説明

電動舵取補助装置

【課題】 本発明の課題は、電動舵取補助装置において、取付性が良く、小型軽量化を図ること。
【解決手段】 電動舵取補助装置10において、第1〜第3のハウジング11〜13により被包される単一ユニット体10Aからなるものであり、第1ハウジング11には入力軸21の上端部とトルクセンサ23を支持し、第2ハウジング12には出力軸22の上端部と電動モータ24とウォームギヤ25とウォームホイール26を支持し、第3ハウジング13には出力軸22の下端部を支持したもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電動舵取補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
バギー車等の電動舵取補助装置として、特許文献1に記載の如く、舵取ハンドルと車輪側操舵部材との間に介装され、運転者が舵取ハンドルに加える操舵力を電動モータの発生トルクによりアシストするものがある。
【特許文献1】特開昭62-46790
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の電動舵取補助装置では、油圧モータへの配管系が複雑になって取付性が悪く、油圧ポンプやタンクが必要になって大型大重量になる。
【0004】
本発明の課題は、電動舵取補助装置において、取付性が良く、小型軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、舵取ハンドルと車輪側操舵部材との間に介装され、運転者が舵取ハンドルに加える操舵力を電動モータの発生トルクによりアシストする電動舵取補助装置において、舵取ハンドルが接続される入力軸と、車輪側操舵部材が接続される出力軸と、入力軸と出力軸の間に設けられるトルクセンサと、トルクセンサの検出トルクに応じて駆動される電動モータと、電動モータの回転軸に結合されるウォームギヤと、出力軸に結合されるとともに、ウォームギヤに噛合うウォームホイールとを、第1〜第3のハウジングにより被包される単一ユニット体に内蔵したものであり、第1ハウジングには入力軸の上端部とトルクセンサを支持し、第2ハウジングには出力軸の上端部と電動モータとウォームギヤとウォームホイールを支持し、第3ハウジングには出力軸の下端部を支持したものである。
【発明の効果】
【0006】
(請求項1)
(a)電動舵取補助装置は単一ユニット体からなり、入力軸を舵取ハンドル側操舵部材に接続し、出力軸を車輪側操舵部材に接続することにより、適用車両等に簡易に取付けできるし、各種車両等への汎用性も高い。
【0007】
(b)第1ハウジングにトルクセンサを設け、第2ハウジングにウォームホイール等を設けたから、ウォームホイール等の付着グリースがトルクセンサの側に侵入することを回避し易い。
【0008】
(c)第2ハウジングに出力軸の上端部を支持し、第3ハウジングに出力軸の下端部を支持したから、出力軸の上端部の軸受と下端部の軸受の距離をとり、出力軸を安定支持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図1は電動舵取補助装置を示す全体模式図、図2は電動舵取補助装置を示す正面図、図3は図2のIII−III線に沿う断面図、図4は図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【実施例】
【0010】
電動舵取補助装置10は、例えばバギー車やスノーモービル等の車両に適用され、図1に示す如く、舵取ハンドル側操舵部材1と車輪側操舵部材2との間に介装され、運転者が舵取ハンドルに加える操舵力を電動モータ24の発生トルクによりアシストする。
【0011】
電動舵取補助装置10は、図1〜図4に示す如く、第1〜第3のハウジング11〜13に被包される単一ユニット体10Aにて構成され、このユニット体10Aに入力軸21、出力軸22、トルクセンサ23、電動モータ24、ウォームギヤ25、ウォームホイール26を内蔵する。
【0012】
電動舵取補助装置10は、舵取ハンドル側操舵部材1が接続具1Aによって接続される入力軸21の上端部を軸受31により第1ハウジング11に支持し(図3)、車輪側操舵部材2が接続具2Aによって接続される出力軸22の上下端部を上下の軸受32A、32Bにより第2ハウジングと第3ハウジング13に支持している(図3)。入力軸21は接続具1Aとの接続用セレーション21Aを上端外周部に備え、出力軸22は接続具2Aとの接続用セレーション22Aを下端外周部に備える。入力軸21の中空部にはトーションバー27が挿入され、トーションバー27の一端は入力軸21に連結ピン27Aで連結され、出力軸22の中空部にはトーションバー27の他端が挿入されてセレーション結合される。
【0013】
トルクセンサ23は、図3に示す如く、入力軸21と出力軸22に係合している円筒状のコア23Cを囲む2個の検出コイル23A、23Bを第1ハウジング11に設けている。コア23Cは、出力軸22のガイドピン23Dに係合する縦溝23Eを備えて軸方向にのみ移動可能とされるとともに、入力軸21のスライダピン23Fに係合するスパイラル溝23Gを備える。これにより、舵取ハンドルに加えた操舵トルクが入力軸21に付与され、トーションバー27の弾性ねじり変形により、入力軸21と出力軸22の間に回転方向の相対変位を生ずると、入力軸21と出力軸22の回転方向の変位がコア23Cを軸方向に変位させるものになり、このコア23Cの変位による検出コイル23A、23Bの周辺の磁気的変化に起因する検出コイル23A、23Bのインダクタンスが変化する。即ち、コア23Cが入力軸21の側へ移動すると、コア23Cが近づく方の検出コイル23Aのインダクタンスが増加し、コア23Cが遠ざかる方の検出コイル23Bのインダクタンスが減少し、このインダクタンスの変化により操舵トルクを検出できる。
【0014】
電動モータ24は、取付ボルト28により第2ハウジング12に取付け支持され、不図示のコントローラにより、トルクセンサ23の検出トルクに応じて駆動される。電動モータ24の回転軸24Aには継手24Bによりウォームギヤ25が結合され、ウォームギヤ25に噛合うウォームホイール26を出力軸22に固定してある。ウォームギヤ25は、図4に示す如く、左右の軸受41、42により第2ハウジング12に両端支持される。ウォームホイール26は、第2ハウジング12の内部で、出力軸22における上側軸受32Aの直下にて該出力軸22に固定される。
【0015】
尚、電動モータ24の回転軸24Aとウォームギヤ25を結合する継手24Bは、両者の嵌合間隙に弾性リングからなるトルクリミッタ24Cを介装している(図4)。トルクリミッタ24Cは、電動舵取補助装置10の通常使用トルクでは回転軸24Aと継手24Bを結合し続け、異常トルクではスリップさせ、電動モータ24のトルクを継手24Bの側に伝達させない。
【0016】
従って、電動舵取補助装置にあっては、第1ハウジング11に入力軸21の上端部とトルクセンサ23を支持し、第2ハウジング12に出力軸22の上端部と電動モータ24とウォームギヤ25とウォームホイール26を支持し、第3ハウジング13に出力軸22の下端部を支持し、第1ハウジング11と第2ハウジング12を取付ボルト14により締結し、第2ハウジング12と第3ハウジング13を取付ボルト15により締結して一体のユニット体10Aを構成する(図3)。第1ハウジング11における軸受31の上部開口部にはオイルシール33が封着され、第3ハウジング13における軸受32Bの下部開口部にはオイルシール34が封着される(図3)。
【0017】
電動舵取補助装置10によれば、舵取ハンドルに加えた操舵トルクをトルクセンサ23により検出し、その検出トルクにより電動モータ24を駆動し、電動モータ24の発生トルクをウォームギヤ25、ウォームホイール26を介して出力軸22に伝える。これにより、電動モータ24の発生トルクを運転者が舵取ハンドルに加える操舵力に対するアシスト力として用いるものになる。
【0018】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)電動舵取補助装置10は単一ユニット体10Aからなり、入力軸21を舵取ハンドル側操舵部材1に接続し、出力軸22を車輪側操舵部材2に接続することにより、適用車両等に簡易に取付けできるし、各種車両等への汎用性も高い。
【0019】
(b)第1ハウジング11にトルクセンサ23を設け、第2ハウジング12にウォームホイール26等を設けたから、ウォームホイール26等の付着グリースがトルクセンサ23の側に侵入することを回避し易い。
【0020】
(c)第2ハウジング12に出力軸22の上端部を支持し、第3ハウジング13に出力軸22の下端部を支持したから、出力軸22の上端部の軸受32Aと下端部の軸受32Bの距離をとり、出力軸22を安定支持できる。
【0021】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は電動舵取補助装置を示す全体模式図である。
【図2】図2は電動舵取補助装置を示す正面図である。
【図3】図3は図2のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図4は図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0023】
1 舵取ハンドル側操舵部材
2 車輪側操舵部材
10 電動舵取補助装置
10A 単一ユニット体
11 第1ハウジング
12 第2ハウジング
13 第3ハウジング
21 入力軸
22 出力軸
23 トルクセンサ
24 電動モータ
25 ウォームギヤ
26 ウォームホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
舵取ハンドルと車輪側操舵部材との間に介装され、運転者が舵取ハンドルに加える操舵力を電動モータの発生トルクによりアシストする電動舵取補助装置において、
舵取ハンドルが接続される入力軸と、車輪側操舵部材が接続される出力軸と、入力軸と出力軸の間に設けられるトルクセンサと、トルクセンサの検出トルクに応じて駆動される電動モータと、電動モータの回転軸に結合されるウォームギヤと、出力軸に結合されるとともに、ウォームギヤに噛合うウォームホイールとを、第1〜第3のハウジングにより被包される単一ユニット体に内蔵したものであり、
第1ハウジングには入力軸の上端部とトルクセンサを支持し、
第2ハウジングには出力軸の上端部と電動モータとウォームギヤとウォームホイールを支持し、
第3ハウジングには出力軸の下端部を支持したことを特徴とする電動舵取補助装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−62535(P2006−62535A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247831(P2004−247831)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000146010)株式会社ショーワ (715)
【Fターム(参考)】