスにおけるエーテル促進剤は、飽和脂肪族またはシクロ脂肪族モノエーテル、飽和脂肪族またはシクロ脂肪族ジエーテル、あるいは芳香族エーテルであってもよい。したがって、好適なエーテル促進剤の非限定的な例としては、テトラヒドロフラン、メチルtert−ブチルエーテル、エチルtert−ブチルエーテル、1,4ジオキサン、ジメトキシエタン、メトキシベンゼン等が挙げられる。エーテル促進剤は、好ましくは、分子中に4〜約8の範囲の炭素原子を有する、飽和環状または非環状モノエーテルである。より好ましくは、モノエーテルは、テトラヒドロフラン(本明細書において「THF」と称される場合もある)、メチルテトラヒドロフランまたはジメチルテトラヒドロフラン、あるいは、これらのうちの任意の2つ以上の混合物である。テトラヒドロフランは、特に好ましい。本発明の別の特に好ましい実施形態では、モノエーテルは、基本的にアルキルtert−ブチルエーテルから成る。好適なアルキルtert−ブチルエーテルとしては、例えばメチルtert−ブチルエーテル(本明細書において「MTBE」と称される場合もある)およびエチルtert−ブチルエーテル等の、直鎖および分岐鎖アルキルtert−ブチルエーテルが挙げられ、メチルtert−ブチルエーテルは、特に好ましい。反応条件下で液体であるエーテルを使用することが望ましい。
【0048】
有機リチウム開始剤は、多くのリチウム含有炭化水素のうちの1つであってもよい。好適な非限定的な例としては、上記の混合物を含む、メチルリチウム、エチルリチウム、nまたはsec−ブチルリチウム、イソプロピルリチウム、シクロヘキシルリチウム、またはフェニルリチウムが挙げられる。n−ブチルリチウムおよびsec−ブチルリチウムが好ましく、n−ブチルリチウムは、特に好ましい。有機リチウム開始剤は、飽和炭化水素を含む溶液で使用され、それは、液体飽和炭化水素希釈剤と同じであっても、または異なってもよいが、好ましくは同じである。
【0049】
スチレンモノマーの一部を予め供給することは、アニオン性スチレンポリマーを調製するためのこの特に好ましいプロセスの全ての変更形態に必要ではないが、エーテル促進剤と有機リチウム開始剤との間の反応の可能性を低減すると思われるため、好ましい。予め供給されるスチレンモノマーの一部は、異なり得るが、典型的には、反応の実行に使用さ
れるスチレンモノマーの総量の約1重量%である。供給量は、スチレンモノマーの総量に基づき、好ましくは約1〜約10モル%の範囲、より好ましくは約2〜約5モル%、および最も好ましくは約2.5〜約3.5モル%の範囲の有機リチウム開始剤を提供するように維持される。
【0050】
アニオン性スチレンポリマーを調製するためのこの特に好ましいプロセスにおいて、反応物を一緒にする場合、反応混合物の温度を約55℃以下に維持すると同時に、最小の供給時間を使用しなければならない。例えば約4,000ポンドの規模のスチレン供給量において、有機リチウム供給の供給速度は、好ましくは約2〜約10分、より好ましくは約5分であり、スチレンの同時供給は、同時供給の開始時から測定して、約2時間以下、およびより好ましくは約90分以下で達成されなければならない。しかしながら、モノエーテルがメチルtert−ブチルエーテルである場合、上記の規模において、スチレンモノマーの同時供給は、好ましくは、同時供給の開始時から測定して、約5時間以下の期間、継続する。
【0051】
アニオン性スチレンポリマーを調製するためのこの特に好ましいプロセスに使用される反応器は、典型的には、オーバーヘッド熱交換器を備える。該プロセスを大気圧以下、大気圧、または大気圧以上の圧力で行ってもよい。しかしながら、減圧、例えば約0.1〜約0.7気圧の範囲で反応を行い、溶媒が還流し、それにより高度な発熱反応の結果として起こる蒸発冷却を提供することが好ましい。該プロセスを好ましくは酸素の非存在下で行う。したがって、該プロセスを例えば窒素またはアルゴン等の不活性雰囲気下で実行しなければならない。反応系は、基本的に無水でなければならない。このことは、有機リチウム触媒を破壊するには不十分な少量の水が、許容され得ることを意味するが、現実的な視点から見ると、反応装置および反応混合物は、合理的に実行可能な限り乾燥した状態に保たれなければならない。
【0052】
アニオン性スチレンポリマーを調製するためのこの特に好ましいプロセスにおける、結果として得られる反応混合物の温度は、任意の既知の方法によって、約55℃の規定温度以下に維持される。例えば反応が実行される反応器は、ポンプアラウンドループを有する外部の間接的な熱交換器を備えることができる。熱交換器自体は、例えばグリコール冷却剤等の好適な冷却剤を備えることができる。好ましくは、反応混合物は、約25℃〜約50℃の範囲の温度に維持される。供給が終了した後、例えば3000〜6000ポンドの規模のスチレンモノマーを採用する場合、反応混合物は、典型的には、約5〜10分間、反応温度に保たれ、次いで、反応混合物を、最初に充填された有機リチウム1モル当たり約1.25〜約10モルの範囲の量の水、および好ましくは約1.25〜約5モルの範囲の量の水と接触させ、反応を停止し、触媒活性を終了させる。アニオン性スチレンポリマーを調製するためのこの特に好ましいプロセスの使用、および水を使用した終了により、結果として得られるポリマーの実質的に全ては、1個のプロトン(すなわち、水素原子)で終端するその末端基のうちの1つを有することを特徴とする。結果として得られる水酸化リチウム塩ハイドレートを好ましくは7:1の有機相対水相(以前に添加された水から成る)の重量比で、反応混合物を水で洗浄することによって、ポリマー溶液から分離する。得られた水相を分離し、ポリマー含有有機相からエーテル促進剤および飽和炭化水素を脱揮発する。脱揮発は、例えば熱交換器内で混合物を予熱し、残留溶媒および促進剤がカラムの底部から出る分離されたポリマーの0.5重量%未満になる条件下で、該混合物を高温(200℃)カラムに供給する方法等、種々の方法で実行可能である。次いで、残りのポリマーを、貯蔵のために、例えばブロモクロロメタン等の好適な溶媒に溶解してもよい。反応を終了させる別の方法は、1〜約8の範囲の炭素原子を有する、低ハロゲン化アルキル、典型的には、塩化アルキルまたは臭化アルキルを採用する。ハロゲン化アルキルの使用により、スチレン系ポリマーが形成され、その実質的に全てが、プロトンよりもむしろアルキル基で終端するその末端基のうちの1つを有する。反応を終了するためにハロ
ゲン化アルキルを使用する場合、有機リチウムに対して化学量論量を採用しなければならない。この終了方法の特徴は、生成中に水が添加されないために、反応生成物を、実質的に無水の状態に保ち得ることである。
【0053】
アニオン性スチレンポリマーを調製するためのこの特に好ましいプロセスに採用される飽和炭化水素希釈剤およびエーテル促進剤の量は、異なり得るが、好ましくは、結果として得られる反応混合物が、スチレン供給の終了時に、約5〜約70重量%、およびより好ましくは、約40〜約60重量%のスチレン系ポリマーを含有するように、全体として十分である量である。
【0054】
アニオン性スチレンポリマーを調製するためのこの特に好ましいプロセスに従って製造されるアニオン性スチレンポリマー生成物の数平均分子量は、異なり得るが、好ましくはMn1000〜約Mn10,000の範囲である。この特に好ましいプロセスに従って生成されるアニオン性スチレンポリマー生成物は、典型的には、約1.5以下、および好ましくは約1.2以下の多分散性を有する。
【0055】
4.アニオン性スチレンポリマーの臭素化
概して、スチレンモノマーの臭素化のための好適なプロセスは、臭素ならびにブロモクロロメタンおよびポリスチレンの溶液の混合物(ポリスチレン中の重合スチレン1モル当たり2.5〜5モルの臭素)を、さらなる量のブロモクロロメタンおよび触媒量のAlClを含有する反応基に供給する工程を含む。ポリスチレン、ブロモクロロメタン、および臭素の混合物は、実質的に臭素化触媒を含有しない。「実質的に臭素化触媒を含有しない」という句は、触媒的有効量未満の触媒を意味すると見なされるものとする。そのような少量の触媒を有する場合、触媒臭素化または架橋結合は、ほとんどまたは全く発生しないはずである。概して、そのような量は、存在するポリスチレン反応体の重量に基づき、500ppm未満である。反応温度は、約−10〜約15℃の範囲内である。好ましくは、反応は、約−10〜約10℃の範囲の1つまたは複数の温度で実行するが、その理由は、これにより、最高品質の生成物を提供し、驚くべきことに、反応自体がこれらの低温で適切な急速度で進行し、該プロセスが商業生産の要件を満たすためである。反応塊が形成された後、該反応塊は、通常、約5分〜2時間の範囲、および好ましくは約5分〜約60分の範囲の間、反応温度に維持される。この期間の後、反応生成物は、水を添加し、次いで、酸性相を除去するために沈殿させることによって形成される。必要に応じて、複数回の水での洗浄が実行可能である。次いで、反応塊を通常は水溶液として、水酸化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、および/または水素化ホウ素ナトリウム等の塩基で処理し、塩基性の好適なレベルに反応pHを調節し、いかなる残りの臭素化剤も除去する。これらの処理の後、反応塊を沈殿し、溶質として臭素化スチレンポリマー生成物を含有する有機相、および水相を含有する、二相の反応塊を得る。水相を静かに移し、残りの有機相からその溶媒成分を取り除く。有機相を沸騰水中に送り込むことによってこの除去を達成することが、最も好都合である。溶媒をフラッシュオフすると、臭素化スチレンポリマー生成物は、沈殿物を形成する。沈殿物は、例えば濾過、遠心分離等の任意の液固分離技術によって回収可能である。次いで、回収された沈澱物を乾燥させる。望ましい場合、特にフリーラジカルポリスチレンの場合、熱安定性である量の塩基が、完成した臭素化アニオン性ポリスチレン組成物中に組み込むことが可能である。
【0056】
好ましいプロセスに使用される触媒は、例えばAlCl、AlBr、およびAl等のアルミニウムベースの触媒のいずれかであることができる。アルミニウム触媒の混合物も使用可能である。一旦触媒が反応系に添加されると、触媒は、その触媒活性を著しく損失することなく、ある程度の反応を起こすことができ、例えばAlClは、ある程度AlBrに変換し得る。AlClは、その入手可能性および価格の理由から、好ましい触媒であり、その分散の容易性から、粉末等級のAlClが最も好ましい。
【0057】
触媒は、求められる触媒効果を得るのに十分な量で使用される。触媒量は、触媒の活性に依存するが、概して、臭素化されるスチレン系ポリマーの重量に基づき、約0.2〜約10重量%の範囲、および好ましくは約0.5〜約5重量%の範囲に入る。最も活性な触媒が少量で使用される一方で、活性が低い触媒は、多量に使用される。AlClが触媒である場合、約0.5〜約3重量%の範囲内の触媒が好ましい。
【0058】
臭素化剤は、好ましくは臭素である。臭素は、二原子形態で購入可能であり、あるいはHBrの酸化によって生成可能である。Brは、液体またはガスのいずれかとして供給可能である。該プロセスに使用される臭素化剤の量は、供給される全スチレン系ポリマーに対する全臭素化剤の全体的モル比を提供しなければならず、それは、ポリマー中のスチレンモノマー単位当たり約1〜約3の臭素置換を提供する。臭素化アニオン性ポリスチレンは、少なくとも約60重量%の臭素、より好ましくは少なくとも約67重量%の臭素、および最も好ましくは少なくとも約68重量%の臭素を含有することが好ましい。任意の特定のスチレン系ポリマーに対して、該プロセスに使用される臭素化剤の量を、選択されたプロセスパラメータを用いて得られる最高の臭素含有量を考慮した場合に望ましい臭素含有量によって決定する。過臭素化の状態に近くなると、最後の臭素を置換することがより困難になることが指摘される。さらに多量の臭素化剤を添加しても、必ずしもこの問題を軽減するとは限らない。求められる1置換当たり1モルのBrを必要とするため、化学量論は、容易に決定される。実際には、実行者は、重量ベースで求められる臭素含有量を決定し、次いで、理想的な形で、求められる臭素含有量を得るために必要な臭素化剤のモル数を計算する。例えばスチレン系ポリマーがポリスチレンであり、求められる臭素含有量が68重量%である場合、任意の所望の化学量論的過剰量を含まずに、スチレンモノマー単位当たり少なくとも2.7モルの臭素が必要とされる。
【0059】
上記は、臭素化剤とスチレン系ポリマーとの間の全体的な定量的関係について説明しているが、供給混合物中のこれらの2つの反応物の間の定量的関係は、十分には考察されていない。概して、供給される混合物は、供給期間の任意の時点において、スチレンモノマー単位の1モル当たり約1〜約8モルの臭素化剤から形成される。供給の間、定量的関係は、一定であることが可能であり、あるいは上記の範囲内で変化することが可能である。(プロセス効率または生成物の品質に著しい害を及ぼさない限り、該範囲からのある程度の偏差を許可することが可能である。)好ましい範囲は、供給混合物を形成するスチレンモノマー単位の1モル当たり約2.5〜約5モルの臭素化剤である。理解されるように、臭素化剤対スチレンモノマー単位の選択された全体的モル比よりも小さい、または大きい臭素化剤対スチレンモノマー単位のモル比を与える、供給混合物中の臭素化剤の量の使用により、他の成分の枯渇前に、混合物成分としての臭素化剤またはスチレン系ポリマーのいずれかが枯渇する。概して、少なくともある程度同様の全体的モル比と供給混合物比を有することが好ましい。しかしながら、全ての場合において、好ましくは、初期供給は、少なくとも1:1の臭素対スチレンモノマーのモル比を含まなければならない。
【0060】
該プロセスに使用される臭素は、実質的に無水であること、すなわち100ppm(重量ベース)未満の水を含有し、かつ例えば油、グリース、カルボニル含有炭化水素、鉄等の有機不純物を10ppm以下含有することが好ましい。
【0061】
臭素化のための好ましい有機溶媒、すなわちブロモクロロメタンは、好ましくは基本的に無水であり、100ppm(重量ベース)未満の水を含有する。該溶媒は、実際的に得ることが可能な程度のわずかな水、例えば0〜30ppm(重量ベース)を含有することが最も好ましい。
【0062】
約−20℃〜約60℃の範囲の温度で臭素化反応を実行することが可能である。望まし
くは、臭素化温度は、約−10℃〜約15℃の範囲内に維持される。最も好ましい温度は、約−10℃〜約0℃の範囲である。この最後に述べた温度範囲により、最高品質の生成物を提供し、驚くべきことに、反応自体がこれらの低温で適切な急速度で進行し、該プロセスが商業生産の要件を満たす。圧力は、大気圧、大気圧以下、または大気圧以上であることができる。
【0063】
スチレン系ポリマーの臭素化は、主な副生成物としてHBrをもたらす。該プロセスで形成されたHBrは、最初に、溶媒を飽和させ、次いで、HBrは、反応器の内容物の上方の上部空間に流出する。HBrは、除去され、水洗浄器に通されるか、または乾燥したHBrとして貯蔵されることが好ましい。例えば窒素等の乾燥した不活性ガスは、反応器の内容物の上方のパッドとして使用され、その中の水の存在を最小限に抑えることが可能である。
【0064】
いくつかの実施形態では、臭素化アニオン性ポリスチレン等の好ましい臭素化アニオン性スチレンポリマーは、概して、約5000〜約30,000の範囲、好ましくは約7000〜約25,000の範囲、およびより好ましくは約8000〜約20,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する。他の実施形態では、好ましい臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲、およびより好ましくは約21,000、または約27,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する。さらに他の実施形態では、好ましい臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する。
【0065】
本発明のいくつかの実施形態では、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、(i)少なくとも約50重量%(好ましくは少なくとも約60重量%、およびより好ましくは少なくとも約67重量%)の臭素含有量、ならびに(ii)200ppmのHBr以下、好ましくは150ppmのHBr以下、およびより好ましくは100ppmのHBr以下の以下に記載する熱安定性試験における熱安定性を有する臭素化スチレンポリマーである。そのようなポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも難燃性である量で熱可塑性ポリマーとブレンドされる場合、難燃剤としての使用に特に好適である。本実施形態において特に好ましいものは、ブレンド前に、もしある場合に、約700ppm未満のCl、より好ましくは約500ppm未満のCl、およびさらにより好ましくは約100ppm未満のClの塩素含有量を有することをさらに特徴とする、臭素化スチレンポリマーである。
【0066】
他の実施形態では、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、(i)少なくとも約50重量%(好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約67重量%)の臭素含有量、(ii)340℃以上、好ましくは約340℃〜約380℃の範囲内、およびより好ましくは約345℃〜約380℃の範囲内である1%重量損失に対するTGA温度、ならびに(iii)200ppmのHBr以下、好ましくは150ppmのHBr以下、およびより好ましくは100ppmのHBr以下の以下に記載する熱安定性試験における熱安定性を有する臭素化スチレンポリマーである。そのようなポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも難燃性である量で熱可塑性ポリマーとブレンドされる場合、難燃剤としての使用に特に好適である。本実施形態において特に好ましいものは、もしある場合に、約700ppm未満のCl、より好ましくは約500ppm未満のCl、およびさらにより好ましくは約100ppm未満のClの塩素含有量を有することをさらに特徴とする、臭素化スチレンポリマーである。
【0067】
本発明の好ましい実施形態に従って、難燃剤は、(i)少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約67重量%、およびさらにより好ましくは少なくとも約68重量%の臭素含有量、(ii)200ppmのHBr以
下、好ましくは150ppmのHBr以下、およびより好ましくは100ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、ならびに(iii)約10未満、好ましくは約7未満、およびより好ましくは約5未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値を有する臭素化アニオン性スチレンポリマー、好ましくは臭素化アニオン性ポリスチレンである。臭素化アニオン性ポリスチレン等の本実施形態のより好ましい臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約5000〜約30,000の範囲、好ましくは約7000〜約25,000の範囲、およびより好ましくは約8000〜約20,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する。他の好ましい実施形態では、より好ましい臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲、およびより好ましくは約21,000、または約27,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する。さらに他の好ましい実施形態では、より好ましい臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する。
【0068】
本発明の別の好ましい実施形態では、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、(i)少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約67重量%、およびさらにより好ましくは少なくとも約68重量%の臭素含有量、(ii)200ppmのHBr以下、好ましくは150ppmのHBr以下、およびより好ましくは100ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、ならびに(iii)以下に記載するようなメルトフローインデックス試験における、少なくとも約0.5g/10分、および好ましくは少なくとも約1g/10分のメルトフローインデックスを有する臭素化アニオン性スチレンポリマー、好ましくは臭素化アニオン性ポリスチレンである。臭素化アニオン性ポリスチレン等の本実施形態のより好ましい臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約5000〜約30,000の範囲、好ましくは約7000〜約25,000の範囲、およびより好ましくは約8000〜約20,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する。他の好ましい実施形態では、より好ましい臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲、およびより好ましくは約21,000、または約27,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する。さらに他の好ましい実施形態では、より好ましい臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する。
【0069】
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、(i)少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約67重量%、およびさらにより好ましくは少なくとも約68重量%の臭素含有量、ならびに(ii)以下に記載するようなメルトフローインデックス試験における、少なくとも約0.5g/10分、および好ましくは少なくとも約1g/10分のメルトフローインデックスを有する臭素化アニオン性スチレンポリマー、好ましくは臭素化アニオン性ポリスチレンである。より好ましい実施形態では、臭素化アニオン性ポリスチレン等のこれらの臭素化スチレンポリマーは、(i)約10未満、好ましくは約7未満、およびより好ましくは約5未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値、または(ii)少なくとも約340℃、および好ましくは少なくとも約350℃の窒素下の1%重量損失に対するTGA温度、または(iii)約5000〜約30,000の範囲、好ましくは約7000〜約25,000の範囲、およびより好ましくは約8000〜約20,000の範囲のGPC重量平均分子量も有する。他の好ましい実施形態では、(iii)は、約20,000〜約30,000の範囲、およびより好ましくは約21,000、または約27,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量である。さらに他の好ましい実施形態では、(iii)は、少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量である。本実施形態のさらにより好ましい組成物は、例えば(i)および(ii)、(i)および(iii)、または(ii)および(iii)等、(i)、(ii)、および(iii)のうちの少なくともいずれか2つを有する。さらにより好ましいものは、(i)、(ii)、および(iii)の3つ全てを有する本実施形態の組
成物である。
【0070】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、(i)少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約67重量%、およびさらにより好ましくは少なくとも約68重量%の臭素含有量、(ii)約10未満、好ましくは約7未満、およびより好ましくは約5未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値、ならびに(iii)約5000〜約30,000の範囲、好ましくは約7000〜約25,000の範囲、およびより好ましくは約8000〜約20,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する臭素化アニオン性スチレンポリマー、好ましくは臭素化アニオン性ポリスチレンを難燃剤として有する。他の好ましい実施形態では、(iii)は、約20,000〜約30,000の範囲、およびより好ましくは約21,000、または約27,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量である。さらに他の好ましい実施形態では、(iii)は、少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量である。より好ましい実施形態では、臭素化アニオン性ポリスチレン等のこれらの臭素化スチレンポリマーは、少なくとも約340℃、および好ましくは少なくとも約350℃の窒素下の1%重量損失に対するTGA温度も有する。
【0071】
本発明のさらに別の好ましい実施形態におけるポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、(i)少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約67重量%、およびさらにより好ましくは少なくとも約68重量%の臭素含有量、(ii)200ppmのHBr以下、好ましくは150ppmのHBr以下、およびより好ましくは100ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、(iii)以下に記載するようなメルトフローインデックス試験における、少なくとも約0.5g/10分、および好ましくは少なくとも約1g/10分のメルトフローインデックス、ならびに(iv)約10未満、好ましくは約7未満、およびより好ましくは約5未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値を有する臭素化アニオン性スチレンポリマー、好ましくは臭素化アニオン性ポリスチレンである。より好ましい実施形態では、本段落に記載する臭素化アニオン性ポリスチレン等の臭素化スチレンポリマーは、約5000〜約30,000の範囲、好ましくは約7000〜約25,000の範囲、およびより好ましくは約8000〜約20,000の範囲のGPC重量平均分子量、ならびに/あるいは少なくとも約340℃、および好ましくは少なくとも約350℃の窒素下の1%重量損失に対するTGA温度を有することをさらに特徴とする。他のより好ましい実施形態では、臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲、およびより好ましくは約21,000、または約27,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量、ならびに/あるいは少なくとも約340℃、および好ましくは少なくとも約350℃の窒素下の1%重量損失に対するTGA温度を有する。さらに他のより好ましい実施形態では、臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量、ならびに/あるいは少なくとも約340℃、および好ましくは少なくとも約350℃の窒素下の1%重量損失に対するTGA温度を有する。
【0072】
本発明のさらなる好ましい実施形態は、(i)少なくとも約50重量%、好ましくは少なくとも約60重量%、より好ましくは少なくとも約67重量%、およびさらにより好ましくは少なくとも約68重量%の臭素含有量、(ii)200ppmのHBr以下、好ましくは150ppmのHBr以下、およびより好ましくは100ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性を有し、かつ(I)(a)塩化メチレン、(b)二塩化エチレン、および特に(c)ブロモジクロロエタン、(d)ジブロモクロロエタン、(e)ジブロモジクロロエタン、(f)トリブロモクロロエタン、および(g)上記のうちの2つ以上の任意の混合物、特に(c)〜(f)のうちの少なくとも1つを含有する混合物から成る群より選択される不純物を実質的に含まないか、(II)2000ppm以下、好ま
しくは1500ppm以下、より好ましくは1000ppm以下、およびさらに好ましくは500ppm以下のイオン臭素含有量を有するか、あるいは(III)もしある場合に、約700ppm未満のCl、好ましくは約500ppm未満のCl、およびより好ましくは約100ppm未満のClを含有する、臭素化アニオン性スチレンポリマー、好ましくは臭素化アニオン性ポリスチレンを、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーとして有する。本実施形態のより好ましい組成物は、例えば(i)および(ii)、(i)および(iii)、または(ii)および(iii)等、(i)、(ii)、および(iii)のうちの少なくともいずれか2つを有する。さらにより好ましいものは、(i)、(ii)、および(iii)の3つ全てを有するポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーである。
【0073】
特に好ましいポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、上記のようにアニオン性スチレンポリマーを調製するための特に好ましいプロセスに従って調製され、次いで、最も好ましくは本段落に記載するように臭素化される、アニオン性スチレンポリマーである。本段落に記載する特許の各々は、参照として本明細書に組み込まれる。そのようなアニオン性スチレンポリマーを、臭素化剤との混和物中に加えることによって臭素化してもよく、そのような混和物は、実質的に臭素化触媒を含まず、触媒量の臭素化剤に供給される。そのようなスチレン系ポリマー臭素化プロセスのさらなる詳細な教示に関しては、例えば米国特許第5,677,390号を参照されたい。別の臭素化方法は、アニオン性スチレンポリマーを溶液中および臭素化剤との混和物中に加える方法であり、そのような混和物は、実質的に臭素化触媒を含まず、臭素化触媒および関連する液体を含有する反応器に供給され、ここで、ポリスチレン溶液の形成に使用される溶媒および触媒に関連する液体は、それら2つの間で200ppm未満の水を含有し、臭素化剤は、約100ppm未満の水を含有する。そのようなポリスチレン臭素化プロセスのさらなる教示に関しては、例えば米国特許第5,852,132号を参照されたい。臭素化のためのさらに別の方法は、ルイス酸触媒および溶媒量のブロモクロロメタンの存在下でアニオン性スチレンポリマーを臭素化剤と接触させる方法である。そのようなスチレン系ポリマー臭素化プロセスのさらなる詳細な教示に関しては、例えば米国特許第5,767,203号を参照されたい。アニオン性ポリマーを臭素化するさらに別の方法は、ブロモクロロメタン溶媒およびルイス酸触媒を反応容器内に加え、次いで、臭素化剤を該容器に添加することを必要とする。あるいは、ポリスチレンを最初に反応容器に加えず、代わりにポリスチレンを臭素化剤との混合物中で、ブロモクロロメタン溶媒およびルイス酸触媒がすでに充填された反応容器に供給する。そのようなポリスチレン臭素化プロセスのさらなる詳細な教示に関しては、例えば米国特許第5,916,978号を参照されたい。臭素化のためのさらに別のプロセスは、臭素化剤を含む第1の流れ、本明細書で教示されるように形成されたアニオン性スチレンポリマーを含む第2の流れ、および臭素化触媒を含む第3の流れを伴い、それらをそのような流れを緊密に混合するために混合器に供給する。そのようなスチレン系ポリマー臭素化プロセスのさらなる詳細な教示に関しては、例えば米国特許第5,686,538号を参照されたい。別の臭素化方法では、臭素化触媒および関連する液体を反応器内に提供し、臭素化触媒および関連する液体の一部を反応器の外部にある混合器に供給する。臭素化剤および本明細書で教示されるプロセスに従って形成されるアニオン性ポリスチレンの溶液を別々の流れとして外部混合器に供給するが、外部混合器に供給される前の別々の流れは、実質的に臭素化触媒を含まず、ポリスチレン溶液の形成に使用される溶媒および触媒に関連する液体は、それら2つの間で200ppm未満の水を含有し、臭素化剤は、約100ppm未満の水を含有する。そのようなポリスチレン臭素化プロセスのさらなる詳細な教示に関しては、例えば米国特許第5,852,131号を参照されたい。また、臭素化をアニオン性スチレンポリマーと臭素化剤とを混合することによって達成し、ブロモクロロメタン溶媒およびルイス酸触媒がすでに添加された反応容器に供給してもよく、該供給混合物中の臭素化剤対ポリスチレンのモル比は、約1:1〜約8:1である。そのようなポリスチレン臭素化プロセスのさらなる詳細な教示に関しては、例えば米国特許
第6,207,765 B1号を参照されたい。
【0074】
B.ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーに対する分析方法
臭素含有量。臭素化スチレンポリマーは、テトラヒドロフラン(THF)等の溶媒において、良好な、または少なくとも満足できる溶解度を有するため、臭素化スチレンポリマーに対する臭素含有量の決定は、従来のX線蛍光(XRF)技術を使用することによって容易に達成される。分析される試料は、希薄試料、例えば60mLのTHF中0.1±0.05gの臭素化アニオン性ポリスチレンである。XRF分光計は、Phillips PW1480分光計であることができる。THF中のブロモベンゼンの標準液を較正基準として使用する。本明細書に記載される臭素値は全て、XRF分析方法に基づく。
【0075】
ΔE色値。本発明に使用される臭素化スチレンポリマーの色属性を決定するために、この場合もはやはり、クロロベンゼン等の容易に得られる溶媒に臭素化スチレンポリマーを溶解する能力を使用する。5g±0.1gの臭素化アニオン性ポリスチレンを50mLの遠心分離管に量り入れる。45g±0.1gのクロロベンゼンも管に添加する。管を閉じ、リストアクションシェイカーで1時間振盪する。1時間の振盪期間の後、溶解されていない固体に対して、溶液を検査する。曇りが存在する場合は、4000rpmで10分間溶液を遠心分離する。溶液がなおも透明でない場合、さらに10間遠心分離する。万が一溶液が濁ったままである場合、正確な測定が不可能であるとして廃棄しなければならない。しかしながら、透明な溶液が得られた場合、HunterLab ColorQuest Sphere Spectrocolorimeterで試験を行う。20mmの透過長を有する透過セルを使用する。比色計を「Delta E−lab」に設定し、色をΔEとして記録し、「L」、「a」、および「b」に対する色値を得る。生成物の色を、式:
ΔE=[(ΔL)+(Δa)+(Δb)1/2
に従って、クロロベンゼン中の10重量%濃度の生成物対クロロベンゼンに対するハンターL、a、およびbスケールを使用して、全色差(ΔE)として決定する。
【0076】
熱安定性試験。熱安定性を決定し、試料の腐食可能性を評価するために、熱安定性試験を用いる。米国特許第5,637,650号に記載される試験手順を、以下の方法で用いる。各試料に対して二重試験を行う。2.00±0.01gの試料を新しく清潔な20×150mm試験管中に入れる。ネオプレン栓およびViton(登録商標)フルオロエラストマー配管を用いて、試験管を窒素パージラインに接続し、試験管から出るガスを、それぞれ200mLの0.1N NaOH、および5滴のフェノールフタレインを含有する、3つの250mLの枝付き濾過フラスコ内の表面下ガス分散フリットに連続的に通す。0.5SCFHの一定の窒素パージを用いて、試験管を溶融塩槽(51.3%のKNO/48.7%のNaNO)内で、300℃で15分間、続いて周囲温度で5分分間加熱する。次いで、試料を含む試験管を清潔で乾燥した試験管と交換し、装置を空の試験管を300℃の溶融塩槽に入れ、さらに10分間器具を窒素でパージする。試験管、配管、およびガス分散管を全て脱イオン水で洗浄し、洗浄液を3つの回収フラスコ内の溶液と定量的に混合する。混合溶液を1:1のHNOで酸性化し、自動電位差滴定装置(Metrohm670、716、736、または同等物)を使用して0.01NのAgNOで滴定する。結果を以下のようにHBr(ppm)、HCl(ppm)、およびHBr当量(ppm)として計算する。
HBr(ppm)=(EP1)(N)(80912)/(試料重量)
HCl(ppm)=(EP2−EP1)(N)(36461)/(試料重量)
HBr当量(ppm)=(EP2)(N)(80912)/(試料重量)
式中、EP(x)は、終点xに到達するために使用されるmLのAgNOであり、Nは、AgNOの規定度である。次の分析の前に配管を窒素で完全に乾燥させる。それぞれの日に最初の試料を使用する前に、3つの空の清潔な試験管をブランクとして試験を行い
、該系の中に残留ハロゲン化水素がないことを確認する。
【0077】
GPC重量平均分子量。Watersモデル510 HPLCポンプ、ならびに検出器としてWaters Refractive Index Detector、Model410およびPrecision Detector Light Scattering Detector、Model PD2000を使用したGPCによってM値を得た。カラムは、WatersのμStyragel、500Å、10,000Å、および100,000Åであった。オートサンプラーは、Shimadzu、Model Sil 9Aであった。ポリスチレン標準(M=185,000)を光散乱データの精度を検証するために定期的に使用した。使用した溶媒は、HPLC等級のテトラヒドロフランであった。使用した試験手順は、10mLのTHFに0.015〜0.020gの試料を溶解する工程を伴った。本溶液のアリコートを濾過し、50μLをカラムに注入する。Precision Detectorsによって提供されるPD 2000 Light Scattering Detector用のソフトウェアを使用して分離を分析した。
【0078】
計算された理論的なM値を、式:
【数1】

に従って得た。
【0079】
メルトフローインデックス試験。本発明の臭素化スチレンポリマーのメルトフローインデックスを決定するために、ASTM試験法D1238−99の手順および試験装置を使用する。220℃および2.16kgの印加圧力で押出可塑度計を操作する。試験に使用される試料は、50重量部の酸化アンチモン、臭素化スチレンポリマーのBr含有量に基づき15.0重量%のBrを含有する最終ブレンドを提供する、約200〜約250重量部の範囲の計算された量の臭素化スチレンポリマー、ならびに合計で1000重量部をもたらすのに十分なガラス充填ナイロン6,6(DuPontからのZytelポリマー)から成る。
【0080】
C.他の成分
本発明の好ましい繊維組成物は、少なくとも1つの難燃性共力剤を含有する。そのような共力剤は、典型的には、難燃剤(複数を含む)対共力剤の重量比が約5〜約1の範囲、および好ましくは約4〜約2の範囲になるような量で使用される。難燃性共力剤の例としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム、酸化鉄、ホウ酸亜鉛、酸化亜鉛、およびスズ酸亜鉛が挙げられるがこれに限定されない。
【0081】
最終生成物に所望の性質を与えるために、難燃性繊維組成物に他の従来の添加剤を添加する場合が多い。1つまたは複数のそのような添加剤は、本発明の難燃性繊維組成物の一部を成し得る。組成物の難燃性および他の所望の性質が悪影響を受けないように、添加剤(複数を含む)を選択しなければならない。そのような添加剤の例としては、染料および顔料等の着色剤、熱安定剤および光安定剤を含む安定剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、防曇剤、耐候剤、帯電防止剤、充填剤、潤滑剤、酸化防止剤、分散剤、発泡剤、離型剤、加工助剤、核形成剤、強化剤、可塑剤、ならびにエラストマーまたはゴム等のさらなるポリマー材料が挙げられる。
【0082】
挙げられる任意の他の成分の全てが、考えられる熱可塑性繊維形成ポリマーまたはその
混合物の全てに適合するわけではないことに留意されたい。例えば三酸化アンチモンの共力剤は、概して、ポリエチレンテレフタレートに適合しない。
【0083】
また、本発明の組成物は、ポリテトラフルオロエチレン樹脂を任意に含有してもよい。使用され得るポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂は、乳化または懸濁重合等の任意の既知のプロセス技術によって調製可能であり、多くの商業的供給源から容易に入手可能である。ポリテトラフルオロエチレン樹脂は、PTFE樹脂の所望の分散性特徴、その処理可能性、ならびに必要とされ得る他の物理的性質に応じて、種々の程度の重合(粘度)を有する樹脂から選択され得る。
【0084】
D.本発明の担体ブレンド
担体ブレンドは、(i)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーであって、少なくとも約50重量%の臭素含有量を有する、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、および(ii)少なくとも1つの共力剤または少なくとも1つの他の難燃剤を含む成分から形成される。成分(ii)は、別の難燃剤および共力剤の両方を含んでもよい。組成物に関して記載するように、担体ブレンドは、着色剤、安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ならびにエラストマーまたはゴム等のさらなるポリマー材料が挙げられるがこれに限定されない従来の添加剤を任意に含有してもよい。上記のように、そのような添加剤(複数を含む)は、組成物の難燃性および他の所望の性質が悪影響を受けないように選択されなければならない。そのような担体ブレンドの利点は、高融点構成成分が難燃性繊維組成物の一部になると同時に、高融点構成成分が繊維性質に対して通常有する悪影響を最小限に抑え得る点である。
【0085】
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、本発明の組成物に関して上記に記載する通りである。好ましいポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーもまた、上記に記載する通りである。共力剤および/または難燃剤が、ブレンドの配合温度よりも高い融点または軟化点を有する場合(すなわち、それは高融点または、高融点または非溶融性)、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、概して、担体ブレンドの少なくとも約40重量%から成る。より好ましくは、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、担体ブレンドの少なくとも約50重量%から成る。共力剤は、本発明の組成物に関して上記に記載する通りである。高融点である任意の共力剤または難燃剤は、担体ブレンドを形成するために、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーとブレンド可能である。共力剤および/または難燃剤が、ブレンドの配合温度よりも低い融点または軟化点を有する場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、担体ブレンドの40重量%未満から成る。
【0086】
好ましい担体ブレンドとしては、臭素化アニオン性ポリスチレンおよび三酸化アンチモン、臭素化アニオン性ポリスチレンおよび五酸化アンチモン、臭素化アニオン性ポリスチレンおよびアンチモン酸ナトリウム、ならびに臭素化アニオン性ポリスチレンおよびエチレンビス(テトラブロモフタルイミド)から成るものが挙げられ、これらのブレンドは、臭素化アニオン性ポリスチレンがアニオン性ポリスチレンから形成される約60重量%の典型的な臭素含有量を有する場合により好ましい。特に好ましい担体ブレンドは、臭素化アニオン性ポリスチレンがアニオン性ポリスチレンから形成される約68重量%の典型的な臭素含有量を有するものである。
【0087】
担体ブレンドは、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと、共力剤および/または他の難燃剤と、もしある場合に他の任意の成分とを混合および合わせて溶融することによって形成されてもよい。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、共力剤(複数を含む)および/または他の難燃剤(複数を含む)、ならびに他の成分(もしある場合)は、それらを溶融するデバイスまたは領域に添加されてもよく、そこでそれらは、同時に混合および溶融されるか(好ましい)、または合わせて溶融され、次いで混合される。ポリ臭素化ア
ニオン性スチレンポリマーならびに共力剤および/または他の難燃剤をブレンドするための別の方法は、それらのうちの一方、通常はポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを溶融し、次いで、通常は混合および溶融しながら、それらのうちの他方を添加する方法である。
【0088】
あるいは、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、共力剤および/または他の難燃剤、ならびに他の任意の成分は、(予)混合され、次いで合わせて溶融されてもよい。乾燥成分の予混合は通常は必要ではなく、好ましくはない。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、共力剤および/または他の難燃剤、ならびに他の成分(望ましい場合)が溶融前に予混合される場合、そのような予混合は、例えばHenschel混合器、タンブルミキサー等の混合機で行うことが可能である。構成成分のいずれかまたは全ての一部または全体は、混合物中のそれらの分散を促進するために粉砕されてもよいが、これは概して必要ではない。
【0089】
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと、共力剤および/または他の難燃剤と、もしある場合に、他の任意の成分とのブレンドの配合は、例えば2軸押出機またはBussニーダー等の配合装置で行うことが可能である。
【0090】
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、共力剤および/または他の難燃剤、ならびに任意の他の成分が予混合なしで溶融され、合わせて混合される場合、それらは通常、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが軟化または溶融するまで加熱され、次いで、構成成分の全てが完全に混合され、その後、混合物は押出される。溶融および混合は、例えば2軸押出機またはBussニーダー等の単軸または多軸押出機のような装置を使用して実行可能である。
【0091】
配合された押出物が配合機から出る際、押出機のダイスから出る押出されたストランドは、ダイス面でペレット化され、同時に混合物は冷却される。水冷または空冷が採用されてもよい。水冷の場合、水の温度は、好ましくは少なくとも約60℃であり、より好ましくは、水の温度は、約60〜70℃の範囲である。より好ましくは、水の噴霧を用いる。特に共力剤および/または他の難燃剤が高融点である場合、空冷(担体ブレンドの押出の際に空気流を吹き付けることによる)が特に好ましい。高融点成分(複数を含む)の割合が十分に高い場合、例えば、臭素化アニオン性ポリスチレンが、担体ブレンドの約50%以下である場合、形成された顆粒は、水冷の場合に破砕する傾向があることが観察された。このようなことが生じ得る場合の正確な比は、担体ブレンドに使用される特定のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーによって異なることが予想される(理論に拘束されることを望むものではないが)。
【0092】
E.難燃性組成物を生成するためのプロセス
上記のように、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの低い粘度および高い熱安定性により、難燃性繊維およびフィラメントの形成がより容易になると考えられる。そのような繊維またはフィラメントを形成するための一方法は、(a)少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマー、および(b)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを溶融紡糸する工程を含むプロセスである。ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約50重量%の臭素含有量を有する。繊維形成熱可塑性ポリマーおよびポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが耐燃性または難燃性である量で存在し、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%であり、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、繊維またはフィラメントの約15重量%以下である割合である

【0093】
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、繊維形成熱可塑性ポリマー、共力剤(必要な場合または望ましい場合)、ならびに、もしある場合に、他の成分は、それらを溶融および回転させるデバイスまたは領域に添加されてもよく、そこでそれらは、同時に混合および溶融されるか(好ましい)、または合わせて溶融され、次いで混合され、次いで押出される。難燃剤および繊維形成ポリマーは、一方の成分、通常は繊維形成ポリマーを溶融し、次いで通常は混合および溶融しながら他方の成分を添加することによってブレンドされてもよい。あるいは、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、繊維形成熱可塑性ポリマー、共力剤、および他の任意の成分は、(予)混合され、次いで、合わせて溶融され、次いで押出されてもよい。乾燥成分の予混合は通常は必要ではなく、好ましくはない。
【0094】
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、繊維形成熱可塑性ポリマー、共力剤(必要な場合または望ましい場合)、ならびに他の成分(望ましい場合)が、溶融前に予混合される場合、そのような予混合は、例えばHenschel混合器、タンブル混合器等の混合機で行うことが可能である。構成成分のいずれかまたは全ての一部または全体は、混合物中のそれらの分散を促進するために粉砕されてもよいが、これは概して必要ではない。
【0095】
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、繊維形成熱可塑性ポリマー、共力剤(必要な場合または望ましい場合)、ならびに任意の他の成分が、予混合なしで溶融紡糸される場合、それらは通常、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーおよび繊維形成熱可塑性ポリマーが軟化または溶融するまで加熱され、次いで、構成成分の全てが完全に混合され、その後、混合物は押出される。溶融および混合は、例えばBanbury混合器、オープンローラー、ニーダー、単軸または多軸押出機等の装置を使用して実行可能である。
【0096】
ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーおよび熱可塑性繊維形成ポリマーを含む組成物を形成するための別の方法は、マスターバッチ、通常は高濃度の難燃剤(ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー)を有する混合物を形成する方法である。マスターバッチを形成するために、ポリエステル、ポリアミド、およびポリオレフィンを使用することができる。ポリブチレンテレフタレートは、マスターバッチを形成するための好ましいポリエステルである。マスターバッチは、後により多くの熱可塑性繊維形成ポリマーと再溶融され、難燃剤および熱可塑性繊維形成ポリマーの所望の比を有する最終生成物を形成する。上記の混合法のいずれかと共に、この方法を本発明に使用することができる。もしある場合に、他の所望の成分が濃縮ブレンドに添加されるか、または濃縮ブレンドがより多くの熱可塑性繊維形成ポリマーと混合される際に添加されてもよい。配合された押出物が配合機から出る際、押出機のダイスから出る押出されたストランドは、ダイス面でペレット化され、同時に混合物は冷却される。温水または冷水冷却あるいは空冷が使用されてもよい。
【0097】
概して、マスターバッチ中で、難燃剤の濃度は、繊維またはフィラメント中よりも、熱可塑性繊維形成ポリマーに対してはるかに高い。難燃剤が過剰である場合のマスターバッチ中の典型的な割合は、90:10のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー:熱可塑性繊維形成ポリマーであり、他の典型的な比は、80:20および70:30のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー:熱可塑性繊維形成ポリマーである(全ての比は重量による)。このように、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー:熱可塑性繊維形成ポリマーの重量比は、通常約30:60〜約90:10、および好ましくは約30:70〜約70:30の範囲である。つまり、典型的には、マスターバッチの少なくとも約25重量%、および好ましくは少なくとも約30重量%が難燃剤であり、より好ましくは、マスターバッチの約30重量%〜約90重量%の範囲が難燃剤である。さらにより好ましくは、難燃剤は、マスターバッチの約30重量%〜約80重量%の範囲である。しかしながら、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー対熱可塑性繊維形成ポリマーの比は、99:1〜1:9
9の範囲であることができる。ポリオレフィンに関して、または他の熱可塑性繊維形成ポリマーに対して必要な場合に、共力剤がマスターバッチに含まれる場合、割合は、例えば30:60:10のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー:熱可塑性繊維形成ポリマー:共力剤であってもよく(全ての比は重量による)、この比は、非常に幅広く変化することができ、共力剤の存在によって制限されない。10重量部以上または以下の共力剤がマスターバッチ中に存在することができ、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーまたは熱可塑性繊維形成ポリマーのいずれかが、他方と比較してより大きい量で存在することができる。
【0098】
1つまたは複数のマスターバッチから繊維またはフィラメントを形成するために、繊維形成熱可塑性ポリマーは、本発明の少なくとも1つのマスターバッチと溶融紡糸される。望ましい場合、この時点で任意の成分を添加することができる。マスターバッチから繊維またはフィラメントを形成するための方法は、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーおよび熱可塑性繊維形成ポリマーを溶融紡糸するためのプロセスに関してすでに記載されている方法と同様である。
【0099】
担体ブレンドから繊維またはフィラメントを形成する場合、繊維形成熱可塑性ポリマーは、本発明の担体ブレンドと溶融紡糸される。望ましい場合、担体ブレンドの一部としてではなく、この時点で任意の成分を添加することができる。担体ブレンドから繊維またはフィラメントを形成するための方法は、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーおよび熱可塑性繊維形成ポリマーを溶融紡糸するためのプロセスに関してすでに記載されている方法と同様である。
【0100】
当技術分野において既知のように、繊維およびフィラメントを種々の線密度で生成することができる。典型的には、不織布、織布、および編物に対して、約2〜約25デニール(約0.22〜約2.77tex)の線密度を有する繊維およびフィラメントを使用する。本発明によって、そのような線密度を有する繊維およびフィラメントを得ることができる。さらに、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと熱可塑性繊維形成ポリマーとの混合物の均一性により、マイクロファイバーのサイズの繊維およびフィラメント(約1デニール以下)の生成が可能となると考えられる。当然のことながら、約25デニール以上の線密度を有する繊維およびフィラメントもまた、用途がそのような値を要求する場合、生成することができる。
【0101】
本発明の好ましい繊維およびフィラメントは、約2〜約25デニールの範囲線密度を有し、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが臭素化アニオン性ポリスチレンである、約2〜約25デニールの範囲の線密度を有する繊維およびフィラメントがより好ましい。非常に好ましい繊維およびフィラメントは、線密度が約2〜約25デニールの範囲であり、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、少なくとも約60重量%の臭素含有量を有する臭素化アニオン性ポリスチレンであるものであり、臭素含有量が少なくとも約68重量%であるフィラメントまたは繊維が、さらにより好ましい。
【0102】
また当技術分野において、溶融紡糸が一軸延伸プロセスであり、一軸延伸において応力歪み関係である伸長粘度挙動は、剪断粘度挙動よりも重要であることが知られている。溶融紡糸において、狭い分子量分布は、あまり細くならない傾向があり、伸長粘度は、より高い伸長速度で増加する。これにより、溶融物の配向がより高くなり、それは、より高い紡糸繊維またはフィラメントの配向、より高い強度、およびより低い伸長度に反映される。対照的に、広い分子量分布は、より細くなる傾向があり、したがって高い紡糸速度でくびれや裂け目がより生じやすくなる。このように、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの狭い分子量分布は、溶融紡糸を行う際、本発明の難燃性繊維およびフィラメントの処理に対して有意な利点を与える。
【0103】
本発明の繊維およびフィラメントは、一旦形成されると、従来の織物プロセスにおいて織布または編物を製造するための撚り糸または糸に形成されることが可能である。押出プロセスによって形成される繊維およびフィラメントもまた、不織布を形成するために使用することができる。あるいは、繊維またはフィラメントは、ポリエステル/綿ブレンド等の他の繊維とのブレンドの構成成分として使用されてもよく、次にそれらは、不織布、織布、または編物に形成される。本発明の繊維およびフィラメントから製造される織物または繊維製品を、敷物類(特に高パイル敷物類において)、カーテン、掛け布、ブラインド、室内装飾品(例えば家具、飛行機の座席)、テーブルクロス、寝具類、壁紙等に使用することができる。
【0104】
以下の実施例は例示目的で示され、本発明の範囲を制限することを目的としていない。
【実施例1】
【0105】
溶融紡糸器具において、乾燥ポリエチレンテレフタレートを繊維の約10重量%未満になる量のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと280℃〜300℃で混合し、溶融物をストランドとして水槽に押出する。得られた繊維を織って織物を形成する。難燃性を評価するために、織物に対して、National Fire Protection Associationによって設定された標準試験である小規模NFPA−701試験(1989)を行う。NFPA−701試験では、2インチ×10インチの布をフレーム上にピンと伸ばし、垂直につるす。この一切れの織物の3/4インチを1.5インチの炎の中に12秒間入れる。織物の炭化長、液滴燃焼、および重量損失を測定する。NFPA−701試験に合格するには、材料は、0秒の液滴燃焼時間を有しなければならない。
【実施例2】
【0106】
溶融紡糸器具において、繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%になる量のポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを溶融ナイロン(ポリアミド)に添加し、溶融物を押出し、繊維またはフィラメントを得る。繊維またはフィラメントを編み、織物を形成する。織物に対して実施例1に記載するようなNFPA−701試験を行うことによって、難燃性を評価する。
【実施例3】
【0107】
以下の試料試験のために2軸押出機を使用した。スクリューは、同時回転式であった。ダイス表面ペレット化を用いた。冷却は、水、水噴霧、または空気流(空冷)を用いた。押出機は、11個の別々の領域を有し、その各々を加熱した。いくつかの試料に対して、2軸押出機と併せてサイドフィーダーを使用した。特に明記しない限り、各試料を水冷した。試料試験に対する種々のパラメータを表1中に要約する。全ての試験に使用された臭素化アニオン性ポリスチレンは、Albemarle Corporationの製品であるSAYTEX(登録商標)HP−3010であった。試料は、2つの100%臭素化アニオン性ポリスチレン試験を含み(試験1および2)、それらは、本発明の目的のための比較試験である。試験1よりもわずかに高い温度で試験2を行った。臭素化アニオン性ポリスチレンと三酸化アンチモン(White Star N、Campine N.V.、Beerse,Belgium)との担体混合物を77.5%の臭素化アニオン性ポリスチレン対22.5%の三酸化アンチモンの重量比で生成した。このブレンドの2つの試験を行った。一方の試験である試験3を水冷したが、他方の試験である試験4は空冷した。表1に記載する他の条件は、両方の試験に対して同じであった。
【0108】
臭素化アニオン性ポリスチレンとエチレンビス(テトラブロモフタルイミド)(SAYTEX(登録商標)BT−93W、Albemarle Corporation)との数個の担体混合物を生成した。50%の臭素化アニオン性ポリスチレンおよび50%のエ
チレンビス(テトラブロモフタルイミド)を有するブレンド(試験5)を生成し、水冷した。45%の臭素化アニオン性ポリスチレン/55%のエチレンビス(テトラブロモフタルイミド)試料(試験6)も水冷した。表1(試験7〜10)に示すように、40%の臭素化アニオン性ポリスチレン/60%のエチレンビス(テトラブロモフタルイミド)に対して2つの組の条件を用いた。試験8を水冷し、試験9を水噴霧で冷却し、試験10を空冷した。40%/60%の臭素化アニオン性ポリスチレン/エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)ブレンドに対して、顆粒は、より高い相対的割合の臭素化アニオン性ポリスチレンを有するものよりも光沢が少なく、40%/60%ブレンドの材料が、あまりよく配合されなかったことを示した。試験3〜4および8〜10において、水冷は顆粒を破砕したが、代わりに空冷によって光沢のある顆粒が得られたことが観察された。恐らく、試験3、8、および9の顆粒は、空冷された場合に破砕しない。
【0109】
表1の「割合」の行において、第1の数値は、担体ブレンド中の臭素化アニオン性ポリスチレンの相対量であり、第2の数値は、担体ブレンド中の他の成分の相対量である。
【0110】
【表1】

【実施例4】
【0111】
以下の試料試験のために2軸押出機を使用した。スクリューは、同時回転式であった。
ダイス表面ペレット化を用いた。冷却は、冷水噴霧を用いた。押出機は、11個の別々の領域を有し、その各々を加熱した。いくつかの試料に対して、2軸押出機と併せてサイドフィーダーを使用した。特に明記しない限り、各試料を水冷した。試料試験に対する種々のパラメータを表2中に要約する。全ての試験に使用された臭素化アニオン性ポリスチレンは、Albemarle Corporationの製品であるSAYTEX(登録商標)HP−3010であった。試験1〜5において、ポリブチレンテレフタレートは、Crastin(DuPontの製品)であったが、試験6においては、ポリブチレンテレフタレートは、Arnite(DSMの製品)であった。
【0112】
臭素化アニオン性ポリスチレンとポリブチレンテレフタレートとの数個のマスターバッチを生成した。表2の「割合」の行において、第1の数値は、マスターバッチ中の臭素化アニオン性ポリスチレンの相対量であり、第2の数値は、ポリブチレンテレフタレートの相対量である。
【0113】
【表2】

【実施例5】
【0114】
以下の試料試験のために2軸押出機を使用した。スクリューは、同時回転式であった。ストランド造粒を用いた。冷却は、冷水槽中の水を用いた。押出機は、9個の別々の領域を有し、その各々を加熱した。いくつかの試料に対して、2軸押出機と併せてサイドフィーダーを使用した。特に明記しない限り、各試料を水冷した。試料試験に対する種々のパラメータを表3中に要約する。全ての試験に使用された臭素化アニオン性ポリスチレンは
、Albemarle Corporationの製品であるSAYTEX(登録商標)HP−3010であった。
【0115】
臭素化アニオン性ポリスチレンとポリブチレンテレフタレートとの数個のマスターバッチを生成した。これらのマスターバッチのうちのいくつかは、共力剤も含んだ。表3の「割合」の行において、第1の数値は、マスターバッチ中の臭素化アニオン性ポリスチレンの相対量であり、第2の数値は、ポリブチレンテレフタレートの相対量であり、第3の数値がある場合は、マスターバッチ中に存在する共力剤の量である。
【0116】
【表3】

【実施例6】
【0117】
本実施例において、ポリエチレンテレフタレートの繊維を生成した。ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維(そのいくつかは臭素化アニオン性ポリスチレンを含有する)を繊維押出ライン上で押出した。存在する場合、共力剤は、平均粒径が約1μmのアンチモン酸ナトリウム(Thermoguard FR)であった。全ての試験に使用された臭素化アニオン性ポリスチレンは、Albemarle Corporationの製品であるSAYTEX(登録商標)HP−3010であった。押出ライン上の領域温度は、
約275℃−286℃−285℃−285℃−285℃であり、溶融温度は、285〜290℃であった。繊維を異なる速度で押出した(以下の表4および5を参照)。繊維の全てにDryfi RILスピンフィニッシュを施した。編まれた繊維に対して難燃性試験を行った。
【0118】
脆性およびスピンレットにおける高圧低下の理由から、10%の臭素化アニオン性ポリスチレンおよび3.33%のアンチモン酸ナトリウムを含有するPETから糸をけいせいすることはできなかった。同様の結果が、5%の臭素化アニオン性ポリスチレンおよび1.67%のアンチモン酸ナトリウムを含有するPETに対しても認められた。PETが3.33%の臭素化アニオン性ポリスチレンおよび1.11%のアンチモン酸ナトリウムを含有した場合、よりよい結果が得られた。これらの繊維において、押出PETの量の2倍の非押出PETが存在した。試験5〜8の繊維を全て、2:1の比の非押出PETおよび押出PETを用いて生成した。結果および繊維の性質を表4および5に要約する。表4中の試験は、比較試験であり、押出されなかったPETで行った。表5の「割合」の行において、第1の数値は、繊維中の臭素化アニオン性ポリスチレンの相対量であり、第2の数値は、PETの相対量であり、第3の数値は、共力剤の相対量である。
【0119】
DIN 41333難燃性試験において、試験8を除く繊維の全ては、試験の水平部における印に達する前に消火した。試験8は、水平試験における353mm/分の平均値(3つの試験からの)を提供する。試験の垂直部において、表4および5で報告される数値は、3つの試験の平均である。
【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【0122】
表4および5中の結果は、高延伸比において、難燃性PETの火炎伝播速度が、難燃剤を含有しないPETの延焼速度の半分であったことを示した。
【実施例7】
【0123】
ナイロン6繊維(そのいくつかは臭素化アニオン性ポリスチレンを含有する)を繊維押出ライン上で押出した。ナイロン6は、Domamid(登録商標)27(Domo)であった。存在する場合、共力剤は、SbのUltrafine等級IIであり、それは約0.3μmの平均粒径を有する。全ての試験に使用された臭素化アニオン性ポリス
チレンは、Albemarle Corporationの製品であるSAYTEX(登録商標)HP−3010であった。押出ライン上の領域温度は、255℃−255℃−260℃−265℃−265℃であり、スピンプレートは、40個の丸穴を有した。繊維の第1のロールを約600m/分の速度で押出し、後続のロールに対して、繊維を約1500m/分の速度で延伸した。Fasavin TC−72スピンフィニッシュ(Zschimmer & Schwarz)を繊維の全てに施した。3000dtexまで編まれた繊維に対して難燃性試験を行った。結果および繊維の性質を表6中に要約する。最初の2つの試験は比較試験であり、試験1は、押出されなかったナイロン6であり、試験2は、押出されたナイロン6である。表6の「割合」の行において、第1の数値は、繊維中の臭素化アニオン性ポリスチレンの相対量であり、第2の数値は、ナイロン6の相対量であり、存在する場合、第3の数値は、共力剤の相対量である。
【0124】
【表6】

【0125】
表6の結果は、臭素化アニオン性ポリスチレンがナイロン繊維中に存在する場合、ナイロン繊維が、より大きいピーク時の歪みおよびより大きい破断時の歪みの両方を有することを示す。難燃剤等の添加剤の存在は、通常繊維またはフィラメントの性質に悪影響を及ぼすため、これは驚くべき結果である。加えて、試験6の繊維は、NF P92−504難燃性試験において非常に良好に機能した。
【実施例8】
【0126】
ポリプロピレン繊維(そのいくつかは臭素化アニオン性ポリスチレンを含有する)を繊維押出ライン上で押出した。ポリプロピレンは、Borealis HG245FBであった。存在する場合、共力剤は、SbのUltrafine等級IIであり、それ
は約0.3μmの平均粒径を有する。全ての試験に使用された臭素化アニオン性ポリスチレンは、Albemarle Corporationの製品であるSAYTEX(登録商標)HP−3010であった。押出ライン上の領域温度は、200℃−210℃−220℃−230℃−230℃であり、スピンプレートは、40個の丸穴を有した。Fasavin CF−64スピンフィニッシュ(Zschimmer & Schwarz)を繊維の全てに施した。3000dtexまで編まれた繊維に対して難燃性試験を行った。
【0127】
溶融物の延伸問題の理由から、共力剤なしで5%の臭素化アニオン性ポリスチレンを有するポリプロピレンを押出することはできなかった。対照的に、共力剤が存在した場合、5%の臭素化アニオン性ポリスチレンを有するポリプロピレンは、押出可能であった。溶融物の延伸問題の理由から、共力剤と共に10%の臭素化アニオン性ポリスチレンを有するポリプロピレンを押出することはできなかった。また、溶融紡糸の問題の理由から、83.3%のポリプロピレンおよび16.7%の臭素化アニオン性ポリスチレンを有するマスターバッチを生成しようとする試みは失敗した。
【0128】
結果および繊維の性質を表7中に要約する。最初の2つの試験は比較試験であり、試験1は、予め配合されなかったポリプロピレンであり、試験2は、予め配合されたポリプロピレンである。表7の「割合」の行において、第1の数値は、繊維中の臭素化アニオン性ポリスチレンの相対量であり、第2の数値は、ポリプロピレンの相対量であり、存在する場合、第3の数値は、共力剤の相対量である。
【0129】
難燃性試験において、難燃剤を含まない各ポリプロピレンに対して、2つの試料に対して2つの試験を行い、難燃性ポリプロピレンに対しては、2つの試料の各々に対して10の試験を行った。難燃剤を有しない試料の炎は、自己消化しなかった。対照的に、難燃性試料は、比較的短時間で自己消火した。
【0130】
【表7】

【0131】
表7に示すように、ポリプロピレン中の臭素化アニオン性ポリスチレンの存在により、繊維の難燃性品質は大幅に改善された。より具体的には、臭素化アニオン性ポリスチレン
を含有するポリプロピレンは、自己消火したが、それとは対照的に、非難燃性ポリプロピレン試料は、自己消化しなかった。
【0132】
本発明のさらなる実施形態は、制限なく以下を含む。
【0133】
aa)(a)少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマー、および(b)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを含み、該ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約67重量%の臭素含有量を有する、繊維またはフィラメント。
【0134】
ab) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、上記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、上記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、上記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである、aa)にあるような繊維またはフィラメント。
【0135】
ac) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーは、アクリルである、aa)にあるような繊維またはフィラメント。
【0136】
ad) 該繊維またはフィラメントの線密度は、約2〜約25デニールの範囲である、aa)〜ac)のいずれかにあるような繊維またはフィラメント。
【0137】
ae) aa)〜ac)のいずれかの繊維またはフィラメントから形成される撚り糸または糸。
【0138】
af) aa)〜ac)のいずれかの繊維またはフィラメントは、ブレンドの一成分である、繊維またはフィラメントのブレンド。
【0139】
ag) a)少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマー、および(b)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを溶融紡糸する工程を含むプロセスであり、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約60重量%の臭素含有量を含む、工程。
【0140】
ah) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、ag)にあるようなプロセス。
【0141】
ai) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、上記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソイソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、上記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、上記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである、ag)またはah)にあるようなプロセス。
【0142】
aj) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーは、アクリルである、ag)またはah)にあ
るようなプロセス。
【0143】
ak) 上記熱可塑性繊維形成ポリマーおよび上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、同時に混合および溶融される、ag)〜aj)のいずれかにあるようなプロセス。
【0144】
al) 生成された繊維またはフィラメントの線密度は、約2〜約25デニールの範囲である、ag)〜ak)のいずれかにあるようなプロセス。
【0145】
am) 繊維またはフィラメントを形成するためのプロセスであって、該プロセスは、少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーと合わせて担体ブレンドを溶融紡糸する工程を含み、上記担体ブレンドは、(i)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーであって、少なくとも約50重量%の臭素含有量を有するポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、および(ii)少なくとも1つの共力剤または少なくとも1つの他の難燃剤を合わせて混合および溶融する工程を含むプロセスによって形成された、プロセス。
【0146】
an) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、上記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、上記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、上記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである、am)にあるようなプロセス。
【0147】
ao) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーは、アクリルである、am)にあるようなプロセス。
【0148】
ap) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも約60重量%であり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、am)〜ao)のいずれかにあるようなプロセス。
【0149】
aq) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも約67重量%である、am)〜ao)のいずれかにあるようなプロセス。
【0150】
ar) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、aq)にあるようなプロセス。
【0151】
ba) 担体ブレンドである組成物であって、該ブレンドは、(i)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーであって、少なくとも約50重量%の臭素含有量を有するポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、および(ii)少なくとも1つの共力剤または少なくとも1つの他の難燃剤を含む成分から形成される、組成物。
【0152】
bb) (ii)が高融点である場合、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、上記担体ブレンドの少なくとも約40重量%から成る、ba)にあるような組成物。
【0153】
bc) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、ba)またはbb)にあるような組成物。
【0154】
bd) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、担体ブレンドの少なくとも約50重量%から成る、ba)またはbb)にあるような組成物。
【0155】
be) (a)少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマー、および(b)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを含むマスターバッチであって、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約50重量%の臭素含有量を有する、マスターバッチ。
【0156】
bf) 繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、耐燃性または難燃性である量で存在し、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%であり、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの約15重量%以下である、be)にあるようなマスターバッチ。
【0157】
bg) ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、be)またはbf)にあるようなマスターバッチ。
【0158】
bh) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、上記マスターバッチの少なくとも約80重量%である、be)にあるようなマスターバッチ。
【0159】
bi) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、上記マスターバッチの少なくとも約90重量%である、be)にあるようなマスターバッチ。
【0160】
bj) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、上記マスターバッチの少なくとも約70重量%であり、共力剤が存在し、上記共力剤は、上記マスターバッチの少なくとも約2重量%である、be)にあるようなマスターバッチ。
【0161】
bk) ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーおよび繊維形成熱可塑性ポリマーは、少なくとも約70:30の重量比である、be)にあるようなマスターバッチ。
【0162】
bl) ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約60重量%の臭素含有量を有する、be)〜bk)のいずれかにあるようなマスターバッチ。
【0163】
bm) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約67重量%の臭素含有量を有する、be)〜bk)のいずれかにあるようなマスターバッチ。
【0164】
bn) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、be)〜bm)のいずれかにあるようなマスターバッチ。
【0165】
bo) ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー対共力剤の重量比は、約1〜約5の範囲である、aa)〜ad)のいずれかにあるような繊維またはフィラメント。
【0166】
bp) ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー対共力剤の重量比は、約2〜約4の範囲である、aa)〜ad)のいずれかにあるような繊維またはフィラメント。
【0167】
bq) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する、aa)〜ad)のいずれかにあるような繊維またはフィラメント。
(i)200ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、
(ii)もしある場合、約700ppm未満のClである塩素含有量、
(iii)340℃以上の1%重量損失に対するTGA温度、
(iv)約10未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値、
(v)少なくとも約0.5g/10分のメルトフローインデックス試験におけるメルトフローインデックス、ならびに/あるいは
(vi)約8000〜約20,000の範囲のGPC重量平均分子量。
【0168】
br) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する、bq)にあるような繊維またはフィラメント。
(i)150ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、
(iv)約7未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値、ならびに/あるいは
(v)少なくとも約1g/10分のメルトフローインデックス試験におけるメルトフローインデックス。
【0169】
bs) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する、bq)にあるような繊維またはフィラメント。
(i)100ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、
(iv)約5未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値、ならびに/あるいは
(v)少なくとも約1g/10分のメルトフローインデックス試験におけるメルトフローインデックス。
【0170】
bt) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、bq)〜bs)のいずれかにあるような繊維またはフィラメント。
【0171】
bu) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、アニオン性スチレンポリマーの臭素化によって生成され、該アニオン性スチレンポリマーは、バッチプロセスによって生成され、該プロセスは、液体飽和炭化水素希釈剤およびエーテル促進剤を反応器に充填する工程と、次いで
A) (i)添加されるスチレンモノマーの総量に基づき、約1〜約10モル%の範囲の有機リチウム開始剤を提供する量で、有機リチウム開始剤の飽和炭化水素溶液を反応器に充填して、その後(ii)結果として得られる反応混合物の温度が約55℃以下に維持されるように、スチレンモノマーの制御添加を行う、工程、あるいは
B) 反応器への(i)スチレンモノマーと、(ii)有機リチウム開始剤の飽和炭化水素溶液との別々の供給量を同時に供給する工程であって、供給量は、添加されるスチレンモノマーの総量に基づき、約1〜約10モル%の範囲の有機リチウム開始剤の量の添加を提供する速度に維持され、結果として得られる反応混合物の温度は、約55℃以下に維持され、供給(ii)は、供給(i)よりも短い継続時間である、工程、
のいずれかを含む、aa)にあるような繊維またはフィラメント。
【0172】
bv) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、bu)にあるような繊維またはフィラメント。
【0173】
bw) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、200ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、および(i)340℃以上である1%重量損失に対するTGA温度、あるいは(ii)約10未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値、および少なくとも約0.5g/10分のメルトフローインデッ
クス試験におけるメルトフローインデックスを有する、bu)にあるような繊維またはフィラメント。
【0174】
bx) (a)少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマー、および(b)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを含む繊維またはフィラメントであって、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約50重量%の臭素含有量を有し、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、200ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、ならびに(i)340℃以上である1%重量損失に対するTGA温度、あるいは(ii)約10未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値、および少なくとも約0.5g/10分のメルトフローインデックス試験におけるメルトフローインデックスを有する、繊維またはフィラメント。
【0175】
by) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも約60重量%であり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、bx)にあるような繊維またはフィラメント。
【0176】
bz) bq)〜by)のいずれかの繊維またはフィラメントから形成される撚り糸または糸。
【0177】
ca) 繊維またはフィラメントのブレンドであって、bq)〜by)のいずれかの繊維またはフィラメントは、上記ブレンドの一成分である、ブレンド。
【0178】
cb) 繊維またはフィラメントを生成するためのプロセスであって、該プロセスは、(a)少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマー、および(b)少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーを溶融紡糸する工程を含み、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、少なくとも約50重量%の臭素含有量を有し、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、200ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、ならびに(i)340℃以上である1%重量損失に対するTGA温度、あるいは(ii)約10未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値、および少なくとも約0.5g/10分のメルトフローインデックス試験におけるメルトフローインデックスを有する、プロセス。
【0179】
cc) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも約60重量%であり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、cb)にあるようなプロセス。
【0180】
cd) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約27,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する、ba)〜bd)のいずれかにあるような担体ブレンド。
【0181】
ce) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約27,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する、be)〜bn)のいずれかにあるようなマスターバッチ。
【0182】
cf) 繊維またはフィラメントであって、
(a) 少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーであって、少なくとも約50重量%の臭素含有量、および約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマー、ならびに
(b) 少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーであって、繊維形成熱可塑性ポリ
マーがポリエステルである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、耐燃性または難燃性である量で存在し、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%であり、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの約15重量%以下である、繊維形成熱可塑性ポリマー、
を含む成分から形成される、繊維またはフィラメント。
【0183】
cg) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、上記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、上記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、上記ポリオレフィンは、ポリプロピレンであり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンであり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも約60重量%である、cf)にあるような繊維またはフィラメント。
【0184】
ch) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーは、アクリルである、cf)にあるような繊維またはフィラメント。
【0185】
ci) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、cf)またはcg)にあるような繊維またはフィラメント。
【0186】
cj) 難燃性共力剤は、繊維またはフィラメントの最大で約12重量%である、cf)にあるような繊維またはフィラメント。
【0187】
ck) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、共力剤は、繊維またはフィラメントの約5重量%以下であり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、共力剤は、繊維またはフィラメントの少なくとも約1.5重量%であり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、共力剤は、繊維またはフィラメントの約0.5重量%〜約5重量%の範囲である、cf)にあるような繊維またはフィラメント。
【0188】
cl) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンであり、上記繊維またはフィラメントの線密度は、約2〜約25デニールの範囲である、cf)〜cj)のいずれかにあるような繊維またはフィラメント。
【0189】
cm) cf)〜cl)のいずれかの繊維またはフィラメントから形成される、撚り糸または糸。
【0190】
cn) cf)の繊維またはフィラメントは、ブレンドの一成分である、繊維またはフィラメントのブレンド。
【0191】
co) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する、cf)にあるような繊維またはフィラメント。
(i)200ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、
(ii)もしある場合、約700ppm未満のClである塩素含有量、
(iii)340℃以上の1%重量損失に対するTGA温度、
(iv)約10未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値、
(v)少なくとも約0.5g/10分のメルトフローインデックス試験におけるメルトフローインデックス、ならびに/あるいは
(vi)約20,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量。
【0192】
cp) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも約60重量%であり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、co)にあるような繊維またはフィラメント。
【0193】
cq) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、上記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、上記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、上記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである、cp)にあるような繊維またはフィラメント。
【0194】
cr) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーは、アクリルである、co)にあるような繊維またはフィラメント。
【0195】
cs) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも約67重量%である、cf)〜cr)のいずれかにあるような繊維またはフィラメント。
【0196】
ct) 繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの約5重量%未満であり、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの少なくとも約10重量%であり、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、繊維またはフィラメントの約5重量%以下である、cf)〜cs)のいずれかにあるような繊維またはフィラメント。
【0197】
cu) 繊維またはフィラメントを生成するためのプロセスであって、
(a) 少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーと、
(b) 少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーであって、少なくとも約50重量%の臭素含有量、および約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと、
を、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、耐燃性または難燃性である量で存在し、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%であり、繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、繊維またはフィラメントの約15重量%以下であるような割合で、溶融紡糸する工程を含む、プロセス。
【0198】
cv) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、上記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、上記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、上記ポリオレフィンは、ポリプロピレンであり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも約60重量%であり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、cu)にあるようなプロセス。
【0199】
cx) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーは、アクリルであり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも約60重量%であり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、cu)にあるようなプロセス。
【0200】
cy) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、cu)〜cx)のいずれかにあるようなプロセス。
【0201】
cz) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、cu)にあるようなプロセス。
【0202】
da) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、以下の特徴のうちの少なくとも1つを有する、cu)にあるようなプロセス。
(i)200ppmのHBr以下の熱安定性試験における熱安定性、
(ii)もしある場合、約700ppm未満のClである塩素含有量、
(iii)340℃以上の1%重量損失に対するTGA温度、
(iv)約10未満の、クロロベンゼン中の10重量%溶液を使用して測定されるΔE色値、
(v)少なくとも約0.5g/10分のメルトフローインデックス試験におけるメルトフローインデックス、ならびに/あるいは
(vi)約20,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量。
【0203】
db) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも約60重量%であり、上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、da)にあるようなプロセス。
【0204】
dc) 上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、上記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、上記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、上記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、上記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである、da)にあるようなプロセス。
【0205】
dd) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの上記臭素含有量は、少なくとも
約67重量%である、cu)〜dc)のいずれかにあるようなプロセス。
【0206】
de) 上記熱可塑性繊維形成ポリマーおよび上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、同時に混合および溶融される、cu)〜dd)のいずれかにあるようなプロセス。
【0207】
df) 生成された繊維またはフィラメントの線密度は、約2〜約25デニールの範囲である、cu)〜de)のいずれかにあるようなプロセス。
【0208】
dg) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約27,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する、aa)〜af)、bo)〜ca)、またはcf)〜ct)のいずれかにあるような繊維またはフィラメント。
dh) 上記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約27,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する、ag)〜ar)、cb)〜cc)、またはcu)〜de)のいずれかにあるようなプロセス。
【0209】
本文献において化学名または化学式で言及される反応物および構成成分は、単数または複数での言及にかかわらず、化学名または化学型で言及される別の物質(例えば別の反応体、溶媒等)と接触する前に存在するものとして同定されることを理解されたい。結果として得られる混合物または溶液または反応媒体中でどのような予備的な化学変化、化学変換、および/または化学反応が起こるかは、たとえあるとしても問題ではなく、その理由は、そのような変化、変換、および/または反応が、本開示に従って要求される条件下で特定の反応物および/または構成成分を一緒にすることの自然な結果であるからである。したがって、反応物および構成成分は、所望の化学操作または反応を行うことに関連して、あるいは所望の操作または反応の実施に使用される混合物を形成する際に、一緒にされる成分として同定される。また、一実施形態が、物質、構成成分、および/または成分を現在形(「から成る」、「含む」、「である」等)で言及しても、該言及は、本開示に従って、1つまたは複数の他の物質、構成成分および/または成分と最初に接触、ブレンド、または混合される直前に存在した物質、構成成分、または成分に対する言及である。
【0210】
また、添付の特許請求の範囲が、物質を現在形(例えば「含む」、「である」等)で言及しても、該言及は、本開示に従って、1つまたは複数の他の物質と最初に接触、ブレンド、または混合される直前に存在した物質に対する言及である。
【0211】
明示的に別段の定めがある場合を除き、本明細書に使用される冠詞「a」または「an」は、該冠詞が言及する単一の要素に、本明細書および特許請求の範囲を限定する目的はなく、かつ限定すると解釈されるべきではない。むしろ、本明細書に使用される冠詞「a」または「an」は、本文によって明示的に別段の定めがある場合を除き、1つまたは複数のそのような要素を含むよう意図される。
【0212】
本明細書の任意の部分において参照される各特許または他の出版物もしくは公開文献は、あたかも本明細書に完全に記載されているかのように、その全体が参照として本開示に組み込まれる。
【0213】
本発明は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲内において多くの変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維またはフィラメントであって、
(a) 少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーであって、少なくとも約50重量%の臭素含有量、および約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと、
(b) 少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーであって、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、耐燃性または難燃性である量で存在し、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの約15重量%以下である、繊維形成熱可塑性ポリマーと、
を含む成分から形成される、繊維またはフィラメント。
【請求項2】
前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量を有する、請求項1に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項3】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの約15重量%以下であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの少なくとも約5重量%であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの約10重量%以下である、請求項1に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項4】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、前記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである、請求項1に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項5】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィンであり、前記ポリオレフィンは、ポリプロピレンであり、前記共力剤は、前記繊維またはフィラメントの少なくとも約0.5重量%である、請求項1に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項6】
前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの前記臭素含有量は、少なくとも約60重量%であり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、請求項1に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項7】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーは、ポリエステルであり、前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンであり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくと
も約600,000のGPC重量平均分子量を有する、請求項1に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項8】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーは、ポリアミドであり、前記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンであり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、請求項1に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項9】
前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、アニオン性スチレンポリマーの臭素化によって生成され、前記アニオン性スチレンポリマーは、バッチプロセスによって生成され、前記プロセスは、液体飽和炭化水素希釈剤およびエーテル促進剤を反応器に充填する工程と、次いで、
A) (i)添加されるスチレンモノマーの総量に基づき、約1〜約10モル%の範囲の有機リチウム開始剤を提供する量で、有機リチウム開始剤の飽和炭化水素溶液を前記反応器に充填して、その後(ii)結果として得られる反応混合物の温度が約55℃以下に維持されるように、前記スチレンモノマーの制御添加を行う、工程、
または
B) 前記反応器への(i)スチレンモノマーと、(ii)有機リチウム開始剤の飽和炭化水素溶液との別々の供給量を同時に供給する工程であって、前記供給量は、添加されるスチレンモノマーの総量に基づき、約1〜約10モル%の範囲の有機リチウム開始剤の量の添加を提供する速度に維持され、結果として得られる反応混合物の温度は、約55℃以下に維持され、供給(ii)は、供給(i)よりも短い継続時間である、工程、
を含む、請求項1に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項10】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの約15重量%以下であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの少なくとも約5重量%であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの約10重量%以下である、請求項9に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項11】
前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの前記臭素含有量は、少なくとも約60重量%であり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、請求項9に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項12】
前記臭素化アニオン性ポリスチレンは、約20,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、請求項11に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項13】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、前記ポリオ
レフィンは、ポリプロピレンである、請求項9に記載の繊維またはフィラメント。
【請求項14】
繊維またはフィラメントを生成するためのプロセスであって、
(a) 少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーと、
(b) 少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーであって、少なくとも約50重量%の臭素含有量、および約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと、
を、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、耐燃性または難燃性である量で存在し、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、前記繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、前記繊維またはフィラメントの約15重量%以下であるような割合で、溶融紡糸する工程を含む、プロセス。
【請求項15】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの約15重量%以下であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの少なくとも約5重量%であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの約10重量%以下である、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、前記ポリオレフィンは、ポリプロピレンである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーの前記臭素含有量は、少なくとも約60重量%であり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンである、請求項14に記載のプロセス。
【請求項18】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーは、ポリエステルであり、前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート/イソフタレート、またはポリトリメチレンテレフタレートであり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンであり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項19】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーは、ポリアミドであり、前記ポリアミドは、ナイロン−6(ポリカプロラクタム)、ナイロン−6,6、ナイロン−6,12、ナイロン−12(ポリラウリルラクタム)、または高温ナイロンであり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、臭素化アニオン性ポリスチレンであり、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、約20,000〜約30,000の範囲のGPC重量平均分子量、または
少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、請求項14に記載のプロセス。
【請求項20】
(a) 少なくとも1つのポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーであって、少なくとも約50重量%の臭素含有量、および約5000〜約40,000の範囲のGPC重量平均分子量、または少なくとも約600,000のGPC重量平均分子量を有する、ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーと、
(b) 少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーであって、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、耐燃性または難燃性である量で存在し、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの約15重量%以下である、繊維形成熱可塑性ポリマーと、
を含む、マスターバッチ。
【請求項21】
前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記マスターバッチの少なくとも約25重量%である、請求項20に記載のマスターバッチ。
【請求項22】
(b):(a)の重量比は、約30:60〜約90:10の範囲である、請求項20に記載のマスターバッチ。
【請求項23】
繊維またはフィラメントを生成するためのプロセスであって、
(a) 少なくとも1つの繊維形成熱可塑性ポリマーと、
(b) 請求項20の少なくとも1つのマスターバッチと、
を、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、耐燃性または難燃性である量で存在し、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、前記繊維またはフィラメントの少なくとも約2重量%であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、少なくとも1つの共力剤が存在し、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーが、前記繊維またはフィラメントの約15重量%以下であるような割合で、溶融紡糸する工程を含む、プロセス。
【請求項24】
前記熱可塑性繊維形成ポリマーと前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーとは、同時に混合および溶融される、請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリエステルである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの約15重量%以下であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリアミドである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの少なくとも約5重量%であり、前記繊維形成熱可塑性ポリマーがポリオレフィンである場合、前記ポリ臭素化アニオン性スチレンポリマーは、前記繊維またはフィラメントの約10重量%である、請求項23に記載のプロセス。

【公表番号】特表2011−502218(P2011−502218A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532236(P2010−532236)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/081735
【国際公開番号】WO2009/058966
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】