説明

電力変換装置

【課題】 入力側と出力側との電圧に対する制限をなくして、かつ、小型、低損失の電力変換装置を提供する。
【解決手段】 交流を整流する整流部10と、力率向上のための素子23を含み整流部からの直流電圧を、昇圧し、または降圧する、昇降圧部20と、直流電圧によって充電され後段の出力部へと放電する中央コンデンサ15と、昇降圧部と中央コンデンサとの間に直列配置される第1の前段スイッチング素子11、第2の前段スイッチング素子12と、中央コンデンサと出力部との間に直列配置される第1の後段スイッチング素子16、第2の後段スイッチング素子17と、これらを制御する制御部とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関し、より具体的には、一般家庭の交流電力を用いて電気自動車(EV:Electric Vehicle)、プラグイン方式のハイブリッドカー(HV:Hybrid Vehicle)等の電池を充電する等のために用いられる、電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
EVやプラグイン方式のHVでは、一般家庭の電力を用いて駆動用の主電池を充電する。このようなEV等の主電池への充電を目的とするものではないが、交流電力を直流電力に変換するスイッチング電源装置の提案がなされている(特許文献1〜3)。このスイッチング電源装置によれば、交流を全波整流した後、コンデンサの前段に、一対の前段スイッチング素子を配置し、また後段に、一対の後段スイッチング素子を配置する。一対の前段スイッチング素子と、一対の後段スイッチング素子とを交互にオンオフすることで、全波整流された電力をコンデンサに充電し(前段スイッチング素子オン、後段スイッチング素子オフ、の状態で)、また充電された電力を後段へと放電する(前段スイッチング素子オフ、後段スイッチング素子オン、の状態で)。これによって、トランスを用いることなく小型化した上で、高い周波数でオンオフしてもトランスによる損失が発生しないため効率よく直流電力を供給することができる。さらに、上記のバッチ式継電方法により、交流入力側と、直流電力供給側(負荷側)とを絶縁することができる。
また、直流電力を入力させて直流電力を出力させるDC/DCコンバータの提案がなされており、これについても、トランスを用いない上記バッチ式継電方法によって、小型化、軽量化、および損失軽減を得ることができる(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−079425号公報
【特許文献2】特開2008−079426号公報
【特許文献3】特開2008−079427号公報
【特許文献4】特開2004−222379号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のスイッチング電源装置およびDC/DCコンバータでは、出力側の電圧は、入力電圧より低いことが条件とされる。この条件の下では、一般家庭のAC電源を用いて、EV等の主電池に充電することはできない。
本発明は、入力側と出力側との電圧に対する制限をなくして、かつ、小型、低損失の電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電力変換装置は、交流電力と直流電力とを相互に変換する。この電力変換装置は、交流を整流する整流部と、力率向上のための素子を含み整流部からの直流電圧を、昇圧し、または昇降圧する、昇降圧部と、昇降圧部からの直流電圧によって充電され後段の出力部へと放電するための中央コンデンサと、昇降圧部の正電位側と中央コンデンサの正電位側との間に直列配置される第1の前段スイッチング素子、および、昇降圧部のグランド側と中央コンデンサのグランド側との間に直列配置される第2の前段スイッチング素子と、中央コンデンサの正電位側と出力部の正電位側との間に直列配置される第1の後段スイッチング素子、および、中央コンデンサのグランド側と出力部のグランド側との間に直列配置される第2の後段スイッチング素子と、前記昇降圧部、ならびに第1および第2の前段スイッチング素子と後段のスイッチング素子とを制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0006】
上記の第1および第2の前段スイッチング素子と、第1および第2の後段スイッチング素子とは、交互に、オンオフする。第1および第2の前段スイッチング素子がオン状態(第1および第2の後段スイッチング素子オフ状態)で中央コンデンサに蓄電した後、第1および第2の後段スイッチング素子がオン状態(第1および第2の前段スイッチング素子オフ状態)で直流電力を出力する。
上記の構成によれば、中央コンデンサよりも交流入力側に昇降圧部を設けるため、一般家庭用電力を用いて、高い定格電圧を有する直流装置に直流電力を供給することができ、たとえばEV等の主バッテリ(定格電圧330V)を充電することができる。そして、デューティの設定によって、入力電圧より高い電圧または低い電圧のどちらの出力も可能となる。また、昇降圧部は、上述のように、一般家庭用電力をEV等の主バッテリのような高い定格電圧の直流装置に電力供給するためだけでなく、力率が向上するように構成できる。すなわち、スイッチング素子、インダクタ、コンデンサ等を用いて、AC電源からの入力電流波形を整形し、無効電力を減少させることができる。
また、上記の第1および第2の前段スイッチング素子と、第1および第2の後段スイッチング素子とは、交互にオンオフするので、中央コンデンサに充電された電荷(電力)を出力側に送電する際、交流入力側と出力側との間に、常にオフ状態のスイッチング素子が介在する。このオフ状態のスイッチング素子の介在によって、安全性を向上することができる。さらに所定の場合、とくに絶縁性能を確保することができる。
なお、正電位側は、整流部によって電流を流される配線側であり、グランド側はその逆側の配線側である。また力率を改善するための昇降圧部は、昇圧のみ行う昇圧部であってもよいし、文字通り、昇降圧を行う昇降圧部であってもよい。
【0007】
昇降圧部は、インダクタ、昇降圧部スイッチング素子、昇降圧部ダイオード、および昇降圧部コンデンサ、によって構成され、昇降圧部ダイオードは正電位側に挿入され、また、昇降圧部コンデンサは、昇降圧部の最終段において正電位側とグランド側との間に配置されるようにできる。これによって、簡単な回路で、力率改善のために、昇圧のみする昇降圧部、および昇降圧する昇降圧部、を構成することができ、さらに昇降圧部スイッチング素子、インダクタおよび昇降圧部コンデンサを選択し、周波数等を設定することで、力率を向上することができる。この結果、たとえば家庭への配電を過大にしなくてもよくなり、家庭の配電系統への負荷を減らすことができる。
ここで、昇降圧部は、いわゆるアクティブ平滑フィルタに対応するものであり、最終段に電圧を平滑するための昇降圧部コンデンサを備える。
【0008】
昇降圧部において、直列接続された昇降圧部スイッチング素子および昇降圧部ダイオードは正電位側に直列挿入され、インダクタが、昇降圧部スイッチング素子と昇降圧部ダイオードとの間の正電位側とグランド側との間に配置されることができる。これによって、力率改善のために昇降圧をする昇降圧部を、簡単な回路で構成することができる。
【0009】
昇降圧部において、直列接続されたインダクタおよび昇降圧部ダイオードは正電位側に直列挿入され、昇降圧部スイッチング素子が、インダクタと昇降圧部ダイオードとの間の正電位側とグランド側との間に配置される構成をとることができる。これによって、力率改善のために昇圧のみ行う昇降圧部を、簡単な回路で構成することができる。
【0010】
昇降圧部コンデンサは複数の昇降圧部コンデンサから形成され、かつ、第1および/または第2の前段スイッチング素子は、各自、複数のスイッチング素子から形成され、該複数の第1の前段スイッチング素子は、中央コンデンサの正電位側と所定の昇降圧部コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、また複数の第2の前段スイッチング素子は、中央コンデンサのグランド側と所定の昇降圧部コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、制御部は、各スイッチング素子を制御することで、中央コンデンサから放電する出力電圧を変えることができる。これによって、トランスを用いることなく、昇降圧部の各コンデンサおよび各前段スイッチング素子を配線することで、要求される電圧に応じて、出力電圧を変えることができる。上記の複数の昇降圧部コンデンサの容量、配置構造等、および第1および第2の前段スイッチング素子の接続構造等は、要求される性能に応じて設定することができる。
【0011】
中央コンデンサは複数の中央コンデンサから形成され、かつ、第1および/または第2の前段スイッチング素子、および/または、第1および/または第2の後段スイッチング素子は、各自、複数のスイッチング素子から形成され、該複数の、第1の前段スイッチング素子および/または第1の後段スイッチング素子は、正電位側と所定の中央コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、また複数の、第2の前段スイッチング素子および/または第2の後段スイッチング素子は、グランド側と所定の中央コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、制御部は、各スイッチング素子を制御することで、中央コンデンサから放電する出力電圧を変えることができる。これによって、トランスを用いることなく、より広い範囲の要求に応えてより広く出力電圧を変えることが可能になる。
【0012】
第1および第2の後段スイッチング素子の出力側に出力部コンデンサを備え、該出力部コンデンサは複数の出力部コンデンサから形成され、かつ、第1および/または第2の後段スイッチング素子は、各自、複数のスイッチング素子から形成され、該複数の第1の後段スイッチング素子は、中央コンデンサの正電位と所定の出力部コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、また複数の第2の後段スイッチング素子は、中央コンデンサのグランド側と所定の昇降圧部コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、制御部は、各スイッチング素子を制御することで、出力部から放電する出力電圧を変えることができる。これによって、トランスを用いることなく、出力部のコンデンサを複数にすることで、簡単に出力電圧を簡単に変えることが可能になる。
【0013】
第1および第2の前段スイッチング素子と後段のスイッチング素子の電圧をモニタする電圧モニタリング部を備えることができる。これによって、突入電流等やフェールセイフの備えを得ることができる。
【0014】
スイッチング素子間の電圧が基準電圧以上になったとき、制御部がゲート電圧を低下ないしゼロにするか、または配線回路によりゲート電圧を低下ないしゼロにすることができる。これによって、ソフト的(プログラムロジック)、またハード的(ワイヤードロジック)、によって、突入電流防止を図り、かつフェールセイフ対策を実現することができる。
【0015】
出力部に、リレーに並行して電気抵抗を直列配置されたサブリレーを設けることができる。中央コンデンサのプリチャージ用として、出力部において、二次電池との間に抵抗を直列させたサブリレーを用いることで、中央コンデンサへの突入電流を小さくすることができる。
【0016】
第1および第2の前段および後段スイッチング素子、ならびに昇降圧部スイッチング素子を制御する制御部を備え、制御部は、中央コンデンサが昇降圧部の最低出力電圧に充電されるまでの使用開始時に、第1および第2の前段スイッチング素子のオン抵抗を増大させることができる。これによって、起動時に、たとえばスイッチング素子のゲート電圧を下げて駆動させることでオン抵抗を増大させることができる。これによって、中央コンデンサへの突入電流を小さくすることができる。
【0017】
制御部は、起動時に、昇降圧部の出力電圧を所定値以下の増加率で増加させるように、昇降圧部スイッチング素子を制御することができる。出力電圧を緩やかに増大させることで、第1および第2の前段スイッチング素子のオンデューティDを最小許容値から徐々に増加させることができる。この結果、中央コンデンサへの突入電流を小さくすることができる。
【0018】
制御部は、交流電力から直流電力を発生して出力部から出力するとき、昇降圧部からの昇降圧出力電圧Vaが、中央コンデンサの電圧Vbよりも高くなるように制御することができる。これによって、所望の電圧の出力を安定して行うことが可能になる。また、順方向にバイアスがかかるので、逆阻止能力がない、通常の半導体スイッチング素子(順方向耐圧を持つ)を用いても、交流入力側と出力側とが、確実に絶縁される。中央コンデンサよりも後段の出力部の電位Vcを、Vc<Vb<Vaのように制御することもできる。
【0019】
第1および第2の前段スイッチング素子および第1および第2の後段スイッチング素子が逆阻止能力を有することができる。これによって、第1および第2の前段スイッチング素子と、第1および第2の後段スイッチング素子とを、交互にオンオフすることによって、交流入力側と出力側とが、確実に絶縁されて、より一層、安全性を向上することができる。逆阻止能力を有するスイッチング素子としてはつぎの素子がある。逆阻止IGBT(Insulated gate bipolar transistor)は、最も高周波域までカバーできる。またGTO(Gate turn-off)サイリスタは容量は大きいが、周波数は制限される。
【0020】
第1および第2の前段スイッチング素子、ならびに、第1および第2の後段スイッチング素子、のそれぞれに、直列に、逆阻止用ダイオードを挿入することができる。このように、逆阻止用ダイオードを挿入することで、MOSFET、一般IGBT、JFETを用いながら、第1および第2の前段スイッチング素子と、第1および第2の後段スイッチング素子とを、交互にオンオフすることによって直流装置に直流電力を供給しながら、交流入力側と出力側とが、確実に絶縁されて、より一層、安全性を向上することができる。
【0021】
出力部に二次電池を接続して、該二次電池から交流電力側に交流電力を供給できる兼用の装置となるように、昇降圧部ダイオードをスイッチング素子に置き換え、また、整流部においてブリッジを組む4つのダイオードを、4つのスイッチング素子に置き換えることができる。これによって、自動車の電池を用いて、家庭用電気器具等に電力を供給することができ、停電の時や、電力配線網の無い野外等において役立つことができる。また、停電やキャンプ等の場合でなくても、たとえば安価な夜間電力を充電しておいて、昼間に用いることで、電力代の節減を行うことができる。
【0022】
二次電池から交流電力側に交流電力を供給できる兼用の装置において、第1および第2の前段および後段スイッチング素子を、逆阻止能力を持つ双方向スイッチング素子とすることができる。これによって、各スイッチング素子が、順/逆方向の両方について導通/阻止能力を持つことになり、家庭の交流側と自動車の二次電池側との間において、双方向の絶縁性を確保しつつ相互に電力のやりとりを行うことが可能になる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の電力変換装置によれば、入力側と出力側との電圧に対する制限をなくして、かつ、小型、低損失の電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における電力変換装置を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態2の電力変換装置におけるバッチ式継電部を示す図である。
【図3】ドレイン電流−ドレイン・ソース間電圧の関係に及ぼすゲート電圧の影響を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態3における電力変換装置を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態4における電力変換装置の使用方法を説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態6における電力変換装置を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態7における電力変換装置を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態8における電力変換装置を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態9における電力変換装置を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態10における電力変換装置を示す図である。
【図11】図10の電力変換装置における、バッチ式継電部の双方向逆阻止スイッチング素子を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態11における電力変換装置を示す図である。
【図13】本発明の実施の形態12における電力変換装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における電力変換装置50の一例を示す図である。この電力変換装置50は、家庭用の交流電源を用いてEV等の主電池40を充電することを目的とする。電力変換装置50は、大きく次の4つの部分から構成される。すなわち(1)整流部10、(2)昇圧部(力率向上のための素子を含む)20、(3)バッチ式継電部30、(4)制御部51、の4つの部分である。
【0026】
まず、(1)整流部10は、ブリッジを組む4つのダイオード41〜44によって構成され、AC電源から入力部9を経て入力された交流電力を整流して脈流の直流電力にする。電圧を平滑化するために、ブリッジの後に、平滑化コンデンサを配置してもよい。
【0027】
(2)昇圧部20は、インダクタ21と、出力側を順方向とするダイオード22と、昇圧部スイッチング素子23と、昇圧部コンデンサ25とで構成される。昇圧部スイッチング素子23には、たとえばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を用いることができる。このMOSFET23のゲートには制御部51からの信号が読み込まれ、AC電源周波数に対し十分大きい数kHz〜数百Hzの周波数でスイッチングを行うことで、AC電源からの入力電流波形を正弦波に近づけ、力率改善を行う。またチョッピングで昇圧された電力を直流にして電圧および電流が平滑となるように、ダイオード22、インダクタ21、および昇圧部コンデンサ25が配置される。
【0028】
(3)バッチ式継電部30では、第1の前段スイッチング素子11および第2の前段スイッチング素子12がオン状態、かつ、第1の後段スイッチング素子16および第2の後段スイッチング素子17がオフ状態で、中央コンデンサ15に昇圧部20からの直流電力を充電する。充電のときは、AC電源の入力部と、メインバッテリ40への出力部との間に、オフ状態の第1の後段スイッチング素子16および第2の後段スイッチング素子17が介在する。充電された中央コンデンサ15は、所定の電圧に達するが、中央コンデンサ15における電圧Vbは、昇圧部20からの出力電圧Va、または昇圧部コンデンサ25に生じる電圧Vaより低くするのがよい。出力部39からメインバッテリ40への出力する出力電圧Vcを安定に保持するためである。
中央コンデンサ15が充電された後、メインバッテリ40を充電するために、放電する。放電のときは、第1の前段スイッチング素子11および第2の前段スイッチング素子12がオフとされ、かつ第1の後段スイッチング素子16および第2の後段スイッチング素子17がオンとされる。制御部51からの配線は図示していないが、各スイッチング素子の制御電極(ゲート電極等)には制御部51からの信号が読み込まれる。上記の各スイッチング素子11,12,16,17のオンオフは、10kHz以上で行われる。
出力部39におけるメインバッテリ40への充電の電圧等を平滑にするためにバッチ式継電部30の後段に平滑コンデンサ35を配置するのがよい。
メインバッテリ40への充電のときには、AC電源入力側とメインバッテリ40との間には、オフ状態の第1および第2の前段スイッチング素子11,12が介在する。
【0029】
制御部51は、図示は省略しているが、昇圧部スイッチング素子23、および、バッチ式継電部30の4つのスイッチング素子11,12,16,17、の制御電極に配線されており、スイッチングのオンオフ指令の信号を発信している。制御部51は、このあと説明するゲート電圧を下げてスイッチング素子(MOSFET等)のオン抵抗を高めて、中央コンデンサへの突入電流を抑制する等のスイッチング素子の動作の制御を支配する。
【0030】
図1に示す電力変換装置50によれば、一般家庭用のAC電源を用いて、EV、HV等の二次電池40を充電することができる。このとき、力率向上のためのスイッチング素子23等を含む昇圧部20によって昇圧するので、家庭への電力配電を過大にすることなく、限られた配電から有効に電力を二次電池40に充電することができる。また、昇圧部20による昇圧により、家庭用AC電源から定格電圧330VのEV等の主電池に効率よく安定して充電することができる。
さらに、図1に示すように、この電力変換装置50ではトランスを用いることなく、AC電源の入力部9とメインバッテリ40への出力部39との間に、オフ状態のスイッチング素子を、常時、介在させる。
本実施の形態では、スイッチング素子11,12,16,17には、どのような半導体素子を用いてもよい。たとえば、逆阻止能力を持たないMOSFET、JFET、バイポーラトランジスタ等でもよいし、また逆阻止能力を有する逆阻止用IGBT等を用いてもよい。逆阻止能力を持つ半導体素子の場合、入力側と出力側とは、絶縁される。また、逆阻止能力を持たない場合でも、制御部による制御方法によっては一定の安全性向上を得ることができる。
【0031】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における電力変換装置の、4つのスイッチング素子11,12,16,17を含むバッチ式継電部30の一例を示す図である。図2に示すバッチ式継電部30は、コンデンサ充電の際の瞬間的な突入電流の防止およびフェイルセーフを得ることを目的としている。本変形例2では、4つのスイッチング素子11,12,16,17にかかる電圧をモニタリングする。モニタリングする電圧は、ドレイン・ソース間電圧である。電圧のモニタリングは既存の任意の装置を用いることができる。スイッチング素子間の電圧が基準電圧以上になったとき、ゲート電圧を低下またはゼロにするように制御をかける。
【0032】
図3は、ドレイン・ソース間電圧−ドレイン電流の関係に及ぼすゲート電圧の影響を示す図である。ドレイン電流は、前段スイッチング素子11,12、後段スイッチング素子16,17、および中央コンデンサ15を流れる電流である。ゲート電圧は、制御部51から、各スイッチング素子11,12,16,17のゲートに入力される制御のための信号の電圧である。図3によれば、ゲート電圧を低下させることでドレイン電流を減少させることができる。とくにゲート電圧をゼロにするとドレイン電流を非常に小さくすることができる。すなわち、スイッチング素子11,12,16,17にかかる電圧をモニタリングして、基準電圧以上になったとき、ゲート電圧を低下ないしゼロにすることで、瞬間的な突入電流の発生を防止し、フェイルセーフを得ることができる。
【0033】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における電力変換装置50の一例を示す図である。この実施の形態3では、図1に示す電力変換装置の出力部39において、メインリレー33に並行して、直列配置の電気抵抗31を有するサブリレー32を設ける点に特徴を有する。出力部39においては、電力変換装置50の起動時に、メインリレー33がオフ状態、かつサブリレー32がオン状態とする。稼働初期を経過して定常運転に移行する際に、メインリレー33をオン状態にした上で、サブリレー32をオフにする。
上記のように、起動時に、中央コンデンサ15のプリチャージ用として、出力部に二次電池との間に抵抗31を直列させたサブリレー32を用いることで、AC電源側から中央コンデンサ15への突入電流を小さくすることができる。
【0034】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4では、制御部51による第1および第2のスイッチング素子11,12の制御において、ゲート電圧を低くする点に特徴を有する。図5に示すように、ゲート電圧Vgsを低くすることで、各スイッチング素子のオン抵抗を高くする。スイッチング素子11,12のオン抵抗を高くすることによって、稼働初期における中央コンデンサ15への突入電流を低くすることができる。
【0035】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5では、昇圧部20の昇圧部スイッチング素子23を制御して、昇圧電圧を徐々に増加する。昇圧部20への入力電圧をVとし、出力される昇圧後の電圧をVとし、昇圧部スイッチング素子23のオンデューティ比をDとすると、V=V/(1−D)、の関係が成り立つ。この関係に基づいて、起動時に、一気に所定の高い電圧にするのではなく、オンデューティ比を許容される最小値から徐々に高めることで、出力電圧Vを、低い電圧から徐々に高くすることができる。このような制御方法によって、中央コンデンサ15への突入電流を低くすることができる。なお、上述の電圧Va,Vb,Vcの大小を論じた場合のVa,Vb,Vcは、定常状態での電圧である。
【0036】
(実施の形態6)
図6は、本発明の実施の形態6における電力変換装置50の一例を示す図である。この電力変換装置50は、図1の電力変換装置50における昇圧部20のダイオード22をスイッチング素子22aに、また、整流部10の4つのダイオード41,42,43,44をスイッチング素子41a,42a,43a,44aに置き換えた点に構成上の特徴がある。このダイオードのスイッチング素子への置き換えによって、AC電源から二次電池40への充電だけでなく、加えて、二次電池40の電力を用いてAC電源側へと交流電力を供給することができる。制御部51についても、二次電池40の電力を用いてAC電源側へと交流電力を供給するソフトが組み込まれていて、それへの制御の切り替えを行う。上記の兼用装置によれば、家庭と自動車との間で電力のやりとりが可能となり、たとえば安価な夜間電力によってメインバッテリ40を充電しておき、昼間に家庭の冷暖房機器をメインバッテリ40の電力で運転すること等が可能になる。
【0037】
図6に示す、バッチ式継電部30の4つのスイッチング素子11,12,16,17には、MOSFET、JFET等を用いることができる。制御部51による制御によって、メインバッテリ40から交流側に電力を供給することができる。この場合、昇圧部20では、上記電圧Vaから家庭用交流電圧を生成するのに必要な電圧まで降圧することになる。交流側に電力を供給する際には、前段および後段の全素子を常時オンとするように制御することで導通損失を低減することができる。
【0038】
(実施の形態7)
図7は、本発明の実施の形態7における電力変換装置50の一例を示す図である。この電力変換装置50は、バッチ式継電部30における4つのスイッチング素子11,12,16,17が、すべて、逆阻止用ダイオード11d,12d,16d,17dを直列に挿入されている点に特徴を有する。バッチ式継電部30のスイッチング素子11,12,16,17が、通常の、IGBT、MOSFET、JFETのようにとくに逆阻止能力を持たず、かつ逆阻止用ダイオードを挿入されない場合、負荷(メインバッテリ40)からAC電源方向に対して絶縁性を持たない。このため、制御部51による制御方法によっては、オフ状態のスイッチング素子を介在させることで一定の安全性を得ることはできるが、入力側と負荷側との間にトランスを介在させた場合に得られるレベルの絶縁性を得ることはできない。しかし、図7に示すように、逆阻止用ダイオード11d,12d,16d,17dを各スイッチング素子11,12,16,17に配置することで、トランスを用いた場合と同様に、出力側から入力側への方向に対し、高いレベルの確実な絶縁性を得ることができる。
【0039】
(実施の形態8)
図8は、本発明の実施の形態8における電力変換装置50の一例を示す図である。実施の形態1等において例示した電力変換装置50の力率改善のための昇降圧部20は、昇圧コンバータによって構成した。しかし、本実施の形態では力率改善回路を、昇圧および降圧が可能な昇降圧コンバータ20gによって構成する。図8に示すように、力率改善のための昇降圧部(コンバータ)20gでの入力電圧をViとし、出力電圧をVaとし、昇降圧部スイッチング素子23のオンデューティ(オンDuty)をDとすると、Va=−{D/(1−D)}・Viが成り立つ。このような回路構成にすることで、デューティの設定次第で、入力電圧よりも、高い出力電圧、または低い出力電圧のどちらも可能となる。すなわち、Vi<Va、またはVi>Va、の両方が可能となる。ただし、出力電圧の極性が反転するので、バッチ式継電部30gにおいて中央コンデンサ15の前段および後段のスイッチング素子11g,12g,16g,17gは、極性を反転させる。
【0040】
昇圧のみ行うコンバータでは、入力電圧Viよりも出力電圧Vaを低くすることができない。すなわちVi<Va、とすることができない。また、中央コンデンサ15およびスイッチング素子11g,12g,16g,17gで構成されるバッチ式継電部では、AC電源とメインバッテリ40との間の絶縁を行うのみであり、電圧調整機能は備えていない。このため、とくにAC200Vの電源の場合、出力電圧の可能な範囲の下限は、200Vrms×21/2=282V程度となり、定格電圧200V等のバッテリの充電には対応できない。
しかし、上記のように、昇降圧が可能な昇降圧部20gとすることで、昇圧のみ行うコンバータに比べて、Vi>Vaとすることが可能となる。この結果、定格電圧200V程度またはそれ以下の定格電圧のバッテリへの充電が可能になる。
【0041】
(実施の形態9)
図9は、本発明の実施の形態9における電力変換装置50の一例を示す図である。実施の形態1等において例示した電力変換装置50の力率改善のための昇降圧部20では、昇降圧部の最終段に配置する昇降圧部コンデンサ25は一つであった。しかし、本実施の形態では、図9に示すように、複数の昇降圧部コンデンサ25a,25bを配置して、これら複数の昇降圧部コンデンサ25a,25bの正電位側およびグランド側と、中央コンデンサ15のグランド側との間に、複数の第2の前段スイッチング素子12a,12bを配置する。昇降圧部20hにおけるコンデンサ25a,25b以外の部分は、実施の形態1における昇圧部20の部分と同じである。
【0042】
制御部51は、要求される電圧に応じてスイッチング素子11,12a,12b,16,17を切り替えることで、出力電圧を変えることができる。これによって、変圧器を用いることなく、また実施の形態8(図8)におけるようにデューティの設定に配慮することなく、出力電圧を変えることができ、AC電源の実効電圧に限定されることなく所定範囲の定格電圧のバッテリを充電することができる。また、AC電源の入力側と、直流の出力側とを上記のレベルで絶縁することができる。
図9では、複数の昇降圧部コンデンサ25a,25bと、複数の第2の前段スイッチング素子12a,12bとの場合を示している。しかし、複数の第2の前段スイッチング素子に加えて、第1の前段スイッチング素子を複数にして複数の昇降圧部コンデンサに配線することで、出力電圧を変えてもよい。
また、中央コンデンサ15を複数にして、第1および/または第2の前段スイッチング素子、および/または、第1および/または第2の前段スイッチング素子、を各自複数にしてもよい。このような、中央コンデンサの複数化、および全てまたはいずれかのスイッチング素子の複数化、によって、より広い範囲に、出力電圧を制御して変化させることができる。
また、出力部のコンデンサ35を複数にして、第1の後段スイッチング素子および/または第2の後段スイッチング素子を、各自、複数にしてもよい。これによって、出力部のコンデンサを複数にすることで簡単に出力電圧を制御して変化させることができる。
【0043】
(実施の形態10)
図10は、本発明の実施の形態10における電力変換装置50の一例を示す図である。実施の形態6の電力変換装置50は、ダイオードのスイッチング素子への置き換えによって、AC電源から二次電池40への充電だけでなく、加えて、二次電池40の電力を用いてAC電源側へと交流電力を供給することができる装置であった。本実施の形態の電力変換装置50は、実施の形態6と同じ機能を有しながら、バッチ式継電部30sのスイッチング素子11s,12s,16s,17sを逆阻止能力を持つ双方向スイッチング素子とした点に特徴を有する。これら逆阻止能力を持つ双方向スイッチング素子としては、逆阻止IGBTを用いることができる。
スイッチング素子11s,12s,16s,17sは、図11に示すように、それぞれ、順方向通電部と逆方向通電部とを持ち、一方の方向の通電部が作動しているとき、逆方向の通電部は逆阻止機能を発現する。各双方向スイッチング素子において、Q1Aが順方向通電部であり、Q2Bが逆方向通電部である。これによって、各スイッチング素子11s,12s,16s,17sが、順/逆方向について、導通/阻止能力を持つことになる。この結果、AC電源(家庭交流電源)側と車両二次電池側との間の双方向について絶縁性を確保した上で、相互に電力のやりとりを行うことが可能になる。
【0044】
(実施の形態11)
図12は、本発明の実施の形態11における電力変換装置50の一例を示す図である。本実施の形態の電力変換装置50では、実施の形態10と同様に、二次電池40の電力を用いてAC電源側へと交流電力を供給することを可能としながら、実施の形態10と異なる形態の素子によって逆阻止能力を持つようにしている。その逆阻止能力を持たせるために、本実施の形態では、バッチ式継電部30sのスイッチング素子11a,12a,16a,17aに、逆阻止能力のないIGBTと本来逆阻止能力を有する通常のダイオードとを組み合わせたものを用いた点に特徴を有する。
スイッチング素子11a,12a,16a,17aは、それぞれ、順方向通電部と逆方向通電部とを持ち、一方の方向の通電部が作動しているとき、逆方向の通電部は逆阻止機能を発現する。これによって、各スイッチング素子11a,12a,16a,17aが、順/逆方向について、導通/阻止能力を持つことになる。この結果、AC電源(家庭交流電源)側と車両二次電池側との間の双方向について絶縁性を確保した上で、相互に電力のやりとりを行うことが可能になる。
また、本実施の形態では、通常の逆阻止能力のないIGBTと通常のダイオードとを組み合わせるため、部品コスト低減を得ることが可能である。
【0045】
(実施の形態12)
図13は、本発明の実施の形態12における電力変換装置50の一例を示す図である。本実施の形態の電力変換装置50では、実施の形態11と同様に、二次電池40の電力を用いてAC電源側へと交流電力を供給することを可能としながら、実施の形態10と異なる形態の素子によって逆阻止能力を持つようにしている。その逆阻止能力を持たせるために、本実施の形態では、バッチ式継電部30sのスイッチング素子11b,12b,16b,17bに、逆阻止能力のないMOSFETと逆阻止能力を本来有するダイオードとを組み合わせたものを用いた点に特徴を有する。
スイッチング素子11b,12b,16b,17bは、実施の形態10、11と同様に、順方向通電部と逆方向通電部とを持ち、一方の方向の通電部が作動しているとき、逆方向の通電部は逆阻止機能を発現する。この結果、AC電源(家庭交流電源)側と車両二次電池側との間の双方向について絶縁性を確保した上で、相互に電力のやりとりを行うことが可能になる。
また、本実施の形態では、通常の逆阻止能力のないMOSFETと通常のダイオードとを組み合わせるため、部品コスト低減を得ることが可能である。
【0046】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行ったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれら発明の実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の電力変換装置によれば、入力側と出力側との電圧に対する制限をなくして、かつ、小型、低損失の、一般家庭のAC電源によりEV等のメインバッテリを充電することができる電力変換装置を得ることができる。また、整流部のブリッジのダイオードおよび昇圧部のダイオードをスイッチング素子に置き換えることで、上記の機能に加えて、二次電池から家庭にAC電力を供給することができる。さらに二次電池から一般家庭への交流電力の供給という機能は除かれるが、バッチ式継電部のスイッチング素子に逆阻止能力を付随させることで、トランスを用いた場合と同じレベルの絶縁性を得ることができる。
【符号の説明】
【0048】
9 入力部、10 整流部、11,12,16,17 バッチ式継電部のスイッチング素子、11a,12a,16a,17a バッチ式継電部の双方向通電逆阻止スイッチング素子、11b,12b,16b,17b バッチ式継電部の双方向通電逆阻止スイッチング素子、11s,12s,16s,17s バッチ式継電部の双方向通電逆阻止スイッチング素子、15 中央コンデンサ、20 昇圧部、20g 昇降圧部、20h 複数コンデンサによる昇降圧部、21 インダクタ、22 昇圧部のダイオード、22a 昇圧部のスイッチング素子、23 昇圧部スイッチング素子、25 昇圧部コンデンサ、25a,25b、昇降圧部の複数コンデンサ、30 バッチ式継電部、30g 昇降圧部の後段のバッチ式継電部(逆極性スイッチング)、30h 複数の前段第2スイッチング素子を有するバッチ式継電部、30s 双方向通電逆阻止スイッチング素子配置のバッチ式継電部、31 電気抵抗、32 サブリレー、33 メインリレー、35 平滑コンデンサ、39 出力部、40 メインバッテリ(二次電池)、41,42,43,44 整流部のダイオード、41a,42a,43a,44a 整流部のスイッチング素子、51 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電力と直流電力とを相互に変換する電力変換装置であって、
交流を整流する整流部と、
力率向上のための素子を含み、前記整流部からの直流電圧を、昇圧し、または降圧する、昇降圧部と、
前記昇降圧部からの直流電圧によって充電され後段の出力部へと放電するための中央コンデンサと、
前記昇降圧部の正電位側と前記中央コンデンサの正電位側との間に直列配置される第1の前段スイッチング素子、および、前記昇降圧部のグランド側と中央コンデンサのグランド側との間に直列配置される第2の前段スイッチング素子と、
前記中央コンデンサの正電位側と出力部の正電位側との間に直列配置される第1の後段スイッチング素子および、前記中央コンデンサのグランド側と出力部のグランド側との間に直列配置される第2の後段スイッチング素子と、
前記昇降圧部、ならびに第1および第2の前段スイッチング素子と後段のスイッチング素子とを制御する制御部とを備えることを特徴とする、電力変換装置。
【請求項2】
前記昇降圧部は、インダクタ、昇降圧部スイッチング素子、昇降圧部ダイオード、および昇降圧部コンデンサ、によって構成され、前記昇降圧部ダイオードは正電位側に挿入され、また、前記昇降圧部コンデンサは、前記昇降圧部の最終段において正電位側とグランド側との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記昇降圧部において、直列接続された前記昇降圧部スイッチング素子および前記昇降圧部ダイオードは正電位側に直列挿入され、前記インダクタが、前記昇降圧部スイッチング素子と昇降圧部ダイオードとの間の正電位側とグランド側との間に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記昇降圧部において、直列接続された前記インダクタおよび前記昇降圧部ダイオードは正電位側に直列挿入され、前記昇降圧部スイッチング素子が、前記インダクタと昇降圧部ダイオードとの間の正電位側とグランド側との間に配置されることを特徴とする、請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記昇降圧部コンデンサは複数の昇降圧部コンデンサから形成され、かつ、前記第1および/または前記第2の前段スイッチング素子は、各自、複数のスイッチング素子から形成され、該複数の第1の前段スイッチング素子は、前記中央コンデンサの正電位側と所定の昇降圧部コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、また前記複数の第2の前段スイッチング素子は、前記中央コンデンサのグランド側と所定の昇降圧部コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、前記制御部は、前記各スイッチング素子を制御することで、前記中央コンデンサから放電する出力電圧を変えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記中央コンデンサは複数の中央コンデンサから形成され、かつ、前記第1および/または前記第2の前段スイッチング素子、および/または、前記第1および/または前記第2の後段スイッチング素子は、各自、複数のスイッチング素子から形成され、該複数の、前記第1の前段スイッチング素子および/または第1の後段スイッチング素子は、正電位側と所定の中央コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、また前記複数の、前記第2の前段スイッチング素子および/または第2の後段スイッチング素子は、グランド側と所定の中央コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、前記制御部は、前記各スイッチング素子を制御することで、前記中央コンデンサから放電する出力電圧を変えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1および第2の後段スイッチング素子の出力側に出力部コンデンサを備え、該出力部コンデンサは複数の出力部コンデンサから形成され、かつ、前記第1および/または前記第2の後段スイッチング素子は、各自、複数のスイッチング素子から形成され、該複数の第1の後段スイッチング素子は、前記中央コンデンサの正電位側と所定の出力部コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、また前記複数の第2の後段スイッチング素子は、前記中央コンデンサのグランド側と所定の昇降圧部コンデンサの正電位側またはグランド側との間に配置され、前記制御部は、前記各スイッチング素子を制御することで、前記出力部から放電する出力電圧を変えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第1および第2の前段スイッチング素子と後段のスイッチング素子の電圧をモニタする電圧モニタリング部を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記スイッチング素子間の電圧が基準電圧以上になったとき、前記制御部が前記ゲート電圧を低下ないしゼロにするか、または配線回路により前記ゲート電圧を低下ないしゼロにすることを特徴とする、請求項8に記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記出力部に、リレーに並行して電気抵抗を直列配置されたサブリレーが設けられることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記第1および第2の前段および後段スイッチング素子、ならびに昇降圧部スイッチング素子を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記中央コンデンサが前記昇降圧部の最低出力電圧に充電されるまでの使用開始時に、前記第1および第2の前段スイッチング素子のオン抵抗を増大させることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項12】
前記制御部は、起動時に、前記昇降圧部の出力電圧を所定値以下の増加率で増加させるように、前記昇降圧部スイッチング素子を制御することを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記交流電力から直流電力を発生して前記出力部から出力するとき、前記昇降圧部からの昇降圧出力電圧Vaが、前記中央コンデンサの電圧Vbよりも高くなるように制御することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項14】
前記第1および第2の前段スイッチング素子および前記第1および第2の後段スイッチング素子が逆阻止能力を有することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項15】
前記第1および第2の前段スイッチング素子、ならびに、前記第1および第2の後段スイッチング素子、のそれぞれに、直列に、逆阻止用ダイオードを挿入することを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項16】
前記出力部に二次電池が接続され、該二次電池から前記交流電力側に交流電力を供給できる兼用の装置となるように、前記昇降圧部ダイオードをスイッチング素子に置き換え、また、前記整流部においてブリッジを組む4つのダイオードを、4つのスイッチング素子に置き換えたことを特徴とする、請求項2〜14のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項17】
前記二次電池から前記交流電力側に交流電力を供給できる兼用の装置において前記第1および第2の前段スイッチング素子と後段スイッチング素子とを、逆阻止能力を持つ双方向スイッチング素子とすることを特徴とする、請求項16に記載の電力変換装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−103761(P2011−103761A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−173564(P2010−173564)
【出願日】平成22年8月2日(2010.8.2)
【特許番号】特許第4655250号(P4655250)
【特許公報発行日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】