説明

電子デバイスにおけるイオノマーシリコーン熱可塑性エラストマーの使用

本発明は電子デバイスの形成における少なくとも1つのシリコーンイオノマーを含む熱可塑性エラストマーの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子デバイスにおける少なくとも1つのシリコーンイオノマーを含む熱可塑性エラストマーの使用に関する。本明細書において定義するイオノマーとは、バルク特性が材料の個別領域におけるイオン相互作用(すなわち、イオン凝集体)により制御されるポリマーである。これらの主に非極性高分子は、鎖の一部として、通常15mol%未満のレベルでイオン基を含有する。有機イオノマーについて幅広い文献が存在する。イオン基のポリマーのバルクからの相分離はイオノマー凝集体と呼ばれる第2相の形成をもたらす。イオン相とシロキサン相との間の溶解度パラメーターの差並びに形成される強いイオン結合及び配位結合の組み合わせがこれらの凝集体の形成の主な原因である。
【背景技術】
【0002】
Eisenberg−Hird−Moore(EHM)モデルによると、イオノマー凝集体は約6Åの領域を占め、約30Åの領域に影響を及ぼし、ポリマー運動性が低下した状態をもたらす。これらのイオノマー凝集体のサイズの小ささ(光の波長に満たない)はこれらの材料の透明度を確保する。「マルチプレット」とも呼ばれるイオン基の凝集はベースポリマーに物理的架橋を与え、得られるポリマーの粘弾性特性を大きく変性することができる。また、架橋は物理的架橋であるので、それらは加熱又は溶解により破壊することができ、従ってそれらが形成する材料は再利用及び/又は再形成することができる。
【0003】
一般的には、シリコーンポリマーは熱硬化性又は熱可塑性いずれかのエラストマーを形成することができる。熱硬化性エラストマーで、シリコーンポリマーは化学的に架橋される。これらのタイプの架橋は可逆的ではなく、従って熱硬化性エラストマーは再利用可能ではない。熱可塑性エラストマーはプラスチック及びゴム特性の両方を有するポリマー材料である。熱可塑性エラストマーは、熱硬化系にとっては難しい押出、ブロー成形、溶融紡糸、等のような従来のポリマー加工方法を用いて加工することができる。それらは弾性機械的特性を有するが、従来の熱硬化ゴムとは異なり、高温で再加工することもできる。製造部品の再利用を可能にし、廃棄物のかなりの減少をもたらすため、この再加工性は化学的に架橋したゴムに対する熱可塑性エラストマーの主な利点である。さらなる環境重視に伴い、必要なくなった際に再利用及び/又は再加工することができる材料を開発することは非常に重要である。
【0004】
光電池のような電子デバイスは一般的には封止剤またバリアコーティング材料中に封入される。一般的には電池を環境(例えば風、雨、雪、ほこり等)から保護するために、一般的な現行の実施によると電池を封入するため及びそれらを基板に積層して集積電子デバイスを形成するための両方に、封止剤が用いられる。
【0005】
同様に、熱界面材料も半導体、トランジスタ、集積回路(IC)、及び個別素子のような電子デバイス上によく用いられ、それらと関連するヒートシンクとの間で熱を伝導する。これらの熱界面材料は熱を電子デバイスからヒートシンクまで表面接触により伝導する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は熱可塑性エラストマーによる光電池デバイスの封入方法である。本方法は、少なくとも1つの熱可塑性エラストマーの層を表板と光電池との間に挟むステップを含む。本発明の熱可塑性エラストマーは平均式(1)(X3−vSiO1/2(X2−wSiO2/2(X1−ySiO3/2(SiO4/2を有するシリコーンイオノマーを含み、式中、各Rは独立して選択される一価アルキル基又はアリール基であり、各Xは独立して一価アルキル基、アリール基並びにGが少なくとも2つのスペーシング原子を有する二価スペーサ基であり、各Zが独立して水素又は独立してアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、及び金属カチオンから選択されるカチオンから選択される式(2)−G−COOZを有するカルボキシ官能基から選択され、vは0〜3であり、wは0〜2であり、yは0〜1であり、0≦a≦0.9、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.3、a+b+c+d=1であるが、ただし、平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.002モルのカルボキシ官能基が存在し、カルボキシ官能基のZ基の少なくとも10モルパーセントは独立して選択されるカチオンである。
【0007】
本発明は、表板、表板の表面上に配置される熱可塑性エラストマー、及び熱可塑性エラストマー上に配置される光電池を備える光電池も含む。熱可塑性エラストマーは平均式(1)(X3−vSiO1/2(X2−wSiO2/2(X1−ySiO3/2(SiO4/2を有する少なくとも1つのシリコーンイオノマーを含み、式中、各Rは独立して選択される一価アルキル基又はアリール基であり、各Xは独立して一価アルキル基、アリール基並びにGが少なくとも2つのスペーシング原子を有する二価スペーサ基であり、各Zが独立して水素又は独立してアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、及び金属カチオンから選択されるカチオンから選択される式(2)−G−COOZを有するカルボキシ官能基から選択され、vは0〜3であり、wは0〜2であり、yは0〜1であり、0≦a≦0.9、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.3、a+b+c+d=1であるが、ただし、平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.002モルのカルボキシ官能基が存在し、カルボキシ官能基のZ基の少なくとも10モルパーセントは独立して選択されるカチオンである。
【0008】
本発明は放熱方法も含む。本方法はシリコーンイオノマーを熱源とヒートスプレッダとの間の熱経路に沿って配置するステップを含む。シリコーンイオノマーは平均式(1)(X3−vSiO1/2(X2−wSiO2/2(X1−ySiO3/2(SiO4/2を有し、式中、各Rは独立して選択される一価アルキル基又はアリール基であり、各Xは独立して一価アルキル基、アリール基並びにGが少なくとも2つのスペーシング原子を有する二価スペーサ基であり、各Zが独立して水素又は独立してアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、及び金属カチオンから選択されるカチオンから選択される式(2)−G−COOZを有するカルボキシ官能基から選択され、vは0〜3であり、wは0〜2であり、yは0〜1であり、0≦a≦0.9、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.3、a+b+c+d=1であるが、ただし、平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.002モルのカルボキシ官能基が存在し、カルボキシ官能基のZ基の少なくとも10モルパーセントは独立して選択されるカチオンである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
すべての量、比、及び割合はとくに指示のない限り重量による。以下は本明細書において用いる定義のリストである。
【0010】
用語の定義及び使用法
「A」及び「an」はそれぞれ1つ以上を意味する。
「アルキル」とは一価飽和炭化水素基を意味する。
「組み合わせ」とはいずれかの方法によりまとめられる2つ以上の要素を意味する。
「コポリマー」とは少なくとも2つの異なるモノマーから生成されるポリマーを意味する。コポリマーとしては、これに限定されないが、2つの異なるモノマーのみから生成されるポリマーが挙げられる。
「封入される」とは封入する物体の少なくとも1つの表面がその上に封止剤を有することを意味する。
「光電池」とは光電効果により光を直接電気に変換するデバイスを意味する。
「シロキサン」及び「シリコーン」は本明細書では同意語として用いる。
「シリコーン樹脂」とはRSiO(4−x)/2単位を含む分岐分子構造を有するポリマーを意味し、式中、各Rは有機基であり、各xは0、1、2、又は3であるが、ただし、少なくとも1つの単位は1より大きいxを有する。
「置換」とは炭素原子と結合した1つ以上の水素原子を別の置換基に置き換えたことを意味する。
本発明では、熱可塑性エラストマーを生成するのに有用であるシリコーンイオノマーは平均式(1)(X3−vSiO1/2(X2−wSiO2/2(X1−ySiO3/2(SiO4/2を有する。
式中、各Rは独立して選択される一価アルキル基又はアリール基であり、各Xは独立して一価アルキル基、アリール基並びにGが少なくとも2つのスペーシング原子を有する二価スペーサ基であり、各Zが独立して水素又は独立してアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、及び、金属カチオンから選択されるカチオンから選択される式(2)−G−COOZを有するカルボキシ官能基から選択され、vは0〜3であり、wは0〜2であり、yは0〜1であり、0≦a≦0.9、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.3、a+b+c+d=1である。ただし、平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.002〜0.5モルのカルボキシ官能基が存在し、カルボキシ官能基のZ基の少なくとも10モルパーセントは独立して選択されるカチオンである。
【0011】
各Rは独立して選択される一価アルキル基又はアリール基である。あるいは、各Rは独立して選択される1〜10個の炭素原子を有するアルキル基又は6〜20個の炭素原子を有するアリール基である。あるいは、各Rは独立して選択されるメチル又はフェニル基である。あるいは、各Rはメチルである。有用なアルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル及びtert−ペンチル;n−ヘキシル基のようなヘキシル;n−ヘプチル基のようなヘプチル;n−オクチル及びイソオクチル基、並びに2,2,4−トリメチルペンチル基のようなオクチル;n−ノニル基のようなノニル;n−デシル基のようなデシル;シクロペンチル、シクロへキシル及びシクロへプチル基並びにメチルシクロへキシル基のようなシクロアルキル基が挙げられる。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、o−、m−及びp−トリル、キシリル、エチルフェニル、並びにベンジルが挙げられる。
【0012】
式(1)中、下付き文字vは0〜3であり、wは0〜2であり、yは0〜1である。さらに、0≦a≦0.9、あるいは0≦a0.7、あるいは0≦a≦0.5;0≦b≦1、あるいは0.5≦b≦1、あるいは0.7≦b≦1;0≦c≦0.9、あるいは0≦c≦0.5、あるいは0≦c≦0.3;0≦d≦0.3、あるいは0≦d≦0.2、あるいは0≦d≦0.1、a+b+c+d=1である。当業者であれば式1中のシロキサン単位、例えば(X3−vSiO1/2)はよくM単位と称され、(X2−wSiO2/2)はよくD単位と称され、(X1−ySiO3/2)はよくT単位と称され、(SiO4/2)はよくQ単位と称されることを知っているだろう。
【0013】
式(2)の各X基は独立して一価アルキル基、アリール基及び式(2)−G−COOZを有するカルボキシ官能基から選択される。式(2)について、各Gは少なくとも2つのスペーシング原子を有する二価スペーシング基であり、あるいはGは少なくとも2つの炭素原子を有する二価炭化水素基又は少なくとも2つの炭素原子を有する二価ヒドロカルボノキシ基である。あるいは、Gは2〜20個の炭素原子を有するアルキレン基である。二価炭化水素基の例としては−(CHR−から選択されるアルキレン基を挙げることができ、sは2〜20の値を有し、Rは水素又はCHCH−、−CHCH(CH)−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCH(CHCH)CHCHCH−のような上記Rにより定義される基である。二価炭化水素基の例としては、−(CH−、−CHCH(CH)(CH−、及び(CH(CH−から選択されるアリーレン基を挙げることもでき、tは1〜20の値を有し、uは0〜10の値を有する。二価ヒドロカルボノキシ基の例としては、−OCH(R)(CH−及びOCH(CH)(CH−を挙げることができ、R及びtは上述のとおりである。
【0014】
式(2)について、各Zは水素又は独立してアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び金属から選択されるカチオンである。あるいは、各カチオンは独立してLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ba、Zn、Cu、Ni、Ga、Al、Mn、及びCrから選択される。あるいは、各カチオンは独立してLi、Na、K、Zn、Ni、Al、Mn、Mgから選択される。あるいは、各カチオンは独立してLi、Na、K、Zn、Al、Mgから選択される。当業者であれば特定の金属から生じるカチオンが関連配位子の数に応じて異なる価数を有することができることを理解するだろう。例えば、Mn2+及びMn3+中和カルボン酸官能性シロキサンイオノマーは、用いるマンガン中和剤に応じて調製することができる。
【0015】
一般的には、平均でケイ素原子1つ当たり0.002〜0.5モルのカルボキシ官能基が存在する。あるいは、平均でケイ素原子1つ当たり0.01〜0.4モルのカルボキシ官能基が存在する。あるいは、平均でケイ素原子1つ当たり0.02〜0.2モルのカルボキシ官能基が存在する。
【0016】
さらに、カルボキシ官能基のZ基の少なくとも10モルパーセントは独立して選択されるカチオンである。あるいは、カルボキシ官能基のZ基の少なくとも25モルパーセントは独立して選択されるカチオンである。あるいは、カルボキシ官能基のZ基の少なくとも50モルパーセントは独立して選択されるカチオンである。あるいは、カルボキシ官能基のZ基の少なくとも75モルパーセントは独立して選択されるカチオンである。あるいは、カルボキシ官能基のZ基の100モルパーセントは独立して選択されるカチオンである。カルボキシ官能基は下付き文字a、b、及びcで表されるM、D又はTシロキサン単位のいずれかに存在することができる。あるいは、カルボキシ官能基は下付き文字a及びbで表されるM及びDシロキサン単位中に存在することができる。
【0017】
シリコーンイオノマーの重合度(dp)は所望の特性に応じて変動することができる。あるいは、シリコーンイオノマーのdpは10〜10,000、あるいは20〜5,000、あるいは40〜5,000とすることができる。
【0018】
所望に応じて、いくつかの異なるイオノマーをブレンドし、熱可塑性エラストマーとすることができる。例えば、異なるカチオンを有するいくつかの異なるイオノマーをブレンドし、熱可塑性エラストマーの特性又は特徴を変えることができる。例えば、流量、加工特性、所望の用途における性能等を変えることができる。
【0019】
所望に応じて、熱可塑性エラストマーは硬化パッケージを含み、熱可塑性エラストマーを配置後に硬化することができる。以下の硬化パッケージを用いることができる。
【0020】
(硬化1)
硬化1は当技術分野において知られるような標準ヒドロシリル化硬化からなる。この硬化の成分は2つ以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン、ヒドロシリル化触媒及び1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンの形態である架橋剤を含む。ヒドロシリル化又は添加硬化反応は、隣接するケイ素原子間にアルキレン基を形成する(≡Si−CH−CH−Si≡)、(一般的には架橋剤として提供される)Si−H基とSi−アルケニル基、一般的にはビニル基との間の反応である。
【0021】
好適には、硬化1の触媒はヒドロシリル化(すなわち添加硬化型)触媒であり、いずれかの適切な白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム又はルテニウム系触媒を含むことができる。しかしながら好適には、硬化1における触媒は白金系触媒である。白金系触媒は、例えば白金微粉末、白金ブラック、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール溶液、塩化白金酸のオレフィン錯体、塩化白金酸とアルケニルシロキサンとの錯体、又は前述の白金触媒を含有する熱可塑性樹脂のような、いずれかの適切な白金触媒であってもよい。白金触媒は、金属白金原子の含有量がアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサン1,000,000重量部当たり0.1〜500重量部を構成するような量で用いられる。
【0022】
硬化1の架橋剤は1分子当たり少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するポリオルガノシロキサンの形態であってもよく、以下の平均単位式:
SiO(4−b)/2
を有し、式中、各Rは同じでも異なってもよく、水素;メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルのようなアルキル基;又はフェニル及びトリルのようなアリール基である。架橋剤は線状、部分分岐線状、環状、又は網状構造を有することができる。
【0023】
前述のオルガノポリシロキサンの例としては、以下:
トリメチルシロキシ末端ポリメチル水素シロキサン、
メチル水素シロキサンとジメチルシロキサンとのトリメチルシロキシ末端コポリマー、
メチル水素シロキサンとジメチルシロキサンとのジメチル水素シロキシ末端コポリマー、
メチル水素シロキサンの環状ポリマー、
メチル水素シロキサンとジメチルシロキサンとの環状コポリマー、
式(CHSiO1/2で表されるシロキサン単位、式(CHHSiO1/2で表されるシロキサン単位、及び式SiO4/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン、
式(CHHSiO1/2で表されるシロキサン単位、式CHSiO3/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン、
式(CHHSiO1/2で表されるシロキサン単位、式(CHSiO2/2で表されるシロキサン単位、及び式CHSiO3/2で表されるシロキサン単位からなるオルガノポリシロキサン、
ジメチル水素シロキシ末端ポリジメチルシロキサン、
メチルフェニルシロキサンとジメチルシロキサンとのジメチル水素シロキシ末端コポリマー、並びに
メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサンとジメチルシロキサンとのジメチル水素シロキシ末端コポリマー
の1つ以上が挙げられ;又は(本明細書に参照により組み入れる)国際公開第2003/093349号もしくは国際公開第2003/093369号に概説されるような環状水素化シリコーン架橋剤が用いられる。
【0024】
架橋剤は、架橋剤中のケイ素結合水素原子のアルケニル基を有するポリジオルガノシロキサン中のアルケニル基のモル数に対するモル比が0.1:1〜5:1の範囲内、より好適には0.8:1〜4:1の範囲内となるような量で添加することが推奨されている。上記比が0.1:1より低い場合、架橋の密度が低すぎ、ゴム状エラストマーを得ることが困難となるだろう。過剰のSi−H基を有する比(すなわち>1:1)は表板/基板、例えばガラスと封止剤との間の接着性を向上させるのに好適である。
【0025】
硬化1を用いる場合、組成物の取扱条件及び貯蔵特性を改善するため、組成物は1つ以上の硬化阻害剤、例えば2−メチル−3−ブチン−2−オル、2−フェニル−3−ブチン−2−オル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オル、1−エチニル−1−シクロヘキサノール、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、3,5−ジメチル−1−ヘキセン−1−イン、3−エチル−3−ブテン−1−イン及び/又は3−フェニル−3−ブテン−1−インのようなアセチレン型化合物;1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、又は1,3−ジビニル−1,3−ジフェニルジメチルジシロキサンのようなアルケニルシロキサンオリゴマー;メチルトリス(3−メチル−1−ブチン−3−オキシ)シランのようなエチニル基を含有するシリコン化合物;トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールのような窒素含有化合物;トリフェニルホスフィンのような同様のリン含有化合物;並びに硫黄含有化合物、ヒドロペルオキシ化合物、又はマレイン酸誘導体を含むこともできる。
【0026】
前述の硬化阻害剤はアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン成分100重量部当たり0〜3重量部、通常0.001〜3重量部、好適には0.01〜1重量部の量で用いられる。硬化阻害剤の中でも前述のジアリルマレイン酸塩型化合物がもっとも好ましい
【0027】
(硬化2)
硬化2は当技術分野において知られるようなシロキサンの過酸化物硬化からなる。
≡Si−CH基と他の≡Si−CH基;又は
≡Si−CH基と≡Si−アルケニル基(一般的にはビニル);又は
≡Si−アルケニル基と≡Si−アルケニル基
を含むシロキサン間のフリーラジカル系反応に用いられる触媒で構成される。適切な過酸化物触媒としては、ニート化合物として又は不活性マトリクス(液体又は固体)中で送達される、過酸化2,4−ジクロロベンゾイル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過安息香酸tert−ブチル、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(TMCH)、(2,5−ビス(t−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン)触媒、1,1−ビス(tert−アミルペルオキシ)シクロヘキサン、3,3−ビス(tert−アミルペルオキシ)酪酸エチル及び1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサンを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0028】
過酸化物は好適にはシロキサン1,000,000重量部当たり0.01〜500重量部の量で存在する。
【0029】
硬化2を用いる場合、1つ以上のラジカル開始剤が用いられ、硬化が開始される温度は一般的にはラジカル開始剤の半減期に基づいて決定/制御されるが、硬化速度及び最終物理的特性は不飽和のレベルにより制御される。所定の反応プロファイルに必要な不飽和の臨界レベルを達成するのに用いることができる多数のシリコーン種が存在する。反応速度及び物理的特性は、異なる重合度(dp)を有する線状非反応性末端ブロックポリマーをビニル末端ブロックの有無にかかわらずジメチルメチルビニルコポリマーとブレンドすることにより調整することができる。
【0030】
(硬化3)
硬化3は当技術分野において知られるようなシロキサンの縮合硬化である。この硬化はヒドロキシ及び/又は加水分解性基を含有するシロキサン、縮合触媒並びにアクリロキシ基(例えば、アセトキシ、オクタノイルオキシ、及びベンゾイルオキシ基)、ケトキシモ基(例えばジメチルケトキシモ、及びイソブチルケトキシモ)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、及びプロポキシ)、及びアルケニルオキシ基(例えばイソプロペニルオキシ及び1−エチル−2−メチルビニルオキシ)のようなケイ素結合加水分解性基を含有する1つ以上のシラン又はシロキサン系架橋剤とともに用いられる。
【0031】
いずれかの適切な縮合触媒を用い、組成物を硬化することができる。これらとしては、錫、鉛、アンチモン、鉄、カドミウム、バリウム、マンガン、亜鉛、クロム、コバルト、ニッケル、アルミニウム、ガリウム又はゲルマニウム及びジルコニウムを含む縮合触媒が挙げられる。例としては、アルキル錫エステル化合物、例えばジオクタン酸ジブチル錫、二酢酸ジブチル錫、ジマレイン酸ジブチル錫、ジラウリル酸ジブチル錫、2−エチルヘキサン酸ブチル錫のような有機錫金属触媒が挙げられる。あるいは鉄、コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛の2−エチルヘキサン酸塩を用いることができるが、チタン酸塩及び/又はジルコン酸塩系触媒が好ましい。こうしたチタン酸塩及びジルコン酸塩はそれぞれ一般式Ti[OR]及びZr[OR]による化合物を含むことができ、式中、各Rは同じ又は異なってもよく、1〜10個の炭素原子を含有する線状又は分岐でもよい一価第1級、第2級又は第3級脂肪族炭化水素基を表す。任意でチタン酸塩は部分不飽和基を含有することができる。しかしながら、Rの好適な例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、第3級ブチル及び2,4−ジメチル−3−ペンチルのような分岐第2級アルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。好適には、各Rが同じである場合、Rはイソプロピル、分岐第2級アルキル基又は第3級アルキル基、とくに第3級ブチルである。
【0032】
あるいは、チタン酸塩はキレート化することができる。キレート化はいずれかの適切なキレート剤、例えばメチル又はエチルアセチルアセトネートのようなアルキルアセチルアセトネートで行うことができる。適切なチタニウム及び/又はジルコニウム系触媒の例については本明細書に参照により組み入れる欧州特許第1254192号に記載されている。用いる触媒の量は用いる硬化系によって決まるが、一般的には総組成物の0.01〜3重量%である。
【0033】
含めるために選択される触媒は要する硬化速度によって決まる。硬化3の架橋剤がオキシモシラン又はアセトキシシランである場合、硬化には一般的には錫触媒、とくにジラウリン酸ジブチル錫、二酢酸ジブチル錫、ビスネオデカン酸ジメチル錫のようなジカルボン酸ジオルガノ錫化合物が用いられる。アルコキシシラン架橋剤化合物を含む組成物にとって好適な硬化触媒はチタン酸テトラブチル、チタン酸テトライソプロピル、又はキレート化チタン酸塩もしくはジルコン酸塩、例えばビス(アセチルアセトニル)チタン酸ジイソプロピル、ビス(エチルアセトアセトニル)チタン酸ジイソプロピル、ビス(エチルアセト酢酸)ジイソプロポキシチタニウム等のようなチタン酸塩又はジルコン酸塩化合物である。
【0034】
硬化3に用いる架橋剤は好適には加水分解性基を含有するシラン化合物である。これらは、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ、オクタノイルオキシ、及びベンゾイルオキシ基)、ケトキシモ基(例えばジメチルケトキシモ、及びイソブチルケトキシモ)、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ、及びプロポキシ)及びアルケニルオキシ基(例えばイソプロペニルオキシ及び1−エチル−2−メチルビニルオキシ)のようなケイ素結合加水分解性基を含有する1つ以上のシラン又はシロキサンを含む。
【0035】
シロキサンの場合、分子構造は直鎖、分岐、又は環状とすることができる。架橋剤は1分子当たり2つのケイ素結合加水分解性基を有することができるが、好適には3つ以上有する。架橋剤がシランであり、シランが1分子当たり3つのケイ素結合加水分解性基を有する場合、第4の基は適切には非加水分解性ケイ素結合有機基である。これらのケイ素結合有機基は適切には任意でフッ素及び塩素のようなハロゲンにより置換されるヒドロカルビル基である。こうした第4の基の例としては、アルキル基(例えばメチル、エチル、プロピル、及びブチル)、シクロアルキル基(例えばシクロペンチル及びシクロへキシル)、アルケニル基(例えばビニル及びアリル)、アリール基(例えばフェニル、及びトリル)、アラルキル基(例えば2−フェニルエチル)及び前述の有機基中の水素のすべて又は一部をハロゲンで置き換えることにより得られる基が挙げられる。好適にはしかしながら、第4のケイ素結合有機基はメチルである。
【0036】
縮合硬化系において架橋剤として用いることができるシラン及びシロキサンとしては、メチルトリメトキシシラン(MTM)及びメチルトリエトキシシランのようなアルキルトリアルコキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシランのようなアルケニルトリアルコキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン(iBTM)が挙げられる。他の適切なシランとしては、エチルトリメトキシシラン;ビニルトリエトキシシラン;フェニルトリメトキシシラン;ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルエチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルエチルジエトキシシランのようなアルケニルアルキルジアルコキシシラン;ビニルメチルジオキシモシラン、ビニルエチルジオキシモシランのようなアルケニルアルキルジオキシモシラン;アルコキシトリオキシモシラン;アルケニルトリオキシモシラン;ビニルメチルジアセトキシシラン、ビニルエチルジアセトキシシランのようなアルケニルアルキルジアセトキシシラン;ビニルメチルジヒドロキシシラン、ビニルエチルジヒドロキシシランのようなアルケニルアルキルジヒドロキシシラン;メチルフェニル−ジメトキシシラン;3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン;メチルトリアセトキシシラン;ビニルトリアセトキシシラン;エチルトリアセトキシシラン;ジ−ブトキシジアセトキシシラン;フェニル−トリプロピオノキシシラン;メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン;ビニル−トリス−(メチルエチルケトキシモ)シラン;メチルトリス(メチルエチルケトキシモ)シラン;メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン;ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン;エチルポリシリケート;n−プロピルオルソシリケート;エチルオルソシリケート;ジメチルテトラアセトキシジシロキサンが挙げられる。さらなる代替架橋剤としては、メチルビニルジ−(N−メチルアセトアミド)シラン及びメチルビニルジ(N−エチルアセトアミド)シランのようなアルキルアルケニルビス(N−アルキルアセトアミド)シラン;ジメチルジ−(N−メチルアセトアミド)シラン及びジメチルジ−(N−エチルアセトアミド)シランのようなジアルキルビス(N−アリールアセトアミド)シラン;メチルビニルジ(N−フェニルアセトアミド)シランのようなアルキルアルケニルビス(N−アリールアセトアミド)シラン;並びにジメチルジ−(N−フェニルアセトアミド)シランのようなジアルキルビス(N−アリールアセトアミド)シランが挙げられる。用いられる架橋剤は上記の2つ以上のいずれかの組み合わせを含むこともできる。
【0037】
(硬化4)
硬化4は脂環式エポキシ官能基を含有するシロキサンが存在する場合用いることができるカチオン開始剤を含有する。これらのカチオン開始剤は熱及び/又は紫外線硬化に適している。好適な樹脂は、ヨードニウム又はスルホニウム塩を配合する場合、加熱時に硬化網が得られるように調製することができる。こうした系の開始温度は適切なラジカル開始剤の使用により制御することができる。これらの系は、過酸化物として上述したもののような適切な紫外−可視光線ラジカル開始剤で感光する場合、紫外−可視光線照射により硬化することもできる。官能基及び触媒レベルは、周囲条件下高速で硬化を開始し、ラミネータにおける結合及び最終硬化をもたらすように調整することができる。
【0038】
シリコーンイオノマーに加えて、熱可塑性エラストマーの所望の用途に応じて、少なくとも1つのMQ樹脂を添加することも有用であり得る。MQ樹脂は主にRSiO1/2及びSiO4/2単位(それぞれM及びQ単位)で構成される高分子ポリマーであり、式中、Rは官能性又は非官能性、置換又は非置換一価基である。あるいは、Rはメチル又はフェニルである。当業者であれば、こうした樹脂は限定された数のそれぞれD及びT単位と称されるRSiO2/2及びRSiO3/2単位を含むこともできることを理解するだろう。本明細書において用いられるように、「MQ樹脂」の語は平均で樹脂分子の約20モルパーセント以下はD及びT単位からなることを意味する。一般的には、MQ樹脂を添加する場合、シリコーンイオノマー100重量部に対して最大80重量部を用いることができる。あるいは、シリコーンイオノマー100重量部に対して10〜70重量部を用いることができる。あるいは、同じ基準で30〜65重量部を用いることができる。
【0039】
MQ樹脂は市販され、既知のプロセスにより製造される。例えば、本明細書に参照により組み入れる1957年11月26日付Currie他の米国特許第2,814,601号は、MQ樹脂は酸を用いて水溶性ケイ酸塩をケイ酸モノマー又はケイ酸オリゴマーに変換することにより調製することができることを開示する。適当な重合を達成した後、樹脂をトリメチルクロロシランで末端キャップし、MQ樹脂を得る。MQ樹脂の別の調製方法は、本明細書に参照により組み入れる1958年10月21日付Goodwinの米国特許第2,857,356号に開示されている。Goodwinはケイ酸アルキル及び加水分解性トリアルキルシランオルガノポリシロキサンと水との混合物の共加水分解によるMQ樹脂の調製方法について開示する。MQ樹脂は、報告によれば、対応するシランの共加水分解によって又は当技術分野において知られるシリカヒドロゾルキャッピング方法によっても調製されている。用いるMQ樹脂はDaudt他の米国特許第2,676,182号のシリカヒドロゾルキャッピングプロセスにより調製することもできる。
【0040】
別の任意の成分は充填剤である。充填剤はシリコーンイオノマー100重量部に対して最大99重量部の量で添加することができる。あるいは、シリコーンイオノマー100重量部に対して0〜50重量部を用いることができる。あるいは、同じ基準で5〜30重量部を用いることができる。本発明において有用である充填剤の例としては、焼成シリカ、沈降シリカ及び珪藻シリカ、粉砕石英、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミニウム及びマグネシウム混合物、ケイ酸ジルコニウム、マイカ粉末、炭酸カルシウム、ガラス粉末及び繊維、焼成酸化物及びルチル型の酸化チタニウム、ジルコン酸バリウム、スルホン酸バリウム、メタホウ酸バリウム、窒化ホウ素、リトポン、鉄、亜鉛、クロム、ジルコニウム、及びマグネシウムの酸化物、異なる形態のアルミナ(含水又は無水)、黒鉛、ランプブラック、アスベスト、金属粒子及び焼成粘土のような無機物並びにフタロシアニン、コルク粉末、おがくず、合成繊維及び合成ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン及びポリ塩化ビニル)のような有機物を挙げることができるが、これらに限定されない。充填剤は単一タイプ又はいくつかのタイプの混合物であってもよい。
【0041】
一般的には、充填剤の量は放熱に用いられる組成物ではより高くなる。例えば、放熱用途では熱可塑性エラストマーの最大96wt%を充填剤とすることができる。あるいは、熱可塑性エラストマーの40〜96wt%を充填剤とすることができる。また、放熱に用いる場合、充填剤は一般的には金属粒子、金属酸化物粒子、又はこれらの組み合わせである。
【0042】
一般的には、本発明の組成物に少量の追加成分を添加することもできる。本明細書に規定する要件を物質的に変えない限り、例えば、抗酸化剤、顔料、安定剤、水分捕捉剤、希釈剤、担体、充填剤処理剤等を添加することができる。
【0043】
本発明の熱可塑性エラストマーを生成するのに有用なシリコーンイオノマーは、溶液中で水素基(SiH官能基)を有するシロキサンポリマーを保護ウンデシレン酸(例えばトリメチルシリル化ウンデシレン酸)でヒドロシリル化することにより生成することができる。白金触媒を用いて反応を補助することができる。ポリマーを溶媒から揮散させた後、保護ウンデシレン酸基を有するシロキサンポリマーをメタノールでの脱保護によりカルボン酸官能基誘導体化材料に変換する。対応するイオノマーシリコーンを得るため、興味のある特定の金属対イオンの価数に留意しながら、カルボン酸官能性シロキサンを金属塩、通常は金属アセチルアセトネートで中和する。例えば、二価対イオンについて、100%の中和を達成するには1対2の金属塩対カルボン酸のモル比を用いるべきである。イオノマーシロキサンの形成後、溶媒を真空下で揮散し、熱可塑性エラストマー特性を有する固体材料を得る。揮散ステップ前又はその後、適当な共溶媒を用いることにより任意の成分を添加することができる。あるいは、イオノマーシロキサンの流動温度より高い温度での押出を用い、溶媒を用いることなく任意の成分を導入することができる。
【0044】
本発明のシリコーンイオノマーを含有する熱可塑性エラストマーは液体から固体までのいずれかの形態で用いることができる。例えば、熱可塑性エラストマーは液体に形成することができ、液体は光電池を封入するため流し込まれ、又は電子デバイスとヒードスプレッダとの間に塗布される。一般的には、しかしながら、熱可塑性エラストマーはシートの形態で用いられる。
【0045】
一般的には、熱可塑性エラストマーのシートは適切な押出機を用いることにより調製される。熱可塑性エラストマーは適切な溶媒(例えば、芳香族溶媒)中の溶液の形態で押出機上に導入することができ、混合後、溶媒を揮散させる。あるいは、熱可塑性エラストマーは、例えば加熱した後押出機中に導入することにより、液化することができる。シリコーンイオノマー以外のいずれかの成分(例えば、希釈剤、接着促進剤、充填剤、樹脂、等)は押出機中に導入する前にイオノマー組成物と混合することができ、又はそれらはすべていずれかの適切な方法により押出機における適当な点で押出機中に導入することができる。混合は約500℃までのいずれかの適切な温度で行うことができる。例えば、80〜150℃の範囲内の温度を用いることができる。いずれかの適切な押出機及び混合デバイスを用いることができる。
【0046】
熱可塑性エラストマーを押出した後、(例えばプラテンプレスを用いて)押圧してシート及び/又はロールとし、所望の厚さを有する膜を形成することができる。
【0047】
あるいは、シート材料は単軸又は二軸押出機を用いて調製することができる。スクリュー速度及びバレル温度はすべての成分の沸点又は反応温度より低い、好適には200℃未満の温度を維持するものである。真空脱気部を用い、ボイドフリーな膜を確保することができる。押出機はマニホールドによって高圧でシーティングダイを供給し、良好な生成速度とともに均一なシートプロファイルを維持する。シートを冷間ロール上で冷却し、熱可塑性エラストマーを固め、任意の剥離ライナーを巻取ロール中に供給し、シートの連続ロールを提供することができる。
【0048】
あるいは、本発明のイオノマー組成物シートは溶媒から、例えば光電池表板のような所望の基板、電子デバイスもしくはヒートスプレッダ、又は連続剥離ライナー上にシートを単純に成形することにより調製することができる。
【0049】
あるいは、本発明のイオノマー組成物シートはイオノマーを所望の基板上に溶媒の有無にかかわらず噴霧することにより調製することができる。基板は、例えば光電池表板、電子デバイスもしくはヒートスプレッダ、又は連続剥離ライナーとすることができる。
【0050】
多くの場合、上記プロセスから得られる膜は用途に応じて最大0.1mm厚、あるいは最大0.5mm厚、あるいは最大1mm厚さ、あるいは最大5mm厚である。こうした膜は使用前に適切な剥離ライナーを用いて保護することができる。
【0051】
適切な剥離ライナーは、剥離コーティングの有無にかかわらず、ワックスコート紙、ポリプロピレン膜、フルオロポリマー膜で構成される。剥離ライナーは必須ではないが、好適にはこの方法で連続的に生成されるシートの片面又は両面を剥離ライナーで保護する。得られるシートは連続ロールとして調製することができ、又はそれらの最終用途により決まる具体的な幅及び長さ要件に合わせて切って重ねることができる。
【0052】
得られるシートはさらに加工し、例えばEVA供給業者の間では一般的であるディンプルのある表面をもたらすことができる。シート上にディンプルをもたらすことは表面粘着性により引き起こされる問題を減少させることを意図し、封入中の空気除去を補助する。
【0053】
本発明の1つの態様では、光電池の封入プロセスであって、以下の層の「サンドイッチ」を積層するステップを含む、プロセスを提供する:
1) 表板、
2) 本発明による軟質シリコーンシート、
3) 光電池、並びにシート(2)が光電池を封入しない場合、
4) 光電池モジュールのシート(2)と反対の面に用いられる封止剤及び、任意で
5) 封止剤(4)の上の適切な基材の形態の基板。
【0054】
本発明の別の態様では、光電池の封入プロセスであって、以下の層の「サンドイッチ」を積層するステップを含む、プロセスを提供する:
a) 表板、
b) 基板上に取り付けられる薄膜光電池、
c) 封入のため薄膜光電池上に取り付けられる本発明による軟質シリコーンシート、
d) 封止剤(c)の上の適切な基材の形態の基板

【0055】
一般的には、一連の光電池モジュールは相互接続し、1つの装置に電力を供給又は貯蔵用電池等を供給するため適切な電圧を発生させるように電池及びモジュールが相互接続している単一の発電ユニットとして機能する太陽電池アレイを形成する。これらの相互接続モジュールも本発明に従って封入することができる。
【0056】
光電池はいずれかの材料でいずれかの方法により製造することができる。多くの場合、電池は多結晶又は単結晶シリコンである。同様に、それらは基板上に配置されるシリコンのような光電池のウェーハ又は薄膜から製造することができる。
【0057】
通常ウェーハ系光電池モジュールは表板(例えば、ガラス)を用いて、通常は基板と組み合わせて設計され、電池を表板及び存在する場合基板に接着するための電池接着剤として本発明の封止剤の1つ以上の層を有する。よって、光は半導体ウェーハに到達する前に透明な表板及び封止剤/接着剤を通過する。
【0058】
通常、Si堆積光電池モジュールは、Siを堆積した後、本発明の封止剤の1つ以上の層でコーティングした表板(例えば、ガラス)を用いて設計されている。
【0059】
基板は、存在する場合、モジュールの裏面を保護するように設計されている硬いバックスキンの形態である。必ずしも光に透明である必要はない基板にはさまざまな材料が提案されている。これらとしては、表板と同じ材料、例えばガラスが挙げられるが、有機フルオロポリマー、例えばエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、Tedlar(登録商標)、又は単独の又はケイ素及び酸素系材料(SiO)でコーティングしたポリエチレンテレフタレート(PET)のような材料を挙げることもできる。
【0060】
本発明の有用な特徴は、熱可塑性エラストマーシートが、室温では軟質シートの形態であるが、加熱する(例えば、加熱下のラミネータ装置に入れる)とシートの「溶融」をもたらし、表板と光電池との間で接着剤として作用するという点で、ホットメルト特性を示すことである。本発明の方法による1つの実施形態では、封入は積層プロセスによって行われる。
【0061】
好適には上記(4)も本発明による熱可塑性エラストマーであり、シートとして又は噴霧又は分注のようないくつかの他の手段により取り付けられる。(4)はシート(2)と同じ組成を有することができる。しかしながら、上述のとおり、シート(2)は光に透明でなければならないが、シート(4)はその必要はない。従って、充填剤の混和により強化することができる。また、シート(4)はシリコーンゲル、シリコーンエラストマー又はEVAのようないずれかの既知の封止剤で生成することができる。しかしながら、(4)は異なっていてもよいが、一般的にはシート(2)と同様の性質を有し、積層中2つの層の間の接着を促進し、シート(2)と(4)との間の良好な交互積層をもたらす。(4)を充填する場合、充填剤によりもたらされる追加強度は基板(5)を不要にし得る。
【0062】
本発明の熱可塑性エラストマーを用い、光電池をいずれかの所望の方法において封入することができる。一般的には熱可塑性エラストマーは表板上に配置される。一般的には、これは熱可塑性エラストマーのシートを表板上に配置することにより達成される。これを達成すると、次に光電池を熱可塑性エラストマー上に配置する。最後に、表板、熱可塑性エラストマー及び光電池を熱可塑性エラストマーの流動温度より高い温度で加熱し、材料を表板及び電池上で流動させる。
【0063】
薄膜光電池を用いる場合、薄膜(例えば、シリコン)は基板上に取り付ける。本発明の熱可塑性エラストマーのシートは封入のため薄膜光電池上に取り付ける。上記のとおり、適切な基材の形態の基板を任意で熱可塑性エラストマーの上に取り付けることができる。
【0064】
任意で、加熱前に封止剤の第2層を光電池上に配置することができる。上述のとおり、封止剤の第2層は第1層と同じ又は異なるものとすることができ、例えば、シリコーンイオノマー、シリコーンゲル、シリコーンエラストマー又はEVAを含むことができる。
【0065】
任意で、加熱前に基板を封止剤の第2層上に配置することができる。基板の組成は上述のとおりである。
【0066】
一般的には、上記プロセスは当技術分野で知られているような真空ラミネータにおいて完了させるが、噴霧のような他の既知の手段を用いてもよい。
【0067】
熱可塑性エラストマーは一般的には光電池デバイスを環境(例えば風、雨、雪、ほこり等)から保護するために用いられる。光電池デバイスの一般的な現行の実施によると、熱可塑性エラストマーは電池を封入するため並びにそれらを基板及び/又は表板に積層して集積光電池モジュールを形成するための両方に用いられる。
【0068】
熱可塑性エラストマーは熱界面材料として用いることもできる。こうした材料は電子デバイス及びヒートスプレッダの表面をコーティングするために用いられる。こうした表面は一般的には完全に滑らかではないので、表面間での完全な接触を達成するのは困難である。不良熱伝導体である空隙が表面間に見られ、インピーダンスを増加させる。これらの空間は表面間に熱界面材料を挿入することにより埋めることができる。
【0069】
本発明の熱可塑性エラストマーは、それが溶融及び流動し、表面の完全な被覆を達成するという点で、この目的に有用である。一般的には、それらは電子デバイス熱源とヒートスプレッダとの間の熱経路に沿って配置されるが、それらは放熱が望まれるいずれの表面上にも用いることができる。熱可塑性エラストマーは、シートを接着剤又は下塗剤の有無にかかわらず熱源とヒートスプレッダとの間に取り付けること、熱可塑性エラストマーをホットメルト分注すること、又は熱可塑性エラストマーを溶媒キャスティングすることのようないずれかの従来の手段により配置することができる。
【0070】
熱源は半導体、トランジスタ、集積回路、又は個別素子のようないずれかの電子デバイスを備えることができる。
【0071】
ヒートスプレッダはヒートシンク、熱伝導プレート、熱伝導カバー、送風機、循環冷却系、これらの組み合わせ、他を備えることができる。熱可塑性エラストマーは電子デバイス及びヒートスプレッダと直接接触させて用いることができる。熱可塑性エラストマーは電子デバイス及びその後にヒートスプレッダに用いることができ、又は熱可塑性エラストマーはヒートスプレッダ及びその後に電子デバイスに用いることができる。あるいは、ヒートスプレッダ及び/又は電子デバイスは熱可塑性エラストマーで完全にコーティングすることができる。
【0072】
熱可塑性エラストマーを熱経路に沿って配置中又は後、熱可塑性エラストマーは流動温度以上の温度まで加熱することができる。圧力を印加してもよい。熱可塑性エラストマー組成物は次に冷却することができる。
【0073】
上記プロセスのそれぞれにおいて、熱可塑性エラストマーは一般的には、分子量、イオン含有量、対イオンのタイプ、シリコーンイオノマーの中和度によって特定されるその流動温度より高い温度で加熱される。イオン凝集体によって導入される物理的架橋の強度は金属対イオンのタイプを変えることにより調整することができる。例えば、金属対イオンをNaからMg++に変えると流動温度が上昇する。また、金属イオン中和度を増加させることは物理的架橋の強度を増加させ、従って流動温度も上昇させる。このように、流動温度を調節することができる。
【0074】
前駆体線状ポリジメチルシロキサン(PDMA)は一般的には−80℃の低温で流動性液体である。金属中和シリコーンイオノマーへの変換は流動温度を劇的に、例えば線状ポリジメチルシロキサンでは−80℃から300℃まで上昇させることができる。分子量、イオン含有量、対イオンのタイプ及び中和度に応じて、シリコーンイオノマーの流動温度は少なくとも0℃であり得る。あるいは、シリコーンイオノマーの流動温度は0℃〜300℃、あるいは100℃〜300℃、あるいは100〜250℃と変動することができる。
【0075】
熱可塑性エラストマーの室温での貯蔵弾性率は10Pa〜10Pa、あるいは10Pa〜10Pa、あるいは10Pa〜10Paである。参照として、(「ガム」と呼ばれる)一般的な高分子量ポリジメチルシロキサンは、シリコーンイオノマーで得ることができるものよりかなり低い10〜10の範囲内の貯蔵弾性率を有する。ガラス状材料、例えばそのガラス転移点より低い(−125℃より低い)温度でのポリジメチルシロキサンは10Paの貯蔵弾性率を有する。
【0076】
他のPSA又はホットメルト材料とは異なり、所望の成分を本発明の熱可塑性エラストマーと結合した後、本発明は硬化させるため温度を下げることを要するのみであり、硬化時間はない。むしろ、冷却の際イオン凝集体が再形成してエラストマーとなる。他のPSA又はホットメルト材料を用いると、硬化プロセスの完了に要する時間は、例えば触媒タイプ、触媒レベル、温度及び湿度に応じて、約1日〜1か月より長い間で変動する。
【実施例】
【0077】
以下の実施例は本発明の好適な実施形態を示すために含む。当業者であれば、以下の実施例に開示する技術が本発明者により本発明の実施において十分に機能することが見出された技術を表し、よってその実施について好適な態様を構成するとみなすことができることを理解すべきである。一方、当業者であれば、本開示を踏まえて、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示する具体的な実施形態において多くの変更を行うことができ、さらに同様又は類似の結果が得られることを理解すべきである。変更の指示がない限り、実施例におけるすべての部及び割合は重量ベースであり、すべての測定値は25℃で得た。
【0078】
試験方法:
29Si核磁気共鳴分光(NMR)
NMR分析用のイオノマー試料は約4グラムの試料をバイアルに導入し、約4グラムの0.04M Cr(acac)3のCDCl3溶液で希釈することにより調製した。試料を混合し、ケイ素を含まないNMRチューブに移した。スペクトルはVarian Mercury 400MHz NMRを用いて得た。
【0079】
レオロジー測定(貯蔵弾性率、損失弾性率、粘度測定)
強制対流オーブンを備えるTA Instruments ARES−RDA(2KSTD標準屈曲ピボットスプリング変換器)を用いてシロキサンイオノマーの貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)を測定した。試験片(一般的には8mm幅、0.1mm厚)は平行板の間に取り付け、温度を2℃/分(周波数1Hz)で−120℃〜250℃の範囲内で傾斜させながら、小ひずみ振動レオロジーを用いて測定した。流動性液体の粘度は同じ装置を定常せん断モード、異なる温度で用い、一般的には25mmコーンプレート装置を用いて測定した。
【0080】
ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)
試料はトルエン中で0.5%濃度に調製し、ろ過し、標準PDMSに対して屈折率検出を用いて分析した。カラムは2つの300mmMixed C及び1つの500mmガードカラムだった。流動速度は1mL/分だった。
【0081】
DSC実験
液体窒素冷却系(LNCS)を備えるTA Instruments Q2000示差走査熱量計(DSC)を用い、ガラス転移点(Tg)を測定した。約10mgの試料をTA Instruments密閉パンに導入した。インジウムを熱流量及び温度の較正基準として用いた。試料はパージガス(25mL/分)としてヘリウムを用いて10℃/分で加熱した。
【0082】
引張特性
イオノマーシロキサンの応力ひずみ特性はドッグボーン形試料をINSTRONにおいて5mm/分の引き速度で試験することにより得た。試料は不良となるまで試験した。
【0083】
(実施例1)
3.3mol%の側鎖カルボキシ酸官能基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)の合成
反応物質:
・ 側鎖水素基(SiH)を有し、SiHが合計3.3mol%となるPDMS、より具体的には組成:
(MeSiO1/20.017(MeHSiO2/20.033(MeSiO2/20.95を有し、式中、Meはメチル基であり、重合度(d.p.)は200であり、25℃での定常せん断粘度はη25=0.35Pa.sであり、欧州特許第0196169B1号に記載されるような当技術分野において知られる方法により調製される、PDMS
・ トルエン(Fisher Scientific)
・ 例えば、欧州特許第0196169B1号に記載されるように調製される、トリメチルシリル化ウンデシレン酸
・ アルミナ上のPt(不均一触媒、Sigma Aldrich)
・ メタノール(Sigma Aldrich)
【0084】
側鎖水素基(SiH官能基)を有し、SiHが合計3.3mol%となるPDMS319.4gをトルエン319.4gとともに反応槽に入れ、固体分50%の溶液を生成した。窒素ブランケットを取り付け、混合物を100℃まで加熱し、55gのトリメチルシリル化ウンデシレン酸を添加した。これは合計50mol%の保護酸の超過(SiH1molについて保護酸1.5mol)となった。SiH官能性PDMS、トルエン及びトリメチルシリル化ウンデシレン酸の合計に対して20ppmのPtに相当する、アルミナ粉末上の1wt%のPt1.17gを添加した。混合物は加熱し、100℃で2.5時間保持した。2つのステップにおいて追加のトリメチルシリル化ウンデシレン酸(22.3g)を導入し、反応温度は6時間110℃まで上昇した。赤外分析はPDMS上のSiH官能基の完全な変換を示した。反応混合物は0.45μmフィルターを通してろ過した。無色、透明な材料を得た。ポリマーは溶媒及び残留未反応トリメチルシリル化ウンデシレン酸から140℃で0.4mmHg真空を用いて揮散させた。ポリマーを脱保護し、カルボキシ酸官能性バージョンに変換するため、336gのポリマーを224gのトルエンに添加した(固体分60wt%の溶液)。50gのメタノールを添加し、酸を還流下で2時間脱保護した。
【0085】
NMR分析はSiH PDMS前駆体:(MeSiO1/20.018(MeR’SiO2/20.032(MeSiO2/20.95をベースとする生成物の予想される最終構造を確認したが、式中、Meはメチル基であり、R’はカルボキシ酸官能基−G−COOHに対相当し、Gは(ウンデシレン酸をベースとする)−(CH10−に相当する。
【0086】
材料は透明、無色、溶媒フリー低粘度液体だった。このポリマーについての分子量及び粘度データ:M=28,000g/mol;M=8,810g/mol;η25=0.35Pa・s。
【0087】
(実施例2)
異なるレベルのリチウム対イオンで中和した、側鎖カルボキシ酸官能基を有するポリジメチルシロキサンの合成
実施例1で調製したカルボキシ酸官能性PDMSはリチウム対イオン(Li)で3つの異なる程度:50%、75%及び100%まで中和した。50%の場合、例えば、カルボキシ酸官能基の半分をLi対イオンで変換して−(CH10−COO−Liをもたらし、半分は変換せず−(CH10−COOHのままとする。各ポリマーは30gのカルボキシ酸官能性PDMSを所望の量のリチウムアセチルアセトネート(Sigma Aldrich)とともに入れることにより中和し、規定レベルの中和並びに10gのメタノール及び20gのトルエンを得た。70℃で1時間混合後、温度を150℃まで上昇させ、真空を15mbarで2時間印加し、完了まで中和を促進しながら中和の副生成物、アセチルアセトンを確実に除去した。以下の材料を得た。
R’が−(CH10COOHであり、R”が−(CH10−COO−Liである(MeSiO1/20.018(MeR’SiO2/2(MeR”SiO2/2(MeSiO2/20.95
【表1】

*小ひずみを用いる振動レオロジー測定から予測される値
【0088】
(実施例3)
異なるレベルのリチウム対イオンで中和した、側鎖カルボキシ酸官能基を有するポリジメチルシロキサンの粘弾性挙動:熱可塑性エラストマー挙動並びにメルトフロー温度及びゴム状プラトー弾性の制御の例示
酸官能性PDMSをLiで異なる程度まで中和すると起こる大幅な粘弾性特性変化への洞察は、図1に示すように、小ひずみせん断振動レオロジー実験から得ることができる。貯蔵弾性率(G’)及び損失弾性率(G”)の両方は温度の関数として示す。貯蔵弾性率は材料の硬さに関するが、損失弾性率は熱によって放散されるエネルギーの量に比例する。Li対イオンで100%中和した酸官能性PDMS(x=0、y=0.032の曲線)は、例えば低温から高温までのそのレオロジープロファイルに従って、PDMSマトリクスのガラス転移点(約−125℃)未満ではガラス状態であり、ガラス/ゴム転移点を通過し、−100℃〜室温の範囲でゴム状材料となり、この温度範囲を超えるとメルトフロー型に入り、粘性液体となる。この曲線は熱可塑性エラストマーに関する本発明の重要な態様の1つを示す。金属中和PDMSイオノマーは室温前後の温度で、エネルギーを貯蔵することができ、材料に対する小時間スケールでの変形が可逆的である弾性ゴムのように作用する。高温まで加熱すると、イオノマー相互作用の熱破壊は材料を粘性液体に戻す。この高温範囲では、材料は高分子量PDMSポリマーのように作用する。
【0089】
中和のレベルを低減することは流動温度及びゴム状プラトー弾性率の温度範囲を変える便利な方法である。ゴム状プラトー型におけるG’値又はゴム状プラトー弾性率は、これらのイオノマーシロキサンの場合イオノマー凝集体によって形成する物理的架橋に相当する、架橋密度を示すことに留意すべきである。この値は硬度、粘着性及び弾性のような用途関連特性に関する。
【0090】
(実施例4)
異なる金属対イオンで50%中和した、側鎖カルボキシ酸官能基を有するポリジメチルシロキサンの合成:流動温度及びゴム状プラトー弾性率への影響
実施例1において調製したカルボキシ酸官能性PDMSは、幅広い金属対イオン:Al3+(三価アルミニウム、アルミニウムアセチルアセトネート、Sigma Aldrichを用いる)のような金属、Zn++(二価亜鉛、亜鉛アセチルアセトネート、Sigma Aldrichを用いる)、Mn++(二価マンガン、マンガン(II)アセチルアセトネート、Sigma Aldrichを用いる)、Zr4+(四価ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトネート、Sigma Aldrichを用いる)、Mn3+(三価マンガン、マンガン(III)アセチルアセトネート、Sigma Aldrichを用いる)、Cr3+(三価クロム、クロムアセチルアセトネート、Sigma Aldrichを用いる)のような遷移金属及びLi(一価リチウム、リチウムアセチルアセトネート、Sigma Aldrichを用いる、実施例参照)のようなアルカリ金属で中和した。研究中の対イオンの価数に基づき、カルボキシ官能基の50%変換を目標とした。例えば、Cr3+での50%中和は0.5/3molのクロム塩と1molのPDMS上の−(CH10−COOH官能基との混合に相当した。方法はすべての金属対イオンについて同じであり、30gのカルボキシ酸官能性PDMSを所望の量の金属アセチルアセトネートとともに入れ、規定のレベルの中和並びに10gのメタノール及び20gのトルエンを得るステップで構成した。70℃で1時間混合後、温度を150℃まで上昇させ、真空を15mbarで2時間印加した。これは、完了まで中和を促進しながら、中和の副生成物、アセチルアセトンを確実に除去する。材料は、カルボキシ官能基の半分を残し、もう半分を適当な金属対イオンで中和して合成した。材料の特性は表2に示す。
【表2】

tanδ対温度振動せん断レオロジー実験においてtanδ(G”/G’)の最小値でのG’として測定されるゴム状プラトー弾性率
【0091】
表2に示すように、ゴム状プラトー弾性率の範囲は金属対イオンを変えることにより得ることができる。一般的には、より高いゴム状プラトー弾性率はより硬く、より粘着性の少ない材料をもたらす。
【0092】
(実施例5)
テレケリックカルボキシ酸官能基を有する低分子量ポリジメチルシロキサン及びそのLi中和バージョンの合成
イオノマーPDMSの末端キャップ又はテレケリックバージョンを生成するため、出発前駆体はSiH末端PDMSである必要があり、実施例1及び2で概説した方法を用いることができる。10mol%テレケリックカルボキシ酸官能性PDMSを生成するのに用いる方法は以下の反応物質を用いるステップで構成される:
・ テレケリック水素基(SiH)を有し、SiHが合計10mol%となるPDMS、より具体的にはDOW CORNING(登録商標)Q2−5057S(ダウコーニング、ミシガン州ミッドランド)
・ トルエン(Fisher Scientific)
・ 例えば、欧州特許第0196169B1号に記載されるように調製される、トリメチルシリル化ウンデシレン酸
・ アルミナ上のPt(不均一触媒、Sigma Aldrich)
・ メタノール(Sigma Aldrich)。
テレケリック水素基(SiH官能基)を有し、SiHが合計10mol%となるPDMS150gをトルエン150gとともに反応槽に入れ、固体分50%の溶液を生成した。窒素ブランケットを取り付け、混合物を90℃まで加熱し、60.53gのトリメチルシリル化ウンデシレン酸を添加した。これは合計4mol%の保護酸の超過(SiH1molについて保護酸1.04mol)となった。SiH官能性PDMS、トルエン及びトリメチルシリル化ウンデシレン酸の合計に対して20ppmのPtに相当する、アルミナ粉末上の1wt%のPt0.72gを添加した。混合物は加熱し、100℃で1時間保持した。赤外分析はこのステップの後残留SiHが存在しないことを示した。反応混合物は0.22μmフィルターを通してろ過した。無色、透明な材料を得た。ポリマーは溶媒及び残留未反応トリメチルシリル化ウンデシレン酸から140℃で0.4mmHg真空を用いて揮散させた。ポリマーを脱保護し、カルボキシ酸官能性バージョンに変換するため、150gのポリマーを100gのトルエンに添加した(固体分60wt%の溶液)。100gのメタノールを添加し、酸を還流下で2時間脱保護した。最終材料は溶媒から回転蒸発器上で150℃及び0.8mmHgで1時間揮散させた。
【0093】
NMR分析はSiH PDMS前駆体:(MeR’SiO1/20.103(MeSiO2/20.897をベースとする生成物の予想される最終構造を確認したが、式中、Meはメチル基であり、R’はカルボキシ酸官能基−(CH10−COOHに相当する。材料は透明、無色、溶媒フリー低粘度液体だった。
【0094】
10.3mol%カルボキシ酸官能性PDMS材料のLi100%中和バージョンは、50gのPDMS前駆体を35gのトルエン、15gのメタノールに入れ、5.907gのリチウムアセチルアセトネートを化学量論的に添加することにより得た。反応混合物は80℃まで1時間加熱した。ポリマー溶液は溶媒から回転蒸発器上で155℃及び0.8mmHgで2.5時間揮散させた。最終材料は室温で無色、硬性固体だった。
【0095】
(実施例6)
Mg++対イオンで100%中和又はLi対イオンで100%中和した、1mol%のテレケリックカルボキシ酸官能基を有する高分子量ポリジメチルシロキサン(M=100,000g/mol)の合成
高分子量及びその結果として低カルボキシ酸官能基を有するイオノマーPDMSのテレケリックバージョンはSiH末端前駆体から出発し、実施例5と同様の方法に従う。1mol%テレケリックカルボキシ酸官能性PDMSを生成するのに用いる方法は以下の反応物質を用いた:
・ テレケリック水素基(SiH)を有し、SiHが合計1.3mol%となるPDMS、より具体的には組成:(MeHSiO1/20.013(MeSiO2/20.987を有し、式中、Meはメチル基であり、重合度(d.p.)は約1000である(SiH前駆体の詳細については実施例1参照)、PDMS
・ トルエン(Fisher Scientific)
・ 例えば、欧州特許第0196169B1号に記載されるように調製される、トリメチルシリル化ウンデシレン酸
・ アルミナ上のPt(不均一触媒、Sigma Aldrich)
・ メタノール(Sigma Aldrich)。
テレケリック水素基(SiH官能基)を有し、SiHが合計1.3mol%となるPDMS175gをトルエン61gとともに反応槽に入れ、固体分74%の溶液を生成した。窒素ブランケットを取り付け、混合物を100℃まで加熱し、8.27gのトリメチルシリル化ウンデシレン酸を添加した。これは合計5mol%の保護酸の超過(SiH1molについて保護酸1.05mol)となった。SiH官能性PDMS、トルエン及びトリメチルシリル化ウンデシレン酸の合計に対して20ppmのPtに相当する、アルミナ粉末上の1wt%のPt0.49gを添加した。混合物は加熱し、100℃で1時間保持した。赤外分析はこのステップの後非常に少ない残留SiHを示した。反応混合物は0.22μmフィルターを通してろ過した。無色、透明な材料を得た。ポリマーを脱保護し、カルボキシ酸官能性バージョンに変換するため、40gのメタノールを添加した。混合物は還流で2時間加熱した。最終材料は溶媒から回転蒸発器上で150℃及び0.8mmHgで1時間揮散させた。
【0096】
NMR分析はSiH PDMS前駆体:(MeR’SiO1/20.013(MeSiO2/20.987をベースとする生成物の予想される最終構造を確認したが、式中、Meはメチル基であり、R’はカルボキシ酸官能基−(CH10−COOHに相当する。材料は透明、無色、溶媒フリー低粘度液体だった。
【0097】
1.3mol%カルボキシ酸官能性PDMS材料のLi100%中和バージョンは、50gのPDMS前駆体を35gのトルエン、15gのメタノールに入れ、0.833gのリチウムアセチルアセトネートを化学量論的に添加することにより得た。反応混合物は80℃で1時間加熱した。ポリマー溶液は溶媒から回転蒸発器上で170℃及び0.6mmHgで2時間揮散させた。最終材料は室温で無色、超高粘度液体だった。
【0098】
1.3mol%カルボキシ酸官能性PDMSのMg++100%中和バージョンは同様にカルボキシ酸前駆体にマグネシウムアセチルアセトネート(Sigma Aldrich)を化学量論的に添加することにより生成した。
【0099】
実施例5の低分子量/高イオン含有Li中和イオノマーと実施例6の高分子量/低イオン含有Li中和イオノマーとの比較は表3に示す。この分析から、もっとも低い分子量を有する10mol%のイオノマーについてもっとも高いゴム状プラトー弾性率及び流動温度が見られるので、イオン含有量がレオロジー挙動を左右することは明らかである。レオロジーの観点から、もっともイオン含有量の高いポリマーは自己集合し、その低イオン対照物よりかなり高い有効分子量又は架橋密度となる。対イオンタイプの影響について実施例4の結果と比較すると、室温での材料特性(ゴム状プラトー弾性率)及び流動温度を、例えばホットメルト用途について、用いる金属対イオンを変えることなく最適化する必要がある場合、1つの対イオンタイプだが異なるイオン含有量に基づくテレケリックイオノマーはいくつかの利点を有することができる。基本的に、PDMS系イオノマーの特性を変えるこれらの2つの方法は材料設計に柔軟性をもたらす。
【表3】

tanδ対温度振動せん断レオロジー実験においてtanδ(G”/G’)の最小値でのG’として測定されるゴム状プラトー弾性率
**加熱の際G’が1kPaに達する温度から測定される、流動温度
【0100】
(実施例7)
Mg++対イオンで100%中和した、1mol%のカルボキシ酸官能基を有する高分子量ポリジメチルシロキサン(M=100,000g/mol)と化学的に架橋したPDMSゴムとの間の比較
物理的架橋を有するイオノマーPDMSと化学的に架橋したPDMSゴムとの間でレオロジー及び機械的特性に関して比較を行う。これらの系を並べて比較するため、両材料について同様の架橋密度を目標とする。これは化学的に架橋したPDMSゴムについてビニル官能性PDMS及びSiH架橋剤を適当に選択することにより達成した。用いる化学反応にかかわらず、この値を用いて架橋間の分子量、Mを計算することができるので、架橋密度のレベルを確認するため物理的又は化学的ゴム状プラトー弾性率を用いた:
=ρ.R.T/G
は架橋間の分子量であり、ρは密度であり、Rは気体定数であり、Tは温度であり、Gはゴム状プラトー弾性率である。以下の2つの材料をこの方法で比較した:
1.実施例7の100%Mg++中和1mol%カルボキシ酸官能性PDMS。
2.以下の製剤に基づき、Pt触媒を用いてSiH架橋剤で硬化したビニル官能性PDMS:170gのDOW CORNING(登録商標)SFD−117 Filtered Fluid(ダウコーニング、ミシガン州ミッドランド)ビニル含有ポリマー(d.p.434)、30gのDOW CORNING(登録商標)2−7220 INTERMEDIATE SiH架橋剤(ダウコーニング、ミシガン州ミッドランド)、及び20ppmのPt触媒DOW CORNING(登録商標)2−0707 INT(PLATINUM 4)(ダウコーニング、ミシガン州ミッドランド)(0.56%Pt)を0.5wt%の2−メチル−3−ブチン−2−オル阻害剤(Sigma Aldrich)と組み合わせて用い、50℃で24時間かけてゴムを硬化した。ポリマー、架橋剤及び阻害剤を室温で混合し、室温の真空オーブンに導入し、気泡を除去した。Pt触媒をこの混合物に添加し、試料を50℃の排気オーブンに2日間導入し、エラストマーを完全に硬化した。
【0101】
ゴム状プラトー弾性率値は表4にまとめるように両材料について同様である。両材料の有効架橋密度は従ってイオノマーが流動を開始する150℃未満の温度範囲内で同様でなければならない。化学的に架橋したPDMSゴムはその分解温度より低いいずれの温度でも流動を示さないことに留意すべきである。
【表4】

tanδ対温度振動せん断レオロジー実験においてtanδ(G”/G’)の最小値でのG’として測定されるゴム状プラトー弾性率
**加熱の際G’が1kPaに達する温度から測定される、流動温度
***化学的に架橋した弾性ゴムはいずれの温度でも流動しない
【0102】
PDMSゴムとそのイオノマー対照物との間の機械的特性の類似を確認するため、図2は室温での引張特性を比較する。引張強度(約50psi=350kPa)及び破断ひずみ(約180%)の両方は同様である。
【0103】
(実施例8)
異なるイオン含有量を有するPDMSイオノマーのブレンド
2つのPDMSイオノマーをブレンドし、物理的架橋密度を調整することにより達成することができる特性制御のレベルを示す。化学的に架橋したPDMSでは達成するのが難しい2つの利点が同時に得られる:
1)PDMSイオノマーは幅広い組成範囲にわたり混和性、透明なブレンドを形成する。これは一つには、イオン含有量が異なっていたとしてもそれらの同一の化学成分によるものである。
2)物理的架橋点が1つのタイプの官能基、例えばCOO−Liの凝集から形成されるので、化学量論的不均衡の問題はない。これは、例えば、化学量論的不均衡が許容されない場合により高い架橋密度がビニル及びSiH含有量を増加することを必要とするビニル/SiH硬化PDMSとは対照的である。
【0104】
実施例5に詳述した高イオン含有量を有するテレケリックPDMSイオノマー(10mol%COOLiPDMSイオノマー)は実施例2に詳述するものと同様の低イオン含有量を有する側鎖PDMSイオノマー(1.9mol%COOLiイオノマー)とブレンドした。本発明者らは1つの理論に固執することを望まないが、低イオン含有量、高分子量PDMSイオノマーは材料のバルクを形成し、ブレンドの特性にいくらかの交絡強度を導入すると考えられる。低分子量、高イオン含有量PDMイオノマーは、高分子量イオノマーを有する領域をイオン凝集体によって連結する物理的架橋剤であるとみなすことができる。
【0105】
ブレンド方法は、適当な量の各イオノマーをトルエン対メタノール9/1混合物に導入し、固体分20%の溶液を生成するステップで構成した。回転混合ホイールを10時間用い、確実に完全溶解した。混合物はTeflon膜上に導入し、以下の段階的プロファイル:80℃で1時間、100℃で1時間、150℃で20分を用いて加熱処理した。試料は放置して室温までゆっくり冷却させた。表5はブレンド比のレオロジー特性への影響についての詳細を含む。すべての試料は室温で透明な固体膜だった。表は、単純に2つのPDMSイオノマーをブレンドすることにより幅広いゴム状プラトー弾性率及び流動温度を得ることができることを示す。ブレンドは特定の目標挙動を達成するように生成することができる一方で、ただ2つの材料を合成するだけでよいので、これは材料設計に柔軟性を加える。
【表5】

tanδ対温度振動せん断レオロジー実験においてtanδ(G”/G’)の最小値でのG’として測定されるゴム状プラトー弾性率
**加熱の際G’が1kPaに達する温度から測定される、流動温度
【0106】
(実施例9)
樹脂−線状材料の合成
材料特性及び相溶性に対する制御の追加レベルは、分岐の組み込み又はフェニル変性の導入のいずれかによりベースシロキサンを変性することにより達成することができる。分岐はシロキサンポリマーの、PDMS系イオノマーでは約−125℃である、ガラス転移点を劇的に上昇させるだろう。フェニル変性はガラス転移点も上昇させるが、より重要なことには、エポキシド、ポリエステル、アクリレート、等のような有機マトリクスとの相溶性を向上させる。以下の組成を有するフェニル変性、分岐シロキサンイオノマーを目標とした:
R’が−(CH10−COOHであり、R”がフェニル基である(MeR’SiO2/20.09(MeR”SiO2/20.81(R”SiO3/20.10
【0107】
この場合トリメチルシリル化ウンデシレン酸でのヒドロシリル化を用いることもできたが、異なる方法を用いた。アミン官能性前駆体から出発し、イタコン酸を用いてカルボキシ官能性材料に変換する方法についてのさらなる情報はBerger A.、Fost D.L.、米国特許第5,596,061号、1997年、Organosilicone having a carboxy functional group thereonに見ることができる。以下のアルコキシシランの加水分解及び縮合は目標とする構成要素をもたらすだろう:
・フェニルメチルジメトキシシラン(DOW CORNING(登録商標)Z−2588フェニルメチルジメトキシシラン)597.9g(3.28mol)
・アミノプロピルメチルジエトキシシラン(DOW CORNING(登録商標)Z−6015シラン)61.2g(0.32mol)
・フェニルトリメトキシシラン(DOW CORNING(登録商標)Z−6124シラン)79.3g(0.4mol)
用いた他の反応物質/触媒:
・キシレン(Sigma Aldrich)
・脱イオン水
・水酸化カリウム(1N KOH aq、Sigma Aldrich)
・塩酸(1N HCl aq、Sigma Aldrich)
・イタコン酸(Sigma Aldrich)
反応槽にアルコキシシランを入れ、50℃まで加熱した。9.56mLの1N KOH、その後151.4gの脱イオン水(化学量論的量の2倍相当)を添加した。温度は73℃まで30分間上昇させた。536gのキシレンを添加した。揮発性物質は85℃の反応温度まで蒸留除去した。水相は除去し、反応混合物は50℃まで冷却した。9.56mLの1N HClを添加してKOHを中和し、25℃で1時間撹拌した。混合物は加熱して還流し、水は共沸蒸留により除去した。反応混合物は85℃まで冷却した後、アミン(−NH)基に対して5mol%超過に相当する44.05gのイタコン酸を添加した。反応混合物は加熱して3時間還流し、共沸蒸留を用いて水を再び除去した。最終生成物は溶媒から回転蒸発器上で150℃で0.5mmHg真空を用いて1時間揮散させた。生成物は室温で溶媒フリー、透明、橙色粘性液体だった。NMRにより確認した最終材料の組成:R’が−(CH10−COOHであり、R”がフェニル基である(MeR’SiO2/20.093(MeR”SiO2/20.799(R”SiO3/20.10
【0108】
カルボキシ官能性分岐フェニルシロキサンイオノマーの金属中和バージョンを調製するため、ポリマーは6/4トルエン/メタノール混合物に溶解し、ポリマー固体分40wt%とした。適当な金属アセチルアセトネートは目標とする化学量論で導入し、反応混合物は85℃まで1時間混合しながら加熱した。金属中和カルボキシ官能性シロキサンは溶媒から回転蒸発器上で160℃及び0.6mmHg真空で1時間揮散させた。
【0109】
幅広い金属対イオンを用い、カルボキシ官能性分岐フェニルシロキサンイオノマーの100%中和バージョンを調製し、表6に記載する特性をもたらした。
【表6】

tanδ対温度振動せん断レオロジー実験においてtanδ(G”/G’)の最小値でのG’として測定されるゴム状プラトー弾性率
**加熱の際G’が1kPaに達する温度から測定される、流動温度
***tanδ対温度における最大値として振動せん断レオロジーにより測定されるガラス転移点
【0110】
表6の結果は得ることができる幅広い特性が同じカルボキシ官能性前駆体から出発することを示す。これらの材料は、特定のメルトフロー規格(表6の41℃〜200℃のメルトフロー温度)を満たすのにマトリクスガラス転移点の増加(表6の約0℃)及び対イオンの選択の両方に依存し得るホットメルト用途の最有力候補である。表7に記載する引張特性はこれらの材料が弾性ゴムとしても期待できることを示す。
【表7】

【0111】
(実施例10)
ホットメルト材料であるPDMSイオノマーとMQ樹脂とのブレンド
PDMS系イオノマーはトリメチル化シリカ粒子(要するにMQ樹脂)と混合し、変性レオロジー挙動を有する混和性ブレンドを得ることができる。とくに、MQ樹脂の添加はガラス転移点を上昇させ、ゴム状プラトー弾性率を低下させる。実施例9で用いた方法との違いは、MQ/PDMSイオノマーブレンドがより高いマトリクスガラス転移点を得るのに分岐又はフェニルの組み込みに依存しないことである。対照的に、ナノスケールMQ粒子の存在はPDMSポリマー力学を変える。例として、50%Al3+中和PDMSイオノマー(R’が−(CH10−COOHである(MeSiO1/20.018(MeR’SiO2/20.032(MeSiO2/20.95をベースとする、実施例4参照)をホストポリマーとして用い、異なるレベルのMQ樹脂(DOW CORNING(登録商標)5−7104 INT)で変性した。固体分50%の溶液は溶媒であるトルエン/メタノール(99/1 wt/wt)においてイオノマー及びMQ樹脂で生成した。一晩混合した後、薄膜を成形し、溶媒を150℃で1時間及び180℃で30分間揮散させた。すべてのブレンドは室温で透明な固体だった。これはMQ樹脂が試験した組成範囲において50%Al3+中和PDMSイオノマーと完全に混和性であることを示す。結果は表8に示す。
【表8】

tanδ対温度振動せん断レオロジー実験においてtanδ(G”/G’)の最小値でのG’として測定されるゴム状プラトー弾性率
**加熱の際G’が1kPaに達する温度から測定される、流動温度
***tanδ対温度における最大値として振動せん断レオロジーにより測定されるガラス転移点
****レオロジープロファイルは流動温度がガラス転移点に近いためゴム状プラトー弾性率を示さない
【0112】
ホットメルト用途のため分岐及びフェニルの組み込みに対してMQ樹脂を用いる利点は、MQ/PDMSブレンドがこの用途ですでに用いられ、MQ/PDMSブレンドの多くの有益な特性がイオノマー凝集体により導入される冷却時の高速固化及びメルトフロー温度の追加制御により保持されることである。従って、PDMSイオノマーはホットメルト材料の適用用途を拡大することができる。
【0113】
(実施例11)
化粧品用途でのゲル化剤に用いられるPDMSイオノマー
この評価の目的はシロキサンイオノマーを化粧品用途での透明な増粘剤として用いることだった。例としては多量(75%)の担体流体を含有するスティック発汗抑制剤である。実施例4の10mol%Li中和シロキサンイオノマーを用いた。金属中和イオノマーの合成後、溶媒の揮散前に、高い沸点を有する化粧品担体を添加し、当初の溶媒を溶媒交換方法により除去した。例えば、シクロシロキサン(DOW CORNING(登録商標)246 Fluid)を担体として用い、100℃、100mmHgでの1時間の揮散ステップは当初の溶媒(トルエン)を除去し、担体を保持するのに十分だった。この方法では、10mol%Li中和シロキサンイオノマーをシクロシロキサンにより膨潤させ、均一、軟質、透明なゲルを形成した。
【0114】
(実施例12、13)
4.3mol%の側鎖カルボキシ酸官能基を有するポリジメチルシロキサン(PDMS)の合成
側鎖水素基(SiH官能基)を有し、SiHが合計7.8mol%となるPDMS209.8gをトルエン209.8gとともに反応槽に入れ、固体分50%の溶液を生成した。窒素ブランケットを取り付け、混合物を110℃まで加熱し、36.79gのトリメチルシリル化ウンデシレン酸を添加した後、SiH官能性PDMS、トルエン及びトリメチルシリル化ウンデシレン酸の合計に対して10ppmのPtに相当する、トルエン溶液中7876ppmのPt(Pt#4)0.579gを添加した。混合物は110℃で1時間加熱した。26.99gの1−オクテンを添加した。混合物は110℃でさらに1時間加熱した。カーボンブラック(17.7g)を添加した。反応混合物は色を除去するため80℃で一晩加熱した。反応混合物は5.0μmフィルターを通してろ過した。無色、透明な材料を得た。ポリマーを脱保護し、カルボキシ酸官能性ポリマーに変換するため、以下のプロセスを2回繰り返した:23.00gのメタノールを添加し、1時間還流した後、揮発性物質を110℃のポット温度まで蒸留除去した。生成物は90℃の油槽温度及び減圧(〜1mmHg)で回転蒸発器を用いて乾燥するまで揮散させた。生成物は濁っており、NMRによる分析はいくらかの残留保護COOH基を示した。生成物はトルエンで希釈し、23.0gのメタノールを添加した。60℃で3時間加熱した。生成物は90℃の油槽温度及び減圧(〜1mmHg)で回転蒸発器を用いて乾燥するまで揮散させた。生成物は0.45μmフィルターを通してろ過した。生成物は室温で透明、無色、粘性液体だった。NMRにより確認した最終材料の組成:R’が−(CH10−COOHであり、R”が−(CH−CHである(MeSiO1/20.009(MeR’SiO2/20.043(MeR”SiO2/20.030(MeSiO2/20.917(MeHSiO2/20.001
【0115】
(実施例14)
アルミニウム対イオンで中和した、側鎖カルボキシ酸官能基を有するポリジメチルシロキサンの合成
実施例Aで調製したカルボキシ酸官能性PDMSはアルミニウム対イオン(Al3+)で部分中和した。フラスコに35.00gのカルボキシ酸官能性PDMS及び40.83gのトルエンを入れた。次に11.67gのメタノール中の0.770gのアルミニウムアセチルアセトネートの溶液を混合しながら添加した。還流での1時間の混合後、いくらかの揮発性物質を除去して固体分を約65%まで増加させた。次に溶媒の残りを除去して熱可塑性エラストマーを生成した。
【0116】
(実施例15)
PV封止剤に用いるイオノマーの分析
実施例14のイオノマーの試料を光学的特性について試験した。光学的特性を得るため、材料はまずホットプレスにおいて100℃で5分間、Teflonシートの間で押圧した。この条件は良好な光学的に透明な膜をもたらした。屈折率はMetriconプリズム結合器上で測定した:
【表9】

【0117】
次に膜はCary5000分光光度計に配置し、波長に対する透過%を測定した。データは下のグラフに示し、一般的なポリジメチルシロキサンゲル試料と比較する。下で示すように、イオノマーはより低い波長ではより小さい透明度を有するが、競合EVAより高い透明度を有する。ポリジメチルシロキサンと比較して400〜1600の間のイオノマーの全体的な透過率の低さはイオノマー試料がわずかに厚かったためである。

【0118】
次に膜を1片のSolatex太陽電池ガラスの上に配置し、真空チェンバーに30分間配置することにより太陽電池構造中に積層した。その後、膜/ガラスをチェンバーから取り除き、電池を軟性膜に押圧した。ガラス/電池サンドイッチを冷却した後、電池をガラスからせん断除去しようとし、これができないことにより接着性を質的に確認した。材料のいずれのせん断にも先立って電池が壊れた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの熱可塑性エラストマー層を表板と光電池との間に挟むステップであって、
該熱可塑性エラストマーは、平均式(1)(X3−vSiO1/2(X2−wSiO2/2(X1−ySiO3/2(SiO4/2を有する少なくとも1つのシリコーンイオノマーを含み、式中、各Rは独立して選択される一価アルキル基又はアリール基であり、各Xは独立して一価アルキル基、アリール基、並びに式(2)−G−COOZ(Gが少なくとも2つのスペーシング原子を有する二価スペーサ基であり、各Zが独立して水素又はアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、及び金属カチオンから選ばれたカチオンから独立して選択される)を有するカルボキシ官能基から選択され、vは0〜3であり、wは0〜2であり、yは0〜1であり、0≦a≦0.9、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.3、a+b+c+d=1である、ただし、平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.002モルのカルボキシ官能基が存在し、該カルボキシ官能基の該Z基の少なくとも10モルパーセントが、独立して選択されるカチオンであるステップ、
を含む、熱可塑性エラストマーによる光電池デバイスの封入方法。
【請求項2】
前記プロセスが、
前記熱可塑性エラストマーを前記表板上に配置するステップ、
前記光電池を前記熱可塑性エラストマー上に配置するステップ、及び
前記熱可塑性エラストマーの流動温度より高い温度で加熱するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記プロセスが
前記熱可塑性エラストマーを前記表板上に配置するステップ、
前記光電池を前記熱可塑性エラストマー上に配置するステップ、
熱可塑性エラストマーの第2層を前記光電池上に配置するステップ、及び
前記熱可塑性エラストマーの流動温度より高い温度で加熱するステップ
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
表板と、
該表板の表面上に配置される熱可塑性エラストマーと、
該熱可塑性エラストマー上に配置される光電池と、
を備える光電池デバイスにおいて、
該熱可塑性エラストマーは、平均式(1)(X3−vSiO1/2(X2−wSiO2/2(X1−ySiO3/2(SiO4/2を有する少なくとも1つのシリコーンイオノマーを含み、式中、各Rは独立して選択される一価アルキル基又はアリール基であり、各Xは独立して一価アルキル基、アリール基、並びに式(2)−G−COOZ(Gが少なくとも2つのスペーシング原子を有する二価スペーサ基であり、各Zが独立して水素又はアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、及び金属カチオンから選ばれたカチオンから独立して選択される)を有するカルボキシ官能基から選択され、vは0〜3であり、wは0〜2であり、yは0〜1であり、0≦a≦0.9、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.3、a+b+c+d=1である、ただし、平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.002モルのカルボキシ官能基が存在し、該カルボキシ官能基の該Z基の少なくとも10モルパーセントが、独立して選択されるカチオンである、デバイス。
【請求項5】
前記光電池の表面上に配置される熱可塑性エラストマーの第2層をさらに備える、請求項4に記載の光電池デバイス。
【請求項6】
前記熱可塑性エラストマーの第2層の表面上に配置される基板をさらに備える、請求項5に記載の光電池デバイス。
【請求項7】
前記カルボキシ官能基の前記Z基の少なくとも50モルパーセントが独立して選択されるカチオンである、請求項4に記載の光電池デバイス。
【請求項8】
前記カルボキシ官能基の前記Z基の少なくとも75モルパーセントが独立して選択されるカチオンである、請求項4に記載の光電池デバイス。
【請求項9】
前記カルボキシ官能基の前記Z基の少なくとも25モルパーセントが独立して選択されるカチオンである、請求項4に記載の光電池デバイス。
【請求項10】
前記カチオンがLi、Na、K、Cs、Mg、Ca、Ba、Zn、Cu、Ni、Ga、Al、Mn、及びCrから選択される、請求項4〜9のいずれかに記載の光電池デバイス。
【請求項11】
前記カチオンがLi、Na、K、Zn、Ni、Al、Mn、Mgから選択される、請求項4〜10のいずれかに記載の光電池デバイス。
【請求項12】
平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.01モルのカルボキシ官能基が存在する、請求項4〜11のいずれかに記載の光電池デバイス。
【請求項13】
平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.02モルのカルボキシ官能基が存在する、請求項4〜12のいずれかに記載の光電池デバイス。
【請求項14】
平均でケイ素原子1つ当たり0.002〜0.5モルのカルボキシ官能基が存在する、請求項4〜13のいずれかに記載の光電池デバイス。
【請求項15】
前記熱可塑性エラストマーが少なくとも2つのシリコーンイオノマーのブレンドを含む、請求項4〜14のいずれかに記載の光電池デバイス。
【請求項16】
前記熱可塑性エラストマーがMQ樹脂をさらに含む、請求項4〜15のいずれかに記載の光電池デバイス。
【請求項17】
前記熱可塑性エラストマーが充填剤をさらに含む、請求項4〜15のいずれかに記載の光電池デバイス。
【請求項18】
i)シリコーンイオノマーを含む組成物を、熱源とヒートスプレッダとの間の熱経路に沿って配置するステップであって、
該シリコーンイオノマーは平均式(1)(X3−vSiO1/2(X2−wSiO2/2(X1−ySiO3/2(SiO4/2を有する少なくとも1つのシリコーンイオノマーを含み、式中、各Rは独立して選択される一価アルキル基又はアリール基であり、各Xは独立して一価アルキル基、アリール基、並びに式(2)−G−COOZ(Gが少なくとも2つのスペーシング原子を有する二価スペーサ基であり、各Zが独立して水素又はアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、及び金属カチオンから選ばれたカチオンから独立して選択される)を有するカルボキシ官能基から選択され、vは0〜3であり、wは0〜2であり、yは0〜1であり、0≦a≦0.9、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.3、a+b+c+d=1である、ただし、平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.002モルのカルボキシ官能基が存在し、該カルボキシ官能基の該Z基の少なくとも10モルパーセントは独立して選択されるカチオンである、ステップ、
を含む、放熱方法。
【請求項19】
前記シリコーンイオノマーを含む前記組成物が熱伝導性充填剤も含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱源が電子デバイスを備える、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ヒートスプレッダがヒートシンク、熱伝導プレート、熱伝導カバー、送風機、又は循環冷却系を備える、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
ii)前記組成物を前記組成物の軟化温度以上の温度まで加熱するステップ、及びiii)前記組成物に圧力を印加するステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
iv)前記組成物を相変化温度より低い温度まで冷却するステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
a)電子デバイスと、b)界面材料と、c)ヒートシンクとを備え、
該界面材料は、該電子部品の表面から該ヒートシンクの表面まで延在する熱経路に沿って配置され、
該界面材料は、平均式(1)(X3−vSiO1/2(X2−wSiO2/2(X1−ySiO3/2(SiO4/2を有する少なくとも1つのシリコーンイオノマーを含み、式中、各Rは独立して選択される一価アルキル基又はアリール基であり、各Xは独立して一価アルキル基、アリール基、並びに式(2)−G−COOZ(Gが少なくとも2つのスペーシング原子を有する二価スペーサ基であり、各Zが独立して水素又はアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、及び金属カチオンから選ばれたカチオンから独立して選択される)を有するカルボキシ官能基から選択され、vは0〜3であり、wは0〜2であり、yは0〜1であり、0≦a≦0.9、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.3、a+b+c+d=1である、ただし、平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.002モルのカルボキシ官能基が存在し、該カルボキシ官能基の該Z基の少なくとも10モルパーセントは独立して選択されるカチオンである、デバイス。
【請求項25】
前記界面材料が熱伝導性充填剤も含む、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
a)ヒートスプレッダと、b)該ヒートスプレッダの表面上の界面材料とを備え、
該界面材料及び該ヒートスプレッダは、電子デバイスとヒートシンクと間の熱伝導経路の一部を含むように構成され、
該界面材料は、平均式(1)(X3−vSiO1/2(X2−wSiO2/2(X1−ySiO3/2(SiO4/2を有する少なくとも1つのシリコーンイオノマーを含み、式中、各Rは独立して選択される一価アルキル基又はアリール基であり、各Xは独立して一価アルキル基、アリール基、並びに式(2)−G−COOZ(Gが少なくとも2つのスペーシング原子を有する二価スペーサ基であり、各Zが独立して水素又はアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、遷移金属カチオン、及び金属カチオンから選ばれたカチオンから独立して選択される)を有するカルボキシ官能基から選択され、vは0〜3であり、wは0〜2であり、yは0〜1であり、0≦a≦0.9、0≦b≦1、0≦c≦0.9、0≦d≦0.3、a+b+c+d=1である、ただし、平均でケイ素原子1つ当たり少なくとも0.002モルのカルボキシ官能基が存在し、該カルボキシ官能基の該Z基の少なくとも10モルパーセントは独立して選択されるカチオンである、デバイス。
【請求項27】
前記界面材料が熱伝導性充填剤も含む、請求項26に記載のデバイス。

【公表番号】特表2012−531041(P2012−531041A)
【公表日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516108(P2012−516108)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/036986
【国際公開番号】WO2010/147759
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(590001418)ダウ コーニング コーポレーション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【Fターム(参考)】