説明

電力管理システム

【課題】 発電装置の発電能力を活かすことを可能とする電力管理システムを提供する。
【解決手段】 電力管理システム100は、電力を発電するPV211と、電力を蓄積する蓄電池213とを備えており、電力系統に接続される。電力管理システム100は、電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を超えた場合に、蓄電池の充電を開始するように、蓄電池の動作モードを制御する制御部(PV−PCS220又は蓄電PCS240)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置及び蓄電池を備える電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池(PV;Photovoltaic cell)や燃料電池(SOFC;Solid Oxide Fuel Cell)などの発電装置が知られている。また、発電装置と電力系統との間の連系を制御するシステム(以下、EMS:Energy Management System)が知られている。このようなEMSは、発電装置によって供給される供給電力を電力系統に出力する制御(逆潮流制御)などを行う(例えば、特許文献1)。
【0003】
ところで、多数の発電装置が電力系統に接続されているケースなどにおいて、多数の発電装置から電力系統に電力が出力されると、電力系統の電圧値が上昇する。電力系統の電圧値が電力系統に許容される許容電圧値を超えて電力系統に電力が出力されないように、電力系統の電圧値が許容電圧値に達すると、発電装置が電力系統に出力する電力(逆潮流電力)が抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−114930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、電力系統の電圧値が許容電圧値に達すると、発電装置が電力系統に出力する電力(逆潮流電力)が抑制される。
【0006】
このようなケースでは、発電装置によって発電される電力を減少する必要があるが、発電装置の発電能力が十分に活かされないケースが考えられる。例えば、発電装置が自然エネルギーを利用して電力を発電する装置である場合には、自然エネルギーの利用効率が低下してしまう。或いは、発電量の追従性に優れていない場合には、発電装置によって発電された電力が無駄になってしまう。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、発電装置の発電能力を活かすことを可能とする電力管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の特徴に係る電力管理システムは、電力を発電する発電装置と、電力を蓄積する蓄電池とを備えており、電力系統に接続される。電力管理システムは、前記電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を超えた場合に、前記蓄電池の充電を開始するように、前記蓄電池の動作モードを制御する制御部を備える。
【0009】
前記制御部は、前記電力系統の電圧値が前記所定系統電圧閾値を超えた場合に、前記電力系統を経由せずに、前記発電装置から供給される電力が前記蓄電池に直接的に供給されるように、前記発電装置と前記蓄電池との接続を制御する。
【0010】
第1の特徴において、電力管理システムは、前記蓄電池を制御する第1制御部を備える。前記第1制御部は、前記電力系統の電圧値が前記所定系統電圧閾値を超えたか否かを検出し、前記制御部を構成する。
【0011】
第1の特徴において、電力管理システムは、前記発電装置を制御する第2制御部を備える。前記第2制御部は、前記電力系統の電圧値が前記所定系統電圧閾値を超えたか否かを検出し、前記制御部を構成する。
【0012】
第1の特徴において、前記制御部は、前記電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を下回った場合に、前記蓄電池の充電を停止するように、前記蓄電池の動作モードを制御する。
【0013】
第1の特徴において、前記制御部は、前記蓄電池の蓄電量が所定蓄電量を超えた場合に、前記蓄電池の充電を停止するように、前記蓄電池の動作モードを制御する。
【0014】
第1の特徴において、前記制御部は、前記発電装置の発電量が所定発電量を下回った場合に、前記蓄電池の充電を停止するように、前記蓄電池の動作モードを制御する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、発電装置の発電能力を活かすことを可能とする電力管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、第1実施形態に係る電力管理システムの概略を示す図である。
【図2】図2は、第1実施形態に係る電力管理システムの詳細を示す図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る電力管理システムの動作を示す図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る電力管理システムの動作を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態に係る電力管理システムの動作を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態に係る電力管理システムの動作を示す図である。
【図7】図7は、第1実施形態に係る電力管理システムの動作を示す図である。
【図8】図8は、第1実施形態に係る電力管理システムの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明の実施形態に係る電力管理システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0018】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
[実施形態の概要]
実施形態に係る電力管理システムは、電力を発電する発電装置と、電力を蓄積する蓄電池とを備えており、電力系統に接続される。電力管理システムは、電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を超えた場合に、蓄電池の充電を開始するように、蓄電池の動作モードを制御する制御部を備える。
【0020】
なお、所定系統電圧閾値とは、電力系統に許容される許容電圧値(例えば、101V+6V=107V)に応じて定められる。例えば、所定系統電圧閾値は、許容電圧値であってもよく、許容電圧値から所定マージンを差し引いた値であってもよい。
【0021】
実施形態では、制御部は、電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を超えた場合に、蓄電池の充電を開始するように、蓄電池の動作モードを制御する。従って、発電装置によって発電された電力が電力系統を経由して蓄電池に供給されるケースでは、電力系統に接続される負荷が増大し、電力系統の電圧値の上昇が抑制される。発電装置によって発電された電力が電力系統を経由せずに蓄電池に供給されるケースでは、電力系統の電圧値に影響を与えることなく、発電装置によって発電された電力が利用される。これによって、発電装置の発電能力を活かすことが可能である。
【0022】
なお、発電装置は、自然エネルギーを利用する太陽電池、風力発電装置、水力発電装置などである。或いは、発電装置は、ガスなどの燃料を利用する燃料電池である。蓄電池は、EV(Electric Vehicle)に設けられる電池であってもよい。
【0023】
[第1実施形態]
(電力管理システムの概要)
以下において、第1実施形態に係る電力管理システムの概要について説明する。図1は、第1実施形態に係る電力管理システム100の概略を示す図である。
【0024】
図1に示すように、電力管理システム100は、需要家10と、EMS20と、変電所30と、スマートサーバ40と、発電所50とを有する。なお、需要家10、EMS20、変電所30及びスマートサーバ40は、ネットワーク60によって接続されている。
【0025】
需要家10は、太陽電池などの分散電源を有する。また、需要家10は、分散電源として、蓄電池などの他の電力供給手段を有していてもよい。なお、需要家10は、例えば、一戸建ての住宅であってもよく、マンションなどの集合住宅であってもよく、ビルなどの商用施設であってもよく、工場であってもよい。
【0026】
第1実施形態では、複数の需要家10によって、需要家群10A及び需要家群10Bが構成されている。需要家群10A及び需要家群10Bは、例えば、地理的な地域によって分類される。
【0027】
EMS20は、複数の需要家10と電力系統との間の連系を制御する。なお、EMS20は、複数の需要家10を管理するため、CEMS(Cluster Energy Management System)と称されることもある。具体的には、EMS20は、停電時などにおいて、複数の需要家10と電力系統との間を解列する。一方で、EMS20は、復電時などにおいて、複数の需要家10と電力系統との間を連系する。
【0028】
第1実施形態では、EMS20A及びEMS20Bが設けられている。EMS20Aは、例えば、需要家群10Aに含まれる需要家10と電力系統との間の連系を制御する。EMS20Bは、例えば、需要家群10Bに含まれる需要家10と電力系統との間の連系を制御する。
【0029】
変電所30は、複数の需要家10に対して、配電線31を介して電力を供給する。具体的には、変電所30は、発電所50から供給される電圧を降圧する。
【0030】
第1実施形態では、変電所30A及び変電所30Bが設けられている。変電所30Aは、例えば、需要家群10Aに含まれる需要家10に対して、配電線31Aを介して電力を供給する。変電所30Bは、例えば、需要家群10Bに含まれる需要家10に対して、配電線31Bを介して電力を供給する。
【0031】
スマートサーバ40は、複数のEMS20(ここでは、EMS20A及びEMS20B)を管理する。また、スマートサーバ40は、複数の変電所30(ここでは、変電所30A及び変電所30B)を管理する。言い換えると、スマートサーバ40は、需要家群10A及び需要家群10Bに含まれる需要家10を統括的に管理する。スマートサーバ40は、例えば、需要家群10Aに供給すべき電力と需要家群10Bに供給すべき電力とのバランスを取る機能を有する。
【0032】
発電所50は、火力、風力、水力、原子力などによって発電を行う。発電所50は、複数の変電所30(ここでは、変電所30A及び変電所30B)に対して、送電線51を介して電力を供給する。
【0033】
(電力管理システムの詳細)
以下において、第1実施形態に係る電力管理システムの詳細について説明する。図2は、第1実施形態に係る電力管理システム100の詳細を示す図である。ここでは、上述した需要家10を例に挙げて説明する。
【0034】
図2に示すように、電力管理システム100は、太陽電池211(以下、PV211)と、燃料電池212(以下、SOFC212)と、蓄電池213と、電気自動車214(以下、EV214)と、PV−PCS220と、SOFC−PCS230と、蓄電PCS240と、充電器250と、送受信部260と、表示部270を有する。
【0035】
PV211は、電力を発電する発電装置の一例である。詳細には、PV211は、自然エネルギー(太陽光)を利用して電力を発電する。
【0036】
SOFC212は、電力を発電する発電装置の一例である。詳細には、SOFC212は、水素や天然ガスなどの燃料を利用して電力を発電する。なお、SOFC212の発電量の変更を指示してからSOFC212の発電量が実際に変更されるまで、一定の期間が必要とされる。言い換えると、SOFC212の発電量の追随性は、優れているとはいえない。
【0037】
蓄電池213は、電力を蓄積する装置である。また、EV214は、電力を蓄積する電池を有する。すなわち、蓄電池213及びEV214は、電力を蓄積する蓄電池の一例である。
【0038】
PV−PCS220は、PV211を制御する装置(Power Conditioning System)である。PV−PCS220は、DC/DC221と、インバータDC/AC222とを有する。
【0039】
DC/DC221は、PV211及びインバータDC/AC222に接続される。DC/DC221は、PV211から出力される電力の電圧を昇圧する。
【0040】
インバータDC/AC222は、DC/DC221に接続されており、スイッチ(不図示)を介して、電力系統(配電線31)又は蓄電PCS240に接続される。インバータDC/AC222は、DC/DC221から供給される直流電力を交流電力に変換する。
【0041】
例えば、電力系統にPV211が連系された状態において、インバータDC/AC222は、電力系統に接続される。一方で、電力系統からPV211が解列された状態において、インバータDC/AC222は、蓄電PCS240に接続される。
【0042】
SOFC−PCS230は、SOFC212を制御する装置(Power Conditioning System)である。SOFC−PCS230は、DC/DC231と、DC/DC232と、インバータDC/AC233と、AC/DC234とを有する。
【0043】
DC/DC231は、SOFC212及びインバータDC/AC233に接続される。DC/DC231は、SOFC212から出力される電力の電圧を昇圧する。
【0044】
DC/DC232は、SOFC212に接続されており、SOFC212で発電した電力を降圧して制御電源に供給される。AC/DC234は、DC/DC232及び蓄電PCS240に接続されており、蓄電PCS240から供給される交流電力を直流電力に変換して制御電源に供給される。DC/DC232によって生成された電力は、SOFC212の起動電力として用いられる。
【0045】
インバータDC/AC233は、DC/DC231及び電力系統(配電線31)に接続される。インバータDC/AC233は、DC/DC231から供給される直流電力を交流電力に変換する。
【0046】
蓄電PCS240は、蓄電池213を制御する装置(Power Conditioning System)である。蓄電PCS240は、絶縁DC/DC241と、双方向インバータ242と、双方向DC/DC243と、リレー244(以下、RY244)とを有する。
【0047】
絶縁DC/DC241は、SOFC212及び双方向DC/DC243に接続される。絶縁DC/DC241は、SOFC212から供給される電力の電圧を昇圧する。
【0048】
双方向インバータ242は、絶縁DC/DC241、PV−PCS220、電力系統(配電線31)及び特定負荷に接続される。双方向インバータ242は、絶縁DC/DC241から供給される直流電力を交流電力に変換する。一方で、双方向インバータ242は、PV−PCS220又は電力系統から供給される交流電力を直流電力に変換する。
【0049】
なお、特定負荷は、通常時においては、内部リレーを介して電力系統と接続され、停電時においては、双方向インバータ242によって供給される交流電力によって動作する負荷である。
【0050】
双方向DC/DC243は、絶縁DC/DC241、双方向インバータ242に接続されており、RY244を介して蓄電池213に接続される。双方向DC/DC243は、絶縁DC/DC241又は双方向インバータ242から供給される電力の電圧を降圧する。一方で、双方向DC/DC243は、蓄電池213から供給される電力の電圧を昇圧する。
【0051】
RY244は、蓄電池213に接続されており、充電器250を介してEV214に接続される。RY244は、双方向DC/DC243から供給される電力を蓄電池213に供給するか、或いは、双方向DC/DC243から供給される電力を、充電器250を介してEV214に供給するかを切り替える。
【0052】
充電器250は、EV214に設けられる電池の充電を制御する。充電器250は、EV214に接続するためのコネクタなどを有する。
【0053】
送受信部260は、蓄電PCS240に接続されており、蓄電池213(又は、EV214)に蓄電された電力で動作する。また、送受信部260は、通信線に接続されており、PV−PCS220、SOFC−PCS230、蓄電PCS240及び充電器250から情報を受信する。同様に、送受信部260は、通信線に接続されており、PV−PCS220、SOFC−PCS230、蓄電PCS240及び充電器250に情報を送信する。なお、送受信部260は、例えば、無線によって表示部270に接続されており、表示部270に情報を送信する。
【0054】
表示部270は、蓄電PCS240に接続されており、蓄電池213(又は、EV214)に蓄電された電力で動作する。表示部270は、送受信部260から受信する情報などを表示する。
【0055】
第1実施形態において、PV−PCS220又は蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する制御部を構成する。
【0056】
第1に、PV−PCS220が制御部を構成する場合には、PV−PCS220は、電力系統の電圧値を監視する機能を有しており、電力系統の電圧値が前記所定系統電圧閾値を超えたか否かを検出する。
【0057】
PV−PCS220は、電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を超えた場合に、蓄電池213(又は、EV214)の充電を開始するように、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する。詳細には、PV−PCS220は、通信線を介して充電モード移行指示を蓄電PCS240に送信する。
【0058】
所定系統電圧閾値は、電力系統に許容される許容電圧値(例えば、101V+6V=107V)に応じて定められる。例えば、所定系統電圧閾値は、許容電圧値であってもよく、許容電圧値から所定マージンを差し引いた値であってもよい。
【0059】
PV−PCS220は、電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を下回った場合に、蓄電池213(又は、EV214)の充電を停止するように、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する。詳細には、PV−PCS220は、通信線を介して充電モード解除指示を蓄電PCS240に送信する。
【0060】
なお、充電を開始するための所定系統電圧閾値と充電を停止するための所定系統電圧閾値とは互いに異なっていてもよい。例えば、充電を開始するための所定系統電圧閾値は、充電を停止するための所定系統電圧閾値よりも高くてもよい。
【0061】
PV−PCS220は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量が所定蓄電量を超えた場合に、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する。詳細には、PV−PCS220は、通信線を介して充電モード解除指示を蓄電PCS240に送信する。
【0062】
なお、所定蓄電量は、蓄電池213(又は、EV214)が満充電であるときの蓄電量(満充電蓄電量)に応じて定められる。例えば、所定蓄電量は、満充電蓄電量であってもよく、満充電蓄電量から所定マージンを差し引いた値であってもよい。
【0063】
PV−PCS220は、PV211の発電量が所定発電量を下回った場合に、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する。詳細には、PV−PCS220は、通信線を介して充電モード解除指示を蓄電PCS240に送信する。
【0064】
なお、所定発電量は、任意に定めることが可能である。例えば、所定発電量は、充電に必要な電力を供給できないレベルの発電量である。
【0065】
第2に、蓄電PCS240が制御部を構成する場合には、蓄電PCS240は、電力系統の電圧値を監視する機能を有しており、電力系統の電圧値が前記所定系統電圧閾値を超えたか否かを検出する。
【0066】
蓄電PCS240は、電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を超えた場合に、蓄電池213(又は、EV214)の充電を開始するように、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する。
【0067】
蓄電PCS240は、電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を下回った場合に、蓄電池213(又は、EV214)の充電を停止するように、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する。
【0068】
蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量が所定蓄電量を超えた場合に、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する。
【0069】
蓄電PCS240は、PV211の発電量が所定発電量を下回った場合に、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する。詳細には、蓄電PCS240は、通信線を介してPV211の発電量をPV−PCS220から受信する。
【0070】
第1実施形態において、蓄電池213(又は、EV214)が充電モードである場合に、PV211によって発電された電力は、電力系統を経由して蓄電池213(又は、EV214)に供給されてもよい。或いは、PV211によって発電された電力は、電力系統を経由せずに、蓄電池213(又は、EV214)に直接的に供給されてもよい。
【0071】
(電力管理システムの動作)
以下において、第1実施形態に係る電力管理システムの動作について説明する。図3〜8は、第1実施形態に係る電力管理システム100の動作を示す図である。
【0072】
第1に、PV−PCS220が制御部を構成するケースについて、図3〜図5を参照しながら説明する。
【0073】
(1−1)系統電圧値に応じて充電を解除するケース
図3に示すように、ステップ110において、PV−PCS220は、電力系統の電圧値Vacが所定系統電圧閾値Vthを超えたことを検出する。
【0074】
ステップ111において、PV−PCS220は、蓄電池213(又は、EV214)の充電開始を指示する充電モード移行指示を蓄電PCS240に送信する。また、蓄電PCS240は、充電モード移行指示に応じて、蓄電池213(又は、EV214)の充電を開始する。
【0075】
ステップ112において、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の充電を開始した旨(充電開始通知)をPV−PCS220に送信する。
【0076】
ステップ113において、PV−PCS220は、PV−PCS220の出力抑制を停止した旨を示す出力抑制停止通知を蓄電PCS240に送信する。ここでは、電力系統の電圧値Vacが所定系統電圧閾値Vthを超えているため、PV−PCS220は、自律的に出力を抑制しているが、充電開始通知に応じて、出力抑制を停止することを意味する
ことを前提としていることに留意すべきである。従って、このような前提が存在しなければ、ステップ113の処理は省略されてもよい。
【0077】
ステップ114において、PV−PCS220は、PV211の発電量(Vpv、Ipv)を蓄電PCS240に送信する。また、PV−PCS220は、電力系統の電力値(Vac、Iac)を蓄電PCS240に送信する。
【0078】
なお、Vpvは、PV211によって発電される電力の電圧値であり、Ipvは、PV211によって発電される電力の電流値である。また、Vacは、電力系統の電圧値であり、Iacは、電力系統の電流値である。
【0079】
ここで、PV−PCS220は、PV211の発電量(Vpv、Ipv)及び電力系統の電力値(Vac、Iac)を周期的に送信することに留意すべきである。
【0080】
ステップ115において、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量(Vbatt、Ibatt)をPV−PCS220に送信する。
【0081】
なお、Vbattは、蓄電池213(又は、EV214)に蓄電される電力の電圧値であり、Ibattは、蓄電池213(又は、EV214)に蓄電される電力の電流値である。
【0082】
ここで、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量(Vbatt、Ibatt)を周期的に送信することに留意すべきである。
【0083】
ステップ116において、PV−PCS220は、電力系統の電圧値Vacが所定系統電圧閾値Vthを下回ったことを検出する。
【0084】
ステップ117において、PV−PCS220は、蓄電池213(又は、EV214)の充電停止を指示する充電モード解除指示を蓄電PCS240に送信する。また、蓄電PCS240は、充電モード停止指示に応じて、蓄電池213(又は、EV214)の充電を停止する。
【0085】
ステップ118において、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の充電を停止した旨(充電停止通知)をPV−PCS220に送信する。
【0086】
(1−2)蓄電量に応じて充電を解除するケース
図4に示すように、ステップ120〜ステップ125の処理は、ステップ110〜ステップ115の処理と同様である。従って、ステップ120〜ステップ125の説明については省略する。
【0087】
ステップ126において、PV−PCS220は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量が所定蓄電量を超えたことを検出する。ここでは、PV−PCS220は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量Pbattが満充電蓄電量fullに達したことを検出する。
【0088】
ここで、PV−PCS220は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量の電圧値が所定閾値を超えたことを検出してもよい。或いは、PV−PCS220は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量の電流値が所定閾値を超えたことを検出してもよい。
【0089】
なお、ステップ127〜ステップ128の処理は、ステップ117〜ステップ118の処理と同様である。従って、ステップ127〜ステップ128の説明については省略する。
【0090】
(1−3)発電量に応じて充電を解除するケース
図5に示すように、ステップ130〜ステップ133の処理は、ステップ110〜ステップ113の処理と同様である。従って、ステップ120〜ステップ130の説明については省略する。
【0091】
ステップ134において、PV−PCS220は、PV211の発電量が所定発電量を下回ったことを検出する。ここでは、PV−PCS220は、PV211の発電量Ppvが略ゼロになったことを検出する。
【0092】
ここで、PV−PCS220は、PV211の発電電力の電圧値が所定閾値を下回ったことを検出してもよい。或いは、PV−PCS220は、PV211の発電電力の電流値が所定閾値を下回ったことを検出してもよい。
【0093】
なお、ステップ135〜ステップ136の処理は、ステップ117〜ステップ118の処理と同様である。従って、ステップ135〜ステップ136の説明については省略する。
【0094】
第2に、蓄電PCS240が制御部を構成するケースについて、図6〜図8を参照しながら説明する。
【0095】
(2−1)系統電圧値に応じて充電を解除するケース
図6に示すように、ステップ210において、蓄電PCS240は、電力系統の電圧値Vacが所定系統電圧閾値Vthを超えたことを検出する。また、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の充電を開始する。
【0096】
ステップ211において、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の充電を開始した旨(充電開始通知)をPV−PCS220に送信する。
【0097】
ステップ212において、PV−PCS220は、PV−PCS220の出力抑制を停止した旨を示す出力抑制停止通知を蓄電PCS240に送信する。
【0098】
ステップ213において、PV−PCS220は、PV211の発電量(Vpv、Ipv)を蓄電PCS240に送信する。ここで、PV−PCS220は、PV211の発電量(Vpv、Ipv)を周期的に送信することに留意すべきである。
【0099】
ステップ214において、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量(Vbatt、Ibatt)をPV−PCS220に送信する。ここで、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量(Vbatt、Ibatt)を周期的に送信することに留意すべきである。
【0100】
ステップ215において、蓄電PCS240は、電力系統の電圧値Vac’が所定系統電圧閾値Vth’を下回ったことを検出する。また、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の充電を停止する。
【0101】
ステップ216において、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の充電を停止した旨(充電停止通知)をPV−PCS220に送信する。
【0102】
(2−2)蓄電量に応じて充電を解除するケース
図7に示すように、ステップ220〜ステップ223の処理は、ステップ210〜ステップ213の処理と同様である。従って、ステップ220〜ステップ223の説明については省略する。
【0103】
ステップ224において、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量が所定蓄電量を超えたことを検出する。ここでは、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量Pbattが満充電蓄電量fullに達したことを検出する。また、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の充電を停止する。
【0104】
ここで、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量の電圧値が所定閾値を超えたことを検出してもよい。或いは、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の蓄電量の電流値が所定閾値を超えたことを検出してもよい。
【0105】
なお、ステップ225の処理は、ステップ216の処理と同様である。従って、ステップ225の説明については省略する。
【0106】
(2−3)発電量に応じて充電を解除するケース
図8に示すように、ステップ230〜ステップ233の処理は、ステップ210〜ステップ213の処理と同様である。従って、ステップ230〜ステップ233の説明については省略する。
【0107】
ステップ234において、蓄電PCS240は、PV211の発電量が所定発電量を下回ったことを検出する。ここでは、蓄電PCS240は、PV211の発電量Ppvが略ゼロになったことを検出する。また、蓄電PCS240は、蓄電池213(又は、EV214)の充電を停止する。
【0108】
ここで、蓄電PCS240は、PV211の発電電力の電圧値が所定閾値を下回ったことを検出してもよい。或いは、蓄電PCS240は、PV211の発電電力の電流値が所定閾値を下回ったことを検出してもよい。
【0109】
なお、ステップ235の処理は、ステップ216の処理と同様である。従って、ステップ235の説明については省略する。
【0110】
(作用及び効果)
第1実施形態では、制御部(PV−PCS220又は蓄電PCS240)は、電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を超えた場合に、蓄電池(蓄電池213又はEV214)の充電を開始するように、蓄電池の動作モードを制御する。従って、発電装置(PV211)によって発電された電力が電力系統を経由して蓄電池に供給されるケースでは、電力系統に接続される負荷が増大し、電力系統の電圧値の上昇が抑制される。発電装置によって発電された電力が電力系統を経由せずに蓄電池に供給されるケースでは、電力系統の電圧値に影響を与えることなく、発電装置によって発電された電力が利用される。これによって、発電装置の発電能力を活かすことが可能である。
【0111】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0112】
実施形態では、PV211及び蓄電池213(又は、EV214)は、別々のPCSによって制御される。しかしながら、PV211及び蓄電池213(又は、EV214)は、1つのPCS(いわゆるハイブリッドPCS)によって制御されてもよい。
【0113】
実施形態では、発電装置として、PV211を例に挙げて説明した。しかしながら、発電装置は、SOFC212であってもよい。このようなケースでは、SOFC−PCS230が制御部を構成する。或いは、発電装置は、風力発電装置、水力発電装置などあってもよい。このようなケースでは、発電装置を制御するPCSが制御部を構成する。
【0114】
実施形態では、PV211によって発電された電力が電力系統を経由せずに蓄電池213(又は、EV214)に直接的に供給されるケースにおいて、PV211によって発電された電力が交流電力に変換された上で、交流電力に変換された電力が再び直流電力に変換される。しかしながら、PV211によって発電された電力が購入電力に変換されずに蓄電池213(又は、EV214)に供給されてもよい。
【0115】
実施形態では、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する単位として、需要家10を例に挙げて説明した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、蓄電池213(又は、EV214)の動作モードを制御する単位は、複数の需要家10であってもよい。このようなケースでは、上述したEMS20やスマートサーバ40が制御部を構成する。
【0116】
実施形態では、通信線の詳細について特に触れていないが、通信線は、有線であってもよく、無線であってもよい。
【0117】
実施形態では、蓄電量の詳細について特に触れていないが、蓄電量は、電流、電圧、電力、単位時間当たりの電力、又は、単位時間当たりの電流のいずれかによって示される値であってもよい。
【符号の説明】
【0118】
10…需要家、20…EMS、30…変電所、31…配電線、40…スマートサーバ、50…発電所、51…送電線、60…ネットワーク、100…電力管理システム、211…太陽電池、212…燃料電池、213…蓄電池、214…電気自動車、220…PV−PCS、221…DC/DC、222…インバータDC/AC、230…SOFC−PCS、231…DC/DC、232…DC/DC、233…インバータDC/AC、234…AC/DC、240…蓄電PCS、241…絶縁DC/DC、242…双方向インバータ、243…双方向DC/DC、244…リレー、250…充電器、260…送受信部、270…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を発電する発電装置と、電力を蓄積する蓄電池とを備えており、電力系統に接続された電力管理システムであって、
前記電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を超えた場合に、前記蓄電池の充電を開始するように、前記蓄電池の動作モードを制御する制御部を備えることを特徴とする電力管理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記電力系統の電圧値が前記所定系統電圧閾値を超えた場合に、前記電力系統を経由せずに、前記発電装置から供給される電力が前記蓄電池に直接的に供給されるように、前記発電装置と前記蓄電池との接続を制御することを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記蓄電池を制御する第1制御部を備え、
前記第1制御部は、前記電力系統の電圧値が前記所定系統電圧閾値を超えたか否かを検出し、前記制御部を構成することを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記発電装置を制御する第2制御部を備え、
前記第2制御部は、前記電力系統の電圧値が前記所定系統電圧閾値を超えたか否かを検出し、前記制御部を構成することを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記電力系統の電圧値が所定系統電圧閾値を下回った場合に、前記蓄電池の充電を停止するように、前記蓄電池の動作モードを制御することを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記蓄電池の蓄電量が所定蓄電量を超えた場合に、前記蓄電池の充電を停止するように、前記蓄電池の動作モードを制御することを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記発電装置の発電量が所定発電量を下回った場合に、前記蓄電池の充電を停止するように、前記蓄電池の動作モードを制御することを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−31266(P2013−31266A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164488(P2011−164488)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】