説明

電動ピンセット

【課題】 電動でピンセットの把持部を閉成状態で回転させると共に、該回転量及び開閉量を調整可能なこと。
【解決手段】 電動ピンセット1は、スイッチ33を動作すると、モータ31を第1方向へ回転してカムフォロワ55が並進移動してピンセット20が開放から閉成した後、スイッチ33を動作すると、モータ31を第1方向へ回転して伝達部70及び回転部80を回転してピンセット20を閉成状態で、ピンセット20の結合部22c及び端部21a,22aを回転させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ピンセットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電動ピンセットは、発明者が提案した下記特許文献に記載されているように、モータと、該モータを収納するケース部と、該ケース部に縁部が連結固定され、結合部が往復の並進変位量に基づいて先端の開閉量を拡大すると共に、対象物を解放及び把持する把持部材と、前記モータを回転及び停止させるスイッチ手段と、前記ケース部に収納され、前記モータの軸に連結されると共に、前記モータの一方向の回転を、前記把持部材の結合部に対して、所定の往復方向の並進変位量に変換する変換機構と、を備えたものがある (特許文献1)。
【0003】
かかる電動ピンセットによれば、変換機構はモータの一方向の回転を、把持部材の結合部に対して、所定の往復並進変位量に変換し、スイッチ手段がモータを回転・停止する。しかも、把持部材の開閉量が一定になるように把持部材の結合部の並進変位量が所定の値になる。したがって、例えば一定の対象物を把持及び解放する電動ピンセットを容易に得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2003/047816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、多数の凹部を有するトレーに、小さな表裏のある部品を電動ピンセットで把持してトレーの凹部にセットする場合、上記部品を把持してからピンセットを回転して、上記部品の姿勢を変えてから該トレーの凹部に多数の部品を並べることが行われている。かかる作業、殊に、ピンセットを回転する作業は、健常者は勿論のこと、手に障害を有する障害者にとっても大変煩雑な作業であるということを発明者が見出した。
かかる煩雑な作業を解決するのに、部品を挿入口に入れて排出される間に部品を180°回転させる反転装置を用いる手段もあるが、ピンセットで把持した部品を開放して落下させなければならず、ピンセットの把持から開放という動作が必要であり、部品そのものが反転する時などに傷つく恐れがある。反転装置そのものが設置場所を必要とする問題がある。
このため、かかる煩雑な作業を解決するのに、発明者は、ピンセットで部品を把持したまま、部品を回転させれば良いということを見出した。
さらに、発明者は、部品の材質、大きさ等に応じて部品を把持するためにピンセットの閉成量を調整し、同様に部品を適切に解放するためにピンセットの開放量を調整し、部品の置かれた位置に応じてピンセットの初期回転位置を調整し、部品を解放する位置に応じてピンセットの閉成状態での回転位置を調整する必要性を見出した。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、電動によりピンセットを開閉し、しかも、ピンセットの把持部を閉成状態で回転できると共に、ピンセットの開放量若しくは閉成量又は、ピンセットの把持部の初期回転角度若しくはピンセットの把持部の閉成状態での回転角度の少なくもいずれか一方を調整できる電動ピンセットを得ることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電動ピンセットは、ケースと、略V字形状の第1内側辺と第1外側辺とから成るV字辺を有し、前記V字辺の開放側における第1内側辺の端部を有し,前記V字辺の第1外側辺の開放側端部とを有する第1把持部材と、略V字形状の第2内側辺と第2外側辺とから成るV字辺を有し、前記V字辺の開放側における第2内側辺の端部を有し,前記V字辺の第2外側辺の開放側端部とを有する第2把持部材と、並進移動に基づいて第1及び第2把持部材の前記第1及び第2内側辺の端部が引っ張られることにより、前記並進移動の量よりも前記第1及び第2把持部材のV字辺の先端の変位量が内側に拡大して対象物を解放及び把持する把持部を有する第1ピンセットと、前記ケースに内蔵され、モータの軸に連結固定されたカムと、該カムと摺動するカムフォロワとを有しており、前記カムを第1方向に回転することにより前記カムフォロワを並進移動し、さらに、前記カムを前記第1方向に回転することにより前記カムフォロワを回転させる変換機構と、前記ケースに内蔵され、前記カムフォロワに連結固定されると共に、前記第1把持部材の第1内側辺の開放側端部と前記第2把持部材の第2内側辺の開放側端部とに連結された第1伝達部と、前記ケースに内蔵され、前記カムフォロワに連結固定されると共に、前記第1把持部材の第1外側辺の開放側端部と前記第2把持部材の第2外側辺の開放側端部とに連結固定された第1回転部と、前記モータを運転及び停止するスイッチ手段と、前記スイッチ手段を動作すると、前記モータを前記第1方向へ回転して前記第1ピンセットを開放から閉成し、前記スイッチ手段を動作すると、前記モータを前記第1方向と同一方向へ回転し、前記第1ピンセットを回転する第1制御手段と、操作部の操作量に基づいて前記モータの回転角度指令信号を発生する入力手段と、前記回転角度信号に基づいて前記第1ピンセットの開放量若しくは閉成量又は回転量の少なくともいずれか一方を調整する第2制御手段とを、備えたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明の電動ピンセットによれば、作業者がスイッチ手段を動作すると、第1制御手段がモータを第1方向へ回転し、カムが回転してカムとカムフォロワの全長が短くなり、カムフォロワに連結された第1伝達部を介してピンセットの結合部が引っ張られて、第1ピンセットが開放から閉成して例えば部品を把持する。さらに、第1制御手段がモータを第1方向と同一方向へ回転させると、カムとカムフォロワの上記全長を維持した状態で、カムの回転によりカムフォロワが回転して第1伝達部が回転する。これにより、第1ピンセットを閉成した状態、すなわち、部品を把持した状態で、第1ピンセットの結合部が回転する。
第1ピンセットを閉成状態において、作業者がスイッチ手段を動作すると、制御手段がモータを第1方向と逆の第2方向へ回転し、カムが回転してカムとカムフォロワの全長が長くなり、カムフォロワに連結された第1伝達部を介して第1ピンセットの結合部が復帰して、第1ピンセットが閉成から開放して部品を解放する。
【0009】
第1制御手段は、スイッチ手段を動作すると、モータを第1方向に回転して第1ピンセットを開放から閉成し、さらに、スイッチ手段を動作させると、モータを第1方向に回転してピンセットを閉成状態で一定角度回転する。また、スイッチ手段を動作すると、モータを第2方向に回転して第1ピンセットを閉成から開放する。
したがって、スイッチ手段を動作すると、電動により第1ピンセットを開放から閉成した後、第1ピンセットの把持部を閉成状態で回転できる。このため、第1ピンセットで部品を把持したまま、第1ピンセットを回転するので、部品の姿勢を変えることが簡易にできる。よって、例えば、方向性を有する部品、表裏を有する部品をトレーに置くことが容易になる。そして、スイッチ手段を動作すると、電動により第1ピンセットを閉成から開放して部品を解放する。
また、第2制御手段は、入力手段を動作すると操作部の操作量に基づいてモータの回転角度信号を発生し、該回転角度信号に基づいて第1ピンセットの開放量若しくは閉成量又は回転量の少なくともいずれか一方を調整するので、第1ピンセットの把持対象の部品などの材質、大きさ、形状などに応じて第1ピンセットの開放量、閉成量を調整できる。また、部品などの置かれた位置に応じて第1ピンセットの開放状態での回転位置を調整できる。また、置かれる位置に応じて第1ピンセットの閉成状態での回転位置を調整できる。
【0010】
また、第1ピンセットが変位拡大機能を有する第1把持部材と第2把持部材とから成っているので、第1及び第2把持部材により被対象物を把持するので、被対象物が球部材などでも、容易に被対象物を把持できる。
また、第1及び第2制御手段は、ケースに内蔵されている、ことが好ましい。電動ピンセットの操作が簡易となるからである。
また、カムフォロワを圧縮バネでカムに押圧する、ことが好ましい。カムの変位をカムフォロワに伝達しやすくなる。
【0011】
本発明の電動ピンセットは、前記第2把持部材の代わりに、前記第1把持部材と対向すると共に、該第1把持部材の第1内側辺とにより対象物を把持する一端部と他端部とを有する対向部材と、並進移動に基づいて第1把持部材の前記第1内側辺の端部が引っ張られることにより、前記並進移動の量よりも前記第1把持部材のV字辺の先端の変位量が内側に拡大して前記対向部材と共に、対象物を解放及び把持する把持部を有する第2ピンセットと、第1伝達部の代わりに、前記ケースに内蔵され、前記カムフォロワに連結固定されると共に、前記第1把持部材の第1内側辺の開放側端部に連結された第2伝達部と、第1回転部の代わりに、前記ケースに内蔵され、前記カムフォロワに連結固定されると共に、前記第1把持部材の第1外側辺の開放側端部に連結固定された第2回転部とを備え、前記対向部材の一端部が前記伝達部又は前記回転部に連結固定されている、ことが好ましい。
【0012】
本発明の電動ピンセットによれば、第2ピンセットが対向部材と、変位拡大機能を有する第1把持部材と、から成っているので、第2ピンセットを第1ピンセットに比較して簡易に形成できる。
【0013】
本発明の電動ピンセットにおける前記第1制御手段はさらに、前記スイッチ手段の動作に基づいて前記第1又は第2ピンセットを閉成状態で、前記モータを前記第1方向と逆方向の第2方向へ回転して前記第1又は第2ピンセットを閉成から開放する、ことが好ましい。
したがって、第1又は第2ピンセットにより部品を把持したまま、回転させて部品の姿勢を変えてから、第1又は第2ピンセットを開放して部品を離すことができる。
【0014】
本発明の電動ピンセットは、前記モータの回転角度を検出して回転角度検出信号を出力する回転角度検出手段を備え、前記制御手段は、前記スイッチ手段の動作に基づいて予め定められた回転角度指令信号に前記回転角度検出信号が一致するように前記モータを制御する、ことが好ましい。
本発明の電動ピンセットによれば、モータの回転角度を検出して回転角度検出信号を出力する回転角度検出手段を備え、制御手段は、スイッチ手段の動作に基づいて回転角度指令信号に回転角度検出信号が一致するようにモータを制御する。
これにより、モータを所望の回転角度値に停止できるので、例えば、第1又は第2ピンセットの開放量、回転角度、閉成量の位置決めが容易になる。
【0015】
本発明の電動ピンセットにおける前記スイッチ手段は、第1スイッチ手段と第2スイッチ手段とを備え、前記第1制御手段は、前記第1スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを第1方向に回転して前記第1又は第2ピンセットを開放から閉成し、さらに、前記第1スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを前記第1方向に回転して該閉成状態にて前記第1又は第2ピンセットを回転し、前記第1制御手段は、前記第2スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを前記第1方向と逆の第2方向に回転して前記第1又は第2ピンセットを閉成から開放する、ことが好ましい。
このような電動ピンセットによれば、第1スイッチ手段の動作により第1又は第2ピンセットを開放から閉成して該閉成状態にて該ピンセットを回転し、第2スイッチ手段の動作により第1又は第2ピンセットを閉成から開放するので、第1スイッチ手段と第2スイッチ手段とのそれぞれの動作に基づいて第1又は第2ピンセットの閉成、回転、開放の動作が対応しているので、作業者の第1又は第2ピンセットの開放、閉成などの動作指令を出し易くなる。
【0016】
本発明の電動ピンセットにおける前記スイッチ手段は、第1スイッチ手段と第2スイッチ手段とを備え、前記第1制御手段は、前記第1スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを第1方向に回転して前記第1又は第2ピンセットを開放から閉成し、前記第1制御手段は、前記第2スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを第1方向に回転して前記第1又は第2ピンセットを閉成状態で回転し、さらに、前記第2スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを前記第1方向と逆の第2方向に回転して前記第1又は第2ピンセットを閉成から開放する、ことが好ましい。
このような電動ピンセットによれば、第1スイッチ手段の動作により第1又は第2ピンセットを開放から閉成し、第2スイッチ手段の動作により第1又は第2ピンセットを閉成状態にて第1又は第2ピンセットを回転し、該ピンセットを閉成から開放するので、第1スイッチ手段と第2スイッチ手段とのそれぞれの動作に基づいて第1又は第2ピンセットを閉成・回転し、閉成から開放するので、作業者の第1又は第2ピンセットの開放、閉成などの動作指令を出し易くなる。
【0017】
本発明の電動ピンセットは、前記モータが予め定められ回転原点位置に復帰させる第3スイッチ手段を備え、前記エンコーダは、前記モータが前記回転原点位置になると、原点位置検知信号を発生し、前記制御手段は、前記第3スイッチ手段の動作に基づいて、前記ピンセットを開放又は閉成状態で、前記原点位置指令信号を発生して該原点位置指令信号に基づいて前記モータを原点位置検知信号が発生するまで一定の方向に回転して停止する、ことが好ましい。
これにより、第3スイッチ手段の動作に基づいて電動ピンセットを容易にモータの回転原点位置に復帰できるので、原点位置を基準としてピンセットの開放から閉成、閉成状態での回転、閉成から開放の動作が確実になる。
さらに、上記モータを一方の方向に回転させる角度は360°以上回転させることが好ましい。ピンセットの動作状態に拘わらず、ピンセットを開放又は閉成状態で、ピンセットの基準回転位置を原点位置にできるからである。
【0018】
本発明の電動ピンセットの伝達部は、前記伝達部は、前記第1又は第2ピンセットの結合部と連結された第1部材を有しており、該第1部材は、前記カムとの接触する面の反対側となる前記カムフォロワの中央上部に固定される、ことが好ましい。これにより伝達部を簡易に構成できる。
第1部材は、第1磁性部材と、第1磁性部材に磁気吸着されると共に、第1又は第2ピンセットの結合部を固定する第1固定部材とから成り、第1磁性部材をカムフォロワの中央上部に固定することが好ましい。これにより、第1又は第2ピンセットの結合部を第1磁性部材から簡易に着脱できる。
【0019】
本発明の電動ピンセットの回転部は、前記カムフォロワの回転を伝達するピン部材と、
前記ピン部材の回転に伴い回転すると共に、前記第1又は第2ピンセットの他の端部に連結固定された回転部材と、を備えることが好ましい。これにより回転部を簡易に構成できる。
例えば、カムフォロワが円柱形状に形成されており、回転部材は円筒形で、カムフォロワの上部に遊挿され、カムフォロワには、側面に少なくとも一つの貫通孔が設けられており、回転部材の側面には、カムフォロワの貫通孔と同一直線上に貫通した少なくとも二つの長孔が設けられており、ピン部材が貫通孔に挿入固定されると共に、該長孔に遊挿されることが好ましい。
さらに、回転部材の円周の縁部に固定されると共に、リング形の第2磁性部材と、第1又は第2ピンセットの他の端部を固定すると共に、第2磁性部材に載置された第2固定部材とを備えることが好ましい。これにより、第1又は第2ピンセットの他の端部を第2磁性部材から簡易に着脱できる。
【0020】
本発明の電動ピンセットにおける変換機構は、カムには、半球状の第1溝が設けられており、前記カムフォロワには、傾斜面が設けられると共に、円弧状の第2溝が設けられており、前記第1溝に挿入されると共に、前記カムフォロワの端面と摺動する球部材と、前記カムに連結固定されると共に、前記第2溝に遊挿される柱部材と、を備えることが好ましい。これにより、簡易に変換機構を構成できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、電動によりピンセットを開閉し、しかも、ピンセットの把持部を閉成状態で回転できると共に、ピンセットの開放量若しくは閉成量又は、ピンセットの把持部の初期回転角度若しくはピンセットの把持部の閉成状態での回転角度の少なくもいずれか一方を調整できる。したがって、電動ピンセットの把持対象となる材質、大きさ、形状、位置などに応じてピンセットの開閉量、回転位置を調整しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態を示す電動ピンセットの全体図である。
【図2】図1に示す電動ピンセットのモータ制御関係のブロック図である。
【図3】図1に示す電動ピンセットの断面図(a)、カム側の平面図(b)である。
【図4】図1に示すピンセットの斜視図である。
【図5】他の実施の形態によるピンセットの斜視図である。
【図6】図1に示すカムの正面図(a)、底面図(b)である。
【図7】図1に示すカムフォロワの正面図(a)、側面図(b)、底面図(c)である。
【図8】図1に示す回転台の平面図(a)、正面図(b)である。
【図9】図1に示す第2固定部材の平面図(a)、正面図(b)である。
【図10】図1に示す電動ピンセットの動作を示す動作説明用のタイムチャートである。
【図11】図1による電動ピンセットの開放状態(一点鎖線で示す回転状態)における各部の動作を示す部分断面図(a)、カム側の平面図(b)である。
【図12】図1による電動ピンセットの閉成状態(一点鎖線で示す閉成量調整状態)における各部の動作を示す部分断面図(a)、カム側の平面図(b)である。
【図13】図1による電動ピンセットの把持状態で90°回転動作における各部の動作を示す部分断面図(a)、カム側の平面図(b)である。
【図14】図1による電動ピンセットの把持状態で180°回転動作における各部の動作を示す部分断面(a)、カム側の平面図(b)である。
【図15】図11の回転動作後からピンセットの開放状態(一点鎖線で示す開放量調整状態)における各部の動作を示す部分断面(a)、カム側の平面図(b)である。
【図16】図1に示す電動ピンセットに用いるカムの変位線図である。
【図17】本発明の他の実施の形態を示す電動ピンセットの全体図である。
【図18】図17に示す電動ピンセットのモータ制御関係のブロック図である。
【図19】本発明の他の実施の形態による第2のピンセットの斜視図である。
【図20】第2のピンセットを回転台に組み込んだピンセットユニットの斜視図である。
【図21】本発明の他の実施の形態を示すカム組み立ての左側面図(a)、正面図(b)、右側面図(c)である。
【図22】図21に示す電動ピンセットのモータ制御関係のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施の形態1.
本発明の一実施の形態となる電動ピンセットを図1から図9によって説明する。図1は本発明の一実施の形態を示す電動ピンセットの全体図、図2は図1に示す電動ピンセットのモータ制御関係のブロック図、図3は図1に示す電動ピンセットの断面図(a)、カム側の平面図(b)、図4は図1に示すピンセットの斜視図、図5は他の実施の形態のピンセットの斜視図、図6は図1によるカムの正面図(a)、底面図(b)、図7は図1によるカムフォロワの正面図(a)、側面図(b)、底面図(c)、図8は図1による回転台の平面図(a)、正面図(b)、図9は図1に示す第2固定部材の平面図(a)、正面図(b)である。
図1において、電動ピンセット1は、ケース10と、第1ピンセット20と、モータ取付け板15と、モータ31と、モータ31を駆動制御する第1及び第2制御手段としての制御部100と、制御部100を介してモータ31に回転指令信号を与える第1スイッチボックス200とを有している。
モータ31はギヤード式で、回転角度検出手段としてのエンコーダ35が設けられており、エンコーダ35は、モータ31の回転角度を検知して回転検出角度検出信号を出力すると共に、絶対位置を検知可能で、モータ31の回転角度が原点に位置すると、原点位置信号も出力するように形成されている。
【0024】
図2において、第1スイッチボックス200には、第1ピンセット20を開放から閉成にすると共に、回転させる動作信号を発生する第1スイッチ手段としての閉成・回転スイッチ201と、第1ピンセット20を閉成から開放させる動作信号を発生する第2スイッチ手段としての開放スイッチ202と、操作部の操作量に基づいてモータ31の正回転又は逆回転の回転角度信号を発生すると共に、第1ピンセット20の開放量、閉成量、回転角度の少なくとも一つを調整する入力手段としての調整スイッチ203と、モータ31を予め定められた原点位置に復帰する第3スイッチ手段としての原点復帰スイッチ205とを備えている。
スイッチ手段とは、第1スイッチ手段としての閉成・回転スイッチ201、第2スイッチ手段としての開放スイッチ202それぞれを指す。
なお、調整スイッチ203は、ジョイステック型を用いている。
さらに、閉成・回転スイッチ201と、開放スイッチ202とを一つのスイッチにしても良い。
【0025】
第1制御部100は、作業者が閉成・回転スイッチ201を一寸押すと、モータ31を第1角度として120°第1方向としての正回転をして第1ピンセット20を開放から閉成してエンコーダ35の回転検出角度が120°に達するとモータ31を停止し、次に、閉成・回転スイッチ201を一寸押してモータ31を第2角度としての180°正方向に回転して第1ピンセット20を回転すると共に、エンコーダ35の回転検出角度が180°に達するとモータ31を停止する第1制御手段としての機能を有するように形成されている。
また、第1制御部100は、作業者が開放スイッチ202を一寸押すと、モータ31を第1角度としての120°第1方向と逆の第2方向としての逆回転をして第1ピンセット20を閉成から開放し、エンコーダ35の回転検出角度が120°に達するとモータ31を停止させる第1制御手段としての機能を有するように形成されている。
さらに、第1制御部100は、作業者が開放スイッチ202を一寸押してモータ31を第2角度としての180°第2方向に逆回転して第1ピンセットを逆回転して初期回転位置に復帰すると共に、エンコーダ35の回転検出角度が180°に達するとモータ31を停止するように形成されている。
【0026】
第1制御部100は、作業者が調整スイッチ203を右方向に一定時間倒すと、モータ31を正回転の回転角度信号に基づいて第1ピンセット20の閉成量、第1ピンセット20の閉成状態における回転量を調整するように形成されている。
さらに、第1制御部100は、作業者が調整スイッチ203を左方向に一定時間倒すと、モータ31を逆回転の回転角度信号に基づいて第1ピンセット20の開放状態における初期回転位置、第1ピンセット20の開放量を調整するように形成されている。このように第1制御部100は、第2制御手段としての機能を有している。
【0027】
図3において、電動ピンセット1は、第1ピンセット20とケース10とを有すると共に、第1変換機構50、伝達部70、回転部80を内蔵している。ケース10は、非磁性体でアルミニウムから成り、円筒状の蓋5,カムフォルダー7を備えている。
第1ピンセット20は、対象物としての部品2を把持(閉成)したり開放したりする二つのV字辺20Vを有している。モータ31は、第1ピンセット20の一端部同士を結合した結合部22cを並進変位させると共に、第1ピンセット20の結合部22c及び他の端部としての両縁部21a,22aを、回転する動力源と成っている。
【0028】
第1変換機構50は、モータ31の軸31aに連結固定された第1カム51と、該第1カム51と摺動する第1カムフォロワ55とを有しており、第1カム51を第1方向に回転することにより第1カムフォロワ55を並進移動し、さらに、第1カム51を第1方向に回転することにより第1カムフォロワ55を回転させるように形成されている。すなわち、第1カムの回転により第1カムフォロワ55が並進移動又は回転するように形成されている。
【0029】
第1変換機構50は、第1カム51に係合固定されたカム側の間欠回転ピン57と、を備え、モータ31が120°第1方向に回転すると、第1カム51が回転して間欠回転ピン57は、第1カムフォロワ55の溝55uを摺動して第1カムフォロワ55を不回転としながら第1カムフォロワ55が図3に示すB方向に並進移動(押し込まれ)する。さらに、モータ31が180°第1方向に回転すると、間欠回転ピン57は、溝55uの縁に当接して第1カムフォロワ55を回転するように形成されている。
すなわち、第1カム51と第1カムフォロワ55と間欠回転ピン57とは、並進変位を第1ピンセット20の結合部22cに伝達する並進移動源と、該並進移動源と非同期で第1カムフォロワ55の回転を第1ピンセット20の両縁部21a,22aを回転する回転源と成っている。
【0030】
そして、第1カムフォロワ55は、第1円柱と第1円柱よりも太い第2円柱とを備え、第1円柱には、コイル状の圧縮バネ59が挿入され、回転台82の底面により第1カムフォロワ55が球53を介して第1カム51に押圧している。
また、第1カムフォロワ55の並進変位量は、往路と復路との並進変位量を同一となるように形成されている。
【0031】
第1伝達部70は、第1カムフォロワ55の並進移動及び回転を第1ピンセット20の結合部22cに伝達するもので、第1カムフォロワ55の中央凹部55aに固定される円柱状磁石から成る第1磁性部材72を有し、第1磁性部材72の上に円筒状の第1固定部材74が固定されて、第1固定部材74の孔74eに第1ピンセット20の結合部22cがネジ76により固定されている。ここで、第1磁性部材72及び第1固定部材74を第1部材という。
これにより、第1ピンセット20の結合部22cが第1カムフォロワ55に連結固定されているので、第1カムフォロワ55の中央部の変位量が第1ピンセット20の結合部22cを矢印B方向に引っ張ったり、矢印A方向に戻したりすることにより、第1ピンセット20を閉成・開放すると共に、第1カムフォロワ55を回転することにより、第1ピンセット20の結合部22cを回転させるように形成されている。
【0032】
第1回転部80は、第1ピンセット20の縁部21a,22aに連結固定されており、第1カムフォロワ55が並進移動しても、上記縁部21a,22aが並進移動することなく、第1カムフォロワ55の回転により第1ピンセット20の縁部21a,22aを回転させるもので、第1カムフォロワ55の第1円柱に遊挿される回転台82を有しており、円柱状の回転伝達ピン84が回転台82の案内孔82sに遊挿されると共に、第1カムフォロワ55の孔55eに挿入固定されている。
【0033】
さらに、回転部80は、回転台82の先端部円柱に挿入固定されると共に、第1ピンセット20の縁部21a,22aを連結固定する磁石から成るリング状の第2磁性部材86と、第1ピンセット20の縁部21a,22aが固定されると共に、リング状の第2固定部材88とを備え、第1ピンセット20の縁部21a,22aが回転台82に連結固定されている。第2磁性部材86は、上面両縁が蓋5の内側コーナー部に当接しており、第2磁性部材86、回転台82を介して圧縮バネ59を第1カムフォロワ55の第2円柱のリング状の上面を押圧している。
【0034】
回転部80すなわち回転台82、第2磁性部材86、第2固定部材88がケース10内を摺動回転できるように形成されている。
これにより、第1カムフォロワ55が並進変位すると、回転伝達ピン84が回転台82の案内孔82sを摺動して回転台82が不回転になると共に、第1カムフォロワ55が回転すると、回転伝達ピン84が回転して回転台82も回転し、第1ピンセット20の縁部21a,22aが回転するように形成されている。第1カムフォロワ55の並進変位及び回転にかかわらず、常に、回転台82が一定の位置を維持しており、回転台82に連結された第1ピンセット20の縁部21a,22aも一定の位置を維持している。
【0035】
このような電動ピンセット1は、モータ31を第1方向へ回転させることにより第1ピンセット20が開放から閉成した後、モータ31を第1方向と同一方向へ回転することにより第1ピンセット20を閉成状態で、第1ピンセット20の両縁部21a,22aを回転した後、さらにモータ31を第1方向と逆方向の第2方向へ回転すると第1ピンセット20が閉成から開放するように形成されている。
【0036】
次に、電動ピンセット1の主要部品の構成を図4から図9を参照して説明する。
図4において、第1ピンセット20は、全体が略M形状で平板から成り、はり状で略逆V形状のV字辺を有すると共に、第1把持部材21と、第2把持部材22とを有している。
そして、第1ピンセット20の材質は、変位拡大機能を有するためにバネ性を有することが好ましい。
【0037】
第1把持部材21は、真っ直ぐな板状の第1内側辺21hと、同様な形状の第1内側辺21hと対向すると共に、真っ直ぐな第1外側辺21fとから成っており、該第1内側辺21hと第1外側辺21fが結合された平らな先端部に電子部品2等を把持する第1把持部21xと、を有している。同様に、第2V字辺部材22は、真っ直ぐな第2内側辺22hと、第2内側辺22hと対向すると共に、真っ直ぐな第2外側辺22fとから成っており、該第2内側辺22hと第2外側辺22fが結合された平らな先端部に電子部品2等を把持する第2把持部22xと、を有している。
そして、第1内側辺21hと第2内側辺22hどうしの開放端を結合して結合部22cとしての共有部が形成されている。
また、第1ピンセット20の把持部20xは、第1把持部21xと第2把持部22xとを合わせたものをいう。
【0038】
第1ピンセット20は、第1把持部21xと第2把持部22xとから成ると共に、電子部品2等を把持する把持部20xと、第1外側辺21fの第1把持部21xと反対の方向で、結合部22cと略平行に設けられた平坦面を有するL形の第1縁部21aと、第2外側辺22fの第2把持部22xと反対の方向で、結合部22cと略平行に設けられた平坦面を有するL形の第2縁部22aとを有している。
【0039】
第1ピンセット20の結合部22cには、該第2内側辺22hと交叉する平面部を有し、該平面部には、丸形状の貫通孔22eが形成され、外側面が平らに形成されている。
第1ピンセット20は、上記のように第1縁部21a,第2縁部22aが第2固定部材88に固定され、並進変位に基づいて結合部22cが引っ張られたり、戻されたりして把持部20xの先端が内側、別言すれば、上記並進変位の方向に対して略垂直方向、つまり、該並進変位の方向に対して横方向に拡大変位することにより把持部20xが部品2を把持(閉成)したり開放したりするように形成されている。
【0040】
また、上記第1ピンセット20の結合部22cは結合されて一つであるが、図5に示すように、第1把持部材21と第2把持部材22とを分離して、第1把持部材21の第1内側辺21hの開放端と、第2把持部材22の第2内側辺22hの開放端とをそれぞれL形状に形成した第1内側辺21hの開放側端部21d,第2内側辺22hの開放側端部22dを設けて、この第1内側辺21hの開放側端部21d,第2内側辺22hの開放側端部22dを伝達部70に固定しても良い。
【0041】
図6において、第1カム51は、円柱で、両端面が平面に形成されており、中央にはモータ31の軸31aを挿入して固定する貫通孔51eを有している。第1カム51は、第1カムフォロワ55と対向する一端面には、中心から外れて設けられた半球状の溝51bと、該溝51bと円柱の中心軸を中心として点対称に円柱状の係止穴51pとが設けられており、溝51bには、第1揚程部としての球53が載せられ、係止穴51pには、間欠回転ピン57を挿入して固定される。
【0042】
図7において、第1カムフォロワ55は、二段の円柱状で、第1円柱55bと第1円柱55bよりも太い第2円柱55cとから成り、第2円柱55cの端面側には、球53と接触すると共に、斜めに形成された輪郭としての接触面55sと、間欠回転ピン57を遊挿する円弧状の溝55uと、を有している。この溝55uは、第1カム51の120°回転した際に間欠回転ピン57を摺動させるためである。
第1円柱55bの端面側には、第1磁性部材72を挿入して固定するための円柱状の凹部55aが設けられ、該凹部55aの近傍に、回転伝達ピン84を挿入固定する孔55eが設けられている。
【0043】
図8において、回転台82は、二段の円筒状で、リング状の第2磁性部材86の孔を挿入固定する第1円筒82bと第1円筒82bよりも太い第2円筒82cとから成り、回転台82の中心部には、第1カムフォロワ55の第1円柱55bを並進移動を案内するために、円形の孔82eが設けられており、第2円筒82cの両側面には、回転伝達ピン84の両端部を並進移動を案内する長孔形状の案内孔82sが設けられている。
【0044】
図9において、第2固定部材88は、平板状の平面視略ドーナツ形で、孔88eの周囲には、二つの略T形状の切欠き88aが形成されている。外側がケース10のホルダー部材5の内面に摺動自在に遊挿入されるように形成しており、第1ピンセット20の縁部21a,22a、すなわち、第1及び第2把持部材21,22の第1及び第2外側辺21f,22fの開放側端部が切欠き88aに係合固定される。
ここで、第1ピンセット20と第2固定部材88とが組み立てられたものをピンセットユニットという。
【0045】
上記のように構成された電動ピンセットの動作を図2、図10〜図16を参照して説明する。
<通常動作>
まず、第1ピンセット20が開放した状態で、モータ31の回転角度が0°の時を初期状態とする。この初期状態からモータ31の回転は、間欠回転ピン57が第1カムフォロワ55の溝55uを摺動できる方向に回るときを正回転とする。
第1ピンセット20が開放した状態では、図11に示すように、球53は第1カムフォロワ55底面の下部で接しているため、第1カム51の上端面から第1カムフォロワ55との上端面までの距離が(以下、並進距離という。)最も長くなる。この時、第1ピンセット20の結合部22cは全く引っ張られていないため、第1ピンセット20が開放した状態になっている。
【0046】
次に、作業者は電動ピンセット1を持ったまま、閉成・回転スイッチ201を一寸押して第1制御部100を介してモータ31を120°正回転させると、第1カムフォロワ55は、圧縮バネ59のバネ力により下向きに押さえられているので、球53は第1カムフォロワ55底面の下部から上部へと接する。このため、図12に示すように、上記並進距離が短くなる。この時、間欠回転ピン57は、第1カムフォロワ55の溝55uを摺動しているので、第1カムフォロワ55は、並進移動するのみで回転しない。これにより回転部80は回転せず、しかも同一位置に保持されている。このため、第1ピンセット20の縁部21a,22aが同一位置で静止している。
一方、第1カムフォロワ55の並進変位を、伝達部70を介して第1ピンセット20の結合部22cがΔL引っ張られているため、第1ピンセット20が開放から閉成して部品2を把持した状態となる。
【0047】
次に、作業者は電動ピンセット1を持ったまま、閉成・回転スイッチ201を一寸押して第1制御部100を介してモータ31をさらに180°正回転させると、間欠回転ピン57が第1カムフォロワ55の溝55uの縁に接しているため、第1カムフォロワ55がモータ31と同期して回転するので、伝達部70及び回転部80も回転する。図14に示すように、第1ピンセット20は、結合部22cが伝達部70により、縁部21a,22aが回転部80により、全体として180°回転する。
この回転の際に、第1カムフォロワ55と球53との位置関係は変化しないため上記並進距離も変化しないので、第1ピンセット20は閉成状態を維持しながら部品2を把持して回転する。
なお、図13は、上記180°回転時における90°回転した状態を示している。
【0048】
次に、作業者は電動ピンセット1を持ったまま、開放スイッチ202を一寸押して第1制御部100を介してモータ31を120°逆回転させると、間欠回転ピン57は、第1カムフォロワ55の溝55uを回転摺動する。このため、第1カムフォロワ55が回転しないので、回転部80も回転せず、第1ピンセット20が回転しない。
一方、球53と第1カムフォロワ55の接点は底面の上部から下部に移動する。このため、図15に示すように、上記並進距離が長くなる。そして、第1ピンセット20の結合部22cは全く引っ張られていないため、第1ピンセット20が開放する。
このように、第1ピンセット20の開放状態、把持(閉成)状態、把持しながら回転する把持回転状態、把持回転状態から開放する第1変換機構50の変位曲線を図16に示す。
【0049】
<原点位置復帰動作>
電動ピンセット1の第1ピンセット20を原点位置に復帰するには、原点復帰スイッチ205を一寸押すと、第1制御部100は、原点位置指令信号を発生して該原点位置指令信号をモータ31に与えてエンコーダ35が原点位置検知信号を検知するまでモータ31を一定方向に360°以上回転して原点位置に復帰する。これにより、電動ピンセット1のピンセット20が基準の開放状態となる。
ここで、モータ31を一方向に360°以上回転させるのは、ピンセット20の動作状態に拘わらず、ピンセット20を開放状態で、ピンセット20の基準回転位置を原点位置にできるからである。
なお、上記原点位置は、ピンセット20が閉成状態で、基準の回転位置を原点位置としても良い。
【0050】
次に、電動ピンセット1の調整動作として開放状態における初期回転位置の調整、閉成量の調整、閉成状態における回転位置の調整、開放量の調整を順に図2、図10〜図16を参照して説明する。
<電動ピンセットの開放状態における初期回転位置の調整>
まず、第1ピンセット20が開放状態でかつ間欠回転ピン57が第1カムフォロワ55の溝55uの縁に接している状態において、作業者が調整スイッチ203を一定時間左方向に倒して、第1制御部100を介してモータ31をθ°逆回転すると、間欠回転ピン57が第1カムフォロワ55の溝55uの縁に接しているため、第1カムフォロワ55がモータ31と同期して回転するので、伝達部70及び回転部80も回転する。図11の一点鎖線に示すように、第1ピンセット20は、結合部22cが伝達部70により、縁部21a,22aが回転部80により、全体としてθ°回転する。なお、この初期回転位置の調整の際に、第1カムフォロワ55と球53との位置関係は変化しないため上記並進距離も変化しないので、第1ピンセット20は開放状態を維持しながら回転する。
したがって、部品2を把持する際の第1ピンセット20の初期回転位置を所望の位置にできる。これにより、部品2の形状、置かれた位置に応じて、第1ピンセット20の初期回転位置を調整できるので、部品2の把持が容易になる。
【0051】
<電動ピンセットの閉成量の調整>
第1ピンセット20が開放状態でかつ間欠回転ピン57が第1カムフォロワ55の溝55uの縁に接している状態において、作業者が調整スイッチ203を右方向に一定時間倒して、第1制御部100を介してモータ31をα°正回転させると、第1カムフォロワ55は、圧縮バネ59のバネ力により下向きに押さえられているので、球53は第1カムフォロワ55底面の下部から上部へと接する。このため、図12の一点鎖線に示すように、上記並進距離が短くなる。
この時、間欠回転ピン57は、第1カムフォロワ55の溝55uを摺動している。よって、第1カムフォロワ55は、並進移動するのみで回転しない。
一方、第1カムフォロワ55の並進変位を、伝達部70を介して第1ピンセット20の結合部22cがΔLよりも短いΔL1引っ張られているため、第1ピンセット20が開放から所定の間隔開いた状態で閉成する。これにより、部品2の形状、大きさ材質等に応じて、第1ピンセット20の閉成量を調整できるので、部品2の把持を適切にできる。
【0052】
<電動ピンセットの閉成状態における回転位置の調整>
第1ピンセット20が閉成状態でかつ間欠回転ピン57が第1カムフォロワ55の溝55uの縁に接している状態において、作業者が調整スイッチ203を右方向に一定時間倒して、第1制御部100を介してモータ31をβ°正回転すると、間欠回転ピン57が第1カムフォロワ55の溝55uの縁に接しているため、第1カムフォロワ55がモータ31と同期して回転するので、伝達部70及び回転部80も回転する。図13に示すように、第1ピンセット20は、結合部22cが伝達部70により、縁部21a,22aが回転部80により、全体としてβ°回転する。これにより、部品2を開放する位置などに応じて、第1ピンセット20の閉成状態での回転位置を調整できるので、第1ピンセット20を開放して部品2を解放する位置を調整し易くなる。
【0053】
<電動ピンセットの開放量の調整>
第1ピンセット20が閉成状態でかつ間欠回転ピン57が第1カムフォロワ55の溝55uの縁に接している状態において、作業者が調整スイッチ203を左方向に一定時間倒してγ°回転すると、第1制御部100を介してモータ31をγ°逆回転させると、間欠回転ピン57は、第1カムフォロワ55の溝55uを回転摺動する。このため、上記のように第1ピンセット20が回転しない。
一方、球53と第1カムフォロワ55の接点は底面の上部から下部に移動する。このため、図15の一点鎖線に示すように、上記並進距離が長くなる。そして、第1ピンセット20の結合部22cは全く引っ張られていないため、第1ピンセット20が所定量開放する。これにより、部品2の形状、大きさ材質等に応じて、電動ピンセット1の第1ピンセット20の開放量を設定できるので、部品2の開放を適切にできる。
【0054】
上記実施の形態の電動ピンセット1は、ケース10と、略V字形状の第1内側辺21hと第1外側辺21fとから成るV字辺を有し、V字辺の開放側における第1内側辺21hの端部を有し,V字辺の第1外側辺21fの開放側端部とを有する第1把持部材21と、略V字形状の第2内側辺22hと第2外側辺22fとから成るV字辺を有し、V字辺の開放側における第2内側辺22hの端部を有し,V字辺の第2外側辺22fの開放側端部とを有する第2把持部材22と、並進移動に基づいて第1及び第2把持部材21,22の第1及び第2内側辺21h,22hの端部が引っ張られることにより、並進移動の量よりも第1及び第2把持部材21,22のV字辺の先端の変位量が内側に拡大して対象物を解放及び把持する把持部20xを有する第1ピンセット20と、ケース10に内蔵され、モータ31の軸に連結固定されたカム51と、該カム51と摺動するカムフォロワ55とを有しており、カム51を第1方向に回転することによりカムフォロワ55を並進移動し、さらに、カム51を第1方向に回転することによりカムフォロワ55を回転させる変換機構50を備えている。
【0055】
さらに、上記実施の形態の電動ピンセット1は、ケース10に内蔵され、カムフォロワ55に連結固定されると共に、第1及び第2把持部材21,22の第1及び第2内側辺21h,22hの開放側端部に連結された伝達部70と、ケース10に内蔵され、カムフォロワ55に連結固定されると共に、第1及び第2把持部材21,22の第1及び第2外側辺21f,22fの開放側端部に連結固定された回転部80と、モータ31を運転及び停止する閉成・回転スイッチ201とを備え、閉成・回転スイッチ201を動作すると、モータ31を第1方向へ回転して第1ピンセット20を開放から閉成し、閉成・回転スイッチ201を動作すると、モータ31を第1方向と同一方向へ回転し、第1ピンセット20を回転する第1制御部100と、操作部の操作量に基づいてモータ31の回転角度指令信号を発生する調整スイッチ203と、回転角度信号に基づいて第1ピンセット20の開閉量及び回転量を調整する第1制御部100と、を備えたものである。
【0056】
上記電動ピンセット1によれば、作業者が閉成・回転スイッチ201を動作すると、第1制御部100がモータ31を正回転し、第1カム51と第1カムフォロワ55の全長が短くなり、第1ピンセット20が開放から閉成し、さらに、閉成・回転スイッチ201を動作させ、モータ31を正回転させると、全長を維持した状態で、第1カム51の回転により第1カムフォロワ55が回転して伝達部70及び回転部80が回転する。これにより、第1ピンセット20を閉成状態で、第1ピンセット20の両縁部21a,22aを回転できる。
したがって、作業者が電動ピンセット1を持ったまま、電動により第1ピンセット20の把持部20xを閉成状態で回転させることができる。このため、第1ピンセット20で部品2を把持したまま、第1ピンセット20を回転させるので、部品2の姿勢を変えることが簡易にできる。このため、本電動ピンセット1により方向性、例えば表裏を有する部品2をトレーに置くことが容易になる。
【0057】
さらに、電動ピンセット1は、モータ31を運転及び停止する開放スイッチ202を備えることが好ましい。第1ピンセット20が閉成状態で、開放スイッチ202を動作すると第1制御部100がモータ31を逆回転すると、第1ピンセット20が閉成から開放する。これにより、第1ピンセット20により部品2を把持したまま、回転させて部品2の姿勢を変えてから、第1ピンセット20を開放して部品2を離すことができる。
【0058】
また、電動ピンセット1は、閉成・回転スイッチ201と、開放スイッチ202を備え、作業者が閉成・回転スイッチ201の動作により第1ピンセット20を開放から閉成し、開放スイッチ202の動作により第1ピンセット20を閉成状態にて第1ピンセット20を回転し、第1ピンセット20を閉成から開放するので、閉成・回転スイッチ201と、開放スイッチ202とのそれぞれ動作に基づいて第1ピンセット20を閉成・回転し、閉成から開放するので、作業者が第1ピンセット20の開放、閉成などの動作指令を出し易くなる。
なお、閉成・回転スイッチ201と、開放スイッチ202を一つにしたスイッチを設けて、このスイッチの動作に基づいて、第1ピンセット20を開放から閉成し、閉成状態で回転し、閉成から開放しても良い。
【0059】
さらに、電動ピンセット1は、第1ピンセット20が開放状態で、調整スイッチ203を動作させ、第1制御部100を介してモータ31をθ°逆回転させると、第1ピンセット20が全体としてθ°回転する。したがって、部品2を把持する際の第1ピンセット20の初期回転位置を所望の位置にできる。これにより、部品2の形状、置かれた位置に応じて、第1ピンセット20の初期回転位置を調整できるので、部品2の把持が容易になる。
【0060】
また、第1ピンセット20が開放状態で調整スイッチ203を動作させ、第1制御部100を介してモータ31をα°正回転させると、第1ピンセット20が開放から所定の間隔開いた状態で閉成する。これにより、第1ピンセット20の閉成量を調整できるので、部品2の把持を適切にできる。
【0061】
また、第1ピンセット20が閉成状態で、調整スイッチ203を動作させ、第1制御部100を介してモータ31をβ°正回転させると、第1ピンセット20が閉成状態で回転する。これにより、第1ピンセット20を開放して部品2を解放する位置を調整し易くなる。
【0062】
また、第1ピンセット20が閉成状態で、調整スイッチ203を動作させ、第1制御部100を介してモータ31をγ°逆回転させると、第1ピンセット20が所定量開放する。これにより、部品2の形状、大きさ材質等に応じて、第1ピンセット20の開放量を設定できるので、部品2の把持を適切にできる。
【0063】
また、モータ31の回転角度を検出して回転角度検出信号を出力するエンコーダ35を備え、第1制御部100は、閉成・回転スイッチ201、開放スイッチ202の動作に基づいて予め定められた回転角度指令信号に回転角度検出信号が一致するようにモータ31を制御する、ことが好ましい。これにより、モータ31を所望の回転角度値に停止できるので、例えば、第1ピンセット20の開放量、回転角度、閉成量の位置決めが容易になる。
なお、モータ31にパルスモータを用いて、エンコーダ35を不要にしても良い。パルスモータならば、回転指令信号に基づいて、正確にモータを制御できるからである。
また、電動ピンセット1の第1制御部100はケース10に内蔵されている、ことが好ましい。電動ピンセット1の操作が簡易となるからである。
【0064】
実施の形態2.
本発明の他の実施の形態を図17及び図18によって説明する。図17は本発明の他の実施の形態を示す電動ピンセットの全体図、図18は図1に示す電動ピンセットのモータ制御関係のブロック図である。
図17及び図18において、第2スイッチボックス300には、第1ピンセット20を開放から閉成にする動作信号を発生する第1スイッチ手段としての閉成スイッチ301と、第1ピンセット20を閉成状態で回転し、第1ピンセット20を閉成から開放する動作信号を発生する第2スイッチ手段しての回転・開放スイッチ303と、操作部の操作量に基づいてモータ31の回転角度信号を発生すると共に、第1ピンセット20の回転角度を調整する入力手段としての第1調整スイッチ305と、操作部の操作量に基づいてモータ31の回転角度指令信号を発生すると共に、第1ピンセット20の開放及び閉成量を調整する入力手段としての第2調整スイッチ307とを備えている。
また、スイッチ手段とは、閉成スイッチ301、回転・開放スイッチ303それぞれを指す。なお、第1調整スイッチ305は、ジョイステック型を用い、第2調整スイッチ307は、スライド型のポテンショメータを用いている。
【0065】
このように構成された電動ピンセットによれば、上記実施の形態1と同様に、閉成スイッチ301が動作すると、第1制御部100を介して第1ピンセット20を開放から閉成し、回転・開放スイッチ303が動作すると、第1制御部100を介して第1ピンセット20を回転し、さらに、回転・開放スイッチ303の動作により第1制御部100を介して第1ピンセット20を閉成から開放する。
【0066】
さらに、電動ピンセットの初期回転位置を調整するには、ピンセット20が開放状態において、作業者が第1調整スイッチ305を左方向に一定時間倒すと、第1制御部100を介してモータ31をθ°逆回転してピンセット20をθ°回転する。よって、第1ピンセット20を開放状態で、初期回転位置を調整できる。
また、第1ピンセット20の閉成状態における回転位置を調整するには、第1ピンセット20が閉成状態で、作業者が第1調整スイッチ305を右方向に一定時間倒して、第1制御部100を介してモータ31をβ°正回転させると、第1ピンセット20が閉成状態で回転する。これにより、第1ピンセット20を開放して部品2を解放する位置を調整し易くなる。
【0067】
そして、上記電動ピンセットは、第1ピンセット20の開放・閉成状態で回転角度を調整する第1調整スイッチ305と、第1ピンセット20の開閉量を調整する第2調整スイッチ307とに分けたので、第1ピンセット20の開閉量などの調整をする、動作指令を発生し易くなる。
【0068】
実施の形態3.
本発明の他の実施の形態は、実施の形態1の第1ピンセット20に代えて、構成が簡易な第2ピンセット220を図19及び図20によって説明する。図19は本発明の他の実施の形態による第2のピンセットの斜視図、図20は第2のピンセットを回転台に組み込んだピンセットユニットの斜視図である。
図19中、図4と同一符号は同一部分を示し、説明を省略する。
<第2のピンセットの構成>
図19において、第2のピンセット220は、はり状で略逆V形状に形成されると共に、先端部を共有する第1把持部材21と、第1把持部材21と対向すると共に、曲がりにくい略L形状の対向部材230とを備えている。第1把持部材21は、第1内側辺21hの開放側端部から延設して略水平に設けられた内側固定部21xを有しており、この内側固定部21xに孔21eが設けられている。そして、第2伝達部70は、カムフォロワ55に連結固定されると共に、第1把持部材21の第1内側辺21hの内側固定部21xに固定されている。
対向部材230には、真直ぐな他端部としての先端部を有する辺部232fと、辺部232fから延設された一端部としての固定部232aとを有しており、辺部232fの対向側の先端部が把持部232xと成っている。
そして、第2のピンセット220の把持部20xは、対向部材230の把持部232xと第1把持部材21の把持部21xとにより部品などを把持するように形成されている。
【0069】
図19に示すように、第2のピンセット220は、回転台88の切り欠き88aに第1把持部材21の縁部21aを係合固定し、同様に、回転台88の切り欠き88aに対向部材230の縁部232aも係合固定してピンセットユニットを形成している。これにより、第2回転部80は、カムフォロワ55に連結固定されると共に、第1把持部材21の第1外側辺21fの開放側端部に連結固定される。
【0070】
また、上記実施の形態1及び2に示した第1スイッチボックス200又は第2スイッチボックス300を用いることにより、第2のピンセット220を用いた電動ピンセット1によれば、第2ピンセット220の第1把持部材21のみを用いた電動ピンセット1と同様の上記作用効果を奏する。
したがって、第2のピンセット220は、第2把持部材22の代わりに対向部材230を用いることができるので、ピンセット220の構成が簡易となる。
なお、上記実施の形態では、対向部材230の縁部232aを回転部80に固定したが、伝達部70の例えば第1固定部材74に固定しても良い。
【0071】
実施の形態4.
本発明の他の実施の形態は、実施の形態1の変換機構に代えて、構成が簡易な変換機構を図21及び図22によって説明する。図21は他の実施の形態を示すピンセットのカム組み立ての左側面図(a)、正面図(b)、右側面図(c)、図22は、図21に示す電動ピンセットのモータ制御関係のブロック図である。図22中、図2と同一符号は同一部分を示し説明を省略する。
本第2の変換機構250は、第2のカム251と、第2のカムフォロワ255と、を備えている。第2のカム251は、第1の面を有する円柱部と、円柱部の第1の面に対して突設すると共に、平面視で扇形状の突起部としての柱部251tとを有している。第3のカムフォロワ255は、二段の円柱状で、第1の円柱255bと第1の円柱255bよりも太い第2の半円柱255cを有しており、第2半円柱255cには、側面255fを有している。第2のカム251の柱部には、半球状の溝251uが設けられており、該溝251uに球53が置かれ、第2のカムフォロワ255は、ピンセット側回転ピン84を挿入固定する孔255eと、第1磁性部材72を固定する円柱状の凹部255aとが設けられおり、第2の半円柱255cには、第2のカム251の柱部の側面と当接する側面を有すると共に、球53を摺動させる傾斜面255sを有している。
【0072】
図2において、第2制御部120は、作業者が閉成・回転スイッチ201を一寸押すと、モータ31を第1角度として90°第1方向に正回転して第1ピンセット20を開放から閉成し、エンコーダ35の回転検出角度が90°に達するとモータ31を停止する。次に、作業者が閉成・回転スイッチ201を一寸押してモータ31を第2角度としての180°第1方向に正回転して第1ピンセット20を回転し、エンコーダ35の回転検出角度が180°に達するとモータ31を停止するように形成されている。
また、第2制御部120は、作業者が開放スイッチ203を一寸押すと、モータ31を第1角度としての90°第1方向と逆回転して第1ピンセット20を閉成から開放し、エンコーダ35の回転検出角度が90°に達するとモータ31を停止し、次に、開放スイッチ203一寸押してモータ31を第2角度としての180°第2方向に逆回転して第1ピンセット20を初期回転位置に復帰すると共に、エンコーダ35の回転検出角度が180°に達するとモータ31を停止するように形成されている。
【0073】
上記のように構成された変換機構を有する電動ピンセットの把持状態で回転させる動作を図2及び図21を参照して説明する。
第1ピンセット20の閉成状態において、モータ31をさらに180°正回転させると、第2のカム251の柱部251tは、第2のカムフォロワ255の半柱の側面255fに接しているため、第2のカムフォロワ255はモータ31と同期して回転する。上記実施の形態1と同様にして第1ピンセット20は閉成状態を維持しながら、第1ピンセット20も180°回転する。
このような第2の変換機構250によれば、間欠回転ピン57が不要になるため変換機構の構成が簡易となる。
【0074】
本発明は、上記発明の実施の形態に説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、電動ピンセットに適用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 電動ピンセット、20,220 ピンセット、21 第1把持部材、22 第2把持部材、21a,22a 縁部、22c 結合部、31 モータ、33 スイッチ、35 エンコーダ、50,250 変換機構、51,251 カム、55,255 カムフォロワ、70 伝達部、80 回転部、82 回転台(回転部材)、84 回転伝達ピン(ピン部材)、100,120 制御部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
略V字形状の第1内側辺と第1外側辺とから成るV字辺を有し、前記V字辺の開放側における第1内側辺の端部を有し,前記V字辺の第1外側辺の開放側端部とを有する第1把持部材と、
略V字形状の第2内側辺と第2外側辺とから成るV字辺を有し、前記V字辺の開放側における第2内側辺の端部を有し,前記V字辺の第2外側辺の開放側端部とを有する第2把持部材と、
並進移動に基づいて第1及び第2把持部材の前記第1及び第2内側辺の端部が引っ張られることにより、前記並進移動の量よりも前記第1及び第2把持部材のV字辺の先端の変位量が内側に拡大して対象物を解放及び把持する把持部を有する第1ピンセットと、
前記ケースに内蔵され、モータの軸に連結固定されたカムと、該カムと摺動するカムフォロワとを有しており、前記カムを第1方向に回転することにより前記カムフォロワを並進移動し、さらに、前記カムを前記第1方向に回転することにより前記カムフォロワを回転させる変換機構と、
前記ケースに内蔵され、前記カムフォロワに連結固定されると共に、前記第1把持部材の第1内側辺の開放側端部と前記第2把持部材の第2内側辺の開放側端部とに連結された第1伝達部と、
前記ケースに内蔵され、前記カムフォロワに連結固定されると共に、前記第1把持部材の第1外側辺の開放側端部と前記第2把持部材の第2外側辺の開放側端部とに連結固定された第1回転部と、
前記モータを運転及び停止するスイッチ手段と、
前記スイッチ手段を動作すると、前記モータを前記第1方向へ回転して前記第1ピンセットを開放から閉成し、前記スイッチ手段を動作すると、前記モータを前記第1方向と同一方向へ回転し、前記第1ピンセットを回転する第1制御手段と、
操作部の操作量に基づいて前記モータの回転角度指令信号を発生する入力手段と、
前記回転角度信号に基づいて前記第1ピンセットの開放量若しくは閉成量又は回転量の少なくともいずれか一方を調整する第2制御手段と、
を備えたことを特徴とする電動ピンセット。
【請求項2】
前記第2把持部材の代わりに、前記第1把持部材と対向すると共に、該第1把持部材の第1内側辺とにより対象物を把持する一端部と他端部とを有する対向部材と、
並進移動に基づいて第1把持部材の前記第1内側辺の端部が引っ張られることにより、前記並進移動の量よりも前記第1把持部材のV字辺の先端の変位量が内側に拡大して前記対向部材と共に、対象物を解放及び把持する把持部を有する第2ピンセットと、
第1伝達部の代わりに、前記ケースに内蔵され、前記カムフォロワに連結固定されると共に、前記第1把持部材の第1内側辺の開放側端部に連結された第2伝達部と、
第1回転部の代わりに、前記ケースに内蔵され、前記カムフォロワに連結固定されると共に、前記第1把持部材の第1外側辺の開放側端部に連結固定された第2回転部とを備え、
前記対向部材の一端部が前記伝達部又は前記回転部に連結固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の電動ピンセット。
【請求項3】
前記第1制御手段はさらに、前記スイッチ手段の動作に基づいて前記第1又は第2ピンセットを閉成状態で、前記モータを前記第1方向と逆方向の第2方向へ回転して前記第1又は第2ピンセットを閉成から開放する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動ピンセット。
【請求項4】
前記モータの回転角度を検出して回転角度検出信号を出力する回転角度検出手段を備え
前記制御手段は、前記スイッチ手段の動作に基づいて予め定められた回転角度指令信号に前記回転角度検出信号が一致するように前記モータを制御する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電動ピンセット。
【請求項5】
前記スイッチ手段は、第1スイッチ手段と第2スイッチ手段とを備え、
前記第1制御手段は、前記第1スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを第1方向に回転して前記第1又は第2ピンセットを開放から閉成し、さらに、前記第1スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを前記第1方向に回転して該閉成状態にて前記第1又は第2ピンセットを回転し、
前記第1制御手段は、前記第2スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを前記第1方向と逆の第2方向に回転して前記第1又は第2ピンセットを閉成から開放する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電動ピンセット。
【請求項6】
前記スイッチ手段は、第1スイッチ手段と第2スイッチ手段とを備え、
前記第1制御手段は、前記第1スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを第1方向に回転して前記第1又は第2ピンセットを開放から閉成し、
前記第1制御手段は、前記第2スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを第1方向に回転して前記第1又は第2ピンセットを閉成状態で回転し、さらに、前記第2スイッチ手段の動作に基づいて前記モータを前記第1方向と逆の第2方向に回転して前記第1又は第2ピンセットを閉成から開放する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電動ピンセット。
【請求項7】
前記モータが予め定められ回転原点位置に復帰させる第3スイッチ手段を備え、
前記エンコーダは、前記モータが前記回転原点位置になると、原点位置検知信号を発生し、
前記制御手段は、前記第3スイッチ手段の動作に基づいて、前記ピンセットを開放又は閉成状態で、前記原点位置指令信号を発生して該原点位置指令信号に基づいて前記モータを原点位置検知信号が発生するまで一定の方向に回転して停止する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電動ピンセット。
【請求項8】
前記伝達部は、前記第1又は第2ピンセットの結合部と連結された第1部材を有しており、
該第1部材は、前記カムとの接触する面の反対側となる前記カムフォロワの中央上部に固定された、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電動ピンセット。
【請求項9】
前記回転部は、前記カムフォロワの回転を伝達するピン部材と、
前記カムフォロワに遊挿され、前記ピン部材の回転に伴い回転すると共に、前記第1又は第2ピンセットの他の端部に連結固定された回転部材と、
を備えたことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の電動ピンセット。
【請求項10】
前記変換機構は、前記カムには、第1面と該第1面に対して突起を有する突起部と、該突起部に半球状の第1溝が設けられており、
該第1溝に置かれると共に、摺動する球部材と、
前記カムフォロワには、前記突起部の側面と当接する側面を有すると共に、前記球部材を摺動させる傾斜面を有する、
ことを特徴とする1から9のいずれかに記載の電動ピンセット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate


【公開番号】特開2010−207994(P2010−207994A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58918(P2009−58918)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名:社団法人 日本機械学会 刊行物名:福祉工学シンポジウム2008講演論文集 掲載日 :平成20年9月17日
【出願人】(000154680)シチズン平和時計株式会社 (24)
【出願人】(504139662)国立大学法人名古屋大学 (996)
【Fターム(参考)】