説明

電圧検出回路及びランプ駆動回路

【課題】
トランスの二次巻線側の出力電圧を直接測定することができない場合において、当該二次巻線側の出力電圧を精度良く推定する。
【解決手段】
本発明の電圧検出回路は、複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に接続された正側の半波整流回路及び負側の半波整流回路と、正側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号と、負側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号とを合成する合成回路と、合成回路の出力に対して、トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行う回路と、イコライザの出力をエンベロープ検波する回路とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスの二次巻線側の電圧を直接測定できない場合において、トランスの二次巻線側の電圧を推定するための技術である。
【背景技術】
【0002】
放電管点灯用のインバータ回路では、特に起動時などには放電を開始させるため、インバータ回路の出力電圧を上げたり、その周波数をスキャンしてトランスの二次巻線側に生ずる漏れインダクタンス成分を用いた共振による電圧上昇を利用して、通常より高い電圧をかける。しかし、過電圧が発生すると、スパークなどでトランス自身や周囲の電子回路にダメージを与えてしまう。そのため、従来では、トランスの二次巻線側の電圧自身を検出して過電圧発生を防止するように電圧を自動調整したり、動作を停止させる。
【0003】
このために、例えば図1に示すような放電管駆動回路が用いられていた。すなわち、図1の放電管駆動回路1000は、トランスT1001乃至T1004と、キャパシタC1000乃至C1007と、ダイオードD1000乃至D1003と、放電管LP1000及びLP1001とを有する。トランスT1001の一次巻線の端子P2は、トランスT1003の一次巻線の端子P2に接続されている。また、トランスT1001の一次巻線の端子P1は、トランスT1002の一次巻線の端子P2に接続されている。トランスT1002の一次巻線の端子P1は、トランスT1004の一次巻線の端子P1に接続されている。トランスT1004の一次巻線の端子P2は、トランスT1003の一次巻線の端子P1に接続されている。トランスT1003の一次巻線の端子P2は、図示しないインバータ回路の一端に接続され、トランスT1004の一次巻線の端子P1は、図示しないインバータ回路の他端に接続されている。
【0004】
また、トランスT1001の二次巻線の端子S1は、接地されており、端子S2は放電管LP1000の一端と、キャパシタC1000の一端とに接続されている。キャパシタC1000の他端は、キャパシタC1001の一端とダイオードD1000のアノードに接続されている。キャパシタC1001の他端は接地されている。また、放電管LP1000の他端は、トランスT1003の二次巻線の端子S2と、キャパシタC1002の一端に接続されている。トランスT1003の二次巻線の端子S1は接地されている。キャパシタC1002の他端は、キャパシタC1003の一端と、ダイオードD1001のアノードとに接続されている。キャパシタC1003の他端は接地されている。
【0005】
さらに、トランスT1002の二次巻線の端子S1は、接地されており、端子S2は放電管LP1001の一端と、キャパシタC1004の一端とに接続されている。キャパシタC1004の他端は、キャパシタC1005の一端とダイオードD1002のアノードに接続されている。キャパシタC1005の他端は接地されている。また、放電管LP1001の他端は、トランスT1004の二次巻線の端子S2と、キャパシタC1006の一端に接続されている。トランスT1004の二次巻線の端子S1は接地されている。キャパシタC1006の他端は、キャパシタC1007の一端と、ダイオードD1003のアノードとに接続されている。キャパシタC1007の他端は接地されている。
【0006】
ダイオードD1000乃至D1003のカソードは全て接続され、さらにSENS端子を介して図示しない電圧検出回路に接続される。このようにキャパシタC1000とC1001、キャパシタC1002とC1003、キャパシタC1004とC1005、キャパシタC1006とC1007により各トランスの二次巻線の出力電圧を分圧して検出している。これらの出力電圧の最大値が、図示しない電圧検出回路に入力されることになる。そして、電圧検出回路は、検出された電圧に応じた信号をインバータ回路に出力する。インバータ回路は、検出回路からの信号に応じて、上で述べたように出力電圧を調整したり、出力を停止させたりする。
【0007】
このような場合、(a)キャパシタで分圧する場合には二次巻線側の高圧部分に寄生容量を付けることになるため、無効電流が発生してしまう、(b)抵抗で分圧する場合には抵抗自身で電力ロスを発生させてしまう、(c)キャパシタを用いる場合には高耐圧のキャパシタが必要である、(d)二次巻線側の放電管をフローティングで駆動するような回路では使用できない、といった問題が生じていた。
【0008】
なお、トランスの二次巻線側の電圧を検出する技術には、米国出願公開公報2004−0155596A1に開示された技術が存在するが、フォトカプラを用いるといった特殊な構成を用いている。
【特許文献1】米国出願公開公報2004−0155596A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上で述べたような問題を解決する方法としては二次巻線側ではなく、低電圧の一次巻線側の電圧、又は電圧検出用の三次巻線側の電圧を測定することによって上で述べたようなインバータ回路の動作を制御することも考えられる。しかしながら、二次巻線側には、漏れインダクタンス成分と浮遊容量及び周波数調整兼検出用分圧キャパシタによる図2のような共振特性が存在する。図2では横軸は周波数を表し、縦軸はゲインを表す。曲線pは二次巻線側の周波数特性を表しており、起動時においては曲線pのような共振特性を利用して高電圧を発生させ、点灯の容易化などに積極的に利用している。一方、定常時においては共振周波数以下で使用する。一方、通常の一次巻線側又は三次巻線側は、曲線qのような共振のない周波数特性を有する。
【0010】
このように二次巻線側と一次巻線側又は電圧検出用の三次巻線側とは周波数特性に差があり、起動時の駆動周波数スイープの際には電圧比も変化するため、一次巻線側又は電圧検出用の三次巻線側を単純に測定しても、二次巻線側の出力に比例した出力を必ずしも得ることはできない。すなわち精度の高い推定ができない。
【0011】
従って、本発明の目的は、トランスの二次巻線側の出力電圧を直接測定することができない場合において、当該二次巻線側の出力電圧を精度良く推定するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の第1の態様に係る電圧検出回路は、電力供給源に接続されたトランスの電圧を検出する機能を有する電圧検出回路であって、トランスに設けられた巻線に発生する電圧を検出する電圧検出手段と、電圧検出手段により検出された上記電圧に共振特性を付加する共振特性付加手段と、共振特性が付加された電圧を用いて、電力供給源によるトランスへの入力を制御する手段とを有する。このように共振特性付加手段を有するため、二次巻線側の正確な電圧を予測することができるようになる。
【0013】
なお、上で述べた共振特性付加手段を、受動素子を用いて構成するようにしてもよい。そして、共振特性を有する受動型回路とすることも可能である。さらに、上で述べた共振特性付加手段を、能動素子と受動素子とを用いて構成するようにしてもよい。そして、共振特性を有する能動型回路とすることも可能である。
【0014】
本発明の第2の態様に係る電圧検出回路は、トランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の出力(直接又は間接的な出力を含む)に対して、トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行うイコライザと、イコライザの出力をエンベロープ検波するエンベロープ検波回路とを有する。このようなイコライザを導入することにより、トランスの二次巻線の出力電圧を精度良く推定することができるようになる。
【0015】
また、トランスが複数である場合、トランス毎にイコライザを設けるようにしてもよい。その場合には、上で述べたエンベロープ検波回路が、各イコライザの出力のうち最大振幅の信号についてエンベロープ検波を行うようにする。
【0016】
本発明の第3の態様に係る電圧検出回路は、複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に接続された半波整流回路と、各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号に対して、トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行うイコライザと、イコライザの出力をエンベロープ検波する回路とを有する。半波整流回路としては例えばダイオードが用いられる。ダイオードが用いられる場合には、アノードをトランスの一次巻線又は三次巻線に接続し、全てのダイオードのカソードを接続することにより自動的に最大振幅の信号が形成される。
【0017】
さらに、本発明の第4の態様に係る電圧検出回路は、複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に接続された全波整流回路と、各全波整流回路の出力のうち最大振幅の信号に対して、トランスの二次巻線側の周波数特性を二倍又は実質的に二倍の周波数にシフトさせた周波数特性に応じた周波数特性の補正を行うイコライザと、イコライザの出力をエンベロープ検波する回路とを有する。単純に全波整流回路を用いると周波数2倍の信号が得られるので、上で述べたようなイコライザを用いる必要がある。
【0018】
さらに、本発明の第5の態様に係る電圧検出回路は、複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に接続された全波整流回路と、各全波整流回路の出力のうち最大振幅の信号に対して、複数のトランスに接続される交流電源の駆動信号に従って同期変調を行う同期変調回路と、同期変調回路の出力に対して、トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行うイコライザと、イコライザの出力をエンベロープ検波する回路とを有する。全波整流回路を用いる場合でも、このように同期変調回路を用いることにより、元の周波数の信号を復元することができる。
【0019】
また、本発明の第6の態様に係る電圧検出回路は、複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に接続された正側の半波整流回路及び負側の半波整流回路と、正側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号と、負側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号とを合成する合成回路と、合成回路の出力に対して、トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行う回路と、イコライザの出力をエンベロープ検波する回路とを有する。第2乃至第5の態様に係る電圧検出回路では、トランス毎にイコライザを用意する必要はないので、コスト削減及び電力ロスの減少が実現される。但し、第2及び第3の態様については検出精度についてはやや問題がある。第4及び第5の態様に係る電圧検出回路は、精度については問題ないが、第5の態様の方が部品点数を減らすことができる。
【0020】
なお、正側の半端整流回路が、第1のダイオードとすると、複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に第1のダイオードのアノードが接続され、第1のダイオードのカソードが共通接続されることにより上で述べた正側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号が生成される。また、負側の半波整流回路が、第2のダイオードとすると、複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に第2のダイオードのカソードが接続され、第2のダイオードのアノードが共通接続されることにより負側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号が生成される。
【0021】
さらに、本発明の第7の態様に係るランプ駆動回路は、複数のトランスと、複数のトランスの二次巻線に接続される複数のランプ(例えば放電管)と、複数のトランスの二次巻線側の電圧を推定する電圧検出回路と、電圧検出回路からの出力に応じて複数のトランスの一次巻線に対する交流電源出力を自動調整又は停止させる制御回路とを有する。そして、複数のトランスの二次巻線と上記複数のランプとが閉ループを構成している。また、本ランプ駆動回路における電圧検出回路には、上で述べた第1乃至第5の態様に係る電圧検出回路のいずれかを用いることができる。
【0022】
以上のような構成を実現するための回路は複数存在しており、以下に具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、トランスの二次巻線側の出力電圧を直接測定することができない場合において、当該二次巻線側の出力電圧を精度良く推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
1.実施の形態1
第1の実施の形態に係る電圧検出回路の機能ブロック図を図3に示す。本実施の形態では、トランスの三次巻線を用いるが、一次巻線を用いるようにしても良い。本実施の形態に係る電圧検出回路は、イコライザ1と、全波又は半波整流部3と、最大値検出部5と、エンベロープ検出部7とを有する。なお、本実施の形態においては、イコライザ1と全波又は半波整流部3は、トランス毎に設けられる。
【0025】
本実施の形態に係る電圧検出回路においては、トランスの三次巻線の出力が、イコライザ1に入力される。トランスの三次巻線の出力は、例えば図4の(a)のような波形の信号となる。イコライザ1は、トランスの三次巻線の出力に対して、二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行う。イコライザ1の出力は、全波又は半波整流部3に入力される。全波又は半波整流部3は、イコライザ1の出力を半波又は全波整流し、最大値検出部5に出力する。最大値検出部5は、全てのトランスの全波又は半波整流部3の出力のうち最大値を検出してエンベロープ検出部7に出力する。最大値検出部5の出力は、全波整流の場合には(c)のような波形の信号であり、半波整流の場合には(b)のような波形の信号である。エンベロープ検出部7は、最大値検出部5からの入力のエンベロープ検波を行う。このエンベロープ検出部7の出力は、例えばトランスの一次巻線に接続されるインバータ回路に入力され、当該インバータ回路はエンベロープ検出部7からの入力に応じて出力電圧の調整又は出力停止を行う。
【0026】
図3に示した機能は例えば図5に示すような回路にて実現される。図5は、本実施の形態に係る電圧検出回路を放電管駆動回路に適用した例を示している。図5は、放電管駆動回路の右側部分のみを示しており、本回路は、トランスT1及びT2と、キャパシタC1及びC2と、抵抗R1乃至R4と、コイルL2及びL3と、ダイオードD1乃至D8と、制御回路を含むインバータ回路10と、エンベロープ検出回路11とを有する。トランスT1は、インバータ回路10に接続された一次巻線と、図示しない放電管に接続される二次巻線と、電圧検出用の三次巻線とを有する。同様にトランスT2は、インバータ回路10に接続された一次巻線と、図示しない放電管に接続される二次巻線と、電圧検出用の三次巻線とを有する。
【0027】
トランスT1の一次巻線の端子P1は、インバータ回路10の第1の端子に接続されている。トランスT1の一次巻線の端子P2は、トランスT2の一次巻線の端子P1に接続されている。トランスT2の一次巻線の端子P2は、インバータ回路10の第2の端子に接続されている。
【0028】
トランスT1の二次巻線の端子S1は、図示しない第1の放電管に接続されている。トランスT1の二次巻線の端子S2は、端子S3と抵抗R1の一端に接続されている。抵抗R1の他端は、接地されている。このようにトランスT1の中間タップである端子S2及びS3は抵抗R1を介して接地されている。トランスT1の二次巻線の端子S4は、図示しない第2の放電管に接続されている。
【0029】
また、トランスT2の二次巻線の端子S1は、図示しない第3の放電管に接続されている。トランスT2の二次巻線の端子S2は、端子S3と抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2の他端は、接地されている。このようにトランスT2の中間タップである端子S2及びS3は抵抗R2を介して接地されている。トランスT2の二次巻線の端子S4は、図示しない第4の放電管に接続されている。
【0030】
トランスT1における電圧検出用の三次巻線の端子P3は、コイルL2の一端に接続され、コイルL2の他端は、キャパシタC1の一端と抵抗R3の一端とダイオードD3のカソードとダイオードD4のアノードとに接続されている。また、三次巻線の端子P4は、キャパシタC1の他端と抵抗R3の他端とダイオードD1のカソードとダイオードD2のアノードとに接続されている。ダイオードD1のアノードとダイオードD3のアノードとは接地されている。
【0031】
トランスT2における電圧検出用の三次巻線の端子P3は、コイルL3の一端に接続され、コイルL3の他端は、キャパシタC2の一端と抵抗R4の一端とダイオードD7のカソードとダイオードD8のアノードとに接続されている。また、三次巻線の端子P4は、キャパシタC2の他端と抵抗R4の他端とダイオードD5のカソードとダイオードD6のアノードとに接続されている。ダイオードD5のアノードとダイオードD7のアノードとは接地されている。
【0032】
キャパシタC1及び抵抗R3とトランスT1の三次巻線の漏れインダクタンス成分及びコイルL2にてトランスT1のためのイコライザ12aが構成される。また、キャパシタC2及び抵抗R4とトランスT2の三次巻線の漏れインダクタンス成分及びコイルL3にてトランスT2のためのイコライザ12bが構成される。ダイオードD1乃至D4によりトランスT1のための全波整流部が構成され、ダイオードD5乃至D8によりトランスT2のための全波整流部が構成される。
【0033】
ダイオードD2のカソードとダイオードD4のカソードと、ダイオードD6のカソードとダイオードD8のカソードとは接続されている。このように接続することにより、ダイオードD2のカソードとダイオードD4のカソードの出力電圧と、ダイオードD6のカソードとダイオードD8のカソードの出力電圧のうち最大電圧が自動的に選択されて、エンベロープ検出回路11に入力されるようになっている。すなわち、最大値検出部5が構成されている。また、エンベロープ検出回路11は、インバータ回路10に接続される。
【0034】
イコライザ12a及び12bでは、トランスの漏れインダクタンス成分及びコイルLのインダクタンス成分とキャパシタにて共振させ、抵抗にてダンピングを調整するようになっている。なお、抵抗は放電管の抵抗を、キャパシタは放電管の容量をエミュレートするものである。このような受動素子の周波数特性により、トランスの二次巻線に現れる、図2のような共振特性が、トランスの三次巻線の出力に付加される。但し、図5に示したような構成のみならず、図6に示すような構成であってもよい。図6では、トランスの三次巻線の端子P3はコイルの一端に接続され、コイルの他端は、抵抗の一端に接続される。また、抵抗の他端はキャパシタの一端及びダイオードに接続される。キャパシタの他端はトランスの三次巻線の端子P4及びダイオードD1(又はD5)のカソード及びダイオードD2(又はD6)のアノードとに接続される。このような構成の場合においても、漏れインダクタンス成分及びコイルのインダクタンス成分とキャパシタにて共振させ、抵抗にてダンピングを調整するのは同じである。このようにすれば、受動素子のみで簡易に構成できるため、安価であると共に、フローティングのまま処理することができるため、後段にダイオード・ブリッジを接続すれば、全波整流及び最大値抽出を行うことができる。
【0035】
なお、抵抗及びキャパシタの値を適切に設定することにより、トランスの三次巻線の漏れインダクタンス成分のみで、外付けのコイルを付加することなく図2のような共振特性を実現することも可能である。
【0036】
本実施の形態では、上で述べたように三次巻線にイコライザを接続して二次巻線の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行うようにしているため、二次巻線の出力電圧を精度良く推定することができる。但し、イコライザをトランスに応じて設ける必要がある。
【0037】
2.実施の形態2
第2の実施の形態に係る電圧検出回路の機能ブロック図を図7に示す。本実施の形態においても、トランスの三次巻線を用いることを前提とするが、一次巻線を用いるようにしても良い。本実施の形態に係る電圧検出回路は、半波整流部21と、最大値検出部23と、イコライザ25と、エンベロープ検出部27とを有する。なお、本実施の形態においては、半波整流部21のみ、トランス毎に設けられる。
【0038】
本実施の形態に係る電圧検出回路においては、トランスの三次巻線の出力が、半波整流部21に入力される。トランスの三次巻線の出力は、例えば図4の(a)のような波形の信号となる。半波整流部21の出力は最大値検出部23に入力される。半波整流部21は、例えばダイオードであり、例えばダイオードのアノードが三次巻線に接続され、全ダイオードのカソードが接続される。そうすると、自動的に半波整流の結果のうち最大値がイコライザ25に入力される。最大値検出部23の出力は、例えば図4の(b)のような波形の信号となる。
【0039】
イコライザ25は、最大値検出部23からの入力に対して、二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行い、補正後の信号をエンベロープ検出部27に出力する。そして、エンベロープ検出部27は、イコライザ25からの入力のエンベロープ検波を行う。このエンベロープ検出部27の出力は、例えばトランスの一次巻線に接続されるインバータ回路に入力され、当該インバータ回路はエンベロープ検出部27からの入力に応じて出力電圧の調整又は出力停止を行う。
【0040】
このようにすると、半波整流なので応答速度が遅く、精度に多少問題があるが、トランス毎に設ける必要があるのは半波整流部21のみであり、部品点数及び電力ロスが減少し、トランスの二次巻線の電圧を三次巻線又は一次巻線の出力から推定することができるようになる。
【0041】
3.実施の形態3
第3の実施の形態に係る電圧検出回路の機能ブロック図を図8に示す。本実施の形態においても、トランスの三次巻線を用いることを前提とするが、一次巻線を用いるようにしても良い。本実施の形態に係る電圧検出回路は、全波整流部31と、最大値検出部33と、倍周波イコライザ35と、エンベロープ検出部37とを有する。なお、本実施の形態においては、全波整流部31のみ、トランス毎に設けられる。
【0042】
本実施の形態に係る電圧検出回路においては、トランスの三次巻線の出力が、全波整流部31に入力される。トランスの三次巻線の出力は、例えば図4の(a)のような波形の信号となる。全波整流部31の出力は最大値検出部33に入力される。全波整流部31は、例えば図5のダイオードD1乃至D4と同様に構成され、全てのトランスについての全波整流部31におけるダイオードD2及びD4のカソードが接続される。そうすると、自動的に全波整流の結果のうち最大値が倍周波イコライザ35に入力される。最大値検出部33の出力は、例えば図4の(c)のような波形の信号となる。
【0043】
倍周波イコライザ35は、最大値検出部33からの出力に対して、二次巻線側の周波数特性を2倍の周波数にシフトさせた周波数特性に応じた周波数特性の補正を行い、補正後の信号をエンベロープ検出部37に出力する。図4の(c)のような波形の信号であれば、二次巻線側の2倍の周波数となるので、倍周波イコライザ35を用いる。そして、エンベロープ検出部37は、倍周波イコライザ35からの入力のエンベロープ検波を行う。このエンベロープ検出部37の出力は、例えばトランスの一次巻線に接続されるインバータ回路に入力され、当該インバータ回路はエンベロープ検出部37からの入力に応じて出力電圧の調整又は出力停止を行う。
【0044】
このようにすると、第2の実施の形態より応答速度が早くなり、トランスの二次巻線の電圧を三次巻線又は一次巻線の出力から推定することができるようになる。なお、図4の(c)のような波形をそのまま処理しているので精度はやや落ちる。
【0045】
4.実施の形態4
第4の実施の形態に係る電圧検出回路の機能ブロック図を図9に示す。本実施の形態においても、トランスの三次巻線を用いることを前提とするが、一次巻線を用いるようにしても良い。本実施の形態に係る電圧検出回路は、全波整流部41と、最大値検出部43と、同期変調部45と、イコライザ47と、エンベロープ検出部49とを有する。なお、本実施の形態においては、全波整流部41のみ、トランス毎に設けられる。
【0046】
本実施の形態に係る電圧検出回路においては、トランスの三次巻線の出力が、全波整流部41に入力される。トランスの三次巻線の出力は、例えば図4の(a)のような波形の信号となる。全波整流部41の出力は最大値検出部43に入力される。全波整流部41は、例えば図5のダイオードD1乃至D4と同様に構成され、全てのトランスについての全波整流部41におけるダイオードD2及びD4のカソードが接続される。そうすると、自動的に全波整流の結果のうち最大値が同期変調部45に入力される。最大値検出部43の出力は、例えば図4の(c)のような波形の信号となる。
【0047】
同期変調部45は、最大値検出部43からの入力に対して、インバータ回路におけるスイッチング信号であるインバータ・キャリア(例えば図4の(d)のような波形の信号)に応じた同期変調を行う。同期変調の結果は、例えば図4の(e)のような波形の信号である。すなわち、両極性が回復されている。イコライザ47は、同期変調部45からの入力に対して、二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行い、補正後の信号をエンベロープ検出部49に出力する。そして、エンベロープ検出部49は、イコライザ47からの入力のエンベロープ検波を行う。このエンベロープ検出部49の出力は、例えばトランスの一次巻線に接続されるインバータ回路に入力され、当該インバータ回路はエンベロープ検出部49からの入力に応じて出力電圧の調整又は出力停止を行う。
【0048】
このようにすると、第3の実施の形態とは異なり元の波形(但し、最大振幅の波形のみを合成した波形)を再現しているので精度が向上し、トランスの二次巻線の電圧を三次巻線又は一次巻線の出力から推定することができるようになる。
【0049】
5.実施の形態5
第5の実施の形態に係る電圧検出回路の機能ブロック図を図10に示す。本実施の形態においても、トランスの三次巻線を用いることを前提とするが、一次巻線を用いるようにしても良い。本実施の形態に係る電圧検出回路は、正側半波整流部51と、負側半波整流部53と、正側最大値検出部55と、負側最大値検出部57と、再合成部59と、イコライザ61と、エンベロープ検出部63とを有する。なお、本実施の形態においては、正側半波整流部51と負側半波整流部53のみ、トランス毎に設けられる。
【0050】
本実施の形態に係る電圧検出回路においては、トランスの三次巻線の出力が、正側半波整流部51と負側半波整流部53とに入力される。トランスの三次巻線の出力は、例えば図4の(a)のような波形の信号となる。正側半波整流部51の出力は正側最大値検出部55に入力され、負側半波整流部53の出力は負側最大値検出部57に入力される。正側半波整流部51は、例えばダイオードであり、ダイオードのアノードがトランスの三次巻線に接続され、正側半波整流部51であるダイオードのカソードは全てのトランスについて接続される。そうすると、自動的に半波整流の結果のうち振幅最大値が再合成部59に入力される。同様に、負側半波整流部53は、例えばダイオードであり、ダイオードのカソードがトランスの三次巻線に接続され、負側半波整流部53であるダイオードのカソードは全てのトランスについて接続される。そうすると、自動的に半波整流の結果のうち振幅最大値が再合成部59に入力される。
【0051】
再合成部59は、負側の振幅最大値の信号と正側の振幅最大値の信号とを合成し、両極性を復元させる。この再合成部59の出力はイコライザ61に入力される。イコライザ61は、再合成部59からの入力に対して、二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行い、補正後の信号をエンベロープ検出部63に出力する。そして、エンベロープ検出部63は、イコライザ61からの入力のエンベロープ検波を行う。このエンベロープ検出部63の出力は、例えばトランスの一次巻線に接続されるインバータ回路に入力され、当該インバータ回路はエンベロープ検出部63からの入力に応じて出力電圧の調整又は出力停止を行う。
【0052】
このようにすると、元の波形(但し、最大振幅の波形のみを合成した波形)を再現しているので精度が向上し、半波整流であるから応答速度も速く、トランスの二次巻線の電圧を三次巻線又は一次巻線の出力から推定することができるようになる。
【0053】
本実施の形態における電圧検出回路の具体例を図11乃至図13を用いて説明する。図11に、電圧検出回路を適用する放電管駆動回路(右側部分のみ)を示す。図11の放電管駆動回路は、トランスT3及びT4と、抵抗R5及びR6と、ダイオードD9乃至D12と、インバータ回路71とを含む。
【0054】
トランスT3及びT4は、端子P1及びP2を有する一次巻線と、端子S1及びS4と中間タップである端子S2及びS3とを有する二次巻線と、端子P3及びP4を有する電圧検出用の三次巻線とを有する。
【0055】
トランスT3の一次巻線の端子P1は、インバータ回路71の第1の端子に接続されている。また、トランスT3の一次巻線の端子P2は、トランスT4の一次巻線の端子P1に接続されている。トランスT4の一次巻線の端子P2は、インバータ回路71の第2の端子に接続されている。さらに、トランスT3の二次巻線の端子S1は、図示しない第1の放電管に接続されており、端子S2及びS3は、抵抗R5の一端に接続されている。抵抗R5の他端は接地されている。また、トランスT3の二次巻線の端子S4は、図示しない第2の放電管に接続されている。図示していないが、第1及び第2の放電管と、トランスT3及び図示していないトランスの二次巻線とは閉ループを構成しており、当該閉ループは抵抗R5により直流的に接地されている。同様に、トランスT4の二次巻線の端子S1は、図示しない第3の放電管に接続されており、端子S2及びS3は、抵抗R6の一端に接続されている。抵抗R6の他端は接地されている。また、トランスT4の二次巻線の端子S4は、図示しない第4の放電管に接続されている。図示していないが、第3及び第4の放電管と、トランスT4及び図示していないトランスの二次巻線とは閉ループを構成しており、当該閉ループは抵抗R6により直流的に接地されている。
【0056】
トランスT3の三次巻線の端子P3は、中間REF電圧を伝えるためREF端子を介して図12の回路に接続されている。トランスT3の三次巻線の端子P4は、ダイオードD9のカソードと、ダイオードD10のアノードとに接続されている。なお、ダイオードD9は、負側半波整流部53を構成している。また、ダイオードD10は正側半波整流部51を構成している。ダイオードD9のアノードは−SENS端子を介して図12の回路に接続されている。また、ダイオードD10のカソードは+SENS端子を介して図12の回路に接続されている。
【0057】
同様に、トランスT4の三次巻線の端子P3は、中間REF電圧を伝えるためREF端子を介して図12の回路に接続されている。トランスT3の三次巻線の端子P4は、ダイオードD11のカソードと、ダイオードD12のアノードとに接続されている。なお、ダイオードD11は、負側半波整流部53を構成している。また、ダイオードD12は正側半波整流部51を構成している。ダイオードD11のアノードは−SENS端子を介して図12の回路に接続されている。また、ダイオードD12のカソードは+SENS端子を介して図12の回路に接続されている。
【0058】
このようにダイオードD9及びD11のアノードが接続されており、自動的に振幅最大値の信号が−SENS端子を介して図12の回路に伝えられるようになっている。すなわち、負側最大値検出部57が構成されている。また、ダイオードD10及びD12のカソードが接続されており、自動的に振幅最大値の信号が+SENS端子を介して図12の回路に伝えられるようになっている。すなわち、正側最大値検出部55が構成されている。
【0059】
なお、トランスT3及びT4の三次巻線の端子P3では、図13における(f)のような波形の信号が検出され、+SENS端子では図13における(g)のような波形の信号が検出され、−SENS端子では図13における(h)のような波形の信号が検出される。+SENS端子及び−SENS端子では、振幅最大値の信号が検出されるようになっている。
【0060】
次に図12に示す回路を説明する。図12の回路は、抵抗R7乃至R17と、オペアンプOP1乃至OP4と、ダイオードD12及びD13と、キャパシタC3乃至C5と、コイルL1とを有する。
【0061】
ここで、−SENS端子は、抵抗R7の一端に接続され、+SENS端子は、抵抗R8の一端に接続されている。抵抗R7の他端は、抵抗R8の他端とオペアンプOP2の負極側入力端子と抵抗R9の一端と接続されている。抵抗R9の他端は、オペアンプOP2の出力端子に接続されている。また、REF端子は、オペアンプOP2の正極側入力端子とオペアンプOP1の負極側入力端子及び出力端子と、オペアンプOP4の正極側入力端子とに接続されている。オペアンプOP1の正極側入力端子は、キャパシタC3の一端と抵抗R11の一端と抵抗R10の一端とに接続されている。また、キャパシタC3の他端と抵抗R11の他端とは接地されている。抵抗R10の他端は、VCCに接続されている。
【0062】
オペアンプOP2の出力端子は、コイルL1の一端に接続されている。コイルL1の他端は、キャパシタC4の一端及び抵抗R12の一端とオペアンプOP3の正極側入力端子とに接続されている。キャパシタC4の他端及び抵抗R12の他端は接地されている。オペアンプOP3の負極側入力端子は、オペアンプOP3の出力端子及び抵抗R13の一端と、ダイオードD12のアノードに接続されている。抵抗R13の他端はオペアンプOP4の負極側入力端子と抵抗R14の一端に接続される。抵抗R14の他端はオペアンプOPの出力端子とダイオードD13のアノードとに接続されている。
【0063】
ダイオードD12及びD13のカソードは、共に抵抗R15の一端に接続される。抵抗R15の他端は、抵抗R16の一端とキャパシタC5の一端とに接続されている。抵抗R16の他端は抵抗R17の一端と接続されている。抵抗R17の他端は、キャパシタC5の他端と共に接地されている。抵抗R16と抵抗R17の接続点は、本回路の出力としてインバータ回路71に接続される。
【0064】
抵抗R7乃至R9とオペアンプOP2とにより再合成部59が構成され、コイルL1と抵抗R12とキャパシタC4とによりイコライザ61が構成される。オペアンプOP1はREF電圧生成部として機能し、オペアンプOP3はバッファとして機能し、オペアンプOP4は極性反転部として機能する。さらに、ダイオードD12及びD13がエンベロープ検出部63として機能する。
【0065】
従って、オペアンプOP2の出力では、+SENS信号と−SENS信号とが合成されており、両極性が復元された信号となる。また、イコライザ61として機能するコイルL1、キャパシタC4及び抵抗R12と、バッファOP3とを通過すると、図13に示す(j)のような波形の信号/SENS_EQが生成される。さらに、オペアンプOP4を通過すると、図13において(i)のような波形の信号SENS_EQが生成される。このように、トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた信号が生成されるようになる。そして、ダイオードD12及びD13のカソードは接続されており、信号/SENS_EQと信号SENS_EQとの振幅最大値が出力されるようになるため、エンベロープ検波される。なお、抵抗R16及びR17とキャパシタC5とにより放電時定数及びゲイン調整部が構成され、インバータ回路71に接続される。
【0066】
このような回路を用いることにより、図7に示した単純な半波整流を用いる方式に比べ歪みの影響を受けず、元の波形が非対称な場合においても正しく電圧を推定することができる。すなわち、高精度な電圧推定を行うことができる。また、図7に示した単純な半波整流を用いる方式に比べ、応答速度が2倍速くなる。さらに、図8に示した全波整流及び倍周波イコライザを用いる方式に比べ、歪みの影響も受けず、元の波形が非対称の場合にも正しく電圧を推定することができる。すなわち、高精度な電圧推定を行うことができる。また、図9に示した全波整流及び同期変調を用いる方式に比べ、同期変調用の回路が不要となり、ダイオードの数も減らすことができる。すなわち、コスト面で有利である。
【0067】
なお、上で述べた実施の形態が適用される放電管駆動回路は、例えば図14のような回路である。ここでは三次巻線については図示を省略する。すなわち、トランスT10の一次巻線とトランスT11の一次巻線とが直列に接続されており、トランスT12の一次巻線とトランスT13の一次巻線とが直列に接続されている。そして、直列に接続されている2つのトランスに対してインバータ回路101が接続されている。トランスT10の二次巻線と放電管LP1とトランスT12の二次巻線と放電管LP2とは閉ループを構成しており、当該閉ループは、トランスT10の二次巻線の中間タップで高抵抗のR31により直流的に接地されており、またトランスT12の二次巻線の中間タップにおいて高抵抗の抵抗R32により直流的に接地されている。同じように、トランスT11の二次巻線と放電管LP3とトランスT13の二次巻線と放電管LP4とは閉ループを構成しており、当該閉ループは、トランスT11の二次巻線の中間タップにおいて高抵抗のR33により直流的に接地されており、またトランスT13の二次巻線の中間タップで高抵抗の抵抗R34により直流的に接地されている。
【0068】
以上本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0069】
例えば、イコライザについては、図5及び図6に示すように受動素子のみによって構成することも可能であるが、例えば図15(a)乃至(c)に示すような能動素子を用いた構成を採用することも可能である。図15(a)のイコライザは、トランスT21の三次巻線と、抵抗R41乃至R43と、キャパシタC11及びC12と、オペアンプop5と含む。トランスT21の三次巻線の端子P3は、抵抗R41の一端に接続され、抵抗R41の他端は、抵抗R42の一端とキャパシタC12の一端と抵抗R43の一端とに接続されている。抵抗R43の他端は、キャパシタC11の一端とオペアンプop5の負極側入力端子に接続されている。抵抗R42の他端とキャパシタC11の他端とは、オペアンプop5の出力端子に接続されている。オペアンプop5の出力端子は、図5の例であれば、ダイオードD1(又はD5)のカソード及びダイオードD2(又はD6)のアノードとに接続される。トランスT21の三次巻線の端子P4は、キャパシタC12の他端とオペアンプop5の正極側入力端子と共に、接地されている。
【0070】
また、図15(b)のイコライザは、トランスT22の三次巻線と、抵抗R44及びR45と、キャパシタC13及びC14と、オペアンプop6とを含む。トランスT22の三次巻線の端子P3は、抵抗R44の一端に接続され、抵抗R44の他端は、キャパシタC13の一端と抵抗R45の一端とに接続されている。キャパシタC13の他端は、オペアンプop6の負極側入力端子と出力端子とに接続されている。抵抗R45の他端は、キャパシタC14の一端とオペアンプop6の正極側入力端子に接続されている。トランスT22の三次巻線の端子P4は、キャパシタC14の他端と共に接地されている。オペアンプop6の出力は、図5の例であれば、ダイオードD1(又はD5)のカソード及びダイオードD2(又はD6)のアノードとに接続される。
【0071】
さらに、図15(c)のイコライザは、トランスT23の三次巻線と、抵抗R46乃至R48と、キャパシタC15及びC16と、NPNトランジスタTR1とを含む。トランスT23の三次巻線の端子P3は、抵抗R46の一端に接続されており、抵抗R46の他端は、キャパシタC15の一端と抵抗R47の一端とに接続されている。また、抵抗R47の他端は、トランジスタTR1のベース及びキャパシタC16の一端に接続されている。トランスT23の三次巻線の端子P4は、キャパシタC16の他端と共に接地されている。キャパシタC15の他端は、トランジスタTR1のエミッタ及び抵抗R48の一端に接続されている。抵抗R48の他端は、電源−Vに接続されている。トランジスタTR1のコレクタは、電源+Vに接続されている。トランジスタTR1のエミッタがイコライザの出力端子となっており、図5の例であれば、ダイオードD1(又はD5)のカソード及びダイオードD2(又はD6)のアノードとに接続される。
【0072】
図15(a)及び(b)は、オペアンプを使用して二次のアクティブローパスフィルタ(LPF)を構成した例であり、トランスの二次巻線に現れる、図2のような共振特性をエミュレートすることができる。また、図15(c)に示すように、トランジスタを使用することも可能である。
【0073】
このように、能動素子を利用して構成したイコライザは、ダイオードで複数チャンネルの最大振幅値を取り出した箇所に適用すると、一度高いインピーダンスでバッファされるため、電力消費を抑えることができる。また、コイルを用いないので、ICの中に取り込みやすいというメリットもある。
【0074】
さらに、図12に示した回路は、図16に示すような回路に変形することも可能である。図16では、図12における抵抗R12、キャパシタC4と、コイルL1と、オペアンプop3との代わりに、抵抗R51及びR52、キャパシタC21及びC22、及びオペアンプop7を使用して、ピーキングコイル付きのアクティブ・イコライザを構成している。アクティブ・イコライザ30では、オペアンプop2の出力が抵抗R51の一端に接続される。抵抗R51の他端は、キャパシタC21の一端と抵抗R52の一端とに接続される。キャパシタC21の他端はオペアンプop7の負極側入力端子と出力端子とに接続されている。抵抗R52の他端は、オペアンプop7の正極側入力端子とキャパシタC22の一端とに接続されている。キャパシタC22の他端は接地されている。また、放電管以外のLED等のランプに本発明を適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】従来の回路例を示す図である。
【図2】トランスの二次巻線側の周波数特性を表すグラフである。
【図3】第1の実施の形態に係る電圧検出回路の機能ブロック図である。
【図4】第1乃至第4の実施の形態に係る電圧検出回路における信号波形例である。
【図5】第1の実施の形態に係る電圧検出回路の具体的回路を表す図である。
【図6】(a)乃至(c)は、第1の実施の形態に係るイコライザの他の例を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る電圧検出回路の機能ブロック図である。
【図8】第3の実施の形態に係る電圧検出回路の機能ブロック図である。
【図9】第4の実施の形態に係る電圧検出回路の機能ブロック図である。
【図10】第5の実施の形態に係る電圧検出回路の機能ブロック図である。
【図11】第5の実施の形態に係る電圧検出回路及び放電管駆動回路の具体的回路の一部分を示す図である。
【図12】第5の実施の形態に係る電圧検出回路の具体的回路の一部分を示す図である。
【図13】第5の実施の形態に係る電圧検出回路における信号波形例である。
【図14】放電管駆動回路の一例を示す図である。
【図15】(a)乃至(c)は、アクティブ・イコライザの例を示す図である。
【図16】第5の実施の形態に係る電圧検出回路の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
R 抵抗 L コイル C キャパシタ
OP オペアンプ D ダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給源に接続されたトランスの電圧を検出する機能を有する電圧検出回路であって、
前記トランスに設けられた巻線に発生する電圧を検出する電圧検出手段と、
前記電圧検出手段により検出された前記電圧に共振特性を付加する共振特性付加手段と、
前記共振特性が付加された電圧を用いて、前記電力供給源による前記トランスへの入力を制御する手段と、
を有する電圧検出回路。
【請求項2】
前記共振特性付加手段は、受動素子を用いて構成され、前記共振特性を有する受動型回路であることを特徴とする請求項1記載の電圧検出回路。
【請求項3】
前記共振特性付加手段は、能動素子と受動素子とを用いて構成され、前記共振特性を有する能動型回路であることを特徴とする請求項1記載の電圧検出回路。
【請求項4】
トランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の出力に対して、前記トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行うイコライザと、
前記イコライザの出力をエンベロープ検波するエンベロープ検波回路と、
を有する電圧検出回路。
【請求項5】
前記トランスが複数である場合、前記トランス毎に前記イコライザが設けられ、
前記エンベロープ検波回路が、各前記イコライザの出力のうち最大振幅の信号についてエンベロープ検波を行う
ことを特徴とする請求項4記載の電圧検出回路。
【請求項6】
複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に接続された半波整流回路と、
各前記半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号に対して、前記トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行うイコライザと、
前記イコライザの出力をエンベロープ検波する回路と、
を有する電圧検出回路。
【請求項7】
複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に接続された全波整流回路と、
各前記全波整流回路の出力のうち最大振幅の信号に対して、前記トランスの二次巻線側の周波数特性を二倍又は実質的に二倍の周波数にシフトさせた周波数特性に応じた周波数特性の補正を行うイコライザと、
前記イコライザの出力をエンベロープ検波する回路と、
を有する電圧検出回路。
【請求項8】
複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に接続された全波整流回路と、
各前記全波整流回路の出力のうち最大振幅の信号に対して、前記複数のトランスに接続される交流電源の駆動信号に従って同期変調を行う同期変調回路と、
前記同期変調回路の出力に対して、前記トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行うイコライザと、
前記イコライザの出力をエンベロープ検波する回路と、
を有する電圧検出回路。
【請求項9】
複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に接続された正側の半波整流回路及び負側の半波整流回路と、
前記正側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号と、前記負側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号とを合成する合成回路と、
前記合成回路の出力に対して、前記トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行う回路と、
前記イコライザの出力をエンベロープ検波する回路と、
を有する電圧検出回路。
【請求項10】
前記正側の半端整流回路が、第1のダイオードであって、
前記複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に前記第1のダイオードのアノードが接続され、
前記第1のダイオードのカソードが共通接続されることにより前記正側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号が生成され、
前記負側の半波整流回路が、第2のダイオードであって、
前記複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に前記第2のダイオードのカソードが接続され、
前記第2のダイオードのアノードが共通接続されることにより前記負側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号が生成される
請求項9記載の電圧検出回路。
【請求項11】
複数のトランスと、
前記複数のトランスの二次巻線に接続される複数のランプと、
前記複数のトランスの二次巻線側の電圧を推定する電圧検出回路と、
前記電圧検出回路からの出力に応じて前記複数のトランスの一次巻線に対する交流電源出力を自動調整又は停止させる制御回路と、
を有し、
前記複数のトランスの二次巻線と前記複数のランプとが閉ループを構成し、
前記電圧検出回路が、
前記トランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の出力に対して、前記トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行うイコライザと、
前記イコライザの出力をエンベロープ検波する回路と、
を有する
ランプ駆動回路。
【請求項12】
複数のトランスと、
前記複数のトランスの二次巻線に接続される複数のランプと、
前記複数のトランスの二次巻線側の電圧を推定する電圧検出回路と、
前記電圧検出回路からの出力に応じて前記複数のトランスの一次巻線に対する交流電源出力を自動調整又は停止させる制御回路と、
を有し、
前記複数のトランスの二次巻線と前記複数のランプとが閉ループを構成し、
前記電圧検出回路が、
複数のトランスの一次巻線の出力、又は当該一次巻線及び二次巻線とは独立に設けられた電圧検出用三次巻線の各出力に接続された正側の半波整流回路及び負側の半波整流回路と、
前記正側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号と、前記負側の各半波整流回路の出力のうち最大振幅の信号とを合成する合成回路と、
前記合成回路の出力に対して、前記トランスの二次巻線側の周波数特性に応じた周波数特性の補正を行う回路と、
前記イコライザの出力をエンベロープ検波する回路と、
を有する
ランプ駆動回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−238658(P2006−238658A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52534(P2005−52534)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(399091511)マイクロスペース株式会社 (15)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】