説明

電動耕耘機

【課題】
本発明は、バッテリケースを本体側にしっかりと支持することができるものでありながら、バッテリケースの着脱を行い易くできることを課題とする。
【解決手段】
ロータリカバー(6)の左右中央部に開口部(6b)を設け、該開口部(6b)に沿って壁部(6a)を形成し、バッテリケース(9)は機体フレーム(1)側に載置する構成とし、前記壁部(6a)がバッテリケース(9)の左右側面を支持する構成とし、バッテリケース(9)を上下方向に機体フレーム(1)側に対して着脱自在に構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池等のバッテリで耕耘作業を行う電動耕耘機に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリを本体フレームに載置して、取っ手で着脱する技術が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−166629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1ではバッテリは単に本体フレームに載置しているだけなので、耕耘機作業の振動や方向変換時の傾きでバッテリが本体フレームから外れてしまう。かといってそれを防ぐためにバッテリを支持するための固定具を別途設けるとバッテリの着脱に手間取ることになる。
【0005】
本発明は、バッテリケースを本体側にしっかりと支持することができるものでありながら、バッテリケースの着脱を行い易くできることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明はかかる技術的課題を解決するために、請求項1では、圃場を耕耘するロータリ部(R)と、ロータリ部(R)を駆動するモータ(8)と、モータ(8)の上方を覆うモータカバー(7)と、モータ(8)の電源であるバッテリを収納したバッテリケース(9)と、ロータリ部(R)の上方を覆うロータリカバー(6)とを備え、ロータリカバー(6)の左右中央部に開口部(6b)を設け、該開口部(6b)に沿って壁部(6a)を形成し、バッテリケース(9)は機体フレーム(1)側に載置する構成とし、前記壁部(6a)がバッテリケース(9)の左右側面を支持する構成とし、バッテリケース(9)を上下方向に機体フレーム(1)側に対して着脱自在に構成したことを特徴とする電動耕耘機とした。
【0007】
請求項2では、バッテリケース(9)の背面側に配線(20)の出力端子(18)を設けたことを特徴とする請求項1記載の電動耕耘機。
【発明の効果】
【0008】
請求項1においては、バッテリケース(9)を壁部(9a)で支持することができ、着脱しやすく、かつ耕耘作業中に外れたりし難くすることができる。
請求項2においては、出力端子(18)を背面側に設けたことで、作業者が配線の着脱をしやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】電動耕耘機の側面図
【図2】電動耕耘機の背面図
【図3】電動耕耘機の平面図
【図4】側面から見た電動耕耘機の構成を示す図
【図5】側面から見た電動耕耘機の構成を示す図
【図6】側面から見た操作レバーの動作を示す図
【図7】平面から見た安全装置の動作を示す図
【図8】(イ)バッテリケースの正面図 (ロ)バッテリケースの側面図
【図9】(イ)バッテリケースの底面図 (ロ)バッテリケースの側面図
【図10】平面から見たバッテリケースを外した状態を示す電動耕耘機
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の電動耕耘機について、図面に基づいて説明する。
1は機体フレームで前後方向長手に設けられ、機体フレーム1の前部には伝動軸41を内装する伝動フレーム2を取り付けている。そして伝動軸41の伝動により横軸芯周りに回転駆動するロータリ軸3と、伝動フレーム2から左右方向に延びるロータリ軸3に適宜取り付ける複数のロータリ爪4と、ロータリ軸3の左右両端に取り付けるサイドディスク5とからなるロータリ部Rを設ける構成である。
【0011】
ロータリ部Rの上方を覆う平面視円盤形状のロータリカバー6を機体フレーム1の上部に取り付ける。ロータリカバー6の左右中央部には平面視U字型の壁部6aを形成し、壁部6aの内側に沿って開口部6bを形成する。そして該開口部6bの前側にはモータカバー7を取り付け、モータカバー7の内部には前記伝動軸41に動力を伝動するモータ8を内装し、開口部6bの後ろ側にはバッテリ(図示せず)を収容したバッテリケース9を着脱自在に挿入する。モータ8とバッテリケース9は機体フレーム1に取り付けている載置台10に載置し、開口部6bを貫通して配置する構成としている。
【0012】
機体フレーム1の後部にはハンドルフレーム11の前端側を取り付けている。ハンドルフレーム11は斜め後ろ後方に向かって延びており、ハンドルフレーム11の後端側から左右の操作ハンドル12a,12bを分岐して設け、左右の操作ハンドル12a,12bの後端部にはグリップ13a,13bを設ける構成である。
【0013】
機体フレーム1の後端部には電動耕耘機を移動するときに機体を支持する支持車輪14と、耕耘作業時に機体のダッシングを防止する抵抗棒15を取り付けている。
次に、機体の駆動構成について説明する。
【0014】
ハンドルフレーム11と操作ハンドル12a,12bの分岐位置に電源の入り切りをする電源スイッチ16を設け、左右一方のグリップ13b近傍にモータ8の駆動を入り切りする操作レバー17を設ける。バッテリケース9の後面にはバッテリケース9内のバッテリ(図示せず)とモータ8とを接続する配線20の出力端子18とバッテリ(図示せず)に充電するための充電端子19とを設ける。出力端子18と充電端子19は機体背面視でハンドルフレーム11の左右両側にそれぞれ設ける構成で、作業者が操作側の機体後ろ側からハンドルフレーム11が邪魔になり難く配線の着脱を行ない易くしている。また、出力端子18と充電端子19を背面視でハンドルフレーム11を挟んで左右両側に配置したため、視覚的にも分かりやすく誤差込を防止することができる。
【0015】
バッテリ(図示せず)とモータ8とを接続する配線20はバッテリケース9の下部からロータリカバー6の壁部6aの外周に形成する傾斜部6cの下方と後述する載置台10の間の空間を通過する構成としている。
【0016】
バッテリケース9は上面に取っ手9aを形成し、下面に位置固定用の足9bを複数形成し、位置固定用の足9bを載置台10に形成する位置固定用の穴10aに挿入することで、バッテリケース9の載置位置を固定する構成としている。また、バッテリケース9はその左右側面をロータリカバー6の壁部6aで支持されると共に、その前面に位置固定用の凸部9cを形成し、モータカバー7に形成する位置固定用の凹部7aと係合する構成としている。また、載置台10の左右中央には開口部10bを設け、載置台10に雨水等で流入した水の水はけができるようにしている。
【0017】
バッテリケース9を機体にセットするときには位置固定用の凸部9cを位置固定用の凹部7aに挿入してそのまま下に下ろすと位置固定用の足9bが位置固定用の穴10aに挿入されてバッテリケース9の位置固定がなされる。バッテリケース9を取り出すときは取っ手9aを引き上げるだけで取り出すことができる。
【0018】
本実施の形態のバッテリケース9は前側をモータカバー7で、側面をロータリカバー6の壁部6aで支持されるが、壁部6aはロータリカバー6とは別体に形成しても良い。例えば載置台10側に取り付けた壁部6aを形成する構成としても良い。また、壁部6aは後ろ上がり傾斜状に形成することで、バッテリケース9の支持を強固にすると共に機体全体の美観を向上させることができる。また、バッテリケース9の背面側には後支持壁部6dを形成してバッテリケース9を背面から支持している。後支持壁部6dはバッテリケース9の側面を支持する壁部6aよりも低く形成し、出力端子18と充電端子19を機体背面側に露出する構成とすることで出力端子18と充電端子19への接続をし易くしている。
【0019】
次に、操作レバー17の安全装置Tについての説明をする。
操作レバー17は横軸心の支点30周りに回動する構成とし、支点30の前側に形成するスイッチ操作部17aと、支点30の後側に形成する把持部17bとを設ける。33はモータ8の駆動を入切するリミットスイッチでスイッチ操作部17aの回動動作によりモータ8の駆動の入切が行なわれる。25は把持して回動させた操作レバー17を初期位置に戻すスプリングである。
【0020】
安全装置Tについて以下説明する。
把持部17bの上方にあって把持部17bと交差する方向に形成し、左右方向に移動する移動軸31を設ける。移動軸31の機体内側端には移動軸31を機体外側に向かって押し出し操作するための押し部31cを形成し、押し部31cに隣接してスプリング35を移動軸31に巻回する構成としている。移動軸31は機体内側から順に小径部31aと大径部31bとを隣接して形成している。そして、安全装置Tの初期位置では大径部31bが把持部17bの回動軌跡上に位置する構成としている(図7の(イ)参照)。
【0021】
操作レバー17と安全装置Tの耕耘作業時の操作について以下説明する。
電源スイッチ16を入りにして、押し部31cを親指で押すと、移動軸31が機体外側に向かって横移動し、大径部31bが機体外側に移動し、小径部31aが操作レバー17の回動軌跡上に位置する(図7の(ロ)参照)。そして、作業者が把持部17bを把持するとスイッチ操作部17aと把持部17bがリミットスイッチ33が入りとなる位置まで回動し、モータ8が駆動しロータリ部Rが回転して耕耘作業が行われる(図6(ロ)参照)。耕耘作業が始まると、把持部17bと小径部31aとが当接状態となっており、把持部17bが大径部31bが初期位置に戻るのを止めるため、作業者は押し部31cを離し、把持部17bを把持した状態で耕耘作業を継続できる。
【0022】
耕耘作業を停止するときには、作業者が把持部17bを離すとスプリング25の作用でスイッチ操作部17aが初期位置まで回動し、リミットスイッチ33が切られてロータリ部Rは停止する(図6(ハ)参照)。また、スプリング35の作用で移動軸31が機体内側に移動し、初期位置に戻る。
【0023】
作業者が電源スイッチ16を入りにした状態で電動耕耘機を持ち運んでいるときに、不意に操作レバー17の把持部17bに当接して把持部17bが回動しても、把持部17bが移動軸31の大径部31bに当接して、スイッチ操作部17aがリミットスイッチ33の入り位置まで回動せず、リミットスイッチ33は入りされない(図6の(イ)参照)。押し部31cを押した状態で把持部17bを操作しなければロータリ部Rは回転しないため、電源スイッチ16が入り状態であることを作業者が気がつかずに持ち運んでいるときに不意にロータリ部Rが回転することがないので安全である。
【0024】
次に電動耕耘機を持ち運ぶときの構成を以下説明する。
36は左右の操作ハンドル12a,12bの前後位置を固定・調節するための調節ネジで、調節ネジ36を緩めて操作ハンドル12a,12bを横軸心の回動支点37周りに機体前側に倒し、調節ネジ36を締めて位置固定する(図5参照)。すると、左右の操作ハンドル12a,12bとを連結する連結棒38が機体の前後長の略中央で機体の略重心位置で、かつバッテリケース9の上方に位置する構成としている。作業者は連結棒38、又は連結棒38と機体前端のバンパー39を持って電動耕耘機を持ち運ぶことで、持ち運び時にバッテリケース9が外れるのを防止することができる。また、連結棒38は左右の操作ハンドル12a,12bを前側に倒したときに正面視で略門構えになる構成としており、バッテリケース9に当接しないで左右の操作ハンドル12a,12bをより下まで倒せる構成としている。40は持ち運び時にロータリ部Rの下を覆う位置に取り付けるバケットで、バンド(図示せず)等で機体に装着する構成で、ロータリ部Rに付着する土が落下するのを受け、持ち運び時に土が周辺に散乱するのを防止することができる。
【0025】
次に本実施の形態の電動耕耘機の前後バランスの構成について以下説明する。
垂直方向に配置したモータ8のモータ軸8aの軸心をロータリ軸4の軸心位置よりも前に構成し、ロータリ軸4の軸心位置よりも後方にバッテリケース9を設け、バッテリケース9の後方にハンドルフレーム11を設ける構成にする。この構成により、バッテリケース9付近に重心が取れ、バッテリケース9内に収容するバッテリの容量を変更してバッテリケース9の重量が変化しても機体重心の変化が少ない。
【0026】
次にLEDの構成について以下説明する。
電源スイッチ16の近傍に各種運転状態を示す複数のLED26を設けている。本実施の形態では、電源の入り切りのLED26a、運転の入り切りのLED26bとバッテリ残量のLED26cを設けている。電源の入り切りのLED26aでは電源スイッチ入りで第一の色である緑色が発光し、過負荷を検出して配線20に設ける保護回路(図示せず)が作動すると第二の色である赤色が発光する。運転の入り切りのLED26bではリミットスイッチ33が入りしてロータリ部Rが駆動すると第一の色である緑色が発光し、モータ8内蔵の温度センサーによる保護回路(図示せず)が作動すると第二の色である赤色が発光する。バッテリ残量のLED26cではバッテリの残量が通常の状態では第一の色である緑色が発光し、残量が設定量以下になると第二の色である赤色が発行する。
【0027】
このように、各種運転状態をLEDで表示し、また、第一の色から第二の色に適宜変色することで少ないLEDの数で多くの動作表示を行なうことができ、また、一箇所に集中して、かつ、操作側から見やすい位置にLEDを配置することで各種運転状況を確認しやすい。また、電源スイッチ16に隣接してLEDを設けたことで、電源入りから電源切の際にLEDを常に確認しやすい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本実施の形態では電動耕耘機で説明したが、駆動音が無い他のエネルギーを利用した歩行型の作業機にも利用可能性がある。
【符号の説明】
【0029】
R ロータリ部
1 機体フレーム
6 ロータリカバー
7 モータカバー
8 モータ
9 バッテリケース
6a 壁部
6b 開口部
18 出力端子
20 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を耕耘するロータリ部(R)と、ロータリ部(R)を駆動するモータ(8)と、モータ(8)の上方を覆うモータカバー(7)と、モータ(8)の電源であるバッテリを収納したバッテリケース(9)と、ロータリ部(R)の上方を覆うロータリカバー(6)とを備え、ロータリカバー(6)の左右中央部に開口部(6b)を設け、該開口部(6b)に沿って壁部(6a)を形成し、バッテリケース(9)は機体フレーム(1)側に載置する構成とし、前記壁部(6a)がバッテリケース(9)の左右側面を支持する構成とし、バッテリケース(9)を上下方向に機体フレーム(1)側に対して着脱自在に構成したことを特徴とする電動耕耘機。
【請求項2】
バッテリケース(9)の背面側に配線(20)の出力端子(18)を設けたことを特徴とする請求項1記載の電動耕耘機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−6(P2011−6A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143433(P2009−143433)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】