説明

電動式ランプ調節装置

【課題】ランプの照準調節に用いられる電動式調節装置を提供する。
【解決手段】電動式調節装置をハウジング及びモータを備えて構成する。ハウジング中へ出力軸を貫通するように通して、該出力軸をモータと作動的に結合する。モータの作動、あるいは手動操作によってボールスタッドを移動させる。調節過剰による損傷を防止するため装置へクラッチ部品を含ませることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は広くは自動車ランプの照準調節に用いられる調節装置に関する。本発明は、より具体的には電動あるいは手動操作によって自動車ランプの照準を調節するための電動式ランプ調節装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の乗物には一般的にはヘッドランプ及びフォグランプを含む数個のランプが取り付けられる。これらランプには一般的にレンズに対して電球と共に密閉される反射体が備えられている。これらランプは取付ブラケット中へしっかりと嵌合される。ランプは通常取付ブラケットへ複数箇所において回転方式で係合される。この取付ブラケットは車輌へ取り付けられている。これらランプ及び取付ブラケットが一体化されてランプ組立完成品となっている。このランプ組立品が一旦製造されて車輌へ取り付けられると、ランプの照準を適切な照準に合わせる調節が必要とされる。事故、整備、常態の振動及び磨耗の結果として、車両の耐用期間中にランプの照準調節が必要となることがしばしばある。
【0003】
ランプ照準調節の一方法としては、調節装置を用いる方法がある。この調節装置は取付ブラケットの一部として作製されてもよいし、あるいはランプ及び取付ブラケット双方と連動される別個の部品であってもよい。既知タイプの調節装置の一例では、ハウジングと該ハウジングから延びる出力軸が備えられている。この出力軸はランプに係合される。調節装置を作動あるいは操作することにより、出力軸がランプ組立品に対して移動する。このような出力軸の移動により、取付ブラケットに対するランプの回転がひき起こされ、この回転によってランプの照準が調節されることになる。
【0004】
Burtonによる米国特許No.6,257,747等に開示されたこの種の調節装置の一例では手動操作が要求される。調節装置のハウジングには開口部及び該開口部内部に配置されたギアが設けられている。このギアは出力軸と機能的に連動又は関係し合っている。前記開口部には駆動体が挿入され、この駆動体はギアと相互に作用し合う。駆動体を作動させることにより、ギア及び連動状態にある出力軸が回転する。ギアによって、駆動体の作動が出力軸の移動へと変換・伝達される。但しこの構成に関しては種々変形及び改良を行い得る。
【0005】
手動調節装置の適用性には限界がある。多くの国において、運転者が車内から車両ランプの照準を調節できることが要求されている。また、いくつかの車両においては、車両方向を追跡して照らし、あるいは道路起伏あるいは車両重量(すなわち、地面の起伏あるいは車両への積載重量)に関する補正からランプ照準を調節するランプが現在提供されている。ランプの照準は、ハンドルの回転に伴って、あるいは懸架装置の相対ピッチの結果として自動的に調節される。コンピュータにより、ハンドルの回転度合、車両速度、及び/または懸架装置ピッチとランプ照準の整合化が行われる。この整合化には高度な精度が要求される。運転者がハンドルを安全に切りながら車両ランプの照準を同時に調節することは不可能である。
【0006】
これまで多数の電動式ランプ調節装置が開発され機能性の改良が行われてきた。これら調節装置の大部分は手動操作型あるいは電動操作型のものである。実用場面において、調節装置は車両の製造、整備、及び修理の際に手動で操作されてランプ照準が合わされてきた。車両走行中におけるランプの照準合わせは電動式調節装置に頼らざるを得ない。この場合、車両の走行中に自動的調節を行う制御装置へ調節装置を接続することが可能である。このような調節装置の例はKomachiによる米国特許No.5,394,318、Eickhoffらによる米国特許No.5,673,991、及びNatchooによる米国特許No.6,012,829に開示されている。これら調節装置のすべてには電動モータが使用され、このモータによって出力軸が縦方向へ移動される。このモータは出力軸の中心を外れて調節装置ハウジング内部に配置されている。これら調節装置は、モータによって発生した出力を出力軸の縦方向の動きへ変換するために、ギア、減速装置、回路、電位差計、及び伝達装置から成る系列に依存している。これら調節装置は、一連の部品を採用するものである。これら部品のそれぞれは別個に製造される。これら部品は次いでハウジング内部で組み立てられて調節装置が作製される。複数の部品を用いることにより、調節装置の不調、破損箇所、及び磨耗の可能性が増大する。さらに、一連の部品を用いることにより、ハウジングがより大型化し、それによって調節装置もより大型となる。このような大型の調節装置は車両内により大きなスペースを必要とするため、車両の全体的設計及び製造に不利な影響を及ぼし、また調節装置及び車両双方の全体的製造コスト高を生ずる。
【0007】
そのため、先行技術における上記欠点及びその他の欠点を解消できる改良された電動式ランプ調節装置の必要性が生じている。当然のこととして、本発明は同様な性能が要求される種々状況下においても勿論利用可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、コスト効率的であり、より改善された機能性を発揮し、さらに既存の設計において生じかつ解消できないいくつかの問題を解消できる電動式ランプ調節装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による調節装置には、ハウジング、モータ及び出力軸が備えられている。一実施態様においては、出力軸はハウジング及びモータ中を通過して延び、モータの作動によって出力軸の軸方向への移動が起こるようにモータと機能的に結合されている。回転防止ギアは、出力軸がその中を通過して延び、かつ該回転防止ギアと機能的に結合するようにハウジング内部へ配置されれば理想的である。調節装置を手動操作する際には、前記回転防止ギアが用いられる。この回転防止ギアはモータの作動中における出力軸の回転を止めるためにも用いられる。回転防止ギアは、該回転防止ギアが回転に対してバイアスされるように、ハウジング内に配置される。出力軸には好ましくは回転箇所が設けられ、及び回転防止ギアは該回転防止ギアの手動回転によって出力軸の回転がひき起こされるように前記回転箇所と幾何学形状的に噛み合うような形状に作製される。調節装置は、ハウジング内へ駆動体を挿入して該駆動体を回転させることによって手動操作される。この駆動体はハウジング内の駆動体装入位置を通して挿入可能である。一旦駆動体が挿入されると、該駆動体の回転によって出力軸の回転がひき起こされて軸に沿って移動するように、駆動体は回転防止ギアを通して出力軸と係わり合う。駆動体は、別態様として、調節装置組立品の一部として組み込まれてもよい。
【0010】
別の実施態様においては、駆動体ギアは、出力軸が駆動ギア中を通過するが駆動ギアとは噛み合わないようにハウジング内に配置される。この場合、駆動ギアは、出力軸へ機能的に結合するボール装入体に係わり合う。モータを用いる調節装置の電動操作によって出力軸は軸に沿って移動され、この出力軸によって順にボール装入体が軸方向へ移動され、ランプ照準の調節が遂行される。調節装置を手動操作する際には、駆動体が駆動ギアに係合して駆動ギアを回転させ、この駆動ギアによってボール挿入体が回転され、及びボール挿入体が出力軸に対して軸に沿って移動されてランプ照準の調節が遂行される。手動操作の間は、前記出力軸は回転せず、軸方向に移動することもない。別の実施態様においては、前記ボール挿入体と出力軸との機能的係合に、クラッチ機構が用いられている。
【0011】
本発明に従ってランプ組立品を提供することも可能である。このランプ組立品には取付ブラケット、該取付ブラケット内に旋回可能に係合されるランプ、及び本発明のいずれかの実施態様に従った調節装置が備えられる。調節装置は取付ブラケットへしっかりと係止され、かつランプへ機能的に結合される。さらに、電動調節が望まれる場合には、電源及び/または制御装置がモータへ電気的に接続される。
【0012】
本発明の可能な適用の一つとしては自動車用ランプであるが、他にも種々適用が可能であり、本発明の利用が自動車ランプへの使用に関する記載によって自動車ランプへ限定されると判断されてはならない。本願において用いられている用語「ランプ」、「取付ブラケット」、「ランプ組立品」、「出力軸」、「ハウジング」、あるいは「ボール」が、特定の形態、形状、あるいは組成に限定されると解釈されてはならない。むしろ、これら部品は種々形状及び形態を採ることができ、また広範囲に亘る材料から作製可能である。本発明の上記目的及び他の目的及び利点については、下記の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付図面から明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明に従った電動式ランプ調節装置(全般的に参照符号30で示す)の実施態様は図1〜31に示されている。本発明を異なる形態の実施態様とすることも可能である一方、本願開示において図示され及び詳細に説明された実施態様は本発明の原理の例示として理解されるべきであり、本発明を本願に図示及び記載された実施態様へ限定する意図ではない。また、一実施態様に関して図示され及び記載された特徴は他の実施態様においても適用可能である。
【0014】
図11、13、25及び26に示すように、調節装置30は通常車両ランプに関連して用いられ、ランプ組立品20の一部を構成する。ランプ組立品20には、一般的にランプ21及び取付ブラケット28が含まれる。ランプ21にはレンズ22へ密着されるかあるいはレンズ22によって封入される反射体24、及び反射体24とレンズ22との間に配置されるバルブ26が備えられる。図11及び25に示すように、ランプ21を取付ブラケット28へ旋回可能に係止される。図13及び27に示すように、取付ブラケット28がランプ21の一部となることも可能である。図13及び26では、反射体24はピボットポスト100を介して取付ブラケットへ取り付けられている。調節装置30は取付ブラケット28としっかりと取り付けられ、またランプ21と機能的に係わり合っている。調節装置30は、ランプ21のいずれかの部分、例えば図11、13、25及び26に示すように反射体24と連携されることが可能である。
【0015】
図1〜31に示したすべての実施態様に共通するものとして、取付ブラケット28に係止されるハウジング32がある。このハウジング32はいずれか適する剛性のある材料から適当な技術を用いて作製可能である。また、このハウジングは射出成形プラスチックから製造可能であることも見出されている。図1、5、6、14及び18〜20に示されるように、ハウジング32には突出部64及び本体部66が備えられている。この突出部64は取付ブラケット28に係止される。突出部64は、スライド係合、スナップ嵌合、スクリューイン、または他の手段を介して取付ブラケット28へ確実に取り付けることも可能である。調節装置のブラケットへの取付方法の例は、本願に参照して組み入れられるBurtonによる米国特許6,474,850、6,257,747、6,050,712、6,042,254及び5,707,133において開示されている。さらに、調節装置30を、スライド係合、スナップ嵌合、スクリューイン、1/4回転方式、または他の手段を介して取付ブラケット28へ取り付けあるいは確実に固定することが可能である。図11及び25に示すように、ハウジング32を1/4回転方式で取付ブラケット28へ係止させることが可能である。取付ブラケット28には突出部64と係合するように形状化された開口部が設けられている。該突出部64を該開口部中へ挿入して回転させることにより、ハウジング32が取付ブラケット28へ固定される。前記突出部64の理想的な回転角度は60°であるが、それ以外の回転角度とすることも可能である。図1、11、14及び25に示すように、Oリングあるいはガスケット62が突出部64上へかつ本体部66へ接するように配置される。突出部64が取付ブラケット28と係合することにより、本体部66、Oリングあるいはガスケット62及び取付ブラケット28間に密閉状態が形成される。好ましくは、この係合によって本体部66とOリング62間、及びOリング62と取付ブラケット28間に面シールが形成される。また、調節装置30のハウジング32を取付ブラケット28の一部あるいはランプ組立品20の他の構造部品として一体に形成することも可能である。
【0016】
同様に図1〜31に示した実施態様すべてに共通するものとしてローター44を備えるモータ36がある。このモータ36は理想的にはコネクタ92への制御コード91を介して電源へ電気接続される。前記電源は好ましくは車両バッテリーである。図11、13、25及び26に示すように、モータ36は制御コード91を用いて制御装置90へ電気接続される。制御装置90は、電子制御装置(ECU)、コンピュータ、電気信号送信機、あるいはスイッチであってもよい。以下に限定されないが、NMBステッパモータPL35L−02−USNJA等のステッパモータ、あるいはTaishan Siang製造のMPL35A−24リニアモータ等のリニアモータを含む数種モータの使用も可能である。図にはモータ36と出力軸38が別個の部品として図示されているが、出力軸38がモータ36中に既に組み込まれた組立済モータ装置を購入することも勿論可能である。
【0017】
図1〜13には、本発明に従った調節装置30の一実施態様が図示されている。図2及び3に示すように、調節装置30は多数の部品から成っている。調節装置30にはハウジング30及びモータ36が含まれている。モータ36は、ハウジング32中に、あるいはハウジング32と接するように配置される。出力軸38はハウジング32及びモータ36中に配置され、それらを通過するように延びている。図11及び13に示すように、出力軸38はその一端においてランプ21と機能的に相互関連し、またその他端においてモータ36と係合している。ハウジング32内部には回転防止ギア40が配置されている。回転防止ギア40中へそれを通り抜けるように出力軸38が挿入される。
【0018】
図2、3、5及び6に示すように、本体部66には突出部64へ延びるレセプタ68、凹部70及び駆動体装入位置72が備えられている。ハウジング32の本体部66内部には回転防止ギア40が配置される。回転防止ギア40は、伸張部74及び複数のギア歯48を備えるヘッド76を有する。図2及び3においては、ギア歯48は伸張部74の方へ向けられている。別態様において、ギア歯48を伸張部74から離れる方向へ向けることも可能である。回転防止ギア40は好ましくは一片のプラスチックから作製されるが、他の構成としてもよい。本体部66内部へ回転防止ギア40を配置する際に、レセプタ68中へ伸張部74が挿入される。図5及び6に示すように、伸張部74は好ましくはレセプタ68中へスナップ嵌合される。レセプタ68中へ伸張部74を挿入することにより、ヘッド76の凹部70との接触が起こる。図3に示すように、凹部70には少なくとも1個の屈曲箇所56がある。この屈曲箇所56は種々形態に構成可能である。例えば、図7に示すように凹部へ3つの屈曲箇所56を設けることが効果的であることが見出されているが、他の個数の屈曲箇所56を用いることも可能である。屈曲箇所56は回転防止ギア40と相互作用し、かつ機能的に連動する。図8に示すように、屈曲箇所56はギア歯48と相互作用する。屈曲箇所56は、調節装置30が駆動体41を介して手動で作動される際には回転防止ギア40の回転を可能とする一方、調節装置30がモータ36を介して電動作動される際には、回転防止ギア40の回転を止めるように作動する。あるいは、調節装置30がモータ36を介して作動される場合、回転防止ギア40とハウジング32間の干渉手段、あるいは装置内の他の干渉手段を用いて回転防止ギア40の回転を止めることも十分可能である。かかる実施態様においては、調節装置30にはその中に配置される屈曲箇所56が全くないことになる。
【0019】
図7に示すように、調節装置30は駆動体装入位置72(例えば図2参照)中へ挿入された駆動体41を作動させることによって手動で操作される。駆動体41は駆動体装入位置72中に配置された駆動体保持体94を用いてロックされ得る。駆動体41上には好ましくは駆動保持体94中へスナップ嵌合する溝部95が設けられる。駆動体41は回転防止ギア40のギア歯48と機能的に係わり合う。ギア歯48は駆動体41、好ましくは駆動歯50と機能的に相互作用しかつ幾何形状的に噛合するように形状化される。駆動体41を作動させることにより、回転防止ギア40の回転がひき起こされる。駆動体41のヘッド52は、理想的にはレンチ、ドライバーあるいはTORX(登録商標)ドライバー等の工器具を用いて回転される。あるいは、ギア歯48の形状によっては、駆動体41自体を平頭、フィリップヘッド、あるいはTORX(登録商標)ドライバーとして用いることが可能である。
【0020】
図2〜6に示すように、出力軸38は回転防止ギア40中へ挿入され、ハウジング32の突出部64を通り越して延びている。出力軸38には、ランプ側端部78、少なくとも1個の回転部分46、及び駆動体側端部82が設けられている。図1及び13に示すように、出力軸38のランプ側端部78はランプ21へ結合される。ランプ側端部78は反射体24へ係合されるが、ランプ21への取り付けに別の部位を用いることも可能である。ランプ側端部78は理想的にはボール60を介してランプ21へ結合される。ボール60にはいずれの材料を用いてもよいが、プラスチック等の柔軟な材料を用いて作製されるのが効果的であることが分かっている。また別態様として、出力軸38はランプ21へ直接結合されても、あるいはランプ21へ噛み合わされたグロメットへ結合されてもよく、及び/または出力軸38には出力軸の一部として形成されたボール60、あるいはいずれか他のピボット機構をもつ部材が含まれていてもよい。
【0021】
出力軸38は回転防止ギア40中へ挿入され、それを貫通し、及びそれと接触状態にある。図2及び3においては、出力軸38は回転防止ギア40のヘッド76中へ嵌合されたベアリング42中を突き抜けている。べアリング42は、回転防止ギア40及びローター44の、それらの相互作用によって生じる磨耗を軽減するものである。図2及び3において、出力軸38はローター44と固定子あるいは駆動体45との間に配置される付加的ベアリング96を突き抜けている。これらベアリング42及び/または96は好ましくはステンレススチール等の低摩擦材料から製造される。図4に示すように、出力軸38には少なくとも1個の回転防止部分46が設けられる。この回転防止部分46は、調節装置30の構成の精密性及び所望される特徴に応じて、いかなる形態、形状及び個数に構成されてもよい。回転防止ギア40の伸張部74は、出力軸38及び回転防止部分46と幾何形状的に合致するように形状化される。図2及び3においては、回転防止部分46は、一定角度、好ましくは出力軸38の軸に対して90°で出力軸38中へ挿入される小さなボルトである。図9及び12において、回転防止ギア40の伸張部74には、円形中心開口部85を有する内部空間84がある。出力軸38はこの円形中心開口部85中へ挿入される。回転防止部分46は回転防止ギア40と機能的に関係し合う。回転防止ギア40を回転させることにより、伸張部74の内部空間84が回転防止部分46と接触状態となる。内部空間84によって回転防止部分46に対する作用力が働き、これによって出力軸38の回転がひき起こされる。従って図7に示すように、回転防止ギア40と出力軸38は単一ユニットとして回転することになる。
【0022】
図5及び6に示すように、出力軸38の駆動体側端部82はモータ36中へ挿入されて該モータ36と連動される。モータ36にはローター44及び駆動装置45が含まれている。図2に示すように、駆動装置45には固定子93及びコネクタ92が設けられている。図2、5及び6に示すように、ローター44は駆動装置45内部へ配置される。駆動体側端部82及びローター44は共にねじ切りされている。駆動体側端部82はローター44中へねじ山に沿って挿入される。
【0023】
調節装置30は手動であるいはモータ36を介して操作可能である。図1〜13に示した実施態様においては、調節装置30は、ランプ21の照準を、出力軸38の軸方向の移動動作を介して実施する。図11に示すように、調節装置30のハウジング32は取付ブラケット28へ係止される。調節装置30の出力軸38は、好ましくはボール60を介して、ランプ21と連動される。図5及び6に示すように、調節装置30の作動によって出力軸38の軸方向への動作がひき起こされる。この動作によってランプ21が旋回され、ランプ21の照準が調節される。手動操作はハウジング32の本体部66中に位置する駆動体41を作動させることによって遂行される。駆動体41を作動させることにより、回転防止ギア40及び出力軸38が回転される。出力軸38を回転させることにより、手動操作中は固定されているローター44のねじに挿通されているので、出力軸38はその軸に沿って移動することになる。出力軸38を一方向へ回転させることにより、該出力軸38はランプ21の方へと延びていく。出力軸38が反対方向へ回転されると、該出力軸38のランプ21に対して後戻りする動作がひき起こされる。このように、出力軸38を回転させることにより、該出力軸38の軸に沿った移動が起こる。電動操作は出力軸38の駆動体側端部82と結合されたモータ36を作動させることによって遂行される。モータ36を作動させることにより、該モータ内部におけるローター44の回転がひき起こされる。前述したように駆動体側端部82とローター44とは互いに適合するようにねじ切りされている。調節装置30の電動操作中は、出力軸38の回転は回転防止ギア40によって止められている。従って、出力軸38のねじ切り部分の周りをねじ切りされたローター44が回転することによって該出力軸38のその軸に沿った移動がひき起こされる。
【0024】
本発明に従った調節装置30の別の実施態様を図14〜31に示す。図14〜31に図示された調節装置30には、図1〜13に示した実施態様と同様な部品が含まれている。従って、特に記載がない限り、それぞれの実施態様において共通する部品は同一の機能を果たし、また同一の形態とすることが可能である。図14〜17に示すように、調節装置にはハウジング32、モータ36、及び該ハウジング32及びモータ36中へ挿入される出力軸38が備えられている。ハウジング32は、図示されたような後部ハウジング33及び前部ハウジング34から成る2部分構成とすることが可能である。しかしながら、図1〜13に示した実施態様において用いられる一体構成のハウジング、あるいは簡略なカバーを備える2部分構成のハウジング等を含めて、ハウジングを他の構成とすることも勿論可能である。前部ハウジング34には本体部66、突出部64、及び駆動体装入位置72が含まれている。モータ36はハウジング32中に配置されるか、あるいは該ハウジング32に取り付けられた状態にある。モータ36にはねじ接続によって出力軸38と機能的に結合するローター44も含まれている。モータ36にはさらに前方フランジ43が含まれている。回転防止ギア46は出力軸38上に位置している。出力軸38は、回転防止ギア46がモータフランジ43内の溝47内に配置されるように、モータ36中を貫通するように挿入される。前記溝47内へ回転防止部分46を配置することにより、出力軸38の回転を防止しながら溝47の長さと等しい距離に亘って出力軸38が軸に沿って移動することが可能となる。出力軸38の軸に沿った動作は図18及び19に図示されている。図18において回転防止部分46は溝47の中央付近に位置しているが、図19における調節装置30の電動操作によってひき起こされる出力軸38の動作後には、回転防止部分46は溝47の前端付近に図示されている。
【0025】
図14〜17に示すように、出力軸38は、少なくとも一部がハウジング32内部に位置している駆動ギア39中を貫通するように挿入される。駆動ギア39は好ましくは単一のプラスチック片から作製されるが、他の形状及び材料を用いることも可能である。出力軸38には、モータ36と連携する駆動体側端部82とボール挿入体59を介してランプ21に結合されるランプ側端部78が設けられている。駆動ギア39には伸張部75と、片側上へギア歯49が形成されたヘッド77が備えられている。図15及び16には、ヘッド77の伸張部側上へ形成され、従って伸張部75の方へ向いたギア歯49が図示されているが、このギア歯49をヘッド77の他方の側上へ形成して伸張部75から遠ざかる方向へ向けることも可能である。ボール挿入体59にはボール60及び伸張部61が含まれている。駆動ギア39はボール挿入体59と機能的に係わり合う。この係合を成し遂げるために、ボール挿入体伸張部61と噛合する縦型のスプラインを駆動ギア伸張部75へ設けることも可能である。図14〜26、特に図24には、ボール挿入体61の内側六角形状と噛合する外側スプライン102をもつ駆動ギア伸張部75が図示されている。また図27〜31には、ボール挿入体伸張部61の外側上へ形成されたクラッチタブ104と噛合する内側スプライン102をもつ駆動ギア伸張部75が図示されている。なお、他の係合方法を用いることも可能である。
【0026】
図18〜21及び28に最もよく図示されているように、歯50が駆動ギア39のギア歯49と噛合するように、ヘッド52及び駆動歯49をもつ駆動体41が駆動体装入位置72中へ挿入される。これらの図に示すように、駆動体41を用いて調節装置30は手動で操作される。駆動体41を手動で回転させることにより、ボール挿入体59の移動が行われる。駆動体41を回転させることにより、駆動ギア39の回転がひき起こされ、次いでボール挿入体59の回転がひき起こされる。ボール挿入体59はねじ連結を用いて出力軸38と結合される。ボール挿入体59の回転に伴って、ボール挿入体59は調節装置の手動操作中は固定されている出力軸38に対して軸に沿って移動する。調節装置30の手動操作中出力軸38を固定位置に保持することにより、調節装置30の手動操作中出力軸38をその規定された位置に留まらせることができる。駆動ギア39の一方向への回転によってボール挿入体59の前方への軸に沿った移動が行われ、また駆動ギア39の他方向への回転によって図20に示すようなボール挿入体59の後方への軸に沿った移動が行われる。図21及び22に示すように、少なくとも1個の屈曲箇所56を用いて、いずれかの屈曲箇所56によってギア歯49に課される抵抗に打ち勝たつために駆動体41へ十分なトルクが加えられない限り駆動ギア39が回転不能となることが確保される。また、駆動ギア39及びハウジング32間の干渉手段、あるいは装置内の他の干渉手段によっても、屈曲箇所56を全く用いることなく、この望まれない駆動体41及び駆動ギア39の回転を止めることが十分可能である。
【0027】
特定の適用において望まれる場合、図27〜31に示すようにクラッチタブ104を用いて手動操作中に過剰なトルクが加わることを防止することができる。例えば、車両技術者が駆動体41を用いてヘッドランプを調節していて、ボール挿入体59が技術者には分からない何らかの制限を受けている場合、技術者はその制限を克服する試みにおいて駆動体41へトルクを加え続ける可能性がある。この場合、クラッチタブ104はこの過剰のトルクに反応して内部で崩壊し駆動ギア39からボール挿入体59の関連を解くことにより、駆動体41へ加えられた過剰トルクによる装置の機械的破損を防止するように該装置を連動させる。また出力軸38がボール挿入体59中へねじ切り状態で可能な限り挿入されたためにボール挿入体59が後方軸方向へそれ以上移動できない場合には、装置は過剰トルクが加わることに反応してクラッチタブ104によって解除される。
【0028】
調節装置の電動操作中は、図18及び19に最もよく示されているように、出力軸38の軸に沿った移動によってボール挿入体59の移動が行われる。モータ36のローター44は出力軸38の周りを回転し、このローター44はねじ結合を用いて出力軸38へ連動する。回転防止部分46によって出力軸38の回転が止められるので、ローター44の回転に伴って、出力軸38はその軸に沿って移動する。ボール挿入体59は出力軸38へ結合され、駆動ギア伸張部75に対してスライド可能である。従って、出力軸38が軸に沿って移動するのに伴って、ボール挿入体59も該出力軸と共に移動する。ローター44の一方向への動作によって図19に示すようなボール挿入体59の前方への軸に沿った移動が行われ、またローター44の他方向への動作によってボール挿入体59の後方への軸に沿った移動が行われる。
【0029】
本発明による電動式ランプ調節装置30には車両ランプ組立品への利用の他、他用途にも利用可能である。本願において本発明は最も実用的であり、かつ好ましい実施態様と認められる観点において示され及び記載されているが、本発明を上記の特定の実施態様に限定する意図ではないことが理解されなければならない。当業者により、本発明の精神及び意図から逸脱することなく本発明の変更が為されると考えられるため、添付の特許請求の範囲に記載された要旨と均等であると正当に認められるすべての発明は本発明に含まれると考慮されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施態様に従った電動式調節装置の透視図である。
【図2】図1の電動式調節装置の分解組立図である。
【図3】図1の電動式調節装置の分解組立図である。
【図4】図1の電動式調節装置を、取り外されたハウジング、モータ、及び回転防止ギアと共に部分断面図で示した透視図である。
【図5】破線で示されたランプ及び取付ブラケットと共に示された、図1の電動式調節装置の面5−5に沿った部分断面図である。
【図6】調節装置の電動操作を示す、破線で示されたランプ及び取付ブラケットと共に示された図1の電動式調節装置の面5−5に沿った部分断面図である。
【図7】図5の電動式調節装置の図5中の面7−7に沿った部分断面図である。
【図8】図7の電動式調節装置の図7中の面8−8に沿った部分断面図である。
【図9】図3の電動式調節装置の図3中の面9−9に沿った部分断面図である。
【図10】図1の電動式調節装置の正面図である。
【図11】本発明の一実施態様に従ったランプ組立品の部分断面図である。
【図12】図3の電動式調節装置の図3中の面12−12に沿った部分断面図である。
【図13】本発明の一実施態様に従ったランプ組立品の部分断面図である。
【図14】本発明の別の実施態様に従った電動式調節装置の透視図である。
【図15】図14の電動式調節装置の分解組立図である。
【図16】図14の電動式調節装置の分解組立図である。
【図17】図14の電動式調節装置を、部分断面図で示された取り外されたハウジング、モータ、及び回転防止ギアと共に示した透視図である。
【図18】破線で示されたランプ及び取付ブラケットと共に示された図14の電動式調節装置の面18−18に沿った部分断面図である。
【図19】調節装置の電動操作を示す、破線で示されたランプ及び取付ブラケットと共に示された図14の電動式調節装置の面18−18に沿った部分断面図である。
【図20】調節装置の手動操作を示す、破線で示されたランプ及び取付ブラケットと共に示された図14の電動式調節装置の面18−18に沿った部分断面図である。
【図21】図18の電動式調節装置の図18中の面21−21に沿った部分断面図である。
【図22】図21の電動式調節装置の図21中の面22−22に沿った部分断面図である。
【図23】図14の電動式調節装置の正面図である。
【図24】図18の電動式調節装置の図18中の面24−24に沿った断面図である。
【図25】本発明の一実施態様に従ったランプ組立品の部分断面図である。
【図26】本発明の一実施態様に従ったランプ組立品の部分断面図である。
【図27】本発明の別の実施態様に従った電動式調節装置の透視図である。
【図28】破線で示されたランプ及び取付ブラケットと共に示された図27の電動式調節装置の面28−28に沿った部分断面図である。
【図29】図27の電動式調節装置を、部分断面図で示された取り外されたハウジング、モータ、及び回転防止ギアと共に示した透視図である。
【図30】図28の電動式調節装置の図28中の面30−30に沿った断面図である。
【図31】図28の電動式調節装置の図28中の面31−31に沿った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングへ取り付けられるモータと、
前記ハウジングによって少なくとも部分的にジャーナル化されたギアと、
モータ中を少なくとも部分的に通過して前記モータへ作動的に結合される出力軸と、
前記出力軸の一端に配置されるボールとを具備し、前記ボールの電動移動が前記モータの作動によって遂行され、及び前記ボールの手動移動が前記ギアの回転によって遂行されることを特徴とするランプ調節装置。
【請求項2】
前記ハウジングが、前記ギアを回転させるために、駆動体を挿入することができる駆動体装入位置を有することを特徴とする請求項1項記載のランプ調節装置。
【請求項3】
前記ギアが前記出力軸に作動的に結合された回転防止ギアであり、該回転防止ギアによって前記モータの作動中は出力軸の回転が止められ、且つ前記回転防止ギアを回転させることによって出力軸の回転がひき起こされることを特徴とする請求項1項記載のランプ調節装置。
【請求項4】
前記ギアが駆動ギアであることを特徴とする請求項1項記載のランプ調節装置。
【請求項5】
前記ボールがボール挿入体の一端上にあり、駆動ギアを回転させることにより出力軸の移動を伴わずにボールが移動されるようにボール挿入体が出力軸及び駆動ギアの双方と作動的に結合されていることを特徴とする請求項4項記載のランプ調節装置。
【請求項6】
ボール挿入体と駆動ギアとの間に配置されたクラッチ機構をさらに含むことを特徴とする請求項5項記載のランプ調節装置。
【請求項7】
前記クラッチ機構が、ボール挿入体上へ形成された連動タブを含むことを特徴とする請求項6項記載のランプ調節装置。
【請求項8】
前記ボール挿入体が、駆動ギアに係わり合うクラッチタブを含むことを特徴とする請求項5項記載のランプ調節装置。
【請求項9】
取付ブラケットと、
前記取付ブラケット上へ旋回可能に配置されたランプと、
ハウジング、前記ハウジングへ取り付けられたモータ、前記ハウジングによって少なくとも部分的にジャーナル化されたギア、前記モータを少なくとも部分的に貫通し且つ前記モータへ作動的に連結された出力軸、及び前記出力軸の一端に配置されたボールからなる調節装置とを具備してなり、前記ボールの電動移動が前記モータの作動によって遂行され、及び前記ボールの手動移動が前記ギアの回転によって遂行されることを特徴とするランプ組立品。
【請求項10】
前記ハウジングが、前記ギアを回転させるために、駆動体を挿入することができる駆動体装入位置を有することを特徴とする請求項9項記載のランプ組立品。
【請求項11】
前記ギアが前記出力軸に作動的に結合された回転防止ギアであり、該回転防止ギアによって前記モータの作動中は出力軸の回転が止められ、且つ前記回転防止ギアを回転させることによって出力軸の回転がひき起こされることを特徴とする請求項9項記載のランプ組立品。
【請求項12】
前記ギアが駆動ギアであることを特徴とする請求項9項記載のランプ組立品。
【請求項13】
前記ボールがボール挿入体の一端上にあり、駆動ギアを回転させることにより出力軸の移動を伴わずにボールが移動されるようにボール挿入体が出力軸及び駆動ギアの双方と作動的に結合されていることを特徴とする請求項12項記載のランプ組立品。
【請求項14】
前記ボール挿入体と前記駆動ギアとの間に配置されるクラッチ機構をさらに備えることを特徴とする請求項13項記載のランプ組立品。
【請求項15】
前記クラッチ機構が、前記ボール挿入体上へ形成された連動タブを含むことを特徴とする請求項14項記載のランプ組立品。
【請求項16】
前記ボール挿入体が、前記駆動ギアに係わり合うクラッチタブを含むことを特徴とする請求項13項記載のランプ組立品。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公表番号】特表2007−508999(P2007−508999A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536748(P2006−536748)
【出願日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2004/034711
【国際公開番号】WO2005/042304
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(506137620)アシスト テクノロジーズ, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】