説明

電圧表示方法、電圧表示装置及びパック電池

【課題】電圧の高低を表示させる操作時間の長短に関わらず、操作後の表示時間が一定になる電圧表示方法、電圧表示装置及びパック電池を提供する。
【解決手段】二次電池に一端が接続された抵抗器51の他端と、一端が抵抗器54を介してコンデンサ55に接続されたスイッチ53の他端とにコンデンサ52を接続してあり、予めスイッチ53がオフになっている間に、二次電池から抵抗器51を介してコンデンサ55を電池電圧に向けて充電する。スイッチ53がオンになった場合、コンデンサ55及びコンデンサ52が並列的に接続されることにより、コンデンサ55の端子電圧が短時間のうちに上昇する。更に、スイッチ53がオフになった場合、コンデンサ55と、抵抗器71,72の直列回路との並列回路の時定数に応じてコンデンサ55の端子電圧が低下し続ける間にも、その端子電圧に応じた表示が、表示器82,85にて行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源の電圧に応じた表示を行う電圧表示方法、電圧表示装置、及び該電圧表示装置を備えるパック電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電圧が変化する電源を用いる電気機器では、電源の電圧の高低が視覚的に報知されるようになっている場合がある。特に、使用に応じて電圧が低下する電池を電源に用いる場合は、電圧の高低を報知し続けることにより、電池が放電して電池の電圧が更に低下するため、使用者が操作した場合にのみ電池の電圧の高低に応じた表示が可能となっていることが多い。
【0003】
例えば、特許文献1では、バッテリ(電池)の残量を表示するための残量表示スイッチがオンになった場合に、電圧検出回路が検出したバッテリの電圧に基づいて、駆動回路がLED群を点灯させるバッテリ式光源装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−70242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、残量表示スイッチがオフになった時に残量の表示が終了するものでは、使用者が残量を視認し難いものとなる。残量表示スイッチがオフになった後にも残量の表示を継続するには、例えば、残量を表示するための回路内に、バッテリの電圧に応じて端子電圧まで充電されて所定の時定数で放電するコンデンサを備え、該コンデンサの両端電圧に応じた表示を行うことが考えられる。
【0006】
一方、特許文献1に開示された技術では、電圧検出回路及び/又は駆動回路に、例えば秒単位の比較的大きな時定数を有する回路が存在する場合、残量表示スイッチがオンされていた時間が一定時間より短いうちは、スイッチがオンされていた時間が長いほど、スイッチがオフになった後にLED群の点灯が継続する時間が長くなる傾向があり、使用者によるスイッチ操作後の残量表示時間が、スイッチ操作の時間そのものに依存するという問題があった。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電源の電圧を表示させる操作の後に継続する電圧表示が、操作時間そのものの長短に依存しない電圧表示方法、電圧表示装置及びパック電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電圧表示方法は、抵抗回路及びスイッチ回路の直列回路を介して外部の電源に接続されるコンデンサと、該コンデンサと並列的に接続された第2の抵抗回路と、前記コンデンサの両端電圧に基づく表示を行う表示部とを備える電圧表示装置で前記電源の電圧を表示する電圧表示方法において、前記抵抗回路を、前記スイッチ回路よりも前記電源側に用意し、前記抵抗回路及びスイッチ回路間に接続された第2のコンデンサを用意し、前記スイッチ回路をオンにした後にオフにすることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電圧表示方法は、前記電源は、電池であることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る電圧表示方法は、前記コンデンサ、スイッチ回路及び第2のコンデンサを含む直列回路に、直列的に接続された第3の抵抗回路を用意し前記スイッチ回路をオンにする時間は、前記直列回路の時定数に対応する時間より長いことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る電圧表示装置は、抵抗回路及びスイッチ回路の直列回路を介して外部の電源に接続されるコンデンサと、該コンデンサと並列的に接続された第2の抵抗回路と、前記コンデンサの両端電圧に基づく表示を行う表示部とを備える電圧表示装置において、前記抵抗回路は、前記スイッチ回路よりも前記電源側に接続されており、前記抵抗回路及びスイッチ回路間に接続された第2のコンデンサを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る電圧表示装置は、前記電源は、電池であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電圧表示装置は、前記コンデンサ、スイッチ回路及び第2のコンデンサを含む直列回路に、第3の抵抗回路を直列的に接続してあることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る電圧表示装置は、前記表示部は、前記コンデンサの両端電圧が所定の電圧より高い場合、所定の表示を行うようにしてあることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る電圧表示装置は、前記表示部は、前記コンデンサの両端電圧が前記所定の電圧より高い場合、前記電源の電圧を分圧する分圧回路と、前記コンデンサの両端電圧が前記所定の電圧とは異なる第2の電圧より高い場合、前記電源から基準電圧を生成する電源回路と、該電源回路が生成した基準電圧を分圧した電圧、及び前記分圧回路が分圧した電圧を比較する比較回路と、該比較回路の比較結果に応じて点灯する表示器とを有することを特徴とする。
【0016】
本発明に係る電圧表示装置は、前記第2の電圧は、前記所定の電圧より低いことを特徴とする。
【0017】
本発明に係る電圧表示装置は、前記表示部は、前記コンデンサの両端電圧の上昇に応じて前記電源の電圧を分圧する分圧回路と、前記コンデンサの両端電圧の上昇に応じて前記電源から基準電源を生成する電源回路と、該電源回路が生成した基準電圧を分圧した電圧、及び前記分圧回路が分圧した電圧を比較する比較回路と、該比較回路の比較結果に応じて点灯する表示器とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明に係るパック電池は、上述した電圧表示装置と、該電圧表示装置によって電圧が表示される二次電池とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明にあっては、外部の電源及びコンデンサ間に、抵抗回路及びスイッチ回路の直列回路を、その抵抗回路を電源側にして接続すると共に、抵抗回路及びスイッチ回路の間に第2のコンデンサを接続してあり、予めスイッチ回路がオフになっている間に、電源から抵抗回路を介して第2のコンデンサを電源の電圧に向けて充電する。
スイッチ回路がオンになった場合、スイッチ回路を介してコンデンサ及び第2のコンデンサが並列的に接続されることにより、コンデンサの両端電圧が短時間のうちに上昇して、電源の電圧に応じた電圧となる。更に、スイッチ回路がオフになった場合、コンデンサ及び第2の抵抗回路を含む並列回路の時定数に応じてコンデンサの両端電圧が低下し続ける間にも、前記両端電圧に応じた表示が行われるため、表示が継続する時間は、スイッチ回路がオンになっていた時間に依存しないものとなる。
【0020】
本発明にあっては、電池の電圧を表示するため、電池の残量が的確に把握される。
【0021】
本発明にあっては、コンデンサ、スイッチ回路及び第2のコンデンサを含む直列回路に対して、第3の抵抗回路を更に直列的に接続してあるため、スイッチ回路がオンになった場合、第2のコンデンサからスイッチ回路を介してコンデンサに流れる電流が、スイッチ回路の許容電流を超えることが防止される。
また、コンデンサ、スイッチ回路、第2のコンデンサ及び第3の抵抗回路を含む直列回路の時定数に対応する時間よりも、使用者によってスイッチ回路がオンにされる時間が適当に長い場合は、第3の抵抗回路を接続したことによってコンデンサの両端電圧の上昇速度が低下するにも関わらず、コンデンサの両端電圧は、電源の電圧に応じた電圧にまで上昇する。
【0022】
本発明にあっては、スイッチ回路がオフになった場合であっても、コンデンサの両端電圧が所定の電圧より高い期間内では、電源の電圧の表示を継続させる。
これにより、使用者によってスイッチ回路がオフにされた後、コンデンサ及び第2の抵抗回路を含む並列回路の時定数と電源の電圧とに応じて低下するコンデンサの端子電圧が、所定の電圧に低下するまでは、表示が継続する。
【0023】
本発明にあっては、コンデンサの両端電圧が所定の電圧より高い場合に外部の電源の電圧を分圧した電圧と、コンデンサの両端電圧が所定の電圧とは異なる第2の電圧より高い場合に外部の電源から生成した基準電圧を分圧した電圧とを比較回路で比較し、比較結果に応じて表示器を点灯させる。
これにより、基準電圧を分圧した電圧と、電源の電圧を分圧した電圧との比較結果の高/低に応じて、表示器が点灯/消灯する。
【0024】
本発明にあっては、第2の電圧が所定の電圧より低いため、比較の基準となる電圧が、比較される電圧より先に比較回路に与えられる。
これにより、コンデンサの両端電圧が所定の電圧より低く、且つ第2の電圧より高い場合は、表示器の点灯が確実に阻止され、コンデンサの両端電圧が所定の電圧より高い場合は、コンデンサの両端電圧の高/低に応じて、表示器が点灯/消灯する。
【0025】
本発明にあっては、コンデンサの両端電圧の上昇に応じて外部の電源の電圧を分圧した電圧と、コンデンサの両端電圧の上昇に応じて外部の電源から生成した基準電圧を分圧した電圧とを比較回路で比較し、比較結果に応じて表示器を点灯させる。
これにより、基準電圧を分圧した電圧と、電源の電圧を分圧した電圧との比較結果の高/低に応じて、表示器が点灯/消灯する。
【0026】
本発明にあっては、上述した電圧表示装置によって二次電池の電圧が表示される。
これにより、電源の電圧を表示させる操作の後に継続する電圧表示が、操作時間そのものの長短に依存しないようにすることが可能な電圧表示装置が、パック電池に適用される。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、外部の電源に一端が接続された抵抗回路の他端と、一端がコンデンサに接続されたスイッチ回路の他端とに第2のコンデンサを接続してあり、予めスイッチ回路がオフになっている間に、電源から抵抗回路を介して第2のコンデンサを電源の電圧に向けて充電する。
スイッチ回路がオンになった場合、スイッチ回路を介してコンデンサ及び第2のコンデンサが並列的に接続されることにより、コンデンサの両端電圧が短時間のうちに上昇して、電源の電圧に応じた電圧となる。更に、スイッチ回路がオフになった場合、コンデンサ及び第2の抵抗回路を含む並列回路の時定数に応じてコンデンサの両端電圧が低下し続ける間にも、前記両端電圧に応じた表示が行われるため、表示が継続する時間は、スイッチ回路がオンになっていた時間に依存しないものとなる。
従って、電源の電圧を表示させる操作の後に継続する電圧表示が、操作時間そのものの長短に依存しないようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係るパック電池の回路構成の一例を示す略示回路図である。
【図2】電圧表示装置の回路構成の一例を示す略示回路図である。
【図3】スイッチがオン/オフされた場合の電圧表示装置の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、本発明の実施の形態に係るパック電池の回路構成の一例を示す略示回路図である。図中100はパック電池であり、パック電池100は、例えばリチウムイオン電池からなる二次電池1と、該二次電池1の両端に接続されて電圧を表示する電圧表示装置5とを備える。二次電池1は、電池セル1a、1b、1c及び1dをこの順に直列接続してなる。二次電池1は、ニッケル水素電池、ニッケルカドミウム電池等の他の電池であってもよい。電池セル1aの正極は、外部に電流を取り出すための正極端子11と接続されており、電池セル1dの負極は接地電位となっている。正極端子11と対をなす充電用の負極端子12には、二次電池1の負極側の充放電路に介装された温度ヒューズ4の一端が接続されている。放電用の負極端子13は、接地電位に接続されている。
【0030】
電池セル1a、1b、1c及び1d夫々の電圧は、複数の電池セルの過電圧を検出する保護回路2の電圧入力端子に各別に与えられる。保護回路2の検出出力端子及び接地電位間には、抵抗器21,22の直列回路(即ち分圧回路)が接続されている。
尚、電池セル1a、1b、1c及び1dの個数は4個に限定されず、例えば10個を直列にしたものであってもよい。その場合は、3つの保護回路2,2,2夫々の電圧入力端子に、4個,3個,3個の電池セルの電圧が各別に与えられるようにし、各保護回路2,2,2の検出出力端子の電圧を一旦電流に変換して加算した後に電圧に戻して、前記直列回路に与えればよい。
【0031】
抵抗器21,22の接続点は、ソースが接地電位に接続されたNチャネル型のMOSFET23のゲートに接続されており、該MOSFET23のドレイン及び正極端子11間には、抵抗器24,25の直列回路が接続されている。抵抗器24,25の接続点は、ソースが正極端子11に接続されたPチャネル型のMOSFET26のゲートに接続されており、該MOSFET26のドレインと、温度ヒューズ4の他端との間には、抵抗器27,28の直列回路が接続されている。
【0032】
抵抗器27,28の接続点は、ソースが温度ヒューズ4の他端に接続されたNチャネル型のMOSFET29のゲートに接続されている。該MOSFET29のドレインは、抵抗器30,31の直列回路の中点と、ドレインが接地電位に接続されたNチャネル型のMOSFET32のゲートとに接続されている。抵抗器30,31の直列回路の一端は、正極端子11に接続されており、他端は、温度ヒューズ4の他端と、MOSFET32のソースとに接続されている。
【0033】
上述した構成において、保護回路2が、電池セル1a、1b、1c及び1dの何れかの過電圧を検出した場合、保護回路2の検出出力端子から出力される電圧を抵抗器21,22の分圧回路で分圧した電圧によりMOSFET23がオンして、該MOSFET23のドレインの電圧が接地電位まで低下する。これにより、MOSFET26のゲートに負のバイアス電圧が印加されて該MOSFET26がオンし、更にMOSFET29のゲートに正のバイアス電圧が印加されて該MOSFET29がオンすることにより、MOSFET32のゲート及びソース間にバイアス電圧が印加されなくなる。このため、MOSFET32のゲート−ソース間の導通がオフして、接地電位及び充電用の負極端子12間の電気的な接続が断たれるため、正極端子11及び充電用の負極端子12間には、二次電池1の電圧が印加されなくなる。このようにして、MOSFET32をオフすることで充電電流を停止し、オフ充電時の過充電を防止することができる。尚、二次電池1からの放電の際には、放電用の負極端子13が用いられる。
【0034】
尚、図1では、保護回路2によって二次電池1を過電圧から保護する例を示したが、二次電池1に対する過電圧保護を更に確実なものとするため、保護回路2によって検出される過電圧よりも、0.1V程度高い過電圧を検出する回路を、図1の回路に付加してもよい。また、回路の各部における信号のノイズを低減させるためのコンデンサ及び/又は抵抗器を、適宜付加するようにしてもよい(以下同様)。
【0035】
次に、電圧表示装置5について説明する。
図2は、電圧表示装置5の回路構成の一例を示す略示回路図である。電圧表示装置5は、二次電池1(電池セル1aの正極)に一端が接続される抵抗器(抵抗回路)51と、接地電位(電池セル1dの負極)に一端が接続されるコンデンサ(第2のコンデンサ)52とを備える。抵抗器51及びコンデンサ52夫々の他端は、スイッチ53及び抵抗器54を介して、一端が接地電位に接続されたコンデンサ55の他端と、ソースが接地電位に接続されたNチャネル型のMOSFET61のゲートと、一端が接地電位に接続された抵抗器71,72の直列回路(即ち分圧回路)の他端とに接続されている。スイッチ53は、いわゆるA接点を有する押釦スイッチである。
【0036】
MOSFET61のドレインと、抵抗器51の一端との間には、抵抗器62,63の直列回路が接続されており、抵抗器62,63の接続点は、ソースが抵抗器51の一端に接続されたPチャネル型のMOSFET64のゲートに接続されている。MOSFET64のドレインは、電源回路65の入力端子に接続されており、該電源回路65の出力端子及び接地電位間には、抵抗器66,67,68の直列回路(即ち分圧回路)が接続されている。電源回路65は、MOSFET64のソース及びドレインを介して与えられた電圧を安定化して、基準電圧(本実施の形態ではDC5V)Vrefを生成するようになっている。
【0037】
抵抗器71,72の接続点は、ソースが接地電位に接続されたNチャネル型のMOSFET73のゲートに接続されており、該MOSFET73のドレインと、抵抗器51の一端との間には、抵抗器74,75の直列回路が接続されている。抵抗器74,75の接続点は、ソースが抵抗器51の一端に接続されたPチャネル型のMOSFET76のゲートに接続されており、該MOSFET76のドレイン及び接地電位間には、抵抗器77,78の直列回路(即ち分圧回路)が接続されている。
【0038】
電圧表示装置5は、また、基準電圧Vrefにて動作する2つの比較器(コンパレータ)81,84を備える。比較器81,84夫々の非反転入力端子には、抵抗器66,67の接続点の電圧、及び抵抗器67,68の接続点の電圧が与えられており、比較器81,84夫々の反転入力端子には、抵抗器77,78の接続点の電圧が与えられている。比較器81,84夫々の出力端子には、LED82,85のカソードが接続されており、LED82,85夫々のアノードは、抵抗器83及び86を介して電源回路65の出力端子に接続されている。
【0039】
尚、図2に示す電圧表示装置5の回路構成のうち、抵抗器51,54、コンデンサ52,55及びスイッチ53を除く回路部分が、表示部50を構成する。また、表示部50が有する比較器の数は2つに限定されず、夫々の出力端子にLED及び抵抗器の直列回路が接続され、且つ夫々の非反転入力端子に、基準電圧Vrefを分圧した異なる分圧電圧が与えられる3つ以上の比較器が、表示部50に備わっていてもよい。この場合にも、各比較器の反転入力端子には、抵抗器77,78の接続点の電圧が与えられる。
【0040】
表示部50では、MOSFET61,73の夫々がオンするときのゲート電圧が略同一となるように、各素子の特性を選択してあるのに対し、MOSFET73のゲートには、MOSFET61のゲート電圧を抵抗器71,72の分圧回路で分圧した電圧が与えられる。このため、コンデンサ55の端子電圧が上昇(又は低下)する場合、先にMOSFET61がオン(又は先にMOSFET73がオフ)することとなる(詳細は後述する)。
【0041】
ここで、MOSFET61がオンした場合、MOSFET64のゲートに負のバイアス電圧が印加されて該MOSFET64がオンすることにより、二次電池1の電圧(以下、電池電圧という)が電源回路65に与えられ、該電源回路65が生成した基準電圧Vrefが、抵抗器66,67,68の直列回路に与えられる。これにより、比較器81,84夫々の非反転入力端子には、基準電圧Vrefが分圧された2つの電圧のうち、第1の電圧及び該第1の電圧より低い第2の電圧が与えられる。
【0042】
一方、MOSFET73がオンした場合、MOSFET76のゲートに負のバイアス電圧が印加されて該MOSFET76がオンすることにより、該MOSFET76のドレインから抵抗器77,78の直列回路に電池電圧が与えられる。これにより、比較器81,84夫々の反転入力端子には、電池電圧が抵抗器77,78の分圧回路で分圧された電圧が与えられる。比較器81,84の夫々では、非反転入力端子に与えられる電圧よりも、反転入力端子に与えられる電圧が高い場合に、LED82,85が点灯する。従って、電池電圧が二次電池1の残容量に対応していることを考慮すれば、LED82,85の点灯によって二次電池1の残容量を知ることができる。
【0043】
以上のことから、電池電圧を抵抗器77,78の分圧回路で分圧した電圧が、上記第1の電圧より高い場合、LED82,85が点灯し、第1の電圧より低く第2の電圧より高い場合、LED85が点灯し、第2の電圧より低い場合、LED82,85が消灯する。つまり、LED82,85の夫々が点灯すべき電池電圧の閾値がVa及びVbである場合、上述した第1の電圧に対する第2の電圧の比が、Vaに対するVbの比となるようにし、且つ、Va(又はVb)に抵抗器77,78の分圧回路の分圧比を掛けた電圧が、第1の電圧(又は第2の電圧)となるようにすればよい。
【0044】
以下では、図2に示す回路の動作について、タイミングチャートを用いて説明する。
図3は、スイッチ53がオン/オフされた場合の電圧表示装置5の動作を説明するためのタイミングチャートである。図3(A)から(G)において、横軸は時間を表し、縦軸は各信号の状態又は電圧を表す。但し、縦軸が電圧を表す図3(B)〜(E)では、縦軸のスケールは必ずしも一致させていない。
【0045】
図3(A)は、使用者が操作するスイッチ53のオン・オフ状態を示す。
図3(B)は、スイッチ53のオン/オフによって放電/充電されるコンデンサ52の端子電圧を示す。
図3(C)は、スイッチ53のオン/オフによって充電/放電されるコンデンサ55の端子電圧を示す。
図3(D)は、電池電圧に基づいて基準電圧を生成する電源回路65の出力電圧を示す。
図3(E)は、電池電圧を抵抗器77,78の直列回路に与えるMOSFET76のドレイン電圧を示す。
図3(F)及び(G)の夫々は、比較器81及び84が点灯させるLED82及び85の点灯状態を示す。
【0046】
時刻T0に至るまでは、コンデンサ52は、抵抗器51を介して電池電圧まで充電されている。本実施の形態では、抵抗器51及びコンデンサ52の時定数を、略10秒としてあるが、これに限定されない。一方のコンデンサ55は、両端に抵抗器71,72の直列回路が接続されているため、端子電圧が0(ゼロ)となっている。
【0047】
時刻T0で使用者が押し釦を押してスイッチ53をオンにした場合、コンデンサ52に充電されていた電荷が、スイッチ53及び抵抗器54を介してコンデンサ55に移動する。本実施の形態では、コンデンサ52,55の容量を一致させてあり、コンデンサ52,55に充電された電荷量が端子電圧と容量の積に比例することから、コンデンサ52の端子電圧の低下分だけ、コンデンサ55の端子電圧が上昇する。コンデンサ52,55夫々の端子電圧の低下及び上昇は、該コンデンサ52,55の端子電圧が等しくなるまで継続する。尚、コンデンサ52,55の容量は、必ずしも一致させる必要はなく、適宜その容量比を決定すればよい。
【0048】
この場合、コンデンサ52、抵抗器54及びコンデンサ55が接地電位を介して直列接続されており、この直列回路の時定数は、コンデンサ52,55を直列にした合成容量と抵抗器54の抵抗との積で表される。本実施の形態では、この時定数を略1m秒としてあり、通常、使用者が押し釦を押すときに想定される押下時間より十分短い。従って、コンデンサ52からコンデンサ55への電荷の移動は、スイッチ53がオフになる時刻(後述するT3参照)までに終了するとみなされる。
【0049】
次に、時刻T1でコンデンサ55の端子電圧がV1に達した時にMOSFET61がMOSFET73より先にオンした場合、MOSFET64を介して電池電圧を与えられた電源回路65の出力電圧が基準電圧Vrefとなる。この時点では、MOSFET73,76がオンしていないため、比較器81,84夫々の非反転入力端子に与えられる電圧が0(ゼロ)であり、LED82,85は点灯しない。
【0050】
次に、時刻T2でコンデンサ55の端子電圧がV2に達した時にMOSFET73がオンした場合、MOSFET76がオンして該MOSFET76のドレイン電圧が電池電圧となる。この時から、比較器81,84の反転入力端子には、電池電圧を抵抗器77,78の分圧回路で分圧した電圧が与えられ、比較器81,84の夫々が、非反転入力端子と反転入力端子とに与えられる電圧の比較を行い、その比較結果に応じてLED82,85の夫々が点灯(図3(F),(G)では実線で示す)又は消灯(図3(F),(G)では一点鎖線で示す)する。
【0051】
その後、コンデンサ55の端子電圧がV3に向けて上昇し、コンデンサ52の端子電圧がV3に向けて低下する場合、本実施の形態では、上述したように、コンデンサ52の端子電圧の低下分と、コンデンサ55の端子電圧の上昇分が等しいから、「電池電圧−V3=V3」が成立し、V3が電池電圧の1/2の電圧となる。但し、一般的には、コンデンサ52の端子電圧が電池電圧から低下する電圧は、コンデンサ52の容量に対するコンデンサ55の容量の比と、V3との積で表される。
【0052】
次に、時刻T3で使用者が押し釦から手を離してスイッチ53をオフにした場合、コンデンサ52は、上述した略10秒の時定数で再び充電が開始される。一方、コンデンサ55は、両端に抵抗器71,72の直列回路が並列に接続されているため、この並列回路の時定数で放電を開始する。本実施の形態では、この時定数を略4.4秒としてあり、コンデンサ55は秒オーダで緩やかに放電する。
【0053】
次に、時刻T4でコンデンサ55の端子電圧がV2まで低下した場合、MOSFET73がオフすることによってMOSFET76がオフし、該MOSFET76のドレイン電圧が0となって、比較器81,84夫々の非反転入力端子に与えられる電圧が再び0となる。従って、この時まで、LED82,85は点灯又は消灯が継続する。
【0054】
次に、時刻T5でコンデンサ55の端子電圧がV1まで低下した場合、MOSFET61がオフすることによってMOSFET64がオフし、電源回路65に与えられる電圧及び出力電圧は、共に0となる。従って、時刻T4からT5まで、LED82,85の消灯が担保される。
【0055】
以上のように本実施の形態によれば、二次電池1及びコンデンサ55間に、抵抗器51及びスイッチ53の直列回路を、その抵抗器51を二次電池1側にして接続すると共に、抵抗器51及びスイッチ53間にコンデンサ52を接続してあり、予めスイッチ53がオフになっている間に、二次電池1から抵抗器51を介してコンデンサ52を電池電圧に向けて充電する。
スイッチ53がオンになった場合、スイッチ53を介してコンデンサ55及びコンデンサ52が並列的に接続されることにより、コンデンサ55の端子電圧が短時間のうちに上昇して、電池電圧に応じた電圧(V3)となる。更に、スイッチ53がオフになった場合、コンデンサ55と、抵抗器71,72の直列回路との並列回路の時定数に応じてコンデンサ55の端子電圧が低下し続ける間にも、その端子電圧に応じた表示が行われるため、表示が継続する時間は、スイッチ53がオンになっていた時間に依存しないものとなる。
従って、電源の電圧を表示させる操作の後に継続する電圧表示が、操作時間そのものの長短に依存しないものとすることが可能となる。
【0056】
また、二次電池1の電圧を表示するため、電池の残量を的確に把握することが可能となる。
【0057】
更にまた、コンデンサ55、スイッチ53及びコンデンサ52を含む直列回路に対して、抵抗器54を更に直列に接続してあるため、スイッチ53がオンになった場合、コンデンサ52からスイッチ53を介してコンデンサ55に流れる電流が、スイッチ53の許容電流を超えるのを防止することが可能となる。
そして、コンデンサ52、スイッチ53、コンデンサ55及び抵抗器54を含む直列回路の時定数に対応する時間よりも、使用者によってスイッチ53がオンにされる時間が十分に長いとみなされるため、抵抗器54を接続したことによってコンデンサ55の端子電圧の上昇速度が低下するにも関わらず、コンデンサ55の端子電圧を、電池電圧に応じた電圧(V3)にまで上昇させることが可能となる。
【0058】
更にまた、スイッチ53がオフになった場合であっても、コンデンサ55の端子電圧が所定の電圧(V2)より高い期間内では、電池電圧に応じた表示を行う。
従って、使用者によってスイッチ53がオフにされた後、コンデンサ55と抵抗器71,72の直列回路との並列回路の時定数、及び電池電圧に応じて低下するコンデンサ55の端子電圧が所定の電圧(V2)に低下するまでは、表示を継続させることが可能となる。
【0059】
更にまた、コンデンサ55の端子電圧が所定の電圧(V2)より高い場合に電池電圧を抵抗器77,78の分圧回路で分圧した電圧と、コンデンサ55の端子電圧が第2の電圧(V1)より高い場合に電池電圧から生成した基準電圧Vrefを分圧した電圧とを比較器81,84で比較し、比較結果に応じて表示器82,85を点灯させる。
従って、基準電圧Vrefを分圧した電圧と、電池電圧を分圧した電圧との比較結果の高/低に応じて、表示器82,85を点灯/消灯させることが可能となる。
【0060】
更にまた、第2の電圧(V1)が所定の電圧(V2)より低いため、比較の基準となる電圧が、比較される電圧より先に比較器81,84に与えられる。
従って、コンデンサ55の端子電圧が所定の電圧より低く、且つ第2の電圧より高い場合は、表示器82,85の点灯を確実に阻止することができ、コンデンサ55の端子電圧が所定の電圧より高い場合は、コンデンサ55の両端電圧の高/低に応じて、表示器82,85を点灯/消灯させることが可能となる。
【0061】
更にまた、コンデンサ55の端子電圧の上昇に応じて電池電圧を抵抗器77,78の分圧回路で分圧した電圧と、コンデンサ55の端子電圧の上昇に応じて電池電圧から生成した基準電圧Vrefを分圧した電圧とを比較器81,84で比較し、比較結果に応じて表示器82,85を点灯させる。
従って、基準電圧Vrefを分圧した電圧と、電池電圧を分圧した電圧との比較結果の高/低に応じて、表示器82,85を点灯/消灯させることが可能となる。
【0062】
更にまた、電圧表示装置5によって二次電池1の電圧が表示される。
従って、電池電圧を表示させる操作の後に継続する電圧表示が、操作時間そのものの長短に依存しないようにすることが可能な電圧表示装置5を、パック電池100に適用することが可能となる。
【0063】
尚、本実施の形態にあっては、抵抗器54をスイッチ53と直列に接続したが、スイッチ53の接点容量と、コンデンサ52,55の容量とに応じて、抵抗器54の抵抗値を限りなく0(ゼロ)に近づけてもよいし、回路の残留抵抗によって代替させてもよい。
【0064】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
100 パック電池
1 二次電池(電源)
2 保護回路
5 電圧表示装置
50 表示部
51 抵抗器(抵抗回路)
52 コンデンサ(第2のコンデンサ)
53 スイッチ(スイッチ回路)
54 抵抗器(第3の抵抗回路)
55 コンデンサ(コンデンサ)
65 電源回路
71、72 抵抗器(第2の抵抗回路)
77、78 抵抗器(分圧回路)
81、84 比較器(比較回路)
82、85 LED(表示器)
Vref 基準電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗回路及びスイッチ回路の直列回路を介して外部の電源に接続されるコンデンサと、該コンデンサと並列的に接続された第2の抵抗回路と、前記コンデンサの両端電圧に基づく表示を行う表示部とを備える電圧表示装置で前記電源の電圧を表示する電圧表示方法において、
前記抵抗回路を、前記スイッチ回路よりも前記電源側に用意し、
前記抵抗回路及びスイッチ回路間に接続された第2のコンデンサを用意し、
前記スイッチ回路をオンにした後にオフにすること
を特徴とする電圧表示方法。
【請求項2】
前記電源は、電池であることを特徴とする請求項1に記載の電圧表示方法。
【請求項3】
前記コンデンサ、スイッチ回路及び第2のコンデンサを含む直列回路に、直列的に接続された第3の抵抗回路を用意し
前記スイッチ回路をオンにする時間は、前記直列回路の時定数に対応する時間より長いこと
を特徴とする請求項1又は2に記載の電圧表示方法。
【請求項4】
抵抗回路及びスイッチ回路の直列回路を介して外部の電源に接続されるコンデンサと、該コンデンサと並列的に接続された第2の抵抗回路と、前記コンデンサの両端電圧に基づく表示を行う表示部とを備える電圧表示装置において、
前記抵抗回路は、前記スイッチ回路よりも前記電源側に接続されており、
前記抵抗回路及びスイッチ回路間に接続された第2のコンデンサを備えること
を特徴とする電圧表示装置。
【請求項5】
前記電源は、電池であることを特徴とする請求項4に記載の電圧表示装置。
【請求項6】
前記コンデンサ、スイッチ回路及び第2のコンデンサを含む直列回路に、第3の抵抗回路を直列的に接続してあることを特徴とする請求項4又は5に記載の電圧表示装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記コンデンサの両端電圧が所定の電圧より高い場合、所定の表示を行うようにしてあることを特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の電圧表示装置。
【請求項8】
前記表示部は、
前記コンデンサの両端電圧が前記所定の電圧より高い場合、前記電源の電圧を分圧する分圧回路と、
前記コンデンサの両端電圧が前記所定の電圧とは異なる第2の電圧より高い場合、前記電源から基準電圧を生成する電源回路と、
該電源回路が生成した基準電圧を分圧した電圧、及び前記分圧回路が分圧した電圧を比較する比較回路と、
該比較回路の比較結果に応じて点灯する表示器とを有すること
を特徴とする請求項7に記載の電圧表示装置。
【請求項9】
前記第2の電圧は、前記所定の電圧より低いことを特徴とする請求項8に記載の電圧表示装置。
【請求項10】
前記表示部は、
前記コンデンサの両端電圧の上昇に応じて前記電源の電圧を分圧する分圧回路と、
前記コンデンサの両端電圧の上昇に応じて前記電源から基準電源を生成する電源回路と、
該電源回路が生成した基準電圧を分圧した電圧、及び前記分圧回路が分圧した電圧を比較する比較回路と、
該比較回路の比較結果に応じて点灯する表示器とを有すること
を特徴とする請求項4から6の何れか1項に記載の電圧表示装置。
【請求項11】
請求項4から10の何れかに記載の電圧表示装置と、該電圧表示装置によって電圧が表示される二次電池とを備えることを特徴とするパック電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−149952(P2012−149952A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−7942(P2011−7942)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】