説明

電子クーポン取引システム、自動販売機、プログラム

【課題】自動販売機のネガ情報保持量減少と、適切な電子クーポン取引実現を図る。
【解決手段】携帯電話機100の記憶領域15から読み取ったユニーク番号情報と、ネガ記憶手段27に記憶されているユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行い、電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの有効期限情報と時計手段32による時情報とに基づき、当該電子クーポンが有効期限内かを検出し、電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの寿命情報と時計手段32による時情報とに基づき、当該電子クーポンが寿命内かを検出し、比較結果及び検出手段による検出結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子クーポンを得た無線通信端末から自動販売機に電子クーポン情報を読み取らせて、自動販売機から商品やサービスの提供を受ける場合に、不正な電子クーポンによる取引を防止する電子クーポン取引システム、この電子クーポン取引システムに用いられる自動販売機、この自動販売機を動作させるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種のシステムとしては、電子クーポンサービス装置、受領端末及び利用者端末が任意のときに通信可能に構成しておき、当選結果(有効性)をリアルタイムに判定可能にしたものが知られている(特許文献1参照)。しかしながら、このシステムは電子クーポンサービス装置、受領端末及び利用者端末が任意のときに通信可能であることが前提であり、自動販売機のように基本的には孤立した存在であり、電子クーポンの有効性を独立して判定しなければならないシステムには不向きである。
【0003】
他方、自動販売機との無線回線が確立し商品の提供が可能となった後で、電子クーポン情報から金額の引取りを行う前に、無線回線を断として商品を取り出しながら金額の引き落としを逃れるような不正を防止するものが考案されている。このシステムにあっては、自動販売機との無線回線が確立することによっては商品選択のみ可能とし、金額の引き落としの後に、商品を提供するようにしている(特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、例えば一つの商品或いは一回のサービスの提供を内容とする電子クーポンについて、一度使用しておきながら復活させて再度使用するような不正については防止することができず、この点の改善が望まれている。このような電子クーポン取引における要望に応えるためにネガと称される不正使用情報を用いた管理が考えられるが、このネガは時間経過とともに増大してゆくという問題がある。
【特許文献1】特開2002−288502号公報
【特許文献2】特開2002−324263号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような電子クーポン取引における要望に応えるためになされたもので、その目的は、ネガの量を抑制することを可能とする電子クーポン取引システムを提供することである。また、この電子クーポン取引システムに用いられる自動販売機、この自動販売機を動作させるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電子クーポン取引システムは、電子クーポンに関する情報を記憶するための記憶領域と、無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも当該電子クーポンの再生成が必要となるまでのリフレッシュ時間情報である寿命情報を含む電子クーポン情報を前記記憶領域に書き込む書込手段と、を具備する無線通信端末と、商品またはサービスを提供する自動販売機であって、前記無線通信端末の前記記憶領域から情報を読み出すためのリーダライタと、少なくとも現在の年時日からなる時情報を発生する時計手段と、電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの寿命情報と前記時計手段による時情報とに基づき、当該電子クーポンが寿命内かを検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段による検出結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段とを具備する自動販売機とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る電子クーポン取引システムでは、前記無線通信端末が、電子クーポンの再生成を電子クーポンの発行元に求める再生成手段と、操作部からの所定操作を受けて、前記再生成手段が電子クーポンの再生成を電子クーポンの発行元に求めるように起動制御する起動制御手段とを具備することを特徴とすることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る自動販売機は、商品またはサービスを提供する自動販売機であって、電子クーポンに関する情報を記憶するための記憶領域と、無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも当該電子クーポンの再生成が必要となるまでのリフレッシュ時間情報である寿命情報を含む電子クーポン情報を前記記憶領域に書き込む書込手段と、を具備する無線通信端末の前記記憶領域から情報を読み出すためのリーダライタと、少なくとも現在の年時日からなる時情報を発生する時計手段と、電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの寿命情報と前記時計手段による時情報とに基づき、当該電子クーポンが寿命内かを検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段による検出結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
本発明に係るプログラムは、電子クーポンに関する情報を記憶するための記憶領域と、無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも当該電子クーポンの再生成が必要となるまでのリフレッシュ時間情報である寿命情報を含む電子クーポン情報を前記記憶領域に書き込む書込手段と、を具備する無線通信端末の前記記憶領域から情報を読み出すためのリーダライタと、少なくとも現在の年時日からなる時情報を発生する時計手段とを備え、商品またはサービスを提供する自動販売機において動作するプログラムであって、自動販売機を、電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの寿命情報と前記時計手段による時情報とに基づき、当該電子クーポンが寿命内かを検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段による検出結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの寿命情報と時計手段による時情報とに基づき、当該電子クーポンが寿命内かを検出し、検出結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御するので、寿命が切れた電子クーポンにより商品やサービスが提供される事態を防ぐことができる。また、有効期限情報以外に寿命情報により当該電子クーポンの有効性を判定するので、ネガ情報が記憶されていない場合にも、不正使用された後に寿命となった不正電子クーポンの使用を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下添付図面を参照して、本発明に係る電子クーポン取引システム、自動販売機、プログラムの実施例を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。図1に、本発明に係る電子クーポン取引システムの実施例の構成図を示す。このシステムは、電子クーポン発行要求サーバ400、電子クーポン発行サーバ300、通常複数台の自動販売機200、通常複数台の無線通信端末である携帯電話機100から構成される。ここでは、電子クーポン発行要求サーバ400と電子クーポン発行サーバ300とを備えるようにしたが、電子クーポン発行サーバ300のみにより構成することもできる。
【0012】
例えば、店舗TRのTR会員になることを条件として、商品CCを1個提供する電子クーポンが得られる契約があり、携帯電話機100のユーザがこの店舗TRのTR会員になったものとする。そこで図2に示すように、ユーザは携帯電話機100を用いて電子クーポン発行サーバ300へアクセスして、携帯電話機100において電子クーポンによる取り引きの処理を可能とするアプリケーションプログラムAP1のダウンロードを受ける(SS11)。このとき、ダウンロードされたアプリケーションプログラムAP1により、携帯電話機100から当該携帯電話機100に固有のIDであるUIDと、電子クーポンを含む電子マネー用のチップ製造番号情報であるチップ識別情報IDmとを電子クーポン発行サーバ300へ自動送信し(SS12)、電子クーポン発行サーバ300から店舗TRのTR会員の会員番号Aを受け取る(SS13)。会員番号Aは携帯電話機100に保持され、必要に応じて表示部11に表示させることができる。
【0013】
次に図3に示されるように、電子クーポンを得るために、店舗TRの電子クーポン発行要求サーバ400へアクセスして店舗TRのTR会員の会員となったことを通知し(SS14)、これに対し返送される会員番号要求を受けて(SS15)、会員番号Aをユーザが入力して送信し(SS16)、確認の通知を受ける(SS17)。
【0014】
次に図4に示されるように、電子クーポン発行要求サーバ400は電子クーポン発行サーバ300に対して、会員番号Aの会員に対し電子クーポンを発行する要求を送信する(SS21)。この電子クーポンを発行要求には、電子クーポンのロットIDと販売店名(ここでは、店舗TR)と会員番号Aとが含まれる。
【0015】
電子クーポン発行サーバ300は、図5に示されるロット管理マスタファイルF1、クーポン会員マスタファイルF2、電子クーポンマスタファイルF3、利用済マスタファイルF4を備える。電子クーポンの発行要求を受けた電子クーポン発行サーバ300は、電子クーポンを発行し、ロット管理マスタファイルF1における店舗TR対応の在庫を「300」から「299」へディクリメントし(図5のP1)、電子クーポンマスタファイルF3に対し発行した電子クーポンに関する各種の情報を登録し、ステータスを「お預け」としておく。クーポン会員マスタファイルF2に対する登録は、図2に示す処理の後に行い、利用済マスタファイルF4には、この電子クーポン発行時点で登録が行われていない。電子クーポンマスタファイルF3には、ステータスの種類と電子クーポンにおける状態遷移の関係が付記されている。
【0016】
電子クーポン発行サーバ300は、図4に示すように、発行した電子クーポンに係る電子クーポン情報を携帯電話機100にダウンロードし(SS22)、これに対して返送されてくるダウンロードの成功通知を受け取り(SS23)、電子クーポンマスタファイルF3の対応するエントリのステータスをダウンロードDLに変更する(SS24)。
【0017】
ここで扱う電子クーポンは、携帯電話機100から電子クーポン発行サーバ300に預けることも、また、店舗TRの別の登録番号(例えば、B)を有するTR会員に譲渡することもできる。携帯電話機100から電子クーポン発行サーバ300へお預け要求を送ることにより、電子クーポンマスタファイルF3のステータスが「お預け」に変更され、携帯電話機100から電子クーポン発行サーバ300へ譲渡を前提とするお預け要求及び譲渡先会員番号(例えば、B)やパスワードを送ることにより、電子クーポンマスタファイルF3のステータスを譲渡が前提である「お預け」に変更され、例えばセキュリティ情報に上記パスワードが設定される。会員番号Bの会員は、図4に示されるように携帯電話機100Bから電子クーポン発行サーバ300へ譲渡要求と会員番号Aの会員が設定した上記パスワードを送って、譲渡によるダウンロードを受けることができる。この場合には、電子クーポンマスタファイルF3のステータスがダウンロードDLに変更され、所有者TR会員番号が「A」から「B」へ変更される(図5のP2)。勿論、譲渡されてダウンロードされた電子クーポンに含まれるチップ識別情報IDmは、携帯電話機100Bのものに変更されている。
【0018】
図6に、上記携帯電話機100の構成図を示す。携帯電話機100は、各部を制御するCPU10を中心に、表示部11、各種キーなどの入力部12、電話機能部13、メモリ14が接続された構成を備えている。電話機能部13には、無線通信部18が接続されており、電話機能部13に備えられたマイクロフォンから入力された音声は音声信号とされて無線通信部18から送信される。また、無線通信部18から到来する通話に係る信号はダウンコンバートされて音声信号とされ、電話機能部13に送られてスピーカから音声として出力される。
【0019】
CPU10はメモリ14に備えられているアプリケーションプログラムにより、電子メール機能、インターネット通信機能など各種の機能を実現する。また、先に図2において説明したダウンロードに係るアプリケーションプログラムAP1もメモリ14に格納され、これを実行することにより電子クーポン取引に必要な処理がなされる。
【0020】
更に、メモリ14には、記憶領域15が備えられている。記憶領域15は、既に説明した図4のSS22においてダウンロードされた電子クーポン情報が記憶される領域である。ダウンロードされた電子クーポン情報を記憶領域15に書き込むために、CPU10には書込手段17が備えられている。
【0021】
クーポン情報は、図7に示されるように構成されている。図示の上段から下段へ向かって説明する。最上位段には、当該電子クーポンによって提供される商品の「ロットID」が配置され、次に「シリアル」が配置され、次に電子マネー用のチップ製造番号情報であるチップ識別情報「IDm」が配置され、次にネガ情報の保持量を最小限とするための情報であると共に当該電子クーポンの再生成が必要となるまでの時情報である「寿命」が配置され、当該電子クーポンの発行所などを識別するための情報である「発行所ID」が配置され、次にチェックサムの方式を示す情報である「チェックサムコード方式」が配置され、次に暗号化前の全データ(破線で囲まれていない平文領域のデータを含む)について作成したハッシュ値である「チェックサム」が配置され、商品や期限(有効期限情報)に関する情報などから構成されるアプリケーション情報である「アプリ情報(のうち暗号化すべきもの)」が配置されている。以上に説明した図7の暗号化領域EA内に配置された情報は、電子クーポン発行サーバ300において秘密鍵により暗号化される。この秘密鍵に対応する公開鍵は電子クーポン発行サーバ300から自動販売機200に配信され、自動販売機200はこの公開鍵を保持する。
【0022】
暗号化領域EAの次の段には、暗号鍵に関するアルゴリズムコードと鍵シリアルコードにより構成される「鍵コード」が配置され、次にネガ情報の保持量を最小限とするための情報であると共に当該電子クーポンの再生成が必要となるまでの時情報である「寿命」が配置され、商品や期限に関する情報などから構成される「アプリ情報(のうち平文とすべきもの)」が配置されている。この非暗号化領域の情報は、携帯電話機(無線通信端末)100が使用する情報である。また、図7のクーポン情報は、クーポンの使用や譲渡などによって携帯電話機(無線通信端末)100により消去される。
【0023】
図8には、自動販売機200の構成図が示されている。自動販売機200は、各部の制御を行うCPU20を中心として、これに商品を取出口へ排出する商品提供部21、商品の選択ボタンなどから構成される入力部22、リーダライタ23、有線通信部24、メモリ25が接続されている。
【0024】
リーダライタ23は、携帯電話機100の記憶領域15から情報を読み出すものである。有線通信部24は、有線回線を介して電子クーポン発行サーバ300との間で情報の送受信を行うためのものである。自動販売機200は基本的に孤立した装置であり、上記有線通信部24を用いた情報の送受信は例えば一日に一回行われ、ログ情報を電子クーポン発行サーバ300へ送信し、電子クーポン発行サーバ300からネガ情報を受け取る。
【0025】
メモリ25には、当該自動販売機200において使用された電子クーポンのユニーク番号情報(本実施例では、ロットIDとシリアルからなる情報)を記憶するログ記憶手段26が設けられている。また、メモリ25には、電子クーポン発行サーバ300から送られる不正使用された電子クーポンのユニーク番号情報(本実施例では、ロットIDとシリアルからなる情報)を記憶するネガ記憶手段27が設けられている。
【0026】
CPU20には、比較手段31、時計手段32、第2の検出手段33、第1の検出手段34、制御手段35が備えられている。時計手段32は、少なくとも現在の年時日からなる時情報を発生するものである。
【0027】
比較手段31は、携帯電話機100の記憶領域15から読み取ったユニーク番号情報と、ネガ記憶手段27に記憶されているユニーク番号情報とが一致するか否か比較を行うものである。
【0028】
第2の検出手段33は、電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの有効期限情報と前記時計手段による時情報とに基づき、当該電子クーポンが有効期限内かを検出するものである。第1の検出手段34は、電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの寿命情報と前記時計手段による時情報とに基づき、当該電子クーポンが寿命内かを検出するものである。
【0029】
制御手段35は、比較手段31による比較結果及び第2、第1の検出手段33、34による検出結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御するもので、商品提供部21を制御する。CPU20は、更に、図7の電子クーポン情報に含まれるチェックサムを用いてチェックサムによる検出処理を行う。チェックサムによる検出処理により不正等が検出された場合には、制御手段35は商品の提供拒否を制御するもので、商品提供部21を制御する。
【0030】
以上の通りに構成された自動販売機200のCPU20は、図9に示されるフローチャートに対応するプログラムを実行することにより図8の各手段として機能するので、このフローチャートに基づき動作を説明する。このフローチャートにおけるステップS15、S16のペア、ステップS17、S18のペア、ステップS19、S20のペア、ステップS21、S22のペアについては、これらのペア同士をどのような順序に配置しても良く、この図9は一例を示したものである。
【0031】
電子クーポン情報が書込手段17により記憶手段15に書き込まれた状態において、携帯電話機100を自動販売機200のリーダライタ23の位置にかざすと、CPU20は、図9のフローチャートにおいてリーダライタ23のデータ読み取りを監視しており(S11)、YESへ分岐してリーダライタ23が読み取ったデータを電子クーポン発行サーバ300において用いられた秘密鍵に対応する公開鍵を用いて復号化し(S12)、取扱対象に係る電子クーポンであるかをアプリ情報やロットID更にシリアルなどを用いて検出(S13)する。
【0032】
上記ステップS13による検出の結果、取扱対象電子クーポンであるかを判定し(S14)、取扱対象電子クーポンである場合には、電子クーポン情報の全データ(破線で囲まれていない平文領域のデータを含む)についてハッシュ値を作成して、電子クーポン情報のチェックサムと比較を行うことからなるチェックサム処理を行い(S15)、一致したか(OKであるか)判定する(S16)。ステップS16において、OKとなるとステップS17へ進む。
【0033】
ステップS17においては、電子クーポン情報に含まれているロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報と、ネガ記憶手段27のロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報(不正使用されたもの)と比較を行い(S17)、不一致であるか(OKであるか)判定する(S18)。ステップS18において、OKとなるとステップS19へ進む。
【0034】
ステップS19においては、当該電子クーポンのアプリ情報に含まれる有効期限情報と時計手段32による時情報とに基づき、当該電子クーポンが有効期限内かを検出し(S19)、有効期限内であるか(OKであるか)判定する(S20)。ステップS20において、OKとなるとステップS21へ進む。
【0035】
ステップ21においては、当該電子クーポンの寿命情報と時計手段32による時情報とに基づき、当該電子クーポンが寿命内かを検出し(S21)、寿命内か(OKであるか)判定する(S22)。ステップS22において、OKとなるとステップS23へ進む。
【0036】
ステップS23において、CPU20は商品提供部21を制御して商品などを排出するなどの処理である商品等提供と、当該電子クーポンに含まれていたロットIDとシリアルから構成されるユニーク番号情報をログ記憶手段26に書き込み(S23)、処理を終了する。
【0037】
ステップS14、S16、S18、S20、S22においてNOへ分岐した場合には、ステップS24へ進んで、CPU20は商品提供部21を制御して商品などを排出停止するなどの処理である商品不提供を行う(S24)ので、不正の場合には商品(サービス)が提供されることなく、適正な電子クーポン取引が実現される。
【0038】
ここで、寿命情報の意味について説明する。寿命情報は、電子クーポンの再生成が必要となるまでのリフレッシュ時間情報である。例えば、図10(a)に示されるように、電子クーポンKPのユニーク番号情報を構成するシリアルが011であり、発行日が1月10日、有効期限Lが4月30日であるとき、寿命Nが2ヵ月とされる。寿命Nは、有効期限より長くとも良いが、通常有効期限内に何度かの再生成(リフレッシュ)が必要となるように有効期限より短く設定される。
【0039】
図10(a)においては、正規で未使用である電子クーポン(シリアル:011)KPの寿命Nによる末日は3月10日であり、3月11日以降に再生成が行われなければ、例えば図10(a)の期間t1において使用を試みても上記図9のステップS21、S22によりNOへ分岐して、商品等の提供を受けることはできない。そこでユーザは、例えば入力部22による所定操作を行って、アプリケーションプログラムAP1を起動し、電子クーポン(シリアル:011)の再生成を電子クーポン発行サーバ300に求める。このように携帯電話機100には、電子クーポンの再生成を電子クーポンの発行元に求める再生成手段と、操作部からの所定操作を受けて、上記再生成手段が電子クーポンの再生成を電子クーポンの発行元である電子クーポン発行サーバ300に求めるように起動制御する起動制御手段とを備えている。
【0040】
電子クーポン発行サーバ300は、この要求に応じてこのときから寿命Nが2ヵ月である新たな電子クーポン(シリアル:011)KP2の電子クーポン情報をダウンロードする。ダウンロードされた電子クーポン情報は、書込手段17により記憶領域15へ書き込まれる。電子クーポン(シリアル:011)KP2が3月18日に再生成されたものであるとき、寿命Nによる末日は5月18日であるが、有効期限Lの末日が4月30日であるから、4月30日を超えた期間t2において、電子クーポン(シリアル:011)KP2の使用を試みても、上記図9のステップS19、S20によりNOへ分岐して、商品等の提供を受けることはできない。
【0041】
一方、図10(a)に示される電子クーポン(シリアル:011)KPを不正にコピーした図10(b)に示す不正電子クーポン(シリアル:011)KPCが存在するとき、自動販売機200に、例えば、2月6日にシリアルが011のネガ情報が電子クーポン発行サーバ300から送られたとする。2月6日以降に不正電子クーポン(シリアル:011)KPCの使用を試みても、自動販売機200はネガ記憶手段27にネガ情報(シリアル:011)を記憶しているので、上記図9のステップS17、S18によりNOへ分岐して、商品等の提供を受けることはできない。
【0042】
また、不正電子クーポン(シリアル:011)KPCの寿命Nによる末日は3月10日であり、3月11日以降に使用を試みても、自動販売機200は寿命情報に基づき上記図9のステップS21、S22によりNOへ分岐して、商品等の提供を受けることはできない。不正電子クーポン(シリアル:011)KPCを有する携帯電話機から電子クーポン発行サーバ300に再生成を求めても、ネガ情報に基づきこれを拒絶するので、リフレッシュは行われない。このため3月11日以降に、自動販売機200はネガ情報(シリアル:011)をネガ記憶手段27から削除することができ、期間t3だけネガ情報(シリアル:011)を保持すれば良いことになる。
【0043】
このように寿命と有効期限によって電子クーポン情報を管理することより、正規な電子クーポンについては有効期限まで使用可能とし、不正な電子クーポンについては寿命後にネガ情報を用いることなく使用不可とすることができ、自動販売機におけるネガ情報の保持量を少なくし、且つ適切な電子クーポン取引を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る電子クーポン取引システムの実施例の構成を示す図。
【図2】本発明に係る電子クーポン取引システムの無線通信端末が電子クーポンを得るための第1段階における処理のシーケンスを示す図。
【図3】本発明に係る電子クーポン取引システムの無線通信端末が電子クーポンを得るための第2段階における処理のシーケンスを示す図。
【図4】本発明に係る電子クーポン取引システムの無線通信端末が電子クーポンを得るための第3段階における処理のシーケンスを示す図。
【図5】本発明に係る電子クーポン取引システムの電子クーポン発行サーバが備えているファイルの内容の一例を示す図。
【図6】本発明に係る電子クーポン取引システムにおける無線通信端末の実施例の構成を示すブロック図。
【図7】本発明に係る電子クーポン取引システムにおいて用いられる電子クーポン情報の内容を示す図。
【図8】本発明に係る電子クーポン取引システムにおける自動販売機の実施例の構成を示すブロック図。
【図9】本発明に係る電子クーポン取引システムにおける自動販売機の実施例による動作を説明するためのフローチャート。
【図10】本発明に係る電子クーポン取引システムにおける自動販売機の実施例による寿命情報を用いた動作を説明するための図。
【符号の説明】
【0045】
10、20 CPU 11 表示部
12 入力部 13 電話機能部
14 メモリ 15 記憶領域
17 書込手段 18 無線通信部
21 商品提供部 22 入力部
23 リーダライタ 24 有線通信部
25 メモリ 26 ログ記憶手段
27 ネガ記憶手段 31 比較手段
32 時計手段 33 第2の検出手段
34 第1の制御手段 35 制御手段
100 携帯電話機 200 自動販売機
300 電子クーポン発行サーバ 400 電子クーポン発行要求サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子クーポンに関する情報を記憶するための記憶領域と、
無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも当該電子クーポンの再生成が必要となるまでのリフレッシュ時間情報である寿命情報を含む電子クーポン情報を前記記憶領域に書き込む書込手段と、
を具備する無線通信端末と、
商品またはサービスを提供する自動販売機であって、
前記無線通信端末の前記記憶領域から情報を読み出すためのリーダライタと、
少なくとも現在の年時日からなる時情報を発生する時計手段と、
電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの寿命情報と前記時計手段による時情報とに基づき、当該電子クーポンが寿命内かを検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段による検出結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段と
を具備する自動販売機と
を備えることを特徴とする電子クーポン取引システム。
【請求項2】
前記無線通信端末は、
電子クーポンの再生成を電子クーポンの発行元に求める再生成手段と、
操作部からの所定操作を受けて、前記再生成手段が電子クーポンの再生成を電子クーポンの発行元に求めるように起動制御する起動制御手段と
を具備することを特徴とする請求項1に記載の電子クーポン取引システム。
【請求項3】
商品またはサービスを提供する自動販売機であって、
電子クーポンに関する情報を記憶するための記憶領域と、無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも当該電子クーポンの再生成が必要となるまでのリフレッシュ時間情報である寿命情報を含む電子クーポン情報を前記記憶領域に書き込む書込手段と、を具備する無線通信端末の前記記憶領域から情報を読み出すためのリーダライタと、
少なくとも現在の年時日からなる時情報を発生する時計手段と、
電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの寿命情報と前記時計手段による時情報とに基づき、当該電子クーポンが寿命内かを検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段による検出結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段と
を具備することを特徴とする自動販売機。
【請求項4】
電子クーポンに関する情報を記憶するための記憶領域と、無線回線を介して電子クーポンの発行元から電子クーポンを得て、少なくとも当該電子クーポンの再生成が必要となるまでのリフレッシュ時間情報である寿命情報を含む電子クーポン情報を前記記憶領域に書き込む書込手段と、を具備する無線通信端末の前記記憶領域から情報を読み出すためのリーダライタと、少なくとも現在の年時日からなる時情報を発生する時計手段とを備え、商品またはサービスを提供する自動販売機において動作するプログラムであって、
自動販売機を、
電子クーポンの使用に際して、当該電子クーポンの寿命情報と前記時計手段による時情報とに基づき、当該電子クーポンが寿命内かを検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段による検出結果に応じてサービスまたは商品の提供・提供拒否を制御する制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−152756(P2010−152756A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331548(P2008−331548)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(391016358)東芝情報システム株式会社 (149)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】