説明

電動駆動式自動車調整装置のためのシート電子制御装置および方法

駆動装置(2)の複数の短時間操作中に駆動装置(2)の特性量(u、i、n)を検出し、複数の短時間操作にそれぞれ割り当てられた特性量(u、i、n)を評価し、複数の操作のこれらの評価に依存して挟まれる事態を確定するように構成し整えられている、自動車シートの駆動装置(2)を制御するためのシート電子制御装置が考慮される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動駆動式自動車シート調整装置を制御し調節すべく整えられかつ挟み付け防止機能を有するシート電子制御装置に関する。本発明はさらに、特にシート調整の電動駆動式自動車調整装置を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車内の電動駆動式シート調整装置では安全上の理由から、必要な場合に、つまり物体または身体部分が挟まれた場合に電動駆動装置を停止させ、場合によっては反転させるために、挟み付け防止装置が有利である。挟まれる事態の存否を確定するために、電動駆動装置の特性量を評価することができる。このような特性量は例えばモータ電圧、モータ電流または回転数である。これらからモータトルクを確定し、これからさらに過剰力を確定することができる。過剰力はモータによって加えられる総合力と、特に摩擦を克服しかつ調整装置を加速するのに必要な総合調整力との間の差から生じる。しかし例えば調整過程の推移においてごく作動渋滞の箇所によって摩擦が変化することがあるので、調整力の算定は困難である。それに加えて劣化効果が、または摩擦に対する温度の影響も、かなりの影響を及ぼすことがある。また、過剰力を確定するとき部分的に変化する加速力が考慮される。
【0003】
欧州特許第1310030号明細書によれば合成過剰力を算定するために複数の個別力が加算点で加算され、モータによって実際に加えられる力と比較することによって過剰力または挟み付け力が算定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、シート電子制御装置、およびシート調整時に挟まれる事態を極力確実に検出するための方法を明示することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
シート電子制御装置に向けられた課題は、本発明によれば、請求項1の特徴または請求項9の特徴で解決される。方法に向けられた課題は、請求項10の特徴で解決される。
【0006】
従って、電動駆動式シート調整装置用の挟み付け防止機能を有するシート電子制御装置が設けられている。このシート電子制御装置は、駆動装置の少なくとも1つの検出した特性量から駆動装置の調整運動を確定するように構成され整えられている。さらにシート電子制御装置は、同じ調整方向への駆動装置の複数の短時間調整中に物体または身体部分の挟み付けを確定するように整えられている。駆動装置の複数の短時間調整とは利用者による2回、3回またはそれ以上の調整のことであり、利用者は複数の短時間駆動によって例えば特定調整位置をこの寸動で制御しようと試みる。駆動の時間が短いので、これらの調整の1つの内部では挟まれる事態は場合によっては確定できないことがある。
【0007】
それゆえに、大量の測定値を評価して挟まれる事態を確定できるようにするために、シート電子制御装置は第1調整の特性量の測定値と少なくとも1つの第2の短時間調整の特性量の測定値とから挟み付けを確定するように構成し整えられている。第1調整は同様に短時間、例えば1秒間に行うことができる。
【0008】
課題はさらに、駆動装置の少なくとも1つの検出した特性量から挟まれる事例を監視するように形成された、電動駆動式自動車シート調整装置のシート電子制御装置によって解決される。このシート電子制御装置は、第1調整中に、駆動装置から加えられる第1総合負荷を確定するように整えられている。さらにシート電子制御装置は、調整休止後、同じ調整方向への第2調整時に、駆動装置から加えられる第2総合負荷を確定するように整えられている。調整休止は時間的に2つの調整の間に規定されており、これら2つの調整はこの調整休止によって相互に分離されている。
【0009】
シート電子制御装置は、第2調整の調整行程が閾値を下回るとき、確定した第1総合負荷の評価を消去しない。それゆえに閾値は判定基準として役立ち、この判定基準に基づいてシート電子制御装置は複数の短時間調整と「通常の」調整との間を区別する。「通常の」調整は、この調整自体の内部で挟まれる事態の確定を可能とする。調整行程がこの閾値以下であると、確定された第1総合負荷の評価はさらに挟まれる事態の確定用に利用される。調整行程がこの閾値より上であると、確定された第1総合負荷の評価は挟まれる事態の確定にとって拒否される。というのも、特に第2調整の内部で十分な測定信号が挟まれる事態の検出用に提供されているからである。
【0010】
第1調整についての評価が消去されない場合、第1総合負荷および第2総合負荷の評価に依存して挟まれる事態が検出されたとき、シート電子制御装置は駆動装置を停止させ、または駆動装置の調整方向を反転させるように形成されている。
【0011】
その際、総合負荷として特にモータの例えばモータ電流、モータ回転数等の検出した特性量または調整量からモータトルクが確定される。モータトルクの代わりに、または補足して、実際のトルクを確定することなくこのような特性量から直接に、総合負荷を表す特性量を確定し、もしくは検出した特性量、特に例えばホールセンサによって検出した回転数を有利には直接に総合負荷用判定基準として利用する可能性もある。それゆえに、検出した特性量は同時に総合負荷の直接的写像である。つまり、回転数を特性量として利用する場合回転数の低下から総合負荷の高まりを直接に逆推定することができる。可変速度直流モータを使用する場合、回転数の代わりに制御信号または調整信号を利用することができる。
【0012】
有利な諸構成は従属請求項の対象である。第1構成においてシート電子制御装置は第1調整中に第1総合負荷から第1基本負荷を確定して記憶するように整えられている。シート電子制御装置は第2調整中に第1基本負荷と第2調整中に変化する第2総合負荷との間の比較から挟まれる事態の存否を確定するように整えられている。
【0013】
第2構成によれば、シート電子制御装置はまず第2調整の始動段階中に第2総合負荷から第2基本負荷を確定して記憶するように整えられている。しかしこれは、第2調整の調整行程が前記閾値を上回るときにのみ行われる。その場合、制御装置は監視段階中に第2基本負荷と第2調整中に変化する第2総合負荷との間の比較から挟まれる事態の存否を確定するように整えられている。
【0014】
有利な構成においてシート電子制御装置は閾値を上回った後に評価を抹消するように整えられている。挟まれる事態をさらに確定するためにシート電子制御装置は確定した第1基本負荷を第2基本負荷に取り替える。有利には、始動段階は調整装置の50mm以下のスライド調整行程もしくは約1°の傾き調整に一致している。
【0015】
自動車シートの可能な設計構成に応じて、挟まれた物体または身体部分の方向での複数の短時間調整がはじめて顕著な挟み付け力をもたらす。それゆえに好ましくはシート電子制御装置は、他の調整休止後、同じ調整方向への第3調整時およびそれぞれ他の短時間調整時に第3総合負荷もしくは他の総合負荷を確定するように整えられている。
【0016】
さらにシート電子制御装置は有利には、第3調整もしくは他の調整の調整行程が閾値を下回るとき、確定した第1総合負荷の評価を抹消しないように整えられている。むしろ、第1総合負荷および第3総合負荷の評価に依存してシート電子制御装置によって挟まれる事態が検出されたとき、駆動装置はシート電子制御装置によって停止され、またはその調整方向を反転させられる。
【0017】
有利にはシート電子制御装置は、総合負荷を確定するために特に第1調整中第1数学モデルを根拠とし、基本負荷からの総合負荷の顕著な偏差時または検出した特性量の顕著な偏差時にはじめて、第2調整または他の調整中に挟まれる事態の存否判定のために、挟まれる事態を考慮する第2数学モデルに切り換わるように整えられている。
【0018】
本発明に係る課題はさらに、駆動装置の複数の短時間操作中にシート調整装置の駆動装置の特性量を検出するように構成し整えられた自動車シート調整装置のシート電子制御装置によって解決される。シート電子制御装置は、複数の短時間操作に割り当てられた各特性量値を評価するように整えられている。複数の操作のこれらの評価に依存してシート電子制御装置によって挟まれる事態は確定される。
【0019】
通常動作時、つまり中断のない連続的操作中、始動段階中に各調整過程を開始するとき電動駆動装置から加えられる総合負荷が確定されかつ調整装置の基本負荷として保持されるようになっている。その際、基本負荷は特に克服すべき摩擦負荷と加速仕事とから成る。始動段階に続いてはじめて監視段階が続き、この監視段階中に比較から、特に確定した基本負荷と実際の総合負荷との間の差形成によって、挟まれる事態の存否が確定される。挟まれる事態が確認されるとやはり対抗措置がとられ、例えば電動駆動装置の停止または反転が開始される。
【0020】
その際、特別な特徴は調整過程開始時に基本負荷を確定することである。これにより、実際の調整力が確定され、監視段階用比較値として利用される。その際、通常動作時の始動段階中は挟まれる事態の存否監視は行われない。その際、始動段階中は挟まれる事態が存在しないとの推定から出発される。このことを依拠とする考えによれば、シート調整時、着座しまたはシートの後方にいる人がさしあたりまだ十分な運動自由度を有し、またはシートクッションの弾性が十分に高く、調整過程の開始時に人が挟まれていないことは、普通想定することができる。つまり始動段階の間自由な調整行程が推定され、この始動段階の間、駆動装置によって加えられる総合負荷から基本負荷を確定することができる。
【0021】
つまり、調整行程の前記範囲の内部では挟まれる事態は排除することができる。同時にこの範囲は、基本負荷を十分正確に算定するのに十分な大きさである。機械的連結のゆえに、モータ回転数とスライド調整行程もしくは傾き調整のときの調整行程との間に直接的相関関係が存在する。一般に使用される直流モータの回転数を介して次に、その都度のシステムに依存して、始動段階用の具体的時間窓または調整行程部分は確定することができる。スライド調整行程とはここでは特にシート座面の縦方向調整のことである。調整運動を行うために調整機構のスライド運動も回転運動も利用することができる。
【0022】
モータ特性量を評価してモータの総合負荷を確定するとき、制御回路の態様に形成された数学モデルを依拠とすることができる。その際、モータの制御に影響する調整量、例えばモータ電圧は数学モデル用入力量として利用され、この入力量から次に実際の総合負荷が確定される。合目的構成によれば、いまや、基本負荷からの総合負荷の顕著な偏差もしくは負荷に相関した量としての検出した特性量の顕著な偏差の場合、第1モデルから第1モデルとは異なる第2モデルへと切り換えられ、この第2モデルでもって挟まれる事態の実際の存否を判定できるようにされる。
【0023】
特に、平均回転数からの回転数の所定偏差のとき、例えば回転数が平均回転数の約0.7倍に低下すると、第2モデルに切り換えられる。選択的に、顕著な偏差時の切換用特性量として例えばモータ電流、および平均モータ電流からのその偏差を利用することができる。この構成は、まず、顕著な偏差または特徴的偏差が挟まれる事態の兆候であり得るとの考えを依拠としている。しかしこれは挟まれる事態の確実な判定にとってまだ十分ではない。特にシート調整用挟み付け防止装置では、挟まれる事態が存在しないのに総合負荷が増加することになるさまざまな状況が可能である。その際さらに、挟まれる事態が実際に存在するとの判断にとって特に一層敏感な数学モデルが不可欠であるとの考えから出発する。その逆にこれは、第1モデル用の通常事例のとき、僅かなリソースを必要とするだけの簡単なアルゴリズムが利用されることも意味する。
【0024】
その際有利には、第1モデルは調整装置に現れる摩擦を考慮し、第2モデルは挟まれる事態を考慮するばねモデルを付加的に含む。ばねモデルの使用は、考えられる挟まれる事態のとき挟み付けられた人がシートクッションに押付けられるとの考えに依拠している。このシートクッションは、フロントシートが向かって来るリヤシートのシートクッションとすることができる。しかし、フロントシートが前方にステアリングホイールまたはインストルメントパネルに向かって移動するとき、フロントシートのシートクッションとすることもできる。柔らかいシートクッションが反力を加え、反力の値はばね力と比較することができる。それゆえにこのようなばねモデルを使用して、特に特徴的ばね定数を確定することによって挟まれる事態の存否について判断を導出することができる。両方の数学モデルの間で円滑な移行を可能とするために、第1モデルで得られる量は第2モデルに切り換えるとき少なくとも部分的に第2モデル用入力量として利用される。
【0025】
好ましくは、総合負荷値と基本負荷値との間の差の限界値を上回ることが総合負荷と基本負荷との間の顕著な特徴的偏差として利用される。短時間調整のこの事例において有利には総合負荷は、第2または他の調整の総合負荷と第1調整の基本負荷との間の差を限界値と比較することによって、第2調整の内部または後続の他の調整の内部において第1調整の基本負荷で評価される。
【0026】
有利にはさらに、選択的にまたは付加的に、限界値を上回ることはこの差の例えば時間的導出に利用され、または局所的導出にも利用される。ここではやはり好ましくは回転数が負荷の直接的特性量として利用される。基本負荷は特に平均回転数によって形成されている。つまり回転数限界値が設けられており、それを下回ると顕著な偏差と推定される。
【0027】
基本負荷を確定するために、好ましくはさらに、第1調整中の総合負荷の平均値もしくは総合負荷を表す検出した特性量の平均値が利用される。この基本負荷値を初期作用によって歪めることのないように、好ましくは、電動駆動装置の初期段階中に現れる総合負荷は考慮されない。この初期段階は、例えば、モータがその目標回転数に達するまでの範囲を規定する。これは普通、モータの数回転後に既に該当する。
【0028】
調整行程にわたってさまざまな調整力が例えば作動渋滞によって現れることがあるので、合目的構成によれば、調整休止なしの通常動作の監視段階中にも基本負荷が確定され、かつ実際の基本負荷として保持され、この基本負荷は、通常動作中に引き続き監視段階中に特性量を測定して総合負荷と比較するのに利用される。つまり基本負荷は監視段階中も、始動段階中に確定した基本負荷値から始めて、特に連続的に確定される。それゆえに、基本負荷は監視段階中も追従される。その際、その間に基本負荷が確定される離散的時間窓を設けておくことができる。基本負荷を追従する代わりに、始動段階中に確定した基本負荷値を、一定した比較値として調整過程全体用に利用する可能性も基本的にある。
【0029】
基本負荷の顕著な偏差が検出されるや、有利には、第1調整の最後に確定した実際の基本負荷が保持され、第2または他の調整中に総合負荷の他の推移、特に総合負荷と保持された基本負荷との間の差、もしくは検出した特性量の総合負荷および基本負荷を表す値の間の差は次に、挟まれる事態の存否について点検される。顕著な偏差を上回ることだけでは、挟まれる事態が存在することの十分な判定基準ではまだない。というのも、例えば局所的作動渋滞または機械的止めへの突接等の他の状況も存在し得るからである。それゆえに、顕著な偏差の検知後、他の点検、総合負荷推移の評価が予定されている。
【0030】
好ましくは電動駆動装置の特性量から総合負荷として総合トルクが、また始動段階について基本トルクが確定され、特に差形成によって合成モーメント、特に挟み付けモーメントまたは相間量が導出される。合目的にはさらに、合成挟み付け力を算定するために挟み付けモーメントは、調整装置のメカニズムを考慮する重みパラメータで重み付けされる。その際重みパラメータは例えばレバー長、レバー比、または調整機構の位置を考慮する。それに加えて、危険範囲に関する情報、つまり例えば、特に体格にも依存したシート間の距離に関する情報も重みパラメータに含まれる。その際、重みパラメータ値は有利には物理モデルでの測定を頼りに確定され記憶される。選択的に、値は計算で確定することもできる。
【0031】
合目的には、挟まれる事態の存否を確定するためにばねモデルが基礎とされ、特に少なくとも1つのばね定数が確定され、このばね定数に基づいて挟まれる事態の存否が決定される。その際好ましくは判断のため絶対量および/またはばね定数の推移、つまりその導関数が利用される。ばね定数の推移に基づいてさまざまな動作状況、つまり特に荷重運動、止めに対する突接、パニック的逆反応、作動渋滞、挟み付けが区別される。合目的には、確実な関係を保証するために、確定した少なくとも2つのばね定数値が利用される。このため、有利には少なくとも3つの負荷閾値が規定され、負荷閾値の間で特に補間によってばね定数が確定される。
【0032】
特許請求の範囲に個々に列挙された特徴および特徴組合せは、場合によっては明細書からの他の特徴または特徴組合せを補足して、一部では請求項1の特徴とは独立にも発明的である。請求項1の特徴を含まないかまたは完全には含まない分割出願の提出が留保されている。
【0033】
以下、図を基に本発明の実施例が詳しく説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
挟まれる事態を確実に検出するための図に基づいて以下で説明する方法は、自動車分野において電動駆動式シート調整時に妥当する。このような装置が有する調整機構は、普通水平線に対して僅かに傾いた案内レール内で縦調整可能なシート支持体を含む。同時に、その傾きを調整可能なシートバックがシート支持体に固着されている。その際、シートバックの旋回点は案内レールから多少離間させて配置されている。調整装置はさらにシート支持体の縦方向でのスライド調整用にもシートバックの傾き調整用にもそれぞれ1つの駆動モータを含む。これは普通直流モータであり、または可変速直流モータでもある。
【0035】
自動シート調整では、調整されるべきシート内でまたは調整されるべきシートとリヤシートとの間でも人の挟まれる危険がある。このような挟まれる事態はモータトルクを高め、従ってモータから加えられる高い力と相関している。モータによって発生されるこの総合トルクはここでは一般に総合負荷とも称される。特にこのようなシート調整では挟まれる事態の確認が問題である。というのも、柔らかいシートクッションのゆえに挟まれる事態のとき、モータから付加的に加えねばならない力が必ずしも急激な上昇を示さないからである。
【0036】
制御装置によるこのような調整装置の計算的および数学的処理が以下で図1〜図3を基に詳しく説明される。その際、図1はこのような調整装置の物理的思考モデルを示す。この物理モデルによれば、動作時モータ2にモータ電圧uが印加され、モータ電流iが流れる。この電気回路がオーム抵抗RとインダクタンスLとを有する。動作中、逆電圧uindが誘導される。
【0037】
モータはモータ電流iのゆえにモータトルクMMotを発生し、回転数nで軸4を駆動する。軸4が調整装置の調整機構と連結されており、調整装置は慣性モーメントJで表してある。それに加えて、調整機構から加えられる荷重モーメントMLがモータトルクMMotに対抗する。荷重モーメントMLは複数の部分モーメント、例えば調整装置の摩擦のゆえに加わる摩擦モーメントMRから成り、この摩擦モーメントに付加的に作動渋滞トルクMSが重なっていることがある。
【0038】
挟まれる事態のとき荷重モーメントMLに付加的になお挟み付けモーメントMEが含まれる。挟み付け防止装置を確実に確認できるようにするために、この挟み付けモーメントMEが確定されねばならない。その際問題として、荷重モーメントMLの他の成分が可変である。特にシート調整用挟み付け防止装置の場合、挟まれる事態の検知が問題である。というのも、シートクッションの可撓性のゆえに挟み付け力はゆっくりと増加するだけであり、従って例えば局所的作動渋滞と区別するのがきわめて困難であるからである。
【0039】
人がシートと他のシートまたはインストルメントパネルとの間で挟み付けられたときの実際の経過を物理的、数学的に単純なモデルで記述するためにばねモデルが挟まれる事態について推定される。そのことが図1に示す物理モデルでは、荷重モーメントMLに寄与する挟み付けモーメントMEがモータトルクMMotに対抗するばね6のばねモーメントとして特徴付けられていることに現れている。このばね6はそれ自体、ばね定数cを介して表現されたばね剛性を特徴としている。
【0040】
この物理モデルを基礎として以下の方程式1がモータ電圧uについて得られる:
方程式1:u=R・i+Ldi/dt+uind
【0041】
この式から量di/dtについて方程式1’を導出することができる:
方程式1’:di/dt=1/L(u‐R・i−K1n)
その際、以下の関係が考慮された。それによれば、誘起電圧uindが回転数nに比例しており、比例係数がK1である:
方程式2:uind=K1
【0042】
さらに、モータトルクMMotは比例係数をK2としてモータ電流iに比例していることが妥当する:
方程式3:MMot=K2
【0043】
図1による物理モデルの右辺では、以下の方程式をトルクについて作成することができ、それによればモータトルクMMotと荷重モーメントMLとの間の差が回転数nの変化に比例しており、比例係数は慣性モーメントJである:
方程式4:MMot−ML=Jdn/dt
【0044】
慣性モーメントJは実際には複数の成分、特にモータの慣性モーメントとシートの機械的部分の慣性モーメントとから成る。電動シート調整用に一般にごく大きな変成比が予定されているので、機械的部分の総合慣性モーメントの成分は無視することができ、モータ慣性モーメントを考慮すれば計算には十分である。挟み付けモーメントMEにはばねモデルから以下の方程式を導出することができ、それによれば挟み付けモーメントMEがばね力FFに比例しており、比例係数K3は調整機構のジオメトリを考慮する重みパラメータである。その際、重みパラメータは例えばレバー長、レバー比、または調整機構の位置を考慮する。それに加えて、重みパラメータには危険範囲に関する情報、つまり例えば、特に体格に依存してもいるシート間の距離に関する情報も含まれる。ばね力FFはそれ自体、進んだ回転角φ‐φKに比例しており、比例係数はばね定数cである。その際、φKは挟まれる事態開始時の時点における回転角、つまり調整すべきシートと挟み付けられた人との間の接触がはじめて現れたときの回転角である。
方程式5:ME=K3F=K3c(φ‐φK
【0045】
この物理モデルから導出することのできる数学モデルもしくは相応する計算アルゴリズムは、挟まれる事態を表すばねモデルがさしあたり考慮されない場合、図2に示す制御回路で表すことができる。この制御回路は実質的に方程式1〜4による諸関係を写像する。これにより、モータ電圧uは調整信号として特定回転数nを引き起こす。モータ電流iの変化はオーム抵抗Rを介して変化した電圧降下をもたらす。同様に、荷重モーメントMLの変化は回転数の変化、従って誘起される逆電圧の変化をもたらす。これら両方の電圧成分がモータ電圧uに逆作用し、全体として制御回路が形成される。
【0046】
補足的ばねモデルを考慮して第2数学モデルを導出することができ、このモデルを頼りに実際の状況が挟まれる事態の存否を点検される。この第2モデルは図3による制御回路で写像することができる。この制御回路は、図2の制御回路に対して、方程式5で表したようにばねモデルだけ拡張されている。
【0047】
回転数nから補間を介して回転角φが得られる。ばね定数cに基づいて挟み付けモーメントMEが形成される。図2の第1数学モデルを介して最後に確定された荷重モーメントMLは一定した量として第1モデルによって図3の第2モデル用入力量ML’として引き継がれる。入力量ML’は、システムの総合摩擦を特徴付ける基本トルクMGに一致している。この第2モデルに含まれるすべての量、つまりインダクタンスL、抵抗R、定数K1〜K3、モータの慣性モーメントJは既知もしくは算定可能であり、回転数、従って回転角は測定することができる。唯一の未知数として残るのはばね定数cであり、つまりこのばね定数は第2数学モデルを基に好適なアルゴリズムによって算定することができる。
【0048】
量L、R、K1、K2はモータ特有の特性量であり、特定形式のモータを使用する場合既知であり、または少なくとも実験によって確定することができる。慣性モーメントJと定数K3は調整機構を特徴付ける量もしくはモータと調整機構との協動を特徴付ける量であり、これらの量はやはり特に基準モデルでの実験で確定することができ、また確定される。その際、定数K3は各調整装置形式について個別に確定される。その際特に、調整装置の実際のモデルでの測定を頼りにパラメータK3の値が測定され記憶されまたは理論的に確定される。その際に考慮すべき点として、特にシート調整機構を表す重みパラメータK3は、例えばシートバックの傾き角またはシートの実際の縦位置等の別の量に依存している。それゆえに全体として、パラメータK3の数値表または特性線図が作成され、制御装置の記憶装置に格納される。数値表または特性線図から次にそれぞれ実際のシート位置に依存してその都度有効なパラメータ値が読み取られ、第1モデルもしくは第2モデルの計算に引き継がれる。その際、このパラメータ値の処理はファジィ論理の枠内でも行うことができる。
【0049】
図4にはモータトルクMMotの代表的推移が調整行程xに対して、または時間tに対しても示してある。モータトルクMMotの代わりに、モータから加えられる力Fをプロットしておくこともできる。モータトルクを算定して評価することは必ずしも必要でない。加えられた力Fに相関した量を確定し、または補足的に利用し評価すれば十分である。相関する量は例えば検出した回転数nである。
【0050】
この方法では始動段階Iと監視段階IIとの間が区別される。始動段階Iは2つの部分段階IA、IBに区分され、部分段階IAがモータ2の初期段階を表す一方、モータ2は実質一定した特定のモータトルクMMotに制御される。摩擦変化、作動渋滞または挟まれる状況が生じるのでない限り、モータトルクMMotはこのレベルに留まる。
【0051】
第2部分段階IBは基本トルクMGを算定するのに役立つ。これは、この部分段階IB中にモータ2から放出されるモータトルクMMotに一致しており、このモータトルクは総合モーメントまたは総合負荷とも称される。基本トルクMGの算定は特に、第2部分段階IBにわたってモータトルクMMot値の平均値を形成することによって行われる。そうする代わりに、始動段階I全体にわたって平均値形成が行われ、初期作用が無視される。
【0052】
始動段階Iは時点t0に監視段階IIに移行する。その際、時点t0は、この時点までに調整装置が所定の調整行程を進むように設計されている。始動段階I中に確定された基本トルクMG値はまず監視段階II用に比較値として保持される。監視段階II中に、顕著な偏差または特徴的偏差が基本トルクMGとの差として規定され、下側負荷値M1と称される限界値が確定される。モータトルクMMotの推移はいまや、この下側負荷限界値M1を上回るか否かを監視される。その際、モータトルクMMotの推移の判定基準として特に回転数nの平均推移が利用される。
【0053】
その際好ましくは基本トルクMGの値が、またそれとともに下側負荷値M1が調整過程中に適合される。つまり普通、調整行程にわたって異なる摩擦値と局所的作動渋滞が現れ、モータトルクMMotは変化し、例えば長い調整行程にわたっても連続的に増加する。基本トルクMGが適合されないなら、挟まれる事態の存否点検の作動基準である負荷値M1を上回る虞があろう。その際、基本トルクMGの適合は例えば、所定の時間窓にわたって円滑な平均値形成によって、または時点t0から始めて連続的平均値形成を介しても、行われる。
【0054】
負荷値M1を上回ると、それは、可能な挟まれる事態の兆候と評価される。この時点に、第1数学モデルから第2数学モデルへと切り換えられ、いまや計算用にばねモデルが考慮される。その際第2モデルに切り換えるとき、第1モデルでなお確定された少なくとも1つの量が第2モデル用入力量として引き継がれる。これは特に、最後の実際の基本トルクMGの値である。というのもこれは、挟み付けモーメントME以外に、駆動装置に作用する全モーメントの合計であるからである。
【0055】
それゆえに、第2数学モデルへの切換は、負荷値M1を上回る時点tAに行われる。それとともに、監視段階IIも2つの部分段階IIA、IIBに区分され、第1部分段階IIA中に第1数学モデルが監視に利用され、部分段階IIB中に第2数学モデルが利用される。
【0056】
いまや第2数学モデルによって、実際に挟まれる事態が存在するか否かが点検される。そのことが以下で図5〜図7に基づいて詳しく説明される。この点検中に挟まれる事態の存在が確認されると、モータ2は自動的に停止され、場合によっては反転される。挟まれる事態でないことが確認されると、引き続き再び第1数学モデルに切り換わり、監視段階IIの部分段階IIAが継続される。
【0057】
シート調整が挟まれる事態を点検されるとき、モータトルクMMotの推移は、以下の運動等級が存在することを調べられる:
a)調整装置の作動渋滞。
b)物体の挟み付け。ここでは2つの挟み付け状況b1、b2が区別される。
c)端止めへの突接。
d)衝撃的反作用(パニック反応)。
e)荷重運動。
【0058】
モータトルクMMotのこれら運動等級の特徴的推移が図5、図6に示してある。
【0059】
図5、図6の個々の曲線部分から読み取ることができるように、作動渋滞の運動等級a)はゆっくりとしたモーメント上昇を特徴としている。普通、ここでは高いトルク値が達成されない。これとは異なり、挟まれる事態の運動等級b)における曲線推移は多少急峻な上昇を特徴とする。その際、あたかも動かない物体が挟み付けられる挟まれる状況の現れることが基本的にある。これは、物理的現実をごく良好に表すばねモデルを基礎にして、モータ2から加えられる力、従ってそのモータトルクMMotの均一な直線的上昇を意味する。これはb1の曲線部分に一致している。しかし普通、人が一定の反力を加えると予想することができる。これはb2の曲線推移で表現されており、これによればモーメント上昇が累進的であり、直線的ではない。
【0060】
運動等級c)は、ここではシート機構が機械的止めに向かって移動するので、運動等級b)に比べて強い力上昇を特徴としている。その際この上昇は普通直線的である。というのも、機械的止めは少なくとも1つの一定したばね剛性またはばね定数cを特徴としており、従って力は進んだ行程に比例して直線的に構成されるからである。これとは異なり、荷重運動(運動等級e))では、つまり例えばシート調整中にシート上で人が動く場合、値に類似した力上昇を認めることができるが、しかし力上昇の推移は機械的止めに突接するときのようにもはや直線的でない。
【0061】
最後になお他の運動等級d)、つまりパニック反応の運動等級が確定されている。その際、特定状況のもとで人の挟まれる危険が衝撃的逆反応で応えられるものと前提される。そのことは一般に、この人がその全力で調整運動に抵抗することに現れる。これにより、ごく急峻な力上昇が引き起こされる。またここでも厳しい直線的推移は予想されない。
【0062】
これらの異なる状況を評価するとき基礎となるばねモデルにおいて、力もしくはモータトルクMMotの上昇は勾配もしくは導関数に一致し、従ってばね定数cに一致する。それゆえに、判断基準として導関数を介して得られるばね定数cがモータトルクMMotの実際に測定された推移の等級区分の決定的判定基準として利用される。補足的に明確な割当てのために、満たさねばならない他の判断基準が設けられている。その際、用語「導関数」はごく広く理解しなければならない。重要なのは、各モータトルクMMotの推移について、運動等級a)〜e)のいずれが存在するかの逆推定を引き出すことのできる特性量を確定することである。
【0063】
実施例では、異なる運動等級を確認するために下側負荷値M1の他に平均負荷値M2および最大負荷値M3が規定される。各負荷値M1〜M3に達すると、割り当てられた調整行程x1〜x3が(または割り当てられた時点tも)保持され、それぞれ値対(M1、x1)、(M2、x2)、(M3、x3)が形成される。そうする代わりに、部分段階IIB中に固定行程点を設け、これらの行程点についてその都度の実際のモータトルクMMotを算定する可能性もある。
【0064】
値対から次に特に単純な直線補間によって、または別の数学的補間によっても、それぞれ勾配c1、c2の値が確定される。そのことが図5で運動等級b2について示唆してある。3つの離散的値対のみが評価されるので、計算支出はごく僅かである。そうする代わりに、導関数を連続的に算定する可能性も当然にある。
【0065】
幾つかの運動等級a)〜e)は相互に、または一部では上昇の推移のみによって相違している。3つの値対を確定することによって2つの間隔が評価に利用され、力上昇が増加するか否か、一定に留まりまたは場合によっては減少もするか否かが検知可能となる。
【0066】
導関数(勾配c1、c2)の判断基準を補足して、最大負荷値M3を上回ることが他の判断基準としてなお利用される。それゆえに、導関数が所定の値範囲内で動きかつ同時に最大負荷値M3を上回るときだけ、挟まれる事態が検知される。導関数を考慮して、絶対値の他に絶対値の推移も判断値として利用される。
【0067】
図5と図6との比較から明らかとなるように、パニック反応の運動等級d)自体が考慮されることが決定的に重要である。というのも、運動等級b1)、b2)が挟まれる状況を表すからである。しかしながら、これら両方の挟まれる状況の間に運動等級c)、e)、つまり端止めへの突接と荷重運動がある。しかし特に荷重運動では、モータの遮断または反転は望ましくない。つまりこのようなパニック反応を考慮して曲線推移を点検してはじめて、快適性を損なうことなく、挟まれる事態確認のための高い判断信頼性が可能となる。
【0068】
実際に測定された推移を個々の運動等級a)〜e)に割り当てるために、特に導関数が特別重要である。導関数のいかなる値もしくは導関数のいかなる推移が運動等級a)〜e)のいずれに割り当てるべきであるのかの割当てについて、合目的には‐重み係数K3におけると同様に‐導関数の個々の値または推移が表または特性線図に格納され、この表または特性線図から直接に、またはファジィ論理を頼りに、他の境界パラメータを考慮して次に個々の運動等級への割当てが行われる。その際有利には、表もしくは特性線図はやはり校正過程の方式で具体的物理モデルに基づいて確定され、または経験値に依拠される。
【0069】
このような特性線図から導出された力行程線図が図7に示してあり、この線図では、運動等級a)〜e)に割り当てられるべき個々の範囲が破線で相互に分離されている。さらに例えば、挟まれる事態のときの累進的力上昇を有する力推移が、確定された勾配値c1、c2と一緒に書き込まれている。
【0070】
図8は、モータ2の回転数nと時間tとの関係を例示的にプロットした線図である。図示してある3つの調整1V、2V、3Vは2つの調整休止ΔtP12、ΔtP23によって相互に分離されている。第1調整1Vにおいて回転数nが第1値n1Vに達する。この第1調整1V中の回転数nから第1モータトルクMMot1が第1総合負荷として算定される。第2調整2Vにおいて回転数nが達する第2値n2Vは第1値n1Vに比べて低減している。この第2調整2V中の回転数nから第2モータトルクMMot2が第2総合負荷として算定される。第3調整3Vにおいて回転数nが達する値n3Vは第2値n2Vに比べて低減している。この第3調整3V中の回転数nから第3モータトルクMMot3が第3総合負荷として算定される。3つの調整1V、2V、3Vにわたる回転数nのこの減少に基づいて概略説明する挟まれる事態は同一の調整方向に調整装置を複数回短時間操作するとき現れることがあり、以下で説明するようにシート制御装置によって確定することができる。
【0071】
時点ton1に調整1Vがスタートする。破線範囲はモータ2の始動段階を表す部分段階IAに相当する。モータ2のこの始動段階においてモータ2は回転数nV1に加速される。第1調整1V中に回転数nが変化することがあるが、そのことは図8には図示簡素化のため示していない。第1調整1V中の回転数nから第1モータトルクMMot1および基本トルクMGが算定される。時点toff1に第1調整1Vが終了し、基本トルクMGの値は記憶されたままである。
【0072】
時点ton2に第2調整2Vがスタートする。モータ2の始動段階後、回転数が値n2Vに達する。この値から実際の第2モータトルクMMot2が算定される。第2調整2V中は閾値(Thx、図9参照)よりも短い調整行程Δx(2V)が進まれるので、それまで記憶されていた基本トルクMG値は引き続き記憶されたままであり、挟み付け防止アルゴリズム用に入力量として使用される。挟まれる事態を検出するためにモータトルクMMot2は第2調整2V中、挟まれる事態を算定するために基本トルクMGと一緒に評価される。時点toff2に第2短時間調整2Vは終了している。
【0073】
時点ton3に第3調整3Vがスタートする。これはやはり短時間持続するにすぎず、第3調整3V中は、調整距離と相関した閾値(Thx、図9参照)よりも短い調整行程Δx(3V)が進まれる。第1調整1V中に確定した基本トルクMGは引き続き記憶されたままであり、挟まれる事態を確定するために入力量として使用される。第3調整3V中、速度n3Vから確定した実際の第3モータトルクMMot3は記憶した基本トルクMGと一緒に評価される。
【0074】
アルゴリズムの一部が図9に流れ図として略示してある。ステップ1でアルゴリズムがスタートする。スタートは例えば1調整方向に初めて操作することによって開始することができる。次にステップ2では基本トルクMGが調整中持続的に算定される。ステップ3において進んだ調整行程Δxが閾値Thxに達すると、ステップ4において挟まれる事態(EKF)は算定した基本トルクMGで確定される。挟まれる事態を確定できるとき、ステップ6において調整が停止または反転される。さもない場合、ステップ2において基本トルクMGの持続的確定が継続される。
【0075】
ステップ3において進んだ調整行程Δxが閾値Thxよりも小さいと、ステッ
プ5において挟まれる事態が確定される。この確定は、先行する調整時に確定してなお記憶している基本トルクMGを入力量として利用する。ステップ5において挟まれる事態(EKF)を確定できないとき、ステップ3において再び閾値比較が行われる。ステップ3において進んだ調整行程Δxが閾値Thxよりも大きいと、場合によってはステップ4後にステップ2において基本トルクMGが新たに算定される。さもない場合、ステップ5で挟まれる事態が検知されると、引き続きステップ6において調整は停止される。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】特にシート調整の調整装置の物理的思考モデルの図である。
【図2】調整装置における個々の経過を記述するための第1数学モデルの制御回路を示す。
【図3】挟まれる事態を考慮して調整装置における個々の経過を記述するための第2数学モデルの第2制御回路を示す。
【図4】行程または時間に対するモータトルクもしくはモータ力の推移の略図である。
【図5】調整運動時にさまざまに現れる運動等級についての力推移またはトルク推移の略図である。
【図6】調整運動時にさまざまに現れる運動等級についての力推移またはトルク推移の略図である。
【図7】個々の運動等級が異なる範囲に割り当てられた力行程線図である。
【図8】短時間調整操作が順次行われる回転数時間線図である。
【図9】連続的短時間操作の間を区別する挟み付け防止の流れ図である。
【符号の説明】
【0077】
2 モータ、4 軸、6 ばね、u モータ電圧、R 抵抗、L インダクタンス、i モータ電流、uind 誘起電圧、MMot モータトルク、n 回転数、J 慣性モーメント、ML 荷重モーメント、MR 摩擦モーメント、MS 作動渋滞モーメント、ME 挟み付けモーメント、MG 基本トルク、c ばね定数、K1、K2 比例定数、K3 重みパラメータ、FF ばね力、φ 回転角、φK 接触時点の回転角、t 時間、ton1、toff1、ton2、toff2、ton3、toff3 時点、ΔtP12、ΔtP23 調整休止時間、x 調整行程、Thx 閾値、Δx 調整の調整行程、M1 下側負荷値、M2 平均負荷値、M3
最大負荷値、n1V 第1調整用回転数値、n2V 第2調整用回転数値、n3V 第3調整用回転数値、c1、c2 勾配、I 始動段階、IA 初期段階、IB 第2部分段階、II 監視段階、IIA、IIB 監視段階の部分段階、1V 第1調整、2V 第2調整、3V 第3調整、EKF 挟まれる事態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動駆動式シート調整装置用の挟み付け防止機能を有するシート電子制御装置であって、
駆動装置(2)の少なくとも1つの検出した特性量(u、i、n)から駆動装置(2)の調整運動を確定し、
同じ調整方向への駆動装置(2)の複数の短時間調整(2V、3V)中に、第1調整(1V)の特性量(u、i、n)の測定値と第2および/または他の短時間調整(2V、3V)の特性量(u、i、n)の測定値とから挟み付けを確定するように構成し整えられたシート電子制御装置。
【請求項2】
第1調整(1V)中に、駆動装置(2)から加えられる第1総合負荷(MMot1)を確定し、
調整休止(ΔtP12)後、同じ調整方向への第2調整(2V)時に、駆動装置
(2)から加えられる第2総合負荷(MMot2)を確定し、
第2調整(2V)の調整行程(Δx(2V))または調整時間が閾値(Thx
)を下回るとき、確定した第1総合負荷(MMot1)の評価を拒否せず、
第1総合負荷(MMot1)および第2総合負荷(MMot2)の評価に依存して挟まれる事態であることが検出されたとき、駆動装置(2)を停止させ、または駆動装置(2)の調整方向を反転させるように整えられた請求項1記載のシート電子制御装置。
【請求項3】
第1調整(1V)中に第1総合負荷(MMot1)から第1基本負荷(MG)を確定して記憶し、第2調整(2V)中に第1基本負荷(MG)と第2調整(2V)中に変化する第2総合負荷(MMot2)との比較から挟まれる事態の存否を確定するように整えられた請求項2記載のシート電子制御装置。
【請求項4】
第2調整(2V)の調整行程(Δx(2V))が閾値(Thx)を上回るとき
、まず第2調整(2V)の始動段階(I)中に第2総合負荷(MMot2)から第2基本負荷(MG)を確定して記憶し、
監視段階(II)中に第2基本負荷(MG)と第2調整(2V)中に変化する第2総合負荷(MMot2)との比較から挟まれる事態の存否を確定するように整えられた請求項2または3記載のシート電子制御装置。
【請求項5】
閾値(Thx)を上回った後に評価を抹消するために、確定した第1基本負荷(MG)を挟まれる事態の他の確定用の第2基本負荷(MG)に取り替えるように整えられた請求項3又は4記載のシート電子制御装置。
【請求項6】
始動段階(I)が調整装置の50mm以下のスライド調整行程もしくは約1°の傾き調整である請求項4または5記載のシート電子制御装置。
【請求項7】
他の調整休止(ΔtP23)後、同じ調整方向への第3調整(3V)時に第3総
合負荷(MMot3)を確定し、
第3調整(3V)の調整行程(Δx(3V))が閾値(Thx)を下回るとき
、確定した第1総合負荷(MMot1)の評価を抹消せず、
第1総合負荷(MMot1)および第3総合負荷(MMot3)の評価に依存して挟まれる事態が検出されたとき、駆動装置(2)を停止させ、または駆動装置(2)の調整方向を反転させるように整えられた請求項2または3記載のシート電子制御装置。
【請求項8】
総合負荷(MMot)を確定するために第1数学モデルが根拠とされ、基本負荷(MG)からの総合負荷(MMot)の顕著な偏差時または検出した特性量の顕著な偏差時にはじめて、挟まれる事態の存否判定のために、挟まれる事態を考慮した第2数学モデルに切り換わるように整えられた請求項1〜7のいずれか1つに記載のシート電子制御装置。
【請求項9】
自動車シートの駆動装置(2)を制御するためのシート電子制御装置であって、駆動装置(2)の複数回の短時間操作中に駆動装置(2)の特性量(u、i、n)を検出し、複数回の短時間操作に割り当てられた各特性量(u、i、n)を評価し、複数回の操作のこれらの評価に依存して挟まれる事態を確定するように構成し整えられたシート電子制御装置。
【請求項10】
特にシート調整の電動駆動式自動車調整装置を制御するための方法であって、挟まれる事態を監視するために駆動装置(2)の少なくとも1つの検出した特性量(u、i、n)から、駆動装置(2)によって加えられる総合負荷(MMot)が導出され、
第1調整(1V)中に第1総合負荷(MMot1)が確定され、
調整休止(ΔtP12)後、同じ調整方向への第2調整(2V)時に第2総合負
荷(MMot2)が確定され、
第2調整(2V)の調整行程(Δx(2V))または調整時間が閾値(Thx
)を下回るとき、確定した第1総合負荷(MMot1)の評価が拒否されず、
第1総合負荷(MMot1)および第2総合負荷(MMot2)の評価に依存して挟まれる事態が検出されるとき、駆動装置(2)が停止され、または駆動装置(2)の調整方向が反転されるようになった方法。
【請求項11】
第1調整(1V)中に第1総合負荷(MMot1)から第1基本負荷(MG)が確定されて記憶され、第2調整(2V)中に第1基本負荷(MG)と第2調整(2V)中に変化する第2総合負荷(MMot2)との間の比較から挟まれる事態の存否が確定される請求項10記載の方法。
【請求項12】
第2調整(2V)の調整行程(Δx(2V))が閾値(Thx)を上回るとき
、まず第2調整の始動段階(I)中に第2総合負荷(MMot2)から第2基本負荷(MG)が確定されて記憶され、
監視段階(II)中に第2基本負荷(MG)と第2調整(2V)中に変化する第2総合負荷(MMot2)との間の比較から挟まれる事態の存否が確定される請求項10または11記載の方法。
【請求項13】
閾値(Thx)を上回った後に評価を抹消するために、確定した第1基本負荷(MG)が挟まれる事態の他の確定用の第2基本負荷(MG)に取り替えられる請求項11又は12記載の方法。
【請求項14】
他の調整休止(ΔtP23)後、同じ調整方向への第3調整(3V)時に第3総
合負荷(MMot3)が確定され、
第3調整(3V)の調整行程(Δx(3V))が閾値(Thx)を下回るとき
、確定した第1総合負荷(MMot1)の評価および/または確定した第2総合負荷(MMot2)の評価が消去されず、
第1総合負荷(MMot1)および第3総合負荷(MMot3)の評価に依存して挟まれる事態が検出されるとき、駆動装置(2)が停止され、または駆動装置(2)の調整方向が反転される請求項10ないし13のいずれか1つに記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2009−526694(P2009−526694A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554679(P2008−554679)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際出願番号】PCT/EP2007/001320
【国際公開番号】WO2007/093420
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(508132665)ブローゼ ファールツォイクタイレ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニ コマンディートゲゼルシャフト コブルグ (8)
【Fターム(参考)】