説明

電動車両及びその制御方法

【課題】安全に障害物を回避することが可能な電動車両を提供することを目的とする。
【解決手段】電動車椅子11は、車体部12と、操作者の操作を検出する操作部13と、車体部12の周辺にある障害物を検出する障害物センサ14と、車体部12から操作方向に生成される領域をサーチ領域21として、サーチ領域21内に存在する障害物を、回避すべき障害物と判断する障害物判断部15と、障害物判断部で判断された障害物から離れるための仮想斥力を算出する仮想斥力算出部16と、操作力及び仮想斥力の合力を算出する合力算出部17と、合力の方向へ移動するように制御する制御部18とを備える構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行の障害となる障害物を検出した場合に、この障害物を自動回避する電動車両及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院又は介護施設等では、レバーなどの操作入力部を動かすだけで容易に移動可能な電動車椅子が利用されている。また、工場又は商業施設等では、ハンドルなどの操作入力部を押すだけで容易に移動可能なパワーアシストカートが利用されている。
【0003】
電動車椅子及びパワーアシストカートは電動車両の一例であり、操作に不慣れなユーザがこの電動車両を操作した場合には、操作ミス等により、移動方向にある障害物に、電動車両が衝突することがある。そこで、移動方向の周辺に障害物が存在すると、その障害物を自動で回避する電動車両が望まれている。
【0004】
そこで、障害物を検出すると、その障害物を回避して走行する独立2輪駆動型パワーアシストカートが提案されている。
【0005】
図8は、障害物2を回避する従来のパワーアシストカート1を示す図である。パワーアシストカート1は、障害物2を回避して走行するために、制御部3で、操舵ハンドル4に加わる操作力の大きさと方向である操作力Fopeとを計測する。さらに、障害物センサ6a、6b、6cの検出値である障害物2までの距離と方向に基づき、パワーアシストカート1の車体部5を障害物2から遠ざける仮想斥力Fobjを演算する。そして、合力Fmove(=Fope+Fobj)にアシスト率Kを積算してアシスト力F(=K・Fmove)を算出し、アシスト力Fに基づいて駆動操舵輪7を動かす駆動部(図示せず)を制御する。なお、自在輪8は、駆動操舵輪7と共に車体部5を支える。
【0006】
このようにアシスト力Fに基づいて駆動操舵輪7を制御することで、パワーアシストカート1は、操作者が旋回操作を行わない場合でも、自動的に障害物2を回避して走行する。
【0007】
図9は、壁を模した障害物9aと障害物9bとの間を通過する従来のパワーアシストカート1を示す図である。従来のパワーアシストカート1では、図9に示すような障害物9aと障害物9bとの間を通過する場合、障害物9aと障害物9bとの間をパワーアシストカート1が通過できないことがある。具体的には、車体部5が通過できる幅が障害物9aと障害物9bとの間に存在するにも関わらず、大きくなった仮想斥力Fobjに押し戻されて、障害物9aと障害物9bとの間をパワーアシストカート1が通過できないことがある。だが、障害物9aと障害物9bとの間で模した壁の間にある扉を通過するような状況は、パワーアシストカート1を利用する上で頻繁に生じる。
【0008】
このような状況の対策の一つとして、障害物9aと障害物9bとの間を通過できるように、操舵ハンドル4に作用する操作力Fopeが所定の大きさを超えた場合は、仮想斥力Fobjの大きさを制限して、アシスト力Fを算出する方法がある(例えば、特許文献1参照)。このように、仮想斥力Fobjの大きさに制限を設けることで、従来のパワーアシストカート1は、障害物9aと障害物9bの間を通過することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−55480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、仮想斥力Fobjの大きさを制限してしまうと、誤って障害物(2、9a、9b)の方向に操作した場合、障害物(2、9a、9b)に近づくことが可能となる。そのため、仮想斥力の大きさFobjを制限してしまうと、パワーアシストカート1が障害物9a、9bに衝突してしまうことがある。
【0011】
つまり、従来のパワーアシストカート1では、操舵ハンドル4の操作方向を誤って障害物(2、9a、9b)に向けた場合、仮想斥力Fobjの大きさよりも大きな操作力Fopeで操作すると、自動回避が行われずに障害物(2、9a、9b)に衝突する可能性がある。自動回避が行われずに障害物(2、9、9a)に衝突する可能性があることは、安全上の問題である。
【0012】
そこで、本発明は、安全に障害物を回避することが可能な電動車両及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の電動車両は、車体部と、
入力された操作の操作方向を検出する操作部と、
前記車体部の周辺にある障害物を検出する障害物センサと、
前記車体部より前記操作方向へ延びた領域をサーチ領域として生成し、前記障害物センサで検出される障害物のうち、前記サーチ領域内に存在する障害物を、回避すべき障害物として判断する障害物判断部と、
前記障害物判断部で判断された前記回避すべき障害物を回避するように前記車体部の移動を制御する制御部と、を備える、
電動車両。
【0014】
また、上記目的を達成するために、本発明の電動車両の制御方法は、障害物センサと操作部とを有する電動車両の制御方法であって、
前記障害物センサで車体部の周辺を検出し、
前記操作部に入力された操作の操作方向を前記操作部で検出し、
前記車体部から前記操作方向へ延びた領域をサーチ領域として障害物判断部で生成し、前記障害物センサで検出された障害物のうち、前記サーチ領域内に存在する障害物を、回避すべき障害物として前記障害物判断部で判断し、
前記障害物判断ステップで前記サーチ領域内に前記障害物があると前記障害物判断部で判断されると、前記障害物に回避するように前記車体部の移動を制御する、
電動車両の制御方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、操作方向に障害物があっても安全に自動回避を行う電動車両及びその制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1A】図1Aは、本発明の第1実施形態における電動車椅子が障害物と障害物の間を通過する状態を示す平面図であり、
【図1B】図1Bは、第1実施形態における電動車椅子の操作部及び制御部などのブロック図であり、
【図1C】図1Cは、第1実施形態の変形例における電動車椅子の操作部及び制御部などのブロック図であり、
【図2】図2は、第1実施形態における電動車椅子の斜視図であり、
【図3】図3は、第1実施形態における制御回路部で行われる制御のフローチャートであり、
【図4A】図4Aは、本発明の第2実施形態における電動車椅子に動的障害物が接近する状態を示す平面図であり、
【図4B】図4Bは、第2実施形態における電動車椅子の操作部及び制御部などのブロック図であり、
【図5A】図5Aは、本発明の第3実施形態における電動車椅子が障害物に接近した状態を示す図であり、
【図5B】図5Bは、第3実施形態における電動車椅子の操作部及び制御部などのブロック図であり、
【図6A】図6Aは、本発明の第4実施形態における電動車椅子が障害物と障害物の間を通過する状態を示す図であり、
【図6B】図6Bは、第4実施形態における電動車椅子の操作部及び制御部などのブロック図であり、
【図7A】図7Aは、本発明の第5実施形態における電動車椅子が障害物に接近する状態を示す図であり、
【図7B】図7Bは、第5実施形態における電動車椅子の操作部及び制御部などのブロック図であり、
【図8】図8は、障害物を回避する従来のパワーアシストカートを示す図であり、
【図9】図9は、障害物と障害物の間を通過する従来のパワーアシストカートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、同じ構成要素には同じ符号を付しており、説明を省略する場合もある。また、図面は理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示している。
【0018】
(第1実施形態)
図1A及び図1Bは、本発明の第1実施形態における電動車両の一例としての電動車椅子11を平面的に示す図である。図1Aは、障害物19aと障害物19bの間を通過する電動車椅子11を示す平面図であり、図1Bは、操作部及び制御部などのブロック図である。図1Cは、第1実施形態の変形例における電動車椅子の操作部及び制御部などのブロック図であるため、後述する。図2は、電動車椅子11の斜視図である。なお、理解を容易にするために、電動車椅子11の運動と共に動く車両座標系Σr(互いに直交する三つのx軸、y軸、z軸を有する座標系)を、図1Aと図2に設定している。x軸とy軸とから構成される平面は、地面に対して平行な水平面とし、x軸は電動車椅子11の前方を向いているものとする。
【0019】
図1A及び図2に示す電動車椅子11は、電動車椅子11自身(電動車椅子11自体)の姿勢を変えずに全方向へ移動可能な全方向移動型電動車両である。電動車椅子11は、電動車椅子11の乗車者でもある操作者が操作する操作の大きさ及び方向に従って、移動する。なお、「自身の姿勢」とは電動車椅子11が前方を向いた状態の姿勢であり、具体的にはx軸に相当する。すなわち、「自身の姿勢を変えずに全方向に移動可能」とは、電動車椅子11の向きを変えずに電動車椅子11の周囲の水平面沿いの全方向に移動可能なことを指す。また、理解を容易にするために、操作力と、仮想斥力と、合力とは、車両座標系Σrの原点を基準に生成されるものとする。
【0020】
第1実施形態の電動車椅子11は、操作者が、後述する操作部13へ入力した方向(以下、「操作方向」とする)へ移動する。ただし、操作方向に障害物が存在すると、障害物を回避するように仮想斥力Fobjが働き、障害部を回避するために操作方向と異なる方向へ移動する。
【0021】
まず、電動車椅子11の構成を説明する。
【0022】
電動車椅子11は、車体部12と、操作者の操作から操作力Fopeを検出する操作部13と、障害物センサ14と、制御回路部27とを備える。
【0023】
制御回路部27は、障害物判断部15と、仮想斥力Fobjを算出する仮想斥力算出部16と、操作力Fope及び仮想斥力Fobjの合力Fmoveを算出する合力算出部17と、合力Fmoveの方向へ移動するようにモータを制御する制御部18とを備える。
【0024】
車体部12の底面の四隅近傍には、4つのモータが設置されている。なお、図1Aでは、4つのモータを簡略化して、四角形枠の駆動源(駆動装置)70として図示している。これら4つのモータのそれぞれの駆動軸には、全方向に移動可能な車輪である車輪71の一例としてオムニホイールが取り付けられている。そして、制御部18でそれぞれのモータを独立に制御することで、車体部12を、前後方向、左右方向、斜め方向など全方向へ移動させることができる。
【0025】
操作部13は、操作者が操作した操作方向及び操作量を検出する操作入力部25と、操作入力部25において検出される操作方向及び操作量から操作力を算出する操作力推測部26と、を有する。第1実施形態では、操作入力部25の一例として、車体部12の肘掛部12aに設けたジョイスティックを用いている。直立位置から操作入力部25を倒す方向により操作方向を検出することができ、直立位置から倒す角度の大きさにより操作量の大きさを検出することができる。ここで、操作方向とは、言い換えれば、車体部12を移動させたい方向である。操作力推測部26は、操作入力部25の操作量の大きさにアシスト率を乗じて操作力の大きさを算出する。なお、操作入力部25として力を直接検出する力センサを用いた場合は、操作力推測部26を用いずに、この力センサで検出した力から操作力Fopeを力センサの演算部で直接算出してもよい。また、操作力推測部26を、操作部13内でなく、制御回路部27内に設けることも可能である。
【0026】
障害物センサ14は、電動車椅子11の車体部12の下部の周囲に配置されて車体部12の周辺にある障害物を検出する。例えば、障害物センサ14は、車体部12の四方(車体部12の前部の中央、両側部の中央、後部の中央)にそれぞれ配置される。そして、この障害物センサ14により、前方、両側方、後方にある障害物をそれぞれ検出するための円状の障害物センサ領域20を形成している。第1実施形態では、障害物センサ14の一例としてレーザレンジファインダを用いて、このレーザレンジファインダにより車体部12から障害物までの距離及び方向を検出する。図1Aに示すように、障害物センサ14により車体部12の周辺を囲む円状の障害物センサ領域20を設けることで、車体部12の周囲の障害物を検出できる。なお、第1実施形態における電動車椅子11の障害物センサ領域20は、例えば半径4mの円柱状の領域である。
【0027】
障害物判断部15は、操作入力部25で検出された操作方向に基づいて操作入力部25で検出された操作方向に向けて車体部12からサーチ領域21を生成するとともに、障害物センサ14からの検出情報に基づいて生成したサーチ領域21内にある障害物を、回避すべき障害物と判断する。なお、サーチ領域21は、操作力Fopeの方向と同じ方向(操作方向)に生成される。つまり、操作者が操作方向を変化させると、変化した操作方向に合わせて、障害物判断部15により、サーチ領域21が生成される方向も変化する。すなわち、例えば、操作者が、車体部12の前方より斜め左方向に操作入力部25を操作すると、障害物判断部15により、サーチ領域21は、操作方向と同じ方向である車体部12の前方より斜め左方向に生成される。
【0028】
サーチ領域21は、障害物センサ領域20の一部の領域である。そして、障害物センサ14で障害物センサ領域20内にあると検出された障害物に対して、その障害物がサーチ領域21内にあるか否かを、障害物判断部15で判断する。障害物がサーチ領域21内にあるか否かの判断は、具体的には、車体部12から障害物までの距離と方向とに基づいて、障害物判断部15で判断する。
【0029】
仮想斥力算出部16は、障害物判断部15において回避すべき障害物と判断された障害物から離れるため、仮想斥力Fobjを算出する。ここで、仮想斥力Fobjは、障害物センサ14で検出された障害物までの距離に反比例し、かつ、障害物と反対方向に作用する仮想斥力である。
【0030】
合力算出部17は、操作部13から入力される操作力Fopeと、仮想斥力算出部16で算出された仮想斥力Fobjとの合力Fmoveを、算出する。このときの合力Fmoveの方向が、電動車椅子11の移動方向である。さらに、合力Fmoveの大きさに変換係数を乗じた値が、電動車椅子11の目標移動速度となる。
【0031】
制御部18は、合力算出部17で算出された合力Fmoveの方向へ車体部12が移動するように、駆動源70すなわちモータをそれぞれ制御する。
【0032】
このように構成された第1実施形態の電動車椅子11は、図1Aに示すように、サーチ領域21が障害物19aと障害物19bとの間に生成された場合は、障害物センサ領域20内に障害物19a,19bが含まれていても、これら障害物19aと障害物19bとの間を通過することが可能である。すなわち、操作者が操作入力部25を操作して、電動車椅子11を移動させたい方向(操作方向)を障害物19aと障害物19bとの間に設定すると、障害物判断部15により、サーチ領域21を車体部12から操作方向に向けて生成する。そして、サーチ領域21内に障害物の存在を検出しない限り、電動車椅子11がその操作方向に移動することができる。よって、従来のように仮想斥力Fobjに制限を設けずに、障害物19aと障害物19bとの間を電動車椅子11が通過することができる。また、誤って障害物に向けて操作部13を操作した場合には、操作した方向である操作方向にサーチ領域21が生成されるため、サーチ領域21内に障害物が存在することになる。そのため、障害物から離れるための仮想斥力が発生し、障害物への車体部12の衝突を防ぐことができる。
【0033】
なお、障害物判断部15では、車体部12より操作方向に延びて、車体部12の幅と略等しい幅の領域をサーチ領域21として生成する。ここでは、車体部12の幅と略等しい幅のサーチ領域21として、安全を見込んで、車体部12の幅よりも約50%程度大きい幅を生成している。例えば、車体部12の幅が60cmの場合、90cm幅のサーチ領域21を生成している。このようにサーチ領域21を生成することにより、障害物19aと障害物19bとの間を通過する場合に、障害物19aと障害物19bとの間隔が車体部12の幅よりも狭ければ、障害物判断部15は、障害物に対する仮想斥力Fobjを算出して、電動車椅子11の幅よりも狭い間隔を通過しようとするのを防ぐ。また、障害物19aと障害物19bとの隙間が車体部12の幅より大きければ、サーチ領域21が障害物19aと障害物19bの間に生成されるため、仮想斥力が発生することなく、電動車椅子11を障害物19aと障害物19bの間を通過することができる。
【0034】
次に、この電動車椅子11を移動させる場合の制御方法について説明する。
【0035】
図3は、第1実施形態における制御回路部27で行われる制御のフローチャートである。
【0036】
まず、ステップS01において、電動車椅子11が作動している状態で、操作者が操作入力部25を動かすと、操作入力部25で、操作方向と操作量とが検出される。
【0037】
次に、ステップS02において、操作入力部25で検出された操作方向及び操作量に基づいて、操作力推測部26で操作力Fopeが算出される。
【0038】
次に、ステップS03において、ステップS01で検出された操作方向に基づいて、障害物判断部15で、障害物センサ14の障害物センサ領域20内にサーチ領域21を生成する。
【0039】
次いで、ステップS04において、全ての障害物センサ14で電動車椅子11周辺の障害物センサ領域20内をセンシングして、障害物を検出する。
【0040】
そして、ステップS05において、検出された障害物の情報に基づいて、車体部12から操作方向に生成されるサーチ領域21内に障害物があるか否かを、障害物判断部15で判断する。
【0041】
次いで、ステップS05でサーチ領域21内に障害物があると判断された場合(S5の「yes」)は、ステップS06に進む。ステップS05でサーチ領域21内に障害物が無いと判断された場合(S5の「no」)は、ステップS09に進む。
【0042】
ステップS06において、仮想斥力算出部16で、障害物センサ14で検出された障害物までの距離及び方向に基づいて、仮想斥力Fobjが算出される。仮想斥力算出部16は、障害物までの距離に反比例し、かつ、障害物と反対方向に作用する仮想斥力Fobjを算出する。
【0043】
次に、ステップS07において、合力算出部17で、操作力Fopeと仮想斥力Fobjの合力Fmoveが算出される。このときの合力Fmoveの方向が電動車椅子11の移動方向となり、合力Fmoveの大きさに変換係数を乗じた値が電動車椅子11の目標移動速度となる。なお、第1実施形態では、電動車椅子11の移動動作に関する見かけの粘性係数Dを設定し、変換係数として1/D(粘性係数)を用いる。すなわち、目標移動速度は、合力算出部17で、合力Fmoveに1/D(粘性係数)を乗じて算出され、その大きさは合力Fmoveの大きさに比例し、その方向は合力Fmoveの方向と一致する。
【0044】
次いで、ステップS08において、合力算出部17で算出された合力Fmoveに基づいて制御部18により駆動源70をそれぞれ制御して、電動車椅子11の移動動作が行われる。なお、合力算出部17で、合力Fmoveの大きさを電動車椅子11に作用させる移動推進力として設定した後、制御部18で、その移動推進力に基づいて電動車椅子11を移動させてもよい。
【0045】
このように、第1実施形態の電動車椅子11は、障害物判断部15でサーチ領域21内の障害物を検出すると、仮想斥力算出部16で仮想斥力Fobjを発生させる。仮想斥力Fobjに基づいて、合力算出部17を介した制御部18で、障害物を回避するように電動車椅子11を移動させる。
【0046】
ステップS05で障害物が無いと判断された場合(S5の「no」)は、ステップS09において、制御部18で、操作力Fopeに基づいて駆動源70をそれぞれ制御して、車体部12を移動させる。なお、この場合は、サーチ領域21内に障害物を検出していないので、操作方向に障害部が無いと障害物判断部15で判断して、仮想斥力Fobjを発生させていない。
【0047】
そして、制御回路部27は、ステップS01〜ステップS09を繰り返して、電動車椅子11の移動を制御する。
【0048】
つまり、第1実施形態の電動車椅子11の制御は、障害物検出ステップ(ステップS03)と、障害物判断ステップ(ステップS05)と、制御ステップ(ステップS06〜S08)と、駆動ステップ(ステップS09)と、により行われる。具体的には、障害物検出ステップ(ステップS03)は、障害物判断部15で、障害物センサ領域20内において車体部12より操作部13で検出される操作方向へ延びた領域であるサーチ領域21を生成した後、障害物センサ14でサーチ領域21内の障害物を検出するステップである。また、障害物判断ステップ(ステップS05)は、障害物判断部で、サーチ領域21内に存在する障害物を、回避すべき障害物として判断するステップである。また、制御ステップ(ステップS06〜S08)は、障害物判断ステップでサーチ領域21内に障害物があると障害物判断部15で判断されると、障害物を回避するように駆動源70をそれぞれ制御部18で制御するステップである。また、駆動ステップ(ステップS09)は、サーチ領域21内に障害物が存在しないと障害物判断部15で判断される場合に、操作力に基づいて駆動源70すなわちモータをそれぞれ制御部18で制御するステップである。このようにして、第1実施形態の電動車椅子11は、操作方向に障害物があっても安全に自動的に回避を行うことを可能としている。
【0049】
なお、第1実施形態の電動車椅子11の障害物判断部15は、操作者が操作入力部25を操作した操作量の大きさ、又は、操作入力部25で検出あるいは操作力推測部26で算出された操作力の大きさに応じて、サーチ領域21の操作方向の長さを変える構成でもよい。このようにサーチ領域21を変化させることで、自動回避の細かな制御が可能になり、より安全性の高い障害物回避が可能になると考えられる。なぜなら、操作量又は操作力が大きい場合には、電動車椅子11の移動推進力が大きくなる、又は、移動速度が速くなるため、遠方の障害物にも衝突する可能性がある。この場合には、サーチ領域21の操作方向の長さを長くし、遠方の障害物も、回避すべき障害物であると障害物判断部15で判断することが好ましいためである。逆に、操作量又は操作力が小さい場合には、電動車椅子11の移動推進力が小さくなるか、又は、移動速度が遅くなるため、遠方の障害物には衝突する可能性がなく、近くの障害物のみが衝突する可能性がある。この場合には、サーチ領域21の操作方向の長さを短くし、衝突の可能性のある近くの障害物のみが、回避すべき障害物であると障害物判断部15で判断することが好ましいためである。
【0050】
また、第1実施形態の電動車椅子11の障害物判断部15は、操作量又は操作力の大きさに応じて、サーチ領域21の形状(たとえば、サーチ領域21の幅)を変える構成でもよい。このようにサーチ領域21の形状を変化させることで、自動回避の細かな制御が可能になり、より安全性の高い障害物回避が可能になると考えられる。なぜなら、操作量又は操作力が大きい場合には、操作者はある目的の方向に移動しようとしていると考えることができる。そのため、操作者が移動しようとしている操作方向にある障害物のみを、回避すべき障害物であると障害物判断部15で判断するように、サーチ領域21を操作方向に尖った領域として生成することが好ましいためである。逆に、操作量又は操作力が小さい場合には、車体部12の位置決めをしようとしているか、又は、狭い場所を移動しようとしていると考えることができる。そのため、全方向の障害物を、回避すべき障害物であると障害物判断部15で判断するように、サーチ領域21を全方向に生成することが好ましいためである。
【0051】
また、第1実施形態の電動車椅子11は、障害物判断部15において、車体部12より操作方向に延びて先端が細くなる領域をサーチ領域21として生成する構成である。このような構成により、遠方にある障害物に対しては、衝突する可能性の高いサーチ領域21の中心線付近のみを検出するようになり、必要以上に仮想斥力Fobjが仮想斥力算出部16で発生するのを防ぐことができる。
【0052】
また、第1実施形態の電動車椅子11の合力算出部17は、合力Fmoveとして、操作力Fopeと仮想斥力Fobjの操作力方向及び垂直方向成分との合力を算出してもよい。これにより、操作者が操作した方向への移動動作を妨げることなく、障害物の回避動作を行うことができる。
【0053】
なお、上述した内容は、電動車両の一例として全方向移動型の電動車椅子11に関して説明しているが、本発明は全方向移動型の電動車椅子に限るものではない。例えば、電動車両自身の移動に制約は発生するが、上述した発明の内容は、電動車両の別の例としての独立2輪型の電動車椅子にも適用できる。また、電動車両の一例として電動車椅子11を用いて説明しているが、適宜、設定を変更することで、電動車両のさらに別の例としてのパワーアシストカートに上述した発明の内容を適用することも可能であると考えられる。
【0054】
また、上述した発明の内容は、操作力及び仮想斥力に基づいて移動する力ベースの制御系に適用するのではなく、速度ベースの制御系に適用してもよい。すなわち、操作力及び仮想斥力の代わりに操作速度及び回避速度に基づいて移動する電動車両に対して、上述した内容を適用してもよい。この場合には、図1Cに示すように、操作力推測部26の代わりに、操作部13での操作量に基づいて操作速度を算出する操作速度算出部26Aを設け、仮想斥力算出部16の代わりに仮想回避速度を算出する仮想回避速度算出部16Aを設け、合力算出部17の代わりに、操作速度と仮想回避速度との合成速度を算出する合成速度算出部17Aを設けることが好ましい。
【0055】
このような速度ベースの制御系の電動車両は、車体部12と、操作入力部25と、操作速度算出部26Aと、障害物センサ14と、障害物判断部15と、仮想回避速度算出部16Aと、合成速度算出部17Aと、制御部18とを備える構成である。ここで、操作入力部25は、操作者が操作した操作方向及び操作量を検出するために、車体部12に設けられる。操作速度算出部26Aは、操作入力部25において検出される操作方向及び操作量から操作速度を算出する。障害物センサ14は、車体部12から障害物までの距離及び方向を検出値として検出する。障害物判断部15は、車体部12から操作方向に生成される領域をサーチ領域21として、サーチ領域21にある障害物を、回避すべき障害物と判断する。仮想回避速度算出部16Aは、障害物判断部15で判断された障害物から離れるための仮想回避速度を算出する。合成速度算出部17Aは、操作速度及び仮想回避速度の合成速度を算出する。制御部18は、合成速度算出部17Aで算出された合成速度の方向へ移動するように制御する。操作速度算出部26Aは、操作入力部25の操作量に変換係数を乗じて操作速度を算出する。仮想回避速度算出部16Aは、障害物判断部15で判断された障害物に対して、障害物までの距離に反比例し、かつ、障害物と反対方向に移動する仮想回避速度を算出してもよい。
【0056】
このようにして、仮想回避速度と操作速度との合成速度に基づいて制御部にて電動車椅子11を制御する方が、仮想斥力と操作力との合力に基づいて制御部にて電動車椅子11を制御するよりも、制御を簡単にできるという利点がある。これは、仮想斥力の場合は、複雑な制御も可能であるが制御が難しいトルク制御を用いているのに対し、仮想速度の場合は、制御が容易な速度制御を用いているためである。なお、市販されているほとんどの電動車椅子では、速度制御を用いている。
【0057】
また、第1実施形態において、合力算出部17で合力Fmoveを算出する際に、仮想斥力Fobjに対し、大きさが0〜1のゲインを合力算出部17で乗じてもよい。このゲインは、操作者が操作入力部25を動かさずに操作力Fopeの大きさが0の場合は、大きさが0である。そして、操作者が操作入力部25を動かして操作力Fopeの大きさが大きくなるに従い、0から徐々に大きくなり、操作力Fopeの大きさが最大になった場合、大きさが1となる。このようにゲインを合力算出部17で乗じることにより、操作者が操作入力部25を動かしていない場合には、例え近くに障害物があったとしても、合力Fmoveがゼロとして合力算出部17で算出される。そのため、操作者が意図していない場合に、勝手に、電動車椅子11が移動することがない。そして、操作者が操作入力部25を意図して動かした場合に、その大きさに基づいて障害物回避動作が行われる。すなわち、操作者が意図したときに意図した大きさの動作が行われることになるため、更に安全性の高い操作が可能となる。
【0058】
(第2実施形態)
図4A及び図4Bは、本発明の第2実施形態における電動車椅子31を示す図である。図4Aは、動的障害物32が接近する電動車椅子31を示す図であり、図4Bは、操作部及び制御部などのブロック図である。
【0059】
第2実施形態における電動車椅子31は、人又は小動物等の自ら移動する動的障害物32が電動車椅子31に向かって移動してきた際、補助仮想斥力を補助仮想斥力算出部34で発生させる。そして、この補助仮想斥力を基に、合力算出部17を介して、電動車椅子31を制御部18で駆動制御して、動的障害物32を自動的に回避する。すなわち、第2実施形態の電動車椅子31は、静的障害物を検出するサーチ領域21に加えて、動的障害物32を検出する動的障害物サーチ領域35を有する。ここで、静的障害物は、壁などの静止している障害物である。
【0060】
第2実施形態における電動車椅子31は、第1実施形態の電動車椅子11の制御回路部27に代えて制御回路部37を設けている。制御回路部37は、制御回路部27の構成に加え、動的障害物判断部33と、補助仮想斥力算出部34とを更に備え、合力算出部17は、操作力及び仮想斥力及び補助仮想斥力の合力を算出する構成である。
【0061】
そして、動的障害物判断部33は、障害物センサ14からの検出情報を基に、車体部12の中心を中心とした車体部12の外周の円形の領域を動的障害物サーチ領域35とし、動的障害物サーチ領域35内に存在する動的障害物32を、回避すべき障害物と判断する。なお、第2実施形態では、動的障害物サーチ領域35を障害物センサ領域20より小さく生成しているが、障害物センサ領域20と同じ大きさに生成してもよい。
【0062】
動的障害物判断部33は、動的障害物サーチ領域35内で自ら移動する物体を、回避すべき動的障害物と判断する。なお、動的障害物サーチ領域35内では、移動しない物体については障害物として検出しない。動的障害物判断部33は、内蔵するタイマー(図示せず)からの時間情報を利用して、障害物センサ14から得られる障害物までの距離データをサンプリング時間毎に差分して障害物の移動速度を算出することにより、障害物が自ら移動しているか否かを判断する。障害物が自ら移動していると動的障害物判断部33で判断する場合には、動的障害物判断部33は、その障害物を動的障害物として検出する。すなわち、障害物の移動速度を算出することにより、自ら移動している動的障害物を検出する。障害物が自ら移動していないと動的障害物判断部33で判断する場合には、動的障害物判断部33は、その障害物を動的障害物として検出しない。もし、車体部12自身が移動している場合は、車体部12の駆動源70のモータの回転軸に取り付けたエンコーダ70Eから取得する速度情報に基づいて、障害物と車体部12との相対速度を動的障害物判断部33で算出し、算出された車体部12との相対速度により、障害物が移動しているか否かを動的障害物判断部33で判断する。
【0063】
補助仮想斥力算出部34は、動的障害物32が検出されたと動的障害物判断部33で判断されると、動的障害物32までの距離に反比例し、かつ、動的障害物32と反対方向に作用する補助仮想斥力を算出する。
【0064】
このような構成により、動的障害物32が電動車両の一例の電動車椅子31に向かって移動している際、補助仮想斥力を補助仮想斥力算出部34で発生させて、その補助仮想斥力に基づくとともに合力算出部17を介し、電動車椅子31を制御部18で駆動制御して、動的障害物32を自動的に回避することができる。また、静的障害物(自身が移動していない障害物)と動的障害物とを検出する領域を分けることにより、回避すべき静的障害物と動的障害物との検出領域の大きさを変えることができる。これにより、状況に応じて、効率良く、かつ、安全な障害物回避を行うことができる。
【0065】
なお、第2実施形態では、動的障害物32を検出すると、車体部12から動的障害物32までの距離と方向とに基づく補助仮想斥力を補助仮想斥力算出部34で発生させている。だが、車体部12に近づく方向に移動する動的障害物32に対しては、補助仮想斥力を補助仮想斥力算出部34で算出し、車体部12から離れる方向へ移動する動的障害物32には補助仮想斥力を補助仮想斥力算出部34で算出しないことで、効率をさらに良くすることもできる。また、動的障害物32の移動方向及び移動速度も考慮して補助仮想斥力を補助仮想斥力算出部34で算出するようにしてもよい。このように制御することで、更に細かい障害物回避の制御が可能になる。
【0066】
(第3実施形態)
図5A及び図5Bは、本発明の第3実施形態における電動車椅子41を示す図である。図5Aは障害物に接近した電動車椅子41を示す図であり、図5Bは操作部及び制御部などのブロック図である。
【0067】
第3実施形態における電動車椅子41は、第1実施形態の電動車椅子11の制御回路部27に代えて制御回路部47を設けている。制御回路部47は、制御回路部27の構成に加え、衝突判断部42と補助仮想斥力算出部43とを更に備えている。合力算出部17は、操作力及び仮想斥力及び補助仮想斥力の合力を算出するものである。
【0068】
そして、第3実施形態の電動車椅子41は、静的障害物を検出するサーチ領域21に加えて、車体部12の周縁部に静的障害物あるいは動的障害物が存在するか否かを検出するバンパー領域45を衝突判断部42で生成することで、サーチ領域21あるいは動的障害物サーチ領域35で検出が漏れてしまった障害物と車体部12との衝突を防ぐことができる。バンパー領域45は、障害物センサ領域20より小さく、サーチ領域21を除き、かつ、車体部12の近くで、一例として四角形の領域として、衝突判断部42により生成されている。
【0069】
第3実施形態における電動車椅子41は、第1実施形態の電動車椅子11に、衝突判断部42と補助仮想斥力算出部43とを、さらに備える構成である。そして、衝突判断部42は、サーチ領域21を除く車体部12の周縁部をバンパー領域45とし、バンパー領域45内で検出された障害物を、衝突の可能性のある障害物と判断する。また、補助仮想斥力算出部43は、障害物までの距離に反比例し、かつ、障害物と反対方向に作用する仮想斥力を算出する。バンパー領域45内で検出された障害物に対しては、サーチ領域21あるいは動的障害物サーチ領域35で検出された静的障害物あるいは動的障害物に対して算出される仮想斥力よりも大きな仮想斥力が補助仮想斥力算出部43で算出される。これにより、補助仮想斥力算出部43で生成された仮想斥力を基に、合力算出部17を介して、制御部18で電動車椅子11を動作制御して、車体部12と障害物との衝突を確実に防ぐことができる。
【0070】
ここで、サーチ領域21は、操作方向にしか存在しないために、操作方向以外の方向に障害物が存在すると、状況によっては、車体部12と障害物とが衝突してしまうことがある。例えば、図5Aに示すように、車体部12が障害物44を通り越している途中で、操作入力部25で操作方向を図5Aに対して左側へ動かした場合、サーチ領域21で障害物44を検出することはできない。しかし、サーチ領域21以外の車体部12の周縁部に障害物44があることは、バンパー領域45を用いることで、衝突判断部42で検出することができる。このように、障害物44を障害物判断部15によりサーチ領域21で検出できない場合でも、障害物44を衝突判断部42によりバンパー領域45で検出することができるので、電動車椅子41は障害物44に衝突しない。
【0071】
よって、電動車椅子41は、サーチ領域21を使用して障害物判断部15による検出が不可能な方向にある障害物に対して、バンパー領域45を使用して衝突判断部42により検出することができる。この場合、障害物との衝突を回避するように、制御部18で電動車椅子41を動作制御することにより、障害物に対する衝突を防ぐことができる。
【0072】
なお、バンパー領域45内で、障害物を衝突判断部42により検出した場合は、より高い安全を確保するために、制御部18により電動車椅子41の移動速度を制限してもよいし、検出した障害物の方向への電動車椅子41の移動を禁止してもよい。また、通知装置を別途設けて、制御部18からの制御により、通知装置の機能の一例としての警告音又はLED点灯などにより、これらの情報を操作者に通知させてもよい。通知装置を別途設けることで、操作者は車体部12が障害物と接触しそうであることが判断できるため、操作者の操作が容易な電動車両を構成することができる。
【0073】
(第4実施形態)
図6A及び図6Bは、本発明の第4実施形態における電動車椅子51を示す図である。図6Aは障害物19aと障害物19bとの間を通過する電動車椅子51を示す図であり、図6Bは操作部及び制御部などのブロック図である。
【0074】
第4実施形態における電動車椅子51は、第1実施形態の電動車椅子11の制御回路部27に代えて制御回路部57を設けている。制御回路部57は、制御回路部27の構成に加え、通路判断部53と、補助仮想斥力算出部54とを更に備えている。合力算出部17は、操作力及び仮想斥力及び補助仮想斥力の合力を算出するものである。
【0075】
そして、第4実施形態の電動車椅子51は、障害物を検出するサーチ領域21に加えて、通路検知領域52を通路判断部53により生成することで、障害物19aと障害物19bとの間を電動車椅子51が通過する際に、通路の中心に誘導されて安全に障害物19aと障害物19bとの間を通過することができる。ここで、通路検知領域52は、車体部12の前半分から操作方向に障害物センサ領域20の縁部まで広がった大略扇形の領域である。
【0076】
つまり、障害物19aと障害物19bとの間を電動車椅子51が通過する際に、電動車椅子51は、通路検知領域52にある障害物19a、19bを通路判断部53により検出する。そして、一方の障害物19aに車体部12が近づき過ぎると、一方の障害物19aから他方の障害物19bの方向への仮想斥力Fobj4を補助仮想斥力算出部54により算出し、合力算出部17を介して、制御部18により、電動車椅子51を障害物19aと障害物19bとの間の中心位置へ向けて誘導する。ここで、誘導するとは、前述の仮想斥力を算出することで、電動車椅子51の動きを制御し、電動車椅子51の動きを誘導することである。このように誘導することで、電動車椅子51は、更に安全に2つの障害物19aと19bとの間を通過することができる。
【0077】
通路判断部53は、車体部12から操作方向に広がった障害物センサ領域20の縁部までの大略扇形の領域を通路検知領域52として生成する。通路判断部53は、通路検知領域52内に存在する障害物が少なくとも2つあり、その2つの障害物19a、19bの間にサーチ領域21が設定された場合、2つの障害物19a、19bの間の領域を誘導すべき通路であると通路判断部53で判断する。具体的には、通路検知領域52内に2つの障害物19a、19bがあることを検出した後、操作部13からの操作方向の情報に基づくサーチ領域21が、その2つの障害物19a、19bの間に設定された場合に、誘導すべき通路であると判断する。電動車椅子51を誘導するために、補助仮想斥力算出部54は、2つの障害物19a、19bの間の中心からのサーチ領域21のずれた大きさに基づいて、補助仮想斥力Fobj4を算出する。操作者が認識している障害物に対して、このような誘導動作を行うために、通路検知領域52は、操作方向を中心にそれぞれ左右に45°広がった領域として、通路判断部53で設定されている。ここで、通路検知領域52を左右45°以内としたのは、左右45°以内が人間の注視安定視野であり、操作者が頭部の運動を伴うことで、無理をせずに対象(障害物)を注視可能であると考えたためである。また、補助仮想斥力Fobj4は、障害物までの距離に反比例し、かつ、2つの障害物に対してそれぞれ生成される障害物と反対方向に作用する仮想斥力を設定し、この2つの仮想斥力の操作方向に対する垂直方向成分を合成した合力である。すなわち、この補助仮想斥力は、操作方向に対する垂直方向にしか作用しないため、電動車椅子51の移動方向の垂直方向への誘導動作のみが行われる。これにより、操作者が指示した操作方向への移動動作を妨げることなく、2つの障害物19a、19b間での電動車椅子51の誘導動作を行うことができる。合力算出部17は、補助仮想斥力の操作力の方向に対する垂直方向成分と、操作力との合成によって、合力を算出する。制御部18は、合力算出部17で算出された合力の方向へ車体部12が移動するように、駆動源70をそれぞれ制御する。ここで、補助仮想斥力とは、少なくとも1つの障害物に対して生成される仮想斥力を基に補助仮想斥力算出部54で算出されたものである。
【0078】
図6Aに示すように、通路検知領域52内に2つの障害物19a、19bがあることを検出した後、操作部13からの操作方向の情報に基づくサーチ領域21が、その2つの障害物19a、19bの間に設定されるとともに障害物19a側に近い場合がある。すなわち、障害物19aと障害物19bとの間を電動車椅子51が通過する際、サーチ領域21に対して、電動車椅子51が一方の障害物19a側に近い場合がある。電動車椅子51が一方の障害物19a側に近いか否かは、障害物との距離に応じて生成される仮想斥力の合力を算出し、近い方の障害物から遠い方の障害物の方向に生成された仮想斥力の合力の向きから判断することができる。この場合は、一方の障害物19aから他方の障害物19bの方向へ、補助仮想斥力算出部54により算出された補助仮想斥力Fobj4が働く。この結果、補助仮想斥力Fobj4により、サーチ領域21の中心軸が障害物19aと障害物19bとの中央に位置するように、補助仮想斥力算出部54での算出結果によって誘導される。そして、障害物19aと障害物19bの中央にサーチ領域21の中心軸が位置すると、補助仮想斥力算出部54による補助仮想斥力Fobj4の算出は停止する。
【0079】
なお、第4実施形態の通路判断部53は、通路検知領域52内に障害物が1つしかない場合、あるいは、2つ以上の障害物の間をサーチ領域21が貫かない場合、障害物を、回避すべき障害物であると判断してもよい。この場合には、障害物を回避するために、操作方向に対して垂直方向への回避誘導のみが行われる。これにより、操作者が指示した操作方向への移動を妨げることなく、回避誘導動作を行うことができる。また、図6Aに示すように、通路検知領域52を、サーチ領域21よりも幅及び長さの少なくとも一方が大きい領域として通路判断部53で設定してもよい。この場合には、サーチ領域21を除く通路検知領域52に存在する障害物に対して、誘導あるいは回避誘導が行われる。
【0080】
なお、この第4実施形態と第1実施形態の変形例である図1Cとを組み合わせる場合には、合成速度算出部17Aは、仮想回避速度の操作速度の方向の垂直方向成分と、操作速度との合成によって、合成速度を算出する。ここで、仮想回避速度は、少なくとも1つの障害物に対して生成される。制御部18は、合成速度算出部17Aで算出された合成速度の方向へ電動車椅子51が移動するように制御する。
【0081】
(第5実施形態)
図7A及び図7Bは、本発明の第5実施形態における電動車椅子61を示す図である。図7Aは、障害物63に接近する電動車椅子61を示す図であり、図7Bは、操作部及び制御部などのブロック図である。
【0082】
第5実施形態の電動車椅子61は、第1実施形態の電動車椅子11の制御回路部27に代えて制御回路部67を設けている。制御回路部67は、制御回路部27の構成に加え、操作意図判断部62を設けている。操作意図判断部62により、操作者が意図的に障害物63に近づこうとした場合、仮想斥力算出部16で算出された仮想斥力の合力算出部17での使用を制限して、電動車椅子61が障害物に近づけるようにしている。
【0083】
例えば、目標物体として、荷棚、机、又は、ベッド等を考える。この目標物体へ、第1実施形態の電動車椅子11で意図的に近づこうとした場合でも、前述のように車体部12の操作方向における全ての物体に対して仮想斥力が発生する構成では、目標物体に近づくことができない。つまり、第1実施形態の電動車椅子11では、どのような物体に対しても近づかない安全な設定になっているので、荷棚、机、又は、ベッド等に近づくことができない。このように、第1実施形態の電動車椅子11では、日常生活を行うのに不便な場合がある。
【0084】
そこで、第5実施形態の電動車椅子61は、操作者が意図的に障害物63へ近づこうとしているならば、電動車椅子61を障害物へ近づけるように構成している。そして、第5実施形態の電動車椅子61では、仮想斥力Fobjの方向と操作力Fopeの方向が所定の時間の間、略正反対であると、操作意図判断部62が、操作者が意図的に障害物63へ近づこうとしていると判断する。この場合、制御部18の制御に基づいて、移動速度を制限するとともに、障害物方向への電動車椅子61の移動を許可する。
【0085】
操作意図判断部62は、仮想斥力の方向と操作方向とを比較し、仮想斥力の方向と操作方向が所定の時間の間だけ略正反対の場合、車体部12の移動の制御を変更する。具体的には、操作意図判断部62は、所定の時間の間だけ、操作部13からの操作力Fopeの方向と、仮想斥力算出部16からの仮想斥力Fobjの180°反対方向とのなす角が30°以内の場合は、操作者が意図的に障害物63へ近づいていると判断して、仮想斥力算出部16で行われる仮想斥力の大きさを制限し、障害物方向への移動を許可する。この移動を許可する角度として、人間が眼球運動だけで対象を捉え、目的とする対象を受容することができる有効視野角に合わせて、30°の角度範囲に設定している。なお、この移動を許可する角度は、許可された操作者の操作の慣れ又は使い勝手によって任意に設定することも可能である。
【0086】
よって、操作者が意図的に障害物63へ近づいていると操作意図判断部62で判断すれば、仮想斥力Fobjの大きさは操作意図判断部62で制限され、制御部18の制御の下に電動車椅子61は障害物63へ近づくことができる。
【0087】
なお、操作意図判断部62は、操作者が意図的に障害物63へ近づいていると判断した場合には、仮想斥力算出部16で行われる仮想斥力の算出を停止し、移動速度を制限して障害物63への移動を許可してもよい。
【0088】
また、操作意図判断部62で操作者の意図と判断するための条件として、所定の時間の間だけ操作力Fopeの方向と仮想斥力Fobjの180°反対方向とのなす角が30°以内としているが、この所定の時間とは例えば1秒より大きくすることが好ましい。ここで1秒より大きくしたのは、操作者の操作入力部25の誤操作で操作力Fopeの方向と仮想斥力Fobjの180°反対方向とのなす角が30°以内が成立した場合でも、誤操作に気づいてすぐに操作力Fopeの方向を修正する時間を約1秒としているためである。そのため、1秒より長い時間として、所定の時間を設定している。
【0089】
また、操作スイッチを設けて、操作者が操作スイッチを押している間は、仮想斥力の大きさを制限し(あるいは、仮想斥力の算出を停止し)、電動車椅子61の移動速度を制限して障害物方向への移動を許可してもよい。両手が不自由なく使用できる操作者であれば、操作スイッチを設ける構成でもよい。片手しか使用できない操作者であれば、操作意図判断部62により、操作者の意図を判断する必要がある。
【0090】
なお、この第5実施形態と第1実施形態の変形例である図1Cとを組み合わせる場合には、操作意図判断部62は、仮想回避速度の方向と操作方向とを比較し、仮想回避速度の方向と操作方向が所定の時間の間だけ略正反対の場合、車体部12の移動の制御を変更する。具体的には、操作意図判断部62は、仮想回避速度の180°反対方向と操作方向のなす角が所定の時間だけ30°以内である場合、車体部12の移動の制御を変更する。
【0091】
なお、上記様々な実施形態又は変型例のうちの任意の実施形態又は変型例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明にかかる電動車両及びその制御方法によれば、障害物と障害物との間をスムーズに通過することができ、実用性の高い操作を実現することができる。そのため、電動車車椅子、又は、パワーアシスト台車、又は、買い物カートなどの操作者の操作に基づいて動作する電動車両及びその制御方法として有用である。
【符号の説明】
【0093】
11,31,41,51,61 電動車椅子
12 車体部
13 操作部
14 障害物センサ
15 障害物判断部
16 仮想斥力算出部
17 合力算出部
18 制御部
19a,19b,44,63 障害物
20 障害物センサ領域
21 サーチ領域
25 操作入力部
26 操作力推測部
27,37,47,57,67 制御回路部
32 動的障害物
33 動的障害物判断部
34,43,54 補助仮想斥力算出部
35 動的障害物サーチ領域
42 衝突判断部
45 バンパー領域
52 通路検知領域
53 通路判断部
62 操作意図判断部
70 駆動源
70E エンコーダ
71 車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体部と、
入力された操作の操作方向を検出する操作部と、
前記車体部の周辺にある障害物を検出する障害物センサと、
前記車体部より前記操作方向へ延びた領域をサーチ領域として生成し、前記障害物センサで検出される障害物のうち、前記サーチ領域内に存在する障害物を、回避すべき障害物として判断する障害物判断部と、
前記障害物判断部で判断された前記回避すべき障害物を回避するように前記車体部の移動を制御する制御部と、を備える、
電動車両。
【請求項2】
前記操作部は、入力された操作の前記操作方向及び操作量を検出し、
前記障害物判断部は、前記操作量の大きさ、又は、前記操作方向及び操作量から算出された操作力の大きさに応じて、前記サーチ領域の形状を変える、
請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記障害物判断部は、前記車体部より前記操作方向に延びて、前記車体部の幅と略等しい領域を前記サーチ領域と生成する、
請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記障害物判断部で判断された前記障害物から離れるための仮想斥力を算出する仮想斥力算出部と、
入力された操作の前記操作方向及び操作量から算出された操作力と前記仮想斥力との合力を算出する合力算出部と、を備え、
前記制御部は、前記合力の方向へ移動するように前記車体部の移動を制御する、
請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項5】
前記合力算出部は、前記仮想斥力の前記操作力の方向に垂直な方向の成分と、前記操作力との合成によって前記合力を算出する、
請求項4に記載の電動車両。
【請求項6】
前記障害物判断部で判断された前記障害物から離れるための仮想回避速度を算出する仮想回避速度算出部と、
入力された操作の操作方向及び操作量から算出された操作速度と、前記仮想回避速度との合成速度を算出する合成速度算出部と、を備え、
前記制御部は、前記合成速度の方向へ移動するように前記車体部の移動を制御する、
請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項7】
前記合成速度算出部は、前記仮想回避速度の前記操作速度の方向に垂直な方向の成分と、前記操作速度との合成によって前記合成速度を算出する、
請求項6に記載の電動車両。
【請求項8】
前記車体部の周囲を動的障害物サーチ領域とし、前記動的障害物サーチ領域内に存在する動的障害物を、回避すべき障害物と判断する動的障害物判断部をさらに備え、
前記制御部は、前記動的障害物判断部で、前記回避すべきと判断された前記障害物を回避するように前記車体部の移動を制御する、
請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項9】
前記サーチ領域を除く前記車体部の周縁部をバンパー領域とし、前記バンパー領域内に存在する障害物を、回避すべき障害物と判断する衝突判断部をさらに備え、
前記制御部は、前記衝突判断部で、前記回避すべきと判断された前記障害物を回避するように前記車体部の移動を制御する、
請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項10】
前記サーチ領域を除く前記車体部から前記操作方向に広がった領域を通路検知領域とし、前記通路検知領域内に存在する2つの障害物の間に前記サーチ領域が生成される場合、前記2つの障害物の間を、前記車体部を誘導すべき通路であると判断する通路判断部をさらに備え、
前記制御部は、前記通路判断部で、前記誘導すべき通路と判断された前記通路の中央を通過するように前記車体部の移動を制御する、
請求項1又は2に記載の電動車両。
【請求項11】
前記サーチ領域を除く前記車体部から前記操作方向に広がった領域を通路検知領域とし、前記通路検知領域内に2つの障害物が検出されかつ前記2つの障害物の間に前記サーチ領域が生成される場合、前記2つの障害物の間を、前記車体部を誘導すべき通路であると判断する通路判断部をさらに備え、
前記合力算出部は、前記2つの障害物に対してそれぞれ生成される仮想斥力の前記操作力の方向に対する垂直方向成分と、前記操作力との合成によって前記合力を算出する、
請求項4に記載の電動車両。
【請求項12】
前記サーチ領域を除く前記車体部から前記操作方向に広がった領域を通路検知領域とし、前記通路検知領域内に2つの障害物が検出されかつ前記2つの障害物の間に前記サーチ領域が生成される場合、前記2つの障害物の間を、前記車体部を誘導すべき通路であると判断する通路判断部をさらに備え、
前記合成速度算出部は、前記2つの障害物に対してそれぞれ生成される前記仮想回避速度の前記操作速度の方向の垂直方向成分と、前記操作速度との合成によって前記合成速度を算出する、
請求項6に記載の電動車両。
【請求項13】
前記サーチ領域を除く前記車体部から前記操作方向に広がった領域を通路検知領域とし、前記通路検知領域内に存在する障害物を、回避すべき障害物であると判断する通路判断部をさらに備え、
前記合力算出部は、前記通路検知領域内に存在する障害物に対して生成される仮想斥力の前記操作力の方向に対する垂直方向成分と、前記操作力との合成によって前記合力を算出する、
請求項4に記載の電動車両。
【請求項14】
前記サーチ領域を除く前記車体部から前記操作方向に広がった領域を通路検知領域とし、前記通路検知領域内に存在する障害物を、回避すべき障害物であると判断する通路判断部をさらに備え、
前記合成速度算出部は、前記通路検知領域内に存在する障害物に対して生成される前記仮想回避速度の前記操作速度の方向の垂直方向成分と、前記操作速度との合成によって前記合成速度を算出する、
請求項6に記載の電動車両。
【請求項15】
前記通路検知領域は、前記車体部から前記操作方向を中心として左右45°ずつ広がった領域である、
請求項10に記載の電動車両。
【請求項16】
前記通路検知領域は、前記サーチ領域よりも幅、あるいは、幅及び長さが大きい領域である、
請求項10に記載の電動車両。
【請求項17】
前記仮想斥力の方向と前記操作方向とを比較し、前記仮想斥力の方向と前記操作方向が所定の時間の間だけ略正反対の場合、前記車体部の移動の制御を変更する操作意図判断部を備える、
請求項4に記載の電動車両。
【請求項18】
前記操作意図判断部は、前記仮想斥力の180°反対方向と前記操作方向のなす角が所定の時間の間だけ30°以内である場合、前記車体部の移動の制御を変更する、
請求項17に記載の電動車両。
【請求項19】
前記仮想回避速度の方向と前記操作方向とを比較し、前記仮想回避速度の方向と前記操作方向が所定の時間の間だけ略正反対の場合、前記車体部の移動の制御を変更する操作意図判断部を備える、
請求項6に記載の電動車両。
【請求項20】
前記操作意図判断部は、前記仮想回避速度の180°反対方向と前記操作方向のなす角が所定の時間だけ30°以内である場合、前記車体部の移動の制御を変更する、
請求項19に記載の電動車両。
【請求項21】
障害物センサと操作部とを有する電動車両の制御方法であって、
前記障害物センサで車体部の周辺を検出し、
前記操作部に入力された操作の操作方向を前記操作部で検出し、
前記車体部から前記操作方向へ延びた領域をサーチ領域として障害物判断部で生成し、前記障害物センサで検出された障害物のうち、前記サーチ領域内に存在する障害物を、回避すべき障害物として前記障害物判断部で判断し、
前記障害物判断ステップで前記サーチ領域内に前記障害物があると前記障害物判断部で判断されると、前記障害物に回避するように前記車体部の移動を制御する、
電動車両の制御方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−106722(P2012−106722A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202899(P2011−202899)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成22年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「生活支援ロボット実用化プロジェクト」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】