説明

電力管理装置

【課題】 車両側及びインフラ側で発生する電力ロスを削減することができる電力管理装置を提供すること。
【解決手段】 電力管理装置としてのインフラ・車両管理センタ10は、車両20から走行状態を表す走行情報を取得し、車両20の走行ルート上に存在する所定領域内の照明装置30を選定する。そして、センタ10は、車両20及び照明装置30のそれぞれの照明を点灯又は消灯させる複数の組み合わせを車両20の台数を考慮して生成し、この生成した組み合わせのうちで総消費電力量が最も小さい組み合わせを選択する。そして、センタ10は、選択した組み合わせに従って車両20及び装置30のそれぞれの照明を点灯又は消灯させるための制御内容を決定して車両20及び装置30に供給する。これにより、車両側及びインフラ側で発生する電力ロスを削減することができ、社会全体で電力をより効率よく利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消費される電力を管理する電力管理装置に関し、特に、車両側とインフラ側とによって消費される電力を管理する電力管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、下記特許文献1に示されているような車両のヘッドライト制御装置は知られている。この従来の車両のヘッドライト制御装置は、オートライトコントローラによってヘッドライトが自動点灯されるとき、基本的にヘッドライトの配光がハイビームに設定されるようになっており、前方車両の検出や前方周囲環境が十分に明るいときは、ロービームに切り替えられるようになっている。これにより、この従来の車両のヘッドライト制御装置では、ハイビームを有効に利用して遠方視界の確保や他車両による自車両の認識性を高めるようになっている。
【0003】
又、従来から、例えば、下記特許文献2に示されているような自動車用前照灯の照射方向自動制御機構も知られている。この従来の照射方向自動制御機構は、制御回路がステアリング操舵角センサの出力信号を入力し、左右のランプ駆動ユニットを操舵方向に連動させるように作動信号を出力するようになっている。そして、この従来の照射方向自動制御機構においては、光センサが明るい道路照明を検知したとき、制御回路が前記作動信号の出力を制限するようになっている。これにより、自動車のステアリングに前照灯の照射方向を連動させる必要が少ない明るい道路を走行するときには、連動制御機能を制限するようになっている。
【0004】
さらに、従来から、例えば、下記特許文献3に示されているような道路照明装置も知られている。この従来の道路照明装置は、路面の照度を測定する路面照度検知手段と、車両の位置を検出する位置検出手段と、車両の速度を検出する速度検出手段と、車両の位置及び速度から照明が必要な距離を算出する距離算出手段と、この距離内の照度を所定の基準照度と比較する照度比較手段と、道路を照明すべく道路に沿って設けられた照明手段と、照度の比較に基づいて算出された距離内の照度を安全走行に必要な照度に変更すべく照明手段を制御する制御手段とを有するようになっている。そして、この従来の道路照明装置によれば、車両の位置及び速度から照明が必要な距離を算出し、この距離内の照度を路面照度検知手段で測定して所定の基準照度と比較し、この比較結果に基づいて算出された距離内の照度を安全走行に必要にして十分な照度に変更することができ、夜間における車両前方の照明を充実化できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−112280号公報
【特許文献2】特開平7−329632号公報
【特許文献3】特開平4−92395号公報
【発明の概要】
【0006】
ところで、上記特許文献1に示されたヘッドライト制御装置や上記特許文献2に示された自動車用前照灯の照射方向自動制御機構においては、周囲の明るさに応じて明るいときには、配光をロービームに切り替えたり、照射方向の切り替えを制限したりすることができる。これにより、前方車両に対する眩しさを防止したり、無用な照射方向の切り替えを抑制するようになっている。しかし、上記特許文献1に示されたヘッドライト制御装置や上記特許文献2に示された自動車用前照灯の照射方向自動制御機構においては、例えば、道路に沿って設置されたインフラ側としての照明装置(街路灯)が道路や周囲を照らす状況に合わせてヘッドライト(左右のランプ)を点灯又は消灯するようにはなっておらず、道路や周囲が明るい状況であっても常にヘッドライト(左右のランプ)が点灯された状態とされる。したがって、この場合には、車両側とインフラ側とで消費される電力に電力ロスが発生していることになる。
【0007】
また、上記特許文献3に示された道路照明装置においては、所定距離内の照度を安全走行に必要にして十分な照度となるように道路に沿って設けられたインフラ側としての照明手段(街路灯)を制御することにより、夜間における車両前方の照明を充実化するようになっている。しかし、上記特許文献3に示された道路照明装置においては、例えば、夜間に照明手段の設けられた道路を複数の車両がヘッドライトを点灯した状態で走行すると、照明手段によって十分明るく照らされている道路を車両がさらに明るく照らす可能性があり、この場合にも、車両側とインフラ側とで消費される電力に電力ロスが発生していることになる。したがって、省エネルギーの観点から、このように発生する電力ロスは削減されるべきであり、車両側及びインフラ側全体、すなわち、社会全体で電力をより効率よく利用することが強く望まれている。
【0008】
本発明は、上記した問題に対処するためになされたものであり、その目的は、車両側及びインフラ側で発生する電力ロスを削減することができる電力管理装置を提供することにある。
【0009】
上記目的を達成するための本発明による電力管理装置は、車両が走行する道路上の所定領域内で消費される電力を管理し、車両側及びインフラ側で発生する電力ロスを削減するものである。このため、電力管理装置の特徴は、情報取得手段と、選定手段と、選択手段と、決定手段と、供給手段とを備えることにある。
【0010】
前記情報取得手段は、前記車両の走行状態を表す走行情報を取得する。この場合、走行情報としては、例えば、車両の走行状態を表す、車両の現在位置情報や、車速情報、走行方向情報、探索経路情報等を挙げることができる。
【0011】
前記選定手段は、前記情報取得手段によって取得された前記走行情報が表す前記走行状態を用いて前記車両が到達する前記道路上の所定領域を特定し、同特定した所定領域内にて前記道路に沿って設置された照明装置を選定する。この場合、所定領域としては、例えば、車両が走行している道路上にて予め設定された区間内や走行している車両から一定の距離内として特定することができる。
【0012】
前記選択手段は、前記選定手段によって選定された前記所定領域内の照明装置に設けられたライトの点灯又は消灯、及び、前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトの点灯又は消灯の複数の組み合わせを生成し、この生成した複数の組み合わせのうちのいずれか一つの組み合わせを選択する。この場合、前記選択手段は、例えば、前記情報取得手段によって取得された前記走行情報が表す前記走行状態を用いて前記所定領域に到達する車両の台数を特定し、この特定した前記車両の台数を加味して前記複数の組み合わせを生成し、この生成した複数の組み合わせのうち、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせを選択するとよい。
【0013】
この場合、前記選択手段は、例えば、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせとして、前記所定領域内の照明装置に設けられたライトを点灯させるとともに前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトを消灯させる組み合わせを選択することができる。そして、この場合には、前記選択手段は、例えば、前記選定手段によって選定された前記所定領域内における照明装置を複数の車両が所定時間差内で通過するとき、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせとして、前記所定領域内の照明装置に設けられたライトを点灯させるとともに前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトを消灯させる組み合わせを選択するとよい。
【0014】
また、前記選択手段は、例えば、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせとして、前記所定領域内の照明装置に設けられたライトを消灯させるとともに前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトを点灯させる組み合わせを選択することができる。そして、この場合には、前記選択手段は、少なくとも、前記選定手段によって選定された前記所定領域内の照明装置を通過する車両が所定時間差よりも長い時間間隔で通過するとき、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせとして、前記所定領域内の照明装置に設けられたライトを点灯させるとともに前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトを消灯させる組み合わせを選択するとよい。
【0015】
前記決定手段は、前記選択手段によって選択された組み合わせに基づいて、前記照明装置に設けられたライト及び前記車両に搭載されたヘッドライトを点灯又は消灯させるための制御内容を決定する。前記供給手段は、前記決定手段によって決定された前記制御内容を前記車両及び前記照明装置に供給する。
【0016】
これらによれば、電力管理装置は、車両側とインフラ側としての照明装置とに関し、それぞれが有する照明(すなわち、ヘッドライトとライト)を点灯させるか消灯させるかの複数の組み合わせを、例えば、所定領域内にて照明装置を通過する車両の台数に応じて生成することができる。そして、電力管理装置は、生成した複数の組み合わせのうち、照明装置及び車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせを選択し、この選択した組み合わせに従って車両の照明(ヘッドライト)及び照明装置の照明(ライト)を点灯又は消灯させることができる。
【0017】
すなわち、電力管理装置は、所定領域に到達する車両側(例えば、複数の車両)と所定領域内のインフラ側(照明装置)とを一体的な管理対象として、トータルの電力すなわちトータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)するようにこれらの制御内容を決定することができる。したがって、電力管理装置は、車両及び照明装置によって発生する電力ロスを削減するように制御することができ、その結果、社会全体で電力を効率よく使用することができる。
【0018】
また、電力管理装置の他の特徴は、前記情報取得手段が、前記車両が少なくともバッテリに蓄電された電力を駆動力に変換して走行する電気車両であることを識別するための情報を取得するものであり、前記選択手段は、前記情報取得手段によって取得された前記電気車両であることを識別するための情報を用いて前記車両が電気車両であるか否かを判定し、前記車両が電気車両であることを加味して前記複数の組み合わせを生成し、前記車両が電気車両であるときには、前記生成した複数の組み合わせのうち、前記車両のバッテリに蓄電された電力の消費が少なくなる組み合わせを選択することにもある。そして、この場合には、前記選択手段は、例えば、前記車両のバッテリに蓄電された電力の消費が少なくなる組み合わせとして、前記所定領域内の照明装置に設けられたライトを消灯させるとともに前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトを点灯させる組み合わせを選択することができる。
【0019】
これらによれば、電気車両(EV車両やHV車両)である車両が所定領域を走行する場合には、照明装置の照明(ライト)を点灯させることによって車両の照明(ヘッドライト)を消灯させることができ、車両のバッテリに蓄電された電力の消費を抑えることができる。したがって、車両が電気車両である場合には、例えば、所謂、電費(電力消費率)を効果的に向上させることができ、その結果、航続距離を延ばすことができる。
【0020】
さらに、電力管理装置の他の特徴は、前記選定手段によって選定された前記所定領域内の道路を歩行者が利用しているか否かを判定する判定手段を備え、前記選択手段が、前記判定手段によって前記所定領域内の道路を歩行者が利用していると判定されたとき、前記歩行者が利用している前記所定領域内における前記照明装置のライトの光量を調整して前記複数の組み合わせを生成し、この生成した複数の組み合わせのうち、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせを選択することにもある。そして、この場合には、前記選択手段は、例えば、前記歩行者が利用している前記所定領域内における前記照明装置のライトをその光量が通常の光量よりも小さくなるように調整して前記複数の組み合わせを生成し、この生成した複数の組み合わせのうち、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせを選択することができる。
【0021】
これらによれば、所定領域内の道路を利用する歩行者の有無に応じた複数の組み合わせを生成して照明装置を点灯させることができる。これにより、道路を利用する歩行者が存在する場合には照明装置の照明(ライト)の光量を調整して(小さくして)点灯させることができ、道路を利用する歩行者が存在しない場合には、例えば、車両の台数に応じて照明装置の照明(ライト)を消灯させることができる。これにより、夜間に道路を利用する歩行者は、自身の周囲が照明装置によって必要十分に照らされるため安全に歩行することができ、又、車両を運転する運転者にとっては夜間に道路を利用する歩行者を早期に発見することができて安全に車両を運転することができる。なお、この場合、照明装置の照明(ライト)の光量を小さくして点灯させるために、消灯する場合に比してトータルの電力すなわちトータルのエネルギー利用量が増加するが、照明装置の照明(ライト)の光量を調整しない通常の場合よりもトータルの電力すなわちトータルのエネルギー利用量を小さくすることができて、電力ロスを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る電力管理装置の適用可能なシステムの構成を示す概略図である。
【図2】図1のインフラ・車両管理センタの構成を示す概略図である。
【図3】図1の車両に搭載される情報端末装置の構成を示す概略図である。
【図4】図1の照明装置の構成を示す概略図である。
【図5】図2の電子制御ユニットが実行する電力管理プログラムのフローチャートである。
【図6】所定領域、所定領域内の照明装置(街路灯)及び所定領域に向けて走行する車両の選定を説明するための概略的な図である。
【図7】走行している車両間の所定時間差及び制御内容としての制御時間を説明するための概略的な図である。
【図8】本発明の実施形態に係る点灯パターンマトリックスを説明するための表である。
【図9】本発明の第1変形例に係る点灯パターンマトリックスを説明するための表である。
【図10】本発明の第2変形例に係る点灯パターンマトリックスを説明するための表である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る電力管理装置について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の電力管理装置の適用可能な電力管理システムの概略構成を示している。この電力管理システムは、電力管理装置としてのインフラ・車両管理センタ10と、移動体としての車両20と、インフラとしての道路に設置された照明装置30とから構成される。そして、この電力管理システムにおいては、インフラ・車両管理センタ10、車両20及び照明装置30とが、例えば、インターネット網等のネットワーク40及び中継器50によって互いに通信可能に接続されている
【0024】
インフラ・車両管理センタ10(以下、単に「センタ10」とも称呼する。)は、車両20及び照明装置30が利用するトータルの電力すなわちトータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)するために、本実施形態においては、車両20及び照明装置30の照明を点灯又は消灯させたり、あるいは、後に詳述するように照明の光量調整を遠隔指示によって制御するものである。このため、センタ10は、図2に概略的に示すように、互いに通信可能に接続された電子制御ユニット11、通信ユニット12及び記憶ユニット13を備えている。
【0025】
電子制御ユニット11は、CPU、ROM、RAM等を主要構成部品とするマイクロコンピュータであり、後述するプログラムを含む各種プログラムを実行することにより、センタ10の作動を統括的に制御する。通信ユニット12は、ネットワーク40及び中継器50を介して、車両20(より具体的には、後述する情報端末装置23)及び照明装置30(より具体的には、後述する制御装置32)との間の無線通信又は有線通信を可能とするものである。記憶ユニット13は、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、電子制御ユニット11がセンタ10の作動を統括的に制御するにあたって必要なプログラム及びデータを予め記憶している。
【0026】
又、センタ10には、交通状況データベース14、車両情報データベース15及びインフラ情報データベース16が構築されている。これら各データベース14,15,16は、センタ10内に構築された通信回線に接続されており、電子制御ユニット11からアクセス可能とされている。交通状況データベース14は、周知のVICS情報やプローブ情報等を外部のセンタや対象となる走行車両から取得して、道路の渋滞状況等を表す交通情報を更新可能かつ検索可能に記憶している。
【0027】
車両情報データベース15は、例えば、後述する情報端末装置23の通信ユニット23dに予め割り当てられた通信キーと車両20の種類(所謂、車種)を識別するための識別情報とを互いに関連付けて(紐付けして)検索可能に記憶している。また、車両情報データベース15には、後述する車両20のヘッドライト21を点灯したときの単位時間当たりに消費される電力(以下、「使用電力量」と称呼する。)の大きさを車種ごとに記憶している。さらに、車両情報データベース15には、車両20の車種に合わせて、ヘッドライト21を点灯させたり消灯させたりするための制御コマンド(例えば、CANコマンド等)が記憶されており、この制御コマンドは電子制御ユニット11によって取得されるようになっている。
【0028】
インフラ情報データベース16は、道路に沿って設置されたインフラとしての照明装置30に関し、照明装置30の設置場所を表す設置場所情報及び照明装置30のライト31を点灯したときの使用電力量の大きさを記憶している。そして、インフラ情報データベース16には、照明装置30のライト31を点灯させたり消灯させたりするための制御コマンドが記憶されており、この制御コマンドは電子制御ユニット11によって取得されるようになっている。
【0029】
車両20は、搭載された大容量のバッテリの電力を駆動力に変換して走行する電気自動車(EV車両)や、内燃機関の駆動力による走行とバッテリの電力を変換した駆動力による走行とが可能なハイブリッド車両(HV車両)、内燃機関の駆動力のみにより走行する従来の車両(コンベンショナルな車両:コンベ車両)、あるいは、電動自転車、アシスト自転車、電動バイクなどの二輪車等である。なお、本明細書においては、EV車両及びHV車両をまとめて「電気車両」と称呼するものとする。そして、このような車両20には、図3にて概略的に示すように、図示を省略するバッテリや内燃機関(詳しくは、オルタネータ)からの電力供給が制御されることによって点灯又は消灯するヘッドライト21が設けられている。又、車両20には、図3にて概略的に示すように、ヘッドライト21の作動状態(点灯しているか消灯しているか)を検出するセンサや車両20の車速を検出するセンサ等を含む各種センサ22が設けられている。さらに、車両20には、車室内の運転席近傍に配置された情報端末装置23が設けられている。
【0030】
情報端末装置23は、図3に示すように、互い通信可能に接続された電子制御ユニット23a、入力ユニット23b、液晶表示ユニット23c、通信ユニット23d、記憶ユニット23e及びナビゲーションユニット23fを備えている。電子制御ユニット23aは、CPU、ROM、RAM等を主要構成部品とするマイクロコンピュータであり、図示を省略する各種プログラムを実行することにより、情報端末装置23の作動を統括的に制御する。ここで、電子制御ユニット23aには、例えば、車両20内に構築された通信回線(CAN等)に接続するための周知のインターフェースが設けられている。これにより、電子制御ユニット23aは、この通信回線を介した無線通信又は有線通信により、後述するようにヘッドライト21の作動状態を制御したり、各種センサ22によって検出された各検出値を取得できるようになっている。
【0031】
入力ユニット23bは、液晶表示ユニット23cの近傍に設けられた操作スイッチ、液晶表示ユニット23c内に組み込まれて表示パネルのタッチ操作を検出するパネルタッチスイッチ等からなり、ユーザによる各種入力(例えば、目的地設定等)を可能とするものである。液晶表示ユニット23cは、文字、図形等を表示パネル上に表示するものであり、例えば、ナビゲーションユニット23fによって探索された経路(以下、探索経路と称呼する。)等を表示する。通信ユニット23dは、ネットワーク40及び中継器50を介して、センタ10(より具体的には、電子制御ユニット11)と電子制御ユニット23aとの無線通信又は有線通信を可能とするものである。
【0032】
記憶ユニット23eは、ハードディスクや半導体メモリ等の記憶媒体及び同記憶媒体のドライブ装置を含むものであり、電子制御ユニット23aが情報端末装置23の作動を統括的に制御するにあたって必要なプログラム及び各種データを予め記憶しているとともに、ナビゲーションユニット23fが経路を探索するにあたって必要な各種データ(例えば、地図データや道路データ等)を予め記憶している。
【0033】
ナビゲーションユニット23fは、記憶ユニット23eに予め記憶されている各種データあるいは通信ユニット23dを介してセンタ10を含む外部のセンタから取得した各種データを利用して、ユーザによって指定された目的地までの経路を探索し、探索経路を案内するものである。ここで、ナビゲーションユニット23fには、情報端末装置23(すなわち、車両20)の現在地を検出するために必要なセンサとして、少なくとも、GPS(Global Positioning System)信号検出センサが設けられている。
【0034】
ここで、情報端末装置23については、車両20に搭載された端末装置に限定されるものではなく、例えば、ユーザが所有しており上述した各ユニット23a〜23fと同等の機能を有する携帯情報端末装置(例えば、携帯電話やスマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等)を利用してもよい。この場合においては、ユーザの所有する携帯情報端末装置が車両20内に構築された通信回線(CAN等)にアクセス可能(車両20内に構築されたネットワークにログオン可能)に構成されることは言うまでもない。
【0035】
照明装置30は道路を照明するために道路に沿って配置されるものであり、本実施形態においては、所謂、街路灯として設けられるものである。このため、照明装置30は、図4に概略的に示すように、道路を照らすライト31と、ライト31の点灯または消灯を制御する制御装置32と、ネットワーク40及び中継器50を介した制御装置32とセンタ10との無線通信又は有線通信を可能とする通信装置33とを備えている。制御装置32は、CPU、ROM、RAM等を主要構成部品とするマイクロコンピュータであり、後述するようにセンタ10から送信される制御コマンドを通信装置33を介して取得すると、この取得した制御コマンドに従ってライト31を点灯させたり、消灯させたりする。
【0036】
次に、上記のように構成される電力管理システムの動作すなわちセンタ10の動作について詳細に説明する。夜間に車両20を安全に走行させる場合、少なくとも走行している車両20の前方の道路は明るく照らされている必要があり、一般には、車両20のヘッドライト21又は道路に沿って配置された照明装置30のライト31によって明るく照らされている。したがって、車両20の前方の道路を明るく照らすという観点においては、車両20のヘッドライト21を点灯させること、又は、照明装置30のライト31を点灯させることで達成することができる。一方、道路を明るく照らすために車両20側及び照明装置30側で消費されるトータルの電力すなわちトータルのエネルギー利用量を削減するとの観点からも、車両20のヘッドライト21を点灯させること、又は、照明装置30のライト31を点灯させることが有利であることは明らかである。
【0037】
ところが、照明を点灯又は消灯させる車両20の台数や照明装置30の台数によっては、消費されるトータルの電力すなわちトータルのエネルギー利用量が異なる場合が存在するため、単純に車両20のヘッドライト21及び照明装置30のライト31のいずれか一方のみを点灯させるようにすることは必ずしも効率的であるとは言えない。したがって、センタ10は、車両20及び照明装置30が消費するトータルの電力すなわちトータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)して社会全体で電力を効率よく使用するために、図5に示す電力管理プログラムを実行する。具体的に、センタ10の電子制御ユニット11は、所定の短い時間の経過ごとに、図5に示すフローチャートに従って電力管理プログラムの実行をステップS10にて開始して、ステップS11に進む。
【0038】
ステップS11においては、電子制御ユニット11は、トータルの電力すなわちトータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)する計算対象を選定する。すなわち、電子制御ユニット11は、通信ユニット12を介して、現在走行中の複数の車両20から通信キーとともに送信された複数の走行情報を取得する。そして、取得した各走行情報に基づき、それぞれの車両20が現在又は今後走行する走行ルート上に存在する照明装置30を計算対象として選定する。この場合、電子制御ユニット11は、計算対象となる照明装置30を選定するにあたり、インフラ情報データベース16に記憶されている設置場所情報を用いて、例えば、車両20が走行している道路上にて予め設定された区間内や走行している車両20から一定の距離内に存在する、すなわち、車両20が現在又は今後向かう所定領域内に存在する照明装置30を計算対象として選定することができる。以下、この計算対象の選定について詳細に説明する。
【0039】
今、図6に概略的に示すように、道路1に沿って照明装置30として街路灯1及び街路灯2が設置され、道路1から分岐点Dを経て分岐される道路2に沿って街路灯3及び街路灯4が設置され、道路1から分岐点Dを経て分岐される道路3に沿って街路灯5が設置されている状況を想定する。そして、今、道路1上を2台の車両20(図6にて、車両A及び車両Bと示す)が走行している状況を想定する。なお、本実施形態においては、道路1、道路2、道路3がそれぞれ所定領域であり、図6に示すように、道路1を所定領域1、道路2を所定領域2、道路3を所定領域3と称呼する場合がある。
【0040】
このように想定した状況において、電子制御ユニット11は、まず、車両Aに搭載された情報端末装置23の電子制御ユニット23aから通信ユニット23dを介して送信される走行情報として、例えば、車両Aの現在位置情報や、車速情報、走行方向情報、探索経路情報等によって表される走行状態を、通信ユニット12を介して受信して取得する。また、車両Bについても、車両Aと同様に、電子制御ユニット11は、走行情報として、例えば、車両Bの現在位置情報や、車速情報、走行方向情報、探索経路情報等を、通信ユニット12を介して受信して取得する。
【0041】
続いて、電子制御ユニット11は、取得した車両A及び車両Bのそれぞれの走行情報に基づき、今後の車両A,Bの走行ルートを確認する。すなわち、電子制御ユニット11は、取得した車両A,Bの走行情報のうち、例えば、それぞれの現在位置情報、車速情報及び走行方向情報に基づき、車両A,Bは共に道路1に沿って設置された街路灯1及び街路灯2を通過することを確認する。これにより、電子制御ユニット11は、車両A及び車両B(すなわち2台の車両20)が共に所定領域1に向けて走行していると判断する。なお、この場合、車両A及び車両Bは、後述するように、所定時間差として、例えば、10秒よりも短い時間間隔により道路1(所定領域1)に向けて走行していて、所定時間差(10秒)内で街路灯1及び街路灯2を通過するものとする。
【0042】
又、電子制御ユニット11は、車両Aから取得した走行情報のうちの探索経路情報に基づき、道路1を通過した車両Aは分岐点Dを経て道路2を走行して街路灯3及び街路灯4を通過することを確認する。これにより、電子制御ユニット11は、今後、車両Aのみが所定領域2に向かって走行すると判断する。なお、この場合、たとえ後続の車両20が道路2を走行しても、車両Aから所定時間差(例えば、10秒)よりも長い時間間隔で後続の車両20は街路灯3及び街路灯4を通過する。さらに、電子制御ユニット11は、車両Bから取得した走行情報のうちの探索経路情報に基づき、道路1を通過した車両Bは分岐点Dを経て道路3を走行して街路灯5を通過することを確認する。これにより、電子制御ユニット11は、今後、車両Bのみが所定領域3に向かって走行すると判断する。なお、この場合、たとえ後続の車両20が道路3を走行しても、車両Bから所定時間差(例えば、10秒)よりも長い時間間隔で後続の車両20は街路灯5を通過する。
【0043】
このように、車両A,Bが今後走行する走行ルートである道路1〜道路3(所定領域1〜所定領域3)を確認することにより、電子制御ユニット11は、確認した走行ルート上に存在する照明装置30すなわち街路灯1〜街路灯5を計算対象として選択する。そして、このように計算対象を選定すると、電子制御ユニット11はステップS12に進む。
【0044】
ステップS12においては、電子制御ユニット11は、前記ステップS11にて選定した計算対象である照明装置30及び所定領域に向けて走行している各車両20に関し、照明装置30のライト31及び車両20のヘッドライト21を点灯または消灯する制御(以下、「点灯制御」と称呼する。)として取り得る複数の点灯パターンからなる点灯パターンマトリックスを生成する。以下、この点灯パターンマトリックスの生成について、図6に例示した状況に基づき詳細に説明する。
【0045】
点灯パターンマトリックスを生成するにあたり、電子制御ユニット11は、まず、車両情報データベース15にアクセスし、前記ステップS11にて取得した通信キーから特定される車両A及び車両Bの種類(車種)に対応してそれぞれのヘッドライト21を点灯させたときの使用電力量Ya,Ybを取得する。なお、以下の説明においては、理解を容易とするために、使用電力量Ya及びYbが同一であるとし、例えば、Ya=Yb=5として説明する。又、電子制御ユニット11は、インフラ情報データベース16にアクセスして、前記ステップS11にて選定した計算対象である照明装置30、具体的には、街路灯1〜街路灯5のそれぞれに対応してライト31を点灯させたときの使用電力量Y1,Y2,Y3,Y4,Y5を取得する。なお、以下の説明においては、理解を容易とするために、例えば、使用電力量Y1=3とし、使用電力量Y2〜Y5=5として説明する。
【0046】
さらに、点灯パターンマトリックスを生成するにあたり、電子制御ユニット11は、交通状況データベース14にアクセスして交通情報を取得し、前記ステップS11にて確認した車両A及び車両Bの走行ルートに関する交通状況(すなわち、渋滞等の発生の有無)を確認する。そして、電子制御ユニット11は、確認した交通状況と前記ステップS11にて取得した走行情報のうちの車速情報とに基づき同走行ルートを走行して街路灯1〜5を通過する時の通過予測時刻を算出し、この算出した通過予測時刻を用いて街路灯1〜5を点灯させるときの点灯時間を算出する。
【0047】
具体的に街路灯1の場合を図7に例示して説明すると、今、電子制御ユニット11が、車両Aが街路灯1を通過する時刻として、例えば、01:03:05を予測しているとする。このとき、電子制御ユニット11は、街路灯1が現状において消灯されている場合には、街路灯1を点灯させる点灯時刻として、例えば、01:03:00を設定し、車両Aが通過する前から点灯させるようにする。すなわち、電子制御ユニット11は、この例においては、車両Aの通過が予測される時刻に対して5秒前に街路灯1を点灯させる。次に、電子制御ユニット11は、車両Bが街路灯1を通過する時刻として、例えば、01:03:15を予測している場合には、車両Bが通過する同時刻まで街路灯1を点灯させておくため点灯時間Xとして15秒を算出する。そして、電子制御ユニット11は、同様にして、街路灯2〜街路灯5について、車両A又は車両Bの通過予測時刻から点灯時刻を設定するとともに、点灯させる点灯時間Xを算出する。なお、以下の説明においては、街路灯2(及び街路灯3〜街路灯5)を点灯させる点灯時間Xは、車両A及び車両Bが通過するまでの時間として例示的に10秒として算出されるものとして説明する。
【0048】
そして、電子制御ユニット11は、上述したように、使用電力量を取得するとともに点灯時間を算出すると、図8に示すように、算出した点灯時間Xと、取得した使用電力量Yと、点灯時間X及び使用電力量Yを互いに乗算して算出される消費電力量(X*Y)と、この消費電力量を合計したトータルの電力としての総消費電力量とから構成される複数の点灯パターンからなる点灯パターンマトリックスを生成する。ここで、図8に例示的に示した点灯パターンマトリックスにおいて、点灯パターン1は、街路灯1〜街路灯5のライト31のみを点灯させるパターンを示す。すなわち、点灯パターン1は、車両A及び車両Bのヘッドライト21を消灯させる点灯パターンである。
【0049】
又、図8に例示的に示した点灯パターンマトリックスにおいて、点灯パターン2は、車両A及び車両Bが共に通過する場合のみ街路灯(具体的に、上述した例においては道路1の街路灯1及び街路灯2)のライト31を点灯させる一方で、車両A及び車両Bのヘッドライド21を消灯させる点灯パターンを示す。すなわち、点灯パターン2は、車両A又は車両Bが単独で通過する街路灯(具体的に、上述した例においては道路2を走行する車両Aが通過する街路灯3及び街路灯4と、道路3を走行する車両Bが通過する街路灯5)のライト31を消灯し、車両A及び車両Bのヘッドライト21を点灯させる点灯パターンである。
【0050】
このように、図8に示すような点灯パターンマトリックスを生成すると、電子制御ユニット11は、総消費電力量が小さい、すなわち、トータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)する点灯パターンとして、点灯パターン2を選択する。そして、電子制御ユニット11は、生成した点灯パターンマトリックスを構成する点灯パターンのうち、トータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)する点灯パターン(具体的には点灯パターン2)を選択すると、ステップS13に進む。
【0051】
ここで、トータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)する点灯パターンについて、より詳しく説明する。図8に例示的に示した点灯パターンマトリックスにおいて、トータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)する点灯パターンは、総消費電力量が小さい点灯パターン2である。この場合、点灯パターン2は、上述したように、車両A及び車両Bが共に通過する道路1の街路灯1及び街路灯2のライト31を点灯させる一方で車両A及び車両Bのヘッドライト21を消灯させ、車両Aが単独で通過する道路2の街路灯3及び街路灯4のライト31と車両Bが単独で通過する道路3街路灯5のライト31とを消灯させる一方で車両A及び車両Bのヘッドライト21を点灯させる点灯パターンである。この場合、例えば、道路1を走行する車両20が車両Aの1台のみである場合、上述して図8に示した使用電力量Yを勘案すれば、街路灯1及び街路灯2を点灯させるよりも車両Aのヘッドライト21を点灯させた方が総消費電力量は小さくなることは明らかである。一方、例えば、道路1を走行する車両20が車両A及び車両Bを含めて3台以上である場合、上述した使用電力量Yを勘案すれば、各車両20のヘッドライト21を点灯させるよりも街路灯1及び街路灯2を点灯させた方が総消費電力量は小さくなる。
【0052】
すなわち、照明装置30が設置された道路を走行する車両20の台数が多ければ多いほど、道路に沿って設置された照明装置30のライト31を点灯させた方が総消費電力量は小さく、したがって、トータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)する点灯パターンとなる。一方、照明装置30が設置された道路を走行する車両20の台数が少なければ少ないほど、車両20のヘッドライト21を点灯させた方が総消費電力量は小さく、したがって、トータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)する点灯パターンとなる。なお、車両20のヘッドライト21を点灯させるか、照明装置30のライト31を点灯させるかを判断する車両20の台数については、例えば、ヘッドライト21を点灯したときの使用電力量とライト31を点灯したときの使用電力量とが略同一である場合には、道路に沿って設置された照明装置30の台数よりも車両20の台数以上であり、車両20同士が所定時間差(例えば、10秒)以内の時間間隔で1つの照明装置30を通過するときには照明装置30のライト31を点灯させた方が総消費電力量が小さくなり、道路に沿って設置された照明装置30の台数よりも車両20の台数が少ない、あるいは、車両20同士が所定時間差(例えば、10秒)よりも長い時間間隔で1つの照明装置30を通過するときには車両20のヘッドライト21を点灯させた方が総消費電力量が小さくなる。
【0053】
ステップS13においては、電子制御ユニット11は、前記ステップS12にて選択したトータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)する点灯パターン(具体的には、図8に示した点灯パターン2)に従い、制御対象を設定するとともに同制御対象を点灯制御するための制御時刻を設定する。具体的に上述した点灯パターン2に基づいて説明すると、点灯パターン2に従えば、電子制御ユニット11は、車両A及び車両Bが走行する道路1に沿って設置された照明装置30すなわち街路灯1のランプ31を点灯時刻01:03:00から点灯時間である15秒間点灯させるとともに街路灯2のランプ31を点灯時刻として、例えば、01:03:15から点灯時間である10秒間点灯させる。一方、電子制御ユニット11は、例えば、車両Aのヘッドライト21を消灯時刻01:03:02で消灯させるとともに車両Bのヘッドライト21を消灯時刻01:03:12で消灯させる。又、電子制御ユニット11は、車両Aのヘッドライト21を分岐点Dを通過する時刻(言い換えれば、点灯時刻)として、例えば、01:03:20から点灯時間である10秒間点灯させ、車両Bのヘッドライト21を分岐点Dを通過する時刻(言い換えれば、点灯時刻)として、例えば、01:03:25から点灯時間である10秒間点灯させる。なお、道路2に沿って設置された照明装置30(すなわち街路灯3及び街路灯4)及び道路3に沿って設置された照明装置30(すなわち街路灯5)については、現状で消灯中であれば制御対象とはならない。したがって、電子制御ユニット11は、ステップS13にて、車両A及び車両Bと、照明装置30としての街路灯1及び街路灯2とを制御対象に設定するとともに対応する制御時刻(すなわち、点灯時刻又は消灯時刻)を設定すると、ステップS14に進む。
【0054】
ステップS14においては、電子制御ユニット11は、車両情報データベース15及びインフラ情報データベース16にアクセスし、前記ステップS13にて設定した制御対象を制御するための制御コマンドを検索して取得する。ここで、制御コマンドは、制御対象を制御時刻(又は制御地点)に従って、点灯時間だけ点灯させる(あるいは消灯させる)コマンドである。そして、電子制御ユニット11は、この取得した制御コマンドを通信ユニット12を介して、制御対象となる車両20に搭載された情報端末装置23及び照明装置30の制御装置32に送信する。
【0055】
具体的にステップS14のステップ処理について、上述した点灯パターン2に基づいて説明すると、電子制御ユニット11は、車両A及び車両Bに対しては、車両情報データベース15から取得した制御コマンド(CANコマンド)を、車両A及び車両Bのヘッドライト21を制御時刻で消灯させるとともに制御時刻(あるいは制御地点である分岐点D)で点灯時間だけ点灯させるように設定して決定する。そして、電子制御ユニット11は、取得した設定した制御コマンド(CANコマンド)を車両A及び車両Bに送信(供給)する。又、電子制御ユニット11は、各照明装置30(街路灯1及び街路灯2)に対しては、インフラ情報データベース16から取得した制御コマンドを、これら照明装置30のライト31を制御時刻で点灯時間だけ点灯させるように設置する。そして、電子制御ユニット11は、取得して設定した制御コマンドを各照明装置30(街路灯1及び街路灯2)に送信する。なお、電子制御ユニット11による制御コマンドの送信については、広く知られた送信方法を採用することができるため、その説明を省略する。このように、制御コマンドを送信すると、電子制御ユニット11はステップS15にて電力管理プログラムの実行を一旦終了し、所定の短い時間の経過後、再びステップS10にて同プログラムの実行を開始する。
【0056】
このように、センタ10の電子制御ユニット11が電力管理プログラムを実行することにより、車両20に搭載された情報端末装置23に対して制御コマンド(CANコマンド)を送信すると、情報端末装置23の電子制御ユニット23aは、通信ユニット23dを介して、センタ10から送信された制御コマンド(CANコマンド)を受信し、記憶ユニット23eの所定記憶位置に記憶する。そして、電子制御ユニット23aは、取得した制御コマンドに含まれる制御時刻及び制御地点と、例えば、ナビゲーションユニット23fに設けられたGPS信号検出センサから供給される時刻及び検出された現在位置を比較する。そして、電子制御ユニット23aは、走行中の車両20が制御時刻及び制御地点となったときに、取得した制御コマンド(CANコマンド)に従って、ヘッドライト21を点灯させたり消灯させたりする。
【0057】
又、センタ10の電子制御ユニット11が電力管理プログラムを実行することにより、照明装置30に対して制御コマンドを送信すると、照明装置30の制御装置32は、通信装置33を介して、センタ10から送信された制御コマンドを受信し、制御装置32に設けられた例えばRAMの所定記憶位置に記憶する。そして、制御装置32は、現在の時刻が取得した制御コマンドに含まれる制御時刻となったときに、取得した制御コマンドに従って、ライト31を点灯させたり消灯させたりする。
【0058】
このことを上述した点灯パターン2に従って例示的に説明しておく。まず、街路灯1である照明装置30の制御装置32は、受信した制御コマンドに含まれる制御時刻に基づき、現在の時刻が制御時刻として設定された時刻01:03:00になると、すなわち、車両Aの通過予測時刻よりも5秒前になると、制御コマンドに従ってライト31を点灯時間である15秒間点灯させる。一方、車両Aに搭載された情報端末装置23の電子制御ユニット23aは、受信した制御コマンド(CANコマンド)に含まれる制御時刻及び制御地点に基づき、車両Aが街路灯1を通過する前、すなわち、時刻01:03:02にて制御コマンド(CANコマンド)に従ってヘッドライト21を消灯させる。また、車両Bに搭載された情報端末装置23の電子制御ユニット23aは、受信した制御コマンド(CANコマンド)に含まれる制御時刻及び制御地点に基づき、車両Bが街路灯1を通過する前、すなわち、時刻01:03:12にて制御コマンド(CANコマンド)に従ってヘッドライト21を消灯させる。すなわち、車両A及び車両Bが道路1に沿って設置された街路灯1(照明装置30)を通過する時には、街路灯1のライト31が点灯される一方でそれぞれのヘッドライト21が消灯される。
【0059】
同様にして、街路灯2である照明装置30の制御装置32は、受信した制御コマンドに含まれる制御時刻に基づき、現在の時刻が制御時刻として設定された時刻01:03:15になると、制御コマンドに従ってライト31を点灯時間である10秒間点灯させる。これにより、ヘッドライト21が消灯された状態で車両A及び車両Bが街路灯2(照明装置30)を通過する時には、街路灯2のライト31は点灯されている。
【0060】
続いて、車両A及び車両Bが道路1の分岐点Dまで走行すると、車両Aは道路2を走行し、車両Bは道路3を走行する。このとき、車両Aに搭載された情報端末装置23の電子制御ユニット23aは、受信した制御コマンド(CANコマンド)に含まれる制御時刻及び制御地点に基づき、車両Aが分岐点Dを通過する時、すなわち、時刻01:03:20にて制御コマンド(CANコマンド)に従ってヘッドライト21を点灯時間である10秒間点灯させる。また、車両Bに搭載された情報端末装置23の電子制御ユニット23aは、受信した制御コマンド(CANコマンド)に含まれる制御時刻及び制御地点に基づき、車両Bが分岐点Dを通過する時、すなわち、時刻01:03:25にて制御コマンド(CANコマンド)に従ってヘッドライト21を点灯時間である10秒間点灯させる。そして、この場合においては、道路2に沿って設置された街路灯3(照明装置30)及び街路灯4(照明装置30)は消灯されており、又、道路3に沿って設置された街路灯5(照明装置30)も消灯されている。したがって、車両Aが道路2を走行するとき及び車両Bが道路3を走行するときには、車両A及び車両Bのそれぞれのヘッドライト21が点灯される一方で街路灯3〜街路灯5のそれぞれのライト31が消灯される。
【0061】
以上の説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、インフラ・車両管理センタ10は、電子制御ユニット11が電力管理プログラムを実行することにより、車両20(車両側)と照明装置30(インフラ側)とに関し、ヘッドライト21及びライト31を点灯させるか消灯させるかの点灯制御を設定する点灯パターンマトリックス(具体的には、複数の点灯パターン)を、照明装置30を通過する車両20の台数に応じて生成することができる。そして、電子制御ユニット11は、生成した点灯パターンマトリックスを構成する複数の点灯パターンのうち、総消費電力量が最も小さくなる点灯パターンを選択し、この点灯パターンに従って車両20のヘッドライト21及び照明装置30のライト31を点灯制御することができる。
【0062】
すなわち、この実施形態によれば、インフラ・車両管理センタ10は、所定領域に到達する車両側(複数の車両20)と所定領域内のインフラ側(照明装置30)とを一体的な管理対象として、トータルの電力すなわちトータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)するようにこれらの制御内容を決定することができる。したがって、インフラ・車両管理センタ10は、車両20及び照明装置30によって発生する電力ロスを削減するように制御することができ、その結果、社会全体で電力を効率よく使用することができる。
【0063】
a.第1変形例
上記実施形態においては、車両20がEV車両であるか、HV車両であるか、コンベ車両であるかすなわち車両20の駆動形態に関わらず、トータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)するために、照明装置30のライト31のみを点灯させ、又、車両20のヘッドライト21のみを点灯させるように実施した。この場合、車両20が電気車両である場合、特に、バッテリに蓄電された電力のみで走行するEV車両の場合、バッテリに蓄電された電力の消費を極力抑えて航続距離を確保する、言い換えれば、所謂、電費(電力消費率)を向上させることが要求される。したがって、センタ10の電子制御ユニット11が、車両20の駆動形態に応じて点灯パターンマトリックスを生成する第1変形例を以下に詳細に説明する。なお、以下の説明においては、上記実施形態と同一部分に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0064】
この第1変形例においては、センタ10に設けられた車両情報データベース15が車両20の駆動形態を特定するための情報を検索可能に記憶している。すなわち、この第1変形例における車両情報データベース15も、上記実施形態と同様に、情報端末装置23の通信ユニット23dに予め割り当てられた通信キーと車両20の識別情報とを互いに関連付けて(紐付けして)検索可能に記憶している。そして、この第1変形例においては、車両20の識別情報として、少なくとも、車両20の駆動形態(EV車両、HV車両及びコンベ車両)を表す情報が含まれるものとする。また、この第1変形例における車両情報データベース15には、車両20の駆動形態に合わせて、使用電力量の大きさが記憶されており、この場合、車両20がコンベ車両である場合には、内燃機関が作動することにより発生する電力(エネルギー)を用いてヘッドライト21を点灯させるため、使用電力量は「0」として記憶されている。
【0065】
そして、この第1変形例においても、センタ10の電子制御ユニット11は、図5に示した電力管理プログラムを上記実施形態と同様に実行するが、この変形例においては、電子制御ユニット11がステップS12にて車両20の種類を考慮して点灯パターンマトリックスを生成する点で若干異なる。すなわち、電子制御ユニット11は、前記ステップS11にて、通信ユニット12を介して、現在走行中の複数の車両20から取得した複数の走行情報に含まれる、各情報端末装置23の通信ユニット23dに予め割り当てられた通信キーを取得する。そして、電子制御ユニット11は、取得した通信キーを用いて車両情報データベース15を検索し、同通信キーに関連付けられて記憶されている車両20の駆動形態を特定、より具体的には、車両20が電気車両であるか否かを判定して、ステップS12に進む。
【0066】
この第1変形例におけるステップS12においては、電子制御ユニット11は、車両20の駆動形態、具体的には、電気車両である車両20に搭載されたバッテリの電力消費を考慮して、複数の点灯パターンマトリックを生成する。なお、この第1変形例においては、理解を容易とするために、例えば、上記実施形態で説明した車両Aがコンベ車両とし、車両BがEV車両であるとして説明する。したがって、この第1変形例においても、車両A及び車両Bは共に道路1を走行し、車両Aは分岐点Dから道路2を走行し、車両Bは分岐点Dから道路3を走行する。
【0067】
この第1変形例における電子制御ユニット11は、点灯パターンマトリックスを生成するにあたり、車両20の種類がEV車両であるときにはバッテリの電力消費が最も少なくなるように点灯パターンを生成し、HV車両、コンベ車両の順で車両20における電力消費が増えるように点灯パターンを生成する。したがって、この第1変形例においては、電子制御ユニット11は、図9に示すような点灯パターンマトリックスを生成する。具体的に、上記実施形態と異なる点、言い換えれば、車両20の駆動形態を考慮した点を説明する。なお、図9においては、上記実施形態にて説明した図8の点灯パターンマトリックスと異なる部分を太文字で示す。
【0068】
この第1変形例においては、車両Aがコンベ車両であるため、上述したように、使用電力量は「0」となる。すなわち、この第1変形例においては、図9に示すように、車両Aに関する使用電力量は「0」に設定されており、従って、車両Aのヘッドライト21を点灯させても消灯させても消費電力量は「0」で変わらない。このため、この第1変形例においても、車両Aのみが道路2を走行するとき、上記実施形態と同様に、道路2に沿って設置された街路灯3及び街路灯4の各ライト31は消灯されたままであり、車両Aのヘッドライト21を点灯させる必要があるものの消費電力量は「0」である。すなわち、この第1変形例においては、上記実施形態に比して、総消費電力量が小さくなる。
【0069】
一方、この第1変形例においては、車両BがEV車両であるため、上述したように、バッテリの電力消費が最も少なくなるように点灯パターンが生成される。すなわち、この第1変形例においては、図9に示すように、車両Bのヘッドライト21を点灯させないような点灯パターンが生成される。具体的に、この第1変形例においても、車両Bのみが道路3を走行するため、上記実施形態に従えば、道路3に沿って設置された街路灯5のライト31は消灯される。しかし、道路3を走行する車両BがEV車両である場合には、図9の点灯パターンマトリックスにおける点灯パターン2に示すように、車両Bのヘッドライト21を消灯させる代わりに道路3に沿って設置された街路灯5のライト31を点灯させる点灯パターンが生成される。
【0070】
これにより、電子制御ユニット11が、上記実施形態と同様に、ステップS13及びステップS14を実行すると、車両Bが道路1を走行する場合には車両Aも道路1を走行しているため、それぞれのヘッドライト21が消灯される一方で街路灯1及び街路灯2のライト31が点灯される。続いて、車両A及び車両Bが道路1の分岐点Dまで走行すると、車両Aは道路2を走行し、車両Bは道路3を走行する。このとき、車両Aに搭載された情報端末装置23の電子制御ユニット23aは、上記実施形態と同様に、受信した制御コマンド(CANコマンド)に含まれる制御時刻及び制御地点に基づき、車両Aが分岐点Dを通過する時、すなわち、時刻01:03:20にて制御コマンド(CANコマンド)に従ってヘッドライト21を点灯時間である10秒間点灯させる。なお、この場合、車両Aはコンベ車両であるため、使用電力量Yは「0」であり、消費電力量も「0」となる。そして、この場合においては、上記実施形態と同様に、道路2に沿って設置された街路灯3(照明装置30)及び街路灯4(照明装置30)は消灯されており、車両Aが道路2を走行するときには、車両Aのヘッドライト21が点灯される一方で街路灯3及び街路灯4のそれぞれのライト31が消灯される。
【0071】
一方、EV車両である車両Bに搭載された情報端末装置23の電子制御ユニット23aは、受信した制御コマンド(CANコマンド)に含まれる制御時刻及び制御地点に基づき、車両Bが分岐点Dを通過する時、すなわち、時刻01:03:25にて制御コマンド(CANコマンド)に従って既に消灯されているヘッドライト21を消灯のまま維持する。また、この第1変形例においては、街路灯5である照明装置30の制御装置32は、受信した制御コマンドに含まれる制御時刻に基づき、現在の時刻が制御時刻として設定された、例えば、時刻01:03:25になると、制御コマンドに従ってライト31を点灯時間である10秒間点灯させる。これにより、ヘッドライト21が消灯された状態で車両Bが街路灯5(照明装置30)を通過する時には、街路灯5のライト31は点灯されている。したがって、EV車両である車両Bが道路3を走行するときには、車両Bのヘッドライト21が消灯される一方で街路灯5のライト31が点灯される。
【0072】
このように、この第1変形例によれば、車両20がEV車両(HV車両)であるかを判定し、EV車両(HV車両)である場合には、車両20のバッテリに蓄電された電力の消費を抑えるように点灯パターンを選択することができる。これにより、上述したように、例えば、EV車両である車両Bが単独で道路3を走行する場合であっても、街路灯5のライト31を点灯させることによって車両Bのヘッドライト21を消灯させることができ、車両Bのバッテリの消費電力を抑えることができる。したがって、車両20がEV車両である場合には、電費を効果的に向上させることができ、航続距離を延ばすことができる。その他の効果については、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0073】
b.第2変形例
上記実施形態及び上記第1変形例においては、例えば、高速道路や自動車専用道路のように、車両20のみが道路を利用する場合を想定し、センタ10がトータルのエネルギー利用量を極小化(ミニマム化)するように電力を管理する場合を説明した。この場合、車両20にはヘッドライト21が設けられているため、道路に沿って設置された照明装置30のライト31を消灯した場合であっても、車両20側で前方を明るく照らして走行することができる。ところで、例えば、夜間に歩行者が道路を利用する場合においては、上記実施形態及び第1変形例のように、照明装置30のライト31を完全に消灯すると、周囲が暗くなって歩行者に不都合を生じさせる場合がある。そこで、センタ10の電子制御ユニット11は、上記実施形態及び第1変形例にて説明したように、車両20の台数に応じて道路に沿って設置された照明装置30のライト31を消灯する状況において、歩行者が道路を利用している場合には、照明装置30のライト31の光量を調整することにより、電力ロスを低減しつつ歩行する歩行者の周囲を必要十分な明るさに照らすように実施することも可能である。以下、この第2変形例を詳細に説明するが、上記実施形態及び第1変形例と同一部分に同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0074】
この第2変形例においても、センタ10の電子制御ユニット11は、上記実施形態及び第1変形例と同様に、図5に示した電力管理プログラムを実行するが、この変形例においては、ステップS11におけるステップ処理が若干異なり、電子制御ユニット11はステップS11にて、所定領域内の道路を歩行者が利用しているか否かを判定する。
【0075】
すなわち、電子制御ユニット11は、上記実施形態及び第1変形例と同様に、複数の車両20から走行情報を取得することに加えて、例えば、図1にて破線により示すように、歩行者の所有する携帯情報端末装置(例えば、携帯電話やスマートフォン、ノートパソコン等)からその位置情報を取得する。なお、このように、電子制御ユニット11が歩行者の所有する携帯情報端末装置から位置情報を取得する場合、例えば、歩行者が道路を利用する際にセンタ10にアクセスしたり、歩行者が予め携帯情報端末装置をセンタ10に登録した上で位置情報を自動的に送信したりすることにより、携帯情報端末装置の位置情報がセンタ10に送信されるようになっている。このように、歩行者の所有する携帯情報端末装置の位置情報を取得することにより、電子制御ユニット11は、歩行者が所定領域内の道路を利用しているか否かを判定する。
【0076】
そして、電子制御ユニット11は、上記実施形態及び第1変形例と同様に、ステップS12を実行して複数の点灯パターンからなる点灯パターンマトリックスを生成するが、この第2変形例においては歩行者の有無を考慮して点灯パターンを生成する。具体的に、図6に示した状況に基づいて説明する。この状況において、現在、例えば、所定領域2内の道路2を歩行者が利用している場合には、電子制御ユニット11は、上記実施形態及び第1変形例で説明したように街路灯3及び街路灯4の照明装置30のライト31を消灯させることに代えて、図10に示すように、ライト31の光量を調整して通常時よりも光量を小さくしてライト31を点灯させる点灯パターンを生成する。具体的には、図10に示すように、街路灯3及び街路灯4すなわち各照明装置31の使用電力量Yとして、点灯パターン1で示す通常の使用電力量Y(=「5」)から点灯パターン2で太文字により示す使用電力量Y(=「1」)に小さくして、すなわち、ライト31が発する光量を小さくして、点灯時間である20秒間点灯させる。なお、この場合、上記実施形態及び第1変形例の場合に比して、街路灯3及び街路灯4の照明装置30のライト31の光量を小さくして点灯させるために総消費電力量が増加するが、照明装置30のライト31の光量を調整しない点灯パターン1の場合よりも総消費電力量を小さくすることができて、電力ロスを削減することができる。
【0077】
そして、電子制御ユニット11が上述したように光量を小さくした点灯パターンを選択し、上記実施形態及び第1変形例と同様に、ステップS13及びステップS14の各ステップ処理を実行することにより、車両A及び車両B、街路灯1〜街路灯5(すなわち各照明装置30)に対して、対応する制御コマンドを送信する。これにより、この第2変形例においては、歩行者が道路2を利用しているため、街路灯3及び街路灯4の各照明装置30の制御装置32は、取得した制御コマンドに従って、ライト31の光量を小さくした状態で点灯させる。すなわち、この第2変形例においては、車両Aが単独で道路2を走行する場合であっても、歩行者が道路2を利用しているため、街路灯3及び街路灯4のライト31の光量を小さくした状態で点灯させることができる。
【0078】
このように、第2変形例によれば、夜間に道路を利用する歩行者の有無に応じて、点灯パターンマトリックスを生成して点灯制御することができる。これにより、道路を利用する歩行者が存在する場合には照明装置30のライト31の光量を調整して(小さくして)点灯させることができ、道路を利用する歩行者が存在しない場合には上記実施形態及び第1変形例と同様に車両20の台数に応じて照明装置30のライト31を消灯させることができる。これにより、夜間に道路を利用する歩行者は、自身の周囲が照明装置30によって必要十分に照らされるため安全に歩行することができ、又、車両20を運転する運転者にとっては夜間に道路を利用する歩行者を早期に発見することができて安全に車両20を運転することができる。その他の効果については、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0079】
ここで、この第2変形例においては、歩行者の有無に応じて、照明装置30のライト31の光量を調整(小さく)するように実施した。しかし、電子制御ユニット11が、歩行者の有無に関わらず、例えば、上記実施形態や上記第1変形例において照明装置30のライト31を消灯することに代えて、照明装置30のライト31の光量を調整するように実施可能であることは言うまでもない。
【0080】
本発明を実施するにあたっては、上記実施形態及び各変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0081】
例えば、上記実施形態及び各変形例においては、特に、夜間において道路に沿って設置された照明装置30のライト31を点灯制御するように実施した。この場合、例えば、トンネルに設置された照明装置30のライト31を上記実施形態及び第1変形例と同様に点灯制御するように実施することも可能である。このように、トンネルに設置された照明装置30においては、通常、昼夜を問わずにライト31が点灯されるため、上記実施形態及び各変形例と同様に、センタ10の電子制御ユニット11が電力管理プログラムを実行してトンネルを通過する車両20の台数に応じてヘッドライト21及びトンネル内に設置された照明装置30のライト31を点灯制御することにより、より効果的に電力ロスを削減した電力の管理を実現することができる。
【0082】
又、上記第2変形例においては、歩行者が所有する携帯情報端末から位置情報をセンタ10に送信するように実施した。この場合、例えば、道路脇にセンタ10と通信可能とされた人感センサを設けておき、この人感センサによって道路を利用する歩行者が検出されたときには、該当する道路に沿って設置された照明装置30のライト31の光量を調整するように実施可能であることは言うまでもない。これによっても、上記第2変形例と同等の効果期待できる。
【符号の説明】
【0083】
10…インフラ・車両管理センタ、11…電子制御ユニット、12…通信ユニット、13…記憶ユニット、14…交通状況データベース、15…車両情報データベース、16…インフラ情報データベース、20…車両、21…ヘッドライト、22…各種センサ、23…情報端末装置、23a…電子制御ユニット、23b…入力ユニット、23c…液晶表示ユニット、23d…通信ユニット、23e…記憶ユニット、23f…ナビゲーションユニット、30…照明装置、31…ライト、32…制御装置、33…通信装置、40…ネットワーク、50…中継器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行する道路上の所定領域内で消費される電力を管理する電力管理装置であって、
前記車両の走行状態を表す走行情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段によって取得された前記走行情報が表す前記走行状態を用いて前記車両が到達する前記道路上の所定領域を特定し、同特定した所定領域内にて前記道路に沿って設置された照明装置を選定する選定手段と、
前記選定手段によって選定された前記所定領域内の照明装置に設けられたライトの点灯又は消灯、及び、前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトの点灯又は消灯の複数の組み合わせを生成し、この生成した複数の組み合わせのうちのいずれか一つの組み合わせを選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された組み合わせに基づいて、前記照明装置に設けられたライト及び前記車両に搭載されたヘッドライトを点灯又は消灯させるための制御内容を決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記制御内容を前記車両及び前記照明装置に供給する供給手段とを備えたことを特徴とする電力管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載した電力管理装置において、さらに
前記選択手段は、
前記情報取得手段によって取得された前記走行情報が表す前記走行状態を用いて前記所定領域に到達する車両の台数を特定し、この特定した前記車両の台数を加味して前記複数の組み合わせを生成し、この生成した複数の組み合わせのうち、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせを選択することを特徴とする電力管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載した電力管理装置において、
前記選択手段は、
前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせとして、前記所定領域内の照明装置に設けられたライトを点灯させるとともに前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトを消灯させる組み合わせを選択することを特徴とする電力管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載した電力管理装置において、
前記選択手段は、
前記選定手段によって選定された前記所定領域内における照明装置を複数の車両が所定時間差内で通過するとき、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせとして、前記所定領域内の照明装置に設けられたライトを点灯させるとともに前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトを消灯させる組み合わせを選択することを特徴とする電力管理装置。
【請求項5】
請求項2に記載した電力管理装置において、
前記選択手段は、
前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせとして、前記所定領域内の照明装置に設けられたライトを消灯させるとともに前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトを点灯させる組み合わせを選択することを特徴とする電力管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載した電力管理装置において、
前記選択手段は、少なくとも、
前記選定手段によって選定された前記所定領域内の照明装置を通過する車両が所定時間差よりも長い時間間隔で通過するとき、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせとして、前記所定領域内の照明装置に設けられたライトを消灯させるとともに前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトを点灯させる組み合わせを選択することを特徴とする電力管理装置。
【請求項7】
請求項1に記載した電力管理装置において、さらに
前記情報取得手段は、
前記車両が少なくともバッテリに蓄電された電力を駆動力に変換して走行する電気車両であることを識別するための情報を取得するものであり、
前記選択手段は、
前記情報取得手段によって取得された前記電気車両であることを識別するための情報を用いて前記車両が電気車両であるか否かを判定し、前記車両が電気車両であることを加味して前記複数の組み合わせを生成し、前記車両が電気車両であるときには、前記生成した複数の組み合わせのうち、前記車両のバッテリに蓄電された電力の消費が少なくなる組み合わせを選択することを特徴とする電力管理装置。
【請求項8】
請求項7に記載した電力管理装置において、
前記選択手段は、
前記車両のバッテリに蓄電された電力の消費が少なくなる組み合わせとして、前記所定領域内の照明装置に設けられたライトを点灯させるとともに前記所定領域に到達する車両に搭載されたヘッドライトを消灯させる組み合わせを選択することを特徴とする電力管理装置。
【請求項9】
請求項1に記載した電力管理装置において、さらに、
前記選定手段によって選定された前記所定領域内の道路を歩行者が利用しているか否かを判定する判定手段を備え、
前記選択手段は、
前記判定手段によって前記所定領域内の道路を歩行者が利用していると判定されたとき、前記歩行者が利用している前記所定領域内における前記照明装置のライトの光量を調整して前記複数の組み合わせを生成し、この生成した複数の組み合わせのうち、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせを選択することを特徴とする電力管理装置。
【請求項10】
請求項9に記載した電力管理装置において、
前記選択手段は、
前記歩行者が利用している前記所定領域内における前記照明装置のライトをその光量が通常の光量よりも小さくなるように調整して前記複数の組み合わせを生成し、この生成した複数の組み合わせのうち、前記照明装置及び前記車両によって消費される電力が少なくなる組み合わせを選択することを特徴とする電力管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−195205(P2012−195205A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59197(P2011−59197)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】