説明

電動流体ポンプ

【課題】回転体を支持する軸部材の加工を極力省きつつ、少ない部品点数で構成された軸受部材を備える電動流体ポンプを提供する。
【解決手段】流体室を形成するケース2と、回転軸方向の一方の外周に永久磁石が固定されたロータ11を設け、回転軸方向の他方に吸入口から流体を吸入し吐出口から流体を吐出するインペラ12を設けた回転体10と、ロータ11の外周に配置され、ロータ11を回転駆動する磁界を生成する駆動部と、を備え、回転体10の回転軸方向のロータ側端部11Aとインペラ側端部12Aとのうち、いずれか一方の端部に回転体10のラジアル荷重及びスラスト荷重に対応可能な中空状の回転軸受部材33を備え、他方の端部に対向するケース2に回転体10のラジアル荷重及びスラスト荷重に対応可能であって、回転軸受部材33と同形状の固定軸受部材36を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータの回転によって流体を送り出す電動流体ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載される電動流体ポンプのように、ケーシングに固定された軸部材にロータを軸支し、ロータの回転によって流体を送り出す流体ポンプが存在する。この電動流体ポンプでは、外周に永久磁石が固定されるロータと、ロータに一体に連結されるインペラを有する回転体とが備えられている。ロータを包囲する隔壁部の外周には回転磁界を生成する駆動部が備えられ、この駆動部によってロータが回転駆動される。ロータ及びインペラを有する回転体は、その円筒部がケースに固定されたシャフトに支持されている。円筒部にはシャフトとラジアル方向に係合する軸受部が形成されている。また、回転体のスラスト方向の移動に対しては、シャフトに締結されたナットが規制手段として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−9707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電動流体ポンプでは、回転体を支持するケース側のシャフトにおいて、回転体の円筒部に形成された軸受部を軸受けする部分と、円筒部に接触しない部分とを区別するための加工が必要であり、結果的にシャフト全体に加工を施す必要がある。また、回転体のラジアル方向の軸受とスラスト方向の軸受とが別部材で構成されているため、部品点数が多くなる。
【0005】
本発明は、回転体を支持する軸部材の加工を極力省きつつ、少ない部品点数で構成された軸受部材を備える電動流体ポンプを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電動流体ポンプの第1特徴構成は、流体の吸入口と流体の吐出口とを有する流体室を形成するケースと、回転軸方向の一方の外周に永久磁石が固定されたロータを設け、回転軸方向の他方に前記吸入口から流体を吸入し前記吐出口から流体を吐出するインペラを設けた回転体と、前記ロータの外周に配置され、前記ロータを回転駆動する磁界を生成する駆動部と、を備え、前記回転体の回転軸方向のロータ側端部とインペラ側端部とのうち、いずれか一方の端部に前記回転体のラジアル荷重及びスラスト荷重に対応可能な中空状の回転軸受部材を備え、他方の端部に対向する前記ケースに前記回転体のラジアル荷重及びスラスト荷重に対応可能であって前記回転軸受部材と同形状の固定軸受部材を備える点にある。
【0007】
この構成により、ロータとインペラとを有する回転体は、ケースに備えられた固定軸受部材と回転体に備えられた回転軸受部材とによって回転軸方向の両端が軸受されて回転する。このため、回転体に回転軸部分に挿通されるシャフトが不要となり、回転体を回転支持する軸部材及び軸受部材は回転体の回転軸方向の両端部に対応する部分に備えるだけでよい。すなわち、回転体を支持する軸部材及び軸受部材を短くできることで、結果として軸部材及び軸受部材の加工部分を小さくすることができる。
また、ケースに備えられた固定軸受部材と回転体に備えられた回転軸受部材とは、同形状であって回転体のラジアル荷重及びスラスト荷重に対応する形状であるので、部品の共通化を図ることができる。その結果、部品点数を少なくでき、製造コストを抑制できる。
【0008】
本発明の電動流体ポンプの第2特徴構成は、前記インペラ側端部に前記回転軸受部材を備え、前記ロータ側端部に対向する前記ケースに前記固定軸受部材を備える点にある。
【0009】
回転体は一端にロータ、他端にインペラを設けて構成されている。このうち、ロータの外周には永久磁石が固定されているため、インペラに比較して重量がかなり大きい。このため、回転体全体の回転軸方向の重量バランスがロータ側に偏り、回転体がスムーズに回転しない場合があった。
しかし、本構成のように、ロータ側端部に対向するケースに固定軸受部材を備え、インペラ側端部に回転軸受部材を備えると、回転軸受部材によってインペラ側の重量が増し、回転体全体の重量バランスのロータへの偏り度合が緩和される。その結果、回転体の重量バランスが是正され、回転体の回転がスムーズになる。
【0010】
本発明の電動流体ポンプの第3特徴構成は、前記固定軸受部材が外周部で前記回転体を軸受するよう構成された点にある。
【0011】
ロータ側端部に対向するケースに固定軸受部材を備えた場合、仮に、固定軸受部材の内周部で回転体を軸受するよう構成すると、ロータ側端部には固定軸受部材の内周部と接する突出部が形成されることとなり、突出部によってロータの重量は増すこととなる。一方、本構成のように、ロータ側端部に対向するケースに備えられた固定軸受部材が外周部で回転体を軸受するよう構成すると、ロータ側端部には固定軸受部材の外周部と接する凹部が形成されることとなり、凹部によってロータの重量は軽減される。その結果、回転体の重量バランスがより是正され、回転体の回転がスムーズになる。
【0012】
本発明の電動流体ポンプの第4特徴構成は、前記固定軸受部材及び前記回転軸受部材の摺動面を外周及び内周の一方の同じ側に設けてある点にある。
【0013】
本構成により、固定軸受部材及び回転軸受部材は、いずれも外周及び内周のうち一方の摺動面の加工精度を向上させるだけでよいことになる。その結果、軸受部材の加工が容易となり、製造コストを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る電動流体ポンプの全体構成を示す断面図
【図2】本発明に係る回転体の軸受構造を示す図
【図3】インペラ側端部の軸受構造を示す図
【図4】ロータ側端部の軸受構造を示す図
【図5】第2実施形態に係る回転体の軸受構造を示す図
【図6】第2実施形態に係るインペラ側端部の軸受構造を示す図
【図7】第2実施形態に係るロータ側端部の軸受構造を示す図
【図8】他の実施形態に係るインペラ側端部の軸受構造を示す図
【図9】他の実施形態に係るロータ側端部の軸受構造を示す図
【図10】他の実施形態に係るインペラ側端部の軸受構造を示す図
【図11】他の実施形態に係るロータ側端部の軸受構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る電動流体ポンプを車両の電動ウォーターポンプに適用した例を図面に基づいて説明する。
【0016】
[第1実施形態]
電動ウォーターポンプ1は、冷却水(流体)を、例えば車両のエンジン及びラジエータを有する図示しない冷却回路に循環させる。冷却水は、エンジンで発熱した熱量を吸収し温められ、ラジエータで熱量を放出し冷却されてエンジンを冷却する。
【0017】
(電動流体ポンプの全体構成)
電動ウォーターポンプ1は、図1に示す如く、樹脂製のケース2内に水室(流体室)80が形成されており、水室80に回転体10が配置されている。回転体10は、回転軸方向の一方にロータ11が設けられ、回転軸方向の他方にインペラ12が設けられている。ロータ11の外周には永久磁石が固定されており、ロータ11の外周側にロータ11を回転駆動する磁界を生成する駆動部20が備えられている。電動ウォーターポンプ1は、駆動部20により生成された磁界によってロータ11が回転駆動され、ロータ11と一体のインペラ12が水室80内で回転することで冷却水を図示しない冷却回路内に循環させる。
【0018】
ケース2には、回転体10の回転軸芯Lの方向から電動ウォーターポンプ1の内部へ冷却水を引き込む吸入口3と、冷却水を電動ウォーターポンプ1の外部へ吐き出す吐出口4とが設けてある。また、ケース2は、締結部材によりフランジ部のシール部材を介して水密状態に固定される。
【0019】
図1及び図2に示すように、回転体10に設けられたインペラ12は円筒状のロータ11に一体的に設けられている。インペラ12は、回転体10の回転軸に垂直な方向に延設される略円板の基部13と、この基部13に立設された複数の羽根部14とで構成されている。ロータ11の外周には、磁性部材が一体に固定され、更に、磁性部材の外周には周状に複数(例えば、N極とS極とが交互になった4極)の極性をもつ永久磁石が固定されている。インペラ12はロータ11の回転に伴って回転し、冷却水を吸入口3から水室80に引き込み、吐出口4から外部に冷却水を排出する。
【0020】
(回転体のインペラ側端部とこれに対向するケースの構造)
回転体10のインペラ側端部12Aには円筒部31と鍔部32とを有する中空状の回転軸受部材33が備えられている。回転軸受部材33は、インペラ側端部12Aに対して円筒部31が回転体10の回転軸方向に沿うように全体が埋設され、鍔部32は円筒部31よりもインペラ側端部12Aの内方に位置する。インペラ側端部12Aに対向する位置には、ケース2の内壁から回転体10の回転軸芯Lに向けて延出する延出部2Aが形成されており、この延出部2Aに回転体10の回転軸方向に沿う方向に突出する突出部2aが備えられている。回転軸受部材33は、円筒部31の内周部31Aと鍔部32の内周部32Aとが突出部2aとの摺動面となる。すなわち、回転軸受部材33において、内周部31A、32Aが回転体10のラジアル方向の荷重に対応する軸受部として機能する。また、円筒部31のケース2に対向する端面31Bが回転体10のスラスト方向の荷重に対応する軸受部として機能する。なお、吸入口3の冷却水は延出部2Aの周囲に形成される流路を経て水室80に引き込まれる。
【0021】
(回転体のロータ側端部とこれに対向するケースの構造)
回転体10のロータ側端部11Aには回転軸受部材は備えられておらず、ロータ側端部11Aに対向するケース2に、円筒部34と鍔部35とを有し回転軸受部材33と同形状の固定軸受部材36が備えられている。固定軸受部材36は、ケース2に対して円筒部34が回転体10の回転軸方向に沿うように全体が埋設され、鍔部35は円筒部34よりもケース2の内方に位置する。ロータ側端部11Aには、回転体10の回転軸方向に沿う方向に突出する突出部11aが備えられている。固定軸受部材36は、円筒部34の内周部34Aと鍔部35の内周部35Aとが突出部11aとの摺動面となる。すなわち、固定軸受部材36において、内周部34A、35Aが回転体10のラジアル方向の荷重に対応する軸受部として機能する。また、円筒部34のロータ側端部11Aに対向する端面34Bが回転体10のスラスト方向の荷重に対応する軸受部として機能する。
【0022】
電動ウォーターポンプ1の動作について以下説明する。
駆動部20が通電を制御する図示しない通電制御手段を介して、外部からの信号により通電されると、周方向に複数の磁極を有する永久磁石が回転を行う。これに伴い、永久磁石が固着されたロータ11が回転し、インペラ12を含む回転体10全体が回転する。こうして、インペラ12が回転すると、冷却水を吸入口3から水室80に引き込み、吐出口4から外部に冷却水を排出する。
【0023】
ロータ11とインペラ12とを有する回転体10は、インペラ側端部12Aに備えられた回転軸受部材33とケース2の内面に備えられた固定軸受部材36とによって回転軸方向の両端が軸受されて回転する。このため、回転体10には回転軸部分に挿通されるシャフトが不要となり、回転体10を回転支持する軸受部は回転体10の回転軸方向の両端部に対応する部分に備えるだけでよい。すなわち、回転体10を支持する軸受部が短くなり、結果として軸受部の加工部分を小さくすることができる。
【0024】
また、回転体10に備えられた回転軸受部材33とケース2に備えられた固定軸受部材36とは、同形状であって回転体10のラジアル荷重及びスラスト荷重に対応する形状であるので、部品の共通化を図ることができる。その結果、部品点数を少なくでき、製造コストを抑制できる。
【0025】
回転体10のロータ11の外周には永久磁石が固定されているため、インペラ12に比較して重量がかなり大きい。このため、回転体10全体の回転軸方向の重量バランスがロータ11側に偏り、回転体10がスムーズに回転しない場合がある。しかし、本実施形態のように、ロータ側端部11Aには回転軸受部材33を備えず、インペラ側端部12Aのみに回転軸受部材33を備えると、インペラ12側に回転軸受部材33の重量が加わり、回転体10全体の重量バランスのロータ11側への偏り度合が緩和される。その結果、回転体10の重量バランスが是正され、回転体10の回転がスムーズになる。
【0026】
インペラ側端部12Aに備えられる回転軸受部材33と、インペラ側端部12Aに対向するケース2の構造については、図3(a)に示すように、回転軸受部材33の円筒部31をインペラ側端部12Aから露出させた状態で配置し、ケース2の延出部2Aに円筒部31の外周部31Cが内接する凹部2bを形成してもよい。
【0027】
また、図3(b)に示すように、回転軸受部材33の鍔部32をインペラ側端部12Aから露出させた状態で配置し、ケース2の延出部2Aに回転軸受部材33の内周部32A、31Aと接する突出部2aを形成してもよい。その他、図3(c)に示すように、回転軸受部材33の鍔部32をインペラ側端部12Aの端面に面一状に配置してもよい。
【0028】
ロータ側端部11Aと、ロータ側端部11Aに対向するケース2に備えられる固定軸受部材36の構造についても、図4(a)に示すように、固定軸受部材36の円筒部34をケース2から露出させた状態で配置し、ロータ側端部11Aに円筒部34の外周部34Cが内接する凹部11bを形成してもよい。仮に、固定軸受部材36の内周部34Aで回転体10を軸受するよう構成すると、ロータ側端部11Aには固定軸受部材36の内周部34Aと接する突出部11aが形成されることとなり、突出部11aによってロータ11の重量は増すこととなる。一方、本構成のように、ロータ側端部11Aに対向するケース2に備えられた固定軸受部材36が外周部34Cで回転体10を軸受するよう構成すると、ロータ側端部11Aには、固定軸受部材36の外周部34Cと接する凹部11bが形成されることとなり、凹部11bによってロータ11の重量は軽減される。その結果、回転体10の重量バランスがより是正され、回転体10の回転がスムーズになる。
【0029】
また、図4(b)に示すように、固定軸受部材36の鍔部35をケース2から露出させた状態で配置し、ロータ側端部11Aに固定軸受部材36の内周部35A、34Aと接する突出部11aを形成してもよい。その他、図4(c)に示すように、固定軸受部材36の鍔部35をケース2の内面に面一状に配置してもよい。
【0030】
例えば、図2に示すように、回転軸受部材33と固定軸受部材36の摺動面が共に同じ側の内周にある場合や、図3(a)、図4(a)に示されるように、回転軸受部材33と固定軸受部材36の摺動面が共に同じ側の外周である場合は、本構成により、回転軸受部材33及び固定軸受部材36は、いずれも外周及び内周のうち一方の側の摺動面の加工精度を向上させるだけでよいことになる。その結果、回転軸受部材33及び固定軸受部材36の加工が容易となり、製造コストを抑制できる。
【0031】
[第2実施形態]
本実施形態では、図5に示されるように、回転体10のインペラ側端部12Aに対向するケース2に固定軸受部材36を備え、回転体10のロータ側端部11Aに回転軸受部材33を備える。
【0032】
(回転体のインペラ側端部とこれに対向するケースの構造)
回転体10のインペラ側端部12Aには回転軸受部材は備えられておらず、インペラ側端部12Aに対向するケース2の延出部2Aに、円筒部34と鍔部35とを有し回転軸受部材33と同形状の固定軸受部材36が備えられている。固定軸受部材36は、ケース2の延出部2Aに対して円筒部34が回転体10の回転軸方向に沿うように全体が埋設され、鍔部35は円筒部34よりもケース2の内方に位置する。インペラ側端部12Aには、回転体10の回転軸方向に沿う方向に突出する突出部12aが備えられている。固定軸受部材36は、円筒部34の内周部34Aと鍔部35の内周部35Aとが突出部12aとの摺動面となる。すなわち、固定軸受部材36において、内周部34A、35Aが回転体10のラジアル方向の荷重に対応する軸受部として機能する。また、円筒部34のインペラ側端部12Aに対向する端面34Bが回転体10のスラスト方向の荷重に対応する軸受部として機能する。なお、吸入口3の冷却水は延出部2Aの周囲に形成される流路を経て水室80に引き込まれる。
【0033】
(回転体のロータ側端部とこれに対向するケースの構造)
回転体10のロータ側端部11Aには円筒部31と鍔部32とを有する中空状の回転軸受部材33が備えられている。回転軸受部材33は、ロータ側端部11Aに対して円筒部31が回転体10の回転軸方向に沿うように全体が埋設され、鍔部32は円筒部31よりもロータ側端部11Aの内方に位置に埋設する。ロータ側端部11Aに対向するケース2には、回転体10の回転軸方向に沿う方向に突出する突出部2aが備えられている。回転軸受部材33は、円筒部31の内周部31Aと鍔部32の内周部32Aとが突出部2aとの摺動面となる。すなわち、回転軸受部材33において、内周部31A、32Aが回転体10のラジアル方向の荷重に対応する軸受部として機能する。また、円筒部31のケース2に対向する端面31Bが回転体10のスラスト方向の荷重に対応する軸受部として機能する。
【0034】
インペラ側端部12Aと、インペラ側端部12Aに対向するケース2の構造については、図6(a)に示すように、固定軸受部材36の円筒部34をケース2の延出部2Aの内面から露出させた状態で配置し、インペラ側端部12Aに円筒部34の外周部34Cが内接する凹部12bを形成してもよい。
【0035】
また、図6(b)に示すように、固定軸受部材36の鍔部35をケース2の延出部2Aの内面から露出させた状態で配置し、インペラ側端部12Aに固定軸受部材36の内周部35A、34Aと接する突出部12aを形成してもよい。その他、図6(c)に示すように、固定軸受部材36の鍔部35をケース2の内面に面一状に配置してもよい。
【0036】
ロータ側端部11Aに備えられる回転軸受部材33と、ロータ側端部11Aに対向するケース2の構造についても、図7(a)に示すように、回転軸受部材33の円筒部31をロータ側端部11Aの端面から露出させた状態で配置し、ケース2に円筒部31の外周部31Cが内接する凹部2bを形成してもよい。
【0037】
また、図7(b)に示すように、回転軸受部材33の鍔部32をロータ側端部11Aから露出させた状態で配置し、ケース2に回転軸受部材33の内周部32A、31Aと接する突出部2aを形成してもよい。その他、図7(c)に示すように、回転軸受部材33の鍔部32をロータ側端部11Aの端面に面一状に配置してもよい。
【0038】
[他の実施形態]
(1)上記の実施形態では、回転軸受部材33及び固定軸受部材36が円筒部31,34と鍔部32,35とを有する例を示したが、鍔部32,35を有さずに円筒部31,34のみで回転軸受部材33及び固定軸受部材36を構成してもよい。
【0039】
図8(a)では、インペラ側端部12Aに円筒部31のみで構成された回転軸受部材33が埋設されており、インペラ側端部12Aに対向するケース2の延出部2Aの内面には円筒部31の内周部31Aと接する突出部2aが形成されている。図8(b)では、インペラ側端部12Aの端面から円筒部31の一部が露出しており、インペラ側端部12Aに対向するケース2の延出部2Aの内面には円筒部31の外周部31Cと接する凹部2bが形成されている。
【0040】
図9(a)では、ロータ側端部11Aに対向するケース2の内面に円筒部34のみで構成された固定軸受部材36が埋設されており、ロータ側端部11Aには円筒部34の内周部34Aと接する突出部11aが形成されている。図9(b)では、ケース2の内面から円筒部34の一部が露出しており、ロータ側端部11Aには円筒部34の外周部34Cに接する凹部11bが形成されている。
【0041】
図10(a)では、インペラ側端部12Aに対向するケース2の延出部2Aの内面に円筒部34のみで構成された固定軸受部材36が埋設されており、インペラ側端部12Aには円筒部34の内周部34Aと接する突出部12aが形成されている。図10(b)では、ケース2の延出部2Aの内面から円筒部34の一部が露出しており、インペラ側端部12Aには円筒部34の外周部34Cに接する凹部12bが形成されている。
【0042】
図11(a)では、ロータ側端部11Aに円筒部31のみで構成された回転軸受部材33が埋設されており、ロータ側端部11Aに対向するケース2の内面には円筒部31の内周部31Aと接する突出部2aが形成されている。図11(b)では、ロータ側端部11Aの端面から円筒部31の一部が露出しており、ロータ側端部11Aに対向するケース2の内面には円筒部31の外周部31Cと接する凹部2bが形成されている。
【0043】
(2)回転軸受部材33及び固定軸受部材36の内周が摺動面になる場合、円筒部31,34のみが摺動面になるよう構成してもよいし、円筒部31,34と鍔部32,35の両方が摺動面になるよう構成してもよい。
【0044】
(3)回転軸受部材33及び固定軸受部材36を回転体10またはケース2に埋設する方法については、回転軸受部材33及び固定軸受部材36を回転体10またはケース2と一体成形する際に埋設してもよいし、回転体10またはケース2の成形後に回転軸受部材33及び固定軸受部材36を後付けして埋設するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の電動流体ポンプは、ウォーターポンプを始めとする各種流体ポンプに広く用いることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 電動ウォーターポンプ
2 ケース
2A 延出部
2a 突出部
2b 凹部
10 回転体
11 ロータ
11A ロータ側端部
11a,12a 突出部
11b,12b 凹部
12 インペラ
12A インペラ側端部
31 円筒部
32 鍔部
33 回転軸受部材
34 円筒部
35 鍔部
36 固定軸受部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の吸入口と流体の吐出口とを有する流体室を形成するケースと、
回転軸方向の一方の外周に永久磁石が固定されたロータを設け、回転軸方向の他方に前記吸入口から流体を吸入し前記吐出口から流体を吐出するインペラを設けた回転体と、
前記ロータの外周に配置され、前記ロータを回転駆動する磁界を生成する駆動部と、を備え、
前記回転体の回転軸方向のロータ側端部とインペラ側端部とのうち、いずれか一方の端部に前記回転体のラジアル荷重及びスラスト荷重に対応可能な中空状の回転軸受部材を備え、他方の端部に対向する前記ケースに前記回転体のラジアル荷重及びスラスト荷重に対応可能であって、前記回転軸受部材と同形状の固定軸受部材を備える電動流体ポンプ。
【請求項2】
前記インペラ側端部に前記回転軸受部材を備え、前記ロータ側端部に対向する前記ケースに前記固定軸受部材を備える請求項1に記載の電動流体ポンプ。
【請求項3】
前記固定軸受部材が外周部で前記回転体を軸受するよう構成された請求項2記載の電動流体ポンプ。
【請求項4】
前記固定軸受部材及び前記回転軸受部材の摺動面を外周及び内周の一方の同じ側に設けてある請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動流体ポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−154282(P2012−154282A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15476(P2011−15476)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】