説明

電力変換装置及び充電装置

【課題】広い電圧範囲に亘って出力電圧が可変である電力変換装置、及び当該装置を備えることにより広い電圧範囲に亘って効率良く充電を行うことが可能な充電装置を提供する。
【解決手段】充電装置1は、交流電源PSから供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ11と、コンバータ11で変換された直流電力の変換を行う双方向DC/DCコンバータ13とを備えており、双方向DC/DCコンバータ13は、入力端T11,T12と出力端T21,T22との間に設けられた高周波トランス22と、入力端T11,T12と高周波トランス22との間に設けられた電力変換回路21と、出力端T21,T22と高周波トランス22との間に設けられた電力変換回路23と、入力端T11,T12及び出力端T21,T22に対する高周波トランス22の一次側と二次側との配置を入れ替え可能な入替回路22a,22bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力の変換を行う電力変換装置及び当該装置を備える充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の通り、直流電力の変換を行う電力変換装置は、一般的にDC/DCコンバータと呼ばれており、非絶縁型のものと絶縁型のものに大別される。絶縁型のDC/DCコンバータは、例えばトランス(変圧器)と、トランスの一次側に接続されて直流電力を交流電力に変換する第1変換器と、トランスの二次側に接続されて交流電力を直流電力に変換する第2変換器とを備える構成である。
【0003】
近年、トランスの一次側から二次側へ直流電力を伝送するのみならず、トランスの二次側から一次側に直流電力を伝送することができる双方向絶縁型DC/DCコンバータが開発されている。この双方向絶縁型DC/DCコンバータは、トランスの一次側及び二次側の双方にスイッチング回路(ブリッジ回路)が設けられており、トランスの一次側に設けられたスイッチング回路を駆動するタイミングと、トランスの二次側に設けられたスイッチング回路を駆動するタイミングとを変えることで、一次側から二次側への直流電力の伝送、或いは、二次側から一次側への直流電力の伝送が可能である。
【0004】
上記の双方向絶縁型DC/DCコンバータを用いることで、例えば二次側に設けられたリチウムイオンバッテリ等の二次電池を必要に応じて充電するとともに、二次電池に充電されている直流電力を必要に応じて一次側に取り出すことが可能な充電装置を実現することができる。尚、双方向絶縁型DC/DCコンバータの詳細については、例えば以下の非特許文献1を参照されたい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】井上重徳,他1名,「双方向絶縁形DC/DCコンバータを用いたエネルギー蓄積システムの基礎実験」,平成18年電気学会全国大会講演論文集,第2006巻,第4号,p.49
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の特許文献1に開示された双方向絶縁型DC/DCコンバータは、トランスの二次側の出力電圧が一次側巻線と二次側巻線との巻線比でほぼ決まってしまう。このため、このような双方向絶縁型DC/DCコンバータを備える充電装置は、効率的に充電を行うことができる電圧範囲が狭いという問題がある。ここで、充電対象の二次電池の電圧が一定であれば、その二次電池の特性に応じて双方向絶縁型DC/DCコンバータを設計すれば二次電池を効率的に充電することができる。しかしながら、充電対象である二次電池の出力電圧が数十〜数百V程度の範囲である場合には、全ての二次電池を効率良く充電することが困難であるという問題があった
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、広い電圧範囲に亘って出力電圧が可変である電力変換装置、及び当該装置を備えることにより広い電圧範囲に亘って効率良く充電を行うことが可能な充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の電力変換装置は、直流電力の入出力が行われる一次側入出力端(T11、T12)と二次側入出力端(T21、T22)との間に設けられた高周波トランス(22)と、前記一次側入出力端と前記高周波トランスとの間に設けられて直流電力と交流電力との変換を行う第1電力変換回路(21)と、前記二次側入出力端と前記高周波トランスとの間に設けられて直流電力と交流電力との変換を行う第2電力変換回路(23)とを備え、直流電力の変換を行う電力変換装置(13、50)において、前記一次側入出力端及び前記二次側入出力端に対する前記高周波トランスの一次側と二次側との配置を入れ替え可能な入替回路(25a、25b)を備えることを特徴としている。
また、本発明の電力変換装置は、前記入替回路が、前記高周波トランスと前記第1電力変換回路との間、及び、前記高周波トランスと前記第2電力変換回路との間に設けられ、前記高周波トランスの一次側を前記第2電力変換回路に接続するとともに前記高周波トランスの二次側を前記第1電力変換回路に接続することにより、前記一次側入出力端及び前記二次側入出力端に対する前記高周波トランスの一次側と二次側との配置を入れ替える回路であることを特徴としている。
また、本発明の電力変換装置は、前記入替回路が、前記一次側入出力端と前記第1電力変換回路との間、及び、前記二次側入出力端と前記第2電力変換回路との間に設けられ、前記第1電力変換回路を前記二次側入出力端に接続するとともに、前記第2電力変換回路を前記一次側入出力端に接続することにより、前記一次側入出力端及び前記二次側入出力端に対する前記高周波トランスの一次側と二次側との配置を入れ替える回路であることを特徴としている。
また、本発明の電力変換装置は、前記入替回路による前記一次側入出力端及び前記二次側入出力端に対する前記高周波トランスの一次側と二次側との配置の入れ替えを行うか否かを制御する制御装置(14)を備えることを特徴としている。
本発明の充電装置は、交流電源(PS)から供給される交流電力を用いて二次電池(B)の充電を行う充電装置(1、2)において、前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータ(11)と、前記一次側入出力端に入力される前記コンバータで変換された直流電力の変換を行って前記二次電池が接続される前記二次側入出力端に出力する上記の何れかに記載の電力変換装置とを備えることを特徴としている。
また、本発明の充電装置は、前記制御装置が、前記二次電池の特性に応じて、前記入替回路により前記一次側入出力端及び前記二次側入出力端に対する前記高周波トランスの一次側と二次側との配置の入れ替えを行うか否かを制御することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電力変換装置の一次側入出力端及び二次側入出力端に対する高周波トランスの一次側と二次側との配置を入れ替え可能な入替回路を設けているため、広い電圧範囲に亘って出力電圧を可変にすることができるという効果がある。これにより、充電装置においては、広い電圧範囲に亘って効率良く充電を行うことが可能であるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態による充電装置の要部構成を示す回路図である。
【図2】本発明の第1実施形態による充電装置が備える入替回路を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態による充電装置の要部構成を示す回路図である。
【図4】本発明の第2実施形態による充電装置が備える入替回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態による電力変換装置及び充電装置について詳細に説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態による充電装置の要部構成を示す回路図である。図1に示す通り、本実施形態の充電装置1は、コンバータ11、コンデンサ12、双方向DC/DCコンバータ13(電力変換装置)、及び制御装置14を備えており、交流電源PSから供給される交流電力(例えば、電圧が200Vである三相交流電力)から充電用の直流電力を生成する。充電装置1が生成した直流電力は、双方向DC/DCコンバータ13の出力端T21,T22から外部に出力され、例えば出力端T21,T22間に接続されたリチウムイオン二次電池等の二次電池Bを充電するために用いられる。
【0013】
尚、出力端T21,T22間に接続される二次電池Bは、数十〜数百V程度の範囲の出力電圧を取り得るものであるとする。ここで、本実施形態の充電装置1は、出力端T21,T22に接続された二次電池Bの充電のみならず、二次電池Bに充電された直流電力の取り出しも可能であるが、以下では説明を簡単にするために、主として交流電源PSから供給される交流電力を用いて二次電池Bを充電する場合について説明する。
【0014】
コンバータ11は、ACリアクトル11a及びPWMコンバータ11bを備えており、交流電源PSから供給される三相交流電源を直流電力に変換する。ACリアクトル11aは、PWMコンバータ11bの入力端(交流電源PSとPWMコンバータ11bとの間)に設けられており、交流電源PSから供給される三相交流電源に重畳されている高調波ノイズを除去する。
【0015】
PWMコンバータ11bは、例えば三相全波整流回路を構成する複数のダイオード(例えば、6個のダイオード)と、これらダイオードの各々に並列接続されたトランジスタ等のスイッチング素子とを備えており、制御装置14の制御の下で、交流電源PSから供給される三相交流電力を整流する。尚、制御装置14によって、PWMコンバータ11bに設けられたスイッチング素子がPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御されることにより、出力電圧の制御及び力率の補償が行われる。コンデンサ12は、コンバータ11の出力端間(双方向DC/DCコンバータ13の入力端T11,T12間)に設けられており、コンバータ11で整流された電力を平滑化して直流電力に変換する。
【0016】
双方向DC/DCコンバータ13は、電力変換回路21(第1電力変換回路)、高周波トランス22、電力変換回路23(第2電力変換回路)、コンデンサ24、及び入替回路25a,25bを備えており、制御装置14の制御の下で直流電力の変換を行う。具体的には、入力端T11,T12(一次側入出力端)に入力されるコンバータ11で変換された直流電力の変換を行って出力端T21,T22(二次側入出力端)に出力する。尚、出力端T21,T22に接続された二次電池Bから供給される直流電力の変換を行って入力端T11,T12に出力する場合もある。
【0017】
電力変換回路21は、スイッチング素子を直列接続してなる2つのスイッチングレッグL11,L12を備えており、制御装置14の制御の下で、入力端T11,T12に入力される直流電力(コンバータ11で変換された直流電力)を交流電力に変換して高周波トランス22側に出力する。尚、この電力変換回路21は、高周波トランス22側から入力される交流電力を直流電力に変換して入力端T11,T12に出力することも可能である。
【0018】
スイッチングレッグL11は、直列接続されたトランジスタ31a,31bと、トランジスタ31aに並列接続されたダイオード32a及びコンデンサ33aと、トランジスタ31bに並列接続されたダイオード32b及びコンデンサ33bとを備える。スイッチングレッグL12は、直列接続されたトランジスタ31c,31dと、トランジスタ31cに並列接続されたダイオード32c及びコンデンサ33cと、トランジスタ31dに並列接続されたダイオード32d及びコンデンサ33dとを備える。
【0019】
以上のトランジスタ31a〜31dは、絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、制御装置14によってオン状態及びオフ状態が制御される。トランジスタ31a〜31dとして、通常のバイポーラトランジスタを用いることも、FETトランジスタ(Field Effect Transistor:電界効果トランジスタ)を用いることも可能である。尚、コンデンサ33a〜33dは、トランジスタ31a〜31dのスイッチング時に生じる過渡的な高電圧を吸収するために設けられるスナバコンデンサである。
【0020】
スイッチングレッグL11をなすトランジスタ31aのエミッタ電極とトランジスタ31bのコレクタ電極との接続点は、入替回路25aによって高周波トランス22の一次側巻線22a又は二次側巻線22bの一端に接続される。また、スイッチングレッグL12をなすトランジスタ31cのエミッタ電極とトランジスタ31dのコレクタ電極との接続点は、入替回路25aによって高周波トランス22の一次側巻線22a又は二次側巻線22bの他端に接続される。
【0021】
スイッチングレッグL11,L12に設けられた4つのトランジスタ31a〜31dの各々を、予め設定された規則に従ってスイッチング動作(例えば、PWMスイッチング動作)させることにより、入力端T11,T12に入力される直流電力(コンバータ11で変換された直流電力)が交流電力に変換されて高周波トランス22側に出力される。これに対し、例えばトランジスタ31a〜31dが全てオフ状態である場合に高周波トランス22側から交流電力が供給されると、その交流電力がダイオード32a〜32dにより整流されて入力端T11,T12に出力される。
【0022】
高周波トランス22は、上述した一次側巻線22aと二次側巻線22bとを備えており、一次側から二次側へ、或いは、二次側から一次側へ交流電力を伝達する。この高周波トランス22において、一次側巻線22aに対する二次側巻線22bの巻線比は、例えば「6」に設定されている。この高周波トランス22が設けられていることにより、交流電源PSと二次電池Bとの間が絶縁されることになる。
【0023】
電力変換回路23は、スイッチング素子を直列接続してなる2つのスイッチングレッグL21,L22を備えており、制御装置14の制御の下で高周波トランス22の一次側から二次側に伝達される交流電力を直流電力に変換して出力端T21,T22側に出力する。尚、この電力変換回路23は、出力端T21,T22側から供給される直流電力を交流電力に変換して高周波トランス22側に出力することも可能である。
【0024】
スイッチングレッグL21は、直列接続されたトランジスタ41a,41bと、トランジスタ41aに並列接続されたダイオード42a及びコンデンサ43aと、トランジスタ41bに並列接続されたダイオード42b及びコンデンサ43bとを備える。スイッチングレッグL22は、直列接続されたトランジスタ41c,41dと、トランジスタ41cに並列接続されたダイオード42c及びコンデンサ43cと、トランジスタ41dに並列接続されたダイオード42d及びコンデンサ43dとを備える。
【0025】
トランジスタ41a〜41dは、電力変換回路21に設けられるトランジスタ31a〜31dと同様に絶縁ゲートバイポーラトランジスタであり、制御装置14によってオン状態及びオフ状態が制御される。尚、トランジスタ41a〜41dとして、通常のバイポーラトランジスタを用いることも、FETトランジスタを用いることも可能である。
【0026】
スイッチングレッグL21をなすトランジスタ41aのエミッタ電極とトランジスタ41bのコレクタ電極との接続点は、入替回路25bによって高周波トランス22の二次側巻線22b又は一次側巻線22aの一端に接続される。また、スイッチングレッグL22をなすトランジスタ41cのエミッタ電極とトランジスタ41dのコレクタ電極との接続点は、入替回路25bによって高周波トランス22の二次側巻線22b又は一次側巻線22aの他端に接続される。
【0027】
例えば、スイッチングレッグL21,L22に設けられた4つのトランジスタ41a〜41dが全てオフ状態である場合に、高周波トランス22側から交流電力が入力されると、その交流電力がダイオード42a〜42dにより整流されて出力端T21,T22側(コンデンサ24側)に出力される。これに対し、トランジスタ41a〜41dの各々を、予め設定された規則に従ってスイッチング動作(例えば、PWMスイッチング動作)させることにより、出力端T21,T22側(コンデンサ24側)からの直流電力が交流電力に変換されて高周波トランス22側に出力される。
【0028】
コンデンサ24は、双方向DC/DCコンバータ13の出力端T21,T22間に接続されており、電力変換回路23で整流された電力を平滑化して直流電力に変換する。入替回路25a,25bは、制御装置14の制御の下で、双方向DC/DCコンバータ13が備える入力端T11,T12及び出力端T21,T22に対する高周波トランス22の一次側と二次側との配置の入れ替えを可能とする回路である。
【0029】
図2は、本発明の第1実施形態による充電装置が備える入替回路を示す図である。図2に示す通り、入替回路25aはスイッチSW11,SW12を備える回路であり、入替回路25bはスイッチSW21,SW22を備える回路である。入替回路25aは電力変換回路21と高周波トランス22との間に設けられ、入替回路25bは高周波トランス22と電力変換回路23との間に設けられる。尚、入替回路25aのスイッチSW11,SW12及び入替回路25bのスイッチSW21,SW22としては、例えばトランジスタ等のスイッチング素子を用いた電子式のスイッチ、電磁リレー等のリレースイッチ、電磁接触器(コンタクタ)等を用いることができる。
【0030】
入替回路25aのスイッチSW11,SW12は、3つの接点A1〜A3,B1〜B3をそれぞれ備える。スイッチSW11の接点A1は、スイッチングレッグL11(トランジスタ31aのエミッタ電極とトランジスタ31bのコレクタ電極との接続点)に接続され、接点A2は高周波トランス22の一次側巻線22aの一端に接続され、接点A3は高周波トランス22の二次側巻線22bの一端に接続されている。スイッチSW12の接点B1は、スイッチングレッグL12(トランジスタ31cのエミッタ電極とトランジスタ31dのコレクタ電極との接続点)に接続され、接点B2は高周波トランス22の一次側巻線22aの他端に接続され、接点B3は高周波トランス22の二次側巻線22bの他端に接続されている。
【0031】
入替回路25bのスイッチSW21,SW22は、3つの接点C1〜C3,D1〜D3をそれぞれ備える。スイッチSW21の接点C1は、スイッチングレッグL21(トランジスタ41aのエミッタ電極とトランジスタ41bのコレクタ電極との接続点)に接続され、接点C2は高周波トランス22の二次側巻線22bの一端に接続され、接点C3は高周波トランス22の一次側巻線22aの一端に接続されている。スイッチSW22の接点D1は、スイッチングレッグL22(トランジスタ41cのエミッタ電極とトランジスタ41dのコレクタ電極との接続点)に接続され、接点D2は高周波トランス22の二次側巻線22bの他端に接続され、接点D3は高周波トランス22の一次側巻線22aの他端に接続されている。
【0032】
スイッチSW11の接点A1が接点A2に接続されるとともにスイッチSW12の接点B1が接点B2に接続されるよう入替回路25aが制御装置14によって制御されると、電力変換回路21は高周波トランス22の一次側巻線22aに接続される。これに対し、スイッチSW11の接点A1が接点A3に接続されるとともにスイッチSW12の接点B1が接点B3に接続されるよう入替回路25aが制御装置14によって制御されると、電力変換回路21は高周波トランス22の二次側巻線22bに接続される。
【0033】
また、スイッチSW21の接点C1が接点C2に接続されるとともにスイッチSW22の接点D1が接点D2に接続されるよう入替回路25bが制御装置14によって制御されると、電力変換回路23は高周波トランス22の二次側巻線22bに接続される。これに対し、スイッチSW21の接点C1が接点C3に接続されるとともにスイッチSW22の接点D1が接点D3に接続されるよう入替回路25bが制御装置14によって制御されると、電力変換回路23は高周波トランス22の一次側巻線22aに接続される。
【0034】
従って、スイッチSW11の接点A1,A2及びスイッチSW12の接点B1,B2がそれぞれ接続され、且つ、スイッチSW21の接点C1,C2及びスイッチSW22の接点D1,D2がそれぞれ接続されるよう制御されると、高周波トランス22は、一次側巻線22aが電力変換回路21に接続され、二次側巻線22bが電力変換回路23に接続される。これにより、高周波トランス22は、一次側が入力端T11,T12側に配置され、二次側が出力端T21,T22側に配置される。以下、この接続を「昇圧モード接続」という。
【0035】
これに対し、スイッチSW11の接点A1,A3及びスイッチSW12の接点B1,B3がそれぞれ接続され、且つ、スイッチSW21の接点C1,C3及びスイッチSW22の接点D1,D3がそれぞれ接続されるよう制御されると、高周波トランス22は、一次側巻線22aが電力変換回路23に接続され、二次側巻線22bが電力変換回路21に接続される。これにより、高周波トランス22は、一次側が出力端T21,T22側に配置され、二次側が入力端T11,T12側に配置される。以下、この接続を「降圧モード接続」という。
【0036】
制御装置14は、出力端T21,T22に接続された二次電池Bの充電制御を行う。具体的には、出力端T21,T22に接続された二次電池Bの特性に応じて、コンバータ11、双方向DC/DCコンバータ13に設けられた電力変換回路21,23、及び入替回路22a,22bの制御を行う。
【0037】
次に、上記構成における充電装置1を用いて二次電池Bを充電する場合の動作について説明する。尚、本実施形態の充電装置1は、高周波トランス22の一次側から二次側に電力を伝達させる場合に、双方向DC/DCコンバータ13に設けられた電力変換回路21,23の各々を制御すれば伝達される電力量の制御が可能であるが、ここでは説明を簡単にするために、電力変換回路21のみを制御して充電を行う場合について説明する。
【0038】
まず、充電すべき二次電池Bを充電装置1に接続し、二次電池Bの正電極及び負電極を出力端T21,T22にそれぞれ導通させる。二次電池Bの接続が完了すると、制御装置14は、出力端T21,T22に接続された二次電池Bに関する情報(例えば、出力電圧や残容量等の情報)を取得する。例えば、図1に示す通り、二次電池Bの監視を行う監視回路Dが二次電池Bに設けられている場合には、この監視回路Dから二次電池Bに関する情報を取得する。尚、二次電池Bの出力電圧等の情報を検出する検出回路を出力端T21,T22との間に設け、この検出回路から二次電池Bに関する情報を取得しても良い。
【0039】
二次電池Bに関する情報を取得すると、制御装置14は、取得した情報に応じて入替回路25a,25bを制御する。例えば、二次電池Bの出力電圧が数十V程度である場合には、「降圧モード接続」となるよう入替回路25a,25bを制御し、二次電池Bの出力電圧が数百V程度である場合には、「昇圧モード接続」となるよう入替回路25a,25bを制御する。つまり、二次電池Bの電圧が低い場合には、コンバータ11からの直流電力が降圧され、二次電池Bの電圧が高い場合には、コンバータ11からの直流電力が昇圧されるよう制御される。
【0040】
以上の作業及び制御が終了し、充電開始の指示が行われると、制御装置14から双方向DC/DCコンバータ13に設けられた電力変換回路21に制御信号が出力され、電力変換回路21に設けられたトランジスタ31a〜31dのスイッチング動作が開始される。これにより、交流電源PSから供給される三相交流電力はコンバータ11によって直流電力に変換され、トランジスタ31a〜31dのスイッチング動作によってコンバータ11で変換された直流電力が交流電力に変換される。
【0041】
ここで、入替回路25a,25bが「降圧モード接続」とされている場合には、電力変換回路21から出力される交流電力は、高周波トランス22の二次側巻線22bに印加されて一次側巻線22aに伝達される。このため、電力変換回路21から出力される交流電力は高周波トランス22によって降圧され、二次側巻線22bに対する一次側巻線22aの巻線比に応じたさほど高くない電圧(例えば、数十V程度)の電圧が高周波トランス22の一次側巻線22aに誘起される。
【0042】
これに対し、入替回路25a,25bが「昇圧モード接続」とされている場合には、電力変換回路21から出力される交流電力は、高周波トランス22の一次側巻線22aに印加されて二次側巻線22bに伝達される。このため、電力変換回路21から出力される交流電力は高周波トランス22によって昇圧され、一次側巻線22aに対する二次側巻線22bの巻線比に応じた高い電圧(例えば、数百V程度)の電圧が高周波トランス22の二次側巻線22bに誘起される。
【0043】
入替回路25a,25bが「降圧モード接続」とされている場合に高周波トランス22の一次側巻線22aに伝達された交流電力、或いは、入替回路25a,25bが「昇圧モード接続」とされている場合に高周波トランス22の二次側巻線22bに伝達された交流電力は、電力変換回路23に入力される。そして、電力変換回路23に設けられたダイオード42a〜42dによって整流された後にコンデンサ24で平滑されて直流電力に変換される。この直流電力は、出力端T21,T22を介して二次電池Bに供給され、これにより二次電池Bが充電される。このようにして、充電装置1による二次電池Bの充電が行われる。
【0044】
以上の通り、本実施形態では、電力変換回路21と高周波トランス22との間に入替回路25aを設けるとともに高周波トランス22と電力変換回路23との間に入替回路25bを設け、出力端T21,T22に接続される二次電池Bの出力電圧に応じて、入力端T11,T12及び出力端T21,T22に対する高周波トランス22の一次側と二次側との配置の入れ替えを行っているため、広い電圧範囲に亘って充電装置1の出力電圧を変えることができる。これにより、充電装置1を用いて様々な種類の二次電池の充電を効率的に行うことができる。
【0045】
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態による充電装置の要部構成を示す回路図である。尚、図3では、図1に示す構成と同じ構成については同一の符号を付してある。図3に示す通り、本実施形態の充電装置2は、図1に示す第1実施形態の充電装置1が備える双方向DC/DCコンバータ13に代えて、双方向DC/DCコンバータ50を備える。
【0046】
双方向DC/DCコンバータ50は、第1実施形態の充電装置1に設けられた双方向DC/DCコンバータ13と同様に、電力変換回路21、高周波トランス22、電力変換回路23、コンデンサ24、及び入替回路25a,25bを備えるが、双方向DC/DCコンバータ50内における入替回路25a,25bの位置が異なる。具体的に、入替回路25aは入力端T11,T12と電力変換回路21との間に設けられ、入替回路25bは電力変換回路23と出力端T21,T22との間に設けられる。
【0047】
図4は、本発明の第2実施形態による充電装置が備える入替回路を示す図である。尚、図4中おいて、符号PCが付されているブロックは、DC/DCコンバータ50に設けられた電力変換回路21、高周波トランス22、電力変換回路23、及びコンデンサ24からなる回路(以下、「双方向変換回路」という)を示している。また、図4では、コンバータ11と双方向DC/DCコンバータ50との間に設けられたコンデンサ12の図示を省略している。
【0048】
図4に示す通り、入替回路25aが備えるスイッチSW11は、接点A1が入力端T11に接続され、接点A2が双方向変換回路PCの一方の入力端Q11に接続され、接点A3が双方向変換回路PCの一方の出力端Q21に接続されている。スイッチSW12は、接点B1が入力端T12に接続され、接点B2が双方向変換回路PCの他方の入力端Q12に接続され、接点B3が双方向変換回路PCの他方の出力端Q22に接続されている。
【0049】
また、入替回路25bが備えるスイッチSW21は、接点C1が出力端T21に接続され、接点C2が双方向変換回路PCの一方の出力端Q21に接続され、接点C3が双方向変換回路PCの一方の入力端Q11に接続される。スイッチSW22は、接点D1が出力端T22に接続され、接点D2が双方向変換回路PCの他方の出力端Q22に接続され、接点D3が双方向変換回路PCの他方の入力端Q12に接続されている。
【0050】
スイッチSW11の接点A1が接点A2に接続されるとともにスイッチSW12の接点B1が接点B2に接続されるよう入替回路25aが制御装置14によって制御されると、双方向変換回路PCの入力端Q11,Q12は入力端T11,T12にそれぞれ接続される。これに対し、スイッチSW11の接点A1が接点A3に接続されるとともにスイッチSW12の接点B1が接点B3に接続されるよう入替回路25aが制御装置14によって制御されると、双方向変換回路PCの入力端Q11,Q12は出力端T21,T22にそれぞれ接続される。
【0051】
また、スイッチSW21の接点C1が接点C2に接続されるとともにスイッチSW22の接点D1が接点D2に接続されるよう入替回路25bが制御装置14によって制御されると、双方向変換回路PCの出力端Q21,Q22は出力端T21,T22にそれぞれ接続される。これに対し、スイッチSW21の接点C1が接点C3に接続されるとともにスイッチSW22の接点D1が接点D3に接続されるよう入替回路25bが制御装置14によって制御されると、双方向変換回路PCの出力端Q21,Q22は入力端T11,T12にそれぞれ接続される。
【0052】
従って、スイッチSW11の接点A1,A2及びスイッチSW12の接点B1,B2がそれぞれ接続され、且つ、スイッチSW21の接点C1,C2及びスイッチSW22の接点D1,D2がそれぞれ接続されるよう制御されると、双方向変換回路PCは、入力端Q11,Q12が入力端T11,T12にそれぞれ接続され、出力端Q21,Q22が出力端T21,T22にそれぞれ接続される。これにより、双方向変換回路PC内に設けられる高周波トランス22は、第1実施形態と同様に、一次側が入力端T11,T12側に配置され、二次側が出力端T21,T22側に配置される(「昇圧モード接続」)。
【0053】
これに対し、スイッチSW11の接点A1,A3及びスイッチSW12の接点B1,B3がそれぞれ接続され、且つ、スイッチSW21の接点C1,C3及びスイッチSW22の接点D1,D3がそれぞれ接続されるよう制御されると、双方向変換回路PCは、入力端Q11,Q12が出力端T21,T22にそれぞれ接続され、出力端Q21,Q22が入力端T11,T12にそれぞれ接続される。これにより、双方向変換回路PC内に設けられる高周波トランス22は、第1実施形態と同様に、一次側が出力端T21,T22側に配置され、二次側が入力端T11,T12側に配置される(「降圧モード接続」)。
【0054】
上記構成における充電装置2を用いて二次電池Bを充電する場合の動作は、基本的には第1実施形態と同様である。つまり、二次電池Bの出力電圧が数十V程度である場合には、「降圧モード接続」となるよう制御回路14によって入替回路25a,25bが制御され、二次電池Bの出力電圧が数百V程度である場合には、「昇圧モード接続」となるよう制御回路14によって入替回路25a,25bが制御される。
【0055】
但し、本実施形態では、制御回路14による入替回路25a,25bの制御によって、電力変換回路21、高周波トランス22、電力変換回路23、及びコンデンサ24からなる双方向変換回路PCの入出力関係を入れ替えている。このため、入替回路25a,25bが「昇圧モード接続」にされているのか、或いは、「降圧モード接続」にされているのかに応じて、電力変換回路21,23の制御を変える必要がある。
【0056】
つまり、入替回路25a,25bが「昇圧モード接続」とされている場合には、入力端T11,T12に入力される直流電力(コンバータ11で変換された直流電力)を変換して、双方向変換回路PCをなす電力変換回路21、高周波トランス22、電力変換回路23、及びコンデンサ24の順で伝達させる必要がある。このため、制御装置14は、少なくとも電力変換回路21を制御して直流電力を交流電力に変換させる必要がある。
【0057】
これに対し、入替回路25a,25bが「降圧モード接続」とされている場合には、入力端T11,T12に入力される直流電力(コンバータ11で変換された直流電力)を変換して、双方向変換回路PCをなすコンデンサ24、電力変換回路23、高周波トランス22、及び電力変換回路21の順で伝達させる必要がある。このため、制御装置14は、少なくとも電力変換回路23を制御して直流電力を交流電力に変換させる必要がある。
【0058】
以上の通り、本実施形態では、入力端T11,T12と電力変換回路21との間に入替回路25aを設けるとともに電力変換回路23と出力端T21,T22との間に入替回路25bを設け、出力端T21,T22に接続される二次電池Bの出力電圧に応じて、入力端T11,T12及び出力端T21,T22に対する高周波トランス22の一次側と二次側との配置の入れ替えを行っている。このため、第1実施形態と同様に、広い電圧範囲に亘って充電装置1の出力電圧を変えることができる。これにより、充電装置1を用いて様々な種類の二次電池の充電を効率的に行うことができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態による電力変換装置及び充電装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限されず、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、交流電源PSから供給される三相交流電力を用いて二次電池Bの充電を行う充電装置を例に挙げて説明した。しかしながら、本発明は単相交流電力を用いて二次電池Bの充電を行う充電装置にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1,2 充電装置
11 コンバータ
13 双方向DC/DCコンバータ
14 制御装置
21 電力変換回路
22 高周波トランス
23 電力変換回路
25a,25b 入替回路
50 双方向DC/DCコンバータ
B 二次電池
PS 交流電源
T11,T12 入力端
T21,T22 出力端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電力の入出力が行われる一次側入出力端と二次側入出力端との間に設けられた高周波トランスと、前記一次側入出力端と前記高周波トランスとの間に設けられて直流電力と交流電力との変換を行う第1電力変換回路と、前記二次側入出力端と前記高周波トランスとの間に設けられて直流電力と交流電力との変換を行う第2電力変換回路とを備え、直流電力の変換を行う電力変換装置において、
前記一次側入出力端及び前記二次側入出力端に対する前記高周波トランスの一次側と二次側との配置を入れ替え可能な入替回路を備えることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記入替回路は、前記高周波トランスと前記第1電力変換回路との間、及び、前記高周波トランスと前記第2電力変換回路との間に設けられ、前記高周波トランスの一次側を前記第2電力変換回路に接続するとともに前記高周波トランスの二次側を前記第1電力変換回路に接続することにより、前記一次側入出力端及び前記二次側入出力端に対する前記高周波トランスの一次側と二次側との配置を入れ替える回路であることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記入替回路は、前記一次側入出力端と前記第1電力変換回路との間、及び、前記二次側入出力端と前記第2電力変換回路との間に設けられ、前記第1電力変換回路を前記二次側入出力端に接続するとともに、前記第2電力変換回路を前記一次側入出力端に接続することにより、前記一次側入出力端及び前記二次側入出力端に対する前記高周波トランスの一次側と二次側との配置を入れ替える回路であることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記入替回路による前記一次側入出力端及び前記二次側入出力端に対する前記高周波トランスの一次側と二次側との配置の入れ替えを行うか否かを制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか一項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
交流電源から供給される交流電力を用いて二次電池の充電を行う充電装置において、
前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換するコンバータと、
前記一次側入出力端に入力される前記コンバータで変換された直流電力の変換を行って前記二次電池が接続される前記二次側入出力端に出力する請求項4記載の電力変換装置と
を備えることを特徴とする充電装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記二次電池の特性に応じて、前記入替回路により前記一次側入出力端及び前記二次側入出力端に対する前記高周波トランスの一次側と二次側との配置の入れ替えを行うか否かを制御することを特徴とする請求項5記載の充電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−21867(P2013−21867A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154805(P2011−154805)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】