電力変換装置、及び、制御方法
【課題】交流電圧源から所望の周波数の交流電流を負荷に供給可能で、負荷に供給される電圧のピーク値の変動が小さく、低損失な電力変換装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】電力変換装置10は、三相交流電源21の各相に接続されるリアクトルLac1乃至Lac3と、三相ブリッジ型MERS100と、直流交流変換回路200と、制御回路300と、から構成される。制御回路300が、三相ブリッジ型MERS100を構成する6つの逆導通型半導体スイッチのオン・オフを制御することで、三相ブリッジ型MERS100のコンデンサCMにパルス状の直流電圧が繰り返し発生する。コンデンサCMに発生するパルス状の直流電圧が、直流交流変換回路200を介して交流電圧に変換されて誘導性負荷LD1,LD2,LD3に印可される。
【解決手段】電力変換装置10は、三相交流電源21の各相に接続されるリアクトルLac1乃至Lac3と、三相ブリッジ型MERS100と、直流交流変換回路200と、制御回路300と、から構成される。制御回路300が、三相ブリッジ型MERS100を構成する6つの逆導通型半導体スイッチのオン・オフを制御することで、三相ブリッジ型MERS100のコンデンサCMにパルス状の直流電圧が繰り返し発生する。コンデンサCMに発生するパルス状の直流電圧が、直流交流変換回路200を介して交流電圧に変換されて誘導性負荷LD1,LD2,LD3に印可される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電圧源から直流電力を負荷に供給できる低損失な交流/直流電力変換装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
この交流/直流電力変換装置は、交流電源と直列に接続された交流リアクトルと、この交流電源と交流リアクトルとの直列回路を交流端子間に接続され、直流負荷を直流端子間に接続されたMERSと、を備える。
この交流/直流電力変換装置は、MERSの逆導通型半導体スイッチをオン・オフすることで、MERSにパルス状の直流電圧を発生させる。このパルス状の直流電圧を発生するMERSのコンデンサが直流電圧源として機能する。また、このMERSのスイッチングはソフトスイッチングである。
【0004】
この交流/直流電力変換装置の直流端子間に、直流電力を交流電力に変換するインバータを介して誘導性負荷を接続すると、この誘導性負荷に交流電力を供給することができる。
また、MERSのコンデンサは電圧が0になる期間があるため、MERSのコンデンサ電圧が0の期間にインバータをスイッチングすることで、インバータにおいてもソフトスイッチングが実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−193817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の交流/直流電力変換装置の負荷として、三相モータなどの誘導性負荷が接続された三相インバータを接続した場合、MERSのコンデンサに発生するパルス状の直流電圧のピーク値の変動が大きくなるという問題があった。
ピークの変動が大きいと、変動が小さい場合に比べ、同じ電力を供給するにしても誘導性負荷に印加される電圧の最大値が大きくなる。そのため、誘導性負荷の耐電圧を大きくする必要がある。耐電圧が大きいとその誘導性負荷は大きくなり、システム全体として運搬性に乏しく、また経済性にも乏しくなる。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、交流電圧源から所望の周波数の交流電流を負荷に供給可能で、負荷に供給される電圧のピーク値の変動が小さく、低損失な電力変換装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る電力変換装置は、
交流電源から供給される電力を、磁気エネルギーとして蓄積するリアクトルと、
コンデンサを備え、該リアクトルの磁気エネルギーを回収し、前記コンデンサに電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する磁気エネルギー回生スイッチと、
前記コンデンサの一方の極を接続された第1の直流入力端子と、前記コンデンサの他方の極を接続された第2の直流入力端子と、三相の誘導性負荷の各相を接続された第1乃至第3の交流出力端子と、第1乃至第6のダイオードと、第1乃至第6の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の直流入力端子には、前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードと前記第5のダイオードのカソードとが、前記第2の直流入力端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのアノードとが、接続され、前記第1の交流出力端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードが、前記第2の交流出力端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードが、前記第3の交流出力端子には前記第5のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのカソードが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が、前記第5のダイオードに前記第5の自己消弧型素子が、前記第6のダイオードに前記第6の自己消弧型素子が、並列に接続され、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフに対応して、前記コンデンサに発生した直流電圧を前記第1乃至第3の交流出力端子から前記誘導性負荷に出力する直流交流変換回路と、
前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のうち複数のオン・オフが略同じタイミングで切り替わらないように前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする。
【0009】
例えば、前記制御手段は、前記第1の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第3乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第2の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第3乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第3の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1,第2,第5,及び,第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1,第2,第5,及び,第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第5の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1乃至第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1乃至第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する。
【0010】
例えば、前記コンデンサに発生する直流電圧は、パルス状の直流電圧である。
【0011】
例えば、前記制御手段は、前記コンデンサの電圧が略0の時に、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフを切り替える。
【0012】
例えば、前記制御手段は、前記第1と第4の自己消弧型素子がともにオンにならず、前記第2と第5の自己消弧型素子がともにオンにならず、前記第3と第6の自己消弧型素子がともにオンにならないように、前記第1乃至6の自己消弧型素子を制御する。
【0013】
例えば、前記制御手段は、パルスパターンによって前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する。
【0014】
例えば、前記制御手段は、パルス幅変調によって前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する。
【0015】
例えば、前記交流電源は三相交流電源であり、
前記リアクトルは、三相交流電源の第1相に一端を接続される第1のリアクトル、第2相に一端を接続される第2のリアクトル、第3相に一端を接続される第3のリアクトルから構成され、
前記磁気エネルギー回生スイッチは、第1乃至第3の交流入力端子と、第1と第2の直流出力端子と、第7乃至第12のダイオードと、第7乃至第12の自己消弧型素子と、コンデンサとを備え、前記第1の交流入力端子には前記第1のリアクトルの他端と前記第7のダイオードのアノードと前記第8のダイオードのカソードとが、前記第2の交流入力端子には前記第2のリアクトルの他端と前記第9のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのカソードとが、前記第3の交流入力端子には前記第3のリアクトルの他端と前記第11のダイオードのアノードと前記第12のダイオードのカソードとが、接続され、前記第1の直流出力端子には、前記第7のダイオードのカソードと前記第9のダイオードのカソードと前記第11のダイオードのカソードと前記コンデンサの一方の極とが、前記第2の直流出力端子には前記第8のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのアノードと前記第12のダイオードのアノードと前記コンデンサの他方の極とが、接続され、前記第7のダイオードに前記第7の自己消弧型素子が、前記第8のダイオードに前記第8の自己消弧型素子が、前記第9のダイオードに前記第9の自己消弧型素子が、前記第10のダイオードに前記第10の自己消弧型素子が、前記第11のダイオードに前記第11の自己消弧型素子が、前記第12のダイオードに前記第12の自己消弧型素子が並列に接続される三相ブリッジ型磁気エネルギー回生スイッチであり、
前記制御手段は、前記第1乃至第12の自己消弧型素子のオン・オフを制御する。
【0016】
例えば、前記第7乃至第12の自己消弧型素子がオフからオンに変わる直前の前記コンデンサの電圧が略0である。
【0017】
例えば、前記第7乃至第12の自己消弧型素子がオフからオンに変わる直前に前記第7乃至第12の自己消弧型素子に流れる電流は略0である。
【0018】
例えば、前記制御手段は、前記三相交流電源の第1相の出力が正の場合は、前記第7の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第8の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第1相の出力が負の場合は、前記第8の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第7の自己消弧型素子をオフに保持させ、第2相の出力が正の場合は、前記第9の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第10の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第2相の出力が負の場合は、前記第10の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第9の自己消弧型素子をオフに保持させ、第3相の出力が正の場合は前記第11の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第12の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第3相の出力が負の場合は前記第12の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替え、かつ前記第11の自己消弧型素子をオフに保持させる。
【0019】
例えば、前記磁気エネルギー回生スイッチは、第1の交流入力端子と、当該第1の交流入力端子との間に前記交流電源とリアクトルの直列回路を接続された第2の交流入力端子と、第1と第2の直流出力端子と、前記第1と第2の直流出力端子の間に接続されたコンデンサと、第7乃至第10のダイオードと、第7乃至第10の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の交流入力端子には前記第7のダイオードのアノードと前記第8のダイオードのカソードとが、前記第2の交流入力端子には前記第9のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのカソードとが、接続され、前記第1の直流出力端子には、前記第7のダイオードのカソードと前記第9のダイオードのカソードとが、前記第2の直流出力端子には前記第8のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのアノードとが、接続され、前記第7のダイオードに前記第7の自己消弧型素子が、前記第8のダイオードに前記第8の自己消弧型素子が、前記第9のダイオードに前記第9の自己消弧型素子が、前記第10のダイオードに前記第10の自己消弧型素子が、並列に接続されたフルブリッジ型磁気エネルギー回生スイッチであり、
前記制御手段は、前記第1乃至10の自己消弧型素子のオン・オフを制御する。
【0020】
例えば、前記第7乃至第10の逆導通型半導体がオフからオンに変わる直前の前記コンデンサの電圧が略0である。
【0021】
例えば、前記第7乃至第10の逆導通型半導体がオフからオンに変わる直前に前記第7乃至第10の逆導通型半導体スイッチに流れる電流は略0である。
【0022】
前記制御手段は、前記交流電源の出力電圧が正の場合は、前記第8と第9の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第7と第10の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記出力電圧が負の場合は、前記第7と第10の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第8と第9の自己消弧型素子をオフに保持させてもよい。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る制御方法は、
交流電源から供給される電力を、磁気エネルギーとして蓄積するリアクトルと、
コンデンサを備え、該リアクトルの磁気エネルギーを回収し、前記コンデンサに電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する磁気エネルギー回生スイッチと、
前記コンデンサの一方の極を接続された第1の直流入力端子と、前記コンデンサの他方の極を接続された第2の直流入力端子と、三相の誘導性負荷の各相を接続された第1乃至第3の交流出力端子と、第1乃至第6のダイオードと、第1乃至第6の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の直流入力端子には、前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードと前記第5のダイオードのカソードとが、前記第2の直流入力端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのアノードとが、接続され、前記第1の交流出力端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードが、前記第2の交流出力端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードが、前記第3の交流出力端子には前記第5のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのカソードが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が、前記第5のダイオードに前記第5の自己消弧型素子が、前記第6のダイオードに前記第6の自己消弧型素子が、並列に接続され、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフに対応した前記誘導性負荷に、前記コンデンサに発生した直流電圧を交流電圧に変換して印可する直流交流変換回路と、
を備えた電力変換装置において前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する制御方法であって、
前記第1乃至第6の自己消弧型素子のうち複数のオン・オフが略同じタイミングで切り替わらないように前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、低損失で、交流電源から、電圧ピーク値の変動が少ないパルス状の電圧を負荷に印加することで、所望の周波数の交流電力を負荷に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す回路図である。
【図2】図1の電力変換装置の行う制御を説明するための図である。
【図3】(a)乃至(f)は、図1の電力変換装置の行う制御を説明するための図である。
【図4A】図1に示す電力変換装置の、交流電源からパルス状の直流電圧を発生させる動作を説明するための図である。
【図4B】図1に示す電力変換装置の、交流電源からパルス状の直流電圧を発生させる動作を説明するための図である。
【図4C】図1に示す電力変換装置の、交流電源からパルス状の直流電圧を発生させる動作を説明するための図である。
【図4D】図1に示す電力変換装置の、交流電源からパルス状の直流電圧を発生させる動作を説明するための図である。
【図5】(a)乃至(c)は、図1の電力変換装置の出力するゲート信号とコンデンサに発生するパルス状の直流電圧とリアクトルに流れる電流との関係を説明するための図である。
【図6A】図1に示す電力変換装置の、パルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する動作を説明するための図である。
【図6B】図1に示す電力変換装置の、パルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する動作を説明するための図である。
【図6C】図1に示す電力変換装置の、パルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する動作を説明するための図である。
【図6D】図1に示す電力変換装置の、パルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する動作を説明するための図である。
【図7】(a)乃至(j)は、図1に示す電力変換装置において、従来の制御方法でのゲート信号と、誘導性負荷に流れる電流と、コンデンサに発生する電圧と、の関係を示す図である。
【図8】(a)乃至(j)は、図1に示す電力変換装置において、本発明にかかる制御方法でのゲート信号と、誘導性負荷に流れる電流と、コンデンサに発生する電圧と、の関係を示す図である。
【図9】(a),(b)は、図1に示す電力変換装置において、ソフトスイッチングで、コンデンサに発生するパルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する場合の、コンデンサに発生するパルス状の直流電圧と、パルスパターンで制御されるゲート信号と、の関係を示す図である。
【図10】(a)乃至(c)は、図1に示す電力変換装置において、コンデンサに発生するパルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する場合の、コンデンサに発生するパルス状の直流電圧と、PWM(Pulse Width Modulation)によって制御されるゲート信号と、の関係を示す図である。
【図11】図1の電力変換装置の応用例を示す図である。
【図12】図1の電力変換装置の応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に係る電力変換装置を、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1に示すように、本実施形態に係る電力変換装置10は、リアクトルLac1,Lac2,Lac3と、三相ブリッジ型MERS100と、直流交流変換回路200と、制御回路300と、から構成され、三相交流電源21と、3つの誘導性負荷LD1,LD2,LD3と、の間に接続されている。
【0028】
三相ブリッジ型MERS100は、6つの逆導通型半導体スイッチSWU,SWV,SWW,SWX,SWY,SWZと、コンデンサCMと、交流入力端子AC1,AC2,AC3と、直流出力端子DCP,DCNと、から構成されている。
直流交流変換回路200は、6つの逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWw,SWx,SWy,SWzと、直流入力端子DC+,DC−と、交流出力端子ACu,ACv,ACwと、から構成されている。
逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzは、ダイオード部DU乃至DZ,Du乃至Dzと、ダイオード部DU乃至DZ,Du乃至Dzに並列に接続されたスイッチ部SU乃至SZ,Su乃至Szと、スイッチ部SU乃至SZ,Su乃至Szに配置されたゲートGU乃至GZ,Gu乃至Gzと、から構成されている。
【0029】
スイッチ部SU乃至SZ,Su乃至Szは、ゲートGU乃至GZ,Gu乃至Gzにオン信号が入力されるとオンに、オフ信号が入力されるとオフになる。
スイッチ部SU乃至SZ,Su乃至Szがオンになると、ダイオード部DU乃至DZ,Du乃至Dzは短絡され、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzの順逆両方向がオンになる。
スイッチ部SU乃至SZ,Su乃至Szがオフになると、ダイオード部DU乃至DZ,Du乃至Dzが機能し、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzはダイオード部DU乃至DZ,Du乃至Dzのみ片方向オンとなる。
逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzは、例えば、寄生ダイオードを有するNチャンネル型シリコンMOSFET(MOSFET:Metbl−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)である。
【0030】
三相交流電源21は、交流電圧源VS1,VS2,VS3から構成される。交流電圧源VS1,VS2,VS3の出力は、リアクトルLac1,Lac2,Lac3の一端に接続されている。
三相交流電源21は、例えば、定格出力50Hz,2125Vの三相交流発電機である。
【0031】
リアクトルLac1,Lac2,Lac3の他端は、三相ブリッジ型MERS100の交流入力端子AC1,AC2,AC3に接続されている。
リアクトルLac1乃至Lac3は、電流が流れることによって、三相交流電源21から供給される電力を磁気エネルギーとして蓄積する。
【0032】
三相ブリッジ型MERS100の交流入力端子AC1にはダイオード部DUのアノードとダイオード部DXのカソードとが、交流入力端子AC2にはダイオード部DVのアノードとダイオード部DYのカソードとが、交流入力端子AC3にはダイオード部DWのアノードとダイオード部DZのカソードとが接続され、直流出力端子DCPにはダイオード部DU,DV,DWのカソードとコンデンサCMの正極と直流交流変換回路200の直流入力端子DC+とが、直流出力端子DCNにはダイオード部DX,DY,DZのアノードとコンデンサCMの負極と直流交流変換回路200の直流入力端子DC−とが接続されている。
【0033】
三相ブリッジ型MERS100は、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフに伴い、リアクトルLac1乃至Lac3に蓄積されていた磁気エネルギーを、コンデンサCMに、電荷の形で静電エネルギーとして回収し、回収したエネルギーを再びリアクトルLac1乃至Lac3に戻す。このコンデンサCMの端子間の電圧Vcmが、直流出力端子DCP−DCN間に、印加される。
【0034】
直流交流変換回路200の直流入力端子DC+にはダイオード部Du,Dv,Dwのカソードが、直流入力端子DC−にはダイオード部Dx,Dy,Dzのアノードが接続され、交流出力端子ACuにはダイオード部Duのアノードとダイオード部Dxのカソードと誘導性負荷LD1の一端とが、交流出力端子ACvにはダイオード部Dvのアノードとダイオード部Dyのカソードと誘導性負荷LD2の一端とが、交流出力端子ACwにはダイオード部Dwのアノードとダイオード部Dzのカソードと誘導性負荷LD3の一端とが接続されている。
直流交流変換回路200は、逆導通型半導体スイッチUSW乃至ZSWのオン・オフに伴い、直流入力端子DC+とDC−との間に印加された直流電圧を交流出力端子ACu乃至ACwに出力し、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に交流電圧を印加する。
【0035】
誘導性負荷LD1,LD2,LD3は、それぞれ、インダクタンスL1と抵抗R1との直列回路、インダクタンスL2と抵抗R2との直列回路、インダクタンスL3と抵抗R3との直列回路、で表される。誘導性負荷LD1,LD2,LD3は、例えば、三相モータの各相である。
【0036】
制御回路300は、逆導通型半導体スイッチSWU,SWV,SWW,SWX,SWY,SWZ,SWu,SWv,SWw,SWx,SWy,SWzのゲートGU,GV,GW,GX,GY,GZ,Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gzにそれぞれゲート信号SGGU,SGGV,SGGW,SGGX,SGGY,SGGZ,SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGzを出力する。
制御回路300は、例えば、コンパレータ、フリップフロップ、タイマ等から構成される電子回路である。
【0037】
ゲート信号SGGU乃至SGGZ,SGGu乃至SGGzは、オン信号とオフ信号からなり、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzのオン・オフを切り替える。
ゲート信号SGGU乃至SGGZ,SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号は、例えばオン信号がハイレベルの電圧で、オフ信号がローレベルの電圧である。
【0038】
制御回路300は、ゲート信号SGGU乃至SGGZによって、交流電圧源VS1の出力する電圧が正の場合は、逆導通型半導体スイッチSWXのオン・オフを制御し、逆導通型半導体スイッチSWUをオフに保ち、交流電圧源VS1の出力する電圧が負の場合は逆導通型半導体スイッチSWUのオン・オフを制御し、逆導通型半導体スイッチSWXをオフに保つ。同様に、交流電圧源VS2の出力する電圧が正の場合は、逆導通型半導体スイッチSWYのオン・オフを制御し逆導通型半導体スイッチSWVをオフに保ち、負の場合は逆導通型半導体スイッチSWVのオン・オフを制御し逆導通型半導体スイッチSWYをオフに保ち、交流電圧源VS3の出力する電圧が正の場合は、逆導通型半導体スイッチSWZのオン・オフを制御し逆導通型半導体スイッチSWWをオフに保ち、負の場合は逆導通型半導体スイッチSWWのオン・オフを制御し逆導通型半導体スイッチSWZをオフに保つ。
【0039】
逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフを制御する場合のゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号の時間・オフ信号の時間は、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に変わる直前のコンデンサCMの電圧Vcmが略0であるように、また、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオフ信号からオン信号に変わる直前の逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZを流れる電流が略0であるように、予め調整されている。このオン信号・オフ信号の期間は、コンデンサCMの容量とリアクトルLac1乃至Lac3のインダクタンスとで定まる共振の半周期より、それぞれ長いことが好ましい。
制御回路300は、例えば、図2に示すように、オン信号とオフ信号とのデューティ比が0.4で、周波数fが5キロHzのゲート信号SGGU乃至SGGZを用いて、交流電圧源VS1乃至VS3の出力電圧の正・負に対応する逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフを制御する。
【0040】
また、制御回路300は、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのゲートGu乃至Gzに、予め設定されたパルスパターンのゲート信号SGGu乃至SGGzを出力する。このパルスパターンは、例えば、図3に示すような、電流型インバータに用いられる多パルスのパルス幅変調のパルスパターンである。
【0041】
図3に示すように、ゲート信号SGGuとゲート信号SGGxとはオン信号・オフ信号が互いに逆で、同様に、ゲート信号SGGvとゲート信号SGGyとはオン信号・オフ信号が互いに逆で、ゲート信号SGGwとゲート信号SGGzとはオン信号・オフ信号が互いに逆である。
【0042】
また、制御回路300は、逆導通型半導体スイッチSWuとSWxのオン・オフが共にオンにならないように、同様に、逆導通型半導体スイッチSWvとSWyのオン・オフが、逆導通型半導体スイッチSWwとSWzのオン・オフが、共にオンにならないようにゲート信号SGGu乃至SGGzを制御する。
これは、コンデンサCMが逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzを介して短絡させないようにするためである。
【0043】
また、本発明にかかる電力変換装置10おいてゲート信号SGGu及びSGGxは、従来のパルスパターンとは違い、ゲート信号SGGu及びSGGxのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと、ゲート信号SGGv及びSGGyのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと、ゲート信号SGGw及びSGGzのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングとは、違うタイミングになるように制御されている。
そのため、逆導通型半導体スイッチSWuのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWv,SWy,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わることはなく、逆導通型半導体スイッチSWxのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWv,SWy,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わることはなく、逆導通型半導体スイッチSWvのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わることはなく、逆導通型半導体スイッチSWyのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わることはなく、逆導通型半導体スイッチSWwのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWv,及び,SWyのオン・オフが切り替わることはなく、逆導通型半導体スイッチSWzのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWv,及び,SWzのオン・オフが切り替わることはない。
この点が、従来の制御方法に対して新しいことである。その効果については後述する。
【0044】
次に、上記構成の電力変換装置10の動作を説明する。
まず、図4A乃至4Dを参照して、コンデンサCMに電圧が発生する動作について説明する。
【0045】
理解を容易にするために、交流電圧源VS1の出力する電圧が交流電圧源VS2の出力する電圧より高い場合の動作について説明する。図4A乃至4Dにおいて、交流電圧源VS3と逆導通型半導体スイッチSWW,SWZ、直流交流変換回路300、誘導性負荷LD1,LD2,LD3は省略してある。
初期状態は、コンデンサCMに電荷が蓄積されており、逆導通型半導体スイッチSWU,SWV,SWX,SWYがオフである図4Dの状態であるとする。
【0046】
予め設定された周波数fによって定まる時刻t1において、制御回路300は、ゲート信号SGGV、SGGXをオン信号に切り替え、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYをオフ信号に保持する。
逆導通型半導体スイッチSWV,SWXはオンに切り替わり、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYはオフを保持する。
すると、図4Aに示すように電流が、交流電圧源VS1から、交流入力端子AC1を通り、オンの逆導通型半導体スイッチSWXを介してコンデンサCMの負極に流入する。コンデンサCMの正極から流れ出す電流は、オンの逆導通型半導体スイッチSWVを介して交流入力端子AC2を通り、交流電圧源VS2を流れる。また、コンデンサCMの電圧Vcmは、直流出力端子DCP−DCN間に印加され、コンデンサCMに蓄積される静電エネルギーは、直流交流変換回路200を介して誘導性負荷LD1乃至LD3に供給される。
【0047】
コンデンサCMの電荷が全て放電される時刻t2において、図4Bに示すように、電流が、交流入力端子AC1から、オフの逆導通型半導体スイッチSWUとオンの逆導通型半導体スイッチSWVを通るルートと、オンの逆導通型半導体スイッチSWXとオフの逆導通型半導体スイッチSWYを通るルートの2つのルートを通り、交流入力端子AC2へ流れる。
リアクタンスLac1とリアクタンスLac2とは、電流が流れることによって磁気エネルギーが蓄積される。コンデンサCMの電圧Vcmはほぼ変化しない。
【0048】
制御回路300は予め設定されたデューティ比により、時刻t3において、ゲート信号SGGV,SGGXをオフ信号に切り替える。ゲート信号SGGU,SGGYはオフ信号に保持される。
逆導通型半導体スイッチSWV,SWXはオフに切り替わり、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYはオフを保持する。
逆導通型半導体スイッチSWVを流れる電流と逆導通型半導体スイッチSWXを流れる電流が遮断され、リアクトルLac1,Lac2に蓄積された磁気エネルギーによって、図4Cに示すように電流が、逆導通型半導体スイッチSWUのダイオード部DUを介してコンデンサCMの正極に流入する。これによりコンデンサCMは、リアクトルLac1,Lac2に蓄積された磁気エネルギーを、電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する。コンデンサCMの負極から流れる電流は、オフの逆導通型半導体スイッチSWYダイオード部DYを介して交流入力端子AC2を流れる。また、コンデンサCMの電圧Vcmは、直流出力端子DCP−DCN間に印加され、コンデンサCMに蓄積される静電エネルギーは、コンデンサCMを直流電圧源として直流交流変換回路200を介して誘導性負荷LD1乃至LD3に供給される。
時刻t2から時刻t3において、コンデンサCMの電圧が略0であることから、時刻t3におけるスイッチングは、ソフトスイッチングである。
【0049】
時刻t4においてリアクトルLac1,Lac2に蓄積されていた磁気エネルギーが無くなると、図4Dに示すように、交流入力端子AC1から交流入力端子AC2へ流れる電流は遮断される。また、コンデンサCMの電圧Vcmは、直流出力端子DCP−DCN間に印加され、コンデンサCMに蓄積される静電エネルギーは、直流交流変換回路200を介して誘導性負荷LD1乃至LD3に供給される。
【0050】
予め設定された周波数fにより定まる時刻t5において、再び、制御回路300は、ゲート信号SGGV、SGGXをオン信号に切り替え、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYをオフ信号に保持する。逆導通型半導体スイッチSWV,SWXはオンに切り替わり、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYはオフを保持する。
すると、再び図4Aに示すように電流が流れ、コンデンサCMに蓄積していた静電エネルギーが放出される。
時刻t4から時刻t5においては、図4Dからもわかるように、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYに電流は流れていない。よって、時刻t5におけるスイッチングはソフトスイッチングである。
【0051】
このように、電力変換装置10において、図4Aから図4Dに示したモードが、三相交流電源21の各相で繰り返されて、コンデンサCMにピークから略0の間で振動するパルス状の直流電圧が繰り返し発生する。
【0052】
以上のように、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフに対応してコンデンサCMにピークから略0の間で振動するパルス状の直流電圧が繰り返し発生し、この電圧が直流出力端子DCP−DCN間に印加される。
【0053】
この、ゲート信号SGGX,SGGVと、コンデンサCMの端子間にかかる電圧Vcmと、リアクトルLac1に流れる電流ILac1の関係は、例えば、図5(a)乃至(c)に示すようになる。
図5は、コンデンサCMに発生する電圧Vcmの時間変化の例を示すもので、図5(a)は電圧Vcmの時間変化を、図5(b)は電流ILac1の時間変化を、図5(c)はゲート信号SGGX,SGGVの時間変化を示す。図中のt1乃至t5は図4A乃至4Dの時刻t1乃至t5に対応する。
【0054】
制御回路300が、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフを上述のように制御することによって、コンデンサCMとリアクトルLac1,Lac2,Lac3とが共振し、図5(a)に示すようなピークから略0の間で振動するパルス状の直流電圧が、コンデンサCMに発生する。
そのため、図5(a),(c)に示すように、制御回路300によって出力されるゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号・オフ信号の1サイクルの間に、コンデンサCMは1度の充放電を完了する。
【0055】
また、上述したように、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に変わる時刻(例えば、時刻t3)において、コンデンサCMの電圧が略0である。よって、図5(a),(c)に示すように、時刻t3におけるスイッチングは、ソフトスイッチングである。
また、上述したように、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオフ信号からオン信号に変わる時刻(例えば、時刻t5)においては、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYに電流は流れていない。よって、図5(b),(c)に示すように、ゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号・オフ信号が切り替わる時は、ソフトスイッチングになる。
つまり、ゲート信号SGGX乃至SGGVのオン信号・オフ信号が切り替わる時、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZに印加される電圧が略0、あるいは、電流が略0であることから、このスイッチングはソフトスイッチングである。
【0056】
なお、上記時刻t3−t4の期間は、図4Cに示すように、コンデンサCMは、リアクトルLac1,Lac2と直列共振回路を形成している。そのため、コンデンサCMに電荷が蓄積せずリアクトルLac,Lac2に電流が流れている時刻t1から、コンデンサCMに電荷が蓄積しリアクトルLac,Lac2に電流が流れていない時刻t4までの時間は、コンデンサCMとリアクトルLac1,Lac2との直列回路の共振周期の略4分の1になる。
【0057】
以上のように、ゲート信号SGGX乃至SGGVのオン信号・オフ信号に対応して逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフが切り替わることによって、フルブリッジ型MERS100のコンデンサCMにパルス状の直流電圧が発生する。
また、この逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフの切り替えは、ソフトスイッチングである。
【0058】
次に、図6A乃至6Dを参照して、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に流れる電流ILD1,ILD2,ILD3について説明する。図6A,6B,6Cに示す矢印は、電流の流れる向きの正方向を示す。
【0059】
逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWwのうち、1つだけがオンの場合、例えば、逆導通型半導体スイッチSWu,SWy,SWzがオン,逆導通型半導体スイッチSWx,SWv,SWwがオフの場合、電流は、図6Aに示すように流れる。
コンデンサCMの電圧Vcmが、交流出力端子ACu−ACv間,ACu−ACw間に印可される。直流入力端子DC+から流れる電流Iinは、その正・負に関わらずオンの逆導通型半導体スイッチSWuを通って、誘導性負荷LD1を流れる。誘導性負荷LD1,LD2,LD3の共通接点から誘導性負荷LD2,LD3を流れる電流ILD2,ILD3は、その正・負に関わらず、オンの逆導通型半導体スイッチSWy,SWzを通り、直流入力端子DC−を流れる。
直流入力端子DC+から流れる電流Iinと、誘導性負荷LD1,LD2,LD3を流れる電流ILD1,ILD2,ILD3と、直流入力端子DC−へ流れる電流Ioutと、の関係は、キルヒホッフの第一法則から、Iin=ILD1=ILD2+ILD3=Ioutが成り立つ。
【0060】
逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWwのうち、2つがオンの場合、例えば、逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWzがオンで、逆導通型半導体スイッチSWx,SWy,SWwがオフの時、電流は、図6Bに示すように流れる。
コンデンサCMの電圧Vcmが、交流出力端子ACu−ACw間,ACv−ACw間に印可される。直流入力端子DC+から流れる電流Iinは、電流ILD1と電流ILD2とに分流し、その正・負に関わらずオンの逆導通型半導体スイッチSWu,SWvを通って、誘導性負荷LD1,LD2を流れる。誘導性負荷LD1,LD2,LD3の共通接点から誘導性負荷LD3を流れる電流ILD3は、その正・負に関わらず、オンの逆導通型半導体スイッチSWzを通り、直流入力端子DC−を流れる。
【0061】
逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWwの全てがオフの場合、電流は、図6Cに示すように流れる。
三相ブリッジ型MERS100から電力は供給されず(電流Iinが0)、コンデンサCMの電圧Vcmは誘導性負荷LD1乃至LD3に印加されない。誘導性負荷LD1乃至LD3に流れる電流ILD1乃至ILD3は、電流が流れることで蓄積された磁気エネルギーによって、電流の正・負に関わらず、オンの逆導通型半導体スイッチSWx,SWy,SWzを介して流れる。
【0062】
逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWwの全てがオンの場合、電流は、図6Dに示すように流れる。
三相ブリッジ型MERS100から電力は供給されず(電流Iinが0)、コンデンサCMの電圧Vcmは誘導性負荷LD1乃至LD3に印加されない。誘導性負荷LD1乃至LD3に流れる電流ILD1乃至ILD3は、電流が流れることで蓄積された磁気エネルギーによって、電流の正・負に関わらず、オンの逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWwを介して流れる。
【0063】
このように、逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWw,SWx,SWy,SWzのオン・オフに対応して、交流出力端子ACu,ACv,ACwの間に電圧Vcmが出力され、オンの逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzを介して誘導性負荷LD1,LD2,LD3に電流が流れ、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に交流電力が供給される。
【0064】
次に、制御回路300が出力するゲート信号SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGzのオン信号・オフ信号の切り替わりに伴う、コンデンサCMにかかる電圧Vcm、及び、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に流れる電流ILD1,ILD2,ILD3の変化について説明する。
【0065】
まず、理解を容易にするために、従来のパルスパターンでゲート信号SGGu乃至SGGzを制御した場合について、図7を参照して説明する。すなわち、ゲート信号SGGu及びSGGxのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと,ゲート信号SGGv及びSGGyのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと,ゲート信号SGGw及びSGGzのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと、が違うタイミングに設定しなかった場合について、説明する。
【0066】
図7は、コンデンサCMにかかる電圧Vcmと、ゲート信号SGGu乃至SGGzと、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に流れる負荷電流ILD1,ILD2,ILD3とのそれぞれの時間変化を示したものである。
図7(a)はコンデンサCMの電圧Vcm、図7(b)乃至(g)は、ゲート信号SGGu乃至SGGz、図7(h)乃至(j)は負荷電流ILD1乃至ILD3、の時間変化を示すものである。
【0067】
上述の動作を繰り返すことにより、図7(h)乃至(j)に示すように、位相が互いに略120°ずれた正弦波状の電流ILD1乃至ILD3が誘導性負荷LD1乃至LD3に流れる。
しかし、例えば、ゲート信号SGGvとSGGwとが同時にオン信号からオフ信号に切り替わる時刻Tp1において、電圧Vcmのピークが急激に(図7では略15キロVに)上昇する。同様に、ゲート信号SGGuとSGGwとが同時にオン信号からオフ信号に切り替わる時刻Tp2において、ゲート信号SGGuとSGGvとが同時にオン信号からオフ信号に切り替わる時刻Tp3において、電圧Vcmのピークが急激に上昇する。このように、2つのペアのゲート信号のオン・オフがほぼ同時にオン・オフ変化する時、電圧Vcmのピークが急激に上昇する。
【0068】
一方、本発明にかかる電力変換装置10の制御回路300が出力するゲート信号SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGzと、電圧Vcmと、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に流れる電流ILD1,ILD2,ILD3の関係は、例えば、図8に示すようになる。
【0069】
図8は、コンデンサCMにかかる電圧Vcmと、ゲート信号SGGu乃至SGGzと、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に流れる負荷電流ILD1,ILD2,ILD3とのそれぞれの時間変化を示したものである。
図8(a)はコンデンサCMの電圧Vcm、図8(b)乃至(g)は、ゲート信号SGGu乃至SGGz、図8(h)乃至(j)は負荷電流ILD1乃至ILD3、の時間変化を示すものである。
【0070】
本実施形態に係る電力変換装置10においては、従来のパルスパターンで制御した場合と違い、図8に示すように、ゲート信号SGGv及びSGGyのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと,ゲート信号SGGw及びSGGzのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと、のうち2つが同時になることがなく、従来のように、電圧Vcmのピークが急激に上昇することはない(図8においては12キロVまでしか上昇していない)。
【0071】
以上説明したように、三相フルブリッジMERS100の逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフを切り替えることによって、交流電圧源VS1,VS2,VS3の出力から、コンデンサCMにパルス状の直流電圧を繰り返し発生させ、この直流電圧を、直流交流変換回路200を介して誘導性負荷LD1,LD2,LD3に印加し、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に三相交流電流を流すことができる。
また、ゲート信号SGGu乃至SGGzのうち複数のオン・オフのタイミングが違うタイミングに設定されていることによって、コンデンサCMに発生する共振電圧のピークの変動を抑制することができる。
上記実施形態では、制御回路300は、逆導通型半導体スイッチSWuのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWv,SWy,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWxのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWv,SWy,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWvのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWyのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWwのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWv,及び,SWyのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWzのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWv,及び,SWzのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフを制御している。
【0072】
なお、本実施形態では、ゲート信号SGGu乃至SGGzのそれぞれに対してパルスパターンを予め設定していた。しかし、1つのパルスパターンを予め設定し、位相をずらす、反転させる等によって、ゲート信号SGGu乃至SGGzを生成してもよい。
例えば、ゲート信号SGGuはパルスパターンをそのまま当てはめ、ゲート信号SGGvはパルスパターンを120°ずらし、ゲート信号SGGwはパルスパターンを240°ずらし、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号が略同じタイミングで切り替わらないように制御する。また、ゲート信号SGGxはゲート信号SGGuを反転させたもの、ゲート信号SGGyはゲート信号SGGvを反転させたもの、ゲート信号SGGzはゲート信号SGGwを反転させてものにする。
【0073】
(実施形態2)
上記実施形態1にかかる電力変換装置10は、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフの切り替えはソフトスイッチングになっていたが、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフの切り替えが、ソフトスイッチングにならない可能性があった。
本実施形態にかかる電力変換装置20は、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzの切り替えも、ソフトスイッチングになるものである。
【0074】
本実施形態にかかる電力変換装置20は、実施形態1の電力変換装置10のゲート信号SGGu乃至SGGzのパルスパターンが、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に切り替わるタイミングの直前に、オン信号・オフ信号を切り替わるように、予め設定されているものである。その他の構成は、電力変換装置10と同一である。
【0075】
上述したように、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に切り替わる直前(図5のt3)において、コンデンサCMの電圧Vcmは略0である。
よって、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に切り替わるタイミングの直前に、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替わるようにパルスパターンを設定することによって、ソフトスイッチングが実現する。
【0076】
このように設定したゲート信号SGGuと、コンデンサCMの電圧Vcmとの関係は図9のようになる。
図9(a)はコンデンサCMに発生する共振電圧の概略を、図9(b)はコンデンサCMの電圧Vcmを示す。
【0077】
ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に切り替わるタイミングの直前に、ゲート信号SGGu乃至SGGzののオン信号・オフ信号を切り替わるようにパルスパターンを設定することによって、図9(a),(b)に示すように、コンデンサCMの電圧が略0であるタイミングで、パルスパターンのオン信号・オフ信号が切り替わる。
これにより、直流交流変換回路200においてソフトスイッチングが実現する。
【0078】
(実施形態3)
上記実施形態1,2では、予め設定されたパルスパターンによって、ゲート信号SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGzのオン信号・オフ信号を切り替える例を説明した。
しかし、ゲート信号SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGzは、パルスパターンではなく、通常のPWM(Pulse Width Modulate)によって制御されてもよい。
【0079】
本実施形態にかかる電力変換装置30は、上記電力変換装置10の制御回路300が、パルスパターンではなく、通常のPWM制御によって、ゲート信号SGGu乃至SGGzを制御するものである。
【0080】
制御回路300は、例えば、予め設定された目標となる波形と、予め設定されたPWM周波数の三角波を比較しゲート信号SGGu乃至SGGwを決定する。また、制御回路300は、ゲート信号SGGxをゲート信号SGGuに対して逆相に、ゲート信号SGGyをゲート信号SGGvに対して逆相に、ゲート信号SGGzをゲート信号SGGwに対して逆相にする。
これにより、コンデンサCMに発生する直流電圧が、PWM制御によって、誘導性負荷LD1乃至LD3に供給される。
【0081】
また、制御回路300は、ゲート信号SGGu乃至SGGwのうち複数が同時にオン信号からオフ信号に切り替わらないように、ゲート信号SGGu乃至SGGwを制御する。例えば、制御回路300は、ゲート信号SGGu乃至SGGwのうち、1つのゲート信号をオン信号からオフ信号に切り替えると、PWMの次の1周期の間、他の2つのゲート信号を切り替えない。これによって、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWwのうち複数がオンからオフに切り替わらない。また、ゲート信号SGGxをゲート信号SGGuに対して逆相に、ゲート信号SGGyをゲート信号SGGvに対して逆相に、ゲート信号SGGzをゲート信号SGGwに対して逆相であるので、逆導通型半導体スイッチSWx乃至SWzのうち複数がオフからオンに切り替わることもない。
【0082】
以上のように制御することによって、コンデンサCMの電圧Vcmのピーク値の変動が小さくなる。
【0083】
上記実施形態では、ゲート信号SGGu乃至SGGwのうち複数が同時にオン信号からオフ信号に切り替わらないように、ゲート信号SGGu乃至SGGwを制御する、として説明した。しかし、ゲート信号SGGx乃至SGGzのうち複数が同時にオフ信号からオン信号に切り替わらないように制御してもよいし、ゲート信号SGGu乃至SGGwのうち複数が同時にオン信号からオフ信号に切り替わらないように、かつ、ゲート信号SGGx乃至SGGzのうち複数が同時にオフ信号からオン信号に切り替わらないように制御してもよい。
【0084】
(実施形態4)
上記実施形態3では、制御回路300は、PWM制御によって、ゲート信号SGGu乃至SGGzの制御をした。しかし、ただPWM制御するだけでは、コンデンサCMに電圧が発生している時に、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzが切り替わる可能性がある。この場合、ハードスイッチングとなり、スイッチングにかかる消費電力が少なくない。
【0085】
本実施形態にかかる電力変換装置40は、電力変換装置30において、直流交流変換回路200の逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフをPWM制御でかつソフトスイッチングで切り替えるものである。
【0086】
電力変換装置40において制御回路300は、PWM制御において逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフを切り替えるタイミングになると、ゲート信号SGGU乃至SGGZを切り替えるタイミングまで待ち、ゲート信号SGGU乃至SGGZを切り替える前に、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替える。制御回路300は、この動作を繰り返す。
【0087】
次に、この電力変換装置40の動作を説明する。
【0088】
制御回路300は、PWM制御において逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフを切り替えるタイミングを決定する。ただし、この時は、ゲート信号SGGu乃至SGGWzのオン信号・オフ信号は切り替えない。このタイミングでは、コンデンサCMには電圧がかかっている可能性がある。
この後、ゲート信号SGGU乃至SGGZを切り替えるタイミングになると、制御回路300は、ゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号・オフ信号を切り替える前に、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替える。
ゲート信号SGGU乃至SGGZを切り替えるタイミングでは、上述したように、コンデンサCMの電圧Vcmは略0であるため、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替わりによる逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフの切り替わりはソフトスイッチングになる。
この動作を繰り返すことにより、コンデンサCMの電圧が略0のタイミングで、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフは切り替わるため、ソフトスイッチングが実現される。
【0089】
この制御によって出力されるゲート信号SGGu乃至SGGzとコンデンサCMの電圧Vcmとの関係は、例えば、図10のようになる。
図10(a)は、コンデンサCMの電圧Vcmを、図10(b)はPWM制御のみで決定されるゲート信号SGGuを、図10(c)はソフトスイッチングになるように制御されたゲート信号SGGuを示す。
【0090】
本実施形態において制御回路300は、図10(b),10(c)に示すように、PWM制御において逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフを切り替えるタイミングになっても、ゲート信号SGGuを切り替えない。制御回路300は、このタイミングの後に、ゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号・オフ信号を切り替えるタイミングになると、ゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号・オフ信号を切り替える前に、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替える。
この場合、図10(a)に示すようにコンデンサCMの電圧が略0である時間に、図10(b)に示すようにゲート信号SGGuのオン信号・オフ信号が切り替わる。よって、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのスイッチングにおいてもソフトスイッチングが実現する。
【0091】
(実施形態5)
上記実施形態2,4の電力変換装置20,40において、コンデンサCMの電圧Vcmを検出し、電圧Vcmの値が略0の時に、直流交流変換回路200をスイッチングをしてもよい。
例えば、図11に示すように、コンデンサCMの電圧を電圧検出器VMで検出し、制御回路300は、電圧検出器VMが検出したコンデンサCMの電圧Vcmが略0の期間に、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替える。
【0092】
これにより、コンデンサCMの電圧が略0のタイミングで、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフは切り替わるため、ソフトスイッチングが実現される。
【0093】
(実施形態6)
上記電力変換装置10において、三相ブリッジ型MERS100に置き換えて、図12に示すように単相のフルブリッジ型MERS110を用いても良い。フルブリッジ型MERS110は、直流出力端子DT1,DT2と、交流入力端子AT1,AT2と、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4と、コンデンサCMと、から構成される。
逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、スイッチ部S1乃至S4と、スイッチ部S1乃至S4に並列に接続されたダイオード部D1乃至D4とから構成されている。逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、例えば、パワーMOSFETである。
【0094】
交流入力端子AT1−AT2間には、交流電圧源VS4とリアクトルLac4との直列回路が接続され、直流出力端子DT1には直流交流変換回路200の直流入力端子DC+が、直流出力端子DT2には直流交流変換回路200の直流入力端子DC−が接続される。
【0095】
逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、交流入力端子AT1にダイオード部D1のアノードとダイオード部D2のカソードとに接続され、直流出力端子DT1にダイオード部D1のカソードとダイオード部D3のカソードとコンデンサCMの正極が接続され、直流出力端子DT2にダイオード部D2のアノードとダイオード部D4のアノードとコンデンサCMの負極が接続され、ダイオード部D3のアノードとダイオード部D4のカソードとが交流入力端子AT2に接続される。
【0096】
制御回路300は、交流電圧源VS4の出力する電圧が正の場合は、逆導通型半導体スイッチSW2,SW3のオン・オフを、負の場合は逆導通型半導体スイッチSW1、SW4のオン・オフを制御する。
【0097】
本実施形態の場合は、リアクトルLac4とコンデンサCMとが共振することにより、コンデンサCMにパルス状の電圧Vcmが繰り返し発生する。よって、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4のオン・オフのそれぞれの期間は、コンデンサCMの容量とリアクトルLac4のインダクタンスとで定まる共振の周期より長いことが好ましい。
この直流の電圧Vcmが発生するコンデンサCMを直流電圧源として、直流交流変換回路200を介して、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフに対応して、直流電力が交流電力に変換されて、誘導生負荷LD1乃至LD3に供給される。
【0098】
これによって、交流電圧源から、三相の誘導性負荷の各相に交流電流を供給することができる。
【0099】
以上のように、本発明によって、低損失で、交流電源から所望の周波数の交流電流が得られ、ピーク値の変動が小さい共振電圧を負荷に印加することができる。
【0100】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0101】
例えば、上記実施形態では、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzは、寄生ダイオードを有する自己消弧型素子(Nチャンネル型MOSFET)として説明した。しかし、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzは、逆導電型のスイッチであればよく、電界効果トランジスタや、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)や、ゲートターンオフサイリスタ(GTO:Gate Turn−Off thyristor)等の自己消弧型素子や、ダイオードと自己消弧型素子の組み合わせでもよい。
【0102】
また、制御回路300は、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフを、図2に示すような予め設定された周波数とデューティ比のゲート信号SGGU乃至SGGZで制御すると説明した。しかし、ゲート信号SGGU乃至SGGZは上述のものに限定されない。例えば、逆導通型半導体スイッチSWUとSWXのペア,逆導通型半導体スイッチSWV,SWYのペア,逆導通型半導体スイッチSWW,SWZのペアのうち、1組のペアのみ、あるいは、2組のペアを制御してもよい。例えば、デューティ比を一定にせずに、PWM制御してもよいし、PFC(Power Factor Correction)によって、力率を改善するように、ゲート信号SGGU乃至SGGZを制御してもよい。
【0103】
また、制御回路300は、上述した制御をする回路として説明したが、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶手段を備えたマイコン(マイクロコンコントローラ)などのコンピュータであってもよい。
この場合は、例えば、上述したゲート信号を出力するようなプログラムを、予めROMに記憶させればよい。
【0104】
また、ゲート信号SGGu乃至SGGzを制御するパルスパターン予め複数記憶させ、例えばユーザの指示に対応したパルスパターンを選択することで、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に供給する電力量を調整してもよい。
【符号の説明】
【0105】
10,20,30,40 電力変換装置
21 三相交流電源
VS1,VS2,VS3,VS4 交流電圧源
LD1,LD2,LD3 誘導性負荷
Lac1,Lac2,Lac3,Lac4 リアクトル
100 三相ブリッジ型MERS
110 フルブリッジ型MERS
200 直流交流変換回路
AC1,AC2,AC3,AT1,AT2 交流入力端子
DCP,DCN,DT1,DT2 直流出力端子
DC+,DC− 直流入力端子
ACu,ACv,ACw 交流出力端子
SWU,SWV,SWW,SWX,SWY,SWZ,SWu,SWv,SWw,SWx,SWy,SWz,SW1,SW2,SW3,SW4 逆導通型半導体スイッチ
CM コンデンサ
SU,SV,SW,SX,SY,SZ,Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz,S1,S2,S3,S4 スイッチ部
DU,DV,DW,DX,DY,DZ,Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz,D1,D2,D3,D4 ダイオード部
GU,GV,GW,GX,GY,GZ,Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz,G1,G2,G3,G4 ゲート
SGGU,SGGV,SGGW,SGGX,SGGY,SGGZ,SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGz,SGG1,SGG2,SGG3,SGG4 ゲート信号
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交流電圧源から直流電力を負荷に供給できる低損失な交流/直流電力変換装置が特許文献1に開示されている。
【0003】
この交流/直流電力変換装置は、交流電源と直列に接続された交流リアクトルと、この交流電源と交流リアクトルとの直列回路を交流端子間に接続され、直流負荷を直流端子間に接続されたMERSと、を備える。
この交流/直流電力変換装置は、MERSの逆導通型半導体スイッチをオン・オフすることで、MERSにパルス状の直流電圧を発生させる。このパルス状の直流電圧を発生するMERSのコンデンサが直流電圧源として機能する。また、このMERSのスイッチングはソフトスイッチングである。
【0004】
この交流/直流電力変換装置の直流端子間に、直流電力を交流電力に変換するインバータを介して誘導性負荷を接続すると、この誘導性負荷に交流電力を供給することができる。
また、MERSのコンデンサは電圧が0になる期間があるため、MERSのコンデンサ電圧が0の期間にインバータをスイッチングすることで、インバータにおいてもソフトスイッチングが実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−193817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の交流/直流電力変換装置の負荷として、三相モータなどの誘導性負荷が接続された三相インバータを接続した場合、MERSのコンデンサに発生するパルス状の直流電圧のピーク値の変動が大きくなるという問題があった。
ピークの変動が大きいと、変動が小さい場合に比べ、同じ電力を供給するにしても誘導性負荷に印加される電圧の最大値が大きくなる。そのため、誘導性負荷の耐電圧を大きくする必要がある。耐電圧が大きいとその誘導性負荷は大きくなり、システム全体として運搬性に乏しく、また経済性にも乏しくなる。
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、交流電圧源から所望の周波数の交流電流を負荷に供給可能で、負荷に供給される電圧のピーク値の変動が小さく、低損失な電力変換装置及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る電力変換装置は、
交流電源から供給される電力を、磁気エネルギーとして蓄積するリアクトルと、
コンデンサを備え、該リアクトルの磁気エネルギーを回収し、前記コンデンサに電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する磁気エネルギー回生スイッチと、
前記コンデンサの一方の極を接続された第1の直流入力端子と、前記コンデンサの他方の極を接続された第2の直流入力端子と、三相の誘導性負荷の各相を接続された第1乃至第3の交流出力端子と、第1乃至第6のダイオードと、第1乃至第6の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の直流入力端子には、前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードと前記第5のダイオードのカソードとが、前記第2の直流入力端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのアノードとが、接続され、前記第1の交流出力端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードが、前記第2の交流出力端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードが、前記第3の交流出力端子には前記第5のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのカソードが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が、前記第5のダイオードに前記第5の自己消弧型素子が、前記第6のダイオードに前記第6の自己消弧型素子が、並列に接続され、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフに対応して、前記コンデンサに発生した直流電圧を前記第1乃至第3の交流出力端子から前記誘導性負荷に出力する直流交流変換回路と、
前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のうち複数のオン・オフが略同じタイミングで切り替わらないように前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする。
【0009】
例えば、前記制御手段は、前記第1の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第3乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第2の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第3乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第3の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1,第2,第5,及び,第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1,第2,第5,及び,第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第5の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1乃至第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1乃至第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する。
【0010】
例えば、前記コンデンサに発生する直流電圧は、パルス状の直流電圧である。
【0011】
例えば、前記制御手段は、前記コンデンサの電圧が略0の時に、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフを切り替える。
【0012】
例えば、前記制御手段は、前記第1と第4の自己消弧型素子がともにオンにならず、前記第2と第5の自己消弧型素子がともにオンにならず、前記第3と第6の自己消弧型素子がともにオンにならないように、前記第1乃至6の自己消弧型素子を制御する。
【0013】
例えば、前記制御手段は、パルスパターンによって前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する。
【0014】
例えば、前記制御手段は、パルス幅変調によって前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する。
【0015】
例えば、前記交流電源は三相交流電源であり、
前記リアクトルは、三相交流電源の第1相に一端を接続される第1のリアクトル、第2相に一端を接続される第2のリアクトル、第3相に一端を接続される第3のリアクトルから構成され、
前記磁気エネルギー回生スイッチは、第1乃至第3の交流入力端子と、第1と第2の直流出力端子と、第7乃至第12のダイオードと、第7乃至第12の自己消弧型素子と、コンデンサとを備え、前記第1の交流入力端子には前記第1のリアクトルの他端と前記第7のダイオードのアノードと前記第8のダイオードのカソードとが、前記第2の交流入力端子には前記第2のリアクトルの他端と前記第9のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのカソードとが、前記第3の交流入力端子には前記第3のリアクトルの他端と前記第11のダイオードのアノードと前記第12のダイオードのカソードとが、接続され、前記第1の直流出力端子には、前記第7のダイオードのカソードと前記第9のダイオードのカソードと前記第11のダイオードのカソードと前記コンデンサの一方の極とが、前記第2の直流出力端子には前記第8のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのアノードと前記第12のダイオードのアノードと前記コンデンサの他方の極とが、接続され、前記第7のダイオードに前記第7の自己消弧型素子が、前記第8のダイオードに前記第8の自己消弧型素子が、前記第9のダイオードに前記第9の自己消弧型素子が、前記第10のダイオードに前記第10の自己消弧型素子が、前記第11のダイオードに前記第11の自己消弧型素子が、前記第12のダイオードに前記第12の自己消弧型素子が並列に接続される三相ブリッジ型磁気エネルギー回生スイッチであり、
前記制御手段は、前記第1乃至第12の自己消弧型素子のオン・オフを制御する。
【0016】
例えば、前記第7乃至第12の自己消弧型素子がオフからオンに変わる直前の前記コンデンサの電圧が略0である。
【0017】
例えば、前記第7乃至第12の自己消弧型素子がオフからオンに変わる直前に前記第7乃至第12の自己消弧型素子に流れる電流は略0である。
【0018】
例えば、前記制御手段は、前記三相交流電源の第1相の出力が正の場合は、前記第7の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第8の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第1相の出力が負の場合は、前記第8の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第7の自己消弧型素子をオフに保持させ、第2相の出力が正の場合は、前記第9の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第10の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第2相の出力が負の場合は、前記第10の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第9の自己消弧型素子をオフに保持させ、第3相の出力が正の場合は前記第11の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第12の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第3相の出力が負の場合は前記第12の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替え、かつ前記第11の自己消弧型素子をオフに保持させる。
【0019】
例えば、前記磁気エネルギー回生スイッチは、第1の交流入力端子と、当該第1の交流入力端子との間に前記交流電源とリアクトルの直列回路を接続された第2の交流入力端子と、第1と第2の直流出力端子と、前記第1と第2の直流出力端子の間に接続されたコンデンサと、第7乃至第10のダイオードと、第7乃至第10の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の交流入力端子には前記第7のダイオードのアノードと前記第8のダイオードのカソードとが、前記第2の交流入力端子には前記第9のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのカソードとが、接続され、前記第1の直流出力端子には、前記第7のダイオードのカソードと前記第9のダイオードのカソードとが、前記第2の直流出力端子には前記第8のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのアノードとが、接続され、前記第7のダイオードに前記第7の自己消弧型素子が、前記第8のダイオードに前記第8の自己消弧型素子が、前記第9のダイオードに前記第9の自己消弧型素子が、前記第10のダイオードに前記第10の自己消弧型素子が、並列に接続されたフルブリッジ型磁気エネルギー回生スイッチであり、
前記制御手段は、前記第1乃至10の自己消弧型素子のオン・オフを制御する。
【0020】
例えば、前記第7乃至第10の逆導通型半導体がオフからオンに変わる直前の前記コンデンサの電圧が略0である。
【0021】
例えば、前記第7乃至第10の逆導通型半導体がオフからオンに変わる直前に前記第7乃至第10の逆導通型半導体スイッチに流れる電流は略0である。
【0022】
前記制御手段は、前記交流電源の出力電圧が正の場合は、前記第8と第9の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第7と第10の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記出力電圧が負の場合は、前記第7と第10の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第8と第9の自己消弧型素子をオフに保持させてもよい。
【0023】
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係る制御方法は、
交流電源から供給される電力を、磁気エネルギーとして蓄積するリアクトルと、
コンデンサを備え、該リアクトルの磁気エネルギーを回収し、前記コンデンサに電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する磁気エネルギー回生スイッチと、
前記コンデンサの一方の極を接続された第1の直流入力端子と、前記コンデンサの他方の極を接続された第2の直流入力端子と、三相の誘導性負荷の各相を接続された第1乃至第3の交流出力端子と、第1乃至第6のダイオードと、第1乃至第6の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の直流入力端子には、前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードと前記第5のダイオードのカソードとが、前記第2の直流入力端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのアノードとが、接続され、前記第1の交流出力端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードが、前記第2の交流出力端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードが、前記第3の交流出力端子には前記第5のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのカソードが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が、前記第5のダイオードに前記第5の自己消弧型素子が、前記第6のダイオードに前記第6の自己消弧型素子が、並列に接続され、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフに対応した前記誘導性負荷に、前記コンデンサに発生した直流電圧を交流電圧に変換して印可する直流交流変換回路と、
を備えた電力変換装置において前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する制御方法であって、
前記第1乃至第6の自己消弧型素子のうち複数のオン・オフが略同じタイミングで切り替わらないように前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、低損失で、交流電源から、電圧ピーク値の変動が少ないパルス状の電圧を負荷に印加することで、所望の周波数の交流電力を負荷に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す回路図である。
【図2】図1の電力変換装置の行う制御を説明するための図である。
【図3】(a)乃至(f)は、図1の電力変換装置の行う制御を説明するための図である。
【図4A】図1に示す電力変換装置の、交流電源からパルス状の直流電圧を発生させる動作を説明するための図である。
【図4B】図1に示す電力変換装置の、交流電源からパルス状の直流電圧を発生させる動作を説明するための図である。
【図4C】図1に示す電力変換装置の、交流電源からパルス状の直流電圧を発生させる動作を説明するための図である。
【図4D】図1に示す電力変換装置の、交流電源からパルス状の直流電圧を発生させる動作を説明するための図である。
【図5】(a)乃至(c)は、図1の電力変換装置の出力するゲート信号とコンデンサに発生するパルス状の直流電圧とリアクトルに流れる電流との関係を説明するための図である。
【図6A】図1に示す電力変換装置の、パルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する動作を説明するための図である。
【図6B】図1に示す電力変換装置の、パルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する動作を説明するための図である。
【図6C】図1に示す電力変換装置の、パルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する動作を説明するための図である。
【図6D】図1に示す電力変換装置の、パルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する動作を説明するための図である。
【図7】(a)乃至(j)は、図1に示す電力変換装置において、従来の制御方法でのゲート信号と、誘導性負荷に流れる電流と、コンデンサに発生する電圧と、の関係を示す図である。
【図8】(a)乃至(j)は、図1に示す電力変換装置において、本発明にかかる制御方法でのゲート信号と、誘導性負荷に流れる電流と、コンデンサに発生する電圧と、の関係を示す図である。
【図9】(a),(b)は、図1に示す電力変換装置において、ソフトスイッチングで、コンデンサに発生するパルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する場合の、コンデンサに発生するパルス状の直流電圧と、パルスパターンで制御されるゲート信号と、の関係を示す図である。
【図10】(a)乃至(c)は、図1に示す電力変換装置において、コンデンサに発生するパルス状の直流電圧から交流電力を負荷に供給する場合の、コンデンサに発生するパルス状の直流電圧と、PWM(Pulse Width Modulation)によって制御されるゲート信号と、の関係を示す図である。
【図11】図1の電力変換装置の応用例を示す図である。
【図12】図1の電力変換装置の応用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態に係る電力変換装置を、図面を参照しつつ説明する。
【0027】
(実施形態1)
図1に示すように、本実施形態に係る電力変換装置10は、リアクトルLac1,Lac2,Lac3と、三相ブリッジ型MERS100と、直流交流変換回路200と、制御回路300と、から構成され、三相交流電源21と、3つの誘導性負荷LD1,LD2,LD3と、の間に接続されている。
【0028】
三相ブリッジ型MERS100は、6つの逆導通型半導体スイッチSWU,SWV,SWW,SWX,SWY,SWZと、コンデンサCMと、交流入力端子AC1,AC2,AC3と、直流出力端子DCP,DCNと、から構成されている。
直流交流変換回路200は、6つの逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWw,SWx,SWy,SWzと、直流入力端子DC+,DC−と、交流出力端子ACu,ACv,ACwと、から構成されている。
逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzは、ダイオード部DU乃至DZ,Du乃至Dzと、ダイオード部DU乃至DZ,Du乃至Dzに並列に接続されたスイッチ部SU乃至SZ,Su乃至Szと、スイッチ部SU乃至SZ,Su乃至Szに配置されたゲートGU乃至GZ,Gu乃至Gzと、から構成されている。
【0029】
スイッチ部SU乃至SZ,Su乃至Szは、ゲートGU乃至GZ,Gu乃至Gzにオン信号が入力されるとオンに、オフ信号が入力されるとオフになる。
スイッチ部SU乃至SZ,Su乃至Szがオンになると、ダイオード部DU乃至DZ,Du乃至Dzは短絡され、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzの順逆両方向がオンになる。
スイッチ部SU乃至SZ,Su乃至Szがオフになると、ダイオード部DU乃至DZ,Du乃至Dzが機能し、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzはダイオード部DU乃至DZ,Du乃至Dzのみ片方向オンとなる。
逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzは、例えば、寄生ダイオードを有するNチャンネル型シリコンMOSFET(MOSFET:Metbl−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)である。
【0030】
三相交流電源21は、交流電圧源VS1,VS2,VS3から構成される。交流電圧源VS1,VS2,VS3の出力は、リアクトルLac1,Lac2,Lac3の一端に接続されている。
三相交流電源21は、例えば、定格出力50Hz,2125Vの三相交流発電機である。
【0031】
リアクトルLac1,Lac2,Lac3の他端は、三相ブリッジ型MERS100の交流入力端子AC1,AC2,AC3に接続されている。
リアクトルLac1乃至Lac3は、電流が流れることによって、三相交流電源21から供給される電力を磁気エネルギーとして蓄積する。
【0032】
三相ブリッジ型MERS100の交流入力端子AC1にはダイオード部DUのアノードとダイオード部DXのカソードとが、交流入力端子AC2にはダイオード部DVのアノードとダイオード部DYのカソードとが、交流入力端子AC3にはダイオード部DWのアノードとダイオード部DZのカソードとが接続され、直流出力端子DCPにはダイオード部DU,DV,DWのカソードとコンデンサCMの正極と直流交流変換回路200の直流入力端子DC+とが、直流出力端子DCNにはダイオード部DX,DY,DZのアノードとコンデンサCMの負極と直流交流変換回路200の直流入力端子DC−とが接続されている。
【0033】
三相ブリッジ型MERS100は、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフに伴い、リアクトルLac1乃至Lac3に蓄積されていた磁気エネルギーを、コンデンサCMに、電荷の形で静電エネルギーとして回収し、回収したエネルギーを再びリアクトルLac1乃至Lac3に戻す。このコンデンサCMの端子間の電圧Vcmが、直流出力端子DCP−DCN間に、印加される。
【0034】
直流交流変換回路200の直流入力端子DC+にはダイオード部Du,Dv,Dwのカソードが、直流入力端子DC−にはダイオード部Dx,Dy,Dzのアノードが接続され、交流出力端子ACuにはダイオード部Duのアノードとダイオード部Dxのカソードと誘導性負荷LD1の一端とが、交流出力端子ACvにはダイオード部Dvのアノードとダイオード部Dyのカソードと誘導性負荷LD2の一端とが、交流出力端子ACwにはダイオード部Dwのアノードとダイオード部Dzのカソードと誘導性負荷LD3の一端とが接続されている。
直流交流変換回路200は、逆導通型半導体スイッチUSW乃至ZSWのオン・オフに伴い、直流入力端子DC+とDC−との間に印加された直流電圧を交流出力端子ACu乃至ACwに出力し、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に交流電圧を印加する。
【0035】
誘導性負荷LD1,LD2,LD3は、それぞれ、インダクタンスL1と抵抗R1との直列回路、インダクタンスL2と抵抗R2との直列回路、インダクタンスL3と抵抗R3との直列回路、で表される。誘導性負荷LD1,LD2,LD3は、例えば、三相モータの各相である。
【0036】
制御回路300は、逆導通型半導体スイッチSWU,SWV,SWW,SWX,SWY,SWZ,SWu,SWv,SWw,SWx,SWy,SWzのゲートGU,GV,GW,GX,GY,GZ,Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gzにそれぞれゲート信号SGGU,SGGV,SGGW,SGGX,SGGY,SGGZ,SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGzを出力する。
制御回路300は、例えば、コンパレータ、フリップフロップ、タイマ等から構成される電子回路である。
【0037】
ゲート信号SGGU乃至SGGZ,SGGu乃至SGGzは、オン信号とオフ信号からなり、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzのオン・オフを切り替える。
ゲート信号SGGU乃至SGGZ,SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号は、例えばオン信号がハイレベルの電圧で、オフ信号がローレベルの電圧である。
【0038】
制御回路300は、ゲート信号SGGU乃至SGGZによって、交流電圧源VS1の出力する電圧が正の場合は、逆導通型半導体スイッチSWXのオン・オフを制御し、逆導通型半導体スイッチSWUをオフに保ち、交流電圧源VS1の出力する電圧が負の場合は逆導通型半導体スイッチSWUのオン・オフを制御し、逆導通型半導体スイッチSWXをオフに保つ。同様に、交流電圧源VS2の出力する電圧が正の場合は、逆導通型半導体スイッチSWYのオン・オフを制御し逆導通型半導体スイッチSWVをオフに保ち、負の場合は逆導通型半導体スイッチSWVのオン・オフを制御し逆導通型半導体スイッチSWYをオフに保ち、交流電圧源VS3の出力する電圧が正の場合は、逆導通型半導体スイッチSWZのオン・オフを制御し逆導通型半導体スイッチSWWをオフに保ち、負の場合は逆導通型半導体スイッチSWWのオン・オフを制御し逆導通型半導体スイッチSWZをオフに保つ。
【0039】
逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフを制御する場合のゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号の時間・オフ信号の時間は、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に変わる直前のコンデンサCMの電圧Vcmが略0であるように、また、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオフ信号からオン信号に変わる直前の逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZを流れる電流が略0であるように、予め調整されている。このオン信号・オフ信号の期間は、コンデンサCMの容量とリアクトルLac1乃至Lac3のインダクタンスとで定まる共振の半周期より、それぞれ長いことが好ましい。
制御回路300は、例えば、図2に示すように、オン信号とオフ信号とのデューティ比が0.4で、周波数fが5キロHzのゲート信号SGGU乃至SGGZを用いて、交流電圧源VS1乃至VS3の出力電圧の正・負に対応する逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフを制御する。
【0040】
また、制御回路300は、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのゲートGu乃至Gzに、予め設定されたパルスパターンのゲート信号SGGu乃至SGGzを出力する。このパルスパターンは、例えば、図3に示すような、電流型インバータに用いられる多パルスのパルス幅変調のパルスパターンである。
【0041】
図3に示すように、ゲート信号SGGuとゲート信号SGGxとはオン信号・オフ信号が互いに逆で、同様に、ゲート信号SGGvとゲート信号SGGyとはオン信号・オフ信号が互いに逆で、ゲート信号SGGwとゲート信号SGGzとはオン信号・オフ信号が互いに逆である。
【0042】
また、制御回路300は、逆導通型半導体スイッチSWuとSWxのオン・オフが共にオンにならないように、同様に、逆導通型半導体スイッチSWvとSWyのオン・オフが、逆導通型半導体スイッチSWwとSWzのオン・オフが、共にオンにならないようにゲート信号SGGu乃至SGGzを制御する。
これは、コンデンサCMが逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzを介して短絡させないようにするためである。
【0043】
また、本発明にかかる電力変換装置10おいてゲート信号SGGu及びSGGxは、従来のパルスパターンとは違い、ゲート信号SGGu及びSGGxのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと、ゲート信号SGGv及びSGGyのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと、ゲート信号SGGw及びSGGzのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングとは、違うタイミングになるように制御されている。
そのため、逆導通型半導体スイッチSWuのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWv,SWy,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わることはなく、逆導通型半導体スイッチSWxのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWv,SWy,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わることはなく、逆導通型半導体スイッチSWvのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わることはなく、逆導通型半導体スイッチSWyのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わることはなく、逆導通型半導体スイッチSWwのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWv,及び,SWyのオン・オフが切り替わることはなく、逆導通型半導体スイッチSWzのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWv,及び,SWzのオン・オフが切り替わることはない。
この点が、従来の制御方法に対して新しいことである。その効果については後述する。
【0044】
次に、上記構成の電力変換装置10の動作を説明する。
まず、図4A乃至4Dを参照して、コンデンサCMに電圧が発生する動作について説明する。
【0045】
理解を容易にするために、交流電圧源VS1の出力する電圧が交流電圧源VS2の出力する電圧より高い場合の動作について説明する。図4A乃至4Dにおいて、交流電圧源VS3と逆導通型半導体スイッチSWW,SWZ、直流交流変換回路300、誘導性負荷LD1,LD2,LD3は省略してある。
初期状態は、コンデンサCMに電荷が蓄積されており、逆導通型半導体スイッチSWU,SWV,SWX,SWYがオフである図4Dの状態であるとする。
【0046】
予め設定された周波数fによって定まる時刻t1において、制御回路300は、ゲート信号SGGV、SGGXをオン信号に切り替え、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYをオフ信号に保持する。
逆導通型半導体スイッチSWV,SWXはオンに切り替わり、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYはオフを保持する。
すると、図4Aに示すように電流が、交流電圧源VS1から、交流入力端子AC1を通り、オンの逆導通型半導体スイッチSWXを介してコンデンサCMの負極に流入する。コンデンサCMの正極から流れ出す電流は、オンの逆導通型半導体スイッチSWVを介して交流入力端子AC2を通り、交流電圧源VS2を流れる。また、コンデンサCMの電圧Vcmは、直流出力端子DCP−DCN間に印加され、コンデンサCMに蓄積される静電エネルギーは、直流交流変換回路200を介して誘導性負荷LD1乃至LD3に供給される。
【0047】
コンデンサCMの電荷が全て放電される時刻t2において、図4Bに示すように、電流が、交流入力端子AC1から、オフの逆導通型半導体スイッチSWUとオンの逆導通型半導体スイッチSWVを通るルートと、オンの逆導通型半導体スイッチSWXとオフの逆導通型半導体スイッチSWYを通るルートの2つのルートを通り、交流入力端子AC2へ流れる。
リアクタンスLac1とリアクタンスLac2とは、電流が流れることによって磁気エネルギーが蓄積される。コンデンサCMの電圧Vcmはほぼ変化しない。
【0048】
制御回路300は予め設定されたデューティ比により、時刻t3において、ゲート信号SGGV,SGGXをオフ信号に切り替える。ゲート信号SGGU,SGGYはオフ信号に保持される。
逆導通型半導体スイッチSWV,SWXはオフに切り替わり、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYはオフを保持する。
逆導通型半導体スイッチSWVを流れる電流と逆導通型半導体スイッチSWXを流れる電流が遮断され、リアクトルLac1,Lac2に蓄積された磁気エネルギーによって、図4Cに示すように電流が、逆導通型半導体スイッチSWUのダイオード部DUを介してコンデンサCMの正極に流入する。これによりコンデンサCMは、リアクトルLac1,Lac2に蓄積された磁気エネルギーを、電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する。コンデンサCMの負極から流れる電流は、オフの逆導通型半導体スイッチSWYダイオード部DYを介して交流入力端子AC2を流れる。また、コンデンサCMの電圧Vcmは、直流出力端子DCP−DCN間に印加され、コンデンサCMに蓄積される静電エネルギーは、コンデンサCMを直流電圧源として直流交流変換回路200を介して誘導性負荷LD1乃至LD3に供給される。
時刻t2から時刻t3において、コンデンサCMの電圧が略0であることから、時刻t3におけるスイッチングは、ソフトスイッチングである。
【0049】
時刻t4においてリアクトルLac1,Lac2に蓄積されていた磁気エネルギーが無くなると、図4Dに示すように、交流入力端子AC1から交流入力端子AC2へ流れる電流は遮断される。また、コンデンサCMの電圧Vcmは、直流出力端子DCP−DCN間に印加され、コンデンサCMに蓄積される静電エネルギーは、直流交流変換回路200を介して誘導性負荷LD1乃至LD3に供給される。
【0050】
予め設定された周波数fにより定まる時刻t5において、再び、制御回路300は、ゲート信号SGGV、SGGXをオン信号に切り替え、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYをオフ信号に保持する。逆導通型半導体スイッチSWV,SWXはオンに切り替わり、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYはオフを保持する。
すると、再び図4Aに示すように電流が流れ、コンデンサCMに蓄積していた静電エネルギーが放出される。
時刻t4から時刻t5においては、図4Dからもわかるように、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYに電流は流れていない。よって、時刻t5におけるスイッチングはソフトスイッチングである。
【0051】
このように、電力変換装置10において、図4Aから図4Dに示したモードが、三相交流電源21の各相で繰り返されて、コンデンサCMにピークから略0の間で振動するパルス状の直流電圧が繰り返し発生する。
【0052】
以上のように、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフに対応してコンデンサCMにピークから略0の間で振動するパルス状の直流電圧が繰り返し発生し、この電圧が直流出力端子DCP−DCN間に印加される。
【0053】
この、ゲート信号SGGX,SGGVと、コンデンサCMの端子間にかかる電圧Vcmと、リアクトルLac1に流れる電流ILac1の関係は、例えば、図5(a)乃至(c)に示すようになる。
図5は、コンデンサCMに発生する電圧Vcmの時間変化の例を示すもので、図5(a)は電圧Vcmの時間変化を、図5(b)は電流ILac1の時間変化を、図5(c)はゲート信号SGGX,SGGVの時間変化を示す。図中のt1乃至t5は図4A乃至4Dの時刻t1乃至t5に対応する。
【0054】
制御回路300が、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフを上述のように制御することによって、コンデンサCMとリアクトルLac1,Lac2,Lac3とが共振し、図5(a)に示すようなピークから略0の間で振動するパルス状の直流電圧が、コンデンサCMに発生する。
そのため、図5(a),(c)に示すように、制御回路300によって出力されるゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号・オフ信号の1サイクルの間に、コンデンサCMは1度の充放電を完了する。
【0055】
また、上述したように、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に変わる時刻(例えば、時刻t3)において、コンデンサCMの電圧が略0である。よって、図5(a),(c)に示すように、時刻t3におけるスイッチングは、ソフトスイッチングである。
また、上述したように、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオフ信号からオン信号に変わる時刻(例えば、時刻t5)においては、逆導通型半導体スイッチSWU,SWYに電流は流れていない。よって、図5(b),(c)に示すように、ゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号・オフ信号が切り替わる時は、ソフトスイッチングになる。
つまり、ゲート信号SGGX乃至SGGVのオン信号・オフ信号が切り替わる時、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZに印加される電圧が略0、あるいは、電流が略0であることから、このスイッチングはソフトスイッチングである。
【0056】
なお、上記時刻t3−t4の期間は、図4Cに示すように、コンデンサCMは、リアクトルLac1,Lac2と直列共振回路を形成している。そのため、コンデンサCMに電荷が蓄積せずリアクトルLac,Lac2に電流が流れている時刻t1から、コンデンサCMに電荷が蓄積しリアクトルLac,Lac2に電流が流れていない時刻t4までの時間は、コンデンサCMとリアクトルLac1,Lac2との直列回路の共振周期の略4分の1になる。
【0057】
以上のように、ゲート信号SGGX乃至SGGVのオン信号・オフ信号に対応して逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフが切り替わることによって、フルブリッジ型MERS100のコンデンサCMにパルス状の直流電圧が発生する。
また、この逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフの切り替えは、ソフトスイッチングである。
【0058】
次に、図6A乃至6Dを参照して、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に流れる電流ILD1,ILD2,ILD3について説明する。図6A,6B,6Cに示す矢印は、電流の流れる向きの正方向を示す。
【0059】
逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWwのうち、1つだけがオンの場合、例えば、逆導通型半導体スイッチSWu,SWy,SWzがオン,逆導通型半導体スイッチSWx,SWv,SWwがオフの場合、電流は、図6Aに示すように流れる。
コンデンサCMの電圧Vcmが、交流出力端子ACu−ACv間,ACu−ACw間に印可される。直流入力端子DC+から流れる電流Iinは、その正・負に関わらずオンの逆導通型半導体スイッチSWuを通って、誘導性負荷LD1を流れる。誘導性負荷LD1,LD2,LD3の共通接点から誘導性負荷LD2,LD3を流れる電流ILD2,ILD3は、その正・負に関わらず、オンの逆導通型半導体スイッチSWy,SWzを通り、直流入力端子DC−を流れる。
直流入力端子DC+から流れる電流Iinと、誘導性負荷LD1,LD2,LD3を流れる電流ILD1,ILD2,ILD3と、直流入力端子DC−へ流れる電流Ioutと、の関係は、キルヒホッフの第一法則から、Iin=ILD1=ILD2+ILD3=Ioutが成り立つ。
【0060】
逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWwのうち、2つがオンの場合、例えば、逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWzがオンで、逆導通型半導体スイッチSWx,SWy,SWwがオフの時、電流は、図6Bに示すように流れる。
コンデンサCMの電圧Vcmが、交流出力端子ACu−ACw間,ACv−ACw間に印可される。直流入力端子DC+から流れる電流Iinは、電流ILD1と電流ILD2とに分流し、その正・負に関わらずオンの逆導通型半導体スイッチSWu,SWvを通って、誘導性負荷LD1,LD2を流れる。誘導性負荷LD1,LD2,LD3の共通接点から誘導性負荷LD3を流れる電流ILD3は、その正・負に関わらず、オンの逆導通型半導体スイッチSWzを通り、直流入力端子DC−を流れる。
【0061】
逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWwの全てがオフの場合、電流は、図6Cに示すように流れる。
三相ブリッジ型MERS100から電力は供給されず(電流Iinが0)、コンデンサCMの電圧Vcmは誘導性負荷LD1乃至LD3に印加されない。誘導性負荷LD1乃至LD3に流れる電流ILD1乃至ILD3は、電流が流れることで蓄積された磁気エネルギーによって、電流の正・負に関わらず、オンの逆導通型半導体スイッチSWx,SWy,SWzを介して流れる。
【0062】
逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWwの全てがオンの場合、電流は、図6Dに示すように流れる。
三相ブリッジ型MERS100から電力は供給されず(電流Iinが0)、コンデンサCMの電圧Vcmは誘導性負荷LD1乃至LD3に印加されない。誘導性負荷LD1乃至LD3に流れる電流ILD1乃至ILD3は、電流が流れることで蓄積された磁気エネルギーによって、電流の正・負に関わらず、オンの逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWwを介して流れる。
【0063】
このように、逆導通型半導体スイッチSWu,SWv,SWw,SWx,SWy,SWzのオン・オフに対応して、交流出力端子ACu,ACv,ACwの間に電圧Vcmが出力され、オンの逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzを介して誘導性負荷LD1,LD2,LD3に電流が流れ、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に交流電力が供給される。
【0064】
次に、制御回路300が出力するゲート信号SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGzのオン信号・オフ信号の切り替わりに伴う、コンデンサCMにかかる電圧Vcm、及び、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に流れる電流ILD1,ILD2,ILD3の変化について説明する。
【0065】
まず、理解を容易にするために、従来のパルスパターンでゲート信号SGGu乃至SGGzを制御した場合について、図7を参照して説明する。すなわち、ゲート信号SGGu及びSGGxのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと,ゲート信号SGGv及びSGGyのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと,ゲート信号SGGw及びSGGzのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと、が違うタイミングに設定しなかった場合について、説明する。
【0066】
図7は、コンデンサCMにかかる電圧Vcmと、ゲート信号SGGu乃至SGGzと、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に流れる負荷電流ILD1,ILD2,ILD3とのそれぞれの時間変化を示したものである。
図7(a)はコンデンサCMの電圧Vcm、図7(b)乃至(g)は、ゲート信号SGGu乃至SGGz、図7(h)乃至(j)は負荷電流ILD1乃至ILD3、の時間変化を示すものである。
【0067】
上述の動作を繰り返すことにより、図7(h)乃至(j)に示すように、位相が互いに略120°ずれた正弦波状の電流ILD1乃至ILD3が誘導性負荷LD1乃至LD3に流れる。
しかし、例えば、ゲート信号SGGvとSGGwとが同時にオン信号からオフ信号に切り替わる時刻Tp1において、電圧Vcmのピークが急激に(図7では略15キロVに)上昇する。同様に、ゲート信号SGGuとSGGwとが同時にオン信号からオフ信号に切り替わる時刻Tp2において、ゲート信号SGGuとSGGvとが同時にオン信号からオフ信号に切り替わる時刻Tp3において、電圧Vcmのピークが急激に上昇する。このように、2つのペアのゲート信号のオン・オフがほぼ同時にオン・オフ変化する時、電圧Vcmのピークが急激に上昇する。
【0068】
一方、本発明にかかる電力変換装置10の制御回路300が出力するゲート信号SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGzと、電圧Vcmと、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に流れる電流ILD1,ILD2,ILD3の関係は、例えば、図8に示すようになる。
【0069】
図8は、コンデンサCMにかかる電圧Vcmと、ゲート信号SGGu乃至SGGzと、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に流れる負荷電流ILD1,ILD2,ILD3とのそれぞれの時間変化を示したものである。
図8(a)はコンデンサCMの電圧Vcm、図8(b)乃至(g)は、ゲート信号SGGu乃至SGGz、図8(h)乃至(j)は負荷電流ILD1乃至ILD3、の時間変化を示すものである。
【0070】
本実施形態に係る電力変換装置10においては、従来のパルスパターンで制御した場合と違い、図8に示すように、ゲート信号SGGv及びSGGyのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと,ゲート信号SGGw及びSGGzのペアのオン信号・オフ信号の切り替わるタイミングと、のうち2つが同時になることがなく、従来のように、電圧Vcmのピークが急激に上昇することはない(図8においては12キロVまでしか上昇していない)。
【0071】
以上説明したように、三相フルブリッジMERS100の逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフを切り替えることによって、交流電圧源VS1,VS2,VS3の出力から、コンデンサCMにパルス状の直流電圧を繰り返し発生させ、この直流電圧を、直流交流変換回路200を介して誘導性負荷LD1,LD2,LD3に印加し、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に三相交流電流を流すことができる。
また、ゲート信号SGGu乃至SGGzのうち複数のオン・オフのタイミングが違うタイミングに設定されていることによって、コンデンサCMに発生する共振電圧のピークの変動を抑制することができる。
上記実施形態では、制御回路300は、逆導通型半導体スイッチSWuのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWv,SWy,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWxのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWv,SWy,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWvのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWyのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWw,及び,SWzのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWwのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWv,及び,SWyのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWzのオン・オフが切り替わる略同じタイミングで逆導通型半導体スイッチSWu,SWx,SWv,及び,SWzのオン・オフが切り替わらないように、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフを制御している。
【0072】
なお、本実施形態では、ゲート信号SGGu乃至SGGzのそれぞれに対してパルスパターンを予め設定していた。しかし、1つのパルスパターンを予め設定し、位相をずらす、反転させる等によって、ゲート信号SGGu乃至SGGzを生成してもよい。
例えば、ゲート信号SGGuはパルスパターンをそのまま当てはめ、ゲート信号SGGvはパルスパターンを120°ずらし、ゲート信号SGGwはパルスパターンを240°ずらし、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号が略同じタイミングで切り替わらないように制御する。また、ゲート信号SGGxはゲート信号SGGuを反転させたもの、ゲート信号SGGyはゲート信号SGGvを反転させたもの、ゲート信号SGGzはゲート信号SGGwを反転させてものにする。
【0073】
(実施形態2)
上記実施形態1にかかる電力変換装置10は、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフの切り替えはソフトスイッチングになっていたが、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフの切り替えが、ソフトスイッチングにならない可能性があった。
本実施形態にかかる電力変換装置20は、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzの切り替えも、ソフトスイッチングになるものである。
【0074】
本実施形態にかかる電力変換装置20は、実施形態1の電力変換装置10のゲート信号SGGu乃至SGGzのパルスパターンが、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に切り替わるタイミングの直前に、オン信号・オフ信号を切り替わるように、予め設定されているものである。その他の構成は、電力変換装置10と同一である。
【0075】
上述したように、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に切り替わる直前(図5のt3)において、コンデンサCMの電圧Vcmは略0である。
よって、ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に切り替わるタイミングの直前に、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替わるようにパルスパターンを設定することによって、ソフトスイッチングが実現する。
【0076】
このように設定したゲート信号SGGuと、コンデンサCMの電圧Vcmとの関係は図9のようになる。
図9(a)はコンデンサCMに発生する共振電圧の概略を、図9(b)はコンデンサCMの電圧Vcmを示す。
【0077】
ゲート信号SGGU乃至SGGZがオン信号からオフ信号に切り替わるタイミングの直前に、ゲート信号SGGu乃至SGGzののオン信号・オフ信号を切り替わるようにパルスパターンを設定することによって、図9(a),(b)に示すように、コンデンサCMの電圧が略0であるタイミングで、パルスパターンのオン信号・オフ信号が切り替わる。
これにより、直流交流変換回路200においてソフトスイッチングが実現する。
【0078】
(実施形態3)
上記実施形態1,2では、予め設定されたパルスパターンによって、ゲート信号SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGzのオン信号・オフ信号を切り替える例を説明した。
しかし、ゲート信号SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGzは、パルスパターンではなく、通常のPWM(Pulse Width Modulate)によって制御されてもよい。
【0079】
本実施形態にかかる電力変換装置30は、上記電力変換装置10の制御回路300が、パルスパターンではなく、通常のPWM制御によって、ゲート信号SGGu乃至SGGzを制御するものである。
【0080】
制御回路300は、例えば、予め設定された目標となる波形と、予め設定されたPWM周波数の三角波を比較しゲート信号SGGu乃至SGGwを決定する。また、制御回路300は、ゲート信号SGGxをゲート信号SGGuに対して逆相に、ゲート信号SGGyをゲート信号SGGvに対して逆相に、ゲート信号SGGzをゲート信号SGGwに対して逆相にする。
これにより、コンデンサCMに発生する直流電圧が、PWM制御によって、誘導性負荷LD1乃至LD3に供給される。
【0081】
また、制御回路300は、ゲート信号SGGu乃至SGGwのうち複数が同時にオン信号からオフ信号に切り替わらないように、ゲート信号SGGu乃至SGGwを制御する。例えば、制御回路300は、ゲート信号SGGu乃至SGGwのうち、1つのゲート信号をオン信号からオフ信号に切り替えると、PWMの次の1周期の間、他の2つのゲート信号を切り替えない。これによって、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWwのうち複数がオンからオフに切り替わらない。また、ゲート信号SGGxをゲート信号SGGuに対して逆相に、ゲート信号SGGyをゲート信号SGGvに対して逆相に、ゲート信号SGGzをゲート信号SGGwに対して逆相であるので、逆導通型半導体スイッチSWx乃至SWzのうち複数がオフからオンに切り替わることもない。
【0082】
以上のように制御することによって、コンデンサCMの電圧Vcmのピーク値の変動が小さくなる。
【0083】
上記実施形態では、ゲート信号SGGu乃至SGGwのうち複数が同時にオン信号からオフ信号に切り替わらないように、ゲート信号SGGu乃至SGGwを制御する、として説明した。しかし、ゲート信号SGGx乃至SGGzのうち複数が同時にオフ信号からオン信号に切り替わらないように制御してもよいし、ゲート信号SGGu乃至SGGwのうち複数が同時にオン信号からオフ信号に切り替わらないように、かつ、ゲート信号SGGx乃至SGGzのうち複数が同時にオフ信号からオン信号に切り替わらないように制御してもよい。
【0084】
(実施形態4)
上記実施形態3では、制御回路300は、PWM制御によって、ゲート信号SGGu乃至SGGzの制御をした。しかし、ただPWM制御するだけでは、コンデンサCMに電圧が発生している時に、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzが切り替わる可能性がある。この場合、ハードスイッチングとなり、スイッチングにかかる消費電力が少なくない。
【0085】
本実施形態にかかる電力変換装置40は、電力変換装置30において、直流交流変換回路200の逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフをPWM制御でかつソフトスイッチングで切り替えるものである。
【0086】
電力変換装置40において制御回路300は、PWM制御において逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフを切り替えるタイミングになると、ゲート信号SGGU乃至SGGZを切り替えるタイミングまで待ち、ゲート信号SGGU乃至SGGZを切り替える前に、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替える。制御回路300は、この動作を繰り返す。
【0087】
次に、この電力変換装置40の動作を説明する。
【0088】
制御回路300は、PWM制御において逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフを切り替えるタイミングを決定する。ただし、この時は、ゲート信号SGGu乃至SGGWzのオン信号・オフ信号は切り替えない。このタイミングでは、コンデンサCMには電圧がかかっている可能性がある。
この後、ゲート信号SGGU乃至SGGZを切り替えるタイミングになると、制御回路300は、ゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号・オフ信号を切り替える前に、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替える。
ゲート信号SGGU乃至SGGZを切り替えるタイミングでは、上述したように、コンデンサCMの電圧Vcmは略0であるため、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替わりによる逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフの切り替わりはソフトスイッチングになる。
この動作を繰り返すことにより、コンデンサCMの電圧が略0のタイミングで、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフは切り替わるため、ソフトスイッチングが実現される。
【0089】
この制御によって出力されるゲート信号SGGu乃至SGGzとコンデンサCMの電圧Vcmとの関係は、例えば、図10のようになる。
図10(a)は、コンデンサCMの電圧Vcmを、図10(b)はPWM制御のみで決定されるゲート信号SGGuを、図10(c)はソフトスイッチングになるように制御されたゲート信号SGGuを示す。
【0090】
本実施形態において制御回路300は、図10(b),10(c)に示すように、PWM制御において逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフを切り替えるタイミングになっても、ゲート信号SGGuを切り替えない。制御回路300は、このタイミングの後に、ゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号・オフ信号を切り替えるタイミングになると、ゲート信号SGGU乃至SGGZのオン信号・オフ信号を切り替える前に、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替える。
この場合、図10(a)に示すようにコンデンサCMの電圧が略0である時間に、図10(b)に示すようにゲート信号SGGuのオン信号・オフ信号が切り替わる。よって、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのスイッチングにおいてもソフトスイッチングが実現する。
【0091】
(実施形態5)
上記実施形態2,4の電力変換装置20,40において、コンデンサCMの電圧Vcmを検出し、電圧Vcmの値が略0の時に、直流交流変換回路200をスイッチングをしてもよい。
例えば、図11に示すように、コンデンサCMの電圧を電圧検出器VMで検出し、制御回路300は、電圧検出器VMが検出したコンデンサCMの電圧Vcmが略0の期間に、ゲート信号SGGu乃至SGGzのオン信号・オフ信号を切り替える。
【0092】
これにより、コンデンサCMの電圧が略0のタイミングで、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフは切り替わるため、ソフトスイッチングが実現される。
【0093】
(実施形態6)
上記電力変換装置10において、三相ブリッジ型MERS100に置き換えて、図12に示すように単相のフルブリッジ型MERS110を用いても良い。フルブリッジ型MERS110は、直流出力端子DT1,DT2と、交流入力端子AT1,AT2と、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4と、コンデンサCMと、から構成される。
逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、スイッチ部S1乃至S4と、スイッチ部S1乃至S4に並列に接続されたダイオード部D1乃至D4とから構成されている。逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、例えば、パワーMOSFETである。
【0094】
交流入力端子AT1−AT2間には、交流電圧源VS4とリアクトルLac4との直列回路が接続され、直流出力端子DT1には直流交流変換回路200の直流入力端子DC+が、直流出力端子DT2には直流交流変換回路200の直流入力端子DC−が接続される。
【0095】
逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4は、交流入力端子AT1にダイオード部D1のアノードとダイオード部D2のカソードとに接続され、直流出力端子DT1にダイオード部D1のカソードとダイオード部D3のカソードとコンデンサCMの正極が接続され、直流出力端子DT2にダイオード部D2のアノードとダイオード部D4のアノードとコンデンサCMの負極が接続され、ダイオード部D3のアノードとダイオード部D4のカソードとが交流入力端子AT2に接続される。
【0096】
制御回路300は、交流電圧源VS4の出力する電圧が正の場合は、逆導通型半導体スイッチSW2,SW3のオン・オフを、負の場合は逆導通型半導体スイッチSW1、SW4のオン・オフを制御する。
【0097】
本実施形態の場合は、リアクトルLac4とコンデンサCMとが共振することにより、コンデンサCMにパルス状の電圧Vcmが繰り返し発生する。よって、逆導通型半導体スイッチSW1乃至SW4のオン・オフのそれぞれの期間は、コンデンサCMの容量とリアクトルLac4のインダクタンスとで定まる共振の周期より長いことが好ましい。
この直流の電圧Vcmが発生するコンデンサCMを直流電圧源として、直流交流変換回路200を介して、逆導通型半導体スイッチSWu乃至SWzのオン・オフに対応して、直流電力が交流電力に変換されて、誘導生負荷LD1乃至LD3に供給される。
【0098】
これによって、交流電圧源から、三相の誘導性負荷の各相に交流電流を供給することができる。
【0099】
以上のように、本発明によって、低損失で、交流電源から所望の周波数の交流電流が得られ、ピーク値の変動が小さい共振電圧を負荷に印加することができる。
【0100】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変形及び応用が可能である。
【0101】
例えば、上記実施形態では、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzは、寄生ダイオードを有する自己消弧型素子(Nチャンネル型MOSFET)として説明した。しかし、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZ,SWu乃至SWzは、逆導電型のスイッチであればよく、電界効果トランジスタや、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor)や、ゲートターンオフサイリスタ(GTO:Gate Turn−Off thyristor)等の自己消弧型素子や、ダイオードと自己消弧型素子の組み合わせでもよい。
【0102】
また、制御回路300は、逆導通型半導体スイッチSWU乃至SWZのオン・オフを、図2に示すような予め設定された周波数とデューティ比のゲート信号SGGU乃至SGGZで制御すると説明した。しかし、ゲート信号SGGU乃至SGGZは上述のものに限定されない。例えば、逆導通型半導体スイッチSWUとSWXのペア,逆導通型半導体スイッチSWV,SWYのペア,逆導通型半導体スイッチSWW,SWZのペアのうち、1組のペアのみ、あるいは、2組のペアを制御してもよい。例えば、デューティ比を一定にせずに、PWM制御してもよいし、PFC(Power Factor Correction)によって、力率を改善するように、ゲート信号SGGU乃至SGGZを制御してもよい。
【0103】
また、制御回路300は、上述した制御をする回路として説明したが、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の記憶手段を備えたマイコン(マイクロコンコントローラ)などのコンピュータであってもよい。
この場合は、例えば、上述したゲート信号を出力するようなプログラムを、予めROMに記憶させればよい。
【0104】
また、ゲート信号SGGu乃至SGGzを制御するパルスパターン予め複数記憶させ、例えばユーザの指示に対応したパルスパターンを選択することで、誘導性負荷LD1,LD2,LD3に供給する電力量を調整してもよい。
【符号の説明】
【0105】
10,20,30,40 電力変換装置
21 三相交流電源
VS1,VS2,VS3,VS4 交流電圧源
LD1,LD2,LD3 誘導性負荷
Lac1,Lac2,Lac3,Lac4 リアクトル
100 三相ブリッジ型MERS
110 フルブリッジ型MERS
200 直流交流変換回路
AC1,AC2,AC3,AT1,AT2 交流入力端子
DCP,DCN,DT1,DT2 直流出力端子
DC+,DC− 直流入力端子
ACu,ACv,ACw 交流出力端子
SWU,SWV,SWW,SWX,SWY,SWZ,SWu,SWv,SWw,SWx,SWy,SWz,SW1,SW2,SW3,SW4 逆導通型半導体スイッチ
CM コンデンサ
SU,SV,SW,SX,SY,SZ,Su,Sv,Sw,Sx,Sy,Sz,S1,S2,S3,S4 スイッチ部
DU,DV,DW,DX,DY,DZ,Du,Dv,Dw,Dx,Dy,Dz,D1,D2,D3,D4 ダイオード部
GU,GV,GW,GX,GY,GZ,Gu,Gv,Gw,Gx,Gy,Gz,G1,G2,G3,G4 ゲート
SGGU,SGGV,SGGW,SGGX,SGGY,SGGZ,SGGu,SGGv,SGGw,SGGx,SGGy,SGGz,SGG1,SGG2,SGG3,SGG4 ゲート信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源から供給される電力を、磁気エネルギーとして蓄積するリアクトルと、
コンデンサを備え、該リアクトルの磁気エネルギーを回収し、前記コンデンサに電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する磁気エネルギー回生スイッチと、
前記コンデンサの一方の極を接続された第1の直流入力端子と、前記コンデンサの他方の極を接続された第2の直流入力端子と、三相の誘導性負荷の各相を接続された第1乃至第3の交流出力端子と、第1乃至第6のダイオードと、第1乃至第6の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の直流入力端子には、前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードと前記第5のダイオードのカソードとが、前記第2の直流入力端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのアノードとが、接続され、前記第1の交流出力端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードが、前記第2の交流出力端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードが、前記第3の交流出力端子には前記第5のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのカソードが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が、前記第5のダイオードに前記第5の自己消弧型素子が、前記第6のダイオードに前記第6の自己消弧型素子が、並列に接続され、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフに対応して、前記コンデンサに発生した直流電圧を前記第1乃至第3の交流出力端子から前記誘導性負荷に出力する直流交流変換回路と、
前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のうち複数のオン・オフが略同じタイミングで切り替わらないように前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第3乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第2の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第3乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第3の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1,第2,第5,及び,第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1,第2,第5,及び,第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第5の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1乃至第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1乃至第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記コンデンサに発生する直流電圧は、パルス状の直流電圧である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記コンデンサの電圧が略0の時に、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフを切り替える、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1と第4の自己消弧型素子がともにオンにならず、前記第2と第5の自己消弧型素子がともにオンにならず、前記第3と第6の自己消弧型素子がともにオンにならないように、前記第1乃至6の自己消弧型素子を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御手段は、パルスパターンによって前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記制御手段は、パルス幅変調によって前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記交流電源は三相交流電源であり、
前記リアクトルは、三相交流電源の第1相に一端を接続される第1のリアクトル、第2相に一端を接続される第2のリアクトル、第3相に一端を接続される第3のリアクトルから構成され、
前記磁気エネルギー回生スイッチは、第1乃至第3の交流入力端子と、第1と第2の直流出力端子と、第7乃至第12のダイオードと、第7乃至第12の自己消弧型素子と、コンデンサとを備え、前記第1の交流入力端子には前記第1のリアクトルの他端と前記第7のダイオードのアノードと前記第8のダイオードのカソードとが、前記第2の交流入力端子には前記第2のリアクトルの他端と前記第9のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのカソードとが、前記第3の交流入力端子には前記第3のリアクトルの他端と前記第11のダイオードのアノードと前記第12のダイオードのカソードとが、接続され、前記第1の直流出力端子には、前記第7のダイオードのカソードと前記第9のダイオードのカソードと前記第11のダイオードのカソードと前記コンデンサの一方の極とが、前記第2の直流出力端子には前記第8のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのアノードと前記第12のダイオードのアノードと前記コンデンサの他方の極とが、接続され、前記第7のダイオードに前記第7の自己消弧型素子が、前記第8のダイオードに前記第8の自己消弧型素子が、前記第9のダイオードに前記第9の自己消弧型素子が、前記第10のダイオードに前記第10の自己消弧型素子が、前記第11のダイオードに前記第11の自己消弧型素子が、前記第12のダイオードに前記第12の自己消弧型素子が並列に接続される三相ブリッジ型磁気エネルギー回生スイッチであり、
前記制御手段は、前記第1乃至第12の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第7乃至第12の自己消弧型素子がオフからオンに変わる直前の前記コンデンサの電圧が略0である、
ことを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記第7乃至第12の自己消弧型素子がオフからオンに変わる直前に前記第7乃至第12の自己消弧型素子に流れる電流は略0である、
ことを特徴とする、請求項8または9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記三相交流電源の第1相の出力が正の場合は、前記第7の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第8の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第1相の出力が負の場合は、前記第8の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第7の自己消弧型素子をオフに保持させ、第2相の出力が正の場合は、前記第9の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第10の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第2相の出力が負の場合は、前記第10の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第9の自己消弧型素子をオフに保持させ、第3相の出力が正の場合は前記第11の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第12の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第3相の出力が負の場合は前記第12の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替え、かつ前記第11の自己消弧型素子をオフに保持させる、
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記磁気エネルギー回生スイッチは、第1の交流入力端子と、当該第1の交流入力端子との間に前記交流電源とリアクトルの直列回路を接続された第2の交流入力端子と、第1と第2の直流出力端子と、前記第1と第2の直流出力端子の間に接続されたコンデンサと、第7乃至第10のダイオードと、第7乃至第10の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の交流入力端子には前記第7のダイオードのアノードと前記第8のダイオードのカソードとが、前記第2の交流入力端子には前記第9のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのカソードとが、接続され、前記第1の直流出力端子には、前記第7のダイオードのカソードと前記第9のダイオードのカソードとが、前記第2の直流出力端子には前記第8のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのアノードとが、接続され、前記第7のダイオードに前記第7の自己消弧型素子が、前記第8のダイオードに前記第8の自己消弧型素子が、前記第9のダイオードに前記第9の自己消弧型素子が、前記第10のダイオードに前記第10の自己消弧型素子が、並列に接続されたフルブリッジ型磁気エネルギー回生スイッチであり、
前記制御手段は、前記第1乃至10の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記第7乃至第10の逆導通型半導体がオフからオンに変わる直前の前記コンデンサの電圧が略0である、
ことを特徴とする請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記第7乃至第10の逆導通型半導体がオフからオンに変わる直前に前記第7乃至第10の逆導通型半導体スイッチに流れる電流は略0である、
ことを特徴とする、請求項12または13に記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記交流電源の出力電圧が正の場合は、前記第8と第9の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第7と第10の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記出力電圧が負の場合は、前記第7と第10の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第8と第9の自己消弧型素子をオフに保持させる、
ことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項16】
交流電源から供給される電力を、磁気エネルギーとして蓄積するリアクトルと、
コンデンサを備え、該リアクトルの磁気エネルギーを回収し、前記コンデンサに電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する磁気エネルギー回生スイッチと、
前記コンデンサの一方の極を接続された第1の直流入力端子と、前記コンデンサの他方の極を接続された第2の直流入力端子と、三相の誘導性負荷の各相を接続された第1乃至第3の交流出力端子と、第1乃至第6のダイオードと、第1乃至第6の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の直流入力端子には、前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードと前記第5のダイオードのカソードとが、前記第2の直流入力端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのアノードとが、接続され、前記第1の交流出力端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードが、前記第2の交流出力端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードが、前記第3の交流出力端子には前記第5のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのカソードが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が、前記第5のダイオードに前記第5の自己消弧型素子が、前記第6のダイオードに前記第6の自己消弧型素子が、並列に接続され、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフに対応した前記誘導性負荷に、前記コンデンサに発生した直流電圧を交流電圧に変換して印可する直流交流変換回路と、
を備えた電力変換装置において前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する制御方法であって、
前記第1乃至第6の自己消弧型素子のうち複数のオン・オフが略同じタイミングで切り替わらないように前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項1】
交流電源から供給される電力を、磁気エネルギーとして蓄積するリアクトルと、
コンデンサを備え、該リアクトルの磁気エネルギーを回収し、前記コンデンサに電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する磁気エネルギー回生スイッチと、
前記コンデンサの一方の極を接続された第1の直流入力端子と、前記コンデンサの他方の極を接続された第2の直流入力端子と、三相の誘導性負荷の各相を接続された第1乃至第3の交流出力端子と、第1乃至第6のダイオードと、第1乃至第6の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の直流入力端子には、前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードと前記第5のダイオードのカソードとが、前記第2の直流入力端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのアノードとが、接続され、前記第1の交流出力端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードが、前記第2の交流出力端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードが、前記第3の交流出力端子には前記第5のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのカソードが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が、前記第5のダイオードに前記第5の自己消弧型素子が、前記第6のダイオードに前記第6の自己消弧型素子が、並列に接続され、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフに対応して、前記コンデンサに発生した直流電圧を前記第1乃至第3の交流出力端子から前記誘導性負荷に出力する直流交流変換回路と、
前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のうち複数のオン・オフが略同じタイミングで切り替わらないように前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第1の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第3乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第2の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第3乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第3の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1,第2,第5,及び,第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1,第2,第5,及び,第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第5の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1乃至第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第6の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わる略同じタイミングで前記第1乃至第4の自己消弧型素子のオン・オフが切り替わらないように、前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記コンデンサに発生する直流電圧は、パルス状の直流電圧である、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記コンデンサの電圧が略0の時に、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフを切り替える、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記第1と第4の自己消弧型素子がともにオンにならず、前記第2と第5の自己消弧型素子がともにオンにならず、前記第3と第6の自己消弧型素子がともにオンにならないように、前記第1乃至6の自己消弧型素子を制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御手段は、パルスパターンによって前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記制御手段は、パルス幅変調によって前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記交流電源は三相交流電源であり、
前記リアクトルは、三相交流電源の第1相に一端を接続される第1のリアクトル、第2相に一端を接続される第2のリアクトル、第3相に一端を接続される第3のリアクトルから構成され、
前記磁気エネルギー回生スイッチは、第1乃至第3の交流入力端子と、第1と第2の直流出力端子と、第7乃至第12のダイオードと、第7乃至第12の自己消弧型素子と、コンデンサとを備え、前記第1の交流入力端子には前記第1のリアクトルの他端と前記第7のダイオードのアノードと前記第8のダイオードのカソードとが、前記第2の交流入力端子には前記第2のリアクトルの他端と前記第9のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのカソードとが、前記第3の交流入力端子には前記第3のリアクトルの他端と前記第11のダイオードのアノードと前記第12のダイオードのカソードとが、接続され、前記第1の直流出力端子には、前記第7のダイオードのカソードと前記第9のダイオードのカソードと前記第11のダイオードのカソードと前記コンデンサの一方の極とが、前記第2の直流出力端子には前記第8のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのアノードと前記第12のダイオードのアノードと前記コンデンサの他方の極とが、接続され、前記第7のダイオードに前記第7の自己消弧型素子が、前記第8のダイオードに前記第8の自己消弧型素子が、前記第9のダイオードに前記第9の自己消弧型素子が、前記第10のダイオードに前記第10の自己消弧型素子が、前記第11のダイオードに前記第11の自己消弧型素子が、前記第12のダイオードに前記第12の自己消弧型素子が並列に接続される三相ブリッジ型磁気エネルギー回生スイッチであり、
前記制御手段は、前記第1乃至第12の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記第7乃至第12の自己消弧型素子がオフからオンに変わる直前の前記コンデンサの電圧が略0である、
ことを特徴とする請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記第7乃至第12の自己消弧型素子がオフからオンに変わる直前に前記第7乃至第12の自己消弧型素子に流れる電流は略0である、
ことを特徴とする、請求項8または9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記三相交流電源の第1相の出力が正の場合は、前記第7の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第8の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第1相の出力が負の場合は、前記第8の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第7の自己消弧型素子をオフに保持させ、第2相の出力が正の場合は、前記第9の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第10の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第2相の出力が負の場合は、前記第10の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第9の自己消弧型素子をオフに保持させ、第3相の出力が正の場合は前記第11の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第12の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記第3相の出力が負の場合は前記第12の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替え、かつ前記第11の自己消弧型素子をオフに保持させる、
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記磁気エネルギー回生スイッチは、第1の交流入力端子と、当該第1の交流入力端子との間に前記交流電源とリアクトルの直列回路を接続された第2の交流入力端子と、第1と第2の直流出力端子と、前記第1と第2の直流出力端子の間に接続されたコンデンサと、第7乃至第10のダイオードと、第7乃至第10の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の交流入力端子には前記第7のダイオードのアノードと前記第8のダイオードのカソードとが、前記第2の交流入力端子には前記第9のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのカソードとが、接続され、前記第1の直流出力端子には、前記第7のダイオードのカソードと前記第9のダイオードのカソードとが、前記第2の直流出力端子には前記第8のダイオードのアノードと前記第10のダイオードのアノードとが、接続され、前記第7のダイオードに前記第7の自己消弧型素子が、前記第8のダイオードに前記第8の自己消弧型素子が、前記第9のダイオードに前記第9の自己消弧型素子が、前記第10のダイオードに前記第10の自己消弧型素子が、並列に接続されたフルブリッジ型磁気エネルギー回生スイッチであり、
前記制御手段は、前記第1乃至10の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記第7乃至第10の逆導通型半導体がオフからオンに変わる直前の前記コンデンサの電圧が略0である、
ことを特徴とする請求項12に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記第7乃至第10の逆導通型半導体がオフからオンに変わる直前に前記第7乃至第10の逆導通型半導体スイッチに流れる電流は略0である、
ことを特徴とする、請求項12または13に記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記制御手段は、前記交流電源の出力電圧が正の場合は、前記第8と第9の自己消弧型素子を繰り返し切り替えかつ前記第7と第10の自己消弧型素子をオフに保持させ、前記出力電圧が負の場合は、前記第7と第10の自己消弧型素子のオン・オフを繰り返し切り替えかつ前記第8と第9の自己消弧型素子をオフに保持させる、
ことを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項16】
交流電源から供給される電力を、磁気エネルギーとして蓄積するリアクトルと、
コンデンサを備え、該リアクトルの磁気エネルギーを回収し、前記コンデンサに電荷の形で静電エネルギーとして蓄積する磁気エネルギー回生スイッチと、
前記コンデンサの一方の極を接続された第1の直流入力端子と、前記コンデンサの他方の極を接続された第2の直流入力端子と、三相の誘導性負荷の各相を接続された第1乃至第3の交流出力端子と、第1乃至第6のダイオードと、第1乃至第6の自己消弧型素子と、を備え、前記第1の直流入力端子には、前記第1のダイオードのカソードと前記第3のダイオードのカソードと前記第5のダイオードのカソードとが、前記第2の直流入力端子には前記第2のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのアノードとが、接続され、前記第1の交流出力端子には前記第1のダイオードのアノードと前記第2のダイオードのカソードが、前記第2の交流出力端子には前記第3のダイオードのアノードと前記第4のダイオードのカソードが、前記第3の交流出力端子には前記第5のダイオードのアノードと前記第6のダイオードのカソードが接続され、前記第1のダイオードに前記第1の自己消弧型素子が、前記第2のダイオードに前記第2の自己消弧型素子が、前記第3のダイオードに前記第3の自己消弧型素子が、前記第4のダイオードに前記第4の自己消弧型素子が、前記第5のダイオードに前記第5の自己消弧型素子が、前記第6のダイオードに前記第6の自己消弧型素子が、並列に接続され、前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフに対応した前記誘導性負荷に、前記コンデンサに発生した直流電圧を交流電圧に変換して印可する直流交流変換回路と、
を備えた電力変換装置において前記第1乃至第6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する制御方法であって、
前記第1乃至第6の自己消弧型素子のうち複数のオン・オフが略同じタイミングで切り替わらないように前記第1乃至6の自己消弧型素子のオン・オフを制御する、
ことを特徴とする制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−234439(P2011−234439A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100181(P2010−100181)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(507149648)株式会社MERSTech (22)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【出願人】(507149648)株式会社MERSTech (22)
【Fターム(参考)】
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