説明

電力制御システム

【課題】マンションなどの集合住宅において、郵便物や宅配物の物品収受、電気自動車の充電、あるいはさらに電気自動車とその充電器を受給電要素として含む電力網の電力供給を最適に制御することができるようにする。
【解決手段】集合住宅に配置された発電手段801、蓄電池701、商用交流電源および電力負荷を含む受給電要素から成る電力網が配置され、宅配荷物または郵便物の集受に用いられる複数の物品収納ボックスを含む物品収受装置100と、住民IDを記録した認証手段による認証に基づき物品収受装置の扉の開閉を制御する物品収受装置の制御部200を含み、該制御部が前記認証手段、および前記住民IDに関連して構築されたデータベースを用いて物品収受装置の物品収受を管理するとともに、前記データベースを用いて前記電力網の受給電要素間の受給電を制御する受給電制御手段としても動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力制御システム、特に発電設備、蓄電池、商用交流電源、コンバータ、受給電制御部などの要素を組み合わせて成る電力制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートハウス、ないしはマイクログリッド、あるいはスマートグリッド、スマート電力制御、のような用語が多々用いられるようになってきた。これらの用語の意味するところは必ずしも正確ではないが、この種の用語により言及される電力制御システムは、個人住宅、マンションのような小規模サイト、あるいはそれよりも広い地域のコミュニティなどを対象に設置された太陽電池パネルや風力、水力などの再生可能エネルギーあるいは他の動力を用いる発電機などの発電手段、蓄電池、さらには商用交流電源などの受給電要素から成り、刻々の各部の発電量や電力需要に応じてコンバータおよび受給電制御部によって受給電の方向や電圧(あるいはさらに交流電源周波数など)を動的に切り換えて受給電(あるいはさらに余剰電力の売却など)を行なう。
【0003】
このようなシステムを設置する目的は、太陽電池パネルや風力などの再生可能エネルギー源の発電量の不安定さを吸収するとともに、受給電を最適化することにより商用交流電源の無駄な消費や電力料金を節約し、また、間接的には2酸化炭素排出量を低減するなどの環境保護に繋がる側面があり、この種の電力制御システムは近年、注目を集めている。
【0004】
下記の特許文献1は、電力消費者の電力使用量と、太陽電池・風力発電・小規模水力発電等による電力供給者の電力供給量と、電力会社の電力供給量を通信手段により監視及び/またはコントロールするよう構成された送電網を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−036118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような受給電要素から成るスマートハウス、マイクログリッド、あるいはスマートグリッドのような電力制御システム(以下、便宜上、スマート電力制御システム、と略称する)は、たとえばマンションなどの集合住宅、のようなサイトにも設置することができる。
【0007】
また、近年では、数戸〜数100戸規模のマンションのような集合住宅においては、各戸保有の、あるいはカーシェアリングにより共有される電気自動車の充電を行なう充電器を設置することも増えてきている。このような電気自動車の充電システムを上記のようなスマート電力制御システムとともに設置する場合には、電気自動車の充電システム(たとえばその充電器)をスマート電力制御システムの受給電要素の1つとして組み込むことが考えられる。このような構成においては、電気自動車の充電に必要な電力を太陽電池・風力発電・水力発電などの発電機から供給することができるようになり、また、電気自動車のバッテリーをスマート電力制御システムの蓄電池として利用し、電気自動車のバッテリーから他の負荷に給電するような制御も可能となる。
【0008】
一方、マンションなどの集合住宅などには、郵便受や、宅配物保管装置、ないしはいわゆる宅配ボックス、といった物品収受装置(以下、簡略化のため、これらの物品収受装置を単に「宅配ボックス」としても言及する)が設置されることがある。郵便受や宅配ボックスは、当該集合住宅の特定の居住者宛ての郵便物や宅配荷物を受け取るため(宅配物に関しては特定の居住者が発送する宅配荷物を集荷する用途もあり得る)の施錠可能な物品収納ボックスを複数有するロッカーに類似した物品収納(収受)装置である。この物品収納ボックスは、居住者に共有的に使用される場合もあるが、個々の居住者にそれぞれ専有的に1つの物品収納ボックスを割り当てる利用形態も考えられ、その場合、物品収納ボックスは郵便物の受け取りなどにも用いることができる。
【0009】
この種の宅配ボックスでは、複数の物品収納ボックスに対する宅配荷物などの出し入れに必要な開錠(あるいは施錠)をタッチパネルなどを用いた操作表示部の操作を介して制御する制御回路により制御する。
【0010】
居住者には、認証手段としてたとえばIDカード(ICカードなど)が割り当てられる。この認証手段は、その保持者が当該の集合住宅における特定の居住者であることを証明するもので、認証情報としてたとえば当該の居住者の居室の部屋番号や、当該の部屋番号に関係づけられた鍵情報などが記録されている。
【0011】
居住者が物品収納ボックスに対する宅配荷物などの出し入れ操作を行う場合には、このIDカードを操作表示部に提示することにより、自己が正当な荷物受取り人(あるいは発送人)であることを証明し、その上で所定の操作を行うことによって、目的の操作を行うことができるよう、制御回路によって制御を行う。
【0012】
このようにして行われた宅配ボックスの操作は、時刻やIDカードによって示された居住者の識別情報とともに、データベースなどに利用情報として記録し、管理することができる。宅配ボックスの管理する利用情報は、上記制御回路の記憶手段に保持する他、必要に応じて操作表示部で表示したり、あるいはネットワークを介して遠隔地の管理センターに転送したりすることができる。
【0013】
この種の宅配ボックスを設置されたマンションなどの集合住宅は近年増加しており、上記のように構成された宅配ボックスの制御回路、記憶手段、データベース手段は、IDカードなどの認証手段を媒介として各居住者を識別できるように構成されている。
【0014】
上記のような郵便物や宅配物の物品収受装置制御システムは、特定の居住者を受取人とする宅配物(あるいは郵便物)を取り扱い、物品収納ボックスの開閉の制御および認証に関する制御を行なう、という特徴がある。
【0015】
また、電気自動車の充電に関しては、居住者保有の(あるいはカーシェアリングの場合は特定の居住者が当座の使用権を有する)電気自動車の充電を制御し、またその課金データを取り扱う以上、居住者ID(識別情報)を認識して充電の制御を行なうため、物品収受装置制御システムが電気自動車の充電制御部を兼ねる構成は比較的容易に構築できるものと考えられる。
【0016】
さらに進んで、物品収受装置制御システムが電気自動車の充電制御部のみならず、上述のスマート電力制御システムの受給電制御部を兼ねるような構成も考えられる。
【0017】
その場合、上記のように物品収受装置制御システムが居住者ID(識別情報)を取り扱い、特定の居住者保有の(あるいはカーシェアリングの場合は特定の居住者が当座の使用権を有する)電気自動車の特性や充電制御設定や充電履歴データベースなどを把握できるため、電気自動車の充電、あるいは電気自動車のバッテリーから他の負荷への給電をきめ細かく、またより最適に制御できる可能性を高めることができる、と考えられる。
【0018】
本発明の課題は、上述の点に鑑み、物品収受装置の制御部が、電気自動車の充電システムの制御部、およびスマート電力制御システムの受給電制御部を兼ねる好適な構成を提供し、マンションなどの集合住宅において郵便物や宅配物の物品収受、電気自動車の充電、あるいはさらに電気自動車とその充電器を受給電要素として含む電力網の電力供給を最適に制御することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明においては、 前記集合住宅に配置された発電手段、蓄電池、商用交流電源および電力負荷を含む受給電要素から成る電力網と、前記集合住宅において宅配荷物または郵便物の集受に用いられる複数の物品収納ボックスを含む物品収受装置と、前記集合住宅の居住者によって提示される該居住者の住民IDを記録した認証手段による認証に基づき前記物品収受装置の扉の開閉を制御する物品収受装置の制御部を含み、前記物品収受装置の制御部が、前記認証手段、および前記住民IDに関連して構築されたデータベースを用いて前記物品収受装置の物品収受、および該物品収受に係わる情報を管理するとともに、前記データベースに前記住民IDに関連して記録されたデータを用いて前記電力網の受給電要素間の受給電を制御する受給電制御手段としても動作することを特徴とする電力制御システム構成を採用した。
【0020】
あるいはさらに、前記受給電要素に電気自動車を充電する充電器と、前記電気自動車のバッテリーの出力を前記電力網の受給電要素に含まれる前記電気自動車以外の他の負荷に給電するためのコンバータ手段を含み、前記物品収受装置の制御部が、前記データベースに記録されたデータを用いて前記充電器による前記電気自動車の充電を制御するとともに、前記データベースに記録されたデータを用いて前記電気自動車のバッテリーの出力を前記他の負荷に給電する給電動作を制御する構成を採用した。
【0021】
あるいはさらに、前記データベースに前記住民IDに関連してあらかじめ登録された前記他の負荷に対する給電サービスを許諾する旨の許諾情報に応じて、前記物品収受装置の制御部が前記電気自動車のバッテリーの出力を前記他の負荷に給電する給電動作を行なうか否かを決定する構成を採用した。
【0022】
あるいはさらに、前記物品収受装置の制御部が、前記集合住宅に配置された前記電力網に含まれる負荷に対する不要給電を検出し、不要給電の発生に関する情報を前記データベースに記録するとともに、不要給電の発生に関する情報を警告ないし表示手段により表示することを特徴とする請求項1に記載の電力制御システム。
【発明の効果】
【0023】
上記構成によれば、物品収受装置の制御部がスマート電力制御システムの受給電制御部、あるいはさらに電気自動車の充電システムの制御部を兼ねる構成となっているため、制御回路の統合によりシステムの製造コストを著しく低減することができ、マンションなどの集合住宅において物品収受装置の制御に必須なデータベースに前記住民IDに関連して記録されたデータを利用して、郵便物や宅配物の物品収受、電気自動車の充電、あるいはさらに電気自動車とその充電器を受給電要素として含む電力網の電力供給を最適に制御し、また、不要給電や電力消費に関して集合住宅の消費電力節減に役立つ警告やアドバイスなどを表示するなどの制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明を採用した電力制御システムの構成を示したブロック図である。
【図2】本発明を採用した電力制御システムで用いられるデータベースの構成を示した説明図である。
【図3】本発明を採用した電力制御システムにおける余剰電力制御の概要を示したフローチャート図である。
【図4】本発明を採用した電力制御システムにおける給電制御の概要を示したフローチャート図である。
【図5】本発明を採用した電力制御システムにおける電気自動車の充電制御を示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態の一例として、マンションなどの集合住宅において実施するに好適な電力制御システムに関する実施例につき添付図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0026】
図1は本発明を採用した電力制御システムの構成を示している。本発明の電力制御システムは、マンションなどの集合住宅に設置されたいわゆるマイクロ(スマート)グリッド(あるいはスマートハウス)構成の電力網で、商用交流電源(不図示)、発電手段(太陽電池パネル801)、蓄電池701、電気自動車(5001、5002)の充電器(303、304)などの受給電要素から成る。
【0027】
さらに本発明の電力制御システムが設置される集合住宅には、宅配物の授受に用いるいわゆる宅配ボックス(宅配ロッカー)や、郵便受けなどとして構成された物品収受装置100が設置され、電力制御システムの受給電制御部を構成する中央制御装置200の機能は物品収受装置100の物品収受を制御する制御部2001に統合されている。すなわち、物品収受装置100の制御部2001が電力制御システムの受給電制御部を構成する中央制御装置200を兼ねている。以下では、物品収受装置100の制御部2001により構成されたこの制御部は中央制御装置200として言及する。
【0028】
中央制御装置200は、主制御部としてのCPU、後述のプログラムを格納したROM、ワークエリアとして用いられるRAM、本システムの他のブロックや、不図示の外部の管理サーバと通信するための所定通信方式によるインターフェース(たとえば IEEE 802.3 ネットワークインターフェース、シリアルインターフェースなど)、さらに現在時刻を計時するリアルタイムクロック(RTC)のような計時手段、後述のデータベース情報を格納するためのHDD(ハードディスクドライブ)などから構成される。なお、中央制御装置200は、平時は商用交流電源により動作するが、たとえば商用交流電源が停電となった場合でも、太陽電池パネル801ないし蓄電池701からの給電によってこれらの電源の供給が続く限り動作できるよう構成しておく。
【0029】
このような構成とすることにより、集合住宅に必要なインテリジェント制御を行なう複数の制御部を統合・兼用することにより、小さな設置コストによって、電力制御システムの受給電制御、電気自動車の充電、物品収受装置の制御を連携させ、付加価値の高いサービスを提供することができる。
【0030】
図1の電力制御システムは、次のような受給電要素から構成される。
【0031】
図1において符号801は太陽電池パネルで、集合住宅の屋上などに設置され、太陽光エネルギーにより直流の電力を発電する。コンバータ802はたとえばDC−DCコンバータで、太陽電池パネルの出力電圧をシステムの幹線に流す、あるいは他の直流負荷(たとえば下記の蓄電池701)に供給できるような電圧に変換する。コンバータ802は、必要に応じてDC−ACコンバータなどであってもよい。また、電力会社に売電を行なうような場合には、商用交流電源(不図示)側からの買電電力計、および太陽光発電からの余剰電力を測定するための逆潮流電力計など(いずれも不図示)がさらに設置される。太陽電池パネル801のかわりに(あるいはさらに)風力発電機などが設けられる構成であってもよい。
【0032】
符号701は蓄電池で、鉛電池など所定形式の蓄電池であり、太陽電池パネル801の出力(あるいは必要に応じて商用交流電源の電力)により充電できる。太陽電池パネル801は日照時間帯のみ発電が可能な発電手段であるから、夜間に後述の照明器具などの点灯に用いる場合には、蓄電池701のような蓄電手段が必要となる。
【0033】
符号500は集合住宅の共用部の電力負荷(以下、共用部負荷)で、ここではエントランス照明501(ここで便宜上、エントランス照明としているがこの照明手段にはあるいはホールや共用通路、階段などの照明を含んでよい)オートドア502、エレベータ503を例示してあるが、水道ポンプなどの他の共用部負荷が含まれていてもよい。エントランス照明501、オートドア502、エレベータ503の駆動制御はそれぞれ601〜603の各制御部を介して制御される。
【0034】
制御部601〜603はそれぞれエントランス照明501、オートドア502、エレベータ503への給電を制御するとともに、電力計(あるいは電流計)や各負荷への給電状態(供給電力ないし電流値)を検出でき、中央制御装置200はこれら制御部601〜603を介して各共用部負荷の駆動状態を把握することができる。
【0035】
また、本システムでは、集合住宅内の所定の位置には日照センサや人感センサなどを配置し(不図示)、中央制御装置200はたとえばエントランス照明501が無駄に点灯されていないかどうかを判断することができる。
【0036】
上記の共用部負荷500は、基本的には太陽電池パネル801の出力、ないし蓄電池701(あるいは必要に応じて電気自動車5001、5002…のバッテリー)の出力により駆動し、太陽電池パネル801ないし蓄電池701の出力が不足している場合に商用交流電源を用いるよう、中央制御装置200が制御を行なう。
【0037】
各戸専有部508は各居住者の居室内の電力負荷に相当するが、システムでは、太陽電池パネル801、ないし蓄電池701(あるいは必要に応じて電気自動車5001、5002…のバッテリー)からの給電を行なえるようにする。各戸専有部508には、通常それぞれ電力計(電力メータ)が配置されるため、共用部負荷よりも制御が複雑になる可能性はあるが、中央制御装置200(物品収受装置の制御部2001)は住民ID(たとえば後述のIDカード111に記録される)に基づいて受給電を制御できる。
【0038】
そして、たとえば太陽電池パネル801、ないし蓄電池701(あるいは必要に応じて電気自動車5001、5002…のバッテリー)から各戸専有部508への給電を行なった場合は、電力会社と異なる(たとえば電力会社よりも安い)電力料金により課金を行なうこともできる(ただし、このようなサービスを提供できるか否か、またその態様は集合住宅の管理規約に依る)。
【0039】
たとえば、中央制御装置200(物品収受装置の制御部2001)が管理するデータベースに住民IDに関連して記録されたデータを用いて電力網の受給電要素間の受給電を制御することにより、太陽電池パネル801、ないし蓄電池701(あるいは必要に応じて電気自動車5001、5002…のバッテリー)から各戸専有部508への給電を行なうことができ、たとえば電力会社と異なる(たとえば電力会社よりも安い)電力料金により課金を行なうことができる。
【0040】
上記のエントランス照明501、オートドア502、エレベータ503の制御部601〜603に関して述べたもの以外にも本システムが設置される集合住宅の電力網の幹線の要部には電力計(あるいは電流計)や、人感センサなどの検出手段を配置し、実際の給電配分および電力需要を検出できるようにしておく。中央制御装置200はこれらの検出手段を介して刻々と給電配分および電力需要の変化を検出し、必要に応じて受給電経路を切り換えることができる。たとえば、図1では発電要素として太陽電池パネル801を例示しているが、太陽電池パネル801の出力と、共用部負荷500(あるいは各戸専有部508、電気自動車の充電器303、304など)への給電出力の状態を測定し、太陽電池パネル801の出力に余剰電力があれば太陽電池パネル801で蓄電池701を充電できるよう受給電経路を切り換える(後述の図3)。また、このような受給電経路の切り換えのために、電力網の必要な位置にリレーやアナログスイッチなどの線路切り換え手段を配置しておく。
【0041】
本実施例では、電気自動車5001、5002…の充電器303、304も、中央制御装置200が受給電制御を行なう受給電要素としてシステムに組み込まれている。充電器303、304による電気自動車5001、5002の充電は、商用交流電源によって行なう他、太陽電池パネル801、ないし蓄電池701の出力によっても行なう。また、本実施例では、太陽電池パネル801、ないし蓄電池701の出力が不足しているなどの場合には、電気自動車5001、5002のバッテリーを用いて共用部負荷500、各戸専有部508への給電も行なうことができるようにする。
【0042】
このために、本実施例では、受給電要素として双方向性のDC−AC(AC−DC)コンバータ803を配置してある。コンバータ803は、太陽電池パネル801ないし蓄電池701の(あるいは幹線上の)直流出力を充電器303、304が必要とする単相(ないし3相)100V(あるいは200V)の交流出力に変換する。
【0043】
また、近年の電気自動車では、バッテリーの出力を他の負荷に給電できるよう構成されたものがあり、電気自動車5001、5002がそのような車種である場合には、コンバータ803は、電気自動車5001、5002のアウトレットから出力される直流(たとえば12V)を交流に変換して他の負荷に給電するためにも用いられる。
【0044】
ここで、電気自動車の充電器303、304の構成につき説明する。充電器303はいわゆる親機として構成されており、LCDパネルなどから成るディスプレイ3031、カードリーダ3032、およびキーボード3033を有し、充電器304、304…(子機)と連携して各充電器304、304で行なう充電サービスの登録操作などを行なえるようになっている。
【0045】
充電器304、304…は子機であり、充電状態や充電経過時間などを表示するためのディスプレイ3041とコネクタボックス3042が設けられている。
【0046】
充電器304、304…は子機であり、コネクタボックス3042中には電気自動車の充電ケーブル、および電気自動車のアウトレットからの給電ケーブルなどと接続するためのコネクタ(不図示)が収容される。コネクタボックス3042の扉は充電中のコネクタ抜けなどを防止するため、電気錠などを用いて施錠できるようにしておくのが望ましい。
【0047】
なお、本実施例では設けられていないが、子機(充電器304、304…)と同様に充電器303でも充電を行なえるよう、充電器303にもコネクタボックス3042を設けてもよい。
【0048】
親機としての充電器303は、子機の充電器304、304…の数台ごとに1台配置し、その配下の充電器304、304…を用いた電気自動車5001、5002…の充電サービスに係わる認証・登録操作に用いられ、その際、ディスプレイ3031、カードリーダ3032、およびキーボード3033によりIDカード111による認証と、充電時間設定などの登録操作が行なわれる。
【0049】
IDカード111は、本システムが設置される集合住宅の居住者がそれぞれ保有するもので、たとえばその居室番号などがID情報(住民ID)として記録されたICカードなどにより構成され、当然ながら充電器303のカードリーダ3032としてはIDカード111の記録形式に即した方式のカードリーダが用いられる。
【0050】
なお、カードリーダ3032は充電器303のみならず、子機としての充電器304、304…に設ける構成も考えられる。また、居住者(あるいは管理者)の充電サービスに関する操作は、後述の物品収受装置100のコンソール103でも行なえるように構成することもできる。
【0051】
本システムが設置される集合住宅以外のIDカード111を用いたりできないように、IDカード111には、当該集合住宅で用いることができる正規のカードであることを示す特定の鍵情報を格納したり、あるいは居室番号などのID情報を当該集合住宅のみで通用する鍵情報を用いて暗号化して記録したりすることができる。
【0052】
また、IDカード111は、住民IDを記録していることから、集合住宅のエントランスの扉(不図示。いわゆるオートロック制御される玄関扉)や、居住者個々の居室を開閉する鍵として機能するカードキーを兼ねるよう構成されていてもよい。
【0053】
そして、本実施例では、IDカード111は、居住者が電気自動車(自己の保有する車両、あるいはカーシェアリングにより貸与される車両)を充電するための充電サービスを受けるために必要な認証を行なう認証手段としても用いている。すなわち、本実施例では、IDカード111は充電器303(親機)、充電器(子機)304により提供する充電サービスに対するユーザ認証手段としても用いられる。
【0054】
以上のように特定の居住者と1:1に対応づけられたIDカード111を用いることにより、中央制御装置200は特定の居住者の電気自動車の充電サービスの利用行動に係わる情報、ないしは、その居住者が充電サービスを受ける電気自動車に係わる情報をデータベース情報として蓄積し、該データベース情報を用いて効率よく迅速に複数の電気自動車を充電することができる。
【0055】
IDカード111は、物品収受装置100の開閉に係わる認証にも用いられる。中央制御装置200は、物品収受装置100のコンソール103でのIDカード111の提示、操作に応じて、物品収受装置100の物品収受ボックス101、101…を施錠/開錠する電気錠の開閉制御を行なう。
【0056】
また、上述のように、IDカード111には、物品収受装置100の施錠/開錠操作のほか、居住者(保有する、あるいは使用の権利のある電気自動車)に対する充電サービスを関連づけ、IDカード111によって充電サービスの認証を行なうようにすることから、中央制御装置200は、物品収受装置100の施錠/開錠操作、電気自動車の充電サービスを含む本電力制御システムにおける受給電を統合的に制御することができる。その際、特定の居住者の電気自動車の充電サービスの利用行動に係わる情報、ないしは、その居住者が充電サービスを受ける電気自動車に係わる情報をデータベース情報として蓄積し、該データベース情報を用いて複数の電気自動車の充電制御を行なうことができる。
【0057】
図1の上部に示した物品収受装置100は、いわゆる宅配物の授受に用いる宅配ボックス(宅配ロッカー)や、郵便受けなどとして構成される。
【0058】
図1の物品収受装置100は、たとえば集合住宅の(宅配業者や郵便配達員がアクセスできる)公共側に面する側を図示してある。
【0059】
物品収受装置100は、複数の物品収受ボックス101、101…から構成され、物品収受ボックス101が郵便受けとして構成される場合には破線で示すように投函口102、102…が設けられ、物品収受ボックス101…の投函口102とは反対側(不図示)の面には郵便物を取り出すための電気錠(あるいは番号キー)により開閉される扉(不図示)が設けられる。
【0060】
物品収受ボックス101、101…が宅配ボックスとして構成される場合には、図示の公共側の面は宅配業者が宅配物を収容するための扉(この扉は居住者が宅配物を取り出すための扉を兼ねていてもよい)として構成され、その反対側には居住者が宅配物を取り出すための扉(不図示)が設けられ、これらの扉の開閉は電気錠により制御される。
【0061】
物品収受ボックス101、101…の郵便物を取り出すための扉、あるいは宅配物を収容し、また取り出すための表裏の2つの扉の開閉は、コンソール103での居住者(あるいは宅配業者)操作に応じて中央制御装置200により制御される。コンソール103は、ここでは便宜上、公共側に配置されたものを図示しているが、ほぼ同じ構造のものをプライベート側(図示した側と反対側)に設けることができる。コンソール103には、LCDパネルなどから構成されたディスプレイ104、ファンクションキーやテンキーから成るキーボード105、および認証手段としてのIDカード111の情報を読み取るカードリーダ102が設けられる。
【0062】
上述のように、IDカード111は電気自動車の充電器303と物品収受装置100とで共用されるもので、カードリーダ102は上述の充電器303のカードリーダ3032と同様の方式のものが用いられる。
【0063】
図2は図1のような本実施例の物品収受装置および充電システムからなる装置の制御に用いられるデータベースの構成の一例を示している。本データベースは、たとえば中央制御装置200のHDDなどの記憶装置の記憶領域、またはネットワーク206を介して中央制御装置200と接続されるサーバの外部記憶装置(いずれも不図示)の記憶領域(通常特定のデータベース方式におけるデータベースファイル)を用いて構成される。
【0064】
この種のデータベースは、通常、いわゆるリレーショナル形式で、複数の記憶領域を関連づける形で種々のデータレコードを格納する。
【0065】
図2は、本実施例のシステムにおける主データベースの概要を示しており、符号1301〜1304で示すフィールド、すなわち、居室ID、物品収受ボックスID、物品収受データベースへのポインタ、充電・給電処理データベースへのポインタ、から構成される。
【0066】
このうち、居室ID1301は、IDカード111によって識別される居住者の居室ID(たとえば居室の部屋番号)を格納する。
【0067】
物品収受ボックスID1302には、物品収受ボックス101が郵便受け、宅配ボックスのいずれの場合であっても、居室ID1301のデータの示す居住者に対応づけられた物品収受ボックス101が存在する場合に、そのボックスのID(番号)が格納される。
【0068】
居室ID1301、および物品収受ボックスID1302には、特定のIDカード111に対して特定の居住者ないし物品収受ボックス101のボックスIDを発行する登録時に上記の情報が格納される。この登録処理は上記のコンソール103、あるいは不図示の別の登録システムを用いて実行する(本発明の本質とはほとんど関係しないのでここではその詳細については説明を省略する)。
【0069】
物品収受データベースへのポインタ1303は、当該居住者の物品収受ボックス101を用いた物品収受に関する物品収受データベースの格納領域へのポインタ(ファイル名や、メモリアドレス)で各々ポインタ値P11、P12…を格納する。この物品収受データベースの格納領域(不図示)には、当該居住者に対して物品収受ボックス101により行なわれた物品(宅配物、郵便物など)の収受に関する情報、たとえば着荷日時や、物品収受サービスに関して課金が行なわれる場合にはその課金情報などが蓄積される。
【0070】
充電・給電処理データベースへのポインタ1304は、当該居住者の電気自動車の充電サービスの利用行動に係わる情報、ないしは、その居住者が充電サービスを受ける電気自動車に係わる情報を蓄積する充電・給電処理データベースの格納領域へのポインタ(ファイル名や、メモリアドレス)で、これらの情報を格納した他の記憶領域の充電・給電処理データベースへのポインタ値P21、P22…を格納する。
【0071】
なお、ここでは、物品収受データベースへのポインタ1303、および充電・給電処理データベースへのポインタ1304が指し示す物品収受データベースおよび充電・給電処理データベースの詳細については省略する。
【0072】
登録情報データベースへのポインタ1305は、物品収受、電気自動車充電、および受給電に関する各種の登録情報を格納した他の記憶領域の登録情報データベースへのポインタ値P31、P32…を格納する。
【0073】
他の記憶領域の登録情報データベースには、たとえば、居住者が不在となる場合などに物品収受ボックスを用いた物品収受を停止するための登録情報など、物品収受に係わる各種登録情報、電気自動車充電に関しては課金レート、また各戸専有部508へ給電を行なうか否かやその課金レートなど、物品収受、電気自動車充電、受給電制御に必要な登録情報が格納される。これらの登録情報は、コンソール103などを用いて、各居住者を本システムに登録する際に入力された情報に基づき生成される。
【0074】
特に本実施例では、ポインタ1305が示す各戸の登録情報データベースには、当該居住者の保有する(あるいはカーシェアリングにより貸与された)電気自動車のバッテリーから本電力制御システムの負荷(共用部負荷500、各戸専有部508などの他の負荷あるいは他の電気自動車に接続された充電器304)への給電を当該居住者が許諾するか否かの情報が登録されているものとする。
【0075】
上記のような主データベースが用意されていれば、IDカード111がコンソール103のカードリーダ102や、充電器(親機)303のカードリーダ3032に提示されるなどして、中央制御装置200が居住者のID情報であるIDカード111に記録された居室IDを取得すると、その居室IDを用いて図2の居室IDのフィールド1301を参照することにより、たとえばその居住者に割り当てられた物品収受ボックスID(フィールド1302)、および関連する他のデータベースへのポインタのフィールド(1303、1304、1305)を特定することができる。
【0076】
また、ポインタ格納フィールド1303、1304を参照することにより図3に示すような充電・給電処理データベースの格納領域を特定し、その領域に格納されたデータを取り出して利用し、また、特定の居室IDの居住者に対して新たな充電サービスの実施があった場合には、その内容に応じて充電・給電処理データベースの対応するデータを更新することができる。
【0077】
次に上記のように構成された本システムの動作につき、図3〜図5を参照して説明する。図3〜図5は中央制御装置200が行なう余剰電力制御、給電制御、電気自動車の充電監視制御をそれぞれ示している。図3〜図5の手順は、たとえば中央制御装置200のROMやHDDなどの外部記憶装置(いずれも不図示)に格納され、中央制御装置200の主制御部を構成するCPU(不図示)などにより実行される。
【0078】
図3の手順は中央制御装置200が実行する余剰電力制御の流れを示している。図3には、太陽電池パネル801の発電量を監視してその余剰電力により蓄電池701を充電する制御が示されている。ステップS201では、蓄電池701の充電に利用できる余剰電力があるか否か、たとえば太陽電池パネル801の出力と、共用部負荷500、各戸専有部508、電気自動車の充電器303、304などへの給電出力の状態を測定することにより、蓄電池701の充電に利用できる余剰電力があるか否かを判定する。太陽電池パネル801の出力に余剰電力があればステップS203において太陽電池パネル801で蓄電池701を充電できるようリレーやアナログスイッチなどの線路切り換え手段(不図示)を用いて受給電経路を切り換え、太陽電池パネル801の発電量に余剰がなければ蓄電池701の充電設定をOFF、すなわち蓄電池701への給電路を遮断する(ステップS202)。
【0079】
なお、図3では、太陽電池パネル801に関する制御しか示していないが、たとえば風力発電機のような発電手段を用いる場合にも同等の制御を行なうことができる。また、蓄電池701の充電量を監視し、太陽電池パネル801のような発電手段の出力に余剰がなく、しかも蓄電池701の充電量が充分でない場合に商用交流電源(あるいはコジェネレーション発電機のような自家発電機)によって蓄電池701を充電する、といった制御ルーチンを組み込んでおいてもよい。この場合、必要に応じで商用交流電源(あるいは自家発電機)の出力はあらかじめ設置しておいたコンバータにより電圧(交流・直流)変換される。
【0080】
図4は、日照センサや人感センサなどを用いた給電制御を示している。前述のように本システムでは集合住宅内の所定の位置には日照センサやあるいは人感センサなどを配置しており、これらの出力を監視(ステップS301)すれば、不要給電が行なわれているか否かを判定(ステップS302)することができる。たとえば、日照センサが検出している照度や(あるいはタイマで検出した現在時刻などから判定を行なうこともできる)、人感センサにより検出される有人・無人状態によって、無駄な給電が行なわれているか否か(たとえばエントランス照明501が無駄に点灯されていないかどうか、など)を判定することができる。
【0081】
ステップS302において不要給電が検出された場合は、中央制御装置200はその旨をデータベースに記録し、また必要に応じて表示手段(たとえば物品収受装置100のコンソール103や、管理人室などの特定場所に配置したモニタやディスプレイ)を用いて警告・通知する(ステップS303)とともに、あるいはさらに必要に応じて当該の負荷への給電を強制的に遮断する。ただし、照明器具などの不要点灯を強制OFFするか否かに関しては、管理者に中央制御装置200が管理するデータベース(図2)に対して事前に設定登録を行ない(たとえばコンソール103を用いる)、その設定状態に応じて不要点灯の強制OFFを行なうか否かを制御するのが望ましいと考えられる。
【0082】
なお、中央制御装置200は、上記のように不要給電の発生につき警告・表示を行なうだけではなく、集合住宅の電力網の共用部各部の電力消費量や使用状況を電力網の各部に配置した電力(電流)計の出力などに応じて表示し、また、コンソール103などの表示手段を用いて電力の利用方法の改善案などのアドバイス表示を行なえるよう構成することができる。このアドバイス表示については、たとえば、不要給電を強制的にOFFしない場合にデータベースに記録される不要給電の月間累積時間やその電力量を表示して不要給電の強制OFF制御の登録を推奨したり、照明などの不要点灯に関して注意を促す表示を行なう、などが考えられる。
【0083】
前記物品収受装置の制御部が、前記集合住宅に配置された前記電力網に含まれる負荷に対する不要給電を検出し、不要給電の発生に関する情報を前記データベースに記録するとともに、不要給電の発生に関する情報を警告ないし表示手段により表示する。
【0084】
図5は本システムにおける電気自動車の充電制御のうち、公知の部分を除いた電力制御に係わる部分を示している。
【0085】
図5のステップS401は、公知の電気自動車の充電制御を示している。このステップS401には、ユーザ(居住者)が充電器(親機)303(あるいは物品収受装置100のコンソール103)にIDカード111を提示して行なう充電サービスに設定操作(たとえば充電時間の設定など)、図3の電気自動車充電に係わるデータベース情報(フィールド1303、1304、1305、およびこれらのポインタが指し示すデータベースレコードなど)の更新、などが行なわれる。この際、充電器304の充電電流などの制御値や、電気自動車のバッテリーの(推定)容量などのデータが刻々とデータベースに記録される。また、電気自動車を充電する電源としては商用交流電源を用いるため、ここでは複数台の電気自動車を同時充電する場合に充電電流が集合住宅の契約電流量を超過しないよう同時充電する電気自動車の台数を制限する制御も行なう。
【0086】
ステップS402では、共用部負荷500、各戸専有部508、電気自動車の充電器303、304などへの電力に不足が生じたか否かを判定する。このような事象の原因としては商用交流電源が停電する(あるいはさらに夜間や悪天候などの条件により太陽電池パネル801の発電量が低下する)ことなどが考えられる。このような状況は上述のように電力網の所要部に設けたセンサなどにより検出することができる。
【0087】
ステップS402において、このような電力不足の条件が生じた場合は、まず実行中の電気自動車の充電を停止させるが、それでも電力不足が生じている場合にはステップS403以降において、電気自動車のバッテリーを電源として給電する制御を行なう。
【0088】
ステップS403では、共用部負荷500、各戸専有部508などの他の負荷(あるいは他の電気自動車に接続された充電器304を含めてもよい)への給電が可能な電気自動車を検索する。上記のように、中央制御装置200は充電器304の充電電流などの制御値や、電気自動車のバッテリーの(推定)容量などのデータをデータベースに記録するため、充電中の各電気自動車に対応するデータを参照すればアウトレットが充電器304に接続されている電気自動車のうちどの車両が他の負荷への給電が可能な状態にあるか、を検索することができる。
【0089】
さらに、本実施例では、図3のポインタ1305が示す各戸の登録情報データベースに当該居住者の保有する(あるいはカーシェアリングにより貸与された)電気自動車のバッテリーから本電力制御システム中の他の負荷への給電を許諾するか否かの情報を登録しておくようになっているため、他の負荷への給電が可能な状態にある電気自動車から、さらに他の負荷への給電があらかじめ当該居住者により許諾されている車両のみを特定する。
【0090】
ステップS404では、以上のように他の負荷への給電が可能な状態にあり、しかも他の負荷への給電があらかじめ当該居住者により許諾されている車両が検索されたか否かを判定し、該当する車両が1台でも存在する場合はステップS405に進み、上記条件に該当する電気自動車から他の負荷、すなわち共用部負荷500、各戸専有部508などの他の負荷(あるいは他の自動車を充電する充電器304)への給電を行なう。このとき、コンバータ803により直流〜交流への変換および必要な電圧変換が行なわれる。
【0091】
以上のようにして、商用交流電源の停電や発電手段や蓄電池の電力不足が重なったような状況においても、あらかじめ他の負荷への給電に関する許諾情報がデータベースに登録された電気自動車から本システムの電力網中の受給電要素に含まれる他の負荷に給電を行なうことができる。なお、本実施例では電気自動車の充電に関する制御データや課金データをデータベースに記録するようにしているため、図5のような制御によって他の負荷への給電を行なった電気自動車(に係る居住者)に対しては、給電した電力量や給電時間などに応じて所定レートで電気自動車の充電料金を減免したり免除したりすることができる。
【0092】
以上に示したように、本実施例の電力制御システムは、物品収受装置の制御部がスマート電力制御システムの受給電制御部、あるいはさらに電気自動車の充電システムの制御部を兼ねる構成となっているため、制御回路の統合によりシステムの製造コストを著しく低減することができ、マンションなどの集合住宅において物品収受装置の制御に必須なデータベースに前記住民IDに関連して記録されたデータを利用して、郵便物や宅配物の物品収受、電気自動車の充電、あるいはさらに電気自動車とその充電器を受給電要素として含む電力網の電力供給を最適に制御でき、また、不要給電や電力消費に関して集合住宅の消費電力節減に役立つ警告やアドバイスなどを表示するなどの制御が可能となる。
【符号の説明】
【0093】
100 物品収受装置
101 物品収受ボックス
102、3032 カードリーダ
103 コンソール
104、3031 ディスプレイ
105、3033 キーボード
111 IDカード
200 中央制御装置
303、304 充電器
500 共用部負荷
501 エントランス照明
502 オートドア
503 エレベータ
601〜603 制御部
701 蓄電池
801 太陽電池パネル
802、803 コンバータ
2001 制御部
5001、5002 電気自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前記集合住宅に配置された発電手段、蓄電池、商用交流電源および電力負荷を含む受給電要素から成る電力網と、
前記集合住宅において宅配荷物または郵便物の集受に用いられる複数の物品収納ボックスを含む物品収受装置と、前記集合住宅の居住者によって提示される該居住者の住民IDを記録した認証手段による認証に基づき前記物品収受装置の扉の開閉を制御する物品収受装置の制御部を含み、
前記物品収受装置の制御部が、前記認証手段、および前記住民IDに関連して構築されたデータベースを用いて前記物品収受装置の物品収受、および該物品収受に係わる情報を管理するとともに、前記データベースに前記住民IDに関連して記録されたデータを用いて前記電力網の受給電要素間の受給電を制御する受給電制御手段としても動作することを特徴とする電力制御システム。
【請求項2】
前記受給電要素に電気自動車を充電する充電器と、前記電気自動車のバッテリーの出力を前記電力網の受給電要素に含まれる前記電気自動車以外の他の負荷に給電するためのコンバータ手段を含み、
前記物品収受装置の制御部が、前記データベースに記録されたデータを用いて前記充電器による前記電気自動車の充電を制御するとともに、前記データベースに記録されたデータを用いて前記電気自動車のバッテリーの出力を前記他の負荷に給電する給電動作を制御することを特徴とする請求項1に記載の電力制御システム。
【請求項3】
前記データベースに前記住民IDに関連してあらかじめ登録された前記他の負荷に対する給電サービスを許諾する旨の許諾情報に応じて、前記物品収受装置の制御部が前記電気自動車のバッテリーの出力を前記他の負荷に給電する給電動作を行なうか否かを決定することを特徴とする請求項2に記載の電力制御システム。
【請求項4】
前記物品収受装置の制御部が、前記集合住宅に配置された前記電力網に含まれる負荷に対する不要給電を検出し、不要給電の発生に関する情報を前記データベースに記録するとともに、不要給電の発生に関する情報を警告ないし表示手段により表示することを特徴とする請求項1に記載の電力制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−110799(P2013−110799A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252154(P2011−252154)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(501377139)日本宅配システム株式會社 (35)
【Fターム(参考)】