説明

難透過性医薬品活性成分のための改善された製剤

本発明は、難透過性医薬品活性成分および少なくとも1種の透過性改善物質を含有する製薬学的経口投与形態物(ここで、透過性改善物質は水溶性担体の水溶性マトリックスに熱安定的に埋め込まれる)、ならびにバイオアベイラビリティを改善するために使用することができる熱安定性製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難透過性医薬品活性成分のための製剤に、水溶性担体に埋め込まれた少なくとも1種の透過性改善物質を含有する熱安定性固形製剤に、そして改善されたバイオアベイラビリティを示すかもしくはバイオアベイラビリティを改善するために用いることができる熱安定性製剤に関する。
【0002】
本発明はまた、少なくとも1種の難透過性医薬品活性成分および乾燥工程と一緒に噴霧技術を用いることにより製薬学的に許容しうる担体のような水溶性担体の水溶性マトリックスに熱安定的に埋め込まれる少なくとも1種の透過性改善物質を含有する製薬学的経口投与形態物にも関する。
【背景技術】
【0003】
多数の医薬品活性成分(API)は、経口投与後に低いバイオアベイラビリティを示す。APIが難水溶性しかし優れた透過性を有する場合に経口バイオアベイラビリティを改善できる方法の文献において多数の例が示される。これらの化合物は、生物薬剤学分類システム(BCSシステム(非特許文献1))に従ってBCSクラスII化合物と呼ばれる。これと対照的に、BCSクラスIIIもしくはBCSクラスIV化合物と呼ばれることが多い難透過性医薬品活性成分の経口バイオアベイラビリティを改善するための技術を記述する文献は比較的まれである。特許文献は、例えば経皮薬剤送達系において、薬剤の非経口透過性を効果的に増加する透過促進剤の例が豊富である。経口投与した化合物のための例は明らかにより少ない。
【0004】
生物薬剤学分類システムによれば、BCSクラスIIIに属するAPIは優れた水溶性しかし生体膜に対する難透過性を有する。難透過性医薬品活性成分は、それらの物理化学的性質の制約のために経口および他の粘膜を通して吸収されにくいことが多い。難膜透過性と関連付けられているいくつかの物理化学的性質は、低いオクタノール/水分配(log P)、強く荷電した官能基の存在、高分子量、相当な数の水素結合官能基および高極性表面領域である。ある化合物について、腸上皮を通した透過は、腸細胞から腸管内腔に戻るそれらの能動輸送により妨げられる。関与する分泌輸送体には、P−糖タンパク質(Pgp)(ATP結合カセット(ABC)スーパーファミリーに属する)、多剤耐性関連タンパク質(MRP)のファミリーおよび場合により他のものが包含される。これらの分泌輸送体の基質および修飾剤について、分泌輸送体を阻害することは吸収方向における透過を増加することができる(非特許文献2)。医薬品活性成分は、腸吸収促進製剤から最も恩恵を受けることができる。
【0005】
難透過性の問題に対処するために、文献は粘膜接着性ポリマー、pH調整剤、透過促進剤および流出阻害剤のような多数の透過性改善物質を提示する。
【0006】
生体接着という用語は、2つの生物学的表面間で形成される任意の結合もしくは生物学的表面と合成表面間の結合をさす。粘膜(例えば胃腸管における)とポリマー間で結合が生じる場合、粘膜接着という用語は生体接着と同義的に用いられる(非特許文献3)。粘膜接着性ポリマーは胃腸滞留時間を延ばすために用いられ、従って、難透過性医薬品活性成分のより良い吸収をもたらす。
【0007】
透過促進剤は、隣接する上皮細胞間の密着結合を開くことによって(細胞間隙経路)もしくはリン脂質膜を流動化させて二重層を越える活性薬剤のより良い拡散を可能にすることによって(経細胞経路)粘膜関門を壊すことにより粘膜関門の透過性を増加しそして粘
膜関門を越える医薬品活性成分の拡散を容易にする(非特許文献4;非特許文献5)。
【0008】
流出阻害剤は、P−糖タンパク質(Pgp)、多剤耐性関連タンパク質(MRP)のファミリーおよび場合により他のもののような分泌輸送体によって腸細胞から腸管内腔に戻るそれらの能動輸送により妨げられる医薬品活性成分の透過性を高めることができる物質である。流出阻害剤はこれらの分泌輸送体の基質もしくは修飾剤であり、分泌輸送体を阻害するかもしくは修飾することにより吸収方向における透過を増加することができる。本発明の枠組みにおいて、流出阻害剤は透過性改善物質と見なされる。
【0009】
特許文献1は、吸収されにくい可能性がある治療薬のバイオアベイラビリティを高める組成物(この組成物は粘膜接着剤および吸収促進剤を含有し、そしてこれまでに既知である吸収促進組成物と比較した場合に驚くほど減少した毒性を有する)、そのような組成物を用いる粘膜への経口もしくは局所送達によって難吸収性治療薬のバイオアベイラビリティを改善する方法、および吸収促進剤と組み合わせて特定の粘膜接着剤を用いて、吸収促進剤(吸収されにくい治療薬のバイオアベイラビリティを改善するために用いられる)の細胞傷害効果を減らし、それによって粘膜へのより許容しうる送達を提供する方法を記述する。本発明の固形製剤を得るために、粘膜接着性ポリマーおよび吸収促進剤を残りの成分と混合する。例えば、本発明の実施例3は、高剪断造粒/混合をそのために適用したことを示す。該組成物は熱安定性と見なされない。
【0010】
特許文献2は、自由流動性粉末の形態において液状薬剤、薬剤溶液、および経口吸収促進剤溶液もしくは液状経口吸収促進剤を含んでなる即時放出型製薬学的組成物を記述する。液状製剤における活性薬剤の投与が不都合である場合に、本発明は粉末化溶液技術(powdered solution technology)を使用し、すなわち、液状薬剤を乾燥非接着性自由流動性圧縮性粉末にするために担体を使用する。本発明の粉末は、錠剤を製造する過程において、得られる錠剤重量が均一であるか、もしくはカプセルを充填する過程において、得られるカプセル重量が均一であるようにそれが加工特性を満たす場合に自由流動性とみなすことができる。薬剤含有液をV型ブレンダーにおいて粒状リン酸水素カルシウムもしくはメタケイ酸アルミン酸マグネシウムのいずれかとまたは組み合わせて混合して自由流動性乾燥粉末を生成せしめる。混合過程はまたプラネタリーミキサー、高剪断造粒機、流動床造粒機において、またはスパッター(spatter)を用いる単純混合もしくは当業者に既知である他の混合方法により実施することができる。次に、得られる粉末化溶液を充填剤、崩壊剤、流動促進剤および潤滑剤のような他の製薬学的加工助剤とさらに混合し、次に適切な工具を用いて輪転機上で錠剤に圧縮することができる。本発明の製剤技術は、熱安定性組成物をもたらさない。
【0011】
特許文献3は、GIT細胞内層でのDAC阻害剤の吸収を促進するために促進剤と組み合わせてDAC阻害剤を含んでなる製薬学的組成物、特に経口投与形態物を記述する。促進剤は、6〜20個の炭素原子の炭素鎖長を有する中鎖脂肪酸もしくはその誘導体である。ある態様において、固形経口投与形態物は遅延放出投与形態物のような制御放出投与形態物である。本発明の透過促進剤を含有するブレンドもしくは顆粒は、ケンウッドシェフミキサーもしくは高剪断ミキサー(Gral 10)のいずれかにおいて、単純混合工程により製造された。本発明の製剤技術は、熱安定性組成物をもたらさない。
【0012】
特許文献4は、薬剤の吸収の速度および/もしくは程度を改善する新規エマルジョン組成物を記述する。本特許におけるエマルジョン組成物には、固形投与形態物にさらに調合することができる固形粒子上に吸着させた薬剤含有エマルジョン、そのようなエマルジョン組成物を製造する方法およびそれらのその使用が包含される。エマルジョン組成物およびそれらの投与形態物は、いくつかの異なる機序の利用により低いバイオアベイラビリティを有することが既知であるかもしくは疑われる薬剤を包含する広範囲の薬剤の薬剤負荷
およびバイオアベイラビリティを改善する。本発明もまた、カオリン、ベントナイト、ヘクトライト、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシウム、二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムおよびタルクよりなる群から選択される固形粒子吸着剤上へのエマルジョン組成物の単純吸着による粉末化溶液技術を適用する。従って、得られる組成物は熱安定性ではない。
【0013】
特許文献5は、ナノサイズミセルを含んでなる熱安定性固形組成物を記述し、該ミセルは難溶性化学物質を含有する。
【0014】
先行技術は、特に液体もしくは半固体透過性改善物質を他の賦形剤と単に混合して自由流動性粉末を得るか、または液体もしくは半固体透過性改善物質を固形担体に吸着させる組成物を記述する。これは通常は高賦形剤量を必要とし、そして比較的少量の透過性改善物質もしくは比較的大きい経口固形投与形態物のいずれかをもたらす。得られる固形投与形態物もまた熱安定性ではなく、それは例えば液体もしくは半固体透過促進剤もしくは流出阻害剤が液状で存在する高温にこれらの固形投与形態物がさらされる場合に液体もしくは半固体透過促進剤もしくは流出阻害剤が吸着剤から漏出することを意味する。
【0015】
市販されている材料ならびに標準的な方法および装置を用いることにより製造することができる水溶性しかし難透過性の医薬品活性成分(BCS III化合物)のためのさらなるそして改善された製剤を提供することは本発明の目的である。これらの製剤は、悪い透過性を有する化合物として以下に定義される、通常のBCS III型化合物よりさらに低い透過性を有する医薬品活性成分に特に有用である。さらなる目的は、改善されたバイオアベイラビリティを同様に示す熱安定性製剤を提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開20050244502明細書
【特許文献2】米国特許第6,793,934号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開2007292512明細書
【特許文献4】米国特許第6,692,771号明細書
【特許文献5】国際特許出願公開WO 2008/046905明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】G.L.Amidon,H.Lennernas,V.P.Shah,and J.R.Crison.A theoretical basis for a biopharmaceutics drug classification:the correlation of in vitro drug product dissolution and in vivo bioavailability.Pharm.Res.12:413-420(1995)
【非特許文献2】B.J.Aungst,J.of Pharm.Sci.2000,89(4),429−44
【非特許文献3】D.E.Chickering,E.Mathiowitz,Definitions,Mechanisms,and Theories of Bioadhesion.In:E.Mathiowitz,D.E.Chickering,C.−M.Lehr(Eds).Bioadhesive drug delivery systems.Fundamentals,novel approaches,and development.Marcel Dekker Inc.,New York
【非特許文献4】B.J.Aungst,J.of Pharm.Sci.2000,89(4),429−44
【非特許文献5】J.Hochman et al.,“Mechanisms of absorption enhancement and tight junction regulation”,J.Control.Rel.29:253−267
【発明の概要】
【0018】
[発明の詳細な記述]
本発明は、難透過性医薬品活性成分のバイオアベイラビリティを改善するために用いることができる少なくとも1種の透過性改善物質を含有する組成物にそして水溶性しかし難透過性の医薬品活性成分および少なくとも1種の透過性改善物質を含有する製薬学的経口投与形態物に関する。好ましくは、透過性改善物質は粘膜接着性ポリマーでもpH調整剤でもない。透過性改善物質は、乾燥工程と一緒に噴霧技術を用いることにより、製薬学的に許容しうる担体のような水溶性担体の水溶性マトリックスに熱安定的に埋め込むことができる。
【0019】
界面活性剤もしくは油、例えば、ポリソルベート(Tween 20、40、60、80)、ポリグリコール化グリセリド(Labrasol)および植物油などのような液体もしくは半固体材料を固形投与形態物に、特に錠剤投与形態物に取り込むのが難しいことは既知である。液状難溶性薬剤から通常の固形投与形態物を製造するために、“「粉末化溶液」の製造がSpireas et al.(Spireas et al.,Powdered solution technology:principles and
mechanisms,Pharm.Res.1992,9(10),1351−1358)により提示された。「粉末化溶液」は、液状薬剤もしくは薬剤溶液を選択した担体と混合することにより製造された。この技術により得られる生成物は、薬剤/界面活性剤溶液および選択した担体の物理的混合物もしくはブレンドである。これらの種類の製剤の例はWO 2005/041929、WO 2006/113631およびWO 2006/135480に開示される。しかしながら、得られる粉末の典型的な欠点はその難流動性、特にその難熱安定性および難圧縮性である。
【0020】
本発明の枠組みにおいて、驚くべきことに、透過性改善物質もしくは透過性改善物質の混合物は乾燥技術と一緒に噴霧技術を用いることにより水溶性担体もしくは水溶性担体の混合物の水溶性マトリックスに埋め込むことができることが見出された。本発明によれば、透過性改善物質は、透過性改善物質の水溶液、または水性ミセル溶液もしくは水性ナノエマルジョン、または水性マイクロエマルジョンもしくは水性エマルジョンと一緒の製薬学的に許容しうる担体の水溶液の噴霧乾燥、噴霧コーティング、噴霧層化、噴霧造粒のように、乾燥技術と一緒に噴霧技術を用いることにより製薬学的に許容しうる担体のマトリックスに熱安定的に埋め込まれる。上記の組成物は医薬品活性成分を含有しないが、難透過性医薬品活性成分の透過性を改善するために用いることができる。
【0021】
上記の本発明の組成物は少なくとも10%の透過性改善物質または少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%もしくは少なくとも60%を含んでなり、そして75%もしくは80%までの透過性改善物質を含んでなることができる。
【0022】
透過性改善物質と水溶性ポリマーとの間の比率は、特定の透過性改善物質および特定の水溶性ポリマーにより、10:1、8:1、6:1、5:1、4:1、2:1、1:1もしくは0.5:1もしくは0.1:1または10:1〜8:1の間、8:1〜6:1の間、6:1〜5:1の間、5:1〜4:1の間、4:1〜2:1の間、2:1〜1:1の間、1:1〜0.5:1の間そして0.5:1〜0.1:1の間のような示される固定比率の間の全ての比率であることができる。
【0023】
本明細書において用いる場合、水溶性マトリックスという用語は、水溶性担体もしくは
水溶性担体の混合物のマトリックスを意味する。マトリックス形成材料は、水溶性マトリックスを製造するために用いられる少なくとも1種の水溶性担体として定義される。
【0024】
本発明の組成物における透過性改善物質および水溶性マトリックスの合計は、組成物における総乾燥材料の少なくとも80%w/w、もしくは少なくとも85%w/w、もしくは少なくとも90%w/w、もしくは少なくとも95%w/w、もしくは少なくとも99%w/wである。総乾燥材料という用語は、当該技術分野において一般に用いられるような総乾燥物質という用語と同じである。
【0025】
先行技術製剤において、大部分の透過性改善物質はまた界面活性剤特性も有するので、透過性改善物質として使用することができる化合物は界面活性剤として使用されることが多い。これらの先行技術製剤において、該化合物は医薬品活性成分の透過性を改善することを目的とせず、むしろそれらは湿潤剤、溶解促進剤もしくは可塑剤として働くことを目的とするのでそれらは本発明において使用する量よりかなり低い量で使用される。
【0026】
本発明の透過性改善物質には以下のもの:ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、植物油、綿実油、トウモロコシ油、ラッカセイ油、ゴマ油、鉱油、グリコフロール、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、グリセリルカプリレート/カプレート、オレイン酸、エトキシジグリコール、およびポロキサマーブロックコポリマー、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポロキサマーブロックコポリマー、PEG−35ヒマシ油、PEG−40水素化ヒマシ油、カプリロカプロイルマクロゴール−8グリセリド、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート、ポリエチレンラウリルエーテル、エトキシジグリコール、プロピレングリコールモノカプリレート、プロピレングリコールモノ−ジ−カプリレート、プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート、グリセリルモノカプリレート、グリセリルモノ−ジ−カプリレート、カプリロカプロイルマクロゴールグリセリド(PEGカプリル酸/カプリン酸グリセリドのような)、グリセリル脂肪酸(C〜C18)エトキシ化、オレイン酸、リノール酸、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノラウレート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、エトキシ化ノニルフェノール、PEG−(8−50)ステアレート、オリーブ油PEG−6エステル、トリオレインPEG−6エステル、レシチン、d−アルファトコフェリルポリエチレングリコール1,000スクシネートが包含されるがこれらに限定されるものではない。さらに、吸収をさらに改善するために経口吸収促進剤の組み合わせを用いることができる。
【0027】
本発明の好ましい透過性改善物質は:d−アルファトコフェリルポリエチレングリコール1,000スクシネート(Vit E TPGS)、PEG−32グリセリルラウレート(例えばGelucire(登録商標) 44/14)、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(例えばCaptex(登録商標) 8000)、グリセリルモノカプリレート(例えばCapmul(登録商標) MCM C8)、グリセリルモノ−ジ−カプリレート、ポリエトキシ化ヒマシ油(例えばCremophor(登録商標) EL)、ポリグリコール化グリセリドおよび12−ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエステル、中鎖トリグリセリド、カプリロカプロイルマクロゴール−8グリセリド、ポリオキシエチレン−20ソルビタンモノオレエート、マクロゴール−15ヒドロキシステアレート、プロピレングリコール−モノカプリレート(例えばCapryol(登録商標) 90もしくはCapryol(登録商標) PGMC)、プロピレングリコール−カプリルカプレート(例えばLabrafac(登録商標) PG)およびプロピレングリコール−モノラウレート(例えばLauroglycol(登録商標) 90もしくはLauroglycol(登録商標) FCC)である。
【0028】
本発明の枠組みにおいてさらにより好ましいのは、特定の透過性改善物質Labras
ol(登録商標)、Solutol(登録商標) HS 15、Capmul(登録商標) MCM C8、Captex(登録商標) 8000、ビタミンE TPGS、Gelucire(登録商標) 44/14、Cremophor(登録商標) EL、Tween(登録商標) 80、Miglyol(登録商標) 812、Capryol(登録商標) 90、Capryol(登録商標) PGMC、Labrafac(登録商標) PG、Lauroglycol(登録商標) 90およびLauroglycol(登録商標) FCCである。
【0029】
本発明の枠組みにおいて、熱安定性という用語は、主要透過性改善物質の融点を超えて加熱した場合に組成物が自由流動性の安定な粉末のままであることを意味する。粉末として製造される場合、熱安定性組成物は主要透過性改善物質の融点を5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃もしくは40℃上回って加熱した場合に自由流動性の安定な粉末のままである。例えば、ビタミンE TPGS(d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)は36℃の融点を有する(参考文献:Eastman,Material Safety Data Sheet of Vit E TPGS NF Grade)。ビタミンE TPGSが本発明の組成物の主要成分である場合、36℃をはるかに上回る温度、例えば80℃にさらされるとこの組成物は少なくとも部分的な融解を示すと当業者は推測する。しかしながら、ビタミンE TPGSが本発明に透過性改善物質として使用される(これは36℃を上回る融点を有する水溶性マトリックス材料にビタミンE TPGSが埋め込まれることを意味する)場合、得られる粉末は粉末形態および流動性において大きな変化を示さない。それは透過性改善物 質の融点を20〜40℃上回る温度にさらされた場合でさえ安定な自由流動性粉末のままである。
【0030】
本発明の水溶性担体に埋め込まれた透過性改善物質を含んでなる熱安定性組成物は、該難透過性医薬品活性成分を含んでなる粉末、顆粒、ペレットもしくはミクロスフェアと該熱安定性組成物を混合することによりあるいは該難透過性医薬品活性成分を含んでなる錠剤コアまたは顆粒、ペレットもしくはミクロスフェア上に該熱安定性組成物を含んでなるコーティングを施すことにより難透過性医薬品活性成分のバイオアベイラビリティを改善するために用いることができる。熱安定性組成物はそれ自体粉末であることができるが、顆粒、ペレット、錠剤もしくはミクロスフェアに調合することもできる。
【0031】
従って、本発明は、また、少なくとも2つの異なる相を含んでなる製薬学的組成物にも関し、ここで、第一相a)は粉末、顆粒、ペレット、ミクロスフェアもしくは錠剤に処方された医薬品活性成分を含んでなり;そして第二相b)は上記のような熱安定性固形組成物を含んでなり、そしてここで、該医薬品活性成分は悪い透過性を有する水溶性物質である。
【0032】
本発明の枠組みにおいて、水溶性物質は、少なくとも1グラムの物質が10〜30グラムの水に、もしくは1〜10グラムの水にもしくは1グラム未満の水に可溶性であることを意味する(欧州薬局方6.3の定義によればそれぞれ可溶性、溶けやすいそして極めて溶けやすい)。
【0033】
文献(Rautio et al.,Nature Reviews Drug Discovery 2008,,255−70)によれば低もしくは難透過性化合物(BCSクラスIII)は、Caco−2細胞系において試験した場合に5x10−6cm/secに等しいかもしくはそれより低い透過性を有する。従って、本発明の枠組みにおいて、難透過性はXin He et al.(Int.J.of Pharmaceutics 2003,263,35−44)に従ってCaco−2細胞系において試験した場合に5x10−6cm/secに等しいかもしくはそれより低い透過性を意味する。
【0034】
本発明の枠組みにおいて、悪い透過性はXin He et al.に従ってCaco−2細胞系において試験した場合に0.5x10−6cm/secに等しいかもしくはそれより低い、好ましくは0.2x10−6cm/secに等しいかもしくはそれより低い、または1x10−7cm/secに等しいかもしくはそれより低い透過性および透過性改善物質を使用せずに処方された場合に20%より低い、さらに15%より低いそしてさらに10%より低いヒトにおける絶対的経口バイオアベイラビリティを意味する。
【0035】
本発明に従って加工される難透過性医薬品活性成分は、液体、半固体、固体非晶質もしくは固体結晶であることができる。
【0036】
本発明に従って加工される難透過性化合物は好ましくは製薬学的に活性の薬剤であり、そして鎮痛剤、抗不整脈薬、抗喘息薬、抗生物質製剤、抗蠕虫薬、抗炎症薬、抗ウイルス薬、抗凝固薬、抗鬱薬、抗糖尿病薬、抗癲癇薬、抗勃起機能不全薬、抗真菌剤、抗痛風薬、抗高血圧薬、抗マラリア薬、抗片頭痛薬、抗ムスカリン様作用薬、抗新生物薬、抗肥満薬、抗パーキンソン病薬、抗原虫薬、抗甲状腺薬、鎮咳薬、抗不安薬、ベータ遮断薬、睡眠薬、免疫抑制剤、神経弛緩薬、カンナビノイド受容体アゴニストおよびアンタゴニスト、強心薬、細胞接着阻害剤、コルチコステロイド、サイトカイン受容体活性モジュレーター、利尿薬、胃腸薬、ヒスタミンH受容体アンタゴニスト、角質溶解薬、脂質調節剤、筋弛緩剤、硝酸塩および他の抗狭心症薬、非ステロイド性抗喘息薬、オピオイド鎮痛薬、鎮静剤、性ホルモンならびに興奮剤から選択することができる。
【0037】
難溶性化合物の好ましい種類は、難溶性(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸、4−[2−[[[(2S)−1−[(4’−フルオロ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)スルホニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−イル]カルボニル]アミノ]エトキシ]安息香酸、4−[[[[(2S)−2,3−ジヒドロ−1−[[2’,4’−ジフルオロ[1,1’−ビフェニル]−4−イル]スルホニル]−1H−インドール−2−イル]カルボニル]アミノ]メチル]ベンゼン酢酸などである。
【0038】
本発明の水溶性担体は、製薬学的に許容しうるべきである。製薬学的に許容しうる担体は、好ましくは
−メチルセルロースのようなアルキルセルロース;
−ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシブチルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース;
−ヒドロキシエチルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなヒドロキシアルキルアルキルセルロース;
−カルボキシメチルセルロースのようなカルボキシアルキルセルロース;
−カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなカルボキシアルキルセルロースのアルカリ金属塩;
−カルボキシメチルエチルセルロースのようなカルボキシアルキルアルキルセルロース;−カルボキシアルキルセルロースエステル;
−澱粉;
−カルボキシメチルアミロペクチンナトリウムのようなペクチン;
−キトサンのようなキチン誘導体;
−アルギン酸、そのアルカリ金属およびアンモニウム塩のような多糖;
−カラギーナン、ガラクトマンナン、トラガカント、寒天−寒天、アラビアゴム、グアルゴムおよびキサンタンゴム;
−ポリアクリル酸およびその塩;
−ポリメタクリル酸およびその塩、メタクリレートコポリマー;
−ポリビニルアルコール;
−ポリビニルピロリドン、酢酸ビニルとポリビニルピロリドンのコポリマー;ならびに
−ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのようなポリアルキレンオキシドならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドのコポリマー
から選択されるべきである。
【0039】
水溶性担体は通常は室温で水溶性であるが、より高温で水と接触させた場合に分散液を形成することがあり、そして温度を室温まで下げると完全に溶解する。従って、水溶性担体を含有する混合物をさす場合、この混合物は分散液もしくは溶液であることができる。
【0040】
製薬学的に許容しうるそして上記に定義した通りの適切な物理化学的性質を有する列挙されないポリマーは、製薬学的組成物のための本発明における担体として同様に適している。
【0041】
好ましい水溶性ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。該HPMCは、それを水溶性にするために十分なヒドロキシプロピルおよびメトキシ基を含有する。約0.8〜約2.5のメトキシ置換度および約0.05〜約3.0のヒドロキシプロピルモル置換を有するHPM(HPM’s)は、一般に水溶性である。メトキシ置換度は、セルロース分子の無水グルコース単位当たり存在するメチルエーテル基の平均数をさす。ヒドロキシ−プロピルモル置換は、セルロース分子の各無水グルコース単位と反応しているプロピレンオキシドの平均モル数をさす。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、ヒプロメロースの米国一般名である。
【0042】
本発明の組成物は、1種もしくはそれ以上の他の補助材料を含むことができる。製薬学的組成物の場合、これらの補助材料は香料、着色剤、結合剤、充填剤、充填剤−結合剤、潤滑剤、崩壊助剤および/もしくは他の製薬学的に許容しうる添加剤のような製薬学的に許容しうる添加剤であるべきである。本発明の枠組みにおいて、補助材料は相当量の揮発性有機溶媒を含まない。揮発性有機溶媒は、25℃で0.50mmHgより高い蒸気圧を有する有機溶媒として定義される。相当量は、1%w/wより多い量である。好ましくは、補助材料は0.5%未満の揮発性有機溶媒、より好ましくは0.3%未満、より好ましくは0.1%未満、そして最も好ましくは0.01%w/w未満を含有する。
【0043】
製造
本発明のマトリックス組成物の製造は、透過促進物質の水溶液、水性ミセル溶液、水性エマルジョン、水性マイクロエマルジョンもしくは水性ナノエマルジョンの製造、続いて製薬学的に許容しうる担体のような担体の水溶性マトリックスにミセル、エマルジョン、マイクロエマルジョンもしくはナノエマルジョンを埋め込むための乾燥工程を含む。
【0044】
第一の態様において、本発明は
a)水に少なくとも1種の透過性改善物質を溶解するかもしくは分散させて混合物を生成せしめること;
b)a)において得られる混合物に水溶性マトリックス形成材料を溶解するか、もしくはa)において得られる混合物に水溶性マトリックス形成材料の水溶液を加えること;
c)場合によりa)もしくはb)において得られる混合物に1種もしくはそれ以上の追加の補助材料を加えること;および
d)b)もしくはc)において得られる混合物を乾燥させること
を含んでなる上記のような固形熱安定性製薬学的組成物の製造方法に関する。
【0045】
さらなる態様において、本発明は以下の工程:
a)水に水溶性マトリックス形成材料を溶解するかもしくは分散させて溶液を生成せしめる工程;
b)a)において得られる溶液に少なくとも1種の透過性改善物質を溶解するかもしくは分散させるか、またはa)において得られる溶液に少なくとも1種の透過性改善物質の水溶液もしくは水分散液を加える工程;
c)場合によりa)もしくはb)において得られる混合物に1種もしくはそれ以上の追加の補助材料を加える工程;および
d)b)もしくはc)において得られる混合物を乾燥させる工程
を含んでなる上記のような固形熱安定性製薬学的組成物の製造方法に関する。
【0046】
上記に示した方法によって得られる熱安定性組成物は、粉末、顆粒、ペレットもしくはミクロスフェアに別個に処方することができる医薬品活性成分との混合物の形態において最終投薬量にさらに加工することができる。
【0047】
さらなる態様において、本発明は以下の工程:
a)水に水溶性マトリックス形成材料を溶解するかもしくは分散させて混合物を生成せしめる工程;
b)a)において得られる溶液に少なくとも1種の透過性改善物質を溶解するかもしくは分散させるか、またはa)において得られる混合物に少なくとも1種の透過性改善物質の水溶液もしくは水分散液を加える工程;
c)場合によりa)もしくはb)において得られる混合物に1種もしくはそれ以上の追加の補助材料を加える工程;および
d)難透過性APIの薬剤粒子上に、または難透過性APIを含有する錠剤、ペレット、顆粒もしくはカプセル上に熱安定性コーティング層の形態においてb)もしくはc)で得られる混合物を噴霧する工程
を含んでなる、上記のような悪い透過性を有する水溶性医薬品活性成分を含んでなる固形製薬学的組成物の製造方法に関する。
【0048】
さらなる態様において、本発明は以下の工程:
a)水に少なくとも1種の透過性改善物質を溶解するかもしくは分散させて混合物を生成せしめる工程;
b)a)において得られる混合物に水溶性マトリックス形成材料を溶解するか、もしくはa)において得られる混合物に水溶性マトリックス形成材料の水溶液を加える工程;
c)場合によりa)もしくはb)において得られる混合物に1種もしくはそれ以上の追加の補助材料を加える工程;および
d)難透過性APIの薬剤粒子上に、または難透過性APIを含有する錠剤、ペレット、顆粒もしくはカプセル上に熱安定性コーティング層の形態においてb)もしくはc)で得られる混合物を噴霧する工程
を含んでなる、上記のような悪い透過性を有する水溶性医薬品活性成分を含んでなる固形製薬学的組成物の製造方法に関する。
【0049】
単一の乾燥工程においてAPI、透過促進剤および水溶性担体を含んでなる生成物を製造するために上記の方法に匹敵する方法もまた用いることができる。従って、さらなる態様において、本発明は、また、悪い透過性を有する水溶性医薬品活性成分を含んでなる製薬学的組成物の製造方法に関し、該方法は、該医薬品活性成分を別個に溶解しそして全混合物を乾燥させる前に:
i)水溶性マトリックス形成材料の水溶液;または
ii)少なくとも1種の透過性改善物質の水溶液もしくは水分散液;または
iii)1種もしくはそれ以上の追加の補助材料
と混合するか;
あるいは、該医薬品活性成分を上記に定義した溶液i)もしくは混合物ii)に、または1種もしくはそれ以上の追加の補助材料の溶液に溶解し;そして得られる水性混合物を乾燥させる、
上記のような熱安定性製薬学的組成物を製造するための工程を含んでなる。
【0050】
上記の方法の1つを適用することにより形成される最終製剤は物理的に安定であり、そして主要透過性改善物質の融点を超えて加熱した場合にそしてマトリックス形成材料と透過性改善物質の間の比率が50%より低い、さらに30%より低い、さらに20%より低いもしくはさらに10%の場合のような非常に低い場合でさえ安定なままである。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】埋め込まれた透過性改善物質のコーティング層を有する錠剤
【図2】埋め込まれた透過性改善物質のコーティング層を有するペレット
【0052】
以下の実施例は、本発明をさらにより詳細に説明するだけのものであり、従って、本明細書において提供されるこれらの実施例は決して本発明の範囲を限定すると見なされない。
【実施例1】
【0053】
P−gp阻害製剤系の製造(透過性改善物質はLabrasol(ポリグリコール化グリセリド)である)
カプセル当たりの製剤:
API:難透過性医薬品活性成分:
(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸
150.0mg
【0054】
さらなる成分:
リン酸二水素ナトリウム: 17.0mgリン酸水素二ナトリウム: 61.5mgCarbopol(登録商標) 971P(2−プロペン酸のポリマー):12.5mg水酸化ナトリウム: 6.0mgLabrasol(登録商標)(ポリグリコール化グリセリド): 50.0mgHPMC E6: 50.0mg水
【0055】
リン酸二水素ナトリウムおよびリン酸水素二ナトリウムを水に溶解して7.5のpHを得た。Carbopol(登録商標) 971Pをバッファー溶液に加え、そして溶解した。水酸化ナトリウム2M溶液を加え、pHを6.0より上に保ちながら、(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソ−ブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸をバッファー/Carbopol(登録商標) 971P溶液に溶解した。この最終溶液を60時間凍結乾燥させた(T=−80℃,p=0.002mbar)。0.8トン(8000psi)の圧力で1秒間5.5mmの直径を有するダイ(die)を用いて、粉末をプラグに圧縮した。プラグを取り出し、そして小顆粒に粉砕した。カプセルサイズ2に顆粒を詰め、そして閉じた。
【0056】
水を約65℃の温度まで加熱することによりHPMC E6の10%m/mの溶液を調
製した。加熱した水にHPMC E6を加え、そして均質な懸濁液が形成されるまで撹拌した。懸濁液を冷却したままにし、そしてHPMC E6(10%m/m)の清澄水溶液をもたらした。
【0057】
Labrasol(登録商標)を水性HPMC E6溶液に分散させ、そして噴霧乾燥させて(入口温度=145℃、出口温度=88℃)Labrasol(登録商標)がHPMC E6マトリックスに熱安定的に埋め込まれている粉末を得た。(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸およびCarbopol(登録商標) 971Pを含有する顆粒を含むサイズ2カプセルをカプセルサイズ00に詰め、さらに、熱安定的に埋め込まれたLabrasol(登録商標)を含有する粉末をこの外側カプセルに加えた。
【実施例2】
【0058】
P−gp阻害製剤系の製造(透過性改善物質はTween 80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)である)
バッチ当たりの製剤:
成分:
Tween(登録商標) 80: 45gHPMC E6: 45g水: 405ml
【0059】
約65℃の温度に加熱しながらTween(登録商標) 80を水に溶解した。加熱した溶液にHPMC E6を加え、そして均質な分散液が形成されるまで撹拌した。
【0060】
分散液を冷却したままにし、そして噴霧乾燥させて(入口温度=145℃、出口温度=90℃)Tween(登録商標) 80がHPMC E6マトリックスに熱安定的に埋め込まれている粉末を得た。
【0061】
得られた粉末を通常の賦形剤および少なくとも1つの難透過性医薬品活性成分と混合してP−gp阻害能力を有する最終経口投与形態物を得ることができる。
【実施例3】
【0062】
P−gp阻害製剤系の製造(透過性改善物質はTPGS(d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)である)
錠剤当たりの製剤:
API:難透過性医薬品活性成分:
(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸
300.0mg
【0063】
さらなる成分:
TPGS: 12.5mgHPMC E6: 12.5mg微晶質セルロース: 102.6mgPrimojel(登録商標)(グリコール酸澱粉ナトリウム): 102.6mgAerosil(登録商標) 200V(非晶質無水コロイド状二酸化ケイ素):
2.6mg
PRUV(登録商標)(ステアリルフマル酸ナトリウム): 5.1mg水
【0064】
約65℃の温度まで加熱しながらTPGSを水に分散させた。加熱した溶液にHPMC
E6を加え、そして均質な懸濁液が形成されるまで撹拌した。懸濁液を冷却したままにし、そして均質な分散液が得られた。
【0065】
(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を微晶質セルロース、Primojel(登録商標)、Aerosil(登録商標)およびPRUV(登録商標)と一緒に混合した。
【0066】
(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を含有する粉末混合物を用いて錠剤を圧縮した。
【0067】
TPGSおよびHPMC E6の得られた分散液を約60℃まで加熱し、そして(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を含有するコア錠剤上にコーティング層の形態において噴霧し、TPGSが熱安定性でありそしてHPMC E6マトリックスに埋め込まれているコーティングをもたらした。
【実施例4】
【0068】
P−gp阻害製剤系の製造(透過性改善物質はSolutol(登録商標) HS 15(12−ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエステル)である)
バッチ当たりの製剤:
成分:
Solutol(登録商標) HS 15: 45gHPMC E6: 45g水: 810ml
【0069】
Solutol(登録商標) HS 15を水に溶解することによりSolutol(登録商標) HS 15の10%m/mの溶液を調製した。
【0070】
約65℃の温度まで水を加熱することによりHPMC E6の10%m/mの溶液を調製した。加熱した水にHPMC E6を加え、そして均質な懸濁液が形成されるまで撹拌した。懸濁液を冷却したままにし、そしてHPMC E6(10%m/m)の清澄水溶液をもたらした。
【0071】
両方の溶液を一緒に混合し、そして噴霧乾燥させて(入口温度=145℃、出口温度=90℃)Solutol(登録商標) HS 15がHPMC E6マトリックスに熱安定的に埋め込まれている粉末を得た。
【0072】
得られた粉末を通常の賦形剤および少なくとも1つの難透過性医薬品活性成分と混合してP−gp阻害能力を有する最終経口投与形態物を得た。
【実施例5】
【0073】
P−gp阻害製剤系の製造(透過性改善物質はGelucire(登録商標) 44/14(PEG−32グリセリルラウレート)である)
バッチ当たりの製剤:
成分:
Gelucire(登録商標) 44/14: 45gHPMC E6: 45g水: 405ml
【0074】
約65℃の温度まで水を加熱することによりHPMC E6の10%m/mの溶液を調製した。加熱した水にHPMC E6を加え、そして均質な懸濁液が形成されるまで撹拌した。懸濁液を冷却したままにし、そしてHPMC E6(10%m/m)の清澄水溶液をもたらした。
【0075】
得られたHPMC E6溶液を約65℃まで加熱し、そしてこの水溶液にGelucire(登録商標) 44/14を分散させた。分散液を冷却したままにし、そして噴霧乾燥させて(入口温度=145℃、出口温度=90℃)Gelucire(登録商標) 44/14が熱安定性でありそしてHPMC E6マトリックスに埋め込まれた粉末を得た。
【0076】
得られた粉末を通常の賦形剤および少なくとも1つの難透過性医薬品活性成分と混合してP−gp阻害能力を有する最終経口投与形態物を得た。
【実施例6】
【0077】
P−gp阻害製剤系の製造(透過性改善物質はTPGS(d−アルファ−トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)である)
錠剤当たりの製剤:
API:難透過性医薬品活性成分:
(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸
300.0mg
【0078】
さらなる成分:
TGPS: 12.5mgHPMC E6: 12.5mg微晶質セルロース: 102.6mgPrimojel(登録商標)(グリコール酸澱粉ナトリウム): 102.6mgAerosil(登録商標) 200V(非晶質無水コロイド状二酸化ケイ素):
2.6mgPRUV(登録商標)(ステアリルフマル酸ナトリウム): 5.1mg水
【0079】
水を約65℃の温度まで加熱することによりHPMC E6の10%m/mの溶液を調製した。加熱した水にHPMC E6を加え、そして均質な懸濁液が形成されるまで撹拌した。懸濁液を冷却したままにし、そしてHPMC E6(10%m/m)の清澄水溶液をもたらした。
【0080】
得られたHPMC E6溶液を約65℃まで加熱し、そしてこの水溶液にTPGSを分散させた。分散液を冷却したままにした。
【0081】
(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を微晶質セルロース、Primojel(登録商標)、Aerosil(登録商標)およびPRUV(登録商標)と一緒に混合した。(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を含有する粉末混合物を用いて錠剤を圧縮した。
【0082】
TPGSおよびHPMC E6の得られた分散液を約60℃まで加熱し、そして噴霧して(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]−カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を含有するコア錠剤上にコーティング層を生成せしめ、TPGSがHPMC E6マトリックスに熱安定的に埋め込まれているコーティングをもたらした。
【実施例7】
【0083】
P−gp阻害製剤系の製造(透過性改善物質はLabrasol(登録商標)(ポリグリコール化グリセリド)である)
錠剤当たりの製剤:
API:難透過性医薬品活性成分:
(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸
300.0mg
【0084】
さらなる成分:
Labrasol(登録商標): 12.5mgHPMC E6: 12.5mg微晶質セルロース: 102.6mgPrimojel(登録商標)(グリコール酸澱粉ナトリウム): 102.6mgAerosil(登録商標) 200V(非晶質無水コロイド状二酸化ケイ素):
2.6mgPRUV(登録商標)(ステアリルフマル酸ナトリウム): 5.1mg水
【0085】
水にLabrasol(登録商標)を分散させることによりLabrasol(登録商標)の10%m/mの分散液を調製した。約65℃の温度まで水を加熱することによりHPMC E6の10%m/mの溶液を調製した。加熱した水にHPMC E6を加え、そして均質な懸濁液が形成されるまで撹拌した。懸濁液を冷却したままにし、そしてHPMC E6(10%m/m)の清澄水溶液をもたらした。両方の溶液を一緒に混合した。
【0086】
(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を微晶質セルロース、Primojel(登録商標)、Aerosil(登録商標)およびPRUV(登録商標)と一緒に混合した。(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−
オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を含有する粉末混合物を用いて錠剤を圧縮した。
【0087】
Labrasol(登録商標)およびHPMC E6の得られた分散液を噴霧して(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸を含有するコア錠剤上にコーティング層を生成せしめ、それはLabrasol(登録商標)がHPMC E6マトリックスに熱安定的に埋め込まれたコーティングをもたらした。
【実施例8】
【0088】
医薬品活性成分を透過性改善物質と一緒に噴霧乾燥させる製剤の製造
API:難透過性医薬品活性成分:(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]−アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸
【0089】
工程1)様々な透過性改善物質を含有する混合物の製造
約50gのカプリル酸ナトリウムをガラスプラズマフラスコ(plasma flacon)(250ml)に秤量し、そして約150gのカプリル酸に溶解した(部分A)。約90gのCapmul MCM C8をガラスプラズマ瓶(500ml)に秤量し、そして約180gのCaptex 8000を加え、そして均質化した(部分B)。約200gの溶液Aを溶液Bに加え、そして均質化した。従って、得られる混合物はマイクロエマルジョン系の形態において様々な透過性改善物質を含有した。
【0090】
工程2)医薬品活性成分および様々な透過性改善物質を含有する熱安定性粉末製剤の製造
100gのHPMC E50LVを約70℃で1487gの精製水に溶解することにより2.2%m/m HPMC E50LV溶液を準備した。リン酸水素ナトリウム.2HO(7.6832g)、リン酸二水素ナトリウム.HO(1.0513g)および水酸化ナトリウム(0.5980g)をこの溶液に加えた。100gのAPIをこの溶液に溶解し、そして約68℃の追加量の精製水(1327g)を加え、そして連続撹拌下で室温まで冷却した。様々な透過性改善物質を含有する100gの混合物(工程1において製造した)をこのHPMC E50LV溶液に加えることにより噴霧溶液を調製し、そして均質化した。
【0091】
Buechi B−191ミニ噴霧乾燥機を用いて、この溶液を噴霧した:
in: 140℃
out: 80℃
吸引器: 90%
流量: 600L/h
ノズル: 0.7mm
適用率: 25%
ΔPフィルター: ±−20mbar
得られる熱安定性粉末は、医薬品活性成分および様々な透過性改善物質を含有した。
【0092】
工程3)錠剤への圧縮
工程2において製造した粉末を錠剤にさらに加工した。従って、工程2において製造した約465mgの粉末を143mgの微晶質セルロースPH200、143mgのPrimojelと一緒に秤量することによりブレンドを作り、そして混合した。液圧プレスを
用いて錠剤を圧縮した:
P: 200bar
t: 〜2s
径: 19x8.4mm楕円形、両凹
質量: 750mg

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶性マトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の透過性改善物質を含んでり、ここで該透過性改善物質もしくは透過性改善物質の混合物および該水溶性マトリックスの量の合計が組成物における総乾燥材料の少なくとも80%w/wであり、ただし、熱安定性固形組成物が医薬品活性成分を含有しない熱安定性固形組成物。
【請求項2】
少なくとも1種の透過性改善物質がd−アルファトコフェリルポリエチレングリコール1,000スクシネート(Vit E TPGS)、PEG−32グリセリルラウレート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、グリセリルモノカプリレート、グリセリルモノ−ジ−カプリレート、ポリエトキシ化ヒマシ油、ポリグリコール化グリセリドおよび12−ヒドロキシステアリン酸のポリオキシエチレンエステル、中鎖トリグリセリド、カプリロカプロイルマクロゴール−8グリセリド、ポリオキシエチレン−20ソルビタンモノオレエート、マクロゴール−15ヒドロキシステアレート、プロピレングリコール−モノカプリレート、プロピレングリコール−カプリルカプレート、ならびにプロピレングリコール−モノラウレートから選択される請求項1に記載の熱安定性固形組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の透過性改善物質がLabrasol(登録商標)、Solutol(登録商標) HS 15、Capmul(登録商標) MCM C8、Captex(登録商標) 8000、ビタミンE TPGS、Gelucire(登録商標) 44/14、Cremophor(登録商標) EL、Tween(登録商標) 80、Miglyol(登録商標) 812、Capryol(登録商標) 90、Capryol(登録商標) PGMC、Labrafac(登録商標) PG、Lauroglycol(登録商標) 90もしくはLauroglycol(登録商標) FCCである請求項2に記載の熱安定性固形組成物。
【請求項4】
第一相a)が粉末、顆粒、ペレット、ミクロスフェアもしくは錠剤に処方された医薬品活性成分を含んでなり、そして第二相b)が請求項1〜3のいずれかに記載の熱安定性固形組成物を含んでなり、該医薬品活性成分が難透過性水溶性物質(BCS III化合物)である、少なくとも2つの相を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項5】
少なくとも2つの相を混合し、そしてカプセルに充填する請求項4に記載の製薬学的組成物。
【請求項6】
第二相が第一相上にコーティングとして施される請求項4に記載の製薬学的組成物。
【請求項7】
医薬品活性成分が悪い透過性を有する請求項4〜6のいずれかに記載の製薬学的組成物。
【請求項8】
a)少なくとも1種の透過性改善物質を水に溶解するかもしくは分散させて混合物を生成せしめること;
b)a)において得られる混合物に水溶性マトリックス形成材料を溶解するか、もしくはa)において得られる混合物に水溶性マトリックス形成材料の水溶液を加えること;
c)場合によりa)もしくはb)において得られる混合物に1種もしくはそれ以上の補助材料を加えること;および
d)b)もしくはc)において得られる混合物を乾燥させること
を含んでなる、水溶性マトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の透過性改善物質を含んでなり、ここで、該透過性改善物質もしくは透過性改善物質の混合物および該水溶性マトリックスの量の合計が組成物の総乾燥材料の少なくとも80%w/wである熱安定性固形組成物の製造方法。
【請求項9】
a)水溶性マトリックス形成材料を水に溶解するかもしくは分散させて混合物を生成せしめること;
b)a)において得られる混合物に少なくとも1種の透過性改善物質を溶解するかもしくは分散させるか、またはa)において得られる混合物に少なくとも1種の透過性改善物質の水溶液もしくは水分散液を加えること;
c)場合によりa)もしくはb)において得られる混合物に1種もしくはそれ以上の補助材料を加えること;および
d)b)もしくはc)において得られる混合物を乾燥させること
を含んでなる、水溶性マトリックスに埋め込まれた少なくとも1種の透過性改善物質を含んでなり、ここで、該透過性改善物質もしくは透過性改善物質の混合物および該水溶性マトリックスの量の合計が組成物の総乾燥材料の少なくとも80%w/wである熱安定性固形組成物を製造する方法。
【請求項10】
請求項8〜9の工程を含んでなり、ここで水溶性医薬品活性成分を別個に溶解し、そして全混合物を乾燥させる前に:
i)水溶性マトリックス形成材料の水溶液;または
ii)少なくとも1種の透過性改善物質の水溶液もしくは水分散液;または
iii)1種もしくはそれ以上の補助材料
と混合するか;
あるいは、該医薬品活性成分を上記に定義した溶液i)もしくは混合物ii)にまたは1種もしくはそれ以上の追加の補助材料の溶液に溶解し;そして得られる水性混合物を乾燥させ;そして水溶性マトリックス形成材料および少なくとも1種の透過性改善物質の合計が医薬品活性成分を除いて乾燥材料の少なくとも80%w/wである、悪い透過性を有する水溶性医薬品活性成分を含んでなる製薬学的組成物の製造方法。
【請求項11】
乾燥させることが噴霧乾燥、噴霧コーティング、噴霧層化、噴霧造粒、凍結乾燥および噴霧凍結乾燥から選択される請求項8〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
粉末、顆粒、ペレットもしくはミクロスフェアに処方された医薬品活性成分を請求項1〜3のいずれかに記載の熱安定性固形組成物と混合することを含んでなる請求項4に記載の製薬学的組成物の製造方法。
【請求項13】
顆粒、ペレット、ミクロスフェアとしてもしくは錠剤として処方された医薬品活性成分上に請求項1〜3に記載の熱安定性固形組成物の水溶液を噴霧することを含んでなる請求項4に記載の製薬学的組成物の製造方法。
【請求項14】
a)請求項1〜3のいずれかに記載の熱安定性固形組成物を粉末、顆粒、ペレットもしくはミクロスフェアとして処方された医薬品活性成分と混合すること;または
b)顆粒、ペレット、ミクロスフェアとしてもしくは錠剤として処方された医薬品活性成分上に請求項1〜3のいずれかに記載の熱安定性固形組成物を噴霧すること
を含んでなる医薬品活性成分のバイオアベイラビリティの改善方法。
【請求項15】
該水溶性医薬品活性成分が(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]-アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸および4−[2−[[[(2S)−1−[(4’−フルオロ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)スルホニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−イル]カルボニル]アミノ]エトキシ]安息香酸および4−[[[[(2S)−2,3−ジヒドロ−1−[[2’,4’−ジフルオロ[1,1’−ビフェニル]−
4−イル]スルホニル]−1H−インドール−2−イル]カルボニル]アミノ]メチル]ベンゼン酢酸から選択される、請求項7〜12のいずれかに記載の方法に従って製造される、悪い透過性を有する水溶性医薬品活性成分を含んでなる生成物。
【請求項16】
該医薬品活性成分が(3S)−3−[[[1−[2−(2S)−カルボキシ−4−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メチルアミノ]−4−オキソブチル]シクロペンチル]カルボニル]アミノ]−2,3,4,5−テトラヒドロ−2−オキソ−1H−1−ベンズアゼピン−1−酢酸および4−[2−[[[(2S)−1−[(4’−フルオロ[1,1’−ビフェニル]−4−イル)スルホニル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−2−イル]カルボニル]アミノ]エトキシ]安息香酸および4−[[[[(2S)−2,3−ジヒドロ−1−[[2’,4’−ジフルオロ[1,1’−ビフェニル]−4−イル]スルホニル]−1H−インドール−2−イル]カルボニル]アミノ]メチル]ベンゼン酢酸から選択される請求項4〜7のいずれかに記載の製薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−518208(P2011−518208A)
【公表日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−505485(P2011−505485)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054720
【国際公開番号】WO2009/130204
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(510279240)アボツト・プロダクツ・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (1)
【Fターム(参考)】